JP2004187748A - ゴルフ靴用スパイクの取付ナット - Google Patents
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Abstract
【課題】靴底に装着したスパイクの脱落を効果的に防止できるすぐれたゆるみ止め機能を有し、かつ、靴底に対する防水機能を兼ね備えているゴルフ靴用スパイクの取付けナットを提供すること。
【解決手段】金属製のナット本体2は、スパイク30の雄ねじ部32が螺合する雌ねじ部5と、該雌ねじ部5に連設され内径が雌ねじ部5より大きい薄肉筒部6とを有する筒状体4の外側部に半径方向へ延びる座板部7が連設され、座板部7に回り止め手段8が設けられており、弾性樹脂製の雌ねじ被成形体3は、薄肉筒部6に嵌着固定される有底筒状体に形成され、雌ねじ部5に連通する筒孔部10が雌ねじ部5のねじ下穴に相当する内径を有し、雌ねじ部5に螺合したスパイク30の雄ねじ部32のねじ込み時のすえ込み作用によって、筒孔部10の側壁に雌ねじ12が成形され、該雌ねじ12と雄ねじ部32のねじ山が緊密に嵌合するように構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】金属製のナット本体2は、スパイク30の雄ねじ部32が螺合する雌ねじ部5と、該雌ねじ部5に連設され内径が雌ねじ部5より大きい薄肉筒部6とを有する筒状体4の外側部に半径方向へ延びる座板部7が連設され、座板部7に回り止め手段8が設けられており、弾性樹脂製の雌ねじ被成形体3は、薄肉筒部6に嵌着固定される有底筒状体に形成され、雌ねじ部5に連通する筒孔部10が雌ねじ部5のねじ下穴に相当する内径を有し、雌ねじ部5に螺合したスパイク30の雄ねじ部32のねじ込み時のすえ込み作用によって、筒孔部10の側壁に雌ねじ12が成形され、該雌ねじ12と雄ねじ部32のねじ山が緊密に嵌合するように構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフ靴の靴底に埋設してスパイクを装着するのに用いるゴルフ靴用スパイクの取付ナットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフ場のグリーン芝の保護対策として、ゴルフ靴の靴底に装着するスパイクは、樹脂製スパイク、いわゆるソフトスパイクの使用が主流になっている。
【0003】
このような樹脂製スパイク(ソフトスパイク)30は、図8に示すように、スパイク基体31が炭素鋼などの金属材料により製造され、取付用雄ねじ部32の端部に半径方向へ延びるフランジ状の座板部33が連設されている。そして、弾性樹脂材料により成形され、周縁部分に複数の突起部35が設けられた樹脂製スパイク本体34にスパイク基体31をインサート成形して、雄ねじ部32が樹脂製スパイク本体34から突出して一体化した構造を有している。一方、ゴルフ靴の靴底20には炭素鋼などの金属材料で製造した取付ナット36が成形底22の成形時にインサート成形により埋設される。該取付ナット36は、スパイク基体31の雄ねじ部32が螺合する雌ねじ部38を有するナット本体37の端部に半径方向へ延びるフランジ状の座板部39が連設されている。座板部39には成形底22の成形時に成形材料が流入して取付ナット36の回り止め手段を構成するため、複数の通孔40が設けられている。また、成形底22の成形時に取付ナット36の雌ねじ部38に成形材料が侵入するのを防ぐため、ナット本体37の座板部39を設けた側の端部開口は蓋板41で密閉されている。そして、図示のように、ゴルフ靴20の成形底22に埋設された取付ナット36の雌ねじ部38に樹脂製スパイク30の雄ねじ部32をねじ込んで取替え可能に装着される。図中、21は中底である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、樹脂製スパイク30は、メタルスパイクに比べてグリップ力が劣り、しかもスパイク本体34が弾性樹脂材料製であるため、摩耗し易く、使用寿命が短いという難点があり、プレーにも悪影響を及ぼすので、頻繁に取り替えなければならず、取替えの手間と費用がゴルファーの悩みの種となっている。のみならず、靴底20に装着したスパイク30が脱落し易いという問題がある。
【0005】
これは、靴底20に埋設される取付ナット36が通常、金属板材をプレス加工して製造されているので、取付ナット36のナット本体37の端部に連設する座板部39の形状及び大きさが制約されることと、該取付ナット36が埋設される靴底20の成形底22はゴム製であるため、スパイク30を強く締め付けると、取付ナット36が成形底22から持ち上げられて変形するという不都合を生じるために、スパイク30の雄ねじ部32を所定の締付けトルク(ねじ径M6で60kg/cm)まで締め付けることができず、約1/2の締付けトルクで締め付けて使用されていることに原因がある。
【0006】
このようなスパイクのゆるみを防止する手段として、スパイク30の雄ねじ部32にマイクロカプセル化した接着剤を塗布したり、スパイク本体34の座面にゆるみ止め用の突起を設けたりしているけれども、締付けトルク自体が小さいため有効なゆるみ止め効果を発揮できていないのが現状である。また、成形底22に埋設される取付ナット36の雌ねじ部38を部分的に変形させたゆるみ止め手段も採用されているけれども、この場合は、スパイクを取り替えるとゆるみ止め効果が極端に低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、靴底に装着したスパイクの脱落を効果的に防止できるすぐれたゆるみ止め機能を有し、かつ、靴底に対する防水機能を兼ね備えているゴルフ靴用スパイクの取付けナットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の取付けナットは、金属製のナット本体と、弾性樹脂製又は形状記憶合金製の雌ねじ被成形体とから成り、前記ナット本体は、スパイクの雄ねじ部が螺合する雌ねじ部と、該雌ねじ部に連設され内径が前記雌ねじ部より大きい薄肉筒部とを有する筒状体の外側部に半径方向へ延びる座板部が連設され、前記座板部に回り止め手段が設けられており、前記雌ねじ被成形体は、前記薄肉筒部に嵌着固定される有底筒状体に形成され、前記雌ねじ部に連通する筒孔部が前記雌ねじ部のねじ下穴に相当する内径を有し、かつ、前記筒孔部の外側端が密閉されており、前記雌ねじ部に螺合した前記スパイクの雄ねじ部のねじ込み時のすえ込み作用によって、前記筒孔部の側壁に雌ねじが成形され、該雌ねじと前記雄ねじ部のねじ山が緊密に嵌合するように構成されている。
【0009】
前記雌ねじ被成形体は、前記薄肉筒部の開口端部をかしめて前記ナット本体に強固、かつ確実に固着することができる。
【0010】
前記雌ねじ被成形体は、ナイロン樹脂により成形することが好ましい。しかし、ナイロン樹脂などの弾性樹脂製の雌ねじ被成形体に成形される雌ねじは、金属材料に比べて剛性が低く、高熱に弱いので、より高い剛性と耐熱性が要求される場合には、前記スパイクの雄ねじ部のねじ込み時のすえ込み作用によって雌ねじの成形加工(塑性加工)が可能な形状記憶合金により前記雌ねじ被成形体を製造することもできる。
【0011】
前記ナット本体の座板部に設ける回り止め手段としては、前述した従来の取付けナットと同様に成形材料が流入する複数の通孔を設けることが一般的であり、該通孔は円孔、円弧状の長孔など種々の形状を採用することができる。前記通孔に代えて回り止め突起を前記座板部に突設してもよい。
【0012】
一方、スパイクの雄ねじ部は、ねじ込み時のすえ込み作用によつて前記雌ねじ被成形体の筒孔部の側壁に雌ねじを容易に成形するため、そのねじ山は高さが徐々に変化する弧状多角形の横断面を有する非円形ねじにすることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1、図2は、本発明によるスパイクの取付けナット1を示しており、該取付けナット1は、金属製のナット本体2と弾性樹脂製の雌ねじ被成形体3とで構成されている。
【0015】
ナット本体2は、図3、図4に示すように、アルミニウムなどの金属材料を圧造加工して製造され、スパイク30(スパイク自体は図8に示した従来品と同じである。)の雄ねじ部32が螺合する雌ねじ部5と、該雌ねじ部5に連設された薄肉筒部6とを有する筒状体4の外側部中間部位に半径方向へ延びるフランジ状の座板部7が連設されている。薄肉筒部6は後述する雌ねじ被成形体3を嵌着するため、雌ねじ部5の呼び径よりかなり大きい寸法の内径Aを有している。また、座板部7には、靴底20の成形底22に埋設したとき回り止め手段を構成するため、成形材料の流入する通孔8が周方向へ所定間隔を隔てて複数個穿設されている。該通孔8の形状は、図4に示す実施形態では円孔であるが、図6に示すように周方向へ延びる弧状の長孔9に形成することもできる。
【0016】
雌ねじ被成形体3は、図5に示すように、ナイロン樹脂により有底筒状体に成形され、ナット本体2の薄肉筒部6に密嵌される外径と高さを有し、かつ、ナット本体2の雌ねじ部5のねじ下穴に相当する寸法、すなわち雌ねじ部5の有効径にほぼ等しい内径Bを有する筒孔部10が形成されており、筒孔部10の一方の端部、すなわちナット本体2に嵌着したとき外側に位置する外側端は底板部11で密閉されている。
【0017】
上記構成の雌ねじ被成形体3をナット本体2の薄肉筒部6に嵌着した状態で、該薄肉筒部6の開口端部6aをかしめて雌ねじ被成形体3をナット本体2に固着し、図1、図2に示すように、雌ねじ部5と筒孔部10が同軸上に連通した取付けナット1が完成する。
【0018】
上記のようにして製造された取付けナット1は、図7に示すように、靴底20の中底21裏面に合成ゴム製の成形底22を成形する工程においてインサート成形され、雌ねじ部5の開口端面が成形底22から露出した状態で成形底22内に埋設される。このインサート成形時に、成形材料が座板部7の通孔8を通じて流入し、取付けナット1が成形底22内に回り止め状態に固着される。また、底板部11で成形材料が筒孔部10に流入するのを確実に防止されている。
【0019】
このように成形底22に埋設された取付けナット1の雌ねじ部5に樹脂製スパイク30の雄ねじ部32をねじ込んでスパイク30が装着されるが、雄ねじ部32のねじ込み時のすえ込み作用によって、雌ねじ被成形体3の筒孔部10の側壁に雌ねじ12が成形され、成形された雌ねじ12と雄ねじ部32のねじ山が緊密に嵌合し、大きな接触抵抗によってすぐれたゆるみ止め効果を発揮する。また、雄ねじ部32のねじ山と雌ねじ12とのひっかかり率が高いので、大きな締付け強度が得られる。さらに、外部に露出する雌ねじ部5を通じて侵入するおそれのある雨水などは有底筒状体の雌ねじ被成形体3の底板部11によって遮断され、靴底20の防止効果もある。
【0020】
上記の実施形態では、雌ねじ被成形体3をナイロン樹脂により製造したが、形状記憶合金により雌ねじ被成形体3を製造することも可能である。この場合、成形される雌ねじ12は剛性が大きく、耐熱性にもすぐれている。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による取付けナットは、すぐれたゆるみ止め機能を有し、かつ、締付け強度が大きいので、靴底に装着したスパイクの不測の脱落を効果的に防止することができる。しかも、繰り返して使用してもゆるみ止め効果はほとんど変わらない。また、靴底に対する防水機能も兼ね備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による取付けナットの縦断正面図である。
【図2】同上平面図である。
【図3】本発明による取付けナットを構成するナット本体の縦断正面図である。
【図4】同上平面図である。
【図5】本発明による取付けナットを構成する雌ねじ被成形体の斜視図である。
【図6】本発明による取付けナットの別の実施形態を示す平面図である。
【図7】本発明による取付けナットの使用状態を示す要部縦断正面図である。
【図8】従来の取付けナットの使用状態を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
1 取付けナット
2 ナット本体
3 雌ねじ被成形体
4 筒状体
5 雌ねじ部
6 薄肉筒部
7 座板部
8,9 通孔
10 筒孔部
11 座板部
12 雌ねじ
20 靴底
21 中底
22 成形底
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフ靴の靴底に埋設してスパイクを装着するのに用いるゴルフ靴用スパイクの取付ナットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフ場のグリーン芝の保護対策として、ゴルフ靴の靴底に装着するスパイクは、樹脂製スパイク、いわゆるソフトスパイクの使用が主流になっている。
【0003】
このような樹脂製スパイク(ソフトスパイク)30は、図8に示すように、スパイク基体31が炭素鋼などの金属材料により製造され、取付用雄ねじ部32の端部に半径方向へ延びるフランジ状の座板部33が連設されている。そして、弾性樹脂材料により成形され、周縁部分に複数の突起部35が設けられた樹脂製スパイク本体34にスパイク基体31をインサート成形して、雄ねじ部32が樹脂製スパイク本体34から突出して一体化した構造を有している。一方、ゴルフ靴の靴底20には炭素鋼などの金属材料で製造した取付ナット36が成形底22の成形時にインサート成形により埋設される。該取付ナット36は、スパイク基体31の雄ねじ部32が螺合する雌ねじ部38を有するナット本体37の端部に半径方向へ延びるフランジ状の座板部39が連設されている。座板部39には成形底22の成形時に成形材料が流入して取付ナット36の回り止め手段を構成するため、複数の通孔40が設けられている。また、成形底22の成形時に取付ナット36の雌ねじ部38に成形材料が侵入するのを防ぐため、ナット本体37の座板部39を設けた側の端部開口は蓋板41で密閉されている。そして、図示のように、ゴルフ靴20の成形底22に埋設された取付ナット36の雌ねじ部38に樹脂製スパイク30の雄ねじ部32をねじ込んで取替え可能に装着される。図中、21は中底である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、樹脂製スパイク30は、メタルスパイクに比べてグリップ力が劣り、しかもスパイク本体34が弾性樹脂材料製であるため、摩耗し易く、使用寿命が短いという難点があり、プレーにも悪影響を及ぼすので、頻繁に取り替えなければならず、取替えの手間と費用がゴルファーの悩みの種となっている。のみならず、靴底20に装着したスパイク30が脱落し易いという問題がある。
【0005】
これは、靴底20に埋設される取付ナット36が通常、金属板材をプレス加工して製造されているので、取付ナット36のナット本体37の端部に連設する座板部39の形状及び大きさが制約されることと、該取付ナット36が埋設される靴底20の成形底22はゴム製であるため、スパイク30を強く締め付けると、取付ナット36が成形底22から持ち上げられて変形するという不都合を生じるために、スパイク30の雄ねじ部32を所定の締付けトルク(ねじ径M6で60kg/cm)まで締め付けることができず、約1/2の締付けトルクで締め付けて使用されていることに原因がある。
【0006】
このようなスパイクのゆるみを防止する手段として、スパイク30の雄ねじ部32にマイクロカプセル化した接着剤を塗布したり、スパイク本体34の座面にゆるみ止め用の突起を設けたりしているけれども、締付けトルク自体が小さいため有効なゆるみ止め効果を発揮できていないのが現状である。また、成形底22に埋設される取付ナット36の雌ねじ部38を部分的に変形させたゆるみ止め手段も採用されているけれども、この場合は、スパイクを取り替えるとゆるみ止め効果が極端に低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、靴底に装着したスパイクの脱落を効果的に防止できるすぐれたゆるみ止め機能を有し、かつ、靴底に対する防水機能を兼ね備えているゴルフ靴用スパイクの取付けナットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の取付けナットは、金属製のナット本体と、弾性樹脂製又は形状記憶合金製の雌ねじ被成形体とから成り、前記ナット本体は、スパイクの雄ねじ部が螺合する雌ねじ部と、該雌ねじ部に連設され内径が前記雌ねじ部より大きい薄肉筒部とを有する筒状体の外側部に半径方向へ延びる座板部が連設され、前記座板部に回り止め手段が設けられており、前記雌ねじ被成形体は、前記薄肉筒部に嵌着固定される有底筒状体に形成され、前記雌ねじ部に連通する筒孔部が前記雌ねじ部のねじ下穴に相当する内径を有し、かつ、前記筒孔部の外側端が密閉されており、前記雌ねじ部に螺合した前記スパイクの雄ねじ部のねじ込み時のすえ込み作用によって、前記筒孔部の側壁に雌ねじが成形され、該雌ねじと前記雄ねじ部のねじ山が緊密に嵌合するように構成されている。
【0009】
前記雌ねじ被成形体は、前記薄肉筒部の開口端部をかしめて前記ナット本体に強固、かつ確実に固着することができる。
【0010】
前記雌ねじ被成形体は、ナイロン樹脂により成形することが好ましい。しかし、ナイロン樹脂などの弾性樹脂製の雌ねじ被成形体に成形される雌ねじは、金属材料に比べて剛性が低く、高熱に弱いので、より高い剛性と耐熱性が要求される場合には、前記スパイクの雄ねじ部のねじ込み時のすえ込み作用によって雌ねじの成形加工(塑性加工)が可能な形状記憶合金により前記雌ねじ被成形体を製造することもできる。
【0011】
前記ナット本体の座板部に設ける回り止め手段としては、前述した従来の取付けナットと同様に成形材料が流入する複数の通孔を設けることが一般的であり、該通孔は円孔、円弧状の長孔など種々の形状を採用することができる。前記通孔に代えて回り止め突起を前記座板部に突設してもよい。
【0012】
一方、スパイクの雄ねじ部は、ねじ込み時のすえ込み作用によつて前記雌ねじ被成形体の筒孔部の側壁に雌ねじを容易に成形するため、そのねじ山は高さが徐々に変化する弧状多角形の横断面を有する非円形ねじにすることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1、図2は、本発明によるスパイクの取付けナット1を示しており、該取付けナット1は、金属製のナット本体2と弾性樹脂製の雌ねじ被成形体3とで構成されている。
【0015】
ナット本体2は、図3、図4に示すように、アルミニウムなどの金属材料を圧造加工して製造され、スパイク30(スパイク自体は図8に示した従来品と同じである。)の雄ねじ部32が螺合する雌ねじ部5と、該雌ねじ部5に連設された薄肉筒部6とを有する筒状体4の外側部中間部位に半径方向へ延びるフランジ状の座板部7が連設されている。薄肉筒部6は後述する雌ねじ被成形体3を嵌着するため、雌ねじ部5の呼び径よりかなり大きい寸法の内径Aを有している。また、座板部7には、靴底20の成形底22に埋設したとき回り止め手段を構成するため、成形材料の流入する通孔8が周方向へ所定間隔を隔てて複数個穿設されている。該通孔8の形状は、図4に示す実施形態では円孔であるが、図6に示すように周方向へ延びる弧状の長孔9に形成することもできる。
【0016】
雌ねじ被成形体3は、図5に示すように、ナイロン樹脂により有底筒状体に成形され、ナット本体2の薄肉筒部6に密嵌される外径と高さを有し、かつ、ナット本体2の雌ねじ部5のねじ下穴に相当する寸法、すなわち雌ねじ部5の有効径にほぼ等しい内径Bを有する筒孔部10が形成されており、筒孔部10の一方の端部、すなわちナット本体2に嵌着したとき外側に位置する外側端は底板部11で密閉されている。
【0017】
上記構成の雌ねじ被成形体3をナット本体2の薄肉筒部6に嵌着した状態で、該薄肉筒部6の開口端部6aをかしめて雌ねじ被成形体3をナット本体2に固着し、図1、図2に示すように、雌ねじ部5と筒孔部10が同軸上に連通した取付けナット1が完成する。
【0018】
上記のようにして製造された取付けナット1は、図7に示すように、靴底20の中底21裏面に合成ゴム製の成形底22を成形する工程においてインサート成形され、雌ねじ部5の開口端面が成形底22から露出した状態で成形底22内に埋設される。このインサート成形時に、成形材料が座板部7の通孔8を通じて流入し、取付けナット1が成形底22内に回り止め状態に固着される。また、底板部11で成形材料が筒孔部10に流入するのを確実に防止されている。
【0019】
このように成形底22に埋設された取付けナット1の雌ねじ部5に樹脂製スパイク30の雄ねじ部32をねじ込んでスパイク30が装着されるが、雄ねじ部32のねじ込み時のすえ込み作用によって、雌ねじ被成形体3の筒孔部10の側壁に雌ねじ12が成形され、成形された雌ねじ12と雄ねじ部32のねじ山が緊密に嵌合し、大きな接触抵抗によってすぐれたゆるみ止め効果を発揮する。また、雄ねじ部32のねじ山と雌ねじ12とのひっかかり率が高いので、大きな締付け強度が得られる。さらに、外部に露出する雌ねじ部5を通じて侵入するおそれのある雨水などは有底筒状体の雌ねじ被成形体3の底板部11によって遮断され、靴底20の防止効果もある。
【0020】
上記の実施形態では、雌ねじ被成形体3をナイロン樹脂により製造したが、形状記憶合金により雌ねじ被成形体3を製造することも可能である。この場合、成形される雌ねじ12は剛性が大きく、耐熱性にもすぐれている。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による取付けナットは、すぐれたゆるみ止め機能を有し、かつ、締付け強度が大きいので、靴底に装着したスパイクの不測の脱落を効果的に防止することができる。しかも、繰り返して使用してもゆるみ止め効果はほとんど変わらない。また、靴底に対する防水機能も兼ね備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による取付けナットの縦断正面図である。
【図2】同上平面図である。
【図3】本発明による取付けナットを構成するナット本体の縦断正面図である。
【図4】同上平面図である。
【図5】本発明による取付けナットを構成する雌ねじ被成形体の斜視図である。
【図6】本発明による取付けナットの別の実施形態を示す平面図である。
【図7】本発明による取付けナットの使用状態を示す要部縦断正面図である。
【図8】従来の取付けナットの使用状態を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
1 取付けナット
2 ナット本体
3 雌ねじ被成形体
4 筒状体
5 雌ねじ部
6 薄肉筒部
7 座板部
8,9 通孔
10 筒孔部
11 座板部
12 雌ねじ
20 靴底
21 中底
22 成形底
Claims (2)
- 金属製のナット本体と、弾性樹脂製又は形状記憶合金製の雌ねじ被成形体とから成り、
前記ナット本体は、スパイクの雄ねじ部が螺合する雌ねじ部と、該雌ねじ部に連設され内径が前記雌ねじ部より大きい薄肉筒部とを有する筒状体の外側部に半径方向へ延びる座板部が連設され、前記座板部に回り止め手段が設けられており、
前記雌ねじ被成形体は、前記薄肉筒部に嵌着固定される有底筒状体に形成され、前記雌ねじ部に連通する筒孔部が前記雌ねじ部のねじ下穴に相当する内径を有し、かつ、前記筒孔部の外側端が密閉されており、
前記雌ねじ部に螺合した前記スパイクの雄ねじ部のねじ込み時のすえ込み作用によって、前記筒孔部の側壁に雌ねじが成形され、該雌ねじと前記雄ねじ部のねじ山が緊密に嵌合するように構成されているゴルフ靴用スパイクの取付ナット。 - 前記薄肉筒部の開口端部をかしめて前記雌ねじ被成形体が前記ナット本体に固着されている請求項1記載のゴルフ靴用スパイクの取付ナット。
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2002
- 2002-12-09 JP JP2002356298A patent/JP2004187748A/ja active Pending
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