JP2004185693A - フォトレジスト原盤のカッティング方法、カッティングマシン、並びに、光記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

フォトレジスト原盤のカッティング方法、カッティングマシン、並びに、光記録媒体及びその製造方法 Download PDF

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修司 塚本
Yuichi Kawaguchi
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Abstract

【課題】ランドプリピット信号の強度とアパーチャレシオを両立可能なフォトレジスト原盤のカッティング方法を提供する。
【解決手段】フォトレジスト原盤120にグルーブ形成用レーザビーム101aを連続的に照射することにより露光領域間の幅が局所的に広い螺旋状の露光領域を形成するとともに、フォトレジスト原盤120にランドプリピット形成用レーザビーム101bを断続的に照射することにより露光領域間のうち局所的に幅が広い領域に部分的な露光領域を形成する。これによれば、最終的に作製される光記録媒体において、ランドプリピットが形成されている部分のランド幅が局所的に広くなることから、ランドプリピットとグルーブとの境界に存在するランドの壁面の高さが低くなりにくい。このため、ランドプリピット信号の強度とアパーチャレシオを両立させることが可能となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフォトレジスト原盤のカッティング方法及びカッティングマシンに関し、特に、ランドプリピット(LPP)を備える光記録媒体用の原盤の製造に用いるフォトレジスト原盤のカッティング方法及びカッティングマシンに関する。
【0002】
また、本発明は光記録媒体及びその製造方法に関し、特に、ランドプリピットを備える光記録媒体及びその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、CDやDVDに代表される光記録媒体が広く利用されている。これらの光記録媒体は、CD−ROMやDVD−ROMのようにデータの追記や書き換えができないタイプの光記録媒体(ROM型光記録媒体)と、CD−RやDVD−Rのようにデータの追記はできるがデータの書き換えができないタイプの光記録媒体(追記型光記録媒体)と、CD−RWやDVD−RWのようにデータの書き換えが可能なタイプの光記録媒体(書き換え型光記録媒体)とに大別することができる。
【0004】
ROM型光記録媒体においては、一般に、製造時において予め基板上に設けられたピット列によりデータが保持される。かかるピット列は基板上において螺旋状に配列されており、これに沿ってレーザビームを照射してその反射光量を検出することにより、保持されたデータを再生することができる。
【0005】
これに対し、追記型光記録媒体や書き換え型光記録媒体においては、基板上に有機色素や相変化材料等からなる記録層が設けられており、データを記録する場合には、製造時において予め基板上に設けられた螺旋状のグルーブに沿って強度変調されたレーザビームを記録層に照射することにより、記録層に含まれる有機色素や相変化材料等を局所的に化学的変化及び/又は物理的変化させ、これにより多数のピット(記録マーク)を形成する。記録されたデータを再生する場合には、ROM型光記録媒体と同様、螺旋状に配列されたピット列に沿ってレーザビームを照射し、その反射光量を検出する。
【0006】
追記型光記録媒体や書き換え型光記録媒体の基板に設けられるグルーブは、光記録媒体の径方向に所定の周期をもって蛇行(ウォブリング)している。したがって、データの記録時においては、検出されたウォブル信号(WO信号)に基づいてスピンドルモータの回転サーボ用の同期信号を生成することによって、光記録媒体の径方向における記録位置に関わらず線速度を一定に保つことが可能となる。
【0007】
さらに、隣り合うグルーブ間に存在するランド領域には、製造時において予めランドプリピット(LPP)と呼ばれる多数のピットが形成されており、データの記録時においては、ランドプリピットより得られるランドプリピット信号(LPP信号)に基づいて、記録エリアのアドレスが特定される。ランドプリピットは、一般にその内周側に位置するグルーブのアドレスを保持しており、当該グルーブがウォブリングにより最も外周側に蛇行した位置(変曲点)の外周側に設けられる。したがって、データの記録時においては、ビームスポットの中心から見て外周側に位置するランドプリピットに起因したランドプリピット信号を抽出すれば、現在ビームスポットが照射されているグルーブのアドレスを特定することが可能となる。
【0008】
上述したウォブル信号及びランドプリピット信号は、反射光を検出するフォトディテクタの出力に基づき生成されるプッシュプル信号(PP信号)から抽出される。
【0009】
図12は、フォトディテクタの出力に基づいてプッシュプル信号を生成する方法を概念的に示す模式図である。図12に示すように、光記録媒体10から光ヘッド11へ入射する反射光12は、ビームスポットの中心をグルーブの延在方向に沿って2分割した場合、中心から見て外周側に属する成分を検出するフォトディテクタ13aと、中心から見て内周側に属する成分を検出するフォトディテクタ13bによってその光量が検出される。このようにして得られた2つの検出信号A及び検出信号Bは、加算器14によって加算されるとともに減算器15によって減算され、加算された信号(A+B)はHF信号(再生信号)として用いられ、減算された信号(A−B)はプッシュプル信号として用いられる。
【0010】
図13は、グルーブに沿ってレーザビームを照射した場合に得られるプッシュプル信号の波形図である。上述のとおり、プッシュプル信号は光記録媒体より得られる反射光を、外周側に属する成分(A)と内周側に属する成分(B)に2分割した場合におけるこれら成分の差(A−B)を示している。ウォブルの周波数は、トラッキングサーボ帯域よりも十分に高く設定されているため、トラッキング時にビームスポットがウォブルに追従することはなく、その結果、プッシュプル信号にはウォブル信号が現れる。
【0011】
図13に示すように、プッシュプル信号の主成分はウォブルの周期に一致しており、所定のタイミングにおいてランドプリピットに起因するパルス18が現れる。したがって、ローパスフィルタ等を用いてこれらパルス18を除去すれば、ウォブル信号を得ることが可能となる。
【0012】
ここで、パルス18のうち負方向(−)へ振れるパルス18aは、ビームスポットの中心から見て外周側に位置するランドプリピットに起因したパルスである。上述のとおり、ランドプリピットは当該グルーブがウォブリングにより最も外周側に蛇行した位置(変曲点)に外周側に設けられていることから、負方向(−)へ振れるパルス18aは、図13に示すように、プッシュプル信号に含まれるウォブル成分が負のピークとなった位置において現れる。一方、パルス18のうち正方向(+)へ振れるパルス18bは、ビームスポットの中心から見て内周側に位置するランドプリピットに起因したパルスである。したがって、正方向(+)へ振れるパルス18bは、プッシュプル信号に含まれるウォブル成分とは実質的に無関係な位置に出現する。したがって、図13に示すようにプッシュプル信号に所定の負のしきい値を設定すれば、ビームスポットの中心から見て外周側に位置するランドプリピットに起因したパルス18aのみを抽出することができる。このようにして抽出されたパルス18aがランドプリピット信号として用いられる。尚、負方向(−)へ振れるパルス18aと正方向(+)へ振れるパルス18bとがほぼ同時に出現するのを防ぐため、ランドプリピットが径方向に並ばないよう位置調整される。
【0013】
図14は、ランドプリピットが形成された基板表面の形状を概略的に示す斜視図である。図14においては、図面の見やすさを考慮してグルーブがウォブリングしている様子は省略され、直線的に描かれている。
【0014】
図14に示すように、基板20の表面には、径方向に延在するグルーブ21及びランド22が設けられており、ランド22の所定の部分には、ランドプリピット23が配置される。ここで、ランドプリピット23に起因するパルス18a(ランドプリピット信号)は、レーザビームのビームスポットが符号25aに示す位置にある場合(ビームスポットの中心から見てランドプリピット23が外周側に位置する場合)において出現するため、上述のようにしてこれを抽出すれば、現在のアドレスを特定することが可能となる。また、レーザビームのビームスポットが符号25bに示す位置にある場合においても同じランドプリピット23に起因したパルス18bが得られることになるが、この場合、ランドプリピット23はビームスポットの中心から見て内周側に位置することから、かかるパルス18bはアドレスの特定には用いられない。
【0015】
このような基板20の製造に用いる光記録媒体用原盤は、グルーブ21を形成するためのレーザビームとは別に、ランドプリピット23を形成するためのレーザビームを用いてカッティングされたフォトレジスト原盤の転写によって作製される。このように、グルーブ形成用のレーザビームとランドプリピット形成用のレーザビームの2つのレーザビームを用いてフォトレジスト原盤をカッティングし、光記録媒体用原盤を作製する方法は「2ビームカッティング法」と呼ばれることがある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ランドプリピット信号の強度を高めるためには、フォトレジスト原盤のカッティング時において、ランドプリピット形成用のレーザビームの照射時間を長く設定する等により、ランドプリピット23の平面形状を大きくすればよい。しかしながら、ランドプリピット23の平面形状を大きくすると、ランドプリピット23とグルーブ21との境界に存在するランド22の壁面22aの高さが低くなり、これによって、ランドプリピット信号が劣化しやすくなるという問題があった。ランドプリピット信号の劣化の度合いは、「アパーチャレシオ(AR)」と呼ばれるパラメータによって評価され、一旦データを記録した後に得られるランドプリピット信号の最小値及び最大値をそれぞれLPPa及びLPPbとした場合、
AR(%)=100×LPPa/LPPb
によって定義される。
【0017】
図15は、ランドプリピット23の平面形状を大きくしたことによって、ランド22の壁面22aの高さが低くなった状態を概略的に示す斜視図である。図15に示すように、ランドプリピット23は一般にすり鉢状であることから、その平面形状を所定の大きさ以上に設定すると、ランドプリピット23の外周部分がランド22の上面を越えてグルーブ21との境界部分に達してしまい、その結果、ランドプリピット23とグルーブ21との境界に存在するランド22の壁面22aの高さが本来の高さ(=ランド22の高さ)よりも低くなってしまう。
【0018】
ランド22の壁面22aの高さが本来の高さよりも低くなると、グルーブ21にデータを記録した場合に記録層の変化がランドプリピット23にまで及び、これがランドプリピット信号を劣化させる原因となる。
【0019】
したがって、本発明の目的は、高い強度のランドプリピット信号を得ることができるとともに、高いアパーチャレシオを得ることが可能なフォトレジスト原盤のカッティング方法及びカッティングマシンを提供することである。
【0020】
また、本発明の他の目的は、高い強度のランドプリピット信号を得ることができるとともに、高いアパーチャレシオを得ることが可能な光記録媒体及びその製造方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明によるフォトレジスト原盤のカッティング方法は、光記録媒体用原盤を作製するために用いるフォトレジスト原盤のカッティング方法であって、前記フォトレジスト原盤に第1のレーザビームを連続的に照射することにより露光領域間の幅が局所的に広い螺旋状の露光領域を形成するとともに、前記フォトレジスト原盤に第2のレーザビームを断続的に照射することにより前記露光領域間のうち局所的に幅が広い領域に部分的な露光領域を形成することを特徴とする。
【0022】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第1のレーザビームのビームスポットを前記第2のレーザビームの照射に連動して局所的に蛇行させることによって前記露光領域間の幅を局所的に広げ、本発明の好ましい他の実施態様においては、前記第1のレーザビームの強度を前記第2のレーザビームの照射に連動して局所的に変動させることによって前記露光領域間の幅を局所的に広げる。
【0023】
また、前記第1及び第2のレーザビームを共通の対物レンズによって集光することが好ましく、前記第1のレーザビームはグルーブ形成用のレーザビームであり、前記第2のレーザビームはランドプリピット形成用のレーザビームであることが好ましい。
【0024】
また、本発明によるカッティングマシンは、光記録媒体用原盤を作製するために用いるフォトレジスト原盤をカッティングするカッティングマシンであって、グルーブ形成用レーザビームの光路上に設けられ、そのビームスポットを移動させる偏向ユニットと、ランドプリピット形成用レーザビームの光路上に設けられ、これをパルス状に変調させる光変調ユニットと、前記偏向ユニット及び前記光変調ユニットを制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記光変調ユニットへの制御による前記ランドプリピット形成用レーザビームの照射に連動して、前記偏向ユニットへの制御により、前記グルーブ形成用レーザビームを局所的に蛇行させることを特徴とする。
【0025】
また、本発明による光記録媒体の製造方法は、グルーブ及びランドプリピットが形成された基板を有する光記録媒体の製造方法であって、レーザビームを照射することによりフォトレジスト原盤を露光する第1の工程と、露光によって前記フォトレジスト原盤に形成されたパターンを転写することにより光記録媒体用原盤を作製する第2の工程と、前記光記録媒体用原盤に形成されたパターンを転写することにより前記基板を作製する第3の工程とを備え、前記第1の工程では、前記フォトレジスト原盤にグルーブ形成用のレーザビームを連続的に照射することにより露光領域間の幅が局所的に広い螺旋状の露光領域を形成するとともに、前記フォトレジスト原盤にランドプリピット形成用のレーザビームを断続的に照射することにより前記露光領域間のうち局所的に幅が広い領域に部分的な露光領域を形成することを特徴とする。
【0026】
この場合、前記第1の工程では、前記グルーブ形成用のレーザビームのビームスポットを前記ランドプリピット形成用のレーザビームの照射に連動して局所的に蛇行させることによって、前記露光領域間の幅を局所的に広げることが好ましい。
【0027】
以上の本発明によれば、最終的に作製される光記録媒体において、ランドプリピットが形成されている部分のランド幅が局所的に広くなることから、ランドプリピットの平面形状が大きい場合であっても、ランドプリピットとグルーブとの境界に存在するランドの壁面の高さが低くなりにくい。このため、ランドプリピット信号の強度とアパーチャレシオを両立させることが可能となる。
【0028】
また、本発明による光記録媒体は、螺旋状に設けられたグルーブ及びランドと、前記ランドの所定の部分に設けられたランドプリピットとを有する基板を少なくとも備え、前記ランドプリピットが設けられている部分において前記ランドの幅が局所的に広いことを特徴とする。
【0029】
この場合、前記ランドプリピットに隣接する部分において前記グルーブが局所的に蛇行していることが好ましい。
【0030】
本発明によれば、ランドプリピットが形成されている部分のランド幅が局所的に広いことから、上述の通り、ランドプリピットとグルーブとの境界に存在するランドの壁面の高さが低くなりにくく、このためランドプリピット信号の強度とアパーチャレシオを両立させることが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体用原盤製造装置(カッティングマシン)100を示す概略構成図である。
【0033】
図1に示すように、本実施態様にかかるカッティングマシン100は、フォトレジスト原盤120をカッティングするための装置であり、レーザビーム101を発生するレーザ発生装置102と、レーザビーム101を露光に適したパワーに設定するEOM(Electro Optic Modulator:電気光学効果を用いた変調器)103と、レーザビーム101をグルーブ形成用レーザビーム101a及びランドプリピット形成用レーザビーム101bに分光するハーフミラー104と、ランドプリピット形成用レーザビーム101bを反射するミラー105と、グルーブ形成用レーザビーム101aをウォブリングさせる偏向ユニット116と、ランドプリピット形成用レーザビーム101bをパルス状に変調する光変調ユニット107と、グルーブ形成用レーザビーム101aを反射するミラー108と、グルーブ形成用レーザビーム101aとランドプリピット形成用レーザビーム101bとを合成し、合成レーザビーム101cを生成するハーフミラー109と、合成レーザビーム101cをフォトレジスト原盤120に照射する光学ヘッド110と、光学ヘッド110をフォトレジスト原盤120の径方向に移動させるトラバースモータ111と、フォトレジスト原盤120を載置するターンテーブル112と、ターンテーブル112を回転させるスピンドルモータ113と、光変調ユニット107、トラバースモータ111及びスピンドルモータ113を制御するコントローラ114とを備えている。特に限定されるものではないが、フォトレジスト原盤120は、ガラス基板120aとこの上に形成された厚さ20〜200nmの感光性材料層120bによって構成されている。
【0034】
光変調ユニット107は、レンズ107a、光変調器107b及びレンズ107cからなり、コントローラ114より光変調器107bに供給される制御信号114bに基づいて、ランドプリピット形成用レーザビーム101bをパルス状に変調する。特に限定されるものではないが、本実施態様において光変調器107bは、制御信号114bがハイレベルである場合にはランドプリピット形成用レーザビーム101bをそのまま通過させ、制御信号114bがローレベルである場合にはランドプリピット形成用レーザビーム101bを遮断する。
【0035】
偏向ユニット116は、シリンドリカルレンズ116a、偏向器116b及びシリンドリカルレンズ116cからなり、コントローラ114より偏向器116bに供給される制御信号114aに基づいて、グルーブ形成用レーザビーム101aをウォブリングさせる。
【0036】
光学ヘッド110は、少なくとも対物レンズ110aを備え、ハーフミラー109より入射する合成レーザビーム101cをフォトレジスト原盤120の感光性材料層120b上に集光する。また、光学ヘッド110は、コントローラ114からの制御信号114cにより制御されるトラバースモータ111によって、フォトレジスト原盤120の径方向への移動が可能に構成されている。
【0037】
また、スピンドルモータ113は、コントローラ114からの制御信号114dに基づいて、ターンテーブル112を回転させることができる。
【0038】
図2は、対物レンズ110aを通過する合成レーザビーム101cの光路をより詳細に示す図である。
【0039】
図2に示すように、対物レンズ110aを通過する前の合成レーザビーム101cは、グルーブ形成用レーザビーム101aの光軸とランドプリピット形成用レーザビーム101bの光軸とが一致するように合成されたレーザビームではなく、両者の光軸が所定のずれを持って合成されている。このため、対物レンズ110aを通過し、感光性材料層120b上に形成されるビームスポットについても、グルーブ形成用ビームスポット115aとランドプリピット形成用ビームスポット115bとは、所定のずれを持って形成されることになる。ここで、グルーブ形成用ビームスポット115aが形成される位置とランドプリピット形成用ビームスポット115bが形成される位置とは、フォトレジスト原盤120の径方向にずれており、内周側にグルーブ形成用ビームスポット115aが位置し、外周側にランドプリピット形成用ビームスポット115bが位置している。
【0040】
次に、カッティングマシン100の動作について説明する。
【0041】
カッティングマシン100を用いてフォトレジスト原盤120をカッティングする場合、まず、コントローラ114は、制御信号114cによりトラバースモータを制御して光学ヘッド110をフォトレジスト原盤120の内周部分に移動させるとともに、制御信号114dによりスピンドルモータ113を制御してターンテーブル112を回転させる。
【0042】
この状態において、レーザ発生装置102によってレーザビーム101を発生させると、かかるレーザビーム101は、EOM103によって露光に適したパワーに設定された後、ハーフミラー104によってグルーブ形成用レーザビーム101a及びランドプリピット形成用レーザビーム101bに分光される。このうち、グルーブ形成用レーザビーム101aは偏向ユニット116を通過し、ミラー108によって反射した後、ハーフミラー109に入射する。一方、ランドプリピット形成用レーザビーム101bは、ミラー105によって反射し、光変調ユニット107を通過した後、ハーフミラー109に入射する。グルーブ形成用レーザビーム101a及びランドプリピット形成用レーザビーム101bは、ハーフミラー109によって合成されて合成レーザビーム101cとされた後、光学ヘッド110に備えられた対物レンズ110aによって、フォトレジスト原盤120に含まれる感光性材料層120b上に集光される。
【0043】
そして、コントローラ114は、制御信号114dによりスピンドルモータ113を制御してターンテーブル112を回転させるとともに、制御信号114cによってトラバースモータ111を制御して光学ヘッド110を徐々に外周側に移動させながら、制御信号114bによって光変調ユニット107を制御してランドプリピット形成用レーザビーム101bをパルス状に変調するとともに、制御信号114aによって偏向ユニット116を制御し、グルーブ形成用レーザビーム101aをウォブリングさせる。これにより、感光性材料層120b上に形成されるグルーブ形成用ビームスポット115a及びランドプリピット形成用ビームスポット115bは、感光性材料層120bの内周部分から外周部分へと螺旋状の軌跡を描く。
【0044】
ここで、コントローラ114により供給される制御信号114aは、通常のウォブル周期に対応して変化するのみならず、制御信号114bに連動して局所的に変化する。
【0045】
図3は、光変調ユニット107及び偏向ユニット116にそれぞれ供給される制御信号114b,114aの波形、並びに、感光性材料層120bの露光領域130の形状を示す図であり、(a)は光変調ユニット107に供給される制御信号114bの波形を示し、(b)は偏向ユニット116に供給される制御信号114aの波形を示し、(c)はグルーブ形成用ビームスポット115aにより露光される露光領域130aとランドプリピット形成用ビームスポット115bにより露光される露光領域130bの形状を示している。
【0046】
図3(a)に示すように、光変調ユニット107に供給される制御信号114bは、ランドプリピット形成用ビームスポット115bがランドプリピットを形成すべき位置となった所定のタイミングにおいてハイレベルとされ、その他の期間においてはローレベルとされる。
【0047】
また、図3(b)に示すように、偏向ユニット116に供給される制御信号114aは、ウォブルに合わせてグルーブ形成用ビームスポット115aが蛇行するようそのレベルが周期的に変化するとともに、グルーブ形成用ビームスポット115aが最も外周側に蛇行した際、その外周部分にランドプリピットが形成される場合(制御信号114bがハイレベルとされる場合)には、グルーブ形成用ビームスポット115aが局所的に内周側へ蛇行するよう制御する。一方、このようなランドプリピットが形成されない場合(制御信号114bがローレベルのままとされる場合)には、制御信号114aは上述した局所的な変化を伴うことなく通常のウォブルの周期で変化する(図3(b)の破線114a’がこれに対応する)。
【0048】
特に限定されるものではないが、本実施態様においては、制御信号114aが局所的に変化するタイミングt0は制御信号114bがハイレベルとなるタイミングt1以前に設定されており、制御信号114aの局所的な変化が終了するタイミングt3は制御信号114bがローレベルとなるタイミングt2以降に設定されている。
【0049】
これにより感光性材料層120bには、図3(c)に示すように、グルーブ形成用ビームスポット115aにより露光される露光領域130aとランドプリピット形成用ビームスポット115bにより露光される露光領域130bが形成される。露光領域130aはグルーブに、露光領域130bはランドプリピットに相当し、露光領域130bの内周側に隣接する露光領域130aは局所的に内周側へ蛇行した形状となる。このため、露光領域130bの面積が大きい場合であっても、露光領域130aとその外周側に位置する露光領域130bとの間隔を十分に確保することができる。
【0050】
また、露光領域130bの位置としては、図4に示すように、内周側に隣接する露光領域130aとの距離D1と外周側に隣接する露光領域130aとの距離D2とがほぼ等しくなるような位置に設定することが好ましい。
【0051】
図5(a)〜(f)は、光記録媒体用原盤の製造工程を示す工程図である。上述のとおり、フォトレジスト原盤120はガラス基板120aと、ガラス基板120a上に形成された厚さ20〜200nmの感光性材料層120bとを有している(図5(a))。また図示を省略するが、ガラス基板120aと感光性材料層120bとの間には、接着性を高めるための接着層(プライマー)を有してもよい。
【0052】
次に、合成レーザビーム101cを、対物レンズ110aによってフォトレジスト原盤120の感光性材料層120b上に集光させると、その照射部分が露光される(図5(b))。これにより、グルーブ及びランドプリピットに対応した露光領域130が螺旋状に形成される。上述の通り、露光領域130のうちグルーブに対応した部分(露光領域130a)は、所定の周期でウォブリングするとともに、ランドプリピットに位置において局所的に内周側に蛇行している。その後、露光したフォトレジスト原盤120に水酸化ナトリウム溶液等の現像液をスプレーし、露光領域130に対応する凹パターン141を現像する(図5(c))。
【0053】
次に、現像した感光性材料層120b上に、無電解メッキや蒸着法によりニッケル等の金属薄膜142を形成する(図5(d))。さらに、金属薄膜142の表面を陰極とし、陽極をニッケル等として厚膜メッキを行い、厚さ約0.3mmの金属厚膜143を形成する(図5(e))。
【0054】
そして、金属薄膜142からレジスト面を剥離し、洗浄及び内外径加工を施すことにより、光記録媒体用原盤(スタンパ)150が完成する(図5(f))。これにより、光記録媒体用原盤150には、凹パターン141の転写パターンである凸パターン151が形成されるので、以下に説明するように、この光記録媒体用原盤150を用いて射出成形法や2P法等によりパタ−ンの転写を行うことにより、螺旋状のグルーブを有する光透過性基板を量産することができる。
【0055】
次に、このようにして作製されたスタンパ150を用いた光記録媒体の製造方法について、追記型光記録媒体の製造方法を例に図6(a)乃至(c)及び図7(a)乃至(c)を参照しながら説明する。
【0056】
まず、上述の方法により作製したスタンパ150を射出成型器160にセットし、射出成形法(インジェクション法)によって、直径が約120mm、厚さが約0.6mmであり、中心部分に孔が設けられた円盤状の光透過性基板201を射出成形する。これにより、スタンパ150の表面に形成された螺旋状の凸パターン151が転写された光透過性基板201が作製される(図6(a))。形成された凹部はグルーブとなり、その一部である局所的蛇行部分はランドプリピットとなる。尚、光透過性基板201の材料としては、使用されるレーザビームの波長領域において光透過率が十分に高い材料であれば特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂やオレフィン樹脂を用いることが好ましい。また、スタンパ150を用いた光透過性基板201の作製は、光硬化法(2P法)を用いても構わない。
【0057】
次に、光透過性基板201のグルーブが形成されている側の表面に、グルーブ部における厚さが30〜300nmの記録層202を形成する(図6(b))。記録層202は、記録時に照射されるレーザビームの照射により記録マークが形成される層であり、その材料としては、シアニン、メロシアニン、メチン系色素およびその誘導体、ベンゼンチオール金属錯体、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、アゾ色素などの有機色素を用いることができる。記録層202の形成方法としては、スピンコート法を用いることが好ましい。尚、図6(b)において、201aは光透過性基板201の中心部分に設けられた孔であり、201bは凸パターン151が転写されて成るグルーブである(以下に説明する図6(c)、図7(a)〜図7(c)においても同様)。
【0058】
次に、記録層202の表面に厚さが50〜200nmの反射層203を形成する(図6(c))。反射層203は、再生時に照射されるレーザビームを反射するための層であり、その材料としては、レーザビームを反射可能である限り特に制限されず、例えば、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ag、Pt、Au等を用いることができる。これらのうち、高い反射率を有することから、Al、Au、Ag、Cu又はこれらの合金(AlとTiとの合金等)などの金属材料を用いることが好ましい。反射層203の形成には、例えば反射層203の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法を用いることができる。このような気相成長法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等が挙げられる。
【0059】
次に、反射層203上に厚さが0.5〜100μmの保護層204を形成する(図7(a))。保護層203は、光透過性基板201上に設けられた記録層202及び反射層203を物理的・化学的に保護するための層であり、その材料としてはアクリル系又はエポキシ系の紫外線硬化性樹脂を用いることができる。保護層204は、例えば、粘度調整されたアクリル系又はエポキシ系の紫外線硬化性樹脂をスピンコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法等により皮膜させ、紫外線を照射して硬化する等の方法により形成することができる。
【0060】
次に、保護層204上に厚さが10〜200μmの接着層205を形成する(図7(b))。接着層205は、光透過性基板201、記録層202、反射層203及び保護層204からなる積層体と、後述するダミー基板とを接着するための層であり、特に限定されるものではないが、紫外線硬化性接着剤を用いることが好ましい。接着層205の形成においても、スピンコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法等を用いることができる。
【0061】
一方、射出成型法により、厚さが約0.6mmであり、直径が約120mmのダミー基板206を別途作製し、これを上記積層体のうち接着層206が形成された面に貼り合わせた後、紫外線を照射することによって上記積層体とダミー基板206とを接着する(図7(c))。ダミー基板206は、作製すべき追記型光記録媒体に求められる厚み(約1.2mm)を確保するために用いられる円盤状の基板であり、その厚さは光透過性基板201と同様、約0.6mmに設定される。ダミー基板206の材料については、ガラス、セラミックス、樹脂等、種々の材料を用いることが可能であるが、ダミー基板206は、光透過性基板201とは異なりレーザビームの光路とはならないことから、高い光透過性を有している必要はない。しかしながら、加工性などの点から、ダミー基板206についてもポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。
【0062】
以上により、追記型光記録媒体の製造が完了する。
【0063】
図8は、上述の工程により作製された追記型光記録媒体200の構造を示す図であり、(a)は外観を示す図、(b)は(a)に示すA部を拡大した部分断面図である。
【0064】
図8に示すように、上述の工程により作製された追記型光記録媒体200の光透過性基板201には、スタンパ150の表面に形成された凸パターン151の転写により、螺旋状のグルーブ201bが形成されているとともに、ランド201cの所定の部分にはランドプリピット201dが形成されている。また、グルーブ201bは、外周側にランドプリピット201dが存在する部分において局所的に内周側へ蛇行している。尚、図8(b)においては、図面の見やすさを考慮してグルーブ201bがウォブリングしている様子は省略され、局所的蛇行部分を除き、直線的に描かれている。
【0065】
このような構造を有する追記型光記録媒体200に対しては、光透過性基板201側からレーザビームが照射され、これによってデータの記録及び再生を行うことができる。つまり、データを記録する場合には、グルーブ201bに沿って、記録パワーPwから基底パワーPbまでの振幅を有するパルス状のレーザビームを記録層202に照射することにより、記録層202に含まれる有機色素を局所的に化学的変化及び/又は物理的変化させ、多数のピット(記録マーク)を形成する。これにより、所望のデータを記録することができる。一方、記録されたデータを再生する場合には、再生パワーPrに設定されたレーザビームをグルーブ201bに沿って照射し、その反射光量を検出することにより、形成された記録マークの内容を読み出す。これにより、記録されたデータを再生することができる。
【0066】
ここで、データの記録時及び再生時においては、グルーブ201bのウォブリングによって得られるウォブル信号の周波数が基準クロックの周波数と一致するようドライブのスピンドルモータに対して回転制御が行われ、これによって、追記型光記録媒体200の径方向における記録/再生位置に関わらず線速度を一定に保つことが可能となる。
【0067】
さらに、データの記録時においては、ランド201cの所定の部分に設けられたランドプリピット201dによって得られるランドプリピット信号に基づいて、記録エリアのアドレスが特定される。上述のとおり、ランドプリピット201dは、その内周側に位置するグルーブ201bのアドレスを保持しており、したがって、データの記録時においては、ビームスポットの中心から見て外周側に位置するランドプリピット201dに起因したランドプリピット信号を抽出すれば、現在ビームスポットが照射されているグルーブ201bのアドレスを特定することが可能となる。
【0068】
そして、本実施態様にかかる方法により作製された追記型光記録媒体200においては、外周側にランドプリピット201dが存在する部分においてグルーブ201bが局所的に内周側へ蛇行していることから、ランドプリピット201dが形成されている部分におけるランド201cの幅が拡大されている。このため、ランドプリピット201dの平面形状を大きく設定した場合であっても、ランドプリピット201dとグルーブ201bの間に十分な距離が確保されるので、ランドプリピット201dとグルーブ201bとの境界に存在するランド201cの壁面201eの高さが低くなりにくく、このため、高いアパーチャレシオを得ることが可能となる。
【0069】
特に、露光領域130aと露光領域130bとの位置関係を図4に示すように設定すれば、ランドプリピット201dとその外周側に位置するグルーブ201bとの間隔のみならず、ランドプリピット201dとその内周側に位置するグルーブ201bとの間隔を十分に確保することができるので、ランドプリピット201dから見て内周側に位置する壁面201eの高さ及びランドプリピット201dから見て外周側に位置する壁面201eの高さの両方を十分に確保することが可能となる。
【0070】
次に、本発明の好ましい他の実施態様について説明する。
【0071】
図9は、本発明の好ましい他の実施態様にかかる光記録媒体用原盤製造装置(カッティングマシン)100’を示す概略構成図である。図9に示すように、本実施態様にかかるカッティングマシン100’は、グルーブ形成用レーザビーム101aのパワーを調整するパワー調整器106が追加されているとともに、コントローラ114が制御信号114eを用いてパワー調整器106を制御可能に構成されている点において図1に示すカッティングマシン100と異なる。その他の部分については図1に示すカッティングマシン100と同様の構成を有していることから、重複する説明は省略する。
【0072】
カッティングマシン100’の基本的な動作は上述したカッティングマシン100の動作と同様である。つまり、コントローラ114は、制御信号114bによって光変調ユニット107を制御することにより、ランドプリピット形成用レーザビーム101bをランドプリピットに対応してパルス状に変調するとともに、制御信号114aによって偏向ユニット116を制御することにより、グルーブ形成用レーザビーム101aをウォブリングさせる。これにより、感光性材料層120b上に形成されるグルーブ形成用ビームスポット115a及びランドプリピット形成用ビームスポット115bは、感光性材料層120bの内周部分から外周部分へと螺旋状の軌跡を描く。
【0073】
しかしながら、コントローラ114により供給される制御信号114aは、図1に示すカッティングマシン100とは異なり、制御信号114bに連動して局所的に変化することなく、通常のウォブル周期に対応した変化のみを行う。したがって、上記実施態様のように露光領域130aが局所的に内周側に蛇行することはないが、その代わりに、コントローラ114は制御信号114bに連動して制御信号114eを局所的に変化させる。
【0074】
図10は、光変調ユニット107及びパワー調整器106にそれぞれ供給される制御信号114b,114eの波形、並びに、感光性材料層120b上の露光領域130の形状を示す図であり、(a)は光変調ユニット107に供給される制御信号114bの波形を示し、(b)はパワー調整器106に供給される制御信号114eの波形を示し、(c)はグルーブ形成用ビームスポット115aにより露光される露光領域130aとランドプリピット形成用ビームスポット115bにより露光される露光領域130bの形状を示している。
【0075】
図10(a)に示すように、光変調ユニット107に供給される制御信号114bは、ランドプリピット形成用ビームスポット115bがランドプリピットを形成すべき位置となった所定のタイミングにおいてハイレベルとされ、その他の期間においてはローレベルとされる。
【0076】
また、図10(b)に示すように、制御信号114eは、制御信号114bがハイレベルとされる場合にはグルーブ形成用レーザビーム101aのパワーが局所的に減衰するようパワー調整器106を制御する。一方、制御信号114bがローレベルのままとされる場合には、制御信号114eによる減衰量は実質的にゼロに維持される(図10(b)の破線114e’がこれに対応する)。
【0077】
特に限定されるものではないが、本実施態様においては、制御信号114eが局所的に変化するタイミングt10は制御信号114bがハイレベルとなるタイミングt11以前に設定されており、制御信号114eの局所的な変化が終了するタイミングt13は制御信号114bがローレベルとなるタイミングt12以降に設定されている。
【0078】
これにより、図10(c)に示すように、露光領域130aの形状は、その外周側に露光領域130bが存在する部分において幅が局所的に狭くなる形状となる。このため、露光領域130bの面積が大きい場合であっても、露光領域130aとその外周側に位置する露光領域130bとの間隔を十分に確保することができる。
【0079】
また、露光領域130bの位置としては、図11に示すように、内周側に隣接する露光領域130aとの距離D3と外周側に隣接する露光領域130aとの距離D4とがほぼ等しくなるような位置に設定することが好ましい。
【0080】
このようにしてカッティングされたフォトレジスト原盤120を用いて光記録媒体用原盤を製造する方法は、図5乃至図7を用いて説明した通りであり、これにより作製された追記型光記録媒体200においては、外周側にランドプリピット201dが存在する部分においてグルーブ201bの幅が局所的に狭くなることから、上記実施態様と同様、ランドプリピット201dの平面形状を大きく設定した場合であっても、ランドプリピット201dとグルーブ201bの間に十分な距離が確保される。これにより、ランドプリピット201dとグルーブ201bとの境界に存在するランド201cの壁面201eの高さが低くなりにくく、このため、高いアパーチャレシオを得ることが可能となる。
【0081】
特に、露光領域130aと露光領域130bとの位置関係を図11に示すように設定すれば、ランドプリピット201dとその外周側に位置するグルーブ201bとの間隔のみならず、ランドプリピット201dとその内周側に位置するグルーブ201bとの間隔を十分に確保することができるので、ランドプリピット201dから見て内周側に位置する壁面201eの高さ及びランドプリピット201dから見て外周側に位置する壁面201eの高さの両方を十分に確保することが可能となる。
【0082】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0083】
例えば、上記いずれの実施態様においても、ランドプリピットがその内周側に位置するグルーブのアドレスを保持している場合を例に説明したが、ランドプリピットがその外周側に位置するグルーブのアドレスを保持する場合であっても、本発明を適用可能であることは言うまでもない。この場合、グルーブ形成用ビームスポット115aとランドプリピット形成用ビームスポット115bとの位置関係は図2に示す関係とは逆に、グルーブ形成用ビームスポット115aが外周側に位置し、ランドプリピット形成用ビームスポット115bが内周側に位置するよう光軸が調整されることから、内周側にランドプリピット201dが存在する部分においてグルーブ201bを局所的に外周側へ蛇行させ、或いは、内周側にランドプリピット201dが存在する部分においてグルーブ201bの幅を局所的に狭くすればよい。
【0084】
また、前者の実施態様においては、外周側にランドプリピット201dが存在する部分においてグルーブ201bを局所的に内周側へ蛇行させ、後者の実施態様においては、外周側にランドプリピット201dが存在する部分においてグルーブ201bの幅を局所的に狭くしているが、これらを同時に適用し、外周側にランドプリピット201dが存在する部分においてグルーブ201bを局所的に内周側へ蛇行させるとともに、その幅を局所的に狭くすることも可能である。
【0085】
さらに、前者の実施態様においては、制御信号114aが局所的に変化するタイミングt0を制御信号114bがハイレベルとなるタイミングt1以前に設定し、制御信号114aの局所的な変化が終了するタイミングt3を制御信号114bがローレベルとなるタイミングt2以降に設定しているが(図3参照)、露光領域130bが存在する部分において隣接する露光領域130a間の距離(最終的にはランド201cの幅)が広く設定される限り、制御信号114a,114bの波形をどのように設定しても構わない。
【0086】
同様に、後者の実施態様においては、制御信号114eが局所的に変化するタイミングt10を制御信号114bがハイレベルとなるタイミングt11以前に設定し、制御信号114eの局所的な変化が終了するタイミングt13を制御信号114bがローレベルとなるタイミングt12以降に設定しているが(図10参照)、露光領域130bが存在する部分において隣接する露光領域130a間の距離(最終的にはランド201cの幅)が広く設定される限り、制御信号114e,114bの波形をどのように設定しても構わない。
【0087】
また、上記各実施態様においては、スタンパ105を用いて最終的に追記型光記録媒体200を製造した例を説明したが、ランドプリピットが設けられる光記録媒体であれば、他の光記録媒体、例えば書き換え型光記録媒体用を製造することも可能である。書き換え型光記録媒体は、同じランドプリピットが繰り返し使用される可能性があるため、本発明による効果をより顕著に享受することができる。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ランドプリピット信号の強度を高めるためにランドプリピットの平面形状を大きく設定した場合であっても、ランドプリピットとグルーブとの境界に存在するランドの壁面の高さが低くなりにくいので、ランドプリピット信号の強度とアパーチャレシオを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体用原盤製造装置(カッティングマシン)100を示す概略構成図である
【図2】対物レンズ110aを通過する合成レーザビーム101cの光路をより詳細に示す図である。
【図3】(a)は光変調ユニット107に供給される制御信号114bの波形を示す波形図であり、(b)は偏向ユニット116に供給される制御信号114aの波形を示す波形図であり、(c)はグルーブ形成用ビームスポット115aにより露光される露光領域130aとランドプリピット形成用ビームスポット115bにより露光される露光領域130bの形状を模式的に示す平面図である。
【図4】露光領域130bとその両側に位置する露光領域130aとの位置関係を模式的に示す平面図である。
【図5】(a)〜(f)は、光記録媒体用原盤の製造工程を示す工程図である。
【図6】(a)〜(c)は、スタンパ150を用いた追記型光記録媒体の製造工程の一部を示す工程図である。
【図7】(a)〜(c)は、スタンパ150を用いた追記型光記録媒体の製造工程の残りの部分を示す工程図である。
【図8】追記型光記録媒体200の構造を示す図であり、(a)は外観を示す図、(b)は(a)に示すA部を拡大した部分断面図である。
【図9】本発明の好ましい他の実施態様にかかる光記録媒体用原盤製造装置(カッティングマシン)100’を示す概略構成図である
【図10】(a)は光変調ユニット107に供給される制御信号114bの波形を示す波形図であり、(b)はパワー調整器106に供給される制御信号114eの波形を示す波形図であり、(c)はグルーブ形成用ビームスポット115aにより露光される露光領域130aとランドプリピット形成用ビームスポット115bにより露光される露光領域130bの形状を模式的に示す平面図である。
【図11】露光領域130bとその両側に位置する露光領域130aとの位置関係を模式的に示す平面図である。
【図12】フォトディテクタの出力に基づいてプッシュプル信号を生成する方法を概念的に示す模式図である。
【図13】グルーブに沿ってレーザビームを照射した場合に得られるプッシュプル信号の波形図である。
【図14】ランドプリピット23が形成された基板表面の形状を概略的に示す斜視図である。
【図15】ランドプリピット23の平面形状を大きくしたことによって、ランド22の壁面22aの高さが低くなった状態を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
100,101’ 光記録媒体用原盤製造装置(カッティングマシン)
101 レーザビーム
101a グルーブ形成用レーザビーム
101b ランドプリピット形成用レーザビーム
101c 合成レーザビーム
102 レーザ発生装置
103 EOM
104,109 ハーフミラー
105,108 ミラー
106 パワー調整器
107光変調ユニット
107a,107c レンズ
107b 光変調器
110 光学ヘッド
110a 対物レンズ
111 トラバースモータ
112 ターンテーブル
113 スピンドルモータ
114 コントローラ
114a〜114e,114a’,114e’ 制御信号
115a グルーブ形成用ビームスポット
115b ランドプリピット形成用ビームスポット
116 偏向ユニット
116a,116c シリンドリカルレンズ
116b 偏向器
120 フォトレジスト原盤
120a ガラス基板
120b 感光性材料層
130 露光領域
141 凹パターン
142 金属薄膜
143 金属厚膜
150 光記録媒体用原盤(スタンパ)
151 凸パターン
160 射出成型器
200 追記型光記録媒体
201 光透過性基板
201a 孔
201b グルーブ
201c ランド
201d ランドプリピット
201e ランドプリピット201dとグルーブ201bとの境界に存在するランド201cの壁面
202 記録層
203 反射層
204 保護層
205 接着層
206 ダミー基板

Claims (10)

  1. 光記録媒体用原盤を作製するために用いるフォトレジスト原盤のカッティング方法であって、前記フォトレジスト原盤に第1のレーザビームを連続的に照射することにより露光領域間の幅が局所的に広い螺旋状の露光領域を形成するとともに、前記フォトレジスト原盤に第2のレーザビームを断続的に照射することにより前記露光領域間のうち局所的に幅が広い領域に部分的な露光領域を形成することを特徴とするフォトレジスト原盤のカッティング方法。
  2. 前記第1のレーザビームのビームスポットを前記第2のレーザビームの照射に連動して局所的に蛇行させることによって、前記露光領域間の幅を局所的に広げることを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト原盤のカッティング方法。
  3. 前記第1のレーザビームの強度を前記第2のレーザビームの照射に連動して局所的に変動させることによって、前記露光領域間の幅を局所的に広げることを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト原盤のカッティング方法。
  4. 前記第1及び第2のレーザビームを共通の対物レンズによって集光することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフォトレジスト原盤のカッティング方法。
  5. 前記第1のレーザビームはグルーブ形成用のレーザビームであり、前記第2のレーザビームはランドプリピット形成用のレーザビームであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフォトレジスト原盤のカッティング方法。
  6. 光記録媒体用原盤を作製するために用いるフォトレジスト原盤をカッティングするカッティングマシンであって、グルーブ形成用レーザビームの光路上に設けられ、そのビームスポットを移動させる偏向ユニットと、ランドプリピット形成用レーザビームの光路上に設けられ、これをパルス状に変調させる光変調ユニットと、前記偏向ユニット及び前記光変調ユニットを制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記光変調ユニットへの制御による前記ランドプリピット形成用レーザビームの照射に連動して、前記偏向ユニットへの制御により、前記グルーブ形成用レーザビームを局所的に蛇行させることを特徴とするカッティングマシン。
  7. グルーブ及びランドプリピットが形成された基板を有する光記録媒体の製造方法であって、レーザビームを照射することによりフォトレジスト原盤を露光する第1の工程と、露光によって前記フォトレジスト原盤に形成されたパターンを転写することにより光記録媒体用原盤を作製する第2の工程と、前記光記録媒体用原盤に形成されたパターンを転写することにより前記基板を作製する第3の工程とを備え、前記第1の工程では、前記フォトレジスト原盤にグルーブ形成用のレーザビームを連続的に照射することにより露光領域間の幅が局所的に広い螺旋状の露光領域を形成するとともに、前記フォトレジスト原盤にランドプリピット形成用のレーザビームを断続的に照射することにより前記露光領域間のうち局所的に幅が広い領域に部分的な露光領域を形成することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  8. 前記第1の工程では、前記グルーブ形成用のレーザビームのビームスポットを前記ランドプリピット形成用のレーザビームの照射に連動して局所的に蛇行させることによって、前記露光領域間の幅を局所的に広げることを特徴とする請求項7に記載の光記録媒体の製造方法。
  9. 螺旋状に設けられたグルーブ及びランドと、前記ランドの所定の部分に設けられたランドプリピットとを有する基板を少なくとも備え、前記ランドプリピットが設けられている部分において前記ランドの幅が局所的に広いことを特徴とする光記録媒体。
  10. 前記ランドプリピットに隣接する部分において前記グルーブが局所的に蛇行していることを特徴とする請求項9に記載の光記録媒体。
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