JP2004184667A - 吸音壁装置とこれを用いた防音室 - Google Patents

吸音壁装置とこれを用いた防音室 Download PDF

Info

Publication number
JP2004184667A
JP2004184667A JP2002350892A JP2002350892A JP2004184667A JP 2004184667 A JP2004184667 A JP 2004184667A JP 2002350892 A JP2002350892 A JP 2002350892A JP 2002350892 A JP2002350892 A JP 2002350892A JP 2004184667 A JP2004184667 A JP 2004184667A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sound
sound absorbing
plate
absorbing
frame
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002350892A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4112958B2 (ja
Inventor
Katsutaro Hashimoto
克太郎 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TEKKOSHA BURU KK
Original Assignee
TEKKOSHA BURU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TEKKOSHA BURU KK filed Critical TEKKOSHA BURU KK
Priority to JP2002350892A priority Critical patent/JP4112958B2/ja
Publication of JP2004184667A publication Critical patent/JP2004184667A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4112958B2 publication Critical patent/JP4112958B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Pipe Accessories (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Abstract

【課題】特に液体を多量に使用する製造工程において衛生面での支障が生じることなしに発生騒音を効果的に防音または遮音することができる防音間仕切り壁や防音室の構築が可能な吸音壁装置とこれを用いて構築した防音室を提供する。
【解決手段】ほぼU字形状の型枠骨組体3と、液体の通過を阻止する係合保持手段8,9,12,13を介して型枠骨組体3に着脱自在に取り付けられる吸音パネル2とを備える。吸音パネル2は、吸音面側下端部に水抜き孔15を有する矩形状の型枠フレーム14に、軽量金属製または樹脂製の多孔質板からなる複数の音吸収板17が各々の間に音波干渉空間28を形成する配置で吸音面側に保持され、且つ音反射板18が音吸収板17との間に音波干渉空間28を形成する配置で背面側に固定されている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、熱湯、油および水などの液体を大量使用する製造ラインにおいて好適な防音間仕切り壁や防音室を構築することのできる吸音壁装置とこの吸音壁装置を複数用いて構築した防音室に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、吸音機能を有する壁面を構成できるものとしては、ガラスウールまたはハニカム構造体と反射板とを組み合わせて構成した吸音パネル、またはハニカム構造のダンボール紙などと板状部材とを積層した吸音パネルが知られている。そして、各種製造ラインにおける防音室は、上述の吸音パネルを壁面材として用い、これらの吸音パネルを骨組構造体に取り付けて構築されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば冷凍食品やカップ食品などの食品関係商品の梱包工程では、一般に、熱湯により商品を消毒したのちに梱包することが行われており、熱湯をかけたあとに生じる水滴を高圧空気で吹き飛ばしているので、相当な騒音が発生している。また、飲料水などの瓶詰め工程では、封栓時に大きな音が発生する。ところが、食品関係商品などの製造ラインのように熱湯や水あるいは油などの液体を大量使用する製造工程では、一般的に用いられているグラス類や綿状スポンジ類などを使用した既存の吸音パネルを用いて防音間仕切り壁や防音室を構築することができない。すなわち、既存のグラス類や綿状スポンジ類などを構成素材とする吸音パネルは、水切れが悪い上に、洗剤などを用いて簡単に洗浄できないことから、雑菌が繁殖するおそれがあるので、衛生面が特に重視される食品関係商品の製造ラインにおける防音間仕切り壁や防音室などの構築に利用することができない。
【0004】
そのため、上記食品関係商品の製造ラインでは、プラスチック製板材で騒音発生源に囲いをして熱湯、水、油または煮汁などの飛散を防止しているだけであり、大きな騒音発生による職場環境の悪化によって作業者が無用な精神的疲労を強いられているのが実情である。このような面から、近年では、熱湯、水または油などを多量に使用する製造工程において衛生面に支障をきたすことのない防音間仕切り壁や防音室を構築することができるとともに発生騒音を効果的に防音または遮音することのできる吸音壁装置の出現が切望されている。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、特に液体を多量に使用する食品関係商品製造工程において衛生面での支障が生じることなしに発生騒音を効果的に防音または遮音することができる防音間仕切り壁や防音室の構築が可能な吸音壁装置とこれを用いて構築した防音室を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一構成に係る吸音壁装置は、矩形状のパネル取付空間を有し、その矩形状の一辺が開口したほぼU字形状の型枠骨組体と、前記型枠骨組体にその開口部から嵌入して着脱自在に取り付けられる吸音パネルとを備えてなり、前記吸音パネルは、前記取付空間に嵌まり込む矩形状の型枠フレームに、軽量金属製または樹脂製の多孔質板からなる複数の音吸収板が各々の間に音波干渉空間を形成する所定間隔を設けた配置で吸音面側に保持され、且つ音反射板が前記吸音面側とは反対の背面側に前記音吸収板との間に音波干渉空間を形成する所定間隔を設けた配置で固定されているとともに、前記型枠フレームの吸音面側下端部に水抜き孔が設けられてなり、前記吸音パネルが、吸音面側から背面側への液体の通過を阻止する係合保持手段を介して前記型枠骨組体に着脱自在に保持されていることを特徴としている。
【0007】
この吸音壁装置では、型枠骨組体に着脱自在に保持されている吸音パネルを型枠骨組体から容易に取り外しおよび取り付けすることができるから、大きな労力を要することなく分解および組み立てを迅速に行うことができる。しかも、軽量金属製または樹脂製の多孔質板で構成されている音吸収板は、水切れが悪い上に洗剤などを用いて簡単に洗浄できず、且つ雑菌が繁殖するおそれがあるグラス類や綿状スポンジ類などを構成素材とする音吸音板とは異なり、洗剤で容易に洗浄できる。これらにより、この吸音壁装置は、型枠骨組体と吸音パネルとに簡単に分解して洗剤で頻繁に洗浄することができるから、常に良好な衛生状態に保つことが可能となり、衛生面が特に重視される食品関係商品の製造工程の防音室の構築に好適なものとなる。さらに、この吸音壁装置では、吸音面から内部に侵入した液体を係合保持手段で背面側に漏れ出るのを確実に防止して、水抜き孔から吸音面側に効率的に戻す構造を備えているので、この点からも液体を大量使用する製造工程に好適に用いることができる。
【0008】
また、この吸音壁装置は、音波により振動されて振動エネルギを熱に変換して音波を吸収する音吸収板と、音波を相互に干渉されて減衰される音波干渉空間とがそれぞれ複数層に設けられているとともに、背面側に音反射板が設けられているから、吸音面側に伝搬してきた音波を極めて効率良く発揮される吸音効果により吸収して減衰させることができる。
【0009】
上記発明において、型枠骨組体および吸音パネルが、アルミニウムまたはステンレスの軽量金属あるいは合成樹脂の何れかを主素材として形成されていることが好ましい。これにより、液体を多量に使用する製造工程に用いた場合に、良好な水切れ効果を得ることができるとともに、洗剤で簡単に洗浄でき、しかも雑菌が繁殖するおそれが全くないものとなり、特に、食品関係商品の製造工程に極めて好適に使用することができる。
【0010】
また、上記発明において、型枠骨組体は、軽量金属または樹脂の押出し成形品からなる単一の底部骨組部材と一対の側部骨組部材とがほぼU字状の組み合わせで連結されてなり、吸音パネルは、軽量金属または樹脂の押出し成形品を矩形状に連結してなる型枠フレームと、板状の金属繊維群の両面に一対の網目状プレートを重合して一体化した多孔質板からなる複数枚の音吸収板と、多数個の小筒体を配列したハニカム構造体を一対の平板で挟持固定してなる音反射板と、前記型枠フレームの上辺の外面に取り付けられた把持部とを備えて構成されていることが好ましい。
【0011】
これにより、型枠骨組体および吸音パネルは、所要形状のものを容易、且つ安価に製造することができる。また、音吸収板は、音波により振動される金属繊維群や網目状プレートの振動エネルギを熱に変換して良好な吸音性能を発揮する。一方、音反射板は、音波が平板とハニカム構造体とにより形成されるハニカム空間内に分散して、干渉されて減衰するので、音反射板自体も音波吸収効果を発揮するので、反響音を抑えることができるとともに、音反射板を通過する音波を殆ど無くすことができる。さらに、吸音パネルは、把持部によって吊り下げることにより、型枠骨組体への着脱を容易に行うことができる。
【0012】
また、上記発明において、吸音パネルの型枠フレームは、幅方向の両端部から内方に突出する保持フランジ部を四辺にわたり有するとともに、四辺の各々の前記両保持フランジ部の各間に複数の保持部材がそれらの間に所定間隔を設けた配置で固着され、複数の音吸収板は、各々の周縁部が隣接する各2つの前記保持部材の間および前記保持フランジ部と前記保持部材との間にそれぞれ係入して保持されている構成とすることが好ましい。
【0013】
これにより、音吸収板は、自体の厚み方向に進退動可能に周縁部を保持することが可能となるので、音波を受けて振動されることにより音波を熱エネルギにスムーズに変換して高い吸音性能を発揮することができ、音吸収板で反射されて騒音発生源側に戻っていく音波を極めて少なくできる。
【0014】
また、上記発明において、型枠フレームの下辺側に設けられた所定個数の保持部材は、前記型枠フレームの下辺との間に集水空間を形成する間隔を存し、且つ隣接する各2枚の音吸収板の各間において前記集水空間に通じる導水空隙を形成するよう離間して配設され、前記集水空間における吸音面側に水抜き孔が形成されている構成とすることが好ましい。
【0015】
これにより、吸音パネル内に侵入した液体は、複数層の音波干渉空間内において流下または音吸収板や音反射板に伝い落ちたのち、複数の導水空隙から集水空間内に効率的に流入して、水抜き孔から騒音発生源側である吸音面側に戻されるから、吸音パネル内の液体の外部排出が極めてスムーズに行われる。そのため、吸音パネルは、極めて水切れが良いことから、洗浄後の乾燥が短時間で行われ、頻繁に洗浄することが一層容易となる。
【0016】
さらに、上記発明において、吸音パネルと型枠骨組体との係合保持手段は、前記吸音パネルおよび前記型枠骨組体のうちの一方に設けられたレール部と他方に設けられて前記レール部が挿抜自在に嵌入する嵌合溝、または前記型枠骨組体の三辺の内面に固着されて前記吸音パネルの三辺の縁部を挿抜自在に挟持する取付フレーム部材の何れかで構成されていることが好ましい。
【0017】
これにより、吸音パネルは、型枠骨組体によって外圧に抗し堅固に保持されるとともに、吸音面側から侵入した液体を背面側から漏れ出ないよう確実に阻止することができる。
【0018】
本発明の他の構成に係る吸音壁装置は、一構成に係る吸音壁装置における吸音パネルに代えて、矩形状の型枠フレームに、軽量金属製または樹脂製の多孔質板からなる単一の音吸収板が吸音面側に、音反射板が前記吸音面側とは反対の背面側にそれぞれ配置して取り付けられているとともに、前記音吸収板と前記音反射板との間に、筒形状を有して一列配置された複数の多孔質音吸収部材、または多孔質板を波状に湾曲あるいは三角形状に屈曲してなる音吸収板の何れかが保持されてなる吸音パネルを用いることを特徴としている。
【0019】
この吸音壁装置では、音域などが異なる種々の発生音波を効果的に吸収して減衰させることができる吸音パネルを構成することができるので、種々の製造工程に対応して極めて防音効果の高い防音室を構築することができる。
【0020】
本発明に係る防音室は、本発明の一構成または他の構成に係る吸音壁装置が、音反射板が外側に位置する向きで騒音発生源を取り囲む配置で所定数だけ連設されて、前面壁、背面壁および左右の側面壁が構築され、これら各面壁の上端部に架け渡した配置で吸音パネルが載置されていることを特徴としている。
【0021】
この防音室では、高い吸音機能を有する吸音壁装置を並置して互いに連結するだけで構築することができ、その構築に際しては、吸音壁装置における吸音パネルを取り外して型枠骨組体のみを予め設置し、そののちに、設置済みの各型枠骨組体にそれぞれ吸音パネルを取り付ければよいので、構築作業が容易となる利点がある。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る吸音壁装置1を用いて防音室を構築する過程を示す斜視図であり、図2は構築完了した防音室を示す斜視図である。上記吸音壁装置1は、矩形状の吸音パネル2と、矩形状の四辺のうちの一辺が開放したほぼU字状の形状を有し、その開放箇所から上記吸音パネル2が嵌め込まれて着脱自在に取り付けられる型枠骨組体3とを備えて構成されている。図2の防音室は、その正面壁(手前側の壁面)および背面壁がそれぞれ2つの吸音壁装置1で構成され、左右の各側面壁がそれぞれ1つの吸音壁装置1で構成されているとともに、天面壁が二つの吸音パネル2のみを載置して構成され、全体として箱形状になっている。
【0023】
上記吸音壁装置1の吸音パネル2には、これを型枠骨組体3に対し容易に着脱するための把持部11が上端面に取り付けられている。また、天面壁を構成する吸音パネル2には、一対の把持部11が後述する背面における対向両端部にそれぞれ取り付けられており、この吸音パネル2は、型枠骨組体3と共に吸音壁装置1を構成する吸音パネル2に対して、把持部11の取付個数および取付位置が相違し、且つ後述する嵌合溝を有していないだけで、実質的に同一の構成を有していることから、同一の符号を付してある。
【0024】
防音室の左右の各側面壁を構成する吸音壁装置1の型枠骨組体3は、底部骨組部材4の両端部に一対の側部骨組部材7が立設状態でねじ止め手段によって連結され、内部に吸音パネル2の取付空間を形成したほぼU字形状に組み立てられている。一方、正面壁および背面壁をそれぞれ形成する各2つの吸音壁装置1の型枠骨組体3は、左右の側面壁を構成する上記吸音壁装置1の一方の側部骨組部材7を兼用するとともに、一つの側部骨組部材10を互いに兼用して、これら側部骨組部材7,10が立設状態で底部骨組部材4の両端部にねじ止め手段で連結され、内部に吸音パネル2の取付空間を形成したほぼU字形状に組み立てられている。
【0025】
図1に示すように、各型枠骨組体3の底部骨組部材4には、その上面における幅方向の中央部に長手方向に沿った係合レール部8が一体に突設されている。また、防音室における左右の側面壁を構成する吸音壁装置1の型枠骨組体3の左右両側の側部骨組部材7には、それぞれ隣接する2つの外側面における幅方向の中央部に長手方向に沿ったガイドレール部9が一体に突設されている。さらに、防音室における前面壁および背面壁をそれぞれ構成する各2つの吸音壁装置1の各々の型枠骨組体3に兼用される側部骨組部材10には、相対向する2つの外側面における幅方向の中央部に長手方向に沿ったガイドレール部12が突設されている。
【0026】
一方、吸音パネル2には、図1に明示するように、型枠骨組体3のガイドレール部9,12を嵌まり込ませる嵌合溝13が左右の両側面にそれぞれ凹設されているとともに、底面にも後述する嵌合溝が凹設されており、防音室を構築した際の内面となる吸音面の下端近傍箇所の両側位置に一対の水抜き孔15が設けられている。なお、図示していないが、吸音パネル2の上端部には通気孔が形成されており、これにより、吸音パネル2の内部に入った液体を水抜き孔15から効率良く外部に排出できるようになっている。
【0027】
図3および図4は図2のA−A線およびB−B線でそれぞれ切断した拡大断面図を示す。これらの図において、底部骨組部材4および側部骨組部材7は、横断面形状が正方形で中空のアルミニウム製の押出し成形品からなり、図1および図2の側部骨組部材10も横断面形状が正方形で中空のアルミニウム製の押出し成形品からなる。これら底部骨組部材4および側部骨組部材7には、要部でないことから図示を省略しているが、取付ねじのねじ部を通しねじ止め部を補強する複数の突出部が正方形の各辺の内面に一体に突設されている。
【0028】
吸音パネル2は、アルミニウム製の押出し成形品からなる四つの構成部材が矩形状に組み付けられた型枠フレーム14を有し、この型枠フレーム14の内部に、3枚の音吸収板17と1枚の音反射板18とが所定の間隙を存した配置で取り付けられた構成になっている。上記型枠フレーム14の四つの構成部材は、長方形の横断面形状を有する筒状部19の内側両端角部から一対の内向きの保持フランジ部20が一体に突設されているとともに、この両フランジ部20の間における背面側(上記吸音面とは反対側)寄りの箇所から小フランジ部21が一体に突設されている。型枠フレーム14における左右両側の2つの筒状部19には、これの外側面の中央部に前述の嵌合溝13が形成されているとともに、図4に示すように、型枠フレーム14における底側の筒状部19には、これの上面の中央部に型枠骨組体3のガイドレール部9を嵌入させる嵌合溝13が形成されている。
【0029】
各型枠フレーム14における底部を除く3箇所には、各々の小フランジ部21と吸音面側の保持フランジ部20との各間にそれぞれ、型枠フレーム14の各辺とほぼ同じ長さを有する3本の角筒状のアルミニウム製保持パイプ材22が所定の間隙を存して互いに平行に対面した状態で一列に配置されてねじ止め手段により固定されている。
【0030】
一方、図4に示すように、型枠フレーム14の底部箇所には、吸音面側の保持フランジ部20に図1で説明した水抜き孔15が形成されており、この水抜き孔15の上方位置における小フランジ部21と吸音面側の保持フランジ部20との間において、複数の短寸保持パイプ材23が、一定の間隔を存して一列に配置された配列が所定の間隙を存して並列された状態で固定されている。これにより、各短寸保持パイプ材23と型枠フレーム14の底部箇所との間には、集水空間24が設けられている。
【0031】
図5は、上記短寸保持パイプ材23の配列状態を示す斜視図である。この短寸保持パイプ材23は、左右両側の各3本の保持パイプ材22が相対向する3つの領域にそれぞれ複数本が間隙を存した不連続な配置で、且つ隣接する領域間において千鳥状となるように配設されている。これにより、型枠フレーム14の底部の上方箇所には、四本の短寸保持パイプ材23で囲まれたり、短寸保持パイプ材23、保持パイプ材22、音吸収板17および音反射板18で囲まれた複数の長方形状の導水空隙27が形設されている。したがって、吸音パネル2内に侵入した水などの液体は、各導水空隙27から集水空間24に集められたのちに、上記水抜き孔15から外部に排出されるようになっている。上記短寸保持パイプ材23は、やはりアルミニウム製である。また、隣接する各2枚の音吸収板17の間および背面側の音吸収板17と音反射板18との間は、それぞれ音波干渉空間28になっている。
【0032】
背面側の2枚の音吸収板17は、その周縁部をそれぞれれ隣接する各2つの保持パイプ材22に係入して保持され、前面側の1枚の音吸収板17は、その周縁部を型枠フレーム14の吸音面側の保持フランジ部20と保持パイプ材22との間に係入して保持されている。但し、3枚の各音吸収板17は何れも周縁部を保持されているが、この音吸収板17を挟持する隣接する二つの保持パイプ材22の間隔および吸音面側保持フランジ部20と保持パイプ材22との間隔は、音吸収板17の厚みよりも僅かに大きく設定されている。これにより、各音吸収板17は、前後方向に進退動可能、つまり振動可能な状態で自体の周縁部を保持されている。
【0033】
図6は、図4の一部の拡大図であって、音吸収板17を詳細に示したものである。この音吸収板17は、板状の金属(アルミニウム)繊維群17aの両面に一対のアルミニウム製の網目状金属プレート17b、17cを重合してこれらを一体化したものである。したがって、音吸収板17は、全体として多孔質板になっており、表面より音を吸収して透過させる機能を備えている。
【0034】
また、音反射板18は、図3および図4に示すように、一対のアルミニウム製の金属平板18a,18bの間に、断面六角形のアルミニウム製偏平筒体を互いに密接させて多数個配置してなる金属ハニカム構造体18cを挟み込み、これらを一体化したものである。この音反射板18の外周縁と型枠フレーム14の筒状部19の内側面との間には、シール部材29が背面側保持フランジ部20と小フランジ部21とで挟持される状態で設けられている。このシール部材29は、音波が吸音パネル2の外側面をなす音反射板18から外方へ漏れるのを防止している。
【0035】
なお、上記実施の形態では、吸音パネル2における型枠フレーム14の筒状部19、保持パイプ材22および小寸保持パイプ23の各々の内面に、取付ねじのねじ部を通しねじ止め部を補強する複数の突出部30,31,32がそれぞれ押出し成形によって一体成形されている。
【0036】
上記吸音壁装置1を用いて防音室を構築する場合には、吸音壁装置1の型枠骨組体3を騒音発生源の周囲を取り囲むように所要数設置して、これら型枠骨組体3の隣接する二つをねじ止め手段などによって互いに連結する。つぎに、各型枠骨組体3には、図1に示すように、吸音パネル2を、音反射板18が外側となる向きで両側面の嵌合溝13に型枠骨組体3のガイドレール部9,12を嵌入させながら型枠骨組体3に上方から嵌め込む。この吸音パネル2の型枠骨組体3への嵌め込み作業は、把持部11を介して吸音パネル2を吊り下げることにより、容易に行うことができる。
【0037】
このように、各型枠骨組体3に吸音パネル2を嵌め込めば、複数の吸音壁装置1によって防音室の前面壁、背面壁および左右の側面壁が出来上がる。最後に、上部には、天面壁用の吸音パネル2を、これの音反射板18が外側(この場合は上方側)となる向きで前面壁と背面壁とに架け渡して載置すると、図2の防音室の構築が完了する。天面壁用の吸音パネル2は、前面壁、背面壁および側面壁を構成する各吸音壁装置1の各々の吸音パネル2の把持部11が当接して位置規制され、残る一辺が隣接する二つの天面壁用吸音パネル2の各々の側端面が突き合わされて位置規制される。したがって、天面壁用吸音パネル2は、単に載置するだけで所定の位置決め状態に固定される。
【0038】
なお、上記防音室は、必要に応じて、特定の吸音壁装置1の吸音パネル2の一部にガラス窓や開口窓を取り付けたり、特定の型枠骨組体3にドアを取り付けた構造に容易に変更することができる。また、製造ラインにおける間仕切り壁を構築する場合には、例えば、図2に示した左右の側面壁を除外したトンネル構造とすればよい。
【0039】
つぎに、上記吸音壁装置1の吸音機能および防音室の防音機能について説明する。上記吸音壁装置1では、騒音発生源から吸音壁装置1に伝搬してきた音波が、先ず、吸音面側の音吸収板17に当たってこれを振動させ、その振動エネルギが熱に変換されることにより吸収されながら音吸収板17を透過したのちに、音波干渉空間28で干渉されて減衰されることにより吸収される。音吸収板17は、上述したように前後方向に進退動可能に周縁部を保持されているので、音波を受けて振動されることにより音波を熱エネルギにスムーズに変換して高い吸音性能を発揮するので、音吸収板17で反射されて騒音発生源側に戻っていく音波が極めて少なく、殆どの音波が音吸収板17に吸収透過される。
【0040】
しかも、上記実施の形態の吸音壁装置1では、音吸収板17および音波干渉空間28がそれぞれ三層に設けられているから、吸音壁装置1に伝搬してきた音波は、三層の音吸収板17および音波干渉空間28によって上述と同様の吸収透過を繰り返しながら進行して、最終層の音吸収板17を尚も透過して音反射板18に到達した音波は、音反射板18で反射される。この音反射板18では、到達した音波が、一対の金属平板18a,18b間に形成された金属ハニカム構造体18cのハニカム空間内に分散し、干渉されて減衰されるので、音反射板18自体でも音波吸収効果を発揮し、反響音を抑えることができるとともに、音反射板18を透過する音波を殆ど無くして、音波が吸音壁装置1の背面側外方へ漏れ出るのが確実に防止される。
【0041】
さらに、音反射板18て反射された音波は、再び三層の音吸収板17に対し減衰されながら順次透過するとともに、三層の音波干渉空間内でそれぞれ分散して、前面側からの入射波とランダムに干渉して減衰される。そのため、上記吸音壁装置1に前面側から透過した音波は、上述の効率良く発揮される吸音効果により減衰されて、吸音面から騒音発生源に殆ど戻らない。したがって、上記吸音壁装置1で騒音発生源の周囲を囲った防音室は、内部で発生した騒音を極めて効果的に吸音することができるので、音波が外部に殆ど漏れることのない優れた防音機能を有したものとなる。
【0042】
特に、上記実施の形態の吸音壁装置1は、熱湯、水または油などの液体を多量に使用する食品関係商品の製造工程において、衛生面に優れた好適な防音室や防音間仕切り壁を構築できるものであり、この点について、以下に詳述する。先ず第1に、上記吸音壁装置1の吸音パネル2および型枠骨組体3は、上述したように細部の構成部材に至るまで全てアルミニウムを素材として形成されながらも優れた吸音機能を発揮する構造になっている。すなわち、この吸音壁装置1は、既存の吸音パネルのように水切れが悪い上に洗剤などを用いて簡単に洗浄できず、且つ雑菌が繁殖するおそれがあるグラス類や綿状スポンジ類などを構成素材として一切使用していないことから、液体を多量に使用する食品関係商品の製造工程にも極めて好適に使用することができる。
【0043】
第2に、吸音壁装置1の吸音パネル2は、型枠骨組体3に対し挿抜手段によって着脱できるとともに、把持部11を介し吊り下げることによって型枠骨組体3に対し容易、且つ迅速に取り外しおよび取り付けできることから、大きな労力を要することなく簡単に分解して洗浄できるとともに、洗浄後に容易、且つ迅速に組み立てできることから、頻繁に洗浄することが可能である。一方、型枠骨組体3は吸音パネル2を取り外した状態で洗剤により容易、且つ効果的に洗浄できる。天面壁を構成する吸音パネル2は、前面壁、背面壁および左右の側面壁を構成する吸音壁装置1の各々の吸音パネル2の把持部11で位置決め状態に保持できることから、単に載置するだけで取り付けできる。しかも、吸音パネル2は、上述のように全ての素材がアルミニウム製であって、洗浄が困難なグラス類や綿状スポンジ類などを一切使用していないので、洗剤で簡単に洗浄できる。これらにより、吸音パネル2および型枠骨組体3は、常に良好な衛生状態に保つことが可能となり、衛生面が特に重視される食品関係商品の製造工程の防音室の構築に好適なものとなる。
【0044】
第3に、上記吸音壁装置1の吸音パネル2は、前側の吸音面から内部に侵入した液体を背面側に漏れ出るのを確実に防止して吸音面側に効率的に戻すことが可能な構造になっている。すなわち、騒音発生源側で飛散した液体が多孔質からなる三層の音吸収板17を透過して入り込んだ場合、この液体は、音反射板18の2枚の金属平板18a,18bと嵌合溝13に嵌入したガイドレール部12および係合レール部8とによって背面側に漏れ出るのが確実に阻止される。
【0045】
その吸音パネル2内に侵入した液体は、三層の音波干渉空間28内において流下または音吸収板17や音反射板18に伝い落ちたのち、各短寸保持パイプ材23の間の複数の導水空隙27から集水空間24内に効率的に流入して、図5に矢印で示すように、水抜き孔15から騒音発生源側である吸音面側に戻される。このとき、吸音パネル2の上端部には図示しない通気孔が設けられているから、吸音パネル2内の液体の上記経路を介しての外部排出は極めてスムーズに行われる。このように、吸音パネル2は極めて水切りが良いことから、洗浄後の乾燥が短時間で行われ、この点からも頻繁に洗浄することが一層容易となる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、吸音パネル2および型枠骨組体3を全てアルミニウムを素材として形成した場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ステンレスや樹脂の押出し成形品およびステンレス製多孔質材または樹脂製多孔質材を用いて構成しても、第1の実施の形態で説明したと同様の効果を得ることができる。また、上記実施の形態では、多孔質の音吸収板17を三層構造に設けた場合を例示しているが、この音吸収板17は、吸音すべき音の種類や大小に対応して四層以上または3層以下に適宜設定して構成することにより、構成を簡素化しながら所要の吸音効果を得ることができる。
【0047】
図7(a),(b)は本発明の第2の実施の形態に係る吸音壁装置1を示す一部の横断面図および一部の縦断面図であり、同図において、図3および図4と同一若しくは同等のものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。上記の第1の実施の形態の吸音壁装置1では、吸音パネル2の三辺に設けた嵌合溝13にガイドレール部9,12および係合レール部8を嵌合させることによって吸音パネル2を型枠骨組体3に係合保持させる構造としたが、この係合保持構造に代えて、この実施の形態の吸音壁装置1では、上記の嵌合溝13、ガイドレール部9,12および係合レール部8を設けずに、アルミニウム製の取付フレーム部材33を型枠骨組体3の内側面にねじ止め手段で固着して、この取付フレーム部材33に吸音パネル2が挿入されて着脱自在に保持される構成になっている。
【0048】
上記取付フレーム部材33は、一辺の開口部から吸音パネルを嵌め入れることのできる横断面形状がほぼU字状になっており、型枠骨組体3の底部骨組部材4および両側の側部骨組部材7,10の一面にねじ止め手段で固着されるほぼU字形状の連結板部34と、この連結板部34の幅方向の両側辺から直交方向に突出した一対の保持板部37と、連結板部34の底部分の一辺から直交方向に立ち上がった係止板部38とを一体に備えた形状になっている。したがって、吸音パネル2は、(a)に示すように、一対の保持板部37間に嵌入されて、取付フレーム部材33を介し型枠骨組体3に着脱自在に保持される。この吸音パネル2の保持構造では、構成を簡素化しながらも、吸音パネル2を外圧に抗して堅固に保持できる利点があり、第1の実施の形態の係合保持構造と同様に、吸音面側から侵入した液体を背面側から漏れ出ないよう阻止する機能をも有している。
【0049】
図8(a),(b)および図9(a),(b)はそれぞれ本発明の第3ないし第6の実施の形態に係る吸音壁装置39〜42をそれぞれ示す横(水平)断面図であり、これらの図において、図3と同一若しくは実質的に同等のものには同一の符号を付して、重複する説明を省略する。図8(a)の吸音壁装置39は、第1の実施の形態の吸音壁装置1の吸音パネル2に設けられた平板状の多孔質板からなる3枚の音吸収板17に代えて、これと同一の平板状多孔質の1枚の音吸収板17と、円筒状の複数個(この実施の形態では7個の場合を例示)の音吸収部材49とを用いて吸音パネル43を構成したものである。
【0050】
すなわち、この吸音パネル43は、音吸収板17を型枠フレーム材14における吸音面側の保持フランジ部20に内方から当てがって保持するとともに、複数個の音吸収部材49を、互いに平行な配置で一列に連続的に並べた状態で、型枠フレーム14内に嵌め込んで音吸収板17と音反射板18との間で保持してパネル化されている。音吸収部材49は、音吸収板17と同様に、板状の金属(アルミニウム)繊維群の両面に一対のアルミニウム製の網目状金属プレートを重合してこれらを一体化した多孔質板、あるいは吸音フィルムと網目状金属プレートを積層した多孔質板を円筒状に形成したものである。
【0051】
この吸音壁装置39では、音源側から伝搬してきた音波が、音吸収板17および音吸収部材49をそれぞれ振動させ、その振動が音吸収板17および音吸収部材49の各々の網目状金属プレートで吸収されて熱に変わることにより、吸収される。一方、円筒状の音吸収部材49を透過して内部の閉鎖空間に入り込んだ音波は、断面円形の閉鎖空間内でランダムに反射して互いに干渉することにより減衰し、この空間内での減衰効果が音吸収板17および音吸収部材49の振動による吸音効果にプラスされるので、高い吸音効果を得ることができる。したがって、この吸音壁装置39では、音波が種々の音域成分を含んだものであっても、この音波を効果的に吸収して減衰させることができ、また、吸音パネル43は、円筒状の複数の音吸収部材49が上下方向の配置で設けられているので、良好な水切り効果を得ることができ、液体を多量使用する製造工程に一層好適に用いることができる。
【0052】
図8(b)の吸音壁装置40は、第1の実施の形態の吸音壁装置1の吸音パネル2の3枚の音吸収板17に代えて、これと同一の平板状多孔質の音吸収板17と、板状の金属(アルミニウム)繊維群の両面に一対のアルミニウム製の網目状金属プレートを重合してこれらを一体化した多孔質板、あるいは吸音フィルムと金属プレートを積層した多孔質板の何れかの多孔質板を波状に変形させた音吸収板50とを用いて吸音パネル44が構成されている。すなわち、吸音パネル44は、音吸収板17を形枠フレーム材14における前面側の保持フランジ部20に内方から当てがって保持するともに、波状に変形させた音吸収板50を、型枠フレーム14に嵌め込んで音吸収板17と音反射板18との間で保持してパネル化することにより、構成されている。
【0053】
この吸音壁装置40では、音源側から伝搬されて吸音面側の音吸収板17に対しこれを振動させながら透過した音波が、音吸収板17と音吸収板50とで囲まれた閉鎖空間内でランダムに反射して互いに干渉することにより減衰する。また音吸収板50は、吸音面側(図の下面側)から見た波形凸部50aの端面が音吸収板17で抜け止めされ、且つ波形凹部50bが音反射板18に当接された状態で軽く拘束されているだけであるから、音波による振動の自由度が大きい。そのため、音波は、音吸収板50を比較的大きな振幅で振動させ、その振動が音吸収板50の網目状金属プレートで吸収されて熱に変わることにより、殆どが音吸収板50に吸収される。
【0054】
上記音吸収板50を尚も透過した音波は、隣接する二つの波形凹部50bの間において波形凸部50aと音反射板18とで形成される閉鎖空間内でランダムに反射して互いに干渉して減衰するとともに、入射波と反射波とが相互に干渉することによっても減衰する。そのため、この吸音壁装置40は、(a)の吸音壁装置39と同様に、音波が種々の音域成分を含んだものであっても、この音波を効果的に吸収して減衰させることができる。
【0055】
図9(a)の吸音壁装置41は、第1の実施の形態の吸音壁装置1の吸音パネル2の3枚の音吸収板17に代えて、これと同一の平板状多孔質の音吸収板17と、板状の金属(アルミニウム)繊維群の両面に一対のアルミニウム製の網目状金属プレートを重合してこれらを一体化した多孔質板、あるいは吸音フィルムと金属プレートを積層した多孔質板の何れかの多孔質板を三角形状にジグザグに連続して屈曲状に形成した音吸収板51とを用いて吸音パネル47が構成されている。すなわち、吸音パネル47は、音吸収板17を型枠フレーム材14における吸音面側の保持フランジ部20に内方から当てがって保持するとともに、三角形状に屈曲した音吸収板51を、型枠フレーム14に嵌め込んで音吸収板17と音反射板18との間で保持してパネル化することにより、構成されている。
【0056】
この吸音壁装置41では、音源側から伝搬されて吸音面側の音吸収板17に対しこれを振動させながら透過した音波が、音吸収板17と音吸収板51とで囲まれた閉鎖空間内でランダムに反射して互いに干渉することにより減衰し、音吸収板51を尚も透過して音反射板18で反射した音波が、音反射板18と音吸収板51とで囲まれた閉鎖空間内でランダムに反射して互いに干渉することにより減衰する。
【0057】
このとき、音波の入射波のうちの低音域成分は、両音吸収板17,51による閉鎖空間における両音吸収板17,51が大きい間隔Cで相対向する箇所で減衰され、且つ高音域成分は上記閉鎖空間における両音吸収板17,51が小さい間隔Dで相対向する箇所で減衰される。また、音波の音反射板18からの反射波のうちの低音域成分は、音反射板18と音吸収板51とによる閉鎖空間における音反射板18と音吸収板51とが大きい間隔Eで相対向する箇所で減衰され、且つ高音域成分は上記閉鎖空間における音反射板18と音吸収板51とが小さい間隔Fで相対向する箇所で減衰される。この吸音壁装置41は、同一方向における音吸収板51の両面側に大きい間隔C,Eと小さい間隔D,Fとが共に存在するので、音波が種々の音域成分を含んだものであっても、この音波を効果的に吸収して減衰させることができる。
【0058】
図9(b)の吸音壁装置42は、第1の実施の形態の吸音壁装置1の吸音パネル2の3枚の音吸収板17に代えて、これと同一の平板状多孔質の音吸収板17の周縁部を形枠フレーム材14における吸音面側の保持フランジ部20に内方から当てがって保持するとともに、板状の金属(アルミニウム)繊維群の両面に一対のアルミニウム製の網目状金属プレートを重合してこれらを一体化した多孔質板、あるいは吸音フィルムと金属プレートを積層した多孔質板の何れからなる単一の音吸収板52を、型枠フレーム14に対しこれの横断面長方形の対角線上に配置するよう嵌め込み固定してパネル化することにより、吸音パネル48が構成されている。
【0059】
この吸音壁装置42では、音源側から伝搬されて前面側の音吸収板17に対しこれを振動させながら透過した音波が、音吸収板17と音吸収板52とで囲まれた横断面三角形の閉鎖空間内でランダムに反射して互いに干渉することにより減衰し、音吸収板52を尚も透過して音反射板18で反射した音波が、音反射板18と音吸収板52とで囲まれた横断面三角形の閉鎖空間内でランダムに反射して互いに干渉することにより減衰する。
【0060】
このとき、音波の入射波のうちの低音域成分は、両音吸収板17,52による閉鎖空間における両音吸収板17,52が大きい間隔Gで相対向する箇所で減衰され、且つ高音域成分は上記閉鎖空間における両音吸収板17,52が小さい間隔Hで相対向する箇所で減衰される。また、音波の音反射板18からの反射波のうちの低音域成分は、音反射板18と音吸収板52とによる閉鎖空間における音反射板18と音吸収板52とが大きい間隔Iで相対向する箇所で減衰され、且つ高音域成分は上記閉鎖空間における音反射板18と音吸収板52とが小さい間隔Jで相対向する箇所で減衰される。同一方向における音吸収板52の両面側に大きい間隔G,Iと小さい間隔H,Jとが共に存在するので、この吸音壁装置42は、音波が種々の音域成分を含んだものであっても、この音波を効果的に吸収して減衰させることができる。また、この吸音パネル48は構成を簡素化しながらも所要の吸音効果を得られる効果を奏する。
【0061】
図8(a),(b)および図9(a),(b)の各吸音壁装置39〜42は、騒音発生源の発生音の種類に対応できるものを適宜選択して、或いは組み合わせて用いることにより、種々の種類の発生音をも効果的に吸収して減衰させることができ、極めて防音効果の高い防音室を構築することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明の吸音壁装置によれば、型枠骨組体に吸音パネルが着脱自在に保持されているので、大きな労力を要することなく分解および組み立てを迅速に行うことができるとともに、音吸収板が軽量金属製または樹脂製の多孔質板で構成されているので、水切れが良い上に洗剤などを用いて簡単に洗浄でき、且つ雑菌が繁殖するおそれもなく、簡単に分解して洗剤で頻繁に洗浄することができるから、常に良好な衛生状態に保つことが可能となり、衛生面が特に重視される食品関係商品の製造工程の防音室の構築に好適なものとなる。さらに、この吸音壁装置では、吸音面から内部に侵入した液体を係合保持手段で背面側に漏れ出るのを確実に防止して、水抜き孔から吸音面側に効率的に戻す構造を備えているので、液体を大量使用する製造工程に支障無く用いることができる。
【0063】
また、この吸音壁装置は、音波により振動されて振動エネルギを熱に変換して音波を吸収する音吸収板と、音波を相互に干渉されて減衰される音波干渉空間とがそれぞれ複数層に設けられているとともに、背面側に音反射板が設けられているから、吸音面側に伝搬してきた音波を極めて効率良く発揮される吸音効果により確実に吸収して減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る吸音壁装置を用いて防音室を構築する過程を示す斜視図。
【図2】同上の吸音壁装置を用いた防音室を示す斜視図。
【図3】図2のA−A線で切断した拡大断面図。
【図4】図2のB−B線で切断した拡大断面図。
【図5】同上の吸音壁装置の吸音パネルの一部を示す破断斜視図。
【図6】図4の一部の拡大図。
【図7】(a),(b)は本発明の第2の実施の形態に係る吸音壁装置を示す一部の横断面図および一部の縦断面図。
【図8】(a),(b)は本発明の第3および第4の実施の形態に係る吸音壁装置をそれぞれ示す横断面図。
【図9】(a),(b)は本発明の第5および第6の実施の形態に係る吸音壁装置をそれぞれ示す横断面図。
【符号の説明】
1,39〜42 吸音壁装置
2,43,44,47,48 吸音パネル
3 型枠骨組体
4 底部骨組部材
7 側部骨組部材
8 係合レール部(レール部)
9,12 ガイドレール部(レール部)
11 把持部
13 嵌合溝
14 型枠フレーム
15 水抜き孔
17,50〜52 音吸収板
17a 金属繊維群
17b,17c 網目状金属プレート(網目状プレート)
18 音反射板
18a,18b 金属平板(平板)
18c 金属ハニカム構造体(ハニカム構造体)
20 保持フランジ部
22 保持パイプ材(保持部材)
23 短寸保持パイプ材(保持部材)
24 集水空間
27 導水空隙
28 音波干渉空間
33 取付フレーム部材(係合保持手段)
49 音吸収部材

Claims (8)

  1. 矩形状のパネル取付空間を有し、その矩形状の一辺が開口したほぼU字形状の型枠骨組体と、
    前記型枠骨組体にその開口部から嵌入して着脱自在に取り付けられる吸音パネルとを備えてなり、
    前記吸音パネルは、前記取付空間に嵌まり込む矩形状の型枠フレームに、軽量金属製または樹脂製の多孔質板からなる複数の音吸収板が各々の間に音波干渉空間を形成する所定間隔を設けた配置で吸音面側に保持され、且つ音反射板が前記吸音面側とは反対の背面側に前記音吸収板との間に音波干渉空間を形成する所定間隔を設けた配置で固定されているとともに、前記型枠フレームの吸音面側下端部に水抜き孔が設けられてなり、
    前記吸音パネルが、吸音面側から背面側への液体の通過を阻止する係合保持手段を介して前記型枠骨組体に着脱自在に保持されていることを特徴とする吸音壁装置。
  2. 型枠骨組体および吸音パネルが、アルミニウムまたはステンレスの軽量金属あるいは合成樹脂の何れかを主素材として形成されている請求項1に記載の吸音壁装置。
  3. 型枠骨組体は、軽量金属または樹脂の押出し成形品からなる単一の底部骨組部材と一対の側部骨組部材とがほぼU字状の組み合わせで連結されてなり、
    吸音パネルは、軽量金属または樹脂の押出し成形品を矩形状に連結してなる型枠フレームと、板状の金属繊維群の両面に一対の網目状プレートを重合して一体化した多孔質板からなる複数枚の音吸収板と、多数個の小筒体を配列したハニカム構造体を一対の平板で挟持固定してなる音反射板と、前記型枠フレームの上辺の外面に取り付けられた把持部とを備えて構成されている請求項1または2に記載の吸音壁装置。
  4. 吸音パネルの型枠フレームは、幅方向の両端部から内方に突出する保持フランジ部を四辺にわたり有するとともに、四辺の各々の前記両保持フランジ部の各間に複数の保持部材がそれらの間に所定間隔を設けた配置で固着され、
    複数の前記音吸収板は、各々の周縁部が隣接する各2つの前記保持部材の間および前記保持フランジ部と前記保持部材との間にそれぞれ係入して保持されている請求項1ないし3の何れかに記載の吸音壁装置。
  5. 型枠フレームの下辺側に設けられた所定個数の保持部材は、前記型枠フレームの下辺との間に集水空間を形成する間隔を存し、且つ隣接する各2枚の音吸収板の各間において前記集水空間に通じる導水空隙を形成するよう離間して配設され、前記集水空間における吸音面側に水抜き孔が形成されている請求項4に記載の吸音壁装置。
  6. 吸音パネルと型枠骨組体との係合保持手段は、前記吸音パネルおよび前記型枠骨組体のうちの一方に設けられたレール部と他方に設けられて前記レール部が挿抜自在に嵌入する嵌合溝、または前記型枠骨組体の三辺の内面に固着されて前記吸音パネルの三辺の縁部を挿抜自在に挟持する取付フレーム部材の何れかで構成されている請求項1ないし5の何れかに記載の吸音壁装置。
  7. 請求項1に記載の吸音壁装置における吸音パネルに代えて、矩形状の型枠フレームに、軽量金属製または樹脂製の多孔質板からなる単一の音吸収板が吸音面側に、音反射板が前記吸音面側とは反対の背面側にそれぞれ配置して取り付けられているとともに、前記音吸収板と前記音反射板との間に、筒形状を有して一列配置された複数の多孔質の音吸収部材、または多孔質板を波状に湾曲あるいは三角形状に屈曲してなる音吸収板の何れかが保持されてなる吸音パネルを用いることを特徴とする吸音壁装置。
  8. 請求項1ないし7の何れかに記載の吸音壁装置が、音反射板が外側に位置する向きで騒音発生源を取り囲む配置で所定数だけ連設されて、前面壁、背面壁および左右の側面壁が構築され、これら各面壁の上端部に架け渡した配置で吸音パネルが載置されていることを特徴とする防音室。
JP2002350892A 2002-12-03 2002-12-03 吸音壁装置とこれを用いた防音室 Expired - Lifetime JP4112958B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002350892A JP4112958B2 (ja) 2002-12-03 2002-12-03 吸音壁装置とこれを用いた防音室

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002350892A JP4112958B2 (ja) 2002-12-03 2002-12-03 吸音壁装置とこれを用いた防音室

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004184667A true JP2004184667A (ja) 2004-07-02
JP4112958B2 JP4112958B2 (ja) 2008-07-02

Family

ID=32752954

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002350892A Expired - Lifetime JP4112958B2 (ja) 2002-12-03 2002-12-03 吸音壁装置とこれを用いた防音室

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4112958B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006080150A1 (ja) * 2005-01-27 2006-08-03 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 二重壁構造体
WO2007040265A1 (ja) * 2005-10-05 2007-04-12 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 防音パネル
JP2011170374A (ja) * 2011-04-12 2011-09-01 Kobe Steel Ltd 二重壁構造体
CN105869619A (zh) * 2016-05-10 2016-08-17 叶小民 鱼鳞降噪机

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102577962B1 (ko) * 2022-12-15 2023-09-15 (주)태평양 간섭현상을 이용한 유지보수형 투명방음판을 구비한 방음벽

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006080150A1 (ja) * 2005-01-27 2006-08-03 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 二重壁構造体
JP2006208617A (ja) * 2005-01-27 2006-08-10 Kobe Steel Ltd 二重壁構造体
DE112005003394B4 (de) * 2005-01-27 2018-11-15 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho Automobilteil mit einer Doppelwandstruktur
WO2007040265A1 (ja) * 2005-10-05 2007-04-12 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 防音パネル
JP2011170374A (ja) * 2011-04-12 2011-09-01 Kobe Steel Ltd 二重壁構造体
CN105869619A (zh) * 2016-05-10 2016-08-17 叶小民 鱼鳞降噪机
CN105869619B (zh) * 2016-05-10 2023-11-24 叶小民 鱼鳞降噪机

Also Published As

Publication number Publication date
JP4112958B2 (ja) 2008-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI299853B (ja)
RU2495500C2 (ru) Звукопоглощающая конструкция
RU2532513C1 (ru) Звукопоглощающий элемент (варианты)
RU2341625C2 (ru) Акустический экран кочетовых
JPH0333897A (ja) 吸音体
JP2008009014A (ja) 多孔質防音構造体
US4842097A (en) Sound absorbing structure
RU171794U1 (ru) Звукопоглощающая панель для шумозащитной конструкции
JP4112958B2 (ja) 吸音壁装置とこれを用いた防音室
US20120145479A1 (en) Sound absorbing body
JP6222628B2 (ja) ペーパーコア材を使った吸音パネル
KR101322038B1 (ko) 흡음 시스템
RU2455432C2 (ru) Звукопоглощающая конструкция цеха
JP7372502B2 (ja) 間仕切り装置
JP2878091B2 (ja) 多孔質構造体モジュールを用いた音響パネル及び音響装置
JPH11200528A (ja) 吸音パネル
JP3522583B2 (ja) 吸音パネル
KR960004924Y1 (ko) 소음 · 진동 흡수용 흡음판의 구조
JP2008144580A (ja) 防音パネル
RU2648726C1 (ru) Шумопоглощающая панель
RU62942U1 (ru) Звукоизолирующая панель
KR200454201Y1 (ko) 금속판을 이용한 다중 차음판
JP2001236075A (ja) 防音構造体
RU2646256C1 (ru) Акустический экран для производственных помещений
RU2644788C1 (ru) Акустический экран для производственных помещений

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080325

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080410

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4112958

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110418

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120418

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120418

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130418

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130418

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140418

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term