JP2004188647A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、安定したインクの吐出を実現し、高品質の印刷を行うことのできるインクジェットプリンタを提供することを課題とする。
【解決手段】インクを吐出するノズルを有するヘッドと、インクを貯留するタンクとを備え、インクをノズルに供給すべく、ヘッドとタンクとがチューブで接続され、供給されてくる記録紙に向けてノズルからインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、チユーブ内の気体を検知する検知手段を備えるとともに、検知手段による気体の検知に基づいて、印刷を停止した状態でチューブ内の気体を外部に排出させる排出手段を備えてなること特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】インクを吐出するノズルを有するヘッドと、インクを貯留するタンクとを備え、インクをノズルに供給すべく、ヘッドとタンクとがチューブで接続され、供給されてくる記録紙に向けてノズルからインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、チユーブ内の気体を検知する検知手段を備えるとともに、検知手段による気体の検知に基づいて、印刷を停止した状態でチューブ内の気体を外部に排出させる排出手段を備えてなること特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、供給されてくる記録紙に向けてインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが周知である。
【0003】
かかるインクジェットプリンタとして、供給されてくる記録紙に向けてインクを吐出するノズルを有するヘッドと、インクを貯留するタンクとを備え、ノズルにインクを供給すべくヘッドとタンクとがチューブで接続されたものがある。
【0004】
この種のインクジェットプリンタは、ヘッドが記録紙の供給方向に対して交差方向に往復動可能に構成され、ヘッドを往復動させつつインクを吐出して印刷を行うように構成されているのが一般的である。このようにすることで、ヘッドの小型化が実現されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−113881号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の如く、ヘッドとタンクとをチューブで接続した構成を採用すると、徐々にではあるがヘッドとチューブとの接続部分や、タンクとチューブとの接続部分等からチューブ内部に気体が流入する場合がある。特に、印刷を長時間停止していると、流入した気体が集まって気泡となってしまう。
【0007】
そうすると、この状態で印刷を実行した際に、インクとともに気泡がヘッドに向けて移動し、最終的にはその気泡がノズルから放出されてしまう。このため、気泡が放出された時点においては、記録紙に向けてインクが吐出されず、記録紙に未印刷部分、或いは着弾ドットに不適形状が形成され、印刷における品質低下を招くといった問題があった。
【0008】
また、この種のインクジェットプリンタには、電圧を印加することでインクをノズルから吐出させる吐出手段(例えば、ピエゾ素子やヒータ等)がヘッドに内装されたものがある。この種の吐出手段は、電圧の印加による温度上昇を抑えるべく、流通するインクによって冷却効果を得ることができるようにヘッド内に配置されているが、ヘッド内(特に吐出手段近傍)に気体が到達すると、吐出手段近傍にインクが存在しなくなるため、吐出手段が冷却されなくなる場合がある。そのため、吐出手段が安定して機能しなくなったり、破損したりして、安定したインクの吐出ができなくなる場合がある。したがって、この場合においても、記録紙に未印刷部分が形成され、印刷における品質低下を招くといった問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、安定したインクの吐出を実現し、高品質の印刷を行うことのできるインクジェットプリンタを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるインクジェットプリンタは、請求項1記載の如く、インクを吐出するノズルを有するヘッドと、インクを貯留するタンクとを備え、インクをノズルに供給すべく、ヘッドとタンクとがチューブで接続され、供給されてくる記録紙に向けてノズルからインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、チユーブ内の気体を検知する検知手段を備えるとともに、検知手段による気体の検知に基づいて、印刷を停止した状態でチューブ内の気体を外部に排出させる排出手段を備えてなることを特徴とする。
【0011】
上記構成のインクジェットプリンタによれば、検知手段がチューブ内に存在する気体を検知し、その検知結果に基づき印刷を停止した状態で排出手段がその気体を排出するように構成されているので、検知された気体がヘッド(ノズル)に到達する前に、印刷状態を不安定にする気体を排出手段によって排出することができる。したがって、記録紙に印刷を施すべく、ノズルから記録紙に向けてインクを吐出しているときに、気体がノズルから放出されることがなく、インクを安定して吐出させることができ、高品質の印刷が可能となる。
【0012】
また、請求項2記載の如く、ヘッドは、記録紙の供給方向に対して交差方向に往復動可能に設けられ、排出手段は、ヘッドが記録紙に対して印刷を行わない退避位置に移動した状態で、気体を排出するように構成されてなることが好ましい。このようにすれば、排出手段が動作している際に、何らかの原因でノズルからインクが滴下しても、そのインクが記録紙に付着してしまうといった事態を防止することができる。
【0013】
さらに、請求項3記載の如く、排出手段は、ヘッドからインクとともに気体を吸引する吸引装置で構成されてなることが好ましい。このようにヘッドからインクとともに気体を吸引すれば、気体周辺のインクも排出することとなるので、検知した気体を完全に排出することができる。また、ヘッドから気体及びインクを吸引して排出すると、チューブ内が負圧状態となって検知された気体の存在位置よりタンク側に位置するインクもヘッド側に移動させることとなる。したがって、印刷再開時においても吐出させるインクがヘッド内に存在することとなり、印刷再開を円滑に行うことができる。
【0014】
また、請求項4記載の如く、チューブは、光透過性を有するとともに、検知手段は、透過型センサーで構成されてもよい。このようにすれば、構成が複雑化せずに確実に気体を検知することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかるインクジェットプリンタについて、添付図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態にかかるインクジェットプリンタは、図1に示す如く、印刷を施す記録紙Pをセットする記録紙配置部1と、該記録紙配置部1から供給されてくる記録紙Pに印刷を施すヘッド2を有する印刷部3と、印刷部3に供給する複数色のインク(本実施形態においては、シアン(C)、マジェンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Y)の四色のインク)を貯留するインク貯留部4と、ヘッド2のメンテナンス等を行い印刷の安定性を担保するクリーニング部5と、当該インクジェットプリンタの動作を制御するコントロールユニット6と、記録紙配置部1から引き出した記録紙Pをさらに下流側に搬送する搬送装置7とで構成されている。
【0017】
記録紙配置部1は、ロール状にされた長尺な記録紙Pを着脱可能に軸支できるようになっており、軸支した記録紙Pを長手方向に引き出せるように構成されている。
【0018】
印刷部3は、記録紙Pの引き出し方向に対して交差方向に延びる一対のレール8,8と、該レール8,8に摺動可能に取り付けられた前記ヘッド2とで構成されている。
【0019】
一対のレール8,8のそれぞれは、記録紙Pの幅W(記録紙Pにおける引き出し方向と直交する方向の長さ)より長く設定された棒状をなしており、相互の軸心が略平行をなすように、記録紙Pの引き出し方向にヘッド2を介在させ得る間隔を有した状態で、記録紙Pと対向するように設けられている。また、一対のレール8,8は、上記の如き長さ設定されることにより、一端側が引き出された記録紙Pと対向しないように設けられており、この部分のレール8,8間がヘッド2を退避させる退避位置Xとなる。
【0020】
ヘッド2は、外観略直方体をなしており、長手を記録紙Pの供給方向に対して直交方向にして配置されている。該ヘッド2は、インクを吐出するノズル(図示しない)と、該ノズルから所定量で且つ適正なタイミングでインクを吐出させる吐出手段(図示しない)とを内部に有し、ヘッド2の上面には、インク貯留部4に接続された透過性を有する(略透明な)チューブ9C,9M,9Y,9Kを接続する両端開口状態の突筒部10が突設されている。この突筒部10は、インク貯留部4に貯留したインクの色の数に対応して四つ設けられており、これらはヘッド2の長手方向に所定間隔を有している。各突筒部10は、チューブ9C,9M,9Y,9Kの一端部を外嵌可能に外径が設定され、ノズルに連通するように設けられている。
【0021】
ノズルは、吐出するインクの色毎に複数設けられている。各ノズルは裁頭円錐形状(円錐形状の頂部を切除した形状)の上下に貫通した穴であり、小径側の開口端が、ヘッド2の下面に一致させた状態となっている。これにより、平面をなすヘッド2の下面には、インクを吐出する複数の小径の開口が形成されている。また、各ノズルの大径側の開口端は、突筒部10の内穴から分岐した複数の接続穴(図示しない)のそれぞれに接続されており、ノズルが接続穴を介して突筒部10と連通するように構成されている。このようにすることで、各チューブ9C,9M,9Y,9Kから供給されてくるインクを複数のノズルから吐出できるようになっている。
【0022】
前記吐出手段は、各接続穴の内周面に埋設されており、電圧を印加することにより、接続穴内のインクをノズルに向けて押し出すように構成されている。この吐出手段としては、電圧を印加することで変形する圧電素子(ピエゾ素子)や、電圧を印加することでインクを加熱するヒータ等を採用することができる。インクジェットプリンタにピエゾ素子やヒータ等が採用されていることは、一般的であるのでこれらの説明については割愛する。
【0023】
さらにヘッド2は、接続されたチューブ9C,9M,9Y,9K内に気体が存在した際に、その気体を検知する検知手段11を備えている。この検知手段11として、透過型のセンサーが採用されている。この透過型のセンサー11は、光を発光させる発光体12と、該発光体12から発せられた光を受光して検知する受光体13とで構成されている。当該センサー11(発光体12及び受光体13)は、コントロールユニット6に配線接続されている。
【0024】
このように構成されたセンサー11は、図2に示す如く、チューブ9C,9M,9Y,9K内に流入した気体Aをチューブ9C,9M,9Y,9Kの下流端部で検知し得るように、発光体12と受光体13との間に、ヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとを接続した接続部分近傍におけるチューブ9C,9M,9Y,9Kのみを介在させた状態で、ヘッド2に取り付けられている。
【0025】
このように、発光体12と受光体13との間にチューブ9C,9M,9Y,9Kを介在させることで、センサー11は、チューブ9C,9M,9Y,9K内における光の透過状態の変化を検出して、気体Aの存在を検知するようになっている。つまり、接続部分におけるチューブ9C,9M,9Y,9K内にインクIのみが存在する場合には、インクIによって発光体12からの光が遮られて受光体13に届きにくくなるのに対し、チューブ9C,9M,9Y,9K内に気体Aが存在する場合には、発光体12からの光がインクIによって遮られずに受光体13に届きやすくなるので、受光体13に届く光の光度の変化を検出することで、チューブ9C,9M,9Y,9K内の気体Aの有無を検知するようになっている。
【0026】
これにより、ヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分から流入する気体Aや、インク貯留部4からヘッド2に向けて移動してくる気体Aを検知することができる。
【0027】
図1に戻り、上記構成のヘッド2は、一対のレール8,8間に配置された状態で、各レール8,8の長手方向に摺動可能に構成されている。
【0028】
このようにレール8,8に摺動可能に取り付けられたヘッド2は、レール8,8の長手方向にレール8,8に沿って配設された無端ベルト(図示しない)の一部に連結されている。無端ベルトは、モータ(図示しない)の駆動により周方向に回転可能となっている。これにより、ヘッド2は、モータを駆動して無端ベルトを正逆転させることで、レール8,8に沿って往復動するようになっている。具体的に説明すると、ヘッド2は、記録紙Pに印刷を行う際に記録紙Pに向けてインクIを吐出させ得る領域内でレール8,8に沿って移動するようになっている。また、ヘッド2は、印刷を行わないとき、或いはクリーニング部5でヘッド2のメンテナンス等を行うときに、退避位置Xに移動できるようになっている。
【0029】
クリーニング部5は、ヘッド2の下面に付着したインクIや塵を除去するスクレーパー14と、ヘッド2及びチューブ9C,9M,9Y,9K内に存在する気体Aを排出する排出手段15とで構成されており、前記退避位置Xの下方に設けられている。
【0030】
スクレーパー14は、ゴム等の弾性体から構成されており、退避位置Xにおける記録紙P側に配設されている。当該スクレーパー14は、退避位置Xに向けて移動するヘッド2の下面を接触するように設けられている。これにより、ヘッド2が退避位置Xに向けて移動する際に、ヘッド2の下面に付着したインクIの粒や塵がスクレーパー14によってかき落とされることとなる(図3)。
【0031】
排出手段15は、ヘッド2及びチューブ9C,9M,9Y,9K内のインクIを吸引する吸引装置により構成されており、該吸引装置15は、上部が開口した受け皿16と、該受け皿16の底に管を介して接続されたインク排出タンク17と、該インク排出タンク17に接続された吸引ポンプ18とで構成されている。排出手段15は、スクレーパー14に対しレール8,8の一端側に設けられている。
【0032】
受け皿16は、上端開口部がヘッド2の下面の形状に対応して形状設定されている。受け皿16の上端開口縁部には、パッキン19が設けられている。このパッキン19は、レール8,8の一端側に向けて移動して退避位置Xに到達したヘッド2における下面の外周縁部に当接し、受け皿16内部が密閉状態となるように構成されている。当該受け皿16の底部には、管20が垂設されており、受け皿16の内部と前記管20内部とが連通するようになっている。
【0033】
インク排出タンク17は、外観略角形をなしており、受け皿16の下方に配置されている。かかるインク排出タンク17は、受け皿16に垂設された管20の下端が天部に接続されており、管20を介して受け皿16の内部とインク排出タンク17の内部とが連通するように構成されている。
【0034】
また、インク排出タンク17は、吸引ポンプ18に接続された管21が起立した壁部に接続されており、受け皿16の内部が、インク排出タンク17、及び管20,21を介して吸引ポンプ18と連通するようになっている。これにより、吸引ポンプ18の吸引力が受け皿16内に作用し得るようになっている。
【0035】
吸引ポンプ18は、コントロールユニット6に配線接続されており、コントロールユニット6の指示により動作するようになっている。吸引ポンプ18は、動作開始後に受け皿16、管20,21及びインク排出タンク17内が所定の負圧状態で所定時間経過後に停止するようになっている。なお、ここで所定時間とは、所定の圧力条件下において、ヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分(気体Aを検知し得る位置)からノズルにかけて存在するインクIの量以上のインクIが排出される時間に設定されている。なお、この吸引ポンプ18としては、真空ポンプを採用することが好ましい。
【0036】
インク貯留部4は、インクIを貯留するタンク22C,22M,22Y,22Kと、該タンク22C,22M,22Y,22K内を加圧してタンク22C,22M,22Y,22K内のインクIを印刷部3に供給する加圧ポンプ23と、タンク22C,22M,22Y,22Kから印刷部3へのインクIの供給及びその停止を切り替える開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kとで構成されている。
【0037】
タンク22C,22M,22Y,22Kは、インクIの色の数に対応して四つ並列に設けられており、各タンク22C,22M,22Y,22Kは、印刷部3のヘッド2に接続された各チューブ9C,9M,9Y,9Kに接続されている。各チューブ9C,9M,9Y,9Kの途中には、前記開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kが設けられており、タンク22C,22M,22Y,22K毎にインクIの流出、及びその停止を行えるようになっている。
【0038】
この開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kは、ヘッド2に取り付けたセンサー11の検知結果に基づいてコントロールユニット6から出される指示に対応してインクIの流路を開閉するように構成されている。
【0039】
加圧ポンプ23は、一台設けられており、該一台の加圧ポンプ23で四つのタンク22C,22M,22Y,22Kのそれぞれを加圧すべく、配管分岐体25を介して各タンク22C,22M,22Y,22Kに配管接続されている。
【0040】
インク貯留部4は、常時加圧ポンプ23が作動しており、前記開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kの開閉により印刷部3へのインクIの供給及びその停止を行うようになっている。
【0041】
搬送装置7は、記録紙配置部1から引き出された記録紙Pを圧着状態で搬送するローラ対25a,25bで構成されており、該ローラ対25a,25bは、印刷部3に対して記録紙Pの供給方向上流側及び下流側に配置されている。該搬送装置7は、印刷時においてヘッド2が一往復動する毎に、記録紙Pを所定搬送量で搬送する、いわゆる間欠搬送を行うように構成されている。この搬送装置7もコントロールユニット6の指示により動作するようになっている。
【0042】
以上構成からなるインクジェットプリンタで記録紙Pに印刷を行う場合には、まず、記録紙配置部1から引き出された記録紙Pがローラ対25a,25bによって下流側の印刷部3に搬送される。そして、記録紙Pに向けてインクIを吐出させることのできる領域内でヘッド2が連続的に往復動しつつ、加圧ポンプ23の加圧によってタンク22C,22M,22Y,22Kからチューブ9C,9M,9Y,9Kを介してヘッド2に供給されたインクIが、吐出手段の動作によってノズルから記録紙Pに向けて吐出されるとともに、搬送装置7がヘッド2の往復タイミングに対応して記録紙Pを搬送することで、記録紙Pに対して印刷が施される。
【0043】
具体的には、ヘッド2における往復動の往動において、ヘッド2の各ノズルから適宜シアン、マジェンダ、イエロー、ブラックのインクIが吐出されており、ヘッド2が一往復動した後の往動と復動とが切り代わる際に搬送装置7によって記録紙Pが所定の送り量で搬送されることで、ライン状の印刷が連続状態となって面状となり、記録紙Pの一方の面(ヘッド2と対向した面)に写真や絵等の画像が形成されることとなる。
【0044】
一方、タンク22C,22M,22Y,22Kとチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分、開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kとチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分等からチューブ9C,9M,9Y,9K内に気体Aが流入してしまった状態で、上述の如き印刷を行った際には、ヘッド2へのインクIの供給に伴い、チューブ9C,9M,9Y,9K内の気体AがインクIとともにヘッド2に向けて移動する。そして、その気体Aがヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分に到達すると、該接続部分近傍に設けたセンサー11が、接続部分を通過する気体Aを検知することとなる。なお、ヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分から気体Aが流入した場合であっても、センサー11を接続部分近傍に設けたので、気体Aの流入時点においてセンサー11が流入する気体Aを検知することとなる。
【0045】
そして、気体Aの検知時において、往復動しているヘッド2の位置が往路の途中位置である場合(ヘッド2がインクIを吐出している場合)には、ノズルからインクIを吐出させつつヘッド2を往復動の折り返し地点まで移動させて一旦印刷が停止される。こうすることで、往復動の折り返し地点を印刷再開時の原点位置に機械的且つ電気的に確定することができ、確定された原点位置から印刷を円滑に再開させることができる。したがって、記録紙Pに塗布されたインクIに対してノズルから吐出されるインクIが重ね塗りされるのを防止することができる。なお、気体Aの検知時において、往復動しているヘッド2の位置が復路の途中位置である場合(ヘッド2がインクIを吐出していない場合)には、そのまま往復動の折り返し地点まで移動させて一旦印刷が停止され、気体Aの検知時において、ヘッド2が往復動の折り返し地点にある場合には、その位置で一旦印刷が停止される。
【0046】
その後、印刷を停止した状態で、ヘッド2が退避位置Xに向けて移動する。この際、図3に示す如く、ヘッド2の下面にスクレーパー14が接触し、ヘッド2の下面に付着したインクIなどが、かき落とされることとなる。
【0047】
そして、ヘッド2が退避位置Xに到達すると、図4に示す如く、ヘッド2の下面の外周縁部と受け皿16の上端開口縁部に設けられたパッキン19とが密接状態となり、受け皿16内部が密閉される。そして、コントロールユニット6の指示により、気体Aが検知されたチューブ9C,9M,9Y,9K以外のチューブ9C,9M,9Y,9Kに接続された開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kが閉じられる。
【0048】
その後、吸引ポンプ18を駆動してインク排出タンク17、受け皿16内の気体Aを吸引する。そうすると、インク排出タンク17及び受け皿16内部が負圧状態となり、気体Aの検知されたチューブ9C,9M,9Y,9Kと接続した接続穴、及びノズル内のインクIが受け皿16内に吸い出され、センサー11によって検知された気体Aもノズルから吸い出される(排出される)。なお、この状態において、気体Aが検知されていないチューブ9C,9M,9Y,9K内のインクIは、開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kを閉じたことにより、ノズルから吸引されるのが防止されている。
【0049】
この際、センサー11によって検知された気体Aの位置よりもタンク22C,22M,22Y,22K側にあったインクIもノズル側に吸引されることとなる。これにより、そのインクIは、気体Aがノズルから排出された後にノズル内に位置することとなる。一方、吸引されたインクIは、受け皿16、管20を介してインク排出タンク17に排出される。
【0050】
そして、吸引ポンプ18は、駆動して所定時間経過後に駆動が停止され、閉状態にした開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kが開かれる。その後、先に印刷を停止した往復動の折り返し地点(原点位置)にヘッド2を移動させ、この状態で、印刷の実行を再開される。したがって、この状態においては、先にセンサー11で検知された気体Aは、既に排出されているので、インクIのみがノズルに向けて安定供給される。これにより、記録紙Pに向けてインクIを安定して吐出させることができる。
【0051】
以上構成のインクジェットプリンタによれば、チューブ9C,9M,9Y,9K内に気体Aが流入した状態で印刷を行っても、その気体Aがヘッド2内に到達する前に、センサー11でその気体Aを検知して印刷を停止させるとともに、検知した気体Aを排出するように構成したので、印刷再開時においてチューブ9C,9M,9Y,9K内にインクIだけが存在することとなり、印刷時(記録紙Pに向けてインクIを吐出させる際)にノズルから気体Aが排出されず、インクIのみを安定してノズルから吐出させることができる。これにより、記録紙Pに未印刷部分が形成されず高品質の印刷が可能となる。
【0052】
また、印刷を行うべく、インクIを記録紙Pに向けて吐出させる際(吐出手段に電圧を印加する際)には、上述の如くヘッド2、チューブ9C,9M,9Y,9K内の気体Aが排出されているので、吐出手段の動作時においては必ず吐出手段近傍に気体が紛れていないインクIが存在することとなり、そのインクIによる冷却作用によって電圧の印加による吐出手段の温度上昇を抑えることができる。これにより、吐出手段が過加熱状態となって動作不調となったり、破損したりするのを防止することができ、安定してインクIを吐出させることができる。したがって、吐出手段の不調による記録紙Pの未印刷部分の形成を防止することができ、安定且つ高品質の印刷を担保することができる。
【0053】
また、クリーニング部5を動作させる際に、ヘッド2を退避位置Xに移動させてから当該退避位置Xで、センサー11で検知した気体Aを排出するように構成したので、気体Aの排出する際に、不用意にインクIが記録紙P上に落ちて記録紙Pを汚してしまうといった事態を防止することができる。
【0054】
さらに、センサー11をヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとを接続した接続部分に対応した位置、すなわちチューブ9C,9M,9Y,9KにおけるインクIの供給方向下流端部に配置したので、タンク22C,22M,22Y,22Kとチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分や、開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kとチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分等のインクIの供給方向上流側で流入した気体Aを確実に検知することは勿論のこと、ヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分から流入してくる気体Aも確実に検知することができる。
【0055】
また、上述のようにセンサー11を配置するとともに、そのセンサー11で検知した気体Aをノズルから排出するようにしたので、気体Aを排出するために排出するインクIの量を、検知した気体Aの存在位置よりも下流側に存在する微量なインクIを排出するだけでよい。これにより、気体Aを排出するためにインクIを無駄に排出するの防止することができ、経済的である。
【0056】
さらに、検知した気体Aを排出する排出手段15として吸引装置15を採用したので、チューブ9C,9M,9Y,9K、ヘッド2内の気体Aを吸引する際に、スクレーパー14でかき落とすことの出来なかったヘッド2の下面に付着した液状のインクIや塵などに直接吸引力が作用し、これらを吸い取ることができる。また、ヘッド2の下面に形成された吐出口部内に付着した塵等にも吸引力が作用し易いので、これらの除去も円滑に行うことができる。
【0057】
また、気体Aが存在するチューブ9C,9M,9Y,9KからインクIとともに気体Aを排出する際に、他のチューブ9C,9M,9Y,9Kに接続された開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kを閉じるようにしたので、他のチューブ9C,9M,9Y,9K内のインクIは吸引されず、インクIを無駄に排出するのを防止することができる。
【0058】
また、チューブ9C,9M,9Y,9Kを透過性の有するものにするとともに、チューブ9C,9M,9Y,9K内の気体Aを検知する検知手段11として透過型のセンサー11を採用したので、気体Aを検知する構成が複雑化せず、簡易な構成で確実に気体Aを検知することができる。
【0059】
尚、本発明のインクジェットプリンタは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0060】
上記実施形態において、ヘッド2に供給されたインクIをノズルから吐出させるべく、ヘッド2内部に吐出手段を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、インク貯留部4の加圧ポンプ23の加圧力をノズルからインクIを吐出させ得る圧力に設定し、開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kの開閉により、ノズルからのインクIの吐出を制御する構成も採用することができる。
【0061】
上記実施形態において、吸引装置15によってノズルからインクIを吸引するようにしたが、これに限定されるものではなく、上記加圧ポンプ23の加圧によって検知した気体Aをノズルから押し出すようにしてもよい。この場合においても、気体Aの存在しないチューブ9C,9M,9Y,9Kに接続された開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kを閉じた状態で気体Aを押し出すようにすることが好ましい。
【0062】
上記実施形態において、透過型センサー11で検知したチューブ9C,9M,9Y,9K内の気体をノズルを介して吸引(排出)するように吸引装置15(排出手段)を構成したが、これに限定されるものではなく、吸引装置15は、ヘッド2から気体を吸引する構成であればよい。例えば、ヘッド2内の接続穴と連通する吸引用の穴をヘッド2の側面に穿設し、これに伴って、上記実施形態における吸引装置15の受け皿16を、ヘッド2の側面との密接状態によって内部が密閉される形態のものにする。そうすると、ヘッド2が退避位置に到達した状態でポンプを駆動した際に、吸引用の穴を介してヘッド2からノズル、チューブ及び接続穴内のインクとともに検知された気体を吸引することができる。但し、このような構成にした場合、印刷時において吸引用の穴を閉鎖する閉鎖手段を設けることは勿論のことである。
【0063】
上記実施形態において、気体Aを検知する検知手段として透過型センサー11を採用したが、これに限定されるものではなく、例えば、超音波センサーを採用することもできる。超音波センサーを採用すれば、当該センサー11から発射した音波をチューブ9C,9M,9Y,9K内部に存在するインクI又は気体Aによって反射させ、その反射した音波の周波数を検出することで気体Aの存在の有無を検知することができる。したがって、超音波センサーを採用すれば、チューブ9C,9M,9Y,9Kは必ずしも透過性を有する必要はない。
【0064】
上記実施形態において、ロール状にした記録紙Pを引き出すことで、当該記録紙Pに印刷を施すようにしたが、記録紙Pは、ロール状にされたものに限定されるものではなく、所定サイズに切断されたいわゆる枚葉紙状のものであってもよい。
【0065】
また、上記実施形態において、印刷で用いるインクIを四色にしたが、これに限定されるものではなく、インクIの色は四色以上、或いは四色以下であってもよい。この場合、ノズル、タンク22C,22M,22Y,22K、これらを接続するチューブ9C,9M,9Y,9K、センサー11などは、インクIの色の数に対応して設ければよい。
【0066】
上記実施形態において、ヘッド2を記録紙Pの供給方向に直交方向で往復動可能に構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、記録紙Pの幅Wに対応した長さを有するヘッド2を固定して設けたものであってもよい。
【0067】
上記実施形態において、往復動するヘッド2の往動時においてインクIを吐出させて印刷を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、往復動時の何れにおいてもインクIを吐出させて印刷するようにしてもよい。この場合、ヘッドの往動と復動とが切り替わる際に、所定の送り量で記録紙Pを搬送するようにすればよい。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかるインクジェットプリンタによれば、検知手段がチューブ内に存在する気体を検知し、その検知結果に基づき印刷を停止した状態で排出手段がその気体を排出するように構成されているので、気体がノズルの到達する前に排出することができ、安定したインクの吐出を実現し、安定した品質の印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインクジェットプリンタの概略斜視図を示す。
【図2】同実施形態にかかるヘッドとチューブとの接続部分における部分断面図を示す。
【図3】同実施形態にかかるヘッドを退避位置に向けて移動させ、ヘッドの下面がスクレーパーに接触している概略状態図を示す。
【図4】同実施形態にかかるヘッド及びチューブ内の気体を排出手段によって排出させている概略状態断面図を示す。
【符号の説明】
1…記録紙配置部、2…ヘッド、3…印刷部、4…インク貯留部、5…クリーニング部、6…コントロールユニット、7…搬送装置、8…レール、9C,9M,9Y,9K…チューブ、10…突筒部、11…センサー(検知手段)、12…発光体、13…受光体、14…スクレーパー、15…吸引装置(排出手段)、16…受け皿、17…インク排出タンク、18…吸引ポンプ、19…パッキン、20,21…管、22C,22M,22Y,22K…タンク、23…加圧ポンプ、24C,24M,24Y,24K…開閉バルブ、25a,25b…ローラ対、25…配管分岐体、A…気体、I…インク、P…記録紙、X…退避位置
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、供給されてくる記録紙に向けてインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが周知である。
【0003】
かかるインクジェットプリンタとして、供給されてくる記録紙に向けてインクを吐出するノズルを有するヘッドと、インクを貯留するタンクとを備え、ノズルにインクを供給すべくヘッドとタンクとがチューブで接続されたものがある。
【0004】
この種のインクジェットプリンタは、ヘッドが記録紙の供給方向に対して交差方向に往復動可能に構成され、ヘッドを往復動させつつインクを吐出して印刷を行うように構成されているのが一般的である。このようにすることで、ヘッドの小型化が実現されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−113881号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の如く、ヘッドとタンクとをチューブで接続した構成を採用すると、徐々にではあるがヘッドとチューブとの接続部分や、タンクとチューブとの接続部分等からチューブ内部に気体が流入する場合がある。特に、印刷を長時間停止していると、流入した気体が集まって気泡となってしまう。
【0007】
そうすると、この状態で印刷を実行した際に、インクとともに気泡がヘッドに向けて移動し、最終的にはその気泡がノズルから放出されてしまう。このため、気泡が放出された時点においては、記録紙に向けてインクが吐出されず、記録紙に未印刷部分、或いは着弾ドットに不適形状が形成され、印刷における品質低下を招くといった問題があった。
【0008】
また、この種のインクジェットプリンタには、電圧を印加することでインクをノズルから吐出させる吐出手段(例えば、ピエゾ素子やヒータ等)がヘッドに内装されたものがある。この種の吐出手段は、電圧の印加による温度上昇を抑えるべく、流通するインクによって冷却効果を得ることができるようにヘッド内に配置されているが、ヘッド内(特に吐出手段近傍)に気体が到達すると、吐出手段近傍にインクが存在しなくなるため、吐出手段が冷却されなくなる場合がある。そのため、吐出手段が安定して機能しなくなったり、破損したりして、安定したインクの吐出ができなくなる場合がある。したがって、この場合においても、記録紙に未印刷部分が形成され、印刷における品質低下を招くといった問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、安定したインクの吐出を実現し、高品質の印刷を行うことのできるインクジェットプリンタを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるインクジェットプリンタは、請求項1記載の如く、インクを吐出するノズルを有するヘッドと、インクを貯留するタンクとを備え、インクをノズルに供給すべく、ヘッドとタンクとがチューブで接続され、供給されてくる記録紙に向けてノズルからインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、チユーブ内の気体を検知する検知手段を備えるとともに、検知手段による気体の検知に基づいて、印刷を停止した状態でチューブ内の気体を外部に排出させる排出手段を備えてなることを特徴とする。
【0011】
上記構成のインクジェットプリンタによれば、検知手段がチューブ内に存在する気体を検知し、その検知結果に基づき印刷を停止した状態で排出手段がその気体を排出するように構成されているので、検知された気体がヘッド(ノズル)に到達する前に、印刷状態を不安定にする気体を排出手段によって排出することができる。したがって、記録紙に印刷を施すべく、ノズルから記録紙に向けてインクを吐出しているときに、気体がノズルから放出されることがなく、インクを安定して吐出させることができ、高品質の印刷が可能となる。
【0012】
また、請求項2記載の如く、ヘッドは、記録紙の供給方向に対して交差方向に往復動可能に設けられ、排出手段は、ヘッドが記録紙に対して印刷を行わない退避位置に移動した状態で、気体を排出するように構成されてなることが好ましい。このようにすれば、排出手段が動作している際に、何らかの原因でノズルからインクが滴下しても、そのインクが記録紙に付着してしまうといった事態を防止することができる。
【0013】
さらに、請求項3記載の如く、排出手段は、ヘッドからインクとともに気体を吸引する吸引装置で構成されてなることが好ましい。このようにヘッドからインクとともに気体を吸引すれば、気体周辺のインクも排出することとなるので、検知した気体を完全に排出することができる。また、ヘッドから気体及びインクを吸引して排出すると、チューブ内が負圧状態となって検知された気体の存在位置よりタンク側に位置するインクもヘッド側に移動させることとなる。したがって、印刷再開時においても吐出させるインクがヘッド内に存在することとなり、印刷再開を円滑に行うことができる。
【0014】
また、請求項4記載の如く、チューブは、光透過性を有するとともに、検知手段は、透過型センサーで構成されてもよい。このようにすれば、構成が複雑化せずに確実に気体を検知することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態にかかるインクジェットプリンタについて、添付図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態にかかるインクジェットプリンタは、図1に示す如く、印刷を施す記録紙Pをセットする記録紙配置部1と、該記録紙配置部1から供給されてくる記録紙Pに印刷を施すヘッド2を有する印刷部3と、印刷部3に供給する複数色のインク(本実施形態においては、シアン(C)、マジェンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Y)の四色のインク)を貯留するインク貯留部4と、ヘッド2のメンテナンス等を行い印刷の安定性を担保するクリーニング部5と、当該インクジェットプリンタの動作を制御するコントロールユニット6と、記録紙配置部1から引き出した記録紙Pをさらに下流側に搬送する搬送装置7とで構成されている。
【0017】
記録紙配置部1は、ロール状にされた長尺な記録紙Pを着脱可能に軸支できるようになっており、軸支した記録紙Pを長手方向に引き出せるように構成されている。
【0018】
印刷部3は、記録紙Pの引き出し方向に対して交差方向に延びる一対のレール8,8と、該レール8,8に摺動可能に取り付けられた前記ヘッド2とで構成されている。
【0019】
一対のレール8,8のそれぞれは、記録紙Pの幅W(記録紙Pにおける引き出し方向と直交する方向の長さ)より長く設定された棒状をなしており、相互の軸心が略平行をなすように、記録紙Pの引き出し方向にヘッド2を介在させ得る間隔を有した状態で、記録紙Pと対向するように設けられている。また、一対のレール8,8は、上記の如き長さ設定されることにより、一端側が引き出された記録紙Pと対向しないように設けられており、この部分のレール8,8間がヘッド2を退避させる退避位置Xとなる。
【0020】
ヘッド2は、外観略直方体をなしており、長手を記録紙Pの供給方向に対して直交方向にして配置されている。該ヘッド2は、インクを吐出するノズル(図示しない)と、該ノズルから所定量で且つ適正なタイミングでインクを吐出させる吐出手段(図示しない)とを内部に有し、ヘッド2の上面には、インク貯留部4に接続された透過性を有する(略透明な)チューブ9C,9M,9Y,9Kを接続する両端開口状態の突筒部10が突設されている。この突筒部10は、インク貯留部4に貯留したインクの色の数に対応して四つ設けられており、これらはヘッド2の長手方向に所定間隔を有している。各突筒部10は、チューブ9C,9M,9Y,9Kの一端部を外嵌可能に外径が設定され、ノズルに連通するように設けられている。
【0021】
ノズルは、吐出するインクの色毎に複数設けられている。各ノズルは裁頭円錐形状(円錐形状の頂部を切除した形状)の上下に貫通した穴であり、小径側の開口端が、ヘッド2の下面に一致させた状態となっている。これにより、平面をなすヘッド2の下面には、インクを吐出する複数の小径の開口が形成されている。また、各ノズルの大径側の開口端は、突筒部10の内穴から分岐した複数の接続穴(図示しない)のそれぞれに接続されており、ノズルが接続穴を介して突筒部10と連通するように構成されている。このようにすることで、各チューブ9C,9M,9Y,9Kから供給されてくるインクを複数のノズルから吐出できるようになっている。
【0022】
前記吐出手段は、各接続穴の内周面に埋設されており、電圧を印加することにより、接続穴内のインクをノズルに向けて押し出すように構成されている。この吐出手段としては、電圧を印加することで変形する圧電素子(ピエゾ素子)や、電圧を印加することでインクを加熱するヒータ等を採用することができる。インクジェットプリンタにピエゾ素子やヒータ等が採用されていることは、一般的であるのでこれらの説明については割愛する。
【0023】
さらにヘッド2は、接続されたチューブ9C,9M,9Y,9K内に気体が存在した際に、その気体を検知する検知手段11を備えている。この検知手段11として、透過型のセンサーが採用されている。この透過型のセンサー11は、光を発光させる発光体12と、該発光体12から発せられた光を受光して検知する受光体13とで構成されている。当該センサー11(発光体12及び受光体13)は、コントロールユニット6に配線接続されている。
【0024】
このように構成されたセンサー11は、図2に示す如く、チューブ9C,9M,9Y,9K内に流入した気体Aをチューブ9C,9M,9Y,9Kの下流端部で検知し得るように、発光体12と受光体13との間に、ヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとを接続した接続部分近傍におけるチューブ9C,9M,9Y,9Kのみを介在させた状態で、ヘッド2に取り付けられている。
【0025】
このように、発光体12と受光体13との間にチューブ9C,9M,9Y,9Kを介在させることで、センサー11は、チューブ9C,9M,9Y,9K内における光の透過状態の変化を検出して、気体Aの存在を検知するようになっている。つまり、接続部分におけるチューブ9C,9M,9Y,9K内にインクIのみが存在する場合には、インクIによって発光体12からの光が遮られて受光体13に届きにくくなるのに対し、チューブ9C,9M,9Y,9K内に気体Aが存在する場合には、発光体12からの光がインクIによって遮られずに受光体13に届きやすくなるので、受光体13に届く光の光度の変化を検出することで、チューブ9C,9M,9Y,9K内の気体Aの有無を検知するようになっている。
【0026】
これにより、ヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分から流入する気体Aや、インク貯留部4からヘッド2に向けて移動してくる気体Aを検知することができる。
【0027】
図1に戻り、上記構成のヘッド2は、一対のレール8,8間に配置された状態で、各レール8,8の長手方向に摺動可能に構成されている。
【0028】
このようにレール8,8に摺動可能に取り付けられたヘッド2は、レール8,8の長手方向にレール8,8に沿って配設された無端ベルト(図示しない)の一部に連結されている。無端ベルトは、モータ(図示しない)の駆動により周方向に回転可能となっている。これにより、ヘッド2は、モータを駆動して無端ベルトを正逆転させることで、レール8,8に沿って往復動するようになっている。具体的に説明すると、ヘッド2は、記録紙Pに印刷を行う際に記録紙Pに向けてインクIを吐出させ得る領域内でレール8,8に沿って移動するようになっている。また、ヘッド2は、印刷を行わないとき、或いはクリーニング部5でヘッド2のメンテナンス等を行うときに、退避位置Xに移動できるようになっている。
【0029】
クリーニング部5は、ヘッド2の下面に付着したインクIや塵を除去するスクレーパー14と、ヘッド2及びチューブ9C,9M,9Y,9K内に存在する気体Aを排出する排出手段15とで構成されており、前記退避位置Xの下方に設けられている。
【0030】
スクレーパー14は、ゴム等の弾性体から構成されており、退避位置Xにおける記録紙P側に配設されている。当該スクレーパー14は、退避位置Xに向けて移動するヘッド2の下面を接触するように設けられている。これにより、ヘッド2が退避位置Xに向けて移動する際に、ヘッド2の下面に付着したインクIの粒や塵がスクレーパー14によってかき落とされることとなる(図3)。
【0031】
排出手段15は、ヘッド2及びチューブ9C,9M,9Y,9K内のインクIを吸引する吸引装置により構成されており、該吸引装置15は、上部が開口した受け皿16と、該受け皿16の底に管を介して接続されたインク排出タンク17と、該インク排出タンク17に接続された吸引ポンプ18とで構成されている。排出手段15は、スクレーパー14に対しレール8,8の一端側に設けられている。
【0032】
受け皿16は、上端開口部がヘッド2の下面の形状に対応して形状設定されている。受け皿16の上端開口縁部には、パッキン19が設けられている。このパッキン19は、レール8,8の一端側に向けて移動して退避位置Xに到達したヘッド2における下面の外周縁部に当接し、受け皿16内部が密閉状態となるように構成されている。当該受け皿16の底部には、管20が垂設されており、受け皿16の内部と前記管20内部とが連通するようになっている。
【0033】
インク排出タンク17は、外観略角形をなしており、受け皿16の下方に配置されている。かかるインク排出タンク17は、受け皿16に垂設された管20の下端が天部に接続されており、管20を介して受け皿16の内部とインク排出タンク17の内部とが連通するように構成されている。
【0034】
また、インク排出タンク17は、吸引ポンプ18に接続された管21が起立した壁部に接続されており、受け皿16の内部が、インク排出タンク17、及び管20,21を介して吸引ポンプ18と連通するようになっている。これにより、吸引ポンプ18の吸引力が受け皿16内に作用し得るようになっている。
【0035】
吸引ポンプ18は、コントロールユニット6に配線接続されており、コントロールユニット6の指示により動作するようになっている。吸引ポンプ18は、動作開始後に受け皿16、管20,21及びインク排出タンク17内が所定の負圧状態で所定時間経過後に停止するようになっている。なお、ここで所定時間とは、所定の圧力条件下において、ヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分(気体Aを検知し得る位置)からノズルにかけて存在するインクIの量以上のインクIが排出される時間に設定されている。なお、この吸引ポンプ18としては、真空ポンプを採用することが好ましい。
【0036】
インク貯留部4は、インクIを貯留するタンク22C,22M,22Y,22Kと、該タンク22C,22M,22Y,22K内を加圧してタンク22C,22M,22Y,22K内のインクIを印刷部3に供給する加圧ポンプ23と、タンク22C,22M,22Y,22Kから印刷部3へのインクIの供給及びその停止を切り替える開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kとで構成されている。
【0037】
タンク22C,22M,22Y,22Kは、インクIの色の数に対応して四つ並列に設けられており、各タンク22C,22M,22Y,22Kは、印刷部3のヘッド2に接続された各チューブ9C,9M,9Y,9Kに接続されている。各チューブ9C,9M,9Y,9Kの途中には、前記開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kが設けられており、タンク22C,22M,22Y,22K毎にインクIの流出、及びその停止を行えるようになっている。
【0038】
この開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kは、ヘッド2に取り付けたセンサー11の検知結果に基づいてコントロールユニット6から出される指示に対応してインクIの流路を開閉するように構成されている。
【0039】
加圧ポンプ23は、一台設けられており、該一台の加圧ポンプ23で四つのタンク22C,22M,22Y,22Kのそれぞれを加圧すべく、配管分岐体25を介して各タンク22C,22M,22Y,22Kに配管接続されている。
【0040】
インク貯留部4は、常時加圧ポンプ23が作動しており、前記開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kの開閉により印刷部3へのインクIの供給及びその停止を行うようになっている。
【0041】
搬送装置7は、記録紙配置部1から引き出された記録紙Pを圧着状態で搬送するローラ対25a,25bで構成されており、該ローラ対25a,25bは、印刷部3に対して記録紙Pの供給方向上流側及び下流側に配置されている。該搬送装置7は、印刷時においてヘッド2が一往復動する毎に、記録紙Pを所定搬送量で搬送する、いわゆる間欠搬送を行うように構成されている。この搬送装置7もコントロールユニット6の指示により動作するようになっている。
【0042】
以上構成からなるインクジェットプリンタで記録紙Pに印刷を行う場合には、まず、記録紙配置部1から引き出された記録紙Pがローラ対25a,25bによって下流側の印刷部3に搬送される。そして、記録紙Pに向けてインクIを吐出させることのできる領域内でヘッド2が連続的に往復動しつつ、加圧ポンプ23の加圧によってタンク22C,22M,22Y,22Kからチューブ9C,9M,9Y,9Kを介してヘッド2に供給されたインクIが、吐出手段の動作によってノズルから記録紙Pに向けて吐出されるとともに、搬送装置7がヘッド2の往復タイミングに対応して記録紙Pを搬送することで、記録紙Pに対して印刷が施される。
【0043】
具体的には、ヘッド2における往復動の往動において、ヘッド2の各ノズルから適宜シアン、マジェンダ、イエロー、ブラックのインクIが吐出されており、ヘッド2が一往復動した後の往動と復動とが切り代わる際に搬送装置7によって記録紙Pが所定の送り量で搬送されることで、ライン状の印刷が連続状態となって面状となり、記録紙Pの一方の面(ヘッド2と対向した面)に写真や絵等の画像が形成されることとなる。
【0044】
一方、タンク22C,22M,22Y,22Kとチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分、開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kとチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分等からチューブ9C,9M,9Y,9K内に気体Aが流入してしまった状態で、上述の如き印刷を行った際には、ヘッド2へのインクIの供給に伴い、チューブ9C,9M,9Y,9K内の気体AがインクIとともにヘッド2に向けて移動する。そして、その気体Aがヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分に到達すると、該接続部分近傍に設けたセンサー11が、接続部分を通過する気体Aを検知することとなる。なお、ヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分から気体Aが流入した場合であっても、センサー11を接続部分近傍に設けたので、気体Aの流入時点においてセンサー11が流入する気体Aを検知することとなる。
【0045】
そして、気体Aの検知時において、往復動しているヘッド2の位置が往路の途中位置である場合(ヘッド2がインクIを吐出している場合)には、ノズルからインクIを吐出させつつヘッド2を往復動の折り返し地点まで移動させて一旦印刷が停止される。こうすることで、往復動の折り返し地点を印刷再開時の原点位置に機械的且つ電気的に確定することができ、確定された原点位置から印刷を円滑に再開させることができる。したがって、記録紙Pに塗布されたインクIに対してノズルから吐出されるインクIが重ね塗りされるのを防止することができる。なお、気体Aの検知時において、往復動しているヘッド2の位置が復路の途中位置である場合(ヘッド2がインクIを吐出していない場合)には、そのまま往復動の折り返し地点まで移動させて一旦印刷が停止され、気体Aの検知時において、ヘッド2が往復動の折り返し地点にある場合には、その位置で一旦印刷が停止される。
【0046】
その後、印刷を停止した状態で、ヘッド2が退避位置Xに向けて移動する。この際、図3に示す如く、ヘッド2の下面にスクレーパー14が接触し、ヘッド2の下面に付着したインクIなどが、かき落とされることとなる。
【0047】
そして、ヘッド2が退避位置Xに到達すると、図4に示す如く、ヘッド2の下面の外周縁部と受け皿16の上端開口縁部に設けられたパッキン19とが密接状態となり、受け皿16内部が密閉される。そして、コントロールユニット6の指示により、気体Aが検知されたチューブ9C,9M,9Y,9K以外のチューブ9C,9M,9Y,9Kに接続された開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kが閉じられる。
【0048】
その後、吸引ポンプ18を駆動してインク排出タンク17、受け皿16内の気体Aを吸引する。そうすると、インク排出タンク17及び受け皿16内部が負圧状態となり、気体Aの検知されたチューブ9C,9M,9Y,9Kと接続した接続穴、及びノズル内のインクIが受け皿16内に吸い出され、センサー11によって検知された気体Aもノズルから吸い出される(排出される)。なお、この状態において、気体Aが検知されていないチューブ9C,9M,9Y,9K内のインクIは、開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kを閉じたことにより、ノズルから吸引されるのが防止されている。
【0049】
この際、センサー11によって検知された気体Aの位置よりもタンク22C,22M,22Y,22K側にあったインクIもノズル側に吸引されることとなる。これにより、そのインクIは、気体Aがノズルから排出された後にノズル内に位置することとなる。一方、吸引されたインクIは、受け皿16、管20を介してインク排出タンク17に排出される。
【0050】
そして、吸引ポンプ18は、駆動して所定時間経過後に駆動が停止され、閉状態にした開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kが開かれる。その後、先に印刷を停止した往復動の折り返し地点(原点位置)にヘッド2を移動させ、この状態で、印刷の実行を再開される。したがって、この状態においては、先にセンサー11で検知された気体Aは、既に排出されているので、インクIのみがノズルに向けて安定供給される。これにより、記録紙Pに向けてインクIを安定して吐出させることができる。
【0051】
以上構成のインクジェットプリンタによれば、チューブ9C,9M,9Y,9K内に気体Aが流入した状態で印刷を行っても、その気体Aがヘッド2内に到達する前に、センサー11でその気体Aを検知して印刷を停止させるとともに、検知した気体Aを排出するように構成したので、印刷再開時においてチューブ9C,9M,9Y,9K内にインクIだけが存在することとなり、印刷時(記録紙Pに向けてインクIを吐出させる際)にノズルから気体Aが排出されず、インクIのみを安定してノズルから吐出させることができる。これにより、記録紙Pに未印刷部分が形成されず高品質の印刷が可能となる。
【0052】
また、印刷を行うべく、インクIを記録紙Pに向けて吐出させる際(吐出手段に電圧を印加する際)には、上述の如くヘッド2、チューブ9C,9M,9Y,9K内の気体Aが排出されているので、吐出手段の動作時においては必ず吐出手段近傍に気体が紛れていないインクIが存在することとなり、そのインクIによる冷却作用によって電圧の印加による吐出手段の温度上昇を抑えることができる。これにより、吐出手段が過加熱状態となって動作不調となったり、破損したりするのを防止することができ、安定してインクIを吐出させることができる。したがって、吐出手段の不調による記録紙Pの未印刷部分の形成を防止することができ、安定且つ高品質の印刷を担保することができる。
【0053】
また、クリーニング部5を動作させる際に、ヘッド2を退避位置Xに移動させてから当該退避位置Xで、センサー11で検知した気体Aを排出するように構成したので、気体Aの排出する際に、不用意にインクIが記録紙P上に落ちて記録紙Pを汚してしまうといった事態を防止することができる。
【0054】
さらに、センサー11をヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとを接続した接続部分に対応した位置、すなわちチューブ9C,9M,9Y,9KにおけるインクIの供給方向下流端部に配置したので、タンク22C,22M,22Y,22Kとチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分や、開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kとチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分等のインクIの供給方向上流側で流入した気体Aを確実に検知することは勿論のこと、ヘッド2とチューブ9C,9M,9Y,9Kとの接続部分から流入してくる気体Aも確実に検知することができる。
【0055】
また、上述のようにセンサー11を配置するとともに、そのセンサー11で検知した気体Aをノズルから排出するようにしたので、気体Aを排出するために排出するインクIの量を、検知した気体Aの存在位置よりも下流側に存在する微量なインクIを排出するだけでよい。これにより、気体Aを排出するためにインクIを無駄に排出するの防止することができ、経済的である。
【0056】
さらに、検知した気体Aを排出する排出手段15として吸引装置15を採用したので、チューブ9C,9M,9Y,9K、ヘッド2内の気体Aを吸引する際に、スクレーパー14でかき落とすことの出来なかったヘッド2の下面に付着した液状のインクIや塵などに直接吸引力が作用し、これらを吸い取ることができる。また、ヘッド2の下面に形成された吐出口部内に付着した塵等にも吸引力が作用し易いので、これらの除去も円滑に行うことができる。
【0057】
また、気体Aが存在するチューブ9C,9M,9Y,9KからインクIとともに気体Aを排出する際に、他のチューブ9C,9M,9Y,9Kに接続された開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kを閉じるようにしたので、他のチューブ9C,9M,9Y,9K内のインクIは吸引されず、インクIを無駄に排出するのを防止することができる。
【0058】
また、チューブ9C,9M,9Y,9Kを透過性の有するものにするとともに、チューブ9C,9M,9Y,9K内の気体Aを検知する検知手段11として透過型のセンサー11を採用したので、気体Aを検知する構成が複雑化せず、簡易な構成で確実に気体Aを検知することができる。
【0059】
尚、本発明のインクジェットプリンタは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0060】
上記実施形態において、ヘッド2に供給されたインクIをノズルから吐出させるべく、ヘッド2内部に吐出手段を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、インク貯留部4の加圧ポンプ23の加圧力をノズルからインクIを吐出させ得る圧力に設定し、開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kの開閉により、ノズルからのインクIの吐出を制御する構成も採用することができる。
【0061】
上記実施形態において、吸引装置15によってノズルからインクIを吸引するようにしたが、これに限定されるものではなく、上記加圧ポンプ23の加圧によって検知した気体Aをノズルから押し出すようにしてもよい。この場合においても、気体Aの存在しないチューブ9C,9M,9Y,9Kに接続された開閉バルブ24C,24M,24Y,24Kを閉じた状態で気体Aを押し出すようにすることが好ましい。
【0062】
上記実施形態において、透過型センサー11で検知したチューブ9C,9M,9Y,9K内の気体をノズルを介して吸引(排出)するように吸引装置15(排出手段)を構成したが、これに限定されるものではなく、吸引装置15は、ヘッド2から気体を吸引する構成であればよい。例えば、ヘッド2内の接続穴と連通する吸引用の穴をヘッド2の側面に穿設し、これに伴って、上記実施形態における吸引装置15の受け皿16を、ヘッド2の側面との密接状態によって内部が密閉される形態のものにする。そうすると、ヘッド2が退避位置に到達した状態でポンプを駆動した際に、吸引用の穴を介してヘッド2からノズル、チューブ及び接続穴内のインクとともに検知された気体を吸引することができる。但し、このような構成にした場合、印刷時において吸引用の穴を閉鎖する閉鎖手段を設けることは勿論のことである。
【0063】
上記実施形態において、気体Aを検知する検知手段として透過型センサー11を採用したが、これに限定されるものではなく、例えば、超音波センサーを採用することもできる。超音波センサーを採用すれば、当該センサー11から発射した音波をチューブ9C,9M,9Y,9K内部に存在するインクI又は気体Aによって反射させ、その反射した音波の周波数を検出することで気体Aの存在の有無を検知することができる。したがって、超音波センサーを採用すれば、チューブ9C,9M,9Y,9Kは必ずしも透過性を有する必要はない。
【0064】
上記実施形態において、ロール状にした記録紙Pを引き出すことで、当該記録紙Pに印刷を施すようにしたが、記録紙Pは、ロール状にされたものに限定されるものではなく、所定サイズに切断されたいわゆる枚葉紙状のものであってもよい。
【0065】
また、上記実施形態において、印刷で用いるインクIを四色にしたが、これに限定されるものではなく、インクIの色は四色以上、或いは四色以下であってもよい。この場合、ノズル、タンク22C,22M,22Y,22K、これらを接続するチューブ9C,9M,9Y,9K、センサー11などは、インクIの色の数に対応して設ければよい。
【0066】
上記実施形態において、ヘッド2を記録紙Pの供給方向に直交方向で往復動可能に構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、記録紙Pの幅Wに対応した長さを有するヘッド2を固定して設けたものであってもよい。
【0067】
上記実施形態において、往復動するヘッド2の往動時においてインクIを吐出させて印刷を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、往復動時の何れにおいてもインクIを吐出させて印刷するようにしてもよい。この場合、ヘッドの往動と復動とが切り替わる際に、所定の送り量で記録紙Pを搬送するようにすればよい。
【0068】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかるインクジェットプリンタによれば、検知手段がチューブ内に存在する気体を検知し、その検知結果に基づき印刷を停止した状態で排出手段がその気体を排出するように構成されているので、気体がノズルの到達する前に排出することができ、安定したインクの吐出を実現し、安定した品質の印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインクジェットプリンタの概略斜視図を示す。
【図2】同実施形態にかかるヘッドとチューブとの接続部分における部分断面図を示す。
【図3】同実施形態にかかるヘッドを退避位置に向けて移動させ、ヘッドの下面がスクレーパーに接触している概略状態図を示す。
【図4】同実施形態にかかるヘッド及びチューブ内の気体を排出手段によって排出させている概略状態断面図を示す。
【符号の説明】
1…記録紙配置部、2…ヘッド、3…印刷部、4…インク貯留部、5…クリーニング部、6…コントロールユニット、7…搬送装置、8…レール、9C,9M,9Y,9K…チューブ、10…突筒部、11…センサー(検知手段)、12…発光体、13…受光体、14…スクレーパー、15…吸引装置(排出手段)、16…受け皿、17…インク排出タンク、18…吸引ポンプ、19…パッキン、20,21…管、22C,22M,22Y,22K…タンク、23…加圧ポンプ、24C,24M,24Y,24K…開閉バルブ、25a,25b…ローラ対、25…配管分岐体、A…気体、I…インク、P…記録紙、X…退避位置
Claims (4)
- インクを吐出するノズルを有するヘッドと、インクを貯留するタンクとを備え、インクをノズルに供給すべく、ヘッドとタンクとがチューブで接続され、供給されてくる記録紙に向けてノズルからインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、チユーブ内の気体を検知する検知手段を備えるとともに、検知手段による気体の検知に基づいて、印刷を停止した状態でチューブ内の気体を外部に排出させる排出手段を備えてなることを特徴とするインクジェットプリンタ。
- ヘッドは、記録紙の供給方向に対して交差方向に往復動可能に設けられ、排出手段は、ヘッドが記録紙に対して印刷を行わない退避位置に移動した状態で、気体を排出するように構成されてなる請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
- 排出手段は、ヘッドからインクとともに気体を吸引する吸引装置で構成されてなる請求項1又は2記載のインクジェットプリンタ。
- チューブは、光透過性を有するとともに、検知手段は、透過型センサーで構成されてなる請求項1乃至3の何れかに記載のインクジェットプリンタ。
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