JP2004184664A - 液晶表示装置用カラーフィルター、液晶表示装置および液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法 - Google Patents
液晶表示装置用カラーフィルター、液晶表示装置および液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】オーバーコート塗布工程や表面研磨工程を追加することなく、表面平坦性を向上させた樹脂ブラックマトリクス付きカラーフィルターを安価に得る。
【解決手段】複数色の画素と樹脂ブラックマトリックスを含むカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素のブラックマトリクスの開口部において、パターン加工された複数の樹脂層が積層された構造を有し、画素の最上層が感光性レジストから形成されている液晶表示装置用カラーフィルター。
【選択図】図3
【解決手段】複数色の画素と樹脂ブラックマトリックスを含むカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素のブラックマトリクスの開口部において、パターン加工された複数の樹脂層が積層された構造を有し、画素の最上層が感光性レジストから形成されている液晶表示装置用カラーフィルター。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルター、およびそれを用いた液晶表示装置、およびカラーフィルターの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を生かし、ノートPC、携帯情報端末、デジタルカメラ等様々な用途で使用されている。液晶表示装置の表示特性(輝度、色再現性、視野角特性など)がより向上したことにより、液晶表示装置の用途は、従来のノートPC用途に加え、デスクトップモニタ用途への展開が進んでいる。さらに、最近ではデスクトップモニタの色再現性をさらに向上させた大型の液晶テレビが開発されている。
【0003】
液晶表示装置をカラー化するために用いられるカラーフィルターは、一般に透明基板上に形成された赤、緑、青の3原色の着色層を一絵素として多数の絵素から構成されている。そして、各着色層間には、表示コントラストを高めるために遮光領域(画面上では、一般に黒色に見えることから、ブラックマトリックスと称されている)が設けられている。
【0004】
デスクトップモニタや液晶テレビ向けのカラーフィルターは、高い色再現性が必要とされるため、着色層の膜厚が厚くなる傾向にある。また、ブラックマトリクスについても、より高い遮光性が必要とされている。
従来のカラーフィルタのブラックマトリックスは、微細にパターニングされた金属薄膜、あるいは遮光剤により着色された樹脂をパターニングすることにより形成されることが多い。
【0005】
金属薄膜によるブラックマトリックスの場合、反射光が大きく、また、製造コストが高く、さらにはパターン加工を行う際に6価クロム等の有害な物質を生成し、環境汚染が問題となる場合もある。金属酸化物、あるいは金属窒化物を用いた多層膜によるブラックマトリックスの場合は、反射光は小さくなるものの、製造コスト及び環境汚染の問題については軽減されない。一方、遮光剤によって着色された樹脂をパターニングして得られたブラックマトリックスの場合、金属薄膜の場合に比べ、低反射という利点がある。また、真空プロセスを必要としないため、m級の大型基板での製膜が可能という利点もある。しかしながら、樹脂ブラックマトリックスを用いた従来のカラーフィルタでは、ブラックマトリクス上での画素段差のために、部分的に液晶の配向不良が発生し、光漏れによるコントラスト低下や残像等の問題が生じやすい。また、ラビングの不均一も生じやすく、これによる表示不良が発生しやすくなる。
【0006】
デスクトップモニタや液晶テレビなどの大型液晶表示装置では、液晶の応答速度を向上させるために、液晶層のギャップを狭くする傾向にあり、ブラックマトリクス上での画素段差が表示に及ぼす影響がより大きくなってきている。
【0007】
ブラックマトリクス上での画素段差を軽減する方法としては、着色層の上にオーバーコート層を塗布することや着色層を表面研磨することなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、いずれの方法においても、製造工程が増え、製造コストが増加するという問題点があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−218607号公報(第7〜10頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、樹脂ブラックマトリクスを用い、表面平坦性を向上させたカラーフィルターを低コストに製造し、さらには表示品位の高い液晶表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、表示品位の高い液晶表示装置を実現する十分な平坦性を有し、かつ工程増加を抑えて低コストで製造可能なカラーフィルターを見いだした。
すなわち、
(1)複数色の画素と樹脂ブラックマトリクスを含むカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素のブラックマトリクスの開口部においてパターン加工された複数の樹脂層が積層され、積層された樹脂層の最上層が感光性レジストから形成されていることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
(2)ブラックマトリクス上の一部に形成された樹脂層数がブラックマトリクスの開口部に積層された樹脂層数よりも少ないことを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(3)積層された樹脂層のうち、最上層の感光性レジストからなる樹脂層を除く、下層の樹脂層のブラックマトリクス開口部での膜厚がブラックマトリクスの膜厚よりも薄いことを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(4)複数の樹脂層が積層された画素の最上層の感光性レジストが透明レジストまたはカラーレジストから形成されていることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(5)複数の樹脂層の積層が2層であることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター
(6)下層の樹脂層が非感光性ペーストから形成されていることを特徴とする(5)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(7)非感光性ペーストがポリイミド樹脂を含むことを特徴とする(6)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(8)非感光性ペーストが着色剤を含むことを特徴とする(7)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(9)樹脂ブラックマトリックスの膜厚が4μm以下である(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(10)複数の樹脂層が積層された構造を有する画素について、1画素内の段差が0.5μm以下であることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(11)樹脂ブラックマトリクスを有する液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法であって、複数の樹脂層が積層された画素の最上層に感光性レジストを塗布する工程を含むことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法
(12)感光性レジストが感光性アクリルレジストであることを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法。
(13)積層する樹脂層のうち、最上層の感光性レジストからなる樹脂層を除く、下層の樹脂層のブラックマトリクス開口部での膜厚をブラックマトリクスの膜厚よりも薄く形成することを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法。
(14)ブラックマトリクス上に塗布された最上層以外の樹脂層を過現像条件によって除去する(11)に記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法
(15)(1)〜(10)のいずれかに記載のカラーフィルターを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂ブラックマトリックスを含むカラーフィルターにおいては、少なくとも1色の画素のブラックマトリクスの開口部において、パターン加工された複数の樹脂層が積層された構造を有し、該積層樹脂層の最上層が感光性の透明レジストまたはカラーレジストから形成されること、ならびにブラックマトリクス上の一部に形成された樹脂層数がブラックマトリクスの開口部に積層された樹脂層数よりも少ないことが重要である。
【0012】
複数の樹脂層を積層させること、ならびに最上層が感光性レジストであることで、下層の樹脂層との一括パターン加工ができる。
【0013】
本発明者らは一括パターン加工において、感光性レジストと非感光性ペーストとの現像特性の違いを利用して、最上層と下層とで異なる形状の樹脂層を形成することが可能であることを見出した。
【0014】
ネガ型感光性レジストと非感光性ペーストの現像特性の違いについて述べる。ネガ型感光性レジストでは、紫外線などにより露光された領域は、光架橋反応が進行し、現像液に不溶となる一方、未露光部分は、現像液に溶解する。したがって、十分な露光量の紫外線を照射することで、現像時間によらず、一定のパターンを形成することが出来る。
【0015】
非感光性ペーストのフォトリソ加工では、それ自体が感光性能を持たないため、感光性のレジストを非感光性ペーストからなる塗膜上に塗布する必要がある。感光性レジストならびに非感光性ペーストの積層膜に、紫外線を照射後、現像液に浸漬することで、感光性レジストと非感光性ペーストを一括現像し、パターンを形成する。その際、現像時間を適切に調整することで、感光性レジストと同様パターンを非感光性ペースト層に形成することが出来る。非感光性ペーストからなる塗膜層は、光照射によって、溶解性が変化することがないので、現像時間を延長することで、さらに塗膜層の現像を進めることが出来る。すなわち、現像時間を延長した過現像条件にすることで、上層の感光性レジストと下層の非感光性ペーストのパターン形状を異ならせることが出来る。
【0016】
さらに、本発明者らは凹状に形成された樹脂層上に、凹状樹脂層の膜厚よりも薄い膜厚の非感光性ペースト、さらにその上に感光性レジストを積層し、パターン加工する際に、凹状樹脂層の段差部分で非感光性ペーストのエッチング速度が非常に遅くなり、現像性を制御出来ることを見出した。
【0017】
すなわち、ブラックマトリクスが形成された基板上に積層塗布された感光性レジスト層と非感光性ペースト層を過現像条件で現像することで、ブラックマトリクス開口部については、樹脂層を積層させたままで、ブラックマトリクス上にある下層の非感光性ペースト層のみを溶解させ、最上層の感光性レジストのみとなるように加工することが出来ることを見出した。
【0018】
このように、ブラックマトリクス上に形成された樹脂層数をブラックマトリクスの開口部に積層された樹脂層数よりも少なくすることで、ブラックマトリクス上で発生する画素内段差を軽減することが出来ることを見出した。
【0019】
最上層に塗布される感光性レジストは、透明であっても着色を有していてもよい。ここでいう「透明」とは、具体的には製膜後に可視光領域の平均透過率が80%以上となることである。
【0020】
積層される樹脂層は最上層に感光性レジストからなる樹脂層が形成されることが必要であるが、感光性レジストの下の非感光性ペーストおよび/または感光性レジスト樹脂層は何層でも積層することが可能である。何層積層するかは目標の平坦性を達成するために適宜選択されるが、生産性の観点からは樹脂層としては感光性レジストと他の1層を組み合わせた2層積層構造であることがより好ましい。
【0021】
本発明のカラーフィルターーでは、画素内段差が0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。本発明で言う、「画素内段差」について図1に基づいて説明する。図1はカラーフィルターーの模式断面図である。図1に示されるカラーフィルターは、透明基板11上にブラックマトリックス12及び該ブラックマトリックス12の開口部及びブラックマトリックスの一部上に設けられた着色層13を有する。着色層13は、ブラックマトリックス12の開口部では、図示のように平坦であるが、ブラックマトリックス12のパターン上では、図示のようにブラックマトリックス12の膜厚のために着色層13が盛り上がる。必要によりこの上に透明電極14を設ける場合もあるが、ブラックマトリックス上の盛り上がりは解消されない。作製されたカラーフィルターの開口部の平坦部分と盛り上がりの頂点までの段差を本発明で規定する「画素内段差」と定義する。単一の画素内でも、領域により段差が異なることが普通であるが、本発明では、単一の画素内の最大の段差が0.5μm以下であることが好ましい。なお、画素内段差の測定は表面段差計、例えば(株)東京精密製、“サーフコム130A”で測定することができる。
【0022】
本発明のカラーフィルターのパターン形状については、ストライプ状、アイランド状などがあげられるが、特に限定されるものではない。以下、カラーフィルタの着色層パターンについて図2に基づいて説明する。図2はカラーフィルタを平面的に観察した模式図で、図2中、12は樹脂ブラックマトリックス、15は着色層例えば青色着色層(B)、16は着色層例えば赤色着色層(R)、17は着色層例えば緑色着色層(G)である。3原色が一定のピッチで周期的に配列されているカラーフィルタの場合、同一の色が連続している方向の着色層パターンは図2の(1) に示すようにストライプ状に形成されることが多い。しかしながら、本発明で規定される段差要件を実現するためには、開口部と開口部の間のブラックマトリックスパターン上には着色層を全面的に設けず、図2の(2)に示すようにアイランド状に形成する方が好ましい。パターンの形状は、フォトリソ法で加工する場合、着色層を形成する際に用いるフォトマスクのパターン加工条件により任意に選択することができる。
【0023】
本発明のカラーフィルターに設けられる樹脂ブラックマトリクスの膜厚は、遮光特性ならびに達成される平坦性を勘案したうえで選択する。樹脂ブラックマトリクスの膜厚があまり大きくなるとカラーフィルター表面の段差が大きくなり、液晶配向に悪影響を及ぼし表示品位が悪化する可能性があるので樹脂ブラックマトリクスの膜厚は4μm以下が好ましい。
【0024】
本発明で使用する樹脂含有塗液は、少なくとも樹脂成分と溶剤成分を含む。樹脂成分としては、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。樹脂層用の塗液は感光性、非感光性のどちらの材料でも使用することが可能である。
【0025】
樹脂含有塗液が感光性カラーレジストである場合は、着色成分と樹脂成分を含み、樹脂成分は光によって反応する感光成分を含む。光照射された樹脂が現像液への溶解速度のあがるポジ型と、光照射された樹脂が現像液への溶解速度の下がるネガ型があり、どちらも使用することが可能であるが、可視光で感光成分の透明性の高いネガ型樹脂が好ましく用いられる。感光性カラーレジストの樹脂成分としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。
【0026】
感光性レジストに使用する樹脂成分の例として、アクリル系樹脂について述べる。感光性アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的である。さらにエポキシを加えた、いわゆるアクリルエポキシ樹脂も用いることができる。
【0027】
使用できるアクリル系ポリマーとしては、特に限定はないが、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物などがあげられる。
【0028】
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系ポリマーを用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のようなものがある。このような側鎖をアクリル系(共)重合体に付加させる方法としては、アクリル系(共)重合体のカルボキシル基や水酸基などを有する場合には、これらにグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。その他、イソシアネートを利用してエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させることもできる。ここでいうグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどがあげられる。
【0030】
多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートのようなオリゴマー、あるいはトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。また、次にあげるような単官能モノマーも併用することができ、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどがあり、これらの2種以上の混合物、あるいはその他の化合物との混合物などが用いられる。これらの多官能及び単官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、ペーストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。特に、硬度を高くするにはアクリレート化合物よりメタクリレート化合物が好ましく、また、感度を上げるためには、官能基が3以上ある化合物が好ましい。また、メラミン類、グアナミン類などもアクリル系モノマーの代わりに好ましく用いることができる。
【0031】
光重合開始剤としては、特に限定はなく、公知のものが使用でき、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などがあげられる。また、その他のアセトフェノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、リン系化合物、トリアジン系化合物、あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤なども好ましく用いることができる。また、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどの増感助剤を添加すると、さらに感度を向上させることができ好ましい。また、これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもできる。
【0032】
光重合開始剤の添加量としては、特に限定はないが、ペースト全固形分に対して、好ましくは1〜30wt%、より好ましくは5〜25wt%、さらに好ましくは10〜20wt%である。
【0033】
次に、樹脂含有塗液が非感光性ペーストである場合に使用する樹脂成分の例としてポリイミド系樹脂について述べる。ポリイミド系樹脂としてはポリイミド前駆体であるポリアミック酸を、加熱又は適当な触媒によってイミド化したものが好適に用いられる。ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得ることができる。
【0034】
本発明におけるポリアミック酸の合成には、テトラカルボン酸二無水物として、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4´−オキシジフタル酸無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。なお、本発明は、これらに限定されずにテトラカルボン酸二無水物が1種または2種以上用いられる。
【0035】
また、本発明におけるポリアミック酸の合成には、ジアミンとして、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、エチレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルサルファイド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、3,3´−ジメチルベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、4,4”−ジアミノターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エ−テル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどが挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0036】
また、ジアミンの一部として、シロキサンジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下する。シロキサンジアミンの具体例としては、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンなどが挙げられる。本発明は、これに限定されずにジアミンが1種または2種以上用いられる。
【0037】
ポリアミック酸の合成は、極性有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンを混合して反応させることにより行うのが一般的である。この時、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物の混合比により、得られるポリアミック酸の重合度を調節することができる。 このほか、テトラカルボン酸ジクロライドとジアミンを極性有機溶媒中で反応させて、その後、塩酸と溶媒を除去することによってポリアミック酸を得るなど、ポリアミック酸を得るには種々の方法がある。しかし、本発明はその合成法によらずにポリアミック酸に対して適用が可能である。
【0038】
次に、本発明で使用する非感光性カラーペーストに使用するポリアミック酸の構造単位の繰り返し数について述べる。ポリイミド膜の力学的特性は、分子量が大きいほど良好であるため、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の分子量も大きいことが望まれる。一方、ポリアミック酸膜を湿式エッチングによりパターン加工を行う場合、ポリアミック酸の分子量が大きすぎると、現像に要する時間が長くなりすぎるという問題がある。したがって、構造単位の繰り返し数の好ましい範囲は15〜1000、より好ましくは18〜400、さらに好ましくは20〜100である。なお、ポリアミック酸の分子量には一般にばらつきがあるため、ここでいう構造単位の繰り返し数の好ましい範囲とは、この範囲の中に全ポリアミック酸の50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が入っていることを意味する。
【0039】
本発明で使用する樹脂含有塗液に用いる溶媒としては、樹脂成分を容易に溶解するものを使用することができる。
【0040】
非感光性樹脂であるポリアミック酸の例では、溶解する溶媒として、例えばN―メチル―2―ピロリドン、N,N―ジメチルアセトアミド、N,N―ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒、β―プロピオラクトン、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、δ―バレロラクトン、γ―カプロラクトン、ε―カプロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。また、感光性樹脂であるアクリル系樹脂の例では、これらに加え、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールあるいはプロピレングリコール誘導体、あるいは、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、メチル―3―メトキシプロピオネート、3―メチル―3―メトキシブチルアセテートなどの脂肪族エステル類、あるいは、エタノール、3―メチル―3―メトキシブタノールなどの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類を用いることも可能である。
【0041】
本発明で使用する溶媒は、使用樹脂を溶解する単独あるいは2種類以上の溶媒の混合溶媒を、適宜組み合わせて使用するのが好ましい。この場合は、副溶剤として、使用する樹脂に対する貧溶媒を用いることも可能である。好ましい溶媒としては、特に限定されるわけではないが、例えばN−メチルピロリドンとシクロペンタノンの混合溶媒などがあげられる。特にアクリル系樹脂の場合には、シクロペンタノン単独でも好ましく用いることができる。
【0042】
本発明で使用するカラーペーストおよびカラーレジストにおいて、ポリアミック酸あるいはアクリル系樹脂といった樹脂成分と、着色剤とは、通常、重量比で1:9〜9:1、好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは3:7〜7:3の範囲で混合して用いられる。樹脂成分の量が少なすぎると、着色被膜の基板との接着性が不良となり、逆に顔料の量が少なすぎると着色度が問題となる。また、該ペーストにおいては、塗工性、乾燥性などの観点から、樹脂成分と顔料をあわせた固形分濃度は、2〜40wt%、好ましくは3〜30wt%、さらに好ましくは5〜25wt%の範囲で使用する。
【0043】
本発明のカラーフィルターは、少なくとも赤、緑、青の3色の色画素から構成され、使用される着色材料は、有機顔料、無機顔料、染料問わず着色剤全般を使用することができる。代表的な顔料の例として、ピグメントレッド(PR−)、2、3、22、38、149,166、168、177,206、207、209、224、242,254、ピグメントオレンジ(PO−)5、13、17、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、ピグメントイエロー(PY−)12、13、14、17、20、24、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150,153、154、166、173、185、ピグメントブルー(PB−)15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、21、22、60、64、ピグメントバイオレット(PV−)19、23、29、32、33、36、37、38、40、50などが挙げられる。本発明ではこれらに限定されずに種々の顔料を使用することができる。
【0044】
上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。なお、PR(ピグメントレッド)、PY(ピグメントイエロー)、PV(ピグメントバイオレット)、PO(ピグメントオレンジ)等は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)の記号であり、正式には頭にC.I.を付するもの(例えば、C.I.PR254など)である。これは染料や染色の標準を規定したものであり、それぞれの記号は特定の標準となる染料とその色を指定するものである。なお、以下の本発明の説明においては、原則として、前記C.I.の表記は省略(例えば、C.I.PR254ならば、PR254)する。
【0045】
本発明のカラーフィルターの赤画素用着色剤においては、PR122、PR177、PR209、PR242、PR254、PO38、PY17、PY138、PY150を使用することがより好ましい。本発明のカラーフィルターの緑画素用着色剤においては、PG7、PG36、PY17、PY138、PY150を使用することがより好ましい。また、青画素用着色剤としてはPB15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、60、PV19、23を使用することがより好ましい。
【0046】
ブラックマトリックス用の遮光剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、四酸化鉄等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉の他に、赤、青、緑色の顔料の混合物等を用いることができる。この中でも、特にカーボンブラックは遮光性が優れており、特に好ましい。分散の良い粒径の小さいカーボンブラックは主として茶系統の色調を呈するので、カーボンブラックに対する補色の顔料を混合させて無彩色にするのが好ましい。
【0047】
樹脂含有塗液、非感光性カラーペーストまたは感光性カラーレジストを塗布する方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピンコーティング法、ダイコーティング法、ダイコーティングとスピンコーティング併用法、ワイヤーバーコーティング法などが好適に用いられる。
【0048】
樹脂ブラックマトリックスの形成法の例としては、黒色ペーストを透明基板上に塗布、乾燥した後に、パターニングを行う。ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤバーによる方法などにより、黒色ペーストを塗布した後、オーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥(セミキュア)を行う。セミキュア条件は、使用する樹脂、溶媒、ペースト塗布料により異なるが、通常60〜200℃で1〜60分加熱することが好ましい。このようにして得られた黒色ペースト被膜は、樹脂が非感光性の樹脂である場合は、その上にポジ型フォトレジストの被膜を形成した後に、また、樹脂が感光性の樹脂である場合は、そのままかあるいは酸素遮断膜を形成した後に、露光、現像を行う。必要に応じて、ポジ形フォトレジスト又は酸素遮断膜を除去し、また、加熱乾燥(本キュア)する。本キュア条件は、前駆体からポリイミド系樹脂を得る場合には、塗布量により若干異なるが、通常200〜300℃で1〜60分加熱するのが一般的である。以上のプロセスにより、ブラックマトリックスが形成される。
【0049】
樹脂ブラックマトリックスの膜厚は、遮光性を勘案し決定することが好ましく、0.5〜4μm、より好ましくは0.8〜3.5μmである。この膜厚が0.5
μmよりも薄い場合には遮光性が不十分になることからも好ましくない。一方、膜厚が4μmよりも厚い場合には、遮光性は確保できるものの、カラーフィルターの平坦性が犠牲になり易く、段差が生じやすい。画素内段差が生じた場合、カラーフィルタ上部に透明導電膜や液晶配向膜を形成させても段差はほとんど軽減されず、液晶配向膜のラビングによる配向処理が不均一になったり、セルギャップにばらつきが生じたりして、液晶表示素子の表示品位が低下する。
【0050】
また、樹脂ブラックマトリックスの遮光性は、OD値(透過率の逆数の常用対数)で表されるが、液晶表示素子の表示品位を向上させるためには、好ましくは2.5以上であり、より好ましくは3.0以上である。
【0051】
樹脂ブラックマトリックスの反射率は、反射光による影響を低減し液晶表示素子の表示品位を向上させるために、400〜700nmの可視領域での視感度補正された反射率(Y値)で2%以下が好ましく、より好ましくは1%以下である。樹脂ブラックマトリックス間には通常(20〜200)μmx(20〜300)μmの開口部が設けられるが、この開口部を少なくとも被覆するように3原色のそれぞれの着色層が複数配列される。すなわち、1つの開口部は、3原色のいずれか1つの着色層により被覆され、各色の着色層が複数配列される。
【0052】
カラーフィルターを構成する着色層は、少なくとも3原色の色彩を含む。すなわち、加色法によりカラー表示を行う場合は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色が選ばれ、減色法によりカラー表示を行う場合は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の3原色が選ばれる。一般には、これらの3原色を含んだ要素を1単位としてカラー表示の絵素とすることができる。
【0053】
着色層を形成する方法としては、ブラックマトリクスが形成された透明基板上に、たとえば非感光性カラーペーストを塗布、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(セミキュア)する。このセミキュア膜上に感光性レジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光、アルカリ現像し、加熱硬化させる。フォトリソ工程で非感光性カラーペースト層と感光性レジスト層とを同時にパターニングし、1回のフォトリソ加工でありながら積層構成の画素を形成することができる。
【0054】
非感光性カラーペーストは、通常ポジ型フォトレジストを積層し、フォトリソ加工し、フォトレジストを剥離する工程が必要であるが、本発明の最上層に感光性の透明レジストを積層する場合は、フォトリソ加工後に感光性樹脂を剥離することなく、カラーフィルターを作製することが可能であり、フォトレジスト剥離工程が短縮できるので好ましい。
【0055】
本発明においては、複数の樹脂層を積層し、ブラックマトリクス上の一部に形成された樹脂層数をブラックマトリクスの開口部に積層された樹脂層数よりも少なくすることで、画素内段差を軽減しているが、別の方法によってもよい。例えば、感光性レジストからなる樹脂層はフォトリソ加工におけるマスク露光の露光量により硬化する膜厚を変えることができる。感光性アクリルカラーレジストの場合について述べるが、本発明の感光性カラーレジストはこれに限定されない。感光性カラーレジストをフォトリソ加工する場合には、露光量が十分多いと感光性カラーレジストの光架橋が進み、露光された部分は現像液にほとんど溶解されない(いわゆる「膜べり」(膜厚方向にも現像が進んで膜厚が減少する)も起こらない)。未露光部分はアクリル樹脂の光架橋が進まないので、現像液に溶解する。露光はするが、露光量が感光性樹脂の硬化に十分でない場合はアクリル樹脂の光架橋が十分進まないので、露光された部分は現像液に一部の塗膜が溶解するいわゆる「膜べり」が起こるので、露光量によって感光性樹脂の膜厚を調整することも可能である。
【0056】
露光量を調節する方法としては半透過フォトマスクを使用する方法や、スリットまたは網点フォトマスクを使用する方法がある。半透過フォトマスクはフォトマスクに0より大きく100%未満の透過率の半透過領域を持つ。この半透過フォトマスクを使用することで、露光量が多い部分と少ない部分で膜厚を調整する方法である。スリットフォトマスクはフォトマスクの遮光部分に20μm以下の幅でスリットを形成し、単位面積あたりでスリットを通過した露光量を平均化して露光量を調整する方法である。網点フォトマスクはフォトマスクの遮光部分に1個あたりの面積400μm2以下の円形、楕円形、四角形、長方形、菱形、台形、などを1個以上形成し、単位面積あたりでスリットを通過した露光量を平均化して露光量を調整する方法である。感光性カラーレジストを露光する場合、光源にg線、h線、i線の混合スペクトルを持つ高圧水銀灯を用ることが好ましい。露光量は感光性カラーレジストの感度によるが、i線で50mJ/cm2以上が好ましい。
【0057】
本発明のカラーフィルターの製造工程に用いるアルカリ現像液は有機アルカリ現像液と無機アルカリ現像液のどちらも用いることができる。無機アルカリ現像液では炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液などが好適に用いられる。有機アルカリ現像液ではテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、メタノールアミンなどのアミン系水溶液が好適に用いられる。現像液には現像の均一性を上げるために界面活性剤を添加することが好ましい。アルカリ現像はディップ現像、シャワー現像、パドル現像などの方法が可能である。現像後はアルカリ現像液を除去するために純水洗浄を行う。シャワー現像では最適な画素形状になるようにシャワー圧力を調整することが好ましい。シャワー圧力が弱いと、画素の解像度が低下する。シャワー圧力が強いと画素が基板から剥がれることがある。シャワーの圧力は0.05〜5MPaが好ましい。
【0058】
カラーフィルターの形成は、ガラス、高分子フィルム等の透明基板側に限定されず、駆動素子側基板にも行うことができる。また、必要に応じてカラーフィルター上に柱状の固定式スペーサーが配置されていてもよい。
【0059】
本発明のカラーフィルターは、液晶表示装置の駆動方法、表示方式にも限定されず、アクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式、TNモード、STNモード、IPSモード、ECBモード、OCBモード、VAモードなど種々の液晶表示装置に適用される。
【0060】
本発明のカラーフィルター作製方法の一例を述べる。
透明基板上に少なくともポリアミック酸、黒色着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸黒色着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次にこのようにして得られたポリアミック酸黒色被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる。露光装置を用いて、紫外線を照射し目的のパターンを焼き付け、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで樹脂ブラックマトリクス層を得る。樹脂ブラックマトリクス層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0061】
次に少なくともポリアミック酸、着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを樹脂ブラックマトリクスを形成した透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次に、このようにして得られたポリアミック酸着色被膜に、アクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマー、光重合開始剤からなる感光性アクリル樹脂、溶剤からなる感光性レジストを塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、感光性アクリル被膜を積層形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。続いて感光性アクリル被膜にフォトマスクと露光装置を用いて紫外線をパターン状に照射する。露光後、アルカリ現像液により、感光性アクリル被膜とポリアミック酸着色被膜のエッチングを同時に行う。
【0062】
ポリアミック酸着色被膜は、その後、加熱硬化することによって、ポリイミド着色被膜に変換される。加熱硬化は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。
【0063】
以上の工程を赤、緑、青の画素について行うと、液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。
【0064】
次に、このカラーフィルターを用いて作成した液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルター上に、ITO膜などの透明電極を製膜する。次に、このカラーフィルター基板と、ITO膜等の透明電極がパターン化されて設けられた透明基板と、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させてシールし貼りあわせる。なお、カラーフィルター基板に対向して設けられる透明基板上には、透明電極以外に薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することによりモジュールが完成する。
【0065】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0066】
実施例1
A.樹脂ブラックマトリクスの作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’− ジアミノジフェニルエーテル及びビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンをN−メチル−2−ピロリドンを溶媒として反応させ、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)溶液を得た。
【0067】
下記の組成を有するカーボンブラックミルベースをホモジナイザーを用いて、7000 rpmで30分間分散し、ガラスビーズをろ過してブラックペーストを調製した。
【0068】
カーボンブラックミルベースの組成
カーボンブラック(MA100 、三菱化成(株)製):4.6部
ポリイミド前駆体溶液:24.0部
N−メチルピロリドン:61.4部
ガラスビーズ:90.0部。
【0069】
ガラス基板(コーニング製、1737材)に上記ブラックペーストをカーテンフローコーターで塗布し、ホットプレートで130℃、10分間乾燥し、黒色の樹脂塗膜を形成した。ポジ型フォトレジスト(シプレー社製、“SRC−100”)をリバースロールコーターで塗布、ホットプレートで100℃、5分間プリベイクし、超高圧水銀灯を用いて100mJ/cm2 紫外線照射してマスク露光した後、2.25%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、フォトレジストの現像と樹脂塗膜のエッチングを同時に行い、パターンを形成、メチルセロソルブアセテートでレジスト剥離し、ホットプレートで300℃、10分間加熱することでイミド化させ、ブラックマトリクス層を形成した。
ブラックマトリクス層の膜厚を測定したところ、1.4μmであり、OD値は4.0であった。
【0070】
B.非感光性カラーペーストの作製
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル 95.1gおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 6.2gをγ−ブチロラクトン 525g、N−メチル−2−ピロリドン 220gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 144.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 3.0gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、25重量%のポリアミック酸溶液(PAA)を得た。
【0071】
4,4′−ジアミノベンズアニリド 161.3g、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン 176.7g、およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 18.6gをγ−ブチロラクトン 2667g、N−メチル−2−ピロリドン 527gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 439.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 2.2gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、20重量%のポリアミック酸溶液であるポリマー分散剤(PD)を得た。
【0072】
ピグメントレッドPR254、3.6g(80wt%)、ピグメントイエローPY138、0.9g(20wt%)とポリマー分散剤(PD) 22.5gおよびγ−ブチロラクトン 42.8g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 20.2gをガラスビーズ 90gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。このようにしてPR254とPY138からなる分散液5%溶液を得た。
【0073】
該分散液 45.6gにポリアミック酸溶液(PAA) 14.88gをγ−ブチロラクトン 39.52gで希釈した溶液を添加混合し、非感光性赤色カラーペーストを得た。同様にして、ピグメントグリーンPG38とピグメントイエローPY138からなる非感光性緑ペースト、ピグメントブルーPB15:6からなる非感光性青ペーストを得た。
【0074】
C.非感光性透明ペーストの作製
ポリアミック酸溶液(PAA) 16.0gをγ−ブチロラクトン 34.0gで希釈し非感光性透明ペーストを得た。
【0075】
D.感光性カラーレジストの作製
ピグメントレッドPR177、8.05gを3−メチル−3−メトキシブタノール50gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。アクリル共重合体溶液(ダイセル化学工業株式会社製“サイクロマー”P、ACA−250、43wt%溶液)70.00g、多官能モノマーとしてペンタエリスリトールテトラメタクリレート30.00g、光重合開始剤として“イルガキュア”369 15.00gにシクロペンタノン260.00gを加えた濃度20重量%の感光性アクリル樹脂溶液(AC)134.75gを加え、感光性赤レジストを得た。同様にして、ピグメントグリーンPG38とピグメントイエローPY138からなる感光性緑レジスト、ピグメントブルーPB15:6からなる感光性青レジストを得た。
【0076】
E.着色層の作製
ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に熱処理後のブラックマトリクス開口部での膜厚が1.0μmになるようにスピンナーの回転数を調整し、非感光性赤ペーストを基板上に塗布した。次に、該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥した。該塗膜の上に熱処理後のブラックマトリクス開口部での、非感光性赤ペーストからなる塗膜との合計膜厚が、2.0μmになるようにスピンナーの回転数を調整し、感光性透明レジスト(感光性アクリル樹脂溶液(AC))を塗布した。次に、該塗膜を80℃のオーブンで10分熱処理した。次に、キャノン株式会社製紫外線露光機“PLA−501F”を用い、ブラックマトリクス開口部とブラックマトリクス上の一部の領域についてアイランド状に光が透過するクロム製フォトマスクを介して、100mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、非感光性赤ペーストおよび感光性透明レジストから得た積層した樹脂層を同時に現像した。現像は、ブラックマトリクス上の非感光性赤ペーストからなる着色層を除去するよう、過現像条件でおこなった。現像後に240℃のオーブンで30分熱処理し、赤画素を得た。
【0077】
同様にして、非感光性緑ペーストおよび感光性透明レジストからなる緑画素、非感光性青ペーストおよび感光性透明レジストからなる青画素を得た。
得られた画素上にITO膜を膜厚0.14μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターの構成図を模式的に図3に示す。
【0078】
このようにして得られたカラーフィルターの各画素の画素内段差を表面段差計((株)東京精密製、“サーフコム130A”)を用いて測定したところ次の結果を得た。
赤画素 0.18μm
緑画素 0.16μm
青画素 0.19μm
F.カラー液晶表示素子の作製
カラーフィルタ基板を中性洗剤で洗浄した後、ポリイミド樹脂から成る配向膜を印刷法により塗布し、ホットプレートで250℃、10分間焼成した。膜厚は0.07μmであった。この後、カラーフィルタ基板をラビング処理し、シール剤をディスペンス法により塗布、ホットプレートで90℃、10分間焼成した。
【0079】
一方、コーニング製ガラス基板1737材にTFTアレイを形成した基板も同様に洗浄した後、配向膜を塗布、焼成した。その後、スペーサーを散布し、前記カラーフィルタ基板と重ね合わせ、オーブン中で加圧しながら160℃で90分間焼成、樹脂を硬化させた。このセルを150℃、10−3torrで真空アニールした後、一度窒素雰囲気下で常圧に戻し、再度真空雰囲気において液晶注入した。液晶注入はセルをチャンバーに入れて室温で10−3torrまで減圧した後、液晶注入孔を液晶槽に漬け、窒素を用いて常圧に戻して行った。液晶注入後、UV硬化樹脂を用いて液晶注入孔を封孔した。このパネルをNI転移点以上の温度に加熱して液晶を再配向させた。
【0080】
次に、偏光板をセルの2枚のガラス基板に貼り付け、オートクレーブ中で温度50℃、圧力5kgf/cm2 の条件で処理して、セルを完成させた。得られた液晶表示素子を顕微鏡で観察した結果、配向不良による光漏れなどの不具合はなく、また、表示させたときにはセルギャップのムラによるムラも確認されず、品位も良好であった。
【0081】
比較例1
実施例1と同様にしてガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工した。熱処理後のブラックマトリクス層の膜厚を測定したところ、1.4μmであり、OD値は4.0であった。
【0082】
次に、ブラックマトリクス開口部での膜厚が1.4μmになるようにスピンナーの回転数を調整し、非感光性赤ペーストを基板上に塗布した。次に、該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥した。この上にポジ型フォトレジスト(東京応化株式会社製“OFPR−800”)を塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。紫外線露光機を用い、フォトマスクパターンを介して、実施例1と同様にして60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、赤画素を得た。
【0083】
同様にして、非感光性緑ペーストからなる緑画素、非感光性青ペーストからなる青画素を得た。
得られた画素上にITO膜を膜厚0.14μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターの構成図を模式的に図6に示す。
【0084】
このようにして得られたカラーフィルターの各画素の画素内段差を表面段差計((株)東京精密製、“サーフコム130A”)を用いて測定したところ次の結果を得た。
赤画素 1.12μm
緑画素 1.16μm
青画素 1.15μm
このカラーフィルタを用いて実施例1と同様にしてカラー液晶表示素子を作製し、顕微鏡観察を実施した。その結果、液晶の配向不良(ディスクリネーション)による大きな光漏れが画素中央部まで認められ、表示品位が大幅に低下した。
【0085】
比較例2
実施例1と同様にしてガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工した。熱処理後のブラックマトリクス層の膜厚を測定したところ、1.4μmであり、OD値は4.0であった。
【0086】
次に、ブラックマトリクス開口部での膜厚が1.4μmになるようにスピンナーの回転数を調整し、感光性赤レジストを基板上に塗布した。次に、該塗膜を80℃で15分乾燥した。紫外線露光機を用い、フォトマスクパターンを介して、実施例1と同様にして、100mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.1%の水溶液からなる現像液に浸漬し、感光性赤レジストから得た着色層を現像した。現像後に240℃のオーブンで30分熱処理し、赤画素を得た。
【0087】
同様にして、感光性緑レジストからなる緑画素、感光性青レジストからなる青画素を得た。
得られた画素上にITO膜を膜厚0.14μmとなるようにスパッタリングした。
【0088】
このようにして得られたカラーフィルターの各画素の画素内段差を表面段差計((株)東京精密製、“サーフコム130A”)を用いて測定したところ次の結果を得た。
赤画素 0.65μm
緑画素 0.68μm
青画素 0.72μm
このカラーフィルタを用いて実施例1と同様にしてカラー液晶表示素子を作製し、顕微鏡観察を実施した。その結果、液晶の配向不良(ディスクリネーション)による光漏れが開口部周辺で認められ、表示品位が低下した。
【0089】
実施例2
非感光性赤ペースト、非感光性緑ペースト、非感光性青ペーストの代わりに非感光性透明ペーストを用いたこと、感光性透明レジストの代わりに感光性赤レジスト、感光性緑レジスト、感光性青レジストを用いたこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。得られたカラーフィルターの構成図を模式的に図4に示す。
【0090】
このようにして得られたカラーフィルターの各画素の画素内段差を表面段差計((株)東京精密製、“サーフコム130A”)を用いて測定したところ次の結果を得た。
赤画素 0.24μm
緑画素 0.18μm
青画素 0.27μm
このカラーフィルタを用いて実施例1と同様にしてカラー液晶表示素子を作製し、顕微鏡観察を実施した。その結果、実施例1と同様に配向不良による光漏れなどの不具合はなく、良好な表示品位が得られた。
【0091】
実施例3
感光性透明レジストの代わりに感光性赤レジスト、感光性緑レジスト、感光性青レジストを用いたこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。得られたカラーフィルターの構成図を模式的に図5に示す。
【0092】
このようにして得られたカラーフィルターの各画素の画素内段差を表面段差計((株)東京精密製、“サーフコム130A”)を用いて測定したところ次の結果を得た。
赤画素 0.34μm
緑画素 0.38μm
青画素 0.29μm
このカラーフィルタを用いて実施例1と同様にしてカラー液晶表示素子を作製し、顕微鏡観察を実施した。その結果、実施例1と同様に配向不良による光漏れなどの不具合はなく、良好な表示品位が得られた。また、実施例1に比べて、色純度の高い色鮮やかな表示が得られた。
【0093】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成したので、樹脂ブラックマトリクスを用いた場合でも、オーバーコート塗布工程や表面研磨工程を追加することなく、表面平坦性を向上させたカラーフィルターを安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で規定されるカラーフィルタ画素内段差を説明するための模式断面図。
【図2】本発明で規定されるアイランドパターンのカラーフィルタの構成を説明するための模式図。
【図3】本発明のカラーフィルタの模式断面図である。
【図4】本発明のカラーフィルタの模式断面図である。
【図5】本発明のカラーフィルタの模式断面図である。
【図6】比較例のカラーフィルタの模式断面図である。
【符号の説明】
1:透明基板(ガラス基板)
2:樹脂ブラックマトリックス
3:感光性透明レジストからなる樹脂層
4:感光性カラーレジストからなる樹脂層
5:非感光性透明ペーストからなる樹脂層
6:非感光性カラーペーストからなる樹脂層
7:透明電極
11:透明基板
12:樹脂ブラックマトリックス
13:着色層
14:透明電極
15:着色層(B)
16:着色層(R)
17:着色層(G)
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルター、およびそれを用いた液晶表示装置、およびカラーフィルターの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を生かし、ノートPC、携帯情報端末、デジタルカメラ等様々な用途で使用されている。液晶表示装置の表示特性(輝度、色再現性、視野角特性など)がより向上したことにより、液晶表示装置の用途は、従来のノートPC用途に加え、デスクトップモニタ用途への展開が進んでいる。さらに、最近ではデスクトップモニタの色再現性をさらに向上させた大型の液晶テレビが開発されている。
【0003】
液晶表示装置をカラー化するために用いられるカラーフィルターは、一般に透明基板上に形成された赤、緑、青の3原色の着色層を一絵素として多数の絵素から構成されている。そして、各着色層間には、表示コントラストを高めるために遮光領域(画面上では、一般に黒色に見えることから、ブラックマトリックスと称されている)が設けられている。
【0004】
デスクトップモニタや液晶テレビ向けのカラーフィルターは、高い色再現性が必要とされるため、着色層の膜厚が厚くなる傾向にある。また、ブラックマトリクスについても、より高い遮光性が必要とされている。
従来のカラーフィルタのブラックマトリックスは、微細にパターニングされた金属薄膜、あるいは遮光剤により着色された樹脂をパターニングすることにより形成されることが多い。
【0005】
金属薄膜によるブラックマトリックスの場合、反射光が大きく、また、製造コストが高く、さらにはパターン加工を行う際に6価クロム等の有害な物質を生成し、環境汚染が問題となる場合もある。金属酸化物、あるいは金属窒化物を用いた多層膜によるブラックマトリックスの場合は、反射光は小さくなるものの、製造コスト及び環境汚染の問題については軽減されない。一方、遮光剤によって着色された樹脂をパターニングして得られたブラックマトリックスの場合、金属薄膜の場合に比べ、低反射という利点がある。また、真空プロセスを必要としないため、m級の大型基板での製膜が可能という利点もある。しかしながら、樹脂ブラックマトリックスを用いた従来のカラーフィルタでは、ブラックマトリクス上での画素段差のために、部分的に液晶の配向不良が発生し、光漏れによるコントラスト低下や残像等の問題が生じやすい。また、ラビングの不均一も生じやすく、これによる表示不良が発生しやすくなる。
【0006】
デスクトップモニタや液晶テレビなどの大型液晶表示装置では、液晶の応答速度を向上させるために、液晶層のギャップを狭くする傾向にあり、ブラックマトリクス上での画素段差が表示に及ぼす影響がより大きくなってきている。
【0007】
ブラックマトリクス上での画素段差を軽減する方法としては、着色層の上にオーバーコート層を塗布することや着色層を表面研磨することなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、いずれの方法においても、製造工程が増え、製造コストが増加するという問題点があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−218607号公報(第7〜10頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、樹脂ブラックマトリクスを用い、表面平坦性を向上させたカラーフィルターを低コストに製造し、さらには表示品位の高い液晶表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、表示品位の高い液晶表示装置を実現する十分な平坦性を有し、かつ工程増加を抑えて低コストで製造可能なカラーフィルターを見いだした。
すなわち、
(1)複数色の画素と樹脂ブラックマトリクスを含むカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素のブラックマトリクスの開口部においてパターン加工された複数の樹脂層が積層され、積層された樹脂層の最上層が感光性レジストから形成されていることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
(2)ブラックマトリクス上の一部に形成された樹脂層数がブラックマトリクスの開口部に積層された樹脂層数よりも少ないことを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(3)積層された樹脂層のうち、最上層の感光性レジストからなる樹脂層を除く、下層の樹脂層のブラックマトリクス開口部での膜厚がブラックマトリクスの膜厚よりも薄いことを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(4)複数の樹脂層が積層された画素の最上層の感光性レジストが透明レジストまたはカラーレジストから形成されていることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(5)複数の樹脂層の積層が2層であることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター
(6)下層の樹脂層が非感光性ペーストから形成されていることを特徴とする(5)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(7)非感光性ペーストがポリイミド樹脂を含むことを特徴とする(6)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(8)非感光性ペーストが着色剤を含むことを特徴とする(7)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(9)樹脂ブラックマトリックスの膜厚が4μm以下である(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(10)複数の樹脂層が積層された構造を有する画素について、1画素内の段差が0.5μm以下であることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
(11)樹脂ブラックマトリクスを有する液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法であって、複数の樹脂層が積層された画素の最上層に感光性レジストを塗布する工程を含むことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法
(12)感光性レジストが感光性アクリルレジストであることを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法。
(13)積層する樹脂層のうち、最上層の感光性レジストからなる樹脂層を除く、下層の樹脂層のブラックマトリクス開口部での膜厚をブラックマトリクスの膜厚よりも薄く形成することを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法。
(14)ブラックマトリクス上に塗布された最上層以外の樹脂層を過現像条件によって除去する(11)に記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法
(15)(1)〜(10)のいずれかに記載のカラーフィルターを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂ブラックマトリックスを含むカラーフィルターにおいては、少なくとも1色の画素のブラックマトリクスの開口部において、パターン加工された複数の樹脂層が積層された構造を有し、該積層樹脂層の最上層が感光性の透明レジストまたはカラーレジストから形成されること、ならびにブラックマトリクス上の一部に形成された樹脂層数がブラックマトリクスの開口部に積層された樹脂層数よりも少ないことが重要である。
【0012】
複数の樹脂層を積層させること、ならびに最上層が感光性レジストであることで、下層の樹脂層との一括パターン加工ができる。
【0013】
本発明者らは一括パターン加工において、感光性レジストと非感光性ペーストとの現像特性の違いを利用して、最上層と下層とで異なる形状の樹脂層を形成することが可能であることを見出した。
【0014】
ネガ型感光性レジストと非感光性ペーストの現像特性の違いについて述べる。ネガ型感光性レジストでは、紫外線などにより露光された領域は、光架橋反応が進行し、現像液に不溶となる一方、未露光部分は、現像液に溶解する。したがって、十分な露光量の紫外線を照射することで、現像時間によらず、一定のパターンを形成することが出来る。
【0015】
非感光性ペーストのフォトリソ加工では、それ自体が感光性能を持たないため、感光性のレジストを非感光性ペーストからなる塗膜上に塗布する必要がある。感光性レジストならびに非感光性ペーストの積層膜に、紫外線を照射後、現像液に浸漬することで、感光性レジストと非感光性ペーストを一括現像し、パターンを形成する。その際、現像時間を適切に調整することで、感光性レジストと同様パターンを非感光性ペースト層に形成することが出来る。非感光性ペーストからなる塗膜層は、光照射によって、溶解性が変化することがないので、現像時間を延長することで、さらに塗膜層の現像を進めることが出来る。すなわち、現像時間を延長した過現像条件にすることで、上層の感光性レジストと下層の非感光性ペーストのパターン形状を異ならせることが出来る。
【0016】
さらに、本発明者らは凹状に形成された樹脂層上に、凹状樹脂層の膜厚よりも薄い膜厚の非感光性ペースト、さらにその上に感光性レジストを積層し、パターン加工する際に、凹状樹脂層の段差部分で非感光性ペーストのエッチング速度が非常に遅くなり、現像性を制御出来ることを見出した。
【0017】
すなわち、ブラックマトリクスが形成された基板上に積層塗布された感光性レジスト層と非感光性ペースト層を過現像条件で現像することで、ブラックマトリクス開口部については、樹脂層を積層させたままで、ブラックマトリクス上にある下層の非感光性ペースト層のみを溶解させ、最上層の感光性レジストのみとなるように加工することが出来ることを見出した。
【0018】
このように、ブラックマトリクス上に形成された樹脂層数をブラックマトリクスの開口部に積層された樹脂層数よりも少なくすることで、ブラックマトリクス上で発生する画素内段差を軽減することが出来ることを見出した。
【0019】
最上層に塗布される感光性レジストは、透明であっても着色を有していてもよい。ここでいう「透明」とは、具体的には製膜後に可視光領域の平均透過率が80%以上となることである。
【0020】
積層される樹脂層は最上層に感光性レジストからなる樹脂層が形成されることが必要であるが、感光性レジストの下の非感光性ペーストおよび/または感光性レジスト樹脂層は何層でも積層することが可能である。何層積層するかは目標の平坦性を達成するために適宜選択されるが、生産性の観点からは樹脂層としては感光性レジストと他の1層を組み合わせた2層積層構造であることがより好ましい。
【0021】
本発明のカラーフィルターーでは、画素内段差が0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。本発明で言う、「画素内段差」について図1に基づいて説明する。図1はカラーフィルターーの模式断面図である。図1に示されるカラーフィルターは、透明基板11上にブラックマトリックス12及び該ブラックマトリックス12の開口部及びブラックマトリックスの一部上に設けられた着色層13を有する。着色層13は、ブラックマトリックス12の開口部では、図示のように平坦であるが、ブラックマトリックス12のパターン上では、図示のようにブラックマトリックス12の膜厚のために着色層13が盛り上がる。必要によりこの上に透明電極14を設ける場合もあるが、ブラックマトリックス上の盛り上がりは解消されない。作製されたカラーフィルターの開口部の平坦部分と盛り上がりの頂点までの段差を本発明で規定する「画素内段差」と定義する。単一の画素内でも、領域により段差が異なることが普通であるが、本発明では、単一の画素内の最大の段差が0.5μm以下であることが好ましい。なお、画素内段差の測定は表面段差計、例えば(株)東京精密製、“サーフコム130A”で測定することができる。
【0022】
本発明のカラーフィルターのパターン形状については、ストライプ状、アイランド状などがあげられるが、特に限定されるものではない。以下、カラーフィルタの着色層パターンについて図2に基づいて説明する。図2はカラーフィルタを平面的に観察した模式図で、図2中、12は樹脂ブラックマトリックス、15は着色層例えば青色着色層(B)、16は着色層例えば赤色着色層(R)、17は着色層例えば緑色着色層(G)である。3原色が一定のピッチで周期的に配列されているカラーフィルタの場合、同一の色が連続している方向の着色層パターンは図2の(1) に示すようにストライプ状に形成されることが多い。しかしながら、本発明で規定される段差要件を実現するためには、開口部と開口部の間のブラックマトリックスパターン上には着色層を全面的に設けず、図2の(2)に示すようにアイランド状に形成する方が好ましい。パターンの形状は、フォトリソ法で加工する場合、着色層を形成する際に用いるフォトマスクのパターン加工条件により任意に選択することができる。
【0023】
本発明のカラーフィルターに設けられる樹脂ブラックマトリクスの膜厚は、遮光特性ならびに達成される平坦性を勘案したうえで選択する。樹脂ブラックマトリクスの膜厚があまり大きくなるとカラーフィルター表面の段差が大きくなり、液晶配向に悪影響を及ぼし表示品位が悪化する可能性があるので樹脂ブラックマトリクスの膜厚は4μm以下が好ましい。
【0024】
本発明で使用する樹脂含有塗液は、少なくとも樹脂成分と溶剤成分を含む。樹脂成分としては、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。樹脂層用の塗液は感光性、非感光性のどちらの材料でも使用することが可能である。
【0025】
樹脂含有塗液が感光性カラーレジストである場合は、着色成分と樹脂成分を含み、樹脂成分は光によって反応する感光成分を含む。光照射された樹脂が現像液への溶解速度のあがるポジ型と、光照射された樹脂が現像液への溶解速度の下がるネガ型があり、どちらも使用することが可能であるが、可視光で感光成分の透明性の高いネガ型樹脂が好ましく用いられる。感光性カラーレジストの樹脂成分としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。
【0026】
感光性レジストに使用する樹脂成分の例として、アクリル系樹脂について述べる。感光性アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的である。さらにエポキシを加えた、いわゆるアクリルエポキシ樹脂も用いることができる。
【0027】
使用できるアクリル系ポリマーとしては、特に限定はないが、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物などがあげられる。
【0028】
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系ポリマーを用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のようなものがある。このような側鎖をアクリル系(共)重合体に付加させる方法としては、アクリル系(共)重合体のカルボキシル基や水酸基などを有する場合には、これらにグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。その他、イソシアネートを利用してエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させることもできる。ここでいうグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどがあげられる。
【0030】
多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートのようなオリゴマー、あるいはトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。また、次にあげるような単官能モノマーも併用することができ、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどがあり、これらの2種以上の混合物、あるいはその他の化合物との混合物などが用いられる。これらの多官能及び単官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、ペーストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。特に、硬度を高くするにはアクリレート化合物よりメタクリレート化合物が好ましく、また、感度を上げるためには、官能基が3以上ある化合物が好ましい。また、メラミン類、グアナミン類などもアクリル系モノマーの代わりに好ましく用いることができる。
【0031】
光重合開始剤としては、特に限定はなく、公知のものが使用でき、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などがあげられる。また、その他のアセトフェノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、リン系化合物、トリアジン系化合物、あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤なども好ましく用いることができる。また、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどの増感助剤を添加すると、さらに感度を向上させることができ好ましい。また、これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもできる。
【0032】
光重合開始剤の添加量としては、特に限定はないが、ペースト全固形分に対して、好ましくは1〜30wt%、より好ましくは5〜25wt%、さらに好ましくは10〜20wt%である。
【0033】
次に、樹脂含有塗液が非感光性ペーストである場合に使用する樹脂成分の例としてポリイミド系樹脂について述べる。ポリイミド系樹脂としてはポリイミド前駆体であるポリアミック酸を、加熱又は適当な触媒によってイミド化したものが好適に用いられる。ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得ることができる。
【0034】
本発明におけるポリアミック酸の合成には、テトラカルボン酸二無水物として、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4´−オキシジフタル酸無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。なお、本発明は、これらに限定されずにテトラカルボン酸二無水物が1種または2種以上用いられる。
【0035】
また、本発明におけるポリアミック酸の合成には、ジアミンとして、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、エチレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルサルファイド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、3,3´−ジメチルベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、4,4”−ジアミノターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エ−テル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどが挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0036】
また、ジアミンの一部として、シロキサンジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下する。シロキサンジアミンの具体例としては、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンなどが挙げられる。本発明は、これに限定されずにジアミンが1種または2種以上用いられる。
【0037】
ポリアミック酸の合成は、極性有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンを混合して反応させることにより行うのが一般的である。この時、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物の混合比により、得られるポリアミック酸の重合度を調節することができる。 このほか、テトラカルボン酸ジクロライドとジアミンを極性有機溶媒中で反応させて、その後、塩酸と溶媒を除去することによってポリアミック酸を得るなど、ポリアミック酸を得るには種々の方法がある。しかし、本発明はその合成法によらずにポリアミック酸に対して適用が可能である。
【0038】
次に、本発明で使用する非感光性カラーペーストに使用するポリアミック酸の構造単位の繰り返し数について述べる。ポリイミド膜の力学的特性は、分子量が大きいほど良好であるため、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の分子量も大きいことが望まれる。一方、ポリアミック酸膜を湿式エッチングによりパターン加工を行う場合、ポリアミック酸の分子量が大きすぎると、現像に要する時間が長くなりすぎるという問題がある。したがって、構造単位の繰り返し数の好ましい範囲は15〜1000、より好ましくは18〜400、さらに好ましくは20〜100である。なお、ポリアミック酸の分子量には一般にばらつきがあるため、ここでいう構造単位の繰り返し数の好ましい範囲とは、この範囲の中に全ポリアミック酸の50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が入っていることを意味する。
【0039】
本発明で使用する樹脂含有塗液に用いる溶媒としては、樹脂成分を容易に溶解するものを使用することができる。
【0040】
非感光性樹脂であるポリアミック酸の例では、溶解する溶媒として、例えばN―メチル―2―ピロリドン、N,N―ジメチルアセトアミド、N,N―ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒、β―プロピオラクトン、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、δ―バレロラクトン、γ―カプロラクトン、ε―カプロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。また、感光性樹脂であるアクリル系樹脂の例では、これらに加え、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールあるいはプロピレングリコール誘導体、あるいは、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、メチル―3―メトキシプロピオネート、3―メチル―3―メトキシブチルアセテートなどの脂肪族エステル類、あるいは、エタノール、3―メチル―3―メトキシブタノールなどの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類を用いることも可能である。
【0041】
本発明で使用する溶媒は、使用樹脂を溶解する単独あるいは2種類以上の溶媒の混合溶媒を、適宜組み合わせて使用するのが好ましい。この場合は、副溶剤として、使用する樹脂に対する貧溶媒を用いることも可能である。好ましい溶媒としては、特に限定されるわけではないが、例えばN−メチルピロリドンとシクロペンタノンの混合溶媒などがあげられる。特にアクリル系樹脂の場合には、シクロペンタノン単独でも好ましく用いることができる。
【0042】
本発明で使用するカラーペーストおよびカラーレジストにおいて、ポリアミック酸あるいはアクリル系樹脂といった樹脂成分と、着色剤とは、通常、重量比で1:9〜9:1、好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは3:7〜7:3の範囲で混合して用いられる。樹脂成分の量が少なすぎると、着色被膜の基板との接着性が不良となり、逆に顔料の量が少なすぎると着色度が問題となる。また、該ペーストにおいては、塗工性、乾燥性などの観点から、樹脂成分と顔料をあわせた固形分濃度は、2〜40wt%、好ましくは3〜30wt%、さらに好ましくは5〜25wt%の範囲で使用する。
【0043】
本発明のカラーフィルターは、少なくとも赤、緑、青の3色の色画素から構成され、使用される着色材料は、有機顔料、無機顔料、染料問わず着色剤全般を使用することができる。代表的な顔料の例として、ピグメントレッド(PR−)、2、3、22、38、149,166、168、177,206、207、209、224、242,254、ピグメントオレンジ(PO−)5、13、17、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、ピグメントイエロー(PY−)12、13、14、17、20、24、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150,153、154、166、173、185、ピグメントブルー(PB−)15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、21、22、60、64、ピグメントバイオレット(PV−)19、23、29、32、33、36、37、38、40、50などが挙げられる。本発明ではこれらに限定されずに種々の顔料を使用することができる。
【0044】
上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。なお、PR(ピグメントレッド)、PY(ピグメントイエロー)、PV(ピグメントバイオレット)、PO(ピグメントオレンジ)等は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)の記号であり、正式には頭にC.I.を付するもの(例えば、C.I.PR254など)である。これは染料や染色の標準を規定したものであり、それぞれの記号は特定の標準となる染料とその色を指定するものである。なお、以下の本発明の説明においては、原則として、前記C.I.の表記は省略(例えば、C.I.PR254ならば、PR254)する。
【0045】
本発明のカラーフィルターの赤画素用着色剤においては、PR122、PR177、PR209、PR242、PR254、PO38、PY17、PY138、PY150を使用することがより好ましい。本発明のカラーフィルターの緑画素用着色剤においては、PG7、PG36、PY17、PY138、PY150を使用することがより好ましい。また、青画素用着色剤としてはPB15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、60、PV19、23を使用することがより好ましい。
【0046】
ブラックマトリックス用の遮光剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、四酸化鉄等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉の他に、赤、青、緑色の顔料の混合物等を用いることができる。この中でも、特にカーボンブラックは遮光性が優れており、特に好ましい。分散の良い粒径の小さいカーボンブラックは主として茶系統の色調を呈するので、カーボンブラックに対する補色の顔料を混合させて無彩色にするのが好ましい。
【0047】
樹脂含有塗液、非感光性カラーペーストまたは感光性カラーレジストを塗布する方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピンコーティング法、ダイコーティング法、ダイコーティングとスピンコーティング併用法、ワイヤーバーコーティング法などが好適に用いられる。
【0048】
樹脂ブラックマトリックスの形成法の例としては、黒色ペーストを透明基板上に塗布、乾燥した後に、パターニングを行う。ディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤバーによる方法などにより、黒色ペーストを塗布した後、オーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥(セミキュア)を行う。セミキュア条件は、使用する樹脂、溶媒、ペースト塗布料により異なるが、通常60〜200℃で1〜60分加熱することが好ましい。このようにして得られた黒色ペースト被膜は、樹脂が非感光性の樹脂である場合は、その上にポジ型フォトレジストの被膜を形成した後に、また、樹脂が感光性の樹脂である場合は、そのままかあるいは酸素遮断膜を形成した後に、露光、現像を行う。必要に応じて、ポジ形フォトレジスト又は酸素遮断膜を除去し、また、加熱乾燥(本キュア)する。本キュア条件は、前駆体からポリイミド系樹脂を得る場合には、塗布量により若干異なるが、通常200〜300℃で1〜60分加熱するのが一般的である。以上のプロセスにより、ブラックマトリックスが形成される。
【0049】
樹脂ブラックマトリックスの膜厚は、遮光性を勘案し決定することが好ましく、0.5〜4μm、より好ましくは0.8〜3.5μmである。この膜厚が0.5
μmよりも薄い場合には遮光性が不十分になることからも好ましくない。一方、膜厚が4μmよりも厚い場合には、遮光性は確保できるものの、カラーフィルターの平坦性が犠牲になり易く、段差が生じやすい。画素内段差が生じた場合、カラーフィルタ上部に透明導電膜や液晶配向膜を形成させても段差はほとんど軽減されず、液晶配向膜のラビングによる配向処理が不均一になったり、セルギャップにばらつきが生じたりして、液晶表示素子の表示品位が低下する。
【0050】
また、樹脂ブラックマトリックスの遮光性は、OD値(透過率の逆数の常用対数)で表されるが、液晶表示素子の表示品位を向上させるためには、好ましくは2.5以上であり、より好ましくは3.0以上である。
【0051】
樹脂ブラックマトリックスの反射率は、反射光による影響を低減し液晶表示素子の表示品位を向上させるために、400〜700nmの可視領域での視感度補正された反射率(Y値)で2%以下が好ましく、より好ましくは1%以下である。樹脂ブラックマトリックス間には通常(20〜200)μmx(20〜300)μmの開口部が設けられるが、この開口部を少なくとも被覆するように3原色のそれぞれの着色層が複数配列される。すなわち、1つの開口部は、3原色のいずれか1つの着色層により被覆され、各色の着色層が複数配列される。
【0052】
カラーフィルターを構成する着色層は、少なくとも3原色の色彩を含む。すなわち、加色法によりカラー表示を行う場合は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色が選ばれ、減色法によりカラー表示を行う場合は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の3原色が選ばれる。一般には、これらの3原色を含んだ要素を1単位としてカラー表示の絵素とすることができる。
【0053】
着色層を形成する方法としては、ブラックマトリクスが形成された透明基板上に、たとえば非感光性カラーペーストを塗布、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(セミキュア)する。このセミキュア膜上に感光性レジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光、アルカリ現像し、加熱硬化させる。フォトリソ工程で非感光性カラーペースト層と感光性レジスト層とを同時にパターニングし、1回のフォトリソ加工でありながら積層構成の画素を形成することができる。
【0054】
非感光性カラーペーストは、通常ポジ型フォトレジストを積層し、フォトリソ加工し、フォトレジストを剥離する工程が必要であるが、本発明の最上層に感光性の透明レジストを積層する場合は、フォトリソ加工後に感光性樹脂を剥離することなく、カラーフィルターを作製することが可能であり、フォトレジスト剥離工程が短縮できるので好ましい。
【0055】
本発明においては、複数の樹脂層を積層し、ブラックマトリクス上の一部に形成された樹脂層数をブラックマトリクスの開口部に積層された樹脂層数よりも少なくすることで、画素内段差を軽減しているが、別の方法によってもよい。例えば、感光性レジストからなる樹脂層はフォトリソ加工におけるマスク露光の露光量により硬化する膜厚を変えることができる。感光性アクリルカラーレジストの場合について述べるが、本発明の感光性カラーレジストはこれに限定されない。感光性カラーレジストをフォトリソ加工する場合には、露光量が十分多いと感光性カラーレジストの光架橋が進み、露光された部分は現像液にほとんど溶解されない(いわゆる「膜べり」(膜厚方向にも現像が進んで膜厚が減少する)も起こらない)。未露光部分はアクリル樹脂の光架橋が進まないので、現像液に溶解する。露光はするが、露光量が感光性樹脂の硬化に十分でない場合はアクリル樹脂の光架橋が十分進まないので、露光された部分は現像液に一部の塗膜が溶解するいわゆる「膜べり」が起こるので、露光量によって感光性樹脂の膜厚を調整することも可能である。
【0056】
露光量を調節する方法としては半透過フォトマスクを使用する方法や、スリットまたは網点フォトマスクを使用する方法がある。半透過フォトマスクはフォトマスクに0より大きく100%未満の透過率の半透過領域を持つ。この半透過フォトマスクを使用することで、露光量が多い部分と少ない部分で膜厚を調整する方法である。スリットフォトマスクはフォトマスクの遮光部分に20μm以下の幅でスリットを形成し、単位面積あたりでスリットを通過した露光量を平均化して露光量を調整する方法である。網点フォトマスクはフォトマスクの遮光部分に1個あたりの面積400μm2以下の円形、楕円形、四角形、長方形、菱形、台形、などを1個以上形成し、単位面積あたりでスリットを通過した露光量を平均化して露光量を調整する方法である。感光性カラーレジストを露光する場合、光源にg線、h線、i線の混合スペクトルを持つ高圧水銀灯を用ることが好ましい。露光量は感光性カラーレジストの感度によるが、i線で50mJ/cm2以上が好ましい。
【0057】
本発明のカラーフィルターの製造工程に用いるアルカリ現像液は有機アルカリ現像液と無機アルカリ現像液のどちらも用いることができる。無機アルカリ現像液では炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液などが好適に用いられる。有機アルカリ現像液ではテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、メタノールアミンなどのアミン系水溶液が好適に用いられる。現像液には現像の均一性を上げるために界面活性剤を添加することが好ましい。アルカリ現像はディップ現像、シャワー現像、パドル現像などの方法が可能である。現像後はアルカリ現像液を除去するために純水洗浄を行う。シャワー現像では最適な画素形状になるようにシャワー圧力を調整することが好ましい。シャワー圧力が弱いと、画素の解像度が低下する。シャワー圧力が強いと画素が基板から剥がれることがある。シャワーの圧力は0.05〜5MPaが好ましい。
【0058】
カラーフィルターの形成は、ガラス、高分子フィルム等の透明基板側に限定されず、駆動素子側基板にも行うことができる。また、必要に応じてカラーフィルター上に柱状の固定式スペーサーが配置されていてもよい。
【0059】
本発明のカラーフィルターは、液晶表示装置の駆動方法、表示方式にも限定されず、アクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式、TNモード、STNモード、IPSモード、ECBモード、OCBモード、VAモードなど種々の液晶表示装置に適用される。
【0060】
本発明のカラーフィルター作製方法の一例を述べる。
透明基板上に少なくともポリアミック酸、黒色着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸黒色着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次にこのようにして得られたポリアミック酸黒色被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる。露光装置を用いて、紫外線を照射し目的のパターンを焼き付け、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで樹脂ブラックマトリクス層を得る。樹脂ブラックマトリクス層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0061】
次に少なくともポリアミック酸、着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを樹脂ブラックマトリクスを形成した透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次に、このようにして得られたポリアミック酸着色被膜に、アクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマー、光重合開始剤からなる感光性アクリル樹脂、溶剤からなる感光性レジストを塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、感光性アクリル被膜を積層形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。続いて感光性アクリル被膜にフォトマスクと露光装置を用いて紫外線をパターン状に照射する。露光後、アルカリ現像液により、感光性アクリル被膜とポリアミック酸着色被膜のエッチングを同時に行う。
【0062】
ポリアミック酸着色被膜は、その後、加熱硬化することによって、ポリイミド着色被膜に変換される。加熱硬化は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。
【0063】
以上の工程を赤、緑、青の画素について行うと、液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。
【0064】
次に、このカラーフィルターを用いて作成した液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルター上に、ITO膜などの透明電極を製膜する。次に、このカラーフィルター基板と、ITO膜等の透明電極がパターン化されて設けられた透明基板と、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させてシールし貼りあわせる。なお、カラーフィルター基板に対向して設けられる透明基板上には、透明電極以外に薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することによりモジュールが完成する。
【0065】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0066】
実施例1
A.樹脂ブラックマトリクスの作製
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’− ジアミノジフェニルエーテル及びビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンをN−メチル−2−ピロリドンを溶媒として反応させ、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)溶液を得た。
【0067】
下記の組成を有するカーボンブラックミルベースをホモジナイザーを用いて、7000 rpmで30分間分散し、ガラスビーズをろ過してブラックペーストを調製した。
【0068】
カーボンブラックミルベースの組成
カーボンブラック(MA100 、三菱化成(株)製):4.6部
ポリイミド前駆体溶液:24.0部
N−メチルピロリドン:61.4部
ガラスビーズ:90.0部。
【0069】
ガラス基板(コーニング製、1737材)に上記ブラックペーストをカーテンフローコーターで塗布し、ホットプレートで130℃、10分間乾燥し、黒色の樹脂塗膜を形成した。ポジ型フォトレジスト(シプレー社製、“SRC−100”)をリバースロールコーターで塗布、ホットプレートで100℃、5分間プリベイクし、超高圧水銀灯を用いて100mJ/cm2 紫外線照射してマスク露光した後、2.25%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、フォトレジストの現像と樹脂塗膜のエッチングを同時に行い、パターンを形成、メチルセロソルブアセテートでレジスト剥離し、ホットプレートで300℃、10分間加熱することでイミド化させ、ブラックマトリクス層を形成した。
ブラックマトリクス層の膜厚を測定したところ、1.4μmであり、OD値は4.0であった。
【0070】
B.非感光性カラーペーストの作製
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル 95.1gおよびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 6.2gをγ−ブチロラクトン 525g、N−メチル−2−ピロリドン 220gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 144.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 3.0gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、25重量%のポリアミック酸溶液(PAA)を得た。
【0071】
4,4′−ジアミノベンズアニリド 161.3g、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン 176.7g、およびビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン 18.6gをγ−ブチロラクトン 2667g、N−メチル−2−ピロリドン 527gと共に仕込み、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 439.1gを添加し、70℃で3時間反応させた後、無水フタル酸 2.2gを添加し、さらに70℃で2時間反応させ、20重量%のポリアミック酸溶液であるポリマー分散剤(PD)を得た。
【0072】
ピグメントレッドPR254、3.6g(80wt%)、ピグメントイエローPY138、0.9g(20wt%)とポリマー分散剤(PD) 22.5gおよびγ−ブチロラクトン 42.8g、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール 20.2gをガラスビーズ 90gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。このようにしてPR254とPY138からなる分散液5%溶液を得た。
【0073】
該分散液 45.6gにポリアミック酸溶液(PAA) 14.88gをγ−ブチロラクトン 39.52gで希釈した溶液を添加混合し、非感光性赤色カラーペーストを得た。同様にして、ピグメントグリーンPG38とピグメントイエローPY138からなる非感光性緑ペースト、ピグメントブルーPB15:6からなる非感光性青ペーストを得た。
【0074】
C.非感光性透明ペーストの作製
ポリアミック酸溶液(PAA) 16.0gをγ−ブチロラクトン 34.0gで希釈し非感光性透明ペーストを得た。
【0075】
D.感光性カラーレジストの作製
ピグメントレッドPR177、8.05gを3−メチル−3−メトキシブタノール50gとともに仕込み、ホモジナイザーを用い、7000rpmで5時間分散後、ガラスビーズを濾過し、除去した。アクリル共重合体溶液(ダイセル化学工業株式会社製“サイクロマー”P、ACA−250、43wt%溶液)70.00g、多官能モノマーとしてペンタエリスリトールテトラメタクリレート30.00g、光重合開始剤として“イルガキュア”369 15.00gにシクロペンタノン260.00gを加えた濃度20重量%の感光性アクリル樹脂溶液(AC)134.75gを加え、感光性赤レジストを得た。同様にして、ピグメントグリーンPG38とピグメントイエローPY138からなる感光性緑レジスト、ピグメントブルーPB15:6からなる感光性青レジストを得た。
【0076】
E.着色層の作製
ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に熱処理後のブラックマトリクス開口部での膜厚が1.0μmになるようにスピンナーの回転数を調整し、非感光性赤ペーストを基板上に塗布した。次に、該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥した。該塗膜の上に熱処理後のブラックマトリクス開口部での、非感光性赤ペーストからなる塗膜との合計膜厚が、2.0μmになるようにスピンナーの回転数を調整し、感光性透明レジスト(感光性アクリル樹脂溶液(AC))を塗布した。次に、該塗膜を80℃のオーブンで10分熱処理した。次に、キャノン株式会社製紫外線露光機“PLA−501F”を用い、ブラックマトリクス開口部とブラックマトリクス上の一部の領域についてアイランド状に光が透過するクロム製フォトマスクを介して、100mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、非感光性赤ペーストおよび感光性透明レジストから得た積層した樹脂層を同時に現像した。現像は、ブラックマトリクス上の非感光性赤ペーストからなる着色層を除去するよう、過現像条件でおこなった。現像後に240℃のオーブンで30分熱処理し、赤画素を得た。
【0077】
同様にして、非感光性緑ペーストおよび感光性透明レジストからなる緑画素、非感光性青ペーストおよび感光性透明レジストからなる青画素を得た。
得られた画素上にITO膜を膜厚0.14μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターの構成図を模式的に図3に示す。
【0078】
このようにして得られたカラーフィルターの各画素の画素内段差を表面段差計((株)東京精密製、“サーフコム130A”)を用いて測定したところ次の結果を得た。
赤画素 0.18μm
緑画素 0.16μm
青画素 0.19μm
F.カラー液晶表示素子の作製
カラーフィルタ基板を中性洗剤で洗浄した後、ポリイミド樹脂から成る配向膜を印刷法により塗布し、ホットプレートで250℃、10分間焼成した。膜厚は0.07μmであった。この後、カラーフィルタ基板をラビング処理し、シール剤をディスペンス法により塗布、ホットプレートで90℃、10分間焼成した。
【0079】
一方、コーニング製ガラス基板1737材にTFTアレイを形成した基板も同様に洗浄した後、配向膜を塗布、焼成した。その後、スペーサーを散布し、前記カラーフィルタ基板と重ね合わせ、オーブン中で加圧しながら160℃で90分間焼成、樹脂を硬化させた。このセルを150℃、10−3torrで真空アニールした後、一度窒素雰囲気下で常圧に戻し、再度真空雰囲気において液晶注入した。液晶注入はセルをチャンバーに入れて室温で10−3torrまで減圧した後、液晶注入孔を液晶槽に漬け、窒素を用いて常圧に戻して行った。液晶注入後、UV硬化樹脂を用いて液晶注入孔を封孔した。このパネルをNI転移点以上の温度に加熱して液晶を再配向させた。
【0080】
次に、偏光板をセルの2枚のガラス基板に貼り付け、オートクレーブ中で温度50℃、圧力5kgf/cm2 の条件で処理して、セルを完成させた。得られた液晶表示素子を顕微鏡で観察した結果、配向不良による光漏れなどの不具合はなく、また、表示させたときにはセルギャップのムラによるムラも確認されず、品位も良好であった。
【0081】
比較例1
実施例1と同様にしてガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工した。熱処理後のブラックマトリクス層の膜厚を測定したところ、1.4μmであり、OD値は4.0であった。
【0082】
次に、ブラックマトリクス開口部での膜厚が1.4μmになるようにスピンナーの回転数を調整し、非感光性赤ペーストを基板上に塗布した。次に、該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥した。この上にポジ型フォトレジスト(東京応化株式会社製“OFPR−800”)を塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。紫外線露光機を用い、フォトマスクパターンを介して、実施例1と同様にして60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、赤画素を得た。
【0083】
同様にして、非感光性緑ペーストからなる緑画素、非感光性青ペーストからなる青画素を得た。
得られた画素上にITO膜を膜厚0.14μmとなるようにスパッタリングした。得られたカラーフィルターの構成図を模式的に図6に示す。
【0084】
このようにして得られたカラーフィルターの各画素の画素内段差を表面段差計((株)東京精密製、“サーフコム130A”)を用いて測定したところ次の結果を得た。
赤画素 1.12μm
緑画素 1.16μm
青画素 1.15μm
このカラーフィルタを用いて実施例1と同様にしてカラー液晶表示素子を作製し、顕微鏡観察を実施した。その結果、液晶の配向不良(ディスクリネーション)による大きな光漏れが画素中央部まで認められ、表示品位が大幅に低下した。
【0085】
比較例2
実施例1と同様にしてガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工した。熱処理後のブラックマトリクス層の膜厚を測定したところ、1.4μmであり、OD値は4.0であった。
【0086】
次に、ブラックマトリクス開口部での膜厚が1.4μmになるようにスピンナーの回転数を調整し、感光性赤レジストを基板上に塗布した。次に、該塗膜を80℃で15分乾燥した。紫外線露光機を用い、フォトマスクパターンを介して、実施例1と同様にして、100mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.1%の水溶液からなる現像液に浸漬し、感光性赤レジストから得た着色層を現像した。現像後に240℃のオーブンで30分熱処理し、赤画素を得た。
【0087】
同様にして、感光性緑レジストからなる緑画素、感光性青レジストからなる青画素を得た。
得られた画素上にITO膜を膜厚0.14μmとなるようにスパッタリングした。
【0088】
このようにして得られたカラーフィルターの各画素の画素内段差を表面段差計((株)東京精密製、“サーフコム130A”)を用いて測定したところ次の結果を得た。
赤画素 0.65μm
緑画素 0.68μm
青画素 0.72μm
このカラーフィルタを用いて実施例1と同様にしてカラー液晶表示素子を作製し、顕微鏡観察を実施した。その結果、液晶の配向不良(ディスクリネーション)による光漏れが開口部周辺で認められ、表示品位が低下した。
【0089】
実施例2
非感光性赤ペースト、非感光性緑ペースト、非感光性青ペーストの代わりに非感光性透明ペーストを用いたこと、感光性透明レジストの代わりに感光性赤レジスト、感光性緑レジスト、感光性青レジストを用いたこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。得られたカラーフィルターの構成図を模式的に図4に示す。
【0090】
このようにして得られたカラーフィルターの各画素の画素内段差を表面段差計((株)東京精密製、“サーフコム130A”)を用いて測定したところ次の結果を得た。
赤画素 0.24μm
緑画素 0.18μm
青画素 0.27μm
このカラーフィルタを用いて実施例1と同様にしてカラー液晶表示素子を作製し、顕微鏡観察を実施した。その結果、実施例1と同様に配向不良による光漏れなどの不具合はなく、良好な表示品位が得られた。
【0091】
実施例3
感光性透明レジストの代わりに感光性赤レジスト、感光性緑レジスト、感光性青レジストを用いたこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルターを作製した。得られたカラーフィルターの構成図を模式的に図5に示す。
【0092】
このようにして得られたカラーフィルターの各画素の画素内段差を表面段差計((株)東京精密製、“サーフコム130A”)を用いて測定したところ次の結果を得た。
赤画素 0.34μm
緑画素 0.38μm
青画素 0.29μm
このカラーフィルタを用いて実施例1と同様にしてカラー液晶表示素子を作製し、顕微鏡観察を実施した。その結果、実施例1と同様に配向不良による光漏れなどの不具合はなく、良好な表示品位が得られた。また、実施例1に比べて、色純度の高い色鮮やかな表示が得られた。
【0093】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成したので、樹脂ブラックマトリクスを用いた場合でも、オーバーコート塗布工程や表面研磨工程を追加することなく、表面平坦性を向上させたカラーフィルターを安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で規定されるカラーフィルタ画素内段差を説明するための模式断面図。
【図2】本発明で規定されるアイランドパターンのカラーフィルタの構成を説明するための模式図。
【図3】本発明のカラーフィルタの模式断面図である。
【図4】本発明のカラーフィルタの模式断面図である。
【図5】本発明のカラーフィルタの模式断面図である。
【図6】比較例のカラーフィルタの模式断面図である。
【符号の説明】
1:透明基板(ガラス基板)
2:樹脂ブラックマトリックス
3:感光性透明レジストからなる樹脂層
4:感光性カラーレジストからなる樹脂層
5:非感光性透明ペーストからなる樹脂層
6:非感光性カラーペーストからなる樹脂層
7:透明電極
11:透明基板
12:樹脂ブラックマトリックス
13:着色層
14:透明電極
15:着色層(B)
16:着色層(R)
17:着色層(G)
Claims (15)
- 複数色の画素と樹脂ブラックマトリクスを含むカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素のブラックマトリクスの開口部においてパターン加工された複数の樹脂層が積層され、積層された樹脂層の最上層が感光性レジストから形成されていることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
- ブラックマトリクス上の一部に形成された樹脂層数がブラックマトリクスの開口部に積層された樹脂層数よりも少ないことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 積層された樹脂層のうち、最上層の感光性レジストからなる樹脂層を除く、下層の樹脂層のブラックマトリクス開口部での膜厚がブラックマトリクスの膜厚よりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 複数の樹脂層が積層された画素の最上層の感光性レジストが透明レジストまたはカラーレジストから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 複数の樹脂層の積層が2層であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルター
- 下層の樹脂層が非感光性ペーストから形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 非感光性ペーストがポリイミド樹脂を含むことを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 非感光性ペーストが着色剤を含むことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 樹脂ブラックマトリックスの膜厚が4μm以下である請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 複数の樹脂層が積層された構造を有する画素について、1画素内の段差が0.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 樹脂ブラックマトリクスを有する液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法であって、複数の樹脂層が積層された画素の最上層に感光性レジストを塗布する工程を含むことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法。
- 感光性レジストがアクリルレジストであることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法。
- 積層する樹脂層のうち、最上層の感光性レジストからなる樹脂層を除く下層の樹脂層のブラックマトリクス開口部での膜厚をブラックマトリクスの膜厚よりも薄く形成することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法。
- ブラックマトリクス上に塗布された最上層以外の樹脂層を過現像条件によって除去する請求項11に記載の液晶表示装置用カラーフィルターの製造方法
- 請求項1〜10のいずれかに記載のカラーフィルターを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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-
2002
- 2002-12-03 JP JP2002350829A patent/JP2004184664A/ja active Pending
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