JP2004181324A - 水質浄化システムおよび水質浄化方法 - Google Patents
水質浄化システムおよび水質浄化方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】閉鎖水域の水質浄化に適した、自立型独立電源で、水面に浮かべて使用することができ、しかも十分な量の酸素を水中に取り込むことができ、水質浄化効率の高い小型の水質浄化システムおよび水質浄化方法を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも、水面に浮かぶフロート22と、フロート22に直立した鉛直軸風車を有する風力発電機24と、風力発電機24から得られる電力により駆動して、水面WL下にマイクロバブル28を吐出するマイクロバブル発生装置26と、からなることを特徴とする水質浄化システムおよびこれを用いた水質浄化方法である。
【選択図】 図2
【解決手段】少なくとも、水面に浮かぶフロート22と、フロート22に直立した鉛直軸風車を有する風力発電機24と、風力発電機24から得られる電力により駆動して、水面WL下にマイクロバブル28を吐出するマイクロバブル発生装置26と、からなることを特徴とする水質浄化システムおよびこれを用いた水質浄化方法である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湖沼や池等の閉鎖水域における水質を、溶存酸素量を向上させることで浄化する水質浄化システムおよび水質浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平10−118689号公報
【特許文献2】
特開平08−103798号公報
【特許文献3】
特開平08−080498号公報
【特許文献4】
特開平11−138194号公報
【特許文献5】
特開平8−290192号公報
【0003】
湖沼や池等の閉鎖水域は、一般的に貧酸素状態となりやすく、微生物が生育し難くなることから水質汚染が問題となる。したがって、このような閉鎖水域の水質浄化が望まれている。
【0004】
水質浄化装置やシステムは、従来より種々のものが開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、外部電源に頼ったり、装置が大型で閉鎖水域に設置するには、不適な物が多い。閉鎖水域は、通常、森林地帯や都市部に立地し、その地形的条件から、電源の確保が困難であり、また、景観上の問題や水面の面積等の関係から、大型の物が設置できないからである。また、閉鎖水域の縁端部に水質浄化装置やシステムを設置しても、浄化効率が低い。さらに、水質浄化装置やシステムを固定して設置してしまうと、閉鎖水域の全域で見ると水質にばらつきが生じやすい。その他低コスト化や設置の自由度の観点からも、自立型独立電源(いわゆる自家発電)で、水面に浮かべるタイプのものが求められている。
【0005】
水面に浮かべるタイプの水質浄化装置として、太陽電池を電源とする技術が開示されている(例えば特許文献4参照)。しかし、太陽電池は発電力に乏しく、十分な電力を得ようとすると、表面積を大きくしなければならず、結局装置が大型化してしまう。
【0006】
自立型独立電源としては、太陽電池のほか、風力発電装置を挙げることができるが、通常の風力発電装置では、風車の回転軸を風向きと一致させ(すなわち、風車を風向に対向させ)なければならず、水面に浮かべるタイプの水質浄化装置の電源に利用した場合、水面で装置全体が回転してしまい風車の回転軸を維持することが困難であり、風車の大きさと風力によっては装置全体が転倒する可能性もある。したがって、通常の風力発電装置は、水面に浮かべるタイプの水質浄化装置の電源に不向きである。また、閉鎖水域では一般的に風向が極めて変わりやすく、しかも風力も比較的弱い。
【0007】
一方、水質浄化の方法にも種々あるが、貧酸素状態を解消するには、単に水流を生じさせることで、閉鎖水域の水の澱みを解消させるだけでは、不十分であり、水中に空気を導入し、酸素を溶解させる方法が採られる。しかし、単に大気中に散水して空気との接触面積を確保して酸素を溶解させたり、いわゆるエアレーションにより気泡を水中に生じさせるだけでは、十分な量の酸素を水中に取り込むことができず、できるだけ多くの酸素を水中に取り込ませようとすれば、装置の大型化に繋がってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、閉鎖水域の水質浄化に適した水質浄化装置および水質浄化システムを提供することを目的とする。詳しくは、本発明は、独立電源で、水面に浮かべて使用することができ、しかも十分な量の酸素を水中に取り込むことができ、水質浄化効率の高い小型の水質浄化システムおよび水質浄化方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決しようとする手段】
上記目的は、以下の本発明により達成される。
すなわち本発明の水質浄化システムは、少なくとも、水面に浮かぶフロートと、該フロートに直立した鉛直軸風車を有する風力発電機と、該風力発電機から得られる電力により駆動して、水面下にマイクロバブルを吐出するマイクロバブル発生装置と、からなることを特徴とする。
【0010】
本発明の水質浄化システムによれば、水面に浮かぶフロートに水質浄化に要する構成要素を集約させたので、閉鎖水域の水面に浮かべるだけで設置することができ、設置場所を選ばない。そのため、閉鎖水域の縁端に固定的に設置する必要がなく、しかも1箇所にとどめておく必要もなく、広範囲の水域の水質を均質に浄化することができる。
【0011】
本発明の水質浄化システムにおいては、独立電源として、360゜どの方向からの風でも反応して発電する鉛直軸風車を有する風力発電機を用いており、設置場所特有の風向変化が激しい環境においても発電効率が高い。特に鉛直軸風車を有する風力発電機は、弱風でも高効率で発電することができるというメリットがある。したがって、水面に浮かぶフロートに水質浄化に要する構成要素を集約させた本発明の態様においても、所要電力の自給自足を図ることができる。
【0012】
さらに、本発明の水質浄化システムにおいては、水質浄化手段として、水面下にマイクロバブルを吐出するマイクロバブル発生装置を採用しており、高効率で溶存酸素量を向上させることができる。
このように本発明の水質浄化システムは、1つのユニットで、発電から水質浄化手段の駆動まで自給自足で賄うことができ、機動性が高く持ち運びできる程度の大きさとすることもでき、施工性にも優れ、また構造が単純なためメンテナンスを基本的に不要とすることができる等、数々の利点を有する。
【0013】
本発明の水質浄化システムに用いるフロートとしては、特に制限はなく、水面に浮かぶ構造ないし材料により構成されていればよい。一般的には、中空体、あるいはお椀形や舟形等の形状のものが用いられ、材質としては、水より比重が大きくても構わず、通常の金属材料や木材、樹脂材料等が用いられる。いずれにしても、フロートに要求される機能としては水に対して浮力を有することであり、好ましくは姿勢が安定しやすいことである。
【0014】
本発明において、鉛直軸風車を有する風力発電機とは、鉛直軸風車による回転駆動力によって、ナセル(発電機)の軸を回転させるものであり、鉛直軸風車とナセルとから構成される。ナセルは、一般に風力発電機に用いられるものをそのまま用いることができる。
【0015】
「鉛直軸風車」とは、風圧により回転駆動する風車部分の回転軸が、風向とは一致せず、風向に対して垂直方向に保持される風車を言う。回転軸を、風向に対して垂直方向に保持すれば回転駆動するが、通常は鉛直方向に保持された状態で用いる。
【0016】
図1に、鉛直軸風車の基本構造を説明するための上面図(鉛直軸の延長線上から見た図)を模式的に示す。図1に示すように、鉛直軸風車は、軸10を中心として、一方の側に、風W1を受け止め風力により押し込まれ矢印A’方向に回転するブレード12が、他方の側に、風W1を後方に流しやすく風W1に対向して動き矢印A方向に回転するブレード14が、それぞれ軸着されてなる(なお、各ブレードは、必ずしも軸に直接固定されなくても構わない。)。ブレード12およびブレード14が180°回転すると、今度は風W1を受け止め風力により押し込まれる側と風W1に対向して動く側とが入れ替わり、回転が持続する。このように、ブレード12の矢印A’方向への回転とブレード14の矢印A方向への回転との合力として、回転駆動力が発生する。
【0017】
鉛直軸風車としては、図1に示すようにブレードの数が2枚のものに限定されるものではなく、3枚でも4枚以上でも構わない。ただし、回転安定性の観点から、回転軸を基準として各ブレードが等角度で軸着していることが好ましい。また、ブレードの形状も図1のブレード12,14に示されるような円弧系の形状に限定されるものではなく、風を受け止めかつ後方に逃がしやすくするための各種形状を適宜選択することができる。
【0018】
鉛直軸風車の好ましい例としては、サボニウス型風車やダリウス型風車等が挙げられ、構造が単純で比較的高効率なサボニウス型風車が特に好ましい。
鉛直軸風車の大きさとしては、特に制限はなく、設置箇所の風力や所要電力等により適宜設計すればよいが、機動性を高くするにはあまり大きくしすぎない方が好ましく、直径として3m以下、高さとして3m以下とすることが好ましく、特に直径2m程度、高さ2m程度とすることが好ましい。
【0019】
本発明の水質浄化システムに用いるマイクロバブル発生装置としては、気泡径20μm以下の気泡が発生し、酸素溶解効率が10%以上の高い曝気効果を有する必要があるが、その他は特に制限なく、マイクロバブルを発生し得る装置であれば、特に制限なく使用することができる。
なお、マイクロバブルの気泡の大きさは、水圧、水温、水流等の環境により大きく変化するため、一定ではない。
【0020】
例えば、適当な容器に水を張り、その水面に高圧で水を流し込んだ時、周りの空気を巻き込んで微細な気泡を生じ、該気泡により容器中の水は濁った状態となるが、これは水面に上がり大気中に逃げてすぐに水の濁りが消える。このような気泡はマイクロバブルの範疇には含まれない。本発明に言う「マイクロバブル」とは、発生したマイクロバブルにより、水が濁りもしない程度の小さな径の気泡である。このような微細径のマイクロバブルは、水中で長く滞留するため、および、空気量に比して水との接触面積が大きくなるため、多量の酸素を水中に溶解させることができる。
【0021】
好ましいマイクロバブル発生装置としては、具体的には例えば、特開平8−290192号公報(特許文献5)に記載の曝気装置が挙げられるものがある。当該文献に記載の曝気装置は、極めて微細なマイクロバブルを小さな電力で多量に発生させることができるため、本発明に適用するのに、特に好ましい。
【0022】
本発明の水質浄化システムは、少なくとも、以上説明したようなフロートと、風力発電機と、マイクロバブル発生装置と、からなるが、その他各種構成を追加することができる。例えば、本発明の水質浄化システムには、さらに、前記風力発電機から得られる電力を一時的に蓄電し得る蓄電池を含むことが好ましい。該蓄電池により、前記風力発電機から得られる電力を一時的に蓄電しておくことで、風力の強い時に充電しておき、弱い時にその蓄電した電力を放電することができ、独立電源として、安定した電力供給を実現することが可能となる。蓄電する電力電源は、太陽電池を併設する場合には勿論、当該太陽電池をも含んで構わない。本発明に使用可能な蓄電池としては、特に制限はなく、従来公知の各種蓄電池を使用することができる。
【0023】
本発明の水質浄化システムは、そのまま水面に浮かべるだけで、自立的に発電し、かつ、水質浄化のための装置たるマイクロバブル発生装置が稼動するため、上記構成の状態のまま、閉鎖水域に適用可能ではあるが、そのままでは、風力に押されて閉鎖水域の縁端に移動してしまったり、時には閉鎖水域の岸辺に打ち上げられてしまったりするため、所望の箇所に係留することが望まれる。したがって、前記フロートには、1本の係留用のロープの一端が緊結されていることが好ましい。
【0024】
この係留用のロープの使用法としては、本発明の水質浄化システムを所望の水域にとどめておくことが可能なように係留し得る態様であれば、如何なる方法でも構わない。例えば、前記係留用のロープの他端を閉鎖水域の岸に係止してもよいし、錨に緊結して、所望の水域に当該錨を降ろして用いても構わない。ただし、後述の本発明の水質浄化方法で述べるような態様で用いることが特に好ましい。
【0025】
本発明の水質浄化方法は、上記本発明の水質浄化システムを水面に浮かべ、前記係留用のロープの他端を水底に係止して、1点で係留して、前記水質浄化システムを作動させることを特徴とする。このように上記本発明の水質浄化システムを水底で1点係留することとすれば、これを所定の水域内で保持することができ、例えば、閉鎖水域におけるほぼ中心位置に保持しておけば、該閉鎖水域全体を一様に浄化することができる。
【0026】
また、上記本発明の水質浄化システムは、それに直立する鉛直軸風車に風が当たると、その風力による風抵抗を受けて、水底における1点係留地点を中心に風下に流される。風向きが変われば、それに追随して前記水質浄化システムが移動する。すなわち、水底における1点係留地点を中心に所定の範囲で、風向に応じて移動するため、広い範囲を一様に浄化することができる。
【0027】
このとき前記水質浄化システムが移動する領域は、前記係留用のロープの長さ(ロープ長さL)と、前記1点係留地点となる水底までの水深Dとの関係により決まる。理論上、ロープ長さLが水深Dよりも少しでも長ければ、前記水質浄化システムが移動する所定の範囲の領域が存在し、その領域は、前記1点係留地点を中心として半径√(L2−D2)の領域となる。しかし実際には、前記係留用のロープは水面下においてカテナリー曲線を描き、前記理論半径領域よりも大幅に小さな領域しか動けなくなる。この点を考慮して、ロープ長さLとしては、水深Dの1.5倍〜3倍程度とすることが望ましい。
前記係留用のロープの他端を水底に係止する方法としては、特に限定されず、例えば、コンクリート等高比重の材料からなるアンカーに緊結し、これを所定の水域の水底に沈める方法が挙げられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水質浄化システムおよび水質浄化方法を、好ましい実施形態を挙げて説明する。
図2は、本発明の水質浄化システム、および、それを閉鎖水域に用いた本発明の水質浄化方法の一実施形態を表す模式説明図である。図2においては、水底の支持地盤の深さ方向から水面、さらにその上方までを、鉛直方向に切り出した状態で表されており、WLは水面を、BLは水底を示す。
【0029】
図2において、20は、本発明の水質浄化システムであり、水面WLに浮かべられた状態で、係留用のロープ16により水底BLに係留されている。水質浄化システム20は、主として、水面WLに浮かぶフロート22と、フロート22に直立したサボニウス風車を有する風力発電機24と、風力発電機24から得られる電力により駆動して、水面WL下にマイクロバブル28を吐出するマイクロバブル発生装置26と、から構成される。また、フロート22にはロープ16の一端が緊結されている。本実施形態において、フロート22としては、FRP製で直径4m、高さ1.5mの扁平円柱形の中空体を用いた。
【0030】
図3に、風力発電機24の斜視図を示す。風力発電機24は、既述の如く鉛直軸風車の一種である一般的なサボニウス風車40を有する。サボニウス風車40は、楕円形状に丸められたブレード32,34が、天板36および底板38を介して軸44に固定されて構成される。このとき、ブレード32およびブレード34は、相互に軸44を中心とし点対称に取り付けられる。このように構成されたサボニウス風車40は、ブレード32,34の丸められた内側面が風を受け止め風力により押し込まれ、外側面が風を後方に流しやすく風に対向して動き、結果として軸44を中心にして矢印B方向に回転駆動する。
【0031】
軸44は、発電機42の軸に直結しており、軸44の回転駆動により、発電機42の軸を回転させ、発電機42が電力を発電する。なお、図2においては、発電機42はフロート22の内部に収納され図面に現れておらず、フロート22に直立したサボニウス風車40のみが表されている。
【0032】
本実施形態では、ブレード32,34の回転軌跡外周の直径が2mで、フロート22の上面からの高さが2mのサボニウス風車40を用い、風力発電機24の発電出力が3kWのものを用いた。なお、本実施形態においては採用していないが、風力発電機24における天板36の上面やフロート22の上面に、補助的な発電を担う太陽電池を配置しても構わない。
【0033】
風力発電機24(および必要に応じて、補助的に太陽電池)により得られる電力を動力として、マイクロバブル発生装置26を駆動させるように構成されている。ただし、本実施形態では、風力発電機24から得られる電力を一時的に蓄電し得る蓄電池をフロート22の内部に含んでいる。図4は、本実施形態における水質浄化システム20内の電気回路図である。風力発電機24からの電力がマイクロバブル発生装置26におけるモーター26’に印加される回路の中で、蓄電池48は風力発電機24と並列に配される。なお、太陽電池を補助的に含む場合には、図4に示すように、太陽電池46は風力発電機24と並列に配される。
【0034】
マイクロバブル発生装置26は、図2に示すように水面WL下にマイクロバブル28を吐出するように構成されているが、これを駆動させるポンプ(26’)は、フロート22の内部に収容されている(不図示)。勿論、本発明においては、いわゆる水中ポンプの如く水中で駆動可能なポンプを用いて、水面下にこれを配しても構わない。
【0035】
本実施形態において用いたマイクロバブル発生装置26は、ポンプ容量3.7kWで送水量220リットル/min./台、空気供給量50リットル/min./台のポンプを3台用いたものとした。
【0036】
本実施形態においては、図2に示されるように、係留用のロープ16の一端がフロート22に固定点Mで緊結され、他端が水底に配されたアンカー18に固定点Nで緊結されている。アンカー18には、50kgのコンクリート製のアンカーを用いた。アンカー18は、予めロープ16を緊結させた上で水中に沈めることで水底BLに配した。
ロープ16の長さ(ロープ長さL)は、水深Dが5mであったので、その2倍の10mとした。
【0037】
以上の水質浄化システムに対して風W2が吹くと、図2に示すように、水質浄化システム20は、風力発電機24が回転駆動しマイクロバブル発生装置26が稼動してマイクロバブル28が発生して、閉鎖水域内の水が浄化される。それとともに、水質浄化システム20は、風W2による風抵抗を受けて風下に移動する。風向が変わったときには、その変わった風向の風下に水質浄化システム20は移動する。このときロープ16は、図2に示すように、カテナリー曲線を描いた状態となる。水質浄化システム20における固定点Mは、水底BLの固定点Nから垂線Qを引き伸ばしたときの水面WLとの交点(中心点O)を中心とする、所定の半径rの円内で移動する。この半径rは、既述の通りロープ16がカテナリー曲線を描くことから、以下の式を満たす。
r2<(L2−D2)
【0038】
以上の本実施形態の水質浄化システム20によれば、水面WLに浮かぶフロート22に水質浄化に要する構成要素を集約させたので、閉鎖水域の水面WLに浮かべるだけで設置することができ、設置場所を選ばない。また、独立電源として、360゜どの方向からの風でも反応して発電するサボニウス型風車を有する風力発電機24を用いており、設置場所特有の風向変化が激しい環境においても発電効率が高く、所要電力の自給自足を図ることができる。さらに、水質浄化手段として、水面下にマイクロバブル28を吐出するマイクロバブル発生装置26を採用しており、高効率で溶存酸素量を向上させることができる。
【0039】
このように本実施形態の水質浄化システムは、1つのユニットで、発電から水質浄化手段の駆動まで自給自足で賄うことができ、機動性が高く持ち運びできる程度の大きさとすることもでき、施工性にも優れ、また構造が単純なためメンテナンスを基本的に不要とすることができる等、数々の利点を有する。
【0040】
そして、本実施形態の水質浄化システムでは、アンカー18を閉鎖水域におけるほぼ中心位置に配置すれば、該閉鎖水域全体を均質に浄化することができる。また、風W2による風抵抗を受けて、水底BLにおける1点係留地点(固定点N)を中心に風下に流され、風向きが変わればそれに追随して水質浄化システム20が移動する。すなわち、水底BLにおける1点係留地点N(さらには水面WLにおける中心点O)を中心に所定の範囲で、風向に応じて移動するため、自動的に広い範囲を均質に浄化することができる。
【0041】
<試験例>
以上の本実施形態の水質浄化システムを、平均風速3mの環境下で、常時貯水量60万m3のダム湖において実験を行った。実験は、ダム湖の上流寄りで、上下流方向に80m、川幅方向20mの範囲を対象水域として実施した。水質浄化システムは、上記範囲内の下流側から20mで、幅(20m)のセンターに設置し、マイクロバブルは上流に向けて水平に吐出した。水深は上流側で約4m、下流側で約10mであった。実施時期は8月から9月にかけての約1ヶ月間とした。
【0042】
対象水域の実験開始前の水環境は、水深5〜6mに温度躍層が形成され、同水深帯の溶存酸素(OD)が2mg/l以下の貧酸素状態であった。この溶存酸素(OD)の計測結果の変化を確認することで、貧酸素水の改善効果を調査した。
すると、1ヵ月後には溶存酸素(OD)が7mg/lにまで上昇し、その変化量は5mg/lにまで及んだ。
【0043】
上記の結果からわかるように、本発明の構成を具備する本実施形態の水質浄化システム(ないし水質浄化方法)によれば、有効に溶存酸素量(DO)が上昇して、水質の改善効果が見られる。
【0044】
以上、本発明の水質浄化システムおよび水質浄化方法について、図面を挙げて具体的に説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、本発明の構成を具備する限り、当業者は公知の知見を適用、差し替え、付加することができる。特に、上記実施形態では、具体的に各部材の点数や大きさ、構造等を特定して説明したが、これらは勿論一例であり、本発明は上記説明した実施形態の数値・構造により制限を受けるものではない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、閉鎖水域の水質浄化に適し、自立型独立電源で、水面に浮かべて使用することができ、しかも十分な量の酸素を水中に取り込むことができ、水質浄化効率の高い小型の水質浄化システムを提供することができる。
【0046】
また、本発明の水質浄化システムによれば、1つのユニットで、発電から水質浄化手段の駆動まで自給自足で賄うことができ、機動性が高く持ち運びできる程度の大きさとすることもでき、施工性にも優れ、また構造が単純なためメンテナンスを基本的に不要とすることができる等、数々の利点を有する。
さらに、本発明の水質浄化システムによれば、水質浄化手段として、水面下にマイクロバブルを吐出するマイクロバブル発生装置を採用しており、高効率で溶存酸素量を向上させることができる。
【0047】
一方、本発明の水質浄化方法によれば、閉鎖水域におけるほぼ中心位置に本発明の水質浄化システムを保持しておくことができ、該閉鎖水域全体を均質に浄化することができる。さらに、水底に1点係留する本発明の水質浄化方法によれば、風向きに追随して本発明の水質浄化システムがある程度自動的に動くため、広い範囲を均質に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で規定する鉛直軸風車の基本構造を説明するための模式上面図である。
【図2】本発明の水質浄化システム、および、それを閉鎖水域に用いた本発明の水質浄化方法の一実施形態を表す模式説明図である。
【図3】図2における風力発電機を示す斜視図である。
【図4】図3の水質浄化装置内の電気回路図である。
【符号の説明】
10 軸
12、14、32、34 ブレード
16 ロープ
18 アンカー
20 水質浄化システム
22 フロート
24 風力発電機
26 マイクロバブル発生装置
28 マイクロバブル
36 天板
38 底板
40 サボニウス風車(鉛直軸風車)
42 発電機
44 軸
46 太陽電池
48 蓄電池
BL 水底
W1、W2 風
WL 水面
【発明の属する技術分野】
本発明は、湖沼や池等の閉鎖水域における水質を、溶存酸素量を向上させることで浄化する水質浄化システムおよび水質浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平10−118689号公報
【特許文献2】
特開平08−103798号公報
【特許文献3】
特開平08−080498号公報
【特許文献4】
特開平11−138194号公報
【特許文献5】
特開平8−290192号公報
【0003】
湖沼や池等の閉鎖水域は、一般的に貧酸素状態となりやすく、微生物が生育し難くなることから水質汚染が問題となる。したがって、このような閉鎖水域の水質浄化が望まれている。
【0004】
水質浄化装置やシステムは、従来より種々のものが開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、外部電源に頼ったり、装置が大型で閉鎖水域に設置するには、不適な物が多い。閉鎖水域は、通常、森林地帯や都市部に立地し、その地形的条件から、電源の確保が困難であり、また、景観上の問題や水面の面積等の関係から、大型の物が設置できないからである。また、閉鎖水域の縁端部に水質浄化装置やシステムを設置しても、浄化効率が低い。さらに、水質浄化装置やシステムを固定して設置してしまうと、閉鎖水域の全域で見ると水質にばらつきが生じやすい。その他低コスト化や設置の自由度の観点からも、自立型独立電源(いわゆる自家発電)で、水面に浮かべるタイプのものが求められている。
【0005】
水面に浮かべるタイプの水質浄化装置として、太陽電池を電源とする技術が開示されている(例えば特許文献4参照)。しかし、太陽電池は発電力に乏しく、十分な電力を得ようとすると、表面積を大きくしなければならず、結局装置が大型化してしまう。
【0006】
自立型独立電源としては、太陽電池のほか、風力発電装置を挙げることができるが、通常の風力発電装置では、風車の回転軸を風向きと一致させ(すなわち、風車を風向に対向させ)なければならず、水面に浮かべるタイプの水質浄化装置の電源に利用した場合、水面で装置全体が回転してしまい風車の回転軸を維持することが困難であり、風車の大きさと風力によっては装置全体が転倒する可能性もある。したがって、通常の風力発電装置は、水面に浮かべるタイプの水質浄化装置の電源に不向きである。また、閉鎖水域では一般的に風向が極めて変わりやすく、しかも風力も比較的弱い。
【0007】
一方、水質浄化の方法にも種々あるが、貧酸素状態を解消するには、単に水流を生じさせることで、閉鎖水域の水の澱みを解消させるだけでは、不十分であり、水中に空気を導入し、酸素を溶解させる方法が採られる。しかし、単に大気中に散水して空気との接触面積を確保して酸素を溶解させたり、いわゆるエアレーションにより気泡を水中に生じさせるだけでは、十分な量の酸素を水中に取り込むことができず、できるだけ多くの酸素を水中に取り込ませようとすれば、装置の大型化に繋がってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、閉鎖水域の水質浄化に適した水質浄化装置および水質浄化システムを提供することを目的とする。詳しくは、本発明は、独立電源で、水面に浮かべて使用することができ、しかも十分な量の酸素を水中に取り込むことができ、水質浄化効率の高い小型の水質浄化システムおよび水質浄化方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決しようとする手段】
上記目的は、以下の本発明により達成される。
すなわち本発明の水質浄化システムは、少なくとも、水面に浮かぶフロートと、該フロートに直立した鉛直軸風車を有する風力発電機と、該風力発電機から得られる電力により駆動して、水面下にマイクロバブルを吐出するマイクロバブル発生装置と、からなることを特徴とする。
【0010】
本発明の水質浄化システムによれば、水面に浮かぶフロートに水質浄化に要する構成要素を集約させたので、閉鎖水域の水面に浮かべるだけで設置することができ、設置場所を選ばない。そのため、閉鎖水域の縁端に固定的に設置する必要がなく、しかも1箇所にとどめておく必要もなく、広範囲の水域の水質を均質に浄化することができる。
【0011】
本発明の水質浄化システムにおいては、独立電源として、360゜どの方向からの風でも反応して発電する鉛直軸風車を有する風力発電機を用いており、設置場所特有の風向変化が激しい環境においても発電効率が高い。特に鉛直軸風車を有する風力発電機は、弱風でも高効率で発電することができるというメリットがある。したがって、水面に浮かぶフロートに水質浄化に要する構成要素を集約させた本発明の態様においても、所要電力の自給自足を図ることができる。
【0012】
さらに、本発明の水質浄化システムにおいては、水質浄化手段として、水面下にマイクロバブルを吐出するマイクロバブル発生装置を採用しており、高効率で溶存酸素量を向上させることができる。
このように本発明の水質浄化システムは、1つのユニットで、発電から水質浄化手段の駆動まで自給自足で賄うことができ、機動性が高く持ち運びできる程度の大きさとすることもでき、施工性にも優れ、また構造が単純なためメンテナンスを基本的に不要とすることができる等、数々の利点を有する。
【0013】
本発明の水質浄化システムに用いるフロートとしては、特に制限はなく、水面に浮かぶ構造ないし材料により構成されていればよい。一般的には、中空体、あるいはお椀形や舟形等の形状のものが用いられ、材質としては、水より比重が大きくても構わず、通常の金属材料や木材、樹脂材料等が用いられる。いずれにしても、フロートに要求される機能としては水に対して浮力を有することであり、好ましくは姿勢が安定しやすいことである。
【0014】
本発明において、鉛直軸風車を有する風力発電機とは、鉛直軸風車による回転駆動力によって、ナセル(発電機)の軸を回転させるものであり、鉛直軸風車とナセルとから構成される。ナセルは、一般に風力発電機に用いられるものをそのまま用いることができる。
【0015】
「鉛直軸風車」とは、風圧により回転駆動する風車部分の回転軸が、風向とは一致せず、風向に対して垂直方向に保持される風車を言う。回転軸を、風向に対して垂直方向に保持すれば回転駆動するが、通常は鉛直方向に保持された状態で用いる。
【0016】
図1に、鉛直軸風車の基本構造を説明するための上面図(鉛直軸の延長線上から見た図)を模式的に示す。図1に示すように、鉛直軸風車は、軸10を中心として、一方の側に、風W1を受け止め風力により押し込まれ矢印A’方向に回転するブレード12が、他方の側に、風W1を後方に流しやすく風W1に対向して動き矢印A方向に回転するブレード14が、それぞれ軸着されてなる(なお、各ブレードは、必ずしも軸に直接固定されなくても構わない。)。ブレード12およびブレード14が180°回転すると、今度は風W1を受け止め風力により押し込まれる側と風W1に対向して動く側とが入れ替わり、回転が持続する。このように、ブレード12の矢印A’方向への回転とブレード14の矢印A方向への回転との合力として、回転駆動力が発生する。
【0017】
鉛直軸風車としては、図1に示すようにブレードの数が2枚のものに限定されるものではなく、3枚でも4枚以上でも構わない。ただし、回転安定性の観点から、回転軸を基準として各ブレードが等角度で軸着していることが好ましい。また、ブレードの形状も図1のブレード12,14に示されるような円弧系の形状に限定されるものではなく、風を受け止めかつ後方に逃がしやすくするための各種形状を適宜選択することができる。
【0018】
鉛直軸風車の好ましい例としては、サボニウス型風車やダリウス型風車等が挙げられ、構造が単純で比較的高効率なサボニウス型風車が特に好ましい。
鉛直軸風車の大きさとしては、特に制限はなく、設置箇所の風力や所要電力等により適宜設計すればよいが、機動性を高くするにはあまり大きくしすぎない方が好ましく、直径として3m以下、高さとして3m以下とすることが好ましく、特に直径2m程度、高さ2m程度とすることが好ましい。
【0019】
本発明の水質浄化システムに用いるマイクロバブル発生装置としては、気泡径20μm以下の気泡が発生し、酸素溶解効率が10%以上の高い曝気効果を有する必要があるが、その他は特に制限なく、マイクロバブルを発生し得る装置であれば、特に制限なく使用することができる。
なお、マイクロバブルの気泡の大きさは、水圧、水温、水流等の環境により大きく変化するため、一定ではない。
【0020】
例えば、適当な容器に水を張り、その水面に高圧で水を流し込んだ時、周りの空気を巻き込んで微細な気泡を生じ、該気泡により容器中の水は濁った状態となるが、これは水面に上がり大気中に逃げてすぐに水の濁りが消える。このような気泡はマイクロバブルの範疇には含まれない。本発明に言う「マイクロバブル」とは、発生したマイクロバブルにより、水が濁りもしない程度の小さな径の気泡である。このような微細径のマイクロバブルは、水中で長く滞留するため、および、空気量に比して水との接触面積が大きくなるため、多量の酸素を水中に溶解させることができる。
【0021】
好ましいマイクロバブル発生装置としては、具体的には例えば、特開平8−290192号公報(特許文献5)に記載の曝気装置が挙げられるものがある。当該文献に記載の曝気装置は、極めて微細なマイクロバブルを小さな電力で多量に発生させることができるため、本発明に適用するのに、特に好ましい。
【0022】
本発明の水質浄化システムは、少なくとも、以上説明したようなフロートと、風力発電機と、マイクロバブル発生装置と、からなるが、その他各種構成を追加することができる。例えば、本発明の水質浄化システムには、さらに、前記風力発電機から得られる電力を一時的に蓄電し得る蓄電池を含むことが好ましい。該蓄電池により、前記風力発電機から得られる電力を一時的に蓄電しておくことで、風力の強い時に充電しておき、弱い時にその蓄電した電力を放電することができ、独立電源として、安定した電力供給を実現することが可能となる。蓄電する電力電源は、太陽電池を併設する場合には勿論、当該太陽電池をも含んで構わない。本発明に使用可能な蓄電池としては、特に制限はなく、従来公知の各種蓄電池を使用することができる。
【0023】
本発明の水質浄化システムは、そのまま水面に浮かべるだけで、自立的に発電し、かつ、水質浄化のための装置たるマイクロバブル発生装置が稼動するため、上記構成の状態のまま、閉鎖水域に適用可能ではあるが、そのままでは、風力に押されて閉鎖水域の縁端に移動してしまったり、時には閉鎖水域の岸辺に打ち上げられてしまったりするため、所望の箇所に係留することが望まれる。したがって、前記フロートには、1本の係留用のロープの一端が緊結されていることが好ましい。
【0024】
この係留用のロープの使用法としては、本発明の水質浄化システムを所望の水域にとどめておくことが可能なように係留し得る態様であれば、如何なる方法でも構わない。例えば、前記係留用のロープの他端を閉鎖水域の岸に係止してもよいし、錨に緊結して、所望の水域に当該錨を降ろして用いても構わない。ただし、後述の本発明の水質浄化方法で述べるような態様で用いることが特に好ましい。
【0025】
本発明の水質浄化方法は、上記本発明の水質浄化システムを水面に浮かべ、前記係留用のロープの他端を水底に係止して、1点で係留して、前記水質浄化システムを作動させることを特徴とする。このように上記本発明の水質浄化システムを水底で1点係留することとすれば、これを所定の水域内で保持することができ、例えば、閉鎖水域におけるほぼ中心位置に保持しておけば、該閉鎖水域全体を一様に浄化することができる。
【0026】
また、上記本発明の水質浄化システムは、それに直立する鉛直軸風車に風が当たると、その風力による風抵抗を受けて、水底における1点係留地点を中心に風下に流される。風向きが変われば、それに追随して前記水質浄化システムが移動する。すなわち、水底における1点係留地点を中心に所定の範囲で、風向に応じて移動するため、広い範囲を一様に浄化することができる。
【0027】
このとき前記水質浄化システムが移動する領域は、前記係留用のロープの長さ(ロープ長さL)と、前記1点係留地点となる水底までの水深Dとの関係により決まる。理論上、ロープ長さLが水深Dよりも少しでも長ければ、前記水質浄化システムが移動する所定の範囲の領域が存在し、その領域は、前記1点係留地点を中心として半径√(L2−D2)の領域となる。しかし実際には、前記係留用のロープは水面下においてカテナリー曲線を描き、前記理論半径領域よりも大幅に小さな領域しか動けなくなる。この点を考慮して、ロープ長さLとしては、水深Dの1.5倍〜3倍程度とすることが望ましい。
前記係留用のロープの他端を水底に係止する方法としては、特に限定されず、例えば、コンクリート等高比重の材料からなるアンカーに緊結し、これを所定の水域の水底に沈める方法が挙げられる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の水質浄化システムおよび水質浄化方法を、好ましい実施形態を挙げて説明する。
図2は、本発明の水質浄化システム、および、それを閉鎖水域に用いた本発明の水質浄化方法の一実施形態を表す模式説明図である。図2においては、水底の支持地盤の深さ方向から水面、さらにその上方までを、鉛直方向に切り出した状態で表されており、WLは水面を、BLは水底を示す。
【0029】
図2において、20は、本発明の水質浄化システムであり、水面WLに浮かべられた状態で、係留用のロープ16により水底BLに係留されている。水質浄化システム20は、主として、水面WLに浮かぶフロート22と、フロート22に直立したサボニウス風車を有する風力発電機24と、風力発電機24から得られる電力により駆動して、水面WL下にマイクロバブル28を吐出するマイクロバブル発生装置26と、から構成される。また、フロート22にはロープ16の一端が緊結されている。本実施形態において、フロート22としては、FRP製で直径4m、高さ1.5mの扁平円柱形の中空体を用いた。
【0030】
図3に、風力発電機24の斜視図を示す。風力発電機24は、既述の如く鉛直軸風車の一種である一般的なサボニウス風車40を有する。サボニウス風車40は、楕円形状に丸められたブレード32,34が、天板36および底板38を介して軸44に固定されて構成される。このとき、ブレード32およびブレード34は、相互に軸44を中心とし点対称に取り付けられる。このように構成されたサボニウス風車40は、ブレード32,34の丸められた内側面が風を受け止め風力により押し込まれ、外側面が風を後方に流しやすく風に対向して動き、結果として軸44を中心にして矢印B方向に回転駆動する。
【0031】
軸44は、発電機42の軸に直結しており、軸44の回転駆動により、発電機42の軸を回転させ、発電機42が電力を発電する。なお、図2においては、発電機42はフロート22の内部に収納され図面に現れておらず、フロート22に直立したサボニウス風車40のみが表されている。
【0032】
本実施形態では、ブレード32,34の回転軌跡外周の直径が2mで、フロート22の上面からの高さが2mのサボニウス風車40を用い、風力発電機24の発電出力が3kWのものを用いた。なお、本実施形態においては採用していないが、風力発電機24における天板36の上面やフロート22の上面に、補助的な発電を担う太陽電池を配置しても構わない。
【0033】
風力発電機24(および必要に応じて、補助的に太陽電池)により得られる電力を動力として、マイクロバブル発生装置26を駆動させるように構成されている。ただし、本実施形態では、風力発電機24から得られる電力を一時的に蓄電し得る蓄電池をフロート22の内部に含んでいる。図4は、本実施形態における水質浄化システム20内の電気回路図である。風力発電機24からの電力がマイクロバブル発生装置26におけるモーター26’に印加される回路の中で、蓄電池48は風力発電機24と並列に配される。なお、太陽電池を補助的に含む場合には、図4に示すように、太陽電池46は風力発電機24と並列に配される。
【0034】
マイクロバブル発生装置26は、図2に示すように水面WL下にマイクロバブル28を吐出するように構成されているが、これを駆動させるポンプ(26’)は、フロート22の内部に収容されている(不図示)。勿論、本発明においては、いわゆる水中ポンプの如く水中で駆動可能なポンプを用いて、水面下にこれを配しても構わない。
【0035】
本実施形態において用いたマイクロバブル発生装置26は、ポンプ容量3.7kWで送水量220リットル/min./台、空気供給量50リットル/min./台のポンプを3台用いたものとした。
【0036】
本実施形態においては、図2に示されるように、係留用のロープ16の一端がフロート22に固定点Mで緊結され、他端が水底に配されたアンカー18に固定点Nで緊結されている。アンカー18には、50kgのコンクリート製のアンカーを用いた。アンカー18は、予めロープ16を緊結させた上で水中に沈めることで水底BLに配した。
ロープ16の長さ(ロープ長さL)は、水深Dが5mであったので、その2倍の10mとした。
【0037】
以上の水質浄化システムに対して風W2が吹くと、図2に示すように、水質浄化システム20は、風力発電機24が回転駆動しマイクロバブル発生装置26が稼動してマイクロバブル28が発生して、閉鎖水域内の水が浄化される。それとともに、水質浄化システム20は、風W2による風抵抗を受けて風下に移動する。風向が変わったときには、その変わった風向の風下に水質浄化システム20は移動する。このときロープ16は、図2に示すように、カテナリー曲線を描いた状態となる。水質浄化システム20における固定点Mは、水底BLの固定点Nから垂線Qを引き伸ばしたときの水面WLとの交点(中心点O)を中心とする、所定の半径rの円内で移動する。この半径rは、既述の通りロープ16がカテナリー曲線を描くことから、以下の式を満たす。
r2<(L2−D2)
【0038】
以上の本実施形態の水質浄化システム20によれば、水面WLに浮かぶフロート22に水質浄化に要する構成要素を集約させたので、閉鎖水域の水面WLに浮かべるだけで設置することができ、設置場所を選ばない。また、独立電源として、360゜どの方向からの風でも反応して発電するサボニウス型風車を有する風力発電機24を用いており、設置場所特有の風向変化が激しい環境においても発電効率が高く、所要電力の自給自足を図ることができる。さらに、水質浄化手段として、水面下にマイクロバブル28を吐出するマイクロバブル発生装置26を採用しており、高効率で溶存酸素量を向上させることができる。
【0039】
このように本実施形態の水質浄化システムは、1つのユニットで、発電から水質浄化手段の駆動まで自給自足で賄うことができ、機動性が高く持ち運びできる程度の大きさとすることもでき、施工性にも優れ、また構造が単純なためメンテナンスを基本的に不要とすることができる等、数々の利点を有する。
【0040】
そして、本実施形態の水質浄化システムでは、アンカー18を閉鎖水域におけるほぼ中心位置に配置すれば、該閉鎖水域全体を均質に浄化することができる。また、風W2による風抵抗を受けて、水底BLにおける1点係留地点(固定点N)を中心に風下に流され、風向きが変わればそれに追随して水質浄化システム20が移動する。すなわち、水底BLにおける1点係留地点N(さらには水面WLにおける中心点O)を中心に所定の範囲で、風向に応じて移動するため、自動的に広い範囲を均質に浄化することができる。
【0041】
<試験例>
以上の本実施形態の水質浄化システムを、平均風速3mの環境下で、常時貯水量60万m3のダム湖において実験を行った。実験は、ダム湖の上流寄りで、上下流方向に80m、川幅方向20mの範囲を対象水域として実施した。水質浄化システムは、上記範囲内の下流側から20mで、幅(20m)のセンターに設置し、マイクロバブルは上流に向けて水平に吐出した。水深は上流側で約4m、下流側で約10mであった。実施時期は8月から9月にかけての約1ヶ月間とした。
【0042】
対象水域の実験開始前の水環境は、水深5〜6mに温度躍層が形成され、同水深帯の溶存酸素(OD)が2mg/l以下の貧酸素状態であった。この溶存酸素(OD)の計測結果の変化を確認することで、貧酸素水の改善効果を調査した。
すると、1ヵ月後には溶存酸素(OD)が7mg/lにまで上昇し、その変化量は5mg/lにまで及んだ。
【0043】
上記の結果からわかるように、本発明の構成を具備する本実施形態の水質浄化システム(ないし水質浄化方法)によれば、有効に溶存酸素量(DO)が上昇して、水質の改善効果が見られる。
【0044】
以上、本発明の水質浄化システムおよび水質浄化方法について、図面を挙げて具体的に説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、本発明の構成を具備する限り、当業者は公知の知見を適用、差し替え、付加することができる。特に、上記実施形態では、具体的に各部材の点数や大きさ、構造等を特定して説明したが、これらは勿論一例であり、本発明は上記説明した実施形態の数値・構造により制限を受けるものではない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、閉鎖水域の水質浄化に適し、自立型独立電源で、水面に浮かべて使用することができ、しかも十分な量の酸素を水中に取り込むことができ、水質浄化効率の高い小型の水質浄化システムを提供することができる。
【0046】
また、本発明の水質浄化システムによれば、1つのユニットで、発電から水質浄化手段の駆動まで自給自足で賄うことができ、機動性が高く持ち運びできる程度の大きさとすることもでき、施工性にも優れ、また構造が単純なためメンテナンスを基本的に不要とすることができる等、数々の利点を有する。
さらに、本発明の水質浄化システムによれば、水質浄化手段として、水面下にマイクロバブルを吐出するマイクロバブル発生装置を採用しており、高効率で溶存酸素量を向上させることができる。
【0047】
一方、本発明の水質浄化方法によれば、閉鎖水域におけるほぼ中心位置に本発明の水質浄化システムを保持しておくことができ、該閉鎖水域全体を均質に浄化することができる。さらに、水底に1点係留する本発明の水質浄化方法によれば、風向きに追随して本発明の水質浄化システムがある程度自動的に動くため、広い範囲を均質に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で規定する鉛直軸風車の基本構造を説明するための模式上面図である。
【図2】本発明の水質浄化システム、および、それを閉鎖水域に用いた本発明の水質浄化方法の一実施形態を表す模式説明図である。
【図3】図2における風力発電機を示す斜視図である。
【図4】図3の水質浄化装置内の電気回路図である。
【符号の説明】
10 軸
12、14、32、34 ブレード
16 ロープ
18 アンカー
20 水質浄化システム
22 フロート
24 風力発電機
26 マイクロバブル発生装置
28 マイクロバブル
36 天板
38 底板
40 サボニウス風車(鉛直軸風車)
42 発電機
44 軸
46 太陽電池
48 蓄電池
BL 水底
W1、W2 風
WL 水面
Claims (4)
- 少なくとも、水面に浮かぶフロートと、該フロートに直立した鉛直軸風車を有する風力発電機と、該風力発電機から得られる電力により駆動して、水面下にマイクロバブルを吐出するマイクロバブル発生装置と、からなることを特徴とする水質浄化システム。
- さらに、前記風力発電機から得られる電力を一時的に蓄電し得る蓄電池を含むことを特徴とする請求項1に記載の水質浄化システム。
- 前記フロートに、1本の係留用のロープの一端が緊結されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の水質浄化システム。
- 請求項3に記載の水質浄化システムを水面に浮かべ、前記係留用のロープの他端を水底に係止して、1点で係留して、前記水質浄化システムを作動させることを特徴とする水質浄化方法。
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Cited By (2)
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JP2007000797A (ja) * | 2005-06-24 | 2007-01-11 | Nakajima Kogyo:Kk | 浮遊式水質浄化装置 |
KR100994684B1 (ko) * | 2010-06-09 | 2010-11-16 | 김현주 | 초음파 발생구가 구비된 미세기포발생기의 원격제어 시스템 |
-
2002
- 2002-12-02 JP JP2002350116A patent/JP2004181324A/ja not_active Withdrawn
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JP4687961B2 (ja) * | 2005-06-24 | 2011-05-25 | 有限会社中島工業 | 浮遊式水質浄化装置 |
KR100994684B1 (ko) * | 2010-06-09 | 2010-11-16 | 김현주 | 초음파 발생구가 구비된 미세기포발생기의 원격제어 시스템 |
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Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060207 |