JP2004185170A - 乱数データ形成装置 - Google Patents
乱数データ形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004185170A JP2004185170A JP2002349373A JP2002349373A JP2004185170A JP 2004185170 A JP2004185170 A JP 2004185170A JP 2002349373 A JP2002349373 A JP 2002349373A JP 2002349373 A JP2002349373 A JP 2002349373A JP 2004185170 A JP2004185170 A JP 2004185170A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- random number
- data
- number data
- value
- count value
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しい0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが得られるようにする。
【解決手段】0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを選択的に発生し、それらの夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする乱数データ発生部21と、0からMまでの順次の計数を繰り返して各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部22と、乱数データと計数値データとが供給され、乱数データがM以下の乱数値をあらわすとき、その乱数データを出力乱数データとして取り出し、乱数データがMを越える乱数値をあらわすとき、その乱数データに代えて、計数値データを出力乱数データとして取り出すとともに、カウンタ部22の計数を一つ進めさせるデータ選択部23とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを選択的に発生し、それらの夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする乱数データ発生部21と、0からMまでの順次の計数を繰り返して各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部22と、乱数データと計数値データとが供給され、乱数データがM以下の乱数値をあらわすとき、その乱数データを出力乱数データとして取り出し、乱数データがMを越える乱数値をあらわすとき、その乱数データに代えて、計数値データを出力乱数データとして取り出すとともに、カウンタ部22の計数を一つ進めさせるデータ選択部23とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、設定された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを、それらの夫々の出現頻度が実質的に等しくされるものとして形成する乱数データ形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の信号情報等をあらわすディジタルデータの伝送にあたり、データ伝送路上での盗聴を防止すべく、送信側において、伝送するディジタルデータを暗号化し、受信側において、暗号化されたディジタルデータについての復号化を行って元のディジタルデータを得るようになすことが提案されている。このようなディジタルデータの暗号化にあたっての代表的な暗号アルゴリズムとして、1977年に米国商務省標準局(NBS)が公布したDES(Data Encryption Standard) 方式が知られている(非特許文献1参照。)。
【0003】
DES方式による暗号化伝送にあっては、ディジタルデータが別途用意される鍵データ(暗号化鍵データ)により定められる規則に従って暗号化されるとともに、暗号化されたディジタルデータが別途用意される鍵データ(復号化鍵データ)により定められる規則に従って復号化され、その際、暗号化鍵データと復号化鍵データとは同じ鍵データ(共通鍵データ)とされる。そして、暗号化及び復号化のためのアルゴリズム自体は公開されており、共通鍵データが秘密に維持されることにより守秘機能が果たされる。
【0004】
一方、映像信号の分野においては、伝達情報の多様化及び再生画像の高品質化を実現する観点等からのディジタル化が図られており、例えば、映像信号情報をあらわすディジタルデータによって形成されるディジタル映像信号を扱う高精細度テレビジョン(High Definition Television:HDTV)システム等が提案されている。HDTVシステムのもとにおけるディジタル映像信号(以下、HD信号という)は、例えば、BTA(Broadcasting Technology Association :放送技術開発協議会)により制定された規格であるBTA S−002 に従って形成され、Y,PB /PR 形式のものとG,B,R形式のものとがある。Y,PB /PR 形式の場合、Yは輝度信号を意味し、PB /PR は色差信号を意味する。また、G,B,R形式の場合、G,B及びRは、夫々、緑色原色信号,青色原色信号及び赤色原色信号を意味する。
【0005】
例えば、Yデータ系列及びPB /PR データ系列を含んで構成されるHD信号にあっては、Yデータ系列及びPB /PR データ系列の夫々について、タイミング基準コードデータSAV(Start of Active Video) もしくはEAV(End of Active Video) を形成するタイミング識別用コードを含むものとされ、映像データあるいは補助データ等を形成する情報コードとしては使用されない複数のコードが、禁止コードとして決められている。斯かる禁止コードは、Yデータ系列及びPB /PR データ系列の夫々が10ビットワード列データであるとき、000h〜003h及び3FCh〜3FFh(16進表現)、即ち、0000000000〜0000000011及び1111111100〜1111111111とされる。
【0006】
このようなYデータ系列及びPB /PR データ系列から成るHD信号が伝送されるに際しては、データ伝送路が簡略化されることからして、ワード列データからシリアルデータに変換されて伝送されるシリアル伝送が望まれることになる。そして、Yデータ系列及びPB /PR データ系列を含んで形成されるHD信号のシリアル伝送に関しては、BTAによって制定された規格であるBTA S−004 による HD−SDI (High Definition Serial Digital Interface)に準拠した伝送を行うことが規格化されている。HD信号についての HD−SDI に準拠した伝送が行われるにあたっては、HD信号に基づくシリアル伝送HD信号(以下、HD−SDI信号という)が形成されて、そのHD−SDI信号がデータ伝送路を通じての伝送に供される。
【0007】
上述の如くに、HD−SDI信号がデータ伝送路を通じての伝送に供される際にも、データ伝送路での盗聴を防止すべく、送信側において、HD−SDI信号に暗号化処理を施し、暗号化されたHD−SDI信号を形成して送出し、受信側おいて、暗号化されたHD−SDI信号についての復号化を行って元のHD−SDI信号を得るようになすことが望まれる場合が考えられる。斯かる際におけるHD−SDI信号についての暗号化処理は、HD−SDI信号をパラレル化してワード列データを得、そのワード列データのうちの映像データの部分(以下、映像ワード列データという)に暗号化処理を施し、暗号化された映像ワード列データを、ワード列データのうちの映像ワード列データ以外の部分と共にシリアル化して、暗号化されたHD−SDI信号を形成することにより行われる。また、暗号化されたHD−SDI信号についての復号化は、暗号化されたHD−SDI信号をパラレル化してワード列データを得、そのワード列データのうちの暗号化された映像ワード列データに復号化処理を施して、復号化された映像ワード列データを得、それをワード列データのうちの暗号化された映像ワード列データ以外の部分と共にシリアル化することにより、元のHD−SDI信号を形成することにより行われる。そして、このような、HD−SDI信号についての暗号化伝送は、原理的には、例えば、前述のDES方式による暗号化を、HD−SDI信号に基づく映像ワード列データの暗号化処理に利用して実現させることができる。
【0008】
しかしながら、単に、例えば、前述のDES方式による暗号化を利用する場合には、見掛け上は、HD−SDI信号についての暗号化伝送を行うことができることになるが、実際には、伝送されたHD−SDI信号についての復号化処理に支障をきたすことになり、HD−SDI信号に基づくHD信号の再生が適正に行えなくなってしまうことになる、重大な問題が生じる。
【0009】
斯かる問題は、HD−SDI信号に、例えば、DES方式による暗号化処理が施されて暗号化HD−SDI信号が形成されると、暗号化HD−SDI信号におけるHD信号の映像データに対応する部分に、HD信号の映像データの形成には用いられない禁止コード、即ち、000h〜003h及び3FCh〜3FFhがシリアルデータに変換されたものに相当する部分が、或る確率をもって含まれることになってしまうことである。
【0010】
暗号化HD−SDI信号におけるHD信号の映像データに対応する部分に禁止コードがシリアルデータに変換されたものに相当する部分が含まれていると、伝送された暗号化HD−SDI信号についての復号化処理の際に、本来のHD信号に含まれたタイミング基準コードデータSAVもしくはEAVを形成する禁止コードがシリアルデータに変換された部分に加えて、暗号化HD−SDI信号におけるHD信号の映像データに対応する部分に含まれるものとされた禁止コードがシリアルデータに変換された部分も、タイミング基準コードデータSAVもしくはEAVを形成する禁止コードがシリアルデータに変換された部分として検出されてしまう虞が生じる。伝送された暗号化HD−SDI信号についての復号化処理は、タイミング基準コードデータSAVもしくはEAVを形成する禁止コードがシリアルデータに変換された部分がワード同期のための同期情報として用いられて、適正に行われるようにされる。それゆえ、暗号化HD−SDI信号におけるHD信号の映像データに対応する部分に含まれるものとされた禁止コードがシリアルデータに変換された部分も、タイミング基準コードデータSAVもしくはEAVを形成する禁止コードがシリアルデータに変換された部分として検出されると、暗号化HD−SDI信号に復号化処理が施されるにあたって、正しいワード同期がとられないことになり、その結果、HD信号の再生が適正に行われなくなってしまうのである。
【0011】
そこで、このような不都合を回避すべく、本願の出願人は、既に出願された特許願:特願2002−135039号において、例えば、HD−SDI信号におけるHD信号の映像データに対応する部分の如くの、複数のコードが禁止コードとされて形成されたディジタル情報データを含んだワード列データに基づくシリアルデータに、暗号化処理を施して形成した暗号化シリアルデータを得るにあたり、当該暗号化シリアルデータを不所望な禁止コードがシリアルデータに変換された部分を含まないものとできるもとで行えることになるデータ伝送方法システムを提案した。この提案されたデータ伝送方法システムにあっては、複数のコードが禁止コードとされて形成されたディジタル情報データを含んだワード列データを、設定された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを発生する乱数データ発生部からの乱数データを用いて暗号化するにあたり、加減モジュロ演算部(加減剰余演算部)を用いて、暗号化されたワード列データを禁止コードを含まないものとして取り出し、その禁止コードを含まない暗号化されたワード列データをシリアル化して、暗号化シリアルデータを得るようにされる。
【0012】
加減モジュロ演算部は、データについての加算もしくは減算演算とモジュロ演算とを行うものであり、モジュロ演算は、或る数値を予め設定された数値で除し、その際における余りを求める演算である。そして、上述の提案されたデータ伝送方法システムにあっては、加減モジュロ演算部は、乱数データによって暗号化されたワード列データが禁止コードを含むものとなるとき、禁止コードを他のコードに置き換える役割を果たしている。
【0013】
暗号化の対象がHD−SDI信号である場合、加減モジュロ演算部に入力されるHD−SDI信号に基づくワード列データのうちの映像ワード列データは、禁止コードである000h〜003h及び3FCh〜3FFhをあらわすワードデータ、即ち、10進法にあっては0〜3及び1020〜1023の数値範囲内の数値をあらわすワードデータを含んでいない。従って、加減モジュロ演算部に入力される映像ワード列データは、4〜1019の数値範囲内の数値をあらわすワードデータの列によって形成されていることになる。
【0014】
一方、加減モジュロ演算部に入力される乱数データ発生部からの乱数データも10ビット構成とされ、それゆえ、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわすワードデータとされる。その結果、4〜1019をあらわすワードデータの列によって形成される映像ワード列データが、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データによって暗号化されることにより、本来であれば、0〜1023の数値範囲内の数値をあらわすワードデータの列によって形成されるものとされる暗号化された映像ワード列データを、加減モジュロ演算部が、禁止コードである0〜3及び1020〜1023を除いた、4〜1019の数値範囲内の数値をあらわすワードデータの列によって形成されるものとするのである。
【0015】
上述のような加減モジュロ演算部を用いて、10ビット構成のワードデータを10ビット構成とされた乱数データを用いて暗号化し、得られる暗号化されたワードデータを予め設定された数値範囲内の数値をあらわすものに制限することを考えてみる。図7は、斯かる暗号化を行う装置の構成を示し、この図7に示される装置においては、加減モジュロ演算部11に、例えば、64という数値(16進表示で040h)をあらわす10ビット構成のワードデータDVAが入力される。そして、乱数データ発生部12からの10ビット構成の乱数データDXAが、加減モジュロ演算部11に供給される。
【0016】
乱数データ発生部12からの乱数データDXAは、10ビット構成であることから、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわすものとされる。そして、乱数データ発生部12は、例えば、暗号化対象データがHD信号を形成するディジタルデータにおける1フレーム期間分の有効映像データである場合を想定して、1920(サンプル)×1080(ライン)=2,073,600個の乱数データDXAを発生させたとき、図8の乱数データ出現頻度ヒストグラムに示される如くに、0〜1023の数値範囲内の乱数値のいずれかをあらわす乱数データDXAの夫々の出現頻度が、実質的に等しくなるものとされる。
【0017】
斯かるもとで、加減モジュロ演算部11は、ワードデータDVAを乱数データDXAによって暗号化して、10ビット構成の暗号化ワードデータDXYを形成し、その際、本来であれば、0〜1023の数値範囲内の1024個の数値のいずれかをあらわすものとされる暗号化ワードデータDXYを、例えば、0〜1015の数値範囲内の1016個の数値のいずれかをあらわすものに制限するものとされる。そのため、加減モジュロ演算部11は、乱数データDXAがあらわす0〜1023の数値範囲内の数値のいずれかについて、それを1016で除してその余りを得るモジュロ1016演算を行う。
【0018】
このようにして、図7に示される装置によれば、64という数値(16進表示で040h)をあらわす10ビット構成のワードデータDVAが、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわすものとされる10ビット構成の乱数データDXAが用いられて暗号化され、0〜1015の数値範囲内の数値をあらわす10ビット構成の暗号化ワードデータDXYが得られることになる。
【0019】
【非特許文献1】
NTT鈴鹿電気通信学園データ伝送研究会編集「実務家のためのデータ伝送技術」社団法人電気通信協会発行、昭和61年10月1日、P292〜293
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上述の図7に示される装置において、加減モジュロ演算部11に64という数値(16進表示で040h)をあらわすワードデータDVAが入力されるもとで、乱数データ発生部12に2,073,600個の乱数データDXAを発生させ、加減モジュロ演算部11に2,073,600回のワードデータDVAについての乱数データDXAによる暗号化を行わせて、加減モジュロ演算部11から2,073,600個の暗号化ワードデータDXYを得た場合における、0〜1015の数値範囲内の1016個の数値のいずれかをあらわす暗号化ワードデータDXYの出現頻度は、図9の暗号化ワードデータ出現頻度ヒストグラムに示される如くとなる。この図9の暗号化ワードデータ出現頻度ヒストグラムにあっては、64〜71の数値範囲内の数値以外の数値をあらわす暗号化ワードデータDXYの出現頻度は、実質的に等しいといえるが、64〜71の数値範囲内の数値をあらわす暗号化ワードデータDXYの出現頻度が、他の暗号化ワードデータDXYの出現頻度より高くなっていることを示している。
【0021】
斯かる暗号化ワードデータDXYの出現頻度の状況は、加減モジュロ演算部11によって、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわすものとされる乱数データDXAのうちの、0〜1015の数値範囲を越える1016〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわすものが、0〜7の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDXAに置き換えられることにより、0〜1015の数値範囲内の乱数値をあらわすものとされる乱数データDXAのうちの0〜7の数値範囲内の乱数値をあらわすものが、他の乱数データDXAより高い出現頻度を有することになり、その結果、0〜7の数値範囲内の乱数値に64が加算されて得られる64〜71の数値範囲内の数値をあらわす暗号化ワードデータDXYの出現頻度が高められることになることからして、論理的に説明され得ることになる。
【0022】
このように、64〜71の数値範囲内の数値をあらわす暗号化ワードデータDXYの出現頻度が、他の暗号化ワードデータDXYの出現頻度より高いことを示す出現頻度ヒストグラムを分析すれば、暗号化ワードデータDXYの元のワードデータDVAが、64という数値(16進表示で040h)をあらわすものであることが容易に判明してしまう。このように、暗号化ワードデータDXYの元のワードデータDVAの実体が判明してしまうことは、暗号解読の糸口を与えることになるという不都合をもたらす。
【0023】
こうした不都合は、基本的には、0〜1015の数値範囲内の数値をあらわす暗号化ワードデータDXYを得るに、0〜1015の数値範囲を越える0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDXAが用いられることに起因している。そして、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDXAに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0〜1015に制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができれば、斯かる乱数データを用いてワードデータDVAについての暗号化を行うことにより、上述の不都合を回避することができることになる。
【0024】
しかしながら、従来にあっては、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる第1の数値範囲内、例えば、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、第1の数値範囲より狭い第2の数値範囲、例えば、0〜1015の数値範囲内に制限された乱数値をあらわす乱数データを得ることができるようにされた装置の具体例は見当たらない。また、このような乱数データを得ることができるようにされた装置に関する技術について記載された文献等も見出せない。
【0025】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまで(Nは正整数)の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づいて、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0からMまで(Mは正整数であってM<N)に制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができることになる乱数データ形成装置を提供する。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本願の特許請求の範囲における請求項1に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを選択的に発生し、N+1個の乱数データの夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする乱数データ発生部と、0からMまでの順次の計数を繰り返し、各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、乱数データ発生部が発生する乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、乱数データ発生部が発生する乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データを出力乱数データとして取り出し、乱数データ発生部が発生する乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データに代えて、カウンタ部が出力する計数値データを出力乱数データとして取り出すとともに、カウンタ部の計数を一つ進めさせるデータ選択部と、を備えて構成される。
【0027】
本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを選択的に発生し、N+1個の乱数データの夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする乱数データ発生部と、クロック信号に同期して0からMまでの計数を繰り返し、クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、乱数データ発生部が発生する乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、乱数データ発生部が発生する乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データを出力乱数データとして取り出し、乱数データ発生部が発生する乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データに代えて、カウンタ部が出力する計数値データを出力乱数データとして取り出すデータ選択部と、を備えて構成される。
【0028】
本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが供給されるデータ入力端子と、0からMまでの順次の計数を繰り返し、各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、データ入力端子に供給される乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、データ入力端子に供給される乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データを出力乱数データとして取り出し、データ入力端子に供給される乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データに代えて、カウンタ部が出力する計数値データを出力乱数データとして取り出すとともに、カウンタ部の計数を一つ進めさせるデータ選択部と、を備えて構成される。
【0029】
本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが供給されるデータ入力端子と、クロック信号に同期して0からMまでの計数を繰り返し、クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、データ入力端子に供給される乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、データ入力端子に供給される乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データを出力乱数データとして取り出し、データ入力端子に供給される乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データに代えて、カウンタ部が出力する計数値データを出力乱数データとして取り出すデータ選択部と、を備えて構成される。
【0030】
本願の特許請求の範囲における請求項5に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを選択的に発生し、N+1個の乱数データの夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする乱数データ発生部と、クロック信号に同期して0からMまでの計数を繰り返し、クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、乱数データ発生部が発生する乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、乱数データ発生部が発生する乱数データがあらわす乱数値とカウンタ部が出力する計数値データがあらわす計数値とについての加算演算を行って得られる加算値をあらわす演算値データを出力する演算部と、演算部が出力する演算値データがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算を行い、求められた余りの数値をあらわす数値データを出力乱数データとするモジュロ演算部と、を備えて構成される。
【0031】
本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが供給されるデータ入力端子と、クロック信号に同期して0からMまでの計数を繰り返し、クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、データ入力端子に供給される乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、データ入力端子に供給される乱数データがあらわす乱数値とカウンタ部が出力する計数値データがあらわす計数値とについての加算演算を行って得られる加算値をあらわす演算値データを出力する演算部と、演算部が出力する演算値データがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算を行い、求められた余りの数値をあらわす数値データを出力乱数データとするモジュロ演算部と、を備えて構成される。
【0032】
上述の如くの本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係る乱数データ形成装置にあっては、データ選択部によって、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが、M以下の乱数値をあらわすものであるときにはその乱数データが出力乱数データとして取り出され、また、Mを越える乱数値をあらわすものであるときには、その乱数データに代えて、0からMまでの計数値のいずれかをあらわす計数値データが出力乱数データとして取り出される。そして、少なくとも計数値データが出力乱数データとして取り出されるときには、その計数値データが、計数が一つ進められたものに変更される。
【0033】
その結果、データ選択部から得られる出力乱数データは、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを元にして、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。従って、本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係る乱数データ形成装置によれば、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができることになる。
【0034】
また、本願の特許請求の範囲における請求項5または請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置にあっては、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データと、0からMまで順次変化していく計数値をあらわす計数値データとが、演算部に供給されて、演算部により、乱数データがあらわす乱数値と計数値データがあらわす計数値とについての加算演算が行われ、その結果得られる加算値をあらわす演算値データが形成される。そして、モジュロ演算部によって、演算値データがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算が行われ、求められた余りの数値をあらわす数値データが出力乱数データとされる。
【0035】
その結果、モジュロ演算部から得られる出力乱数データは、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを元にして、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。従って、本願の特許請求の範囲における請求項5または請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置によっても、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができることになる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、本願の特許請求の範囲における請求項1に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0037】
図1に示される例においては、乱数データ発生部21,カウンタ部22及びデータ選択部23が備えられている。乱数データ発生部21は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとするもとで選択的に発生し、それを乱数データDENとして送出する。また、カウンタ部22は、0からMまでの順次の計数を繰り返し、各計数値をあらわす計数値データDCOを出力する。そして、乱数データ発生部21からの乱数データDENとカウンタ部22からの計数値データDCOとが、データ選択部23に供給される。なお、乱数データ発生部21,カウンタ部22及びデータ選択部23の各々は、図示が省略されたクロック信号発生部からの共通のクロック信号に同期して作動する。但し、カウンタ部22は、クロック信号の到来毎に計数を進めるという動作は行わない。
【0038】
データ選択部23にあっては、乱数データDENと計数値データDCOとが入力端子1及び入力端子2を夫々通じて供給され、さらに、乱数データDENは判別端子を通じても供給される。そして、判別端子を通じて供給された乱数データDENに対して、それがM以下の乱数値をあらわすものであるか、Mを越える乱数値をあらわすものであるかの判別が行われる。
【0039】
データ選択部23は、判別端子を通じて供給された乱数データDENについての判別の結果、乱数データDENがM以下の乱数値をあらわすものであるときには、そのとき入力端子1を通じて供給される乱数データDENを、出力乱数データDOPとして取り出し、それを出力端子から送出する。また、判別端子を通じて供給された乱数データDENについての判別の結果、乱数データDENがMを越える乱数値をあらわすものであるときには、そのとき入力端子2を通じて供給される計数値データDCOを、出力乱数データDOPとして取り出し、それを出力端子から送出するとともに、制御出力端子から制御信号CCを送出して、それをカウンタ部22に供給し、カウンタ部22における計数を一つ進めさせる。それにより、カウンタ部22からの計数値データDCOが、計数が一つ進んだものとされる計数値をあらわすものに変更される。
【0040】
このようにして、Mを越える乱数値をあらわす乱数データDENが0からMまでの計数値をあらわす計数値データDCOに置き換えられることにより、データ選択部23の出力端子から送出される出力乱数データDOPは、乱数データ発生部21からの0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。そして、乱数データDENがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データDENに代えて、出力乱数データDOPとされる計数値データDCOは、出力乱数データDOPとして用いられる毎に更新されるので、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPも、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとすることになる。このことは、以下のように証明される。
【0041】
乱数データ発生部21から選択的に出力される、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわし、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする、N+1個の乱数データDENの各々の出現確率P(x) は、数1によって与えられる。
【0042】
【数1】
P(x) =1/(N+1)
【0043】
乱数データ発生部21に、十分大なる数値をKとしてK回の乱数データDENの出力を行わせると、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データDENの各々の出現回数A(x) は、数2によって求められる。
【0044】
【数2】
A(x) =K・P(x) =K/(N+1)
【0045】
乱数データDENがあらわす乱数値をx,計数値データDCOがあらわす計数値をc,出力乱数データDOPがあらわす数値をyとすると、数3及び数4が成立する。
【0046】
【数3】
y=x 但し、0≦x≦M+1
y=c 但し、M+1<x
【0047】
cを或る数値に固定したときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現確率Po(y) は、数4によって求められる。
【0048】
【数4】
Po(y) =1/(N+1) 但し、0≦y≦M+1,y≠c
Po(y) =(N−M+1)/(N+1) 但し、y=c
【0049】
乱数データ発生部21にK回の乱数データDENの出力を行わせ、データ選択部23にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Ao(y) は、数5によって求められる。
【0050】
【数5】
【0051】
cが0からMまでの数値範囲内の計数値のいずれかをとり、各計数値に対して、乱数データ発生部21にK回の乱数データDENの出力を行わせ、データ選択部23にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Aos(y) は、数6によって求められる。
【0052】
【数6】
【0053】
計数値データDCOは、出力乱数データDOPとして用いられる毎に更新されるので、Kが十分に大なる数値とされて、乱数データ発生部21にK回の乱数データDENの出力を行わせ、データ選択部23にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせるもとにあっては、0からMまでの数値範囲内の計数値をあらわすM+1個の計数値データDCOの各々の出現回数も、数6により求められる出現回数Aos(y) と等しいとみることができる。
【0054】
以上よりして、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPは、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとすることになる。
【0055】
図2は、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0056】
図2に示される例にあっては、図1に示される例と同様に、乱数データ発生部21,カウンタ部22及びデータ選択部23が備えられており、それに加えて、クロック信号発生部24が備えられている。クロック信号発生部24は、所定の周波数のクロック信号CKを発生し、それをカウンタ部22及び他の動作部に共通のクロック信号として供給する。それにより、乱数データ発生部21,カウンタ部22及びデータ選択部23の各々は、クロック信号発生部24からのクロック信号CKに同期して作動し、カウンタ部22は、クロック信号CKの到来毎に計数を進めていく動作を行う。
【0057】
乱数データ発生部21は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとするもとで選択的に発生し、それを乱数データDENとして送出する。また、カウンタ部22は、クロック信号発生部24からのクロック信号CKに同期して0からMまでの順次の計数を繰り返し、クロック信号CKに応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データDCOを出力する。そして、乱数データ発生部21からの乱数データDENとカウンタ部22からの計数値データDCOとが、データ選択部23に供給される。
【0058】
図2に示される例におけるデータ選択部23にあっても、図1に示される例におけるデータ選択部23における動作と同様な動作が行われて、出力乱数データDOPが出力端子から送出される。それゆえ、図2に示される例におけるデータ選択部23の動作については、図1に示される例におけるデータ選択部23の動作と異なる部分に関する以下の説明にとどめられる。
【0059】
図2に示される例におけるデータ選択部23の場合には、判別端子を通じて供給された乱数データDENについての判別の結果、乱数データDENがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、そのとき入力端子2を通じて供給される計数値データDCOを、出力乱数データDOPとして取り出し、それを出力端子から送出する。このとき、図1に示される例におけるデータ選択部23とは異なり、制御出力端子から制御信号CCを送出して、それをカウンタ部22に供給するという動作は行わない。
【0060】
このような図2に示される例においても、Mを越える乱数値をあらわす乱数データDENが0からMまでの計数値をあらわす計数値データDCOに置き換えられることにより、データ選択部23の出力端子から送出される出力乱数データDOPは、乱数データ発生部21からの0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。そして、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPは、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとすることになり、それについても、前述の数1から数7を用いて説明された証明が適用される。
【0061】
図3は、本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0062】
図3に示される例は、図1に示される例において、乱数データ発生部21に代えて、データ入力端子25を備えるようにしたものに相当する。図3においては、図1に示される各部及び各データあるいは信号に対応する部分及びデータあるいは信号が、図1と共通の符号が付されており、それらについての重複説明は省略される。
【0063】
図3に示されるデータ入力端子25には、図1に示される例における乱数データ発生部21と同様な乱数データ発生部26からの、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENが供給される。そして、データ入力端子25に供給された乱数データDENは、そのまま、データ選択部23に、それにおける入力端子1及び判別端子の夫々を通じて供給される。データ選択部23には、カウンタ部22からの計数値データDCOも入力端子2を通じて供給される。
【0064】
それにより、図3に示される例におけるデータ選択部23においても、図1に示される例におけるデータ選択部23における動作と同じ動作が行われ、その出力端子から、図1に示される例におけるものと同様な出力乱数データDOP、即ち、データ入力端子25に供給される0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られて、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわし、各乱数値に関する出現頻度を実質的に等しいものとする出力乱数データDOPが送出される。
【0065】
図4は、本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0066】
図4に示される例は、図2に示される例において、乱数データ発生部21に代えて、データ入力端子27を備えるようにしたものに相当する。図4においては、図2に示される各部及び各データあるいは信号に対応する部分及びデータあるいは信号が、図2と共通の符号が付されており、それらについての重複説明は省略される。
【0067】
図4に示されるデータ入力端子27には、図2に示される例における乱数データ発生部21と同様な乱数データ発生部28からの、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENが供給される。そして、データ入力端子27に供給された乱数データDENは、そのまま、データ選択部23に、それにおける入力端子1及び判別端子の夫々を通じて供給される。データ選択部23には、カウンタ部22からの計数値データDCOも入力端子2を通じて供給される。
【0068】
それにより、図4に示される例におけるデータ選択部23においても、図2に示される例におけるデータ選択部23における動作と同じ動作が行われ、その出力端子から、図2に示される例におけるものと同様な出力乱数データDOP、即ち、データ入力端子27に供給される0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られて、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわし、各乱数値に関する出現頻度を実質的に等しいものとする出力乱数データDOPが送出される。
【0069】
図5は、本願の特許請求の範囲における請求項5に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0070】
図5に示される例においては、乱数データ発生部31,カウンタ部32,演算部33,モジュロ演算部34及びクロック信号発生部35が備えられている。クロック信号発生部35は、所定の周波数のクロック信号CKを発生し、それをカウンタ部32及び他の動作部に共通のクロック信号として供給する。それにより、乱数データ発生部31,カウンタ部32,演算部33及びモジュロ演算部34の各々は、クロック信号発生部35からのクロック信号CKに同期して作動する。
【0071】
乱数データ発生部31は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとするもとで選択的に発生し、それを乱数データDENとして送出する。また、カウンタ部32は、クロック信号発生部35からのクロック信号CKに同期して0からMまでの順次の計数を繰り返し、クロック信号CKに応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データDCOを出力する。そして、乱数データ発生部31からの乱数データDENとカウンタ部32からの計数値データDCOとが、演算部33に供給される。
【0072】
演算部33は、乱数データDENがあらわす乱数値と計数値データDCOがあらわす計数値とについての加算演算を行って、その結果得られる加算値をあらわす演算値データDARを出力し、それをモジュロ演算部34に供給する。モジュロ演算部34は、演算部33からの演算値データDARがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算を行い、求められた余りの数値をあらわす数値データを得て、それを出力乱数データDOPとして送出する。
【0073】
それにより、モジュロ演算部34から、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からMまでの数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPが得られる。従って、図5に示される例にあっては、モジュロ演算部34から送出される出力乱数データDOPが、乱数データ発生部31からの0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされるのであり、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPは、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとすることになる。このことは、以下のように証明される。
【0074】
乱数データ発生部31から選択的に出力される、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわし、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする、N+1個の乱数データDENの各々の出現確率P(x) は、数7によって与えられる。
【0075】
【数7】
P(x) =1/(N+1)
【0076】
乱数データ発生部31に、十分大なる数値をKとしてK回の乱数データDENの出力を行わせると、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データDENの各々の出現回数A(x) は、数8によって求められる。
【0077】
【数8】
A(x) =K・P(x) =K/(N+1)
【0078】
乱数データDENがあらわす乱数値をx,計数値データDCOがあらわす計数値をc,出力乱数データDOPがあらわす数値をyとすると、数9が成立する。
【0079】
【数9】
y=(x+c)mod(M+1)
【0080】
数9における(x+c)mod(M+1)は、x+cをM+1で除した余りを意味する。この(x+c)mod(M+1)について計算すると、yは0からMまでの数値範囲内の数値をとり、0≦y≦Mとなる。
【0081】
c=0のとき、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現確率Pa(y) は、数10によって求められる。
【0082】
【数10】
Pa(y) =2/(N+1) 但し、0≦y≦N−M−1
Pa(y) =1/(N+1) 但し、N−M≦y≦M
【0083】
c=0のもとで、乱数データ発生部31にK回の乱数データDENの出力を行わせ、モジュロ演算部34にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Aa(y) は、数11によって求められる。
【0084】
【数11】
【0085】
1≦c≦M−(N−M)のとき、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現確率Pb(y) は、数12によって求められる。
【0086】
【数12】
Pb(y) =2/(N+1) 但し、0≦y≦c+N−M−1
Pb(y) =1/(N+1) 但し、y≦c−1,c+N−M≦y≦M
【0087】
1≦c≦M−(N−M)のもとで、乱数データ発生部31にK回の乱数データDENの出力を行わせ、モジュロ演算部34にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Ab(y) は、数13によって求められる。
【0088】
【数13】
【0089】
M−(N−M)+1≦c≦Mのとき、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現確率Pc(y) は、数14によって求められる。
【0090】
【数14】
Pc(y) =2/(N+1) 但し、c≦y≦M,0≦y≦c+N−M−1
Pc(y) =1/(N+1) 但し、y≦c−1,c+N−M≦y≦M
【0091】
M−(N−M)+1≦c≦Mのもとで、乱数データ発生部31にK回の乱数データDENの出力を行わせ、モジュロ演算部34にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Ac(y) は、数15によって求められる。
【0092】
【数15】
【0093】
cが0からMまでの数値範囲内の計数値のいずれかをとり、各計数値に対して、乱数データ発生部31にK回の乱数データDENの出力を行わせ、モジュロ演算部34にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Azs(y) は、数16によって求められる。
【0094】
【数16】
【0095】
以上よりして、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPは、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとすることになる。
【0096】
図6は、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0097】
図6に示される例は、図5に示される例において、乱数データ発生部31に代えて、データ入力端子36を備えるようにしたものに相当する。図6においては、図5に示される各部及び各データあるいは信号に対応する部分及びデータあるいは信号が、図5と共通の符号が付されており、それらについての重複説明は省略される。
【0098】
図6に示されるデータ入力端子36には、図5に示される例における乱数データ発生部31と同様な乱数データ発生部37からの、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENが供給される。そして、データ入力端子36に供給された乱数データDENは、そのまま、演算部33に供給される。演算部33には、カウンタ部32からの計数値データDCOも供給される。
【0099】
それにより、図6に示される例における演算部33及びモジュロ演算部34においても、図5に示される例における演算部33及びモジュロ演算部34における動作と同じ動作が行われ、モジュロ演算部34から、図5に示される例におけるものと同様な出力乱数データDOP、即ち、データ入力端子36に供給される0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られて、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわし、各乱数値に関する出現頻度を実質的に等しいものとする出力乱数データDOPが送出される。
【0100】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな如く、本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係る乱数データ形成装置にあっては、データ選択部によって、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが、M以下の乱数値をあらわすものであるときにはその乱数データが出力乱数データとして取り出され、また、Mを越える乱数値をあらわすものであるときには、その乱数データに代えて、0からMまでの計数値のいずれかをあらわす計数値データが出力乱数データとして取り出される。そして、少なくとも計数値データが出力乱数データとして取り出されるときには、その計数値データが、計数が一つ進められたものに変更される。その結果、データ選択部から得られる出力乱数データは、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを元にして、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。
【0101】
従って、本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係る乱数データ形成装置によれば、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができることになる。
【0102】
また、本願の特許請求の範囲における請求項5または請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置にあっては、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データと、0からMまで順次変化していく計数値をあらわす計数値データとが、演算部に供給されて、演算部により、乱数データがあらわす乱数値と計数値データがあらわす計数値とについての加算演算が行われ、その結果得られる加算値をあらわす演算値データが形成される。そして、モジュロ演算部によって、演算値データがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算が行われ、求められた余りの数値をあらわす数値データが出力乱数データとされる。その結果、モジュロ演算部から得られる出力乱数データは、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを元にして、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。
【0103】
従って、本願の特許請求の範囲における請求項5または請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置によっても、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の特許請求の範囲における請求項1に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図2】本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図3】本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図4】本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図5】本願の特許請求の範囲における請求項5に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図6】本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図7】乱数データ発生部と加減モジュロ演算部とを用いた暗号化装置の説明に供されるブロック構成図である。
【図8】図7に示される暗号化装置の説明に供される乱数データ出現頻度ヒストグラムである。
【図9】図7に示される暗号化装置の説明に供される暗号化ワードデータ出現頻度ヒストグラムである。
【符号の説明】
21,26,28,31,37・・・乱数データ発生部, 22,23・・・カウンタ部, 23・・・データ選択部, 24,35・・・クロック信号発生部, 25,27,36・・・データ入力端子, 33・・・演算部, 34・・・モジュロ演算部
【発明の属する技術分野】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、設定された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを、それらの夫々の出現頻度が実質的に等しくされるものとして形成する乱数データ形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の信号情報等をあらわすディジタルデータの伝送にあたり、データ伝送路上での盗聴を防止すべく、送信側において、伝送するディジタルデータを暗号化し、受信側において、暗号化されたディジタルデータについての復号化を行って元のディジタルデータを得るようになすことが提案されている。このようなディジタルデータの暗号化にあたっての代表的な暗号アルゴリズムとして、1977年に米国商務省標準局(NBS)が公布したDES(Data Encryption Standard) 方式が知られている(非特許文献1参照。)。
【0003】
DES方式による暗号化伝送にあっては、ディジタルデータが別途用意される鍵データ(暗号化鍵データ)により定められる規則に従って暗号化されるとともに、暗号化されたディジタルデータが別途用意される鍵データ(復号化鍵データ)により定められる規則に従って復号化され、その際、暗号化鍵データと復号化鍵データとは同じ鍵データ(共通鍵データ)とされる。そして、暗号化及び復号化のためのアルゴリズム自体は公開されており、共通鍵データが秘密に維持されることにより守秘機能が果たされる。
【0004】
一方、映像信号の分野においては、伝達情報の多様化及び再生画像の高品質化を実現する観点等からのディジタル化が図られており、例えば、映像信号情報をあらわすディジタルデータによって形成されるディジタル映像信号を扱う高精細度テレビジョン(High Definition Television:HDTV)システム等が提案されている。HDTVシステムのもとにおけるディジタル映像信号(以下、HD信号という)は、例えば、BTA(Broadcasting Technology Association :放送技術開発協議会)により制定された規格であるBTA S−002 に従って形成され、Y,PB /PR 形式のものとG,B,R形式のものとがある。Y,PB /PR 形式の場合、Yは輝度信号を意味し、PB /PR は色差信号を意味する。また、G,B,R形式の場合、G,B及びRは、夫々、緑色原色信号,青色原色信号及び赤色原色信号を意味する。
【0005】
例えば、Yデータ系列及びPB /PR データ系列を含んで構成されるHD信号にあっては、Yデータ系列及びPB /PR データ系列の夫々について、タイミング基準コードデータSAV(Start of Active Video) もしくはEAV(End of Active Video) を形成するタイミング識別用コードを含むものとされ、映像データあるいは補助データ等を形成する情報コードとしては使用されない複数のコードが、禁止コードとして決められている。斯かる禁止コードは、Yデータ系列及びPB /PR データ系列の夫々が10ビットワード列データであるとき、000h〜003h及び3FCh〜3FFh(16進表現)、即ち、0000000000〜0000000011及び1111111100〜1111111111とされる。
【0006】
このようなYデータ系列及びPB /PR データ系列から成るHD信号が伝送されるに際しては、データ伝送路が簡略化されることからして、ワード列データからシリアルデータに変換されて伝送されるシリアル伝送が望まれることになる。そして、Yデータ系列及びPB /PR データ系列を含んで形成されるHD信号のシリアル伝送に関しては、BTAによって制定された規格であるBTA S−004 による HD−SDI (High Definition Serial Digital Interface)に準拠した伝送を行うことが規格化されている。HD信号についての HD−SDI に準拠した伝送が行われるにあたっては、HD信号に基づくシリアル伝送HD信号(以下、HD−SDI信号という)が形成されて、そのHD−SDI信号がデータ伝送路を通じての伝送に供される。
【0007】
上述の如くに、HD−SDI信号がデータ伝送路を通じての伝送に供される際にも、データ伝送路での盗聴を防止すべく、送信側において、HD−SDI信号に暗号化処理を施し、暗号化されたHD−SDI信号を形成して送出し、受信側おいて、暗号化されたHD−SDI信号についての復号化を行って元のHD−SDI信号を得るようになすことが望まれる場合が考えられる。斯かる際におけるHD−SDI信号についての暗号化処理は、HD−SDI信号をパラレル化してワード列データを得、そのワード列データのうちの映像データの部分(以下、映像ワード列データという)に暗号化処理を施し、暗号化された映像ワード列データを、ワード列データのうちの映像ワード列データ以外の部分と共にシリアル化して、暗号化されたHD−SDI信号を形成することにより行われる。また、暗号化されたHD−SDI信号についての復号化は、暗号化されたHD−SDI信号をパラレル化してワード列データを得、そのワード列データのうちの暗号化された映像ワード列データに復号化処理を施して、復号化された映像ワード列データを得、それをワード列データのうちの暗号化された映像ワード列データ以外の部分と共にシリアル化することにより、元のHD−SDI信号を形成することにより行われる。そして、このような、HD−SDI信号についての暗号化伝送は、原理的には、例えば、前述のDES方式による暗号化を、HD−SDI信号に基づく映像ワード列データの暗号化処理に利用して実現させることができる。
【0008】
しかしながら、単に、例えば、前述のDES方式による暗号化を利用する場合には、見掛け上は、HD−SDI信号についての暗号化伝送を行うことができることになるが、実際には、伝送されたHD−SDI信号についての復号化処理に支障をきたすことになり、HD−SDI信号に基づくHD信号の再生が適正に行えなくなってしまうことになる、重大な問題が生じる。
【0009】
斯かる問題は、HD−SDI信号に、例えば、DES方式による暗号化処理が施されて暗号化HD−SDI信号が形成されると、暗号化HD−SDI信号におけるHD信号の映像データに対応する部分に、HD信号の映像データの形成には用いられない禁止コード、即ち、000h〜003h及び3FCh〜3FFhがシリアルデータに変換されたものに相当する部分が、或る確率をもって含まれることになってしまうことである。
【0010】
暗号化HD−SDI信号におけるHD信号の映像データに対応する部分に禁止コードがシリアルデータに変換されたものに相当する部分が含まれていると、伝送された暗号化HD−SDI信号についての復号化処理の際に、本来のHD信号に含まれたタイミング基準コードデータSAVもしくはEAVを形成する禁止コードがシリアルデータに変換された部分に加えて、暗号化HD−SDI信号におけるHD信号の映像データに対応する部分に含まれるものとされた禁止コードがシリアルデータに変換された部分も、タイミング基準コードデータSAVもしくはEAVを形成する禁止コードがシリアルデータに変換された部分として検出されてしまう虞が生じる。伝送された暗号化HD−SDI信号についての復号化処理は、タイミング基準コードデータSAVもしくはEAVを形成する禁止コードがシリアルデータに変換された部分がワード同期のための同期情報として用いられて、適正に行われるようにされる。それゆえ、暗号化HD−SDI信号におけるHD信号の映像データに対応する部分に含まれるものとされた禁止コードがシリアルデータに変換された部分も、タイミング基準コードデータSAVもしくはEAVを形成する禁止コードがシリアルデータに変換された部分として検出されると、暗号化HD−SDI信号に復号化処理が施されるにあたって、正しいワード同期がとられないことになり、その結果、HD信号の再生が適正に行われなくなってしまうのである。
【0011】
そこで、このような不都合を回避すべく、本願の出願人は、既に出願された特許願:特願2002−135039号において、例えば、HD−SDI信号におけるHD信号の映像データに対応する部分の如くの、複数のコードが禁止コードとされて形成されたディジタル情報データを含んだワード列データに基づくシリアルデータに、暗号化処理を施して形成した暗号化シリアルデータを得るにあたり、当該暗号化シリアルデータを不所望な禁止コードがシリアルデータに変換された部分を含まないものとできるもとで行えることになるデータ伝送方法システムを提案した。この提案されたデータ伝送方法システムにあっては、複数のコードが禁止コードとされて形成されたディジタル情報データを含んだワード列データを、設定された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを発生する乱数データ発生部からの乱数データを用いて暗号化するにあたり、加減モジュロ演算部(加減剰余演算部)を用いて、暗号化されたワード列データを禁止コードを含まないものとして取り出し、その禁止コードを含まない暗号化されたワード列データをシリアル化して、暗号化シリアルデータを得るようにされる。
【0012】
加減モジュロ演算部は、データについての加算もしくは減算演算とモジュロ演算とを行うものであり、モジュロ演算は、或る数値を予め設定された数値で除し、その際における余りを求める演算である。そして、上述の提案されたデータ伝送方法システムにあっては、加減モジュロ演算部は、乱数データによって暗号化されたワード列データが禁止コードを含むものとなるとき、禁止コードを他のコードに置き換える役割を果たしている。
【0013】
暗号化の対象がHD−SDI信号である場合、加減モジュロ演算部に入力されるHD−SDI信号に基づくワード列データのうちの映像ワード列データは、禁止コードである000h〜003h及び3FCh〜3FFhをあらわすワードデータ、即ち、10進法にあっては0〜3及び1020〜1023の数値範囲内の数値をあらわすワードデータを含んでいない。従って、加減モジュロ演算部に入力される映像ワード列データは、4〜1019の数値範囲内の数値をあらわすワードデータの列によって形成されていることになる。
【0014】
一方、加減モジュロ演算部に入力される乱数データ発生部からの乱数データも10ビット構成とされ、それゆえ、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわすワードデータとされる。その結果、4〜1019をあらわすワードデータの列によって形成される映像ワード列データが、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データによって暗号化されることにより、本来であれば、0〜1023の数値範囲内の数値をあらわすワードデータの列によって形成されるものとされる暗号化された映像ワード列データを、加減モジュロ演算部が、禁止コードである0〜3及び1020〜1023を除いた、4〜1019の数値範囲内の数値をあらわすワードデータの列によって形成されるものとするのである。
【0015】
上述のような加減モジュロ演算部を用いて、10ビット構成のワードデータを10ビット構成とされた乱数データを用いて暗号化し、得られる暗号化されたワードデータを予め設定された数値範囲内の数値をあらわすものに制限することを考えてみる。図7は、斯かる暗号化を行う装置の構成を示し、この図7に示される装置においては、加減モジュロ演算部11に、例えば、64という数値(16進表示で040h)をあらわす10ビット構成のワードデータDVAが入力される。そして、乱数データ発生部12からの10ビット構成の乱数データDXAが、加減モジュロ演算部11に供給される。
【0016】
乱数データ発生部12からの乱数データDXAは、10ビット構成であることから、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわすものとされる。そして、乱数データ発生部12は、例えば、暗号化対象データがHD信号を形成するディジタルデータにおける1フレーム期間分の有効映像データである場合を想定して、1920(サンプル)×1080(ライン)=2,073,600個の乱数データDXAを発生させたとき、図8の乱数データ出現頻度ヒストグラムに示される如くに、0〜1023の数値範囲内の乱数値のいずれかをあらわす乱数データDXAの夫々の出現頻度が、実質的に等しくなるものとされる。
【0017】
斯かるもとで、加減モジュロ演算部11は、ワードデータDVAを乱数データDXAによって暗号化して、10ビット構成の暗号化ワードデータDXYを形成し、その際、本来であれば、0〜1023の数値範囲内の1024個の数値のいずれかをあらわすものとされる暗号化ワードデータDXYを、例えば、0〜1015の数値範囲内の1016個の数値のいずれかをあらわすものに制限するものとされる。そのため、加減モジュロ演算部11は、乱数データDXAがあらわす0〜1023の数値範囲内の数値のいずれかについて、それを1016で除してその余りを得るモジュロ1016演算を行う。
【0018】
このようにして、図7に示される装置によれば、64という数値(16進表示で040h)をあらわす10ビット構成のワードデータDVAが、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわすものとされる10ビット構成の乱数データDXAが用いられて暗号化され、0〜1015の数値範囲内の数値をあらわす10ビット構成の暗号化ワードデータDXYが得られることになる。
【0019】
【非特許文献1】
NTT鈴鹿電気通信学園データ伝送研究会編集「実務家のためのデータ伝送技術」社団法人電気通信協会発行、昭和61年10月1日、P292〜293
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上述の図7に示される装置において、加減モジュロ演算部11に64という数値(16進表示で040h)をあらわすワードデータDVAが入力されるもとで、乱数データ発生部12に2,073,600個の乱数データDXAを発生させ、加減モジュロ演算部11に2,073,600回のワードデータDVAについての乱数データDXAによる暗号化を行わせて、加減モジュロ演算部11から2,073,600個の暗号化ワードデータDXYを得た場合における、0〜1015の数値範囲内の1016個の数値のいずれかをあらわす暗号化ワードデータDXYの出現頻度は、図9の暗号化ワードデータ出現頻度ヒストグラムに示される如くとなる。この図9の暗号化ワードデータ出現頻度ヒストグラムにあっては、64〜71の数値範囲内の数値以外の数値をあらわす暗号化ワードデータDXYの出現頻度は、実質的に等しいといえるが、64〜71の数値範囲内の数値をあらわす暗号化ワードデータDXYの出現頻度が、他の暗号化ワードデータDXYの出現頻度より高くなっていることを示している。
【0021】
斯かる暗号化ワードデータDXYの出現頻度の状況は、加減モジュロ演算部11によって、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわすものとされる乱数データDXAのうちの、0〜1015の数値範囲を越える1016〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわすものが、0〜7の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDXAに置き換えられることにより、0〜1015の数値範囲内の乱数値をあらわすものとされる乱数データDXAのうちの0〜7の数値範囲内の乱数値をあらわすものが、他の乱数データDXAより高い出現頻度を有することになり、その結果、0〜7の数値範囲内の乱数値に64が加算されて得られる64〜71の数値範囲内の数値をあらわす暗号化ワードデータDXYの出現頻度が高められることになることからして、論理的に説明され得ることになる。
【0022】
このように、64〜71の数値範囲内の数値をあらわす暗号化ワードデータDXYの出現頻度が、他の暗号化ワードデータDXYの出現頻度より高いことを示す出現頻度ヒストグラムを分析すれば、暗号化ワードデータDXYの元のワードデータDVAが、64という数値(16進表示で040h)をあらわすものであることが容易に判明してしまう。このように、暗号化ワードデータDXYの元のワードデータDVAの実体が判明してしまうことは、暗号解読の糸口を与えることになるという不都合をもたらす。
【0023】
こうした不都合は、基本的には、0〜1015の数値範囲内の数値をあらわす暗号化ワードデータDXYを得るに、0〜1015の数値範囲を越える0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDXAが用いられることに起因している。そして、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDXAに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0〜1015に制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができれば、斯かる乱数データを用いてワードデータDVAについての暗号化を行うことにより、上述の不都合を回避することができることになる。
【0024】
しかしながら、従来にあっては、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる第1の数値範囲内、例えば、0〜1023の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、第1の数値範囲より狭い第2の数値範囲、例えば、0〜1015の数値範囲内に制限された乱数値をあらわす乱数データを得ることができるようにされた装置の具体例は見当たらない。また、このような乱数データを得ることができるようにされた装置に関する技術について記載された文献等も見出せない。
【0025】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまで(Nは正整数)の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づいて、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0からMまで(Mは正整数であってM<N)に制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができることになる乱数データ形成装置を提供する。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本願の特許請求の範囲における請求項1に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを選択的に発生し、N+1個の乱数データの夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする乱数データ発生部と、0からMまでの順次の計数を繰り返し、各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、乱数データ発生部が発生する乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、乱数データ発生部が発生する乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データを出力乱数データとして取り出し、乱数データ発生部が発生する乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データに代えて、カウンタ部が出力する計数値データを出力乱数データとして取り出すとともに、カウンタ部の計数を一つ進めさせるデータ選択部と、を備えて構成される。
【0027】
本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを選択的に発生し、N+1個の乱数データの夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする乱数データ発生部と、クロック信号に同期して0からMまでの計数を繰り返し、クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、乱数データ発生部が発生する乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、乱数データ発生部が発生する乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データを出力乱数データとして取り出し、乱数データ発生部が発生する乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データに代えて、カウンタ部が出力する計数値データを出力乱数データとして取り出すデータ選択部と、を備えて構成される。
【0028】
本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが供給されるデータ入力端子と、0からMまでの順次の計数を繰り返し、各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、データ入力端子に供給される乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、データ入力端子に供給される乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データを出力乱数データとして取り出し、データ入力端子に供給される乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データに代えて、カウンタ部が出力する計数値データを出力乱数データとして取り出すとともに、カウンタ部の計数を一つ進めさせるデータ選択部と、を備えて構成される。
【0029】
本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが供給されるデータ入力端子と、クロック信号に同期して0からMまでの計数を繰り返し、クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、データ入力端子に供給される乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、データ入力端子に供給される乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データを出力乱数データとして取り出し、データ入力端子に供給される乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データに代えて、カウンタ部が出力する計数値データを出力乱数データとして取り出すデータ選択部と、を備えて構成される。
【0030】
本願の特許請求の範囲における請求項5に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを選択的に発生し、N+1個の乱数データの夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする乱数データ発生部と、クロック信号に同期して0からMまでの計数を繰り返し、クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、乱数データ発生部が発生する乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、乱数データ発生部が発生する乱数データがあらわす乱数値とカウンタ部が出力する計数値データがあらわす計数値とについての加算演算を行って得られる加算値をあらわす演算値データを出力する演算部と、演算部が出力する演算値データがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算を行い、求められた余りの数値をあらわす数値データを出力乱数データとするモジュロ演算部と、を備えて構成される。
【0031】
本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置は、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが供給されるデータ入力端子と、クロック信号に同期して0からMまでの計数を繰り返し、クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、データ入力端子に供給される乱数データとカウンタ部が出力する計数値データとが供給され、データ入力端子に供給される乱数データがあらわす乱数値とカウンタ部が出力する計数値データがあらわす計数値とについての加算演算を行って得られる加算値をあらわす演算値データを出力する演算部と、演算部が出力する演算値データがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算を行い、求められた余りの数値をあらわす数値データを出力乱数データとするモジュロ演算部と、を備えて構成される。
【0032】
上述の如くの本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係る乱数データ形成装置にあっては、データ選択部によって、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが、M以下の乱数値をあらわすものであるときにはその乱数データが出力乱数データとして取り出され、また、Mを越える乱数値をあらわすものであるときには、その乱数データに代えて、0からMまでの計数値のいずれかをあらわす計数値データが出力乱数データとして取り出される。そして、少なくとも計数値データが出力乱数データとして取り出されるときには、その計数値データが、計数が一つ進められたものに変更される。
【0033】
その結果、データ選択部から得られる出力乱数データは、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを元にして、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。従って、本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係る乱数データ形成装置によれば、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができることになる。
【0034】
また、本願の特許請求の範囲における請求項5または請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置にあっては、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データと、0からMまで順次変化していく計数値をあらわす計数値データとが、演算部に供給されて、演算部により、乱数データがあらわす乱数値と計数値データがあらわす計数値とについての加算演算が行われ、その結果得られる加算値をあらわす演算値データが形成される。そして、モジュロ演算部によって、演算値データがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算が行われ、求められた余りの数値をあらわす数値データが出力乱数データとされる。
【0035】
その結果、モジュロ演算部から得られる出力乱数データは、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを元にして、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。従って、本願の特許請求の範囲における請求項5または請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置によっても、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができることになる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、本願の特許請求の範囲における請求項1に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0037】
図1に示される例においては、乱数データ発生部21,カウンタ部22及びデータ選択部23が備えられている。乱数データ発生部21は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとするもとで選択的に発生し、それを乱数データDENとして送出する。また、カウンタ部22は、0からMまでの順次の計数を繰り返し、各計数値をあらわす計数値データDCOを出力する。そして、乱数データ発生部21からの乱数データDENとカウンタ部22からの計数値データDCOとが、データ選択部23に供給される。なお、乱数データ発生部21,カウンタ部22及びデータ選択部23の各々は、図示が省略されたクロック信号発生部からの共通のクロック信号に同期して作動する。但し、カウンタ部22は、クロック信号の到来毎に計数を進めるという動作は行わない。
【0038】
データ選択部23にあっては、乱数データDENと計数値データDCOとが入力端子1及び入力端子2を夫々通じて供給され、さらに、乱数データDENは判別端子を通じても供給される。そして、判別端子を通じて供給された乱数データDENに対して、それがM以下の乱数値をあらわすものであるか、Mを越える乱数値をあらわすものであるかの判別が行われる。
【0039】
データ選択部23は、判別端子を通じて供給された乱数データDENについての判別の結果、乱数データDENがM以下の乱数値をあらわすものであるときには、そのとき入力端子1を通じて供給される乱数データDENを、出力乱数データDOPとして取り出し、それを出力端子から送出する。また、判別端子を通じて供給された乱数データDENについての判別の結果、乱数データDENがMを越える乱数値をあらわすものであるときには、そのとき入力端子2を通じて供給される計数値データDCOを、出力乱数データDOPとして取り出し、それを出力端子から送出するとともに、制御出力端子から制御信号CCを送出して、それをカウンタ部22に供給し、カウンタ部22における計数を一つ進めさせる。それにより、カウンタ部22からの計数値データDCOが、計数が一つ進んだものとされる計数値をあらわすものに変更される。
【0040】
このようにして、Mを越える乱数値をあらわす乱数データDENが0からMまでの計数値をあらわす計数値データDCOに置き換えられることにより、データ選択部23の出力端子から送出される出力乱数データDOPは、乱数データ発生部21からの0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。そして、乱数データDENがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、その乱数データDENに代えて、出力乱数データDOPとされる計数値データDCOは、出力乱数データDOPとして用いられる毎に更新されるので、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPも、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとすることになる。このことは、以下のように証明される。
【0041】
乱数データ発生部21から選択的に出力される、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわし、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする、N+1個の乱数データDENの各々の出現確率P(x) は、数1によって与えられる。
【0042】
【数1】
P(x) =1/(N+1)
【0043】
乱数データ発生部21に、十分大なる数値をKとしてK回の乱数データDENの出力を行わせると、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データDENの各々の出現回数A(x) は、数2によって求められる。
【0044】
【数2】
A(x) =K・P(x) =K/(N+1)
【0045】
乱数データDENがあらわす乱数値をx,計数値データDCOがあらわす計数値をc,出力乱数データDOPがあらわす数値をyとすると、数3及び数4が成立する。
【0046】
【数3】
y=x 但し、0≦x≦M+1
y=c 但し、M+1<x
【0047】
cを或る数値に固定したときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現確率Po(y) は、数4によって求められる。
【0048】
【数4】
Po(y) =1/(N+1) 但し、0≦y≦M+1,y≠c
Po(y) =(N−M+1)/(N+1) 但し、y=c
【0049】
乱数データ発生部21にK回の乱数データDENの出力を行わせ、データ選択部23にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Ao(y) は、数5によって求められる。
【0050】
【数5】
【0051】
cが0からMまでの数値範囲内の計数値のいずれかをとり、各計数値に対して、乱数データ発生部21にK回の乱数データDENの出力を行わせ、データ選択部23にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Aos(y) は、数6によって求められる。
【0052】
【数6】
【0053】
計数値データDCOは、出力乱数データDOPとして用いられる毎に更新されるので、Kが十分に大なる数値とされて、乱数データ発生部21にK回の乱数データDENの出力を行わせ、データ選択部23にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせるもとにあっては、0からMまでの数値範囲内の計数値をあらわすM+1個の計数値データDCOの各々の出現回数も、数6により求められる出現回数Aos(y) と等しいとみることができる。
【0054】
以上よりして、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPは、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとすることになる。
【0055】
図2は、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0056】
図2に示される例にあっては、図1に示される例と同様に、乱数データ発生部21,カウンタ部22及びデータ選択部23が備えられており、それに加えて、クロック信号発生部24が備えられている。クロック信号発生部24は、所定の周波数のクロック信号CKを発生し、それをカウンタ部22及び他の動作部に共通のクロック信号として供給する。それにより、乱数データ発生部21,カウンタ部22及びデータ選択部23の各々は、クロック信号発生部24からのクロック信号CKに同期して作動し、カウンタ部22は、クロック信号CKの到来毎に計数を進めていく動作を行う。
【0057】
乱数データ発生部21は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとするもとで選択的に発生し、それを乱数データDENとして送出する。また、カウンタ部22は、クロック信号発生部24からのクロック信号CKに同期して0からMまでの順次の計数を繰り返し、クロック信号CKに応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データDCOを出力する。そして、乱数データ発生部21からの乱数データDENとカウンタ部22からの計数値データDCOとが、データ選択部23に供給される。
【0058】
図2に示される例におけるデータ選択部23にあっても、図1に示される例におけるデータ選択部23における動作と同様な動作が行われて、出力乱数データDOPが出力端子から送出される。それゆえ、図2に示される例におけるデータ選択部23の動作については、図1に示される例におけるデータ選択部23の動作と異なる部分に関する以下の説明にとどめられる。
【0059】
図2に示される例におけるデータ選択部23の場合には、判別端子を通じて供給された乱数データDENについての判別の結果、乱数データDENがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、そのとき入力端子2を通じて供給される計数値データDCOを、出力乱数データDOPとして取り出し、それを出力端子から送出する。このとき、図1に示される例におけるデータ選択部23とは異なり、制御出力端子から制御信号CCを送出して、それをカウンタ部22に供給するという動作は行わない。
【0060】
このような図2に示される例においても、Mを越える乱数値をあらわす乱数データDENが0からMまでの計数値をあらわす計数値データDCOに置き換えられることにより、データ選択部23の出力端子から送出される出力乱数データDOPは、乱数データ発生部21からの0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。そして、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPは、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとすることになり、それについても、前述の数1から数7を用いて説明された証明が適用される。
【0061】
図3は、本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0062】
図3に示される例は、図1に示される例において、乱数データ発生部21に代えて、データ入力端子25を備えるようにしたものに相当する。図3においては、図1に示される各部及び各データあるいは信号に対応する部分及びデータあるいは信号が、図1と共通の符号が付されており、それらについての重複説明は省略される。
【0063】
図3に示されるデータ入力端子25には、図1に示される例における乱数データ発生部21と同様な乱数データ発生部26からの、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENが供給される。そして、データ入力端子25に供給された乱数データDENは、そのまま、データ選択部23に、それにおける入力端子1及び判別端子の夫々を通じて供給される。データ選択部23には、カウンタ部22からの計数値データDCOも入力端子2を通じて供給される。
【0064】
それにより、図3に示される例におけるデータ選択部23においても、図1に示される例におけるデータ選択部23における動作と同じ動作が行われ、その出力端子から、図1に示される例におけるものと同様な出力乱数データDOP、即ち、データ入力端子25に供給される0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られて、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわし、各乱数値に関する出現頻度を実質的に等しいものとする出力乱数データDOPが送出される。
【0065】
図4は、本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0066】
図4に示される例は、図2に示される例において、乱数データ発生部21に代えて、データ入力端子27を備えるようにしたものに相当する。図4においては、図2に示される各部及び各データあるいは信号に対応する部分及びデータあるいは信号が、図2と共通の符号が付されており、それらについての重複説明は省略される。
【0067】
図4に示されるデータ入力端子27には、図2に示される例における乱数データ発生部21と同様な乱数データ発生部28からの、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENが供給される。そして、データ入力端子27に供給された乱数データDENは、そのまま、データ選択部23に、それにおける入力端子1及び判別端子の夫々を通じて供給される。データ選択部23には、カウンタ部22からの計数値データDCOも入力端子2を通じて供給される。
【0068】
それにより、図4に示される例におけるデータ選択部23においても、図2に示される例におけるデータ選択部23における動作と同じ動作が行われ、その出力端子から、図2に示される例におけるものと同様な出力乱数データDOP、即ち、データ入力端子27に供給される0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られて、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわし、各乱数値に関する出現頻度を実質的に等しいものとする出力乱数データDOPが送出される。
【0069】
図5は、本願の特許請求の範囲における請求項5に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0070】
図5に示される例においては、乱数データ発生部31,カウンタ部32,演算部33,モジュロ演算部34及びクロック信号発生部35が備えられている。クロック信号発生部35は、所定の周波数のクロック信号CKを発生し、それをカウンタ部32及び他の動作部に共通のクロック信号として供給する。それにより、乱数データ発生部31,カウンタ部32,演算部33及びモジュロ演算部34の各々は、クロック信号発生部35からのクロック信号CKに同期して作動する。
【0071】
乱数データ発生部31は、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとするもとで選択的に発生し、それを乱数データDENとして送出する。また、カウンタ部32は、クロック信号発生部35からのクロック信号CKに同期して0からMまでの順次の計数を繰り返し、クロック信号CKに応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データDCOを出力する。そして、乱数データ発生部31からの乱数データDENとカウンタ部32からの計数値データDCOとが、演算部33に供給される。
【0072】
演算部33は、乱数データDENがあらわす乱数値と計数値データDCOがあらわす計数値とについての加算演算を行って、その結果得られる加算値をあらわす演算値データDARを出力し、それをモジュロ演算部34に供給する。モジュロ演算部34は、演算部33からの演算値データDARがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算を行い、求められた余りの数値をあらわす数値データを得て、それを出力乱数データDOPとして送出する。
【0073】
それにより、モジュロ演算部34から、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からMまでの数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPが得られる。従って、図5に示される例にあっては、モジュロ演算部34から送出される出力乱数データDOPが、乱数データ発生部31からの0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされるのであり、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPは、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとすることになる。このことは、以下のように証明される。
【0074】
乱数データ発生部31から選択的に出力される、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわし、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする、N+1個の乱数データDENの各々の出現確率P(x) は、数7によって与えられる。
【0075】
【数7】
P(x) =1/(N+1)
【0076】
乱数データ発生部31に、十分大なる数値をKとしてK回の乱数データDENの出力を行わせると、0からNまでの数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データDENの各々の出現回数A(x) は、数8によって求められる。
【0077】
【数8】
A(x) =K・P(x) =K/(N+1)
【0078】
乱数データDENがあらわす乱数値をx,計数値データDCOがあらわす計数値をc,出力乱数データDOPがあらわす数値をyとすると、数9が成立する。
【0079】
【数9】
y=(x+c)mod(M+1)
【0080】
数9における(x+c)mod(M+1)は、x+cをM+1で除した余りを意味する。この(x+c)mod(M+1)について計算すると、yは0からMまでの数値範囲内の数値をとり、0≦y≦Mとなる。
【0081】
c=0のとき、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現確率Pa(y) は、数10によって求められる。
【0082】
【数10】
Pa(y) =2/(N+1) 但し、0≦y≦N−M−1
Pa(y) =1/(N+1) 但し、N−M≦y≦M
【0083】
c=0のもとで、乱数データ発生部31にK回の乱数データDENの出力を行わせ、モジュロ演算部34にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Aa(y) は、数11によって求められる。
【0084】
【数11】
【0085】
1≦c≦M−(N−M)のとき、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現確率Pb(y) は、数12によって求められる。
【0086】
【数12】
Pb(y) =2/(N+1) 但し、0≦y≦c+N−M−1
Pb(y) =1/(N+1) 但し、y≦c−1,c+N−M≦y≦M
【0087】
1≦c≦M−(N−M)のもとで、乱数データ発生部31にK回の乱数データDENの出力を行わせ、モジュロ演算部34にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Ab(y) は、数13によって求められる。
【0088】
【数13】
【0089】
M−(N−M)+1≦c≦Mのとき、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現確率Pc(y) は、数14によって求められる。
【0090】
【数14】
Pc(y) =2/(N+1) 但し、c≦y≦M,0≦y≦c+N−M−1
Pc(y) =1/(N+1) 但し、y≦c−1,c+N−M≦y≦M
【0091】
M−(N−M)+1≦c≦Mのもとで、乱数データ発生部31にK回の乱数データDENの出力を行わせ、モジュロ演算部34にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Ac(y) は、数15によって求められる。
【0092】
【数15】
【0093】
cが0からMまでの数値範囲内の計数値のいずれかをとり、各計数値に対して、乱数データ発生部31にK回の乱数データDENの出力を行わせ、モジュロ演算部34にK回の出力乱数データDOPの送出を行わせたときの、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値を夫々あらわすM+1個の出力乱数データDOPの各々の出現回数Azs(y) は、数16によって求められる。
【0094】
【数16】
【0095】
以上よりして、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす出力乱数データDOPは、夫々の出現頻度を実質的に等しいものとすることになる。
【0096】
図6は、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示す。
【0097】
図6に示される例は、図5に示される例において、乱数データ発生部31に代えて、データ入力端子36を備えるようにしたものに相当する。図6においては、図5に示される各部及び各データあるいは信号に対応する部分及びデータあるいは信号が、図5と共通の符号が付されており、それらについての重複説明は省略される。
【0098】
図6に示されるデータ入力端子36には、図5に示される例における乱数データ発生部31と同様な乱数データ発生部37からの、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENが供給される。そして、データ入力端子36に供給された乱数データDENは、そのまま、演算部33に供給される。演算部33には、カウンタ部32からの計数値データDCOも供給される。
【0099】
それにより、図6に示される例における演算部33及びモジュロ演算部34においても、図5に示される例における演算部33及びモジュロ演算部34における動作と同じ動作が行われ、モジュロ演算部34から、図5に示される例におけるものと同様な出力乱数データDOP、即ち、データ入力端子36に供給される0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データDENに基づいて得られて、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわし、各乱数値に関する出現頻度を実質的に等しいものとする出力乱数データDOPが送出される。
【0100】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな如く、本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係る乱数データ形成装置にあっては、データ選択部によって、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが、M以下の乱数値をあらわすものであるときにはその乱数データが出力乱数データとして取り出され、また、Mを越える乱数値をあらわすものであるときには、その乱数データに代えて、0からMまでの計数値のいずれかをあらわす計数値データが出力乱数データとして取り出される。そして、少なくとも計数値データが出力乱数データとして取り出されるときには、その計数値データが、計数が一つ進められたものに変更される。その結果、データ選択部から得られる出力乱数データは、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを元にして、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。
【0101】
従って、本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係る乱数データ形成装置によれば、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができることになる。
【0102】
また、本願の特許請求の範囲における請求項5または請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置にあっては、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データと、0からMまで順次変化していく計数値をあらわす計数値データとが、演算部に供給されて、演算部により、乱数データがあらわす乱数値と計数値データがあらわす計数値とについての加算演算が行われ、その結果得られる加算値をあらわす演算値データが形成される。そして、モジュロ演算部によって、演算値データがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算が行われ、求められた余りの数値をあらわす数値データが出力乱数データとされる。その結果、モジュロ演算部から得られる出力乱数データは、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされた0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを元にして、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで得られる、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データとされる。
【0103】
従って、本願の特許請求の範囲における請求項5または請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置によっても、各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまでの数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データに基づき、各々の出現頻度が実質的に等しいものとされる状況が維持されるもとで、0からMまでに制限された数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データを得ることができることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の特許請求の範囲における請求項1に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図2】本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図3】本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図4】本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図5】本願の特許請求の範囲における請求項5に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図6】本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された発明に係る乱数データ形成装置の一例を示すブロック構成図である。
【図7】乱数データ発生部と加減モジュロ演算部とを用いた暗号化装置の説明に供されるブロック構成図である。
【図8】図7に示される暗号化装置の説明に供される乱数データ出現頻度ヒストグラムである。
【図9】図7に示される暗号化装置の説明に供される暗号化ワードデータ出現頻度ヒストグラムである。
【符号の説明】
21,26,28,31,37・・・乱数データ発生部, 22,23・・・カウンタ部, 23・・・データ選択部, 24,35・・・クロック信号発生部, 25,27,36・・・データ入力端子, 33・・・演算部, 34・・・モジュロ演算部
Claims (6)
- 0からNまで(Nは正整数)の数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを選択的に発生し、該N+1個の乱数データの夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする乱数データ発生部と、
0からMまで(Mは正整数であってM<N)の順次の計数を繰り返し、各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、
上記乱数データ発生部が発生する乱数データと上記カウンタ部が出力する計数値データとが供給され、上記乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、該乱数データを出力乱数データとして取り出し、上記乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、該乱数データに代えて、上記計数値データを出力乱数データとして取り出すとともに、上記カウンタ部の計数を一つ進めさせるデータ選択部と、
を備えて構成される乱数データ形成装置。 - 0からNまで(Nは正整数)の数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを選択的に発生し、該N+1個の乱数データの夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする乱数データ発生部と、
クロック信号に同期して0からMまで(Mは正整数であってM<N)の計数を繰り返し、上記クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、
上記乱数データ発生部が発生する乱数データと上記カウンタ部が出力する計数値データとが供給され、上記乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、該乱数データを出力乱数データとして取り出し、上記乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、該乱数データに代えて、上記計数値データを出力乱数データとして取り出すデータ選択部と、
を備えて構成される乱数データ形成装置。 - 各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまで(Nは正整数)の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが供給されるデータ入力端子と、
0からMまで(Mは正整数であってM<N)の順次の計数を繰り返し、各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、
上記データ入力端子に供給される乱数データと上記カウンタ部が出力する計数値データとが供給され、上記乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、該乱数データを出力乱数データとして取り出し、上記乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、該乱数データに代えて、上記計数値データを出力乱数データとして取り出すとともに、上記カウンタ部の計数を一つ進めさせるデータ選択部と、
を備えて構成される乱数データ形成装置。 - 各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまで(Nは正整数)の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが供給されるデータ入力端子と、
クロック信号に同期して0からMまで(Mは正整数であってM<N)の計数を繰り返し、上記クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、
上記データ入力端子に供給される乱数データと上記カウンタ部が出力する計数値データとが供給され、上記乱数データがM以下の乱数値をあらわすものであるとき、該乱数データを出力乱数データとして取り出し、上記乱数データがMを越える乱数値をあらわすものであるとき、該乱数データに代えて、上記計数値データを出力乱数データとして取り出すデータ選択部と、
を備えて構成される乱数データ形成装置。 - 0からNまで(Nは正整数)の数値範囲内の乱数値を夫々あらわすN+1個の乱数データを選択的に発生し、該N+1個の乱数データの夫々の出現頻度を実質的に等しいものとする乱数データ発生部と、
クロック信号に同期して0からMまで(Mは正整数であってM<N)の計数を繰り返し、上記クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、
上記乱数データ発生部が発生する乱数データと上記カウンタ部が出力する計数値データとが供給され、上記乱数データがあらわす乱数値と上記計数値データがあらわす計数値とについての加算演算を行って得られる加算値をあらわす演算値データを出力する演算部と、
該演算部が出力する演算値データがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算を行い、求められた余りの数値をあらわす数値データを出力乱数データとするモジュロ演算部と、
を備えて構成される乱数データ形成装置。 - 各々の出現頻度が実質的に等しい0からNまで(Nは正整数)の数値範囲内の乱数値をあらわす乱数データが供給されるデータ入力端子と、
クロック信号に同期して0からMまで(Mは正整数であってM<N)の計数を繰り返し、上記クロック信号に応じて順次変化していく各計数値をあらわす計数値データを出力するカウンタ部と、
上記データ入力端子に供給される乱数データと上記カウンタ部が出力する計数値データとが供給され、上記乱数データがあらわす乱数値と上記計数値データがあらわす計数値とについての加算演算を行って得られる加算値をあらわす演算値データを出力する演算部と、
該演算部が出力する演算値データがあらわす演算値をM+1で除して得られる余りの数値を求めるモジュロM+1演算を行い、求められた余りの数値をあらわす数値データを出力乱数データとするモジュロ演算部と、
を備えて構成される乱数データ形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002349373A JP2004185170A (ja) | 2002-12-02 | 2002-12-02 | 乱数データ形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002349373A JP2004185170A (ja) | 2002-12-02 | 2002-12-02 | 乱数データ形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004185170A true JP2004185170A (ja) | 2004-07-02 |
Family
ID=32751930
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002349373A Pending JP2004185170A (ja) | 2002-12-02 | 2002-12-02 | 乱数データ形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004185170A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013121736A1 (ja) * | 2012-02-15 | 2013-08-22 | 日本電気株式会社 | 乱数発生装置、乱数発生方法、オブジェクト配置装置、並びにコンピュータ・プログラム |
CN107766486A (zh) * | 2017-10-16 | 2018-03-06 | 山东浪潮通软信息科技有限公司 | 随机抽取样本数据的方法、装置、可读介质及存储控制器 |
JP2019506798A (ja) * | 2016-01-13 | 2019-03-07 | テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル) | 完全性保護 |
-
2002
- 2002-12-02 JP JP2002349373A patent/JP2004185170A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013121736A1 (ja) * | 2012-02-15 | 2013-08-22 | 日本電気株式会社 | 乱数発生装置、乱数発生方法、オブジェクト配置装置、並びにコンピュータ・プログラム |
JPWO2013121736A1 (ja) * | 2012-02-15 | 2015-05-11 | 日本電気株式会社 | 乱数発生装置、乱数発生方法、オブジェクト配置装置、並びにコンピュータ・プログラム |
JP2019506798A (ja) * | 2016-01-13 | 2019-03-07 | テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル) | 完全性保護 |
US11296890B2 (en) | 2016-01-13 | 2022-04-05 | Telefonaktiebolaget Lm Ericsson (Publ) | Integrity protection |
US11917073B2 (en) | 2016-01-13 | 2024-02-27 | Telefonaktiebolaget Lm Ericsson (Publ) | Integrity protection |
CN107766486A (zh) * | 2017-10-16 | 2018-03-06 | 山东浪潮通软信息科技有限公司 | 随机抽取样本数据的方法、装置、可读介质及存储控制器 |
CN107766486B (zh) * | 2017-10-16 | 2021-04-20 | 浪潮通用软件有限公司 | 随机抽取样本数据的方法、装置、可读介质及存储控制器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8024580B2 (en) | Transmitting apparatus, receiving apparatus, and data transmitting system | |
US7463736B2 (en) | Data process apparatus and method therefor | |
US7680269B2 (en) | Method for ciphering a compressed audio or video stream with error tolerance | |
JP4581685B2 (ja) | 暗号化装置及び復号化装置 | |
US8542829B2 (en) | Method of and apparatus for transmitting data | |
JP2004040248A (ja) | 情報処理装置、情報処理方法、プログラム、記憶媒体 | |
US20040151182A1 (en) | Communication device and communication method | |
CN101390332B (zh) | 用于带有保留码的同步流密码加密的方法与装置 | |
JP2004185170A (ja) | 乱数データ形成装置 | |
CN1771690B (zh) | 数据传输方法 | |
JP4581686B2 (ja) | 暗号化装置及び復号化装置 | |
JP2009213083A (ja) | 画像圧縮方法及び画像圧縮装置 | |
JP4539646B2 (ja) | データ暗号化,復号化もしくは暗号化・復号化方法及び装置 | |
US8000476B2 (en) | Data encryption/decryption method, and device | |
JPH104542A (ja) | スクランブル装置及びデータ多重方法 | |
Asim et al. | Hybrid chaotic image encryption scheme based on S-box and ciphertext feedback | |
JP3856358B2 (ja) | 画像伝送方式 | |
JP2002218221A (ja) | 電子透かし情報埋め込み装置、埋め込み方法、電子透かし情報再生装置及び再生方法 | |
JP4241898B2 (ja) | 情報処理システムおよび情報処理方法 | |
JP2003283484A (ja) | 信号処理装置およびその方法と通信システム | |
JPH09179493A (ja) | ディジタルデータ暗号化および復号化装置 | |
JPH06268984A (ja) | 画像音声符号復号化システム |