JP2004354845A - 液晶表示装置用カラーフィルター、および液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一画素中にY値の異なる2つの領域を含み、複数色の画素が配されたカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素の、Y値の異なる2つの領域の少なくとも境界部には着色層以外の樹脂層が形成され、且つカラーフィルターの表示領域外に該着色層以外の樹脂層を形成した領域を有することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透過型液晶表示と反射型液晶表示の両方の方式を兼ね備えた半透過半反射型液晶表示装置用カラーフィルター、およびそれを用いた液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を生かし、ノートPC、携帯情報端末、デスクトップモニタ、デジタルカメラなど様々な用途で使用されている。バックライトを使用した液晶表示装置においては、低消費電力化を進めるためにバックライト光の利用効率を高めることが求められ、カラーフィルターの高透過率化が要求されている。一方、カラーフィルターの透過率は年々向上しているが、透過率向上による消費電力の大幅な低下は望めなくなってきている。最近では電力消費量の大きなバックライト光源を必要としない反射型液晶表示装置の開発が進められており、透過型液晶表示装置にくらべ約1/7と大幅な消費
電力の低減が可能であることが発表されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
反射型液晶表示装置は、透過型液晶表示装置に比べ低消費電力であり、屋外での視認性に優れるという利点はあるものの、十分な環境光強度が確保されない場所では表示が暗くなってしまい、視認性が極端に悪くなるという問題点がある。暗い環境下でも表示が視認されるようにするために、(1)バックライトを設け、反射膜の一部に切り欠きを入れ、一部が透過型表示方式、一部を反射型表示方式とした液晶表示装置、半透過半反射型表示方式(いわゆる半透過型表示方式、例
えば、非特許文献2参照)、(2)フロントライトを設けた液晶表示装置などが考案されている。
【0004】
反射膜の一部に切り欠きを入れ、バックライトを設けた半透過型液晶表示装置では、バックライト光を利用する透過表示と環境光を利用する反射表示が1画素内に共存するため、環境光強度によらず、視認性のよい表示を行うことが出来る(例えば、特許文献1参照)。しかし、図9に示すような従来の構成のカラーフィルター、すなわち、反射用領域と透過用領域が特別には設けられていない、1画素内での着色が均一なカラーフィルターを用いた場合には、鮮やかな透過表示を得ようとすると問題点が生じていた。具体的には透過色の色鮮やかさ(色純度)を向上させると、反射色もそれに伴いさらに色純度が高くなり、色純度とトレードオフの関係にある明るさが極端に低下し、十分な視認性が得られないというものである。この問題点は、透過表示を行うときにはバックライト光がカラーフィルターを1回透過するのに対して、反射表示では、環境光が入射時と反射時の2回カラーフィルターを透過することに起因する。また、半透過型液晶表示装置では透過表示での光源がバックライト光である一方、反射表示での光源が環境光であるために、色純度だけでなく色調も変化してしまうという問題点もある。これは、環境光がD65光源に代表されるような連続的なスペクトルを持つのに対して、バックライト光源がある特定の波長にスペクトルのピークをもつという光源のスペクトル特性の違いに起因する。
【0005】
そこで、透過用領域と反射用領域の表示色を同一にする(色純度、明るさ、色調を同一にする)方法として、反射用領域に土台部(着色層以外の樹脂層)を形成して、透過用領域と反射用領域で着色層の膜厚を変えることが記載されている(例えば、特許文献2参照)。図2は、従来知られている膜厚を調整する方式での半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。反射用領域7には透明樹脂層3が形成され、反射用領域7の着色層4の膜厚は、透過用領域6の着色層4の膜厚に比べて、薄くなっている。この方法は、反射領域7の着色層の膜厚を薄く変えただけで、廉価に反射表示と透過表示との色純度及び明るさの差をなくせることが特徴である。該方式は、液晶表示装置の色特性の設計がしやすい点から好ましく用いられている。ただし、この設計の容易さとは逆に、額縁付近の液晶表示装置の表示品位が悪くなった。特に額縁領域に黒色遮光層を有し、かつ該遮光層が、遮光剤を分散した樹脂を用いた場合、額縁付近の表示品位が非常に悪くなった。また額縁周辺でも特に液晶注入口付近の表示ムラが悪かった。
【0006】
また、透過用領域と反射用領域の表示色を同一にする別の方法としては、図10に示すような透過用領域および/または反射用領域をバックライト光と環境光を考慮した適切な複数の色材料で塗り分ける方法がある(例えば、特許文献3参照)。透過用領域および/または反射用領域を塗り分ける方法では、透過用領域6と反射用領域7の色調を同じにして色純度、明るさを変え、目的にあった透過表示色と反射表示色を達成することができると考えられるが、現在主流のフォトリソ法では、一色の画素を形成するのに二度以上の色材料塗布、フォトリソ加工をすることになる。すなわち、赤、緑、青の三色の画素を形成するには各色2回、計6回のフォトリソ加工が必要となり、製造コストが増加してしまうという問題点があった。
【0007】
一方、製造コストを増加させず、明るい反射表示を実現する方法として、図11に示すような反射用領域7に着色層を形成する領域4と形成しない領域5とを含む構成が提案されている(特許文献4、参照)。この方法によれば、着色層を形成しない領域5を各色毎に異ならせることにより、反射表示での適切な色純度と明るさを得ることが出来るとされている。しかし、本来波長選択性が要求されるカラーフィルターに選択性のない無着色領域を形成することにより、カラーフィルターとしての特性が低下してしまう。すなわち、同じ色純度で比較すると明るさに劣ったカラーフィルターとなってしまう。この傾向は、透過用領域の色純度を向上させると顕著になり、反射表示での十分な明るさが得られなくなってしまう。
【0008】
こうした問題点を解消するために、一画素中に透過用領域と反射用領域を含み、少なくとも1色の画素については、非感光性樹脂を含む着色層24b上に感光性樹脂を含む着色層24aを積層させ、一括加工したカラーフィルターが提案されている(特許文献5、参照)。図12は、特許文献5に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものである。この方法によれば、反射用領域の感光性樹脂を含む着色層24aは、半透過フォトマスクを使用することにより、透過用領域の感光性樹脂層膜厚の1/2以下に調整することが出来、反射表示での明るさを向上させることが出来る。また、積層させる着色層の着色特性をそれぞれ最適化することで、透過用領域6と反射用領域7とでの表示特性を所望の色調にすることができる。
【0009】
しかし、感光性樹脂からなる着色層24aについては、反射用領域7の着色層を薄くすることが出来るものの、下層の非感光性樹脂からなる着色層24bは、透過用領域6と反射用領域7との膜厚が同等であるため、透過表示での色純度を向上させた場合には、反射表示での十分な明るさを実現することが困難であった。
【0010】
すなわち、従来知られている方法では、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にすること、ならびに製造工程増加を抑えて安価に製造することを両立することが困難であった。
【0011】
本発明者らは、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にすること、ならびに製造工程増加を抑えて安価に製造することを両立するカラーフィルターとして、複数の着色層が積層され、かつ、最上層が感光性カラーレジストからなる構造を有し、かつ、反射用領域において基板と着色層の間に、着色層以外の樹脂として透明樹脂層を有することを特徴とするカラーフィルターを提案している(特願2002−350830号、参照)。しかしながら、本カラーフィルターを用いた液晶表示装置でも、額縁付近の液晶表示装置の表示品位が悪くなった。特に額縁領域に黒色遮光層を有し、かつ該遮光層が、遮光剤を分散した樹脂を用いた場合、額縁付近の表示品位が非常に悪くなった。また額縁周辺でも特に液晶注入口付近の表示ムラが悪かった。
【0012】
これら総じて、半透過型液晶表示装置において、透過用領域と反射量領域との少なくとも境界部に透明樹脂等を形成している半透過型液晶表示装置では、額縁付近の表示品位が悪くなり、特に液晶注入口付近の表示ムラが悪かった。
【0013】
【特許文献1】
特開平11−109417号公報(第1図)
【0014】
【特許文献2】
特開2001−33778号公報(第3〜4頁、第2図)
【0015】
【特許文献3】
特開2001−183646号公報(第1図)
【0016】
【特許文献4】
特開2000−111902号
【0017】
【特許文献5】
特開2002−365419号公報
【0018】
【非特許文献1】
「日経マイクロデバイス別冊フラットパネル・ディスプレイ」、1998年、p.126。
【0019】
【非特許文献2】
「ファインプロセステクノロジージャパン’99、専門技術セミナーテキストA5」、1998年7月2日、p.6。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み創案されたもので、半透過型液晶表示装置用カラーフィルターを改良することで、反射用領域と透過用領域とをそれぞれさらに所望の色特性近づけることができ、且つ額縁付近の表示ムラの無い液晶表示装置を提供すること。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下のカラーフィルターによって半透過型液晶表示装置の額縁付近の表示ムラが無く、所望の色特性(色純度、明るさ)を得ることが可能な液晶表示装置を提供できることを見いだした。さらに、反射表示と透過表示とで所望色純度明るさに加えて所望の色調を加えて得ることが可能であって、かつ工程増加を抑えて、低コストにカラーフィルターを製造可能であり、かつ、表示品位の高い半透過型液晶表示装置を低コストに実現可能であることを見出した。
すなわち、
(1) 一画素中にY値の異なる2つの領域を含み、複数色の画素が配されたカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素の、Y値の異なる2つの領域の少なくとも境界部には着色層以外の樹脂層が形成され、且つカラーフィルターの表示領域外に該着色層以外の樹脂層を形成した領域を有することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
【0022】
(2) 表示領域外の額縁領域に、着色層以外の樹脂層を形成した領域を有することを特徴とする(1)記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0023】
(3) 表示領域外のシール領域に、該着色層以外の樹脂層を形成した領域を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0024】
(4) 液晶表示装置組み立て時にカットされる領域に、着色層以外の樹脂層を形成した領域を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0025】
(5) 液晶注入口領域に、着色層以外の樹脂層を用いた液晶注入ガイドを有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0026】
(6) Y値の小さい領域が透過用領域であり、Y値の大きい領域が反射用領域であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0027】
(7) 画素内の反射用領域に形成されている着色層以外の樹脂層の面積が、透過用領域に形成されている面積より広いことを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0028】
(8) 着色層以外の樹脂層を有する画素において、Y値の小さい領域には複数の着色層が積層され、かつY値の大きい領域には着色層が1層もしくは着色層の積層数が透過用領域の着色層数よりも少ないことを特徴とする(1)〜(7)の何れかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0029】
(9) 額縁領域に黒色遮光層を有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0030】
(10) シール領域に黒色遮光層を有することを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0031】
(11) 黒色遮光層が、遮光剤を分散した樹脂であることを特徴とする(9)または(10)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0032】
(12) 遮光剤として酸化窒化チタンを含むことを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0033】
(13) 積層された着色層のうち下層の着色層がポリイミド樹脂からなる(1)〜(12)のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
【0034】
(14) (1)〜(13)のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルターを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【0035】
(15) 液晶表示装置用カラーフィルター、または液晶層を挟んでカラーフィルターに対向する基板の少なくとも一方の基板上に、柱状スペーサーを有することを特徴とする(14)記載の液晶表示装置。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明のカラーフィルターは、一画素内に透過用領域と反射用領域を持ついわゆる半透過半反射液晶表示装置に好適に用いることができる。液晶表示装置は、本カラーフィルタ基板と、対向する基板とを貼り合わせた隙間に、液晶層を介した構成となっている。半透過半反射液晶表示装置は透過領域と反射領域を持ち、透過領域では液晶層を主に1回通過するバックライト光を用いて表示するのに対し、反射領域では液晶層を主に2回通過するフロントライト光や外光を用いて表示する。
【0037】
本発明のカラーフィルターは、大きく表示領域内と表示領域外に分けられる。表示領域内は、複数の画素が形成され表示に用いられる領域をさし、更に該画素はY値の異なる2つの領域に分けられる。Y値の小さい濃色領域は、半透過半反射表示の内の透過表示用に主に用いられる。Y値の大きい淡色領域は、反射表示用に主に用いられる。Y値は市販の顕微分光光度計(大塚電子製 MCPD−200等)を用い色度測定する事で求められる。淡色領域のY値を濃色領域のY値で除した値が、1.2以上であることが好ましく、さらには1.4以上であることが好ましい。表示領域外は、表示領域内を除く表示領域周辺部のことを指す。カラーフィルターの表示領域外の一部は、液晶表示装置の組み立ての際に、必要に応じてカットされて液晶表示装置としては用いられないことがある。ここでカラーフィルターの表示領域外でかつ、液晶表示装置の組み立て後も残る表示領域外部分を額縁とよぶ。つまり表示領域外は、額縁と、組み立て時にカットされる部分とに大きく2分される。液晶表示装置としてのこる額縁にはシール領域や駆動IC等の実装されることがある。シール領域は、液晶表示装置を構成する2枚の基板、即ちカラーフィルター側基板と対向する基板とを接着剤にて張り合わせている領域である。
【0038】
額縁には、黒色遮光層を設けることが好ましい。黒色遮光層で額縁を覆うことで、その下にある駆動IC等の配線やシール領域を隠すことができる。黒色遮光層はクロムやニッケル等の金属又はそれらの酸化物等で形成してもよいが、樹脂及び遮光剤から成る黒色遮光層を用いることが製造コストや廃棄物処理コストの面から更に好ましい。また額縁部分に低温ポリシリコンや連続粒界結晶シリコン等電子移動度の高いシリコン等を用いて駆動IC等を高度に基板上に集積させた液晶表示装置においては、額縁が導電体であると寄生容量の発生し、表示駆動が誤動作を起こすことがある。樹脂及び遮光剤からなる黒色遮光層ならば、主に遮光剤の種類と添加量によって、その電気特性を設計し、誤動作なく駆動できることから好ましい。
【0039】
額縁用樹脂遮光層の遮光剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化窒化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉、顔料やこれらの混合物などを用いることができる。この中でも、特にカーボンブラックや酸化窒化チタンは遮光性が優れており、特に好ましい。さらに、酸化窒化チタンを用いた黒色遮光膜は基板との密着性が高いことから、本発明には特に好ましく用いられる。前述した電気特性の観点からも、酸化窒化チタンは高い抵抗値と高い遮光性を兼ね備えることから好ましい。分散のよい粒径の小さい酸化窒化チタンは主として青系統の色調を呈するので、酸化窒化チタンに対する補色の顔料を混合させて無彩色にするのが好ましい。該黒色遮光層にもちいる樹脂は、後述する感光性カラーレジストに用いる樹脂や、非感光性カラーペーストに用いる樹脂等が好ましく用いられる。
【0040】
この半透過液晶表示には、外光を利用するため、基板上に反射膜が形成されている。外光を利用するための反射膜が形成される基板は、カラーフィルター側基板、カラーフィルターに対向する基板のいずれでもよい。カラーフィルター側に反射膜が形成されている場合は、色材料が形成されている画素領域の内、反射膜が形成されている領域が反射用領域となり、画素領域の中で反射膜が形成されていない領域が透過用領域となる。反射膜がカラーフィルターに対向する基板上に形成されている場合は、該基板の反射膜形成領域に対応するカラーフィルター画素領域が反射用領域となり、該基板の反射膜が形成されていない領域に対応するカラーフィルター画素領域が透過用領域となる。
【0041】
本発明においては、反射用領域と透過用領域の配置について特に限定はないが、反射用領域の内側に透過用領域が含まれることが好ましい。
【0042】
本発明者らは、半透過型液晶表示装置額縁付近の表示ムラが無く、反射表示および透過表示において共に所望の色特性(色純度、明るさ)を得ることが可能な液晶表示装置を提供できることを見いだした。本発明者らは、さらに上記特性を工程増加を抑えて、低コストにカラーフィルターを製造可能であることを見いだした。
【0043】
まず以下、半透過型液晶表示装置額縁付近の表示ムラが無く、反射表示および透過表示において共に所望の色特性(色純度、明るさ、色調)を得ることができ、かつ工程増加を抑えて、低コストにカラーフィルターを製造法について説明する。
【0044】
本発明者らは、反射用領域の着色層数を透過用領域の着色層よりも少なくする、すなわち反射表示での明るさを向上させるための手段として、感光性レジストと非感光性ペーストとの現像特性の違いに着目し、それぞれからなる着色層を積層させ、一括パターン加工する加工方法を考案した。透過用領域に複数の着色層を積層させること、ならびに反射用領域の着色層数を透過用領域の着色層よりも少なくすることで、透過表示での色純度を向上させた場合でも、明るい反射表示を得ることが出来る。また、積層させるそれぞれの着色塗膜の着色を適宜異ならせることで、透過表示と反射表示のそれぞれで所望の色純度、明るさ、色調を得ることが可能となる。
【0045】
ここで、ネガ型感光性レジストと非感光性ペーストの現像特性の違いについて述べる。ネガ型感光性レジストでは、紫外線などにより露光された領域は、光架橋反応が進行し、現像液に不溶となる一方、未露光部分は、現像液に溶解する。したがって、十分な露光量の紫外線を照射することで、現像時間によらず、一定のパターンを形成することが出来る。
【0046】
一方、非感光性ペーストのフォトリソ加工では、それ自体が感光性能を持たないため、感光性のレジストを非感光性ペーストからなる塗膜上に塗布する必要がある。紫外線などの露光により、感光性レジストは露光部分、未露光部分での溶解性が変化するが、非感光性ペーストからなる塗膜層は、光照射によって、なんら溶解性が変化することがない。そのため、適正現像時間よりも現像時間を長くした過現像条件とすることで、上層の感光性レジストに比べて、下層の非感光性ペーストのエッチングをさらに進めることが出来る。
【0047】
本発明者らは、このような現像特性の違いを鑑み、感光性レジストならびに非感光性ペーストの積層膜を露光後、過現像条件で一括現像することにより、感光性レジスト層と非感光性ペースト層とを異なった形状に形成出来ることを見出した。
【0048】
さらに、本発明者らは凹状に形成された着色層以外の樹脂層上に、非感光性ペースト、さらにその上に感光性レジストを積層し、パターン加工する際に、凹状樹脂層の段差部分で非感光性ペーストのエッチング速度が非常に遅くなり、非感光着色層の現像性が制御出来ることを見出した。すなわち、段差形状を作るための着色層以外の樹脂層をあらかじめ任意のパターンに形成しておき、その上に非感光性ペースト、さらにその上に感光性レジストを積層し、一括現像することで、感光性レジスト層と非感光性ペースト層とを所望の形状に加工出来ることを見出した。
【0049】
ここで、より具体的に本発明のカラーフィルター加工の一例について述べる。図1(a)には透過用領域と反射用領域の境界に段差をもつようパターン加工された着色層以外の樹脂層3の例を示す。この着色層以外の樹脂層上に、非感光性ペースト、さらにその上に感光性レジストを積層したものが図1(b)である。フォトマスクを介した露光の後、現像液に浸漬すると、上層の感光性レジスト層24aのうち、未露光部は溶解し、露光部は溶解せずに現像される。一方、下層の非感光性ペースト層24bは、現像時間と共に溶解が進行するが、樹脂層の段差部分で非感光性ペーストのエッチング速度が極めて遅くなり、透過用領域の非感光性ペースト24bは現像されずに、反射用領域の非感光性ペースト24bのみが選択的に現像される。結果として、透過用領域に感光性レジスト層24aと非感光性ペースト24bが積層され、反射用領域には感光性レジスト層24aのみが得られる(図1(c))。
【0050】
本発明においては、積層される樹脂層は最上層に感光性レジストからなる樹脂層が形成されることが必要であるが、感光性レジストの下の非感光性ペーストおよび/または感光性レジスト樹脂層は何層でも積層することが可能である。何層積層するかは目標の色特性を達成するために適宜選択されるが、生産性の観点からは樹脂層としては感光性レジストと他の1層を組み合わせた2層積層構造であることがより好ましい。
【0051】
本発明においては、現像性を制御するよう透過用領域と反射用領域の境界部に、段差形状を形成することが重要である。現像性を制御するための着色層以外の樹脂層は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに形成されていてもよく、反射用領域の全体に渡って形成されていてもよい。ここでいう着色層とは、液晶表示装置の発色のために用いられる層を指し、例えば透明樹脂層、遮光層などは含まないものとする。また、ここでいう境界部とは、Y値の異なる2つの領域間で、Y値の変化が最も大きい点から±10μm以内に含まれる領域を指す。着色層以外の樹脂層が透明樹脂層である場合は、透過用領域と反射用領域の境界部のみに樹脂層が形成されていてもよく、反射用領域全体について樹脂層が形成されていてもよい。図1は反射用領域全体に樹脂層が形成されている例を示したものであり、透過用領域6は複数の着色層が積層されており、反射用領域7は着色層と樹脂層3が積層されている。
【0052】
反射用領域の全体に渡って、着色層以外の樹脂層を形成する場合は、樹脂層は透明であることが好ましい。ここで「透明」とは、具体的には可視光領域の平均透過率が80%以上であることをいう。
【0053】
本発明においては、透過表示と反射表示の色純度、明るさ、色調を所望の特性とするためには、透過用領域の着色と反射用領域の着色が異なることが好ましい。反射用領域の着色と透過用領域の着色を変える方法としては、最上層の感光性カラーレジストからなる着色層とそれ以外の着色層の着色が異なる構成とすることがあげられる。「着色が異なる」とは、同一光源(例えばC光源)で透過用領域と反射用領域を見たときの色純度、明るさ(透過率)、色調が異なることを指す。最上層の感光性カラーレジストと感光性カラーレジストおよび/または非感光性カラーペーストからなる下層着色層との着色は同一とする必要はなく目的に応じて異なることが好ましい。
【0054】
着色を異ならせる方法としては、使用する着色剤数、着色剤種類、着色剤組成、着色剤濃度を異ならせることで達成することができる。勿論、使用される着色剤が同じであっても混合比率を変えれば達成される色度を異ならせることができる。たとえば、最上層を主顔料と副顔料の両者を使用した着色とし、下層着色層には主顔料あるいは副顔料のみを使用した着色とする、あるいは、最上層と下層着色層で主顔料の種類を変えるなどが可能である。
【0055】
また、着色塗液の平坦化(レベリング)によっても、反射用領域の着色と透過用領域の着色(同一光源(例えばC光源)で見たときの「色の濃さ」即ちY値)を変えることができる。例えば、基板上の反射用領域に透明樹脂層を形成すると反射用領域は透明樹脂層部分の膜厚分凸になり、透過用領域は反射用領域に比べて低い部分的に凸のある基板となる。凸のある基板上に非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジストを塗布し着色層を形成すると、透過用領域の着色層の膜厚は、非感光性カラーペーストや感光性カラーレジストによる平坦化(レベリング)によって凸が形成されている反射用領域の膜厚に比べて厚くなる。すなわち、反射用領域の着色に比べ、透過用領域の着色を濃くすることが出来る。
【0056】
着色塗液の平坦化(レベリング)の程度は、塗液の粘度、固形分濃度により調整することが出来る。塗液の粘度が低いとより平坦化しやすくなり、また塗液中の固形分濃度が高いとより平坦化しやすくなる。最上層の着色層に用いる感光性カラーレジスト中の固形分濃度は10重量%から30重量%であることが好ましく、下層の着色層に用いる非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジスト中の固形分濃度は3重量%から15重量%であることが好ましい。
【0057】
本発明では少なくとも一色の画素について非感光性カラーペーストおよび/または感光性カラーレジストからなる着色層と感光性カラーレジストからなる着色層を積層させるが、積層させる色については、特に限定はなく赤画素、緑画素、青画素のいずれでもよく、積層させる色画素は1色でも2色でも3色でもよいが、用いるバックライト光源と環境光の特性差を勘案し、目標の着色を達成できるように個々の積層させる色材料の着色を決めることが好ましい。
【0058】
好ましい画素の着色設計には、光源の違いを考慮に入れるため、透過用領域はバックライトに用いられる光源としてC光源、2波長型光源、3波長型光源の内のいずれか、反射用領域は環境光としての太陽光(自然光)に近いD65光源で行うことが好ましい。ここでいう2波長型のLED光源の例としては、青色LEDと黄色蛍光体または黄緑色蛍光体とを組み合わせて白色光を発するLED光源があげられる。また、3波長型光源の例としては、3波長冷陰極管、紫外LEDと赤、青、緑蛍光体とを組み合わせた白色LED光源、赤、青、緑各色のLEDを組み合わせた白色LED光源、青色LEDと赤色蛍光体ならびに緑色蛍光体とを組み合わせた白色LED光源、有機エレクトロルミネッセンス光源などがあげられる。
【0059】
本発明においては、現像性を制御するために着色層以外の樹脂層を、透過用領域と反射用領域の少なくとも境界部に形成する必要がある。ここでいう着色層とは、液晶表示装置の発色のために用いられる層を指し、例えば透明樹脂層、遮光層などは含まないものとする。
【0060】
着色層以外の樹脂層が遮光層である場合は、画素内では透過用領域と反射用領域の境界部のみに樹脂層が形成されている方が、画素の有効表示面積(開口率)の減少が抑えられ好ましい。また、開口率の低下をさらに少なくするため、その線幅は10μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましい。また、パターン加工性の観点からは、遮光層の膜厚は、7μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
【0061】
一方、着色層以外の樹脂層が透明樹脂層である場合は、画素内では透過用領域と反射用領域の境界部のみに該樹脂層が形成されていてもよく、反射用領域全体について該樹脂層が形成されていてもよい。
【0062】
着色層以外の樹脂層は額縁の遮光層を形成する前に形成しても良いが、額縁の遮光層のパターン形成の安定性から、額縁の遮光層を形成後に該樹脂層を形成することが好ましい。
【0063】
反射用領域に形成される透明樹脂層の膜厚は、光源の違いを勘案したうえで反射用領域と透過用領域の色純度、明るさ、色調が所望の特性となるように選択させる。透明樹脂の膜厚が大きいほど、平坦化により反射用領域と透過用領域に形成される着色層の膜厚差が大きくなり、反射用領域の明るさを明るくする効果が大きい。透明樹脂層の膜厚があまり大きくなるとカラーフィルター表面の段差が大きくなり、液晶配向に悪影響を及ぼし表示品位が悪化するので透明樹脂層の膜厚は10μm以下が好ましい。
【0064】
透明樹脂層は感光性レジストを使用して形成することができる。感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用でき、アクリル系樹脂が好ましく用いられる。感光性アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的であるがエポキシモノマーを加えたいわゆるアクリルエポキシ樹脂としてもよい。透明樹脂層を感光性レジストで形成した場合は、フォトリソ加工の露光工程で、露光マスクと透明樹脂層を形成する基板の距離を変えることで透明樹脂層の表面の丸みや平坦性を制御することが可能である。
【0065】
透明樹脂層は非感光性ペーストを使用しても形成することができる。非感光性樹脂材料としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が使用でき、ポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。透明樹脂層を非感光性ペーストで形成した場合は、透明樹脂層の上部表面が平坦な構造になり、より小さな面積の透明樹脂層を形成することが可能である。
【0066】
反射用領域に形成する透明樹脂層には光散乱のための粒子を含んでもよい。透明樹脂層に光拡散の粒子を含むことで、正反射成分による表示のギラツキを押さえ、良好な表示特性を得ることができ、かつ透過用領域には透明樹脂層は存在しないので光散乱せずに効率的にバックライトを使用することができる。光散乱のための粒子としてはシリカ、アルミナ、チタニアなどの無機酸化物粒子、金属粒子、アクリル、スチレン、シリコーン、フッ素含有ポリマーなどの樹脂粒子などの材料を使用することができ、シリカ粒子を用いることが好ましい。光散乱粒子の粒径としては0.1〜10μmの範囲で用いることができる。光拡散の粒子径が透明樹脂層の厚み以下である場合は透明樹脂層が平坦になるのでより好ましい。
【0067】
非感光性ペーストを用いて透明樹脂層を形成する例としては、透明基板上に非感光性ペーストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥などを用いて加熱乾燥(セミキュア)する。セミキュア膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、フォトレジストを溶剤で剥離することで透明樹脂層を形成し加熱硬化させる。
【0068】
感光性レジストを用いて透明樹脂層を形成する方法としては、透明基板上に感光性レジストを塗布し、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、後に加熱硬化することで、透明樹脂層を得る。
【0069】
半透過半反射型液晶表示装置では、特に反射表示は液晶層をフロントライト光や外光が2回通過した光を用いることから、液晶層のギャップ(セルギャップ)の変動に対して、表示品位が変わりやすい。特に透過用領域と反射用領域の少なくとも境界部に着色層以外の樹脂層を形成するカラーフィルターにおいては、表示領域外に比べて表示領域内の樹脂層の合計膜厚が厚くなるため、表示領域内と外でのセルギャップの変動が大きく、即ち額縁付近での表示品位が悪くなりやすい。従って、本発明のカラーフィルターにおいては、表示領域外に着色層以外の樹脂層を形成した領域を有することが好ましい。この着色層以外の樹脂層を表示領域外にも形成することで、表示領域内と表示領域外の樹脂層の合計膜厚の差を縮め、表示品位が向上する。表示領域外でも特に、シール領域や、額縁領域に形成することが好ましい。これら表示領域外の該樹脂層の形成は、表示領域内での該樹脂層の形成と同時に行う。
【0070】
額縁領域に形成される該着色層以外の樹脂層は図3や図4に示す表示領域内に周期的に繰り返される該樹脂層パターンと、概略同じパターンを形成することが好ましい。額縁領域に形成される該樹脂層は、表示領域端から1画素分以上繰り返し形成することが好ましく、さらには3画素分(即ち1絵素分)以上形成することが好ましい。このように額縁領域に、該樹脂層を形成することで、表示領域内の額縁付近の液晶配向が更に安定化し、該領域の表示ムラが見られなくなる。
【0071】
カラーフィルター上に複数の画面がある場合には、それらを液晶表示装置組み立て時に分断する必要がある。また画面間や画面の外には、液晶表示装置組み立て時には、切断廃棄される領域がある。
【0072】
このように、カラーフィルターの表示領域外の液晶表示装置組み立て時にカットされる領域にも該着色層以外の樹脂層を形成することが好ましい。カットラインから表示領域外方向に50mm以内に設けることが好ましく、20mm以内に設けることが更に好ましい。
【0073】
ただし、カットされる領域と額縁との境界、即ちカットライン上には該着色層以外の樹脂層を形成しない領域を設けることが好ましい。基板のカットは、通常、超硬合金や焼結ダイヤ等のホイールチップを用いてカットライン上にクラックを入れた後分断するが、クラックを入れるカットライン上に該着色層以外の樹脂が形成されていると、クラックが入りにくかったり、また分断が上手くいかないことがある。またレーザーを用いてガラスをカットする場合においても、該着色層以外の樹脂が形成されていると、レーザーによるカットライン上へのクラックを充分に入れられないことがある。即ち、カットライン上に着色層以外の樹脂層があると、切断不良が起きる場合がある。このカットラインを中心として±0.5mm以上、好ましくは±1.0mm以上の領域に渡って、該着色層以外の樹脂を形成しない領域を設けることが好ましい。
【0074】
液晶注入口を有する液晶表示装置用のカラーフィルターにおいては、該着色層以外の樹脂層を用いて、シール部に形成されるとは異なるパターンを形成し、注入口部分のセルギャップを充分に保ち、且つ液晶を整流させるための、液晶注入ガイドを形成しても良い。液晶注入口の幅は通常数mmから30mm程度である。注入ガイドを用いることで液晶注入口部分のセルギャップが安定化し、額縁部分の特に注入口付近の表示ムラがなくなる。液晶注入ガイドの形状としては特に限定はないが、上から見た場合に略長方形状(例えば角が丸くなった長方形等)または楕円形状が好ましい。注入ガイドの長手方向は、必要に応じて、表示領域内の方向に向いても良い。
【0075】
本カラーフィルターを用いる液晶表示装置においては、セルギャップが変動しやすい更にはセルギャップの変動による表示品位の低下が大きいため、カラーフィルター基板上、もしくは対向する基板上に、液晶層のギャップを保持するための柱状スペーサーを形成することが好ましい。加えて、柱状スペーサーは、表示領域内外を問わず、カラーフィルター上に設ける場合には該着色層以外の樹脂層上に形成するか、カラーフィルターに対向する基板上に設ける場合には該着色層以外の樹脂層に突き当てるように形成することが、セルギャップの安定の観点から好ましい。
【0076】
本発明で使用する着色材料は、着色成分と樹脂成分を含むペーストである。樹脂成分としては、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。感光性、非感光性のどちらの材料でも使用することが可能である。
【0077】
感光性カラーレジストは、着色成分と樹脂成分を含み、樹脂成分は光によって反応する感光成分を含む。光照射された樹脂が現像液への溶解速度のあがるポジ型と、光照射された樹脂が現像液への溶解速度の下がるネガ型があり、どちらも使用することが可能であるが、可視光で感光成分の透明性の高いネガ型樹脂が好ましく用いられる。感光性カラーレジストの樹脂成分としてはポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の材料が好ましく用いられる。
【0078】
非感光性カラーペーストに使用する樹脂成分の例としてポリイミド系樹脂について述べる。ポリイミド系樹脂としてはポリイミド前駆体であるポリアミック酸を、加熱又は適当な触媒によってイミド化したものが好適に用いられる。ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得ることができる。
【0079】
本発明におけるポリアミック酸の合成には、テトラカルボン酸二無水物として、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオンなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4´−オキシジフタル酸無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−パラターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3”,4,4”−メタターフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物などが挙げられる。なお、本発明は、これらに限定されずにテトラカルボン酸二無水物が1種または2種以上用いられる。
【0080】
また、本発明におけるポリアミック酸の合成には、ジアミンとして、たとえば、脂肪族系または脂環式系のものを用いることができ、その具体的な例として、エチレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチルジシクロヘキシルなどが挙げられる。また、芳香族系のものを用いると、耐熱性の良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルサルファイド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ベンジジン、3,3´−ジメチルベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、4,4”−ジアミノターフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エ−テル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンなどが挙げられる。また、フッ素系のものを用いると、短波長領域での透明性が良好な膜に変換しうるポリアミック酸を得ることができ、その具体的な例として、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0081】
また、ジアミンの一部として、シロキサンジアミンを用いると、無機基板との接着性を良好にすることができる。シロキサンジアミンは、通常、全ジアミン中の1〜20モル%量用いる。シロキサンジアミンの量が少なすぎれば接着性向上効果が発揮されず、多すぎれば耐熱性が低下する。シロキサンジアミンの具体例としては、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサンなどが挙げられる。本発明は、これに限定されずにジアミンが1種または2種以上用いられる。
【0082】
ポリアミック酸の合成は、極性有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンを混合して反応させることにより行うのが一般的である。この時、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物の混合比により、得られるポリアミック酸の重合度を調節することができる。 このほか、テトラカルボン酸ジクロライドとジアミンを極性有機溶媒中で反応させて、その後、塩酸と溶媒を除去することによってポリアミック酸を得るなど、ポリアミック酸を得るには種々の方法がある。しかし、本発明はその合成法によらずにポリアミック酸に対して適用が可能である。
【0083】
次に、本発明で使用する非感光性カラーペーストに使用するポリアミック酸の構造単位の繰り返し数について述べる。ポリイミド膜の力学的特性は、分子量が大きいほど良好であるため、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸の分子量も大きいことが望まれる。一方、ポリアミック酸膜を湿式エッチングによりパターン加工を行う場合、ポリアミック酸の分子量が大きすぎると、現像に要する時間が長くなりすぎるという問題がある。したがって、構造単位の繰り返し数の好ましい範囲は15〜1000、より好ましくは18〜400、さらに好ましくは20〜100である。なお、ポリアミック酸の分子量には一般にばらつきがあるため、ここでいう構造単位の繰り返し数の好ましい範囲とは、この範囲の中に全ポリアミック酸の50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が入っていることを意味する。
【0084】
感光性カラーレジストに使用する樹脂成分の例として、アクリル系樹脂について述べる。感光性アクリル系樹脂としては、感光性を持たせるため、少なくともアクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマーあるいはオリゴマー、光重合開始剤を含有させた構成を有するのが一般的である。さらにエポキシを加えた、いわゆるアクリルエポキシ樹脂も用いることができる。
【0085】
使用できるアクリル系ポリマーとしては、特に限定はないが、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体を好ましく用いることができる。不飽和カルボン酸の例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物などがあげられる。
【0086】
これらは単独で用いても良いが、他の共重合可能なエチレン性不飽和化合物と組み合わせて用いても良い。共重合可能なエチレン性不飽和化合物としては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アミノエチルアクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの脂肪族共役ジエン、それぞれ末端にアクリロイル基、あるいはメタクリロイル基を有するポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリシリコーンなどのマクロモノマーなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0087】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を付加したアクリル系ポリマーを用いると、加工の際の感度がよくなるので好ましく用いることができる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のようなものがある。このような側鎖をアクリル系(共)重合体に付加させる方法としては、アクリル系(共)重合体のカルボキシル基や水酸基などを有する場合には、これらにグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。その他、イソシアネートを利用してエチレン性不飽和基を有する化合物を付加させることもできる。ここでいうグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸またはメタクリル酸クロライドとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどがあげられる。
【0088】
多官能モノマーとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートのようなオリゴマー、あるいはトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独または混合して用いることができる。また、次にあげるような単官能モノマーも併用することができ、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどがあり、これらの2種以上の混合物、あるいはその他の化合物との混合物などが用いられる。これらの多官能及び単官能モノマーやオリゴマーの選択と組み合わせにより、ペーストの感度や加工性の特性をコントロールすることが可能である。特に、硬度を高くするにはアクリレート化合物よりメタクリレート化合物が好ましく、また、感度を上げるためには、官能基が3以上ある化合物が好ましい。また、メラミン類、グアナミン類などもアクリル系モノマーの代わりに好ましく用いることができる。
【0089】
光重合開始剤としては、特に限定はなく、公知のものが使用でき、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体などがあげられる。また、その他のアセトフェノン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、リン系化合物、トリアジン系化合物、あるいはチタネート等の無機系光重合開始剤なども好ましく用いることができる。また、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどの増感助剤を添加すると、さらに感度を向上させることができ好ましい。また、これらの光重合開始剤は2種類以上を併用して用いることもできる。
【0090】
光重合開始剤の添加量としては、特に限定はないが、ペースト全固形分に対して、好ましくは1〜30wt%、より好ましくは5〜25wt%、さらに好ましくは10〜20wt%である。
本発明で用いる溶媒としては、樹脂成分を容易に溶解するものを使用することができる。
【0091】
非感光性樹脂であるポリアミック酸の例では、溶解する溶媒として、例えばN―メチル―2―ピロリドン、N,N―ジメチルアセトアミド、N,N―ジメチルホルムアミドなどのアミド系極性溶媒、β―プロピオラクトン、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、δ―バレロラクトン、γ―カプロラクトン、ε―カプロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。また、感光性樹脂であるアクリル系樹脂の例では、これらに加え、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエチレングリコールあるいはプロピレングリコール誘導体、あるいは、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、メチル―3―メトキシプロピオネート、3―メチル―3―メトキシブチルアセテートなどの脂肪族エステル類、あるいは、エタノール、3―メチル―3―メトキシブタノールなどの脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類を用いることも可能である。
【0092】
本発明に用いるカラーペースト用溶媒としては使用樹脂を溶解する単独あるいは2種類以上の溶媒の混合溶媒を、適宜組み合わせて使用するのが好ましい。この場合は、副溶剤として、使用する樹脂に対する貧溶媒を用いることも可能である。好ましい溶媒としては、特に限定されるわけではないが、例えばN−メチルピロリドンとシクロペンタノンの混合溶媒などがあげられ、特にアクリル系樹脂の場合には、シクロペンタノン単独でも好ましく用いることができる。
【0093】
本発明のカラーぺーストにおいて、ポリアミック酸あるいはアクリル系樹脂といった樹脂成分と、着色剤とは、通常、重量比で1:9〜9:1、好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは3:7〜7:3の範囲で混合して用いられる。樹脂成分の量が少なすぎると、着色被膜の基板との接着性が不良となり、逆に顔料の量が少なすぎると着色度が問題となる。また、該ペーストにおいては、塗工性、乾燥性などの観点から、樹脂成分と顔料をあわせた固形分濃度は、2〜40%、好ましくは3〜30%、さらに好ましくは5〜25%の範囲で使用する。
【0094】
本発明のカラーフィルターは、少なくとも赤、緑、青の3色の色画素から構成され、使用される着色材料は、有機顔料、無機顔料、染料問わず着色剤全般を使用することができる。代表的な顔料の例として、ピグメントレッド(PR−)、2、3、22、38、149,166、168、177,206、207、209、224、242,254、ピグメントオレンジ(PO−)5、13、17、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、ピグメントイエロー(PY−)12、13、14、17、20、24、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150,153、154、166、173、185、ピグメントブルー(PB−)15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、21、22、60、64、ピグメントバイオレット(PV−)19、23、29、32、33、36、37、38、40、50などが挙げられる。本発明ではこれらに限定されずに種々の顔料を使用することができる。
【0095】
上記顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性基処理、塩基性処理、顔料誘導体処理などの表面処理が施されているものを使用しても良い。 なお、PR(ピグメントレッド)、PY(ピグメントイエロー)、PV(ピグメントバイオレット)、PO(ピグメントオレンジ)等は、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)の記号であり、正式には頭にC.I.を付するもの(例えば、C.I.PR254など)である。これは染料や染色の標準を規定したものであり、それぞれの記号は特定の標準となる染料とその色を指定するものもである。なお、以下の本発明の説明においては、原則として、前記C.I.の表記は省略(例えば、C.I.PR254ならば、PR254)する。
【0096】
本発明のカラーフィルターの赤画素用着色剤においては、PR242、PR254、キナクリドン骨格を持つ顔料、PO38、PY17、PY138、PY150を使用することがより好ましい。本発明におけるキナクリドン骨格とは、以下の構造式(1)にて示される化合物である。
【0097】
【化1】
【0098】
〔構造式(1)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、メチル基等のアルキル基、または塩素原子等のハロゲン原子を示す。〕中でも、PR122(構造式(1)中、R3、R6がメチル基、R1、R2、R4、R5、R7、R8が水素原子、構造式(2)参照)、PV19(構造式(1)中、R1〜R8はすべて水素原子、構造式(3)参照)又は、PR209(構造式(1)中、R3、R6が塩素原子で、R1、R2、R4、R5、R7、R8が水素原子、構造式(4)参照)が特に好ましい。
【0099】
【化2】
【0100】
【化3】
【0101】
【化4】
【0102】
本発明のカラーフィルターの緑画素用着色剤においては、PG7、PG36、PY17、PY138、PY150を使用することがより好ましい。また、青画素用着色剤としてはPB15(15:1、15:2、15:3、15:4、15:6)、60、PV19、23を使用することがより好ましい。
【0103】
本発明のカラーフィルターでは非感光性カラーペーストに含まれる着色剤は、感光性カラーレジストに含まれる着色剤と同じでも良く、異なっていても良く、どちらか一方が染料で他方が顔料であっても良く、独立に調製することができる。 また、1色あたり2種類以上の着色剤を用いて、色度を調整することがあるが、非感光性カラーペーストと感光性カラーレジストに含まれる着色剤は、着色剤数、着色剤種類、着色剤組成、着色剤濃度は独立に調製することが可能である。
【0104】
画素に含まれる着色剤の例を記載するが、この組み合わせに限定されるものではない。赤画素の例として、透明樹脂層形成後に塗布する非感光性カラーペーストの着色剤にはPR209とPO38を60対40(重量比)で使用し、感光性カラーレジストの着色剤にはPR177を使用し、透過用領域と反射用領域のそれぞれの膜厚を調整することで、透過用領域と反射用領域の色純度、明るさ、色調を所望の特性にすることができる。赤画素と同様に緑画素の例として透明樹脂層形成後に塗布する非感光性カラーペーストの着色剤にはPY138を使用し、感光性カラーレジストの着色剤にはPG36とPY138を75対25(重量比)で使用することができる。赤画素と同様に青画素の例として透明樹脂層形成後に塗布するカラーペーストの着色剤にはPB15:6とPV23を93対7(重量比)で使用し、感光性カラーレジストの着色剤にはPB15:6を使用することができる。
【0105】
非感光性カラーペーストまたは感光性カラーレジストを塗布する方法としては、ディップ法、ロールコーター法、スピンコーティング法、ダイコーティング法、ダイコーティングとスピンコーティング併用法、ワイヤーバーコーティング法などが好適に用いられる。
【0106】
画素を形成する方法としては、画素の反射用領域に透明樹脂層が形成された透明基板上に、たとえば非感光性カラーペーストを塗布、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(セミキュア)する。このセミキュア膜上に感光性カラーレジストを塗布し、加熱乾燥(プリベーク)する。プリベーク後にマスク露光し、アルカリ現像し、加熱硬化させるフォトリソ工程で非感光性カラーペースト層と感光性カラーレジスト層とを同時にパターニングでき、積層構成でありながら1回のフォトリソ加工で1色の画素を形成することができる。
【0107】
アルカリ現像液は有機アルカリ現像液と無機アルカリ現像液のどちらも用いることができる。無機アルカリ現像液では炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液などが好適に用いられる。有機アルカリ現像液ではテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、メタノールアミンなどのアミン系水溶液が好適に用いられる。現像液には現像の均一性を上げるために界面活性剤を添加することが好ましい。アルカリ現像はディップ現像、シャワー現像、パドル現像などの方法が可能である。現像後はアルカリ現像液を除去するために純水洗浄を行う。シャワー現像では最適な画素形状になるようにシャワー圧力を調整することが好ましい。シャワー圧力が弱いと、画素の解像度が低下する。シャワー圧力が強いと画素が基板から剥がれることがある。シャワーの圧力は0.05〜5MPaが好ましい。
【0108】
透明樹脂層の形成によって、表面の平坦性が損なわれ透過用領域と反射用領域の表面段差が生じる場合があるので、画素上に平坦化層としてオーバーコート層を形成してもよい。具体的には、エポキシ膜、アクリルエポキシ膜、アクリル膜、シロキサンポリマ系の膜、ポリイミド膜、ケイ素含有ポリイミド膜、ポリイミドシロキサン膜等が挙げられる。
【0109】
カラーフィルターの形成は、ガラス、高分子フィルム等の透明基板側に限定されず、駆動素子側基板にも行うことができる。カラーフィルターのパターン形状については、ストライプ状、アイランド状などがあげられるが特に限定されるものではない。また、必要に応じてカラーフィルター上に柱状の固定式スペーサーが配置されていてもよい。
【0110】
本発明のカラーフィルターは、半透過型液晶表示装置に組み込まれて使用される。ここで、半透過型液晶表示装置とは、対向基板あるいはカラーフィルターの反射領域にはアルミニウム膜や銀膜等から成る反射膜を備え、透過領域にはそのような反射膜がないことを特徴とする液晶表示装置である。本発明のカラーフィルターは、液晶表示装置の駆動方法、表示方式にも限定されず、アクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式、TNモード、STNモード、ECBモード、OCB、VAモードなど種々の液晶表示装置に適用される。また、液晶表示装置の構成、例えば偏光板の数、散乱体の位置等にも限定されずに使用することができる。
【0111】
本発明のカラーフィルター作製方法の一例を述べる。
【0112】
透明基板上に少なくともポリアミック酸、酸化窒化チタンを主成分とする黒色着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸黒色着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次にこのようにして得られたポリアミック酸黒色被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる。露光装置を用いて、紫外線を照射し目的のパターンを焼き付け、アルカリ現像して額縁を含む所望位置に所望パターンで樹脂ブラックマトリクス層および額縁を形成する黒色遮光層を得る。黒色遮光層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0113】
次にポリアミック酸と溶剤からなる非感光性ペーストをブラックマトリクスおよび額縁が形成された透明基板の全面に塗布し、ホットプレートを使用し、60〜200℃の範囲で1〜60分間加熱乾燥する。次にこのようにして得られたポリアミック酸被膜にポジ型フォトレジストを塗布し、ホットプレートを使用して60〜150℃の範囲で1〜30分加熱乾燥させる。露光装置を用いて、紫外線を照射し目的のパターンを焼き付け、アルカリ現像して所望位置に所望パターンで透明樹脂層を得る。透明樹脂層は200〜300℃で加熱硬化させる。
【0114】
次に着色層を積層して画素を形成する。少なくともポリアミック酸、着色剤、溶剤からなる非感光性カラーペーストを透明樹脂層が形成された透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、ポリアミック酸着色被膜を形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜60分行うのが好ましい。次に、このようにして得られたポリアミック酸着色被膜に、アクリル系ポリマー、アクリル系多官能モノマー、光重合開始剤からなる感光性アクリル樹脂、着色剤、溶剤からなる感光性カラーレジストを塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、感光性アクリル着色被膜を積層形成する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、60〜200℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。続いて感光性アクリル着色被膜にフォトマスクと露光装置を用いて紫外線をパターン状に照射する。露光後、アルカリ現像液により、感光性アクリル着色被膜とポリアミック酸着色被膜のエッチングを同時に行う。
【0115】
ポリアミック酸着色被膜は、その後、加熱硬化することによって、ポリイミド着色被膜に変換される。加熱硬化は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。
【0116】
感光性アクリル着色層を積層しない他の色の画素がある場合は、ポリアミック酸着色被膜を形成した後、フォトレジストを塗布し、フォトレジスト被膜を形成する。続いて該フォトレジスト被膜上にフォトマスクと露光装置を用いてパターン状に紫外線照射する。露光後、アルカリ現像液により、フォトレジスト被膜とポリアミック酸被膜のエッチングを同時に行う。エッチング後、不要となったフォトレジスト被膜を剥離し、ポリアミック酸を加熱硬化することでポリイミド着色膜を得る。
【0117】
以上の工程を赤、緑、青の画素について行うと、液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。
【0118】
次に、このカラーフィルターを用いて作成した半透過型液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルター上に、必要に応じて透明保護膜を形成し、さらにその上にITO膜などの透明電極を製膜する。次に、このカラーフィルター基板と、金属蒸着膜などがパターニングされた半透過反射膜、半透過反射膜上の透明絶縁膜、さらにその上にITO膜などの透明電極、およびセルギャップ保持のための柱状スペーサーが形成された半透過反射基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜を形成した後、対向させてシールし貼りあわせる。なお、半透過反射基板上には、反射膜、透明電極以外に、光拡散用の突起物、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することによりモジュールが完成する。
【0119】
以上、半透過型液晶表示装置額縁付近の表示ムラが無く、かつ歩留まりの高く、所望の色特性(色純度、明るさ、色調)を得ることができ、かつ工程増加を抑えて、低コストにカラーフィルターを製造法について説明した。
【0120】
本発明の、一画素中に透過用領域と反射用領域を含み、複数色の画素が配されたカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素の透過用領域と反射用領域の少なくとも境界部には着色層以外の樹脂層が形成され、且つカラーフィルターの表示領域外に、該着色層以外の樹脂層を形成した領域を有する構成は、従来の技術で説明した、画素の構成が、反射用領域に着色層以外の樹脂層を形成して、透過用領域と反射用領域で着色層の膜厚を変えた構成のものにも適用してもよい。図2は、膜厚を調整する方式での半透過型液晶表示装置用カラーフィルターの断面図を模式的に示したものであるが、反射用領域7には透明樹脂層3が形成され、反射用領域7の着色層4の膜厚は、透過用領域6の着色層4の膜厚に比べて、薄くなっている。
【0121】
この方法においても、同様に額縁付近の表示ムラが発生することがあったが、カラーフィルター表示領域外に透明樹脂層を形成した領域をもうけることで、改善がなされる。
【0122】
膜厚を調整する方式での半透過型液晶表示装置用カラーフィルターは、図2にある透明樹脂層(すなわち着色層以外の樹脂層)の膜厚を調節することによって、透過表示および反射表示の色(純度、明るさ)を容易に設計することができる。
【0123】
該着色層以外の樹脂層の材料としては、前述したものと同様のものを用いればよい。但し本方式に用いる該着色層以外の樹脂層としては、透明樹脂層を用いることが好ましい。
着色層の材料としては、前述の非感光性カラーペーストや感光性カラーレジストを用いれば良い。
【0124】
画素を形成する方法としては、画素の反射用領域に透明樹脂層が形成された透明基板上に、たとえば非感光性カラーペーストを塗布、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥(セミキュア)する。このセミキュア膜上にポジ型フォトレジストを塗布、加熱乾燥、マスク露光、アルカリ現像、レジスト剥離、加熱硬化の順に形成すればよい。
【0125】
また、感光性カラーペーストを用いて画素を形成する方法としては、画素の反射用領域に透明樹脂層が形成された透明基板上に、ホットプレート、オーブン、真空乾燥を用いて加熱乾燥する。この膜上に、加熱乾燥、マスク露光、アルカリ現像、レジスト剥離、加熱硬化の順に形成すればよい。
【0126】
この工程を、赤、緑、青の画素について行うと液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。
【0127】
次に、このカラーフィルターを用いて作成した半透過型液晶表示装置の一例について述べる。上記カラーフィルター上に、必要に応じ透明保護膜を形成し、さらにその上にITO膜などの透明電極を製膜する。次に、このカラーフィルター基板と、金属蒸着膜などがパターニングされた半透過反射膜、半透過反射膜上の透明絶縁膜、さらにその上にITO膜などの透明電極が形成された半透過反射基板とを、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜、およびセルギャップ保持のためのスペーサーを介して、対向させてシールし貼りあわせる。なお、半透過反射基板上には、反射膜、透明電極以外に、光拡散用の突起物、薄膜トランジスタ(TFT)素子や薄膜ダイオード(TFD)素子、および走査線、信号線などを設け、TFT液晶表示装置や、TFD液晶表示装置を作成することができる。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封止する。つぎに、ICドライバー等を実装することによりモジュールが完成する。
【0128】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0129】
実施例1
<黒色遮光膜用樹脂および遮光膜の作製>
γ−ブチロラクトン(3825g)溶媒中で、ピロメリット酸二無水物(149.6g)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(225.5g)、3,3′−ジアミノジフェニルスルフォン(69.5g)、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(210.2g)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン(17.4g)を60℃、3時間反応させた後、無水マレイン酸(2.25g)を添加し、更に60℃1時間反応させることによって、前駆体であるポリアミック酸溶液(ポリマー濃度15重量%)を得た。
【0130】
酸化窒化チタン(三菱マテリアル製チタンブラック12S)11.2g、前記のポリマー濃度15重量%のポリアミック酸溶液18.7g、N−メチル−2−ピロリドン57.2g、ソルフィットアセテート12.9gをガラスビーズ100gとともにホモジナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、顔料濃度14重量%の顔料分散液を得た。用いたチタンブラックの一次粒子径は0.023μmであった。この時のチタンブラック/ポリイミド樹脂の重量比率は80/20であった。
【0131】
顔料分散液27.5gに、前記のポリマー濃度15重量%ポリアミック酸溶液3.7g、γ−ブチロラクトン1g、N−メチル−2−ピロリドン6g、ソルフィットアセテート1.8gを添加混合し、非感光性黒色ペーストを作製した。
【0132】
コーニングジャパン株式会社製0.7mm厚ガラス基板”1737”上に、上記非感光性黒色ペーストを熱処理後の膜厚が1.0μmとなるようスピンナーで塗布した。該塗膜を、120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジスト(東京応化株式会社製”OFPR−800”)を塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。キャノン株式会社製紫外線露光機”PLA−501F”を用い、各色画素の周辺部に格子状にブラックマトリクスが残り且つ額縁部に枠状にフォトマスクパターンを介して、60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の黒色塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、樹脂ブラックマトリクス及びシール部を含めた額縁部の黒色遮光層を得た。
【0133】
<着色層以外の樹脂層の作製>
ブラックマトリクスがパターン加工されたガラス基板上に熱処理後の膜厚が5.0μmになるようポリアミック酸、溶剤からなる非感光性透明ペーストをスピンナーで塗布した。該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジストを塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。透過用領域が画素の中央に配置され、表示領域内の赤、緑、青、各画素の透過用領域以外の領域、およびカラーフィルター基板の表示領域外(シール領域、額縁の領域、液晶表示装置組み立て後にカットされる領域、液晶注入ガイド領域)に透明樹脂層が残り、且つ表示領域外のカットライン上を中心とした±3mmには該透明樹脂層が残らない領域を有するフォトマスクパターンを介して、60mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの2.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリアミック酸の塗膜のエッチングを同時に行った。エッチング後不要となったフォトレジスト層をアセトンで剥離し、240℃で30分熱処理し、所望の領域に透明樹脂層を得、この透明樹脂層を着色層以外の樹脂層とした。
<着色層の作製>
次に透過用領域の画素中央での熱処理後の膜厚が1.2μmになるように、ポリアミック酸、赤顔料、溶剤からなる非感光性赤ペーストをスピンナーで基板上に塗布し、該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥した。該塗膜の上に、反射用領域での熱処理後の膜厚が1.0μmになるように、アクリルポリマー、アクリル系2官能モノマー、光開始剤、赤顔料、溶剤からなる感光性赤レジストをスピンナーで塗布した。該塗膜を80℃のオーブンで10分熱処理し、紫外線露光機を用い、同色画素の透過用領域間の遮光層上に5μmのスリットが形成されるフォトマスクを介して、100mJ/cm2(365nmの紫外線強度)で露光した。露光後にテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、非感光性赤ペーストならびに感光性赤レジストが積層された着色層を現像時間を変えて、現像した。
【0134】
赤画素と同様にして、緑画素、青画素についても、非感光性ペーストならびに感光性レジストからなる積層着色層を現像時間を変えて、フォトリソ加工し、図5、10の用にした。図5は図6のAB間の模式断面図である。
この後アクリル系の透明保護膜を塗布、加熱硬化させ更に、1400オングストロームの膜厚でITO膜を製膜しカラーフィルターを作製した。このカラーフィルターの各画素の透過領域及び反射領域のY値を大塚電子株式会社製MCPD−2000を用い、対物レンズ20倍で測定した。C光源での赤の透過領域のY値は22、同反射領域のY値は47、緑の透過領域のY値は56、同反射領域のY値は93、青の透過領域のY値は10、同反射領域のY値は49であった。
【0135】
<液晶表示装置の作製>
カラーフィルター基板上の表示領域内外に、感光アクリル材(JSR製 NN810)を用いてフォトリソ加工し、高さ3μmの柱状スペーサーを形成した。表示領域外は、着色層以外の樹脂層が形成されている上に柱状スペーサが積層するように形成した。
【0136】
次に、低温ポリシリコンを用いた薄膜トランジスター(TFT)素子、走査線、信号線、透明電極からなる駆動素子基板上に、コンタクトホールを備えた光拡散用の樹脂突起層、さらにその上にアルミ蒸着膜をパターンニングした半透過反射膜、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜を形成し、半透過反射基板を作成した。該半透過反射基板とカラーフィルター基板とを対向させて、シール剤を用いて、貼り合わせた。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封入し、不要なカットライン上でカラーフィルターの表示領域外の一部分を切断した。つぎに、ICドライバー等を実装することにより液晶表示装置を完成させた。
【0137】
液晶表示装置の作成においては、配向膜として通常の使用されているTN方式用の配向膜、ならびにTN液晶を用いた。
【0138】
作製した半透過型液晶表示装置、それぞれ1000個について、表示特性を全数検査した。本カラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、すべての液晶表示装置について、反射表示、透過表示とも色度変化の少ない表示特性を得た。特性が得ら額縁付近もギャップムラによるの表示ムラも反射表示時、透過表示時ともにみられなかった。以上のように、本発明のカラーフィルターを用いることで反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にした液晶表示装置を製造することができた。
【0139】
比較例1
実施例1の着色層以外の樹脂層の作製において、表示領域外には透明樹脂層を形成しないフォトマスクパターンを介して、露光した。これにより、カラーフィルターを作製し、これを用いて液晶表示装置を1000個作製した。作製した半透過型液晶表示装置、それぞれ1000個について、表示特性を全数検査した。本カラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、全数の液晶表示装置について額縁周辺に表示ムラが発生した。額縁周辺でも特に液晶注入口付近の表示ムラが悪かった。
実施例2
実施例1と同様に黒色遮光膜、および着色層以外の樹脂層を作製した。ただし着色層以外の樹脂層の熱処理後の膜厚が1.5μmになるようにした。
<着色層の作製>
次に透過用領域の表示領域中央での熱処理後の膜厚が1.5μm、反射用領域の膜厚が0.7μmになるように、ポリアミック酸、赤顔料、溶剤からなる非感光性赤ペーストをスピンナーで基板上に塗布し、該塗膜を120℃のオーブンで20分乾燥し、この上にポジ型フォトレジストを塗布し、90℃で10分オーブン乾燥した。紫外線露光機を用い、同色画素の透過領域および反射領域を残すように露光し、露光後に、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの1.0%の水溶液からなる現像液に浸漬し、現像した。
【0140】
赤画素と同様にして、緑画素、青画素についても、非感光性ペーストならびに感光性レジストからなる積層着色層を現像時間を変えて、フォトリソ加工し、図7、12のようにした。図7は図8のAB間の模式断面図である。この後アクリル系の透明保護膜を塗布、加熱硬化させた後、1400オングストロームの膜厚でITO膜を製膜しカラーフィルターを作製した。赤、緑、青の各色画素の反射領域、透過領域を顕微分光光度計で測定したところ、それぞれ反射領域のY値が透過領域のY値の1.2倍以上であることを確認した。
【0141】
<液晶表示装置の作製>
カラーフィルター基板上に、実施例1と同様に固定スペーサーを形成した。
次に、低温ポリシリコンを用いた薄膜トランジスター(TFT)素子、走査線、信号線、透明電極からなる駆動素子基板上に、コンタクトホールを備えた光拡散用の樹脂突起層、さらにその上にアルミ蒸着膜をパターンニングした半透過反射膜、さらにそれらの基板上に設けられた液晶配向のためのラビング処理を施した液晶配向膜を形成し、半透過反射基板を作成した。該半透過反射基板とカラーフィルター基板とを対向させて、シール剤を用いて、貼り合わせた。次に、シール部に設けられた注入口から液晶を注入した後に、注入口を封入し、不要なカラーフィルター部分等を切断した。つぎに、ICドライバー等を実装することにより液晶表示装置を完成させた。
【0142】
液晶表示装置の作成においては、配向膜として通常の使用されているTN方式用の配向膜、ならびにTN液晶を用いた。
【0143】
作製した半透過型液晶表示装置、それぞれ1000個について、表示特性を全数検査した。本カラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、すべての液晶表示装置について、反射表示、透過表示とも所望の特性が得られた。以上のように、本発明のカラーフィルターを用いることで反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にし、安定してカラーフィルターを製造することができた。
【0144】
比較例2
実施例2の着色層以外の樹脂層の作製において、表示領域外に透明樹脂層を形成しないフォトマスクパターンを介して、露光した。これにより、表示領域外に透明樹脂層を形成ないカラーフィルターを作製し、これを用いて液晶表示装置を1000個作製した。作製した半透過型液晶表示装置、それぞれ1000個について、表示特性を全数検査した。本カラーフィルターを用いた半透過型液晶表示装置では、全数の液晶表示装置について額縁周辺に表示ムラ発生した。特に反射表示をさせた際に、額縁に沿った表示ムラが酷くみられた。額縁周辺でもなかでも液晶注入口付近の表示ムラが悪かった。
【0145】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成したので、反射用領域と透過用領域とをそれぞれ所望の色特性にし、且つ額縁周辺での表示ムラのない液晶表示装置を高い歩留まりで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルター表示領域内の加工模式説明図
【図2】本発明のカラーフィルター表示領域内の模式断面図
【図3】本発明のカラーフィルターの画素部分に形成される着色層以外の樹脂層の一例
【図4】本発明のカラーフィルターの画素部分に形成される着色層以外の樹脂層の一例
【図5】本発明のカラーフィルター表示領域内〜表示領域外の模式断面図
【図6】本発明のカラーフィルター表示領域内〜表示領域外の模式表面図
【図7】本発明のカラーフィルター表示領域内〜表示領域外の模式断面図
【図8】本発明のカラーフィルター表示領域内〜表示領域外の模式表面図
【図9】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図10】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図11】従来のカラーフィルターの模式断面図
【図12】従来のカラーフィルターの模式断面図
【符号の説明】
1 :透明基板
2 :ブラックマトリックス
3 :着色層以外の樹脂層
4 :着色層
5 :無着色領域
6 :透過用領域
7 :反射用領域
8B:青画素領域
8G:緑画素領域
8R:赤画素領域
9 :オーバーコート層
10:額縁
11:シール領域
12:液晶表示装置の組み立ての際にカットされる領域
12a:カットライン
13a:額縁上に形成された、着色層以外の樹脂層
13b:シール領域に形成された、着色層以外の樹脂層
13c:液晶表示装置の組み立ての際にカットされる領域に形成された、着色層以外の樹脂層
13d:液晶注入口部に形成された着色層以外の樹脂層(液晶注入ガイド)
14:液晶注入口
15:表示領域内
16:カラーフィルター表示領域外
23a:Y値の小さい濃色領域(透過用領域用)
23b:Y値の大きい淡色領域(反射用領域用)
24a:感光性樹脂からなる着色層
24b:非感光性樹脂からなる着色層
Claims (15)
- 一画素中にY値の異なる2つの領域を含み、複数色の画素が配されたカラーフィルターであって、少なくとも1色の画素のY値の異なる2つの領域の少なくとも境界部には着色層以外の樹脂層が形成され、且つカラーフィルターの表示領域外に該着色層以外の樹脂層を形成した領域を有することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルター。
- 表示領域外の額縁領域に、着色層以外の樹脂層を形成した領域を有することを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 表示領域外のシール領域に、該着色層以外の樹脂層を形成した領域を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 液晶表示装置組み立て時にカットされる領域に、着色層以外の樹脂層を形成した領域を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 液晶注入口領域に、着色層以外の樹脂層を用いた液晶注入ガイドを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- Y値の小さい領域が透過用領域であり、Y値の大きい領域が反射用領域であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 画素内の反射用領域に形成されている着色層以外の樹脂層の面積が、透過用領域に形成されている面積より広いことを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 着色層以外の樹脂層を有する画素において、Y値の小さい領域には複数の着色層が積層され、かつY値の大きい領域には着色層が1層もしくは着色層の積層数が透過用領域の着色層数よりも少ないことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 額縁領域に黒色遮光層を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- シール領域に黒色遮光層を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 黒色遮光層が、遮光剤を分散した樹脂であることを特徴とする請求項9または10に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 遮光剤として酸化窒化チタンを含むことを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 積層された着色層のうち下層の着色層がポリイミド樹脂からなる請求項1〜12のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルター。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の液晶表示装置用カラーフィルターを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
- 液晶表示装置用カラーフィルター、または液晶層を挟んでカラーフィルターに対向する基板の少なくとも一方の基板上に、柱状スペーサーを有することを特徴とする請求項14記載の液晶表示装置。
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