JP2004183030A - 抗菌機能を有する箔またはフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】抗菌性、変色防止器材として、いろいろな場所でさまざまな商品に対して手軽に用いることができる抗菌物体としての箔またはフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】箔またはフィルムの基体1の表面に抗菌性金属よりなるメッキ層または金属薄膜層などの金属被膜層2を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】箔またはフィルムの基体1の表面に抗菌性金属よりなるメッキ層または金属薄膜層などの金属被膜層2を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌機能を有する箔またはフィルムに関し、特に金属や金属イオンの抗菌機能を用いた箔またはフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ある種の金属または金属イオンが抗菌性を示すことが知られている。たとえば、ステンレス鋼材に銀を含有させ、それに脱スケール処理などを施して抗菌性および耐食性に優れたステンレス鋼材を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、繊維体にオレンジピール(肌の粗い表面状態)を呈する抗菌金属被膜を設けることによって抗菌性繊維を実現する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、便器の洗浄水との接触部分に、抗菌金属イオンと抗菌金属の双方が固定された固形物を設けて抗菌性を長期に亙って保持する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
さらに、抗菌金属を炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、セラミック材料などに吸着させたものと、活性、安定性を増すために加える酸化亜鉛ウイスカからなる構成物質を電気炊飯器の中蓋などに用い、電気炊飯器内の合成樹脂部材への細菌、かびなどの発生、鉄錆の発生を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、同じ構成物質で洗濯機の洗濯槽、脱水槽、洗濯ロータ、配水管、排水ホースなどを構成し、洗濯機や洗濯機の置き場などに細菌、藻、かびなどの微生物が発生しないようにし、かつ鉄錆の発生を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0004】
ところで、従来のこのような発明は、あくまで製造段階で商品に金属または金属イオンによる抗菌の処理を施すものであり、すでに商品化されている商品や利用されている商品に後から手軽に抗菌性を付与するという観点から考慮されたものではなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−11660号公報(第3‐17頁、)
【特許文献2】
特開2001−234468号公報(第3−5頁、第1図)
【特許文献3】
特開2000−26220号公報(第3−10頁、第1−2図)
【特許文献4】
特開平5−111427号公報(第2−4頁、第1図)
【特許文献5】
特開平5−111595号公報(第2−4頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとく、従来の抗菌金属を用いた商品は、製造段階で商品に金属または金属イオンによる抗菌性の処理を施しているため、処理を施した商品だけに恩恵が与えられ、すでに製造された商品、すでに購入され使用されている商品に抗菌処理することは考慮されていなかった。
本発明は、比較的簡単な方法でこの問題を解決して、抗菌性、変色防止器材として、いろいろな場所でさまざまな商品に対して手軽に用いることができる抗菌物体としての箔またはフィルムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明は箔またはフィルムからなる基材の表面に抗菌性金属よりなるメッキ層または金属薄膜層などの被膜層を設けたことを特徴とする。
これにより、この箔またはフィルムに抗菌性を持たせ、抗菌性を必要とするところに使用することによって、細菌、かびなどの微生物の発生を妨げ、食品や衣類などの変色を抑制することができる。
【0008】
前記基材はアルミニウムまたはアルミニウム合金の箔またはフィルムで形成されていることを特徴とする。
これにより、抗菌機能を有する箔を容易にかつ安価に製造することができる。
【0009】
前記基材はプラスティックフィルムにアルミニウムまたはアルミニウム合金の被膜が蒸着や塗布などの方法で形成されたフィルムであり、このアルミニウムまたはアルミニウム合金の被膜面に前記被膜層が設けられることを特徴とする。
これにより、抗菌機能を有し丈夫で取り扱いが容易な金属被覆フィルムを容易にかつ安価に製造することができる。
【0010】
前記抗菌性金属は銀、金、白金、銅、ニッケル、錫、亜鉛、パラジウム、ビスマスおよびクロムの1種または2種以上の金属またはこれらの合金であることを特徴とする。
これにより、比較的容易に最適な抗菌金属または抗菌合金を選んで抗菌機能を有する箔またはフィルムを形成することができる。
【0011】
前記抗菌性金属は酸化チタンを主成分とする合金であることを特徴とする。
これにより、チタン合金を用いて抗菌機能を有する箔またはフィルムを形成することができる。
【0012】
前記被膜層の一部に前記抗菌性金属を保護する被覆層を設けたことを特徴とする。
これにより、取り扱い時にこの部分を取り上げることで、金属部分の酸化を防いで強度を保ち抗菌機能をいつまでも維持することができる。
【0013】
箔またはフィルムが枠体に展着されていることを特徴とする。
これにより、取り扱い時にこの枠体部分を取り上げることで、金属部分の酸化を防いで強度を保ち抗菌機能をいつまでも維持することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムを添付図面を参照にして詳細に説明する。
【0015】
図1に、本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムの一実施の形態の外観図(a)および断面図(b)を示す。図1において、符号1は本発明の抗菌機能を有する箔またはフィルムを構成する基体であり、符号2は抗菌性金属のメッキ層、薄膜層などの金属皮膜層である。たとえば、基体1はアルミニウムの箔で形成されており、その上に、抗菌金属の金属被膜層2として電解液中の処理により銀の硬質陽極酸化被膜が形成され、鮮やかな金色の箔を構成する。これにより、比較的容易に抗菌機能を有する箔またはフィルムを実現することができる。
【0016】
図2に、本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムの他の実施の形態の断面図を示す。この例では、基体1はプラスティックフィルムで構成され、この基体1上にアルミニウムの中間膜3を蒸着や塗布などの方向で形成し、さらにその上に抗菌金属である銀の金属被膜層2を形成する。これにより、プラスティックフィルムが持つ伸縮性や靭性のため、比較的取り扱いが容易で丈夫な抗菌機能を有するフィルムを実現することができる。
【0017】
以上のように構成した本発明の箔またはフィルムは、その表面の抗菌性金属の金属被膜層2の影響で、細菌、かびなどの微生物による汚染や鉄錆の発生による汚染、酸化による変色、変質を抑える効果がある。
発明者は、アルミニウム箔の基体1に銀の硬質陽極酸化被膜約30μmを形成した図1に示した本発明の実施の形態を用いて、実際に抗菌試験、炊飯の腐敗変色試験、浴室内でのカビの発生試験を行った。その結果、十分な抗菌効果、腐敗変色阻止効果、防さび効果が確かめられている。
例えば、この箔を炊飯器に入れて炊飯した後、電源を切って放置し、炊飯された飯の状態を調べた結果、箔を入れてない場合では1日(24時間)後に飯に色の変化や匂いが表れはじめたのに対し、箔を入れた場合では3日(72時間)後でも変化が見られず、飯の味も変化せずおいしく食べられた。
【0018】
さらに、本発明の図1や図2の実施の形態で、鮮魚や肉類や生野菜などを金属被膜層2が接するように包んで冷蔵庫内に保存すると、これらの食品の鮮度が維持できるとともに、変色を抑える働きがあった。また、同時に冷蔵庫内の悪臭を除去する働きも認められた。
また、洋服ダンスや押入れなどに本実施の形態の箔またはフィルムを入れておくことで、白い衣類やシーツなどの黄ばみを抑えることができる。さらに、洗濯機の洗濯槽内に入れると、洗濯機浴槽内や洗濯機置き場周辺でのかびなどの発生を防止することが可能になる。同様に本実施の形態の抗菌機能を有する箔またはフィルムを浴室などにおいておくと、浴槽や周辺のタイルなどにカビが発生するのを抑えることができる。
【0019】
ところで、このような構成の箔またはフィルムで、金属被膜層2の表面が酸化すると抗菌効果が劣化する可能性がある。これを防ぎ取り扱いを容易にするための実施の形態を以下に述べる。
図3に、本発明の箔またはフィルムの他の実施の形態の外観図(a)と断面図(b)とを示す。図3において、符号4は図1または図2に示す本発明の抗菌機能を有する箔またはフィルムであり、符号5は保護被膜である。この例では、抗菌機能を有する箔またはフィルム4の抗菌性金属の被膜層2の一部にプラスティックなどで形成された保護被膜5を設けている。
このようにすることで、箔またはフィルムを取り上げる場合に、この保護被覆5の部分を持つようにすることで、金属被膜層2に指の油で指紋がつき、これが元になって金属面の酸化が進行するなどの問題を回避することができる。また、箔またはフィルムが不用意な取り扱いによってその端部から破けるようなことを防いで強度を保つことができる。
【0020】
図4は、本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムの他の実施の形態の外観図および断面図である。図4において、符号4は所定の大きさに形成された抗菌性金属の箔またはフィルムであり、符号6は抗菌性金属の箔またはフィルム4が展着される枠体である。
例えば、枠体6として紙製のものを用い、抗菌性金属の箔4をこの枠体6に貼り付けて用いる。このようにすると、本実施の形態の箔4を取上げる際に、この枠体6の部分を持つようにすることによって、箔4の金属面に指紋をつけて、これが元になって箔4の酸化が進行するなどの問題を回避することができる。また、箔またはフィルムが不用意な取り扱いによってその端部から破けるようなことを防いで強度を保つことができる。
【0021】
以上、本発明を実施の形態に沿って説明したが、本発明はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りでさまざまな対応が考えられる。例えば、以上の説明では、基体1や中間膜3としてアルミニウムを用いた場合について述べたが、アルミニウム合金や他の軽金属も同様に用いることができる。また、抗菌性金属の金属被膜層2として銀被膜を用いたが、金、白金、銅、ニッケル、錫、亜鉛、パラジウム、ビスマスおよびクロムの1種または2種以上の金属またはこれらの合金を用いても同様の効果が期待できる。あるいは酸化チタンを主成分とする合金も同様の抗菌効果があることが認められている。
また、図1に示す実施の形態での金属被膜層2、図2に示す実施の形態にでの金属被膜層2とアルミニウムの中間膜3が、基体1の片側に設けるように示したが、両面に設けられても良いことはいうまでもない。
また、図3に示す実施の形態で、保護被膜5の位置や大きさ、図4に示す実施の形態で、枠体6の材質や大きさなどは、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に設定することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、表面に抗菌性金属からなる金属被膜層を有する箔またはフィルムを提案している。この箔またはフィルムを食品に添えて保存すると食品の変色、腐敗が防止されいつまでも鮮度を保つことができる。また、押入れや洋服ダンスなどにおいておくと、衣類の黄ばみや変色を防止することができる。
また、炊飯器、洗濯機、冷蔵庫、浴槽などに用いることにより、これらの商品があたかも製造時に抗菌処理を受けた商品であるかのように、細菌、かびなどの微生物の発生を抑制することができる。
本発明の抗菌機能を有する箔またはフィルムは折り畳んだり変形が自由にでき、かつ小型軽量であるため、使用上に制約が少なく、種々の場所で活用でき、かつ、安価に提供できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムの一実施の形態の外観図および断面図。
【図2】本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムの他の実施の形態の断面図。
【図3】本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムのさらに他の実施の形態の外観図と断面図。
【図4】本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムのさらに他の実施の形態の外観図と断面図。
【符号の説明】
1 基体
2 金属被膜層
3 中間膜
4 抗菌性金属の箔またはフィルム
5 保護被膜
6 枠体
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌機能を有する箔またはフィルムに関し、特に金属や金属イオンの抗菌機能を用いた箔またはフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ある種の金属または金属イオンが抗菌性を示すことが知られている。たとえば、ステンレス鋼材に銀を含有させ、それに脱スケール処理などを施して抗菌性および耐食性に優れたステンレス鋼材を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、繊維体にオレンジピール(肌の粗い表面状態)を呈する抗菌金属被膜を設けることによって抗菌性繊維を実現する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、便器の洗浄水との接触部分に、抗菌金属イオンと抗菌金属の双方が固定された固形物を設けて抗菌性を長期に亙って保持する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
さらに、抗菌金属を炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、セラミック材料などに吸着させたものと、活性、安定性を増すために加える酸化亜鉛ウイスカからなる構成物質を電気炊飯器の中蓋などに用い、電気炊飯器内の合成樹脂部材への細菌、かびなどの発生、鉄錆の発生を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、同じ構成物質で洗濯機の洗濯槽、脱水槽、洗濯ロータ、配水管、排水ホースなどを構成し、洗濯機や洗濯機の置き場などに細菌、藻、かびなどの微生物が発生しないようにし、かつ鉄錆の発生を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0004】
ところで、従来のこのような発明は、あくまで製造段階で商品に金属または金属イオンによる抗菌の処理を施すものであり、すでに商品化されている商品や利用されている商品に後から手軽に抗菌性を付与するという観点から考慮されたものではなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−11660号公報(第3‐17頁、)
【特許文献2】
特開2001−234468号公報(第3−5頁、第1図)
【特許文献3】
特開2000−26220号公報(第3−10頁、第1−2図)
【特許文献4】
特開平5−111427号公報(第2−4頁、第1図)
【特許文献5】
特開平5−111595号公報(第2−4頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとく、従来の抗菌金属を用いた商品は、製造段階で商品に金属または金属イオンによる抗菌性の処理を施しているため、処理を施した商品だけに恩恵が与えられ、すでに製造された商品、すでに購入され使用されている商品に抗菌処理することは考慮されていなかった。
本発明は、比較的簡単な方法でこの問題を解決して、抗菌性、変色防止器材として、いろいろな場所でさまざまな商品に対して手軽に用いることができる抗菌物体としての箔またはフィルムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明は箔またはフィルムからなる基材の表面に抗菌性金属よりなるメッキ層または金属薄膜層などの被膜層を設けたことを特徴とする。
これにより、この箔またはフィルムに抗菌性を持たせ、抗菌性を必要とするところに使用することによって、細菌、かびなどの微生物の発生を妨げ、食品や衣類などの変色を抑制することができる。
【0008】
前記基材はアルミニウムまたはアルミニウム合金の箔またはフィルムで形成されていることを特徴とする。
これにより、抗菌機能を有する箔を容易にかつ安価に製造することができる。
【0009】
前記基材はプラスティックフィルムにアルミニウムまたはアルミニウム合金の被膜が蒸着や塗布などの方法で形成されたフィルムであり、このアルミニウムまたはアルミニウム合金の被膜面に前記被膜層が設けられることを特徴とする。
これにより、抗菌機能を有し丈夫で取り扱いが容易な金属被覆フィルムを容易にかつ安価に製造することができる。
【0010】
前記抗菌性金属は銀、金、白金、銅、ニッケル、錫、亜鉛、パラジウム、ビスマスおよびクロムの1種または2種以上の金属またはこれらの合金であることを特徴とする。
これにより、比較的容易に最適な抗菌金属または抗菌合金を選んで抗菌機能を有する箔またはフィルムを形成することができる。
【0011】
前記抗菌性金属は酸化チタンを主成分とする合金であることを特徴とする。
これにより、チタン合金を用いて抗菌機能を有する箔またはフィルムを形成することができる。
【0012】
前記被膜層の一部に前記抗菌性金属を保護する被覆層を設けたことを特徴とする。
これにより、取り扱い時にこの部分を取り上げることで、金属部分の酸化を防いで強度を保ち抗菌機能をいつまでも維持することができる。
【0013】
箔またはフィルムが枠体に展着されていることを特徴とする。
これにより、取り扱い時にこの枠体部分を取り上げることで、金属部分の酸化を防いで強度を保ち抗菌機能をいつまでも維持することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムを添付図面を参照にして詳細に説明する。
【0015】
図1に、本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムの一実施の形態の外観図(a)および断面図(b)を示す。図1において、符号1は本発明の抗菌機能を有する箔またはフィルムを構成する基体であり、符号2は抗菌性金属のメッキ層、薄膜層などの金属皮膜層である。たとえば、基体1はアルミニウムの箔で形成されており、その上に、抗菌金属の金属被膜層2として電解液中の処理により銀の硬質陽極酸化被膜が形成され、鮮やかな金色の箔を構成する。これにより、比較的容易に抗菌機能を有する箔またはフィルムを実現することができる。
【0016】
図2に、本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムの他の実施の形態の断面図を示す。この例では、基体1はプラスティックフィルムで構成され、この基体1上にアルミニウムの中間膜3を蒸着や塗布などの方向で形成し、さらにその上に抗菌金属である銀の金属被膜層2を形成する。これにより、プラスティックフィルムが持つ伸縮性や靭性のため、比較的取り扱いが容易で丈夫な抗菌機能を有するフィルムを実現することができる。
【0017】
以上のように構成した本発明の箔またはフィルムは、その表面の抗菌性金属の金属被膜層2の影響で、細菌、かびなどの微生物による汚染や鉄錆の発生による汚染、酸化による変色、変質を抑える効果がある。
発明者は、アルミニウム箔の基体1に銀の硬質陽極酸化被膜約30μmを形成した図1に示した本発明の実施の形態を用いて、実際に抗菌試験、炊飯の腐敗変色試験、浴室内でのカビの発生試験を行った。その結果、十分な抗菌効果、腐敗変色阻止効果、防さび効果が確かめられている。
例えば、この箔を炊飯器に入れて炊飯した後、電源を切って放置し、炊飯された飯の状態を調べた結果、箔を入れてない場合では1日(24時間)後に飯に色の変化や匂いが表れはじめたのに対し、箔を入れた場合では3日(72時間)後でも変化が見られず、飯の味も変化せずおいしく食べられた。
【0018】
さらに、本発明の図1や図2の実施の形態で、鮮魚や肉類や生野菜などを金属被膜層2が接するように包んで冷蔵庫内に保存すると、これらの食品の鮮度が維持できるとともに、変色を抑える働きがあった。また、同時に冷蔵庫内の悪臭を除去する働きも認められた。
また、洋服ダンスや押入れなどに本実施の形態の箔またはフィルムを入れておくことで、白い衣類やシーツなどの黄ばみを抑えることができる。さらに、洗濯機の洗濯槽内に入れると、洗濯機浴槽内や洗濯機置き場周辺でのかびなどの発生を防止することが可能になる。同様に本実施の形態の抗菌機能を有する箔またはフィルムを浴室などにおいておくと、浴槽や周辺のタイルなどにカビが発生するのを抑えることができる。
【0019】
ところで、このような構成の箔またはフィルムで、金属被膜層2の表面が酸化すると抗菌効果が劣化する可能性がある。これを防ぎ取り扱いを容易にするための実施の形態を以下に述べる。
図3に、本発明の箔またはフィルムの他の実施の形態の外観図(a)と断面図(b)とを示す。図3において、符号4は図1または図2に示す本発明の抗菌機能を有する箔またはフィルムであり、符号5は保護被膜である。この例では、抗菌機能を有する箔またはフィルム4の抗菌性金属の被膜層2の一部にプラスティックなどで形成された保護被膜5を設けている。
このようにすることで、箔またはフィルムを取り上げる場合に、この保護被覆5の部分を持つようにすることで、金属被膜層2に指の油で指紋がつき、これが元になって金属面の酸化が進行するなどの問題を回避することができる。また、箔またはフィルムが不用意な取り扱いによってその端部から破けるようなことを防いで強度を保つことができる。
【0020】
図4は、本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムの他の実施の形態の外観図および断面図である。図4において、符号4は所定の大きさに形成された抗菌性金属の箔またはフィルムであり、符号6は抗菌性金属の箔またはフィルム4が展着される枠体である。
例えば、枠体6として紙製のものを用い、抗菌性金属の箔4をこの枠体6に貼り付けて用いる。このようにすると、本実施の形態の箔4を取上げる際に、この枠体6の部分を持つようにすることによって、箔4の金属面に指紋をつけて、これが元になって箔4の酸化が進行するなどの問題を回避することができる。また、箔またはフィルムが不用意な取り扱いによってその端部から破けるようなことを防いで強度を保つことができる。
【0021】
以上、本発明を実施の形態に沿って説明したが、本発明はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りでさまざまな対応が考えられる。例えば、以上の説明では、基体1や中間膜3としてアルミニウムを用いた場合について述べたが、アルミニウム合金や他の軽金属も同様に用いることができる。また、抗菌性金属の金属被膜層2として銀被膜を用いたが、金、白金、銅、ニッケル、錫、亜鉛、パラジウム、ビスマスおよびクロムの1種または2種以上の金属またはこれらの合金を用いても同様の効果が期待できる。あるいは酸化チタンを主成分とする合金も同様の抗菌効果があることが認められている。
また、図1に示す実施の形態での金属被膜層2、図2に示す実施の形態にでの金属被膜層2とアルミニウムの中間膜3が、基体1の片側に設けるように示したが、両面に設けられても良いことはいうまでもない。
また、図3に示す実施の形態で、保護被膜5の位置や大きさ、図4に示す実施の形態で、枠体6の材質や大きさなどは、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に設定することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、表面に抗菌性金属からなる金属被膜層を有する箔またはフィルムを提案している。この箔またはフィルムを食品に添えて保存すると食品の変色、腐敗が防止されいつまでも鮮度を保つことができる。また、押入れや洋服ダンスなどにおいておくと、衣類の黄ばみや変色を防止することができる。
また、炊飯器、洗濯機、冷蔵庫、浴槽などに用いることにより、これらの商品があたかも製造時に抗菌処理を受けた商品であるかのように、細菌、かびなどの微生物の発生を抑制することができる。
本発明の抗菌機能を有する箔またはフィルムは折り畳んだり変形が自由にでき、かつ小型軽量であるため、使用上に制約が少なく、種々の場所で活用でき、かつ、安価に提供できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムの一実施の形態の外観図および断面図。
【図2】本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムの他の実施の形態の断面図。
【図3】本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムのさらに他の実施の形態の外観図と断面図。
【図4】本発明にかかる抗菌機能を有する箔またはフィルムのさらに他の実施の形態の外観図と断面図。
【符号の説明】
1 基体
2 金属被膜層
3 中間膜
4 抗菌性金属の箔またはフィルム
5 保護被膜
6 枠体
Claims (7)
- 基材の表面に抗菌性金属よりなるメッキ層または金属薄膜層などの被膜層を設けたことを特徴とする抗菌機能を有する箔またはフィルム。
- 前記基材はアルミニウムまたはアルミニウム合金の箔またはフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の抗菌機能を有する箔またはフィルム。
- 前記基材はプラスティックフィルムにアルミニウムまたはアルミニウム合金の被膜が蒸着や塗布などの方法で形成されたフィルムであり、このアルミニウムまたはアルミニウム合金の被膜面に前記被膜層が設けられることを特徴とする請求項1に記載の抗菌機能を有する箔またはフィルム。
- 前記抗菌性金属は銀、金、白金、銅、ニッケル、錫、亜鉛、パラジウム、ビスマスおよびクロムの1種または2種以上の金属またはこれらの合金であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の抗菌機能を有する箔またはフィルム。
- 前記抗菌性金属は酸化チタンを主成分とする合金であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の抗菌機能を有する箔またはフィルム。
- 前記被膜層の一部に前記抗菌性金属を保護する被覆層を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の抗菌機能を有する箔またはフィルム。
- 枠体に展着されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の抗菌機能を有する箔またはフィルム。
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Publications (1)
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JP2004183030A true JP2004183030A (ja) | 2004-07-02 |
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JP2002350003A Pending JP2004183030A (ja) | 2002-12-02 | 2002-12-02 | 抗菌機能を有する箔またはフィルム |
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JP (1) | JP2004183030A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008047810A1 (en) | 2006-10-16 | 2008-04-24 | Nippon Sheet Glass Company, Limited | Antibacterial substratum and process for producing the same |
JP2008207346A (ja) * | 2007-02-23 | 2008-09-11 | Minoru Mitani | 複合シート |
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