JP2004188493A - 缶胴の外形加工方法及びその装置 - Google Patents

缶胴の外形加工方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】缶胴の強度低下を防止すると共に缶胴の内面における傷付きや被膜の損傷を確実に防止し、また、一方側が閉塞された缶胴であっても容易に外形加工が行なえ、しかも、装置構成を複雑とすることなく低コストでよりデザイン性の高い外形加工を容易に施すことができる缶胴の外形加工方法及びその装置を提供する。
【解決手段】内部が気体により所定圧に維持された缶胴4の周壁にその外方から押圧部材44を圧接し、缶胴4の周壁に所定形状の凹入変形部56を形成する。これにより、缶胴4の所望の位置を凹入変形させたことによる立体模様が形成される。
【選択図】図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶胴の所望の位置を凹入変形させて立体模様とし、缶胴のデザイン性を向上させる外形加工方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、飲料や食品等を内容物とする缶体においては、缶胴のデザイン性を向上させるために缶胴を凹入変形させて立体模様を形成する外形加工を施すことが知られている。
【0003】
この種の外形加工を行なう際には、例えば、先ず円筒状の缶胴の内部に該缶胴の両側の開口部から一対の受け型を挿入し、一対の受け型の先端部同士の対向幅によって凹入形状に対応する成形部が形成される。一方、缶胴の外面側からは、押圧ローラを成形部に対応する位置を押圧する。そして、押圧ローラによる圧接を維持して缶胴を回転させ、これにより、缶胴を全周にわたって凹入変形させる。
【0004】
しかし、押圧ローラと受け型とによって凹入変形させた場合には、凹入部の肉厚が押圧ローラと受け型との絞り変形により薄くなり、缶胴の強度が低下する不都合がある。
【0005】
また、缶胴内に受け型を挿入してこの種の外形加工を施す場合には、受け型が缶胴の内面に摺接するために缶胴の内面に傷付きが生じるおそれがあり、特に、缶胴の内面に塗装等の被膜処理が施されている場合には被膜が損傷するおそれがある。更に、受け型を用いることによって受け型の形状が残り、立体模様としての美観が低下する場合がある。
【0006】
更に、缶胴の一方に缶蓋が巻き締められていたり、或いは、所謂2ピース缶胴のように有底円筒状に一体成形されている場合には、缶胴の一方側の開口部からしか受け型を挿入することができず、所望の凹入形状が得られない不都合がある。
【0007】
また、押圧ローラと受け型との位置を正確に対応させる必要があるため、装置構成が複雑になり、装置が高価となるため製造コストが増加する不都合がある。
【0008】
そこで、他の従来の技術として、内面側に立体模様が形成された外型内に缶胴を収容し、外周方向に膨張自在のゴム製の膨張部を備える成形ヘッドを缶胴内部に挿入し、更に、膨張部を水圧により膨張させて缶胴を外型の内面に押し付けて外型内面の立体模様を缶胴外面に成形加工する方法が知られている(特許文献1参照)。これによれば、缶胴の内面に当接されるのはゴム製の膨張部であるために、缶胴内面の傷付き等を防止することができる。
【0009】
しかし、これによると、前記膨張部の膨張によって缶胴を膨張させて缶胴に凹凸を形成するために、缶胴を縮径させる外形加工は行なえない不都合がある。また、成形ヘッドには前記膨張部だけでなく該膨張部に水を供給するための流路等の複雑な構成が必要となり、更に、外型の内面に押し付けるだけの極めて高い圧力を前記膨張部に付与して缶胴を膨張させなければならず、装置が高価となり製造コストが増加する不都合がある。また、ゴム製の膨張部による缶胴内面側からの押圧によって缶胴を変形させるために、例えば、缶胴の外面に複数の凹部を比較的近接させて形成しようとしても、缶胴の外面には凹部が十分に形成されない不都合がある。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−10873号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
かかる不都合を解消して、本発明は、缶胴の強度低下を防止すると共に缶胴の内面における傷付きや被膜の損傷を確実に防止し、また、一方側が閉塞された缶胴であっても容易に外形加工が行なえ、しかも、装置構成を複雑とすることなく低コストでよりデザイン性の高い外形加工を容易に施すことができる缶胴の外形加工方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、円筒状の缶胴の所望の位置を凹入変形させて立体模様を形成する缶胴の外形加工方法であって、内部が気体により所定圧に維持された缶胴の周壁にその外方から押圧部材を圧接し、該缶胴の周壁に所定形状の凹入変形部を形成する押圧成形工程を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明者は種々の試験を行なった結果、内部が気体により所定圧に維持された缶胴の周壁外面に押圧部材を圧接することで、従来のように缶胴内部に受け型を挿入することなく、缶胴周壁を所望の形状に精度良く凹入させることが可能であることを知見した。
【0014】
即ち、前記押圧成形工程における缶胴は、その内部の気体が所定圧に維持されているので、缶胴の周壁内面には缶胴の外方に向って均等に圧力が付与される。この状態で、缶胴の周壁外面を押圧部材によって押圧すると、押圧部材の当接部位の缶胴周壁が凹入されるが、それと同時に押圧部材が当接されない部位においては、所定圧の気体が従来の受け型と同様の作用を有して缶胴の変形が抑制される。これにより、従来のような受け型や成形ヘッドを缶胴内に挿入することなく押圧部材の当接部位においてのみ凹入変形させることができ、低コストで缶胴に外形加工を施すことができる。
【0015】
そして、従来のような受け型による絞り変形が缶胴の板厚方向に生じないので、凹入変形された部分において肉厚の減少が殆ど無く、缶胴の強度を低下させることなく外形加工を施すことができる。しかも、従来のような受け型が不要であることにより、缶胴の内面側の傷付き等を確実に防止することができる。
【0016】
また、本発明の方法においては、前記押圧成形工程に先立って、前記缶胴の軸線方向の両端に一対の保持部材を当接して該缶胴を挟持して、該缶胴の周壁外面を露出状態に且つ該缶胴の内部を密封して保持する缶胴保持工程と、該缶胴保持工程による缶胴の保持状態を維持して少なくとも一方の前記保持部材に備える気体導入口から該缶胴の内部に気体を導入して缶胴内を所定圧に維持する気体導入工程とを行なうことが好ましい。
【0017】
これによれば、先ず、前記缶胴保持工程により缶胴の周壁外面を露出状態で缶胴を保持する。このとき、缶胴は、一対の保持部材により内部を密封して保持される。次いで、前記気体導入工程により、気体が、前記保持部材に備える気体導入口から缶胴内部に導入される。該缶胴の両端は両保持部材によって密封保持され、これによって缶胴の内部が所定圧に上昇する。その後前記押圧成形工程を行なう。こうすることにより、内部が気体により所定圧に維持された缶胴に対して効率良く前記押圧成形工程を行なうことができる。更に、本発明における外形加工方法においては、少なくとも一方の前記保持部材に備える気体導入口から該缶胴の内部に気体を導入するので、両端が開口する缶胴だけでなく、例えば所謂3ピース缶で一端を開口させて他端に缶蓋を巻締めた状態の缶胴、或いは、底部が缶胴と一体に形成される2ピース缶用缶胴等であっても容易に外形加工を施すことができる。しかも、缶胴にネックイン加工やフランジ加工が施されていても支障なく外形加工を施すことができる。
【0018】
また、本発明の前記押圧成形工程においては、回転自在に設けられたローラ状の前記押圧部材の周縁部を缶胴の外壁に圧接しつつ転動させて、缶胴の周壁の所定範囲にわたって連続する凹入変形部を形成することができる。これにより、缶胴の周壁全周にわたって凹入変形させることができ、極めて効率良く缶胴の外形加工を行なうことができる。
【0019】
前記押圧成形工程の一態様として、前記押圧部材を缶胴の周壁に圧接転動させつつ該缶胴の軸線方向に所定距離移動させて、缶胴の軸線方向の所定範囲にわたって連続して凹入された凹入変形部を形成することにより、所望の幅に凹入することができる。これにより、単一の押圧幅を有する押圧部材を用いても、該押圧部材の移動距離によって凹入変形部の幅寸法を容易に調節することができる。
【0020】
このとき、前記押圧部材を缶胴の軸線方向に移動させつつ、該押圧部材による缶胴への圧接力を次第に増加又は減少させ、缶胴をテーパ状に変形させることができるので、デザイン性の高い缶胴を容易に形成することができる。
【0021】
また、前記押圧成形工程の他の態様として、缶胴の軸線方向に所定間隔を存して前記押圧部材による缶胴の周方向への圧接転動を行うことにより、缶胴の軸線方向に所定間隔を存して配列された複数の凹入変形部を形成して缶胴のデザイン性を容易に向上させることができる。
【0022】
それ以外の前記押圧成形工程の態様は、前記押圧部材を缶胴の周方向に対して傾きを存して缶胴の周壁に沿って圧接転動させることで、缶胴の軸線方向の所定範囲にわたって螺旋状に連続する凹入変形部を形成して缶胴のデザイン性を容易に向上させることができる。
【0023】
また、本発明の方法において、前記押圧部材は、円盤状に形成されて回転自在に設けられ、その周縁部には所定形状の複数の凸部が該押圧部材の周方向に所定間隔を存して配設され、前記押圧成形工程においては、前記押圧部材の周縁部を缶胴の外壁に圧接しつつ転動させることにより、缶胴の周壁への各凸部の凹入により缶胴の周壁に所定間隔を存して配列された複数の凹入変形部を極めて効率良く形成することができる。
【0024】
このとき、缶胴の軸線方向に所定間隔を存して前記押圧部材による缶胴の周方向への圧接転動を行うことにより、缶胴の外壁の周方向と軸線方向とに配列された複数の凹入変形部を容易に形成することができる。
【0025】
或いは、前記押圧部材を缶胴の周方向に対して傾きを存して缶胴の周壁に沿って圧接転動させるだけで、缶胴の軸線方向の所定範囲にわたって螺旋状に配列された複数の凹入変形部を容易に形成することができる。
【0026】
本発明の方法においては、前記缶胴が0.06〜0.2mmの肉厚寸法を有するアルミニウムにより形成されているとき、缶胴内部の気体の圧力を0.1〜0.5MPaに維持し、前記缶胴が0.1〜0.3mmの肉厚寸法を有するスチールにより形成されているとき、缶胴内部の気体の圧力を0.1〜0.7MPaに維持することが好ましい。これは、本発明者による各種試験により明らかとされたものである。即ち、アルミニウム製の缶胴は肉厚寸法が0.06〜0.2mmのものが常用され、スチール製の缶胴は肉厚寸法が0.1〜0.3mmのものが常用されるが、これらの肉厚寸法の範囲内においては、アルミニウム製の缶胴とスチール製の缶胴とが共に缶胴内部に付与する気体の圧力が0.1MPa以上とすることで、缶胴への押圧部材の圧接時に缶胴形状を維持して確実に凹入変形部を形成することができ、缶胴に凹入変形部が形成される前に缶胴形状が維持できずに潰れ変形が生じる事態を防止することができる。また、アルミニウム製の缶胴では0.5MPa以下、スチール製の缶胴では0.7MPa以下とすることで、缶胴に過剰な膨張や亀裂等の発生を防止して凹入変形部を良好に形成することができる。従って、缶胴の材料に応じて前述の気体の圧力に維持することで、缶胴に凹入変形部を確実に形成することができる。
【0027】
そして、前記押圧部材が所定形状の複数の凸部を備えるとき、缶胴の材料に応じて前述の気体の圧力に維持したうえで、前記押圧成形工程においては、前記押圧部材の前記凸部の缶胴の周壁への凹入寸法が缶胴の周壁外面から缶胴内部に向かって0.1〜1.2mmとされ、前記押圧部材の各凸部が、その突出量が前記凹入寸法より大とされて1mm以上の間隔を存して配設され、且つ、該押圧部材の軸線に沿った断面形状において1〜3mmの曲率半径を有する先端形状とされていることが好ましい。
【0028】
本発明者は、缶胴外壁を押圧部材の各凸部によって凹入変形させるとき、押圧部材の各凸部の間隔や各凸部の先端形状を前記範囲とすることにより変形量が比較的小さくても確実に視認できて美観の高い凹入変形部が効率良く形成できることを知見した。即ち、本発明者の各種試験によれば、各凸部の缶胴への凹入寸法が0.1mmより浅いと缶胴の凹入変形が殆ど見られず、凹入寸法を0.1mmより深くすることで十分に視認できる凹入変形が得られた。また、缶胴内部に気体で所定の圧力が付与されていることから、各凸部の缶胴への凹入寸法が1.2mmを越えても缶胴の内圧の押し返しにより缶胴の凹入変形部の深さ寸法に変化が殆ど無くなり、凸部を不要に深く凹入することなく十分な深さの凹入変形部を形成できることが明らかとされた。また、前記凹入寸法が0.1〜1.2mmであるときには、押圧部材の各凸部の間隔が1mmより狭い場合に、互いに隣り合う凹入変形部が連続して形成されてしまい、各凸部の間隔を1mm以上とすることで複数の凹入変形部の一つ一つが独立して視認可能に形成されることが明らかとされた。更に、押圧部材の軸線に沿った凸部先端の断面形状においては、1mmより小さな曲率半径であると過剰に鋭利となるため、缶胴への傷付きや刺通が生じるおそれがある。一方、前記凹入寸法が0.1〜1.2mmの範囲にあるときに、凸部先端が3mmより大きな曲率半径であると缶胴への凹入変形が不十分となり、凸部先端の曲率半径を3mm以下とすることで、確実に視認できる凹入変形部を形成することができることが明らかとされた。なお、このとき、押圧部材の各凸部の突出量が前記凹入寸法より大とすることで、凸部の先端によって圧接された缶胴に十分な凹入変形部を形成することができる。
【0029】
そして前記押圧部材の各凸部により形成される凹入変形部は、缶胴の内部に気体による所定の圧力が付与されていることにより、缶胴の周壁を極めて浅く微細に変形させることができ、具体的には、凹入変形部一つ一つの変形量が小さくても確実に視認することができる凹入変形部を形成することができる。これによれば、缶胴の強度を低下させることがないだけでなく、存在感を有して美観の高い立体模様を形成することができる。更に、缶胴に微細な変形による凹入変形部が形成されることによって、例えば缶胴表面に商品表示等の印刷が施されていても、その印刷を見難くすることのない立体模様とすることができる。
【0030】
また、本発明の装置は、前述した本発明の方法を実現するものであり、内部が気体により所定圧に維持された缶胴の周壁外面を露出状態に保持する缶胴保持手段と、該缶胴保持手段に保持された缶胴の周壁を圧接自在に設けられた押圧部材と、該押圧部材を缶胴の周壁に圧接させて該缶胴の周壁を所定形状に凹入変形させる圧接手段とを備えることを特徴とする。
【0031】
本発明の装置によれば、前記缶胴保持手段によって気体で所定の圧力に維持された缶胴を保持し、圧接手段により押圧部材を缶胴の周壁に圧接する。これにより、従来のように缶胴内部に受け型を挿入することなく、缶胴周壁を所望の形状に精度良く凹入させることができ、簡単な装置構成で確実に外形加工を施すことができる。
【0032】
また、本発明の装置において、前記缶胴保持手段は、前記缶胴の軸線方向の両端に当接して該缶胴を挟持して該缶胴の内部を密封して保持する一対の保持部材を備え、該缶胴保持手段の少なくとも一方の前記保持部材に形成された気体導入口を介して、缶胴の内部に気体を導入し缶胴内を気体により所定圧に維持する気体導入手段を設けることが好ましい。
【0033】
これにより、少なくとも一方の前記保持部材に備える気体導入口から該缶胴の内部に気体を導入するので、両端が開口する缶胴だけでなく、例えば所謂3ピース缶で一端を開口させて他端に缶蓋を巻締めた状態の缶胴、或いは、底部が缶胴と一体に形成される2ピース缶用缶胴等であっても容易に外形加工を施すことができる。
【0034】
本発明の装置において、前記缶胴保持手段は、前記両保持部材を回転自在に備えると共に少なくとも一方の保持部材を介して缶胴をその軸線回りに回転させる回転駆動手段を備え、前記押圧部材は、ローラ状に形成されており、缶胴の外壁に周縁部を圧接して回転自在に設けられていることを特徴とする。
【0035】
これにより、押圧部材を缶胴の外壁に圧接した状態で回転駆動手段により缶胴を回転させるだけで、缶胴の周壁全周を凹入するすることができ、装置構成を簡単として極めて効率良く缶胴に外形加工を施すことができる。
【0036】
更に、本発明の装置においては、前記押圧部材を缶胴の軸線に沿って移動させる移動手段を設けたことを特徴とする。これによれば、回転駆動手段により缶胴を回転させ、且つ、ローラ状の前記押圧部材を缶胴に圧接した状態で、移動手段により押圧部材を缶胴の軸線に沿って移動させるだけで、缶胴を比較的幅広く凹入変形させることができる。また、回転駆動手段により缶胴を回転させた状態を維持し、先ずローラ状の前記押圧部材を缶胴に圧接し、次いで押圧部材を缶胴から離反させ、続いて移動手段により押圧部材を缶胴の軸線に沿って所定距離移動させた後に押圧部材を缶胴に圧接するといったことを繰り返すことで、缶胴の軸線方向に所定間隔を存して複数列凹入変形させることが極めて容易に行なうことができる。
【0037】
また、このとき、前記押圧部材を、缶胴の周方向に対して傾きを存して回転自在に支持しておくことにより、前記回転駆動手段により缶胴を回転させ、前記圧接手段により押圧部材を缶胴の外壁に圧接させつつ前記移動手段により押圧部材を移動させるだけで、缶胴の外壁を螺旋状に凹入変形させることができる。
【0038】
また、前記押圧部材が回転自在であることから、前記押圧部材の外周に、所定形状の複数の凸部が該押圧部材の周方向に所定間隔を存して配設することにより、押圧部材を缶胴の外壁に圧接した状態で回転駆動手段により缶胴を回転させるだけで、缶胴の周壁全周に所定間隔の凹入変形部を複数形成することができる。
【0039】
また、本発明において、前記押圧部材には、前記缶胴保持手段により保持された缶胴と同期して該押圧部材を回転させる回転駆動手段を設けることが好ましい。回転している缶胴の周壁に回転が停止した状態の押圧部材を圧接した場合には、押圧部材が缶胴に当接したときから缶胴の回転に伴って回転を開始するまでの間に時間的な遅れを生じ、凸部が缶胴の周壁に当接したときに擦り動いて所望の凹入変形部とならないおそれがある。そこで、前記回転手段を設けて押圧部材を缶胴に同期して回転させておくことにより、缶胴の回転との遅れが生じることなく押圧部材の凸部を缶胴に圧接でき、缶胴の周壁に凹入変形部を確実に形成することができる。
【0040】
このとき、前記押圧部材の回転駆動手段の一態様を挙げれば、該回転駆動手段は、少なくとも一方の前記保持部材に同軸に設けられた駆動プーリと、該駆動プーリに離間して設けられ、駆動プーリとの間にベルトが掛け渡されたアイドルプーリと、前記押圧部材に同軸に設けられ、前記ベルトに圧接して該ベルトに追従して回転する圧接プーリとを備え、前記圧接手段は、前記圧接プーリの前記ベルトへの圧接状態を維持して前記押圧部材を前記缶胴の周壁に圧接・離反する方向に進退させることを特徴とする。
【0041】
前記回転駆動手段をこのように構成するこにより、まず、前記保持部材が回転することにより、缶胴と同期して前記駆動プーリが回転する。駆動プーリの回転により、前記アイドルプーリとの間に掛け渡されたベルトが回転する。該ベルトには前記圧接プーリが圧接されており、ベルトの回転により圧接プーリを介して押圧手段を回転させることができる。そして更に、圧接プーリは、押圧部材が前記缶胴の周壁に圧接・離反する方向に進退されたときにもベルトへの圧接が維持されるので、前記圧接手段により押圧部材が缶胴の周壁に圧接されるときに、該押圧部材を缶胴に同期した回転状態とすることができる。
【0042】
更に、このとき、前記押圧部材を缶胴の軸線に沿って移動させる移動手段が設けられ、前記圧接プーリは、前記ベルトに圧接する圧接面が該移動手段による押圧部材の移動距離に対応する幅寸法に形成されていることを特徴とする。前記移動手段により押圧部材を缶胴の軸線に沿って移動したとき、前記ベルトは圧接プーリへの圧接状態を維持して相対的に圧接プーリの圧接面に沿って移動することができる。これにより、押圧部材が缶胴の軸線に沿って移動しているときであっても、該押圧部材を缶胴に同期して回転させることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施装置の概略構成を示す説明的側面図、図2は本実施装置の要部の断面説明図、図3は保持部材による缶胴の保持状態を示す説明図、図4は押圧部材及びその凸部を示す説明的斜視図、図5は本実施装置の缶胴投入時の作動を示す説明図、図6は圧接手段の作動をを示す説明図、図7は缶胴への外形加工時の作動を示す説明図、図8は押圧成形工程及び缶胴の凹入変形部を示す説明図、図9は他の押圧部材を用いて形成された缶胴を示す説明図、図10乃至図12は他の保持部材による缶胴の保持状態を示す説明図、図13乃至図16は他の押圧部材を用いた押圧成形工程を示す説明図である。
【0044】
図1において、1は外形加工装置、2は投入路3から該外形加工装置1へ缶胴4を投入する投入ターレット、5は該外形加工装置1から払出路6へ缶胴4を払い出す払出ターレットである。外形加工装置1は、詳しくは後述するが、図示しない回転駆動手段によって回転駆動される回転軸7回りに周回動する複数の缶胴保持手段8と、缶胴保持手段8に保持された缶胴4の周壁に圧接して該缶胴4に外形加工を施す押圧手段9とを備えている。投入ターレット2は、投入路3に沿って供給される缶胴4を個別に吸引保持して投入位置Aで缶胴保持手段8に渡す。払出ターレット5は、缶胴保持手段8に保持されて外形加工が施された缶胴4を払出位置Bで吸引して受け取り、払出路6へ送り出す。
【0045】
外形加工装置1は、図2に一部を断面示するように、前記回転軸7に連設された円盤状の一対の回転支持部10,11を備え、両回転支持部10,11の周縁部に所定間隔を存して複数の缶胴保持手段8が支持されている。該缶胴保持手段8は、円筒状に形成された缶胴4の開口する一端部に当接する第1保持部材12と、該第1保持部材12に対向して設けられ、缶胴4の閉塞された他端部に当接する第2保持部材13とを備えている。図3に示すように、前記第1保持部材12は、缶胴4の開口14の周縁に形成されたフランジ部15に対応する形状を有して該フランジ部15に気密に当接する当接部16を備えている。前記第2保持部材13は、缶胴4の閉塞された底部17に対応する形状を有して該底部17に当接する当接部18を備えている。なお、本実施形態において外形加工を施す缶胴4は、比較的薄肉のアルミニウム製であり、開口14に図示しない缶蓋を巻き締める所謂2ピース缶を形成するものである。
【0046】
前記第1保持部材12は、図2に示すように、第1回転シャフト19の先端に設けられている。第1回転シャフト19は、一方の回転支持部10に進退自在に支持された第1進退部材20に回転自在に支持されている。該第1進退部材20は、その後端部に一対の第1カムローラ21,22を備えている。第1カムローラ21,22は、前記回転軸7の外側に沿って環状に設けられた第1案内フレーム23に形成された第1カムレール24,25に案内され、この案内により第1進退部材20が進退する。第1案内フレーム23は、ベアリング26を介して前記回転軸7の一部を回転自在に支持している。該第1案内フレーム23には、環状の第1駆動ギヤ27が設けられており、前記第1回転シャフト19は、第1駆動ギヤ27に歯合する第1従動ギヤ28を備えている。これにより、前記回転軸7の回転に伴って第1駆動ギヤ27により第1従動ギヤ28を介して第1回転シャフト19及び第1保持部材12が回転駆動される。また、前記回転軸7の回転に伴って第1カムローラ21,22が第1カムレール24,25に案内される。これにより、前記投入位置A(図1示)においては第1進退部材20を介して第1回転シャフト19及び第1保持部材12を缶胴4に向かって前進させ、前記払出位置B(図1示)においては第1進退部材20を介して第1回転シャフト19及び第1保持部材12を缶胴4から離反する方向に後退させる。
【0047】
更に、第1保持部材12には、第1回転シャフト19及び第1進退部材20の軸線に沿って形成されたエア流路29の一端が開口するエア導入口30が形成されている。エア流路29には、第1進退部材20の後部から延出された接続チューブ31を介して図示しないエア供給手段(気体導入手段)が接続されており、図3に示すように、エア導入口30を介して缶胴4の内部に所定圧のエアを導入し且つ缶胴4の内部を所定圧に維持する。
【0048】
前記第2保持部材13は、図2に示すように、第2回転シャフト32の先端に設けられている。第2回転シャフト32は、他方の回転支持部11に進退自在に支持された第2進退部材33に回転自在に支持されている。第2進退部材33の後端部には一対の第2カムローラ34,35が設けられている。第2カムローラ34,35は、前記回転軸7の外側に沿って環状に設けられた第2案内フレーム36に形成された第2カムレール37,38に案内され、この案内により第2進退部材33を進退させる。第2案内フレーム36は、ベアリング39を介して前記回転軸7の一部を回転自在に支持している。該第2案内フレーム36には、環状の第2駆動ギヤ40が設けられており、前記第2回転シャフト32は、第2駆動ギヤ40に歯合する第2従動ギヤ41を備えている。これにより、前記回転軸7の回転に伴って第2駆動ギヤ40により第2従動ギヤ41を介して第2回転シャフト32及び第2保持部材13が回転する。また、前記回転軸7の回転に伴って第2カムレール37,38が第2カムローラ34,35を案内する。これにより、前記投入位置A(図1示)においては第2進退部材33を介して第2回転シャフト32及び第2保持部材13を缶胴4に向かって前進させ、前記払出位置B(図1示)においては第2進退部材33を介して第2回転シャフト32及び第2保持部材13を缶胴4から離反する方向に後退させる。
【0049】
更に、両回転支持部10,11の間には、前記押圧手段9が設けられている。該押圧手段9は、ブラケット42と、該ブラケット42に回転自在に支持された回転軸43と、回転軸43に所定間隔を存して支持された複数の(本実施形態においては7個の)押圧部材44とを備えている。ブラケット42は、支持軸45に一体に連結されている。該支持軸45は、両回転支持部10,11に回転自在且つ軸線方向に摺動自在に支持されている。更に詳しくは、該支持軸45は、その一部が筒状部材46を介して回転支持部10に支持されている。該筒状部材46は回転支持部10に回転自在に支持されている。支持軸45は筒状部材46に摺動自在に挿通され且つ筒状部材46と共に回転するように設けられている。筒状部材46の後端部には揺動アーム46aが連設され、該揺動アーム46aには第3カムローラ47が設けられている。
【0050】
また、支持軸45の後端部には該支持軸45が回転自在に挿通し且つ支持軸45と共にその軸線方向に移動自在の移動ブロック45aが設けられている。該移動ブロック45aには第4カムローラ49が設けられている。
【0051】
前記第3カムローラ47は、第1案内フレーム23に形成された第3カムレール48に案内される。第3カムローラ47は、第3カムレール48の案内により揺動アーム46aを介して筒状部材46及び支持軸45を回転させ、該支持軸45に連結された前記ブラケット42を揺動させて押圧部材44を缶胴4に圧接する。なお、支持軸45、筒状部材46、揺動アーム46a、第3カムローラ47及び第3カムレール48は本発明の圧接手段を構成している。
【0052】
また、前記第4カムローラ49は第1案内フレーム23に形成された第4カムレール50に案内される。第4カムローラ49は、第4カムレール50の案内により移動ブロック45aを図中右方向に移動させ、支持軸45をその軸線方向に移動させて、更に、支持軸45に連結されたブラケット42を介して押圧部材44を缶胴4の軸線方向に移動させる。なお、移動ブロック45a、第4カムローラ49、及び第4カムレール50は本発明の移動手段を構成している。
【0053】
更に、前記押圧手段9は、ブラケット42に支持された回転軸43に圧接プーリ51を備えている。該圧接プーリ51は、前記第2保持部材13に設けられた駆動プーリ52と他方の回転支持部11に回転自在に支持されたアイドルプーリ53とに掛け渡されたベルト54に圧接され、後述するように、第2保持部材13に同期して回転されつつ揺動可能に構成されている。また、圧接プーリ51は、ブラケット42及び押圧部材44が缶胴4の軸線方向に移動してもベルト54への圧接が維持できるように、押圧部材44の移動距離に対応する幅寸法の圧接面51aを備えている。
【0054】
また、前記押圧部材44は、図4(a)に示すように円盤状に形成されており、その周縁部には複数の凸部55が所定間隔を存して形成されている。該凸部55は、図4(b)に示すように、その先端55aが押圧部材44の軸線に沿った断面形状において3mmの曲率半径を有する形状とされている。更に、各凸部55は、その突出量が1.2mmより大とされて1mmの間隔を存して配設されている。また、図示しないが、前記押圧部材44は、缶胴4の周方向に対して傾きを存して圧接すべく、回転軸43が缶胴4の軸線に対して僅かな傾斜角度(例えば3°)を有してブラケット42に支持されている。
【0055】
次に、本実施形態の外形加工装置1による缶胴4の外形加工について説明する。先ず、図1を参照すれば、投入路3に沿って連続供給された缶胴4は、投入ターレット2により保持され、投入位置Aにおいて缶胴保持手段8に保持される。このとき、投入位置Aでは、図5(a)に示すように、前記第1保持部材12と第2保持部材13とが互いに離反する方向に後退した状態であり、投入ターレット2により保持された缶胴4は、第1保持部材12と第2保持部材13との間に位置される。次いで、図5(b)に示すように、第1保持部材12と第2保持部材13とが互いに接近する方向に前進し、第1保持部材12と第2保持部材13との間に缶胴4が挟持される(缶胴保持工程)。この状態にあっては、缶胴4の周壁外面が露出状態とされる。また、図3に示すように、第1保持部材12の当接部16が缶胴4の開口14のフランジ部15に気密に当接し、第2保持部材13の当接部18が缶胴4の底部17に当接する。このとき、図5(b)に示すように、第1保持部材12と第2保持部材13とが回転していることから、第1保持部材12と第2保持部材13とに挟持された缶胴4が回転状態とされる。
【0056】
続いて、図3に示すように、第1保持部材12と第2保持部材13とによる缶胴4の保持状態を維持し、第1保持部材12に設けられたエア導入口30から缶胴4の内部にエアを導入し缶胴4の内部のエア圧を所定圧に維持する(気体導入工程)。このときのエア圧は、缶胴4が0.06〜0.2mmの肉厚寸法を有するアルミニウムにより形成されているとき、缶胴内部のエア圧を0.1〜0.5MPaに維持する。
【0057】
次いで、図6に示すように、押圧部材44が缶胴4に圧接される。即ち、前記筒状部材46から延びる揺動アーム46aの第3カムローラ47が第3カムレール48により案内され、ブラケット42が支持軸45を軸として揺動することで押圧部材44が缶胴4に圧接される。このとき、前記駆動プーリ52と前記アイドルプーリ53との回動に追従して圧接プーリ51を介して押圧部材44の回転が維持される。そして、図7(a)に示すように、各押圧部材44が缶胴4に圧接することにより、図8(a)に拡大断面視して示すように、缶胴4の外壁に押圧部材44の凸部55による凹入変形部56が形成される。前記押圧部材44は、缶胴4の周壁外面から缶胴4内部に向かって凸部55の凹入寸法aが1.2mmとなるまで圧接させる。なお、このときの凹入寸法aは、0.1mm〜1.2mmであれば十分に視認できる美観の高い凹入変形部56を形成することができる。
【0058】
更に、図7(b)に示すように、押圧部材44が缶胴4の軸線方向に沿って移動される。このときの押圧部材44の移動は、図2を参照すれば、前述したように第4カムレール50による第4カムローラ49の案内によって行なわれる。即ち、第4カムレール50によって第4カムローラ49が図2中右方向に移動されると、移動ブロック45aを介して支持軸45が軸方向に移動される。これによって支持軸45と共にブラケット42が移動し、押圧部材44が缶胴4の軸線方向に沿って移動する。
【0059】
そして、押圧部材44が缶胴4の周方向に対して傾きをもって転動することから、缶胴4の外壁には、螺旋状に配列された複数の凹入変形部56が形成される。該凹入変形部56は、図8(b)に示すように、凸部55の離反と缶胴4内部のエア圧の押し返しによって僅かに深さ寸法bが凹入寸法aに比べて浅くなる。このため、図8(a)において凸部55による凹入寸法aが0.1mmより小さいと殆ど視認できなくなるが、凸部55による凹入寸法aが0.1mmより大きければ確実に視認可能となる。なお、図4(a)に示す凸部55の間隔cは、1mm以上であればよく、また、図4(b)に示す該凸部55の先端55aは、1〜3mmの曲率半径を有する先端形状とされていることが好ましい。
【0060】
そして、缶胴4外壁を押圧部材44の各凸部55によって凹入変形させるときには、図4(a)を参照すれば、押圧部材44の各凸部55の間隔や各凸部55の先端形状を変えることにより美観の高い他の凹入変形部が形成できる。即ち、本実施形態において形成された凹入変形部56を備える缶胴4を図9(a)に示すが、それと比較して、他の押圧部材については図示しないが、凸部の形状が略円錐状であれば、図9(b)に示す凹入変形部57を形成することができる。更に、押圧部材の外周に連続する凸部を設けておくことにより、図9(c)に示すように連続する線状の凹入変形部58を形成することができる。
【0061】
また、本実施形態においては、図2に示すように、7個の押圧部材44を所定間隔を存して回転軸43に保持させることによって、押圧部材44の缶胴4の軸線方向への移動量を小として外形加工の効率を向上しているが、缶胴4の軸線方向の長さ寸法(缶胴4の高さ寸法)に応じて押圧部材44の数量を増減させることが可能である。また、単一の押圧部材44を回転軸43に保持させてその移動量を延長させても同様の凹入変形部56を形成することもできる。更に、本実施形態においては、押圧部材44を支持する回転軸43を傾けることで、図9(a)に示すように螺旋状に配列された複数の凹入変形部56を形成したが、押圧部材44を支持する回転軸43を缶胴4の軸線に対して平行に設けてもよい。この場合には、図示しないが、缶胴4の外周方向に環状に配列された凹入変形部を形成することができる。
【0062】
このように、本実施形態によれば、缶胴4の内部に所定圧のエアを導入することにより、押圧部材44を缶胴の周壁外面に押し当てるだけで凹入変形部56を形成することができる。これにより、従来のような受け型を缶胴4の内部に挿入することなく外形加工が行なえるので、缶胴4の内面に傷付き等を発生させることなく、且つ装置構成も簡単に缶胴4に外形加工を施すことができる。
【0063】
なお、本実施形態においては、図3に示すように、一方の端部が開口する所謂2ピース缶のアルミニウム製缶胴4に外形加工を施す方法について説明したが、本発明の方法は、図10乃至図12に示すような他の缶胴60,61,62にも採用することができる。即ち、図10に示すように、両端が開口されたスチール製の所謂3ピース缶の缶胴60に外形加工を施すときには、第1保持部材63を缶胴60の一方の開口64に当接し、第2保持部材65を缶胴60の他方の開口66に当接して該缶胴60を保持する。そして、缶胴60の開口64側から第1保持部材63のエア導入口66を介して缶胴60の内部にエアを導入する。なお、缶胴60が0.1〜0.3mmの肉厚寸法を有するとき、缶胴60内部のエア圧は0.1〜0.7MPaに維持する。
【0064】
また、図11に示すように、スチール製の所謂3ピース缶でしかも他方端に缶蓋67が巻締められた缶胴62に外形加工を施すときには、缶蓋67の巻締部68に対応する当接部69を備える第2保持部材70を設けて第1保持部材71との間に該缶胴61を保持する。そして、缶胴61の開口72側から第1保持部材71のエア導入口73を介して缶胴61の内部にエアを導入する。
【0065】
また、図12に示すように、中央部に開口部74が形成された環状の天蓋75が一方端に巻締められ、他方端にドーム状の底蓋76が巻締られたスチール製の缶胴62(例えば、エアゾール缶用の缶胴)である場合には、天蓋75の巻締部77の形状に対応する当接部78を備える第1保持部材79と、底蓋76の巻締部80に対応する当接部81を備える第2保持部材82とによって該缶胴62を挟持する。そして、環状の天蓋75の開口部74から第1保持部材79のエア導入口83を介して缶胴62の内部にエアを導入すればよい。このように、本発明によれば、種々の缶胴4,60,61,62に対して容易に外形加工を施すことができる。
【0066】
また、本発明の外形加工方法を採用することによって、更に異なる凹入変形部を形成することが可能である。即ち、図13に示すように、スチール製の缶胴60(又は61,62)の内部を所定のエア圧に保持して回転させ、缶胴4の外壁に比較的大きな幅と深さを有する凹入変形部84に対応する形状の押圧ローラ85(他の押圧部材)を圧接転動させてもよい。
【0067】
また、図14に示すように、前記押圧ローラ85によって缶胴2の周壁を押圧しつつ該押圧ローラ85を缶胴60の軸線方向に移動させることにより、凹入変形部84を所望の幅に広げることができる。
【0068】
更に、図15に示すように、前記押圧ローラ85を缶胴60の周壁の複数箇所に押し当て凹入させることにより、複数の環状の凹入変形部84を形成することができる。
【0069】
更にまた、図16に示すように、前記押圧ローラ85による周壁の押圧を維持して該押圧ローラ85を缶胴4の軸線方向に移動させ、この移動の際に押圧ローラ85の押圧力を徐々に小とすることにより、缶胴60の外形をテーパー状に形成することができる。
【0070】
なお、本実施形態においては、前記押圧部材44或いは前記押圧ローラ85を採用して缶胴の外壁を押圧して凹入変形部を形成する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。図示しないが、前記押圧部材44や前記押圧ローラ85に替えて、例えば、先端に半球状の押圧面を備える棒状の他の押圧部材を設け、缶胴の一部のみを凹入させてもよい。
【0071】
更に、本実施形態においては、図7(b)に示すように、缶胴4の全周に凹入変形部56を形成するとき、缶胴4をその軸線回りに回転させるものを挙げたが、それ以外に、図示しないが、缶胴4を回転させることなく押圧部材44を缶胴4の軸線回りに回転させてもよい。そして、凹入変形部56を所望の範囲に設ける場合にも、押圧部材44を缶胴4の軸線方向に移動させる以外に、図示しないが、押圧部材44を移動させずに缶胴4を該缶胴4の軸線方向に移動させてもよい。また、本実施形態においては、缶胴4の内部に導入する気体としてエアを採用したが、それに限るものではなく、例えば、窒素ガスや炭酸ガス等の他の気体を用いてもよい。また、例えば缶胴内に気体と液体とが収容されても、気体による所定の圧力が缶胴内に付与されていれば同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施装置の概略構成を示す説明的側面図。
【図2】本実施装置の要部の断面説明図。
【図3】保持部材による缶胴の保持状態を示す説明図。
【図4】押圧成形工程及び缶胴の凹入変形部を示す説明図。
【図5】本実施装置の缶胴投入時の作動を示す説明図。
【図6】圧接手段の作動をを示す説明図。
【図7】缶胴への外形加工時の作動を示す説明図。
【図8】押圧部材及びその凸部を示す説明的斜視図。
【図9】他の押圧部材を用いて形成された缶胴を示す説明図。
【図10】他の保持部材による缶胴の保持状態を示す説明図。
【図11】他の保持部材による缶胴の保持状態を示す説明図。
【図12】他の保持部材による缶胴の保持状態を示す説明図。
【図13】他の押圧部材を用いた押圧成形工程を示す説明図。
【図14】他の押圧部材を用いた押圧成形工程を示す説明図。
【図15】他の押圧部材を用いた押圧成形工程を示す説明図。
【図16】他の押圧部材を用いた押圧成形工程を示す説明図。
【符号の説明】
1…外形加工装置、4,60,61,62…缶胴、8…缶胴保持手段、12,63,71,79…第1保持部材(保持部材)、13,65,70,82…第2保持部材(保持部材)、27,40…駆動ギヤ(回転駆動手段)、28,41…従動ギヤ(回転駆動手段)、30,66,73,83…エア導入口(気体導入口)、44…押圧部材、47…第3カムローラ(圧接手段)、48…第3カムレール(圧接手段)、49…第4カムローラ(移動手段)、50…第4カムレール(移動手段)、51…圧接プーリ、51a…圧接面、52…駆動プーリ、53…アイドルプーリ、54…ベルト、55…凸部、56,57,58,84…凹入変形部、85…押圧ローラ(押圧部材)。

Claims (21)

  1. 円筒状の缶胴の所望の位置を凹入変形させて立体模様を形成する缶胴の外形加工方法であって、
    内部が気体により所定圧に維持された缶胴の周壁にその外方から押圧部材を圧接し、該缶胴の周壁に所定形状の凹入変形部を形成する押圧成形工程を備えることを特徴とする缶胴の外形加工方法。
  2. 前記押圧成形工程に先立って、
    前記缶胴の軸線方向の両端に一対の保持部材を当接して該缶胴を挟持して、該缶胴の周壁外面を露出状態に且つ該缶胴の内部を密封して保持する缶胴保持工程と、
    該缶胴保持工程による缶胴の保持状態を維持して少なくとも一方の前記保持部材に備える気体導入口から該缶胴の内部に気体を導入して缶胴内を気体により所定圧に維持する気体導入工程とを行なうことを特徴とする請求項1記載の缶胴の外形加工方法。
  3. 前記押圧成形工程においては、回転自在に設けられたローラ状の前記押圧部材の周縁部を缶胴の外壁に圧接しつつ転動させて、缶胴の周壁の所定範囲にわたって連続する凹入変形部を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の缶胴の外形加工方法。
  4. 前記押圧成形工程においては、前記押圧部材を缶胴の周壁に圧接転動させつつ該缶胴の軸線方向に所定距離移動させて、缶胴の軸線方向の所定範囲にわたって連続して凹入された凹入変形部を形成することを特徴とする請求項3記載の缶胴の外形加工方法。
  5. 前記押圧部材を缶胴の軸線方向に移動させつつ、該押圧部材による缶胴への圧接力を次第に増加又は減少させ、前記凹入変形部をテーパ状に形成することを特徴とする請求項4記載の缶胴の外形加工方法。
  6. 前記押圧成形工程においては、缶胴の軸線方向に所定間隔を存して前記押圧部材による缶胴の周方向への圧接転動を行い、缶胴の軸線方向に所定間隔を存して配列された複数の凹入変形部を形成することを特徴とする請求項3記載の缶胴の外形加工方法。
  7. 前記押圧成形工程においては、前記押圧部材を缶胴の周方向に対して傾きを存して缶胴の周壁に沿って圧接転動させ、缶胴の軸線方向の所定範囲にわたって螺旋状に連続する凹入変形部を形成することを特徴とする請求項3記載の缶胴の外形加工方法。
  8. 前記押圧部材は、円盤状に形成されて回転自在に設けられ、その周縁部には所定形状の複数の凸部が該押圧部材の周方向に所定間隔を存して配設され、
    前記押圧成形工程においては、前記押圧部材の周縁部を缶胴の外壁に圧接しつつ転動させて、缶胴の周壁への各凸部の凹入により缶胴の周壁に所定間隔を存して配列された複数の凹入変形部を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の缶胴の外形加工方法。
  9. 前記押圧成形工程においては、缶胴の軸線方向に所定間隔を存して前記押圧部材による缶胴の周方向への圧接転動を行い、缶胴の外壁の周方向と軸線方向とに配列された複数の凹入変形部を形成することを特徴とする請求項8記載の缶胴の外形加工方法。
  10. 前記押圧成形工程においては、前記押圧部材を缶胴の周方向に対して傾きを存して缶胴の周壁に沿って圧接転動させ、缶胴の軸線方向の所定範囲にわたって螺旋状に配列された複数の凹入変形部を形成することを特徴とする請求項8記載の缶胴の外形加工方法。
  11. 前記缶胴が0.06〜0.2mmの肉厚寸法を有するアルミニウムにより形成されているとき、缶胴内部の気体の圧力を0.1〜0.5MPaに維持し、
    前記缶胴が0.1〜0.3mmの肉厚寸法を有するスチールにより形成されているとき、缶胴内部の気体の圧力を0.1〜0.7MPaに維持することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載の外形加工方法。
  12. 前記缶胴が0.06〜0.2mmの肉厚寸法を有するアルミニウムにより形成されているとき、缶胴内部の気体の圧力は0.1〜0.5MPaに維持され、
    前記缶胴が0.1〜0.3mmの肉厚寸法を有するスチールにより形成されているとき、缶胴内部の気体の圧力は0.1〜0.7MPaに維持され、
    前記押圧成形工程においては、前記押圧部材の前記凸部の缶胴の周壁への凹入寸法が缶胴の周壁外面から缶胴内部に向かって0.1〜1.2mmとされ、
    前記押圧部材の各凸部は、その突出量が前記凹入寸法より大とされて1mm以上の間隔を存して配設され、且つ、該押圧部材の軸線に沿った断面形状において1〜3mmの曲率半径を有する先端形状とされていることを特徴とする請求項8乃至10の何れか1項記載の缶胴の外形加工方法。
  13. 円筒状の缶胴の所望の位置を凹入変形させて立体模様を形成する缶胴の外形加工装置であって、
    内部が気体により所定圧に維持された缶胴の周壁外面を露出状態に保持する缶胴保持手段と、
    該缶胴保持手段に保持された缶胴の周壁に圧接・離反する方向に進退自在に設けられた押圧部材と、
    該押圧部材を缶胴の周壁に圧接させて該缶胴の周壁を所定形状に凹入変形させる圧接手段とを備えることを特徴とする缶胴の外形加工装置。
  14. 前記缶胴保持手段は、前記缶胴の軸線方向の両端に当接して該缶胴を挟持して該缶胴の内部を密封して保持する一対の保持部材を備え、
    該缶胴保持手段の少なくとも一方の前記保持部材に形成された気体導入口を介して、缶胴の内部に気体を導入し缶胴内を気体で所定圧に維持する気体導入手段を設けたことを特徴とする請求項13記載の缶胴の外形加工装置。
  15. 前記缶胴保持手段は、前記両保持部材を回転自在に備えると共に少なくとも一方の保持部材を介して缶胴をその軸線回りに回転させる回転駆動手段を備え、
    前記押圧部材は、ローラ状に形成されており、缶胴の外壁に周縁部を圧接して回転自在に設けられていることを特徴とする請求項14記載の缶胴の外形加工装置。
  16. 前記押圧部材を缶胴の軸線に沿って移動させる移動手段を設けたことを特徴とする請求項15記載の缶胴の外形加工装置。
  17. 前記押圧部材は、缶胴の周方向に対して傾きを存して回転自在に支持され、
    前記回転駆動手段により缶胴を回転させ、前記圧接手段により押圧部材を缶胴の外壁に圧接させたとき、前記移動手段により押圧部材を移動させて缶胴の外壁を螺旋状に凹入変形させることを特徴とする請求項16記載の缶胴の外形加工装置。
  18. 前記押圧部材の外周には、所定形状の複数の凸部が該押圧部材の周方向に所定間隔を存して配設されていることを特徴とする請求項15乃至17の何れか1項記載の缶胴の外形加工装置。
  19. 前記押圧部材には、前記缶胴保持手段により保持された缶胴と同期して該押圧部材を回転させる回転駆動手段が設けられていることを特徴とする請求項18記載の缶胴の外形加工装置。
  20. 前記押圧部材の回転駆動手段は、少なくとも一方の前記保持部材に同軸に設けられた駆動プーリと、該駆動プーリに離間して設けられ、駆動プーリとの間にベルトが掛け渡されたアイドルプーリと、前記押圧部材に同軸に設けられ、前記ベルトに圧接して該ベルトに追従して回転する圧接プーリとを備え、
    前記圧接手段は、前記圧接プーリの前記ベルトへの圧接状態を維持して前記押圧部材を前記缶胴の周壁に圧接・離反する方向に進退させることを特徴とする請求項19記載の缶胴の外形加工装置。
  21. 前記押圧部材を缶胴の軸線に沿って移動させる移動手段が設けられ、
    前記圧接プーリは、前記ベルトに圧接する圧接面が該移動手段による押圧部材の移動距離に対応する幅寸法に形成されていることを特徴とする請求項20記載の缶胴の外形加工装置。
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