JP2004187605A - ターゲット核酸の検出方法 - Google Patents

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義英 岩木
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Abstract

【課題】PCR反応において複数のターゲット核酸を同時に検出する方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも3以上のターゲット核酸配列を含む鋳型核酸、上記ターゲット核酸を増幅するための少なくとも3対の増幅プライマー及びポリメラーゼを用いたポリメラーゼ伸長反応を行い、前記ポリメラーゼ伸長反応に伴って生成する生成するピロリン酸を検出することによりターゲット核酸を検出する方法において、(i)検出されるターゲット核酸の増幅産物の長さが互いに異なり、かつ(ii)各ターゲット核酸の増幅産物の長さが他のターゲット核酸の増幅産物の和と異なるように増幅プライマーを設計する、上記の方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のターゲット核酸の有無を同時に検出するための方法に関する。
【0002】
【従来技術】
ウイルス又は細菌等による感染症の臨床検査においては、血液等の体液、糞便、喀痰等を試料として検体の培養を行い、ウイルス、細菌等の病原体を同定することが行われている。しかしながらこれらの方法は、検体を培養するのに非常に長い時間を必要としたり、ウイルス、細菌の種類によっては培養自体がうまく行かないという問題もある。また検体を培養するには特別の技術を要する点でも、必ずしも迅速、簡便に満足のいく結果が得られる方法ではない。
【0003】
また、抗原抗体反応を利用してウイルス、細菌等の病原体を同定する方法も行われている。この方法は、検査の自動化も可能であり、迅速性、簡便性の点では良い方法である。しかしながら、病原体を抗原として検出する抗原検出方法においては、試料中に存在する病原体の量が不足することにより、病原体を検出できない場合があり、感度的に問題がある。また、病原体の種類に固有な抗原部位を決定することが困難であるという問題もある。一方、病原体の感染により、体内で産生された抗体を検出する抗体検出法においては、病原体の感染から抗体が産生されるまでに時間が必要で、その期間は検出できないという問題がある。
【0004】
これらに対して、ウイルス、細菌等の病原体の種類に固有な塩基配列を持つ核酸断片(ターゲット核酸断片)を、塩基配列の相補性を利用して検出する方法は、病原体を直接に同定することを可能にする方法であり、DNAプローブ法または、PCR(ポリメラーゼチェーンリアクション)法などの遺伝子検査法として普及している。例えば、HCV(C型肝炎ウイルス)遺伝子検査法は、C型肝炎のインターフェロン(INF)治療におけるINF投与の検討、治癒のモニタリングにおいて、HCV量を直接知ることのできる方法として威力を発揮している。
【0005】
今後さらに、ウイルス、細菌等の病原体の遺伝子的特長(Genotype)が明らかになり、その遺伝子的特徴を利用した新しい治療薬が開発されることが期待できる。その場合には、病原体の同定のみならず、その病原体の遺伝子的特徴を知ることが非常に重要である。まさに遺伝子検査法はその需要を満たすことのできる検査方法である。
【0006】
一方、病原体の同定に限らず、遺伝子検査法では個人の遺伝子的な特徴を直接検出することが可能であるので、遺伝子疾患の原因である遺伝子の変異の検出、癌や糖尿病などの生活習慣病などの病気にかかりやすさを左右している遺伝子的要因の検出にも用いることができる。特に、ヒトゲノムの全塩基配列が決定された後は、ポストゲノム研究として、今まで以上に遺伝子的特長と疾患の関係が明らかにされていき、さらに遺伝子的特長を利用した治療薬が開発されていくことが期待できる。ポストゲノム研究の進展に伴って、今後ますます遺伝子検査法の需要が大きくなっていくことが予想される。
【0007】
上記したような遺伝子検査法において複数のターゲット核酸を検出する場合、各々のターゲット核酸について別々の核酸増幅反応を行い、増幅の有無によりターゲット核酸の有無を検出していた。しかし、この方法では反応・検出操作が複数必要であり、操作が煩雑であった。
【0008】
また、複数のターゲット核酸に特異的な複数のプライマーを同時に用いて、複数のターゲット核酸を同じ反応液中で同時に増幅する方法(Multiplex PCRとも称する)も知られている。この場合、各々のターゲット核酸の増幅産物の長さを異なるように設計すれば、各々の増幅産物を電気泳動で検出することができる。
【0009】
一方、ターゲット核酸断片の特定領域にヌクレアーゼ耐性を有するオリゴヌクレオチドプライマーをハイブリダイズさせ、デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)、DNAポリメラーゼ、ヌクレアーゼの存在下で伸長反応、分解反応を繰り返して、生成するピロ燐酸又はデオキシヌクレオシドモノリン酸を検出する方法が、特開平7−231799号公報に開示されている。ポリメラーゼ伸長反応に伴って生成するピロ燐酸を検出することによるターゲット核酸断片の検出方法は、ポリメラーゼ伸長反応の副産物である一般化学物質を検出することで、ターゲット核酸断片の検出を可能にしている点で優れている。
【0010】
しかしながら、Multiplex PCRの増幅産物をピロリン酸の測定で検出する場合、ピロリン酸の全体量を測定することは可能であるが、増幅産物がどのターゲット核酸由来であるかを区別することができず、複数のターゲット核酸の存在の有無を同時に検出することはできない。
【0011】
【特許文献1】
特開平7−231799号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、PCR反応において複数のターゲット核酸を同時に検出する方法を提供することを解決すべき課題とする。特に、本発明は、ピロリン酸検出用乾式分析素子に適用可能な、簡便かつ迅速に複数のターゲット核酸を同時に検出する方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、検出されるターゲット核酸の増幅産物の長さが互いに異なり、そして3種類以上のターゲット核酸を同時に検出する場合には各ターゲット核酸の増幅産物の長さが他のターゲット核酸の増幅産物の和と異なるように、増幅プライマーを設計することにより、ピロリン酸検出用乾式分析素子を用いて簡便かつ迅速に複数のターゲット核酸を同時に検出することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明によれば、2種類のターゲット核酸配列を含む鋳型核酸、上記ターゲット核酸を増幅するための2対の増幅プライマー及びポリメラーゼを用いたポリメラーゼ伸長反応を行い、前記ポリメラーゼ伸長反応に伴って生成する生成するピロリン酸を検出することによりターゲット核酸を検出する方法において、検出されるターゲット核酸の増幅産物の長さが互いに異なるように増幅プライマーを設計する、上記の方法が提供される。
【0015】
さらに本発明によれば、少なくとも3以上のターゲット核酸配列を含む鋳型核酸、上記ターゲット核酸を増幅するための少なくとも3対の増幅プライマー及びポリメラーゼを用いたポリメラーゼ伸長反応を行い、前記ポリメラーゼ伸長反応に伴って生成する生成するピロリン酸を検出することによりターゲット核酸を検出する方法において、(i)検出されるターゲット核酸の増幅産物の長さが互いに異なり、かつ(ii)各ターゲット核酸の増幅産物の長さが他のターゲット核酸の増幅産物の和と異なるように増幅プライマーを設計する、上記の方法が提供される。
【0016】
好ましくは、比色法を用いてピロリン酸の検出を行う。
好ましくは、乾式分析素子を用いてピロ燐酸の検出を行う。
好ましくは、乾式分析素子は、キサントシンまたはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備えるピロ燐酸定量用乾式分析素子である。
好ましくは、ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプターゼ)からなるグループから選択される。
【0017】
好ましくは、ピロ燐酸の検出を、ピロ燐酸を酵素的に無機燐酸に変換した後、次いでキサントシンまたはイノシン、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備える無機燐定量用乾式分析素子を用いて行う。
好ましくは、ピロ燐酸を無機燐酸に変換する酵素は、ピロホスファターゼである。
好ましくは、ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプターゼ)からなるグループから選択される。
【0018】
好ましくは、ターゲット核酸の検出は、ターゲット核酸の存在または存在量の検出、ターゲット核酸の塩基配列の検出、あるいはターゲット核酸の変異または多型の検出である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のターゲット核酸の検出方法では、ポリメラーゼ反応時の反応副生物であるピロリン酸を用いてターゲット核酸を検出する方法であり、より好ましくはピロ燐酸の分析を比色法を用いて行う方法であり、さらに好ましくは、ピロ燐酸の検出を乾式分析素子を用いて行う方法にある。
【0020】
本発明の方法の第一の好ましい形態を以下に列記する。
(イ) ピロ燐酸の検出を、キサントシンまたはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備えることを特徴とするピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いて行う。
(ロ) ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプターゼ)からなるグループから選択されるポリメラーゼを用いる。
【0021】
さらに、本発明の第二の好ましい形態は、ポリメラーゼ反応時の反応副生物であるピロリン酸を用いてターゲット核酸を検出する際に、ピロ燐酸の検出を、ピロ燐酸を酵素的に無機燐酸に変換した後、次いでキサントシンまたはイノシン、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備える無機燐定量用乾式分析素子を用いて行う態様である。
【0022】
本発明の第二の形態での、ターゲット核酸断片分析方法の好ましい形態を以下に列記する。
(イ) ピロ燐酸を変換する酵素として、ピロホスファターゼを用いる。
(ロ) ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプターゼ)からなるグループから選択されるポリメラーゼを用いる。
【0023】
以下に本発明の実施の形態について更に詳細に説明する。
【0024】
(A)ターゲット核酸:本発明において分析の対象となるターゲット核酸断片とは、少なくとも一部の塩基配列が既知であるポリヌクレオチドであり、動物、微生物、細菌、植物などすべての生物から単離されるゲノミックDNA断片、および細胞中に含まれるmRNA、またはmRNAを鋳型として合成されたcDNA断片が対象となり得る。またウイルスから単離可能なRNA断片またはDNA断片も対象とすることが可能である。ターゲット核酸断片はできる限り精製され、核酸断片以外の余分な成分が取り除かれていることが望ましい。例えば、動物(例えば人間)の血液から単離したゲノミックDNA断片を対象とする場合または血液中に存在する感染細菌やウイルスの核酸(DNAまたはRNA)断片を対象とする場合、単離の過程で破壊された白血球細胞膜、赤血球中から溶出したヘモグロビン、および血液中存在するその他の一般化学物質は、十分に取り除いておく必要がある。特にヘモグロンビンは、続いておこなうポリメラーゼ伸長反応を阻害する。また血液中に一般生化学物質として存在するピロ燐酸や燐酸は、ポリメラーゼ伸長反応により生成するピロ燐酸の正確な検出の妨害要因になる。
【0025】
(B)ターゲット核酸断片と相補的なプライマー:本発明において使用するターゲット核酸断片と相補的なプライマーは、ターゲット核酸断片の塩基配列が既知である目的の部位に対して相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである。このターゲット核酸断片と相補的なプライマーがターゲット核酸断片の目的の部位にハイブリダイゼーションすることで、プライマーの3’末端を起点に、ターゲット核酸を鋳型としポリメラーゼ伸長反応が進行する。即ち、本発明においてはプライマーがターゲット核酸断片の目的の部位を認識して特異的にハイブリダイゼーションするか否かがポイントとなる。本発明で使用するプライマーの好ましい塩基数は5〜60塩基である。特に好ましくは15〜40塩基である。プライマーの塩基数は少なすぎると、ターゲット核酸断片の目的の部位との特異的性が低下するだけでなく、ターゲット核酸断片とのハイブリッド自体が安定に形成できない。また、プライマーの塩基数は多すぎると、プライマー間またはプライマー内で塩基間の水素結合により2本鎖を形成してしまい、やはり特異性が低下する。
【0026】
本発明において2種類のターゲット核酸を同時に検出する場合には、検出されるターゲット核酸の増幅産物の長さが互いに異なるように増幅プライマーを設計する。また、本発明において3種類以上のターゲット核酸を同時に検出する場合には、(i)検出されるターゲット核酸の増幅産物の長さが互いに異なり、かつ(ii)各ターゲット核酸の増幅産物の長さが他のターゲット核酸の増幅産物の和と異なるように増幅プライマーを設計する。ここで言う「各ターゲット核酸の増幅産物の長さが他のターゲット核酸の増幅産物の和と異なるように」とは、複数のターゲット核酸の何れか1種のターゲット核酸の増幅産物の長さが、それ以外のターゲット核酸の全て又は任意の複数の増幅産物の長さの和と異なるということを意味する。例えば、長さがA、B及びCの3種類のターゲット核酸を使用する場合は、(i)A≠B≠C(A>B>Cとする)、かつ、(ii)A≠B+C、であることを意味する。また、長さがA、B、C及びDの4種類のターゲット核酸を使用する場合は、(i)A≠B≠C≠D(A>B>C>Dとする)、かつ、(ii)A≠B+C+D、A≠B+C、A≠B+D、A≠C+D、A+D≠B+C、であることを意味する。
本発明においては上記のように設計した複数のターゲット核酸を合成するための複数のプライマーを同じ反応液中で用いて核酸伸長反応を行い、複数のターゲット核酸を同時に合成する。
【0027】
本発明の方法を用いてターゲット核酸断片の塩基配列を検出する場合、特に変異または多型の有無を検出する場合は、目的の変異または多型の部分を含むように、変異または多型に対応する塩基の種類でプライマーを設計する。そうすることで、ターゲット核酸断片の変異または多型の有無により、ターゲット核酸断片へのプライマーのハイブリダイゼーションの有無に差異が生じ、結果的にポリメラーゼ伸長反応の差異として検出することが可能になる。また、変異または多型に対応する部分をプライマーの3'末端付近に設定することでポリメラーゼの反応部位の認識に差異が生じ、結果的にポリメラーゼ伸長反応の差異として検出することも可能である。
【0028】
(C)ポリメラーゼ:本発明において使用するポリメラーゼは、ターゲット核酸がDNAの場合は、ターゲット核酸断片の一本鎖に変性された部分にプライマーがハイブリダイゼーションすることで形成された2本鎖の部分を起点として、5’→3’の方向に、デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)を材料として、ターゲット核酸断片を鋳型にして相補的な伸長反応を触媒するDNAポリメラーゼである。具体的に使用されるDNAポリメラーゼとしては、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ等がある。DNAポリメラーゼは目的に応じて選択または組み合わせることが可能である。例えば、ターゲット核酸断片の一部を増幅(例えばPCR法)する場合には、耐熱性に優れたTaq DNAポリメラーゼを用いることが有効である。また、「BIO INDUSTRY,Vol.18,No.2,2001」に記載されている増幅法(LAMP法:Loop−mediated Isothermal Amplification of DNA)を用いてターゲット核酸断片の一部を増幅する場合には、5’→3’方向へのヌクレアーゼ活性がなく、かつ鋳型上の2本鎖DNAを1本鎖DNAとして遊離させながら伸長反応を触媒する鎖置換型のDNAポリメラーゼとして、Bst DNAポリメラーゼを使用することが有効である。その他、目的に応じて、3’→5’方向へのヘキソヌクレアーゼ活性を持つ、DNAポリメラーゼα、T4 DNAポリメラーゼ、及びT7 DNAポリメラーゼを併用することも可能である。
【0029】
また、RNAウイルスのゲノミック核酸またはmRNAがターゲット核酸断片である場合には、逆転写活性を有するリバーストランスクリプターゼを使用することが可能である。さらに、リバーストランスクリプターゼとTaq DNAポリメラーゼを併用することも可能であり、逆転写活性をDNAポリメラーゼ活性を併せ持つ酵素を用いることも可能であり、これらは本発明の好ましい態様であるRT−PCR法の場合である。
【0030】
(D)ポリメラーゼ伸長反応:本発明において対象となるポリメラーゼ伸長反応には、前記(A)に記載されているようなターゲット核酸断片の1本鎖に変性された部分の一部に特異的にハイブリダイゼーションした、前記(B)に記載されているようなターゲット核酸断片と相補的なプライマーの3’末端を起点として、デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)を材料として、前記(C)に記載されているようなポリメラーゼを触媒として、ターゲット核酸断片を鋳型にして進行する相補的な核酸の伸長反応の全てが含まれる。この相補的な核酸の伸長反応とは、少なくとも2回(2塩基分)、連続しての伸長反応が起こることをさしている。
【0031】
以下に、例として代表的なポリメラーゼ伸長反応、およびポリメラーゼ伸長反応を伴うターゲット核酸断片の目的部位の増幅反応の例を示す。ターゲット核酸断片を鋳型にして、5’→3’の方向へのポリメラーゼ伸長反応を一度だけ行う場合が最も単純である。このポリメラーゼ伸長反応は等温の条件で実施することができる。この場合には、ポリメラーゼ伸長反応の結果として生成するピロ燐酸の量は、最初のターゲット核酸断片の量に比例する。即ち定量的にターゲット核酸断片の存在を検出するのに適した方法である。
【0032】
ターゲット核酸の量が少ない場合は、ポリメラーゼ伸長反応を利用した何らかの手段でターゲット核酸の目的部分を増幅することが好ましい。ターゲット核酸の増幅には、これまで開発、発明されてきた各種の方法を使用することができる。ターゲット核酸の増幅法で最も一般的で普及している方法はPCR(ポリメラーゼチェーンリアクション)法である。PCR法では、反応液の温度の上げ下げを周期的にコントロールすることにより、変性(核酸断片を2本鎖から1本鎖に変性する工程)→アニーリング(1本鎖に変性した核酸断片にプライマーをハイブイリダイズさせる工程)→ポリメラーゼ(TaqDNAポリメラーゼ)伸長反応→ディネイチャーの周期的な工程を繰り返すことで、ターゲット核酸断片の目的部分を増幅する方法である。最終的に、ターゲット核酸断片の目的部位は初期量の100万倍にも増幅し得る。そのためPCR法の増幅過程でのポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も多くなり、検出が容易になる。
【0033】
特開平5−130870号公報に記載されている、エクソヌクレアーゼを用いたサイクリングアッセイ法もポリメラーゼ伸長反応を利用した、ターゲット核酸断片の目的部位の増幅法の一つである。この方法はターゲット核酸断片の目的部位に特異的にハイブリダイゼーションしたプライマーを起点とした、ポリメラーゼ伸長反応とともに、5’→3’エクソヌクレアーゼを作用させて、プライマーを逆方向から分解する方法である。分解したプライマーの代わりに新たなプライマーがハイブリダイゼーションし、再度DNAポリメラーゼによる伸長反応が進行する。このポリメラーゼによる伸長反応と、この先に伸長した鎖を外すエクソヌクレーアゼによる分解反応が順次、周期的に繰り返される。ここで、ポリメラーゼによる伸長反応とエクソヌクレーアゼによる分解反応は等温条件で実施することが可能である。このサイクリングアッセイ法においても繰り返されるポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も多くなり、検出が容易になる。
【0034】
近年開発されたターゲット核酸断片の目的部位の増幅法として、前記LAMP法がある。この方法は、ターゲット核酸断片の少なくとも6個所の特定部位を相補的に認識する少なくとも4種のプライマーと、5’→3’方向へのヌクレアーゼ活性がなく、かつ鋳型上の2本鎖DNAを1本鎖DNAとして遊離させながら伸長反応を触媒する鎖置換型のBst DNAポリメラーゼを使用することで、等温条件でターゲット核酸断片の目的部位を、特別な構造として増幅する方法である。このLAMP法の増幅効率は高く、ポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も非常に多くなり、検出が容易になる。
【0035】
ターゲット核酸断片がRNA断片の場合は、逆転写活性を有するリバーストランスクリプターゼを使用し、RNA鎖を鋳型にして伸長反応を行うことが可能である。さらにリバーストランスクリプターゼとTaq DNAポリメラーゼを併用し、RT(リバーストランスクリプション)反応に引き続いてPCR反応を行う、RT−PCR法を用いることができる。ここでは、逆転写活性をDNAポリメラーゼ活性を併せ持つ酵素を用いることも可能である。このRT反応またはRT−PCR反応で生成するピロ燐酸を検出することで、ターゲット核酸断片のRNA断片の存在を検出することができる。この方法は、RNAウイルスの存在を検出する場合に有効である。
【0036】
(E)ピロ燐酸(PPi)の検出:従来からピロ燐酸(PPi)の検出法としては、式1に示された方法が知られている。この方法では、ピロ燐酸(PPi)をスルフリラーゼによりアデノシン3燐酸(ATP)に変換し、アデノシン3燐酸がルシフェラーゼによりルシフェリンに作用して生じる発光を検出する。そのため、この方法でピロ燐酸(PPi)を検出するには発光を測定できる装置が必要である。
【0037】
【化1】
Figure 2004187605
【0038】
本発明に適したピロ燐酸の検出方法は式2または式3に示した方法である。式2または式3に示した方法は、ピロ燐酸(PPi)をピロホスファターゼで無機燐酸(Pi)に変換し、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)により無機燐酸(Pi)をキサントシンまたはイノシンと反応させ、生じたキサンチンまたはヒポキサンチンをキサンチンオキシダーゼ(XOD)により酸化して尿酸を生成させ、この酸化過程で生じる過酸化水素(H22)を用いてペルオキシダーゼ(POD)により発色剤(色素前駆体)を発色させ、これを比色するものである。これら式2または式3に示した方法では結果を比色で検出できるため、目視または簡単な比色測定装置を用いてピロ燐酸(PPi)の検出が可能である。
【0039】
【化2】
Figure 2004187605
【0040】
【化3】
Figure 2004187605
【0041】
ピロホスファターゼ(EC3,6,1,1)プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP,EC2.4.2.1)、キサンチンオキシダーゼ(XOD,EC1.2.3.2)及びペルオキシダーゼ(POD,EC1.11.1.7)は市販のものを使用することができる。発色剤(すなわち色素前駆体)は、過酸化水素とペルオキシダーゼ(POD)により色素を生成させるものであればよく、例えば、ロイコ色素の酸化によって色素を生成する組成物(例、米国特許4,089,747等に記載のトリアリールイミダゾールロイコ色素、特開昭59−193352号公報(EP 0122641A)等に記載のジアリールイミダゾーロイコ色素);酸化されたときに他の化合物とカップリングにより色素を生成する化合物を含む組成物(例えば4−アミノアンチピリン類とフェノール類又はナフトール類)などを使用することができる。
【0042】
(F)乾式分析素子:本発明において使用することのできる乾式分析素子とは、一層または複数層の機能層からなる分析素子であって、その少なくとも一層(または複数の層に渡って)に検出試薬を含有させ、層内での反応により生じた生成色素を、分析素子の外から反射光あるいは透過光により比色定量するものである。
【0043】
このような乾式分析素子を用いて定量分析するには、液体試料を展開層の表面に一定量点着する。展開層で展開された液体試料は試薬層に達し、ここで試薬と反応し、発色する。点着後、乾式分析素子を適当な時間、一定温度に保って(インクベーション)発色反応を充分に進行させた後、例えば透明支持体側から照明光を試薬層に照射し、特定波長域で反射光量を測定して反射光学濃度を求め、予め求めておいた検量線に基づいて定量分析を行う。
【0044】
乾式分析素子においては、検出を行うまでは乾燥状態で貯蔵・保管されるため、試薬を用時調製する必要がなく、また一般に乾燥状態の方が試薬の安定性が高いことから、試薬溶液を用時調製しなければならないいわゆる湿式法より簡便性、迅速性に優れている。また、微量の液体試料で、精度の高い検査を迅速に行うことができる検査方法としても優れている。
【0045】
(G)ピロ燐酸定量用乾式分析素子:本発明で使用することのできるピロ燐酸定量用乾式分析素子は、公知の多種の乾式分析素子と同様の層構成とすることができる。乾式分析素子は、前記(E)項(ピロ燐酸(PPi)の検出)における、式2または式3の反応を行うための試薬の他、支持体、展開層、検出層、光遮蔽層、接着層、吸水層、下塗り層その他の層を含む多重層としてもよい。このような乾式分析素子として、例えば特開昭49−53888号公報(対応米国特許3,992,158)、特開昭51−40191号公報(対応米国特許4,042,335)、及び特開昭55−164356号公報(対応米国特許4,292,272)、特開昭61−4959号公報(対応EPC公開特許0166365A)の各明細書に開示されたものがある。
【0046】
本発明で用いることができる乾式分析素子としては、ピロ燐酸を無機燐に変換する試薬、および無機燐の量に応じた発色反応を行う試薬群を含有する試薬層を備えるピロ燐酸定量用乾式分析素子が挙げられる。
このピロ燐酸定量用乾式分析素子においては、ピロホスファターゼを用いて酵素的にピロ燐酸(PPi)を無機燐(Pi)に変換するまでは本明細書中上記した通り行うことができ、それ以降は、生化学検査分野で既知の以下に述べる「無機燐の定量法」(及びそれらに用いられる各反応の組み合わせ)を用いることにより、無機燐(Pi)の量に応じた発色反応を行うことができる。
【0047】
なお、「無機燐」を表記する場合、燐酸(燐酸イオン)として、「Pi」と表記する場合と「HPO4 2-、H2PO4 1-」と表記する両方の場合がある。以下に示す反応の例では、「Pi」として表記するが、同じ反応式に対して「HPO4 2-」と表記する場合もある。
【0048】
無機燐の定量法としては酵素法と燐モリブテン酸塩法が知られている。以下、無機燐の定量法としての酵素法と燐モリブテン酸塩法について説明する。
【0049】
a.酵素法
Piを定量検出するための一連の反応における最後の「呈色反応」に用いる酵素に応じて、ペルオキシダーゼ(POD)を用いる方法とグルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)を用いる方法がある。以下、これらの方法の具体例を説明する。
【0050】
(1)ペルオキシダーゼ(POD)を用いる方法の例
(1−1)
無機燐(Pi)を、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)により、イノシンと反応させ、生じたヒポキサンチンをキサンチンオキシダーゼ(XOD)により酸化して尿酸を生成する。この酸化過程で生じる過酸化水素(H22)を用いて、ペルオキシダーゼ(POD)により、4−アミノアンチピリン(4−AA)とフェノールとを酸化縮合させてキノンイミン色素を形成し、これを比色する。
【0051】
(1−2)
無機燐(Pi)、コカルボキシラーゼ(TPP)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、Mg2+の存在下で、ピルビン酸をピルビン酸オキシダーゼ(POP)により酸化してアセチル酢酸を生成する。この酸化過程で生じる過酸化水素(H22)を用いて、上記(1−1)の場合と同様に、ペルオキシダーゼ(POD)により、4−アミノアンチピリン(4−AA)とフェノールとを酸化縮合させてキノンイミン色素を形成し、これを比色する。
【0052】
なお、上記の(1−1)および(1−2)における最後の呈色反応は、過酸化水素の検出試薬として既知の「Trinder試薬」を使用して行うことができる。この反応で、フェノールは「水素供与体」として働く。「水素供与体」として用いるフェノールは古典的で、現在は改良された様々な「水素供与体」が使用されている。このような水素供与体の具体例としては、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニリジン、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニリジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン、及びN−スルホプロピルアニリンなどが挙げられる。
【0053】
(2)グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)を用いる方法
(2−1)
無機燐(Pi)とグリコーゲンとをホスホリラーゼを用いて反応させ、グルコース−1−燐酸(G−1−P)を生成させる。生じたグルコース−1−燐酸をホスホグルコムターゼ(PGM)により、グルコース−6−燐酸(G−6−P)にする。グルコース−6−燐酸とニコチアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)との存在下、グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)により、NADを還元してNADHにし、これを比色する。
【0054】
(2−2)
無機燐(Pi)とマルトースとをマルトースホスホリラーゼ(MP)を用いて反応させ、グルコース−1−燐酸(G−1−P)を反応させる。以下、上記(2−1)と同様に、生じたグルコース−1−燐酸をホスホグルコムターゼ(PGM)により、グルコース−6−燐酸(G−6−P)にする。グルコース−6−燐酸とニコチアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)との存在下、グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)により、NADを還元してNADHにし、これを比色する。
【0055】
b.燐モリブテン酸塩法
酸性下で無機燐(燐酸塩)と水溶性モリブテン酸イオンとを錯化させた「燐モリブテン酸塩(H3[PO4Mo1236])を直接定量する「直接法」と、上記直接法の反応に続いて、還元剤により、Mo(IV)からMo(III)として、モリブテン青(Mo(III))を定量する「還元法」とがある。水溶性モリブテン酸イオンの例としては、モリブテン酸アルミニウム、モリブテン酸カドミウム、モリブテン酸カルシウム、モリブテン酸バリウム、モリブテン酸リチウム、モリブテン酸カリウム、モリブテン酸ナトリウム、モリブテン酸アンモニウムなどが挙げられる。還元法で使用される代表的な還元剤の例としては、1,2,4アミノナフトールスルホン酸、硫酸第一鉄アンモニウム、塩化第一鉄、塩化第一スズ−ヒドラジン、硫酸−p−メチルアミノフェノール、N,N−ジメチル−フェニレンジアミン、アスコルビン酸、マラカイトグリーンなどが挙げられる。
【0056】
光透過性水不透過性支持体を用いる場合の乾式分析素子は、実用的に次のような構成を取り得る。ただし、本発明の内容はこれに限定されない。
(1) 支持体上に試薬層を有するもの。
(2) 支持体上に検出層、試薬層をこの順に有するもの。
(3) 支持体上に検出層、光反射層、試薬層をこの順に有するもの。
(4) 支持体上に第2試薬層、光反射層、第1試薬層をこの順に有するもの。
(5) 支持体上に検出層、第2試薬層、光反射層、第1試薬層をこの順に有するもの。
【0057】
上記(1)ないし(3)において試薬層は異なる複数の層から成ってもよい。例えば第1試薬層には、式2または式3に示すピロホスファターゼ反応に必要な酵素ピロホスファターゼ、PNP反応に必要な基質キサントシンまたは基質イノシンと酵素PNPを、第2試薬層には、式2または式3に示すXOD反応に必要な酵素XODを、そして第3試薬層には、式2または式3に示すPOD反応に必要な酵素PODと発色色素(色素前駆体)を、それぞれ含有させてもよい。あるいは試薬層を2層として、第1試薬層ではピロホスファターゼ反応とPNP反応を、第2試薬層ではXOD反応とPOD反応を進行させてもよい。又は、第1試薬層ではピロホスファターゼ反応とPNP反応とXOD反応を、第2試薬層でPOD反応を進行させてもよい。
【0058】
なお支持体と試薬層又は検出層との間には吸水層を設けてもよい。また各層の間には濾過層を設けてもよい。また試薬層の上には展開層を設けてもよく、その間に接着層を設けてもよい。
【0059】
支持体は光不透過性(不透明)、光半透過性(半透明)、光透過性(透明)のいずれのものも用いることができるが、一般的には光透過性で水不透過性の支持体が好ましい。光透過性水不透過性支持体の材料として好ましいものはポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンである。親水性層を強固に接着させるため通常、下塗り層を設けるか、親水化処理を施す。
【0060】
試薬層として多孔性層を用いる場合、その多孔性媒体は繊維質であってもよいし、非繊維質であってもよい。繊維質材料としては、例えば濾紙、不織布、織物布地(例えば平織り布地)、編物布地(例えばトリコット編物布地)、ガラス繊維濾紙等を用いることができる。非繊維質材料としては特開昭49−53888号公報等に記載の酢酸セルロースなどからなるメンブランフイルター、特開昭49−53888号公報、特開昭55−90859号公報(対応米国特許4,258,001)特開昭58−70163号公報(対応米国特許4,486,537)等に記載の無機物又は有機物微粒子からなる連続空隙含有粒状構造物層等のいずれでもよい。特開昭61−4959号公報(対応欧州公開EP 0166365A)、特開昭62−116258号公報、特開昭62−138756号公報(対応欧州公開EP 0226465A)、特開昭62−138757号公報(対応欧州公開EP 0226465A)、特開昭62−138758号公報(対応欧州公開EP 0226465A)等に記載の部分接着された複数の多孔性層の積層物も好適である。
【0061】
多孔性層は、供給される液体の量にほぼ比例した面積に液体を展開する、いわゆる計量作用を有する展開層であってもよい。展開層としては、これらのうち織物布地、編物布地などが好ましい。織物布地などは特開昭57−66359号公報に記載されたようなグロー放電処理をしてもよい。展開層には、展開面積、展開速度等を調節するため特開昭60−222770号公報(対応:EP 0162301A)、特開昭63−219397号公報(対応西独特許公開DE 3717913A)、特開昭63−112999号公報(対応:DE 3717913A)、特開昭62−182652号公報(対応:DE 3717913A)に記載したような親水性高分子あるいは界面活性剤を含有させてもよい。
【0062】
例えば紙、布、高分子からなる多孔質膜等に本発明の試薬を予め含浸又は塗布した後、支持体上に設けた他の水浸透性層、例えば検出層の上に、特開昭55−1645356号公報のような方法で接着させるのも有用な方法である。
【0063】
こうして作られる試薬層の厚さは特に制限されないが、塗布層として設ける場合には、1μm〜50μm程度、好ましくは2μm〜30μmの範囲が適当である。ラミネートによる積層など、塗布以外の方法による場合、厚さは数十μmから数百μmの範囲で大きく変化し得る。
【0064】
親水性ポリマーバインダーからなる水浸透性層で試薬層を構成する場合、使用できる親水性ポリマーとしては、例えば、以下のものがある。ゼラチン及びこれらの誘導体(例えばフタル化ゼラチン)、セルロース誘導体(例えばヒドロキシエチルセルロース)、アガロース、アルギン酸ナトリウム、アクリルアミド共重合体やメタアクリルアミド共重合体(例えば、アクリルアミド又はメタアクリルアミドと各種ビニル性モニマーとの共重合体)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸と各種ビニル性モノマーとの共重合体などである。
【0065】
親水性ポリマーバインダーで構成される試薬層は、特公昭53−21677号公報(対応米国特許3,992,158)、特開昭55−164356号公報(対応米国特許4,292,272)、特開昭54−101398号公報(対応米国特許4,132,528)等の明細書に記載の方法に従って本発明の試薬組成物と親水性ポリマーを含む水溶液又は水分散液を支持体又は検出層等の他の層の上に塗布し乾燥することにより設けることができる。親水性ポリマーをバインダーとする試薬層の乾燥時の厚さは約2μm〜約50μm、好ましくは約4μm〜約30μmの範囲、被覆量では約2g/m2〜約50g/m2、好ましくは約4g/m2〜約30g/m2の範囲である。
【0066】
試薬層には式2または式3の試薬組成物の他に、塗布特性、拡散性化合物の拡散性、反応性、保存性等の諸性能の向上を目的として、酵素の活性化剤、補酵素、界面活性剤、pH緩衝剤組成物、微粉末、酸化防止剤、その他、有機物あるいは無機物からなる各種添加剤を加える事ができる。試薬層に含有させることができる緩衝剤はの例としては、日本化学学会編「化学便覧 基礎」(丸善(株)、1966年発行)1312−1320頁、R.M.C.Dawson et al編、「Data for Biochemical Research」第2版(Oxford at the Clarendon Press,1969年発行)476−508頁、「Biochemistry」5,467−477頁(1966年)、「Analytical Biochemistry」104,300−310頁(1980年)に記載のpH緩衝剤系がある。pH緩衝剤系の具体例として硼酸塩を含む緩衝剤;クエン酸又はクエン酸塩を含む緩衝剤;グリシンを含む緩衝剤;ビシン(Bicine)を含む緩衝剤;HEPESを含む緩衝剤;MESを含む緩衝剤などのグッド緩衝剤等がある。なお燐酸塩を含む緩衝剤は、ピロ燐酸検出用乾式分析素子に使用することはできない。
【0067】
本発明で使用することのできる、ピロ燐酸定量用乾式分析素子は前述の諸特許明細書に記載の公知の方法により調製することができる。ピロ燐酸定量用乾式分析素子は一辺約5mmから約30mmの正方形またはほぼ同サイズの円形等の小片に裁断し、特公昭57−283331号公報(対応米国特許4,169,751)、実開昭56−142454号公報(対応米国特許4,387,990)、特開昭57−63452号公報、実開昭58−32350号公報、特表昭58−501144号公報(対応国際公:WO083/00391)等に記載のスライド枠に収めて化学分析スライドとして用いることが製造,包装,輸送,保存,測定操作等の観点で好ましい。使用目的によっては、長いテープ状でカセットまたはマガジンに収めて用いたり、又は小片を開口のある容器内に収めて用いたり、又は小片を開口カードに貼付または収めて用いたり、あるいは裁断した小片をそのまま用いることなどもできる。
【0068】
本発明で使用することのできるピロ燐酸定量用乾式分析素子は前述の諸特許明細書等に記載の操作と同様の操作により液体試料中の被検物であるピロ燐酸の定量検出ができる。例えば約2μL〜約30μL、好ましくは4μL〜15μLの範囲の水性液体試料液を試薬層に点着する。点着した分析素子を約20℃〜約45℃の範囲の一定温度で、好ましくは約30℃〜約40℃の範囲内の一定温度で1〜10分間インキュベーションする。分析素子内の発色又は変色を光透過性支持体側から反射測光し、予め作成した検量線を用いて比色測定法の原理により検体中のピロ燐酸の量を求めることができる。点着する液体試料の量、インキュベーション時間及び温度を一定にすることにより定量分析を高精度に実施できる。
【0069】
測定操作は特開昭60−125543号公報、特開昭60−220862号公報、特開昭61−294367号公報、特開昭58−161867号公報(対応米国特許4,424,191)などに記載の化学分析装置により極めて容易な操作で高精度の定量分析を実施できる。なお、目的や必要精度によっては目視により発色の度合いを判定して、半定量的な測定を行ってもよい。
【0070】
本発明で使用することのできる、ピロ燐酸定量乾式分析素子においては、分析を行うまでは乾燥状態で貯蔵・保管されるため、試薬を用時調製する必要がなく、また一般に乾燥状態の方が試薬の安定性が高いことから、試薬溶液を用時調製しなければならないいわゆる湿式法より簡便性、迅速性に優れている。また、微量の液体試料で、精度の高い検査を迅速に行うことができる検査方法としても優れている。
【0071】
本発明の第二の形態において使用することのできる無機燐定量用乾式分析素子は、前記のピロ燐酸定量乾式分析素子における試薬層からピロホスファターゼを除くことで調製することができる。また、特開平7−197号公報に記載の乾式分析素子を使用することも可能である。無機燐定量用乾式分析素子は、試薬層にピロホスファターゼを含有しない以外は、その層構成、製造方法、使用方法において、前記ピロ燐酸定量乾式分析素子と同様である。
以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。しかしながら、本実施例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0072】
【実施例】
実施例1:ピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いたアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2遺伝子)関連部位の1塩基多型(E487K)とプリオン蛋白質(PrP)遺伝子の関連部位の1塩基多型(M129V)の同時検出
(1)タ−ゲット核酸断片の塩基情報の取得
Human Genomic DNA(Clonetech社製)のALDH2遺伝子関連部位及びPrP遺伝子関連部位の1塩基多型のシークエンスを行い、当該部位の塩基配列情報を得た.ちなみに、ALDH2は、G/G型のホモ、PrPは、G/A型のヘテロであった。
【0073】
(2)ピロ燐酸定量用乾式分析素子の作製
ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)平滑フイルムシ−ト(支持体)上に表1記載の組成(a)の水溶液を、以下の被覆率となるように塗布し、乾燥して試薬層を設けた。
【0074】
【表1】
Figure 2004187605
【0075】
この試薬層の上に下記の表2記載の組成(b)の接着層水溶液を以下の被覆率となるように塗布し、乾燥して接着層を設けた。
【0076】
【表2】
Figure 2004187605
【0077】
次いで接着層の上に30g/m2の割合で水を全面に供給してゼラチン層を膨潤させ、その上に純ポリエステル製のブロ−ド織物布地をほぼ一様に軽く圧力をかけてラミネ−トして多孔性展開層を設けた。
【0078】
次にこの展開層の上から下記の表3記載の組成(c)の水溶液を以下の被覆率となるようにほぼ均一塗布し、乾燥させ、13mm×14mmに裁断し、プラスチック製マウント材内に収めることで、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を作成した。
【0079】
【表3】
Figure 2004187605
【0080】
(3)PCR増幅
上記(1)で、既知の塩基配列の遺伝子を含む核酸試料液をそのまま用いて、以下の条件でPCR増幅を行った。
【0081】
<プライマ−>
プライマーは、12番染色体上のALDH2遺伝子関連部位のなかに、共通のプライマー(upper)と、ALDH2の活性を決定する1塩基多型に対応する部分を3'末端付近に設定(lower-1とlower-2に記載のプライマー塩基配列の下線部分)した、ALDH2G型およびA型に対応する、2種のプライマー(lower−1)および、プライマ−(lower−2)のセットを使用した。なお。lowerプライマーの1塩基多型に対応する配列の1塩基分5’上流の塩基を変え(T→A)、人為的にミスマッチを作り出した。また、20番染色体上のPrP遺伝子に関しても、同様の方法でG型及びA型に対応するプライマーを設計した。
【0082】
<ALDH2>
G型アレル検出用プライマー
プライマー(upper):
5'−AACGAAGCCCAGCAAATGA−3'(配列番号1)
プライマー(lower-1):
5'−GGGCTGCAGGCATACACAA−3'(配列番号2)
A型アレル検出用プライマー
プライマー(upper):
5'−AACGAAGCCCAGCAAATGA−3'(配列番号1)
プライマー(lower-2):
5'−GGGCTGCAGGCATACACAA−3'(配列番号3)
【0083】
<PrP>
G型アレル検出用プライマー
プライマー(upper):
5'−GTGGTTGTGGTGACCGTGT−3'(配列番号4)
プライマー(lower-1):
5'−GGCCTTGGCGGCTAGT−3'(配列番号5)
A型アレル検出用プライマー
プライマー(upper):
5'−GTGGTTGTGGTGACCGTGT−3'(配列番号4)
プライマー(lower-2):
5'− GGCCTTGGCGGCTAGT−3'(配列番号6)
【0084】
以下に示す反応液の水準(水準1はMultiplexPCR、水準4は陰性コントロール)と液組成で、[変性:94℃・20秒、アニーリング:60℃・30秒、ポリメラーゼ伸長反応:72℃・1分30秒]を40サイクル繰り返すことでPCR増幅を実施した。
【0085】
【表4】
Figure 2004187605
○が検出する遺伝子を表す
【0086】
【表5】
Figure 2004187605
【0087】
(4)ピロ燐酸定量用分析素子を用いた検出
前記(3)におけるPCR増幅反応後の溶液をそのまま、上記(2)で作製したピロ燐酸定量用乾式分析素子上に各々20μL点着し、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を37℃にて5分間インキュベーション後、波長650nmにて支持体側から反射光学濃度(ODR)を測定した。得られた結果を以下の表6に示す。また、PCR反応液をスライドに点着した時のODRの時間変化を図1に示す。
【0088】
【表6】
Figure 2004187605
【0089】
また、あらかじめ、既知のピロリン酸濃度に対する反射光学濃度との関係式(検量線)を作成しておき、この検量線を利用して、前述した各PCR水準における5分後の反射光学濃度(ODR)を相当するピロリン酸量に置き換えた。その表を表7に示す。
【0090】
【表7】
Figure 2004187605
注:(−水準4)は、各水準のPPi値から水準4のPPi値を引いた値
【0091】
上記より、水準1について解析すると、G型プライマーに関しては、水準1=水準2+水準3となることにより、ALDH2、PrP両方の由来の増幅産物を検出していることがわかる。同様に、A型プライマーに関しては、水準1=水準3となることより、PrP由来の増幅産物しか生成していないことがわかる.これらを表8にまとめる。
【0092】
【表8】
Figure 2004187605
注:○は増幅産物ありを示し、×は増幅産物なしを示す。
【0093】
以上より、当該実験に使用したゲノムの型は、ALDH2がG/Gのホモ接合であり、PrPがG/Aのヘテロ接合であることがわかる。これは、あらかじめシークエンスを行った結果と一致している。
また、G型プライマーにおける水準1の値が、水準2+水準3となっていることより、MultiPlexPCRで一度に増幅した2種類の遺伝子由来のピロリン酸量と、それそれ別々に増幅した2種類の遺伝子由来のピロリン酸量の和は、等しくなることがわかる。
【0094】
実施例2:ピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いたアルデヒド脱水素酵素遺伝子(ALDH2遺伝子)関連部位の1塩基多型(E487K)とプリオン蛋白質(PrP)遺伝子の関連部位の1塩基多型(M129V)及びβ3アドレナリン受容体遺伝子(β3AR)の関連部位の1塩基多型(W64R)の同時検出
【0095】
(1)タ−ゲット核酸断片の塩基情報の取得
Human Genomic DNA(Clonetech社製)のALDH2遺伝子関連部位、PrP遺伝子関連部位、β3アドレナリン受容体遺伝子の1塩基多型のシークエンスを行い、当該部位の塩基配列情報を得た。ちなみに、ALDH2は、G/G型のホモ、PrPはG/A型のヘテロ、β3ARはT/T型のホモであった。
【0096】
(2)ピロ燐酸定量用乾式分析素子の作製
実施例1に記載の方法で、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を作成した。
【0097】
(3)PCR増幅
上記(1)で塩基配列が既知である遺伝子を含む核酸試料液をそのまま用いて、以下の条件でPCR増幅を行った。
【0098】
<プライマー>
プライマーは、12番染色体上のALDH2遺伝子関連部位のなかに、共通のプライマー(upper)と、ALDH2の活性を決定する1塩基多型に対応する部分を3'末端付近に設定(lower-1とlower-2に記載のプライマー塩基配列の下線部分)した、ALDH2G型およびA型に対応する、2種のプライマ−(lower−1)および、プライマ−(lower−2)のセットを使用した。なお。lowerプライマーの1塩基多型に対応する配列の1塩基分5‘上流の塩基を変え(T→A)、人為的にミスマッチを作り出した
また、20番染色体上のPrP遺伝子、8番染色体上のβ3ARに関しても、同様の方法でG型及びA型に対応するプライマーを設計した.
【0099】
<ALDH2>
G型アレル検出用プライマー
プライマー(upper):
5'−AACGAAGCCCAGCAAATGA−3'(配列番号1)
プライマー(lower-1):
5'−GGGCTGCAGGCATACACAA−3'(配列番号2)
A型アレル検出用プライマー
プライマ−(upper):
5'−AACGAAGCCCAGCAAATGA−3'(配列番号1)
プライマ−(lower-2):
5'−GGGCTGCAGGCATACACAA−3'(配列番号3)
【0100】
<PrP>
G型アレル検出用プライマー
プライマー(upper):
5'−GTGGTTGTGGTGACCGTGT−3'(配列番号4)
プライマー(lower-1):
5'−GGCCTTGGCGGCTAGT−3'(配列番号5)
A型アレル検出用プライマー
プライマ−(upper):
5'−GTGGTTGTGGTGACCGTGT−3'(配列番号4)
プライマ−(lower-2):
5'−GGCCTTGGCGGCTAGT−3'(配列番号6)
【0101】
<β3AR>
G型アレル検出用プライマー
プライマー(upper-1):
5'− GGAGTCTCGGAGTCGG−3'(配列番号7)
プライマー(lower):
5'− GGGGAAGTCGCTCTCA−3'(配列番号9)
A型アレル検出用プライマー
プライマ−(upper-2):
5'−GGAGTCTCGGAGTCGG−3'(配列番号8)
プライマ−(lower):
5'−GGGGAAGTCGCTCTCA−3'(配列番号9)
【0102】
注:β3ARのみ、アンチセンス鎖側のSNP部位を同定している。そのため、β3ARに関しては、SNP型は(C/T)だが、プライマーは(G/A)で検出する。
【0103】
以下に示す反応液の水準(水準1はMultiplexPCR、水準5は陰性コントロール)と液組成で、[変性:94℃・20秒、アニーリング:62℃・30秒、ポリメラーゼ伸長反応:72℃・1分30秒]を40サイクル繰り返すことでPCR増幅を実施した。
【0104】
【表9】
Figure 2004187605
○が検出する遺伝子を表す。
【0105】
【表10】
Figure 2004187605
【0106】
(4)ピロ燐酸定量用分析素子を用いた検出
前記(3)におけるPCR増幅反応後の溶液をそのまま、上記(2)で製作したピロ燐酸定量用乾式分析素子上に各々20μL点着し、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を37℃にて5分間インキュベーション後、波長650nmにて支持体側から反射光学濃度(ODR)を測定した。得られた結果を以下の表11に示す。また、PCR反応液をスライドに点着した時のODRの時間変化を図2に示す。
【0107】
【表11】
Figure 2004187605
【0108】
また、あらかじめ、既知のピロリン酸濃度に対する反射光学濃度との関係式(検量線)を作成しておき、この検量線を利用して、前述した各PCR水準における5分後の反射光学濃度(ODR)を相当するピロリン酸量に置き換えた。その表を表12に示す。
【0109】
【表12】
Figure 2004187605
注:(−水準4)は、各水準のPPi値から水準4のPPi値を引いた値
【0110】
上記より、水準1について解析すると、G型プライマーに関しては、水準1=水準2+水準3となることにより、ALDH2及びPrPの由来の増幅産物を検出していることがわかる。同様に、A型プライマーに関しては、水準1=水準3+水準4となることより、PrP及びβ3AR由来の増幅産物を検出していることがわかる。これらを表13にまとめる。
【0111】
【表13】
Figure 2004187605
注:○は増幅産物有りを示し、×は増幅産物無しを示す。
【0112】
以上より、当該実験に使用したゲノムの型は、ALDH2がG/Gのホモ接合であり、PrPがG/Aのヘテロ接合、β3ARがA/Aのホモであることがわかる。これは、あらかじめシークエンスを行った結果と一致している。
また、G型プライマーにおける水準1の値が、水準2+水準3となっていること、A型プライマーにおける水準1の値が、水準3+水準4となっていることより、MultiPlexPCRで一度に増幅した3種類の遺伝子由来のピロリン酸量と、それぞれ別々に増幅した3種類の遺伝子由来のピロリン酸量の和は、等しくなることがわかる。
【0113】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、簡便かつ迅速に複数のターゲット核酸を同時に検出することが可能となる。
【0114】
【配列表】
Figure 2004187605
【0115】
Figure 2004187605
【0116】
Figure 2004187605
【0117】
Figure 2004187605
【0118】
Figure 2004187605
【0119】
Figure 2004187605
【0120】
Figure 2004187605
【0121】
Figure 2004187605
【0122】
Figure 2004187605
【0123】
Figure 2004187605

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、PCR反応液をスライドに点着した時のODRの時間変化を示す。
【図2】図2は、PCR反応液をスライドに点着した時のODRの時間変化を示す。

Claims (10)

  1. 2種類のターゲット核酸配列を含む鋳型核酸、上記ターゲット核酸を増幅するための2対の増幅プライマー及びポリメラーゼを用いたポリメラーゼ伸長反応を行い、前記ポリメラーゼ伸長反応に伴って生成する生成するピロリン酸を検出することによりターゲット核酸を検出する方法において、検出されるターゲット核酸の増幅産物の長さが互いに異なるように増幅プライマーを設計する、上記の方法。
  2. 少なくとも3以上のターゲット核酸配列を含む鋳型核酸、上記ターゲット核酸を増幅するための少なくとも3対の増幅プライマー及びポリメラーゼを用いたポリメラーゼ伸長反応を行い、前記ポリメラーゼ伸長反応に伴って生成する生成するピロリン酸を検出することによりターゲット核酸を検出する方法において、(i)検出されるターゲット核酸の増幅産物の長さが互いに異なり、かつ(ii)各ターゲット核酸の増幅産物の長さが他のターゲット核酸の増幅産物の和と異なるように増幅プライマーを設計する、上記の方法。
  3. 比色法を用いてピロリン酸の検出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のターゲット核酸の検出方法。
  4. 乾式分析素子を用いてピロ燐酸の検出を行うことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のターゲット核酸の検出方法。
  5. 乾式分析素子が、キサントシンまたはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備えるピロ燐酸定量用乾式分析素子であることを特徴とする請求項4に記載のターゲット核酸の検出方法。
  6. ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプターゼ)からなるグループから選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のターゲット核酸の検出方法。
  7. ピロ燐酸の検出を、ピロ燐酸を酵素的に無機燐酸に変換した後、次いでキサントシンまたはイノシン、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備える無機燐定量用乾式分析素子を用いて行うことを特徴とする、請求項4に記載のターゲット核酸の検出方法。
  8. ピロ燐酸を無機燐酸に変換する酵素が、ピロホスファターゼであることを特徴とする請求項7に記載のターゲット核酸の検出方法。
  9. ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプターゼ)からなるグループから選択されることを特徴とする請求項7又は8に記載のターゲット核酸の検出方法。
  10. ターゲット核酸の検出が、ターゲット核酸の存在または存在量の検出、ターゲット核酸の塩基配列の検出、あるいはターゲット核酸の変異または多型の検出である、請求項1から9の何れかに記載のターゲット核酸の検出方法。
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