JP2004180687A - ターゲット核酸断片の分析方法及びターゲット核酸断片の分析キット - Google Patents

ターゲット核酸断片の分析方法及びターゲット核酸断片の分析キット Download PDF

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Abstract

【課題】 特殊な技術、複雑な操作、および特殊な装置を必要とせずに、誰でもが簡便かつ迅速に小型の装置を用いて実施することのできるターゲット核酸断片の分析キットを提供すること。
【解決手段】 分析するターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸、少なくとも一種のポリメラーゼ、及びピロ燐酸定量用乾式分析素子の各要素を含むターゲット核酸断片の分析キットであって、前記ピロ燐酸定量用乾式分析素子が、キサントシンまたはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備えるピロ燐酸定量用乾式分析素子であることを特徴とする、ターゲット核酸断片の分析キット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ウイルス、細菌等による感染症の臨床検査、及び個人の遺伝的な特徴による遺伝的疾患の検査等に有効である、特定の塩基配列を有するターゲット核酸断片を分析する方法、及び当該方法を使用する核酸断片の分析キットに関する。より詳細には、本発明は、ターゲット核酸を鋳型とするポリメラーゼ伸長反応が進行したか否かを比色法、好ましくは乾式分析素子を用いて検出することにより、簡便にターゲット核酸断片の存在または存在量あるいはターゲット核酸断片の塩基配列を分析する方法及び当該方法を使用する核酸断片の分析キットに関する。
従来から、ウイルス、細菌等による感染症の臨床検査においては、血液等の体液、糞便、喀痰等を試料として検体の培養を行い、ウイルス、細菌等の病原体を同定することが行われている。しかしながらこれらの方法は、検体を培養するのに非常に長い時間を必要としたり、ウイルス、細菌の種類によっては培養自体がうまく行かないという問題もある。また検体を培養するには特別の技術を要する点でも、必ずしも迅速、簡便に満足のいく結果が得られる方法ではない。
また、抗原抗体反応を利用してウイルス、細菌等の病原体を同定する方法も行われている。この方法は、検査の自動化も可能であり、迅速性、簡便性の点では良い方法である。しかしながら、病原体を抗原として検出する抗原検出方法においては、試料中に存在する病原体の量が不足することにより、病原体を検出できない場合があり、感度的に問題がある。また、病原体の種類に固有な抗原部位を決定することが困難であるという問題もある。一方、病原体の感染により、体内で産生された抗体を検出する抗体検出法においては、病原体の感染から抗体が産生されるまでに時間が必要で、その期間は検出できないという問題がある。
これらに対して、ウイルス、細菌等の病原体の種類に固有な塩基配列を持つ核酸断片(ターゲット核酸断片)を、塩基配列の相補性を利用して検出する方法は、病原体を直接に同定することを可能にする方法であり、DNAプローブ法または、PCR(ポリメラーゼチェーンリアクション)法などの遺伝子検査法として普及している。例えば、HCV(C型肝炎ウイルス)遺伝子検査法は、C型肝炎のインターフェロン(INF)治療におけるINF投与の検討、治癒のモニタリングにおいて、HCV量を直接知ることのできる方法として威力を発揮している。
今後さらに、ウイルス、細菌等の病原体の遺伝子的特長(Genotype)が明らかになり、その遺伝子的特徴を利用した新しい治療薬が開発されることが期待できる。その場合には、病原体の同定のみならず、その病原体の遺伝子的特徴を知ることが非常に重要である。まさに遺伝子検査法はその需要を満たすことのできる検査方法である。
一方、病原体の同定に限らず、遺伝子検査法では個人の遺伝子的な特徴を直接検出することが可能であるので、遺伝子疾患の原因である遺伝子の変異の検出、癌や糖尿病などの生活習慣病などの病気にかかりやすさを左右している遺伝子的要因の検出にも用いることができる。特に、ヒトゲノムの全塩基配列が決定された後は、ポストゲノム研究として、今まで以上に遺伝子的特長と疾患の関係が明らかにされていき、さらに遺伝子的特長を利用した治療薬が開発されていくことが期待できる。ポストゲノム研究の進展に伴って、今後ますます遺伝子検査法の需要が大きくなっていくことが予想される。
しかしながら、現在行われている遺伝子検査法には特殊な技術、複雑な操作、及び特殊な装置等が必要であり、遺伝子検査法を実施できる施設は、大規模な検査センターなどに限られている。ウイルス、細菌等による感染症の検査においても、また個人の遺伝子的特長の検査においても、診断、治療の指針の決定がその場で、できるだけ速く行えればより効力を発揮する。そのためには、誰でもが簡単な操作で実施でき、検査結果を迅速に得ることのできる新しい遺伝子検査法が必要である。
これまでも簡便性、迅速性の向上を目指して、ターゲット核酸断片を鋳型としたポリメラーゼ伸長反応の進行の検出を利用した遺伝子検査法が開発されている。ターゲット核酸断片の特定核酸領域をPCRにより増幅する際、増幅産物の生成の過程を蛍光強度の変化としてリアルタイムで検出する方法(Real Time PCR法)は、PCR後に増幅産物を電気泳動し、結果を解析するという工程を必要としないことから迅速性の点で良い方法であり、TaqManプローブ法(PE Biosystems社)、およびMolecular Beacon法(Stratagene社)として商品化されている。しかし、これらの方法は、FRET(fluorescence resonance energy transfer)を利用した方法で、実施には蛍光強度の変化を測定することのできる装置と、蛍光色素とそのクエンチャー(quencher)が組み合わせて標識された特殊なハイブリダイゼーションプローブを用意する必要がある点で問題があり、未だ特殊技術の域を出ていない。
また、インターカレータ性蛍光物質の存在下でターゲット核酸断片の特定核酸領域をPCRで増幅し、その際の蛍光強度の変化を検出する方法(IM−PCR:intercaration monitoring PCR法)が「医学のあゆみ Vol.173、No.12、1995」に記載されている。この方法は、Real Time PCR法としては、特別なハイブリダイゼーションプローブを必要としない点で良いが、やはり実施には蛍光強度の変化を測定することのできる装置が必要である。また、ターゲット核酸断片の特定核酸領域のPCR増幅の有無にかかわらず、インターカレータ性蛍光物質は系内に存在する核酸断片全てに結合するので、特異性の点でも問題がある。
一方、ターゲット核酸断片の特定領域にヌクレアーゼ耐性を有するオリゴヌクレオチドプライマーをハイブリダイズさせ、デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)、DNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼの存在下で伸長反応、分解反応を繰り返して、生成するピロ燐酸又はデオキシヌクレオシドモノリン酸を検出する方法が、特開平7−231799号公報に開示されている。ポリメラーゼ伸長反応に伴って生成するピロ燐酸を検出することによるターゲット核酸断片の検出方法は、ポリメラーゼ伸長反応の副産物である一般化学物質を検出することで、ターゲット核酸断片の検出を可能にしている点で優れている。
しかしながら、これまでピロ燐酸を簡便に検出する方法は知られておらず、上記公報においても、ピロ燐酸をアデノシン−5’−ホスホサルフェートおよびアデノシン3燐酸(ATP)スルフリラーゼと反応させて生ずるアデノシン3燐酸(ATP)が、ルシフェラーゼの存在下、ルシフェリンとの反応時に生じる発光を検出する方法しか記載されていない。この方法では、発光を測定することのできる装置が必要である点で簡便性の点で問題が残る。また、ヌクレアーゼ耐性を有するプライマーを使用し、かつDNAポリメラーゼとヌクレアーゼを併用し、ポリメラーゼ反応とヌクレアーゼ反応を繰り返して実施するこで、実質的に連続して伸長反応が進行しない条件で実施される点では本発明とは異なるものである。
本発明は、特殊な技術、複雑な操作、および特殊な装置を必要とせずに、誰でもが簡便かつ迅速に小型の装置を用いて実施することのできるターゲット核酸断片の分析方法を提供することを課題とする。また、これらの目的を達成するために、省スペースで自動化が可能なターゲット核酸断片の分析方法の提供も課題とする。更に、これらの分析方法を用いたターゲット核酸断片の分析キットの提供も課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、ターゲット核酸断片の特定の塩基配列に基づくポリメラーゼ伸長反応の際に生成するピロ燐酸を、乾式分析素子を用いて検出することで、特殊な装置を必要とせずに、簡便性、迅速性に優れたターゲット核酸断片の分析を行えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、少なくとも一部の塩基配列が既知であるターゲット核酸断片、前記ターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)、及び少なくとも一種のポリメラーゼを反応させ、前記ターゲット核酸断片を鋳型にした前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ伸長反応の進行の有無を検出することを含む、前記ターゲット核酸断片を分析する方法において、前記ポリメラーゼ伸長反応に伴って生成するピロ燐酸を検出することによりポリメラーゼ伸長反応の進行の有無を検出することを特徴とするターゲット核酸断片の分析方法、及び当該分析方法を行うためのターゲット核酸断片の分析キットを提供するものである。
本発明によれば、ウイルス、細菌等による感染症の臨床検査、及び個人の遺伝的な特徴による遺伝的疾患の検査等に有効な、特定の塩基配列を有するターゲット核酸断片の分析のための簡便かつ迅速な方法およびキットが提供される。
本発明のターゲット核酸断片の分析方法の好ましい形態は、ピロ燐酸の分析を比色法を用いて行う方法であり、より好ましくは、ピロ燐酸の検出を乾式分析素子を用いて行う方法にある。本発明によるターゲット核酸断片の分析方法では、ターゲット核酸断片の存在または存在量を検出したり、あるいはターゲット核酸断片の塩基配列を検出することができる。なお、ここで言う存在量の検出とは、ターゲット核酸断片の定量を含む概念である。ターゲット核酸断片の塩基配列の検出の具体例としては、ターゲット核酸断片の変異または多型の検出などが挙げられる。図1に、本発明の実施形態を説明する概念図を示す。
本発明に係るターゲット核酸断片の分析方法の第一の好ましい形態を以下に列記する。
(イ) ピロ燐酸の検出を、キサントシンまたはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備えることを特徴とするピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いて行う。
(ロ) ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプターゼ)からなるグループから選択されるポリメラーゼを用いる。
また、本発明の別の形態は、分析するターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)、少なくとも一種のポリメラーゼ、及びピロ燐酸定量用乾式分析素子の各要素を含むキットにある。
さらに、本発明の第二の好ましい形態は、少なくとも一部の塩基配列が既知であるターゲット核酸断片、前記ターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸、及び少なくとも一種のポリメラーゼを反応させ、前記ターゲット核酸断片を鋳型にした前記プライマーの3’末端を起点とするポリメラーゼ伸長反応の進行の有無の検出を前記ポリメラーゼ伸長反応に伴って生成するピロ燐酸を検出することにより行う際に、ピロ燐酸の検出を、ピロ燐酸を酵素的に無機燐酸に変換した後、次いでキサントシンまたはイノシン、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備える無機燐定量用乾式分析素子を用いて行うことを特徴とする、ターゲット核酸断片の分析方法にある。
本発明の第二の形態での、ターゲット核酸断片分析方法の好ましい形態を以下に列記する。
(イ) ピロ燐酸を変換する酵素として、ピロホスファターゼを用いる。
(ロ) ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプターゼ)からなるグループから選択されるポリメラーゼを用いる。
また、本発明の別の形態は、分析するターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)、少なくとも一種のポリメラーゼ、ピロホスファターゼ、及び無機燐定量用乾式分析素子の各要素を含むキットにある。
以下に本発明の実施の形態について更に詳細に説明する。
(A) ターゲット核酸断片:本発明において分析の対象となるターゲット核酸断片とは、少なくとも一部の塩基配列が既知であるポリヌクレオチドであり、動物、微生物、細菌、植物などすべての生物から単離されるゲノミックDNA断片が対象となり得る。またウイルスから単離可能なRNA断片またはDNA断片、およびmRNAを鋳型として合成されたcDNA断片も対象とすることが可能である。ターゲット核酸断片はできる限り精製され、核酸断片以外の余分な成分が取り除かれていることが望ましい。例えば、動物(例えば人間)の血液から単離したゲノミックDNA断片を対象とする場合または血液中に存在する感染細菌やウイルスの核酸(DNAまたはRNA)断片を対象とする場合、単離の過程で破壊された白血球細胞膜、赤血球中から溶出したヘモグロビン、および血液中存在するその他の一般化学物質は、十分に取り除いておく必要がある。特にヘモグロンビンは、続いておこなうポリメラーゼ伸長反応を阻害する。また血液中に一般生化学物質として存在するピロ燐酸や燐酸は、ポリメラーゼ伸長反応により生成するピロ燐酸の正確な検出の妨害要因になる。
(B)ターゲット核酸断片と相補的なプライマー:本発明において使用するターゲット核酸断片と相補的なプライマーは、ターゲット核酸断片の塩基配列が既知である目的の部位に対して相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである。このターゲット核酸断片と相補的なプライマーがターゲット核酸断片の目的の部位にハイブリダイゼーションすることで、プライマーの3’末端を起点に、ターゲット核酸を鋳型としポリメラーゼ伸長反応が進行する。即ち、本発明においてはプライマーがターゲット核酸断片の目的の部位を認識して特異的にハイブリダイゼーションするか否かがポイントとなる。本発明で使用するプライマーの好ましい塩基数は5〜60塩基である。特に好ましくは15〜40塩基である。プライマーの塩基数は少なすぎると、ターゲット核酸断片の目的の部位との特異的性が低下するだけでなく、ターゲット核酸断片とのハイブリッド自体が安定に形成できない。また、プライマーの塩基数は多すぎると、プライマー間またはプライマー内で塩基間の水素結合により2本鎖を形成してしまい、やはり特異性が低下する。
本発明の方法を用いてターゲット核酸断片の存在を検出する場合、ターゲット核酸断片の異なる部位に対して、それぞれの部位に相補的なプライマーを複数使用することも可能である。このようにターゲット核酸断片を複数の部位で認識することで、ターゲット核酸断片の存在の検出において、特異性が向上する。また、ターゲット核酸断片の一部を増幅(例えばPCR法)する場合には、その増幅法に応じて複数のプライマーを設計することも可能である。
本発明の方法を用いてターゲット核酸断片の塩基配列を検出する場合、特に変異または多型の有無を検出する場合は、目的の変異または多型の部分を含むように、変異または多型に対応する塩基の種類でプライマーを設計する。そうすることで、ターゲット核酸断片の変異または多型の有無により、ターゲット核酸断片へのプライマーのハイブリダイゼーションの有無に差異が生じ、結果的にポリメラーゼ伸長反応の差異として検出することが可能になる。また、変異または多型に対応する部分をプライマーの3'末端付近に設定することでポリメラーゼの反応部位の認識に差異が生じ、結果的にポリメラーゼ伸長反応の差異として検出することも可能である。
(C) ポリメラーゼ:本発明において使用するポリメラーゼは、ターゲット核酸がDNAの場合は、ターゲット核酸断片の一本鎖に変性された部分にプライマーがハイブリダイゼーションすることで形成された2本鎖の部分を起点として、5’→3’の方向に、デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)を材料として、ターゲット核酸断片を鋳型にして相補的な伸長反応を触媒するDNAポリメーラーゼである。具体的に使用されるDNAポリメラーゼとしては、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ等がある。DNAポリメラーゼは目的に応じて選択または組み合わせることが可能である。例えば、ターゲット核酸断片の一部を増幅(例えばPCR法)する場合には、耐熱性に優れたTaq DNAポリメラーゼを用いることが有効である。また、「BIO INDUSTRY,Vol.18,No.2,2001」に記載されている増幅法(LAMP法:Loop−mediated Isothermal Amplification of DNA)を用いてターゲット核酸断片の一部を増幅する場合には、5’→3’方向へのヌクレアーゼ活性がなく、かつ鋳型上の2本鎖DNAを1本鎖DNAとして遊離させながら伸長反応を触媒する鎖置換型のDNAポリメラーゼとして、Bst DNAポリメラーゼを使用することが有効である。その他、目的に応じて、3’→5’方向へのヘキソキナーゼ活性を持つ、DNAポリメラーゼα、T4 DNAポリメラーゼ、及びT7 DNAポリメラーゼを併用することも可能である。
また、RNAウイルスのゲノミック核酸またはmRNAがターゲット核酸断片である場合には、逆転写活性を有するリバーストランスクリプターゼを使用することが可能である。さらにリバーストランスクリプターゼとTaq DNAポリメラーゼを併用することも可能である。
(D) ポリメラーゼ伸長反応:本発明において対象となるポリメラーゼ伸長反応には、前記(A)に記載されているようなターゲット核酸断片の1本鎖に変性された部分の一部に特異的にハイブリダイゼーションした、前記(B)に記載されているようなターゲット核酸断片と相補的なプライマーの3’末端を起点として、デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)を材料として、前記(C)に記載されているようなポリメラーゼを触媒として、ターゲット核酸断片を鋳型にして進行する相補的な核酸の伸長反応の全てが含まれる。この相補的な核酸の伸長反応とは、少なくとも2回(2塩基分)、連続しての伸長反応が起こることをさしている。
以下に、例として代表的なポリメラーゼ伸長反応、およびポリメラーゼ伸長反応を伴うターゲット核酸断片の目的部位の増幅反応の例を示す。ターゲット核酸断片を鋳型にして、5’→3’の方向へのポリメラーゼ伸長反応を一度だけ行う場合が最も単純である。このポリメラーゼ伸長反応は等温の条件で実施することができる。この場合には、ポリメラーゼ伸長反応の結果として生成するピロ燐酸の量は、最初のターゲット核酸断片の量に比例する。即ち定量的にターゲット核酸断片の存在を検出するのに適した方法である。
ターゲット核酸の量が少ない場合は、ポリメラーゼ伸長反応を利用した何らかの手段でターゲット核酸の目的部分を増幅することが好ましい。ターゲット核酸の増幅には、これまで開発、発明されてきた各種の方法を使用することができる。ターゲット核酸の増幅法で最も一般的で普及している方法はPCR(ポリメラーゼチェーンリアクション)法である。PCR法では、反応液の温度の上げ下げを周期的にコントロールすることにより、変性(核酸断片を2本鎖から1本鎖に変性する工程)→アニーリング(1本鎖に変性した核酸断片にプライマーをハイブイリダイズさせる工程)→ポリメラーゼ(TaqDNAポリメラーゼ)伸長反応→ディネイチャーの周期的な工程を繰り返すことで、ターゲット核酸断片の目的部分を増幅する方法である。最終的に、ターゲット核酸断片の目的部位は初期量の100万倍にも増幅し得る。そのためPCR法の増幅過程でのポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も多くなり、検出が容易になる。
特開平5−130870号公報に記載されている、エクソヌクレアーゼを用いたサイクリングアッセイ法もポリメラーゼ伸長反応を利用した、ターゲット核酸断片の目的部位の増幅法の一つである。この方法はターゲット核酸断片の目的部位に特異的にハイブリダイゼーションしたプライマーを起点とした、ポリメラーゼ伸長反応とともに、5’→3’エクソヌクレアーゼを作用させて、プライマーを逆方向から分解する方法である。分解したプライマーの代わりに新たなプライマーがハイブリダイゼーションし、再度DNAポリメラーゼによる伸長反応が進行する。このポリメラーゼによる伸長反応と、この先に伸長した鎖を外すエクソヌクレーアゼによる分解反応が順次、周期的に繰り返される。ここで、ポリメラーゼによる伸長反応とエクソヌクレーアゼによる分解反応は等温条件で実施することが可能である。このサイクリングアッセイ法においても繰り返されるポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も多くなり、検出が容易になる。
近年開発されたターゲット核酸断片の目的部位の増幅法として、前記LAMP法がある。この方法は、ターゲット核酸断片の少なくとも6個所の特定部位を相補的に認識する少なくとも4種のプライマーと、5’→3’方向へのヌクレアーゼ活性がなく、かつ鋳型上の2本鎖DNAを1本鎖DNAとして遊離させながら伸長反応を触媒する鎖置換型のBst DNAポリメラーゼを使用することで、等温条件でターゲット核酸断片の目的部位を、特別な構造として増幅する方法である。このLAMP法の増幅効率は高く、ポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も非常に多くなり、検出が容易になる。
ターゲット核酸断片がRNA断片の場合は、逆転写活性を有するリバーストランスクリプターゼを使用し、RNA鎖を鋳型にして伸長反応を行うことが可能である。さらにリバーストランスクリプターゼとTaq DNAポリメラーゼを併用し、RT(リバーストランスクリプション)反応に引き続いてPCR反応を行う、RT−PCR法を用いることができる。このRT反応またはRT−PCR反応で生成するピロ燐酸を検出することで、ターゲット核酸断片のRNA断片の存在を検出することができる。この方法は、RNAウイルスの存在を検出する場合に有効である。
(E) ピロ燐酸(PPi)の検出:従来からピロ燐酸(PPi)の検出法としては、式1に示された方法が知られている。この方法では、ピロ燐酸(PPi)をスルフリラーゼによりアデノシン3燐酸(ATP)に変換し、アデノシン3燐酸がルシフェラーゼによりルシフェリンに作用して生じる発光を検出する。そのため、この方法でピロ燐酸(PPi)を検出するには発光を測定できる装置が必要である。
Figure 2004180687
本発明に適したピロ燐酸の検出方法は式2または式3に示した方法である。式2または式3に示した方法は、ピロ燐酸(PPi)をピロホスファターゼで無機燐酸(Pi)に変換し、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)により無機燐酸(Pi)をキサントシンまたはイノシンと反応させ、生じたキサンチンまたはヒポキサンチンをキサンチンオキシダーゼ(XOD)により酸化して尿酸を生成させ、この酸化過程で生じる過酸化水素(H22)を用いてペルオキシダーゼ(POD)により発色剤(色素前駆体)を発色させ、これを比色するものである。これら式2または式3に示した方法では結果を比色で検出できるため、目視または簡単な比色測定装置を用いてピロ燐酸(PPi)の検出が可能である。
Figure 2004180687
Figure 2004180687
ピロホスファターゼ(EC3,6,1,1)プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP,EC2.4.2.1)、キサンチンオキシダーゼ(XOD,EC1.2.3.2)及びペルオキシダーゼ(POD,EC1.11.1.7)は市販のものを使用することができる。発色剤(すなわち色素前駆体)は、過酸化水素とペルオキシダーゼ(POD)により色素を生成させるものであればよく、例えば、ロイコ色素の酸化によって色素を生成する組成物(例、米国特許4,089,747等に記載のトリアリールイミダゾールロイコ色素、特開昭59−193352号公報(EP 0122641A)等に記載のジアリールイミダゾーロイコ色素);酸化されたときに他の化合物とカップリングにより色素を生成する化合物を含む組成物(例えば4−アミノアンチピリン類とフェノール類又はナフトール類)などを使用することができる。
(F) 乾式分析素子:本発明において使用することのできる乾式分析素子とは、一層または複数層の機能層からなる分析素子であって、その少なくとも一層(または複数の層に渡って)に検出試薬を含有させ、層内での反応により生じた生成色素を、分析素子の外から反射光あるいは透過光により比色定量するものである。
このような乾式分析素子を用いて定量分析するには、液体試料を展開層の表面に一定量点着する。展開層で展開された液体試料は試薬層に達し、ここで試薬と反応し、発色する。点着後、乾式分析素子を適当な時間、一定温度に保って(インクベーション)発色反応を充分に進行させた後、例えば透明支持体側から照明光を試薬層に照射し、特定波長域で反射光量を測定して反射光学濃度を求め、予め求めておいた検量線に基づいて定量分析を行う。
乾式分析素子においては、検出を行うまでは乾燥状態で貯蔵・保管されるため、試薬を用時調製する必要がなく、また一般に乾燥状態の方が試薬の安定性が高いことから、試薬溶液を用時調製しなければならないいわゆる湿式法より簡便性、迅速性に優れている。また、微量の液体試料で、精度の高い検査を迅速に行うことができる検査方法としても優れている。
(G) ピロ燐酸定量用乾式分析素子:本発明で使用することのできるピロ燐酸定量用乾式分析素子は、公知の多種の乾式分析素子と同様の層構成とすることができる。乾式分析素子は、前記(E)項(ピロ燐酸(PPi)の検出)における、式2または式3の反応を行うための試薬の他、支持体、展開層、検出層、光遮蔽層、接着層、吸水層、下塗り層その他の層を含む多重層としてもよい。このような乾式分析素子として、例えば特開昭49−53888号公報(対応米国特許3,992,158)、特開昭51−40191号公報(対応米国特許4,042,335)、及び特開昭55−164356号公報(対応米国特許4,292,272)、特開昭61−4959号公報(対応EPC公開特許0166365A)の各明細書に開示されたものがある。
光透過性水不透過性支持体を用いる場合の乾式分析素子は、実用的に次のような構成を取り得る。ただし、本発明の内容はこれに限定されない。
(1) 支持体上に試薬層を有するもの。
(2) 支持体上に検出層、試薬層をこの順に有するもの。
(3) 支持体上に検出層、光反射層、試薬層をこの順に有するもの。
(4) 支持体上に第2試薬層、光反射層、第1試薬層をこの順に有するもの。
(5) 支持体上に検出層、第2試薬層、光反射層、第1試薬層をこの順に有するもの。
上記(1)ないし(3)において試薬層は異なる複数の層から成ってもよい。例えば第1試薬層には、式2または式3に示すピロホスファターゼ反応に必要な酵素ピロホスファターゼ、PNP反応に必要な基質キサントシンまたは基質イノシンと酵素PNPを、第2試薬層には、式2または式3に示すXOD反応に必要な酵素XODを、そして第3試薬層には、式2または式3に示すPOD反応に必要な酵素PODと発色色素(色素前駆体)を、それぞれ含有させてもよい。あるいは試薬層を2層として、第1試薬層ではピロホスファターゼ反応とPNP反応を、第2試薬層ではXOD反応とPOD反応を進行させてもよい。又は、第1試薬層ではピロホスファターゼ反応とPNP反応とXOD反応を、第2試薬層でPOD反応を進行させてもよい。
なお支持体と試薬層又は検出層との間には吸水層を設けてもよい。また各層の間には濾過層を設けてもよい。また試薬層の上には展開層を設けてもよく、その間に接着層を設けてもよい。
支持体は光不透過性(不透明)、光半透過性(半透明)、光透過性(透明)のいずれのものも用いることができるが、一般的には光透過性で水不透過性の支持体が好ましい。光透過性水不透過性支持体の材料として好ましいものはポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンである。親水性層を強固に接着させるため通常、下塗り層を設けるか、親水化処理を施す。
試薬層として多孔性層を用いる場合、その多孔性媒体は繊維質であってもよいし、非繊維質であってもよい。繊維質材料としては、例えば濾紙、不織布、織物布地(例えば平織り布地)、編物布地(例えばトリコット編物布地)、ガラス繊維濾紙等を用いることができる。非繊維質材料としては特開昭49−53888号公報等に記載の酢酸セルロースなどからなるメンブランフイルター、特開昭49−53888号公報、特開昭55−90859号公報(対応米国特許4,258,001)特開昭58−70163号公報(対応米国特許4,486,537)等に記載の無機物又は有機物微粒子からなる連続空隙含有粒状構造物層等のいずれでもよい。特開昭61−4959号公報(対応欧州公開EP 0166365A)、特開昭62−116258号公報、特開昭62−138756号公報(対応欧州公開EP 0226465A)、特開昭62−138757号公報(対応欧州公開EP 0226465A)、特開昭62−138758号公報(対応欧州公開EP 0226465A)等に記載の部分接着された複数の多孔性層の積層物も好適である。
多孔性層は、供給される液体の量にほぼ比例した面積に液体を展開する、いわゆる計量作用を有する展開層であってもよい。展開層としては、これらのうち織物布地、編物布地などが好ましい。織物布地などは特開昭57−66359号公報に記載されたようなグロー放電処理をしてもよい。展開層には、展開面積、展開速度等を調節するため特開昭60−222770号公報(対応:EP 0162301A)、特開昭63−219397号公報(対応西独特許公開DE 3717913A)、特開昭63−112999号公報(対応:DE 3717913A)、特開昭62−182652号公報(対応:DE 3717913A)に記載したような親水性高分子あるいは界面活性剤を含有させてもよい。
例えば紙、布、高分子からなる多孔質膜等に本発明の試薬を予め含浸又は塗布した後、支持体上に設けた他の水浸透性層、例えば検出層の上に、特開昭55−1645356号公報のような方法で接着させるのも有用な方法である。
こうして作られる試薬層の厚さは特に制限されないが、塗布層として設ける場合には、1μm〜50μm程度、好ましくは2μm〜30μmの範囲が適当である。ラミネートによる積層など、塗布以外の方法による場合、厚さは数十μmから数百μmの範囲で大きく変化し得る。
親水性ポリマーバインダーからなる水浸透性層で試薬層を構成する場合、使用できる親水性ポリマーとしては、例えば、以下のものがある。ゼラチン及びこれらの誘導体(例えばフタル化ゼラチン)、セルロース誘導体(例えばヒドロキシエチルセルロース)、アガロース、アルギン酸ナトリウム、アクリルアミド共重合体やメタアクリルアミド共重合体(例えば、アクリルアミド又はメタアクリルアミドと各種ビニル性モニマーとの共重合体)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸と各種ビニル性モノマーとの共重合体などである。
親水性ポリマーバインダーで構成される試薬層は、特公昭53−21677号公報(対応米国特許3,992,158)、特開昭55−164356号公報(対応米国特許4,292,272)、特開昭54−101398号公報(対応米国特許4,132,528)等の明細書に記載の方法に従って本発明の試薬組成物と親水性ポリマーを含む水溶液又は水分散液を支持体又は検出層等の他の層の上に塗布し乾燥することにより設けることができる。親水性ポリマーをバインダーとする試薬層の乾燥時の厚さは約2μm〜約50μm、好ましくは約4μm〜約30μmの範囲、被覆量では約2g/m2〜約50g/m2、好ましくは約4g/m2〜約30g/m2の範囲である。
試薬層には式2または式3の試薬組成物の他に、塗布特性、拡散性化合物の拡散性、反応性、保存性等の諸性能の向上を目的として、酵素の活性化剤、補酵素、界面活性剤、pH緩衝剤組成物、微粉末、酸化防止剤、その他、有機物あるいは無機物からなる各種添加剤を加える事ができる。試薬層に含有させることができる緩衝剤はの例としては、日本化学学会編「化学便覧 基礎」(丸善(株)、1966年発行)1312−1320頁、R.M.C.Dawson et al編、「Data for Biochemical Research」第2版(Oxford at the Clarendon Press,1969年発行)476−508頁、「Biochemistry」5,467−477頁(1966年)、「Analytical Biochemistry」104,300−310頁(1980年)に記載のpH緩衝剤系がある。pH緩衝剤系の具体例として硼酸塩を含む緩衝剤;クエン酸又はクエン酸塩を含む緩衝剤;グリシンを含む緩衝剤;ビシン(Bicine)を含む緩衝剤;HEPESを含む緩衝剤;MESを含む緩衝剤などのグッド緩衝剤等がある。なお燐酸塩を含む緩衝剤は、ピロ燐酸検出用乾式分析素子に使用することはできない。
本発明で使用することのできる、ピロ燐酸定量用乾式分析素子は前述の諸特許明細書に記載の公知の方法により調製することができる。ピロ燐酸定量用乾式分析素子は一辺約5mmから約30mmの正方形またはほぼ同サイズの円形等の小片に裁断し、特公昭57−283331号公報(対応米国特許4,169,751)、実開昭56−142454号公報(対応米国特許4,387,990)、特開昭57−63452号公報、実開昭58−32350号公報、特表昭58−501144号公報(対応国際公:WO083/00391)等に記載のスライド枠に収めて化学分析スライドとして用いることが製造,包装,輸送,保存,測定操作等の観点で好ましい。使用目的によっては、長いテープ状でカセットまたはマガジンに収めて用いたり、又は小片を開口のある容器内に収めて用いたり、又は小片を開口カードに貼付または収めて用いたり、あるいは裁断した小片をそのまま用いることなどもできる。
本発明で使用することのできるピロ燐酸定量用乾式分析素子は前述の諸特許明細書等に記載の操作と同様の操作により液体試料中の被検物であるピロ燐酸の定量検出ができる。例えば約2μL〜約30μL、好ましくは4μL〜15μLの範囲の水性液体試料液を試薬層に点着する。点着した分析素子を約20℃〜約45℃の範囲の一定温度で、好ましくは約30℃〜約40℃の範囲内の一定温度で1〜10分間インキュベーションする。分析素子内の発色又は変色を光透過性支持体側から反射測光し、予め作成した検量線を用いて比色測定法の原理により検体中のピロ燐酸の量を求めることができる。点着する液体試料の量、インキュベーション時間及び温度を一定にすることにより定量分析を高精度に実施できる。
測定操作は特開昭60−125543号公報、特開昭60−220862号公報、特開昭61−294367号公報、特開昭58−161867号公報(対応米国特許4,424,191)などに記載の化学分析装置により極めて容易な操作で高精度の定量分析を実施できる。なお、目的や必要精度によっては目視により発色の度合いを判定して、半定量的な測定を行ってもよい。
本発明で使用することのできる、ピロ燐酸定量乾式分析素子においては、分析を行うまでは乾燥状態で貯蔵・保管されるため、試薬を用時調製する必要がなく、また一般に乾燥状態の方が試薬の安定性が高いことから、試薬溶液を用時調製しなければならないいわゆる湿式法より簡便性、迅速性に優れている。また、微量の液体試料で、精度の高い検査を迅速に行うことができる検査方法としても優れている。
本発明の第二の形態において使用することのできる無機燐定量用乾式分析素子は、前記のピロ燐酸定量乾式分析素子における試薬層からピロホスファターゼを除くことで調製することができる。また、特開平7−197号公報に記載の乾式分析素子を使用することも可能である。無機燐定量用乾式分析素子は、試薬層にピロホスファターゼを含有しない以外は、その層構成、製造方法、使用方法において、前記ピロ燐酸定量乾式分析素子と同様である。
(H) キット:本発明のターゲット核酸の分析は、分析するターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)、少なくとも一種のポリメラーゼ、及びピロ燐酸定量用乾式分析素子の各要素を含むキットを用いて実施することができる。
キットの形態は、少なくとも一部の塩基配列が既知であるターゲット核酸断片を含む液体を供給することのできる開口部、ターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)、及び少なくとも一種のポリメラーゼを保持することのできる少なくとも一つの反応セル部、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を保持することのできる検出部、及びそれら前記開口部、反応セル部、検出部の間を連結し、液体を移動させることのできる細管または溝を備えているカートリジであってもよい。
このようなカートリッジとしては、米国特許5,919,711に記載されているカートリッジ等を利用することが可能である。図2には、本発明におけるカートリッジ形態のキットの一例を示した。キット10において、開口部31からターゲット核酸を含有する試料液を供給することができる。開口部31は細管41によって、反応セル32と連結されている。反応セル32には、予めターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー81、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)82、及び少なくとも一種のポリメラーゼ83が保持されている。さらに、反応セル32は細管42によって検出部33と連結されている。検出部33には予め乾式分析素子51が保持されている。反応セル32でポリメラーゼ伸長反応が進行した試料液は、細管42を移動して、検出部33のピロ燐酸定量用乾式分析素子51上に供給され、ポリメラーゼ伸長反応により生成したピロ燐酸を検出する。上記キット10において、開口部31と反応セル32の間、及び反応セル32と検出部33の間の液体の移動は、遠心力、電気泳動または電気浸透などを用いることが可能である。また、反応セル32、細管41及び42、検出部33は、基体21と蓋22によって密封されていることが望ましい。
図2に示したようなカートリッジ形態のキット10を使用する場合、図3に示したように、反応セル32および検出部33の温度コントロール部61及び62と、ピロ燐酸定量用乾式分析素子51内の発色または色変化を反射光により検出することのできる検出部71及び72を備えている装置を合わせて使用することが望ましい。
本発明で使用することのできるカートリッジ形態のキットは、図2に示されているものに限らない。ポリメラーゼ伸長反応に必要な試薬はそれぞれ別のスペースに保持されていても良い。その場合は、反応時にそれぞれの試薬が反応セルに移動してくるようにすれば良い。また、反応セルは複数であっても良い。
ポリメラーゼ伸長反応で生成したピロ燐酸の検出を、ピロ燐酸を酵素的に無機燐酸に変換した後に無機燐定量用乾式分析素子を用いて行う場合には、第一の反応セルには、予めターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)、及び少なくとも一種のポリメラーゼを保持しておき、第一の反応セルにおいてポリメラーゼ伸長反応を行い、次いで、第一の反応セルと細管で連結されていて、予めピロホスファターゼが保持されている第二の反応セルに第一の反応セルでの反応液を移動させ、第一の反応セルにおけるポリメラーゼ伸長反応で生成したピロ燐酸を第二反応セルにおいて無機燐酸に変換し、次いで第二の反応セルでの反応液を、第二の反応セルに細管で連結されていて、予め無機燐定量用乾式分析素子が保持されている検出部に移動させ、無機燐を検出することも可能である。
また、1つのカートリッジ上に「開口部−細管−反応セル−細管−検出部」の組を平行に並べて、または同心円の半径方向に並べて、複数組設置することも可能である。この場合、例えば反応セルに保持するターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマーの塩基配列を、ターゲットとする核酸の種類に応じて変更することで、同時に複数種のターゲット核酸を検出することが可能なキットを提供できる。
以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。しかしながら、本実施例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
実施例1:ピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いたY染色体短腕上のSRY遺伝子関連部位の検出
(1) ピロ燐酸定量用乾式分析素子の作製
ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタレート(PET)平滑フイルムシート(支持体)上に表1記載の組成(a)の水溶液を、以下の被覆率となるように塗布し、乾燥して試薬層を設けた。
Figure 2004180687
この試薬層の上に下記の表2記載の組成(b)の接着層水溶液を以下の被覆率となるように塗布し、乾燥して接着層を設けた。
Figure 2004180687
次いで接着層の上に30g/m2の割合で水を全面に供給してゼラチン層を膨潤させ、その上に純ポリエステル製のブロード織物布地をほぼ一様に軽く圧力をかけてラミネートして多孔性展開層を設けた。
次にこの展開層の上から下記の表3記載の組成(c)の水溶液を以下の被覆率となるようにほぼ均一塗布し、乾燥させ、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を作成した。
Figure 2004180687
(2) ターゲット核酸断片試料液の調製
男性、女性、各々1人づつから採取した血液検体に対して、市販の核酸抽出、精製キット(QIAGEN社製、QIAamp DNA Blood Mini Kit)を用いて抽出、精製したゲノミック核酸断片を1mLの精製蒸留水中に回収することで、ターゲット核酸断片試料液を調製した。
(3) プライマーの調製
プライマーは、Y染色体短腕上のSRY遺伝子を特異的に認識できるように設計した塩基配列を持つ、オリゴヌクレオチドのプライマーのセット(プライマー1、プライマー2)として合成した。
<プライマーの塩基配列>
プライマー1:5’−GATCAGCAAGGAGCTGGGATACACGTG−3’(配列番号1)
プライマー2:5’−CTGTAGCTTCCCGTTGCGGTG−3’(配列番号2)
(4) ポリメラーゼ伸長反応によるターゲット核酸断片の増幅
以下に示す反応液の組成で、PCRによるターゲット核酸断片の増幅を実施した。PCRは、[デネイチャー:94℃・30秒、アニーリング:65℃・30秒、ポリメラーゼ伸長反応:72℃・1分]を30サイクル繰り返することで実施した。
<反応液の組成>
精製水 36.5μL
10×PCRバッファー 5μL
2.5mM dNTP 4μL
Taq FP(ニッポンジーン社製) 0.5μL
20μM プライマー 2μL
30ng/μLターゲット核酸断片試料液 2μL
(5) ピロ燐酸定量用分析素子を用いたピロ燐酸の検出
前記(4)のポリメラーゼ伸長反応によるターゲット核酸断片の増幅反応に、ターゲット核酸断片を含まない試料液を用いた場合(コントロール)、男性から採取した血液から調製したターゲット核酸試料液を用いた場合(サンプルM)、及び女性から採取した血液から調製したターゲット核酸試料液を用いた場合(サンプルF)の、各々の反応後の液10μLを前記(1)で製作したピロ燐酸定量用乾式分析素子上に点着し、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を37℃にて5分間インクベーション後、波長650nmにて支持体側から反射濃度(ODR)を測定しところ、コントロール、サンプルM、サンプルFについて、各々0.287、1.143、及び0.281であった。
実施例1は、男性に特有に存在するY染色体短腕上のSRY遺伝子関連部位を特異的に検出できることを示している。この実施例1の結果より、ポリメラーゼ伸長反応の進行により生成するピロ燐酸を、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いて検出する本発明の方法により、ターゲット核酸断片の存在を検出することが可能であることがわかる。
実施例2:ピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いたアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2遺伝子)関連部位の1塩基多型(SNPs)検出
(1) ターゲット核酸断片試料液の調製
予め塩基配列のシーケンシングにより、ALDH2遺伝子関連部位の特定の1塩基種が異なることにより、ALDH2活性型またはALDH2不活性型であることが既知である、各々1人から採取した血液検体をもとに、実施例1の(2)に記載されている方法と同様にして、ターゲット核酸断片試料液を、各々サンプルALDH2活性型、及びサンプルルALDH2不活性型として調製した。
(2) プライマーの設計
プライマーは、12番染色体上のALDH2遺伝子関連部位のなかで、ALDH2の活性を決定する特定部分について、ALDH2活性型の塩基配列に特異的なプライマーとして設計した塩基配列を持つ、オリゴヌクレオチドのプライマー(プライマー1)と、前記特定部位の下流の塩基配列に特異的なプライマーとして設計した塩基配列を持つ、オリゴヌクレオチドのプライマー(プライマー2)のセットとして合成した。
<プライマーの塩基配列>
プライマー1:5’−CAGGCATACACTGAAGTGAAAACTG−3’(配列番号3)(下線部のGAAの塩基配列がAAAになるとALDH2不活性型となる)
プライマー2:5’−AGGTCCTGAACTTCCAGCAG−3’(配列番号4)
(3)ピロ燐酸定量用分析素子を用いたピロ燐酸の検出
ピロ燐酸定量用分析素子の作製は実施例1の(1)に、ポリメラーゼ伸長反応によるターゲット核酸断片の増幅(PCR)は実施例1の(4)に、及びポリメラーゼ伸長反応を行った後の反応液のピロリン酸分析乾式分析素子を用いての測定は実施例1の(5)に記載されている方法と同様にして、反射濃度(ORR)を測定したところ、コントロール、サンプルALDH2活性型、及びサンプルALDH2不活性型について、各々0.256、1.003、及び0.262であった。
実施例2は、12番染色体上のALDH2遺伝子関連部位のなかで、ALDH2の活性を決定する特定部分の塩基配列違いを特異的に検出できることを示している。この実施例2の結果より、ポリメラーゼ伸長反応の進行により生成するピロ燐酸を、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いて検出する本発明の方法により、ターゲット核酸断片の塩基配列を検出することが可能であることがわかる。
実施例3:無機燐定量用乾式分析素子を用いたY染色体短腕上のSRY遺伝子関連部位の検出
実施例1の(1)に示されたピロ燐酸定量用乾式分析素子の作製において、表1の試薬層水溶液の組成(a)からピロホスファターゼを除いた以外は同様にして作製した無機燐定量用乾式分析素子を用いること、PCR反応後の反応液100μLを、10unitsのピロホスファターゼで処理(pH7.0、37℃、10分)した以外は、同様にして測定を行い、反射濃度(ORR)を測定しところ、コントロール、サンプルM、サンプルFについて、各々0.268、1.268、及び0.273であった。
実施例3より、本発明の第二の実施形態である、ポリメラーゼ伸長反応の進行により生成するピロ燐酸を、ピロホスファターゼで無機燐酸に変換後、無機燐定量用乾式分析素子を用いて検出する方法でも、特異的にターゲット核酸断片の存在を検出することが可能であることが判る。
実施例4:ピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いたヒト全血中の緑膿菌の検出 (緑膿菌性敗血症の検査をモデルにした実験)
(1) 緑膿菌を添加したヒト全血の調製
LB培地(Luria−Bertani medium)で一晩培養した緑膿菌(Pseudemonas Syringae)の培養液を元に、PBSによる希釈で濃度を変化させた溶液を、EDTA採血したヒト全血に添加することで、1mL当りそれぞれ、0、5×105、5×106、2.5×106、5×107、1×108 の菌体個数を含む6水準のヒト全血を調製した。ここで、菌体個数は分光光度計を用いて見積もった値である。
(2)ピロ燐酸定量用乾式分析素子の作製
ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)平滑フイルムシ−ト(支持体)上に表4記載の組成(a)の水溶液を、以下の被覆率となるように塗布し、乾燥して試薬層を設けた。
Figure 2004180687
この試薬層の上に下記の表5記載の組成(b)の接着層水溶液を以下の被覆率となるように塗布し、乾燥して接着層を設けた。
Figure 2004180687
次いで接着層の上に30g/m2の割合で水を全面に供給してゼラチン層を膨潤させ、その上に純ポリエステル製のブロ−ド織物布地をほぼ一様に軽く圧力をかけてラミネ−トして多孔性展開層を設けた。
次にこの展開層の上から下記の表6記載の組成(c)の水溶液を以下の被覆率となるようにほぼ均一塗布し、乾燥させ、13mm×14mmに裁断し、プラスチック製マウント材内に収めることで、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を作成した。
Figure 2004180687
(3)ヒト全血からの核酸の抽出、精製
上記(1)で調製した緑膿菌を添加し調製した6水準のヒト全血を試料とし、そのそれぞれから、市販の核酸抽出、精製キット(QIAGEN社製、QIAamp DNA Blood Mini Kit)を用いて抽出、精製したゲノミック核酸断片を1mLの精製蒸留水中に回収することで、タ−ゲット核酸断片を含む核酸試料液を調製した。
(4)PCR増幅
上記(3)で、6水準のヒト全血試料から抽出・精製して得たタ−ゲット核酸断片を含む核酸試料液をそのまま用いて、以下の条件でPCR増幅を行った。
<プライマ−>
緑膿菌のゲノム核酸に特異的(ice nucleation protein(Inak)N末)な配列を持つ以下のプライマ−セットを使用した。
プライマ−(upper);
5'-GCGATGCTGTAATGACTCTCGACAAGC-3'(配列番号5)
プライマ−(lower);
5'-GGTCTGCAAATTCTGCGGCGTCGTC-3'(配列番号6)
以下に示す反応液の組成で、[変性:94℃・1分、アニ−リング:55℃・1分、ポリメラ−ゼ伸長反応:72℃・1分]を30サイクル繰り返することでPCR増幅を実施した。
<反応液の組成>
10×PCRバッファ− 5μL
2.5mM dNTP 4μL
20μM プライマ−(upper) 1μL
20μM プライマ−(lower) 1μL
Pyrobest 0.25μL
(3)で得た核酸試料液 5μL
精製水 33.75μL
(5)ピロ燐酸定量用分析素子を用いた検出
前記(4)におけるPCR増幅反応後の溶液をそのまま、上記(2)で製作したピロ燐酸定量用乾式分析素子上に各々20μL点着し、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を37℃にて5分間インキュベ−ション後、波長650nmにて支持体側から測定して得られた反射光学濃度(ODR)の時間変化を図4に、5分後の反射光学濃度(ODR)を図5に、ヒト全血中の緑膿菌個数と5分後の反射光学濃度(ODR)の関係を図6に示した。
実施例4の結果より、緑膿菌を含むヒト全血より定法に従って得たターゲット核酸断片を含む核酸試料液を、緑膿菌のゲノム核酸に特異的な配列を持つプライマーセットを使用しPCRを行い、そのPCR増幅反応後の溶液をそのままもちいて、生成したピロ燐酸を、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いて反射光学濃度(ODR)として測定することで、ヒト全血中に存在する緑膿菌の量に応じた反射光学濃度(ODR)が得られることがわかる。
実施例5:ピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いたアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2遺伝子)関連部位の1塩基多型(SNPs)検出 (1塩基多型に対応する部分をプライマーの3'末端付近に設定した例)
(1)ターゲット核酸断片を含む核酸試料液の調製
予め塩基配列のシーケンシングにより、ALDH2遺伝子関連部位の特定の1塩基種が異なることにより、ALDH2活性型またはALDH2不活性型であることが既知である、各々1人から採取した血液試料のそれぞれから、市販の核酸抽出、精製キット(QIAGEN社製、QIAamp DNA Blood Mini Kit)を用いて抽出、精製したゲノミック核酸断片を1mLの精製蒸留水中に回収することで、ターゲット核酸断片を含む核酸試料液を調製した。
(2)ピロ燐酸定量用乾式分析素子の作製
実施例4に記載の方法で、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を作成した。
(3)PCR増幅
上記(1)で、ALDH2活性型またはALDH2不活性型それぞれのヒト全血試料から抽出・精製して得たタ−ゲット核酸断片を含む核酸試料液をそのまま用いて、以下の条件でPCR増幅を行った。
<プライマー>
プライマーは、12番染色体上のALDH2遺伝子関連部位のなかに、共通のプライマー(upper)と、ALDH2の活性を決定する1塩基多型に対応する部分を3'末端付近に設定(lower-1とlower-2に記載のプライマー塩基配列の下線部分)した、ALDH2活性型および不活性型に対応する、2種のプライマ−(lower−1)および、プライマ−(lower−2)のセットを使用した。
プライマー(upper):
5'−AACGAAGCCCAGCAAATGA−3'(配列番号7)
プライマー(lower-1):
5'−GGGCTGCAGGCATACACAA−3'(配列番号8)
または、
プライマ−(upper):
5'−AACGAAGCCCAGCAAATGA−3'(配列番号9)
プライマ−(lower-2):
5'−GGGCTGCAGGCATACACAA−3'(配列番号10)
以下に示す反応液の組成で、[変性:94℃・20秒、アニーリング:60℃・30秒、ポリメラーゼ伸長反応:72℃・1分30秒]を35サイクル繰り返することでPCR増幅を実施した。
<反応液の組成>
10×PCRバッファ− 5μL
2.5mM dNTP 5μL
5μM プライマ−(upper) 2μL
5μM プライマ−(lower−1または−2) 2μL
Taq 0.5μL
(1)で得た核酸断片試料液 0.5μL
精製水 35μL
(4)ピロ燐酸定量用分析素子を用いた検出
前記(3)におけるPCR増幅反応後の溶液をそのまま、上記(2)で製作したピロ燐酸定量用乾式分析素子上に各々20μL点着し、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を37℃にて5分間インキュベーション後、波長650nmにて支持体側から測定して得られた反射光学濃度(ODR)の時間変化を図7に、5分後の反射光学濃度(ODR)を図8に示した。
実施例5の結果より、共通プライマーと、ALDH2の活性を決定する1塩基多型に対応する部分を3'末端付近に設定した、ALDH2活性型および不活性型に対応する2種のプライマーそれぞれとのプライマーセットを使用しPCRを行い、そのPCR増幅反応後の溶液をそのまま用いて、生成したピロリン酸量を、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いて反射光学濃度(ODR)の大小として測定し、その反射光学濃度(ODR)の大小と使用したALDH2活性型および不活性型に対応する2種のプライマ−の関係により、試料のALDH2の活性型、すなわちアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2遺伝子)関連部位の1塩基多型(SNPs)を検出することができることがわかる。
図1は、本発明の実施形態を説明する概念図である。 図2は、本発明のカートリッジ形態でのキットの例を示す斜視図である。 図3は、本発明のカートリッジ形態でのキットを使用する場合のシステム構成を示す斜視図である。 図4は、ヒト全血中の緑膿菌個数と反射光学濃度(ODR)の時間変化の関係を示す。 図5は、ヒト全血中の緑膿菌個数と5分後の反射光学濃度(ODR)の関係を示す。 図6は、ヒト全血中の緑膿菌個数と5分後の反射光学濃度(ODR)の関係を示す。 図7は、試料のALDH−2の活性型/不活性型と反射光学濃度(ODR)の時間変化の関係を示す。 図8は、試料のAHDH−2の型/プライマー種と5分後の反射光学濃度(ODR)の大小関係を示す。
符号の説明
10…キット
21…基体
22…蓋
31…開口部
32…反応セル
33…検出部
41…細管
51…乾式分析素子
61…温度コントロール部
62…温度コントロール部
71…検出部
72…検出部
81…プライマー
82…デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)
83…ポリメラーゼ

Claims (2)

  1. 分析するターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸、少なくとも一種のポリメラーゼ、及びピロ燐酸定量用乾式分析素子の各要素を含むターゲット核酸断片の分析キットであって、前記ピロ燐酸定量用乾式分析素子が、キサントシンまたはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備えるピロ燐酸定量用乾式分析素子であることを特徴とする、ターゲット核酸断片の分析キット。
  2. 分析するターゲット核酸断片の一部と相補的な少なくとも一種のプライマー、少なくとも一種のデオキシヌクレオシド3リン酸、少なくとも一種のポリメラーゼ、ピロホスファターゼ、及び無機燐定量用乾式分析素子の各要素を含むターゲット核酸断片の分析キットであって、前記無機燐定量用乾式分析素子が、キサントシンまたはイノシン、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備える無機燐定量用乾式分析素子である、ターゲット核酸断片の分析キット。
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