JP2004181528A - 鋳型内面の洗浄方法および洗浄装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】特殊鋼のインゴットを鋳造するための鋳型の内面を、圧力水の噴射により洗浄する技術を改良し、従来の洗浄方法ではあまり効果が高くなかった30MPaより低い圧力の水を使用し、安全性を高めながら、効果的な洗浄を実現した洗浄方法および洗浄装置従来を提供すること。
【解決手段】ノズルの出入孔(2)を有する鋳型支持板(1)上に鋳型(9)を立て、鋳型支持板の下方に配置したガイド手段(5)によりガイドされて昇降するノズルユニット(4)の上端に設けた洗浄水噴射ノズル(3)を、上記出入孔を通して鋳型内に入れて、加圧した洗浄水を鋳型内面に向かってわずかに下向きに噴射して衝突させ、付着物を除去する洗浄操作を行なう。ノズルの回転と昇降により、好ましくは1回の走査で鋳型内面の実質的全部を洗浄する。
【選択図】 図1
【解決手段】ノズルの出入孔(2)を有する鋳型支持板(1)上に鋳型(9)を立て、鋳型支持板の下方に配置したガイド手段(5)によりガイドされて昇降するノズルユニット(4)の上端に設けた洗浄水噴射ノズル(3)を、上記出入孔を通して鋳型内に入れて、加圧した洗浄水を鋳型内面に向かってわずかに下向きに噴射して衝突させ、付着物を除去する洗浄操作を行なう。ノズルの回転と昇降により、好ましくは1回の走査で鋳型内面の実質的全部を洗浄する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属の鋳型の内面を洗浄する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼の製造に当り、溶解し、精錬して合金組成を調整した溶湯は、量産される鋼種であれば連続鋳造により鋳片とされるが、特殊鋼などは鋳型に注入してインゴットにするのが普通である。この時使用する鋳型の内面には、溶湯上に投入された酸化防止剤や混入したスラグが付着し、鋳型からインゴットを抜いた後も残っている。これをそのままにしてつぎの鋳造に使用すると、付着物が溶湯に取り込まれてインゴットの欠陥(超音波による探傷で判明する)となったり、鋳肌を悪くしたりするので、付着物を除去する洗浄作業が必要である。
【0003】
鋳型内面の洗浄作業として、もっとも簡易な方法は、圧縮空気を、ランスを通して吹き付けて、付着物を吹き飛ばすことである。しかし、この方法では、洗浄力が弱く、付着物を完全に除去することが難しい。出願人は、確実な付着物除去を目指して、鋳型内にチェーンを取り付けた軸を入れて回転させることにより、チェーンで鋳型内面を打撃する構造の清掃機を開発し、すでに開示した(特開平7−32130)。
【0004】
チェーンによる打撃は、付着物の除去に効果的であるが、鋳型内面を傷つける可能性があり、また、断面が円形の鋳型には好都合であるが、角形の場合、隅の付近には清掃が十分に及ばないことがある。もっとも、角形断面の鋳型において付着物が多いのは各面の中心線付近であって、隅にはあまり付着しないから、問題は深刻ではない。それよりも、操業にともなう騒音の発生が嫌われる。
【0005】
つぎの改善策として、出願人は、高圧水の使用を試みた。30MPa以上、好ましくは50MPa以上の高圧水が有効であるというのが結論であって、この方法もすでに提案した(特開2001−170764)。しかし、高圧水の使用は若干の危険を伴うので、なるべく低い圧力で効果的な洗浄を行ないたい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような意図に基づいて、上記の洗浄方法ではあまり高い効果が認められなかった30MPaより低い圧力、たとえば20MPaの水を使用し、より安全な条件下で、効果的な洗浄を実現する鋳型内面の洗浄方法および洗浄装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の洗浄方法は、金属のインゴットを鋳造する鋳型の内面を洗浄する方法であって、ノズルの出入孔を有する鋳型支持板上に鋳型を立て、鋳型支持板の下方に配置したガイド手段によりガイドされて昇降するノズルユニットの上端に設けたノズルを、上記出入孔を通して鋳型内に入れ、加圧した洗浄水をこのノズルを通じて鋳型内面に向かってわずかに下向きに噴射することにより鋳型内面に衝突させて、付着物を除去する洗浄操作を行ない、ノズルの回転と昇降により鋳型内面の実質的全部に洗浄操作を及ぼすことからなる
【0008】
この方法を実施するための本発明の洗浄装置は、図1に全体の構成を示し、図2に要部の詳細を示すように、金属のインゴットを鋳造する鋳型(9)の内面を洗浄する装置であって、洗浄すべき鋳型を載せる、ノズルの出入孔(2)を有する鋳型支持板(1)、その下方にあって、回転可能な洗浄水噴射ノズル(3)をそなえたノズルユニット(4)、ならびにノズルユニットのガイド手段(5)および昇降手段(6)を本質的な構成部分とし、洗浄水の供給手段(7)および排水手段(8)、ならびに鋳型を上記鋳型支持板上に載せ、またそこから運び去るための鋳型搬送手段(図示してない)を付随させてなる洗浄装置である。
【0009】
【発明の実施形態】
鋳型の洗浄は、他の工程との関連において、ほぼ一定の時間たとえば2分間で終了することが望ましい。洗浄に費やせる時間が定められれば、その間に供給することができる洗浄水の最大量も、おのずから決定される。そのような与えられた条件下で最も効率的な洗浄を行なうことを意図して、発明者らは、さまざまな洗浄条件を試みた。その結果、つぎの知見を得た。
(1)洗浄水は、若干下向きの方向で、なるべく集中的に鋳型内面に衝突させるのがよい。
(2)洗浄水の一度の衝突でその部分を十分に洗浄するのが有利であり、重複して何度も洗浄することは効率がよくない。
【0010】
まず上記の知見(1)から、図2に示すように、洗浄水の噴射角度(α)を、水平に対して10〜20度の範囲内で下向きになるようにし、かつ、噴射角度をゼロに設計したノズルを使用することにより、洗浄水が鋳型内面に向かって衝突する洗浄水のスプレー角度(θ)を小さく保って実施すべきことが結論された。ここで、「噴射角度」とは、ノズルの構造に基づいて噴出する水流が、理論上形成するはずの立体角を意味する。この角度がゼロになるようなノズルを使用することにより、水流はビームに収束されて、強い衝撃力を発揮する。実際上は、ノズルをでた水流は拡散するので、図2に示すような立体角をもつ。これが「スプレー角度(θ)」であって、これを最小にすることが望まれる。
【0011】
つぎに上記の知見(2)から、洗浄水のスプレー角度により決定される、洗浄水が鋳型内面に衝突して洗浄が行なわれる領域が、ノズルの1回転の前後において、垂直方向に関して隣接するが重複しないようにノズルの昇降速度を設定すべきことが結論された。図示すれば、図3においてAのような洗浄領域を実現するのがよい。Bのように未洗浄部分(斜線部分)があってはならないのはもちろんであるが、Cのように重複(アミカケ)が生じるのは賢明でない。1回の衝突で洗浄を確実にするには、滞留時間を長くすべきことになるから、洗浄に費やす時間があらかじめ定められている、という条件下では、その操作時間に納まる範囲で、ノズルの回転数を遅く設定するのが好ましいことになる。いずれにせよ、ノズルの回転と昇降による走査が、1回で鋳型内面の実質上全部をカバーすることが望ましい。
【0012】
ノズルから噴出する洗浄水は、圧力が高いほど付着物の除去にとって効果的であるが、低圧の方が、安全面で好ましいこと、また設備面で建設および保守が容易であることから、なるべく低圧で済ませたい。この観点から、本発明の洗浄方法は、洗浄水に30MPa以下、通常20〜30MPaの圧力を与えてで操業することが適切である。
【0013】
圧力を与えた水流のエネルギーは、ノズル先端と水流が衝突する面との距離の2乗に反比例する。それゆえ、ノズルの先端と鋳型内面との距離は、できるだけ小さく保つことが、低い水圧で効果的な洗浄を実現するための条件になる。この距離は、おおむね30cm以内に保つことが望ましい。本発明では、鋳型内面の大きさに応じて、異なるサイズのノズルを用意し、もっとも適切なものを選択使用する。したがって、本発明の洗浄装置は、ノズルをノズルユニットに対して着脱することができ、鋳型の大きさに応じて、サイズの異なるノズルを交換して使用することが可能であるように構成する。特殊鋼の鋳型であれば、サイズにそれほどのバラエティはないから、ノズルは2〜3種を用意すれば足りるであろう。
【0014】
鋳型内面には、多かれ少なかれテーパがついていて、上部と下部とでこの距離に差が出てくるが、一般にその差はあまり大きくない(大きくても15cm程度である)から、適切に選択したノズルであれば、1本で鋳型の全内面を洗浄するに足りる。角形断面の鋳型においては、辺の中央部と隅の部分でノズル先端と壁面との距離は大きく異なるが、前述のように、隅の部分は洗浄の負荷が小さく、辺の中央部の洗浄が十分行なわれるようにすればよい。
【0015】
洗浄操作の条件は、鋳型のサイズ、それに応じて選択したノズルのサイズ、除去すべき付着物の量、および付着の強固さなどの因子に応じて決定する。後記する実施例は、その参考になるであろう。通常、ノズルの回転速度は10〜100rpmの範囲、ノズルユニットの昇降速度は10〜150mm/secの範囲から選択する。
【0016】
洗浄は、ノズルが鋳型の上面を超えていない状態にあることを確認し、安全を確保して洗浄水の噴出を開始することが好ましい。つまり、洗浄を鋳型の上部から下部に向かって行なうわけである。
【0017】
鋳型内面に向けて噴射した洗浄水は、剥落した付着物とともに、大部分が鋳型内壁を伝わって流下するから、鋳型をのせた鋳型支持板(1)上で集めることができるが、一部はノズルの出入孔(2)を通って下に落ちるから、ノズルユニット(4)のガイド手段(5)を板状に形成し、ノズルユニットとの隙間を小さく構成して、そこで洗浄水を集めて、水中ポンプなどの排水手段(8)で排水することができるように、装置を構成することが好ましい。
【0018】
【実施例1】
表1に示す種々の鋳型の洗浄を、下記の条件および表2に示すノズル操作条件で実施した。ノズルユニットは、鋳型の上方から下方に向けて移動させた。いずれの場合も、満足な洗浄ができた。
洗浄時間:60秒間
洗浄水圧:20MPa 洗浄水量:30L
ノズルユニット長さ:300mm
噴射角度:15度 スプレー角度:15度
【0019】
【実施例2】
実施例1と同じ鋳型を対象にして、洗浄時間を120秒間まで許容し、ノズル回転速度を100rpmの一定値とし、ノズル下降速度を変えて洗浄した。ノズル操作条件を表3に示す。それぞれの場合において、高い洗浄効果が得られた。
【0020】
表1 鋳型
Φは鋳型が円形断面、□は正方形断面であることを示す。左側の数値は鋳型の底部、右側の数値は頂部の寸法である。
【0021】
表2 ノズル操作条件(実施例1)
【0022】
表3 ノズル操作条件(実施例2)
【0023】
【発明の効果】
本発明の鋳型内面の洗浄方法によれば、鋳型をクレーンで吊って、鋳型支持板上の所定の位置に置き、あらかじめ選択したノズルをそなえたノズルユニットを昇降させ、これもあらかじめ決定した水圧とノズル回転速度およびノズルユニット昇降速度とをもって、洗浄水を鋳型内面に向けて噴射することで、付着物を効果的に除去して、つぎの鋳造に備えることができる。
【0024】
本発明の鋳型内面の洗浄装置は、ありふれた装置の組み合わせで建設可能であり、その操業は自動化・標準化が容易であって、従来の人手による洗浄作業のわずらわしさが、この装置により解消する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋳型の内面を洗浄する装置について、全体の構成を示す縦断面図。
【図2】図1に示した装置のノズル部分の詳細図であって、左側は噴射の方向を、右側はスプレー角度を説明する側面図。
【図3】洗浄後の鋳型内面の展開図であって、ノズルが1回転するごとに洗浄された領域を示す。Aは適切な場合、Bは領域が重複した場合、Cは洗浄残りがある場合。
【符号の説明】
1 鋳型支持板
2 ノズルの出入孔
3 洗浄水噴射ノズル
4 ノズルユニット
5 ガイド手段
6 昇降手段
7 洗浄水の供給手段
8 排水手段
9 鋳型
α 洗浄水の噴射角度(水平に対する傾き)
θ 洗浄水のスプレー角度(立体角)
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属の鋳型の内面を洗浄する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼の製造に当り、溶解し、精錬して合金組成を調整した溶湯は、量産される鋼種であれば連続鋳造により鋳片とされるが、特殊鋼などは鋳型に注入してインゴットにするのが普通である。この時使用する鋳型の内面には、溶湯上に投入された酸化防止剤や混入したスラグが付着し、鋳型からインゴットを抜いた後も残っている。これをそのままにしてつぎの鋳造に使用すると、付着物が溶湯に取り込まれてインゴットの欠陥(超音波による探傷で判明する)となったり、鋳肌を悪くしたりするので、付着物を除去する洗浄作業が必要である。
【0003】
鋳型内面の洗浄作業として、もっとも簡易な方法は、圧縮空気を、ランスを通して吹き付けて、付着物を吹き飛ばすことである。しかし、この方法では、洗浄力が弱く、付着物を完全に除去することが難しい。出願人は、確実な付着物除去を目指して、鋳型内にチェーンを取り付けた軸を入れて回転させることにより、チェーンで鋳型内面を打撃する構造の清掃機を開発し、すでに開示した(特開平7−32130)。
【0004】
チェーンによる打撃は、付着物の除去に効果的であるが、鋳型内面を傷つける可能性があり、また、断面が円形の鋳型には好都合であるが、角形の場合、隅の付近には清掃が十分に及ばないことがある。もっとも、角形断面の鋳型において付着物が多いのは各面の中心線付近であって、隅にはあまり付着しないから、問題は深刻ではない。それよりも、操業にともなう騒音の発生が嫌われる。
【0005】
つぎの改善策として、出願人は、高圧水の使用を試みた。30MPa以上、好ましくは50MPa以上の高圧水が有効であるというのが結論であって、この方法もすでに提案した(特開2001−170764)。しかし、高圧水の使用は若干の危険を伴うので、なるべく低い圧力で効果的な洗浄を行ないたい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような意図に基づいて、上記の洗浄方法ではあまり高い効果が認められなかった30MPaより低い圧力、たとえば20MPaの水を使用し、より安全な条件下で、効果的な洗浄を実現する鋳型内面の洗浄方法および洗浄装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の洗浄方法は、金属のインゴットを鋳造する鋳型の内面を洗浄する方法であって、ノズルの出入孔を有する鋳型支持板上に鋳型を立て、鋳型支持板の下方に配置したガイド手段によりガイドされて昇降するノズルユニットの上端に設けたノズルを、上記出入孔を通して鋳型内に入れ、加圧した洗浄水をこのノズルを通じて鋳型内面に向かってわずかに下向きに噴射することにより鋳型内面に衝突させて、付着物を除去する洗浄操作を行ない、ノズルの回転と昇降により鋳型内面の実質的全部に洗浄操作を及ぼすことからなる
【0008】
この方法を実施するための本発明の洗浄装置は、図1に全体の構成を示し、図2に要部の詳細を示すように、金属のインゴットを鋳造する鋳型(9)の内面を洗浄する装置であって、洗浄すべき鋳型を載せる、ノズルの出入孔(2)を有する鋳型支持板(1)、その下方にあって、回転可能な洗浄水噴射ノズル(3)をそなえたノズルユニット(4)、ならびにノズルユニットのガイド手段(5)および昇降手段(6)を本質的な構成部分とし、洗浄水の供給手段(7)および排水手段(8)、ならびに鋳型を上記鋳型支持板上に載せ、またそこから運び去るための鋳型搬送手段(図示してない)を付随させてなる洗浄装置である。
【0009】
【発明の実施形態】
鋳型の洗浄は、他の工程との関連において、ほぼ一定の時間たとえば2分間で終了することが望ましい。洗浄に費やせる時間が定められれば、その間に供給することができる洗浄水の最大量も、おのずから決定される。そのような与えられた条件下で最も効率的な洗浄を行なうことを意図して、発明者らは、さまざまな洗浄条件を試みた。その結果、つぎの知見を得た。
(1)洗浄水は、若干下向きの方向で、なるべく集中的に鋳型内面に衝突させるのがよい。
(2)洗浄水の一度の衝突でその部分を十分に洗浄するのが有利であり、重複して何度も洗浄することは効率がよくない。
【0010】
まず上記の知見(1)から、図2に示すように、洗浄水の噴射角度(α)を、水平に対して10〜20度の範囲内で下向きになるようにし、かつ、噴射角度をゼロに設計したノズルを使用することにより、洗浄水が鋳型内面に向かって衝突する洗浄水のスプレー角度(θ)を小さく保って実施すべきことが結論された。ここで、「噴射角度」とは、ノズルの構造に基づいて噴出する水流が、理論上形成するはずの立体角を意味する。この角度がゼロになるようなノズルを使用することにより、水流はビームに収束されて、強い衝撃力を発揮する。実際上は、ノズルをでた水流は拡散するので、図2に示すような立体角をもつ。これが「スプレー角度(θ)」であって、これを最小にすることが望まれる。
【0011】
つぎに上記の知見(2)から、洗浄水のスプレー角度により決定される、洗浄水が鋳型内面に衝突して洗浄が行なわれる領域が、ノズルの1回転の前後において、垂直方向に関して隣接するが重複しないようにノズルの昇降速度を設定すべきことが結論された。図示すれば、図3においてAのような洗浄領域を実現するのがよい。Bのように未洗浄部分(斜線部分)があってはならないのはもちろんであるが、Cのように重複(アミカケ)が生じるのは賢明でない。1回の衝突で洗浄を確実にするには、滞留時間を長くすべきことになるから、洗浄に費やす時間があらかじめ定められている、という条件下では、その操作時間に納まる範囲で、ノズルの回転数を遅く設定するのが好ましいことになる。いずれにせよ、ノズルの回転と昇降による走査が、1回で鋳型内面の実質上全部をカバーすることが望ましい。
【0012】
ノズルから噴出する洗浄水は、圧力が高いほど付着物の除去にとって効果的であるが、低圧の方が、安全面で好ましいこと、また設備面で建設および保守が容易であることから、なるべく低圧で済ませたい。この観点から、本発明の洗浄方法は、洗浄水に30MPa以下、通常20〜30MPaの圧力を与えてで操業することが適切である。
【0013】
圧力を与えた水流のエネルギーは、ノズル先端と水流が衝突する面との距離の2乗に反比例する。それゆえ、ノズルの先端と鋳型内面との距離は、できるだけ小さく保つことが、低い水圧で効果的な洗浄を実現するための条件になる。この距離は、おおむね30cm以内に保つことが望ましい。本発明では、鋳型内面の大きさに応じて、異なるサイズのノズルを用意し、もっとも適切なものを選択使用する。したがって、本発明の洗浄装置は、ノズルをノズルユニットに対して着脱することができ、鋳型の大きさに応じて、サイズの異なるノズルを交換して使用することが可能であるように構成する。特殊鋼の鋳型であれば、サイズにそれほどのバラエティはないから、ノズルは2〜3種を用意すれば足りるであろう。
【0014】
鋳型内面には、多かれ少なかれテーパがついていて、上部と下部とでこの距離に差が出てくるが、一般にその差はあまり大きくない(大きくても15cm程度である)から、適切に選択したノズルであれば、1本で鋳型の全内面を洗浄するに足りる。角形断面の鋳型においては、辺の中央部と隅の部分でノズル先端と壁面との距離は大きく異なるが、前述のように、隅の部分は洗浄の負荷が小さく、辺の中央部の洗浄が十分行なわれるようにすればよい。
【0015】
洗浄操作の条件は、鋳型のサイズ、それに応じて選択したノズルのサイズ、除去すべき付着物の量、および付着の強固さなどの因子に応じて決定する。後記する実施例は、その参考になるであろう。通常、ノズルの回転速度は10〜100rpmの範囲、ノズルユニットの昇降速度は10〜150mm/secの範囲から選択する。
【0016】
洗浄は、ノズルが鋳型の上面を超えていない状態にあることを確認し、安全を確保して洗浄水の噴出を開始することが好ましい。つまり、洗浄を鋳型の上部から下部に向かって行なうわけである。
【0017】
鋳型内面に向けて噴射した洗浄水は、剥落した付着物とともに、大部分が鋳型内壁を伝わって流下するから、鋳型をのせた鋳型支持板(1)上で集めることができるが、一部はノズルの出入孔(2)を通って下に落ちるから、ノズルユニット(4)のガイド手段(5)を板状に形成し、ノズルユニットとの隙間を小さく構成して、そこで洗浄水を集めて、水中ポンプなどの排水手段(8)で排水することができるように、装置を構成することが好ましい。
【0018】
【実施例1】
表1に示す種々の鋳型の洗浄を、下記の条件および表2に示すノズル操作条件で実施した。ノズルユニットは、鋳型の上方から下方に向けて移動させた。いずれの場合も、満足な洗浄ができた。
洗浄時間:60秒間
洗浄水圧:20MPa 洗浄水量:30L
ノズルユニット長さ:300mm
噴射角度:15度 スプレー角度:15度
【0019】
【実施例2】
実施例1と同じ鋳型を対象にして、洗浄時間を120秒間まで許容し、ノズル回転速度を100rpmの一定値とし、ノズル下降速度を変えて洗浄した。ノズル操作条件を表3に示す。それぞれの場合において、高い洗浄効果が得られた。
【0020】
表1 鋳型
Φは鋳型が円形断面、□は正方形断面であることを示す。左側の数値は鋳型の底部、右側の数値は頂部の寸法である。
【0021】
表2 ノズル操作条件(実施例1)
【0022】
表3 ノズル操作条件(実施例2)
【0023】
【発明の効果】
本発明の鋳型内面の洗浄方法によれば、鋳型をクレーンで吊って、鋳型支持板上の所定の位置に置き、あらかじめ選択したノズルをそなえたノズルユニットを昇降させ、これもあらかじめ決定した水圧とノズル回転速度およびノズルユニット昇降速度とをもって、洗浄水を鋳型内面に向けて噴射することで、付着物を効果的に除去して、つぎの鋳造に備えることができる。
【0024】
本発明の鋳型内面の洗浄装置は、ありふれた装置の組み合わせで建設可能であり、その操業は自動化・標準化が容易であって、従来の人手による洗浄作業のわずらわしさが、この装置により解消する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋳型の内面を洗浄する装置について、全体の構成を示す縦断面図。
【図2】図1に示した装置のノズル部分の詳細図であって、左側は噴射の方向を、右側はスプレー角度を説明する側面図。
【図3】洗浄後の鋳型内面の展開図であって、ノズルが1回転するごとに洗浄された領域を示す。Aは適切な場合、Bは領域が重複した場合、Cは洗浄残りがある場合。
【符号の説明】
1 鋳型支持板
2 ノズルの出入孔
3 洗浄水噴射ノズル
4 ノズルユニット
5 ガイド手段
6 昇降手段
7 洗浄水の供給手段
8 排水手段
9 鋳型
α 洗浄水の噴射角度(水平に対する傾き)
θ 洗浄水のスプレー角度(立体角)
Claims (9)
- 金属のインゴットを鋳造する鋳型の内面を洗浄する方法であって、ノズルの出入孔を有する鋳型支持板上に鋳型を立て、鋳型支持板の下方に配置したガイド手段によりガイドされて昇降するノズルユニットの上端に設けたノズルを、上記出入孔を通して鋳型内に入れ、加圧した洗浄水をこのノズルを通じて鋳型内面に向かってわずかに下向きに噴射することにより鋳型内面に衝突させて、付着物を除去する洗浄操作を行ない、ノズルの回転と昇降により鋳型内面の実質的全部に洗浄操作を及ぼすことからなる洗浄方法。
- 洗浄水の噴射方向を、水平に対して10〜20度の範囲内で下向きになるようにし、かつ、噴射角度をゼロに設計したノズルを使用することにより、鋳型内面に向かって衝突する洗浄水のスプレー角度を小さく保って実施する請求項1の洗浄方法。
- 洗浄水のスプレー角度により決定される、洗浄水が鋳型内面に衝突して洗浄が行なわれる領域が、ノズルの1回転の前後において、垂直方向に関して隣接するが重複しないようにノズルの昇降速度を設定し、かつ、洗浄に費やす時間があらかじめ定められた長さに納まる範囲で、ノズルの回転数を遅く設定して実施する請求項2の洗浄方法。
- ノズルから噴出する洗浄水に20〜30MPaの圧力を与えて実施する請求項1の洗浄方法。
- ノズルの先端と鋳型内面との距離を、30cm以内に保って実施する請求項1の洗浄方法。
- ノズルが鋳型の上面を超えていない状態で洗浄水の噴出を開始し、洗浄を鋳型の上部から下部に向かって行なう請求項1の洗浄方法。
- 金属のインゴットを鋳造する鋳型の内面を洗浄する装置であって、洗浄すべき鋳型を載せる、ノズルの出入孔を有する鋳型支持板、その下方にあって、回転可能な洗浄水噴出ノズルをそなえたノズルユニット、ならびにノズルユニットのガイド手段および昇降手段を本質的な構成部分とし、洗浄水の供給手段および排水手段、ならびに鋳型を上記支持板上に載せ、またそこから運び去るための鋳型搬送手段を付随させてなる洗浄装置。
- ノズルをノズルユニットに対して着脱可能に構成し、鋳型の大きさに応じて、サイズの異なるノズルを交換して使用できるようにした請求項7の洗浄装置。
- ノズルユニットのガイド手段に排水手段を設け、洗浄水を集めて排水することができるように構成した請求項7の洗浄装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003172350A JP2004181528A (ja) | 2002-10-08 | 2003-06-17 | 鋳型内面の洗浄方法および洗浄装置 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002295333 | 2002-10-08 | ||
JP2003172350A JP2004181528A (ja) | 2002-10-08 | 2003-06-17 | 鋳型内面の洗浄方法および洗浄装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004181528A true JP2004181528A (ja) | 2004-07-02 |
Family
ID=32774301
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003172350A Pending JP2004181528A (ja) | 2002-10-08 | 2003-06-17 | 鋳型内面の洗浄方法および洗浄装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004181528A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009536133A (ja) * | 2006-05-05 | 2009-10-08 | ムルティファク ゼップ ハクゲンミュラー ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー | 梱包機、具体的には、深絞り装置を含む梱包機 |
CN105642619A (zh) * | 2015-03-04 | 2016-06-08 | 张磊 | 一种开方洗吹松动机 |
JP2018187668A (ja) * | 2017-05-11 | 2018-11-29 | 大同特殊鋼株式会社 | 鋳型内洗浄装置 |
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