JP2004185962A - 表示パネルの製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】封着において、外囲器を構成する2枚の基板の押圧を、簡易、且つ均一に行うことで、良好な画像表示を行うことができる表示パネルを効率良く製造する方法および装置を提供する。
【解決手段】2枚の基板2、3を、少なくとも一方の基板の外周部に形成したガラス封着材4を挟むように対向配置した後、これら2枚の基板を封着する際、封着時の加熱温度で所定の押圧力となる均一加圧袋26により押圧して封着することで表示パネルを製造する。
【選択図】 図3
【解決手段】2枚の基板2、3を、少なくとも一方の基板の外周部に形成したガラス封着材4を挟むように対向配置した後、これら2枚の基板を封着する際、封着時の加熱温度で所定の押圧力となる均一加圧袋26により押圧して封着することで表示パネルを製造する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)やフィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDと記す)など、対向する2枚の基板により構成される外囲器を有する表示パネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
対向する2枚の基板により構成される外囲器を備える表示パネルとしては、例えばPDPやFEDなどがある。これらの表示パネルは、ガラス基板を2枚の基板として用い、2枚の基板を低融点ガラス材料からなるガラス封着材でシールすることにより外囲器を形成したものである。この外囲器を形成する製造方法を、図11、図12および図13を参照しながら説明する。
【0003】
図11は、表示パネルの製造方法において、主に、外囲器を形成する部分の製造工程のフローを示すものであり、また、図11の中での、クリップを装着(S34)した状態を示す平面図が図12であり、その図12におけるA−A’矢視断面図が図13である。
【0004】
まず、表示パネル1が有する、対向する2枚の基板である、第一の基板2と第二の基板3とをそれぞれ受入れた後(S11およびS21)、それぞれ表示パネル1として必要な構造物を形成するための工程を実施し(図示せず)、その後、少なくともどちらか一方の基板の外周部、図11では例として、第二の基板3の外周部に、低融点ガラスを主含有する封着材ペーストを塗布(S25)し、それを乾燥(S26)することで、ガラス封着材4を形成する。次に、これら2枚の基板をガラス封着材4を挟みこむようにステージ23上で対向配置(S31)した状態で、アライメントし(S32)、その後、基板固定機構22で固定(S33)した後に、その周辺部に一定の挟み力を有するクリップ21を複数個、装着(S34)することで、ガラス封着材4を形成した封着部5を押圧する。この状態が図13である。そして、これら複数個のクリップ21を装着したままの状態でステージ23ごと、ガラス封着材4の溶融温度まで加熱処理する封着(S35)を行った後、さらに必要な工程を実施し(図示せず)、その後、複数個のクリップ21を脱着する(S39)ことで、対向する第一の基板2と第二の基板3とにより構成される外囲器を備える表示装置1が完成する(S40)。(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平01−211817号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では以下のような課題があった。
【0007】
対向配置された2枚の基板2、3の押圧に用いるクリップ21は、図12に示すように、基板周辺部に複数個装着、配置され、対角が30インチを越える表示パネルにおいては20個以上の数が必要であり、表示パネル1のサイズが大きくなるほどクリップ21の個数を増加させなければならない。
【0008】
これは、封着の際、封着部5に配設されたガラス封着材4を均一に押圧して、第一の基板2と第二の基板3との間隔を精度良くすることが、表示パネル1が良好な画像表示を行うために重要だからである。
【0009】
ここで、クリップ21の個数が少なかったり、挟み力がばらついていたりすると、押圧の均一性が悪化し、封着後の2枚の基板2、3の間隔が不均一となり、表示パネル1の画像表示特性に悪影響を与えてしまう場合がある。
【0010】
以上より、2枚の基板2、3の間隔が均一な表示パネル1を製造するためには、装着するクリップ21の個数はできるだけ多く、且つその挟み力は均一となるようにすることが好ましいのであるが、そのことは、クリップ21の装着と脱着とに時間を要し、また、クリップ21個々の挟み力の管理が必要であることから、生産性の悪化を招くという問題が生じる場合があった。
【0011】
本発明はこれら課題を鑑みてなされたものであり、封着における基板の押圧を簡易に且つ均一に行うことで、良好な画像表示を行うことができる表示パネルを効率良く製造する方法および装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を実現するために本発明の表示パネルの製造方法は、2枚の基板を、ガラス封着材を挟んで対向配置した後、所定量の気体を封入した袋により押圧して封着するものである。
【0013】
また、上記目的を実現するために本発明の表示パネルの製造装置は、ガラス封着材を挟んで対向配置した2枚の基板を押圧する、所定量の気体を封入した袋を備えるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、2枚の基板を、ガラス封着材を挟んで対向配置した後、所定量の気体を封入した袋により押圧して封着する表示パネルの製造方法である。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記袋が、2枚の基板の封着部を押圧するものである。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記袋が、複数からなり、2枚の基板の封着部の辺部と角部とで、封入した気体の量が異なるものである。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、ガラス封着材を挟んで対向配置した2枚の基板を押圧する、所定量の気体を封入した袋を備える表示パネルの製造装置である。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記袋が、2枚の基板の封着部を押圧するものである。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記袋が、複数からなり、2枚の基板の封着部の辺部と角部とで、封入した気体の量が異なるものである。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図10を用いて説明する。なお、図1〜図10においては、図11〜図13と同じものについては同じ番号を付している。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による表示パネルの製造方法の、主に、外囲器を形成する部分の製造工程のフローを示すものである。また、図2は本発明の実施の形態による表示パネルの製造装置である基板封着搬送装置の概略構成を示す平面図であり、図3は図2におけるB−B’矢視断面図である。図を判りやすくするために、図2においてはフレーム24を一点鎖線で示し、また、図3においては基板固定機構22を省略して示している。
【0022】
表示パネル1の外囲器は、厚さ3mm程度のガラス基板である第一の基板2と第二の基板3とが、外周部の封着部5においてガラス封着材4で封着した構成である。なお、2枚の基板2、3の間には、表示パネル1として必要な構造物が存在しているが、本発明の実施の形態ではその説明を省略する。
【0023】
第一の基板2と第二の基板3の、少なくともどちらか一方の外周部に、低融点ガラスを主含有する封着材ペーストを塗布、乾燥することでガラス封着材4を形成する。具体的には図1に示すように、第二の基板3を受入れ(S21)した後、表示パネル1として必要な構造物を形成するための工程を実施し(図示せず)、その後、低融点ガラス粉末(例えば、ASF2300 旭硝子製)と樹脂を含有した溶剤(例えば、ビークルC 東京応化製)を混練した封着材ペーストを塗布し(S25)、封着材ペーストに含有される溶剤および樹脂成分を除去するための350℃、40分の乾燥(S26)を行なうことで、ガラス封着材4を形成する。
【0024】
一方、第一の基板2は、受入れ(S11)の後、表示パネル1として必要な構造物を形成するための工程を実施する(図示せず)。
【0025】
次に、第一の基板2と、ガラス封着材4を形成した第二の基板3とを、ステージ23上でガラス封着材4を挟み込むように対向配置して(S31)、アライメントし(S32)、基板固定機構22により固定(S33)した後、第一の基板2側から、例えば気体を密封することで所定の内圧P1(Pa)とした袋により構成した均一加圧袋26を搭載したフレーム24を支柱25を介して下降させ、均一加圧袋26を押さえた状態で固定する。これにより、均一加圧袋26の容積が小さくなるため、均一加圧袋26の内圧はP2(Pa)に高まる。そして、内圧がP2(Pa)に高まった均一加圧袋26から作用する力により、第一の基板2と第二の基板3とは押圧されることとなるが、この状態においては、いわゆるパスカルの原理、すなわち、密閉された容器の中で静止している流体内の1点の圧力をある大きさだけ増すと流体内のすべての点の圧力は、同じだけ増すということにより、均一加圧袋26の高められた内圧P2(Pa)は全ての箇所で同じとなり、したがって、第一の基板2と第二の基板3とは、均一加圧袋26により、封着部5において均一に押圧された状態となる(S34)。
【0026】
すなわち、均一加圧袋26とは、内部に気体などの流体を封入、密閉して構成することで、パスカルの原理に基づく均一な押圧力を対象物、本実施の形態では第一の基板2(の封着部5)に作用させるものである。したがって、均一な内圧を対象物に対して、素直に作用させるという観点から、袋の材質としては、剛性の低い材質が好ましい。
【0027】
そしてこの状態のまま、搬送し、400℃、20分の加熱処理によりガラス封着材4を溶融させる封着(S35)を行い、さらに必要な工程を実施し(図示せず)、その後、フレーム24を支柱25を介して上昇させ、均一加圧袋26による押圧状態を解除する(S39)ことで、表示パネル1が完成する(S40)。
【0028】
ここで、封着(S35)での加熱処理時において、均一加圧袋26も加熱され、内部に封入された気体が膨張し、この膨張により均一加圧袋26も膨張するが、均一加圧袋26の膨張が、第一の基板2とフレーム24との間隔を押し広げようとする方向の成分を含むものであるならば、封着の加熱処理時において均一加圧袋26の内圧は上昇し、P3(Pa)となる。そしてこのP3(Pa)により、第一の基板2と第二の基板3とを押圧するように作用するが、この押圧力が、従来のクリップ21による挟み力に相当する力であることが必要である。また、この際の押圧力も、先に述べたパスカルの原理により、均一加圧袋26の全ての箇所において等しく、したがって、押圧は均一なものとなる。
【0029】
ここでP3(Pa)は、均一加圧袋26の容積、その弾性状態(収縮の方向性など)、中に封入する気体の量およびその種類、フレーム24の固定の位置(高さ)などから決定されるものであり、したがって、封着の加熱処理時に必要な押圧力が得られるように、これら諸条件を勘案した上で、P2(Pa)、P1(Pa)を含め、設計すれば良い。例えば、先に記載したフリット材料であるASF2300を用いて封着するためには400℃程度の加熱処理が必要であり、400℃で、P3=1.4×105(Pa)となる量の、例えば窒素ガスを封入した均一加圧袋26を用いることが必要となる。
【0030】
ここで、均一加圧袋26の形状としては、密閉構造であればチューブのようなものでも良く、また材質としては、耐熱性の高いシリカクロスなどが挙げられる。また、中に封入する気体の種類としては、高温下においても安定な不活性ガスが適当であり、中でも安価な窒素が好ましい。但し、高温下においても安定なものであれば特に気体に限るものではなく、流体であれば良い。
【0031】
以上のように、本実施の形態によれば、第一の基板2と第二の基板3とを対向させた後、これら2枚の基板を封着する際、封着時の加熱温度で所定の押圧力となる均一加圧袋26で押圧することにより、従来の押圧手段であった複数個のクリップを全てなくすことができ、しかも従来より押圧を均一なものとすることができる。
【0032】
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2によるPDPの製造方法について説明する。
【0033】
図4は本発明の実施の形態2によるPDPの製造方法により製造されるPDPの、概略構成を示す平面図であり、図5は、同じく概略構成を示す断面斜視図である。
【0034】
PDP1の前面板6は、第一の基板2の一主面上に形成したN本の走査電極7とN本の維持電極8とからなる表示電極9(N本目を示す場合はその数字を付す)と、その表示電極9を覆う誘電体層10と、さらにその誘電体層10を覆う、例えばMgOによる保護層11とを有する構造である。走査電極7と維持電極8は、電気抵抗の低減を目的として、透明電極7a、8aに金属材料からなるバス電極7b、8bを積層した構造としている。
【0035】
背面板12は、第二の基板3の一主面上に形成したM本のデータ電極13(M本目を示す場合はその数字を付す)と、そのデータ電極13を覆う誘電体層14と、誘電体層14上のデータ電極13の間に相当する場所に位置する隔壁15と、隔壁15間の蛍光体層16R、16G、16Bとを有する構造である。
【0036】
そして、前面板6と背面板12とは、隔壁15を挟んで、表示電極9とデータ電極13とが直交するように対向し、画像表示領域17の外の周囲をガラス封着材4により封止した構成であり、前面板6と背面板12との間に形成された放電空間18には、例えばNe−Xe5%の放電ガスが66.5kPa(500Torr)の圧力で封入されている。
【0037】
そして、放電空間18の表示電極9とデータ電極13との交差部が放電セル19(単位発光領域)として動作する。
【0038】
図6は、本発明の実施の形態2によるPDPの製造方法の工程フローを示す図である。また、図7は本発明の実施の形態によるPDPの製造装置である基板封着搬送装置を示す平面図であり、図8は図7におけるB−B’矢視断面図である。図を判りやすくするために、図7においてはフレーム24を一点鎖線で示し、また、図8においては基板固定機構22を省略して示している。
【0039】
PDP1の外囲器は、厚さ3mm程度のガラス基板である第一の基板2と第二の基板3とが、外周部の封着部5においてガラス封着材4で封着した構成である。なお、2枚の基板2、3の間には、図5に示した構造物が存在するが、図8においては、簡略化して隔壁15のみを示している。
【0040】
次に、PDP1の製造方法について説明する。まず、前面板6の製造工程である前面板工程であるが、これは、ガラスのような透明、且つ絶縁性の第一の基板2を受け入れ(S11)、これを洗浄する。次に、ITOなどの透明性の導電材料からなる膜をスパッタリング法などにより成膜し、フォトエッチング法などによりパターニングを行い、透明電極7a、8aを形成する(S12)。次に、透明電極7a、8a上にAg厚膜をパターン化して形成することによりバス電極7b、8bを形成する(S13)。続いて、低融点ガラスを印刷などで塗着し、乾燥・焼成を行うことで、誘電体層10を形成する(S14)。次に、例えばMgOからなる保護層11を形成する(S15)。
【0041】
次に、背面板12の製造工程である背面板工程について説明する。ガラスのような絶縁性の第二の基板3を受け入れ(S21)、これを洗浄する。次に、Ag厚膜をパターン化して成膜することにより、データ電極13を形成する(S22)。続いて、データ電極13を覆う状態で第二の基板3に誘電体層14を形成し、次に、隔壁15を形成する(S23)。この隔壁15の形成方法としては、例えば隔壁材料を印刷法などにより全面に塗着、乾燥をした後、ドライフィルムを用いてのフォトリソグラフィー法とサンドブラスト法により形成する方法がある。次に、蛍光体材料をラインジェット法などにより隔壁15間に塗着し乾燥させることにより、蛍光体層16R、16G、16Bを形成する(S24)。次いで、低融点ガラス粉末(例えば、ASF2300 旭硝子製)と樹脂を含有した溶剤(例えば、ビークルC 東京応化製)を混練した封着材ペーストを、第二の基板3の外周部に塗布し(S25)、その後、封着材ペーストに含有される溶剤および樹脂成分を除去するための350℃、40分の乾燥(S26)を行なうことで、ガラス封着材4を形成する。乾燥(S26)の際に、同時に蛍光体層16R、16G、16Bに含まれるバインダーの除去も行われる。
【0042】
そして、第一の基板2と、ガラス封着材4を形成した第二の基板3とを、ステージ23上でガラス封着材4を挟み込むように対向配置して(S31)、アライメントし(S32)、基板固定機構22により固定(S33)した後、第一の基板2側から、例えば気体を密封することで所定の内圧P1(Pa)とした袋により構成した均一加圧袋26を搭載したフレーム24を支柱25を介して下降させ、均一加圧袋26を押さえた状態で固定する。これにより、均一加圧袋26の容積が小さくなるため、均一加圧袋26の内圧はP2(Pa)に高まる。そして、内圧がP2(Pa)に高まった均一加圧袋26から作用する力により、第一の基板2と第二の基板3とは押圧されることとなるが、この状態においては、いわゆるパスカルの原理により、均一加圧袋26の高められた内圧P2(Pa)は全ての箇所で同じとなり、したがって、第一の基板2と第二の基板3とは、均一加圧袋26により、封着部5において均一に押圧された状態となる(S34)。
【0043】
そしてこの状態のまま、搬送し、400℃、20分の加熱処理によりガラス封着材4を溶融させる封着(S35)を行い、次に、PDP1の外囲器をベーキングしながら内部の真空排気を行う排気・ベーキング工程(S36)を行い、その後、NeとXeなどからなる放電ガスを封入する放電ガス封入工程(S37)を行う。そしてチップ管をチップオフする封止(S38)を行った後、フレーム23を支柱22を介して上昇させ、均一加圧袋26による押圧状態を解除する(S39)ことで、PDPが完成する(S40)。
【0044】
ここで、封着(S35)での加熱処理時において、均一加圧袋26も加熱され、内部に封入された気体が膨張し、この膨張により均一加圧袋26も膨張するが、均一加圧袋26の膨張が、第一の基板2とフレーム24との間隔を押し広げようとする方向の成分を含むものであるならば、封着の加熱処理時において均一加圧袋26の内圧は上昇し、P3(Pa)となる。そしてこのP3(Pa)により、第一の基板2と第二の基板3とを押圧するように作用するが、この押圧力が、従来のクリップ21による挟み力に相当する力であることが必要である。また、この際の押圧力も、先に述べたパスカルの原理により、均一加圧袋26の全ての箇所において等しく、したがって、押圧は均一なものとなる。
【0045】
ここでP3(Pa)は、均一加圧袋26の容積、その弾性状態(収縮の方向性など)、中に封入する気体の量およびその種類、フレーム24の固定の位置(高さ)などから決定されるものであり、したがって、封着の加熱処理時に必要な押圧力が得られるように、これら諸条件を勘案した上で、P2(Pa)、P1(Pa)を含め、設計すれば良い。
【0046】
ここで、均一加圧袋26の形状としては、密閉構造であればチューブのようなものでも良く、また材質としては、耐熱性の高いシリカクロスなどが挙げられる。また、中に封入する気体の種類としては、高温下においても安定な不活性ガスが適当であり、中でも安価な窒素が好ましい。但し、高温下においても安定なものであれば特に気体に限るものではなく、流体であれば良い。
【0047】
以上のように、本実施の形態によれば、第一の基板2と第二の基板3とを対向させた後、これら2枚の基板を封着する際、封着時の加熱温度で所定の押圧力となる均一加圧袋26で押圧することにより、従来の押圧手段であった複数個のクリップを全てなくすことができ、しかも従来より押圧を均一なものとすることができる。
【0048】
(実施の形態3)
図9および図10は、本実施の形態3による表示パネルの製造方法において用いる製造装置である基板封着搬送装置の、他の例を示す平面図である。実施の形態1および2とは、均一加圧袋26が複数に分割された状態であることが異なる。このように均一加圧袋26を分割することにより、その領域毎に基板を押圧する力を変化させることが可能となる。特に図10に示すように、基板の角部4箇所を分割し、その角部の均一加圧袋26aの気体封入量を、辺部の均一加圧袋26bより多くすることにより、封着の加熱処理時での押圧力が高くなるようにしている。具体的には、角部の均一加圧袋26aには、400℃で1.6×105Paの圧力になるように窒素ガスを予め封入している。これにより、辺部の封着部5より相対的にガラス封着材の量が多く、より高い押圧力の必要な角部の封着部5に対して、押圧力を高くすることができ、第一の基板2と第二の基板3との封着の信頼性を更に高めることが可能となる。
【0049】
本実施の形態では、押圧力を変更したい部分に応じて均一加圧袋26の数量を増やし、それぞれの気体封入量を変化させれば良いことは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、封着における基板の押圧を簡易に且つ均一に行うことで、良好な画像表示を行うことができる表示パネルを効率良く製造する方法および装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による表示パネルの製造方法の製造工程のフローを示す図
【図2】本発明の実施の形態1による表示パネルの製造方法で用いる基板封着搬送装置の概略構成を示す平面図
【図3】図2におけるB−B’矢視断面図
【図4】本発明の実施の形態2によるプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す平面図
【図5】本発明の実施の形態2によるプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す断面斜視図
【図6】本発明の実施の形態2によるプラズマディスプレイパネルの製造方法の製造工程のフローを示す図
【図7】本発明の実施の形態2によるプラズマディスプレイパネルの製造方法で用いる基板封着搬送装置の概略構成を示す平面図
【図8】図7におけるB−B’矢視断面図
【図9】本発明の実施の形態3による表示パネルの製造方法で用いる基板封着搬送装置の概略構成を示す平面図
【図10】同じく、本発明の実施の形態3による表示パネルの製造方法で用いる基板封着搬送装置の概略構成を示す平面図
【図11】従来の表示パネルの製造方法の製造工程のフローを示す図
【図12】従来の表示パネルの製造方法の製造工程における、クリップ装着後の概略の状態を示す平面図
【図13】図12におけるA−A’矢視断面図
【符号の説明】
1 表示パネル(プラズマディスプレイパネル)
2 第一の基板
3 第二の基板
4 ガラス封着材
5 封着部
26 均一加圧袋
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)やフィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDと記す)など、対向する2枚の基板により構成される外囲器を有する表示パネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
対向する2枚の基板により構成される外囲器を備える表示パネルとしては、例えばPDPやFEDなどがある。これらの表示パネルは、ガラス基板を2枚の基板として用い、2枚の基板を低融点ガラス材料からなるガラス封着材でシールすることにより外囲器を形成したものである。この外囲器を形成する製造方法を、図11、図12および図13を参照しながら説明する。
【0003】
図11は、表示パネルの製造方法において、主に、外囲器を形成する部分の製造工程のフローを示すものであり、また、図11の中での、クリップを装着(S34)した状態を示す平面図が図12であり、その図12におけるA−A’矢視断面図が図13である。
【0004】
まず、表示パネル1が有する、対向する2枚の基板である、第一の基板2と第二の基板3とをそれぞれ受入れた後(S11およびS21)、それぞれ表示パネル1として必要な構造物を形成するための工程を実施し(図示せず)、その後、少なくともどちらか一方の基板の外周部、図11では例として、第二の基板3の外周部に、低融点ガラスを主含有する封着材ペーストを塗布(S25)し、それを乾燥(S26)することで、ガラス封着材4を形成する。次に、これら2枚の基板をガラス封着材4を挟みこむようにステージ23上で対向配置(S31)した状態で、アライメントし(S32)、その後、基板固定機構22で固定(S33)した後に、その周辺部に一定の挟み力を有するクリップ21を複数個、装着(S34)することで、ガラス封着材4を形成した封着部5を押圧する。この状態が図13である。そして、これら複数個のクリップ21を装着したままの状態でステージ23ごと、ガラス封着材4の溶融温度まで加熱処理する封着(S35)を行った後、さらに必要な工程を実施し(図示せず)、その後、複数個のクリップ21を脱着する(S39)ことで、対向する第一の基板2と第二の基板3とにより構成される外囲器を備える表示装置1が完成する(S40)。(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平01−211817号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術では以下のような課題があった。
【0007】
対向配置された2枚の基板2、3の押圧に用いるクリップ21は、図12に示すように、基板周辺部に複数個装着、配置され、対角が30インチを越える表示パネルにおいては20個以上の数が必要であり、表示パネル1のサイズが大きくなるほどクリップ21の個数を増加させなければならない。
【0008】
これは、封着の際、封着部5に配設されたガラス封着材4を均一に押圧して、第一の基板2と第二の基板3との間隔を精度良くすることが、表示パネル1が良好な画像表示を行うために重要だからである。
【0009】
ここで、クリップ21の個数が少なかったり、挟み力がばらついていたりすると、押圧の均一性が悪化し、封着後の2枚の基板2、3の間隔が不均一となり、表示パネル1の画像表示特性に悪影響を与えてしまう場合がある。
【0010】
以上より、2枚の基板2、3の間隔が均一な表示パネル1を製造するためには、装着するクリップ21の個数はできるだけ多く、且つその挟み力は均一となるようにすることが好ましいのであるが、そのことは、クリップ21の装着と脱着とに時間を要し、また、クリップ21個々の挟み力の管理が必要であることから、生産性の悪化を招くという問題が生じる場合があった。
【0011】
本発明はこれら課題を鑑みてなされたものであり、封着における基板の押圧を簡易に且つ均一に行うことで、良好な画像表示を行うことができる表示パネルを効率良く製造する方法および装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を実現するために本発明の表示パネルの製造方法は、2枚の基板を、ガラス封着材を挟んで対向配置した後、所定量の気体を封入した袋により押圧して封着するものである。
【0013】
また、上記目的を実現するために本発明の表示パネルの製造装置は、ガラス封着材を挟んで対向配置した2枚の基板を押圧する、所定量の気体を封入した袋を備えるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、2枚の基板を、ガラス封着材を挟んで対向配置した後、所定量の気体を封入した袋により押圧して封着する表示パネルの製造方法である。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記袋が、2枚の基板の封着部を押圧するものである。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記袋が、複数からなり、2枚の基板の封着部の辺部と角部とで、封入した気体の量が異なるものである。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、ガラス封着材を挟んで対向配置した2枚の基板を押圧する、所定量の気体を封入した袋を備える表示パネルの製造装置である。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記袋が、2枚の基板の封着部を押圧するものである。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記袋が、複数からなり、2枚の基板の封着部の辺部と角部とで、封入した気体の量が異なるものである。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図10を用いて説明する。なお、図1〜図10においては、図11〜図13と同じものについては同じ番号を付している。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による表示パネルの製造方法の、主に、外囲器を形成する部分の製造工程のフローを示すものである。また、図2は本発明の実施の形態による表示パネルの製造装置である基板封着搬送装置の概略構成を示す平面図であり、図3は図2におけるB−B’矢視断面図である。図を判りやすくするために、図2においてはフレーム24を一点鎖線で示し、また、図3においては基板固定機構22を省略して示している。
【0022】
表示パネル1の外囲器は、厚さ3mm程度のガラス基板である第一の基板2と第二の基板3とが、外周部の封着部5においてガラス封着材4で封着した構成である。なお、2枚の基板2、3の間には、表示パネル1として必要な構造物が存在しているが、本発明の実施の形態ではその説明を省略する。
【0023】
第一の基板2と第二の基板3の、少なくともどちらか一方の外周部に、低融点ガラスを主含有する封着材ペーストを塗布、乾燥することでガラス封着材4を形成する。具体的には図1に示すように、第二の基板3を受入れ(S21)した後、表示パネル1として必要な構造物を形成するための工程を実施し(図示せず)、その後、低融点ガラス粉末(例えば、ASF2300 旭硝子製)と樹脂を含有した溶剤(例えば、ビークルC 東京応化製)を混練した封着材ペーストを塗布し(S25)、封着材ペーストに含有される溶剤および樹脂成分を除去するための350℃、40分の乾燥(S26)を行なうことで、ガラス封着材4を形成する。
【0024】
一方、第一の基板2は、受入れ(S11)の後、表示パネル1として必要な構造物を形成するための工程を実施する(図示せず)。
【0025】
次に、第一の基板2と、ガラス封着材4を形成した第二の基板3とを、ステージ23上でガラス封着材4を挟み込むように対向配置して(S31)、アライメントし(S32)、基板固定機構22により固定(S33)した後、第一の基板2側から、例えば気体を密封することで所定の内圧P1(Pa)とした袋により構成した均一加圧袋26を搭載したフレーム24を支柱25を介して下降させ、均一加圧袋26を押さえた状態で固定する。これにより、均一加圧袋26の容積が小さくなるため、均一加圧袋26の内圧はP2(Pa)に高まる。そして、内圧がP2(Pa)に高まった均一加圧袋26から作用する力により、第一の基板2と第二の基板3とは押圧されることとなるが、この状態においては、いわゆるパスカルの原理、すなわち、密閉された容器の中で静止している流体内の1点の圧力をある大きさだけ増すと流体内のすべての点の圧力は、同じだけ増すということにより、均一加圧袋26の高められた内圧P2(Pa)は全ての箇所で同じとなり、したがって、第一の基板2と第二の基板3とは、均一加圧袋26により、封着部5において均一に押圧された状態となる(S34)。
【0026】
すなわち、均一加圧袋26とは、内部に気体などの流体を封入、密閉して構成することで、パスカルの原理に基づく均一な押圧力を対象物、本実施の形態では第一の基板2(の封着部5)に作用させるものである。したがって、均一な内圧を対象物に対して、素直に作用させるという観点から、袋の材質としては、剛性の低い材質が好ましい。
【0027】
そしてこの状態のまま、搬送し、400℃、20分の加熱処理によりガラス封着材4を溶融させる封着(S35)を行い、さらに必要な工程を実施し(図示せず)、その後、フレーム24を支柱25を介して上昇させ、均一加圧袋26による押圧状態を解除する(S39)ことで、表示パネル1が完成する(S40)。
【0028】
ここで、封着(S35)での加熱処理時において、均一加圧袋26も加熱され、内部に封入された気体が膨張し、この膨張により均一加圧袋26も膨張するが、均一加圧袋26の膨張が、第一の基板2とフレーム24との間隔を押し広げようとする方向の成分を含むものであるならば、封着の加熱処理時において均一加圧袋26の内圧は上昇し、P3(Pa)となる。そしてこのP3(Pa)により、第一の基板2と第二の基板3とを押圧するように作用するが、この押圧力が、従来のクリップ21による挟み力に相当する力であることが必要である。また、この際の押圧力も、先に述べたパスカルの原理により、均一加圧袋26の全ての箇所において等しく、したがって、押圧は均一なものとなる。
【0029】
ここでP3(Pa)は、均一加圧袋26の容積、その弾性状態(収縮の方向性など)、中に封入する気体の量およびその種類、フレーム24の固定の位置(高さ)などから決定されるものであり、したがって、封着の加熱処理時に必要な押圧力が得られるように、これら諸条件を勘案した上で、P2(Pa)、P1(Pa)を含め、設計すれば良い。例えば、先に記載したフリット材料であるASF2300を用いて封着するためには400℃程度の加熱処理が必要であり、400℃で、P3=1.4×105(Pa)となる量の、例えば窒素ガスを封入した均一加圧袋26を用いることが必要となる。
【0030】
ここで、均一加圧袋26の形状としては、密閉構造であればチューブのようなものでも良く、また材質としては、耐熱性の高いシリカクロスなどが挙げられる。また、中に封入する気体の種類としては、高温下においても安定な不活性ガスが適当であり、中でも安価な窒素が好ましい。但し、高温下においても安定なものであれば特に気体に限るものではなく、流体であれば良い。
【0031】
以上のように、本実施の形態によれば、第一の基板2と第二の基板3とを対向させた後、これら2枚の基板を封着する際、封着時の加熱温度で所定の押圧力となる均一加圧袋26で押圧することにより、従来の押圧手段であった複数個のクリップを全てなくすことができ、しかも従来より押圧を均一なものとすることができる。
【0032】
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2によるPDPの製造方法について説明する。
【0033】
図4は本発明の実施の形態2によるPDPの製造方法により製造されるPDPの、概略構成を示す平面図であり、図5は、同じく概略構成を示す断面斜視図である。
【0034】
PDP1の前面板6は、第一の基板2の一主面上に形成したN本の走査電極7とN本の維持電極8とからなる表示電極9(N本目を示す場合はその数字を付す)と、その表示電極9を覆う誘電体層10と、さらにその誘電体層10を覆う、例えばMgOによる保護層11とを有する構造である。走査電極7と維持電極8は、電気抵抗の低減を目的として、透明電極7a、8aに金属材料からなるバス電極7b、8bを積層した構造としている。
【0035】
背面板12は、第二の基板3の一主面上に形成したM本のデータ電極13(M本目を示す場合はその数字を付す)と、そのデータ電極13を覆う誘電体層14と、誘電体層14上のデータ電極13の間に相当する場所に位置する隔壁15と、隔壁15間の蛍光体層16R、16G、16Bとを有する構造である。
【0036】
そして、前面板6と背面板12とは、隔壁15を挟んで、表示電極9とデータ電極13とが直交するように対向し、画像表示領域17の外の周囲をガラス封着材4により封止した構成であり、前面板6と背面板12との間に形成された放電空間18には、例えばNe−Xe5%の放電ガスが66.5kPa(500Torr)の圧力で封入されている。
【0037】
そして、放電空間18の表示電極9とデータ電極13との交差部が放電セル19(単位発光領域)として動作する。
【0038】
図6は、本発明の実施の形態2によるPDPの製造方法の工程フローを示す図である。また、図7は本発明の実施の形態によるPDPの製造装置である基板封着搬送装置を示す平面図であり、図8は図7におけるB−B’矢視断面図である。図を判りやすくするために、図7においてはフレーム24を一点鎖線で示し、また、図8においては基板固定機構22を省略して示している。
【0039】
PDP1の外囲器は、厚さ3mm程度のガラス基板である第一の基板2と第二の基板3とが、外周部の封着部5においてガラス封着材4で封着した構成である。なお、2枚の基板2、3の間には、図5に示した構造物が存在するが、図8においては、簡略化して隔壁15のみを示している。
【0040】
次に、PDP1の製造方法について説明する。まず、前面板6の製造工程である前面板工程であるが、これは、ガラスのような透明、且つ絶縁性の第一の基板2を受け入れ(S11)、これを洗浄する。次に、ITOなどの透明性の導電材料からなる膜をスパッタリング法などにより成膜し、フォトエッチング法などによりパターニングを行い、透明電極7a、8aを形成する(S12)。次に、透明電極7a、8a上にAg厚膜をパターン化して形成することによりバス電極7b、8bを形成する(S13)。続いて、低融点ガラスを印刷などで塗着し、乾燥・焼成を行うことで、誘電体層10を形成する(S14)。次に、例えばMgOからなる保護層11を形成する(S15)。
【0041】
次に、背面板12の製造工程である背面板工程について説明する。ガラスのような絶縁性の第二の基板3を受け入れ(S21)、これを洗浄する。次に、Ag厚膜をパターン化して成膜することにより、データ電極13を形成する(S22)。続いて、データ電極13を覆う状態で第二の基板3に誘電体層14を形成し、次に、隔壁15を形成する(S23)。この隔壁15の形成方法としては、例えば隔壁材料を印刷法などにより全面に塗着、乾燥をした後、ドライフィルムを用いてのフォトリソグラフィー法とサンドブラスト法により形成する方法がある。次に、蛍光体材料をラインジェット法などにより隔壁15間に塗着し乾燥させることにより、蛍光体層16R、16G、16Bを形成する(S24)。次いで、低融点ガラス粉末(例えば、ASF2300 旭硝子製)と樹脂を含有した溶剤(例えば、ビークルC 東京応化製)を混練した封着材ペーストを、第二の基板3の外周部に塗布し(S25)、その後、封着材ペーストに含有される溶剤および樹脂成分を除去するための350℃、40分の乾燥(S26)を行なうことで、ガラス封着材4を形成する。乾燥(S26)の際に、同時に蛍光体層16R、16G、16Bに含まれるバインダーの除去も行われる。
【0042】
そして、第一の基板2と、ガラス封着材4を形成した第二の基板3とを、ステージ23上でガラス封着材4を挟み込むように対向配置して(S31)、アライメントし(S32)、基板固定機構22により固定(S33)した後、第一の基板2側から、例えば気体を密封することで所定の内圧P1(Pa)とした袋により構成した均一加圧袋26を搭載したフレーム24を支柱25を介して下降させ、均一加圧袋26を押さえた状態で固定する。これにより、均一加圧袋26の容積が小さくなるため、均一加圧袋26の内圧はP2(Pa)に高まる。そして、内圧がP2(Pa)に高まった均一加圧袋26から作用する力により、第一の基板2と第二の基板3とは押圧されることとなるが、この状態においては、いわゆるパスカルの原理により、均一加圧袋26の高められた内圧P2(Pa)は全ての箇所で同じとなり、したがって、第一の基板2と第二の基板3とは、均一加圧袋26により、封着部5において均一に押圧された状態となる(S34)。
【0043】
そしてこの状態のまま、搬送し、400℃、20分の加熱処理によりガラス封着材4を溶融させる封着(S35)を行い、次に、PDP1の外囲器をベーキングしながら内部の真空排気を行う排気・ベーキング工程(S36)を行い、その後、NeとXeなどからなる放電ガスを封入する放電ガス封入工程(S37)を行う。そしてチップ管をチップオフする封止(S38)を行った後、フレーム23を支柱22を介して上昇させ、均一加圧袋26による押圧状態を解除する(S39)ことで、PDPが完成する(S40)。
【0044】
ここで、封着(S35)での加熱処理時において、均一加圧袋26も加熱され、内部に封入された気体が膨張し、この膨張により均一加圧袋26も膨張するが、均一加圧袋26の膨張が、第一の基板2とフレーム24との間隔を押し広げようとする方向の成分を含むものであるならば、封着の加熱処理時において均一加圧袋26の内圧は上昇し、P3(Pa)となる。そしてこのP3(Pa)により、第一の基板2と第二の基板3とを押圧するように作用するが、この押圧力が、従来のクリップ21による挟み力に相当する力であることが必要である。また、この際の押圧力も、先に述べたパスカルの原理により、均一加圧袋26の全ての箇所において等しく、したがって、押圧は均一なものとなる。
【0045】
ここでP3(Pa)は、均一加圧袋26の容積、その弾性状態(収縮の方向性など)、中に封入する気体の量およびその種類、フレーム24の固定の位置(高さ)などから決定されるものであり、したがって、封着の加熱処理時に必要な押圧力が得られるように、これら諸条件を勘案した上で、P2(Pa)、P1(Pa)を含め、設計すれば良い。
【0046】
ここで、均一加圧袋26の形状としては、密閉構造であればチューブのようなものでも良く、また材質としては、耐熱性の高いシリカクロスなどが挙げられる。また、中に封入する気体の種類としては、高温下においても安定な不活性ガスが適当であり、中でも安価な窒素が好ましい。但し、高温下においても安定なものであれば特に気体に限るものではなく、流体であれば良い。
【0047】
以上のように、本実施の形態によれば、第一の基板2と第二の基板3とを対向させた後、これら2枚の基板を封着する際、封着時の加熱温度で所定の押圧力となる均一加圧袋26で押圧することにより、従来の押圧手段であった複数個のクリップを全てなくすことができ、しかも従来より押圧を均一なものとすることができる。
【0048】
(実施の形態3)
図9および図10は、本実施の形態3による表示パネルの製造方法において用いる製造装置である基板封着搬送装置の、他の例を示す平面図である。実施の形態1および2とは、均一加圧袋26が複数に分割された状態であることが異なる。このように均一加圧袋26を分割することにより、その領域毎に基板を押圧する力を変化させることが可能となる。特に図10に示すように、基板の角部4箇所を分割し、その角部の均一加圧袋26aの気体封入量を、辺部の均一加圧袋26bより多くすることにより、封着の加熱処理時での押圧力が高くなるようにしている。具体的には、角部の均一加圧袋26aには、400℃で1.6×105Paの圧力になるように窒素ガスを予め封入している。これにより、辺部の封着部5より相対的にガラス封着材の量が多く、より高い押圧力の必要な角部の封着部5に対して、押圧力を高くすることができ、第一の基板2と第二の基板3との封着の信頼性を更に高めることが可能となる。
【0049】
本実施の形態では、押圧力を変更したい部分に応じて均一加圧袋26の数量を増やし、それぞれの気体封入量を変化させれば良いことは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、封着における基板の押圧を簡易に且つ均一に行うことで、良好な画像表示を行うことができる表示パネルを効率良く製造する方法および装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による表示パネルの製造方法の製造工程のフローを示す図
【図2】本発明の実施の形態1による表示パネルの製造方法で用いる基板封着搬送装置の概略構成を示す平面図
【図3】図2におけるB−B’矢視断面図
【図4】本発明の実施の形態2によるプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す平面図
【図5】本発明の実施の形態2によるプラズマディスプレイパネルの製造方法により製造されるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す断面斜視図
【図6】本発明の実施の形態2によるプラズマディスプレイパネルの製造方法の製造工程のフローを示す図
【図7】本発明の実施の形態2によるプラズマディスプレイパネルの製造方法で用いる基板封着搬送装置の概略構成を示す平面図
【図8】図7におけるB−B’矢視断面図
【図9】本発明の実施の形態3による表示パネルの製造方法で用いる基板封着搬送装置の概略構成を示す平面図
【図10】同じく、本発明の実施の形態3による表示パネルの製造方法で用いる基板封着搬送装置の概略構成を示す平面図
【図11】従来の表示パネルの製造方法の製造工程のフローを示す図
【図12】従来の表示パネルの製造方法の製造工程における、クリップ装着後の概略の状態を示す平面図
【図13】図12におけるA−A’矢視断面図
【符号の説明】
1 表示パネル(プラズマディスプレイパネル)
2 第一の基板
3 第二の基板
4 ガラス封着材
5 封着部
26 均一加圧袋
Claims (6)
- 2枚の基板を、ガラス封着材を挟んで対向配置した後、均一加圧袋により押圧して封着する表示パネルの製造方法。
- 均一加圧袋が、2枚の基板の封着部を押圧する請求項1に記載の表示パネルの製造方法。
- 2枚の基板の封着部の、辺部と角部とで押圧力が異なるように構成した均一加圧袋で押圧する請求項2に記載の表示パネルの製造方法。
- ガラス封着材を挟んで対向配置した2枚の基板を押圧する、均一加圧袋を備える表示パネルの製造装置。
- 均一加圧袋が、2枚の基板の封着部を押圧する請求項4に記載の表示パネルの製造装置。
- 2枚の基板の封着部の、辺部と角部とで押圧力が異なるように構成した均一加圧袋を備える請求項5に記載の表示パネルの製造装置。
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