JP3690110B2 - 光増幅器およびレーザ発振器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1570nm以上の波長の信号光を伝送する光通信システムにおいて好適に用いられる光増幅器およびレーザ発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
大容量かつ高速に信号光を伝送することができる光通信システムでは、一般に波長1.55μm帯の光が信号光として用いられる。すなわち、信号光を出力する光源として波長1.55μm帯の光をレーザ発振するものが用いられ、また、信号光を光増幅する光増幅器として波長1.55μm帯で信号光利得を有するものが用いられる。このような光通信システムにおいて、更なる大容量化・高速化を図るべく広帯域化が検討されている。
【0003】
例えば、文献「A.Mori, et al., "Broadband Amplification Characteristics of Tellurite-Based EDFAs", IOOC/ECOC'97, Tech.Dig., Vol.3, pp.135-138 (1997) 」には、フッ化物ガラスまたはテルライトガラスをホストとしてEr(エルビウム)元素を添加した光導波路(光ファイバ)を用いて1570nm以上の波長の信号光を光増幅する光増幅器が開示されている。また、このような光導波路を用いれば、1570nm以上の波長のレーザ光を発振するレーザ発振器も実現可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例で用いられているフッ化物ガラスまたはテルライトガラスをホストとする光導波路は、一般に用いられている石英系光導波路と比較して、製造が困難であり、強度が弱く、信頼性が低い。また、このような光導波路は、一般に用いられている石英系光導波路との接続が困難である。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、製造が容易で強度が強い光導波路を備えて1570nm以上の波長の信号光を光増幅することができる光増幅器、および、製造が容易で強度が強い光導波路を備えて1570nm以上の波長のレーザ光を発振することができるレーザ発振器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光増幅器は、Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路であり、P元素の濃度を調整することにより誘導放出断面積よりESA断面積が大きくなる波長域が波長1628nmより長い波長域にある光導波路を備え、1 . 53μm帯吸収条長積を調整することにより光導波路に入力した1625nm以上の波長の光に対し利得を有し、1570nm〜1610nmの波長の信号光を増幅できるようにしたことを特徴とする1570nm〜1610nmの波長帯の光増幅用のものである。この光増幅器によれば、光導波路が石英系のものであるので、製造が容易であり、強度が強く、一般に用いられている他の石英系の光導波路との接続が容易である。また、Er元素に加えてP元素も光導波路に添加されたことにより、P元素が添加されていない場合と比較して、利得スペクトルの波長帯域幅が広く、長波長側の限界波長が長い。
【0007】
また、本発明に係る光増幅器では、光導波路に更にAl元素が添加されていることを特徴とする。この場合には、Al元素添加濃度を調整することにより利得平坦度が調整され、用途に合わせた光増幅器が設計される。
【0008】
また、本発明に係る光増幅器では、光導波路に添加されたP元素の濃度が8重量%以上であることを特徴とする。また、光導波路に添加されたAl元素の濃度が0.3重量%以下であることを特徴とする。これらの場合には、利得スペクトルの長波長側の限界波長は、テルライトガラスをホストとするEr添加光導波路を用いた場合と同程度となる。
また、本発明に係る光増幅器は、Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路であり、P元素の濃度が5重量%以上、Al元素の濃度が2重量%以下である光導波路を備え、1 . 53μm帯吸収条長積を調整することによりこの光導波路に入力した波長1628nm以上の波長において利得を有し、1570nm〜1610nmの波長の信号光を増幅できるようにしたことを特徴とする1570nm〜1610nmの波長帯のものである。
また、本発明に係る光増幅器は、Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路であり、P元素の濃度が8重量%以上、Al元素の濃度が0.3重量%以下である光導波路を備え、1 . 53μm帯吸収条長積を調整することによりこの光導波路に入力した波長1630nm以上の波長において利得を有し、1570nm〜1610nmの波長の信号光を増幅できるようにしたことを特徴とする1570nm〜1610nmの波長帯の光増幅用のものである。
【0009】
本発明に係るレーザ発振器は、Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路であり、P元素の濃度を調整することにより誘導放出断面積よりESA断面積が大きくなる波長域が波長1628nmより長い波長域にある光導波路を備え、1 . 53μm帯吸収条長積を調整することによりこの光導波路において誘導放出された1610nm以上の波長のレーザ光を発振することを特徴とする。
また、本発明に係るレーザ発振器は、1625nm以上の波長のレーザ光を発振するのが好適である。このレーザ発振器によれば、光導波路が石英系のものであるので、製造が容易であり、強度が強く、一般に用いられている他の石英系の光導波路との接続が容易である。また、Er元素に加えてP元素も光導波路に添加されたことにより、P元素が添加されていない場合と比較して、レーザ発振可能な波長帯域の幅が広く、長波長側の限界波長が長い。
【0010】
また、本発明に係るレーザ発振器では、光導波路に添加されたP元素の濃度が5重量%以上であるのが好適であり、8重量%以上であれば更に好適である。また、光導波路に添加されたAl元素の濃度が0.3重量%以下であるのが好適である。これらの場合には、レーザ発振可能な波長帯域の長波長側の限界波長は、テルライトガラスをホストとするEr添加光導波路を用いた場合と同程度となる。
【0011】
本発明に係る石英系光導波路は、Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路であり、P元素の濃度を調整することにより誘導放出断面積よりESA断面積が大きくなる波長域が波長1628nmより長い波長域にあり、1 . 53μm帯吸収条長積を調整することにより、励起光を入射した際に光導波路に入力した1625nm以上の波長の光に対し利得を有するようにしたことを特徴とする1570nm〜1610nmの波長帯の光増幅用のものである。この石英系光導波路は、P元素の濃度が5重量%以上であるのが好適であり、より好適にはP元素の濃度が8重量%以上である。また、Al元素の濃度が2重量%以下であるのが好適である。また、P元素濃度が5重量%以上かつAl元素濃度が2重量%以下であるのが好適である。この石英系光導波路は、上記の本発明に係る光増幅器およびレーザ発振器において好適に用いられ得る。
本発明に係る光増幅方法は、Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路を備え、1 . 53μm帯吸収条長積を調整することにより光導波路に入力した1625nm以上の波長の光に対し利得を有するように設定され、この導波路に励起光を注入し、1570nm〜1610nmの波長の信号光を増幅することを特徴とする。光導波路は、誘導放出断面積よりESA断面積が大きくなる波長域が波長1628nmより長い波長域にあるのが好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
まず、本発明に係る光増幅器およびレーザ発振器それぞれの実施形態において好適に用いられる光導波路について説明する。なお、光導波路は、光ファイバのみでなく、基板上に形成されたものをも含むものであるが、以下では光導波路として光ファイバについて説明する。
【0014】
石英ガラスをホストとする石英系光ファイバは、製造が容易であり、強度が強く、それ故に広く用いられている。特に、Er(エルビウム)元素等の希土類元素が添加された石英系光ファイバは、所定の波長の励起光が供給されると光増幅作用を奏することから、光増幅器やレーザ発振器において好適に用いられる。また、このようなEr添加石英系光ファイバは、他の石英系の光導波路との接続が容易であり、接続損失が小さい。また、波長に対する利得平坦度を調整するためにAl(アルミニウム)元素が更に添加される。
【0015】
このような光ファイバにおける利得スペクトル広がりの長波長側の限界波長は、Er元素の信号光増幅利得係数、および、Er元素の励起状態吸収(Excited State Absorption: ESA)の特性により決まる。すなわち、信号光利得を生じさせる為には、Er元素の信号光増幅利得係数と見なされる誘導放出断面積は、ESA断面積より大きいことが必要である。誘導放出断面積がESA断面積以下である場合には、如何に強いパワーの励起光が光ファイバに供給されたとしても、信号光利得は生じない。また、光ファイバの誘導放出断面積およびESA断面積それぞれは、光ファイバに添加される元素および濃度ならびに波長に依存する。
【0016】
図1は、3種類の光ファイバそれぞれの組成をまとめた図表である。これら3種類の光ファイバは、何れもEr元素が添加された石英系光ファイバである。タイプaの光ファイバは、Er元素が1000重量ppm添加され、Al元素が7.8重量%添加されているが、P(リン)元素が添加されていない。タイプbの光ファイバは、Er元素が500重量ppm添加され、Al元素が2.0重量%添加され、P元素が5.0重量%添加されている。タイプcの光ファイバは、Er元素が1000重量ppm添加され、Al元素が0.3重量%添加され、P元素が8.0重量%添加されている。
【0017】
図2は、タイプaの光ファイバの誘導放出断面積およびESA断面積それぞれの波長依存性を示すグラフである。図3は、タイプbの光ファイバの誘導放出断面積およびESA断面積それぞれの波長依存性を示すグラフである。図4は、タイプcの光ファイバの誘導放出断面積およびESA断面積それぞれの波長依存性を示すグラフである。
【0018】
これら図2〜図4それぞれから判るように、タイプa〜cの光ファイバの何れにおいても、1580nm〜1650nmの波長帯域では、波長が長くなるに従い、誘導放出断面積は小さくなるが、ESA断面積は大きくなる傾向にあり、或る波長で誘導放出断面積とESA断面積とは交差する。この両者が交差する波長が利得スペクトル広がりの長波長側の限界波長である。すなわち、限界波長以下の波長では、誘導放出断面積がESA断面積より大きく、したがって、励起光が供給されると信号光利得が生じ得る。しかし、限界波長以上の波長では、誘導放出断面積がESA断面積より小さく、したがって、如何に強いパワーの励起光が光ファイバに供給されたとしても信号光利得が生じない。
【0019】
利得スペクトル広がりの長波長側の限界波長は、タイプaの光ファイバでは1628nmであり、タイプbの光ファイバでは1632nmであり、タイプcの光ファイバでは1635nmである。すなわち、Er元素に加えてP元素も添加されたタイプbおよびcの光ファイバそれぞれの限界波長は、P元素が添加されていないタイプaの光ファイバと比較して長く、従来の技術の欄で述べたフッ化物ガラスをホストとするEr添加光ファイバと比較しても長い。特にタイプcの光ファイバの限界波長は、テルライトガラスをホストとするEr添加光ファイバの限界波長1637nmと同程度である。また、タイプbの光ファイバとタイプcの光ファイバとを比較すると、P元素添加濃度が高くAl元素添加濃度が低いタイプcの石英系の光ファイバの限界波長は、P元素添加濃度が低くAl元素添加濃度が高いタイプbの石英系の光ファイバと比較して長い。
【0020】
さらに、これら3種類の石英系光ファイバに加え、他に種々の添加濃度としたEr添加石英系光ファイバについても同様に調べたところ、石英系光ファイバに添加されたP元素の濃度が8重量%以上である場合、または、石英系光ファイバに添加されたAl元素の濃度が0.3重量%以下である場合に、その石英系光ファイバの限界波長は、テルライトガラスをホストとするEr添加光ファイバの限界波長1637nmと同程度となった。
【0021】
したがって、Er元素およびP元素が添加された石英系光ファイバを増幅用光ファイバとして用いる光増幅器は、1570nm以上の波長の信号光を光増幅することができ、1630nm程度の波長の信号光をも光増幅することができる。また、Er元素およびP元素が添加された石英系光ファイバを光共振器内の増幅用光ファイバとして用いるレーザ発振器は、1570nm以上の波長のレーザ光を発振することができ、1630nm程度の波長のレーザ光をも発振することができる。
【0022】
次に、本発明に係る光増幅器の実施形態について説明する。図5は、本実施形態に係る光増幅器の構成図である。本実施形態に係る光増幅器は、上述したタイプbまたはcの光ファイバを増幅用光ファイバ10として備える光ファイバ増幅器であり、更に、励起用光源11,12、WDMカプラ15,16、入力端コネクタ17および出力端コネクタ18を備える。また、比較のために、上述したタイプaの光ファイバを増幅用光ファイバ10として備える光増幅器についても説明する。
【0023】
励起用光源11および12それぞれは、増幅用光ファイバ10に供給すべき励起光を出力するものであり、例えば、波長1.48μmのレーザ光を出力するレーザダイオードが好適に用いられる。WDMカプラ15は、励起用光源11から出射され光ファイバ13を経て到達した励起光を増幅用光ファイバ10へ入射させるとともに、入力端コネクタ17に入力した信号光も増幅用光ファイバ10へ入射させる。WDMカプラ16は、励起用光源12から出射され光ファイバ14を経て到達した励起光を増幅用光ファイバ10へ入射させるとともに、増幅用光ファイバ10で光増幅された信号光を出力端コネクタ18へ向けて通過させる。
【0024】
この光増幅器は以下のように動作する。励起用光源11から出射された励起光は、光ファイバ13およびWDMカプラ15を経て増幅用光ファイバ10に供給される。また、励起用光源12から出射された励起光は、光ファイバ14およびWDMカプラ16を経て増幅用光ファイバ10に供給される。入力端コネクタ17に入力した信号光は、WDMカプラ15を経て増幅用光ファイバ10に入射し、増幅用光ファイバ10において光増幅される。その光増幅された信号光は、WDMカプラ16を経て出力端コネクタ18から出力される。
【0025】
図6は、3種類の石英系光ファイバそれぞれを用いた光増幅器の利得スペクトルを示すグラフである。なお、励起用光源11および12それぞれから出射される励起光の波長を1.48μmとした。また、1.53μm帯吸収条長積を、タイプaの光ファイバでは690dBとし、タイプbの光ファイバでは1176dBとし、タイプcの光ファイバでは654dBとした。
【0026】
このグラフから判るように、タイプa〜cの光ファイバの何れを用いた光増幅器でも、1570nm以上の波長の信号光を光増幅することができる。しかし、Er元素に加えてP元素も添加されたタイプbの光ファイバを用いた光増幅器の利得スペクトルの波長帯域幅は1562nm〜1628nmであり、同じくP元素も添加されたタイプcの光ファイバを用いた光増幅器の利得スペクトルの波長帯域幅は1558nm〜1630nm以上であり、これらは、P元素が添加されていないタイプaの光ファイバの場合と比較して広い。特にタイプcの光ファイバを用いた光増幅器は、利得スペクトルの波長帯域幅が最も広く、また、長波長側の限界波長が最も長く、テルライトガラスをホストとするEr添加光ファイバの場合と同様に波長1630nmという長波長でも利得を有している。また、Al元素添加濃度が高いタイプaおよびbの光ファイバそれぞれを用いた光増幅器の利得スペクトルの利得平坦度は、Al元素添加濃度が低いタイプcの光ファイバの場合と比較して優れている。
【0027】
ところで、多波長の信号光を伝送する波長分割多重光通信システムには様々なものがある。例えば、局内伝送システムや地域系伝送システム等の短距離伝送システムは、幹線系伝送システムや大洋横断伝送システム等の長距離伝送システムと比較すると、伝送距離が短いが、一般に容量すなわち波長数が多い。したがって、短距離伝送システムでは、光増幅器の利得スペクトルの波長帯域幅は広いことが要求されるが、利得平坦度は重要ではない。一方、長距離伝送システムでは、光増幅器の利得平坦度が最も重要である。このように、光増幅器の利得スペクトルに対する要求は用途によって異なる。
【0028】
光増幅器の利得スペクトルは、Er添加石英系光ファイバに添加される元素および濃度を適切に調整することにより、用途に応じて最適に設計される。タイプa〜cの光ファイバそれぞれを用いた光増幅器に適した用途は以下のようになる。タイプaの光ファイバを用いた光増幅器は、他の2種の光ファイバの場合と比較すると利得スペクトルの波長帯域幅が狭いが利得平坦度が優れているので、トータルロスバジェット300dB程度以下で伝送距離600km程度以上である長距離伝送システムに好適に用いられる。タイプbの光ファイバを用いた光増幅器は、利得スペクトルの波長帯域幅がやや狭いが利得平坦度が優れているので、トータルロスバジェット100dB程度以下で伝送距離200km程度以上である短・中距離伝送システムに好適に用いられる。また、タイプcの光ファイバを用いた光増幅器は、他の2種の光ファイバの場合と比較すると利得スペクトルの波長帯域幅が広いが利得平坦度が劣っているので、トータルロスバジェット30dB程度以下で伝送距離200km程度以下である局内や地域系の短距離・大容量の伝送システムに好適に用いられる。
【0029】
次に、本発明に係るレーザ発振器の実施形態について説明する。図7は、本実施形態に係るレーザ発振器の構成図である。本実施形態に係るレーザ発振器は、上述したタイプbまたはcの光ファイバを増幅用光ファイバ20として備えるものであり、更に、励起用光源21、光アイソレータ22、出力端コネクタ23および光ファイバグレーティング24,25を備える。また、比較のために、上述したタイプaの光ファイバを増幅用光ファイバ20として備えるレーザ発振器についても説明する。
【0030】
励起用光源21は、増幅用光ファイバ20に供給すべき励起光を出力するものであり、例えば、波長1.48μmのレーザ光を出力するレーザダイオードが好適に用いられる。光アイソレータ22は、増幅用光ファイバ20から到達した光を出力端コネクタ23へ向けて通過させるが、その逆方向へは光を通過させない。
【0031】
光ファイバグレーティング24,25は、レーザ発振すべき光の波長を中心波長とするものである。光ファイバグレーティング24は、励起用光源21と増幅用光ファイバ20との間に設けられており、中心波長と同一の波長の光に対する反射率が略100%であり、また、励起用光源21から出射された励起光に対する透過率が略100%である。光ファイバグレーティング25は、増幅用光ファイバ20と光アイソレータ22との間に設けられており、中心波長と同一の波長の光に対する反射率が例えば20%である。すなわち、光ファイバグレーティング24および25の間は共振器を構成している。
【0032】
このレーザ発振器は以下のように動作する。励起用光源21から出射された励起光は、光ファイバグレーティング24を透過し増幅用光ファイバ20に供給される。増幅用光ファイバ20では、励起光供給に伴い反転分布が生じ、自然放出光が発生する。その自然放出光のうち光ファイバグレーティング24,25の中心波長と同一の波長の光は、光ファイバグレーティング24および25の間を繰り返し往復し、その間に増幅用光ファイバ20において誘導放出による光増幅が起こる。そして、その光増幅された光の一部は、光ファイバグレーティング25および光アイソレータ22を透過して、出力端コネクタ23からレーザ光として出力される。
【0033】
このレーザ発振器から出力されるレーザ光の波長は光ファイバグレーティング24,25の中心波長と同一であり、また、この中心波長は増幅用光ファイバ20の利得スペクトルの波長帯域内の波長である。例えば、光ファイバグレーティング24,25の中心波長を1625nmとすると、この中心波長は増幅用光ファイバ20の利得スペクトルの波長帯域内にあるので、この中心波長1625nmと同一の波長のレーザ光がレーザ発振器から出力される。
【0034】
したがって、このレーザ発振器は、光ファイバグレーティング24,25の中心波長を適切に設定することにより、増幅用光ファイバ20の利得スペクトルの波長帯域内の何れの波長のレーザ光をも出力することができる。すなわち、タイプa〜cの光ファイバの何れを用いたレーザ発振器でも、1570nm以上の波長のレーザ光を出力することができる。しかし、Er元素に加えてP元素も添加されたタイプbおよびcの光ファイバそれぞれを用いたレーザ発振器のレーザ発振波長帯域の長波長側の限界波長は、P元素が添加されていないタイプaの光ファイバの場合と比較して長い。特にタイプcの光ファイバを用いたレーザ発振器は、レーザ発振波長帯域の長波長側の限界波長が最も高く、テルライトガラスをホストとするEr添加光ファイバの場合と同様に波長1630nmという長波長でもレーザ発振することができる。
【0035】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。光増幅器およびレーザ発振器それぞれの構成は、上述したものに限られるものではない。例えば、レーザ発振器における共振器は、上記構成のものに限られず、リング型共振器であってもよい。また、上記実施形態では、光増幅器およびレーザ発振器それぞれにおけるEr元素およびP元素が添加された石英系の光導波路として光ファイバについて説明したが、基板上に形成された光導波路の場合も同様である。
【0036】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明に係る光増幅器によれば、光導波路が石英系のものであるので、製造が容易であり、強度が強く、一般に用いられている他の石英系の光導波路との接続が容易である。また、Er元素に加えてP元素も光導波路に添加されたことにより、P元素が添加されていない場合と比較して、利得スペクトルの波長帯域幅が広く、長波長側の限界波長が長い。また、光導波路に更にAl元素が添加されている場合には、Al元素添加濃度を調整することにより利得平坦度が調整され、用途に合わせた光増幅器が設計される。また、光導波路に添加されたP元素の濃度が8重量%以上である場合、または、光導波路に添加されたAl元素の濃度が0.3重量%以下である場合には、利得スペクトルの長波長側の限界波長は、テルライトガラスをホストとするEr添加光導波路を用いた場合と同程度となる。
【0037】
本発明に係るレーザ発振器によれば、光導波路が石英系のものであるので、製造が容易であり、強度が強く、一般に用いられている他の石英系の光導波路との接続が容易である。また、Er元素に加えてP元素も光導波路に添加されたことにより、P元素が添加されていない場合と比較して、レーザ発振可能な波長帯域の幅が広く、長波長側の限界波長が長い。また、光導波路に更にAl元素が添加されている場合には、Al元素添加濃度を調整することにより波長に対するレーザ発振強度の平坦度が調整される。また、光導波路に添加されたP元素の濃度が8重量%以上である場合、または、光導波路に添加されたAl元素の濃度が0.3重量%以下である場合には、レーザ発振可能な波長帯域の長波長側の限界波長は、テルライトガラスをホストとするEr添加光導波路を用いた場合と同程度となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3種類の石英系光ファイバそれぞれの組成をまとめた図表である。
【図2】タイプaの光ファイバの誘導放出断面積およびESA断面積それぞれの波長依存性を示すグラフである。
【図3】タイプbの光ファイバの誘導放出断面積およびESA断面積それぞれの波長依存性を示すグラフである。
【図4】タイプcの光ファイバの誘導放出断面積およびESA断面積それぞれの波長依存性を示すグラフである。
【図5】本実施形態に係る光増幅器の構成図である。
【図6】3種類の石英系光ファイバそれぞれを用いた光増幅器の利得スペクトルを示すグラフである。
【図7】本実施形態に係るレーザ発振器の構成図である。
【符号の説明】
10…増幅用光ファイバ、11,12…励起用光源、13,14…光ファイバ、15,16…WDMカプラ、17…入力端コネクタ、18…出力端コネクタ、20…増幅用光ファイバ、21…励起用光源、22…光アイソレータ、23…出力端コネクタ、24,25…光ファイバグレーティング。
Claims (18)
- Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路であり、P元素の濃度を調整することにより誘導放出断面積よりESA断面積が大きくなる波長域が波長1628nmより長い波長域にある光導波路を備え、
1 . 53μm帯吸収条長積を調整することにより前記光導波路に入力した1625nm以上の波長の光に対し利得を有し、1570nm〜1610nmの波長の信号光を増幅できるようにしたことを特徴とする1570nm〜1610nmの波長帯の光増幅用光増幅器。 - 前記光導波路に添加されたP元素の濃度が8重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
- 前記光導波路に更にAl元素が添加されていることを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
- 前記光導波路に添加されたAl元素の濃度が0.3重量%以下であることを特徴とする請求項3記載の光増幅器。
- Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路であり、P元素の濃度が5重量%以上、Al元素の濃度が2重量%以下である光導波路を備え、
1 . 53μm帯吸収条長積を調整することによりこの光導波路に入力した波長1628nm以上の波長において利得を有し、1570nm〜1610nmの波長の信号光を増幅できるようにしたことを特徴とする1570nm〜1610nmの波長帯の光増幅用光増幅器。 - Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路であり、P元素の濃度が8重量%以上、Al元素の濃度が0.3重量%以下である光導波路を備え、
1 . 53μm帯吸収条長積を調整することによりこの光導波路に入力した波長1630nm以上の波長において利得を有し、1570nm〜1610nmの波長の信号光を増幅できるようにしたことを特徴とする1570nm〜1610nmの波長帯の光増幅用光増幅器。 - Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路であり、P元素の濃度を調整することにより誘導放出断面積よりESA断面積が大きくなる波長域が波長1628nmより長い波長域にある光導波路を備え、
1 . 53μm帯吸収条長積を調整することによりこの光導波路において誘導放出された1610nm以上の波長のレーザ光を発振することを特徴とするレーザ発振器。 - 1625nm以上の波長のレーザ光を発振することを特徴とする請求項7記載のレーザ発振器。
- 前記光導波路に添加されたP元素の濃度が5重量%以上であることを特徴とする請求項7記載のレーザ発振器。
- 前記光導波路に添加されたP元素の濃度が8重量%以上であることを特徴とする請求項7記載のレーザ発振器。
- 前記光導波路に添加されたAl元素の濃度が0.3重量%以下であることを特徴とする請求項7記載のレーザ発振器。
- Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路であり、P元素の濃度を調整することにより誘導放出断面積よりESA断面積が大きくなる波長域が波長1628nmより長い波長域にあり、
1 . 53μm帯吸収条長積を調整することにより、励起光を入射した際に前記光導波路に入力した1625nm以上の波長の光に対し利得を有するようにしたことを特徴とする1570nm〜1610nmの波長帯の光増幅用石英系光導波路。 - P元素の濃度が5重量%以上であることを特徴とする請求項12記載の石英系光導波路。
- P元素の濃度が8重量%以上であることを特徴とする請求項12記載の石英系光導波路。
- Al元素の濃度が2重量%以下であることを特徴とする請求項12記載の石英系光導波路。
- P元素濃度が5重量%以上かつAl元素濃度が2重量%以下であることを特徴とする請求項12記載の石英系光導波路。
- Er元素およびP元素が添加された石英系の光導波路を備え、1 . 53μm帯吸収条長積を調整することにより前記光導波路に入力した1625nm以上の波長の光に対し利得を有するように設定され、この導波路に励起光を注入し、1570nm〜1610nmの波長の信号光を増幅することを特徴とする光増幅方法。
- 前記光導波路は、誘導放出断面積よりESA断面積が大きくなる波長域が波長1628nmより長い波長域にあることを特徴とする請求項17記載の光増幅方法。
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