JP2004183730A - 流体脈動緩和方法及び装置 - Google Patents

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貫仁 佐藤
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Abstract

【課題】ダイヤフラムポンプ等で給送される流体に生じる圧力脈動を緩和する。
【解決手段】密封された容体(1)に流入口(2)と流出口(3)を設ける。流入口(2)は容体(1)の内周に沿って流体が旋回するように流体を容体(1)内に供給する。この容体(1)内に、容積割合で約4:6になるように空気層(5)と流体層(4)を形成する。この空気層(5)の圧力を、約0〜0.1MPa 、好ましくは約0.02〜0.075MPa になるようにする。流体の圧力脈動は上記空気層(5)で吸収され、流体層(4)の下部から流出口(3)を通って脈動が緩和された流体が流出する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造工場その他各種の流体を使用する工場等において該流体を給送する際に発生する脈動を緩和できるようにした流体脈動緩和方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在の半導体製造工場等においては、各種の処理液としての強酸、強アルカリの薬液やCMPスラリー液、洗浄装置に用いる純水等種々の流体が使用され、該流体を供送するポンプとしてエア駆動のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のベローズやダイヤフラムを有するポンプが用いられている。これらのポンプは、アコーデオン状のヒダを有するベローズ等が往復動するように圧縮空気を送り込み、例えばダイヤフラムポンプでは片方向に送液し、ベローズポンプでは両方向に送液しているので、脈動を生じ、たとえ圧縮空気を最高の条件に整えて送気しても、ヒダの動きによる脈動の発生等を阻止することができなかった。
【0003】
そのため、従来よりダンパーとかアキュムレーターと称する脈動緩和装置が種々提案されている。これらの装置による脈動緩和方法としては、ダンパーやアキュムレーターに圧縮空気を供給しその圧力を自動給排気調整手段や減圧弁等で調整し液体に作用する圧力を加減することにより流体の圧力脈動とバランスさせて脈動を緩和する方法(例えば、特許文献1参照)やポンプと連動させて圧力をコントロールする方法等が用いられているが、流体の流量変化や圧縮空気の変動が常に発生しているために、コントロールがむずかしく、満足すべき脈動緩和効果が得られないのが現状である。
【0004】
その上、上記ダンパー等に使用されているベローズ等は、脈動緩和の際の伸縮に伴って劣化し、故障や破損の原因となっている。また、小流量の定量ポンプのようにピストン等を用いた供給方法ではエア駆動のポンプよりも一層脈動が発生し易く、現在では脈動を充分に緩和できるようにした方法や装置は得られていない。なお、半導体製造工程における上記の如き圧力脈動が生じると、流量計が使用できず正しく流量を測定できなかったり、チャックからウエーハが外れたり、オーバーフロー槽で乱流が発生したり、管路の途中に設けたフィルターからダストが離脱して管路を流下し汚染問題を生じたり、パイプラインの接手が弛んで液漏れを生じたり等々種々の不都合が生じるので、一層確実な脈動の緩和装置が望まれている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−193836号公報(図1、図4、図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決課題は、従来のように圧力脈動とバランスさせるための圧縮空気等のエア源やばね部材等の弾性手段を用いることなく脈動を緩和することができ、定量ポンプ等の小流量の場合でも脈動除去が可能であり、大流量の場合にも充分対応できるようにした流体脈動緩和方法及び装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、流入口と流出口を有し密封された容体内に上記流入口から流体を旋回させながら流入し、該容体内に流体が貯留した流体層を形成すると共にその上面に空気層を形成し、該空気層の圧力を上記流体の脈動を吸収可能な低圧力に設定し、該流体層の下部から上記流出口を通して流体を流出させるようにしたことを特徴とする流体脈動緩和方法及び装置が提供され、上記課題が解決される。
【0008】
また、本発明によれば、上記空気層の圧力は約0〜0.1MPa 、好ましくは約0.02〜0.075MPa であり、さらに上記容体内が複数段に区画され、各区画において上記の如き空気層と流体層を形成して徐々に脈動を緩和できるようにした上記流体脈動緩和方法及びその装置が提案され、上記課題が解決される。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は、本発明の一実施例を示し、容体(1)は上下が密封された筒状体に形成され、上部にエア駆動のポンプ(図示略)に連絡する流入口(2)を有し、下部に下流の管路(図示略)に連絡する流出口(3)が設けられており、図2、図3に示すように上記流入口(2)は上記容体の内面に沿って流体を該容体(1)内に旋回しながら流入させるよう接線方向に開口している。該流入口(2)と流出口(3)の穴径は、通常は同径に形成してあるが小流量の定量ポンプ等の場合は、例えば流入口(2)を約8mmにし、流出口(3)を約6mmにして該流出口を流入口よりも少し小径に形成するとよい。
【0010】
上記容体(1)内に入った流体は、直ちに上記流出口(3)から流出することなく、旋回しながら容体内に貯留して流体層(4)を形成すると共に該流体層(4)の上面に空気層(5)(図4参照)を形成するようにポンプの流量と容体(1)の内容積を設定してある。例えば、通常半導体製造工程において一般に使用されているエア駆動のポンプは、ポンプの駆動圧力が約0.5MPa 、ポンプの吐出圧力は約0.25〜0.3MPa 、流量は約8〜10L/min 程度のものが多く、そのようなポンプによって穴径約8mmの流入口(2)から約1.7m/sec の流速で容体(1)内に脈動を伴う流体を流入させた場合、上記のように空気層(5)と流体層(4)を形成するには、容体(1)の内容積は、約2.5〜3.0L程度にするとよいことが実験の結果確かめられた。この際、上記空気層(5)と流体層(4)は、空気層の内容積:流体層の内容積が約4:6程度になるように設定することが好ましい。
【0011】
上記のようにして容体(1)内に形成された空気層(5)の圧力は、上記流体の圧力脈動を吸収することができる程度の低圧力に設定される。すなわち、この空気層(5)は、流体の圧力脈動を許容できる程度の低い圧力、例えば約0〜0.1MPa 程度、好ましくは約0.022〜0.075MPa 程度にすると最適な脈動緩和効果が得られ、そのような低圧力は上述の実験のように流体を容体内に流入することにより容易に形成される。なお、この場合、上記流体層(4)の流体圧は約0.02MPa 程度であった。
【0012】
上記のように、上記空気層(5)は、流体層(4)の圧力脈動を吸収するので、該流体層の下部に設けた流出口(3)からは脈動が著しく緩和された流体が流出する。なお、上記流体層(4)の上面には、流入口(2)から圧力脈動を伴った流体が流入してくるが、該流体は容体(1)の内面に沿って旋回しながら貯留されるので、流入時の圧力変動が流出口から流出する流体に影響を与えることは少ない。
【0013】
上記実施例では、容体(1)内に空気層(5)と流体層(4)を1層づつ形成するようにしたが、流量の大きい場合や圧力変動の大きい流体の場合には、上記容体内に複数の空気層と流体層を形成し、徐々に緩和できるようにするとよい。すなわち、図5〜図7に示すように、容体(1)内に隔壁(6)を設けて内部を2段、3段…等の複数段に区画し、上方の区画(7)から下方の区画(8)に流体を供給するように流通口(9)を設け、該区画毎に上述の如き空気層(5)と流体層(4)を形成してある。
【0014】
上記流通口(9)は、上方の区画(7)から下方の区画(8)に流体が入る際、下方の区画(8)に影響を与えないよう上方の区画における流体の接線方向と同方向に旋回するよう下方がL字状に屈曲するエルボ(10)によって構成されている。また、該エルボ(10)に入る流体の影響を下方の区画に伝えないよう、隔壁の上方に存する該エルボ(10)の上方開口部(11)はエルボの側面、好ましくは容体(1)の内壁面側(図6、実線)や旋回流の下流側(図6、鎖線)に設けられ、隔壁の下方に存する下方開口部(12)は下方の空気層に開口させたり(図5(A)、図6(A)、図7(A))、流体層中に開口させ(図5(B)、図6(B)、図7(B))、それぞれ内壁面の周方向に向けられている。
【0015】
【実施例1】
日本ピラー工業株式会社製のベローズポンプを用いて流体を送液した。このポンプは、液流量9L/min で供給エア圧力0.5MPa のとき、ポンプ吐出圧力は0.3MPa で供給エア消費量は130L/min であり、流入口(2)及び流出口(3)が穴径8mmの図4に示す装置を用いて該容体(1)内に脈動を伴う流体を供給したところ、約4:6の容積割合で空気層(5)と流体層(4)が形成された。このとき、空気層(5)の圧力は約0.06〜0.075MPa であり、流体層(4)の圧力は約0.02MPa であった。そして、流出口(3)から流出する流体の圧力脈動は殆んど除去された。
【0016】
【実施例2】
フランスのアスティ社製のベローズポンプを用いて流体を送液した。このポンプは、液流量9L/min で供給エア圧力0.5MPa のとき、ポンプ吐出圧力は0.28MPa であった。そして、上記実施例1と同様の装置を用いて実験すると、空気層(5)の圧力は約0.022MPa であり、流体層(4)の圧力は約0.02MPa で、流出口(3)から流出する流体に大きな圧力脈動はみられなかった。
【0017】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成され、流入口と流出口を有し密封された容体内に上記流入口から流体を旋回させながら流入し、該容体内に流体が貯留した流体層を形成すると共にその上面に空気層を形成し、該空気層の圧力を上記流体の脈動を吸収可能な低圧力に設定し、該流体層の下部から上記流出口を通して流体を流出させるようにしたから、該流出口からは圧力脈動が殆んど緩和された流体を流出させることができ、圧縮空気等のエア源やばね等の弾性部材を必要とせず、簡単に構成することができる。
【0018】
また、上述のように確実に脈動を緩和できるので、大流量のポンプは勿論、定量ポンプ等のように小流量のポンプにも使用することができ、適用範囲が広く、半導体製造工程以外の医薬品、化学品その他の製造工程等における各種の用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
【図2】容体内の流体の流動を示す説明図。
【図3】容体への流体の流入、流出の説明図。
【図4】図1に示す実施例の作用を示す説明図。
【図5】(A)、(B)はそれぞれ他の実施例を示す断面図。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ図5に示す実施例の一部の拡大断面図。
【図7】(A)、(B)はそれぞれ図5に示す実施例の作用を示す説明図。
【符号の説明】
1…容体
2…流入口
3…流出口
4…流体層
5…空気層
6…隔壁
10…エルボ

Claims (9)

  1. 流入口と流出口を有し密封された容体内に上記流入口から流体を旋回させながら流入し、該容体内に流体が貯留した流体層を形成すると共にその上面に空気層を形成し、該空気層の圧力を上記流体の脈動を吸収可能な低圧力に設定し、該流体層の下部から上記流出口を通して流体を流出させるようにしたことを特徴とする流体脈動緩和方法。
  2. 上記空気層の圧力は、0〜0.1MPa である請求項1に記載の流体脈動緩和方法。
  3. 上記容体は、内部が複数段に区画され、上方の区画から下方の区画に流体を供給するよう流通口が設けられ、各区画に上記流体層と空気層が形成されている請求項1または2に記載の流体脈動緩和方法。
  4. 上記各区画において、流体は上方の区画と同方向に旋回しながら下方の区画に供給される請求項3に記載の流体脈動緩和方法。
  5. 上記請求項1に用いる装置であって、密封された容体の上部に該容体内に旋回方向に流体を流入させる流入口を設け、該容体の下部に容体内に貯留した流体を流出させる流出口を設けたことを特徴とする流体脈動緩和装置。
  6. 上記容体内を複数段に区画するよう隔壁を設け、上方の区画から下方の区画に流体を旋回方向に供給するよう下方がL字状に屈曲し先端が上記流体層に開口するエルボを上記隔壁に設けた請求項5に記載の流体脈動緩和装置。
  7. 上方の区画に存するエルボの上方開口部は該エルボの側面や旋回流の下流方向に開口し下方の区画に存する下方開口部は周方向に開口している請求項6に記載の流体脈動緩和装置。
  8. 上記エルボの下方開口部は上記空気層に開口している請求項6または7に記載の流体脈動緩和装置。
  9. 上記エルボの下方開口部は上記流体層に開口している請求項6または7に記載の流体脈動緩和装置。
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