JP2004180958A - 鍋 - Google Patents

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山田  豊
Yasuhiro Iwashima
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Abstract

【課題】一般的に普及している電磁調理器によって底面及び側面を共に加熱することができる鍋を提供する。
【解決手段】通電することにより周期的に変化する磁束を発生し、電磁誘導の原理を利用して調理器具を加熱する電磁調理器において使用される鍋であって、鍋の形状を有する基材と、該基材の底面に配置され、電磁調理器から発生する磁束によって起電力を発生する発電コイル2と、発電コイル2と電気的に接続され、発電コイル2に発生した起電力によって流れる電流を通して発熱する発熱コイル3とを具備する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、調理器具に関し、特に、電磁誘導の原理によって加熱される鍋に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、調理用加熱器として、ガスコンロに次いで電磁調理器の普及が進んでいる。電磁調理器は、電磁誘導の原理を利用して鍋やフライパン等を加熱する調理器具である。電磁調理器は、天板が平坦で掃除が簡単なことから、注目を集めている。
【0003】
図10は、電磁調理器を用いて鍋を加熱する原理を説明するための断面図である。電磁調理器10は、耐熱ガラス等の天板11と誘導コイル12とを含んでいる。電磁調理器10には、通常、底面が平らな金属製の鍋20が使用される。このような鍋20を天板11の上に戴置し、誘導コイル12に通電すると、誘導コイル周辺に周期的に変化する磁束が生じ、鍋10の底面に、磁束の周期的変化を妨げる向きに起電力が発生する。これにより、鍋10の底面に誘導電流(うず電流)が流れ、底面が発熱する。
【0004】
ここで、誘導電流を発生させる原因となる磁束の変化は、誘導コイル12のある天板11の周辺で発生する。このため、鍋20を天板11から離してしまうと、充分な起電力を得ることができない。このような理由から、電磁調理器用の鍋においては、底面を平らにして天板11と底面との距離を近付けることによって、より広い領域で誘導電流が発生するようにしている。また、同様の理由から、鍋20の側面に誘導電流は流れないので、鍋20の側面は発熱しない。
【0005】
鍋20の側面が発熱しないということは、側面からの余分な放熱を減らすと共に、喫水線部における焦げ付きを防止するという効果があるが、一方では、調理対象への加熱面積が不足するという欠点も生じている。例えば、中華料理においては、鍋全体を用いて「煽り」と呼ばれる撹拌動作を行いながら調理が行われるが、鍋側面からの加熱がないと仕上がりが水っぽくなってしまう。また、鍋全体に火力が分散するガスコンロと異なり、電磁調理器においては熱量が鍋底面のみに集中するので、鍋底面が焦げ付きやすいとう問題も生じている。
【0006】
ところで、特許文献1には、高周波電源より給電されるワークコイルからの電磁誘導作用により調理鍋の底面を加熱すると共に、ワークコイルに流れる高周波電流を2次巻線に誘起させ、誘起された2次巻線電流により調理鍋の側面を加熱する調理器電源装置が開示されている。しかしながら、この調理器電源装置を使用する際には、鍋等の調理器具の外側に抵抗体を設けなければならず、従来のガス加熱調理器具や電磁調理器と同様の感覚で使用することができない。また、既に、電磁調理器を保有している者は、システムを交換しなければならず、費用がかかってしまう。
【0007】
特開2002−134257号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記の問題に鑑み、本発明は、一般的に普及している電磁調理器によって底面及び側面を共に加熱することができる電磁調理器用鍋を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る鍋は、通電することにより周期的に変化する磁束を発生し、電磁誘導の原理を利用して調理器具を加熱する電磁調理器において使用される鍋であって、鍋の形状を有する基材と、該基材の底面に配置され、電磁調理器から発生する磁束によって起電力を発生する第1のコイルと、該第1のコイルと電気的に接続され、第1のコイルに発生した起電力によって流れる電流を通して発熱する第2のコイルとを具備する。
【0010】
本発明によれば、電磁調理器から発生した磁束によって鍋の底面に配置された第1のコイルに起電力を生じさせ、その起電力によって第2のコイルに発熱させるので、一般的に普及している電磁調理器を用いて、底面だけでなく、側面からも鍋を加熱することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る鍋を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る鍋は、基材1と、基材1の底面に配置されているコイル2と、基材1の側面に配置されているコイル3とを有している。基材1の材料としては、例えば、ステンレス等の金属が単独で用いられたり、或いは、複数種類の材料が積層して用いられる。或いは、金属を含む材料と非金属材料とを部分的に組み合わせて、基材1を作製しても良い。この場合には、少なくとも基材1の底面に金属を含むことが望ましい。さらに、基材1として、それらの材料にガラス、セラミック、耐熱性樹脂等を更に積層したものを用いても良い。基材1の底面の内、少なくともコイル2が配置される領域は、電磁調理器の天板と密着させて誘導コイルとの距離を近付けるために、凹凸の少ない平らな形状であることが望ましい。
【0012】
ここで、電磁調理器に用いられる鍋の材料としては、鉄や有磁性ステンレスが一般的に用いられる。そのため、本実施形態においても、基材1の材料として有磁性ステンレスを用いている。しかしながら、例えば、誘導電流を高めるための工夫がなされている等、電磁調理器がそれら以外の材質を有する鍋を加熱することができる機能を有している場合には、基材1の材料としてアルミニウム、銅、非磁性ステンレス等の他の金属材料を用いることができる。また、例えば、セラミックス粉体と金属粉体とを混合したものを陶磁器の底面に焼き付けることによって発熱部を成型する等、鍋の方に電磁調理器によって発熱可能とする加工を行う場合には、基材1の材料として耐熱ガラスやセラミックス等の非金属材料を用いることができる。
【0013】
コイル2及び3は、金属線を1回又は複数回巻くことによって形成され、互いに電気的に接続されている。ここで、基材1の表面が金属を含む場合には、コイル2及び3は基材1と絶縁されることが必要である。絶縁材料については、後で詳しく述べる。
【0014】
コイル2は、基材1の底面に配置されており、電磁調理器による電磁誘導によって起電力を発生する。ここで、基材1の底面に金属が含まれる場合には、コイル2は、基材1の底面に外側から形成される。コイル2を基材1の内底面に配置すると、電磁調理器から発生した磁束の浸透が浅く、磁束がコイル2まで届かないからである。以下、コイル2のことを「発電コイル」という。
【0015】
コイル3は、基材1の側面に配置されており、発電コイル2が発生した起電力によって流れる誘導電流を通すことによって発熱し、基材1を側面から加熱する。本実施形態においては、コイル3を基材1の外側に形成しているが、調理物を加熱するという点から、コイル3を基材1の内側に形成しても良い。以下、コイル3のことを「発熱コイル」という。
【0016】
ここで、基材1が少なくとも底面に金属を含む場合には、従来の電磁調理器用の鍋と同様に、基材1そのものを発熱させることができると共に、発電コイル2及び発熱コイル3を用いて鍋を加熱することができる。一方、基材1が金属を含まない場合には、電磁調理器を用いて基材そのものを発熱させることはできない。しかしながら、本実施形態に係る鍋においては、発電コイル2及び発熱コイル3を用いて鍋を加熱することができる。
【0017】
図2の(a)は、図1の基材1を示す側面図であり、図2の(b)は、同基材1を示す底面図である。また、図3は、図2の(a)に示す領域Aにおける断面を示している。
図2の(a)及び図3に示すように、基材1の側面には、発熱コイル3が配置される複数の溝6が等間隔に形成されている。ここで、基材1の表面が金属を含む場合には、発熱コイル3は金属を含む領域と絶縁されることが必要であり、そのため、本実施形態においては、溝6の内壁に絶縁層5を形成している。溝6の幅及び深さは、溝6に配置される発熱コイル3の太さや絶縁層5の厚さを考慮して決定される。溝6の幅については、コイル3を配置しやすくするために、コイル3を配置した状態で僅かな(例えば、0.3mm程度)の余裕ができるようにすることが望ましい。また、発熱コイル3が絶縁層5に密着するように、溝6の底部を円弧形状になるように形成することが望ましい。図3に示すように、本実施形態においては、溝6の幅及び深さをそれぞれ1mmとし、溝6の底部をR0.25以下としている。
【0018】
図3に示すように、発熱コイル3は、例えば、内底面から高さ10mmごとに平行に配置されている。発熱コイル3のピッチを10mm程度とするのは、ピッチが狭すぎると、同じ部分のみが加熱されて鍋全体が加熱されず、ピッチが広すぎると、発熱コイルの間の加熱が遅れ、温度が上昇する際にむらが生じるからである。そこで、本実施形態においては、発熱コイル3を、適当なピッチで均等に配置することにより、鍋を均一に加熱できるようにしている。
【0019】
図4は、図2の(b)に示す一点鎖線B−B’における断面を示している。図2の(b)及び図4に示すように、鍋の底面には、発電コイル2が設けられる渦巻き状の溝7が形成されている。本実施形態においては、渦巻きのピッチを3.3mmとしている。ここで、基材1の表面が金属を含む場合には、発電コイル2は金属を含む領域と絶縁されることが必要であり、そのため、本実施形態においては、溝7の内壁にも絶縁層5を形成している。溝7の幅及び深さは、発電コイル2の太さや絶縁層5の厚みを考慮して決定され、溝7の幅については、溝7に発電コイル2を設けた状態で僅かな(例えば、0.3mm程度)の余裕ができるようにすることが望ましい。図4に示すように、本実施形態においては、溝7の幅及び深さを、それぞれ2.0mm及び1.8mmとし、発電コイル2が絶縁層5に密着するように、溝6の底部をR0.65以下の円弧形状になるように形成している。
【0020】
次に、発電コイル2と発熱コイル3との接続方法について説明する。図5は、図2の(b)に示す一点鎖線C−C’における断面を示している。また、図6の(a)は、図2の(b)の領域Dを拡大して示す斜視図であり、図6の(b)は、図6の(a)に発電コイル2及び発熱コイル3を配置した状態を示す図である。
【0021】
図2の(a)及び図6の(a)に示すように、基材1の側面及び底面の一部には、側面に配置される発熱コイル3を底面に導くための凹部8が形成されている。また、図5及び図6の(a)に示すように、凹部8の底面側の一部には、発電コイル2と発熱コイル3とを接続するための凹部9がさらに形成されている。基材1にコイルを配置する際には、図6の(b)に示すように、まず、基材1の側面に形成された5つの溝6に5本の発熱コイル3をそれぞれ配置し、それらのコイルの両端を凹部8に沿うようにして凹部9まで並行に導く。次に、基材1の底面に形成された溝7に発電コイル2を渦巻き状に配置する。その際に、凹部9まで導かれた発熱コイル3の一端である5本の導線をまたぐようにする。さらに、凹部9において、発電コイル2の一端と発熱コイル3の一端である5本の導線とを、半田等を用いて接続する。同様にして、発電コイル2の他端と発熱コイル3の他端である5本の導線とを、半田等を用いて接続する。なお、本実施形態においては、凹部9において、発電コイルが発熱コイルをまたぐように両者を配置しているが、反対に、発熱コイルが発電コイルをまたぐようにしても良い。
【0022】
次に、本実施形態において使用されるコイルについて、詳しく説明する。
発電コイル2及び発電コイル3の材料としては、一般的に、銅線が使用されるが、鉄線や、その他の金属を用いた金属線であっても良い。
本実施形態に係る鍋が適用される電磁調理器の誘導コイルの巻き径は、一般的には、120mm〜180mmである。従って、発電コイル2は、その範囲に合わせて配置することが望ましい。そのため、図2の(b)に示すように、本実施形態においては、最も内側のコイルの径を126.6mmとし、ピッチ3.3mmで3回巻いている。計算の簡単のために、例えば、発電コイルの巻き径を150mmとすると、2kW出力の誘導コイルに対して発電コイル2に発生する誘導電圧は、1巻きあたり1.7V程度になる。
【0023】
また、発電コイル2の巻き数は、2〜5回程度が望ましい。ここで、発電コイル2に生じる起電力は、発電コイル2の巻き数によって決まり、巻き数を増やすほど大きな起電力を得ることができる。しかしながら、発電コイル2の巻き数を増やすと、基材1の底面において、発電コイル2の占める面積を大きくなり、発電コイル2が配置されていない領域が相対的に小さくなる。これは、即ち、底面の発電コイル2以外の領域に誘導電流を発生させる磁束が相対的に減少することであり、これにより、底面の発熱能力が低下してしまう。このため、発電コイル2に起電力を発生させるための領域と、基材1の底面を発熱させるための領域とのバランスを取るために、実用的には、巻き数を上記の範囲にすることが望ましい。もちろん、基材1の底面積や電磁調理器に含まれる誘導コイルの径等に応じ、発電コイル2の巻き数を上記範囲外に変更しても構わない。特に、基材1が金属を含まない場合、即ち、基材1自体に発熱させない構造にする場合には、発電コイル2の巻き数をさらに増やしても良い。
【0024】
発電コイル2における発熱を極力抑え、発熱コイル3に多くの電流を送るためには、発電コイル2のインピーダンスは小さいほど良く、そのために、発電コイル2の線径は、1mm〜1.5mmの範囲であることが望ましい。線径を1mmより小さくすると、インピーダンスが大きくなり過ぎ、反対に、線径を1.5mmより大きくすると、インピーダンスは小さくなるが基材1を厚くしなければならなくなり、重くて使いにくい鍋になってしまうからである。
【0025】
一方、発熱コイル3のインピーダンスも小さいほど良い。先にも述べたように、発電コイル2の起電力はその巻き数によって決まっているので、発熱コイル3のインピーダンスを小さくして電流量を増やすことにより、発熱量を増やすことができるからである。ただし、発熱コイル3のインピーダンスが発電コイル2のインピーダンスを下回ると、発電コイル2における発熱量が増加してしまうので、発熱コイル3のインピーダンスを、発電コイル2のインピーダンスと同じ程度か、やや大き目にすることが望ましい。
【0026】
そのため、発熱コイル3としては、金属線を3〜5回程度並列に巻いたものを用いることが望ましく、本実施形態においては、5回巻いたものを使用している。巻き数が3回より少ないか、又は、直列に巻かれている場合には、発熱コイルのインピーダンスが大きくなって発熱量が減少してしまう。反対に、巻き数を増やし過ぎると、発熱コイル3のインピーダンスが発電コイル2のインピーダンスを下回ってしまうおそれがある。なお、発熱コイル3の巻き数についても、発電コイル2の巻き数に応じて、上記の望ましい範囲から変更しても良い。
【0027】
また、発熱コイル3の線径は、0.3mm〜0.7mmの範囲であることが望ましい。線径を0.3mmより小さくすると、インピーダンスが大きくなり過ぎ、反対に、線径を0.7mmより大きくすると、インピーダンスは小さくなるが基材1を厚くしなければならなくなり、重くて使いにくい鍋になってしまうからである。
【0028】
絶縁層5には、十分に耐熱性を有する絶縁材料が用いられる。絶縁が不十分だと、底面に配置された発電コイル2に発生した誘導電流が、側面に配置された発熱コイル3まで流れないからである。一般に、鍋を空焚きすると、その温度は300℃以上に上昇するので、セラミック系の絶縁材料をコイルと基材の間に充填することが望ましい。或いは、絶縁材料として、ポリイミド等の耐熱樹脂を用いても良い。ポリイミドの耐熱温度は240℃〜280℃程度であるが、フッ素コートされた鍋において現実に使用されている。通常、これらの鍋は空焚きが禁止されているので、本実施形態においても、使用に際して同様に注意すれば、絶縁材料としてポリイミド等の耐熱樹脂を用いることは可能である。
【0029】
発熱コイル3が配置されている基材1の内側は、目的に合わせて1種類又は複数種類の材料を用いてコーティングされても良い。例えば、熱伝導性を高めるために基材1の内側にアルミニウムを積層したり、鍋の手入れを簡単にするために基材1の内側をフッ素コーティングすることが挙げられる。
【0030】
本実施形態に係る鍋を用いて電磁調理器による加熱実験を行った。図7〜図9は、その実験結果を示すサーモグラフであり、画面の右側は、本実施形態に係る鍋の温度変化を示し、画面の左側は、比較のために、一般的な電磁調理器用鍋の温度変化を示している。
【0031】
両方の鍋とも、加熱前の温度は約15℃であった。図7の(a)に示すように、加熱を開始して45秒後には、既に両者の違いが明らかになっている。即ち、本実施形態に係る鍋においては、側面の中段まで60℃近く加熱されているのに対して、一般的な鍋においては、鍋の下部が50℃程度に加熱されているに過ぎない。
【0032】
また、図8の(a)〜(d)に示すように、加熱を開始して4分〜7分後には、本実施形態に係る鍋においては、鍋全体がほぼ均一に加熱されているのに対して、一般的な鍋においては、同じ高さでも、位置によって温度にむらが生じている。
【0033】
さらに、図9の(a)〜(d)に示すように、加熱を開始してから8分以上経過すると、本実施形態に係る鍋においては、鍋全体は60℃以上に加熱され、特に鍋の下半分の領域は80℃以上に加熱されている。一方、一般的な鍋においては、80℃以上に温度が上昇した領域は鍋の底部のみであり、鍋の大部分の領域は、50℃程度に留まっている。また、依然として、側面における温度のむらは残っている。
【0034】
このように、本実施形態に係る鍋を使用した場合には、一般的な電磁調理器用鍋よりも、概ね10℃〜20℃程度、差の大きい領域(例えば、鍋の底部から高さ1/4〜1/3の領域)では30℃程度、温度を上昇させることができ、且つ、一般的な電磁調理器用鍋に比較して、鍋全体をむらなく加熱できることが確認できた。その際に、鍋を底面から加熱する際の熱効率を従来の一般的な鍋と同程度に保つことができた。このように、本実施形態によれば、鍋の側面を速やかに加熱することができると共に、鍋の底面における熱効率を大幅に低下させることはなく、実用的な熱量を得ることができる。
【0035】
本実施形態においては、図1に示すように、発熱コイル3を基材1の側面のみに形成したが、発熱コイル3を基材のあらゆるところに配置するように自由に設計することができる。例えば、寸胴鍋等の深鍋に適用する場合には、発熱コイル3を側面の上部にまで配置することが望ましい。また、従来は底面の中心部しか加熱できなかった大型の鍋に適用する場合には、底面全体に渡って発熱コイル3を配置することにより、底面全体を均一に加熱することが可能になる。さらに、一般的なフライパン形状の鍋において、中央部の平らな領域に発電コイルを配置し、周辺の湾曲している領域に発熱コイルを配置することにより、鍋全体を素早く高温にすることが可能になる。
【0036】
次に、本実施形態に係る鍋の変形例について説明する。
本実施形態においては、図1に示すコイル2及び3を金属線によって形成している。しかしながら、コイル2及び3に用いられる材料は、材質として良導体を含み、回路を形成しうるものであれば、一般的な金属線に限られない。例えば、長方形や楕円形の断面形状を有する金属線や、フィルム状の金属箔を用いても良い。或いは、導電性を有する粉体(導電性粉体)を用いてコイル2及び3を形成しても良い。
【0037】
例えば、セラミックス粉体と金属粉体とを混合し、これを陶磁器の底面に焼き付けることにより、電磁調理器用の発熱部を成型する方法は知られている。このような方法を用いて、図1に示すように、基材1の底部及び側部に発電コイル2及び発熱コイル3をそれぞれ形成することができる。導電性粉体としては、例えば、銅、銀、ニッケルを含む金属やカーボン等の導電性材料の粉体、又は、これらの導電性材料の粉体を酸化物系又は非酸化物系セラミックス粉体に混合させたものが挙げられる。さらに、形成されたコイルを保護するために、耐熱性を有する絶縁性材料を用いてコイルの上層を被膜しても良い。
この変形例によれば、基材1に金属線を設けるための溝を浅くすることができ、或いは、溝を形成する必要がなくなるので、鍋を作製する工程を簡単にすることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、電磁調理器を用いて鍋の底面及び側面を素早く加熱することができる。従って、従来のガスコンロによる調理器具と同様の使用感覚で、しかも安全に加熱調理を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る鍋の構造を示す斜視図である。
【図2】図2の(a)は、図1に示す鍋の側面図であり、図2の(b)は、図1に示す鍋の底面図である。
【図3】図2の(a)の領域Aを示す拡大図である。
【図4】図2の(b)の一点鎖線B−B’における断面図である。
【図5】図2の(b)の一点鎖線C−C’における断面図である。
【図6】図6の(a)は、図2の(b)の領域Dを示す拡大図であり、図6の(b)は、図6の(a)にコイルと配置した状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る鍋及び一般的な電磁調理器用鍋を加熱する比較実験において、実験開始後45秒〜3分の実験結果を示すサーモグラフの写真である。
【図8】本発明の一実施形態に係る鍋及び一般的な電磁調理器用鍋を加熱する比較実験において、実験開始後4分〜7分の実験結果を示すサーモグラフの写真である。
【図9】本発明の一実施形態に係る鍋及び一般的な電磁調理器用鍋を加熱する比較実験において、実験開始後8分〜11分の実験結果を示すサーモグラフの写真である。
【図10】電磁調理器用を用いて鍋を加熱する原理を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1 基材
2 コイル(発電コイル)
3 コイル(発熱コイル)
5 絶縁層
6、7 溝
8、9 凹部
10 電磁調理器
11 天板
12 誘導コイル
20 鍋

Claims (1)

  1. 通電することにより周期的に変化する磁束を発生し、電磁誘導の原理を利用して調理器具を加熱する電磁調理器において使用される鍋であって、
    鍋の形状を有する基材と、
    前記基材の底面に配置され、前記電磁調理器から発生する磁束によって起電力を発生する第1のコイルと、
    前記第1のコイルと電気的に接続され、前記第1のコイルに発生した起電力によって流れる電流を通して発熱する第2のコイルと、
    を具備する鍋。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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