JP2004189532A - 植物病害防除効果を有する安定な液体有機肥料 - Google Patents
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Abstract
【課題】ナス科植物その他有用作物の病害を防ぎ、それ自体の異臭、変質などの発生を防止し、保存性を高めた液体有機肥料を提供する。
【解決手段】フロロタンニン類は、褐藻類コンブ科の海藻(アラメ、ツルアラメ、クロメ、カジメ等)から抽出することによって得ることができる。液体有機肥料にフロロタンニン類の0.03〜0.10重量%添加することによって、液体有機肥料の保存性を高め、ナス科植物(ナス,トマト等)の養液栽培の現場でよく発生する青枯病、萎凋病(J1、J2)、根腐れ萎凋病(J3)等を防除することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】フロロタンニン類は、褐藻類コンブ科の海藻(アラメ、ツルアラメ、クロメ、カジメ等)から抽出することによって得ることができる。液体有機肥料にフロロタンニン類の0.03〜0.10重量%添加することによって、液体有機肥料の保存性を高め、ナス科植物(ナス,トマト等)の養液栽培の現場でよく発生する青枯病、萎凋病(J1、J2)、根腐れ萎凋病(J3)等を防除することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、ナス科植物その他の有用作物の青枯病、萎凋病(J1,J2)、根腐れ萎凋病(J3)等を起す病原菌に抗菌作用を示し、かつ異臭、変質などを抑制できる安定な液体有機肥料に関する。
【0002】
【従来の技術】
2001年4月有機農産物の認証制度が実施されて以来、認証制度を適用する良質かつ安定な液体有機肥料を含む有機質肥料が求められている。通常液体肥料は、各種の無機肥料要素を配合した粉末もしくは原液を適量の水で希釈して作られる。しかし、液体有機肥料を使用した場合には腐敗菌による異臭、変質などの問題が起こるため、日持ちよく安定な液体有機肥料の出現が望まれている。また、液体肥料をナス科の作物の養液栽培に使っている現場では青枯病、萎凋病、根腐れ萎凋病などの病害が多発している。このような観点から、植物病害防除効果を有し、日持ちがよく、安定な液体有機肥料の出現が望まれている。しかし、日持ちよくかつ植物病害防除効果をもつ液体有機肥料がいまのところ見当たらない。有機質肥料に抗菌成分を添加した例は見当たらず、近い技術として農薬に茶抽出物を添加した例(植物病原菌用抗菌剤(特許第2562355号公報伊藤園))がある。
また、液体有機肥料の保存に関する従来の方法は、化学合成物質の防腐剤を添加した、もしくは酸性水を利用することによるもの(特開平9ー262034号公報(有)清和ファーム)があるが、本発明者の調査した範囲では、天然物による保存技術は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術のこれらの問題点を解決することを目的としてなされたものである。すなわち、本発明は、腐敗菌による異臭及び変質の発生防止、ならびに養液栽培で発生する有用作物の病原菌の繁殖を防止することができる液体有機肥料を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、フロロタンニン類を添加した、貯蔵安定性が高く、植物病害防除効果を有する液体有機肥料に関する。
本発明におけるフロロタンニン類は、化学物質を用いてもよいが、褐藻類コンブ科の海藻から抽出して得られる物、特に褐藻類コンブ科の海藻(アラメ、ツルアラメ、クロメ、カジメ等)の粉末をメタノールで抽出し、抽出物を減圧濃縮し、この濃縮液にクロロホルムを添加し、上層部を酢酸エチルで抽出し、この抽出液を濃縮乾燥して得られるフロロタンニン類を多量に含有する濃縮乾燥物を用いることが好ましい。
【0005】
さらに、本発明は養液栽培で発生する作物の青枯病、萎凋病、根腐れ萎凋病等の防除をすることができる。植物の病害としては、ナス科植物(ナス、トマト等)の青枯病、萎凋病、根腐れ萎凋病、ウリ科植物(スイカ、キュウリ、メロン等)のつる割病、あるいはアブラナ科植物(ダイコン等)の萎黄病等がある。本発明では、これらの病害を防除することができる。
また、液体有機肥料自体の腐敗による変質及び異臭発生も抑制することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について説明する。
本発明における液体有機肥料は、米糠、菜種油粕等を微生物発酵させた物に適量の水を加えてから加熱することによって得られた上澄を用いる。しかし、市販の固形有機肥料を抽出した液体有機肥料もしくは市販の液体有機肥料も使用できる。これらは原液として用い、必要に応じて希釈して用いてもよい。
フロロタンニン類(Phlorotannin)は、フロログルシンあるいはそのヒドロキシ体の縮合物であって、褐藻類海藻中に広く分布している。フロログルシノール(phloroglucinol)、エコール(eckol)、フロロフコフロエコールA (phlorofucofuroeckol A)、ダイエコール(dieckol)、8,8’−バイエコール(8,8’ーbieckol)等が知られている。これらは単品を用いてもよいが、褐藻類コンブ科(カジメ属3種のカジメ、クロメ、ツルアラメとアラメ属アラメ等の多年生海藻)の抽出物を用いることが望ましい。
【0007】
これらのフロロタンニン類は、例えば、コンブ科海藻を粉砕し、メタノールで抽出し、抽出液を減圧濃縮し、濃縮液にクロロホルムと水を添加し、得られた上層部を酢酸エチルで抽出することによって得ることができる。この抽出液を濃縮乾燥し、フロロタンニン類として使用する。この濃縮物は、フロロタンニンの粗濃縮物となり、フロロタンニン類を70%以上含有した状態で得ることできる。
【0008】
本発明におけるフロロタンニン類は、この濃縮物を0.03〜0.10%(重量%、以下同じ)となるように液体有機肥料に添加する。添加量は、液体有機肥料に対して、0.03%〜0.10%で作物の病原菌の繁殖を阻止する。すなわち、0.03%で萎凋病、根腐れ萎凋病を防止し、0.04%で青枯病を防止する。また、0.04%〜0.05%で液体有機肥料の異臭発生を防止し、保存性が向上する。しかし、添加濃度が0.15〜0.2%になると、フロロタンニン類の沈殿が生ずるので、0.03〜0.10%が適量であると判断される。このようにすると、液体有機肥料を常温で長期間にわたり日持ちよく安定に使用することができる。
このようにして、フロロタンニン類を添加した液体有機肥料は通常の方法でナス科植物(ナス、トマト等)、ウリ科植物(キュウリ、スイカ、メロン等)、アブラナ科作物(ダイコン等)に施用する。その結果、ナス、トマト等の青枯病、萎凋病あるいは根腐れ萎凋病、キュウリ、スイカ、メロン等のつる割病、あるいはダイコンの萎黄病に対して植物病害防除効果を示す。
【0009】
次に、本発明の実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるべきではない。
【実施例】
(1)液体有機肥料の調製:米糠、菜種油粕等を微生物発酵して得られる固形有機肥料50gと700mlの水とを混ぜて調製した混合物を100℃で30分間加熱処理し、ろ過して固形物を分離し液体有機肥料を得た。
【0010】
(2)フロロタンニン類の抽出:クロメ粉砕物100gをメタノール800mlで抽出し、この抽出液を200mlに減圧濃縮した。この濃縮液にクロロホルム400mlと水150mlを添加し、得られた上層部を酢酸エチル(2×150ml)で抽出した。この抽出液を濃縮し、乾燥して粗フロロタンニン類を得た。この粗フロロタンニン類は、フロログルシノール(phloroglucinol:2%)、エコール(eckol:9%)、フロロフコフロエコールA(phlorofucofuroeckol A:28%)、ダイエコール(dieckol:24%)、8,8’−バイエコール(8,8’ーbieckol:7%)、その他(30%)で構成される。
【0011】
(3)液体有機肥料の腐敗による異臭発生に対するフロロタンニン類の抑制効果:前記(1)の液体有機肥料原液の希釈液(EC 0.84mS/cm、pH6.0)を調製した。この希釈液に前記(2)のフロロタンニン類(最終濃度が0及び0.05%)を添加し、100mlの透明ポリビンに50mlずつ入れ、蓋をせず30℃の恒温器に1週間放置した。その後経時的に各容器の菌の濃度(菌の数)を測定した。また、異臭の発生の有無は人間の臭覚により判定した。その結果を表1に示した。また、56日間を経過した原液およびフロロタンニン0.05%添加の原液の菌の数を平板培地希釈法で計算した。その結果を表2および図1に示した。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
(4)青枯病菌(Ralstonia solanecearum)に対するフロロタンニン類の抑制効果:数本の棉栓付き50ml容三角フラスコ中に10mlずつのPY培地(酵母エキス0.05%、ペプトン0.1%、グルコース0.25%,スクロース0.25%、NaCl0.3%、pH7.0)を注入し、110℃で20分間加熱滅菌した。冷却後、0〜0.2%のフロロタンニン類を含む10mlずつの滅菌水溶液を添加した。混合後、青枯病菌液の0.1mlずつを接種して、25℃で培養した(ブランクは菌液の代わりに滅菌水を使用した)。一定時間ごとに培養液の少量を無菌的に取り、細菌の増殖に伴う濁度の増加を分光光度計(セル幅1.0cm)によって測定した。なお、フロロタンニン類を添加しても培地のpHは変化しなかった。その結果を図2に示した。この実験によって、0.04%以上のフロロタンニン類で完全な静菌作用が現れた。0.03%は培養初期ではより低いフロロタンニン類と比べて抗菌作用を発揮したが、3日目になると抗菌作用はなくなることが判明した。この実験結果から0.04%以上のフロロタンニン類が培養日数と関係なく強い抗菌作用を有することが明らかであった。
【0015】
(5)根腐れ萎凋病菌、萎凋病菌(Fuzarium oxysporum)に対するフロロタンニン類の抑制効果:数本の棉栓付き試験管に5mlずつポテトデキストロース(Difco)液体培地を調製し、110℃×20分間加熱滅菌した。冷却後、フロロタンニン類(最終濃度0,0.01,0.02,0.03,0.04,0.05及び1.0%になるように)を添加した。根腐れ萎凋病菌液0.1mlずつを接種して、25℃で培養した。菌の増殖の有無を肉眼で観察した。その結果を表3に示す。この実験によって0.03%以上の濃度のフロロタンニン類を含む培養液ではF. oxysporumの増殖は肉眼で確認できなかった。
【0016】
【表3】
【0017】
【発明の効果】
本発明は腐敗菌による異臭及び変質の発生防止、ならびに養液栽培で発生する有用作物の病原菌の繁殖を防止することができる液体有機肥料を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体有機肥料(原液及びフロロタンニン類添加)の平板培地の培養結果を示した説明図である。(実施例3)
A:原液
B:フロロタンニン類添加液
【図2】各濃度のフロロタンニン類の青枯病菌に対する抗菌性を示した説明図である。(実施例4)
【発明が属する技術分野】
本発明は、ナス科植物その他の有用作物の青枯病、萎凋病(J1,J2)、根腐れ萎凋病(J3)等を起す病原菌に抗菌作用を示し、かつ異臭、変質などを抑制できる安定な液体有機肥料に関する。
【0002】
【従来の技術】
2001年4月有機農産物の認証制度が実施されて以来、認証制度を適用する良質かつ安定な液体有機肥料を含む有機質肥料が求められている。通常液体肥料は、各種の無機肥料要素を配合した粉末もしくは原液を適量の水で希釈して作られる。しかし、液体有機肥料を使用した場合には腐敗菌による異臭、変質などの問題が起こるため、日持ちよく安定な液体有機肥料の出現が望まれている。また、液体肥料をナス科の作物の養液栽培に使っている現場では青枯病、萎凋病、根腐れ萎凋病などの病害が多発している。このような観点から、植物病害防除効果を有し、日持ちがよく、安定な液体有機肥料の出現が望まれている。しかし、日持ちよくかつ植物病害防除効果をもつ液体有機肥料がいまのところ見当たらない。有機質肥料に抗菌成分を添加した例は見当たらず、近い技術として農薬に茶抽出物を添加した例(植物病原菌用抗菌剤(特許第2562355号公報伊藤園))がある。
また、液体有機肥料の保存に関する従来の方法は、化学合成物質の防腐剤を添加した、もしくは酸性水を利用することによるもの(特開平9ー262034号公報(有)清和ファーム)があるが、本発明者の調査した範囲では、天然物による保存技術は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術のこれらの問題点を解決することを目的としてなされたものである。すなわち、本発明は、腐敗菌による異臭及び変質の発生防止、ならびに養液栽培で発生する有用作物の病原菌の繁殖を防止することができる液体有機肥料を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、フロロタンニン類を添加した、貯蔵安定性が高く、植物病害防除効果を有する液体有機肥料に関する。
本発明におけるフロロタンニン類は、化学物質を用いてもよいが、褐藻類コンブ科の海藻から抽出して得られる物、特に褐藻類コンブ科の海藻(アラメ、ツルアラメ、クロメ、カジメ等)の粉末をメタノールで抽出し、抽出物を減圧濃縮し、この濃縮液にクロロホルムを添加し、上層部を酢酸エチルで抽出し、この抽出液を濃縮乾燥して得られるフロロタンニン類を多量に含有する濃縮乾燥物を用いることが好ましい。
【0005】
さらに、本発明は養液栽培で発生する作物の青枯病、萎凋病、根腐れ萎凋病等の防除をすることができる。植物の病害としては、ナス科植物(ナス、トマト等)の青枯病、萎凋病、根腐れ萎凋病、ウリ科植物(スイカ、キュウリ、メロン等)のつる割病、あるいはアブラナ科植物(ダイコン等)の萎黄病等がある。本発明では、これらの病害を防除することができる。
また、液体有機肥料自体の腐敗による変質及び異臭発生も抑制することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について説明する。
本発明における液体有機肥料は、米糠、菜種油粕等を微生物発酵させた物に適量の水を加えてから加熱することによって得られた上澄を用いる。しかし、市販の固形有機肥料を抽出した液体有機肥料もしくは市販の液体有機肥料も使用できる。これらは原液として用い、必要に応じて希釈して用いてもよい。
フロロタンニン類(Phlorotannin)は、フロログルシンあるいはそのヒドロキシ体の縮合物であって、褐藻類海藻中に広く分布している。フロログルシノール(phloroglucinol)、エコール(eckol)、フロロフコフロエコールA (phlorofucofuroeckol A)、ダイエコール(dieckol)、8,8’−バイエコール(8,8’ーbieckol)等が知られている。これらは単品を用いてもよいが、褐藻類コンブ科(カジメ属3種のカジメ、クロメ、ツルアラメとアラメ属アラメ等の多年生海藻)の抽出物を用いることが望ましい。
【0007】
これらのフロロタンニン類は、例えば、コンブ科海藻を粉砕し、メタノールで抽出し、抽出液を減圧濃縮し、濃縮液にクロロホルムと水を添加し、得られた上層部を酢酸エチルで抽出することによって得ることができる。この抽出液を濃縮乾燥し、フロロタンニン類として使用する。この濃縮物は、フロロタンニンの粗濃縮物となり、フロロタンニン類を70%以上含有した状態で得ることできる。
【0008】
本発明におけるフロロタンニン類は、この濃縮物を0.03〜0.10%(重量%、以下同じ)となるように液体有機肥料に添加する。添加量は、液体有機肥料に対して、0.03%〜0.10%で作物の病原菌の繁殖を阻止する。すなわち、0.03%で萎凋病、根腐れ萎凋病を防止し、0.04%で青枯病を防止する。また、0.04%〜0.05%で液体有機肥料の異臭発生を防止し、保存性が向上する。しかし、添加濃度が0.15〜0.2%になると、フロロタンニン類の沈殿が生ずるので、0.03〜0.10%が適量であると判断される。このようにすると、液体有機肥料を常温で長期間にわたり日持ちよく安定に使用することができる。
このようにして、フロロタンニン類を添加した液体有機肥料は通常の方法でナス科植物(ナス、トマト等)、ウリ科植物(キュウリ、スイカ、メロン等)、アブラナ科作物(ダイコン等)に施用する。その結果、ナス、トマト等の青枯病、萎凋病あるいは根腐れ萎凋病、キュウリ、スイカ、メロン等のつる割病、あるいはダイコンの萎黄病に対して植物病害防除効果を示す。
【0009】
次に、本発明の実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるべきではない。
【実施例】
(1)液体有機肥料の調製:米糠、菜種油粕等を微生物発酵して得られる固形有機肥料50gと700mlの水とを混ぜて調製した混合物を100℃で30分間加熱処理し、ろ過して固形物を分離し液体有機肥料を得た。
【0010】
(2)フロロタンニン類の抽出:クロメ粉砕物100gをメタノール800mlで抽出し、この抽出液を200mlに減圧濃縮した。この濃縮液にクロロホルム400mlと水150mlを添加し、得られた上層部を酢酸エチル(2×150ml)で抽出した。この抽出液を濃縮し、乾燥して粗フロロタンニン類を得た。この粗フロロタンニン類は、フロログルシノール(phloroglucinol:2%)、エコール(eckol:9%)、フロロフコフロエコールA(phlorofucofuroeckol A:28%)、ダイエコール(dieckol:24%)、8,8’−バイエコール(8,8’ーbieckol:7%)、その他(30%)で構成される。
【0011】
(3)液体有機肥料の腐敗による異臭発生に対するフロロタンニン類の抑制効果:前記(1)の液体有機肥料原液の希釈液(EC 0.84mS/cm、pH6.0)を調製した。この希釈液に前記(2)のフロロタンニン類(最終濃度が0及び0.05%)を添加し、100mlの透明ポリビンに50mlずつ入れ、蓋をせず30℃の恒温器に1週間放置した。その後経時的に各容器の菌の濃度(菌の数)を測定した。また、異臭の発生の有無は人間の臭覚により判定した。その結果を表1に示した。また、56日間を経過した原液およびフロロタンニン0.05%添加の原液の菌の数を平板培地希釈法で計算した。その結果を表2および図1に示した。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
(4)青枯病菌(Ralstonia solanecearum)に対するフロロタンニン類の抑制効果:数本の棉栓付き50ml容三角フラスコ中に10mlずつのPY培地(酵母エキス0.05%、ペプトン0.1%、グルコース0.25%,スクロース0.25%、NaCl0.3%、pH7.0)を注入し、110℃で20分間加熱滅菌した。冷却後、0〜0.2%のフロロタンニン類を含む10mlずつの滅菌水溶液を添加した。混合後、青枯病菌液の0.1mlずつを接種して、25℃で培養した(ブランクは菌液の代わりに滅菌水を使用した)。一定時間ごとに培養液の少量を無菌的に取り、細菌の増殖に伴う濁度の増加を分光光度計(セル幅1.0cm)によって測定した。なお、フロロタンニン類を添加しても培地のpHは変化しなかった。その結果を図2に示した。この実験によって、0.04%以上のフロロタンニン類で完全な静菌作用が現れた。0.03%は培養初期ではより低いフロロタンニン類と比べて抗菌作用を発揮したが、3日目になると抗菌作用はなくなることが判明した。この実験結果から0.04%以上のフロロタンニン類が培養日数と関係なく強い抗菌作用を有することが明らかであった。
【0015】
(5)根腐れ萎凋病菌、萎凋病菌(Fuzarium oxysporum)に対するフロロタンニン類の抑制効果:数本の棉栓付き試験管に5mlずつポテトデキストロース(Difco)液体培地を調製し、110℃×20分間加熱滅菌した。冷却後、フロロタンニン類(最終濃度0,0.01,0.02,0.03,0.04,0.05及び1.0%になるように)を添加した。根腐れ萎凋病菌液0.1mlずつを接種して、25℃で培養した。菌の増殖の有無を肉眼で観察した。その結果を表3に示す。この実験によって0.03%以上の濃度のフロロタンニン類を含む培養液ではF. oxysporumの増殖は肉眼で確認できなかった。
【0016】
【表3】
【0017】
【発明の効果】
本発明は腐敗菌による異臭及び変質の発生防止、ならびに養液栽培で発生する有用作物の病原菌の繁殖を防止することができる液体有機肥料を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】液体有機肥料(原液及びフロロタンニン類添加)の平板培地の培養結果を示した説明図である。(実施例3)
A:原液
B:フロロタンニン類添加液
【図2】各濃度のフロロタンニン類の青枯病菌に対する抗菌性を示した説明図である。(実施例4)
Claims (4)
- フロロタンニン類を添加し、貯蔵安定性が高く、植物病害防除作用を有する液体有機肥料。
- 褐藻類コンブ科の海藻から抽出して得られるフロロタンニン類を用いる請求項1の液体有機肥料。
- 植物病害防除効果が青枯病、萎凋病、または根腐れ萎凋病の防除である効果を有する請求項1〜2のいずれかに記 載の液体有機肥料。
- 植物病害がナス科植物の病害である請求項3に記載の液体有機肥料。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002358928A JP2004189532A (ja) | 2002-12-11 | 2002-12-11 | 植物病害防除効果を有する安定な液体有機肥料 |
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JP2002358928A JP2004189532A (ja) | 2002-12-11 | 2002-12-11 | 植物病害防除効果を有する安定な液体有機肥料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004189532A true JP2004189532A (ja) | 2004-07-08 |
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Family Applications (1)
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JP2002358928A Pending JP2004189532A (ja) | 2002-12-11 | 2002-12-11 | 植物病害防除効果を有する安定な液体有機肥料 |
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JP (1) | JP2004189532A (ja) |
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-
2002
- 2002-12-11 JP JP2002358928A patent/JP2004189532A/ja active Pending
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