JP2004188893A - プレキャストコンクリート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】水路などの構築に用いられるプレキャストコンクリート、及びこれを効率よく製造する方法の提供。
【構成】所定の内部形状を有するモールド1をその内部に生コンクリートを流入させつつ所定の経路に沿って移動させ、その移動方向にモールド1の内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物7を連続成形する。モールド1の移動経路には予め所定形状の仕切部材5を所定間隔に配列せしめ、これをコンクリート構造物7に埋設する。そして、そのコンクリート構造物7を仕切部材5の位置で個々に分割することにより、所定形状のプレキャストコンクリート7Aを得る。
【選択図】 図1
【構成】所定の内部形状を有するモールド1をその内部に生コンクリートを流入させつつ所定の経路に沿って移動させ、その移動方向にモールド1の内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物7を連続成形する。モールド1の移動経路には予め所定形状の仕切部材5を所定間隔に配列せしめ、これをコンクリート構造物7に埋設する。そして、そのコンクリート構造物7を仕切部材5の位置で個々に分割することにより、所定形状のプレキャストコンクリート7Aを得る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は側溝などの構成部材として用いられるプレキャストコンクリート、及びこれを効率よく製造するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路などに沿って一連に形成される側溝その他のコンクリート構造物は、プレキャストコンクリートを用いるか、若しくはコンクリートの現場打ちにより構築されるが、コンクリートの現場打ちでは型枠の組み立てや解体に多くの時間や労力を要するという欠点があった。そこで、近年では現場で型枠を組み立てることなく側溝その他の長尺なコンクリート構造物を構築することのできる工法が一般に広く普及している(例えば、特許文献1)。
【0003】
その工法は、所定の内部形状を有するモールドを専用車両に取り付け、そのモールド内に生コンクリートを供給しながら、これを車両の徐行を以て道路などの施工面に沿って移動させ、これによってモールドの移動方向にその内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物を一連に構築するというものである。
【0004】
【特許文献1】
特願平10−144662号(特開平11−336015号公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、特許文献1の工法は従前のコンクリート現場打ちに比べ効率を大幅に向上できるなど多くの利点を有するものの、車両が進入できないような狭い場所や障害物の多い場所では施工することができず、しかも施工区間が短い場合にはプレキャストコンクリートによる施工よりもコスト高になってしまう場合があり、そのような場合にはプレキャストコンクリートの利用に頼らざるを得ないという実情にある。
【0006】
ここに、プレキャストコンクリートは、上記のような欠点を補うことのできる有用な部材であるが、これは個々の製品毎に型合わせや脱型を必要とするので、生産性を上げられないなどの問題を抱えている。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は狭い場所における水路などの連続するコンクリート構造物の構築に用いて好適なプレキャストコンクリートを効率よく製造できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、所定の内部形状を有するモールドをその内部に生コンクリートを流入させつつ所定の経路に沿って移動させ、その移動方向に該モールドの内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物を連続成形すると共に、前記モールドの移動経路に予め所定形状の仕切部材を所定間隔に配列せしめて該仕切部材を前記コンクリート構造物に埋設し、そのコンクリート構造物を前記仕切部材の位置で個々に分割することにより得られるプレキャストコンクリートを特徴とする。
【0009】
又、プレキャストコンクリートの製造方法として、所定の内部形状を有するモールドをその内部に生コンクリートを流入させつつ所定の経路に沿って移動させ、その移動方向に該モールドの内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物を連続成形すると共に、前記モールドの移動経路に予め所定形状の仕切部材を所定間隔に配列せしめて該仕切部材を前記コンクリート構造物に埋設し、そのコンクリート構造物を前記仕切部材の位置で個々に分割することを特徴とする。
【0010】
更に、仕切部材の間に所定形状に組み上げた鉄筋を配置して該鉄筋をコンクリート構造物に埋設するほか、モールドを上部にホッパが形成される型本体と該型本体内に置かれる可動コアとに分け、この可動コアを前記型本体に結合せずに該型本体と同方向に同速度で移動させることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の適用例を図面に基づいて詳細に説明する。先ず、図1において、1は所定の内部形状を有するモールドであり、その上部には生コンクリートを取り込むためのホッパ2が形成される。3はホッパ内に生コンクリートを供給するための圧送パイプであり、その一端はホッパ2上に固定されて他の一端には図示せぬコンクリート圧送ポンプが接続される。そして、係るモールド1は、ホッパ2を通じてその内部に生コンクリートを流入されつつ所定の経路に沿って直進移動される。尚、モールド1の移動はこれを車両の側面に装着することにより達成されるが、その移動手段として、そのほか巻取装置のワイヤーをモールド1の先端部に接続してこれを牽引したり、モールド1の一部に送りネジを通すなどしてもよい。
【0012】
一方、4はモールドの移動経路を成す下地板であり、この下地板4上には所定形状を成す板状の仕切部材5がモールド1の移動方向に沿って予め所定の間隔に配列され、その各仕切部材5の間にはそれぞれ所定形状に組み上げた鉄筋6が配置される。
【0013】
次に、図2は図1におけるA−A断面であり、図3には図1におけるB−B断面を示す。これらの図で明らかなように、モールド1は下部が全開放する無底の枠体であり、その内部形状は本例において台形状とされる。又、図2のように、鉄筋6はモールド1の内部形状より一回り程度小さく形成され、その全てがモールド1により連続成形される長尺なコンクリート構造物7内に埋設されるようになっている。一方、図3のように、仕切部材5はモールド1の内部形状と同形にして同大とされ、その周面がモールド1の内壁面に摺接するようになっている。尚、仕切部材5としては、所定の板厚を有する金属板、プラスチック板、又は木板などが利用される。
【0014】
又、仕切部材5の下部には、図4に示すよう該仕切部材に直交する取付板8が一体的に形成され、その取付板8を下地板4にネジ留めすることなどにより、仕切部材5が下地板4上の定位置に固定される構成となっている。特に、本例において、仕切部材5にはその厚さ方向に凹部5Aと凸部5Bが相対向して二つずつ形成される。
【0015】
そして、本発明によれば、モールド1の内部にホッパ2を通じてスランプ値がゼロ又は1〜数cmの生コンクリートを流入させながら、そのモールド1を下地板4上でその長手方向に移動させることにより、その移動方向にモールド1の内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物7が連続成形され、そのコンクリート構造物7に仕切部材5と鉄筋6とが埋設されることになる。尚、モールド1の内部又は外部には図示せぬバイブレータが設置され、そのバイブレータによりモールド1内に供給された生コンクリートを直に振動させるか、又はモールド1を振動させることによってモールド1内の生コンクリートが締め固められ、これによって気泡の多くが除去されて凍結融解作用に対して強靭なコンクリート構造物7が得られる。
【0016】
特に、そのコンクリート構造物7の表面には、図5に示すよう仕切部材5の周面が目地状に現れる。そこで、長尺なコンクリート構造物7を各仕切部材5の位置でこれを境に個々に分割するのであり、これによりコンクリート構造物7の分割体として下地板4と仕切部材5とから切り離された図6のようなプレキャストコンクリート7Aを得る。このプレキャストコンクリート7Aは、例えば車道と歩道を区切る境界ブロック(縁石)として用いられるが、その両端面には仕切部材の凹部5Aと凸部5Bによる突起9と穴10が形成されるため、隣り合うもの同士を強固に連結することができる。
【0017】
尚、下地板4や仕切部材5には予めケイ素樹脂やステアリン酸塩といった潤滑剤を塗布しておくことが好ましく、これによりコンクリート構造物7の分割作業を容易に行うことができる。又、仕切部材5はモールド1の内壁面との接触圧により破壊せぬよう、その周縁をゴムなどの柔軟材により縁取るか、又は角を丸めておくとよい。
【0018】
以上、本発明の一例を説明したが、本発明は上記例に限らず、例えば仕切部材5をモールド1の内部形状と同形にして、それよりも輪郭を稍小さく設定してもよい。この場合、分割前のコンクリート構造物7の表面には仕切部材5の周面が現れず、その周囲が図7に示すようコンクリートCにより覆われるが、これをサンダーなどの切削機11により仕切部材5の周縁に沿って切削することにより、仕切部材5の位置でのコンクリート構造物の分割が可能となる。但し、本例の場合には、切削すべき仕切部材5の位置が不明確にならないよう、下地板4などに予め目印を付けておくことが肝要である。
【0019】
又、本発明によれば、以上のような台形状の断面をもつ境界ブロックのみならず、U字溝、断面L形の擁壁、方形盤状の護岸ブロック、及び敷石(インターロッキングブロック)などのほか、地下水路などを構成する図8のような暗渠ブロックといった中空状のプレキャストコンクリート7A′とすることもできる。
【0020】
図8のような暗渠形をした中空のプレキャストコンクリート7A′を得るには、図9のように、モールド1を外枠としての型本体1Aと空洞部を形成するための可動コア1Bとに分け、型本体1Aの上部に生コンクリートを受け入れるべきホッパ2を形成し、その型本体1A内に可動コア1Bを結合せずに配置する。そして、型本体1A内に生コンクリートを流入させつつ、仕切部材5を所定の間隔で配列せしめた経路に沿って型本体1Aと可動コア1Bとを同方向に同速度で移動させる。その移動手段として、本例では図示せぬモータにより回転駆動される二本の平行するネジ軸12を用い、その一方を型本体1Aの側面に形成したナット部13に通し、他方を可動コア1Bに貫通する構成とされる。尚、14は型本体の側面に固定したスライド駒であり、そのスライド駒14と可動コア1Bには、ネジ軸12に平行するガイド軸15が通される。又、本例において、仕切部材5は方形枠状にしてその外周面と内周面が型本体1Aの内壁面と可動コア1Bの外周面とに接触又は近接する状態で下地板4上固定される。
【0021】
そして、本例によれば、ネジ軸12の回転駆動を以て型本体1Aと可動コア1Bとを下地板4に沿って同方向に同速度で移動させながら、型本体1A内に生コンクリートを流入させることにより、型本体1Aと可動コア1Bとの移動方向に仕切部材5が埋設された角筒状のコンクリート構造物を連続成形し、その後そのコンクリート構造物を仕切部材5の位置で個々に分割することにより図8のようなプレキャストコンクリート7A′を得ることができる。尚、本例においても仕切部材の間に予め鉄筋を配置することが望ましいが、鉄筋を配置せずにスチールファイバーを混入した生コンクリートを使用するようにしてもよい。
【0022】
一方、可動コアを型本体と同方向に同速度で移動させるべく、図10のように巻取装置16で巻き取られるワイヤー17により可動コア1B′を牽引するようにしてもよい。この場合、可動コア1B′は車輪18を備えた牽引車19に結合し、その牽引車19にワイヤー17を接続する。尚、本例において、型本体1Aはその側面に車輪を取り付けて可動コア1B′と同じくワイヤーで牽引するか、若しくは専用の車両に取り付けて可動コア1B′と同方向に同速度で移動させることができる。
【0023】
又、鉄筋を使用する場合には、図11のようにモールド(型本体1A及び可動コア1B′)の移動経路上にコンクリートパネル20を敷設し、そのコンクリートパネル20により鉄筋6を支持するようにすることが好ましく、これによりモールド1で連続成形されるコンクリート構造物にコンクリートパネル20を埋め込んで一体化し、コンクリート構造物の底部より鉄筋6が露出する虞れを払拭できる。
【0024】
特に、図12に示すよう、コンクリートパネル20にはその幅方向に延びる溝21を所定の間隔に形成し、そのコンクリートパネル20を二つ一組にして両者の溝21を向かい合わせに重ね、両者の溝21により鉄筋6の横筋底部を挟み込むようにすることが好ましく、これによりモールド1の移動経路上に鉄筋6を固定してそのがたつきを防止することができる。
【0025】
尚、以上のような可動コア1B,1B′に代えて、空気圧により膨張するエアチューブを用い、これを型本体1Aの移動経路に沿ってその内部に挿入しておくなどしてもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば所定の内部形状を有するモールドをその内部に生コンクリートを流入させつつ所定の経路に沿って移動させ、その移動方向に該モールドの内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物を連続成形すると共に、モールドの移動経路に予め所定形状の仕切部材を所定間隔に配列せしめて該仕切部材をコンクリート構造物に埋設した後、そのコンクリート構造物を仕切部材の位置で個々に分割するようにしていることから、側溝などの構築に用いられるプレキャストコンクリートを効率的に生産することができる。
【0027】
又、仕切部材の間に所定形状に組み上げた鉄筋を配置して該鉄筋をコンクリート構造物に埋設するようにしていることから、高強度のプレキャストコンクリートが得られる。
【0028】
更に、モールドを上部にホッパが形成される型本体と該型本体内に置かれる可動コアとに分け、この可動コアを型本体に結合せずに該型本体と可動コアとを同方向に同速度で移動させることから、暗渠形をした中空のプレキャストコンクリートも容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプレキャストコンクリートの製造例を示した概略図
【図2】図1のA−A拡大断面図
【図3】図1のB−B拡大断面図
【図4】仕切部材の一例の示す断面図
【図5】本発明に係るコンクリート構造物を部分的に破断して示した斜視図
【図6】図5のコンクリート構造物を分割して得たプレキャストコンクリートの斜視図
【図7】コンクリート構造物を分割する状態を示した概略図
【図8】本発明に係るプレキャストコンクリートの他の形態を示す斜視図
【図9】図8のプレキャストコンクリートを製造するためのモールドを示した断面図
【図10】本発明の他の実施例を示した概略図
【図11】図10におけるC−C断面図
【図12】本発明に係る鉄筋の配置例を示した斜視図
【符号の説明】
1 モールド
1A 型本体
1B,1B′ 可動コア
2 ホッパ
4 下地板
5 仕切部材
5A 凹部
5B 凸部
6 鉄筋
7A,7A′ プレキャストコンクリート
9 突起
10 穴
12 ネジ軸
【発明の属する技術分野】
本発明は側溝などの構成部材として用いられるプレキャストコンクリート、及びこれを効率よく製造するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路などに沿って一連に形成される側溝その他のコンクリート構造物は、プレキャストコンクリートを用いるか、若しくはコンクリートの現場打ちにより構築されるが、コンクリートの現場打ちでは型枠の組み立てや解体に多くの時間や労力を要するという欠点があった。そこで、近年では現場で型枠を組み立てることなく側溝その他の長尺なコンクリート構造物を構築することのできる工法が一般に広く普及している(例えば、特許文献1)。
【0003】
その工法は、所定の内部形状を有するモールドを専用車両に取り付け、そのモールド内に生コンクリートを供給しながら、これを車両の徐行を以て道路などの施工面に沿って移動させ、これによってモールドの移動方向にその内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物を一連に構築するというものである。
【0004】
【特許文献1】
特願平10−144662号(特開平11−336015号公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、特許文献1の工法は従前のコンクリート現場打ちに比べ効率を大幅に向上できるなど多くの利点を有するものの、車両が進入できないような狭い場所や障害物の多い場所では施工することができず、しかも施工区間が短い場合にはプレキャストコンクリートによる施工よりもコスト高になってしまう場合があり、そのような場合にはプレキャストコンクリートの利用に頼らざるを得ないという実情にある。
【0006】
ここに、プレキャストコンクリートは、上記のような欠点を補うことのできる有用な部材であるが、これは個々の製品毎に型合わせや脱型を必要とするので、生産性を上げられないなどの問題を抱えている。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は狭い場所における水路などの連続するコンクリート構造物の構築に用いて好適なプレキャストコンクリートを効率よく製造できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、所定の内部形状を有するモールドをその内部に生コンクリートを流入させつつ所定の経路に沿って移動させ、その移動方向に該モールドの内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物を連続成形すると共に、前記モールドの移動経路に予め所定形状の仕切部材を所定間隔に配列せしめて該仕切部材を前記コンクリート構造物に埋設し、そのコンクリート構造物を前記仕切部材の位置で個々に分割することにより得られるプレキャストコンクリートを特徴とする。
【0009】
又、プレキャストコンクリートの製造方法として、所定の内部形状を有するモールドをその内部に生コンクリートを流入させつつ所定の経路に沿って移動させ、その移動方向に該モールドの内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物を連続成形すると共に、前記モールドの移動経路に予め所定形状の仕切部材を所定間隔に配列せしめて該仕切部材を前記コンクリート構造物に埋設し、そのコンクリート構造物を前記仕切部材の位置で個々に分割することを特徴とする。
【0010】
更に、仕切部材の間に所定形状に組み上げた鉄筋を配置して該鉄筋をコンクリート構造物に埋設するほか、モールドを上部にホッパが形成される型本体と該型本体内に置かれる可動コアとに分け、この可動コアを前記型本体に結合せずに該型本体と同方向に同速度で移動させることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の適用例を図面に基づいて詳細に説明する。先ず、図1において、1は所定の内部形状を有するモールドであり、その上部には生コンクリートを取り込むためのホッパ2が形成される。3はホッパ内に生コンクリートを供給するための圧送パイプであり、その一端はホッパ2上に固定されて他の一端には図示せぬコンクリート圧送ポンプが接続される。そして、係るモールド1は、ホッパ2を通じてその内部に生コンクリートを流入されつつ所定の経路に沿って直進移動される。尚、モールド1の移動はこれを車両の側面に装着することにより達成されるが、その移動手段として、そのほか巻取装置のワイヤーをモールド1の先端部に接続してこれを牽引したり、モールド1の一部に送りネジを通すなどしてもよい。
【0012】
一方、4はモールドの移動経路を成す下地板であり、この下地板4上には所定形状を成す板状の仕切部材5がモールド1の移動方向に沿って予め所定の間隔に配列され、その各仕切部材5の間にはそれぞれ所定形状に組み上げた鉄筋6が配置される。
【0013】
次に、図2は図1におけるA−A断面であり、図3には図1におけるB−B断面を示す。これらの図で明らかなように、モールド1は下部が全開放する無底の枠体であり、その内部形状は本例において台形状とされる。又、図2のように、鉄筋6はモールド1の内部形状より一回り程度小さく形成され、その全てがモールド1により連続成形される長尺なコンクリート構造物7内に埋設されるようになっている。一方、図3のように、仕切部材5はモールド1の内部形状と同形にして同大とされ、その周面がモールド1の内壁面に摺接するようになっている。尚、仕切部材5としては、所定の板厚を有する金属板、プラスチック板、又は木板などが利用される。
【0014】
又、仕切部材5の下部には、図4に示すよう該仕切部材に直交する取付板8が一体的に形成され、その取付板8を下地板4にネジ留めすることなどにより、仕切部材5が下地板4上の定位置に固定される構成となっている。特に、本例において、仕切部材5にはその厚さ方向に凹部5Aと凸部5Bが相対向して二つずつ形成される。
【0015】
そして、本発明によれば、モールド1の内部にホッパ2を通じてスランプ値がゼロ又は1〜数cmの生コンクリートを流入させながら、そのモールド1を下地板4上でその長手方向に移動させることにより、その移動方向にモールド1の内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物7が連続成形され、そのコンクリート構造物7に仕切部材5と鉄筋6とが埋設されることになる。尚、モールド1の内部又は外部には図示せぬバイブレータが設置され、そのバイブレータによりモールド1内に供給された生コンクリートを直に振動させるか、又はモールド1を振動させることによってモールド1内の生コンクリートが締め固められ、これによって気泡の多くが除去されて凍結融解作用に対して強靭なコンクリート構造物7が得られる。
【0016】
特に、そのコンクリート構造物7の表面には、図5に示すよう仕切部材5の周面が目地状に現れる。そこで、長尺なコンクリート構造物7を各仕切部材5の位置でこれを境に個々に分割するのであり、これによりコンクリート構造物7の分割体として下地板4と仕切部材5とから切り離された図6のようなプレキャストコンクリート7Aを得る。このプレキャストコンクリート7Aは、例えば車道と歩道を区切る境界ブロック(縁石)として用いられるが、その両端面には仕切部材の凹部5Aと凸部5Bによる突起9と穴10が形成されるため、隣り合うもの同士を強固に連結することができる。
【0017】
尚、下地板4や仕切部材5には予めケイ素樹脂やステアリン酸塩といった潤滑剤を塗布しておくことが好ましく、これによりコンクリート構造物7の分割作業を容易に行うことができる。又、仕切部材5はモールド1の内壁面との接触圧により破壊せぬよう、その周縁をゴムなどの柔軟材により縁取るか、又は角を丸めておくとよい。
【0018】
以上、本発明の一例を説明したが、本発明は上記例に限らず、例えば仕切部材5をモールド1の内部形状と同形にして、それよりも輪郭を稍小さく設定してもよい。この場合、分割前のコンクリート構造物7の表面には仕切部材5の周面が現れず、その周囲が図7に示すようコンクリートCにより覆われるが、これをサンダーなどの切削機11により仕切部材5の周縁に沿って切削することにより、仕切部材5の位置でのコンクリート構造物の分割が可能となる。但し、本例の場合には、切削すべき仕切部材5の位置が不明確にならないよう、下地板4などに予め目印を付けておくことが肝要である。
【0019】
又、本発明によれば、以上のような台形状の断面をもつ境界ブロックのみならず、U字溝、断面L形の擁壁、方形盤状の護岸ブロック、及び敷石(インターロッキングブロック)などのほか、地下水路などを構成する図8のような暗渠ブロックといった中空状のプレキャストコンクリート7A′とすることもできる。
【0020】
図8のような暗渠形をした中空のプレキャストコンクリート7A′を得るには、図9のように、モールド1を外枠としての型本体1Aと空洞部を形成するための可動コア1Bとに分け、型本体1Aの上部に生コンクリートを受け入れるべきホッパ2を形成し、その型本体1A内に可動コア1Bを結合せずに配置する。そして、型本体1A内に生コンクリートを流入させつつ、仕切部材5を所定の間隔で配列せしめた経路に沿って型本体1Aと可動コア1Bとを同方向に同速度で移動させる。その移動手段として、本例では図示せぬモータにより回転駆動される二本の平行するネジ軸12を用い、その一方を型本体1Aの側面に形成したナット部13に通し、他方を可動コア1Bに貫通する構成とされる。尚、14は型本体の側面に固定したスライド駒であり、そのスライド駒14と可動コア1Bには、ネジ軸12に平行するガイド軸15が通される。又、本例において、仕切部材5は方形枠状にしてその外周面と内周面が型本体1Aの内壁面と可動コア1Bの外周面とに接触又は近接する状態で下地板4上固定される。
【0021】
そして、本例によれば、ネジ軸12の回転駆動を以て型本体1Aと可動コア1Bとを下地板4に沿って同方向に同速度で移動させながら、型本体1A内に生コンクリートを流入させることにより、型本体1Aと可動コア1Bとの移動方向に仕切部材5が埋設された角筒状のコンクリート構造物を連続成形し、その後そのコンクリート構造物を仕切部材5の位置で個々に分割することにより図8のようなプレキャストコンクリート7A′を得ることができる。尚、本例においても仕切部材の間に予め鉄筋を配置することが望ましいが、鉄筋を配置せずにスチールファイバーを混入した生コンクリートを使用するようにしてもよい。
【0022】
一方、可動コアを型本体と同方向に同速度で移動させるべく、図10のように巻取装置16で巻き取られるワイヤー17により可動コア1B′を牽引するようにしてもよい。この場合、可動コア1B′は車輪18を備えた牽引車19に結合し、その牽引車19にワイヤー17を接続する。尚、本例において、型本体1Aはその側面に車輪を取り付けて可動コア1B′と同じくワイヤーで牽引するか、若しくは専用の車両に取り付けて可動コア1B′と同方向に同速度で移動させることができる。
【0023】
又、鉄筋を使用する場合には、図11のようにモールド(型本体1A及び可動コア1B′)の移動経路上にコンクリートパネル20を敷設し、そのコンクリートパネル20により鉄筋6を支持するようにすることが好ましく、これによりモールド1で連続成形されるコンクリート構造物にコンクリートパネル20を埋め込んで一体化し、コンクリート構造物の底部より鉄筋6が露出する虞れを払拭できる。
【0024】
特に、図12に示すよう、コンクリートパネル20にはその幅方向に延びる溝21を所定の間隔に形成し、そのコンクリートパネル20を二つ一組にして両者の溝21を向かい合わせに重ね、両者の溝21により鉄筋6の横筋底部を挟み込むようにすることが好ましく、これによりモールド1の移動経路上に鉄筋6を固定してそのがたつきを防止することができる。
【0025】
尚、以上のような可動コア1B,1B′に代えて、空気圧により膨張するエアチューブを用い、これを型本体1Aの移動経路に沿ってその内部に挿入しておくなどしてもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば所定の内部形状を有するモールドをその内部に生コンクリートを流入させつつ所定の経路に沿って移動させ、その移動方向に該モールドの内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物を連続成形すると共に、モールドの移動経路に予め所定形状の仕切部材を所定間隔に配列せしめて該仕切部材をコンクリート構造物に埋設した後、そのコンクリート構造物を仕切部材の位置で個々に分割するようにしていることから、側溝などの構築に用いられるプレキャストコンクリートを効率的に生産することができる。
【0027】
又、仕切部材の間に所定形状に組み上げた鉄筋を配置して該鉄筋をコンクリート構造物に埋設するようにしていることから、高強度のプレキャストコンクリートが得られる。
【0028】
更に、モールドを上部にホッパが形成される型本体と該型本体内に置かれる可動コアとに分け、この可動コアを型本体に結合せずに該型本体と可動コアとを同方向に同速度で移動させることから、暗渠形をした中空のプレキャストコンクリートも容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプレキャストコンクリートの製造例を示した概略図
【図2】図1のA−A拡大断面図
【図3】図1のB−B拡大断面図
【図4】仕切部材の一例の示す断面図
【図5】本発明に係るコンクリート構造物を部分的に破断して示した斜視図
【図6】図5のコンクリート構造物を分割して得たプレキャストコンクリートの斜視図
【図7】コンクリート構造物を分割する状態を示した概略図
【図8】本発明に係るプレキャストコンクリートの他の形態を示す斜視図
【図9】図8のプレキャストコンクリートを製造するためのモールドを示した断面図
【図10】本発明の他の実施例を示した概略図
【図11】図10におけるC−C断面図
【図12】本発明に係る鉄筋の配置例を示した斜視図
【符号の説明】
1 モールド
1A 型本体
1B,1B′ 可動コア
2 ホッパ
4 下地板
5 仕切部材
5A 凹部
5B 凸部
6 鉄筋
7A,7A′ プレキャストコンクリート
9 突起
10 穴
12 ネジ軸
Claims (4)
- 所定の内部形状を有するモールドをその内部に生コンクリートを流入させつつ所定の経路に沿って移動させ、その移動方向に該モールドの内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物を連続成形すると共に、前記モールドの移動経路に予め所定形状の仕切部材を所定間隔に配列せしめて該仕切部材を前記コンクリート構造物に埋設し、そのコンクリート構造物を前記仕切部材の位置で個々に分割することにより得られるプレキャストコンクリート。
- 所定の内部形状を有するモールドをその内部に生コンクリートを流入させつつ所定の経路に沿って移動させ、その移動方向に該モールドの内部形状と同一の断面形状を有するコンクリート構造物を連続成形すると共に、前記モールドの移動経路に予め所定形状の仕切部材を所定間隔に配列せしめて該仕切部材を前記コンクリート構造物に埋設した後、そのコンクリート構造物を前記仕切部材の位置で個々に分割することを特徴とするプレキャストコンクリートの製造方法。
- 仕切部材の間に所定形状に組み上げた鉄筋を配置して該鉄筋をコンクリート構造物に埋設することを特徴とする請求項2記載のプレキャストコンクリートの製造方法。
- モールドを上部にホッパが形成される型本体と該型本体内に置かれる可動コアとに分け、この可動コアを前記型本体に結合せずに該型本体と可動コアとを同方向に同速度で移動させることを特徴とする請求項2記載のプレキャストコンクリートの製造方法。
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-
2002
- 2002-12-13 JP JP2002361921A patent/JP2004188893A/ja active Pending
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