JP2004190126A - 耐食性に優れたマグネシウム合金板材 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐食性に優れたバリウム及び/又はカルシウム薄膜被覆マグネシウム合金板材を提供する。
【解決手段】(1)バリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆したマグネシウム合金板材において、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在することを特徴とする耐食性に優れたマグネシウム合金板材。(2)バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みが、0.7μm以上であることを特徴とする前記(1)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。(3)マグネシウム合金板材が圧延したものであることを特徴とする前記(1)乃至(2)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。(4)マグネシウム合金板材の圧延伸び率が、5〜500倍であることを特徴とする前記(3)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。
【選択図】なし
【解決手段】(1)バリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆したマグネシウム合金板材において、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在することを特徴とする耐食性に優れたマグネシウム合金板材。(2)バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みが、0.7μm以上であることを特徴とする前記(1)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。(3)マグネシウム合金板材が圧延したものであることを特徴とする前記(1)乃至(2)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。(4)マグネシウム合金板材の圧延伸び率が、5〜500倍であることを特徴とする前記(3)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性に優れたマグネシウム合金板材、およびその製造法に関する。特に、マグネシウム合金板材表面をバリウム(Ba)及び/又はカルシウム(Ca)薄膜で被覆して、密着性を従来になく向上させ、酸、アルカリに対する耐腐食性を飛躍的に高めたマグネシウム合金板材に関するものである。またバリウム及び/又はカルシウム薄膜を被覆することにより、表面の滑り性を大幅に改良して、温間加工、冷間加工と言った加工適性に優れたマグネシウム合金板材を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
近時、自転車、オートバイ、介護用具、自動車、パソコン、携帯電話、MDプレイヤー等の軽量化が求められている。特に航空機や自動車用途には、省エネルギーの観点から強く軽量化が求められている。現在大量に使用されている自動車鋼板の代替として、機械的強度を維持しながら、軽量化を達成しなければならない。
【0003】
ところで、代替金属としてマグネシウム、アルミニウム等が挙げられる。特にマグネシウム(Mg)の比重は1.8(g/cm3)、軽金属の代表格アルミニウムの3分の2(Alの比重2.7(g/cm3))、鉄の4分の1(Feの比重7.9(g/cm3))以下である。実用金属の中でもっとも軽い。マグネシウムは、地球の地殻物質で8番目に豊富な元素である。その量は地殻組成の2.1%、海水に1.3%/1含まれるなど無尽蔵に存在する。マグネシウムを含む鉱石は広く分布し、海水にも金属元素としてはナトリウムに次いで多く含まれ、精錬さえできれば世界中どこでも供給の枯渇する心配がない。資源環境の視点からみても魅力的な材料である。
【0004】
軽くて強い金属「マグネシウム」が期待を集めている。マグネシウムは、工業材料としておよそ100年の歴史があるが、欧米を中心に航空機や自動車材料として用いられ、どちらかと言えば特殊な材料と見られてきた。ところが最近は、ノートパソコンやMDプレーヤー、携帯電話などポータブルな情報電子機器のハウジング材として、マグネシウム合金製の部品が急速に広がりを見せている。
【0005】
マグネシウム合金の1番の特徴はその軽量性にあるが、その他にも数々の優れた特性・個性を持っている。強度、鋼性、熱伝導性、振動吸収性、メタリックの高級感・高い質感、電磁シールド性、そしてリサイクル性も特徴の1つとなっている。また、金属なので溶かして容易に再利用できる。リサイクルの際の消費エネルギーは、新地金を造る場合の4%程度で済む。更にユニークな特性の1つに、耐くぼみ性や振動吸収性がある。マグネシウム合金は物がぶつかった際にできるくぼみが、アルミニウム合金などより小さいという特性がある。耐くぼみ性を生かして旅行用トランクのフレームやコンテナケースなどに応用されている。他のユニークな特性の1つは、振動吸収性で、振動のエネルギーを熱として吸収・消散させる減衰能が高い。一般に重い材料ほど減衰能は高く、マグネシウム合金は例外的に軽量でかつ高い減衰能を持つ唯一の金属である。この特性は、チェーンソーのボディーなどに生かされている。
【0006】
そういった意味で、マグネシウム合金板材は格好の材料である。自転車、オートバイ、介護用具、自動車、航空機等といった用途のマグネシウム合金板材に、近年の進歩著しい塗料・塗装技術を適用すると、完成品を一見しただけでは素材が金属なのかプラスチックなのか分からないところまで来ているが、厳しい自然条件下の使用では、従来のマグネシウム合金板材の陽極酸化等で付与した耐食性ではなお不十分で、より耐食性を改善することが求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、従来のマグネシウム合金板材の陽極酸化等での耐食性に較べて、金属薄膜のマグネシウム合金板材への密着性を従来になく向上させ、酸、アルカリに対する耐腐食性を飛躍的に高めたマグネシウム合金板材、およびその製造法に関するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、従来検討しても成功しなかったマグネシウム合金板材へのバリウム及び/又はカルシウム薄膜の被覆を、バリウム及び/又はカルシウム塩の分散液中で電解メッキすることによって達成し、本発明に到達したものである。すなわち本発明は、
(1)「マグネシウム合金板材表面を、バリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆したマグネシウム合金板材において、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在することを特徴とする耐食性に優れたマグネシウム合金板材。」
(2)「バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みが、0.7μm以上であることを特徴とする(1)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。」
(3)「マグネシウム合金板材が圧延したものであることを特徴とする(1)(2)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。」
(4)「マグネシウム合金板材の圧延伸び率が、5〜500倍であることを特徴とする(3)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。」により達成される。
【0009】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の「マグネシウム合金板材表面を、バリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆したマグネシウム合金板材において、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在することを特徴とする耐食性に優れたマグネシウム合金板材。」は、マグネシウム合金板材をバリウム及び/又はカルシウム塩の分散液中で電解メッキして、バリウム及び/又はカルシウム薄膜をマグネシウム合金板材の表面に被覆し、しかるのち、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込むよう、双方の金属が共存する層を形成することによって、耐食性に優れたマグネシウム合金板材を得ることが出来る。
【0010】
マグネシウム合金板材をバリウム及び/又はカルシウム塩の分散液中で電解メッキする方法に、
▲1▼カチオン型▲2▼アニオン型があり、前者カチオン型には、1)「溶液中で、イオン状態のもの」と、2)「溶液中で、錯体状態のもの」が有るが、これ等の方法に限定されるものではない。
【0011】
カチオン型の内、溶液中、イオン状態で電解メッキする方法は、マグネシウムイオンと共存させて、錯化合物化するのを防いで、電解共析させる方法である。具体的には、例えば、下記の組成、条件で電解メッキすると達成される。下記はバリウムの場合であるが、括弧内は、カルシウムの場合を示す。バリウム及びカルシウムの混合メッキの場合は、例えば、a)塩化バリウム及び塩化カルシウム、又はb)硝酸バリウム及び硝酸カルシウムを適宜組み合わせて、目的とする厚みの薄膜が得られるまで電流密度、時間の組み合わせを変えて、メッキすれば良い。浴組成と作業条件を下記に示す。
a)浴組成と作業条件
塩化バリウム ; 140〜340g/l
(塩化カルシウム ; 75〜180g/l)
塩酸 ; 15〜40g/l
錯化剤 ; 適量
マグネシウムイオン ; 20〜200mg/l
温度 ; 15〜45℃
陰極電流密度 ; 1〜10A/dm2
撹拌 ; マグネチックスターラー
b浴組成と作業条件
硝酸バリウム ; 180〜430g/l
(硝酸カルシウム ; 110〜270g/l)
硝酸 ; 25〜65g/l
錯化剤 ; 適量
マグネシウムイオン ; 20〜200mg/l
温度 ; 15〜45℃
陰極電流密度 ; 1〜10A/dm2
撹拌 ; マグネチックスターラー
【0012】
カチオン型の内、溶液中で錯体状態で電解メッキする方法は、溶液を撹拌し、錯化合物化したバリウム及び/又はカルシウムを分散させ、電解析出させる方法である。有機溶媒(エーテル類、メタノール類)溶液中にアルミニウムイオンとバリウム及び/又はカルシウムを可溶させ、メッキする。具体的には、例えば、下記の組成、条件で電解メッキすると達成される。下記はバリウムの場合であるが、括弧内は、カルシウムの場合を示す。バリウム及びカルシウムの混合メッキの場合は、バリウムイオン及びカルシウムイオンを適宜組み合わせて、目的とする厚みの薄膜が得られるまで電流密度、時間の組み合わせを変えて、メッキすれば良い。浴組成と作業条件を下記に示す。
c)浴組成と作業条件
酸化亜鉛 ; 10〜25g/l
水酸化ナトリウム ; 100〜200g/l
錯化剤 ; 適量
バリウムイオン ; 20〜100mg/l
(カルシウムイオン ; 5〜30mg/l)
温度 ; 15〜40℃
陰極電流密度 ; 0.5〜8A/dm2
撹拌 ; マグネチックスターラー
【0013】
この他、マグネシウム合金板材表面を、バリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆する方法には、無電解メッキ法等もあるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0014】
ここでいう、マグネシウム合金板材としては、例えば、AZ31、ZK10、ZK30、AZ21、AZ91、その他のマグネシウム合金などを用いることができる。
【0015】
マグネシウム合金板材の表面を、バリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆すると高い耐食性が得られる理由は明らかではないが、バリウム及びカルシウムイオンは、マグネシウムイオンより電気陰性度が大きく、マグネシウム合金板材の表面に、マグネシウムとバリウム又はカルシウムとの酸化物皮膜を形成するためと推定される。この酸化物皮膜が絶縁体であり、電解メッキが絶縁体部分を避けて、導電体部分に優先的に行われ、結果としてマグネシウム合金板材全体、裏面にまで廻り込んで実施されるため、耐食性にきわめて優れたマグネシウム合金板材が得られるものと推定される。
【0016】
一般に、金属素材に電解メッキ法で金属薄膜を被覆した後、密着性を上げ剥離を防ぐ目的で、メッキ終了後、常温で2〜3ヶ月間放置(エージング)して、しかる後使用することが行われる。その理由は明らかではないが、金属素材と電解メッキした金属薄膜がお互いの金属層に若干でも入り込むため、密着性があがることを経験的に知っていたのであろう。本発明のバリウム、カルシウムとマグネシウムはいずれも、周期律表第II族に属し、相溶性が極めて良好で、密着性が良い。従って、バリウム及び/又はカルシウムとマグネシウムは、お互いの金属層に入り込んで、一種の傾斜金属を形成して、密着性を飛躍的に向上するので、エージングを短縮することが出来る。工業レベルで製造する場合、メッキ後数ヶ月もエージングすることは避けたい。従って、エージングを短縮する手段として、マグネシウム合金板材の本来の性質を損なわない範囲で、バリウム及び/又はカルシウムを含有させるとか、またはバリウム及び/又はカルシウムメッキ時にマグネシウムを混在させるといった方策を取っても良い。
【0017】
マグネシウム合金板材とバリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆した金属薄膜との間の密着性を向上する好ましい手段として、熱をかけてエージングすれば良い。上述の理由でもともと相溶性は良いが、加熱してエージングすれば相溶が促進され、密着性が飛躍的に向上する。従って、従来のエージング法では、常温で数ヶ月を要していたものを、本発明では、加熱することで数時間にまで短縮することが可能となったのである。エージングは、温度、時間及びこれらの組み合わせによって異なるが、ダイキャスト、チキソモールディング、圧延板材等の成型されたマグネシウム合金板材とバリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆した金属薄膜との間の密着性は、例えば、150℃〜450℃の温度で、数分から数十時間加熱すると、飛躍的に向上する。好ましくは、200〜400℃で、5分〜20時間加熱することが好ましいが、これらの方法に限定されるものではない。
【0018】
マグネシウム合金板材とバリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆した金属薄膜との間の密着性を向上するため、高温で加熱するが、酸化劣化するので、酸化劣化を防止する目的で、例えば400℃以上では、保護雰囲気として炭酸ガス、亜硫酸ガス或いは、炭酸ガスに六弗化硫黄を0.5〜1.5%加えたものを用いるほうが良い。
【0019】
次に「バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みが、0.7μm以上である耐食性に優れたマグネシウム合金板材」について述べる。
【0020】
上述のマグネシウム合金を、ダイカスト法、チクソモールド法、圧延法等で作製したマグネシウム合金板材に、電解メッキ法で金属バリウム及び/又はカルシウム薄膜を、0.5〜15μm被覆することが好ましい。このようなマグネシウム合金板材は、耐食性に優れるが、密着性に劣るので、温間加工、冷間加工等の成型加工時に加わった応力で、金属バリウム及び/又はカルシウム薄膜が剥離し、この点が起点となって、錆が発生する。従って、錆の発生を防止するためには、密着性を向上する必要がある。そのためには、上述の加熱処理を適宜施して、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みを、0.7μm以上にすることが良い。好ましくは、1μm以上であることが良い。バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みの上限は、電解メッキ法で金属バリウム及び/又はカルシウムを被覆する厚みにも依存するが、2.5μm程度である。金属バリウム及び/又はカルシウムを被覆する厚みは、1〜10μm程度が好ましい。バリウム及び/又はカルシウム薄膜が余り薄いと、酸、アルカリ状態での耐食性に劣り問題である。バリウム及び/又はカルシウム薄膜が厚いと、耐食性に優れ好ましいが、マグネシウム合金板材の表面に、金属マグネシウムとバリウム及び/又はカルシウム薄膜が形成され、やがてマグネシウムとバリウム及び/又はカルシウムとの酸化物皮膜が表面に形成される。この酸化物皮膜が絶縁体であり、電解メッキが絶縁体部分を避けて、導電体部分に優先的に向かうため、バリウム及び/又はカルシウム酸化物皮膜の成長がとまり、バリウム及び/又はカルシウム薄膜厚みに限界が生ずる。バリウム及び/又はカルシウム薄膜厚みは、凡そ15μm程度が限界である。厚みが厚くなるに従って、薄膜成長スピードが抑えられるので、採算性の観点からは、10μm程度に抑えるのが良い。電解メッキであるので、絶縁体部分を避けて導電体部分に向かったバリウム及び/又はカルシウム薄膜は、マグネシウム合金板材の裏面や、窪みや、突起物の裏側に廻り込み、より完全にメッキするため、副次的効果として、非常に耐食性に優れたマグネシウム合金板材を作製する事が出来る。
【0021】
ここで、▲1▼マグネシウム合金板材表面を、電解メッキ法で金属バリウム及び/又はカルシウムで被覆したときの金属薄膜厚み、及び▲2▼バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みの測定法について述べる。これらはいずれも、Mg合金板材表面を、電解メッキ法で金属(バリウム及び/又はカルシウム)を被覆した試料片を2枚重ね合わせて包埋し、断面を研磨して、研磨面を導電処理したものを検鏡試料とした。断面観察を、a)走査電子顕微鏡(SEM)及び、b)電子プローブX線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて写真撮影し、写真より、▲1▼マグネシウム合金板材表面を、電解メッキ法で金属バリウム及び/又はカルシウムで被覆したときの金属薄膜厚み、及び▲2▼バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みを測定した。
<断面観察>
a)走査電子顕微鏡(SEM);
2000倍で写真撮影。
b)電子プローブX線マイクロアナライザー(EPMA);
加速電圧:15kV、試料電流:20nA、
マッピング元素:Mg、Ba、Ca(Mg合金に由来のAlもマッピング)
2000倍、5000倍でカラー写真撮影。
【0022】
次に「マグネシウム合金板材が圧延したものである(1)(2)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材」について述べる。
【0023】
これまでは、「マグネシウム合金板材に、金属バリウム及び/又はカルシウム薄膜を、0.5〜15μm被覆した耐食性に優れたマグネシウム合金板材」について述べた。しかしながら、ダイカスト法、チクソモールド法などで成型したマグネシウム合金板材は、その用途によっては機械的強度が不十分であり、もっと機械的強度の強い板材の出現が望まれていた。更には、機械的強度の強い板材を使用して、温間加工、冷間加工も可能である。そういった意味で、マグネシウム合金の有する軽量化の特徴を生かした、機械的強度に優れたマグネシウム合金板材の出現が待望されていた。かかる機械的強度に優れたマグネシウム合金板材は、マグネシウム合金板材を圧延することによって得られる。以下にマグネシウム合金板材の圧延方法について述べる。
【0024】
(圧延工程および圧延装置)
次に、特願2002−229821号(平成14年8月7日出願)に詳細が記載されているが、スラブの圧延工程について説明する。
固体のマグネシウム合金を、圧延ロール間に一回以上繰返し通過させて圧延加工する際に、圧延ロールの前後に設けられた、ガスと空気の混合比の調節により燃焼温度の調節可能なバーナー等の加熱手段を用いて、マグネシウム合金の加工に最適な温度に調温し、温間圧延を行う。
【0025】
圧延装置は、圧延ロールがマグネシウム合金の圧延材に接触することにより圧延材から抜熱した熱量を、圧延ロールの表面に与えることにより調温する圧延ロール調温手段を備える。さらに、圧延材を温間圧延に適した温度に調温するとともに、スラブ内の温度変化を5%以下とする均熱化を行う圧延材調温手段を備える。
【0026】
圧延は温間圧延とし、実験により、圧延の諸条件を決定した。圧延工程においては、スラブ(たとえば50mm×500mm×500mm)を、圧延ロールの間を複数回往復させて圧延する。たとえば25mm×500mm×500mmの寸法のスラブを用いた場合において、幅広がりを圧下量×0.5とすると圧延後の寸法が0.5mm×515mm×24.1mの圧延板材である合金材が製造できる。
【0027】
マグネシウム合金はある温度において加工特性が向上する。これにより圧延温度と変形抵抗、これに基づく圧下率、パス数などの圧延に関する条件が変わる。圧延中、圧延材の素材温度を一定に保つため、圧延ロールによる圧延工程の前後において、上記ガスバーナー等による圧延材調温手段を配置し、調温と均熱化をコントロールする。
スラブの温度は圧延に適した温度に保持され、コントロールされることにより再加熱などの工程を最小限に留める。圧延材調温手段の過熱によるシート加熱炉の温度は好ましい一例では300℃前後とし、圧延材は300℃程度に調温される。このため、圧延に入る前に均熱炉と保熱炉による均熱と保熱によりスラブの温度を圧延に適した温度とし、スラブ内の温度差を5%以下とすることが望ましい。
【0028】
圧延ロールが圧延材に接触することにより圧延材から抜熱をするが、抜熱した熱量を、圧延ロール加熱手段により圧延ロールの表面に与えることにより調温する。外部よりガスバーナー等の圧延ロール加熱手段を用いて加熱することにより、圧延ロールの温度は好ましい一例では250℃前後に保たれる。圧延が開始されると圧延材からも圧延ロールが熱を吸収し、圧延ロールの温度は300℃近くなる。圧延ロールはたとえば4段として、ワークロール直径が150mmのものを使用し、バックアップロールは400mmのものを使用することができる。圧延材が圧延ロールを通過するごとに圧延ロール間の隙間および圧力を変え、徐々に圧延を行う。
【0029】
圧延素材の質などの条件により、圧延回数に応じて、圧延ロールの隙間および、圧力はあらかじめ決められるので、コンピュータに数値等を記憶しておき、条件に応じた数値等のデータを読み出して、圧延装置の制御手段により、油圧などのコントロール手段を使い、1回の圧延ごとに、圧延ローラの隙間および、圧力を自動変更する。
【0030】
圧延材は圧延ロールを通過するごとに、薄く、面積も大きくなる。厚さが3mm程度になった時点で圧延ロールの前後にある巻き取りロールによって交互に巻き取り、巻き戻しを繰り返し、圧延を行う。圧延ごとに圧延方向の面積が大きくなる。厚さ50mmのスラブを0.5mmとするには、好ましい一例としては40パス程度のパス数が必要である。巻き取りロールも保温して、圧延材の搬送が容易になる。圧延を終了する最も薄い板厚は特に限定されないが、0.2mm程度で圧延を終了する。このコイル状に巻き取られた板材を焼鈍に適した温度に加熱し、レベラーにかけて歪みをとることにより、結晶粒の細かい良質のマグネシウムのコイル材ができる。巻き取られたマグネシウム合金のコイル材は、コイル先端をクロップカットし、水冷や空冷等によって冷却し、コイルを巻き取りロールから抜き出して完成する。
【0031】
マグネシウム合金板材の圧延伸び率が、5〜500倍であることが好ましい。圧延伸び率が大きければそれだけ機械的強度が大きくなるが、圧延伸び率が大きすぎると、圧延の繰り返し回数が多く、工数がかかりすぎる。従って、このような場合は、出発インゴットの厚みを薄くすれば良い。圧延伸び率は、好ましくは50〜250倍が良い。
【0032】
マグネシウム合金板材の板厚、板幅、板長さは、用途に応じて適宜決定すれば良いが、それぞれそれぞれ0.05mm〜50mm厚、50mm〜4m幅、50mm〜1000m長さ程度が良い。好ましくは、0.1mm〜10mm厚、100mm〜2m幅、500mm〜100m長さ程度が良い。
【0033】
以下に実施例をもって説明するが、これらの方法に限定されるものではない。
【0034】
【実施例】1〜5
【比較例】1
実施例1〜5、比較例1〜2は、チクソモールド法で作製した10cm×10cm角、厚み0.5mmのマグネシウム板(AZ31)面に、下記の浴組成と作業条件で、メッキ厚みが7.03μmのバリウム薄膜を設け、一層密着性を良くするために、200℃で熱処理時間を変えてエージングして、バリウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みを変えた試料を作製した(表1)。しかる後、塩水噴霧テスト、密着性テストを実施して、錆の発生状況、塗膜の剥離状況等を観察した。
浴組成と作業条件
塩化バリウム ; 240g/l
塩酸 ; 28g/l
錯化剤 ; 適量
マグネシウムイオン ; 110mg/l
温度 ; 20℃
陰極電流密度 ; 1.0A/dm2
メッキ時間 ; 30分
撹拌 ; マグネチックスターラー
【0035】
ここで、
(1)塩水噴霧テストは、5%食塩水を、35℃で500時間噴霧して、錆の発生状況を、◎、○、×で評価した。
◎:錆の発生が全くなく、問題ないもの
○:錆の発生が殆どないが、マグネシウム素材に見られる凸凹部分に僅かに錆の徴候が見られた。
×:多くの錆が発生
(2)密着性テストは、バリウムメッキしたマグネシウム合金板材試験片に、まずプライマーとしてエポキシ系塗料を乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、150℃で20分間焼付けたのち、アクリル系塗料を乾燥膜厚が30μmになるように塗布し、150℃で20分間焼付けることにより、2層仕上げとした。
この塗装板について、セロテープを用いる碁盤目試験法によって、塗膜密着性を評価した。さらに、同一マグネシウム合金板材試験片を用いて、試料下部に素地まで達するクロスカットを施し、5重量%塩化ナトリウム水溶液を用いた塩水噴霧試験法(JIS Z−2371)により、連続塩水噴霧を2,000時間行って、表面へのブリスター(塗膜のふくれ)発生とクロスカット部での塗膜の剥離を観察し、◎、○、×で評価した。
◎:表面及びクロスカット部に変化が認められず、クロスカット部からの塗膜剥離も生じなかった。
○:表面及びクロスカット部に変化が認められなかったが、クロスカット部からの塗膜剥離がやや認められた。
×:表面に多数のブリスター(塗膜のふくれ)の発生が認められ、またクロスカット部の塗膜剥離が顕著であった。
【0036】
【0037】
以上の結果から、バリウム薄膜を電解メッキ法により被覆したマグネシウム合金板材を加熱処理して、(バリウム+マグネシウム)金属共存層が存在するものは耐食性に優れ、殊更(バリウム+マグネシウム)金属共存層厚みが0.7μm以上のものは、耐食性に優れることが理解される。(バリウム+マグネシウム)金属共存層厚みの上限は特に限定されないが、1.9μm程度まで耐食性に優れることが理解される。
【0038】
【実施例】6
【比較例】2
次に、25mm×500mm×500mmの寸法のマグネシウムスラブ(AZ31)を用いて、マグネシウム合金を、圧延ロールの温度300℃になるように設定しながら、数十パス圧延して、圧延伸び率50倍のマグネシウム合金板材を作製した。すなわち、寸法が0.5mm厚み×515mm幅×24.1m長のマグネシウム合金板材を作製し、実施例6及び比較例2の実験に使用した。
【0039】
実施例6は、作製した上記圧延マグネシウム合金板材を、実施例1〜5と同様の条件でバリウムメッキして、バリウムメッキ薄膜の厚みが、7.02μmであった。実施例2と同じ条件で熱処理(200℃、30分)した。バリウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みはEPMAの解析結果から、0.7μmであった。比較例2は、作製した上記圧延マグネシウム合金板材を、公知の「めっき技術ガイド」(1996年4月15日全国鍍金組合連合会発行の非売品のページ318〜321)に記載の化学ニッケルメッキ法でメッキして後、一層密着性を良くするために、200℃、1時間の熱処理をして、1ヶ月放置(エージング)して仕上げた。作製したサンプルは、ニッケルメッキ薄膜の厚みが、7.51μmであった。
【0040】
実施例6、比較例2のサンプルを、表1の実施例1〜5、比較例1に記載の塩水噴霧テスト(5%食塩水を、35℃で500時間噴霧)、密着性テストを実施したところ、実施例6は、錆の発生もなく、密着性も特に問題なく、いずれも使用可能な◎レベルであったが、比較例2は、錆が発生し、密着性も悪く、いずれも使用に耐えない、×レベルであった。
【0041】
実施例6のサンプルは、200℃、2秒間加熱したいわゆる温間加工条件で、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が出来ると共に、常温で、加熱を施さない、いわゆる冷間加工でも、バリウム薄膜の滑りが良いせいか、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が可能であった。一方比較例2のサンプルを、200℃、2秒加熱したいわゆる温間加工条件で、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が出来た。しかしながら、常温で、加熱を施さない、いわゆる冷間加工では、同様にマグネシウム合金板材の表面のニッケルメッキ薄膜が剥離し、電子機器用部品に成型加工出来ず、製品とはならなかった。
【0042】
以上の結果から、圧延マグネシウム合金板材にバリウム薄膜を設け、加熱処理した板材は、耐食性、塗膜密着性に優れた材料であることが理解される。更に、加熱することなく、加工サイクルを短縮して、効率よく成型加工が可能であり、生産性を著しく向上した材料であることが理解される。
【0043】
【実施例】7〜11
【比較例】3
実施例7〜11、比較例3は、実施例1〜5、比較例1と同様に、チクソモールド法で作製した10cm×10cm角、厚み0.5mmのマグネシウム板(AZ31)面に、下記の浴組成と作業条件で、メッキ厚みが7.51μmのカルシウム薄膜を設け、一層密着性を良くするために、220℃で熱処理時間を変えてエージングして、カルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みを変えた試料を作製した(表2)。しかる後、塩水噴霧テスト、密着性テストを実施して、錆の発生状況、塗膜の剥離状況等を観察した。
浴組成と作業条件
硝酸カルシウム ; 190g/l
硝酸 ; 50g/l
錯化剤 ; 適量
マグネシウムイオン ; 100mg/l
温度 ; 20℃
陰極電流密度 ; 5.0A/dm2
撹拌 ; マグネチックスターラー
ここで、
(1)塩水噴霧テスト、及び(2)密着性テストは、実施例1〜5、比較例1の場合と同じ基準で評価した。
【0044】
【0045】
以上の結果から、
カルシウム薄膜を電解メッキ法により被覆したマグネシウム合金板材を加熱処理して、(カルシウム+マグネシウム)金属共存層が存在するものは耐食性に優れ、殊更(カルシウム+マグネシウム)金属共存層厚みが0.7μm以上のものは、耐食性に優れることが理解される。(カルシウム+マグネシウム)金属共存層厚みの上限は特に限定されないが、1.9μm程度まで耐食性に優れることが理解される。
【0046】
【実施例】12
次に、実施例12は、実施例6、比較例2で使用した圧延伸び率50倍のマグネシウム合金板材を使用して、実施例7〜11と同様の条件でカルシウムメッキして、カルシウム薄膜が7.10μmのサンプルを作製した。実施例8と同じ条件で熱処理(220℃、30分)した。カルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みはEPMAの解析結果から、0.7μmであった。
【0047】
実施例12のサンプルを、表1の実施例1〜5、表2の実施例7〜11、比較例1、比較例3に記載の塩水噴霧テスト(5%食塩水を、35℃で500時間噴霧)、密着性テストを実施したところ、実施例12は、錆の発生もなく、密着性も特に問題なく、いずれも使用可能な◎レベルであった。
【0048】
実施例12のサンプルは、200℃、2秒間加熱したいわゆる温間加工条件で、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が出来ると共に、常温で、加熱を施さない、いわゆる冷間加工でも、カルシウム薄膜の滑りが良いせいか、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が可能であった。
【0049】
以上の結果から、圧延マグネシウム合金板材にカルシウム薄膜を設け、加熱処理した板材は、耐食性、塗膜密着性に優れた材料であることが理解される。更に、加熱することなく、加工サイクルを短縮して、効率よく成型加工が可能であり、生産性を著しく向上した材料であることが理解される。
【0050】
【実施例】13〜17
【比較例】4
実施例13〜17、比較例4は、実施例1〜5、実施例7〜11、比較例1、比較例3と同様に、チクソモールド法で作製した10cm×10cm角、厚み0.5mmのマグネシウム板(AZ31)面に、下記の浴組成(有機溶媒としてメタノールを使用)と作業条件で、メッキ厚みが7.32μmのバリウム薄膜を設け、一層密着性を良くするために、200℃で熱処理時間を変えてエージングして、バリウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みを変えた試料を作製した(表3)。しかる後、塩水噴霧テスト、密着性テストを実施して、錆の発生状況、塗膜の剥離状況等を観察した。
浴組成と作業条件(メタノール溶液)
塩化亜鉛 ; 20g/l
水酸化ナトリウム ; 165g/l
錯化剤 ; 適量
塩化バリウム ; 105mg/l
温度 ; 20℃
陰極電流密度 ; 2.0A/dm2
撹拌 ; マグネチックスターラー
【0051】
【0052】
以上の結果から、
バリウム薄膜を電解メッキ法により被覆したマグネシウム合金板材を加熱処理して、(バリウム+マグネシウム)金属共存層が存在するものは耐食性に優れ、殊更(バリウム+マグネシウム)金属共存層厚みが0.7μm以上のものは、耐食性に優れることが理解される。
【0053】
【実施例】18
次に、実施例18は、実施例6、実施例12、比較例2で使用した圧延伸び率50倍のマグネシウム合金板材を使用して、実施例13〜17と同様の条件でバリウムメッキして、バリウム薄膜が7.05μmのサンプルを作製した。実施例14と同じ条件で熱処理(200℃、30分)した。バリウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みはEPMAの解析結果から、0.7μmであった。
【0054】
実施例18のサンプルを、表1の実施例1〜5、比較例1、表2の実施例7〜11、比較例3、表3の実施例13〜17、比較例4に記載の塩水噴霧テスト(5%食塩水を、35℃で500時間噴霧)、密着性テストを実施したところ、実施例18は、錆の発生もなく、密着性も特に問題なく、いずれも使用可能な◎レベルであった。
【0055】
実施例18のサンプルは、200℃、2秒間加熱したいわゆる温間加工条件で、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が出来ると共に、常温で、加熱を施さない、いわゆる冷間加工でも、バリウム薄膜の滑りが良いせいか、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が可能であった。
【0056】
以上の結果から、圧延マグネシウム合金板材にバリウム薄膜を設け、加熱処理した板材は、耐食性、塗膜密着性に優れた材料であることが理解される。更に、加熱することなく、加工サイクルを短縮して、効率よく成型加工が可能であり、生産性を著しく向上した材料であることが理解される。
【0057】
以上の結果から、
(1)本発明により得られる、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在するマグネシウム合金板材は、耐食性に優れていることが理解される。
(2)本発明により得られる、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在するか、双方の金属が共存する層の厚みが、0.7μm以上であるマグネシウム合金板材は、耐食性に優れていることが理解される。
(3)本発明により得られる、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在するか、双方の金属が共存する層の厚みが、0.7μm以上であるマグネシウム合金板材を圧延したものは、耐食性に優れていることが理解される。
(4)本発明により得られる、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在するか、双方の金属が共存する層の厚みが0.7μm以上である、圧延伸び率が、5〜500倍であるマグネシウム合金板材は、耐食性に優れていることが理解される。
【0058】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在するマグネシウム合金板材は、耐食性に優れ、殊更、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在する圧延されたマグネシウム合金板材は、冷間加工等の加工適性に優れ、加えて、加工後の耐食性にも優れているので、工程での省力化、省エネルギー化が可能であるという優れた効果がある。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性に優れたマグネシウム合金板材、およびその製造法に関する。特に、マグネシウム合金板材表面をバリウム(Ba)及び/又はカルシウム(Ca)薄膜で被覆して、密着性を従来になく向上させ、酸、アルカリに対する耐腐食性を飛躍的に高めたマグネシウム合金板材に関するものである。またバリウム及び/又はカルシウム薄膜を被覆することにより、表面の滑り性を大幅に改良して、温間加工、冷間加工と言った加工適性に優れたマグネシウム合金板材を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
近時、自転車、オートバイ、介護用具、自動車、パソコン、携帯電話、MDプレイヤー等の軽量化が求められている。特に航空機や自動車用途には、省エネルギーの観点から強く軽量化が求められている。現在大量に使用されている自動車鋼板の代替として、機械的強度を維持しながら、軽量化を達成しなければならない。
【0003】
ところで、代替金属としてマグネシウム、アルミニウム等が挙げられる。特にマグネシウム(Mg)の比重は1.8(g/cm3)、軽金属の代表格アルミニウムの3分の2(Alの比重2.7(g/cm3))、鉄の4分の1(Feの比重7.9(g/cm3))以下である。実用金属の中でもっとも軽い。マグネシウムは、地球の地殻物質で8番目に豊富な元素である。その量は地殻組成の2.1%、海水に1.3%/1含まれるなど無尽蔵に存在する。マグネシウムを含む鉱石は広く分布し、海水にも金属元素としてはナトリウムに次いで多く含まれ、精錬さえできれば世界中どこでも供給の枯渇する心配がない。資源環境の視点からみても魅力的な材料である。
【0004】
軽くて強い金属「マグネシウム」が期待を集めている。マグネシウムは、工業材料としておよそ100年の歴史があるが、欧米を中心に航空機や自動車材料として用いられ、どちらかと言えば特殊な材料と見られてきた。ところが最近は、ノートパソコンやMDプレーヤー、携帯電話などポータブルな情報電子機器のハウジング材として、マグネシウム合金製の部品が急速に広がりを見せている。
【0005】
マグネシウム合金の1番の特徴はその軽量性にあるが、その他にも数々の優れた特性・個性を持っている。強度、鋼性、熱伝導性、振動吸収性、メタリックの高級感・高い質感、電磁シールド性、そしてリサイクル性も特徴の1つとなっている。また、金属なので溶かして容易に再利用できる。リサイクルの際の消費エネルギーは、新地金を造る場合の4%程度で済む。更にユニークな特性の1つに、耐くぼみ性や振動吸収性がある。マグネシウム合金は物がぶつかった際にできるくぼみが、アルミニウム合金などより小さいという特性がある。耐くぼみ性を生かして旅行用トランクのフレームやコンテナケースなどに応用されている。他のユニークな特性の1つは、振動吸収性で、振動のエネルギーを熱として吸収・消散させる減衰能が高い。一般に重い材料ほど減衰能は高く、マグネシウム合金は例外的に軽量でかつ高い減衰能を持つ唯一の金属である。この特性は、チェーンソーのボディーなどに生かされている。
【0006】
そういった意味で、マグネシウム合金板材は格好の材料である。自転車、オートバイ、介護用具、自動車、航空機等といった用途のマグネシウム合金板材に、近年の進歩著しい塗料・塗装技術を適用すると、完成品を一見しただけでは素材が金属なのかプラスチックなのか分からないところまで来ているが、厳しい自然条件下の使用では、従来のマグネシウム合金板材の陽極酸化等で付与した耐食性ではなお不十分で、より耐食性を改善することが求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、従来のマグネシウム合金板材の陽極酸化等での耐食性に較べて、金属薄膜のマグネシウム合金板材への密着性を従来になく向上させ、酸、アルカリに対する耐腐食性を飛躍的に高めたマグネシウム合金板材、およびその製造法に関するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、従来検討しても成功しなかったマグネシウム合金板材へのバリウム及び/又はカルシウム薄膜の被覆を、バリウム及び/又はカルシウム塩の分散液中で電解メッキすることによって達成し、本発明に到達したものである。すなわち本発明は、
(1)「マグネシウム合金板材表面を、バリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆したマグネシウム合金板材において、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在することを特徴とする耐食性に優れたマグネシウム合金板材。」
(2)「バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みが、0.7μm以上であることを特徴とする(1)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。」
(3)「マグネシウム合金板材が圧延したものであることを特徴とする(1)(2)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。」
(4)「マグネシウム合金板材の圧延伸び率が、5〜500倍であることを特徴とする(3)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。」により達成される。
【0009】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の「マグネシウム合金板材表面を、バリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆したマグネシウム合金板材において、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在することを特徴とする耐食性に優れたマグネシウム合金板材。」は、マグネシウム合金板材をバリウム及び/又はカルシウム塩の分散液中で電解メッキして、バリウム及び/又はカルシウム薄膜をマグネシウム合金板材の表面に被覆し、しかるのち、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込むよう、双方の金属が共存する層を形成することによって、耐食性に優れたマグネシウム合金板材を得ることが出来る。
【0010】
マグネシウム合金板材をバリウム及び/又はカルシウム塩の分散液中で電解メッキする方法に、
▲1▼カチオン型▲2▼アニオン型があり、前者カチオン型には、1)「溶液中で、イオン状態のもの」と、2)「溶液中で、錯体状態のもの」が有るが、これ等の方法に限定されるものではない。
【0011】
カチオン型の内、溶液中、イオン状態で電解メッキする方法は、マグネシウムイオンと共存させて、錯化合物化するのを防いで、電解共析させる方法である。具体的には、例えば、下記の組成、条件で電解メッキすると達成される。下記はバリウムの場合であるが、括弧内は、カルシウムの場合を示す。バリウム及びカルシウムの混合メッキの場合は、例えば、a)塩化バリウム及び塩化カルシウム、又はb)硝酸バリウム及び硝酸カルシウムを適宜組み合わせて、目的とする厚みの薄膜が得られるまで電流密度、時間の組み合わせを変えて、メッキすれば良い。浴組成と作業条件を下記に示す。
a)浴組成と作業条件
塩化バリウム ; 140〜340g/l
(塩化カルシウム ; 75〜180g/l)
塩酸 ; 15〜40g/l
錯化剤 ; 適量
マグネシウムイオン ; 20〜200mg/l
温度 ; 15〜45℃
陰極電流密度 ; 1〜10A/dm2
撹拌 ; マグネチックスターラー
b浴組成と作業条件
硝酸バリウム ; 180〜430g/l
(硝酸カルシウム ; 110〜270g/l)
硝酸 ; 25〜65g/l
錯化剤 ; 適量
マグネシウムイオン ; 20〜200mg/l
温度 ; 15〜45℃
陰極電流密度 ; 1〜10A/dm2
撹拌 ; マグネチックスターラー
【0012】
カチオン型の内、溶液中で錯体状態で電解メッキする方法は、溶液を撹拌し、錯化合物化したバリウム及び/又はカルシウムを分散させ、電解析出させる方法である。有機溶媒(エーテル類、メタノール類)溶液中にアルミニウムイオンとバリウム及び/又はカルシウムを可溶させ、メッキする。具体的には、例えば、下記の組成、条件で電解メッキすると達成される。下記はバリウムの場合であるが、括弧内は、カルシウムの場合を示す。バリウム及びカルシウムの混合メッキの場合は、バリウムイオン及びカルシウムイオンを適宜組み合わせて、目的とする厚みの薄膜が得られるまで電流密度、時間の組み合わせを変えて、メッキすれば良い。浴組成と作業条件を下記に示す。
c)浴組成と作業条件
酸化亜鉛 ; 10〜25g/l
水酸化ナトリウム ; 100〜200g/l
錯化剤 ; 適量
バリウムイオン ; 20〜100mg/l
(カルシウムイオン ; 5〜30mg/l)
温度 ; 15〜40℃
陰極電流密度 ; 0.5〜8A/dm2
撹拌 ; マグネチックスターラー
【0013】
この他、マグネシウム合金板材表面を、バリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆する方法には、無電解メッキ法等もあるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0014】
ここでいう、マグネシウム合金板材としては、例えば、AZ31、ZK10、ZK30、AZ21、AZ91、その他のマグネシウム合金などを用いることができる。
【0015】
マグネシウム合金板材の表面を、バリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆すると高い耐食性が得られる理由は明らかではないが、バリウム及びカルシウムイオンは、マグネシウムイオンより電気陰性度が大きく、マグネシウム合金板材の表面に、マグネシウムとバリウム又はカルシウムとの酸化物皮膜を形成するためと推定される。この酸化物皮膜が絶縁体であり、電解メッキが絶縁体部分を避けて、導電体部分に優先的に行われ、結果としてマグネシウム合金板材全体、裏面にまで廻り込んで実施されるため、耐食性にきわめて優れたマグネシウム合金板材が得られるものと推定される。
【0016】
一般に、金属素材に電解メッキ法で金属薄膜を被覆した後、密着性を上げ剥離を防ぐ目的で、メッキ終了後、常温で2〜3ヶ月間放置(エージング)して、しかる後使用することが行われる。その理由は明らかではないが、金属素材と電解メッキした金属薄膜がお互いの金属層に若干でも入り込むため、密着性があがることを経験的に知っていたのであろう。本発明のバリウム、カルシウムとマグネシウムはいずれも、周期律表第II族に属し、相溶性が極めて良好で、密着性が良い。従って、バリウム及び/又はカルシウムとマグネシウムは、お互いの金属層に入り込んで、一種の傾斜金属を形成して、密着性を飛躍的に向上するので、エージングを短縮することが出来る。工業レベルで製造する場合、メッキ後数ヶ月もエージングすることは避けたい。従って、エージングを短縮する手段として、マグネシウム合金板材の本来の性質を損なわない範囲で、バリウム及び/又はカルシウムを含有させるとか、またはバリウム及び/又はカルシウムメッキ時にマグネシウムを混在させるといった方策を取っても良い。
【0017】
マグネシウム合金板材とバリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆した金属薄膜との間の密着性を向上する好ましい手段として、熱をかけてエージングすれば良い。上述の理由でもともと相溶性は良いが、加熱してエージングすれば相溶が促進され、密着性が飛躍的に向上する。従って、従来のエージング法では、常温で数ヶ月を要していたものを、本発明では、加熱することで数時間にまで短縮することが可能となったのである。エージングは、温度、時間及びこれらの組み合わせによって異なるが、ダイキャスト、チキソモールディング、圧延板材等の成型されたマグネシウム合金板材とバリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆した金属薄膜との間の密着性は、例えば、150℃〜450℃の温度で、数分から数十時間加熱すると、飛躍的に向上する。好ましくは、200〜400℃で、5分〜20時間加熱することが好ましいが、これらの方法に限定されるものではない。
【0018】
マグネシウム合金板材とバリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆した金属薄膜との間の密着性を向上するため、高温で加熱するが、酸化劣化するので、酸化劣化を防止する目的で、例えば400℃以上では、保護雰囲気として炭酸ガス、亜硫酸ガス或いは、炭酸ガスに六弗化硫黄を0.5〜1.5%加えたものを用いるほうが良い。
【0019】
次に「バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みが、0.7μm以上である耐食性に優れたマグネシウム合金板材」について述べる。
【0020】
上述のマグネシウム合金を、ダイカスト法、チクソモールド法、圧延法等で作製したマグネシウム合金板材に、電解メッキ法で金属バリウム及び/又はカルシウム薄膜を、0.5〜15μm被覆することが好ましい。このようなマグネシウム合金板材は、耐食性に優れるが、密着性に劣るので、温間加工、冷間加工等の成型加工時に加わった応力で、金属バリウム及び/又はカルシウム薄膜が剥離し、この点が起点となって、錆が発生する。従って、錆の発生を防止するためには、密着性を向上する必要がある。そのためには、上述の加熱処理を適宜施して、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みを、0.7μm以上にすることが良い。好ましくは、1μm以上であることが良い。バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みの上限は、電解メッキ法で金属バリウム及び/又はカルシウムを被覆する厚みにも依存するが、2.5μm程度である。金属バリウム及び/又はカルシウムを被覆する厚みは、1〜10μm程度が好ましい。バリウム及び/又はカルシウム薄膜が余り薄いと、酸、アルカリ状態での耐食性に劣り問題である。バリウム及び/又はカルシウム薄膜が厚いと、耐食性に優れ好ましいが、マグネシウム合金板材の表面に、金属マグネシウムとバリウム及び/又はカルシウム薄膜が形成され、やがてマグネシウムとバリウム及び/又はカルシウムとの酸化物皮膜が表面に形成される。この酸化物皮膜が絶縁体であり、電解メッキが絶縁体部分を避けて、導電体部分に優先的に向かうため、バリウム及び/又はカルシウム酸化物皮膜の成長がとまり、バリウム及び/又はカルシウム薄膜厚みに限界が生ずる。バリウム及び/又はカルシウム薄膜厚みは、凡そ15μm程度が限界である。厚みが厚くなるに従って、薄膜成長スピードが抑えられるので、採算性の観点からは、10μm程度に抑えるのが良い。電解メッキであるので、絶縁体部分を避けて導電体部分に向かったバリウム及び/又はカルシウム薄膜は、マグネシウム合金板材の裏面や、窪みや、突起物の裏側に廻り込み、より完全にメッキするため、副次的効果として、非常に耐食性に優れたマグネシウム合金板材を作製する事が出来る。
【0021】
ここで、▲1▼マグネシウム合金板材表面を、電解メッキ法で金属バリウム及び/又はカルシウムで被覆したときの金属薄膜厚み、及び▲2▼バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みの測定法について述べる。これらはいずれも、Mg合金板材表面を、電解メッキ法で金属(バリウム及び/又はカルシウム)を被覆した試料片を2枚重ね合わせて包埋し、断面を研磨して、研磨面を導電処理したものを検鏡試料とした。断面観察を、a)走査電子顕微鏡(SEM)及び、b)電子プローブX線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて写真撮影し、写真より、▲1▼マグネシウム合金板材表面を、電解メッキ法で金属バリウム及び/又はカルシウムで被覆したときの金属薄膜厚み、及び▲2▼バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みを測定した。
<断面観察>
a)走査電子顕微鏡(SEM);
2000倍で写真撮影。
b)電子プローブX線マイクロアナライザー(EPMA);
加速電圧:15kV、試料電流:20nA、
マッピング元素:Mg、Ba、Ca(Mg合金に由来のAlもマッピング)
2000倍、5000倍でカラー写真撮影。
【0022】
次に「マグネシウム合金板材が圧延したものである(1)(2)に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材」について述べる。
【0023】
これまでは、「マグネシウム合金板材に、金属バリウム及び/又はカルシウム薄膜を、0.5〜15μm被覆した耐食性に優れたマグネシウム合金板材」について述べた。しかしながら、ダイカスト法、チクソモールド法などで成型したマグネシウム合金板材は、その用途によっては機械的強度が不十分であり、もっと機械的強度の強い板材の出現が望まれていた。更には、機械的強度の強い板材を使用して、温間加工、冷間加工も可能である。そういった意味で、マグネシウム合金の有する軽量化の特徴を生かした、機械的強度に優れたマグネシウム合金板材の出現が待望されていた。かかる機械的強度に優れたマグネシウム合金板材は、マグネシウム合金板材を圧延することによって得られる。以下にマグネシウム合金板材の圧延方法について述べる。
【0024】
(圧延工程および圧延装置)
次に、特願2002−229821号(平成14年8月7日出願)に詳細が記載されているが、スラブの圧延工程について説明する。
固体のマグネシウム合金を、圧延ロール間に一回以上繰返し通過させて圧延加工する際に、圧延ロールの前後に設けられた、ガスと空気の混合比の調節により燃焼温度の調節可能なバーナー等の加熱手段を用いて、マグネシウム合金の加工に最適な温度に調温し、温間圧延を行う。
【0025】
圧延装置は、圧延ロールがマグネシウム合金の圧延材に接触することにより圧延材から抜熱した熱量を、圧延ロールの表面に与えることにより調温する圧延ロール調温手段を備える。さらに、圧延材を温間圧延に適した温度に調温するとともに、スラブ内の温度変化を5%以下とする均熱化を行う圧延材調温手段を備える。
【0026】
圧延は温間圧延とし、実験により、圧延の諸条件を決定した。圧延工程においては、スラブ(たとえば50mm×500mm×500mm)を、圧延ロールの間を複数回往復させて圧延する。たとえば25mm×500mm×500mmの寸法のスラブを用いた場合において、幅広がりを圧下量×0.5とすると圧延後の寸法が0.5mm×515mm×24.1mの圧延板材である合金材が製造できる。
【0027】
マグネシウム合金はある温度において加工特性が向上する。これにより圧延温度と変形抵抗、これに基づく圧下率、パス数などの圧延に関する条件が変わる。圧延中、圧延材の素材温度を一定に保つため、圧延ロールによる圧延工程の前後において、上記ガスバーナー等による圧延材調温手段を配置し、調温と均熱化をコントロールする。
スラブの温度は圧延に適した温度に保持され、コントロールされることにより再加熱などの工程を最小限に留める。圧延材調温手段の過熱によるシート加熱炉の温度は好ましい一例では300℃前後とし、圧延材は300℃程度に調温される。このため、圧延に入る前に均熱炉と保熱炉による均熱と保熱によりスラブの温度を圧延に適した温度とし、スラブ内の温度差を5%以下とすることが望ましい。
【0028】
圧延ロールが圧延材に接触することにより圧延材から抜熱をするが、抜熱した熱量を、圧延ロール加熱手段により圧延ロールの表面に与えることにより調温する。外部よりガスバーナー等の圧延ロール加熱手段を用いて加熱することにより、圧延ロールの温度は好ましい一例では250℃前後に保たれる。圧延が開始されると圧延材からも圧延ロールが熱を吸収し、圧延ロールの温度は300℃近くなる。圧延ロールはたとえば4段として、ワークロール直径が150mmのものを使用し、バックアップロールは400mmのものを使用することができる。圧延材が圧延ロールを通過するごとに圧延ロール間の隙間および圧力を変え、徐々に圧延を行う。
【0029】
圧延素材の質などの条件により、圧延回数に応じて、圧延ロールの隙間および、圧力はあらかじめ決められるので、コンピュータに数値等を記憶しておき、条件に応じた数値等のデータを読み出して、圧延装置の制御手段により、油圧などのコントロール手段を使い、1回の圧延ごとに、圧延ローラの隙間および、圧力を自動変更する。
【0030】
圧延材は圧延ロールを通過するごとに、薄く、面積も大きくなる。厚さが3mm程度になった時点で圧延ロールの前後にある巻き取りロールによって交互に巻き取り、巻き戻しを繰り返し、圧延を行う。圧延ごとに圧延方向の面積が大きくなる。厚さ50mmのスラブを0.5mmとするには、好ましい一例としては40パス程度のパス数が必要である。巻き取りロールも保温して、圧延材の搬送が容易になる。圧延を終了する最も薄い板厚は特に限定されないが、0.2mm程度で圧延を終了する。このコイル状に巻き取られた板材を焼鈍に適した温度に加熱し、レベラーにかけて歪みをとることにより、結晶粒の細かい良質のマグネシウムのコイル材ができる。巻き取られたマグネシウム合金のコイル材は、コイル先端をクロップカットし、水冷や空冷等によって冷却し、コイルを巻き取りロールから抜き出して完成する。
【0031】
マグネシウム合金板材の圧延伸び率が、5〜500倍であることが好ましい。圧延伸び率が大きければそれだけ機械的強度が大きくなるが、圧延伸び率が大きすぎると、圧延の繰り返し回数が多く、工数がかかりすぎる。従って、このような場合は、出発インゴットの厚みを薄くすれば良い。圧延伸び率は、好ましくは50〜250倍が良い。
【0032】
マグネシウム合金板材の板厚、板幅、板長さは、用途に応じて適宜決定すれば良いが、それぞれそれぞれ0.05mm〜50mm厚、50mm〜4m幅、50mm〜1000m長さ程度が良い。好ましくは、0.1mm〜10mm厚、100mm〜2m幅、500mm〜100m長さ程度が良い。
【0033】
以下に実施例をもって説明するが、これらの方法に限定されるものではない。
【0034】
【実施例】1〜5
【比較例】1
実施例1〜5、比較例1〜2は、チクソモールド法で作製した10cm×10cm角、厚み0.5mmのマグネシウム板(AZ31)面に、下記の浴組成と作業条件で、メッキ厚みが7.03μmのバリウム薄膜を設け、一層密着性を良くするために、200℃で熱処理時間を変えてエージングして、バリウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みを変えた試料を作製した(表1)。しかる後、塩水噴霧テスト、密着性テストを実施して、錆の発生状況、塗膜の剥離状況等を観察した。
浴組成と作業条件
塩化バリウム ; 240g/l
塩酸 ; 28g/l
錯化剤 ; 適量
マグネシウムイオン ; 110mg/l
温度 ; 20℃
陰極電流密度 ; 1.0A/dm2
メッキ時間 ; 30分
撹拌 ; マグネチックスターラー
【0035】
ここで、
(1)塩水噴霧テストは、5%食塩水を、35℃で500時間噴霧して、錆の発生状況を、◎、○、×で評価した。
◎:錆の発生が全くなく、問題ないもの
○:錆の発生が殆どないが、マグネシウム素材に見られる凸凹部分に僅かに錆の徴候が見られた。
×:多くの錆が発生
(2)密着性テストは、バリウムメッキしたマグネシウム合金板材試験片に、まずプライマーとしてエポキシ系塗料を乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、150℃で20分間焼付けたのち、アクリル系塗料を乾燥膜厚が30μmになるように塗布し、150℃で20分間焼付けることにより、2層仕上げとした。
この塗装板について、セロテープを用いる碁盤目試験法によって、塗膜密着性を評価した。さらに、同一マグネシウム合金板材試験片を用いて、試料下部に素地まで達するクロスカットを施し、5重量%塩化ナトリウム水溶液を用いた塩水噴霧試験法(JIS Z−2371)により、連続塩水噴霧を2,000時間行って、表面へのブリスター(塗膜のふくれ)発生とクロスカット部での塗膜の剥離を観察し、◎、○、×で評価した。
◎:表面及びクロスカット部に変化が認められず、クロスカット部からの塗膜剥離も生じなかった。
○:表面及びクロスカット部に変化が認められなかったが、クロスカット部からの塗膜剥離がやや認められた。
×:表面に多数のブリスター(塗膜のふくれ)の発生が認められ、またクロスカット部の塗膜剥離が顕著であった。
【0036】
【0037】
以上の結果から、バリウム薄膜を電解メッキ法により被覆したマグネシウム合金板材を加熱処理して、(バリウム+マグネシウム)金属共存層が存在するものは耐食性に優れ、殊更(バリウム+マグネシウム)金属共存層厚みが0.7μm以上のものは、耐食性に優れることが理解される。(バリウム+マグネシウム)金属共存層厚みの上限は特に限定されないが、1.9μm程度まで耐食性に優れることが理解される。
【0038】
【実施例】6
【比較例】2
次に、25mm×500mm×500mmの寸法のマグネシウムスラブ(AZ31)を用いて、マグネシウム合金を、圧延ロールの温度300℃になるように設定しながら、数十パス圧延して、圧延伸び率50倍のマグネシウム合金板材を作製した。すなわち、寸法が0.5mm厚み×515mm幅×24.1m長のマグネシウム合金板材を作製し、実施例6及び比較例2の実験に使用した。
【0039】
実施例6は、作製した上記圧延マグネシウム合金板材を、実施例1〜5と同様の条件でバリウムメッキして、バリウムメッキ薄膜の厚みが、7.02μmであった。実施例2と同じ条件で熱処理(200℃、30分)した。バリウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みはEPMAの解析結果から、0.7μmであった。比較例2は、作製した上記圧延マグネシウム合金板材を、公知の「めっき技術ガイド」(1996年4月15日全国鍍金組合連合会発行の非売品のページ318〜321)に記載の化学ニッケルメッキ法でメッキして後、一層密着性を良くするために、200℃、1時間の熱処理をして、1ヶ月放置(エージング)して仕上げた。作製したサンプルは、ニッケルメッキ薄膜の厚みが、7.51μmであった。
【0040】
実施例6、比較例2のサンプルを、表1の実施例1〜5、比較例1に記載の塩水噴霧テスト(5%食塩水を、35℃で500時間噴霧)、密着性テストを実施したところ、実施例6は、錆の発生もなく、密着性も特に問題なく、いずれも使用可能な◎レベルであったが、比較例2は、錆が発生し、密着性も悪く、いずれも使用に耐えない、×レベルであった。
【0041】
実施例6のサンプルは、200℃、2秒間加熱したいわゆる温間加工条件で、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が出来ると共に、常温で、加熱を施さない、いわゆる冷間加工でも、バリウム薄膜の滑りが良いせいか、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が可能であった。一方比較例2のサンプルを、200℃、2秒加熱したいわゆる温間加工条件で、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が出来た。しかしながら、常温で、加熱を施さない、いわゆる冷間加工では、同様にマグネシウム合金板材の表面のニッケルメッキ薄膜が剥離し、電子機器用部品に成型加工出来ず、製品とはならなかった。
【0042】
以上の結果から、圧延マグネシウム合金板材にバリウム薄膜を設け、加熱処理した板材は、耐食性、塗膜密着性に優れた材料であることが理解される。更に、加熱することなく、加工サイクルを短縮して、効率よく成型加工が可能であり、生産性を著しく向上した材料であることが理解される。
【0043】
【実施例】7〜11
【比較例】3
実施例7〜11、比較例3は、実施例1〜5、比較例1と同様に、チクソモールド法で作製した10cm×10cm角、厚み0.5mmのマグネシウム板(AZ31)面に、下記の浴組成と作業条件で、メッキ厚みが7.51μmのカルシウム薄膜を設け、一層密着性を良くするために、220℃で熱処理時間を変えてエージングして、カルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みを変えた試料を作製した(表2)。しかる後、塩水噴霧テスト、密着性テストを実施して、錆の発生状況、塗膜の剥離状況等を観察した。
浴組成と作業条件
硝酸カルシウム ; 190g/l
硝酸 ; 50g/l
錯化剤 ; 適量
マグネシウムイオン ; 100mg/l
温度 ; 20℃
陰極電流密度 ; 5.0A/dm2
撹拌 ; マグネチックスターラー
ここで、
(1)塩水噴霧テスト、及び(2)密着性テストは、実施例1〜5、比較例1の場合と同じ基準で評価した。
【0044】
【0045】
以上の結果から、
カルシウム薄膜を電解メッキ法により被覆したマグネシウム合金板材を加熱処理して、(カルシウム+マグネシウム)金属共存層が存在するものは耐食性に優れ、殊更(カルシウム+マグネシウム)金属共存層厚みが0.7μm以上のものは、耐食性に優れることが理解される。(カルシウム+マグネシウム)金属共存層厚みの上限は特に限定されないが、1.9μm程度まで耐食性に優れることが理解される。
【0046】
【実施例】12
次に、実施例12は、実施例6、比較例2で使用した圧延伸び率50倍のマグネシウム合金板材を使用して、実施例7〜11と同様の条件でカルシウムメッキして、カルシウム薄膜が7.10μmのサンプルを作製した。実施例8と同じ条件で熱処理(220℃、30分)した。カルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みはEPMAの解析結果から、0.7μmであった。
【0047】
実施例12のサンプルを、表1の実施例1〜5、表2の実施例7〜11、比較例1、比較例3に記載の塩水噴霧テスト(5%食塩水を、35℃で500時間噴霧)、密着性テストを実施したところ、実施例12は、錆の発生もなく、密着性も特に問題なく、いずれも使用可能な◎レベルであった。
【0048】
実施例12のサンプルは、200℃、2秒間加熱したいわゆる温間加工条件で、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が出来ると共に、常温で、加熱を施さない、いわゆる冷間加工でも、カルシウム薄膜の滑りが良いせいか、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が可能であった。
【0049】
以上の結果から、圧延マグネシウム合金板材にカルシウム薄膜を設け、加熱処理した板材は、耐食性、塗膜密着性に優れた材料であることが理解される。更に、加熱することなく、加工サイクルを短縮して、効率よく成型加工が可能であり、生産性を著しく向上した材料であることが理解される。
【0050】
【実施例】13〜17
【比較例】4
実施例13〜17、比較例4は、実施例1〜5、実施例7〜11、比較例1、比較例3と同様に、チクソモールド法で作製した10cm×10cm角、厚み0.5mmのマグネシウム板(AZ31)面に、下記の浴組成(有機溶媒としてメタノールを使用)と作業条件で、メッキ厚みが7.32μmのバリウム薄膜を設け、一層密着性を良くするために、200℃で熱処理時間を変えてエージングして、バリウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みを変えた試料を作製した(表3)。しかる後、塩水噴霧テスト、密着性テストを実施して、錆の発生状況、塗膜の剥離状況等を観察した。
浴組成と作業条件(メタノール溶液)
塩化亜鉛 ; 20g/l
水酸化ナトリウム ; 165g/l
錯化剤 ; 適量
塩化バリウム ; 105mg/l
温度 ; 20℃
陰極電流密度 ; 2.0A/dm2
撹拌 ; マグネチックスターラー
【0051】
【0052】
以上の結果から、
バリウム薄膜を電解メッキ法により被覆したマグネシウム合金板材を加熱処理して、(バリウム+マグネシウム)金属共存層が存在するものは耐食性に優れ、殊更(バリウム+マグネシウム)金属共存層厚みが0.7μm以上のものは、耐食性に優れることが理解される。
【0053】
【実施例】18
次に、実施例18は、実施例6、実施例12、比較例2で使用した圧延伸び率50倍のマグネシウム合金板材を使用して、実施例13〜17と同様の条件でバリウムメッキして、バリウム薄膜が7.05μmのサンプルを作製した。実施例14と同じ条件で熱処理(200℃、30分)した。バリウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みはEPMAの解析結果から、0.7μmであった。
【0054】
実施例18のサンプルを、表1の実施例1〜5、比較例1、表2の実施例7〜11、比較例3、表3の実施例13〜17、比較例4に記載の塩水噴霧テスト(5%食塩水を、35℃で500時間噴霧)、密着性テストを実施したところ、実施例18は、錆の発生もなく、密着性も特に問題なく、いずれも使用可能な◎レベルであった。
【0055】
実施例18のサンプルは、200℃、2秒間加熱したいわゆる温間加工条件で、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が出来ると共に、常温で、加熱を施さない、いわゆる冷間加工でも、バリウム薄膜の滑りが良いせいか、特に問題なく電子機器用部品に成型加工が可能であった。
【0056】
以上の結果から、圧延マグネシウム合金板材にバリウム薄膜を設け、加熱処理した板材は、耐食性、塗膜密着性に優れた材料であることが理解される。更に、加熱することなく、加工サイクルを短縮して、効率よく成型加工が可能であり、生産性を著しく向上した材料であることが理解される。
【0057】
以上の結果から、
(1)本発明により得られる、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在するマグネシウム合金板材は、耐食性に優れていることが理解される。
(2)本発明により得られる、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在するか、双方の金属が共存する層の厚みが、0.7μm以上であるマグネシウム合金板材は、耐食性に優れていることが理解される。
(3)本発明により得られる、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在するか、双方の金属が共存する層の厚みが、0.7μm以上であるマグネシウム合金板材を圧延したものは、耐食性に優れていることが理解される。
(4)本発明により得られる、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在するか、双方の金属が共存する層の厚みが0.7μm以上である、圧延伸び率が、5〜500倍であるマグネシウム合金板材は、耐食性に優れていることが理解される。
【0058】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在するマグネシウム合金板材は、耐食性に優れ、殊更、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在する圧延されたマグネシウム合金板材は、冷間加工等の加工適性に優れ、加えて、加工後の耐食性にも優れているので、工程での省力化、省エネルギー化が可能であるという優れた効果がある。
Claims (4)
- マグネシウム合金板材表面を、バリウム及び/又はカルシウム薄膜で被覆したマグネシウム合金板材において、バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層が存在することを特徴とする耐食性に優れたマグネシウム合金板材。
- バリウム及び/又はカルシウム金属が、マグネシウム合金板材表面層に入り込んで、双方の金属が共存する層の厚みが、0.7μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。
- マグネシウム合金板材が圧延したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。
- マグネシウム合金板材の圧延伸び率が、5〜500倍であることを特徴とする請求項3に記載の耐食性に優れたマグネシウム合金板材。
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JP2002383095A JP2004190126A (ja) | 2002-12-10 | 2002-12-10 | 耐食性に優れたマグネシウム合金板材 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013245356A (ja) * | 2012-05-23 | 2013-12-09 | Denka Himaku Inc | 接合体、金属の防食処理方法及び金属母材 |
CN108525023A (zh) * | 2018-04-26 | 2018-09-14 | 重庆医科大学附属第三医院(捷尔医院) | 纯镁/涂层复合材料的应用及其制备方法 |
-
2002
- 2002-12-10 JP JP2002383095A patent/JP2004190126A/ja active Pending
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