JP2004183046A - 化学気相成長用原料及びこれを用いたアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のアルミニウム化合物と炭化水素系及び/ 又はエーテル系有機溶媒とを含有してなる化学気相成長用原料及びこれを用いた化学気相成長法によるアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム元素を含有する薄膜材料は、特異的な電気特性及び光学特性を示し、種々の用途に応用されている。例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金薄膜は、高い導電性及びエレクトロマイグレーション耐性を有することからLSIの配線材料として使用されており、酸化アルミニウム系薄膜は、機械部品や工具等のハードコーティング膜;半導体メモリの絶縁膜、ゲート絶縁膜、誘電体膜;ハードディスク用MRヘッド等の電子部品;光通信用回路等の光学ガラスとして使用されている。
【0003】
これらの用途のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法としては、化学気相成長(以降、CVDと記載することもある)法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法等が挙げられるが、加工寸法が微細になるに従い、組成制御性、段差被覆性、段差埋め込み性に優れること、LSIプロセスとの適合性等からCVD法が最適な製造プロセスとして検討されている。
【0004】
しかしながら、これまでに提案されたアルミニウムのCVD原料は、必ずしも工業的に適するものではなかった。アルミニウムのCVD原料としては、トリアルキルアルミニウムが、蒸気圧が大きく、得られる膜質が良好であり、CVD原料として優れた特性を有している。これについては、例えば、特許文献1及び2にアルミニウム薄膜の製造が報告されている。また、酸化アルミニウム系薄膜の製造方法としては、特許文献3に、一般的にALD法と呼ばれる堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に薄膜の堆積を行う特殊なCVD法による製造方法が報告されている。
【0005】
しかし、トリアルキルアルミニウムは、化学的に不安定な化合物であり、発火や爆発の危険性があった。更に酸化アルミニウム系薄膜を製造する場合は、酸化反応を伴うので薄膜堆積部で局所的な発火や爆発が起こり均一な薄膜を得られない場合もある。
【0006】
また、有機溶剤の使用については、特許文献4に、アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解したCVD原料の記載があるが、ここで用いられるアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウムではない。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−250028号公報
【特許文献2】
特開平11−92933号公報
【特許文献3】
特開平4−232250号公報
【特許文献4】
特開2001−214268号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、発火や爆発の危険性を低減したトリアルキルアルミニウムを用いたCVD用原料及び該原料を用いたアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、検討を重ねた結果、炭化水素系及び/ 又はエーテル系有機溶媒から選ばれる少なくとも一種類の有機溶媒を用いることにより上記課題を達成し得ることを知見し、本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表されるトリアルキルアルミニウム100質量部、並びに炭化水素系有機溶媒及びエーテル系有機溶媒から選ばれる少なくとも一種類の有機溶媒400〜2000質量部を含有してなる化学気相成長用原料、及び該化学気相成長用原料を用いたアルミニウム元素を含有する系薄膜の製造方法を提供するものである。
【0011】
【化2】
(式中、R1 〜R3 は、各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0013】
まず、本発明の化学気相成長用原料について説明する。
本発明の化学気相成長用原料は、上記一般式(I)で表されるトリアルキルアルミニウム100質量部に対し、炭化水素系有機溶媒及びエーテル系有機溶媒から選ばれる少なくとも一種類の有機溶媒を400〜2000質量部、好ましくは500〜1500質量部含有してなることが特徴である。トリアルキルアルミニウム100質量部に対する上記有機溶媒の使用量が、400質量部より小さいと、発火や爆発を回避するという有機溶媒の使用効果が充分に得られない。また、2000質量部を超えると、アルミニウム含有率が小さくなり、CVD法による薄膜製造を効率よく実現できなくなる。
【0014】
本発明で用いられる上記一般式(I)で表されるトリアルキルアルミニウムにおいて、R1 〜R3 で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチルが挙げられ、R1 〜R3 は同一でも異なってもよい。これらのトリアルキルアルミニウムの中でもR1 〜R3 がメチル基であるもの、即ちトリメチルアルミニウムが、蒸気圧が大きく、炭素成分が少ないので、得られる薄膜の膜質が良好であるので好ましい。
【0015】
また、本発明で用いられる有機溶媒は、一種類又は二種類以上の炭化水素系有機溶媒、一種類又は二種類以上のエーテル系有機溶媒或いはこれらの混合物である。上記炭化水素系有機溶媒とは、炭素と水素のみから構成される化合物からなる有機溶媒を指し、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、ペンタン、イソペンタン、第三ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等が挙げられ、脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、第三ブチルシクロヘキサン、o−メンタン、m−メンタン、p−メンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン等が挙げられ、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、クメン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ジエチルベンゼン、メシチレン、テトラリン等が挙げられる。
【0016】
上記エーテル系有機溶媒とは、炭素、水素及びエーテル結合を形成する酸素のみから構成される化合物からなる有機溶媒を指す。該エーテル系有機溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジエチルアセタール、メチル第三ブチルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルアミルエーテル、エチルイソアミルエーテル、アニソール、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリオキサン、1,8−シネオール等が挙げられる。
【0017】
上記の有機溶媒としては、反応に対して不活性であり、安価なものほど好ましいので、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、エーテル系有機溶媒が好ましく、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素がより好ましい。また、上記の有機溶媒は、トリアルキルアルミニウムと共に気化されるので、使用されるトリアルキルアルミニウムと沸点が類似するものが好ましい。例えば、トリアルキルアルミニウムとしてトリメチルアルミニウムを使用する場合は、トリメチルアルミニウムの沸点が127℃であるので、使用される有機溶媒は、その沸点が50〜160℃の範囲のものが好ましく、80〜140℃の範囲のものがより好ましい。
【0018】
上記のトリアルキルアルミニウム及び有機溶媒を含有する本発明のCVD用原料には、必要に応じて、上記トリアルキルアルミニウムに安定性を付与するため、求核性試薬を含有させてもよい。該求核性試薬としては、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N, N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類、アセチルアセトン、ジピバロイルメタン等のβ−ジケトン類が挙げられ、これら求核性試薬の使用量は、上記トリアルキルアルミニウム1モルに対して、好ましくは0.1〜10モルの範囲で使用され、より好ましくは1〜4モルの範囲で使用される。
【0019】
次に、上述の本発明のCVD用原料を用いた本発明のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法について説明する。
本発明のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法は、上述の本発明のCVD用原料を用いた化学気相成長(CVD)法によるものである。アルミニウム元素を含有する薄膜とは、薄膜の構成元素としてアルミニウムを含有する薄膜のことであり、組成や結晶構造等により限定されるものではない。
【0020】
上記のアルミニウム元素を含有する薄膜としては、例えば、アルミニウム薄膜、アルミニウム合金薄膜、酸化アルミニウム系薄膜、酸化アルミニウム以外のアルミニウム元素を含有するセラミックスやガラス材料からなる薄膜等が挙げられる。アルミニウム合金薄膜としては、例えば、銅−アルミニウム合金、アルミニウム−銀合金等のアルミニウム合金の薄膜が挙げられ、酸化アルミニウム系薄膜としては、酸化アルミニウム、他の元素の酸化物との複合酸化物が挙げられる。
該複合酸化物に含有される他の元素の酸化物を構成する元素としては、リチウム、硼素、ナトリウム、マグネシウム、珪素、リン、イオウ、カリウム、カルシウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、アンチモン、バリウム、ランタン、ハフニウム、タンタル、タングステン、イリジウム、鉛、ビスマス、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム等が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上含有される。また、酸化アルミニウム以外のアルミニウム元素を含有するセラミックスやガラス材料としては、窒化アルミニウム、アルミニウムドープ光学ガラス等が挙げられる。
【0021】
上記の他の元素の酸化物等を導入するCVD原料としては、特に制限を受けず、周知一般のCVD原料となる化合物を用いることができる。例えば、アルコール化合物及び/又はグリコール化合物及び/又はβ−ジケトン化合物及び/又はシクロペンタジエン化合物等の一種類又は二種類以上の有機配位化合物と上記元素との化合物やアルキル化物、アリル化物が挙げられる。これらの他の元素のCVD原料の供給方法は、本発明のアルミニウムのCVD用原料に混合して薄膜堆積部に導入するシングルソース法を用いてもよく、別系列の供給系によるマルチソース法を用いてもよい。本発明の薄膜の製造方法に用いられるトリアルキルアルミニウムは、化学的に不安定で反応性が大きいので、マルチソース法が好ましい。
【0022】
CVD法とは、気化させた原料と必要に応じて用いられる反応性ガスを基板上に導入し、次いで、原料を基板上で分解及び/又は反応させて薄膜を基板上に成長、堆積させる方法を指す。本発明の薄膜の製造方法は、原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件、方法を用いることができる。
【0023】
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素の蒸気等が挙げられ、還元性のものとしては水素、エチレン、イソブチレン等のオレフィンが挙げられ、窒化物を製造するものとしてはアンモニア、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物が挙げられる。これらはそれぞれ、一種類又は二種類以上混合で用いられる。
【0024】
また、上記の輸送供給方法としては、前記のシングルソース法、マルチソース法が挙げられる。
【0025】
また、上記の堆積方法としては、原料ガス又は原料ガスと反応性ガスを熱のみにより反応させ薄膜を堆積させる熱CVD、熱とプラズマを使用するプラズマCVD、熱と光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALD(Atomic Layer Deposition )が挙げられる。
【0026】
本発明のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法において、好ましい方法は、ALDである。ALDは、薄膜堆積部への化学気相成長用原料の混合蒸気の供給と水蒸気及び/ 又は過酸化水素の蒸気等の反応性ガスの供給を交互に行い、これを1サイクルとしてアルミニウム元素を含有する薄膜の分子層を段階的に堆積させていく方法である。また各サイクルにおいて、原料ガス又は反応性ガスを供給後に不活性ガスによるパージ及び/又は減圧による排気を行い未反応の原料ガス及び/又は反応性ガスを除去する工程を任意に導入してもよい。ALDは、他のCVD法と比較して膜厚が薄く均一で良好な薄膜を得られる特徴がある。また、その成膜機構から薄膜堆積温度を低く抑えることが可能であり、基体の耐熱性、基体への元素拡散性等に左右されず広い応用が可能である。また、ALDは、熱、光、プラズマと併用することも可能である。
【0027】
上記の製造条件としては、反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度については、ALD以外の場合は、本発明で用いられる前記トリアルキルアルミニウムが充分に反応する温度である150℃以上が好ましく、200〜600℃がより好ましい。ALDの場合は、水蒸気を使用する場合は、100〜500℃であり、過酸化水素の蒸気を使用する場合は、室温〜250℃である。また、反応圧力は、ALD以外の場合、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合は、2000〜0.1Paが好ましく、ALDの場合は、100〜0.1Paが好ましい。また、堆積速度は、原料の供給条件(供給速度、気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることができる。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.5〜5000nm/分が好ましく、1〜1000nm/分がより好ましい。
【0028】
また、本発明の薄膜の製造方法においては、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るためにアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は300〜1200℃であり、400〜1000℃が好ましい。
【0029】
本発明のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法は、例えば、ハードディスク用MRヘッド;半導体用絶縁膜、同ゲート絶縁膜、同キャパシタ膜、バリア膜等の機能性薄膜;光ファイバ、光導波路、光増幅器、光スイッチ等の光学ガラスを製造する際に有用である。
【0030】
【実施例】
以下、製造実施例、実施例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0031】
[製造実施例]
ヘプタン、オクタンをそれぞれナトリウムワイヤーで乾燥した後、乾燥アルゴン気流中で蒸留して、水分量1ppm以下の精製溶媒を得た。乾燥アルゴン気流中で、これらの溶媒各90gにそれぞれトリメチルアルミニウム10gを加え、ヘプタンとトリメチルアルミニウムからなるCVD用原料1及びオクタンとトリメチルアルミニウムからなるCVD用原料2を得た。
【0032】
[実施例1]
上記で得たCVD用原料1及び2を用い、CVD装置として図1に示すALD装置を用い、以下の条件及び工程によりシリコンウエハ上に酸化アルミニウム薄膜を製造した。尚、図1中、MFCはマスフローコントローラを示し、LMFCは液体マスフローコントローラを示し、APCは自動減圧調整機(オートプレッシャーコントローラ)を示す。また、図1中に示されたSolvent は、ライン洗浄用の有機溶媒であり、CVD用原料に用いたものと同じ有機溶媒を用いた。
(条件)
反応温度(基板温度);270℃、反応性ガス(Reactant);水蒸気
(工程)
気化室(Vaporizer) で気化させたCVD用原料(Source)の蒸気を反応室(Chamber) に導入し、系圧力10〜25Pa、1秒間反応→1.5秒のアルゴンパージにより未反応原料を除去→水蒸気を導入し、系圧力10〜25Pa、1秒間反応→1.5秒のアルゴンパージにより未反応原料を除去する工程を1サイクルとして、500サイクル繰り返し、最後に400℃で3分間のアニール処理を行った。
【0033】
上記の操作により得られた薄膜の厚さは、触針式段差計(タリステップ)で測定したところ、CVD用原料1で64nm、CVD用原料2で62nmであった。また、薄膜の組成が酸化アルミニウムであることをオージェ電子分光法により確認した。また、得られた薄膜のX線回折(管球:Cu)から、酸化アルミニウム薄膜はアモルファスであることを確認した。
【0034】
[実施例2]
上記で得たCVD用原料2を用い、CVD装置として図1に示すALD装置を用い、以下の条件及び工程によりシリコンウエハ上にアルミニウム薄膜を製造した。
(条件)
反応温度(基板温度);270℃、反応性ガス;水素
(工程)
気化室で気化させたCVD用原料の蒸気を反応室に導入し、系圧力10〜25Pa、1秒間反応→1.5秒のアルゴンパージにより未反応原料を除去→水素を導入し、系圧力10〜25Pa、1秒間反応→1.5秒のアルゴンパージにより水素ガスを除去する工程を1サイクルとして、500サイクル繰り返し、最後に380℃で2分間のアニール処理を行った。
【0035】
上記の操作により得られた薄膜の厚さは、触針式段差計(タリステップ)で測定したところ、81nmであった。また、薄膜の組成がアルミニウムであることをX線回折(管球:Cu)により確認した。
〔X線回折結果〕
2θ:38.47、44.74、65.13、78.22、82.43、9907、112.04、116.56、137.44
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、発火や爆発の危険性を低減したトリアルキルアルミニウムを用いたCVD用原料及び該原料を用いたアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法に用いられるCVD装置の一例を示す概要図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のアルミニウム化合物と炭化水素系及び/ 又はエーテル系有機溶媒とを含有してなる化学気相成長用原料及びこれを用いた化学気相成長法によるアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム元素を含有する薄膜材料は、特異的な電気特性及び光学特性を示し、種々の用途に応用されている。例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金薄膜は、高い導電性及びエレクトロマイグレーション耐性を有することからLSIの配線材料として使用されており、酸化アルミニウム系薄膜は、機械部品や工具等のハードコーティング膜;半導体メモリの絶縁膜、ゲート絶縁膜、誘電体膜;ハードディスク用MRヘッド等の電子部品;光通信用回路等の光学ガラスとして使用されている。
【0003】
これらの用途のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法としては、化学気相成長(以降、CVDと記載することもある)法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法等が挙げられるが、加工寸法が微細になるに従い、組成制御性、段差被覆性、段差埋め込み性に優れること、LSIプロセスとの適合性等からCVD法が最適な製造プロセスとして検討されている。
【0004】
しかしながら、これまでに提案されたアルミニウムのCVD原料は、必ずしも工業的に適するものではなかった。アルミニウムのCVD原料としては、トリアルキルアルミニウムが、蒸気圧が大きく、得られる膜質が良好であり、CVD原料として優れた特性を有している。これについては、例えば、特許文献1及び2にアルミニウム薄膜の製造が報告されている。また、酸化アルミニウム系薄膜の製造方法としては、特許文献3に、一般的にALD法と呼ばれる堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に薄膜の堆積を行う特殊なCVD法による製造方法が報告されている。
【0005】
しかし、トリアルキルアルミニウムは、化学的に不安定な化合物であり、発火や爆発の危険性があった。更に酸化アルミニウム系薄膜を製造する場合は、酸化反応を伴うので薄膜堆積部で局所的な発火や爆発が起こり均一な薄膜を得られない場合もある。
【0006】
また、有機溶剤の使用については、特許文献4に、アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解したCVD原料の記載があるが、ここで用いられるアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウムではない。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−250028号公報
【特許文献2】
特開平11−92933号公報
【特許文献3】
特開平4−232250号公報
【特許文献4】
特開2001−214268号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、発火や爆発の危険性を低減したトリアルキルアルミニウムを用いたCVD用原料及び該原料を用いたアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、検討を重ねた結果、炭化水素系及び/ 又はエーテル系有機溶媒から選ばれる少なくとも一種類の有機溶媒を用いることにより上記課題を達成し得ることを知見し、本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表されるトリアルキルアルミニウム100質量部、並びに炭化水素系有機溶媒及びエーテル系有機溶媒から選ばれる少なくとも一種類の有機溶媒400〜2000質量部を含有してなる化学気相成長用原料、及び該化学気相成長用原料を用いたアルミニウム元素を含有する系薄膜の製造方法を提供するものである。
【0011】
【化2】
(式中、R1 〜R3 は、各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0013】
まず、本発明の化学気相成長用原料について説明する。
本発明の化学気相成長用原料は、上記一般式(I)で表されるトリアルキルアルミニウム100質量部に対し、炭化水素系有機溶媒及びエーテル系有機溶媒から選ばれる少なくとも一種類の有機溶媒を400〜2000質量部、好ましくは500〜1500質量部含有してなることが特徴である。トリアルキルアルミニウム100質量部に対する上記有機溶媒の使用量が、400質量部より小さいと、発火や爆発を回避するという有機溶媒の使用効果が充分に得られない。また、2000質量部を超えると、アルミニウム含有率が小さくなり、CVD法による薄膜製造を効率よく実現できなくなる。
【0014】
本発明で用いられる上記一般式(I)で表されるトリアルキルアルミニウムにおいて、R1 〜R3 で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチルが挙げられ、R1 〜R3 は同一でも異なってもよい。これらのトリアルキルアルミニウムの中でもR1 〜R3 がメチル基であるもの、即ちトリメチルアルミニウムが、蒸気圧が大きく、炭素成分が少ないので、得られる薄膜の膜質が良好であるので好ましい。
【0015】
また、本発明で用いられる有機溶媒は、一種類又は二種類以上の炭化水素系有機溶媒、一種類又は二種類以上のエーテル系有機溶媒或いはこれらの混合物である。上記炭化水素系有機溶媒とは、炭素と水素のみから構成される化合物からなる有機溶媒を指し、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素が挙げられる。脂肪族炭化水素としては、ペンタン、イソペンタン、第三ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等が挙げられ、脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、第三ブチルシクロヘキサン、o−メンタン、m−メンタン、p−メンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン等が挙げられ、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、クメン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ジエチルベンゼン、メシチレン、テトラリン等が挙げられる。
【0016】
上記エーテル系有機溶媒とは、炭素、水素及びエーテル結合を形成する酸素のみから構成される化合物からなる有機溶媒を指す。該エーテル系有機溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジエチルアセタール、メチル第三ブチルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルアミルエーテル、エチルイソアミルエーテル、アニソール、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリオキサン、1,8−シネオール等が挙げられる。
【0017】
上記の有機溶媒としては、反応に対して不活性であり、安価なものほど好ましいので、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、エーテル系有機溶媒が好ましく、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素がより好ましい。また、上記の有機溶媒は、トリアルキルアルミニウムと共に気化されるので、使用されるトリアルキルアルミニウムと沸点が類似するものが好ましい。例えば、トリアルキルアルミニウムとしてトリメチルアルミニウムを使用する場合は、トリメチルアルミニウムの沸点が127℃であるので、使用される有機溶媒は、その沸点が50〜160℃の範囲のものが好ましく、80〜140℃の範囲のものがより好ましい。
【0018】
上記のトリアルキルアルミニウム及び有機溶媒を含有する本発明のCVD用原料には、必要に応じて、上記トリアルキルアルミニウムに安定性を付与するため、求核性試薬を含有させてもよい。該求核性試薬としては、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N, N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類、アセチルアセトン、ジピバロイルメタン等のβ−ジケトン類が挙げられ、これら求核性試薬の使用量は、上記トリアルキルアルミニウム1モルに対して、好ましくは0.1〜10モルの範囲で使用され、より好ましくは1〜4モルの範囲で使用される。
【0019】
次に、上述の本発明のCVD用原料を用いた本発明のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法について説明する。
本発明のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法は、上述の本発明のCVD用原料を用いた化学気相成長(CVD)法によるものである。アルミニウム元素を含有する薄膜とは、薄膜の構成元素としてアルミニウムを含有する薄膜のことであり、組成や結晶構造等により限定されるものではない。
【0020】
上記のアルミニウム元素を含有する薄膜としては、例えば、アルミニウム薄膜、アルミニウム合金薄膜、酸化アルミニウム系薄膜、酸化アルミニウム以外のアルミニウム元素を含有するセラミックスやガラス材料からなる薄膜等が挙げられる。アルミニウム合金薄膜としては、例えば、銅−アルミニウム合金、アルミニウム−銀合金等のアルミニウム合金の薄膜が挙げられ、酸化アルミニウム系薄膜としては、酸化アルミニウム、他の元素の酸化物との複合酸化物が挙げられる。
該複合酸化物に含有される他の元素の酸化物を構成する元素としては、リチウム、硼素、ナトリウム、マグネシウム、珪素、リン、イオウ、カリウム、カルシウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、アンチモン、バリウム、ランタン、ハフニウム、タンタル、タングステン、イリジウム、鉛、ビスマス、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム等が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上含有される。また、酸化アルミニウム以外のアルミニウム元素を含有するセラミックスやガラス材料としては、窒化アルミニウム、アルミニウムドープ光学ガラス等が挙げられる。
【0021】
上記の他の元素の酸化物等を導入するCVD原料としては、特に制限を受けず、周知一般のCVD原料となる化合物を用いることができる。例えば、アルコール化合物及び/又はグリコール化合物及び/又はβ−ジケトン化合物及び/又はシクロペンタジエン化合物等の一種類又は二種類以上の有機配位化合物と上記元素との化合物やアルキル化物、アリル化物が挙げられる。これらの他の元素のCVD原料の供給方法は、本発明のアルミニウムのCVD用原料に混合して薄膜堆積部に導入するシングルソース法を用いてもよく、別系列の供給系によるマルチソース法を用いてもよい。本発明の薄膜の製造方法に用いられるトリアルキルアルミニウムは、化学的に不安定で反応性が大きいので、マルチソース法が好ましい。
【0022】
CVD法とは、気化させた原料と必要に応じて用いられる反応性ガスを基板上に導入し、次いで、原料を基板上で分解及び/又は反応させて薄膜を基板上に成長、堆積させる方法を指す。本発明の薄膜の製造方法は、原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件、方法を用いることができる。
【0023】
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素の蒸気等が挙げられ、還元性のものとしては水素、エチレン、イソブチレン等のオレフィンが挙げられ、窒化物を製造するものとしてはアンモニア、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物が挙げられる。これらはそれぞれ、一種類又は二種類以上混合で用いられる。
【0024】
また、上記の輸送供給方法としては、前記のシングルソース法、マルチソース法が挙げられる。
【0025】
また、上記の堆積方法としては、原料ガス又は原料ガスと反応性ガスを熱のみにより反応させ薄膜を堆積させる熱CVD、熱とプラズマを使用するプラズマCVD、熱と光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALD(Atomic Layer Deposition )が挙げられる。
【0026】
本発明のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法において、好ましい方法は、ALDである。ALDは、薄膜堆積部への化学気相成長用原料の混合蒸気の供給と水蒸気及び/ 又は過酸化水素の蒸気等の反応性ガスの供給を交互に行い、これを1サイクルとしてアルミニウム元素を含有する薄膜の分子層を段階的に堆積させていく方法である。また各サイクルにおいて、原料ガス又は反応性ガスを供給後に不活性ガスによるパージ及び/又は減圧による排気を行い未反応の原料ガス及び/又は反応性ガスを除去する工程を任意に導入してもよい。ALDは、他のCVD法と比較して膜厚が薄く均一で良好な薄膜を得られる特徴がある。また、その成膜機構から薄膜堆積温度を低く抑えることが可能であり、基体の耐熱性、基体への元素拡散性等に左右されず広い応用が可能である。また、ALDは、熱、光、プラズマと併用することも可能である。
【0027】
上記の製造条件としては、反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度については、ALD以外の場合は、本発明で用いられる前記トリアルキルアルミニウムが充分に反応する温度である150℃以上が好ましく、200〜600℃がより好ましい。ALDの場合は、水蒸気を使用する場合は、100〜500℃であり、過酸化水素の蒸気を使用する場合は、室温〜250℃である。また、反応圧力は、ALD以外の場合、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合は、2000〜0.1Paが好ましく、ALDの場合は、100〜0.1Paが好ましい。また、堆積速度は、原料の供給条件(供給速度、気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることができる。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.5〜5000nm/分が好ましく、1〜1000nm/分がより好ましい。
【0028】
また、本発明の薄膜の製造方法においては、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るためにアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は300〜1200℃であり、400〜1000℃が好ましい。
【0029】
本発明のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法は、例えば、ハードディスク用MRヘッド;半導体用絶縁膜、同ゲート絶縁膜、同キャパシタ膜、バリア膜等の機能性薄膜;光ファイバ、光導波路、光増幅器、光スイッチ等の光学ガラスを製造する際に有用である。
【0030】
【実施例】
以下、製造実施例、実施例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0031】
[製造実施例]
ヘプタン、オクタンをそれぞれナトリウムワイヤーで乾燥した後、乾燥アルゴン気流中で蒸留して、水分量1ppm以下の精製溶媒を得た。乾燥アルゴン気流中で、これらの溶媒各90gにそれぞれトリメチルアルミニウム10gを加え、ヘプタンとトリメチルアルミニウムからなるCVD用原料1及びオクタンとトリメチルアルミニウムからなるCVD用原料2を得た。
【0032】
[実施例1]
上記で得たCVD用原料1及び2を用い、CVD装置として図1に示すALD装置を用い、以下の条件及び工程によりシリコンウエハ上に酸化アルミニウム薄膜を製造した。尚、図1中、MFCはマスフローコントローラを示し、LMFCは液体マスフローコントローラを示し、APCは自動減圧調整機(オートプレッシャーコントローラ)を示す。また、図1中に示されたSolvent は、ライン洗浄用の有機溶媒であり、CVD用原料に用いたものと同じ有機溶媒を用いた。
(条件)
反応温度(基板温度);270℃、反応性ガス(Reactant);水蒸気
(工程)
気化室(Vaporizer) で気化させたCVD用原料(Source)の蒸気を反応室(Chamber) に導入し、系圧力10〜25Pa、1秒間反応→1.5秒のアルゴンパージにより未反応原料を除去→水蒸気を導入し、系圧力10〜25Pa、1秒間反応→1.5秒のアルゴンパージにより未反応原料を除去する工程を1サイクルとして、500サイクル繰り返し、最後に400℃で3分間のアニール処理を行った。
【0033】
上記の操作により得られた薄膜の厚さは、触針式段差計(タリステップ)で測定したところ、CVD用原料1で64nm、CVD用原料2で62nmであった。また、薄膜の組成が酸化アルミニウムであることをオージェ電子分光法により確認した。また、得られた薄膜のX線回折(管球:Cu)から、酸化アルミニウム薄膜はアモルファスであることを確認した。
【0034】
[実施例2]
上記で得たCVD用原料2を用い、CVD装置として図1に示すALD装置を用い、以下の条件及び工程によりシリコンウエハ上にアルミニウム薄膜を製造した。
(条件)
反応温度(基板温度);270℃、反応性ガス;水素
(工程)
気化室で気化させたCVD用原料の蒸気を反応室に導入し、系圧力10〜25Pa、1秒間反応→1.5秒のアルゴンパージにより未反応原料を除去→水素を導入し、系圧力10〜25Pa、1秒間反応→1.5秒のアルゴンパージにより水素ガスを除去する工程を1サイクルとして、500サイクル繰り返し、最後に380℃で2分間のアニール処理を行った。
【0035】
上記の操作により得られた薄膜の厚さは、触針式段差計(タリステップ)で測定したところ、81nmであった。また、薄膜の組成がアルミニウムであることをX線回折(管球:Cu)により確認した。
〔X線回折結果〕
2θ:38.47、44.74、65.13、78.22、82.43、9907、112.04、116.56、137.44
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、発火や爆発の危険性を低減したトリアルキルアルミニウムを用いたCVD用原料及び該原料を用いたアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法に用いられるCVD装置の一例を示す概要図である。
Claims (6)
- 上記一般式(I)中のR1 〜R3 が、メチル基である請求項1に記載の化学気相成長用原料。
- 上記有機溶媒が、沸点が50〜160℃の範囲のものである請求項1又は2に記載の化学気相成長
用原料。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の化学気相成長用原料を用いた化学気相成長法によるアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法。
- 化学気相成長用原料の混合蒸気と水蒸気及び/ 又は過酸化水素の蒸気を、交互に薄膜堆積部に供給することを特徴とする請求項4に記載の薄膜の製造方法。
- アルミニウム元素を含有する薄膜が、酸化アルミニウム系薄膜である請求項4又は5に記載の薄膜の製造方法。
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JP2002351246A JP2004183046A (ja) | 2002-12-03 | 2002-12-03 | 化学気相成長用原料及びこれを用いたアルミニウム元素を含有する薄膜の製造方法 |
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DE102006033037A1 (de) * | 2006-07-14 | 2008-01-24 | Universität Bielefeld | Einstufiges Verfahren zur Aufbringung einer Metallschicht auf ein Substrat |
KR101049494B1 (ko) * | 2007-08-30 | 2011-07-15 | 가부시키가이샤 히다치 고쿠사이 덴키 | 반도체 장치의 제조 방법 및 기판 처리 장치 |
JP2013055359A (ja) * | 2007-08-30 | 2013-03-21 | Hitachi Kokusai Electric Inc | 半導体装置の製造方法、基板処理方法及び基板処理装置 |
-
2002
- 2002-12-03 JP JP2002351246A patent/JP2004183046A/ja active Pending
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