JP2004190546A - 汽力発電プラント - Google Patents
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Abstract
【課題】給水加熱器を外部蒸気により加熱する際、給水加熱器の器内圧力を適切に制御することにより、給水加熱システムに不具合が生じないようにした汽力発電プラントを提供する。
【解決手段】プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、各給水加熱器に蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、タービン抽気圧力を検出する抽気圧力検出手段と、蒸気流量調整弁を備え前記給水加熱器内に外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、前記給水加熱器の器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、前記抽気圧力検出手段および器内圧力検出手段の検出信号を入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置とから構成する。
【選択図】図1
【解決手段】プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、各給水加熱器に蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、タービン抽気圧力を検出する抽気圧力検出手段と、蒸気流量調整弁を備え前記給水加熱器内に外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、前記給水加熱器の器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、前記抽気圧力検出手段および器内圧力検出手段の検出信号を入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置とから構成する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は汽力発電プラントに係わり、特に外部蒸気で給水加熱器を加熱し得るように構成された汽力発電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の汽力発電プラントを有する発電所においては、ある発電プラントに発電に使用していない余剰蒸気が多量に生じた場合、この余剰蒸気を他の発電プラントに融通することにより、融通先の汽力発電プラントの燃料費を節約し、発電所全体として効率向上を図るような運用を行なっている。図8は従来の汽力発電プラントにおける復水および給水系統の概略系統図である。
【0003】
図8において、1はボイラ、2−1、2−2および2−3はそれぞれ高圧タービン、中圧タービンおよび低圧タービンであり、そして3は発電機である。これらタービン2−1〜2−3および発電機3はタンデム状に配列されている。なお、各タービン2−1〜2−3に設けられた符号♯1〜♯8は蒸気の抽気段を表しており、これら抽気段♯1〜♯8から温度、圧力の異なる蒸気をそれぞれ抽気し、タービン抽気ライン7−1、7−2、7−3、…、7−8を介して後述する給水加熱器に供給するように構成している。
【0004】
前記低圧タービン2−3から排気された蒸気は復水器4で復水されたのち、復水ポンプ5によって加圧されてボイラ給水ライン6に送られる。このボイラ給水ライン6には給水を加熱して前記ボイラ1に給水するための給水加熱器6−1、6−2、…、6−8を直列(カスケード)接続しており、しかもこれらの給水加熱器6−1、6−2、…、6−8は前記タービン抽気ライン7−1、7−2、7−3、…、7−8から供給される温度、圧力の異なるタービン抽気によってそれぞれ加熱されるように構成されている。8−1、8−2は給水ポンプである。
【0005】
この図8から自明なように、給水は給水加熱器6−8から6−7、6−6、…、6−1と通過していくにしたがって出口給水温度が上昇するように構成されている。なお、図中の矢印の向きは蒸気あるいは給水(復水)の流れる向きを表している。
【0006】
しかもこの図8の汽力発電プラントは、他の汽力発電プラント等からの余剰蒸気を受け入れ、その蒸気によって給水加熱器を加熱することによって、その分自プラントの抽気量を少なくし、自プラントの燃料費を節約するようにしたものである。
【0007】
この図8の例では第6給水加熱器6−6のタービン抽気ライン7−6が外部蒸気の圧力、温度条件に見合うため、タービン抽気ライン7−6と外部蒸気ライン9とを、それぞれ第6抽気逆止弁10、第6抽気止め弁11の直列回路および外部蒸気逆止弁12、外部蒸気止め弁13の直列回路を介して接続するように構成している。
【0008】
なお、外部蒸気ライン9から供給される外部蒸気9sをタービン抽気ライン7−6に流入させるためには、外部蒸気9sの圧力をタービン抽気ライン7−6のタービン抽気圧力よりも多少高く設定する必要があるが、前記外部蒸気9sの圧力が発電機3の出力変化と関係なく通常一定であるのに対して、蒸気タービン2−3の各抽気圧力は発電機3の出力変化に伴い変化する。
【0009】
この様子を図9のグラフで示す。この場合、外部蒸気9sの圧力が発電機3の出力最大時の抽気段♯6の抽気圧力最大値よりも多少高くなっている。なお、図9において、p5は第5段、p6は第6段、p7は第7段のタービン抽気圧力である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
第6給水加熱器6−6の器内圧力は、外部蒸気ライン9から供給される蒸気9sの流量が小さい場合、蒸気タービン2−3の第6抽気段♯6の抽気圧力すなわちタービン抽気ライン7−6の抽気圧力にほぼ等しくなる。しかし、発電機3の出力が下がったことが原因で第6抽気段♯6の抽気圧力が下がり、タービン抽気量が減り、逆に外部蒸気量9sがより多くなると、第6給水加熱器6−6の器内圧力は外部蒸気ライン9の蒸気圧力9sにほぼ等しくなる。
【0011】
第6給水加熱器6−6の出口給水温度は、その器内圧力の飽和温度とほぼ同じ温度になる。よって、外部蒸気9sの流入のない状態では、第6給水加熱器6−6の出口給水温度は、第6抽気♯6の圧力にて決まる第6給水加熱器6−6の器内圧力の飽和温度とほぼ同じ温度になる。
【0012】
一方、外部蒸気9sにより給水加熱器内圧力が支配されるときは、通常のタービン抽気ラインの抽気圧力より高い圧力となることがある。この場合、第6給水加熱器6−6の出口給水温度は、タービン抽気で加熱されているときより高温となり、場合によっては、次段の第5給水加熱器6−5の器内圧力に近づくか、あるいはこれより高くなる。
【0013】
万一このような状態になると、第5給水加熱器6−5の出口給水温度は第6給水加熱器6−6の出口給水温度よりも低くなり、この結果第5給水加熱器6−5の第5タービン抽気ライン7−5の加熱蒸気が流れなくなるとか、第6給水加熱器6−6の給水が第5給水加熱器6−5を加熱するなど、給水加熱システムの本来の機能が正常に働かない状態となり、熱損失が生じる状態に至る。
【0014】
本発明は、給水加熱器を外部蒸気により加熱する際、給水加熱器の器内圧力を適切に制御することにより、給水加熱システムに不具合が生じないようにした汽力発電プラントを提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に係わる汽力プラントの発明は、プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、各給水加熱器に蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、タービン抽気圧力を検出する抽気圧力検出手段と、蒸気流量調整弁を備え前記給水加熱器内に外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、前記給水加熱器の器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、前記抽気圧力検出手段および器内圧力検出手段の検出信号を入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置とから構成したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に係わる汽力発電プラントの発明は、プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、各給水加熱器に蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、蒸気流量調整弁を備え前記給水加熱器内に外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、前記給水加熱器の器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、発電機の出力を検出し、検出値からそのときの運転状態における給水加熱器の目標抽気圧力を算出する目標抽気圧力算出手段と、この目標抽気圧力算出値と器内圧力検出手段の検出信号とにより、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置とから構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項5に係わる汽力発電プラントの発明は、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、各給水加熱器に蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、蒸気流量調整弁を備え前記給水加熱器内に外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、外部蒸気が供給される給水加熱器の器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、前記外部蒸気が供給される給水加熱器を基準にして次の段および前の段の給水加熱器のうち少なくとも一つの器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、これら器内圧力検出手段の検出信号を入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記外部蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置とから構成したことを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項6に係わる汽力発電プラントの発明は、プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、前記タービン抽気ラインのうち、給水の流れ方向に前後して位置する給水加熱器にそれぞれ蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、これらタービン抽気ラインのそれぞれに設けられ圧力を検出する抽気圧力検出手段と、給水の流れ方向に前後して位置する給水加熱器にそれぞれ設けられ器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、外部蒸気流量調整弁を備え前記給水の流れに前後する前記給水加熱器内にそれぞれ外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、前記複数個の抽気圧力検出手段および複数個の器内圧力検出手段の検出信号を入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置とから構成したことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、各図を通じて共通する部分には同一符号をつけて重複した説明は省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
【0020】
この第1の実施の形態は、給水加熱器の器内圧力と、タービン抽気圧力とを検出して、給水加熱器に供給される外部蒸気流量を調整することにより、タービン抽気によって加熱される給水加熱器の出口給水温度,圧力を適正な範囲に制御するようにしたものである。
【0021】
図1において、20はタービン抽気ライン7−6に設置されタービン抽気圧力すなわち第6抽気段♯6の圧力を検出する抽気圧力検出器であり、21は第6給水加熱器6−6の器内圧力を検出する器内圧力検出器である。また、22は前記外部蒸気ライン9に設けた外部蒸気流量調節弁である。
【0022】
そして、23−1は給水加熱器用器内圧力制御装置(以下、単に器内圧力制御装置という)であり、前記抽気圧力検出器22および器内圧力検出器21の検出信号を入力する。そして器内圧力制御装置23−1は、入力したこれらの検出信号から次の(1)式すなわち、
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)=(第6抽気段♯6の圧力)×K1…(1)
ただし、K1=1.05
が成立するように、前記外部蒸気流量調整弁22の弁開度を制御して、外部蒸気9sの流量を調整する。
【0023】
この結果、第6給水加熱器6−6の器内圧力は第6抽気段♯6の圧力よりもわずかに高く保たれるので、第6抽気逆止弁10が閉じられ、第6給水加熱器6−6は外部蒸気9sにより加熱される。
【0024】
この場合、外部蒸気9sの流入前に第6給水加熱器6−6を加熱していた第6抽気段♯6の加熱蒸気は、外部蒸気9sの流入により不要となるため、蒸気タービン内2−3にて膨張仕事をして、蒸気タービンの出力を増加させる。
このように、本実施の形態によれば、他プラントの余剰蒸気の有効利用により自プラントのボイラ1の燃料節約が可能となる。
【0025】
また、前述のように、器内圧力制御装置23−1により、第6給水加熱器6−6の器内圧力は、運転状態における蒸気タービン2−3の第6抽気段♯6の圧力より少し高く保たれるため、その運転状態における第5抽気段♯5の圧力に不自然に近づいたり第5抽気段♯5の圧力より高くなることがないため、給水加熱システムを、外部蒸気9sの流入以前と近い状態に保ち、給水加熱システムは本来の働きを続けることができる。
【0026】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
本実施の形態は、第1の実施の形態における第6抽気の抽気圧力検出に代えて第5抽気段♯5の抽気圧力を検出して器内圧力制御装置23−2に入力するように構成したことを特徴とするものである。
【0027】
すなわち、図2において、第5タービン抽気ライン7−5に抽気圧力検出器24を設置するとともに、第5抽気逆止弁25および第5抽気止め弁26を設置する。そして前記抽気圧力検出器24の検出信号と前記第5給水加熱器6−6の器内圧力検出器21の検出信号とを器内圧力制御装置23−2に入力する。
【0028】
器内圧力制御装置23−2は、これらの検出信号から例えば次の(2)式
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)=(第5抽気段♯5の圧力)×K2…(2)
ただし、K2は図9等から求まる定数であり、例えばK2=0.8
が成立するように、前記外部蒸気流量調整弁22の弁開度を制御して、外部蒸気9sの流量を調整する。
この結果、第6給水加熱器6−6の器内圧力は、第5抽気段♯5の圧力よりもわずかに低い適切な圧力に制御され、外部蒸気による給水加熱が可能となる。
【0029】
(第3の実施の形態)
図3は、本発明の第3の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
この第3の実施形態は、器内圧力制御装置23−3に前記第6給水加熱器6−6の器内圧力検出信号、次段の第5抽気圧力検出信号および前段の第7抽気圧力検出信号を入力し、これら検出信号の条件によって外部蒸気流量調整弁22の弁開度を調節するようにしたことを特徴とする。
【0030】
すなわち、器内圧力制御装置23−3は、第6給水加熱器6−6の器内圧力検出器21の検出信号と、次段の第5給水加熱器6−5の加熱蒸気である第5タービン抽気ライン7−5に設置した第5抽気圧力検出器24の検出信号と、さらに前段の第7給水加熱器6−7の加熱蒸気である第7タービン抽気ライン7−7の圧力を検出する第7抽気圧力検出器27の検出信号を入力する。なお、35は第7タービン抽気ライン7−7に設けた第7抽気逆止弁、36は第7抽気止め弁である。
【0031】
器内圧力制御装置23−3は、これらの3つの検出信号から次の(3)式
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)={(第5抽気♯5の抽気圧力)
+(第7抽気8の圧力)}÷K3 …(3)
ただし、K3は図9等から求まる定数であり、例えばK3=1.95
が成立するように、外部蒸気流量調整弁22を制御することにより、第6給水加熱器の器内圧力を制御する。
【0032】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、外部蒸気流量が制御されて第6給水加熱器6−6の器内圧力は適切に制御され、外部蒸気による給水加熱が可能となる。
【0033】
(第4の実施の形態)
図4は、本発明の第4の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
本実施の形態は、第6給水加熱器6−6の器内圧力を検出する一方で、発電機3の出力を検出し、これらの検出信号を器内圧力制御装置23−4に入力して外部蒸気流量を制御するようにしたことを特徴とするものである。
【0034】
図4において、28は発電機3の出力電力を検出する電力検出器であり、29は内部に例えば図9に示す「第6抽気圧力と発電機出力との関係」を記憶情報として有しており、入力された発電機3の電力検出値からその運転状態における第6抽気圧力の目標値を算出する目標抽気圧力算出手段である。
【0035】
器内圧力制御装置23−4は、この目標抽気圧力算出手段29による抽気圧力目標値と、前記第6給水加熱器6−6の器内圧力検出器21の検出信号とを入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁22の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する。
【0036】
本実施の形態も第1の実施の形態と同様に、外部蒸気流量が制御されて第6給水加熱器6−6の器内圧力は適切に制御され、外部蒸気9sによる給水加熱が可能となる。
【0037】
(第5の実施の形態)
図5は、本発明の第5の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
本実施の形態は、第6給水加熱器6−6の器内圧力と、次段の第5給水加熱器6−5の器内圧力を検出して、外部蒸気9sの流量を制御することを特徴とするものである。
【0038】
図5において、30は次段の第5給水加熱器6−5の器内圧力を検出する器内圧力検出器である。器内圧力制御装置23−5は、この器内圧力検出器30の検出信号および第6給水加熱器6−5の器内圧力検出器21の検出信号を入力する。そして、器内圧力制御装置23−5は、次式(4)すなわち、
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)=(第5給水加熱器6−5の器内圧力)×K4
…(4)
ただし、K4は図9のグラフ等から求まる定数などであり、例えばK4=0.8
が成立するように、外部蒸気流量調整弁22を制御することにより、第6給水加熱器6−6の器内圧力を制御する。なお、この式4は前記の式1と同等である。
【0039】
本実施の形態も第1の実施の形態と同様に、外部蒸気流量が制御されて、第6給水加熱器6−6の器内圧力は適切に制御され、外部蒸気による給水加熱が可能となる。
【0040】
(第6の実施の形態)
図6は、本発明の第6の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
本実施の形態は、第6給水加熱器6−6の器内圧力、次段の第5給水加熱器6−5の器内圧力および前段の第7給水加熱器6−7の器内圧力をそれぞれ検出して器内圧力制御装置23−6に入力し、外部蒸気9sの流量を調整するようにしたものである。
【0041】
図6において、31は前段の第7給水加熱器6−7の器内圧力を検出する圧力検出器であり、器内圧力制御装置23−6は、この圧力検出器31の検出信号、次段の第5給水加熱器6−5の器内圧力検出器30の検出信号および第6給水加熱器6−6の器内圧力検出器21の検出信号を入力する。そして、器内圧力制御装置23−6は、次式(5)すなわち、
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)={(第5給水加熱器6−5の器内圧力)
+(第7給水加熱器12の器内圧力)}÷K5 …(5)
ただし、K5は図9のグラフ等から求まる定数などであり、例えばK5=1.95
が成立するように、外部蒸気流量調整弁22を制御する。
【0042】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様に、外部蒸気流量9sが制御されて、第6給水加熱熱器6−6の器内圧力は適切に制御され、外部蒸気による給水加熱が可能となる。
【0043】
(第7の実施の形態)
図7は、本発明の第7の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
本実施の形態は、第1の実施の形態で説明した発明を第5給水加熱器6−5に対しても同時に併せて適用したことを特徴とするものである。
【0044】
図7において、器内圧力制御装置23−7は第6給水加熱器6−6の器内圧力検出器21の検出信号、第6タービン抽気ライン7−6の抽気圧力検出器20の検出信号、第5給水加熱器6−5の器内圧力検出器30の検出信号および第5タービン抽気圧力検出器24の検出信号をそれぞれ入力する。
【0045】
そして、器内圧力制御装置23−7は、これら4つの検出信号のうち2つの検出信号から前述の(1)式すなわち、
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)=(第6抽気段♯6の圧力)×K1…(1)
が成立するように、前記外部蒸気流量調整弁22の弁開度を制御して、外部蒸気9s6の流量を調整する。
【0046】
これと同時に、残りの2つの検出信号を用いて前記1式と同様の(1´)式すなわち、
(第5給水加熱器6−5の器内圧力)=(第5抽気♯5の圧力)×K1…(1´)
が成立するように、外部蒸気流量調整弁32の弁開度を制御して、外部蒸気9s5の流量を調整する。
【0047】
この結果、外部蒸気9sは、第6給水加熱器6−6および第5給水加熱器6−5に分流してそれぞれに9s6,9s5として供給されるが、それぞれの給水加熱器6−6および6−5の器内圧力は適正に制御されるので、吐出給水温度も適正範囲内に制御され、本来高温側の給水加熱器が低温側の給水加熱器によって、加熱されるような不具合が発生するようなことはない。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、他プラントの余剰蒸気等外部蒸気が供給される給水加熱器の器内圧力をタービン抽気圧力よりも少し高く保たれるように制御するので、外部蒸気を使用した分タービン抽気量が減少し、その結果、自プラントのボイラ燃料を節約することが可能となる。
【0049】
そのうえ、外部蒸気が供給される給水加熱器の器内圧力は、器内圧力制御装置の働きによりそのときの運転状態における次段の抽気圧力に不自然に近づいたりあるいはそれより高くなることがないため、給水加熱システムを外部蒸気の流入以前と近い状態で運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図5】本発明の第5の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図6】本発明の第6の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図7】本発明の第7の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図8】従来の汽力発電プラントにおける復水および給水概略系統図。
【図9】各抽気圧力と発電機出力との関係を示す図。
【符号の説明】
1…ボイラ、2−1,2−2,2−3…蒸気タービン、3…発電機、4…復水器、5…復水ポンプ、6…ボイラ給水ライン、6−1〜6−8…給水加熱器、7−1〜7−8…タービン抽気ライン、8−1、8−2…給水ポンプ、9…外部蒸気ライン、10…第6抽気逆止弁、11…第6抽気止め弁、12…外部蒸気逆止弁、13…外部蒸気止め弁、20…第6抽気圧力検出器、21…内圧力検出器、22…外部蒸気流量調整弁、23−1〜23−7…給水加熱器器内圧力制御装置、24…第5抽気圧力検出器、25…第5抽気逆止弁、26…第5抽気止め弁、27…第7抽気圧力検出器、28…電力検出器、29…目標抽気圧力算出手段、30…第5給水加熱器用器内圧力検出器、31…第7給水加熱器用器内圧力検出器、32…外部蒸気流量調節弁、33…外部蒸気逆止弁、34…外部蒸気止め弁、35…第7抽気逆止弁、36…第7抽気止め弁。
【発明の属する技術分野】
本発明は汽力発電プラントに係わり、特に外部蒸気で給水加熱器を加熱し得るように構成された汽力発電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の汽力発電プラントを有する発電所においては、ある発電プラントに発電に使用していない余剰蒸気が多量に生じた場合、この余剰蒸気を他の発電プラントに融通することにより、融通先の汽力発電プラントの燃料費を節約し、発電所全体として効率向上を図るような運用を行なっている。図8は従来の汽力発電プラントにおける復水および給水系統の概略系統図である。
【0003】
図8において、1はボイラ、2−1、2−2および2−3はそれぞれ高圧タービン、中圧タービンおよび低圧タービンであり、そして3は発電機である。これらタービン2−1〜2−3および発電機3はタンデム状に配列されている。なお、各タービン2−1〜2−3に設けられた符号♯1〜♯8は蒸気の抽気段を表しており、これら抽気段♯1〜♯8から温度、圧力の異なる蒸気をそれぞれ抽気し、タービン抽気ライン7−1、7−2、7−3、…、7−8を介して後述する給水加熱器に供給するように構成している。
【0004】
前記低圧タービン2−3から排気された蒸気は復水器4で復水されたのち、復水ポンプ5によって加圧されてボイラ給水ライン6に送られる。このボイラ給水ライン6には給水を加熱して前記ボイラ1に給水するための給水加熱器6−1、6−2、…、6−8を直列(カスケード)接続しており、しかもこれらの給水加熱器6−1、6−2、…、6−8は前記タービン抽気ライン7−1、7−2、7−3、…、7−8から供給される温度、圧力の異なるタービン抽気によってそれぞれ加熱されるように構成されている。8−1、8−2は給水ポンプである。
【0005】
この図8から自明なように、給水は給水加熱器6−8から6−7、6−6、…、6−1と通過していくにしたがって出口給水温度が上昇するように構成されている。なお、図中の矢印の向きは蒸気あるいは給水(復水)の流れる向きを表している。
【0006】
しかもこの図8の汽力発電プラントは、他の汽力発電プラント等からの余剰蒸気を受け入れ、その蒸気によって給水加熱器を加熱することによって、その分自プラントの抽気量を少なくし、自プラントの燃料費を節約するようにしたものである。
【0007】
この図8の例では第6給水加熱器6−6のタービン抽気ライン7−6が外部蒸気の圧力、温度条件に見合うため、タービン抽気ライン7−6と外部蒸気ライン9とを、それぞれ第6抽気逆止弁10、第6抽気止め弁11の直列回路および外部蒸気逆止弁12、外部蒸気止め弁13の直列回路を介して接続するように構成している。
【0008】
なお、外部蒸気ライン9から供給される外部蒸気9sをタービン抽気ライン7−6に流入させるためには、外部蒸気9sの圧力をタービン抽気ライン7−6のタービン抽気圧力よりも多少高く設定する必要があるが、前記外部蒸気9sの圧力が発電機3の出力変化と関係なく通常一定であるのに対して、蒸気タービン2−3の各抽気圧力は発電機3の出力変化に伴い変化する。
【0009】
この様子を図9のグラフで示す。この場合、外部蒸気9sの圧力が発電機3の出力最大時の抽気段♯6の抽気圧力最大値よりも多少高くなっている。なお、図9において、p5は第5段、p6は第6段、p7は第7段のタービン抽気圧力である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
第6給水加熱器6−6の器内圧力は、外部蒸気ライン9から供給される蒸気9sの流量が小さい場合、蒸気タービン2−3の第6抽気段♯6の抽気圧力すなわちタービン抽気ライン7−6の抽気圧力にほぼ等しくなる。しかし、発電機3の出力が下がったことが原因で第6抽気段♯6の抽気圧力が下がり、タービン抽気量が減り、逆に外部蒸気量9sがより多くなると、第6給水加熱器6−6の器内圧力は外部蒸気ライン9の蒸気圧力9sにほぼ等しくなる。
【0011】
第6給水加熱器6−6の出口給水温度は、その器内圧力の飽和温度とほぼ同じ温度になる。よって、外部蒸気9sの流入のない状態では、第6給水加熱器6−6の出口給水温度は、第6抽気♯6の圧力にて決まる第6給水加熱器6−6の器内圧力の飽和温度とほぼ同じ温度になる。
【0012】
一方、外部蒸気9sにより給水加熱器内圧力が支配されるときは、通常のタービン抽気ラインの抽気圧力より高い圧力となることがある。この場合、第6給水加熱器6−6の出口給水温度は、タービン抽気で加熱されているときより高温となり、場合によっては、次段の第5給水加熱器6−5の器内圧力に近づくか、あるいはこれより高くなる。
【0013】
万一このような状態になると、第5給水加熱器6−5の出口給水温度は第6給水加熱器6−6の出口給水温度よりも低くなり、この結果第5給水加熱器6−5の第5タービン抽気ライン7−5の加熱蒸気が流れなくなるとか、第6給水加熱器6−6の給水が第5給水加熱器6−5を加熱するなど、給水加熱システムの本来の機能が正常に働かない状態となり、熱損失が生じる状態に至る。
【0014】
本発明は、給水加熱器を外部蒸気により加熱する際、給水加熱器の器内圧力を適切に制御することにより、給水加熱システムに不具合が生じないようにした汽力発電プラントを提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に係わる汽力プラントの発明は、プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、各給水加熱器に蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、タービン抽気圧力を検出する抽気圧力検出手段と、蒸気流量調整弁を備え前記給水加熱器内に外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、前記給水加熱器の器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、前記抽気圧力検出手段および器内圧力検出手段の検出信号を入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置とから構成したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に係わる汽力発電プラントの発明は、プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、各給水加熱器に蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、蒸気流量調整弁を備え前記給水加熱器内に外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、前記給水加熱器の器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、発電機の出力を検出し、検出値からそのときの運転状態における給水加熱器の目標抽気圧力を算出する目標抽気圧力算出手段と、この目標抽気圧力算出値と器内圧力検出手段の検出信号とにより、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置とから構成したことを特徴とする。
【0017】
請求項5に係わる汽力発電プラントの発明は、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、各給水加熱器に蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、蒸気流量調整弁を備え前記給水加熱器内に外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、外部蒸気が供給される給水加熱器の器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、前記外部蒸気が供給される給水加熱器を基準にして次の段および前の段の給水加熱器のうち少なくとも一つの器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、これら器内圧力検出手段の検出信号を入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記外部蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置とから構成したことを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項6に係わる汽力発電プラントの発明は、プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、前記タービン抽気ラインのうち、給水の流れ方向に前後して位置する給水加熱器にそれぞれ蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、これらタービン抽気ラインのそれぞれに設けられ圧力を検出する抽気圧力検出手段と、給水の流れ方向に前後して位置する給水加熱器にそれぞれ設けられ器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、外部蒸気流量調整弁を備え前記給水の流れに前後する前記給水加熱器内にそれぞれ外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、前記複数個の抽気圧力検出手段および複数個の器内圧力検出手段の検出信号を入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置とから構成したことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、各図を通じて共通する部分には同一符号をつけて重複した説明は省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
【0020】
この第1の実施の形態は、給水加熱器の器内圧力と、タービン抽気圧力とを検出して、給水加熱器に供給される外部蒸気流量を調整することにより、タービン抽気によって加熱される給水加熱器の出口給水温度,圧力を適正な範囲に制御するようにしたものである。
【0021】
図1において、20はタービン抽気ライン7−6に設置されタービン抽気圧力すなわち第6抽気段♯6の圧力を検出する抽気圧力検出器であり、21は第6給水加熱器6−6の器内圧力を検出する器内圧力検出器である。また、22は前記外部蒸気ライン9に設けた外部蒸気流量調節弁である。
【0022】
そして、23−1は給水加熱器用器内圧力制御装置(以下、単に器内圧力制御装置という)であり、前記抽気圧力検出器22および器内圧力検出器21の検出信号を入力する。そして器内圧力制御装置23−1は、入力したこれらの検出信号から次の(1)式すなわち、
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)=(第6抽気段♯6の圧力)×K1…(1)
ただし、K1=1.05
が成立するように、前記外部蒸気流量調整弁22の弁開度を制御して、外部蒸気9sの流量を調整する。
【0023】
この結果、第6給水加熱器6−6の器内圧力は第6抽気段♯6の圧力よりもわずかに高く保たれるので、第6抽気逆止弁10が閉じられ、第6給水加熱器6−6は外部蒸気9sにより加熱される。
【0024】
この場合、外部蒸気9sの流入前に第6給水加熱器6−6を加熱していた第6抽気段♯6の加熱蒸気は、外部蒸気9sの流入により不要となるため、蒸気タービン内2−3にて膨張仕事をして、蒸気タービンの出力を増加させる。
このように、本実施の形態によれば、他プラントの余剰蒸気の有効利用により自プラントのボイラ1の燃料節約が可能となる。
【0025】
また、前述のように、器内圧力制御装置23−1により、第6給水加熱器6−6の器内圧力は、運転状態における蒸気タービン2−3の第6抽気段♯6の圧力より少し高く保たれるため、その運転状態における第5抽気段♯5の圧力に不自然に近づいたり第5抽気段♯5の圧力より高くなることがないため、給水加熱システムを、外部蒸気9sの流入以前と近い状態に保ち、給水加熱システムは本来の働きを続けることができる。
【0026】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
本実施の形態は、第1の実施の形態における第6抽気の抽気圧力検出に代えて第5抽気段♯5の抽気圧力を検出して器内圧力制御装置23−2に入力するように構成したことを特徴とするものである。
【0027】
すなわち、図2において、第5タービン抽気ライン7−5に抽気圧力検出器24を設置するとともに、第5抽気逆止弁25および第5抽気止め弁26を設置する。そして前記抽気圧力検出器24の検出信号と前記第5給水加熱器6−6の器内圧力検出器21の検出信号とを器内圧力制御装置23−2に入力する。
【0028】
器内圧力制御装置23−2は、これらの検出信号から例えば次の(2)式
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)=(第5抽気段♯5の圧力)×K2…(2)
ただし、K2は図9等から求まる定数であり、例えばK2=0.8
が成立するように、前記外部蒸気流量調整弁22の弁開度を制御して、外部蒸気9sの流量を調整する。
この結果、第6給水加熱器6−6の器内圧力は、第5抽気段♯5の圧力よりもわずかに低い適切な圧力に制御され、外部蒸気による給水加熱が可能となる。
【0029】
(第3の実施の形態)
図3は、本発明の第3の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
この第3の実施形態は、器内圧力制御装置23−3に前記第6給水加熱器6−6の器内圧力検出信号、次段の第5抽気圧力検出信号および前段の第7抽気圧力検出信号を入力し、これら検出信号の条件によって外部蒸気流量調整弁22の弁開度を調節するようにしたことを特徴とする。
【0030】
すなわち、器内圧力制御装置23−3は、第6給水加熱器6−6の器内圧力検出器21の検出信号と、次段の第5給水加熱器6−5の加熱蒸気である第5タービン抽気ライン7−5に設置した第5抽気圧力検出器24の検出信号と、さらに前段の第7給水加熱器6−7の加熱蒸気である第7タービン抽気ライン7−7の圧力を検出する第7抽気圧力検出器27の検出信号を入力する。なお、35は第7タービン抽気ライン7−7に設けた第7抽気逆止弁、36は第7抽気止め弁である。
【0031】
器内圧力制御装置23−3は、これらの3つの検出信号から次の(3)式
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)={(第5抽気♯5の抽気圧力)
+(第7抽気8の圧力)}÷K3 …(3)
ただし、K3は図9等から求まる定数であり、例えばK3=1.95
が成立するように、外部蒸気流量調整弁22を制御することにより、第6給水加熱器の器内圧力を制御する。
【0032】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、外部蒸気流量が制御されて第6給水加熱器6−6の器内圧力は適切に制御され、外部蒸気による給水加熱が可能となる。
【0033】
(第4の実施の形態)
図4は、本発明の第4の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
本実施の形態は、第6給水加熱器6−6の器内圧力を検出する一方で、発電機3の出力を検出し、これらの検出信号を器内圧力制御装置23−4に入力して外部蒸気流量を制御するようにしたことを特徴とするものである。
【0034】
図4において、28は発電機3の出力電力を検出する電力検出器であり、29は内部に例えば図9に示す「第6抽気圧力と発電機出力との関係」を記憶情報として有しており、入力された発電機3の電力検出値からその運転状態における第6抽気圧力の目標値を算出する目標抽気圧力算出手段である。
【0035】
器内圧力制御装置23−4は、この目標抽気圧力算出手段29による抽気圧力目標値と、前記第6給水加熱器6−6の器内圧力検出器21の検出信号とを入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁22の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する。
【0036】
本実施の形態も第1の実施の形態と同様に、外部蒸気流量が制御されて第6給水加熱器6−6の器内圧力は適切に制御され、外部蒸気9sによる給水加熱が可能となる。
【0037】
(第5の実施の形態)
図5は、本発明の第5の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
本実施の形態は、第6給水加熱器6−6の器内圧力と、次段の第5給水加熱器6−5の器内圧力を検出して、外部蒸気9sの流量を制御することを特徴とするものである。
【0038】
図5において、30は次段の第5給水加熱器6−5の器内圧力を検出する器内圧力検出器である。器内圧力制御装置23−5は、この器内圧力検出器30の検出信号および第6給水加熱器6−5の器内圧力検出器21の検出信号を入力する。そして、器内圧力制御装置23−5は、次式(4)すなわち、
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)=(第5給水加熱器6−5の器内圧力)×K4
…(4)
ただし、K4は図9のグラフ等から求まる定数などであり、例えばK4=0.8
が成立するように、外部蒸気流量調整弁22を制御することにより、第6給水加熱器6−6の器内圧力を制御する。なお、この式4は前記の式1と同等である。
【0039】
本実施の形態も第1の実施の形態と同様に、外部蒸気流量が制御されて、第6給水加熱器6−6の器内圧力は適切に制御され、外部蒸気による給水加熱が可能となる。
【0040】
(第6の実施の形態)
図6は、本発明の第6の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
本実施の形態は、第6給水加熱器6−6の器内圧力、次段の第5給水加熱器6−5の器内圧力および前段の第7給水加熱器6−7の器内圧力をそれぞれ検出して器内圧力制御装置23−6に入力し、外部蒸気9sの流量を調整するようにしたものである。
【0041】
図6において、31は前段の第7給水加熱器6−7の器内圧力を検出する圧力検出器であり、器内圧力制御装置23−6は、この圧力検出器31の検出信号、次段の第5給水加熱器6−5の器内圧力検出器30の検出信号および第6給水加熱器6−6の器内圧力検出器21の検出信号を入力する。そして、器内圧力制御装置23−6は、次式(5)すなわち、
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)={(第5給水加熱器6−5の器内圧力)
+(第7給水加熱器12の器内圧力)}÷K5 …(5)
ただし、K5は図9のグラフ等から求まる定数などであり、例えばK5=1.95
が成立するように、外部蒸気流量調整弁22を制御する。
【0042】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様に、外部蒸気流量9sが制御されて、第6給水加熱熱器6−6の器内圧力は適切に制御され、外部蒸気による給水加熱が可能となる。
【0043】
(第7の実施の形態)
図7は、本発明の第7の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図である。
本実施の形態は、第1の実施の形態で説明した発明を第5給水加熱器6−5に対しても同時に併せて適用したことを特徴とするものである。
【0044】
図7において、器内圧力制御装置23−7は第6給水加熱器6−6の器内圧力検出器21の検出信号、第6タービン抽気ライン7−6の抽気圧力検出器20の検出信号、第5給水加熱器6−5の器内圧力検出器30の検出信号および第5タービン抽気圧力検出器24の検出信号をそれぞれ入力する。
【0045】
そして、器内圧力制御装置23−7は、これら4つの検出信号のうち2つの検出信号から前述の(1)式すなわち、
(第6給水加熱器6−6の器内圧力)=(第6抽気段♯6の圧力)×K1…(1)
が成立するように、前記外部蒸気流量調整弁22の弁開度を制御して、外部蒸気9s6の流量を調整する。
【0046】
これと同時に、残りの2つの検出信号を用いて前記1式と同様の(1´)式すなわち、
(第5給水加熱器6−5の器内圧力)=(第5抽気♯5の圧力)×K1…(1´)
が成立するように、外部蒸気流量調整弁32の弁開度を制御して、外部蒸気9s5の流量を調整する。
【0047】
この結果、外部蒸気9sは、第6給水加熱器6−6および第5給水加熱器6−5に分流してそれぞれに9s6,9s5として供給されるが、それぞれの給水加熱器6−6および6−5の器内圧力は適正に制御されるので、吐出給水温度も適正範囲内に制御され、本来高温側の給水加熱器が低温側の給水加熱器によって、加熱されるような不具合が発生するようなことはない。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、他プラントの余剰蒸気等外部蒸気が供給される給水加熱器の器内圧力をタービン抽気圧力よりも少し高く保たれるように制御するので、外部蒸気を使用した分タービン抽気量が減少し、その結果、自プラントのボイラ燃料を節約することが可能となる。
【0049】
そのうえ、外部蒸気が供給される給水加熱器の器内圧力は、器内圧力制御装置の働きによりそのときの運転状態における次段の抽気圧力に不自然に近づいたりあるいはそれより高くなることがないため、給水加熱システムを外部蒸気の流入以前と近い状態で運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図5】本発明の第5の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図6】本発明の第6の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図7】本発明の第7の実施の形態に係る汽力発電プラントの復水および給水概略系統図。
【図8】従来の汽力発電プラントにおける復水および給水概略系統図。
【図9】各抽気圧力と発電機出力との関係を示す図。
【符号の説明】
1…ボイラ、2−1,2−2,2−3…蒸気タービン、3…発電機、4…復水器、5…復水ポンプ、6…ボイラ給水ライン、6−1〜6−8…給水加熱器、7−1〜7−8…タービン抽気ライン、8−1、8−2…給水ポンプ、9…外部蒸気ライン、10…第6抽気逆止弁、11…第6抽気止め弁、12…外部蒸気逆止弁、13…外部蒸気止め弁、20…第6抽気圧力検出器、21…内圧力検出器、22…外部蒸気流量調整弁、23−1〜23−7…給水加熱器器内圧力制御装置、24…第5抽気圧力検出器、25…第5抽気逆止弁、26…第5抽気止め弁、27…第7抽気圧力検出器、28…電力検出器、29…目標抽気圧力算出手段、30…第5給水加熱器用器内圧力検出器、31…第7給水加熱器用器内圧力検出器、32…外部蒸気流量調節弁、33…外部蒸気逆止弁、34…外部蒸気止め弁、35…第7抽気逆止弁、36…第7抽気止め弁。
Claims (6)
- プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、
給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、
各給水加熱器に蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、
タービン抽気圧力を検出する抽気圧力検出手段と、
蒸気流量調整弁を備え前記給水加熱器内に外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、
前記給水加熱器の器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、
前記抽気圧力検出手段および器内圧力検出手段の検出信号を入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置
とから構成したことを特徴とする汽力発電プラント。 - 前記抽気圧力検出手段は、外部蒸気が供給される給水加熱器のタービン抽気圧力を検出して前記圧力制御装置に入力することを特徴とする請求項1記載の汽力発電プラント。
- 前記抽気圧力検出手段は、外部蒸気が供給される給水加熱器を基準にして次の段の給水加熱器および前の段の給水加熱器のうち少なくとも一つのタービン抽気圧力を検出して前記圧力制御装置に入力することを特徴とする請求項1記載の汽力発電プラント。
- プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、
給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、
各給水加熱器に蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、
蒸気流量調整弁を備え前記給水加熱器内に外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、
前記給水加熱器の器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、
発電機の出力を検出し、検出値からそのときの運転状態における給水加熱器の目標抽気圧力を算出する目標抽気圧力算出手段と、
この目標抽気圧力算出値と器内圧力検出手段の検出信号とにより、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置
とから構成したことを特徴とする汽力発電プラント。 - プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、
給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、
各給水加熱器に蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、
蒸気流量調整弁を備え前記給水加熱器内に外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、
外部蒸気が供給される給水加熱器の器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、
前記外部蒸気が供給される給水加熱器を基準にして次の段および前の段の給水加熱器のうち少なくとも一つの器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、
これら器内圧力検出手段の検出信号を入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記外部蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置
とから構成したことを特徴とする汽力発電プラント。 - プラント外部の蒸気を、給水加熱器の加熱蒸気に利用する汽力プラントにおいて、
給水が直列に流れるように配置された複数個の給水加熱器と、
前記タービン抽気ラインのうち、給水の流れ方向に前後して位置する給水加熱器にそれぞれ蒸気タービンの抽気を供給するタービン抽気ラインと、
これらタービン抽気ラインのそれぞれに設けられ圧力を検出する抽気圧力検出手段と、
給水の流れ方向に前後して位置する給水加熱器にそれぞれ設けられ器内圧力を検出する器内圧力検出手段と、
外部蒸気流量調整弁を備え前記給水の流れに前後する前記給水加熱器内にそれぞれ外部蒸気を供給する外部蒸気供給ラインと、
前記複数個の抽気圧力検出手段および複数個の器内圧力検出手段の検出信号を入力し、前記各給水加熱器相互間の吐出給水圧力が予定の関係となるように前記蒸気流量調整弁の開度を調整して、給水加熱器の器内圧力を制御する圧力制御装置
とから構成したことを特徴とする汽力発電プラント。
Priority Applications (1)
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JP2002358220A JP2004190546A (ja) | 2002-12-10 | 2002-12-10 | 汽力発電プラント |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2002
- 2002-12-10 JP JP2002358220A patent/JP2004190546A/ja not_active Withdrawn
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