JP2004191536A - 表示装置およびその駆動方法、並びに携帯端末 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】デジタル表示データをDA変換回路145でアナログ表示信号に変換して信号線25−1〜25−xに出力する駆動回路一体型液晶表示装置において、DA変換回路145から信号線25−1〜25−xへアナログ表示信号が出力される前に、信号線25−1〜25−xの電位をコモン電位Vcomとほぼ同電位にプリチャージし、しかる後アナログ表示信号をDA変換回路145から信号線25−1〜25−xを通して画素部12の各画素に書き込むようにすることにより、コモン電位Vcomが変動した際に、対向電極との間に形成される容量Ccomの容量結合による信号線25−1〜25−xの電位変動によって長くなりがちな最終到達電位への到達時間を短縮する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置やEL(liquid crystal display)表示装置などの表示装置およびその駆動方法、並びに携帯端末に関し、特に画素部と共にその周辺の駆動回路を同一の透明絶縁基板上に一体的に形成してなるいわゆる駆動回路一体型表示装置およびその駆動方法、並びに当該表示装置を画面表示部として具備する携帯端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置やEL表示装置に代表されるフラットパネル型表示装置の分野では、近年、表示装置の小型化、薄型化を図るために、画素が行列状に配置されてなる画素部と同じ透明絶縁基板(表示パネル)上に、当該画素部を駆動する周辺の駆動回路、具体的には水平駆動回路や垂直駆動回路などを一体的に形成する駆動回路一体型表示装置の開発が進められている。この駆動回路一体型表示装置では、表示パネルの狭額縁化を図るためには、駆動回路が占有する面積、即ち表示パネル上における画素部の周辺の領域(額縁)の面積をできるだけ小さくすることが必要不可欠となる。
【0003】
これに対して、従来、水平駆動回路としてデジタルインターフェース駆動回路を搭載し、当該駆動回路におけるデジタルアナログ変換回路(以下、「DA変換回路」と記す)として例えば基準電圧選択型DA変換回路を用いてなる駆動回路一体型液晶表示装置において、DA変換回路を構成するMOSスイッチのトランジスタサイズを選択される階調ごとに異ならせたり、あるいは基準電圧線の線幅を選択される階調ごとに異ならせることで、DA変換回路の回路規模を縮小化・小面積化して、表示パネルの狭額縁化を図るようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−282168号公報(特に、第6頁〜第8頁および図9、図10)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、駆動回路一体型液晶表示装置において、DA変換回路でアナログ信号に変換された表示信号を画素部の各画素に列単位で伝送する信号線は容量を持っている。この信号線が持つ容量は、グランドに対する容量Cgndと、液晶セルの対向電極(コモン電極)に対する容量Ccomとに分けられる。容量Ccomは、容量Cgndに対して約2倍程度の容量値となる。このように、信号線と対向電極との間に容量Ccomが介在することにより、対向電極に対して画素間で共通に印加されるコモン電位Vcomが変動すると、容量Ccomによる容量結合によって信号線の電位が変動する。信号線の電位が変動することにより、結果的に、DA変換回路が信号線を充放電する電位差が大きくなる。
【0006】
信号線を充放電する電位差が大きくなるということは、それだけ許容される最終到達電位に信号線の電位が到達するまでに時間がかかることを意味する。そして、決められた時間内に信号線の電位が最終到達電位に到達できなければ、その差分が最終未到達電位として信号線に残ることになる。液晶表示装置の場合、信号線の最終未到達電位が画質に悪影響を及ぼすため、許容される最終到達電位に必ず到達できなればならない。この最終到達電位に到達するのに要する時間を短くするには、DA変換回路を構成するMOSスイッチのトランジスタサイズを大きくすることによってDA変換回路の駆動能力を上げたり、あるいは基準電圧線の線幅を太くし、配線抵抗を低くすることによって充放電時定数を短くする必要が生じる。
【0007】
そのため、特許文献1記載の従来技術のように、例えば、DA変換回路を構成するMOSスイッチのトランジスタサイズを選択される階調ごとに異ならせることにより、DA変換回路の回路規模を縮小化し、パネルの狭額縁化を図る構成を採ったとしても、コモン電位Vcomの変動により、信号線が持つ容量Ccomに起因して信号線の電位が変動した際に、充放電時の信号線の電位を決められた時間内に最終到達電位に到達させるには、それだけのトランジスタサイズを最低限確保する必要があり、したがってMOSスイッチのトランジスタサイズをあまり小さくできないため、パネルの狭額縁化にも限界があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コモン電位Vcomが変動した際に容量結合によって長くなりがちな最終到達電位への到達時間を、パネルの狭額縁化を妨げることなく短縮することが可能な表示装置およびその駆動方法、ならびに当該表示装置を画面表示部として具備する携帯端末を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による表示装置は、透明絶縁基板上に画素が行列状に配置されるとともに、当該画素の表示素子の第1電極に表示信号を供給する信号線が列単位で配線されてなる画素部と、前記画素部と同じ透明絶縁基板上に形成され、デジタル表示データをアナログ信号に変換して前記信号線に前記表示信号として出力するDA変換手段と、前記表示信号が前記DA変換手段から前記信号線へ出力される前に、当該信号線に前記表示素子の第2電極に印加される電位とほぼ同電位のプリチャージ電位をプリチャージするプリチャージ手段とを備えている。
【0010】
本発明による表示装置の駆動方法は、透明絶縁基板上に画素が行列状に配置されるとともに、当該画素の表示素子の第1電極に表示信号を供給する信号線が列単位で配線されてなる画素部と、前記画素部と同じ透明絶縁基板上に形成され、デジタル表示データをアナログ信号に変換して前記信号線に前記表示信号として出力するDA変換手段とを備えた表示装置において、前記表示信号が前記DA変換手段から前記信号線へ出力される前に、当該信号線に前記表示素子の第2電極に印加される電位とほぼ同電位のプリチャージ電位をプリチャージし、しかる後前記表示信号を前記DA変換手段から前記信号線を通して前記画素部の各画素に書き込むようにする。
【0011】
上記構成の表示装置またはその駆動方法において、デジタル表示データをDA変換手段でアナログ表示信号に変換して信号線に出力する際に、その出力に先立って信号線の電位を、表示素子の第2電極に印加される電位とほぼ同電位にプリチャージすることにより、例えばDA変換手段の駆動能力を大きくしなくても、表示素子の第2電極に印加される電位が変動した際に、容量結合による信号線の電位変動によって長くなりがちな最終到達電位への到達時間を短縮できる。これにより、DA変換手段を構成するトランジスタのサイズを小さくできるため、DA変換手段の回路規模を縮小化・小面積化できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動回路一体型表示装置、例えば液晶表示装置の構成例を示すブロック図である。図1において、透明絶縁基板、例えばガラス基板11上には、多数の画素が行列状(マトリクス状)に配置されて画素部12を形成している。ガラス基板11は、もう一枚のガラス基板(図示せず)と所定の間隙を持って対向配置され、両基板間に液晶材料を封止することで表示パネルを構成している。
【0014】
画素部12における画素回路の構成の一例を図2に示す。行列状に配置された画素20の各々は、画素トランジスタであるTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)21と、このTFT21のドレイン電極に画素電極(第1電極)が接続された液晶セル22と、この液晶セル22の画素電極に一方の電極(第1電極)が接続された保持容量23とを有する構成となっている。ここで、液晶セル22は、画素電極とこれに対向して形成される対向電極(第2電極)との間で発生する液晶容量を意味する。
【0015】
この画素構造において、TFT21はゲート電極が走査線(ゲート線)24に接続され、ソース電極が信号線(ソース線)25に接続されている。液晶セル22は対向電極がコモン線26に対して各画素共通に接続されている。そして、液晶セル22の対向電極には、コモン線26を介してコモン電位Vcomが各画素共通に与えられる。保持容量23は他方の電極(第2電極)がCS線27に対して各画素共通に接続されている。
【0016】
ここで、1H(Hは水平期間)反転駆動または1F(Fはフィールド期間)反転駆動を行う場合には、各画素に書き込まれる表示信号は、コモン電位Vcomを基準として極性反転を行うことになる。また、コモン電位Vcomの極性を一定周期、例えば1H周期または1F周期で反転させるコモン反転駆動を1H反転駆動または1F反転駆動と併用する場合は、CS線57の電位(以下、「CS電位」と記す)の極性もコモン電位Vcomに同期して交流反転する。なお、CS電位は、コモン電位Vcomとほぼ同振幅、同位相の電位である。
【0017】
再び図1において、画素部12と同一のガラス基板11上には、例えば、画素部12の上下側に水平(H)ドライバ(水平駆動回路)14A,14Bが、画素部12の右側に垂直(V)ドライバ(垂直駆動回路)15が、画素部12の左側に基準電圧発生回路16がそれぞれ周辺の駆動回路として搭載されている。ただし、ここでは、周辺の駆動回路として一部を例示したに過ぎず、これらに限られるものではない。これら周辺の駆動回路は、画素部12の画素トランジスタと共に、低温ポリシリコンあるいはCG(Continuous Grain;連続粒界結晶)シリコンを用いて作製される。
【0018】
上記構成の駆動回路一体型液晶表示装置において、水平ドライバ14Aは、デジタルインターフェース駆動回路構成を採っており、例えば、水平シフトレジスタ141、データサンプリングラッチ部142、第2ラッチ部143、レベルシフタ144およびDA変換(DAC)回路145を有するデジタルドライバ構成となっている。水平ドライバ14Bについても、水平ドライバ14Aと全く同じ構成となっている。
【0019】
水平シフトレジスタ141は、タイミング発生回路(図示せず)から供給される水平スタートパルスHSTに応答してシフト動作を開始し、当該タイミング発生回路から供給される水平クロックパルスHCKに同期して1水平期間に順次転送していくサンプリングパルスを生成する。データサンプリングラッチ部142は、水平シフトレジスタ141で生成されたサンプリングパルスに同期して、基板外部から入力され、インターフェース回路(図示せず)を介して表示データDataを1水平期間で順次サンプリングしラッチする。
【0020】
このラッチされた1ライン分のデジタル表示データは、水平ブランキング期間に第2ラッチ部143に一括して移される。第2ラッチ部143からは、1ライン分のデジタル表示データが一斉に出力される。この出力された1ライン分のデジタル表示データは、レベルシフタ144でレベルアップされてDA変換回路145に与えられ、ここでアナログ表示信号に変換される。DA変換回路145から出力される1ライン分のアナログ表示信号は、画素部12の水平方向画素数xに対応して配線された信号線25−1〜25−xに出力される。DA変換回路145については、後でさらに詳細に説明する。
【0021】
垂直ドライバ15は、垂直シフトレジスタおよびゲートバッファによって構成される。この垂直ドライバ15において、垂直シフトレジスタは、タイミング発生回路(図示せず)から供給される垂直スタートパルスVSTに応答してシフト動作を開始し、当該タイミング発生回路から供給される垂直クロックパルスVCKに同期して1垂直期間に順次転送していく走査パルスを生成する。この生成された走査パルスは、画素部12の垂直方向画素数mに対応して配線された走査線24−1〜24−yにゲートバッファを通して順次出力される。
【0022】
この垂直ドライバ15による垂直走査により、走査パルスが走査線24−1〜24−yに順次出力されると、画素部12の各画素が行(ライン)単位で順に選択される。そして、この選択された1ライン分の画素に対して、DA変換回路145から出力される1ライン分のアナログ表示信号が信号線25−1〜25−xを経由して一斉に書き込まれる。このライン単位の書き込み動作が繰り返されることにより、1画面分の画表示が行われる。
【0023】
ここで、DA変換回路145についてさらに詳細に説明する。本実施形態に係る液晶表示装置では、DA変換回路145として、複数の基準電圧の中からデジタル表示信号に対応した基準電圧を選択してアナログ表示信号として出力する基準電圧選択型DA変換回路が用いられる。この基準電圧選択型DA変換回路の構成の一例を図3に示す。
【0024】
図1からも明らかなように、基準電圧選択型DA変換回路は、基準電圧発生回路16とDA変換回路145とから構成されている。基準電圧発生回路16は、抵抗分割(抵抗分圧)を用いた構成となっている。すなわち、階調数をnとすると、第1基準電位VAと第2基準電位VBとの間の電圧を、直列に接続されたn−1個の抵抗R1〜Rn−1によって分圧する。これにより、各分圧点からn−2個の基準電圧V1〜Vn−2が得られる。そして、基準電位VAを基準電圧V0、基準電位VBを基準電圧Vn−1とすることで、基準電圧発生回路16からは計n個の基準電圧V0〜Vn−1が発生されることになる。
【0025】
ところで、液晶表示装置では、液晶に同極性の直流電圧が印加され続けることによって液晶の比抵抗(物質固有の抵抗値)等が劣化するのを防ぐために、先述したように、表示信号の極性をある周期で反転させる交流反転駆動(1H反転駆動または1F反転駆動)が採られている。そのため、基準電圧発生回路16においては、その交流反転に同期して交互に発生するタイミングパルスφ1,φ2によってスイッチSW1〜SW4をオン(閉)/オフ(開)させるようになっている。
【0026】
この基準電圧発生回路16においては、交流反転のある反転タイミングでタイミングパルスφ1が発生すると、スイッチSW1,SW4がオンするため、第1基準電位VAとして正側電源電圧VCCが、第2基準電位VBとして負側電源電圧VSS(例えば、グランドレベル)がそれぞれ与えられる。次の反転タイミングでタイミングパルスφ2が発生すると、スイッチSW2,SW3がオンするため、第1基準電位VAとして負側電源電圧VSSが、第2基準電位VBとして正側電源電圧VCCがそれぞれ与えられる。
【0027】
DA変換回路145は、画素部12の信号線25−1〜25−xの各々に対応して設けられたx個のDAC部145−1〜145−xから構成されている。これらDAC部145−1〜145−xには、基準電圧発生回路16から出力されるn個の基準電圧V0〜Vn−1がn本の基準電圧線31−1〜31−nによって伝送される。DAC部145−1〜145−xは各々同じ回路構成となっており、各出力端が出力線を介して画素部12の信号線25−1〜25−xにそれぞれ接続される。
【0028】
図4は、DAC部(145−1〜145−x)の回路構成の一例を示す回路図である。ここでは、入力されるデジタル表示データが例えば6ビット(b5〜b0)で、この6ビットのデジタル表示データに応じて64階調のアナログ表示信号のいずれかにDA変換する場合を例に挙げて示している。したがって、基準電圧発生回路16では、デジタル表示データのビット数“6”に対応した64階調分の基準電圧V0〜V63が発生され、これら基準電圧V0〜V63が基準電圧線31−1〜31−nによってDAC部145−1〜145−xの各々に伝送される。
【0029】
図4から明らかなように、DAC部145−1〜145−xの各々は、基準電圧発生回路16で発生されるn個(本例では、64階調分)の基準電圧に対応して設けられたn個(64個)の階調選択ユニット33−1〜33−nによって構成されている。階調選択ユニット33−1〜33−nの各々は、n個の基準電圧をそれぞれ伝送するn本の基準電圧線31−1〜31−nの各々と、信号線25−1〜25−xにそれぞれ接続される出力線32(32−1〜32−x)との間に、デジタル表示データのビット数分(本例では、6個)のトランジスタスイッチ、例えばMOSスイッチがシリーズに接続された構成となっている。
【0030】
上記構成のDAC部145−1〜145−xにおいて、階調選択ユニット33−1〜33−nの各MOSスイッチは、デジタル表示データの各ビットb5〜b0の論理状態に応じてオン/オフ動作を行う。そして、階調選択ユニット33−1〜33−nのうち、ビットb5〜b0の論理の組み合わせにしたがって、いずか1つの階調選択ユニットの全てのMOSスイッチがオン状態になることで、64個の基準電圧V0〜V63の中から1つを選択し、アナログ表示信号として出力線32(32−1〜32−x)を介して対応する信号線25(25−1〜25−x)に出力する。
【0031】
次に、上記構成の本実施形態に係る駆動回路一体型液晶表示装置において、本発明の特徴とする部分について説明する。
【0032】
図4に示すように、DAC部145−1〜145−xの出力線32−1〜32−xの各々と、画素部12の信号線25−1〜25−xの各々との間に、本発明の特徴とする部分であるプリチャージ回路40が設けられている。このプリチャージ回路40は、DA変換回路145でデジタル表示データからDA変換されて得られるアナログ表示信号が、DAC部145−1〜145−xの各々から信号線25−1〜25−xの各々へ出力される前に、これら信号線25−1〜25−xにコモン電位Vcomとほぼ同電位のプリチャージ電位をプリチャージする作用をなす。
【0033】
図4から明らかなように、プリチャージ回路40は、DAC部145−1〜145−xからのアナログ表示信号の出力時に一定期間だけ、DAC部145−1〜145−xの出力端(出力線)と信号線25−1〜25−xとの間を遮断するスイッチ41と、このスイッチ41の遮断動作に同期してプリチャージ電位を信号線25−1〜25−xに供給する手段、例えばスイッチ42と、これらスイッチ41,42をオン/オフ駆動するためのタイミング信号A,Bを生成するタイミング生成回路43とを有する構成となっている。プリチャージ電位としては、ここではCS電位を用いている。CS電位を用いる理由については後述する。
【0034】
続いて、上記構成のプリチャージ回路40の回路動作について、図5のタイミング波形図を用いて説明する。
【0035】
先ず、プリチャージ回路40が無い場合における画素部12の各画素に対するアナログ表示信号の書き込み動作について説明する。前にも述べたように、信号線25−1〜25−xは、グランドに対する容量Cgndと液晶セルの対向電極に対する容量Ccomとを持っている。そして、信号線25−1〜25−xと対向電極との間に容量Ccomが介在することにより、コモン電位Vcomが変動すると、容量Ccomによる容量結合によって信号線25−1〜25−xの電位が変動する。
【0036】
特に、コモン電位Vcomが一定周期で反転するコモン反転駆動の液晶表示装置にあっては、図5のタイミング波形図に示すように、コモン電位Vcomの反転のタイミングで、信号線25−1〜25−xの電位が瞬間的に変動し、特にDA変換回路145から信号線25−1〜25−xに黒レベルを出力するときに、その変動分が最大になる。したがって、この変動した電位から黒レベル(最終到達電位)まで信号線25−1〜25−xを充放電しなければならないため、信号線25−1〜25−xを充放電する電位差が大きくなり、それだけ許容される最終到達電位に信号線25−1〜25−xの電位が到達するのに時間がかかることになる。
【0037】
この到達時間を短くするには、DA変換回路145を構成するMOSスイッチのトランジスタサイズを大きくすることによってMOSスイッチの駆動能力を上げたり、基準電圧線31−1〜31−nの線幅を太くし、配線抵抗を低くすることによって充放電時定数を小さくしたり、あるいは基準電圧発生回路16の総抵抗値を下げるなどの方策が一般的に考えられる。しかしながら、MOSスイッチのトランジスタサイズを大きくしたり、基準電圧線31−1〜31−nの線幅を太くすると表示パネルの額縁サイズが大きくなり、また基準電圧発生回路16の総抵抗値を下げると消費電力の増大を招くことになる。
【0038】
これに対して、本実施形態に係る液晶表示装置では、プリチャージ回路40の作用により、DA変換回路145でデジタル表示データからDA変換されて得られるアナログ表示信号が、DAC部145−1〜145−xの各々から信号線25−1〜25−xの各々へ出力される前に、信号線25−1〜25−xにコモン電位Vcomとほぼ同電位のプリチャージ電位(本例では、CS電位)をプリチャージする構成をとり、このプリチャージによって最終到達電位への到達時間を短縮するようにしている。
【0039】
具体的には、図5のタイミング波形図から明らかなように、プリチャージ回路40において、DAC部145−1〜145−xからのアナログ表示信号の出力時に一定期間tだけ、タイミング発生回路43で発生されるタイミング信号A,Bによってスイッチ41がオフ(開)状態になり、これに同期してスイッチ42がオン(閉)状態になる。これにより、一定期間tだけDAC部145−1〜145−xの出力端(出力線)と信号線25−1〜25−xとの間が遮断されると同時に、信号線25−1〜25−xには対向電極との間に形成される容量Ccom分の電荷がCS電位によってプリチャージされる。
【0040】
このとき、CS電位をプリチャージするラインの出力インピーダンスが低いので、短時間に信号線25−1〜25−xに対して充放電できる。この信号線25−1〜25−xのプリチャージにより、コモン電位Vcomの反転タイミングで信号線25−1〜25−xの電位が瞬間的に変動するのを抑えることができる。その後、スイッチ41がオン状態、スイッチ42がオフ状態になり、DA変換回路145からアナログ表示信号がスイッチ41を介して信号線25−1〜25−xに出力される。このとき、プリチャージによってコモン電位Vcomの反転タイミングでの信号線25−1〜25−xの電位の変動が抑えられており、充放電する電位差がプリチャージを行わない場合よりも小さくて済むため、最終到達電位への到達時間を短縮することができるのである。
【0041】
上述したことからすれば、理論的には、プリチャージ電位として、コモン電位Vcomそのものを用いれば良いことになる。ところが、画素トランジスタであるTFT21(図2を参照)のオン/オフの過渡時に寄生容量による分圧作用のため、液晶セル22に印加する電圧がΔVだけシフトすることが知られている。したがって、そのシフト分ΔVを補償するために、実際には、本来CS電位と同振幅、同位相であるコモン電位Vcomをあらかじめシフト分ΔVだけ補正した電位として印加するようにしている。
【0042】
このような理由から、シフト分ΔVの補正が行われているコモン電位Vcomそのものをプリチャージ電位として用いるよりも、補正が行われる前のコモン電位Vcomと同振幅、同位相のCS電位をプリチャージ電位として用いるのが好ましいのである。ただし、プリチャージ電位としては、CS電位に限られるものではなく、コモン電位Vcomとほぼ同振幅、同位相のもの、好ましくは補正が行われる前のコモン電位Vcomと同振幅、同位相のものであれば、所期の目的を達成することができる。したがって、コモン電位Vcomとほぼ同振幅、同位相の電位を別途生成し、この生成した電位をプリチャージ電位として用いることも可能である。
【0043】
上述したように、デジタル表示データをDA変換回路145でアナログ表示信号に変換して信号線25−1〜25−xに出力する液晶表示装置において、DA変換回路145から信号線25−1〜25−xへアナログ表示信号が出力される前に、信号線25−1〜25−xの電位をコモン電位Vcomとほぼ同電位にプリチャージし、しかる後アナログ表示信号をDA変換回路145から信号線25−1〜25−xを通して画素部12の各画素に書き込むことにより、MOSスイッチのトランジスタサイズを大きくしたり、基準電圧線31−1〜31−nの線幅を太くしたり、あるいは基準電圧発生回路16の総抵抗値を下げたりしなくても、コモン電位Vcomが変動した際に、対向電極との間に形成される容量Ccomの容量結合による信号線25−1〜25−xの電位変動によって長くなりがちな最終到達電位への到達時間を短縮できる。
【0044】
特に、コモン電位Vcomが一定周期で反転するコモン反転駆動の場合に、最終到達電位への到達時間の短縮の効果が大きい。このように、最終到達電位への到達時間を短縮できることにより、その分だけ信号線25−1〜25−xを駆動するDAC部145−1〜145−xの駆動能力が小さくて済む。したがって、DAC部145−1〜145−xを構成するMOSトランジスタのトランジスタサイズを小さくすることができるため、DA変換回路145の回路規模の縮小化・小面積化を図ることができる。
【0045】
その結果、本実施形態に係る液晶表示装置の場合には、駆動回路一体型の構成を採っていることから、DA変換回路145の回路規模の縮小化・小面積化によって、DA変換回路145を配置するスペースを小さくできるため、表示パネルの額縁をさらに狭くできる。なお、DA変換回路145を含む水平ドライバ14A,14Bをパネル外に配置してIC化する構成を採る場合には、DA変換回路145の回路規模の縮小化によって当該ICの小型化を図ることができる。
【0046】
また、信号線25−1〜25−xの電位をコモン電位Vcomとほぼ同電位にプリチャージする、という駆動方法によって最終到達電位への到達時間を短縮できることは、基準電圧線31−1〜31−nの線幅を細くすることができる、あるいは基準電圧発生回路16の直列抵抗値を高くすることができることを意味する。そして、基準電圧線31−1〜31−nの線幅を細くすることにより、基準電圧線31−1〜31−nの配線スペースが小さくて済むため、表示パネルのさらなる狭額縁化を図ることができる。また、基準電圧発生回路16の直列抵抗値を高くすることにより、基準電圧発生回路16での消費電力を下げることができるため、液晶表示装置全体の低消費電力化を図ることができる。
【0047】
また、コモン電位Vcomが一定周期で反転するコモン反転駆動の液晶表示装置において、DA変換回路145から信号線25−1〜25−xに高レベル、特に黒レベルを出力する場合には、容量結合によって変動する際の信号線の変動電位に相当する電荷が、プリチャージチャージの際のCS電位の立ち上がり分に使われる、即ちリサイクルされることになるため、CS電位を信号線25−1〜25−xにプリチャージするためのCSバッファ44(図4を参照)から信号線25−1〜25−xに供給する電荷が少なくて済むことになる。このことは、プリチャージ回路40を追加することによる消費電力の増大分を最小限に抑えることができることを意味する。
【0048】
以上説明した本実施形態に係る液晶表示装置は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants;携帯情報端末)に代表される小型・軽量な携帯端末の画面表示部として用いて好適なものである。
【0049】
なお、本実施形態では、画素の表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は液晶表示装置への適用に限られるものではなく、画素の表示素子としてエレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いたEL表示装置など、水平駆動回路としてデジタルインタフェイス駆動回路を用いたフラットパネル型の表示装置全般に適用可能である。
【0050】
図6は、本発明に係る携帯端末、例えばPDAの構成の概略を示す外観図である。
【0051】
本例に係るPDAは、例えば、装置本体61に対して蓋体62が開閉自在に設けられた折り畳み式の構成となっている。装置本体61の上面には、キーボードなどの各種のキーが配置されてなる操作部63が配置されている。一方、蓋体62には、画面表示部64が配置されている。この画面表示部64として、先述した実施形態に係る液晶表示装置が用いられる。
【0052】
当該実施形態に係る液晶表示装置は、先述したように、表示パネルの狭額縁化や装置の低消費電力化を図ることができるため、PDAにおいて、その画面表示部64として当該液晶表示装置を搭載することにより、PDAの小型化や低消費電力化に大きく寄与できる。特に、画面表示部64の低消費電力化により、バッテリ電源による連続使用可能時間の長時間化を図ることができる。
【0053】
なお、ここでは、PDAに適用した場合を例に採って説明したが、この適用例に限られるものではなく、本発明に係る液晶表示装置に代表される表示装置は、特に携帯電話機など小型・軽量の携帯端末全般に用いて好適なものである。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、デジタル表示データをDA変換手段でアナログ表示信号に変換して信号線に出力する表示装置において、DA変換手段から信号線へアナログ表示信号が出力される前に、信号線の電位を表示素子の第2電極に印加される電位とほぼ同電位にプリチャージし、しかる後アナログ表示信号をDA変換手段から信号線を通して画素部の各画素に書き込むことにより、DA変換手段の駆動能力を大きくしなくても、表示素子の第2電極に印加される電位が変動した際に、容量結合による信号線の電位変動によって長くなりがちな最終到達電位への到達時間を短縮できるため、DA変換手段の縮小化・小面積化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る駆動回路一体型液晶表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】画素回路の構成の一例を示す回路図である。
【図3】基準電圧選択型DA変換回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】DAC部およびプリチャージ回路の回路構成の一例を示す回路図である。
【図5】プリチャージ回路の動作説明に供するタイミング波形図である。
【図6】本発明に係るPDAの構成の概略を示す外観図である。
【符号の説明】
11…ガラス基板、12画素部、14A,14B…水平ドライバ(水平駆動回路)、15…垂直ドライバ(垂直駆動回路)、16…基準電圧発生回路、20…画素、21…TFT(薄膜トランジスタ)、22…液晶セル、23…保持容量、24,24−1〜24−y…走査線(ゲート線)、25,25−1〜25−x…信号線(ソース線)、31−1〜31−n…基準電圧線、32,32−1〜32−x…出力線、33−1〜33−n…階調選択ユニット、40…プリチャージ回路、Ccom…液晶セルの対向電極に対する容量、Cgnd…グランドに対する容量
Claims (16)
- 透明絶縁基板上に画素が行列状に配置されるとともに、当該画素の表示素子の第1電極に表示信号を供給する信号線が列単位で配線されてなる画素部と、
前記画素部と同じ透明絶縁基板上に形成され、デジタル表示データをアナログ信号に変換して前記信号線に前記表示信号として出力するDA変換手段と、
前記表示信号が前記DA変換手段から前記信号線へ出力される前に、当該信号線に前記表示素子の第2電極に印加される電位とほぼ同電位のプリチャージ電位をプリチャージするプリチャージ手段と
を備えたことを特徴とする表示装置。 - 前記プリチャージ手段は、前記DA変換手段からの前記表示信号の出力時に一定期間だけ、前記DA変換手段の出力端と前記信号線との間を遮断するスイッチ手段と、前記スイッチ手段の遮断動作に同期して前記プリチャージ電位を前記信号線に供給する手段とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記DA変換手段は、前記デジタル表示データのビット数に対応した複数の基準電圧を発生する基準電圧発生手段と、前記基準電圧発生手段から出力される複数の基準電圧をそれぞれ伝送する複数の基準電圧線の各々と前記信号線に接続される出力線との間に前記デジタル表示データのビット数分だけシリーズに接続され、前記デジタル表示データの各ビットの論理状態に応じて動作するトランジスタスイッチからなる複数の階調選択ユニットとを有する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記表示素子が液晶セルであり、
前記液晶セルの第2電極に印加される電位は、画素間で共通に印加されるコモン電位であって一定周期で極性が反転する
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 前記プリチャージ電位は、前記コモン電位とほぼ同振幅、同位相の電位である
ことを特徴とする請求項4記載の表示装置。 - 前記プリチャージ電位は、前記液晶セルと第1電極が接続された保持容量の第2電極に印加される電位である
ことを特徴とする請求項5記載の表示装置。 - 前記画素部、前記DA変換手段および前記設定回路は、前記透明絶縁基板上に低温ポリシリコンあるいは連続粒界結晶シリコンを用いて形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 透明絶縁基板上に画素が行列状に配置されるとともに、当該画素の表示素子の第1電極に表示信号を供給する信号線が列単位で配線されてなる画素部と、
前記画素部と同じ透明絶縁基板上に形成され、デジタル表示データをアナログ信号に変換して前記信号線に前記表示信号として出力するDA変換手段とを備えた表示装置の駆動方法であって、
前記表示信号が前記DA変換手段から前記信号線へ出力される前に、当該信号線に前記表示素子の第2電極に印加される電位とほぼ同電位のプリチャージ電位をプリチャージし、
しかる後前記表示信号を前記DA変換手段から前記信号線を通して前記画素部の各画素に書き込む
ことを特徴とする表示装置の駆動方法。 - 前記表示素子が液晶セルからなり、当該液晶セルの第2電極に画素間で共通に印加されるコモン電位の極性が一定周期で反転するコモン反転駆動の液晶表示装置において、
前記プリチャージ電位が前記コモン電位とほぼ同振幅、同位相の電位である
ことを特徴とする請求項8記載の表示装置の駆動方法。 - 前記プリチャージ電位は、前記液晶セルと第1電極が接続された保持容量の第2電極に印加される電位である
ことを特徴とする請求項9記載の表示装置の駆動方法。 - 透明絶縁基板上に画素が行列状に配置されるとともに、当該画素の表示素子の第1電極に表示信号を供給する信号線が列単位で配線されてなる画素部と、
前記画素部と同じ透明絶縁基板上に形成され、デジタル表示データをアナログ信号に変換して前記信号線に前記表示信号として出力するDA変換手段と、
前記表示信号が前記DA変換手段から前記信号線へ出力される前に、当該信号線に前記表示素子の第2電極に印加される電位とほぼ同電位をプリチャージするプリチャージ手段とを有する構成の表示装置を画面表示部として具備する
ことを特徴とする携帯端末。 - 前記プリチャージ手段は、前記DA変換手段からの前記表示信号の出力時に一定期間だけ、前記DA変換手段の出力端と前記信号線との間を遮断するスイッチ手段と、前記スイッチ手段の遮断動作に同期して前記プリチャージ電位を前記信号線に供給する手段とを有する
ことを特徴とする請求項11記載の携帯端末。 - 前記DA変換手段は、前記デジタル表示データのビット数に対応した複数の基準電圧を発生する基準電圧発生手段と、前記基準電圧発生手段から出力される複数の基準電圧をそれぞれ伝送する複数の基準電圧線の各々と前記信号線に接続される出力線との間に前記デジタル表示データのビット数分だけシリーズに接続され、前記デジタル表示データの各ビットの論理状態に応じて動作するトランジスタスイッチからなる複数の階調選択ユニットとを有する
ことを特徴とする請求項11記載の携帯端末。 - 前記表示装置は、前記画素の表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置であり、
前記液晶セルの第2電極に印加される電位は、画素間で共通に印加されるコモン電位であって一定周期で極性が反転する
ことを特徴とする請求項11記載の携帯端末。 - 前記プリチャージ電位は、前記コモン電位とほぼ同振幅、同位相の電位である
ことを特徴とする請求項14記載の携帯端末。 - 前記プリチャージ電位は、前記液晶セルと第1電極が接続された保持容量の第2電極に印加される電位である
ことを特徴とする請求項15記載の携帯端末。
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US7928951B2 (en) | 2005-06-02 | 2011-04-19 | Sony Corporation | Electro-optical device, method of driving electro-optical device, and electronic apparatus |
US10056046B2 (en) | 2014-10-23 | 2018-08-21 | Seiko Epson Corporation | Electrophoretic display apparatus and electronic device |
-
2002
- 2002-12-10 JP JP2002357717A patent/JP2004191536A/ja active Pending
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