JP2004194795A - 運動器具 - Google Patents

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和臣 大内
Betty Reiko Ouchi
ベティ レイコ オオウチ
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Abstract

【課題】子供から高齢者まで、だれでも安全に、かつ手軽に楽しみながらバランス運動を行い、平衡感覚を養いながら、筋力増強を図りつつ健康を維持することのできる運動器具を提供すること。
【解決手段】互いに異なる支点機能を有する凸状体を板体の両面に設け、板体(1)の一側面(10)に設けた第1の凸状体(2)は、同凸状体(2)を中心として360度の範囲で前記板体を揺動回転可能とし、板体(1)の他側面(11)に設けた第2の凸状体(3)は、同凸状体(3)を境にして180度方向に前記板体を揺動可能とした。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、室内で安全かつ手軽に運動することができる運動器具に関し、詳しくは、接地用の支点部として凸状体を設けた板体に乗って、前記凸状体を中心に板体を揺動、回転させながら平衡感覚の養成や筋力増強や血行促進を図れるようにした運動器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の運動器具として、例えば円盤状の板体の下に球状体やローラ体などからなる凸状体を固定したものがあり、板体上に乗って前記凸状体を中心にあたかも回されたコマが回転を停止する直前のように揺動回転させたり、あるいはローラ体を支点としてあたかもシーソーのように揺動させたりして、足の指部に刺激を与えながら筋力を増強させたり、足の指を通して中枢神経を刺激して平衡感覚を強化、あるいは養えるようにしたものがあった。(例えば特許文献1、2、3)
【0003】
【特許文献1】
特開2000−60994号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平8−187304号公報
【0005】
【特許文献3】
特公平6−55216号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1〜3に記載の運動器具では、支点となる凸状体が板体の一側面にしかないので、運動内容を多様なものとすることができなかった。
【0007】
また、前記凸状体の頂部は、湾曲したもので床面などとは点接触状態となっているので、板体を水平に保持することは容易ではなく、例えば、運動器具を初めて使用するものにとっては、板体に乗った状態でバランスをとることがあまりにも難しく、ときにはバランスを崩しすぎて危険な状態に至ったりするおそれがあり、運動を継続することが困難となって、やがて使用しなくなるといったことがあった。
【0008】
また、凸状体と板体とが一体的になっているので、凸状体部分が邪魔になって不使用時の保管を含む取扱い、あるいは搬送などに支障をきたすことがあった。
【0009】
また、凸状体の高さについては一定となっているので、当該運動器具を用いた運動実践の熟練度や上達度、あるいは所望する運動負荷に簡単に対応することが難しいものであった。
【0010】
さらに、板体を傾けたときに同板体の縁部が板体載置面と接地するので、例えば使用者自身の足の指、あるいは近接した人の体の一部を挟んでしまうおそれがあり、安全上問題を残していた。
【0011】
本発明は、上記課題を解決することのできる運動器具を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の本発明では、互いに異なる支点機能を有する凸状体を板体の両面に設け、板体の一側面に設けた第1の凸状体は、同凸状体を中心として360度の範囲で板体を揺動回転可能とし、板体の他側面に設けた第2の凸状体は、同凸状体を境にして180度方向に板体を揺動可能とし、しかも、前記第1の凸状体の頂部には、前記板体を水平状態に載置可能とした平面部を形成した。
【0013】
また、請求項2記載の本発明では、第1の凸状体を截頭四角錐形状として、前記凸状体の頂部に板体を水平状態に載置可能とする平面部を形成した。
【0014】
また、請求項3記載の本発明では、上記第1の凸状体と第2の凸状体のうち、少なくとも一方の凸状体を板体に着脱自在に取付けた。
【0015】
また、請求項4記載の本発明では、上記第1の凸状体と第2の凸状体のうち、少なくとも一方の凸状体の高さを可変とした。
【0016】
また、請求項5記載の本発明では、上記板体の縁部と凸状体との間に、板体が傾いたときに同板体の縁部が板体載置面と接地することを阻止する保安用凸状体を設けた。
【0017】
さらに、請求項6記載の本発明では、上記保安用凸状体が板体載置面に当接した際に、板体載置面と板体の縁部との間隙が、少なくとも手足の指の厚みよりも大きくなるようにした。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、接地用の支点部として凸状体を設けた板体に乗って、前記凸状体を中心にバランス運動を行いながら平衡感覚の養成や筋力増強を図れるようにした運動器具であって、その構成としては、互いに異なる支点機能を有する凸状体を板体の両面に設け、板体の一側面に設けた第1の凸状体は、同凸状体を中心として360度の範囲で前記板体を揺動回転可能とし、板体の他側面に設けた第2の凸状体は、同凸状体を境にして180度方向に前記板体を揺動可能としたものである。
【0019】
すなわち、平衡感覚の養成、筋力増強、血行促進、さらには肥満防止を図る上で、手軽に継続的に使用可能な運動器具であり、しかも、コンパクトで安全性の高い構成となっている。
【0020】
板体と第1の第2の凸状体からなる本運動器具は、人間の体重に耐えうる程度の強度があれば、材料として何ら限定されるものではなく、木製、合成樹脂製、金属製などなんでもよいが、手軽にどこででもエクササイズ(運動、訓練)できるようにするためには、持ち運びなどを考慮してある程度軽量であることが好ましい。
【0021】
本運動器具の構成をさらに詳述する。
【0022】
板体は円盤状に形成されており、その大きさ(径)は、使用者の年齢や運動能力などに応じて適宜設定することができる。
【0023】
板体の第1の面に設けた第1の凸状体は、これを支点として板体を全方位に回転、揺動させることができるように(あたかも回転しているコマが止まる直前に示す回転態様となるように)、半球状、若しくは截頭錐体形状とすることができる。
【0024】
例えば、第1の凸状体を、先端部分が四角錐体の頭部を切除した截頭錐体となった角柱、すなわち截頭四角錐形状として、前記凸状体の頂部に板体を水平状態に載置可能とする平面部を形成することができ、この場合、板体を揺動回転させたときに、四角錐体部分の稜線部が回転時の抵抗となり、回転運動にアクセントを与え、使用者は単純な揺動回転運動を繰り返してもアクセントが入るたびに新たな刺激を受けて飽きることなく運動を継続することができる。
【0025】
ここで、前記第1の凸状体で実行可能とした揺動回転というのは、板体に乗った状態で、板体の周縁の接地部を連続的に移動させる回転運動であり、水平回転と異なり、板体自体は揺動的な動きを示すことから、板体に乗っている使用者はバランスをとるために身体の必要な筋肉及び神経を自然に刺激することになり、血行を良くするとともに、筋力UPを図ることができ、さらに平衡感覚を向上させることができる。
【0026】
しかも、前記截頭部分の平面を接地面として、接地させた状態で板体を水平状態に維持することができる。したがって、第1の凸状体を支点部とした場合、板体を水平状態に保持しやすくなるので、これに乗った状態でもバランスをとりやすくなり、子供や高齢者でも無理なく様々なエクササイズを実行でき、本運動器具の使用が難しくて中途で使用を止めてしまったりすることが少なくなって、本運動器具を用いた各種エクササイズを楽しみながら継続的に取り組みやすくなり、運動効果をより確実に得ることができる。
【0027】
なお、全方位への円滑な回転及び揺動を可能とするために、四角錐体部分の稜線部などは曲面となるように僅かに丸みを帯びさせる構成としてもよい。
【0028】
なお、板体を水平状態に保持しやすくすることを主目的とするならば、第1の凸状体の形状は、必ずしも先端部を截頭した四角錐体に限定するものではなく、頂上部を平面となるように削り取った略半球状のものであってもよい。
【0029】
一方、板体の第2の面に設けた第2の凸状体は、これを境にしてあたかもシーソーのように前後・左右180度方向に揺動できるように、略半円筒状に形成した所謂蒲鉾型としている。そして、1個の凸状体で板体を横切るように取付けてもよいし、例えば短い凸状体を、所定間隔をあけて2個、3個並設することもできる。なお、この第2の凸状体は必ずしも半円筒状に限るものではなく、半円柱状のものであってもよいし、あるいは、半球状の凸体を複数個直線上に並設したものであってもよい。
【0030】
第2の凸状体が上記したように複数個並設したものであれば、各凸状体の間に桟状の横棒を渡して、この横棒上に乗ることで足の裏のツボを押圧してマッサージ効果を得ることも可能となる。
【0031】
なお、第2の凸状体の高さについても適宜設定してよいが、板体の第1の面に人間が立って一方向に最大限傾動させたときに、板体の傾斜角度が、人間が立っている状態を維持できるだけの範囲内にあることが好ましい。
【0032】
上述した本実施の形態に係る運動器具では、異なる機能を有する凸状体をそれぞれ支点部として各種のエクササイズを実行できるので、多様な運動を行え、飽きることなく継続的に楽しみながら運動して健康を維持することができる。
【0033】
以下、本運動器具を用いて、板体上に両足を乗せて行う代表的なエクササイズを例示する。
【0034】
(1)第1の凸状体を支点部として全方位に回転、揺動可能な状態で行うエクササイズ。
【0035】
(a)第1の凸状体を支点部として第2の面の前側に両足で乗り、両足を揃えてバランスを維持しながら立つ(「ハイヒール運動」と呼ぶ)。次いで、左右の踵を板体の後側に揃えて立ち、踵側の板体縁を床面に当接させ、体を左右に動かす(「アキレス運動」と呼ぶ)。このとき、第2の凸状体が複数に分割したもので、凸状体間に横棒を設けたものであれば、横棒の上に乗ってハイヒール運動を行うことで足裏のマッサージ効果も生起する。
【0036】
(b)上記ハイヒール運動とアキレス運動とを連携させて円を描くような動きを実行する(「螺旋運動」と呼ぶ)。これは、腹筋を使うとともに、腰の捩じり(ツイスト)運動となり、腹部、腰部の筋力トレーニングとなる。
【0037】
(c)第2の面に両足を乗せた状態で、板体が床面と平行になるようにバランスを保持する。(「全身バランス運動」と呼ぶ)
(d)第1の凸状体を中心軸として、コマのように連続回転運動を行う。回転方向は左右いずれの方向でもよいが、両方向均等に行うことが望ましい。
【0038】
(2)第2の凸状体を支点部として前後・左右方位に揺動可能な状態で行うエクササイズ。
【0039】
(e)第1の面に両足を乗せて左右へのシーソー運動、足踏み運動を行う。脇腹の筋力アップが図れるとともに、ウエストを細くし、便秘解消にも効果がある。
【0040】
(f)第1の面の略中央に両足を乗せて前後に揺動させると、前述したハイヒール運動、アキレス運動を連続的に行うことができる。
【0041】
本実施の形態では、互いに異なる支点機能を有する凸状体を板体の両面に設けたことから、上述した他、様々なエクササイズを使用者の工夫次第により創出でき、また、机仕事などの最中であっても、椅子などに座した状態で机下の足元に置いた本運動器具の上に足を乗せ、あらゆる方向へ回転、揺動させることで足、腰の疲労を回避することが可能となる。
【0042】
上述してきた各種エクササイズを行うことによって、以下の効果を得ることができる。
【0043】
(1)安定した平衡感覚を養うとともに、直線的歩行が軽快となり、かつ歩行速度の向上が見られる。したがって、これらの能力が老化により減退していくことを防止することも可能となる。
【0044】
(2)室内でも手軽に楽しみながら適当なエクササイズを実行することができるのでストレスが解消され、熟睡できるとともに、鬱状態を克服することも可能となる。
【0045】
(3)腹筋、アキレス腱の強化が図れ、足首、膝、腰などの関節を調整でき、脊椎の機能促進と調整が可能となる。
【0046】
(4)便秘の解消及びその予防ができ、また血液の循環が良好となって、肩こりや眼精疲労などを防止できる。さらに、発汗作用を促して新陳代謝の促進が可能となり、内臓が整えられて食欲が増進し、かつ肥満になることを防止できる。
【0047】
(5)がに股と呼ばれる下肢変形を自然に無理なく矯正することができる。
【0048】
(6)幼児、児童であれば知能をはじめ身体の発育に寄与し、老年期における記憶障害の発症防止が図れる。
【0049】
また、本運動器具は、上記したエクササイズとは別に、例えば椅子に座っている場合でも手軽に下肢の運動を行うことができる。特に、飛行機や電車などでの移動中に、本運動器具を用いて下肢を動かすだけで、所謂エコノミークラス症候群の防止に有用である。
【0050】
前記エコノミークラス症候群とは、肺動脈に血塊が詰まり、呼吸困難になって心臓の機能が低下する病気であるが、肺動脈をつまらせる血栓は大腿の静脈にできる、とされており、長時間座り続けることで血管が圧迫されて血の巡りが悪くなり、血栓ができるものなので、本運動器具により下肢を動かすことはきわめて効果が高いと言える。
【0051】
ところで、上述してきた本実施の形態に係る運動器具は、板体と凸状体とが一体成形されたものであってもよいが、第1の凸状体と第2の凸状体のうち、少なくとも一方の凸状体を板体に着脱自在とすることができる。
【0052】
着脱自在とする手段は適宜採用でき、ボルトなどの連結具を用いたり、ほぞ構造などを採用したりすることもできる。このように、第1、第2の凸状体のいずれか、あるいは両者とも着脱自在とすることで、不使用時には凸状体を取り外すことができ、保管場所も省スペースとなり、また形状的に持ち運びも容易となるので、前述したように乗り物などで移動する際にも携行が容易となる。
【0053】
また、上記第1の凸状体と第2の凸状体のうち、少なくとも一方の凸状体の高さを可変とすることができる。好ましくは、全方位の回転、揺動運動が行える支点部となる第1の凸状態の高さを可変とすれば、エクササイズの難易度を簡単に調整することができる。
【0054】
さらに、上記板体の縁部と凸状体との間に、板体を傾けたときに同板体の縁部が板体載置面と接地することを阻止する保安用凸状体を設けることができる。かかる構成により、板体の縁部で周辺に存在した何らかのものを強く押さえつけて損傷させたりすることがなくなる。
【0055】
この保安用凸状体は、板体の縁部から所定間隔をあけた内側に円盤状の板体と同心円的に配置したリング状のものなどが考えられる。あるいは、短尺の凸状体を適宜間隔をあけて環状に並べて取付けてもよい。
【0056】
そして、この保安用凸状体の高さは、板体を傾けたときの板体載置面と板体の縁部との間隙が、少なくとも手足の指の厚みよりも大きくなるように設定することが望ましい。かかる構成とすることにより、使用者自身の足の指、あるいは近接した人の体の一部を挟んでしまうおそれがなく、きわめて安全に使用することができる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明に係る運動器具の実施例を、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0058】
(第1実施例)
本発明に係る運動器具は、接地用の支点部として凸状体を設けた板体に乗って、前記凸状体を中心にバランス運動を行いながら平衡感覚の養成や筋力増強を図れるようにしたバランス運動器具に係るものであり、本実施例ではこのバランス運動器具を木製として、木のもつ暖かみと触感の良さにより一般家庭などで用いるの相応しい運動器具としている。
【0059】
図1は第1実施例に係るバランス運動器具の正面図、図2は同平面図、図3は同底面図、図4は同バランス運動器具の一側面を下面にした状態を示す斜視図、図5は一側面を上面にした状態を示す斜視図、図6は第1の凸状体の説明図、図7及び図8は本バランス運動器具の使用状態を示す説明図である。
【0060】
図1〜図5に示すように、本実施例に係る運動器具であるバランス運動器具Aは、互いに異なる支点機能を有する支点部としての凸状体2,3を、円盤状に形成した板体からなるボード本体1の両面に設けている。
【0061】
すなわち、前記ボード本体1の一側面10の中心位置に第1の凸状体2を突設し、他側面11には第2の凸状体3を略直線状に突設している。そして、ボード本体1の両面10,11には、それぞれ滑り止め12を設けている。この滑り止め12の構成は何ら限定されず、例えばボード本体1の表面に直接凹凸などを刻設してもよいし、滑り止め機能を有するラバー体などを貼着しても構わない。
【0062】
ボード本体1に設けられた第1の凸状体2は、図1〜図6に示すように、基部を四角柱として先端部分の頂部に略四角形の平面部20を形成した截頭四角錐体形状に形成されており、ほぞ部4を介してボード本体1の中央部に着脱自在に嵌装されている。なお、本第1の凸状体2の前記平面部20から四角柱部分に至る傾斜面21には、稜線21aが形成され、かかる稜線21aを含み、四角柱部分の各角部(稜線部分)21bについては、それぞれ若干の丸みを帯びさせている。なお、本実施例では、前記ほぞ部4を第1の凸状体2に設け、これに対応する凹部をボード本体1に形成するようにしているが、逆にボード本体1にほぞ部を形成し、第1の凸状体2にほぞ部4に対応する凹部を設けてもよい。
【0063】
一方、第2の凸状体3は、それそれ半円柱状に形成した所謂蒲鉾型の支点駒30を3個所定間隔をあけて直線状に並設して構成している。支点駒30は湾曲面が接地面となるように、ボード本体1に固定状態に取付けている。なお、これら支点駒30についてもそれぞれ着脱自在としてもよい。
【0064】
かかる構成により、前記第1の凸状体2を中心として360度の範囲でボード本体1を揺動回転可能とする一方、前記第2の凸状体3を境にして前後、左右の180度方向にボード本体1を揺動可能としている。
【0065】
なお、本実施例では、ボード本体1、第1凸状体2、第2凸状体3をそれぞれ木製としたが、材料については木材に限定されるものではない。
【0066】
図7及び図8を参照して本バランス運動器具Aの使用方法について説明する。
【0067】
図7に示したものは、第1の凸状体2を支点部として全方位に回転、揺動可能な状態で行うエクササイズの一例であり、第1の凸状体2を設けた一側面10を下側にして、第2の凸状体3を設けた他側面11に両足で乗り、第1の凸状体2を中心軸として、ボード本体1を揺動させつつ回転させて円を描くような動きを実行する。すなわち、ボード本体1の周縁の一点が接地するように体重をかけるとともに、上手に体重移動を図りながら前記接地点を連続的に回転移動させるように動かすもので、ボード本体1は単なる水平回転ではなく、あたかも揺動しながら螺旋状に回転するので、これを螺旋運動と呼ぶと、この螺旋運動時に、第1の凸状体2に形成された前記傾斜面21も接地しながら回転することになる。
【0068】
かかる螺旋運動は、腹部、腰部の筋力トレーニングに効果を奏すると同時に、揺動時には、踵が上下してアキレス腱伸びたり縮んだりするのでアキレス腱の強化が図れ、さらに、バランスを維持するために足を踏ん張る際に、ふくらはぎから大腿にいたるまでの筋力が必要となって、前記腹部、腰部の筋力増強のみならず、複合的な運動が室内などで容易に実現できる。
【0069】
しかも、本実施の形態に係る第1の凸状体2は、前述したように、平面部20から四角柱部分に至る傾斜面21に稜線21aが形成されているために、前記螺旋運動時に前記傾斜面21が接地して回転する際に、同傾斜面21に形成された若干の角部として残る稜線21aが接地時にあたかも段差を乗り越えるような動きとなり、この動きに伴う軽いショックが足に伝わる。この軽いショックがアクセントとなり、単調となりがちな螺旋運動に変化を与え、使用者は心地よく、かつ飽きることなく運動を継続することができる。
【0070】
なお、上述した運動の他、他側面11に両足を乗せた状態で、ボード本体1が床面と平行になるようにバランスを保持するようにするだけでも大きな運動効果があり、さらに、前述したような様々なエクササイズや多様なエクササイズを工夫して実行することができる。そして、いずれのエクササイズにしても、本バランス運動器具Aを用いる場合、身体のバランスをとりながらの運動となるので、平衡感覚が知らず知らずのうちに養われる。
【0071】
しかも、本バランス運動器具Aを用いて上述の各エクササイズを実行する際に、第1の凸状体2の頂部には平面部20が形成されているので、初心者や高齢者であってもバランスを維持しやすく、転倒などの危険が少なく誰でも安全にかつ楽しみながら運動することができる。
【0072】
図8に示したものは、第2の凸状体3を支点部として前後・左右方位に揺動させて行うエクササイズの一例であり、一側面10に両足を乗せて第2の凸状体3を支点として左右へのシーソー運動、足踏み運動を行うものである。かかるエクササイズでは、脇腹の筋力アップが図れるとともに、ウエストを細くし、便秘解消にも効果がある。
【0073】
また、かかる運動の他、前述したように、一側面10の略中央に両足を乗せて前後に揺動させることで、アキレス腱の強化運動を簡単に連続的に行うことができる。さらに、この場合もその他の様々なエクササイズを使用者の工夫次第により創出できる。
【0074】
このように、本実施例では、互いに異なる支点機能を有する第1の凸状体2と第2の凸状体3とをボード本体1に設けたことで、一つのバランス運動器具Aで多様なエクササイズを実行でき、しかも、これらのエクササイズは、家庭内などでいつでも思い立ったときに、場合によってはテレビを見ていながらでも手軽に実行できるとともに、バランスをとる動作がゲーム的な面白さを有することから楽しみながら行えるので継続性が高く、運動効果が確実に身体に表れる。
【0075】
ここで、本実施例に係るバランス運動器具Aの他の使用形態について、図9を参照しながら説明する。
【0076】
これは、座した状態で簡易的に利用できるものであり、椅子に座った状態で本バランス運動器具Aを足元に置き、ボード本体1上に載置した足のみを動かして適宜揺動運動や回転運動を行うだけで下肢の血行を良くし、長時間座した場合に足がむくんだりすることを効果的に防止づることができる。したがって、例えば飛行機や電車での移動中に使用すれば、所謂エコノミークラス症候群の予防に著しい効果を奏する。このような利用をする場合は、携行性などの面からボード本体1、第1の凸状体2、第3の凸状体3は小型にしておくことが望ましく、そのために、第2の凸状体3を1個としても構わない。
【0077】
図10に前述した第1の凸状体2の変形例を示す。図示するように、基部を円柱となすとともに、先端部分を、その頂部に略円形の平面部20’を形成した截頭円錐体形状にした構成としている。かかる構成としても、エクササイズの効果としては何ら変りはない。
【0078】
また、本実施例では、第1の凸状体2を着脱自在として説明したが、前述したように、第2の凸状体3についても着脱自在な構成としてもよい。
【0079】
また、第1、第2の凸状体2,3の少なくとも一方を着脱自在とする構成に限定されるものでもない。すなわち、ボード本体1と第1、第2の凸状体2,3を一体成形したり、あるいは第1、第2の凸状体2,3をボード本体1に固着した構成であってもよい。
【0080】
(第2実施例)
次に、図11〜図14を参照しながら第2実施例に係るバランス運動器具Aについて説明する。なお、図面上用いた符号は第1実施例と共通の構成要素については同一符合を付しており、詳しい説明は省略する。
【0081】
本実施例で第1実施例と異なるのは、第2の凸状体3を構成する複数の支点駒30間に、矩形の横棒5を設けた点にある。
【0082】
本実施例では、第2の凸状体3を構成する支点駒30を所定の厚みを有する半円筒状として、各支点駒30を貫通するように矩形の横棒5を設けている。
【0083】
かかる横棒5は、第1の凸状体2を支点部として作用させた使い方をした際にこの横棒5上に乗ることで、第1実施例で説明したエクササイズを実行しながら同時に足の裏のツボを押圧してマッサージ効果を得ることができる。なお、横棒5の上面に、マッサージ効果を高めるための突起物やその他凹凸パタンなどを適宜設けることもできる。
【0084】
また、本実施例では、第2の凸状体3の並設方向を、第1の凸状体2の四角錐部分の向かい合う面同士を結ぶ線と同方向としており、第2の凸状体3を支点部として左右に揺動させる場合、使用者の足が第1の凸状体2の基部の側面に沿って置かれることになるので(第1実施例では基部の対角線方向に両足が位置することになる)、足元に若干の余裕が生まれる。
【0085】
ところで、第2の凸状体3を構成する支点駒30は、上述してきたように蒲鉾型に限定するものではなく、半球状の凸状体としてもよい。また、短い凸状体を所定間隔をあけて複数個並設したものに限らず、蒲鉾形状とした1本の凸状体をボード本体1の直径方向に配設した構成であってもよい。
【0086】
(第3実施例)
次に、図15及び図16を参照しながら第3実施例に係るバランス運動器具Aについて説明する。なお、本実施例においても、図面上用いた符号は第1実施例と共通の構成要素については同一符合を付しており、詳しい説明は省略する。
【0087】
本実施例で先の第1、第2実施例と異なる点は、第1の凸状体2の高さを可変としたことにあり、第1の凸状体2を、複数段を積層可能な構成としている。
【0088】
すなわち、図示するように、第1の凸状体2の先端部分からなる第1分割片2aと、四角柱形状の基部をさらに分割した第2分割片2b、第3分割片2cとから構成し、第1分割片2aの裏面に第1ほぞ部41を形成するとともに、第2分割片2bには第1嵌入口61を形成し、その反対面には第2ほぞ部42を形成している。同様に、第3分割片2cの一側面に第2嵌入口62を形成するとともに、他側面には第3ほぞ部43を形成している。そして、ボード本体1の一側面10には嵌入口6を形成している。各ほぞ部41〜43と嵌入口61,62,6はそれぞれ対応する大きさとしており、所望する高さとなるように、第2分割片2bや第3分割片2cを組合わせたり、取り外したりできるようにしている。
【0089】
このように、第1の凸状体2の高さを可変とすることで、熟練度や年齢に応じて適度な高さに設定することができ、安全かつ快適に本バランス運動器具Aを使用することができる。なお、第1実施例でも説明したように、ここでもボード本体1にほぞ部4を形成し、第1分割片2aに嵌入口6を形成することができる。そして、その場合は第2、第3分割片2b,2cを逆向きにして使用すればよい。
【0090】
また、本実施例では第1の凸状体2のみ高さを可変としたが、第2の凸状体3の高さを可変とすることもできる。
【0091】
(第4実施例)
図17及び図18に、第4実施例に係るバランス運動器具Aを示す。本実施例においても、図面上用いた符号は第1実施例と共通の構成要素については同一符合を付しており、詳しい説明は省略する。
【0092】
本実施例は、上述してきた第1〜第3実施例に係るバランス運動器具Aのいずれにおいても適用できるもので、ボード本体1の縁部1aと第1の凸状体2との間に、ボード本体1が傾いたときに、同ボード本体1の縁部1aが床面などからなる板体載置面8と接地することを阻止する保安用凸状体7を設けている。
【0093】
ここでは、図17に示すように、保安用凸状体7をリング状に形成しており、図18に示すように、同保安用凸状体7が板体載置面8に当接した際に、同板体載置面8とボード本体1の縁部1aとの間隙9が、少なくとも手足の指の厚みよりも大きくなるようにして、誤って手指などを挟むことのないようにしている。
【0094】
かかる構成とすることにより、使用者自身の足の指、あるいは近接した人の体の一部を挟んでしまうおそれがなく安全であり、小さな子供がいるような家庭でも安心して使用することができる。
【0095】
保安用凸状体7の形状は、上記したようにリング状に限定するものではなく、短尺の凸状体を適宜間隔をあけて環状に並設することもできる。
【0096】
以上、本発明に係るバランス運動器具Aを各実施例を通して説明したが、本発明は各実施例で説明した構成に限定されることなく、特許請求の範囲内における様々な変形も本発明に含まれる。
【0097】
例えば、各実施例では、第1の凸状体を着脱自在とするためにほぞ構造を採用したものとして説明したが、図19に示すように、連結ボルトBを用いることができる。
【0098】
ここでは、第2の凸状体3に前記連結ボルトBに対応するナット32を埋設しておき、第1の凸状体2の中心からボルト挿入孔22を形成するとともに、同ボルト挿入孔22の挿入口部分を、ボルト頭B1に対応させて六角形形状として、この挿入口部分をあたかもスパナやレンチのように作用させることで、第1の凸状体2を回転させることでボード本体1への着脱を可能としている。この場合、第2の凸状態3を備えたボード本体1と、第1の凸状体2と、連結ボルトBとに分割でき、旅行の際などでも携行しやすくなる。なお、連結ボルトBと第1の凸状体2とを固着した構成としてもよい。
【0099】
【発明の効果】
本発明は上記のような形態で実施されるもので、以下の効果を奏する。
【0100】
(1)請求項1記載の本発明では、接地用の支点部として凸状体を設けた板体に乗って、前記凸状体を中心にバランス運動を行いながら平衡感覚の養成や筋力増強を図れるようにした運動器具であって、互いに異なる支点機能を有する凸状体を板体の両面に設け、板体の一側面に設けた第1の凸状体は、同凸状体を中心として360度の範囲で揺動回転可能とし、板体の他側面に設けた第2の凸状体は、同凸状体を境にして180度方向に揺動可能とした。したがって、異なる機能を有する凸状体をそれぞれ支点部として各種のエクササイズを実行できるので、多様な運動を行え、飽きることなく継続的に楽しみながら運動して健康を維持することができる。
(2)請求項2記載の本発明では、前記第1の凸状体を截頭四角錐形状として、前記凸状体の頂部に板体を水平状態に載置可能とする平面部を形成した。したがって、上記(1)の効果に加え、第1の凸状体を支点部とした場合、板体を水平状態に保持しやすくなるのでバランスをとりやすくなり、子供や高齢者でも無理なくエクササイズを実行でき、本運動器具の使用が難しくて中途で使用を止めてしまったりすることが少なくなって、本運動器具を用いた各種エクササイズを楽しみながら継続的に取り組みやすくなり、運動効果をより確実に得ることができる。
【0101】
(3)請求項3記載の本発明では、上記第1の凸状体と第2の凸状体のうち、少なくとも一方の凸状体を板体に着脱自在に取付けた。したがって、上記(1)又は(2)の効果に加え、収納や持ち運びの利便性が高まるという効果を奏する。
【0102】
(4)請求項4記載の本発明では、上記第1の凸状体と第2の凸状体のうち、少なくとも一方の凸状体の高さを可変とした。したがって、上記(1)〜(3)の効果に加え、エクササイズの難易度を簡単に調整することができるという効果を奏する。
【0103】
(5)請求項5記載の本発明では、上記板体の縁部と凸状体との間に、板体が傾いたときに同板体の縁部が板体載置面と接地することを阻止する保安用凸状体を設けた。したがって、上記(1)〜(4)の効果に加え、板体の縁部で周辺に存在した何らかのものを強く押さえつけて損傷させたりすることがなくなるという効果を奏する。
【0104】
(6)請求項6記載の本発明では、上記保安用凸状体が板体載置面に当接した際に、板体載置面と板体の縁部との間隙が、少なくとも手足の指の厚みよりも大きくなるようにした。したがって、上記(5)の効果に加え、特に、使用者自身の足の指、あるいは近接した人の体の一部を挟んでしまうおそれがなく、きわめて安全に使用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る運動器具の正面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同底面図である。
【図4】同運動器具の一側面を下面にした状態を示す斜視図である。
【図5】同運動器具の一側面を上面にした状態を示す斜視図である。
【図6】第1の凸状体の説明図である。
【図7】本運動器具の使用状態を示す説明図である。
【図8】本運動器具の使用状態を示す説明図である。
【図9】本運動器具の他の使用状態を示す説明図である。
【図10】第1の凸状体の変形例を示す説明図である。
【図11】第2実施例に係る運動器具の側面図である。
【図12】同正面図である。
【図13】同平面図である。
【図14】同底面図である。
【図15】第3実施例に係る運動器具の第1の凸状体の説明図である。
【図16】同第3実施例に係る運動器具の第1の凸状体の分解斜視図である。
【図17】第4実施例に係る運動器具の底面図である。
【図18】第4実施例に係る運動器具における保安用凸状体の機能を示す説明図である。
【図19】第1の凸状体の取付構造の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
A バランス運動器具
1 ボード本体(板体)
1a 縁部
2 第1の凸状体
3 第2の凸状体
4 ほぞ部
5 横棒
6 嵌入口
7 保安用凸状体
10 一側面
11 他側面
20 平面部

Claims (6)

  1. 互いに異なる支点機能を有する凸状体を板体の両面に設け、板体の一側面に設けた第1の凸状体は、同凸状体を中心として360度の範囲で板体を揺動回転可能とし、板体の他側面に設けた第2の凸状体は、同凸状体を境にして180度方向に板体を揺動可能としたことを特徴とする運動器具。
  2. 第1の凸状体を截頭四角錐形状として、前記凸状体の頂部に板体を水平状態に載置可能とする平面部を形成したことを特徴とする請求項1記載の運動器具。
  3. 上記第1の凸状体と第2の凸状体のうち、少なくとも一方の凸状体を板体に着脱自在に取付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の運動器具。
  4. 上記第1の凸状体と第2の凸状体のうち、少なくとも一方の凸状体の高さを可変としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の運動器具。
  5. 板体の縁部と凸状体との間に、板体が傾いたときに同板体の縁部が板体載置面と接地することを阻止する保安用凸状体を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の運動器具。
  6. 保安用凸状体が板体載置面に当接した際に、板体載置面と板体の縁部との間隙が、少なくとも手足の指の厚みよりも大きくなるようにしたことを特徴とする請求項5記載の運動器具。
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