JP2004192462A - 減圧弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧領域から常圧領域の全ての圧力領域で任意の圧力設定が可能であり、かつ、常圧の圧力領域での圧縮空気流量を大きく取れるとともに、調圧バネ間の噛み込み等が発生することのない減圧弁を提供する。
【解決手段】二次側圧縮空気圧を受けるピストン20に作用させる調圧バネ21をバネ常数の小さい第一調圧バネ22とバネ常数の大きい第二調圧バネ23とにより構成するとともに、第一調圧バネ22と第二調圧バネ23を互いに巻き方向を逆に形成して一方の調圧バネの内側に他方の調圧バネを同心状に収容して配置させ、常圧域の圧力設定時にはバネ常数の小さい第一調圧バネ22をピストン20に作用させ、高圧域の圧力設定時に第二調圧バネ23をピストン20に作用させる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮機により生成した高圧域の圧縮空気源から、作動空気圧力が常圧領域で使用する常圧用とこれより作動圧力領域の高い高圧用の空気動工具の何れへも所定の圧力の圧縮空気を供給することのできる、高圧の圧縮空気を常圧領域から高圧領域の圧力までの任意の圧力に減圧することの可能な減圧弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、作動空気圧力が例えば8kg/cm以下の常圧領域で使用する常圧用の空気動工具と、これより作動圧力領域の高い高圧の圧力領域で使用する高圧用の空気動工具が市場で使用されている。これらの高圧用と常圧用の工具には常圧工具が高圧域の圧縮空気源に接続できないようにそれぞれ専用のプラグが取り付けられている。これらの常圧工具と高圧工具の何れへも圧縮空気を供給できるようにした圧縮空気供給装置には、各々の工具に対応した専用の減圧弁と専用のソケットを形成した圧縮空気取出装置が設けられている。更に、高圧専用のプラグと常圧専用のプラグの両方が接続可能なカプラを設置して、このカプラを介して常圧工具と高圧工具へそれぞれの圧力域の圧縮空気を供給できるようにした圧縮空気取出装置が既に提案されている。この圧縮空気取出装置では高圧領域の上限圧力から常圧領域の下限圧力までの圧力調整が行える減圧弁が必要となる。
【0003】
一般に高圧領域で使用する通常の減圧弁では、バネ常数の大きな調圧バネで付勢させたピストンに二次側の圧縮空気を作用させて、ピストンの動きによって開閉弁を作動させるようにされており、調圧バネのバネ力を調整することによって二次側の圧力を制御するようにしている。上記のようにバネ常数の大きな調圧バネを使用した減圧弁では、調圧バネの押圧力を常圧の圧力領域になるように調整したときに、設定感度が大きくなることからピストンの摺動ストロークが小さくなり開閉弁の開口量が小さくなり、従って二次側に供給される常圧領域の圧力の圧縮空気の流量が大きく取れないことがある。このように圧縮空気の流量が大きく取れないと常圧域での工具の性能が充分に発揮できなくなるという問題がある。また、バネ常数の小さな調圧バネを使用して常圧域から高圧域までの設定ができるようにした減圧弁では調圧バネの全長を大きく設定する必要があり、減圧弁の形状寸法が大きくなってしまうことと、設定感度が小さくなることから特に高圧域での調整操作量が大きくなって調整のための操作性が損なわれるという問題がある。
【0004】
そこで、従来の減圧弁においては、バネ常数の異なった2つのコイルスプリングからなる調圧バネを並列的に備え、低い設定圧のときには一方の調圧バネのみがピストンに作用し、高い設定圧のときに2つの調圧バネがピストンに作用するようにして、高い設定圧のときに設定感度を大きくして速やかに所定の圧力に調整でき、低い設定圧のときには設定圧の微調整が行いやすくするようにした減圧弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−7325号公報(段落番号0029、図9)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、調圧バネとしてコイルスプリング状のバネを使用しており、それぞれの巻き径を異ならせて一方のバネを他方のバネの内側に同心状に収容して配置しているが、このようにコイル状に巻かれたバネを同心状に配置するとバネの伸縮にともなってバネが変位して一方のバネの一部が他方のバネの間に噛み込まれてしまい、正常な圧力設定が行えなくなることがある。
【0007】
本発明は、上記従来技術での問題点を解決し、高圧領域から常圧領域の全ての圧力領域で任意の圧力設定が可能であり、かつ、常圧の圧力領域での圧縮空気流量を充分に大きく取れるとともに、調圧バネ間の噛み込み等が発生することのない減圧弁を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1の発明の減圧弁は、高圧域の圧縮空気圧を高圧域から常圧域までの任意の圧力に減圧して出力する減圧弁であって、高圧の圧縮空気源に接続される一次側ポートと工具側に接続される二次側ポート間を開閉する開閉弁と、該開閉弁の下流側に配置されて二次側ポートに出力される圧縮空気を受ける受圧面が形成されたピストンと、該ピストンを前記受圧面と対向して押圧させる調圧バネ及び、該調圧バネのバネ力を可変設定する調整手段とから構成されており、前記調圧バネをバネ常数の小さい第一調圧バネとバネ常数の大きい第二調圧バネとにより構成するとともに、前記第一調圧バネと第二調圧バネを互いに巻き方向を逆に形成して一方の調圧バネの内側に他方の調圧バネを同心状に収容して配置させ、常圧域の圧力設定時にはバネ常数の小さい前記第一調圧バネを前記ピストンに作用させ、高圧域の圧力設定時に前記第二調圧バネを前記ピストンに作用させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、上記第一調圧バネのバネ常数を通常の常圧用の減圧弁のバネ常数と同等に設定するとともに前記第二調圧バネのバネ常数を前記第一調圧バネより高く設定し、調整手段の操作によって前記第二調圧バネがピストンに作用する位置を、常圧工具の作動空気圧の上限圧力以上に設定したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施例に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の減圧弁を利用した圧縮空気供給システムの一例であり、電動モータ1で駆動される圧縮機2により高圧用の空気圧駆動工具の作動圧縮空気圧に見合った高圧まで空気を圧縮して空気タンク3に高圧の圧縮空気が貯留されるようにされている。空気タンク3には減圧弁10を介して常圧域の圧力の圧縮空気によって駆動される常圧工具側に取り付けられる常圧専用のプラグP1と高圧域の圧力の圧縮空気によって駆動される高圧工具側に取り付けられる高圧専用のプラグP2が何れも接続できるソケット4が形成された圧縮空気取出装置5が接続されている。図において6は空気タンク3内の空気圧力値を表示する圧力計、7は減圧弁10によって減圧された二次側の空気圧力値を表示する圧力計である。減圧弁10は空気タンク3内に貯留されている高圧の圧縮空気を、常圧工具の作動圧力領域から高圧工具の作動圧力領域の範囲まで任意の調整圧力に減圧して圧縮空気取出装置5に供給する。
【0011】
圧縮空気取出装置5は、減圧弁10と接続されて減圧弁10により減圧された圧縮空気が供給される圧縮空気供給口8が一端側に形成され、反対側の端部には常圧工具と高圧工具のそれぞれの工具側に取り付けられる形状の異なったプラグP1、P2が何れも装着できるようにされた雌型のソケット4が形成されている。該圧縮空気取出装置5は、ソケット4に高圧専用のプラグP2が装着されているときには圧縮空気供給口8に供給された圧縮空気が高圧専用のプラグP2へ供給され、ソケット4に常圧専用のプラグP1が装着された場合には圧縮空気取出装置5内に形成されている圧力調整機構によって常圧域の上限の圧力に調整された圧縮空気が常圧プラグP2へ供給されるようにされている。
【0012】
減圧弁10は、図2に詳記するように、前記空気タンク3に接続される一次側ポート11と圧縮空気取出装置5の圧縮空気供給口8側に接続される二次側ポート12が弁ハウジング13に形成されており、弁ハウジング13内には前記両ポート11、12間を連通している通路14を開閉する開閉弁15が設けられている。開閉弁15は弁ハウジング13内に形成された弁座16に接離することにより一次側ポート11と二次側ポート12間を閉じ又は連通させる。開閉弁15は付勢バネ17により前記通路14を遮断させる方向に付勢されている。
【0013】
更に、弁ハウジング13内の前記開閉弁15の下流側には、二次側の圧縮空気が作用する受圧面18が形成されるとともに前記開閉弁15と当接して開閉弁15を開閉操作する操作部19が一体に形成されたピストン20が摺動自在に配置されており、該ピストン20の背面側には、前記操作部19を前記開閉弁15と当接させて開閉弁15が開かれる方向にピストン20を付勢させる調圧バネ21が設けられている。
【0014】
調圧バネ21は、常圧域の圧力設定に適した比較的小さいバネ常数K1の第一調圧バネ22と、高圧域の圧力設定に適した比較的大きいバネ常数K2の第二調圧バネ23とにより構成されており、第一調圧バネ22は弁ハウジング13の内周面に沿って配置できるように巻き径が大きく形成されており、第二調圧バネ23は前記第一調圧バネ22の内側に収容できるように巻き径が小さく形成されている。更に第一調圧バネ22は第二調圧バネ23よりも自由長が長く形成されており前記ピストン20の上面とバネ受け24との間に調節されており、弁ハウジング13に螺合されている調整手段25により前記バネ受け24が移動操作されることによってピストン20に作用するバネ力が可変される。前記調整手段25の端部に取り付けられている操作ダイヤル26を回転操作することによって前記バネ受け24がピストン20の方向に向けて進退作動され、設定圧力が常圧域から高圧域まで前記第一調圧バネ22がピストン20を押圧付勢するようにされている。
【0015】
前記第一調圧バネ22と前記第二調圧バネ23はともにコイルスプリング状に形成されるとともに互いに巻き方向が逆になるように形成されており、第二調圧バネ23は巻き径が大きく形成されている第一調圧バネ22の内側に収容されて互いに同心状に配置されており、第二調圧バネ23の上端側は前記バネ受け24の中心部に前記ピストン20の方向に向けて突出形成された軸部27に嵌合されて保持され、第二調圧バネ23の他端側が前記ピストン20の方向に延びて配置されている。バネ常数が比較的大きい前記第二調圧バネ23は、調整手段25による圧力設定が常圧域においては前記他端が前記ピストン20と離反されており、調整手段25による圧力設定が高圧域になったときに前記ピストン20と当接してピストン20を押圧付勢するようにしている。従って高圧域では第一調圧バネ22と第二調圧バネ23とがピストン20を付勢するようにされている。
【0016】
上記第一調圧バネ22のバネ常数K1を常圧域で使用されている通常の減圧弁と同じに設定して、前記第二調圧バネ23がピストン20と当接して第二調圧バネ23がピストン20を押圧付勢するタイミングを、常圧工具の作動空気圧の上限である例えば0.98MPaに設定すれば、常圧域の任意圧力で常圧工具を使用する時の瞬間流量や減圧弁の調整操作性を従来の減圧弁と同じに設定でき、作業性を損なうことが回避できる。
【0017】
上記実施例の減圧弁10による圧力設定の状態を説明する。図3に示すように、調整圧力値が常圧域の範囲内で操作ダイヤル26を操作すると前記第一調圧バネ22が圧縮されてピストン20に作用する押圧力が調整される。この常圧域の圧力設定の範囲内では前記第二調圧バネ23はピストン20から離反されたままであり、従ってピストン20に作用するバネ力は小さいバネ常数K1の第一調圧バネ22の付勢力のみとなり小さいバネ常数K1により設定感度が小さくなり開閉弁15の開口量を大きくさせることができ、常圧工具を使用時の瞬間流量が大きくなって常圧工具使用時の釘打ち込み不良等の問題が回避できる。
【0018】
図4に示すように、高圧域での圧力設定時には操作ダイヤル26の操作によりバネ受け24が更にピストン20の方向へ移動されることにより、第二調圧バネ23の下端がピストン20に当接してピストン20を前記第一調圧バネ22とともに押圧するように作用する。従ってピストン20を押圧するバネ力のバネ常数は第一調圧バネ22のバネ常数K1と第二調圧バネのバネ常数K2との和(K1+K2)となって、設定感度が大きくなって高圧域の圧力設定を速やかに所望の設定圧に調整することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、バネ常数の小さい第一調圧バネとバネ常数の大きい第二調圧バネとを一方の調圧バネの内側に他方の調圧バネ収容して同心状に配置し、設定圧力が常圧域の範囲ではバネ常数の小さい前記第一調圧バネを介してピストンに作用させ、設定圧力が高圧域では前記第二調圧バネを前記ピストンに作用させるようにしているので、減圧弁の形状を大きくすることなく高圧域から常圧域までの圧力設定が可能であるとともに、常圧域の設定圧力時には開閉弁の開口量を大きくさせることができ圧縮空気の流量が大きくなり常圧工具の性能が充分に発揮できる。また、高圧域の設定圧力時にはバネ常数の大きい第二調圧バネをピストンに作用させるようにしているので、設定感度を大きくでき設定圧力を素早く設定することができる。
【0020】
更に、第一調圧バネと第二調圧バネの巻き方向を互いに逆に形成して、一方の調圧バネの内側に他方の調圧バネを同心状に収容して配置しているので、調整手段の操作によって調圧バネが伸縮する際に両バネ同志が噛み込んでしまい適正な圧力設定が行えなくなる不具合が解消できる。
【0021】
更に、請求項2の発明によれば、上記第一調圧バネのバネ常数を通常の常圧用の減圧弁のバネ常数と同等に設定するとともに、調整手段の操作によって第二調圧バネがピストンに作用する位置を、常圧工具の作動上限圧力以上に設定しているので、常圧工具を使用する常圧の圧力域での調整操作が従来の減圧弁と同じに操作でき作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の減圧弁を使用した圧縮空気取出システムを示す構成図
【図2】本発明の実施例に係る減圧弁の断面図
【図3】図2と同じ減圧弁の低圧域の圧力に設定した状態をしめす断面図
【図4】図2と同じ減圧弁の低圧域の圧力に設定した状態をしめす断面図
【符号の説明】
10 減圧弁
11 一次側ポート
12 二次側ポート
15 開閉弁
20 ピストン
21 調圧バネ
22 第一調圧バネ
23 第二調圧バネ
24 バネ受け
25 調整手段
26 操作ダイヤル

Claims (2)

  1. 高圧域の圧縮空気圧を高圧域から常圧域までの任意の圧力に減圧して出力する減圧弁であって、高圧の圧縮空気源に接続される一次側ポートと工具側に接続される二次側ポート間を開閉する開閉弁と、該開閉弁の下流側に配置されて二次側ポートに出力される圧縮空気を受ける受圧面が形成されたピストンと、該ピストンを前記受圧面と対向して押圧させる調圧バネ及び、該調圧バネのバネ力を可変設定する調整手段とから構成されており、前記調圧バネをバネ常数の小さい第一調圧バネとバネ常数の大きい第二調圧バネとにより構成するとともに、前記第一調圧バネと第二調圧バネを互いに巻き方向を逆に形成して一方の調圧バネの内側に他方の調圧バネを同心状に収容して配置させ、常圧域の圧力設定時にはバネ常数の小さい前記第一調圧バネを前記ピストンに作用させ、高圧域の圧力設定時に前記第二調圧バネを前記ピストンに作用させるようにしたことを特徴とする減圧弁。
  2. 上記第一調圧バネのバネ常数を通常の常圧用の減圧弁のバネ常数と同等に設定するとともに前記第二調圧バネのバネ常数を前記第一調圧バネより高く設定し、調整手段の操作によって前記第二調圧バネがピストンに作用する位置を、常圧工具の作動空気圧の上限圧力以上に設定したことを特徴とする請求項1に記載の減圧弁。
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