JP2004180561A - 原核生物の遺伝子発現解析方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原核生物の遺伝子発現解析方法は、mRNAを抽出する工程と、mRNAの3'末端にポリAを付加する工程と、mRNAからcDNAを合成する工程と、cDNAから一端に第1アダプター配列を有し他端に第2アダプター配列を有するcDNA断片を作成する工程と、第1アダプター配列に相補的な配列を有する第1プライマーと第2アダプター配列に相補的な配列を有する第2プライマーとを用いて、cDNA断片についてPCR反応を行う工程と、増幅されたcDNA断片について電気泳動を行う工程と、電気泳動の結果に基づいて、目的のcDNA断片を回収する工程と備える。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遺伝子発現解析の方法に関し、特に、原核生物についての遺伝子発現解析の方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、真核生物については、遺伝子発現の解析方法が知られている。即ち、真核生物の細胞からmRNAを抽出し、mRNAからcDNAを合成する。そして、cDNAを加工し、遺伝子発現解析に利用する方法である。例えば、特許文献1に開示された方法が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】
国際公開 WO 02/48352 A1
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、原核生物の遺伝子発現解析をする場合、原核生物のmRNAは、ポリA配列を持たないため、従来の方法では、遺伝子発現解析を行うことができなかった。
【0005】
本発明はかかる現状に鑑みてなされたものであって、原核生物について容易に遺伝子発現解析をすることができる原核生物の遺伝子発現解析方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
その解決手段は、原核生物の細胞からmRNAを抽出するmRNA抽出工程と、上記mRNAの3'末端にポリAを付加するポリA付加工程と、上記ポリAが付加されたmRNAからcDNAを合成するcDNA合成工程と、上記cDNAから一端に第1アダプター配列を有し他端に第2アダプター配列を有するアダプター付きcDNA断片を作成するcDNA加工工程と、上記アダプター付きcDNA断片について、上記第1アダプター配列に相補的な配列を有する第1プライマーと、上記第2アダプター配列に相補的な配列を有する第2プライマーとを用いて、PCR反応を行う第1PCR工程と、上記第1PCR工程で増幅されたcDNA断片について電気泳動を行う電気泳動工程と、上記電気泳動の結果に基づいて、目的のcDNA断片を回収するcDNA断片回収工程と、を備えることを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法である。
【0007】
本発明によれば、まず、原核生物の細胞からmRNAを抽出する。その後、抽出したmRNAの3'末端にポリAテイルを付加する。そして、このポリAテイルを利用して、mRNAからcDNAを合成する。次に、cDNA加工工程において、cDNAから一端に第1アダプター配列を有し他端に第2アダプター配列を有するアダプター付きcDNA断片を作成する。その後、このアダプター付きcDNA断片に対して、第1アダプター配列に相補的な配列を有する第1プライマーと、第2アダプター配列に相補的な配列を有する第2プライマーとを用いて、PCR反応を行う。次に、PCRで増幅されたcDNA断片について電気泳動を行う。そして、この電気泳動の結果に基づいて、目的のcDNA断片を回収し、遺伝子発現解析に利用する。
【0008】
このような方法では、細胞から抽出したmRNAにポリAを付加するので、これを利用することで容易にcDNAを合成することができる。従って、原核生物であっても、その遺伝子発現解析を容易に行うことができる。
さらに、cDNAから両端にアダプター配列を持つcDNA断片を作成し、これらのアダプター配列に相補的な配列を有するプライマーセットを用いてPCR反応を行うので、cDNA断片を多量に増幅することができる。従って、cDNA断片の群の中に存在する目的のcDNA断片が低濃度であっても、それを大幅に増幅することができ、電気泳動においてそれを容易に検出することができる。また、後述するように、第1,第2プライマーを適宜選択することにより、両端にアダプター配列を持つcDNA断片群の中から、一部のcDNA断片だけを選択的に増幅することができるため、遺伝子発現解析をより容易に行うことができる。
【0009】
ここで、アダプター付きcDNA断片は、一端に第1アダプター配列を有し他端に第2アダプター配列を有するものであれば、いかなるものであってよい。即ち、このcDNA断片の群は、抽出に用いた細胞で発現されたほとんどすべての遺伝子が含まれる群であっても、その発現された遺伝子の一部だけが含まれる群であってもよい。また、このcDNA断片は、全長cDNAの両端にアダプター配列が付いたものでも、全長cDNAの一部分をなす断片の両端にアダプター配列が付いたものでもよい。また、第1アダプター配列及び第2アダプター配列は、それぞれいかなる塩基配列からなるものであっても構わないが、後に行うPCRの効率等を考慮して設計されたものであるのが好ましい。即ち、これらのアダプター配列がそれぞれ15塩基前後であると、安定したPCR反応を行うことができ、効率よくcDNA断片を増幅することができる。
【0010】
第1プライマーは、第1アダプター配列に相補的な配列を有するものであれば、いかなるものであってもよい。ここでいう相補的な配列とは、第1アダプターに対し100%相補的な配列に限られず、PCR反応においてcDNA断片を増幅できる程度に実質的に相補的な配列も含まれる。また、第1プライマーは、第1アダプター配列に相補的な配列のみからなるものに限られず、第1アダプター配列に相補的な配列に、さらに他の配列が繋がったものであってもよい。また、第1プライマーは、第1アダプター配列全体に対応するものに限られず、第1アダプター配列の一部に対応するものでもよい。
【0011】
同様に、第2プライマーは、第2アダプター配列に相補的な配列を有するものであれば、いかなるものであってもよい。ここでいう相補的な配列も、第2アダプターに対し100%相補的な配列に限られず、PCR反応においてcDNA断片を増幅できる程度に実質的に相補的な配列も含まれる。また、第2プライマーも、第2アダプター配列に相補的な配列のみからなるものに限られず、第2アダプター配列に相補的な配列に、さらに他の配列が繋がったものであってもよい。また、第2プライマーは、第2アダプター配列全体に対応するものに限られず、第2アダプター配列の一部に対応するものでもよい。
【0012】
なお、これらのプライマーとして、それぞれ、その3'末端に任意の2塩基配列であるNNを有するものを利用することができる。ここで使用される「任意の2塩基配列であるNN」は、A、T、G、Cから任意に選択される配列である。ここで、各任意の配列を2塩基としたのは、当該方法の簡便性と解析精度を考慮した結果である。つまり、各任意の配列を2塩基とすることにより、256種類のプライマーセットが得られるため、cDNA断片の群を256種類の群に分類することができる。その結果、1つの群には、解析が容易な比較的少ない種類のcDNA断片が含まれるようになる。なお、この任意の2塩基配列NNを、一方のプライマーまたは両方のプライマーについて3塩基以上とすることも可能である。それによってプライマーの種類が増え、プライマーセットを1024種類や4096種類とすることができる。
【0013】
次に、その他一般にPCR反応で用いられる種々の試薬について説明する。
DNAポリメラーゼは、PCR反応においてDNA鎖を変性させる際の高温に短時間加熱されても永久的には不活性化されず、しかも、高温における活性を有するものが好適である。例えば、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、メタノサーマス・フェルビドゥス(Methanothermus fervidus)、サーマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)、T.フラブス(T.flavus)、T.ラクテウス(T.lacteus)、T.ルベンス(T.rubens)、T.ルバー(T.ruber)などの高熱菌由来のDNAポリメラーゼや、デスルフロコッカス・モビリス(Desulfurococcus mobilis)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィルクム(Methanobacterium thermoautotrophilcum)、スルホロブス・ソルファタリクス(Sulfolobus solfataricus)、S.アシドカルダリウス(S.acidocaldarius)、サーモプラスマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)、ピロコッカス・コダカラエンシス(Pyrococcus kodakaraensis KOD1株)などの高熱性古細菌由来のDNAポリメラーゼなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性等の理由から、サーマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)由来のDNAポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)由来のDNAポリメラーゼ、あるいは、ピロコッカス・コダカラエンシス(Pyrococcus kodakaraensis KOD1株)由来のDNAポリメラーゼを利用するのが好ましい。
【0014】
さらに、PCR反応液には、DNAポリメラーゼによる核酸増幅前の活性を阻害するために、DNAポリメラーゼに特異的な抗体を混合してもよい。この抗体には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え法により製造された抗体、化学的または組換え法により製造された抗体フラグメント(例えば、Fabフラグメント)が挙げられる。これらのうち、モノクローナル抗体を用いるのが特に好ましい。例えば、Taq DNAポリメラーゼに対する公知のモノクローナル抗体は、約20℃〜40℃においてTaq DNAポリメラーゼの酵素活性を阻害することができると共に、PCRの熱的サイクルにおける高温によって不活性化される。
【0015】
また、PCR反応は、一般に、4種類のdNTP、即ち、dATP、dCTP、dGTP及びdTTPの存在化において行う。
さらに、PCR反応は、一般に、適当な緩衝剤を含む反応液中で行われる。効率よく核酸を増幅させるためである。緩衝液は、使用するDNAポリメラーゼ等により、反応の最適条件を得るため適宜変更することができる。例えば、pHを適当に調整したトリス系の緩衝液に、塩化カリウムや塩化マグネシウムを加えた緩衝液を利用することができる。
また、PCR反応液には、5%〜10%のDMSOと1%〜2%のベタインを添加してもよい。鋳型DNAとなるcDNA断片が二字構造を有する場合に産物が増幅されにくいという問題を、最小限に留める効果を有するものである。
【0016】
電気泳動工程では、アクリルアミドゲル電気泳動やアガロースゲル電気泳動など、公知の平板ゲル電気泳動などにより、cDNA断片(PCR産物)を電気泳動し、cDNA断片を分画することができる。また、キャピラリーカラムを用いた電気泳動を利用することもできる。これらの電気泳動には、公知の電気泳動装置を利用すればよい。
【0017】
cDNA断片回収工程は、電気泳動の結果に基づいて目的とするcDNA断片を回収する工程であれば、いかなる方法を利用することもできる。
例えば、標識物質を検出することができるDNAシークエンサーにcDNA断片を供試して電気泳動工程を行い、その解析結果から、回収するcDNA断片を決定する。次に、再度同一サンプルを電気泳動して、目的とするcDNA断片が検出されたときに、その部分のゲルを切り出し、そこから当該cDNA断片を回収する方法が挙げられる。
また、ゲル電気泳動後、標識物質を検出することができるスキャナー上にゲルを載置し、その解析結果から回収するcDNA断片を決定する。そして、その部分のゲルを切り出し、そこから当該cDNA断片を回収する方法が挙げられる。
【0018】
さらに、上記の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、前記mRNA抽出工程は、前記原核生物の細胞から全RNAを抽出する工程と、16S rRNAの一部に相補的な配列を有する第1ヌクレオチドを上記16S rRNAにハイブリダイズさせると共に、23S rRNAの一部に相補的な配列を有する第2ヌクレオチドを23S rRNAにハイブリダイズさせる工程と、上記第1ヌクレオチドのうち、上記16S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的である配列を有する第3ヌクレオチドが付加された第1タグ物質を、上記16S rRNAと上記第1ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせると共に、上記第2ヌクレオチドのうち、上記23S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的である配列を有する第4ヌクレオチドが付加された第2タグ物質を、上記23S rRNAと上記第2ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる工程と、上記全RNAから、上記16S rRNAと上記第1ヌクレオチドと上記第3ヌクレオチドが付加された上記第1タグ物質との結合物を除去すると共に、上記23S rRNAと上記第2ヌクレオチドと上記第4ヌクレオチドが付加された上記第2タグ物質との結合物を除去する工程と、を有することを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法とすると良い。
【0019】
原核生物においては、前述したようにmRNAにポリAテイルがないため、このポリAテイルを利用して抽出した全RNAからmRNAを精製する方法を採ることができない。
これに対し、本発明のmRNA抽出工程では、まず、原核生物の細胞から全RNAを抽出する。そして、抽出した全RNAに対し、16S rRNAの一部に相補的な配列を有する第1ヌクレオチドを16S rRNAにハイブリダイズさせると共に、23S rRNAの一部に相補的な配列を有する第2ヌクレオチドを23S rRNAにハイブリダイズさせる。その後、第1ヌクレオチドのうち、16S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有する第3ヌクレオチドが付加された第1タグ物質を、16S rRNAと第1ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。また、第2ヌクレオチドのうち、23S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有する第4ヌクレオチドが付加された第2タグ物質を、23S rRNAと第2ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。その後、全RNAから、16S rRNAと第1ヌクレオチドと第3ヌクレオチドが付加された第1タグ物質との結合物を除去すると共に、23S rRNAと第2ヌクレオチドと第4ヌクレオチドが付加された第2タグ物質との結合物を除去する。
このような方法によれば、全RNAから、全RNAの中に多量に存在する16S rRNAと23S rRNAの大部分を除去することができる。従って、mRNAを容易により高純度に精製することができる。
【0020】
ここで、第1ヌクレオチドは、16S rRNAの一部に相補的な配列を有し、かつ、第3ヌクレオチドに相補的な配列を有するものであれば、いかなるものであってもよい。従って、16S rRNAの一部に相補的な配列と第3ヌクレオチドに相補的な配列以外の配列を有していても構わない。ここでいう16S rRNAの一部に相補的な配列とは、16S rRNAの一部に対し100%相補的な配列に限られず、適当な条件下で16S rRNAにハイブリダイズできる程度に実質的に相補的な配列も含まれる。また、第3ヌクレオチド相補的な配列も、第3ヌクレオチドに対し100%相補的な配列に限られず、適当な条件下で第3ヌクレオチドにハイブリダイズできる程度に実質的に相補的な配列も含まれる。また、第1ヌクレオチドのうち、第3ヌクレオチドに相補的な配列は、第3ヌクレオチド全体に対応するものに限られず、第3ヌクレオチドの一部に対応するものでもよい。
【0021】
同様に、第2ヌクレオチドは、23S rRNAの一部に相補的な配列を有し、かつ、第4ヌクレオチドに相補的な配列を有するものであれば、いかなるものであってもよい。従って、23S rRNAの一部に相補的な配列と第4ヌクレオチドに相補的な配列以外の配列を有していても構わない。ここでいう23S rRNAの一部に相補的な配列も、23S rRNAの一部に対し100%相補的な配列に限られず、適当な条件下で23S rRNAにハイブリダイズできる程度に実質的に相補的な配列も含まれる。また、第4ヌクレオチド相補的な配列も、第4ヌクレオチドに対し100%相補的な配列に限られず、適当な条件下で第4ヌクレオチドにハイブリダイズできる程度に実質的に相補的な配列も含まれる。また、第2ヌクレオチドのうち、第4ヌクレオチドに相補的な配列は、第4ヌクレオチド全体に対応するものに限られず、第4ヌクレオチドの一部に対応するものでもよい。
【0022】
一方、第3ヌクレオチドは、第1ヌクレオチドのうち、16S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有するものであれば、いかなるものであってもよい。従って、第1ヌクレオチドの一部に相補的な配列以外の配列を有していても構わない。ここでいう第1ヌクレオチドの一部に相補的な配列も、前述したように、第1ヌクレオチドに対し100%相補的な配列に限られず、適当な条件下で第1ヌクレオチドにハイブリダイズできる程度に実質的に相補的な配列も含まれる。
【0023】
同様に、第4ヌクレオチドは、第2ヌクレオチドのうち、23S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有するものであれば、いかなるものであってもよい。従って、第2ヌクレオチドの一部に相補的な配列以外の配列を有していても構わない。ここでいう第2ヌクレオチドの一部に相補的な配列も、前述したように、第2ヌクレオチドに対し100%相補的な配列に限られず、適当な条件下で第2ヌクレオチドにハイブリダイズできる程度に実質的に相補的な配列も含まれる。
【0024】
タグ物質は、その物質の性質を利用することで、全RNAの中からタグ物質を含む結合物を除去できるものであれば、いずれの物質を利用することもできる。例えば、マグネットビーズが挙げられる。これをタグ物質に利用すれば、マグネットスタンド等を利用してマグネットビーズを沈降させることで、タグ物質を含む結合物のみを沈降させ、除去することができる。
【0025】
さらに、上記の原核生物の遺伝子発現方法であって、前記第1ヌクレオチドと前記第2ヌクレオチドは、前記16S rRNAと前記23S rRNAが持つ共通配列に対し相補的である配列を有する同一のものであり、前記第3ヌクレオチドと前記第4ヌクレオチドも同一のものであり、前記第1タグ物質と前記第2タグ物質も同一のものであることを特徴とする原核生物の遺伝子発現方法とすると良い。
【0026】
本発明によれば、第1ヌクレオチドと第2ヌクレオチドは、16S rRNAと23S rRNAが持つ共通配列に相補的な配列を有する同一の配列からなる。また、第3ヌクレオチドと第4ヌクレオチドも同一の配列からなる。さらに、第1タグ物質と第2タグ物質も同一物である。
従って、第1ヌクレオチドと第2ヌクレオチド、第3ヌクレオチドと第4ヌクレオチド、第1タグ物質と第2タグ物質は、それぞれ1種類で足りる。このため、16S rRNAと23S rRNAの除去がさらに容易にできる。
【0027】
さらに、上記のいずれかに記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、前記cDNA合成工程は、前記cDNAを合成すると共に上記cDNAの5'末端にタグ物質を付加し、前記cDNA加工工程は、上記cDNAを第1制限酵素で切断する第1切断工程と、上記タグ物質に高親和性を有する高親和性物質に結合させることにより、上記タグ物質を有するcDNA断片を回収する第1回収工程と、上記タグ物質を有するcDNA断片に、上記第1制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第1アダプター配列を結合させる第1アダプター結合工程と、上記第1アダプター配列が結合されたcDNA断片を第2制限酵素で切断する第2切断工程と、上記高親和性物質に結合させることにより、上記タグ物質を有するcDNA断片を除去し、上記タグ物質を有しないcDNA断片を回収する第2回収工程と、上記タグ物質を有しないcDNA断片に、上記第2制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第2アダプター配列を結合させる第2アダプター結合工程と、を有することを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法とすると良い。
【0028】
本発明によれば、cDNA合成工程において、cDNAを合成すると共にcDNAの5'末端にタグ物質を付加しておく。
そして、cDNA加工工程において、まず、cDNAを第1制限酵素で切断する。その後、タグ物質に高親和性を有する高親和性物質に結合させることにより、タグ物質を有するcDNA断片を回収し、タグ物質を有しないcDNA断片を除去する。即ち、cDNAの5'末端側(PolyT末端側)のcDNA断片を回収し、3'末端側のcDNA断片を除去する。その後、この回収されたcDNA断片に、第1制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第1アダプター配列を結合させる。
あるいは、cDNAを第1制限酵素で切断した後、cDNA断片に、第1制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第1アダプター配列を結合させる。その後、タグ物質に高親和性を有する高親和性物質に結合させることにより、タグ物質を有するcDNA断片を回収し、タグ物質を有しないcDNA断片を除去する。
【0029】
次に、第1アダプター配列が結合されたcDNA断片を第2制限酵素で切断する。その後、高親和性物質に結合させることにより、今度は、タグ物質を有するcDNA断片を除去し、タグ物質を有しないcDNA断片を回収する。即ち、第1アダプターが結合された側のcDNA断片を回収し、第1アダプターがない側のDNA断片を除去する。その後、この回収されたcDNA断片に、第2制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第2アダプター配列を結合させる。
あるいは、cDNA断片を第2制限酵素で切断した後、cDNA断片に、第2制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第2アダプター配列を結合させる。その後、高親和性物質に結合させることにより、タグ物質を有するcDNA断片を除去し、タグ物質を有しないcDNA断片を回収する。
【0030】
このようにすれば、一端に第1アダプター配列を有し他端に第2アダプター配列を有するアダプター付きcDNA断片を容易に作成することができる。また、このようにして作成されたcDNA断片の群は、細胞で発現されたほとんど全ての遺伝子、即ち、公知の遺伝子も未知の遺伝子も同様に、その群の中に含まれるようにすることが可能である。従って、遺伝子発現解析において有効に活用することができる。
【0031】
なお、本発明において、第1回収工程で利用する高親和性物質は、第1回収工程においてタグ物質に結合させてもよいが、例えば、第1切断工程前に予めタグ物質に結合させておいてもよい。
また、第2回収工程で利用する高親和性物質も、第2回収工程においてタグ物質に結合させてもよいが、例えば、第2切断工程前に予めタグ物質に接合させておいてもよい。
【0032】
ここで、タグ物質と高親和性物質とは、互いに高親和性をもって特異的に結合することが可能な結合対を構成する物質であれば、いずれを利用することもできる。
また、制限酵素とは、一般的に、制限エンドヌクレアーゼとも称される酵素であり、特定の配列において二本鎖DNAを加水分解し切断する酵素である。上記の方法においては、適切な断片を得るために2種類の制限酵素(第1制限酵素及び第2制限酵素)を組み合わせて使用する。使用する制限酵素は、cDNA断片を識別可能な長さを有する断片に切断することが可能なものが好ましい。また、合成されたcDNA断片のより多くを、好ましくは、ほとんど全てを切断するような酵素が好ましい。また、制限酵素は、4塩基認識酵素を使用しても6塩基認識酵素を使用してもよいが、特に、上記の理由から、4塩基認識酵素の使用が好ましい。
【0033】
また、アダプター配列は、PCR増幅の際に用いるプライマーを結合させるために用いるものであるが、使用する制限酵素に応じて設計される。即ち、第1制限酵素の酵素切断部位に結合させるための第1アダプター配列は、第1制限酵素の酵素切断部位に相補的な配列を有し、また、第2制限酵素の酵素切断部位に結合させるための第2アダプター配列は、第2制限酵素の酵素切断部位に相補的な配列を有する。
【0034】
上記のいずれかに記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、前記電気泳動工程は、ゲル電気泳動を行い、前記cDNA断片回収工程は、ゲルから目的の前記cDNA断片を含むゲルを切り出し、当該cDNA断片を回収することを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法とすると良い。
【0035】
本発明によれば、電気泳動工程は、ゲル電気泳動を行う。また、cDNA断片回収工程は、電気泳動を行ったゲルから目的のcDNA断片を含むゲルを切り出し、そのcDNA断片を回収する。
このようにcDNA断片の群をゲル電気泳動によって分画すれば、例えばキャピラリーカラムによる電気泳動に比べ、サイズ分解能を向上させることができる。このため、目的とするcDNA断片のみをより特異的に回収することができる。
【0036】
さらに、上記のいずれかに記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、前記第1プライマー及び前記第2プライマーの少なくともいずれかには、標識物質が付与されており、前記電気泳動において、上記標識物質を検出することを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法とすると良い。
【0037】
本発明によれば、第1プライマー及び第2プライマーの少なくともいずれかには、標識物質が付与されている。そして、電気泳動において、この標識物質を検出する。
このように、標識物質を有するプライマーを用いてPCRを行えば、PCR産物も標識物質を有することになる。従って、PCR反応を行っても依然として目的とするcDNA断片が比較的少ない場合であっても、電気泳動においてこの標識物質を認識することで、目的とするcDNA断片のゲル中の位置を容易に検出することができる。
【0038】
なお、標識物質は、電気泳動において検出感度が高いものであれば、いずれのものを使用することもできる。例えば、6-カルボキシフルオレッセイン(以下、FAMと称す。)、4,7,2',4',5',7'-ヘキサクロロ-6-カルボキシフルオレッセイン(以下、HEXと称す。)、NED(アプライドバイオシステムズジャパン社)、6-カルボキシ-X-ローダミン(以下、Roxと称す。)等の蛍光物質などを使用することができる。これらの標識物質は、例えば、プライマーDNAの末端(例えば5'末端)に結合させればよい。
【0039】
さらに、上記のいずれかに記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、前記タグ物質と前記高親和性物質の組み合わせが、ビオチンとストレプトアビジン、ビアチンとアビジン、FIGTとFITI抗体、及び、DIGとアンタイDIGのいずれかであることを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法とすると良い。
【0040】
前述したように、タグ物質と高親和性物質とは、互いに高親和性をもって特異的に結合することが可能な結合対を構成する物質であれば、いずれを利用することもできる。中でも、取り扱いの容易性や入手容易性などの理由から、本発明のように、タグ物質と高親和性物質の組合せとして、ビオチンとストレプトアビジン、ビオチンとアビジン、FIGTとFITC抗体、DIGとアンタイDIGを利用するのが特に好ましい。なお、各組合せにおいて、いずれをタグ物質として使用しても、いずれを高親和性物質として使用してもよい。
【0041】
さらに、上記のいずれかに記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、前記cDNA断片回収工程後、回収した前記cDNA断片をプラスミドベクターに連結し、組換え体プラスミドを形成する連結工程と、上記組換え体プラスミドを大腸菌に導入する導入工程と、を備えることを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法とすると良い。
【0042】
本発明によれば、cDNA断片回収工程後、回収したcDNA断片をプラスミドベクターに連結し、組換え体プラスミドを形成する連結工程を備える。また、組換え体プラスミドを大腸菌に導入する導入工程を備える。
このように、回収した目的のcDNA断片をプラスミドベクターに連結し、大腸菌に導入しておけば、cDNA断片の構造解析をする場合などに有効である。即ち、形質転換したその大腸菌を培養し、それからcDNA断片を有するプラスミドDNAを抽出すれば、これを例えば塩基配列の決定等の構造解析に用いることができる。
【0043】
さらに、上記の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、前記cDNA断片回収工程後、前記連結工程前に、回収した前記cDNA断片について、前記第1アダプター配列に相補的な配列を有する第3プライマーと、前記第2アダプター配列に相補的な配列を有する第4プライマーとを用いて、PCR反応を行う第2PCR工程を備えることを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法とすると良い。
【0044】
本発明によれば、cDNA断片回収工程後、連結工程前に、回収したcDNA断片について、第1アダプター配列に相補的な配列を有する第3プライマーと、第2アダプター配列に相補的な配列を有する第4プライマーとを用いて、PCR反応を行う第2PCR工程を備える。
このような工程を行えば、cDNA断片回収工程で回収したcDNA断片が少量しかなくても、それを大幅に増幅させることができる。従って、効率よくcDNA断片をプラスミドベクターに連結し、大腸菌に導入することができる。
【0045】
なお、このPCR工程で使用する第3プライマーは、第1アダプター配列に相補的な配列を有するものであればよく、例えば、上記の第1プライマーを利用しても良い。但し、後の導入工程を考慮して、適当な制限酵素の認識配列を有する第3プライマーを利用すれば、導入工程を効率よく、また、確実に行うことができる。同様に、第4プライマーは、第2アダプター配列に相補的な配列を有するものであればよく、例えば、上記の第2プライマーを利用しても良いが、適当な制限酵素の認識配列を有する第4プライマーを利用すれば、導入工程を効率よく、また、確実に行うことができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図を参照しつつ説明する。
まず、原核生物の細胞において発現された遺伝子を以下のように分類する。即ち、原核生物の細胞から全RNAを抽出しさらにmRNAを精製する。そして、mRNAの3'末端にポリAを付加する。その後、このポリAを利用してmRNAからcDNA群を合成する。その後、得られたcDNA群を適切な2つの制限酵素によって切断し、また、両端にアダプター配列を結合して、識別可能なだけの長さを有しかつ両端にアダプター配列を有するアダプター付きcDNA断片の群を作成する。その後、アダプター付きcDNA断片の群を、256種類のプライマーセットを用いて256個の群に分類する。
【0047】
この分類の手法を図1を参照しつつ説明する。mRNAからなる群1からcDNAの群2を合成する。これを適切な2つの制限酵素によって切断してcDNA断片の群3を得る。そして、このcDNA断片の両末端の各2塩基、全4塩基の配列に応じて、即ち、4塩基がA、T、G、Cのいずれであるかにより、cDNA断片の群3を分類する。具体的には、5'末端の塩基(図1中に黒塗りで示す。)によってまず4個の群4に分類する。そして、これは次の2番目の塩基(図1中に黒塗りで示す。)によってさらに16個の群5に分類する。さらに、3'末端の2番目の塩基(図1中に黒塗りで示す。)によって64個の群6に分類し、さらに、3'末端の塩基(図1中に黒塗りで示す。)により256個の群7に分類する。
【0048】
次に、細胞からmRNAを抽出し、mRNAの群1から256種類のcDNA断片の群7を調製する手法について、図2及び図3を参照しつつ具体的に説明する。図2における各アルファベットは塩基配列を構成する塩基を示すが、N、M、W、X、Y及びZは任意の塩基を示し、XとY及びWとZは、互いに相補的に結合する。
【0049】
本実施例においては、原核生物の遺伝子発現解析をするにあたり、大腸菌に組み入れたアンピシリン耐性遺伝子(blaM)を標的遺伝子として解析を行った。
【0050】
まず、mRNA抽出工程において、試験対象となる原核生物の細胞からmRNA10を抽出する。
具体的には、原核生物の細胞から全RNAを抽出する。その後、16S rRNAの一部に相補的な配列を有する第1ヌクレオチドを16S rRNAにハイブリダイズさせると共に、23S rRNAの一部に相補的な配列を有する第2ヌクレオチドを23S rRNAにハイブリダイズさせる。次に、第1ヌクレオチドのうち、16S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的である配列を有する第3ヌクレオチドが付加された第1タグ物質を、16S rRNAと上記第1ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。また、第2ヌクレオチドのうち、23S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的である配列を有する第4ヌクレオチドが付加された第2タグ物質を、23S rRNAと第2ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。その後、全RNAから、16S rRNAと第1ヌクレオチドと第3ヌクレオチドが付加された第1タグ物質との結合物を除去すると共に、23S rRNAと第2ヌクレオチドと第4ヌクレオチドが付加された第2タグ物質との結合物を除去する。
【0051】
好ましくは、第1ヌクレオチドと第2ヌクレオチドを、16S rRNAと23S rRNAが持つ共通配列に対し相補的である配列を有する同一のものとする。また、第3ヌクレオチドと第4ヌクレオチドも同一のものとする。さらに、第1タグ物質と第2タグ物質も同一のものとする。
即ち、図3に示すように、全RNAを抽出した後、16S rRNAと23S rRNAが持つ共通配列に対し相補的である配列を有する第1ヌクレオチド32を、16S rRNAと23S rRNAにそれぞれハイブリダイズさせる。次に、第1ヌクレオチドのうち、16S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的である配列を有する第3ヌクレオチド33が付加された第1タグ物質34を、16S rRNAまたは23S rRNAと第1ヌクレオチド32との結合物にそれぞれハイブリダイズさせる。その後、全RNAから、16S rRNAまたは23S rRNAと、第1ヌクレオチド32と、第3ヌクレオチド33が付加された第1タグ物質34との結合物をそれぞれ除去する。
【0052】
本実施例では、アンピシリン耐性遺伝子を持つ大腸菌、即ち、プラスミドpBluescriptを持つ大腸菌(DH5α株)を培養し、その細胞から、まず、全RNAを抽出した。この全RNAの抽出には、RNA抽出キット(Rneasy Protect Bacterial Mini Kit)を用いて、添付のマニュアルに従って抽出した。その後、抽出した全RNA10μgを用いて、mRNAを精製した。この精製には、MICROB Express Bacterial mRNAIsolation Kit(Ambion社製)を利用した。精製法は、添付のマニュアルに従った。
【0053】
次に、ポリA付加工程において、mRNA10の3'末端にポリAを付加し、ポリAが付いたmRNA11を得る(図2参照)。
このポリA化反応の反応組成は次の通りである。 なお、5×PolyA bufferは、宝酒造のPolyA Polymerase添付の組成を参考に作成した。また、PolyA Polymeraseは、宝酒造製のものを使用した。
【0054】
上記の反応液を37℃で1時間インキュベートした。その後、反応液に TE buffer 180μlとフェノール・クロロフォルム溶液200μlを加えて混合した。続いて、この混合液を15,000rpmで5分間、室温で遠心分離した。そして、上澄み溶液を185μl(92.5μl×2)吸い取った。続いて、この上澄み溶液に3M酢酸ナトリウムを18.5μl加えて混合した。さらに、この溶液に520μlの99.5%エタノールを加えて混合した。その後、この溶液を−80℃で10分間保冷した。次に、これを15,000rpmで5分間、4℃で遠心分離した後、70%エタノールで沈殿をリンスした。続いて、これを15,000rpmで5分間、4℃で遠心分離した後、上澄みを除去した。その後、沈殿を風乾させ、DEPC処理水7μlに溶解した。このようにして、mRNAの3'末端にポリAテイルを付加させた。
【0055】
次に、cDNA合成工程において、ポリAが付加されたmRNA11から逆転写酵素を用いてcDNA12を合成する。またその際、cDNAの5'末端にタグ物質を付加する。本実施例では、mRNAの3'末端側のポリAテイルに相補的なオリゴdTプライマーをビオチン(タグ物質)で標識化しものをプライマーとして用いて、cDNAを合成した。
まず、上記の混合物を65℃で5分間加温後、氷中で1分間以上放置した。
【0056】
一方で、下記の混合物を作成した。なお、この混合物の作成には、インビトロジェン社のスーパースクリプトファーストストランドシステムを使用した。
そして、この混合物を氷中で保冷した上記混合物に加えて混合した後、42℃で1時間インキュベートした。この反応液を1st Strand Mixとする。
【0057】
また一方で、下記の混合物(これを2nd Strand Mixとする。)を作成した。この混合物は、インビトロジェン社製のものを利用した。
そして、この混合物を、上記の1st strand合成反応が終了するまで氷中に保存した。
【0058】
次に、冷却した2nd Strand Mix 130μlを、上記の1st Strand Mixに加えて混合した後、16℃で2時間反応させた。その後は、70℃で15分間反応させて、酵素を失活させた。
反応終了後は、TE buffer 150μlを加え、さらに、フェノール・クロロフォルム溶液(和光純薬)を300μl加えて混合した。続いて、15,000rpmで5分間、室温で遠心分離した。その後、上澄み溶液を280μl吸い取り、これに3M酢酸ナトリウムを28μl加えて混合した。
その後、さらに770μlの99.5%エタノールを加えて混合した。そして、−80℃で10分間保冷した。次に、これを15,000rpmで15分間、4℃で遠心分離した後、70%エタノールで沈殿をリンスした。続いて、これを15,000rpmで3分間、4℃で遠心分離した後、上澄みを除去した。その後、沈殿を風乾させ、10mM Tris 25μlに溶解した。このようにして、mRNAからcDNAを合成した。
【0059】
次に、cDNA加工工程について説明する。
まず、第1切断工程において、合成されたcDNA12を第1制限酵素を用いて切断する。
本実施例では、下記の混合物を作成し、37℃で一晩放置した。なお、第1制限酵素として、4塩基認識制限酵素の1つであるHhaIを用いた。
【0060】
次に、65℃で15分間加温し、酵素を失活させた。その後、3M酢酸ナトリウム(和光純薬)を5μl加え、さらに99.5%エタノールを160μl加えて混合した。そして、−80℃で10分間保冷した。次に、これを15,000rpmで15分間、4℃で遠心分離した後、70%エタノールで沈殿をリンスした。続いて、これを15,000rpmで3分間、4℃で遠心分離した後、上澄みを除去した。その後、沈殿を風乾させた。
【0061】
次に、第1アダプター結合工程において、切断されたcDNA断片に、第1制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第1アダプター配列を結合させる。本実施例では、風乾した沈殿を、5μlの1pmol/μlの第1アダプター溶液に溶解し、宝酒造のLigation kitのI液を5μl加えて混合した後、16℃で2時間反応させた。なお、第1アダプター配列を図4(a)に示した。
【0062】
次に、第1回収工程において、タグ物質に高親和性を有する高親和性物質を結合させることにより、タグ物質を有するcDNA断片を回収する。
本実施例では、ストレプトアビジン(高親和性物質)14を用いてビオチン13を捕捉し、切断されたcDNA断片の3'末端側のみを回収した。具体的には、反応液にTE bufferを90μl加え、さらに、ビーズ懸濁液(ダイナル社製)を100μl加えた。そして、磁気ビーズに固定したストレプトアビジン14に結合させることにより、切断されたcDNA断片の3'末端側を回収した。
【0063】
次に、第2切断工程において、回収したcDNA断片を第2制限酵素を用いて切断する。
本実施例では、下記の混合物(2サンプル分)を作成した。なお、第1制限酵素として、4塩基認識制限酵素の1つであるSau3AIを用いた。
そして、この混合液を上記のビーズ入りチューブに150μl添加して混合する。そして、37℃で3時間保温する。
【0064】
次に、第2回収工程において、高親和性物質に結合させることにより、タグ物質を有するcDNA断片を除去し、タグ物質を有しないcDNA断片を回収する。
具体的には、上記の反応終了後に、マグネットスタンドにチューブを立ててビーズを引きつけ、上澄み185μlを新しいチューブに移す。そして、再度、TE buffer 100μlをビーズ入りチューブに入れて混合する。その後、再びマグネットスタンドにチューブを立ててビーズを引きつけ、上澄み85μlを新しいチューブに移す。
次に、サンプル270μlに対して、3M酢酸ナトリウムを27μl、エタノールを750μl、ペイントペレット(宝酒造)を2μl加えて混合する。そして、−20℃で一晩放置する。その後、これを15,000rpmで15分間、4℃で遠心分離した後、70%エタノール500μlで沈殿をリンスした。続いて、これを15,000rpmで3分間、4℃で遠心分離した後、上澄みを除去した。その後、沈殿を風乾させた。
【0065】
次に、第2アダプター結合工程において、回収されたcDNA断片に、第2制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第2アダプター配列を結合させる。本実施例では、風乾した沈殿を、5μlの1pmol/μlの第2アダプター溶液に溶解し、宝酒造のLigation kit ver.2のI液を5μl加えて混合した後、16℃で2時間反応させた。なお、第2アダプター配列を図4(b)に示した。
次に、TE buffer 190μlと加え、さらに、フェノール・クロロフォルム溶液を200μl加えて混合した。続いて、15,000rpmで10分間、室温で遠心分離した。その後、上澄み溶液185μlを新しいチューブに移した。そして、これに3M酢酸ナトリウムを20μl加えて、さらに99.5%エタノールを510μlを加えて混合した。その後、-80℃で20分間保冷した。次に、これを15,000rpmで15分間、4℃で遠心分離した後、70%エタノール200μlで沈殿をリンスした。続いて、これを15,000rpmで3分間、4℃で遠心分離した後、上澄みを除去した。その後、沈殿を風乾させ、TE buffer 50μlに溶解した。
以上のcDNA加工工程において、両末端に既知配列を含むアダプター付きcDNA断片17の群が構築される。
【0066】
次に、第1PCR工程において、アダプター付きcDNA断片17の群について、第1アダプター配列に相補的な配列を有する第1プライマーと、第2アダプター配列に相補的な配列を有する第2プライマーとを用いて、PCR反応を行う。
本実施例では、このプライマーセットとして、図5(a)に示すように、第1アダプター配列に相補的な配列と、増幅させる方向にさらに2塩基の配列(図5中にNNで示す。)を有するプライマーと、図5(b)に示すように、第2アダプター配列に相補的な配列と、増幅させる方向にさらに2塩基の配列を有するプライマー(図5中にNNで示す。)とを使用する。それぞれのプライマーの増幅される方向に付与した2塩基は、A、T、G、Cの4種類の塩基からなる全ての組合せによって設計されるので、合計256種類のプライマーセットが考えられる。従って、これらすべてのプライマーセットを用いて、cDNA断片17の群についてPCRを行うことにより、256種類のcDNA断片18の群に分類すると共に、PCR増幅を行うことが可能である。なお、PCRは、公知の手法により行えばよい。
以上のようにして得た256種類のcDNA断片18の群は、目的とするcDNA断片を回収するためのサンプルとして利用することができる。
【0067】
次に、256種類のcDNA断片の群の中から1つのcDNA断片の群をサンプルとして選択し、以下に示す手法により、目的とするcDNA断片を回収する。この手法については、図6を参照しつつ説明する。
まず、第1PCR工程において、cDNA断片の群21について、第1アダプター配列15に相補的な配列を有し、かつ、標識物質が結合された第1プライマーと、第2アダプター配列16に相補的な配列を有する第2プライマーとを用いて、PCR反応により増幅させる。
具体的には、第1アダプター配列15に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド1に、蛍光物質である近赤外蛍光色素IRD-800が結合された第1プライマーと、第2アダプター配列16に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド2からなる第2プライマーとを用いて、PCR反応を行った。第1,第2プライマーは、それぞれ公知の手法により合成すればよい。
【0068】
オリゴヌクレオチド1:
5'-cataggatcagatcagttgcgctc-3'
オリゴヌクレオチド2:
5'-gcactagtgcaatcgcacttgaacgatgatctg-3'
【0069】
PCR反応の反応組成は、次の通りである。なお、KOD Dash、dNTPs、10×bufferは、東洋紡のものを使用した。
また、PCR反応は、パーキンエルマー社製の GeneAmp 2400 を用いて行った。PCR条件は、Stepdown PCR(Biotechniques,1996,20:478-485を参照されたい。)により行った。
【0070】
本実施例では、アンピシリン耐性遺伝子の3'末端側が釣り上げられるはずであるので、図7に塩基配列とHhaIサイト及びSau3AIサイトと示すアンピシリン耐性遺伝子の658-826の断片が増幅してくるはずである。また、第1,第2アダプター配列を考慮すると、214bpのアダプター付きcDNA断片が増幅されるはずである。
【0071】
次に、電気泳動工程において、第1PCR工程で増幅されたcDNA断片の群22(PCR産物)についてゲル電気泳動を行う。
本実施例では、増幅したcDNA断片の群22を、蛍光色素の読み取れるDNAシークエンサー(LI-COR社製LIC-4200L(S)-1)に供試し、サイズ分画のためにアクリルアミドゲル電気泳動を行った。アクリルアミドゲル23の組成は、上記DNAシークエンサーに付属のマニュアルに従った。
【0072】
次に、cDNA断片回収工程において、電気泳動の結果に基づいて、ゲルから目的のcDNA断片24を含むゲルを切り出し、当該cDNA断片24を回収する。
本実施例では、アクリルアミドゲル電気泳動を行った結果、図8に示すように、推定通りの位置にバンド(214bp)が現れた。なお、図8はシークエンサのデータより取得した画像である。次に、電気泳動を行ったゲルについて、濾紙を使用してゲルをゲル板から剥がした。続いて、濾紙にくっついたゲルを蛍光色素の検出できるスキャナー上に載置し、ゲル全体をイメージ化した。そして、目的のcDNA断片がゲル中のどの位置にあるかを把握し、この目的のcDNA断片を含むゲルを切り出した。なお、本実施例では、LI-COR社のゲルイメージングシステムオデッセイを使用した。
その後、切り出したアクリルアミドゲルから目的のcDNA断片を回収した。このDNAの抽出は、Omega Bio-tek社のE.Z.N.A. Poly-Gel DNA Extraction kitを使用した。
【0073】
次に、第2PCR工程において、回収したcDNA断片24について、第1アダプター配列15に相補的な配列を有する第3プライマーと、第2アダプター配列16に相補的な配列を有する第4プライマーとを用いて、再度PCR反応を行う。
具体的には、フォワード側には、第1アダプター配列に相補的な配列を有すると共に制限酵素NotI部位の配列を有する第3プライマーを、リバース側には、第2アダプター配列に相補的な配列を有すると共に制限酵素SpeI部位の配列を有する第4プライマーを用いて、PCR反応を行った。第3プライマーは、オリゴヌクレオチド3からなり、第4プレイマーは、オリゴヌクレオチド4からなる。
【0074】
オリゴヌクレオチド3:
5'-cagcggccgctcataggatcagatcagttgcgctc-3'
オリゴヌクレオチド4:
5'-gcactagtgcaatcgcacttgaacgatgatctg-3'
【0075】
また、このPCR工程においても、PCR反応は、パーキンエルマー社製の GeneAmp2400 を用い、Stepdown PCR(Biotechniques,1996,20:478-485を参照されたい。)の条件により行った。使用した酵素(DNAポリメラーゼ)は、東洋紡社製の KOD Dash 酵素である。反応液の組成は、添付のマニュアルに従った。
【0076】
次に、連結工程において、第2PCR工程で増幅したcDNA断片24の産物をプラスミドベクター25に連結し、組換え体プラスミド26を形成する。
具体的には、増幅したcDNA断片24の産物を制限酵素NotIとSpeIで処理した上で、プラスミドベクター(pbluescriptII)25に連結し、組換え体プラスミド26を形成した。この連結は、宝酒造社製のライゲーションキットver.2 を使用し、その添付マニュアルに従って行った。
次に、導入工程において、組換え体プラスミド26を大腸菌に導入する。
本実施例では、コンピテントセルとして E.coli DH5αを使用し、公知の手法により、組換え体プラスミド26を大腸菌に導入した。
【0077】
次に、形質転換した大腸菌から、公知の手法により組換え体プラスミドを抽出した。このプラスミドの抽出は、複数個のコロニーについて行った。そして、抽出したそれぞれの組換え体プラスミドについて、組み込まれたcDNA断片の塩基配列を決定した。その結果、cDNA断片は、確かに、アンピシリン耐性遺伝子の一部であった。
【0078】
以上で説明したように、本実施例では、まず、原核生物の細胞からmRNAを抽出する。その後、抽出したmRNAの3'末端にポリAテイルを付加する。そして、このポリAテイルを利用して、mRNAからcDNAを合成する。次に、cDNA加工工程において、cDNAから一端に第1アダプター配列を有し他端に第2アダプター配列を有するアダプター付きcDNA断片を作成する。その後、このアダプター付きcDNA断片に対して、第1アダプター配列に相補的な配列を有する第1プライマーと、第2アダプター配列に相補的な配列を有する第2プライマーとを用いて、PCR反応を行う。次に、PCRで増幅されたcDNA断片について電気泳動を行う。そして、この電気泳動の結果に基づいて、目的のcDNA断片を回収し、遺伝子発現解析に利用する。
【0079】
このような方法では、細胞から抽出したmRNAにポリAを付加するので、これを利用することで容易にcDNAを合成することができる。従って、原核生物であっても、その遺伝子発現解析を容易に行うことができる。
さらに、cDNAから両端にアダプター配列を持つcDNA断片を作成し、これらのアダプター配列に相補的な配列を有するプライマーセットを用いてPCR反応を行うので、cDNA断片を多量に増幅することができる。従って、cDNA断片の群の中に存在する目的のcDNA断片が低濃度であっても、それを大幅に増幅することができ、電気泳動においてそれを容易に検出することができる。また、後述するように、第1,第2プライマーを適宜選択することにより、両端にアダプター配列を持つcDNA断片群の中から、一部のcDNA断片だけを選択的に増幅することができるため、遺伝子発現解析をより容易に行うことができる。
【0080】
また、本実施例のmRNA抽出工程では、まず、原核生物の細胞から全RNAを抽出する。そして、抽出した全RNAに対し、16S rRNAの一部に相補的な配列を有する第1ヌクレオチドを16S rRNAにハイブリダイズさせると共に、23S rRNAの一部に相補的な配列を有する第2ヌクレオチドを23S rRNAにハイブリダイズさせる。その後、第1ヌクレオチドのうち、16S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有する第3ヌクレオチドが付加された第1タグ物質を、16S rRNAと第1ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。また、第2ヌクレオチドのうち、23S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有する第4ヌクレオチドが付加された第2タグ物質を、23S rRNAと第2ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。その後、全RNAから、16S rRNAと第1ヌクレオチドと第3ヌクレオチドが付加された第1タグ物質との結合物を除去すると共に、23S rRNAと第2ヌクレオチドと第4ヌクレオチドが付加された第2タグ物質との結合物を除去する。
さらに具体的には、第1ヌクレオチドと第2ヌクレオチドは、16S rRNAと23S rRNAが持つ共通配列に相補的な配列を有する同一の配列からなる。また、第3ヌクレオチドと第4ヌクレオチドも同一の配列からなる。さらに、第1タグ物質と第2タグ物質も同一物である。
【0081】
従って、全RNAから、全RNAの中に多量に存在する16S rRNAと23S rRNAの大部分を除去することができる。従って、mRNAを容易により高純度に精製することができる。また、第1ヌクレオチドと第2ヌクレオチド、第3ヌクレオチドと第4ヌクレオチド、第1タグ物質と第2タグ物質は、それぞれ1種類で足りるため、16SrRNAと23S rRNAの除去がさらに容易にできる。
【0082】
また、本実施例では、cDNA合成工程において、cDNAを合成すると共にcDNAの5'末端にタグ物質を付加しておく。
そして、cDNA加工工程において、まず、cDNAを第1制限酵素で切断する。その後、切断されたcDNA断片に、第1制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第1アダプター配列を結合させる。その後、タグ物質に高親和性を有する高親和性物質に結合させることにより、タグ物質を有するcDNA断片を回収し、タグ物質を有しないcDNA断片を除去する。即ち、cDNAの5'末端側(PolyT末端側)のcDNA断片を回収し、3'末端側のcDNA断片を除去する。
次に、第1アダプター配列が結合されたcDNA断片を第2制限酵素で切断する。その後、高親和性物質に結合させることにより、今度は、タグ物質を有するcDNA断片を除去し、タグ物質を有しないcDNA断片を回収する。即ち、第1アダプターが結合された側のcDNA断片を回収し、第1アダプターがない側のDNA断片を除去する。その後、この回収されたcDNA断片に、第2制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第2アダプター配列を結合させる。
【0083】
このため、一端に第1アダプター配列を有し他端に第2アダプター配列を有するアダプター付きcDNA断片を容易に作成することができる。また、このようにして作成されたcDNA断片の群は、細胞で発現されたほとんど全ての遺伝子、即ち、公知の遺伝子も未知の遺伝子も同様に、その群の中に含まれるようにすることが可能である。従って、遺伝子発現解析において有効に活用することができる。
【0084】
また、本実施例では、電気泳動工程は、ゲル電気泳動を行う。また、cDNA断片回収工程は、電気泳動を行ったゲルから目的のcDNA断片を含むゲルを切り出し、そのcDNA断片を回収する。
このようにcDNA断片の群をゲル電気泳動によって分画すれば、例えばキャピラリーカラムによる電気泳動に比べ、サイズ分解能を向上させることができる。このため、目的とするcDNA断片のみをより特異的に回収することができる。
【0085】
また、本実施例では、第1プライマーには、標識物質が付与されている。そして、電気泳動において、この標識物質を検出する。
このように、標識物質を有するプライマーを用いてPCRを行えば、PCR産物も標識物質を有することになる。従って、PCR反応を行っても依然として目的とするcDNA断片が比較的少ない場合であっても、電気泳動においてこの標識物質を認識することで、目的とするcDNA断片のゲル中の位置を容易に検出することができる。
【0086】
また、本実施例では、第1制限酵素としてHhaIを使用し、第2制限酵素としてSau3AIを使用している。
このような酵素を利用することにより、cDNA断片を識別可能な長さを有する断片に切断することができる。また、合成されたcDNA断片のより多くを切断することができる。
【0087】
また、本実施例では、タグ物質としてビオチンを利用し、高親和性物質としてストレプトアビジンを利用している。このようなものを使用することは、その取り扱いの容易性や入手容易性などの理由から特に好ましい。
【0088】
また、本実施例では、cDNA断片回収工程後、回収したcDNA断片をプラスミドベクターに連結し、組換え体プラスミドを形成する連結工程を備える。また、組換え体プラスミドを大腸菌に導入する導入工程を備える。
このように、回収した目的のcDNA断片をプラスミドベクターに連結し、大腸菌に導入しておけば、cDNA断片の構造解析をする場合などに有効である。即ち、形質転換したその大腸菌を培養し、それからcDNA断片を有するプラスミドDNAを抽出すれば、これを例えば塩基配列の決定等の構造解析に用いることができる。
【0089】
また、本実施例では、cDNA断片回収工程後、連結工程前に、回収したcDNA断片について、第1アダプター配列に相補的な配列を有する第3プライマーと、第2アダプター配列に相補的な配列を有する第4プライマーとを用いて、PCR反応を行う第2PCR工程を備える。
このような工程を行えば、cDNA断片回収工程で回収したcDNA断片が少量しかなくても、それを大幅に増幅させることができる。従って、効率よくcDNA断片をプラスミドベクターに連結し、大腸菌に導入することができる。
【0090】
以上において、本発明の実施の形態を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、上記実施例のcDNA加工工程では、第1切断工程、第1回収工程、及び、第1アダプター結合工程について、第1切断工程、第1アダプター結合工程、第1回収工程の順序で行っているが、これらの工程を、第1切断工程、第1回収工程、第1アダプター結合工程の順序で行うようにしてもよい。
また、上記実施例のcDNA加工工程では、第2切断工程、第2回収工程、及び、第2アダプター結合工程について、第2切断工程、第2回収工程、第2アダプター結合工程の順序で行っているが、これらの工程を、第2切断工程、第2アダプター結合工程、第2回収工程の順序で行うようにしてもよい。
【0091】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に関し、目的とするcDNA断片を回収するためのサンプルとなるcDNA断片群の作成方法についての概要を示す説明図である。
【図2】実施例に関し、目的とするcDNA断片を回収するためのサンプルとなるcDNA断片群の作成方法についての詳細を示す説明図である。
【図3】実施例に関し、rRNAを除去する方法を説明する説明図である。
【図4】実施例に関し、(a)は第1アダプター配列を示す説明図であり、(b)は第2アダプター配列を示す説明図である。
【図5】実施例に関し、256種類のcDNA断片群に分類するためのプライマーセットの配列を示す説明図である。
【図6】実施例に関し、cDNA断片の群から目的とするcDNA断片を回収する方法を示す説明図である。
【図7】実施例に関し、アンピシリン耐性遺伝子の塩基配列と、その中のHhaI切断部位及びSau3AI切断部位を示す説明図である。
【図8】実施例に関し、RT-PCRで増幅したcDNA断片の群を電気泳動した結果を示す、図面に変わる写真である。
Claims (9)
- 原核生物の細胞からmRNAを抽出するmRNA抽出工程と、
上記mRNAの3'末端にポリAを付加するポリA付加工程と、
上記ポリAが付加されたmRNAからcDNAを合成するcDNA合成工程と、
上記cDNAから一端に第1アダプター配列を有し他端に第2アダプター配列を有するアダプター付きcDNA断片を作成するcDNA加工工程と、
上記アダプター付きcDNA断片について、上記第1アダプター配列に相補的な配列を有する第1プライマーと、上記第2アダプター配列に相補的な配列を有する第2プライマーとを用いて、PCR反応を行う第1PCR工程と、
上記第1PCR工程で増幅されたcDNA断片について電気泳動を行う電気泳動工程と、
上記電気泳動の結果に基づいて、目的のcDNA断片を回収するcDNA断片回収工程と、
を備えることを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法。 - 請求項1に記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、
前記mRNA抽出工程は、
前記原核生物の細胞から全RNAを抽出する工程と、
16S rRNAの一部に相補的な配列を有する第1ヌクレオチドを上記16S rRNAにハイブリダイズさせると共に、23S rRNAの一部に相補的な配列を有する第2ヌクレオチドを23S rRNAにハイブリダイズさせる工程と、
上記第1ヌクレオチドのうち、上記16S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的である配列を有する第3ヌクレオチドが付加された第1タグ物質を、上記16S rRNAと上記第1ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせると共に、上記第2ヌクレオチドのうち、上記23S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的である配列を有する第4ヌクレオチドが付加された第2タグ物質を、上記23S rRNAと上記第2ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる工程と、
上記全RNAから、上記16S rRNAと上記第1ヌクレオチドと上記第3ヌクレオチドが付加された上記第1タグ物質との結合物を除去すると共に、上記23S rRNAと上記第2ヌクレオチドと上記第4ヌクレオチドが付加された上記第2タグ物質との結合物を除去する工程と、
を有する
ことを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法。 - 請求項2に記載の原核生物の遺伝子発現方法であって、
前記第1ヌクレオチドと前記第2ヌクレオチドは、前記16S rRNAと前記23S rRNAが持つ共通配列に対し相補的である配列を有する同一のものであり、
前記第3ヌクレオチドと前記第4ヌクレオチドも同一のものであり、
前記第1タグ物質と前記第2タグ物質も同一のものである
ことを特徴とする原核生物の遺伝子発現方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、
前記cDNA合成工程は、前記cDNAを合成すると共に上記cDNAの5'末端にタグ物質を付加し、
前記cDNA加工工程は、
上記cDNAを第1制限酵素で切断する第1切断工程と、
上記タグ物質に高親和性を有する高親和性物質に結合させることにより、上記タグ物質を有するcDNA断片を回収する第1回収工程と、
上記タグ物質を有するcDNA断片に、上記第1制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第1アダプター配列を結合させる第1アダプター結合工程と、
上記第1アダプター配列が結合されたcDNA断片を第2制限酵素で切断する第2切断工程と、
上記高親和性物質に結合させることにより、上記タグ物質を有するcDNA断片を除去し、上記タグ物質を有しないcDNA断片を回収する第2回収工程と、
上記タグ物質を有しないcDNA断片に、上記第2制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第2アダプター配列を結合させる第2アダプター結合工程と、
を有する
ことを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、
前記電気泳動工程は、ゲル電気泳動を行い、
前記cDNA断片回収工程は、ゲルから目的の前記cDNA断片を含むゲルを切り出し、当該cDNA断片を回収する
ことを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法。 - 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、
前記第1プライマー及び前記第2プライマーの少なくともいずれかには、標識物質が付与されており、
前記電気泳動において、上記標識物質を検出する
ことを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法。 - 請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、
前記タグ物質と前記高親和性物質の組み合わせが、ビオチンとストレプトアビジン、ビアチンとアビジン、FIGTとFITI抗体、及び、DIGとアンタイDIGのいずれかである
ことを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法。 - 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、
前記cDNA断片回収工程後、回収した前記cDNA断片をプラスミドベクターに連結し、組換え体プラスミドを形成する連結工程と、
上記組換え体プラスミドを大腸菌に導入する導入工程と、
を備えることを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法。 - 請求項8に記載の原核生物の遺伝子発現解析方法であって、
前記cDNA断片回収工程後、前記連結工程前に、回収した前記cDNA断片について、前記第1アダプター配列に相補的な配列を有する第3プライマーと、前記第2アダプター配列に相補的な配列を有する第4プライマーとを用いて、PCR反応を行う第2PCR工程を備える
ことを特徴とする原核生物の遺伝子発現解析方法。
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