JP2004190166A - 微細炭素繊維の回収方法及び装置並びに微細炭素繊維巻回体 - Google Patents
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Abstract
【課題】化学熱分解法により製造された微細炭素繊維を効率的に回収する方法及び装置、並びに微細炭素繊維巻回体を提供する。
【解決手段】反応炉1内で化学熱分解法により製造した微細炭素繊維を回収する方法において、反応炉1の回収部14内又はその近傍に前記微細炭素繊維を巻き取るための部材3を設け、巻き取り部材3を回転させることにより微細炭素繊維をロール状に巻き取ることを特徴とする微細炭素繊維の回収方法及び装置、並びにこれらにより得られる微細炭素繊維巻回体。
【選択図】 図1
【解決手段】反応炉1内で化学熱分解法により製造した微細炭素繊維を回収する方法において、反応炉1の回収部14内又はその近傍に前記微細炭素繊維を巻き取るための部材3を設け、巻き取り部材3を回転させることにより微細炭素繊維をロール状に巻き取ることを特徴とする微細炭素繊維の回収方法及び装置、並びにこれらにより得られる微細炭素繊維巻回体。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた電子放出能、水素吸蔵能、導電性、熱伝導性等を有することから、各種の2次電池、燃料電池、FED、超伝導性デバイス、半導体等に用いられるカーボンナノチューブを始めとする微細炭素繊維の回収方法及び装置、並びにかかる方法により回収された微細炭素繊維巻回体に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、電子放出能、水素吸蔵能、導電性、熱伝導性、機械的強度等に優れていることが確認されており、Li電池の負極材等の電池材料、水素等の燃料ガス貯蔵材料、複合樹脂材料等、幅広い用途への応用の可能性を持っている。カーボンナノチューブはアーク放電法、レーザアブレーション法、化学熱分解(CVD、CCVD)法等により合成されている。これらのうち、アーク放電法及びレーザアブレーション法は製造装置を大規模化し難いため生産性が低く、製造工程の連続化も困難である。一方、化学熱分解法はこのような欠点を有しておらず、大量生産に好適である。
【0003】
しかし化学熱分解法によりカーボンナノチューブ等の微細炭素繊維を製造すると、微細炭素繊維が綿状の集合体として連続的に生成するが、綿状の微細炭素繊維集合体は密度が非常に小さいために嵩張るという問題がある。また回収した微細炭素繊維は非常に嵩高いために、保管、輸送等に多くのスペースを要するため、設備を大きくする必要が生じ、コスト増大の要因となる。
【0004】
綿状のカーボンナノチューブを捕集する方法として、例えば特開2002−249306号(特許文献1)は、反応チャンバ内に設けられたカーボンロッドからなるカソード電極とアノード電極との間でアーク放電を起こし、電極の周囲に複数のロッド状捕集部材を設置することにより、アーク放電により生成した綿状のカーボンナノチューブを捕集部材に絡みつかせるとともに、副生物である黒鉛等は捕集部材の間を通過させる方法を開示している。この方法は小規模な装置で短時間に合成する方法としては適切であるものの、大規模な装置を使用した連続的化学熱分解法に適用しようとすると、反応炉内に捕集部材を設けるので、捕集されたカーボンナノチューブがガス流を阻害し、もって化学熱分解法が阻害されるという問題がある。
【0005】
特開2002−194625号は、反応炉で生成したカーボンナノチューブ等の炭素繊維を、反応炉出口の下側で斜めに移動する搬送用糸により捕集する炭素繊維の搬送方法を開示している(特許文献2)。この搬送方法は、炭化水素等の未燃成分を含む炭素繊維を絡みつかせた搬送用糸を移動させることにより、炭素繊維を熱処理炉まで搬送し、熱処理炉で加熱することにより未燃成分を除去した後で、搬送用糸から炭素繊維を外して回収するものである。この方法によると、嵩高い炭素繊維を効率よく搬送できるものの、回収に際しては搬送用糸から炭素繊維を外さなければならず、嵩密度を減少させて保管、輸送等の効率を向上させるものではない。また装置が大掛かりである他、搬送用糸のセッティング等の作業が煩雑であるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−249306号公報(図1)
【特許文献2】
特開2002−194625号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、化学熱分解法により製造された微細炭素繊維を効率的に回収する方法及び装置、並びに微細炭素繊維巻回体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、化学熱分解法の反応炉の回収部内又はその近傍に巻き取り部材を設け、巻き取り部材を回転させて微細炭素繊維をロール状に巻き取ることにより、化学熱分解反応を阻害することなく微細炭素繊維を比較的高密度のロール状巻回体として回収できることを発見し、本発明に想到した。
【0009】
すなわち本発明の微細炭素繊維の回収方法は、反応炉内で化学熱分解法により製造した微細炭素繊維を回収するためのものであり、反応炉の回収部内又はその近傍に微細炭素繊維を巻き取るための部材を設け、巻き取り部材を回転させることにより微細炭素繊維をロール状に巻き取ることを特徴とする。
【0010】
巻き取る微細炭素繊維は、分岐したものや、繊維が集合したバンドル状のもの等が絡み合って綿状となっているのが好ましい。微細炭素繊維はカーボンナノチューブ又はカーボンナノコーンであるのが好ましく、カーボンナノチューブであるのがより好ましい。また微細炭素繊維のアスペクト比は1000以上であるのが好ましい。
【0011】
巻き取り部材は柱状であるのが好ましく、巻き取り部材の表面に綿状体が取り付けられていても良い。また巻き取り部材が回転軸部と、回転軸部の先端部に直接又は回転体を介して設けられた少なくとも1本の巻き取り棒とからなり、巻き取り棒が反応炉の軸線に対して平行か直角、又は傾斜しているのが好ましい。巻き取り棒を回転軸部に直接設ける場合、巻き取り棒はクランク軸状であるのが好ましい。この場合、巻き取り棒は反応炉の回収部の内壁付近を回動するのが好ましい。また巻き取り部材を回転体を介して回転軸部に設ける場合、回転体は円板状であるのが好ましい。いずれの場合も、微細炭素繊維が絡みつきやすいように、巻き取り棒は異形断面を有するのが好ましい。
【0012】
巻き取り部材の回転速度は0.1〜10 rpmであるのが好ましい。また巻き取り棒は金属、セラミック又は炭素からなるのが好ましい。
【0013】
本発明の微細炭素繊維回収装置は、反応炉内で化学熱分解法により製造した微細炭素繊維を回収するためのものであって、反応炉の回収部内又はその近傍に設けられた微細炭素繊維の巻き取り部材と、巻き取り部材を回転させる駆動部とを具備し、巻き取り部材を回転させることにより微細炭素繊維をロール状に巻き取ることを特徴とする。
【0014】
巻き取り部材は柱状であるのが好ましい。また巻き取り部材の表面に綿状体が取り付けられていても良い。巻き取り部材は回転軸部と、回転軸部の先端部に直接又は回転体を介して設けられた少なくとも1本の巻き取り棒とからなり、巻き取り棒は前記反応炉の軸線に対して平行か直角、又は傾斜しているのが好ましい。巻き取り棒を回転軸部に直接設ける場合、巻き取り棒はクランク軸状であるのが好ましい。この場合、巻き取り棒は反応炉の回収部の内壁付近を回動するのが好ましい。また巻き取り部材を回転体を介して回転軸部に設ける場合、回転体は円板状であるのが好ましい。いずれの場合も、巻き取り棒は異形断面を有するのが好ましい。
【0015】
巻き取り部材の回転速度は0.1〜10 rpmであるのが好ましい。また巻き取り棒は金属、セラミック又は炭素からなるのが好ましい。
【0016】
本発明の微細炭素繊維巻回体は、綿状の微細炭素繊維集合体がロール状に密に巻かれていることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
[1] 微細炭素繊維の製造方法及び装置
本発明の微細炭素繊維の回収方法により、CVD法等の化学熱分解法により製造された微細炭素繊維を回収することができる。以下、化学熱分解法による微細炭素繊維の製造方法及び装置を詳細に説明する。
【0018】
(1) 原料
(a) 微細炭素繊維の合成原料
微細炭素繊維の合成原料としては、炭化水素、周期表第VIB族元素を含む化合物、これらの混合物等が使用できる。炭化水素としては芳香族系炭化水素が好ましい。芳香族系炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等のベンゼン系炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(o−、m−及びp−ジクロロベンゼン)、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン等のハロゲン化ベンゼン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン等のナフタレン系化合物等が挙げられる。
【0019】
周期表第VIB族元素を含む化合物としては、酸素、硫黄を含むものが好ましく、特に酸素を含む有機化合物が好ましい。含酸素化合物としては一酸化炭素、二酸化炭素、アルコール類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、アルデヒド類、有機酸類及びエステル類が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、シクロヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、フェノール、クレゾール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル及びこれらの誘導体等が挙げられる。また硫黄を含む化合物としては、硫化水素、二硫化炭素、二酸化硫黄、硫黄、チオール、チオエーテル、チオフェン類及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらの含酸素化合物を単独で使用しても良いし、2種以上混合して使用しても良い。
【0020】
(b) 触媒
触媒としては遷移金属からなる超微粒子を用いる。遷移金属としては鉄、コバルト、ニッケル、イットリウム、チタン、バナジウム、マンガン、クロム、銅、ニオブ、モリブデン、パラジウム、タングステン、白金等が挙げられる。これらの金属を単体で使用する他、これらの金属を含む化合物を使用しても良い。金属化合物としては、有機化合物、無機化合物、又はこれらを組み合わせたものが好ましい。有機化合物としては、フェロセン、ニッケルセン、コバルトセン等が挙げられる。また無機化合物としては、酸化物、硝酸塩、硫酸塩、塩化物等のいずれの形態でもよい。2種以上の金属を組み合わせて使用してもよい。組合せによっては、より大きな触媒効果が得られる。
【0021】
上記金属または金属化合物の微粒子をそのまま使用してもよいが、これらの微粒子を無機担体に担持させてもよい。無機担体としては、アルミナ、ゼオライト、炭素、マグネシアおよびカルシア等が好ましい。
【0022】
触媒の導入方法としては、単独でガス化する方法、炭素原料と混合してからガス化する方法、キャリアガスで希釈する方法、又は炭素原料に溶解して液状で投入する方法等、いずれの方法でもよい。
【0023】
(2) 化学熱分解法及び装置
化学熱分解法を行う反応炉1は、本体部13と、本体部13の上端部に設けられた供給部11と、本体部13の下端部に設けられた回収部14とからなり、本体部13の外周にはヒータ15が設けられている。ヒータ15により加熱された反応炉1に、供給部11から原料、触媒及びキャリアガスを供給する。キャリアガスとしては、原料、触媒及び生成物に不活性なガスであれば良く、例えば水素ガス、メタンガス、アルゴンガス等を使用できる。反応炉1の温度は一般的には600〜1250℃であり、この範囲内で原料(例えば炭化水素、含酸素化合物等)、触媒及びキャリアガスの種類等の組合せにより最適な条件に設定する。反応炉1内の圧力は2×105 Pa以下とするのが好ましい。
【0024】
加熱した反応炉1内において原料が分解するとともに、触媒の作用により微細炭素繊維が生成する。生成する微細炭素繊維は、数十nm程度の平均径及び100〜10000又はそれ以上のアスペクト比を有するので、全体として綿状に絡み合って反応炉1の本体部13から回収部14に移動してくる。ここで「綿状」とは、微細炭素繊維が緩く絡み合った状態をいい、例えば蜘蛛の巣状、フロック状、あるいは平坦な綿状等の形態にある。
【0025】
[2] 微細炭素繊維の回収装置
図1は、反応炉1に設けた回収装置の一例を示す。図1に示す例では、縦型の反応炉1を使用しているが、本発明は横型の反応炉にも適用可能である。
【0026】
反応炉1の回収部14の下端部には回収チャンバ2が気密に取り付けられており、回収チャンバ2内に本発明の回収装置3が設けられている。回収チャンバ2の側壁には反応後ガスの出口21が設けられており、出口21は微細炭素繊維の補助回収装置等の反応後ガス回収部(図示せず)に接続されている。また回収装置3により回収できなかった微細炭素繊維は回収チャンバ2の底部に蓄積するので、その微細炭素繊維を回収するために回収チャンバ2の側壁には取り出し口25が設けられている。
【0027】
本実施例の回収装置3は、巻き取り部材31と、巻き取り部材31に一端が係合する回転伝達機構32と、回転伝達機構32の他端に係合する駆動手段33とを具備する。巻き取り部材31はほぼ反応炉1の回収部14内に位置するように設置されている。
【0028】
図2は巻き取り部材31の詳細を示す。巻き取り部材31は、円柱状の回転軸部311と、回転軸部311の上端部に取り付けられたクランク状の巻き取り棒312とを具備し、回転軸部311は反応炉1の中心軸線上に立設されている。本実施例では、巻き取り棒312は反応炉1の中心軸線に平行となるように設けられているが、巻き取り棒312の反応炉1の中心軸線に対する角度は特に限定されず、0〜90°の所定の角度を有すれば良い。巻き取り棒312を設ける角度は、微細炭素繊維の生成速度、巻き取り部材の形状、キャリアガスの量、原料供給量、反応生成物量、回収部温度等により適宜決定することができる。
【0029】
クランク状の巻き取り棒312は垂直な本体部312aと、本体部312aの下端に連結する水平部312bと、水平部312bの内端(本体部312aの反対側の端部)に連結する垂直な接合部312cとからなる。図3に示すように、本体部312aの断面を異形状にすると、綿状の微細炭素繊維の集合体を絡め易くなるので好ましい。また接合部312cは回転軸部311の上端部の長手方向開口部に着脱自在に嵌合する。図2(b)に示すように、接合部312cを断面角柱状とし、回転軸部311の開口部も角孔とすると、巻き取り棒312は回転軸部311と供回りするとともに、巻き取り棒312の取替えが自在となる。なお本実施例では、回転軸部311に一本の巻き取り棒312が装着されているが、複数本の巻き取り棒312を装着する場合、回転軸部311に複数の嵌合用開口部を有するアダプターを取り付ければ良い。
【0030】
図3は図2のA−A断面図であるが、簡単化のために回収チャンバ2を省略してある。本実施例では、本体部312aの断面は微細炭素繊維が絡みつきやすいように十字型となっているが、これに限定されず、例えば星型でも良い。また柱状の巻き取り部材の周囲に綿状体が取り付けられていても良い。十字型や星型の突起の高さは微細炭素繊維の絡みつきやすさに応じて種々設定することができる。回収部14には微細炭素繊維巻回体Pを取り出すための取り出し口16が設けられている。
【0031】
回転軸部311の下端は、回収チャンバ2の底部に取り付けられたギアボックス315の歯車313に係合しており、回転軸部311はギアボックス315内のベアリング314と、回収チャンバ2の底部に設けられた開口部22のベアリングとにより回転自在に支持されている。
【0032】
駆動手段33であるモータは回収チャンバ2の上面に取り付けられており、駆動手段33に連結したシャフト321は、回収チャンバ2の開口部23,24を貫通している。シャフト321の下端は回収チャンバ2の底部に取り付けられたギアボックス325の歯車323に係合しており、シャフト321はギアボックス325のベアリング324と、開口部24に設けられたベアリングとにより回転自在に支持されている。モータの駆動方法は特に限定されず、電磁駆動、エアー駆動等のいずれでも良い。
【0033】
回転伝達機構32のシャフト322は、ギアボックス315及びギアボックス325により水平に支持されている。両ギアボックス315,325は減速機としても作用し、駆動手段33の回転を減速して巻き取り部材31に伝達する。
【0034】
図4に示す例は、巻き取り部材31の本体部312aが円柱状であり、回転伝達機構32がベルト326を具備している以外、図1に示す例とほぼ同じであるので、相違点のみ以下に説明する。円柱状の本体部312aの下端は水平部312bに連結し、水平部312bの内端は、回転軸部311の上端部に接合するための接合部312cに連結している。回転伝達機構32は駆動手段33に連結したシャフト321と、ベルト326とからなっており、ベルト326が歯車313,323に係合している。
【0035】
図5は、本発明の第二の態様における微細炭素繊維回収装置の一例を示す。この回収装置は巻き取り部材31と、巻き取り部材31に連結された駆動手段33とを具備している。巻き取り部材31は円板状の回転体316と、回転体316の中心に回転体316に垂直に取り付けられた回転軸部311と、回転軸部311の反対側で回転体316に垂直に取り付けられた複数の巻き取り棒312とを具備している。回転軸部311は回収部14内に水平に設けられており、回収部14の側壁に設けられた開口部から突出して、回収部14に横設された駆動手段33に連結している。
【0036】
図6に示す例は、巻き取り棒312が反応炉の軸線に対して約45度となるように設けられている以外、図5に示す例とほぼ同じであるので、相違点のみ以下に説明する。ギアボックス315が回収チャンバ2の一角に設けられており、巻き取り部材31はギアボックス315のベアリング及び回収チャンバの底部に設けられたベアリング314により斜めに支持されている。
【0037】
いずれの態様においても、巻き取り部材31は反応炉1の出口部12の近傍に設置するため、1000℃程度の高温の反応ガスに対して耐性を有する材料からなる必要がある。このような材料としては、金属、セラミック、炭素が挙げられる。金属としてはステンレススチール、アルミニウム合金等が好ましく、セラミックとしては焼結アルミナ等が好ましい。
【0038】
[3] 微細炭素繊維の回収方法
反応炉1内で生成した微細炭素繊維は、キャリアガスにより反応炉1の出口部12に設けられた回収部14に運ばれる。回収部14内又はその近傍に設置した巻き取り部材31を回転させることにより、巻き取り部材31に微細炭素繊維が絡まり、ロール状の微細炭素繊維巻回体Pが形成される。巻き取り部材31の先端部に設けられた巻き取り棒312は、回収部14の内壁付近を回動しても良いし、反応炉1の軸線に対して直交するか所定の角度で傾斜した状態で反応炉の回収部内を回動しても良い。巻き取り部材31の回転速度は、微細炭素繊維の生成速度、巻き取り部材31の形状等に応じて適宜決定するが、通常0.1〜10 rpm程度である。
【0039】
回収部14内で回転する巻き取り部材31に微細炭素繊維が接触すると、微細炭素繊維は巻き取り棒312に絡みついて巻き取られ、微細炭素繊維巻回体Pが形成される。一定の径になった微細炭素繊維巻回体Pは、回収部14に設けられた取り出し口16から取り出す。巻き取り部材31によって捕集されなかった微細炭素繊維P’は回収チャンバ2の底面に蓄積するので、回収チャンバ2の取り出し口25から適宜取り出す。回収チャンバ2に流入した反応後ガスは、出口21から流出して反応後ガス回収部(図示せず)に流入する。
【0040】
[3] 反応後ガスの回収
微細炭素繊維を回収した後、反応後ガス(未反応ガス、反応生成ガス及びキャリアガスを含む)を回収して再利用するのが好ましい。反応炉に再導入するガス中に微細炭素繊維が混入していると、この微細炭素繊維上にさらに炭素が成長することにより、繊維径の大きい微細炭素繊維が生成し、所望の繊維径でない微細炭素繊維が生成するおそれがある。このため再利用に先立って、巻き取り法によって回収されなかった微細炭素繊維をバグフィルター等のフィルターを使用してさらに回収しておくのが好ましい。
【0041】
微細炭素繊維の回収方法は特に限定されず、フィルタ、サイクロン又はこれらの組み合わせ等が使用できる。反応炉から出たガスは、概ね600℃以上の高温となっている。バグフィルタを用いる場合、このような高温のガスにバグフィルタを通過させることはできないので、反応後ガスの温度を下げた後でバグフィルタによる分離を行う必要がある。
【0042】
反応後ガスを反応炉に再導入する際、直接反応炉に戻してもよいし、原料ガス及び/又はキャリアガスと混合して反応炉に導入してもよい。例えば液体原料をガス化して使用する場合、原料ガスや混合された反応後ガスが液化しないように、予め反応後ガスを所定の温度に昇温しておくのが好ましい。またガス中に含まれる不純物が析出して製造装置内に付着することにより管が閉塞するのを防ぐため、反応炉に再導入するガスの温度は、40℃以上とするのが好ましく、60℃以上とするのがより好ましい。キャリアガスの使用量の低減と排ガス量の低減のため、反応後ガスの20%以上を反応炉へ再導入するのが好ましい。
【0043】
[3] 微細炭素繊維巻回体
本発明の回収方法により得られた微細炭素繊維巻回体は、綿状の微細炭素繊維がロール状に密に巻かれた形状であり、綿状の微細炭素繊維を巻き取ることにより作製できる。形成した微細炭素繊維巻回体は、所定の外径となった段階で回収装置から取り外す。得られた微細炭素繊維巻回体は、従来の方法により回収した微細炭素繊維と比較して密度が約3倍以上になっており、貯蔵及び輸送の効率が格段に向上する。また必要に応じてプラスチック容器に入れて脱気すれば、密度をさらに上げることができる。この場合、微細炭素繊維は絡み合っているので、エアとともに吸引されてしまうことがない。なお微細炭素繊維巻回体のサイズについては、適宜設定することができる。
【0044】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0045】
実施例1
微細炭素繊維としてカーボンナノチューブを製造するために、図4に示すように回収部14を有する垂直型の反応炉1を使用した。回収チャンバ2に取り付けられた回収装置3の巻き取り部材31はステンレススチール製の巻き取り棒312を有し、巻き取り棒312は回収部14(内径500 mm)内を垂直に延在する円柱状の本体部312aと、本体部312aの下端に連結する水平部312bと、本体部312aと回転軸部311とを連結する垂直の接合部312cとからなり、本体部312aの外径は10 mmであり、本体部312aの長さは500 mmであった。また水平部312bの長さは300 mmであった。
【0046】
1250℃に加熱した反応炉1に、原料のトルエンを0.025 NL/minで供給し、触媒のフェロセン及び硫黄を1.1 g/minで供給した。また水素をキャリアガスとして、60 NL/minで供給した。反応炉内をほぼ常圧とし、カーボンナノチューブを製造した。
【0047】
巻き取り部材31を10 rpmで回転させながら、キャリアガスにより回収部14に運ばれたカーボンナノチューブを巻き取り部材31の本体部312aに絡め、カーボンナノチューブのロール状巻回体として回収した。ロール状巻回体の外径は2〜3cmであり、嵩密度は約30 g/cm3であった。またカーボンナノチューブの平均繊維径は約22 nmであった。形成したカーボンナノチューブ巻回体の写真を図7に示す。写真から、カーボンナノチューブが密に巻き取られていることが分かる。これから、巻き取り部材31の本体部312aに絡みついた綿状のカーボンナノチューブ巻回体の半径が本体部312aと回収部14の内壁との間隔より十分に大きくなると、カーボンナノチューブ巻回体は回収部14の内壁により押しつぶされるとともに、垂直の本体部312aの周りを回転し、新たに巻きついた綿状のカーボンナノチューブは次々とロール状に巻かれていったと考えられる。
【0048】
実施例2
図5に示す回収装置を使用し、巻き取り部材31を10 rpmで回転させた以外、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブを回収した。巻き取り棒312はステンレススチール製の円柱(外径:20 mm、長さ:250 mm)であり、3本の巻き取り棒312が円板状の回転体316(外径200 mm)に等間隔に取り付けられていた。得られたカーボンナノチューブ巻回体の外径は3〜4cmであり、嵩密度は約30 g/cm3であった。
【0049】
実施例3
図6に示す回収装置を使用し、巻き取り部材31を20 rpmで回転させた以外、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブを回収した。巻き取り棒312はアルミナ製の円柱(外径:5mm、長さ:250 mm)であり、6本の巻き取り棒312が円板状の回転体316(外径300 mm)に等間隔に取り付けられていた。なお駆動手段33としてエアーモータを使用した。カーボンナノチューブ巻回体の外径は3〜4cmであり、嵩密度は約33 g/cm3であった。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、化学熱分解法の反応炉の回収部内又はその近傍に巻き取り部材を設け、巻き取り部材を回転させて微細炭素繊維をロール状に巻き取る本発明の回収方法により、化学熱分解反応を阻害することなく微細炭素繊維を回収できる。また本発明の回収装置は、化学熱分解法の反応炉の回収部内又はその近傍に微細炭素繊維を巻き取るための部材を有しており、この巻き取り部材を回転させることにより、微細炭素繊維を効率良く巻き取ることができる。さらに本発明の回収方法により得られる微細炭素繊維巻回体は、従来の方法により回収した微細炭素繊維より高密度であり、保管及び輸送の効率が格段に向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微細炭素繊維回収装置の一例を示す断面図である。
【図2】巻き取り部材を示す断面図であり、(a)は巻き取り部材の詳細を示し、(b)は(a)のB−B端面を示す。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の微細炭素繊維回収装置の別の例を示す断面図である。
【図5】本発明の微細炭素繊維回収装置のさらに別の例を示す断面図である。
【図6】本発明の微細炭素繊維回収装置のさらに別の例を示す断面図である。
【図7】実施例1で作製した微細炭素繊維巻回体を示す写真である。
【符号の説明】
1・・・反応炉
11・・・供給部
12・・・出口部
13・・・本体部
14・・・回収部
15・・・ヒータ
2・・・回収チャンバ
21・・・出口
22、23、24・・・開口部
25・・・取り出し口
3・・・巻き取り装置
31・・・巻き取り部材
311・・・回転軸部
312・・・巻き取り棒
313・・・歯車
314・・・ベアリング
315・・・ギアボックス
316・・・回転体
32・・・回転伝達機構
321、322・・・シャフト
323・・・歯車
324・・・ベアリング
325・・・ギアボックス
326・・・ベルト
33・・・駆動手段
P・・・微細炭素繊維巻回体
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた電子放出能、水素吸蔵能、導電性、熱伝導性等を有することから、各種の2次電池、燃料電池、FED、超伝導性デバイス、半導体等に用いられるカーボンナノチューブを始めとする微細炭素繊維の回収方法及び装置、並びにかかる方法により回収された微細炭素繊維巻回体に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、電子放出能、水素吸蔵能、導電性、熱伝導性、機械的強度等に優れていることが確認されており、Li電池の負極材等の電池材料、水素等の燃料ガス貯蔵材料、複合樹脂材料等、幅広い用途への応用の可能性を持っている。カーボンナノチューブはアーク放電法、レーザアブレーション法、化学熱分解(CVD、CCVD)法等により合成されている。これらのうち、アーク放電法及びレーザアブレーション法は製造装置を大規模化し難いため生産性が低く、製造工程の連続化も困難である。一方、化学熱分解法はこのような欠点を有しておらず、大量生産に好適である。
【0003】
しかし化学熱分解法によりカーボンナノチューブ等の微細炭素繊維を製造すると、微細炭素繊維が綿状の集合体として連続的に生成するが、綿状の微細炭素繊維集合体は密度が非常に小さいために嵩張るという問題がある。また回収した微細炭素繊維は非常に嵩高いために、保管、輸送等に多くのスペースを要するため、設備を大きくする必要が生じ、コスト増大の要因となる。
【0004】
綿状のカーボンナノチューブを捕集する方法として、例えば特開2002−249306号(特許文献1)は、反応チャンバ内に設けられたカーボンロッドからなるカソード電極とアノード電極との間でアーク放電を起こし、電極の周囲に複数のロッド状捕集部材を設置することにより、アーク放電により生成した綿状のカーボンナノチューブを捕集部材に絡みつかせるとともに、副生物である黒鉛等は捕集部材の間を通過させる方法を開示している。この方法は小規模な装置で短時間に合成する方法としては適切であるものの、大規模な装置を使用した連続的化学熱分解法に適用しようとすると、反応炉内に捕集部材を設けるので、捕集されたカーボンナノチューブがガス流を阻害し、もって化学熱分解法が阻害されるという問題がある。
【0005】
特開2002−194625号は、反応炉で生成したカーボンナノチューブ等の炭素繊維を、反応炉出口の下側で斜めに移動する搬送用糸により捕集する炭素繊維の搬送方法を開示している(特許文献2)。この搬送方法は、炭化水素等の未燃成分を含む炭素繊維を絡みつかせた搬送用糸を移動させることにより、炭素繊維を熱処理炉まで搬送し、熱処理炉で加熱することにより未燃成分を除去した後で、搬送用糸から炭素繊維を外して回収するものである。この方法によると、嵩高い炭素繊維を効率よく搬送できるものの、回収に際しては搬送用糸から炭素繊維を外さなければならず、嵩密度を減少させて保管、輸送等の効率を向上させるものではない。また装置が大掛かりである他、搬送用糸のセッティング等の作業が煩雑であるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−249306号公報(図1)
【特許文献2】
特開2002−194625号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、化学熱分解法により製造された微細炭素繊維を効率的に回収する方法及び装置、並びに微細炭素繊維巻回体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、化学熱分解法の反応炉の回収部内又はその近傍に巻き取り部材を設け、巻き取り部材を回転させて微細炭素繊維をロール状に巻き取ることにより、化学熱分解反応を阻害することなく微細炭素繊維を比較的高密度のロール状巻回体として回収できることを発見し、本発明に想到した。
【0009】
すなわち本発明の微細炭素繊維の回収方法は、反応炉内で化学熱分解法により製造した微細炭素繊維を回収するためのものであり、反応炉の回収部内又はその近傍に微細炭素繊維を巻き取るための部材を設け、巻き取り部材を回転させることにより微細炭素繊維をロール状に巻き取ることを特徴とする。
【0010】
巻き取る微細炭素繊維は、分岐したものや、繊維が集合したバンドル状のもの等が絡み合って綿状となっているのが好ましい。微細炭素繊維はカーボンナノチューブ又はカーボンナノコーンであるのが好ましく、カーボンナノチューブであるのがより好ましい。また微細炭素繊維のアスペクト比は1000以上であるのが好ましい。
【0011】
巻き取り部材は柱状であるのが好ましく、巻き取り部材の表面に綿状体が取り付けられていても良い。また巻き取り部材が回転軸部と、回転軸部の先端部に直接又は回転体を介して設けられた少なくとも1本の巻き取り棒とからなり、巻き取り棒が反応炉の軸線に対して平行か直角、又は傾斜しているのが好ましい。巻き取り棒を回転軸部に直接設ける場合、巻き取り棒はクランク軸状であるのが好ましい。この場合、巻き取り棒は反応炉の回収部の内壁付近を回動するのが好ましい。また巻き取り部材を回転体を介して回転軸部に設ける場合、回転体は円板状であるのが好ましい。いずれの場合も、微細炭素繊維が絡みつきやすいように、巻き取り棒は異形断面を有するのが好ましい。
【0012】
巻き取り部材の回転速度は0.1〜10 rpmであるのが好ましい。また巻き取り棒は金属、セラミック又は炭素からなるのが好ましい。
【0013】
本発明の微細炭素繊維回収装置は、反応炉内で化学熱分解法により製造した微細炭素繊維を回収するためのものであって、反応炉の回収部内又はその近傍に設けられた微細炭素繊維の巻き取り部材と、巻き取り部材を回転させる駆動部とを具備し、巻き取り部材を回転させることにより微細炭素繊維をロール状に巻き取ることを特徴とする。
【0014】
巻き取り部材は柱状であるのが好ましい。また巻き取り部材の表面に綿状体が取り付けられていても良い。巻き取り部材は回転軸部と、回転軸部の先端部に直接又は回転体を介して設けられた少なくとも1本の巻き取り棒とからなり、巻き取り棒は前記反応炉の軸線に対して平行か直角、又は傾斜しているのが好ましい。巻き取り棒を回転軸部に直接設ける場合、巻き取り棒はクランク軸状であるのが好ましい。この場合、巻き取り棒は反応炉の回収部の内壁付近を回動するのが好ましい。また巻き取り部材を回転体を介して回転軸部に設ける場合、回転体は円板状であるのが好ましい。いずれの場合も、巻き取り棒は異形断面を有するのが好ましい。
【0015】
巻き取り部材の回転速度は0.1〜10 rpmであるのが好ましい。また巻き取り棒は金属、セラミック又は炭素からなるのが好ましい。
【0016】
本発明の微細炭素繊維巻回体は、綿状の微細炭素繊維集合体がロール状に密に巻かれていることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
[1] 微細炭素繊維の製造方法及び装置
本発明の微細炭素繊維の回収方法により、CVD法等の化学熱分解法により製造された微細炭素繊維を回収することができる。以下、化学熱分解法による微細炭素繊維の製造方法及び装置を詳細に説明する。
【0018】
(1) 原料
(a) 微細炭素繊維の合成原料
微細炭素繊維の合成原料としては、炭化水素、周期表第VIB族元素を含む化合物、これらの混合物等が使用できる。炭化水素としては芳香族系炭化水素が好ましい。芳香族系炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等のベンゼン系炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(o−、m−及びp−ジクロロベンゼン)、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン等のハロゲン化ベンゼン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン等のナフタレン系化合物等が挙げられる。
【0019】
周期表第VIB族元素を含む化合物としては、酸素、硫黄を含むものが好ましく、特に酸素を含む有機化合物が好ましい。含酸素化合物としては一酸化炭素、二酸化炭素、アルコール類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、アルデヒド類、有機酸類及びエステル類が好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、シクロヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、フェノール、クレゾール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル及びこれらの誘導体等が挙げられる。また硫黄を含む化合物としては、硫化水素、二硫化炭素、二酸化硫黄、硫黄、チオール、チオエーテル、チオフェン類及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらの含酸素化合物を単独で使用しても良いし、2種以上混合して使用しても良い。
【0020】
(b) 触媒
触媒としては遷移金属からなる超微粒子を用いる。遷移金属としては鉄、コバルト、ニッケル、イットリウム、チタン、バナジウム、マンガン、クロム、銅、ニオブ、モリブデン、パラジウム、タングステン、白金等が挙げられる。これらの金属を単体で使用する他、これらの金属を含む化合物を使用しても良い。金属化合物としては、有機化合物、無機化合物、又はこれらを組み合わせたものが好ましい。有機化合物としては、フェロセン、ニッケルセン、コバルトセン等が挙げられる。また無機化合物としては、酸化物、硝酸塩、硫酸塩、塩化物等のいずれの形態でもよい。2種以上の金属を組み合わせて使用してもよい。組合せによっては、より大きな触媒効果が得られる。
【0021】
上記金属または金属化合物の微粒子をそのまま使用してもよいが、これらの微粒子を無機担体に担持させてもよい。無機担体としては、アルミナ、ゼオライト、炭素、マグネシアおよびカルシア等が好ましい。
【0022】
触媒の導入方法としては、単独でガス化する方法、炭素原料と混合してからガス化する方法、キャリアガスで希釈する方法、又は炭素原料に溶解して液状で投入する方法等、いずれの方法でもよい。
【0023】
(2) 化学熱分解法及び装置
化学熱分解法を行う反応炉1は、本体部13と、本体部13の上端部に設けられた供給部11と、本体部13の下端部に設けられた回収部14とからなり、本体部13の外周にはヒータ15が設けられている。ヒータ15により加熱された反応炉1に、供給部11から原料、触媒及びキャリアガスを供給する。キャリアガスとしては、原料、触媒及び生成物に不活性なガスであれば良く、例えば水素ガス、メタンガス、アルゴンガス等を使用できる。反応炉1の温度は一般的には600〜1250℃であり、この範囲内で原料(例えば炭化水素、含酸素化合物等)、触媒及びキャリアガスの種類等の組合せにより最適な条件に設定する。反応炉1内の圧力は2×105 Pa以下とするのが好ましい。
【0024】
加熱した反応炉1内において原料が分解するとともに、触媒の作用により微細炭素繊維が生成する。生成する微細炭素繊維は、数十nm程度の平均径及び100〜10000又はそれ以上のアスペクト比を有するので、全体として綿状に絡み合って反応炉1の本体部13から回収部14に移動してくる。ここで「綿状」とは、微細炭素繊維が緩く絡み合った状態をいい、例えば蜘蛛の巣状、フロック状、あるいは平坦な綿状等の形態にある。
【0025】
[2] 微細炭素繊維の回収装置
図1は、反応炉1に設けた回収装置の一例を示す。図1に示す例では、縦型の反応炉1を使用しているが、本発明は横型の反応炉にも適用可能である。
【0026】
反応炉1の回収部14の下端部には回収チャンバ2が気密に取り付けられており、回収チャンバ2内に本発明の回収装置3が設けられている。回収チャンバ2の側壁には反応後ガスの出口21が設けられており、出口21は微細炭素繊維の補助回収装置等の反応後ガス回収部(図示せず)に接続されている。また回収装置3により回収できなかった微細炭素繊維は回収チャンバ2の底部に蓄積するので、その微細炭素繊維を回収するために回収チャンバ2の側壁には取り出し口25が設けられている。
【0027】
本実施例の回収装置3は、巻き取り部材31と、巻き取り部材31に一端が係合する回転伝達機構32と、回転伝達機構32の他端に係合する駆動手段33とを具備する。巻き取り部材31はほぼ反応炉1の回収部14内に位置するように設置されている。
【0028】
図2は巻き取り部材31の詳細を示す。巻き取り部材31は、円柱状の回転軸部311と、回転軸部311の上端部に取り付けられたクランク状の巻き取り棒312とを具備し、回転軸部311は反応炉1の中心軸線上に立設されている。本実施例では、巻き取り棒312は反応炉1の中心軸線に平行となるように設けられているが、巻き取り棒312の反応炉1の中心軸線に対する角度は特に限定されず、0〜90°の所定の角度を有すれば良い。巻き取り棒312を設ける角度は、微細炭素繊維の生成速度、巻き取り部材の形状、キャリアガスの量、原料供給量、反応生成物量、回収部温度等により適宜決定することができる。
【0029】
クランク状の巻き取り棒312は垂直な本体部312aと、本体部312aの下端に連結する水平部312bと、水平部312bの内端(本体部312aの反対側の端部)に連結する垂直な接合部312cとからなる。図3に示すように、本体部312aの断面を異形状にすると、綿状の微細炭素繊維の集合体を絡め易くなるので好ましい。また接合部312cは回転軸部311の上端部の長手方向開口部に着脱自在に嵌合する。図2(b)に示すように、接合部312cを断面角柱状とし、回転軸部311の開口部も角孔とすると、巻き取り棒312は回転軸部311と供回りするとともに、巻き取り棒312の取替えが自在となる。なお本実施例では、回転軸部311に一本の巻き取り棒312が装着されているが、複数本の巻き取り棒312を装着する場合、回転軸部311に複数の嵌合用開口部を有するアダプターを取り付ければ良い。
【0030】
図3は図2のA−A断面図であるが、簡単化のために回収チャンバ2を省略してある。本実施例では、本体部312aの断面は微細炭素繊維が絡みつきやすいように十字型となっているが、これに限定されず、例えば星型でも良い。また柱状の巻き取り部材の周囲に綿状体が取り付けられていても良い。十字型や星型の突起の高さは微細炭素繊維の絡みつきやすさに応じて種々設定することができる。回収部14には微細炭素繊維巻回体Pを取り出すための取り出し口16が設けられている。
【0031】
回転軸部311の下端は、回収チャンバ2の底部に取り付けられたギアボックス315の歯車313に係合しており、回転軸部311はギアボックス315内のベアリング314と、回収チャンバ2の底部に設けられた開口部22のベアリングとにより回転自在に支持されている。
【0032】
駆動手段33であるモータは回収チャンバ2の上面に取り付けられており、駆動手段33に連結したシャフト321は、回収チャンバ2の開口部23,24を貫通している。シャフト321の下端は回収チャンバ2の底部に取り付けられたギアボックス325の歯車323に係合しており、シャフト321はギアボックス325のベアリング324と、開口部24に設けられたベアリングとにより回転自在に支持されている。モータの駆動方法は特に限定されず、電磁駆動、エアー駆動等のいずれでも良い。
【0033】
回転伝達機構32のシャフト322は、ギアボックス315及びギアボックス325により水平に支持されている。両ギアボックス315,325は減速機としても作用し、駆動手段33の回転を減速して巻き取り部材31に伝達する。
【0034】
図4に示す例は、巻き取り部材31の本体部312aが円柱状であり、回転伝達機構32がベルト326を具備している以外、図1に示す例とほぼ同じであるので、相違点のみ以下に説明する。円柱状の本体部312aの下端は水平部312bに連結し、水平部312bの内端は、回転軸部311の上端部に接合するための接合部312cに連結している。回転伝達機構32は駆動手段33に連結したシャフト321と、ベルト326とからなっており、ベルト326が歯車313,323に係合している。
【0035】
図5は、本発明の第二の態様における微細炭素繊維回収装置の一例を示す。この回収装置は巻き取り部材31と、巻き取り部材31に連結された駆動手段33とを具備している。巻き取り部材31は円板状の回転体316と、回転体316の中心に回転体316に垂直に取り付けられた回転軸部311と、回転軸部311の反対側で回転体316に垂直に取り付けられた複数の巻き取り棒312とを具備している。回転軸部311は回収部14内に水平に設けられており、回収部14の側壁に設けられた開口部から突出して、回収部14に横設された駆動手段33に連結している。
【0036】
図6に示す例は、巻き取り棒312が反応炉の軸線に対して約45度となるように設けられている以外、図5に示す例とほぼ同じであるので、相違点のみ以下に説明する。ギアボックス315が回収チャンバ2の一角に設けられており、巻き取り部材31はギアボックス315のベアリング及び回収チャンバの底部に設けられたベアリング314により斜めに支持されている。
【0037】
いずれの態様においても、巻き取り部材31は反応炉1の出口部12の近傍に設置するため、1000℃程度の高温の反応ガスに対して耐性を有する材料からなる必要がある。このような材料としては、金属、セラミック、炭素が挙げられる。金属としてはステンレススチール、アルミニウム合金等が好ましく、セラミックとしては焼結アルミナ等が好ましい。
【0038】
[3] 微細炭素繊維の回収方法
反応炉1内で生成した微細炭素繊維は、キャリアガスにより反応炉1の出口部12に設けられた回収部14に運ばれる。回収部14内又はその近傍に設置した巻き取り部材31を回転させることにより、巻き取り部材31に微細炭素繊維が絡まり、ロール状の微細炭素繊維巻回体Pが形成される。巻き取り部材31の先端部に設けられた巻き取り棒312は、回収部14の内壁付近を回動しても良いし、反応炉1の軸線に対して直交するか所定の角度で傾斜した状態で反応炉の回収部内を回動しても良い。巻き取り部材31の回転速度は、微細炭素繊維の生成速度、巻き取り部材31の形状等に応じて適宜決定するが、通常0.1〜10 rpm程度である。
【0039】
回収部14内で回転する巻き取り部材31に微細炭素繊維が接触すると、微細炭素繊維は巻き取り棒312に絡みついて巻き取られ、微細炭素繊維巻回体Pが形成される。一定の径になった微細炭素繊維巻回体Pは、回収部14に設けられた取り出し口16から取り出す。巻き取り部材31によって捕集されなかった微細炭素繊維P’は回収チャンバ2の底面に蓄積するので、回収チャンバ2の取り出し口25から適宜取り出す。回収チャンバ2に流入した反応後ガスは、出口21から流出して反応後ガス回収部(図示せず)に流入する。
【0040】
[3] 反応後ガスの回収
微細炭素繊維を回収した後、反応後ガス(未反応ガス、反応生成ガス及びキャリアガスを含む)を回収して再利用するのが好ましい。反応炉に再導入するガス中に微細炭素繊維が混入していると、この微細炭素繊維上にさらに炭素が成長することにより、繊維径の大きい微細炭素繊維が生成し、所望の繊維径でない微細炭素繊維が生成するおそれがある。このため再利用に先立って、巻き取り法によって回収されなかった微細炭素繊維をバグフィルター等のフィルターを使用してさらに回収しておくのが好ましい。
【0041】
微細炭素繊維の回収方法は特に限定されず、フィルタ、サイクロン又はこれらの組み合わせ等が使用できる。反応炉から出たガスは、概ね600℃以上の高温となっている。バグフィルタを用いる場合、このような高温のガスにバグフィルタを通過させることはできないので、反応後ガスの温度を下げた後でバグフィルタによる分離を行う必要がある。
【0042】
反応後ガスを反応炉に再導入する際、直接反応炉に戻してもよいし、原料ガス及び/又はキャリアガスと混合して反応炉に導入してもよい。例えば液体原料をガス化して使用する場合、原料ガスや混合された反応後ガスが液化しないように、予め反応後ガスを所定の温度に昇温しておくのが好ましい。またガス中に含まれる不純物が析出して製造装置内に付着することにより管が閉塞するのを防ぐため、反応炉に再導入するガスの温度は、40℃以上とするのが好ましく、60℃以上とするのがより好ましい。キャリアガスの使用量の低減と排ガス量の低減のため、反応後ガスの20%以上を反応炉へ再導入するのが好ましい。
【0043】
[3] 微細炭素繊維巻回体
本発明の回収方法により得られた微細炭素繊維巻回体は、綿状の微細炭素繊維がロール状に密に巻かれた形状であり、綿状の微細炭素繊維を巻き取ることにより作製できる。形成した微細炭素繊維巻回体は、所定の外径となった段階で回収装置から取り外す。得られた微細炭素繊維巻回体は、従来の方法により回収した微細炭素繊維と比較して密度が約3倍以上になっており、貯蔵及び輸送の効率が格段に向上する。また必要に応じてプラスチック容器に入れて脱気すれば、密度をさらに上げることができる。この場合、微細炭素繊維は絡み合っているので、エアとともに吸引されてしまうことがない。なお微細炭素繊維巻回体のサイズについては、適宜設定することができる。
【0044】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0045】
実施例1
微細炭素繊維としてカーボンナノチューブを製造するために、図4に示すように回収部14を有する垂直型の反応炉1を使用した。回収チャンバ2に取り付けられた回収装置3の巻き取り部材31はステンレススチール製の巻き取り棒312を有し、巻き取り棒312は回収部14(内径500 mm)内を垂直に延在する円柱状の本体部312aと、本体部312aの下端に連結する水平部312bと、本体部312aと回転軸部311とを連結する垂直の接合部312cとからなり、本体部312aの外径は10 mmであり、本体部312aの長さは500 mmであった。また水平部312bの長さは300 mmであった。
【0046】
1250℃に加熱した反応炉1に、原料のトルエンを0.025 NL/minで供給し、触媒のフェロセン及び硫黄を1.1 g/minで供給した。また水素をキャリアガスとして、60 NL/minで供給した。反応炉内をほぼ常圧とし、カーボンナノチューブを製造した。
【0047】
巻き取り部材31を10 rpmで回転させながら、キャリアガスにより回収部14に運ばれたカーボンナノチューブを巻き取り部材31の本体部312aに絡め、カーボンナノチューブのロール状巻回体として回収した。ロール状巻回体の外径は2〜3cmであり、嵩密度は約30 g/cm3であった。またカーボンナノチューブの平均繊維径は約22 nmであった。形成したカーボンナノチューブ巻回体の写真を図7に示す。写真から、カーボンナノチューブが密に巻き取られていることが分かる。これから、巻き取り部材31の本体部312aに絡みついた綿状のカーボンナノチューブ巻回体の半径が本体部312aと回収部14の内壁との間隔より十分に大きくなると、カーボンナノチューブ巻回体は回収部14の内壁により押しつぶされるとともに、垂直の本体部312aの周りを回転し、新たに巻きついた綿状のカーボンナノチューブは次々とロール状に巻かれていったと考えられる。
【0048】
実施例2
図5に示す回収装置を使用し、巻き取り部材31を10 rpmで回転させた以外、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブを回収した。巻き取り棒312はステンレススチール製の円柱(外径:20 mm、長さ:250 mm)であり、3本の巻き取り棒312が円板状の回転体316(外径200 mm)に等間隔に取り付けられていた。得られたカーボンナノチューブ巻回体の外径は3〜4cmであり、嵩密度は約30 g/cm3であった。
【0049】
実施例3
図6に示す回収装置を使用し、巻き取り部材31を20 rpmで回転させた以外、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブを回収した。巻き取り棒312はアルミナ製の円柱(外径:5mm、長さ:250 mm)であり、6本の巻き取り棒312が円板状の回転体316(外径300 mm)に等間隔に取り付けられていた。なお駆動手段33としてエアーモータを使用した。カーボンナノチューブ巻回体の外径は3〜4cmであり、嵩密度は約33 g/cm3であった。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、化学熱分解法の反応炉の回収部内又はその近傍に巻き取り部材を設け、巻き取り部材を回転させて微細炭素繊維をロール状に巻き取る本発明の回収方法により、化学熱分解反応を阻害することなく微細炭素繊維を回収できる。また本発明の回収装置は、化学熱分解法の反応炉の回収部内又はその近傍に微細炭素繊維を巻き取るための部材を有しており、この巻き取り部材を回転させることにより、微細炭素繊維を効率良く巻き取ることができる。さらに本発明の回収方法により得られる微細炭素繊維巻回体は、従来の方法により回収した微細炭素繊維より高密度であり、保管及び輸送の効率が格段に向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微細炭素繊維回収装置の一例を示す断面図である。
【図2】巻き取り部材を示す断面図であり、(a)は巻き取り部材の詳細を示し、(b)は(a)のB−B端面を示す。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の微細炭素繊維回収装置の別の例を示す断面図である。
【図5】本発明の微細炭素繊維回収装置のさらに別の例を示す断面図である。
【図6】本発明の微細炭素繊維回収装置のさらに別の例を示す断面図である。
【図7】実施例1で作製した微細炭素繊維巻回体を示す写真である。
【符号の説明】
1・・・反応炉
11・・・供給部
12・・・出口部
13・・・本体部
14・・・回収部
15・・・ヒータ
2・・・回収チャンバ
21・・・出口
22、23、24・・・開口部
25・・・取り出し口
3・・・巻き取り装置
31・・・巻き取り部材
311・・・回転軸部
312・・・巻き取り棒
313・・・歯車
314・・・ベアリング
315・・・ギアボックス
316・・・回転体
32・・・回転伝達機構
321、322・・・シャフト
323・・・歯車
324・・・ベアリング
325・・・ギアボックス
326・・・ベルト
33・・・駆動手段
P・・・微細炭素繊維巻回体
Claims (21)
- 反応炉内で化学熱分解法により製造した微細炭素繊維を回収する方法において、前記反応炉の回収部内又はその近傍に前記微細炭素繊維を巻き取るための部材を設け、前記巻き取り部材を回転させることにより前記微細炭素繊維をロール状に巻き取ることを特徴とする微細炭素繊維の回収方法。
- 請求項1に記載の微細炭素繊維の回収方法において、前記微細炭素繊維の集合体が綿状であることを特徴とする方法。
- 請求項1又は2に記載の微細炭素繊維の回収方法において、前記微細炭素繊維がカーボンナノチューブであることを特徴とする方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の微細炭素繊維の回収方法において、前記巻き取り部材が柱状であることを特徴とする方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の微細炭素繊維の回収方法において、前記巻き取り部材が回転軸部と、前記回転軸部の先端部に直接又は回転体を介して設けられた少なくとも1本の巻き取り棒とからなり、前記巻き取り棒が前記反応炉の軸線に対して平行か直角又は傾斜していることを特徴とする方法。
- 請求項5に記載の微細炭素繊維の回収方法において、前記回転体がクランク軸状又は円板状であることを特徴とする方法。
- 請求項6に記載の微細炭素繊維の回収方法において、前記巻き取り部材は前記回転軸部と前記回転体とがクランク軸を形成する形状を有し、前記回転体の先端部に設けられた巻き取り棒は前記反応炉の回収部の内壁付近を回動することを特徴とする方法。
- 請求項6に記載の微細炭素繊維の回収方法において、前記巻き取り部材の前記回転体の先端部に設けられた巻き取り棒は、前記反応炉の軸線に対して直交するか所定の角度で傾斜する状態で前記反応炉の回収部内を回動することを特徴とする方法。
- 請求項5〜8のいずれかに記載の微細炭素繊維の回収方法において、前記巻き取り棒が異形断面を有することを特徴とする方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の微細炭素繊維の回収方法において、前記巻き取り部材の回転速度が0.1〜10 rpmであることを特徴とする方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の微細炭素繊維の回収方法において、前記巻き取り棒が金属、セラミック又は炭素からなることを特徴とする方法。
- 反応炉内で化学熱分解法により製造した微細炭素繊維を回収する装置において、前記反応炉の回収部内又はその近傍に設けられた前記微細炭素繊維の巻き取り部材と、前記巻き取り部材を回転させる駆動部とを具備し、前記巻き取り部材を回転させることにより前記微細炭素繊維をロール状に巻き取ることを特徴とする微細炭素繊維の回収装置。
- 請求項12に記載の微細炭素繊維の回収装置において、前記巻き取り部材が柱状であることを特徴とする装置。
- 請求項12又は13に記載の微細炭素繊維の回収装置において、前記巻き取り部材が回転軸部と、前記回転軸部の先端部に直接又は回転体を介して設けられた少なくとも1本の巻き取り棒とからなり、前記巻き取り棒が前記反応炉の軸線に対して平行か直角、又は傾斜していることを特徴とする装置。
- 請求項14に記載の微細炭素繊維の回収装置において、前記回転体がクランク軸状又は円板状であることを特徴とする装置。
- 請求項15に記載の微細炭素繊維の回収装置において、前記巻き取り部材は前記回転軸部と前記回転体とがクランク軸を形成する形状を有し、前記回転体の先端部に設けられた巻き取り棒は前記反応炉の回収部の内壁付近を回動することを特徴とする装置。
- 請求項15に記載の微細炭素繊維の回収装置において、前記巻き取り部材の前記回転体の先端部に設けられた巻き取り棒は、前記反応炉の軸線に対して直交するか所定の角度で傾斜する状態で前記反応炉の回収部内を回動することを特徴とする装置。
- 請求項13〜17のいずれかに記載の微細炭素繊維の回収装置において、前記巻き取り棒が異形断面を有することを特徴とする装置。
- 請求項12〜18のいずれかに記載の微細炭素繊維の回収装置において、前記巻き取り部材の回転速度が0.1〜10 rpmであることを特徴とする装置。
- 請求項12〜19のいずれかに記載の微細炭素繊維の回収装置において、前記巻き取り棒が金属、セラミック又は炭素からなることを特徴とする装置。
- 綿状の微細炭素繊維集合体がロール状に密に巻かれていることを特徴とする微細炭素繊維巻回体。
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