JP2004186560A - 光増幅器及び光増幅器の製造方法 - Google Patents
光増幅器及び光増幅器の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】増幅特性が平坦であり、利得の偏差が生じずに信号光を増幅させることのできる光増幅器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を具備する光増幅器において、前記利得等化部が、少なくとも前記希土類添加ファイバの増幅特性、前記光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び前記波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものであることを特徴とする光増幅器、及びその製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を具備する光増幅器において、前記利得等化部が、少なくとも前記希土類添加ファイバの増幅特性、前記光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び前記波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものであることを特徴とする光増幅器、及びその製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムに組み込まれる光増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のインターネットの普及により、光通信システムにおいて大容量化、高速化が進められている。またそれに伴ない、光通信システムでは、例えばLD(レーザーダイオード)で発振された信号光が光ファイバを通じて遠距離にある受信部まで情報を損なわずに伝送させることが求められている。
【0003】
しかしながら、光ファイバで情報を伝送する際には伝送損失が生じるため、信号光を長距離で伝送させる場合、信号光が減衰する等の劣化が生じて情報が維持できなくなる。そのため、通常、途中に中継部を設けて信号光を増幅させ、信号光強度を回復させる方法が取られている。このとき、信号光の増幅手段としては、一般的に光増幅器が用いられている。
【0004】
ここで、光増幅器について図2を参照しながら説明する。図2に示したように、光増幅器11は、エルビウム等の希土類元素をドープした希土類添加ファイバ12と、励起光を発生させる励起光源13、励起光と信号光を合波させる波長合波部14、希土類添加ファイバによる利得を等化するための利得等化部15、光ファイバ等からの戻り光によって起こる発振を防止する光アイソレート部16等から構成されている。さらに、例えば、利得等化部15と光アイソレート部16、波長合波部14と光アイソレート部16、あるいは利得等化部15と波長合波部14等は1対の光ファイバコリメータ間に一体で配置されることも多い。
【0005】
このような光増幅器11を用いて信号光を増幅させるには、先ず光ファイバから伝送されてきた信号光をポート1から希土類添加ファイバ12に入射し、また一方で励起光源13から出射した励起光を波長合波部で反射させて希土類添加ファイバ12に入射させる。このように励起光が希土類添加ファイバ12に入射すると、希土類添加ファイバ12は励起光を吸収して内部の電子が励起されて反転分布を形成する。そして、この希土類添加ファイバで励起された電子にポート1から入射した信号光を作用させることで誘導放出が起こり、信号光を増幅させることができる。
【0006】
このように増幅した信号光は、波長合波部14を透過した後、利得等化部15に入射して利得が補正され、その後光アイソレート部16を透過してポート2から出射され、伝送されていく。
【0007】
このような光増幅器において、利得等化部は希土類添加ファイバで増幅される信号光の利得の波長依存性を平坦化するように設計されている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)。この利得等化部を設計する方法としては、誘電体多層膜フィルタを用いる方法や、エタロンフィルタを用いる方法等が一般的に用いられており、例えば、エタロンフィルタを用いる場合では3〜4枚のエタロンフィルタを縦列に配置して設計される場合が多い(非特許文献1参照)。
【0008】
しかしながら、このように光増幅器における利得等化部が希土類添加ファイバによって生じる利得の偏差をキャンセルするように設計されていても、実際に光増幅器から出射された信号光には各波長で利得に偏差が生じていた。そのため、信号光を光増幅器で中継して長距離で伝送させる場合、多段中継後の信号光にはこの利得の偏差が累積され、信号光の光出力レベルが波長により大きく異なってしまい、伝送される信号光の劣化を招くといった問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特許第2777610号明細書
【特許文献2】
特開2000−82858号公報
【非特許文献1】
水野 一庸、他10名、“エタロン型光利得等化器の開発”、[online]、[平成14年10月28日検索]、平成12年1月、古川電工時報105号、pp36−41、インターネット<URL:http://www.furukawa.co.jp/kenkai/list/syagaiwdm.htm>
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、増幅特性が平坦であり、利得の偏差が生じずに信号光を増幅させることのできる光増幅器及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を具備する光増幅器において、前記利得等化部が、少なくとも前記希土類添加ファイバの増幅特性、前記光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び前記波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものであることを特徴とする光増幅器が提供される(請求項1)。
【0012】
このように、光増幅器における利得等化部が、少なくとも希土類添加ファイバの増幅特性、光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものであれば、光増幅器全体での利得平坦化が可能となるため、光増幅器で信号光を増幅しても信号光の利得に偏差が生じず、非常に平坦な増幅特性を有する光増幅器とすることができる。
【0013】
このとき、前記利得等化部が、誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いたものであることが好ましい(請求項2)。
このように、利得等化部が誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いたものであれば、利得等化部が上記希土類添加ファイバの増幅特性や光アイソレート部及び波長合波部の透過損失の波長依存性によって生じる利得の偏差をキャンセルして確実に利得等化するように高精度に設計されたものとすることができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、少なくとも希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を具備する光増幅器を製造する方法において、前記利得等化部を、少なくとも前記希土類添加ファイバの増幅特性、前記光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び前記波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するように設計することを特徴とする光増幅器の製造方法が提供される(請求項3)
【0015】
このように、利得等化部を、希土類添加ファイバのみならず、光アイソレート部、及び波長合波部で生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するように設計して光増幅器を製造することによって、光増幅器全体で利得平坦化を達成することができるので、光増幅器で信号光を増幅しても信号光の利得に偏差が生じず、非常に平坦な増幅特性を有する光増幅器を得ることができる。
【0016】
このとき、前記利得等化部に、誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いることが好ましい(請求項4)。
このように、利得等化部に誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いることによって、利得等化部の設計を容易にまた確実に行うことができる。
【0017】
また、前記利得等化部として誘電体多層膜フィルタを用いる場合、誘電体多層膜フィルタの膜材質、膜厚さ、膜総数を変化させて、前記利得の偏差をキャンセルして利得等化するように設計を行うことができ(請求項5)、また一方、前記利得等化部としてエタロンフィルタを用いる場合、エタロンフィルタの反射率、厚さ、入射光の入射角度を変化させて、前記利得の偏差をキャンセルして利得等化するように設計を行うことができる(請求項6)。
【0018】
このように、利得等化部として誘電体多層膜フィルタを用いる場合では、誘電体多層膜フィルタの膜材質、膜厚さ、膜総数を変化させることによって、光増幅器全体としての利得の平坦化ができる利得等化部の設計を容易にかつ高精度に行うことができる。また同様に、利得等化部としてエタロンフィルタを用いる場合では、エタロンフィルタの反射率、厚さ、入射光の入射角度を変化させることによって、光増幅器全体としての利得の平坦化ができる利得等化部の設計を容易にかつ高精度に行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
従来の光増幅器では、利得等化部が希土類添加ファイバにより生じる利得の偏差をキャンセルするように設計されているものの、実際に光増幅器で増幅されて出射された信号光には各波長で利得に偏差が生じていた。
【0020】
本発明者等は、このような光増幅器から出射される信号光に利得偏差が生じる原因について調査した結果、従来の光増幅器では、利得等化部が上述のように希土類添加ファイバで増幅される信号光の利得の波長依存性のみを平坦化するように設計されていたため、光増幅器を構成している波長合波部や光アイソレート部等の希土類添加ファイバ以外の部品で生じる透過損失の波長依存性がキャンセルされずに残ってしまうことが明らかとなった。特に、波長合波部は通常透過波長帯でリップルが0.15dB程度であるため、信号光に大きな利得の偏差を生じさせていた。
【0021】
そこで、本発明者等は、光増幅器の利得等化部を、希土類添加ファイバだけではなく、波長合波部や光アイソレート部の透過損失の波長依存性を考慮して設計することによって、光増幅器全体として利得の偏差が生じずに信号光を増幅できるような、増幅特性が非常に平坦な光増幅器を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0022】
すなわち、本発明は、少なくとも希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を具備する光増幅器において、前記利得等化部が、少なくとも前記希土類添加ファイバの増幅特性、前記光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び前記波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものであることを特徴とする光増幅器を提供するものである。
【0023】
先ず、本発明の光増幅器について、図1を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の光増幅器の一例を示す概要図である。
本発明の光増幅器1は、少なくとも、エルビウム(Er)やネオジム(Nd)等の希土類元素イオンを添加した希土類添加ファイバ2、光増幅器の利得を等化するための利得等化部5、光ファイバ等の戻り光による発振を防止する光アイソレート部6、励起光と信号光を合波させる波長合波部4、励起光を発生させる励起光源3を具備するものである。
【0024】
このような本発明の光増幅器1において、利得等化部5は、少なくとも希土類添加ファイバ2の増幅特性、光アイソレート部6の透過損失の波長依存性、及び波長合波部4の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものである。
【0025】
このように、光増幅器における利得等化部が、少なくとも希土類添加ファイバの増幅特性、光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものであれば、光増幅器全体での利得平坦化を達成することが可能となり、光増幅器で信号光を増幅しても信号光の利得に偏差が生じず、非常に平坦な増幅特性を有する光増幅器とすることができる。
【0026】
この利得等化部を構成するものとしては特に限定されるものではなく、誘電体多層膜フィルタ、エタロンフィルタ、長周期ファイバブラッググレーティング、マッハツェンダ型石英導波路、スプリットビームフーリエフィルタ等を用いることができるが、例えば、利得等化部として誘電体多層膜フィルタ、エタロンフィルタ、または誘電体多層膜フィルタとエタロンフィルタとを組み合わせたものを用いたものであれば、利得等化部が、希土類添加ファイバ、光アイソレート部及び波長合波部で生じる利得の偏差を簡単にキャンセルして確実に利得等化できるように高精度に設計された利得等化部とすることができるため、より望ましい。
【0027】
次に、上記のような光増幅器を製造する製造方法について具体的に説明する。
本発明の光増幅器の製造方法では、少なくとも希土類添加ファイバの増幅特性、光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するように利得等化部の設計を行う。
【0028】
例えば、増幅させる信号光の波長範囲を1530〜1560nmとした場合、この波長範囲における希土類添加ファイバ、光アイソレート部、及び波長合波部のそれぞれの増幅または損失の特性を予め検査しておき、それに基づいて、利得等化部がこれらの部品で生じる利得の偏差をキャンセルして光増幅器で利得平坦化が得られるように利得等化部の設計を行うことができる。
【0029】
このとき、例えば1530〜1560nmでの光アイソレート部の損失特性は比較的緩やかなプロファイルを示すので、光アイソレート部については利得等化部の損失特性プロファイルの初期設計段階で対応しておき、続いて希土類添加ファイバの増幅特性及び波長合波部の損失特性に合わせて利得等化部を精密に設計することが望ましい。
【0030】
また、利得等化部として用いるものは、上述のように特に限定されるものではないが、例えば誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いることによって、利得等化部の設計を容易に行うことができる。
【0031】
例えば、利得等化部として誘電体多層膜フィルタ用いる場合では、誘電体多層膜フィルタの膜材質、膜厚さ、膜総数を変化させることによって、また一方利得等化部としてエタロンフィルタを用いる場合では、エタロンフィルタの反射率、厚さ、入射光の入射角度を変化させることによって、利得の偏差をキャンセルして利得等化するように利得等化部の設計を容易にかつ高精度に行うことができる。
【0032】
このようにして光増幅器を製造することによって、光増幅器で増幅される信号光の利得に偏差が生じず、非常に平坦な増幅特性を有する光増幅器を得ることができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
光増幅器を製造するために、先ず、1530〜1560nmの範囲に広がる複数の波長の信号光を用いて、光増幅器を構成するエルビウム添加ファイバの増幅特性、光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び波長合波部の透過損失の波長依存性を測定した。その測定したエルビウム添加ファイバ、光アイソレート部、波長合波部の1530〜1560nmの範囲における増幅または損失の特性をそれぞれ図3〜図5に示す。
【0034】
次に、これらの増幅特性または損失特性を考慮して利得等化部を設計する。このとき、利得等化部として、BK−7上にSiO2膜とTiO2膜とからなる多層膜を形成してなる誘電体多層膜フィルタを用いた。そして既に利得または損失を測定してあるエルビウム添加ファイバ、光アイソレート部、及び波長合波部の合計の利得特性を算出し、この特性をレシプロカルに反転した損失特性を利得等化部に付与するよう誘電体多層膜フィルタを設計した。その方法としては、最も損失特性の大きな1532nmを中心波長として、TiO2/SiO2DBR部とSiO2透過部とからなる多層膜を、全体の一番大きな損失変動幅を最初のFSRと仮定してその後半分ずつの幅でフィッティングしながら最適化する構成で設計した。こうしてエルビウム添加ファイバ、光アイソレート部、及び波長合波部において生じる利得の偏差をキャンセルして光増幅器全体で利得平坦化が得られる。このようにして設計した利得等化部の損失特性を図6に示す。
【0035】
そして、これらのエルビウム添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を用いて、図1に示すような光増幅器を製造した。その後、このようにして製造した光増幅器を用いて信号光の増幅を行い、光増幅器の増幅特性について評価を行った。
【0036】
光増幅器による信号光の増幅は、ポート1から1530〜1560nmの波長の信号光を入射させ、また一方で励起光源から1480nmの励起光を発生させることによりエルビウム添加ファイバで信号光を増幅させ、その後、増幅した信号光を波長合波部を透過させ、利得等化部5に入射して利得を補正した後、光アイソレート部6を透過させることによって行った。
【0037】
その際、増幅特性の測定は、エルビウム添加ファイバ、波長合波部、利得等化部を順番に透過した信号光(光アイソレート部を透過する前の信号光)と光アイソレート部を透過した後の信号光(光増幅器全体を透過した信号光)の2種類の信号光について行った。それらの増幅特性を測定した結果を、それぞれ図7及び図8に示す。
【0038】
図7に示したように、光アイソレート部を透過する前の信号光では、図4に示した光アイソレート部の損失特性と相反するような増幅特性を示していた。そして、このような信号光がさらに光アイソレート部を透過して、光増幅器全体を透過することによって、図8に示すように非常に平坦な増幅特性を得ることができる。
【0039】
(比較例)
比較例として、光増幅器を製造する際に、利得等化部を従来のようにエルビウム添加ファイバの増幅特性に対して利得等化するように誘電体多層膜フィルタを用いて設計した。このようにして設計した利得等化部の損失特性を図9に示す。それ以外の条件については、上記実施例と同様にして光増幅器を製造した。
【0040】
このようにして製造した光増幅器を用いて上記実施例と同様にして信号光の増幅を行い、光増幅器を透過した信号光について増幅特性の測定を行った。その測定結果を図10に示す。
図10に示したように、光増幅器全体を透過した信号光には、波長合波部の損失特性(図5)に生じていた0.1dB程度のリップルの影響が顕著に観察され、平坦な増幅特性を得ることができなかった。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0042】
例えば、上記の実施の形態では、希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を一つずつ具備する最小単位で構成された光増幅器を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記の各構成部品について2つ以上を具備するような光増幅器についても同様に適用することができる。
【0043】
また、本発明によれば、光増幅器が上述したような構成部品の他に、雑音光成分を取り除くバンドパスフィルタ等の部品をさらに具備する場合であっても、希土類添加ファイバ、光アイソレート部、及び波長合波部に加えて、その他の構成部品における増幅または損失の波長依存性も考慮して利得等化部の設計を行うことによって、光増幅器全体での利得の平坦化を達成するようにしても良いことは言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光増幅器全体における利得の平坦化を達成することが可能となり、信号光を増幅しても信号光の利得に偏差が生じず、非常に平坦な増幅特性を有する光増幅器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光増幅器の一例を示す概要図である。
【図2】従来の光増幅器を示す概要図である。
【図3】実施例で用いたエルビウム添加ファイバの増幅特性を示したグラフである。
【図4】実施例で用いた光アイソレート部の損失特性を示したグラフである。
【図5】実施例で用いた波長合波部の損失特性を示したグラフである。
【図6】実施例で設計した利得等化部の損失特性を示したグラフである。
【図7】本発明の光増幅器において、エルビウム添加ファイバ、波長合波部、利得等化部を順番に透過した信号光について増幅特性を測定した結果を示したグラフである。
【図8】本発明の光増幅器を透過した信号光について増幅特性を測定した結果を示したグラフである。
【図9】比較例で設計した利得等化部の損失特性を示したグラフである。
【図10】比較例における光増幅器を透過した信号光について増幅特性を測定した結果を示したグラフである。
【符号の説明】
1…光増幅器、 2…希土類添加ファイバ、
3…励起光源、 4…波長合波部、
5…利得等化部、 6…光アイソレート部、
11…光増幅器、 12…希土類添加ファイバ、
13…励起光源、 14…波長合波部、
15…利得等化部、 16…光アイソレート部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信システムに組み込まれる光増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のインターネットの普及により、光通信システムにおいて大容量化、高速化が進められている。またそれに伴ない、光通信システムでは、例えばLD(レーザーダイオード)で発振された信号光が光ファイバを通じて遠距離にある受信部まで情報を損なわずに伝送させることが求められている。
【0003】
しかしながら、光ファイバで情報を伝送する際には伝送損失が生じるため、信号光を長距離で伝送させる場合、信号光が減衰する等の劣化が生じて情報が維持できなくなる。そのため、通常、途中に中継部を設けて信号光を増幅させ、信号光強度を回復させる方法が取られている。このとき、信号光の増幅手段としては、一般的に光増幅器が用いられている。
【0004】
ここで、光増幅器について図2を参照しながら説明する。図2に示したように、光増幅器11は、エルビウム等の希土類元素をドープした希土類添加ファイバ12と、励起光を発生させる励起光源13、励起光と信号光を合波させる波長合波部14、希土類添加ファイバによる利得を等化するための利得等化部15、光ファイバ等からの戻り光によって起こる発振を防止する光アイソレート部16等から構成されている。さらに、例えば、利得等化部15と光アイソレート部16、波長合波部14と光アイソレート部16、あるいは利得等化部15と波長合波部14等は1対の光ファイバコリメータ間に一体で配置されることも多い。
【0005】
このような光増幅器11を用いて信号光を増幅させるには、先ず光ファイバから伝送されてきた信号光をポート1から希土類添加ファイバ12に入射し、また一方で励起光源13から出射した励起光を波長合波部で反射させて希土類添加ファイバ12に入射させる。このように励起光が希土類添加ファイバ12に入射すると、希土類添加ファイバ12は励起光を吸収して内部の電子が励起されて反転分布を形成する。そして、この希土類添加ファイバで励起された電子にポート1から入射した信号光を作用させることで誘導放出が起こり、信号光を増幅させることができる。
【0006】
このように増幅した信号光は、波長合波部14を透過した後、利得等化部15に入射して利得が補正され、その後光アイソレート部16を透過してポート2から出射され、伝送されていく。
【0007】
このような光増幅器において、利得等化部は希土類添加ファイバで増幅される信号光の利得の波長依存性を平坦化するように設計されている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)。この利得等化部を設計する方法としては、誘電体多層膜フィルタを用いる方法や、エタロンフィルタを用いる方法等が一般的に用いられており、例えば、エタロンフィルタを用いる場合では3〜4枚のエタロンフィルタを縦列に配置して設計される場合が多い(非特許文献1参照)。
【0008】
しかしながら、このように光増幅器における利得等化部が希土類添加ファイバによって生じる利得の偏差をキャンセルするように設計されていても、実際に光増幅器から出射された信号光には各波長で利得に偏差が生じていた。そのため、信号光を光増幅器で中継して長距離で伝送させる場合、多段中継後の信号光にはこの利得の偏差が累積され、信号光の光出力レベルが波長により大きく異なってしまい、伝送される信号光の劣化を招くといった問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特許第2777610号明細書
【特許文献2】
特開2000−82858号公報
【非特許文献1】
水野 一庸、他10名、“エタロン型光利得等化器の開発”、[online]、[平成14年10月28日検索]、平成12年1月、古川電工時報105号、pp36−41、インターネット<URL:http://www.furukawa.co.jp/kenkai/list/syagaiwdm.htm>
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、増幅特性が平坦であり、利得の偏差が生じずに信号光を増幅させることのできる光増幅器及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を具備する光増幅器において、前記利得等化部が、少なくとも前記希土類添加ファイバの増幅特性、前記光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び前記波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものであることを特徴とする光増幅器が提供される(請求項1)。
【0012】
このように、光増幅器における利得等化部が、少なくとも希土類添加ファイバの増幅特性、光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものであれば、光増幅器全体での利得平坦化が可能となるため、光増幅器で信号光を増幅しても信号光の利得に偏差が生じず、非常に平坦な増幅特性を有する光増幅器とすることができる。
【0013】
このとき、前記利得等化部が、誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いたものであることが好ましい(請求項2)。
このように、利得等化部が誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いたものであれば、利得等化部が上記希土類添加ファイバの増幅特性や光アイソレート部及び波長合波部の透過損失の波長依存性によって生じる利得の偏差をキャンセルして確実に利得等化するように高精度に設計されたものとすることができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、少なくとも希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を具備する光増幅器を製造する方法において、前記利得等化部を、少なくとも前記希土類添加ファイバの増幅特性、前記光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び前記波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するように設計することを特徴とする光増幅器の製造方法が提供される(請求項3)
【0015】
このように、利得等化部を、希土類添加ファイバのみならず、光アイソレート部、及び波長合波部で生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するように設計して光増幅器を製造することによって、光増幅器全体で利得平坦化を達成することができるので、光増幅器で信号光を増幅しても信号光の利得に偏差が生じず、非常に平坦な増幅特性を有する光増幅器を得ることができる。
【0016】
このとき、前記利得等化部に、誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いることが好ましい(請求項4)。
このように、利得等化部に誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いることによって、利得等化部の設計を容易にまた確実に行うことができる。
【0017】
また、前記利得等化部として誘電体多層膜フィルタを用いる場合、誘電体多層膜フィルタの膜材質、膜厚さ、膜総数を変化させて、前記利得の偏差をキャンセルして利得等化するように設計を行うことができ(請求項5)、また一方、前記利得等化部としてエタロンフィルタを用いる場合、エタロンフィルタの反射率、厚さ、入射光の入射角度を変化させて、前記利得の偏差をキャンセルして利得等化するように設計を行うことができる(請求項6)。
【0018】
このように、利得等化部として誘電体多層膜フィルタを用いる場合では、誘電体多層膜フィルタの膜材質、膜厚さ、膜総数を変化させることによって、光増幅器全体としての利得の平坦化ができる利得等化部の設計を容易にかつ高精度に行うことができる。また同様に、利得等化部としてエタロンフィルタを用いる場合では、エタロンフィルタの反射率、厚さ、入射光の入射角度を変化させることによって、光増幅器全体としての利得の平坦化ができる利得等化部の設計を容易にかつ高精度に行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
従来の光増幅器では、利得等化部が希土類添加ファイバにより生じる利得の偏差をキャンセルするように設計されているものの、実際に光増幅器で増幅されて出射された信号光には各波長で利得に偏差が生じていた。
【0020】
本発明者等は、このような光増幅器から出射される信号光に利得偏差が生じる原因について調査した結果、従来の光増幅器では、利得等化部が上述のように希土類添加ファイバで増幅される信号光の利得の波長依存性のみを平坦化するように設計されていたため、光増幅器を構成している波長合波部や光アイソレート部等の希土類添加ファイバ以外の部品で生じる透過損失の波長依存性がキャンセルされずに残ってしまうことが明らかとなった。特に、波長合波部は通常透過波長帯でリップルが0.15dB程度であるため、信号光に大きな利得の偏差を生じさせていた。
【0021】
そこで、本発明者等は、光増幅器の利得等化部を、希土類添加ファイバだけではなく、波長合波部や光アイソレート部の透過損失の波長依存性を考慮して設計することによって、光増幅器全体として利得の偏差が生じずに信号光を増幅できるような、増幅特性が非常に平坦な光増幅器を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0022】
すなわち、本発明は、少なくとも希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を具備する光増幅器において、前記利得等化部が、少なくとも前記希土類添加ファイバの増幅特性、前記光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び前記波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものであることを特徴とする光増幅器を提供するものである。
【0023】
先ず、本発明の光増幅器について、図1を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の光増幅器の一例を示す概要図である。
本発明の光増幅器1は、少なくとも、エルビウム(Er)やネオジム(Nd)等の希土類元素イオンを添加した希土類添加ファイバ2、光増幅器の利得を等化するための利得等化部5、光ファイバ等の戻り光による発振を防止する光アイソレート部6、励起光と信号光を合波させる波長合波部4、励起光を発生させる励起光源3を具備するものである。
【0024】
このような本発明の光増幅器1において、利得等化部5は、少なくとも希土類添加ファイバ2の増幅特性、光アイソレート部6の透過損失の波長依存性、及び波長合波部4の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものである。
【0025】
このように、光増幅器における利得等化部が、少なくとも希土類添加ファイバの増幅特性、光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものであれば、光増幅器全体での利得平坦化を達成することが可能となり、光増幅器で信号光を増幅しても信号光の利得に偏差が生じず、非常に平坦な増幅特性を有する光増幅器とすることができる。
【0026】
この利得等化部を構成するものとしては特に限定されるものではなく、誘電体多層膜フィルタ、エタロンフィルタ、長周期ファイバブラッググレーティング、マッハツェンダ型石英導波路、スプリットビームフーリエフィルタ等を用いることができるが、例えば、利得等化部として誘電体多層膜フィルタ、エタロンフィルタ、または誘電体多層膜フィルタとエタロンフィルタとを組み合わせたものを用いたものであれば、利得等化部が、希土類添加ファイバ、光アイソレート部及び波長合波部で生じる利得の偏差を簡単にキャンセルして確実に利得等化できるように高精度に設計された利得等化部とすることができるため、より望ましい。
【0027】
次に、上記のような光増幅器を製造する製造方法について具体的に説明する。
本発明の光増幅器の製造方法では、少なくとも希土類添加ファイバの増幅特性、光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するように利得等化部の設計を行う。
【0028】
例えば、増幅させる信号光の波長範囲を1530〜1560nmとした場合、この波長範囲における希土類添加ファイバ、光アイソレート部、及び波長合波部のそれぞれの増幅または損失の特性を予め検査しておき、それに基づいて、利得等化部がこれらの部品で生じる利得の偏差をキャンセルして光増幅器で利得平坦化が得られるように利得等化部の設計を行うことができる。
【0029】
このとき、例えば1530〜1560nmでの光アイソレート部の損失特性は比較的緩やかなプロファイルを示すので、光アイソレート部については利得等化部の損失特性プロファイルの初期設計段階で対応しておき、続いて希土類添加ファイバの増幅特性及び波長合波部の損失特性に合わせて利得等化部を精密に設計することが望ましい。
【0030】
また、利得等化部として用いるものは、上述のように特に限定されるものではないが、例えば誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いることによって、利得等化部の設計を容易に行うことができる。
【0031】
例えば、利得等化部として誘電体多層膜フィルタ用いる場合では、誘電体多層膜フィルタの膜材質、膜厚さ、膜総数を変化させることによって、また一方利得等化部としてエタロンフィルタを用いる場合では、エタロンフィルタの反射率、厚さ、入射光の入射角度を変化させることによって、利得の偏差をキャンセルして利得等化するように利得等化部の設計を容易にかつ高精度に行うことができる。
【0032】
このようにして光増幅器を製造することによって、光増幅器で増幅される信号光の利得に偏差が生じず、非常に平坦な増幅特性を有する光増幅器を得ることができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
光増幅器を製造するために、先ず、1530〜1560nmの範囲に広がる複数の波長の信号光を用いて、光増幅器を構成するエルビウム添加ファイバの増幅特性、光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び波長合波部の透過損失の波長依存性を測定した。その測定したエルビウム添加ファイバ、光アイソレート部、波長合波部の1530〜1560nmの範囲における増幅または損失の特性をそれぞれ図3〜図5に示す。
【0034】
次に、これらの増幅特性または損失特性を考慮して利得等化部を設計する。このとき、利得等化部として、BK−7上にSiO2膜とTiO2膜とからなる多層膜を形成してなる誘電体多層膜フィルタを用いた。そして既に利得または損失を測定してあるエルビウム添加ファイバ、光アイソレート部、及び波長合波部の合計の利得特性を算出し、この特性をレシプロカルに反転した損失特性を利得等化部に付与するよう誘電体多層膜フィルタを設計した。その方法としては、最も損失特性の大きな1532nmを中心波長として、TiO2/SiO2DBR部とSiO2透過部とからなる多層膜を、全体の一番大きな損失変動幅を最初のFSRと仮定してその後半分ずつの幅でフィッティングしながら最適化する構成で設計した。こうしてエルビウム添加ファイバ、光アイソレート部、及び波長合波部において生じる利得の偏差をキャンセルして光増幅器全体で利得平坦化が得られる。このようにして設計した利得等化部の損失特性を図6に示す。
【0035】
そして、これらのエルビウム添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を用いて、図1に示すような光増幅器を製造した。その後、このようにして製造した光増幅器を用いて信号光の増幅を行い、光増幅器の増幅特性について評価を行った。
【0036】
光増幅器による信号光の増幅は、ポート1から1530〜1560nmの波長の信号光を入射させ、また一方で励起光源から1480nmの励起光を発生させることによりエルビウム添加ファイバで信号光を増幅させ、その後、増幅した信号光を波長合波部を透過させ、利得等化部5に入射して利得を補正した後、光アイソレート部6を透過させることによって行った。
【0037】
その際、増幅特性の測定は、エルビウム添加ファイバ、波長合波部、利得等化部を順番に透過した信号光(光アイソレート部を透過する前の信号光)と光アイソレート部を透過した後の信号光(光増幅器全体を透過した信号光)の2種類の信号光について行った。それらの増幅特性を測定した結果を、それぞれ図7及び図8に示す。
【0038】
図7に示したように、光アイソレート部を透過する前の信号光では、図4に示した光アイソレート部の損失特性と相反するような増幅特性を示していた。そして、このような信号光がさらに光アイソレート部を透過して、光増幅器全体を透過することによって、図8に示すように非常に平坦な増幅特性を得ることができる。
【0039】
(比較例)
比較例として、光増幅器を製造する際に、利得等化部を従来のようにエルビウム添加ファイバの増幅特性に対して利得等化するように誘電体多層膜フィルタを用いて設計した。このようにして設計した利得等化部の損失特性を図9に示す。それ以外の条件については、上記実施例と同様にして光増幅器を製造した。
【0040】
このようにして製造した光増幅器を用いて上記実施例と同様にして信号光の増幅を行い、光増幅器を透過した信号光について増幅特性の測定を行った。その測定結果を図10に示す。
図10に示したように、光増幅器全体を透過した信号光には、波長合波部の損失特性(図5)に生じていた0.1dB程度のリップルの影響が顕著に観察され、平坦な増幅特性を得ることができなかった。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0042】
例えば、上記の実施の形態では、希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を一つずつ具備する最小単位で構成された光増幅器を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記の各構成部品について2つ以上を具備するような光増幅器についても同様に適用することができる。
【0043】
また、本発明によれば、光増幅器が上述したような構成部品の他に、雑音光成分を取り除くバンドパスフィルタ等の部品をさらに具備する場合であっても、希土類添加ファイバ、光アイソレート部、及び波長合波部に加えて、その他の構成部品における増幅または損失の波長依存性も考慮して利得等化部の設計を行うことによって、光増幅器全体での利得の平坦化を達成するようにしても良いことは言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光増幅器全体における利得の平坦化を達成することが可能となり、信号光を増幅しても信号光の利得に偏差が生じず、非常に平坦な増幅特性を有する光増幅器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光増幅器の一例を示す概要図である。
【図2】従来の光増幅器を示す概要図である。
【図3】実施例で用いたエルビウム添加ファイバの増幅特性を示したグラフである。
【図4】実施例で用いた光アイソレート部の損失特性を示したグラフである。
【図5】実施例で用いた波長合波部の損失特性を示したグラフである。
【図6】実施例で設計した利得等化部の損失特性を示したグラフである。
【図7】本発明の光増幅器において、エルビウム添加ファイバ、波長合波部、利得等化部を順番に透過した信号光について増幅特性を測定した結果を示したグラフである。
【図8】本発明の光増幅器を透過した信号光について増幅特性を測定した結果を示したグラフである。
【図9】比較例で設計した利得等化部の損失特性を示したグラフである。
【図10】比較例における光増幅器を透過した信号光について増幅特性を測定した結果を示したグラフである。
【符号の説明】
1…光増幅器、 2…希土類添加ファイバ、
3…励起光源、 4…波長合波部、
5…利得等化部、 6…光アイソレート部、
11…光増幅器、 12…希土類添加ファイバ、
13…励起光源、 14…波長合波部、
15…利得等化部、 16…光アイソレート部。
Claims (6)
- 少なくとも希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を具備する光増幅器において、前記利得等化部が、少なくとも前記希土類添加ファイバの増幅特性、前記光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び前記波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するものであることを特徴とする光増幅器。
- 前記利得等化部が、誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いたものであることを特徴とする請求項1に記載の光増幅器。
- 少なくとも希土類添加ファイバ、利得等化部、光アイソレート部、波長合波部、励起光源を具備する光増幅器を製造する方法において、前記利得等化部を、少なくとも前記希土類添加ファイバの増幅特性、前記光アイソレート部の透過損失の波長依存性、及び前記波長合波部の透過損失の波長依存性により生じる利得の偏差をキャンセルして利得等化するように設計することを特徴とする光増幅器の製造方法。
- 前記利得等化部に、誘電体多層膜フィルタ及び/またはエタロンフィルタを用いることを特徴とする請求項3に記載の光増幅器の製造方法。
- 前記利得等化部として誘電体多層膜フィルタを用いる場合、誘電体多層膜フィルタの膜材質、膜厚さ、膜総数を変化させて、前記利得の偏差をキャンセルして利得等化するように設計を行うことを特徴とする請求項4に記載の光増幅器の製造方法。
- 前記利得等化部としてエタロンフィルタを用いる場合、エタロンフィルタの反射率、厚さ、入射光の入射角度を変化させて、前記利得の偏差をキャンセルして利得等化するように設計を行うことを特徴とする請求項4に記載の光増幅器の製造方法。
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2002
- 2002-12-05 JP JP2002353821A patent/JP2004186560A/ja active Pending
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