JP5253703B2 - 遺伝子断片の取得方法 - Google Patents
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例えば、平板ゲルを利用して、cDNA断片の群から所望のcDNA断片を取得する方法がある(例えば非特許文献1参照)。即ち、cDNA断片の群について、例えばアクリルアミドゲル電気泳動を行う。その後、アクリルアミドゲル中のcDNA断片をエチジウムブロミドで染色し、UVトランスイルミネータによりアクリルアミドゲルを照らしてcDNA断片を検出する。そして、分画されたcDNA断片の群から目的のcDNA断片を含むアクリルアミドゲルを切り出し、そのゲルから当該cDNA断片を回収する。
また、例えば、キャピラリー電気泳動を利用して、cDNA断片の群から所望のcDNA断片を取得する方法もある(例えば特許文献1〜3参照)。即ち、予め蛍光標識したcDNA断片の群をキャピラリーカラムに供試し電気泳動を行う。そして、検出されたピークに基づいて、目的のcDNA断片が泳動されて来る時間を推測する。次に、再びキャピラリーカラムで電気泳動を行い、その推定時間を基づいて目的のcDNA断片を回収する。
一方、後者の方法では、蛍光標識したcDNA断片を使用しているので、目的とするcDNA断片が少量であっても、これを検出することは可能である。しかしながら、この方法では、cDNA断片を目視しながら回収できないため、目的のcDNA断片がキャピラリーカラムの先端部分に現れる時間を予想して回収する。このため、回収したcDNA断片には、目的とするcDNA断片に加え、目的物とほぼ同じ程度の長さのcDNA断片が混在する可能性が高い。また、サイズ分画能が平板ゲルを使用した場合と比較すると良くないため、回収したcDNA断片の中に目的物以外のものが混在したり、また、目的とするcDNA断片の回収率の低下を招くこともある。
その後、この第1cDNA断片911の群に対して、第1制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第1アダプタ配列923のライゲーションを行い、第1アダプタ配列923が少なくとも片側に結合した第1アダプタ付き第1cDNA断片921の群を得る。この第1アダプタ付き第1cDNA断片921の群には、タグ物質903を有し、片側に第1アダプタ配列923が結合したタグ付き第1アダプタ付き第1cDNA断片925の他、タグ物質903を持たず、片側あるいは両側に第1アダプタ配列923が結合したタグなし第1アダプタ付き第1cDNA断片927が多数存在する。
次に、回収したタグ付き第1アダプタ付き第1cDNA断片925を第2制限酵素で切断し、第2cDNA断片941の群を得る。この第2cDNA断片941の群には、タグ物質903を有し第1アダプタ配列923を持たないタグ付き第2cDNA断片943、タグ物質903も第1アダプタ配列923も持たないタグなし第2cDNA断片945、タグ物質903を持たず第1アダプタ配列923を有するタグなし第2cDNA断片947が存在する。
次に、回収したタグなし第2cDNA断片945,947の群に対して、第2制限酵素の切断部位の配列に相補的な配列を有する第2アダプタ配列953のライゲーションを行い、第2アダプタ配列953が少なくとも片側に結合したアダプタ付き第2cDNA断片951の群を得る。このアダプタ付き第2cDNA断片951の群には、一端に第1アダプタ配列923が結合し他端に第2アダプタ配列953が結合した第1,第2アダプタ付き第2cDNA断片955、及び、両端に第2アダプタ配列953が結合した第2アダプタ付き第2cDNA断片957が存在する。
かくして、一端に第1アダプタ配列923を有し他端に第2アダプタ配列953を有するアダプタ付きcDNA断片955の群を作成できる。
次に、このcDNAの群を第1制限酵素により切断して、cDNA断片(第1cDNA断片)の群を得る。このcDNA断片には、第1タグ物質を有するcDNA断片(第1タグ付き第1cDNA断片)の他、第1タグ物質を持たないcDNA断片(タグなし第1cDNA断片)(例えば、両端とも第1制限酵素で切断されたcDNA断片)も複数存在する。
次に、第1タグ物質に高親和性を有する第1高親和性物質を利用して、このcDNA断片の群の中から、第1タグ物質を有するcDNA断片(第1タグ付き第1cDNA断片)の群のみを回収する。その際、第1タグ物質を持たないcDNA断片(タグなし第1cDNA断片)は全て除去される。
その後、回収したcDNA断片の群を第2制限酵素により切断して、cDNA断片(第2cDNA断片)の群を得る。また、再び第1高親和性物質を利用して、このcDNA断片の群の中から、今度は、第1タグ物質を持たないcDNA断片(タグなし第2cDNA断片)の群を回収する。その際、第1タグ物質を有するcDNA断片(第1タグ付き第2cDNA断片)は全て除去される。回収したcDNA断片の群には、一端が第1制限酵素で切断され他端が第2制限酵素で切断されたcDNA断片の他、両端とも第2制限酵素で切断されたcDNA断片も含まれる。なお、両端とも第1制限酵素で切断されたcDNA断片は、前の工程で既に除去されているため、このcDNA断片の群には存在しない。
その後、第2タグ物質に高親和性を有する第2高親和性物質を用いて、このcDNA断片の群の中から、第2タグ物質を有する第1アダプタ配列をも結合したcDNA断片(第1,第2アダプタ付き第2cDNA断片)の群を回収する。その際、両端に第2アダプタ配列が結合したcDNA断片は全て除去される。従って、この工程で回収されるcDNA断片の群は、理論的には、一端にタグ付きの第1アダプタ配列を有し他端に第2アダプタ配列を有するアダプタ付きcDNA断片のみとなる。
その後は、このcDNA断片から第2タグ物質を除去し、一端に第1アダプタ配列を有し他端に第2アダプタ配列を有するアダプタ付きcDNA断片の群を回収する。
なお、このような方法を本明細書では、「1段階連結法」とも言う。
「タグ物質」と「高親和性物質」とは、互いに高親和性をもって特異的に結合する結合対を構成する物質であれば、いずれを利用することもできる。中でも、取り扱いの容易性や入手容易性などの理由から、タグ物質と高親和性物質の組合せとして、ビオチンとストレプトアビジン、ビオチンとアビジン、FIGTとFITC抗体、DIGとアンタイDIG、プロテインAとマウスIgG、ラテックス粒子等を利用するのが好ましい。なお、各組合せにおいて、可能であれば、いずれをタグ物質として使用しても、いずれを高親和性物質として使用してもよい。また、前述の作成方法において、「第1タグ物質」と「第2タグ物質」、及び、「第1高親和性物質」と「第2高親和性物質」はそれぞれ同じものでもよい。
「第1アダプタ配列」は、第1制限酵素の酵素切断部位に相補的な配列を有するものであればよく、また、「第2アダプタ配列」は、第2制限酵素の酵素切断部位に相補的な配列を有するものであればよい。従って、それぞれいかなる塩基配列からなるものであっても構わないが、後にPCRを行う際の効率等を考慮して設計されたものであるのが好ましい。即ち、これらのアダプタ配列がそれぞれ15塩基程度以上であると、安定したPCR反応を行うことができ、効率よくcDNA断片を増幅できる。
次に、このcDNAの群を第1制限酵素により切断して、cDNA断片(第1cDNA断片)の群を得る。
その後、第1タグ物質に高親和性を有する第1高親和性物質を利用して、このcDNA断片の群の中から、第1タグ物質を有するcDNA断片(第1タグ付き第1cDNA断片)の群のみを回収する。
その後、回収したcDNA断片の群を第2制限酵素により切断して、cDNA断片(第2cDNA断片)の群を得る。また、再び第1高親和性物質を利用して、このcDNA断片の群の中から、今度は、第1タグ物質を持たないcDNA断片(タグなし第2cDNA断片)の群を回収する。
ここまでの工程は、前述の1段階連結法と同様である。
その後、第2タグ物質に高親和性を有する第2高親和性物質を用いると共に、第2制限酵素によりこのcDNA断片を切断して、自身の内部に第2制限酵素切断部位を有しないcDNA断片(第1アダプタ付き第2cDNA断片)の群を回収する。これにより、再結合したcDNA断片が再び切断され、第2タグ物質を持たないcDNA断片は全て除去される。
その後、このcDNA断片から第2タグ物質を除去すると共に、第2制限酵素の酵素切断部位に相補的な配列を有する前記第2アダプタ配列のライゲーションを行い、一端に第1アダプタ配列を有し他端に第2アダプタ配列を有するアダプタ付きcDNA断片の群を作成する。
なお、このような方法を本明細書では、「2段階連結法」とも言う。
また、「アダプタ付きcDNA断片群作成工程」では、前工程で回収したcDNA断片から第2タグ物質を除去した後に、第2アダプタ配列のライゲーションを行ってもよいし、先に、前工程で回収したcDNA断片に第2アダプタ配列のライゲーションを行い、その後、第2タグ物質を除去してもよい。いずれの順番で行っても、一端に第1アダプタ配列を有し他端に第2アダプタ配列を有するアダプタ付きcDNA断片を作成できる。
これに対し、本発明では、mRNAにポリAを付加し、これを利用するので、容易にcDNAを合成できる。従って、原核生物を試料にしているにも拘わらず、アダプタ付きcDNA断片群を容易に作成できる。
これに対し、上記作成方法では、まず、原核生物の細胞から全RNAを抽出する。そして、抽出した全RNAに対し、16S rRNAの一部に相補的な配列を有する第1ヌクレオチドを16S rRNAにハイブリダイズさせると共に、23S rRNAの一部に相補的な配列を有する第2ヌクレオチドを23S rRNAにハイブリダイズさせる。その後、第1ヌクレオチドのうち、16S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有し、第3タグ物質が付加された第3ヌクレオチドを、16S rRNAと第1ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。また、第2ヌクレオチドのうち、23S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有し、第2タグ物質が付加された第4ヌクレオチドを、23S rRNAと第2ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。その後、全RNAから、16S rRNAと第1ヌクレオチドと第3タグ物質が付加された第3ヌクレオチドとの結合物を除去すると共に、23S rRNAと第2ヌクレオチドと第4タグ物質が付加された第4ヌクレオチドとの結合物を除去する。このような方法によれば、全RNAから、全RNAの中に多量に存在するrRNA(16S rRNA及び23S rRNA)の大部分を除去できる。従って、mRNAを容易に高純度に濃縮できる。
なお、「タグ物質」については、前述した通りである。また、上記の第3タグ物質や第4タグ物質は、前述の第1タグ物質や第2タグ物質と同じものを利用してもよい。
その後、PCR産物についてゲル電気泳動を行う。その際、第1PCR工程でcDNA断片が大幅に増幅されているので、目的のcDNA断片を容易に検出できる。
その後、この電気泳動の結果に基づいて、ゲルから所望のcDNA断片を含むゲルを切り出し、このcDNA断片(遺伝子断片)を回収する。
このような方法では、PCR工程でcDNA断片を効率よく増幅できるので、所望のcDNA断片(遺伝子断片)を効率よく取得できる。
「第1プライマー」は、第1アダプタ配列に相補的な配列を有するものであれば、いかなるものであってもよい。ここでいう相補的な配列とは、第1アダプタに対し100%相補的な配列に限られず、PCR反応においてcDNA断片を増幅できる程度に実質的に相補的な配列も含まれる。また、第1プライマーは、第1アダプタ配列に相補的な配列のみからなるものに限られず、第1アダプタ配列に相補的な配列に、更に他の配列が繋がったものであってもよい。また、第1プライマーは、第1アダプタ配列全体に対応するものに限られず、第1アダプタ配列の一部に対応するものでもよい。
標識物質は、電気泳動において検出感度が高いものであれば、いずれのものを使用することもできる。例えば、6-カルボキシフルオレッセイン(以下、FAMと称す。)、4,7,2',4',5',7'-ヘキサクロロ-6-カルボキシフルオレッセイン(以下、HEXと称す。)、NED(アプライドバイオシステムズジャパン社)、6-カルボキシ-X-ローダミン(以下、Roxと称す。)等の蛍光物質などを使用できる。これらの標識物質は、例えば、プライマーDNAの末端(例えば5'末端)に結合させればよい。
DNAポリメラーゼは、PCR反応においてDNA鎖を変性させる際の高温に短時間加熱されても永久的には不活性化されず、しかも、高温における活性を有するものが好適である。例えば、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、メタノサーマス・フェルビドゥス(Methanothermus fervidus)、サーマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)、T.フラブス(T.flavus)、T.ラクテウス(T.lacteus)、T.ルベンス(T.rubens)、T.ルバー(T.ruber)などの高熱菌由来のDNAポリメラーゼや、デスルフロコッカス・モビリス(Desulfurococcus mobilis)、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィルクム(Methanobacterium thermoautotrophilcum)、スルホロブス・ソルファタリクス(Sulfolobus solfataricus)、S.アシドカルダリウス(S.acidocaldarius)、サーモプラスマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)、ピロコッカス・コダカラエンシス(Pyrococcus kodakaraensis KOD1株)などの高熱性古細菌由来のDNAポリメラーゼなどが挙げられる。これらのうち、入手容易性等の理由から、サーマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)由来のDNAポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)由来のDNAポリメラーゼ、或いは、ピロコッカス・コダカラエンシス(Pyrococcus kodakaraensis KOD1株)由来のDNAポリメラーゼを利用するのが好ましい。
更に、PCR反応は、一般に、適当な緩衝剤を含む反応液中で行われる。効率よく核酸を増幅させるためである。緩衝液は、使用するDNAポリメラーゼ等により、反応の最適条件を得るため適宜変更できる。例えば、pHを適当に調整したトリス系の緩衝液に、塩化カリウムや塩化マグネシウムを加えた緩衝液を利用できる。
また、PCR反応液には、5%〜10%のDMSOと1%〜2%のベタインを添加してもよい。鋳型DNAとなるcDNA断片が二字構造を有する場合に産物が増幅されにくいという問題を、最小限に留める効果を有するものである。
「cDNA断片回収工程」は、電気泳動の結果に基づいて目的とするcDNA断片を回収する工程であれば、いかなる方法を利用することもできる。例えば、標識物質を検出できるDNAシークエンサーにcDNA断片を供試して電気泳動工程を行い、その解析結果から、回収するcDNA断片を決定する。次に、再度同一サンプルを電気泳動して、目的とするcDNA断片が検出されたときに、その部分のゲルを切り出し、そこから当該cDNA断片を回収する方法が挙げられる。また、ゲル電気泳動後、標識物質を検出できるスキャナー上にゲルを載置し、その解析結果から回収するcDNA断片を決定する。そして、その部分のゲルを切り出し、そこから当該cDNA断片を回収する方法が挙げられる。
その後、PCR産物についてゲル電気泳動を行う。その際、第1PCR工程でcDNA断片が大幅に増幅されているので、目的のcDNA断片を容易に検出できる。
その後、この電気泳動の結果に基づいて、ゲルから所望のcDNA断片を含むゲルを切り出し、このcDNA断片(遺伝子断片)を回収する。
なお、「第1タグ付きcDNA」、「cDNA」、「タグ物質」、「高親和性物質」、「制限酵素」、「第1アダプタ配列」、「第2アダプタ配列」、「第1プライマー」、「第2プライマー」、「電気泳動工程」、「cDNA断片回収工程」等は、前述した通りである。
これに対し、本発明では、原核生物の細胞から得たmRNAにポリAを付加するので、これを利用することで容易にcDNAを合成できる。従って、原核生物を試料にしているにも拘わらず、アダプタ付きcDNA断片群を容易に作成でき、目的とする遺伝子断片を容易に取得できる。
これに対し、上記取得方法では、まず、原核生物の細胞から全RNAを抽出する。そして、抽出した全RNAに対し、16S rRNAの一部に相補的な配列を有する第1ヌクレオチドを16S rRNAにハイブリダイズさせると共に、23S rRNAの一部に相補的な配列を有する第2ヌクレオチドを23S rRNAにハイブリダイズさせる。その後、第1ヌクレオチドのうち、16S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有し、第3タグ物質が付加された第3ヌクレオチドを、16S rRNAと第1ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。また、第2ヌクレオチドのうち、23S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有し、第4タグ物質が付加された第4ヌクレオチドを、23S rRNAと第2ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。その後、全RNAから、16S rRNAと第1ヌクレオチドと第3タグ物質が付加された第3ヌクレオチドとの結合物を除去すると共に、23S rRNAと第2ヌクレオチドと第4タグ物質が付加された第4ヌクレオチドとの結合物を除去する。
このような方法によれば、全RNAから、全RNAの中に多量に存在するrRNA(16S rRNA及び23S rRNA)の大部分を除去できる。従って、mRNAを容易により高純度に濃縮できる。
なお、「第1ヌクレオチド」、「第2ヌクレオチド」、「第3ヌクレオチド」、「第4ヌクレオチド」、「タグ物質」等については、前述した通りである。
このような工程を行えば、cDNA断片回収工程で回収したcDNA断片が少量しかなくても、それを大幅に増幅できる。従って、効率よくcDNA断片を取得できる。
このように、回収したcDNA断片をプラスミドベクターに連結し、大腸菌に導入しておけば、cDNA断片の構造解析をする場合などに有効である。即ち、形質転換したその大腸菌を培養し、それからcDNA断片を有するプラスミドDNAを抽出すれば、これを例えば塩基配列の決定等の構造解析に用いることができる。
(参考例)
「1段階連結法」によって、cDNA断片の一端に既知の第1アダプタ配列を有し他端に既知の第2アダプタ配列を有するアダプタ付きcDNA断片の群を作成する方法について、図1〜図4を参照しつつ説明する。図1は、アダプタ付きcDNA断片161の群を作成する方法のうち、第2切断・タグなし第2cDNA断片群回収工程までを示す説明図である。図2は、アダプタ付きcDNA断片161の群を作成する方法のうち、第2切断・タグなし第2cDNA断片群回収工程後の工程を示す説明図である。図3は、原核生物由来の全RNAからmRNAを濃縮するためにrRNAを除去する方法を示す説明図である。図4は、第1アダプタ配列及び第2アダプタ配列を示す説明図である。
この工程では、まず、原核生物の細胞から高純度のmRNAを得る(mRNA取得工程)。図3に全RNAからmRNAを濃縮するために、16S rRNAを除去する方法を模式的に示す。23S rRNAの除去についても基本的に同じである。
詳細には、原核生物の細胞から全RNAを抽出する(全RNA抽出工程)。その後、16S rRNAの一部に相補的な配列を有する第1ヌクレオチド201を16S rRNAにハイブリダイズさせると共に、23S rRNAの一部に相補的な配列を有する第2ヌクレオチドを23S rRNAにハイブリダイズさせる(第1,第2ヌクレオチドハイブリダイズ工程)。更に、第1ヌクレオチド201のうち、16S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的である配列を有し、第3タグ物質205が付加された第3ヌクレオチド203を、16S rRNAと第1ヌクレオチド201の結合物にハイブリダイズさせる。また、第2ヌクレオチドのうち、23S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的である配列を有し、第4タグ物質が付加された第4ヌクレオチドを、23S rRNAと上記第2ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる(第3,第4ヌクレオチドハイブリダイズ工程)。その後、全RNAから、第3タグ物質205に高親和性を有する第3高親和性物質を用いて、16S rRNAと第1ヌクレオチド201と第3タグ物質205を有する第3ヌクレオチド203との結合物を除去する。また、第4タグ物質に高親和性を有する第4高親和性物質を用いて、23S rRNAと第2ヌクレオチドと第4タグ物質を有する第4ヌクレオチドとの結合物を除去し、mRNAを濃縮する(rRNA除去工程)。
本参考例では、インビトロジェン社製のPolyA化キットを使用して、mRNAのポリA化を行った。mRNAは1000ng使用した。ポリA化反応の終了後、反応液に TE buffer 100μlとフェノール・クロロフォルム溶液 200μlを加えて混合した。続いて、この混合液を15,000rpmで5分間、室温で遠心分離した。そして、上澄み溶液を185μl(92.5μl×2)吸い取った。続いて、この上澄み溶液に 3M 酢酸ナトリウムを18.5μl加えて混合した。更に、この溶液に520μlの99.5%エタノールを加えてよく混合した。その後、この溶液を−80℃で10分間保冷した。その後、これを15,000rpmで15分間、4℃で遠心分離した後、70%エタノールで沈殿をリンスした。続いて、これを15,000rpmで3分間、4℃で遠心分離し、上澄みを除去した。その後、沈殿を風乾させ、DEPC処理水7μlに溶解した。かくして、3'末端にポリAテイルが付加したmRNAを得た。
本参考例では、mRNAの3'末端側のポリAテイルに相補的なオリゴdTプライマーをビオチン(第1タグ物質)103で標識化したものをプライマーとして用いて、cDNA(第1タグ付きcDNA)101を合成した。
本参考例では、下記の混合物を作成し、37℃で2時間反応させた。なお、第1制限酵素として、4塩基認識制限酵素の1つであるHhaIを用いた。
本参考例では、ストレプトアビジンが固定されたマグネットビーズ(第1高親和性物質)123を用いて、ビオチン(第1タグ物質)103を捕捉し、ビオチン103を有するcDNA断片113のみを回収した。
具体的には、まず、マグネットビーズ123の洗浄を行った。即ち、400μlのマグネットビーズ123をマイクロチューブに移し、スタンドにマイクロチューブを立てた。そして、マグネットビーズ123がスタンド側に引きつけられた後、上澄みを除去した。その後、スタンドからマイクロチューブをはずし、洗浄buffer(5mM Tris、0.5mM EDTA、1M NaCl:pH=7.5)を700μl加え、ピペッティングにより懸濁した。そして、再度マイクロチューブをスタンドに立てて、マグネットビーズ123をスタンド側に引きつけ、上澄みを除去した。その後、再度この洗浄操作を行った。その後、スタンドからマイクロチューブをはずし、洗浄bufferを300μl加え、ピペッティングにより懸濁した。そして、マイクロチューブを再びスタンドに立てて、上澄みを除去した後、2×洗浄bufferを195μl加えて懸濁し、ビーズ懸濁液とした。
本参考例では、ストレプトアビジンが固定されたマグネットビーズ(第2高親和性物質)153を用いて、ビオチン(第2タグ物質)144を捕捉し、ビオチン144を有するcDNA断片149のみを回収した。この工程のマグネットビーズ153の洗浄及び結合操作等は、基本的に、前述した第1タグ付き第1cDNA断片群回収工程と同様である。最終的には、マグネットビーズ153に nuclease free water 50μl加えて懸濁した。かくして、第2タグ物質144を有する第1,第2アダプタ付き第2cDNA断片149の群を得た。
本参考例では、下記の混合物を作成した。なお、第3制限酵素として、8塩基認識制限酵素の1つであるNotIを用いた。
本参考例では、このプライマーセットとして、第1アダプタ配列143に相補的な配列と、増幅させる方向に更に2塩基の配列(gg)を有し、且つ、近赤外蛍光色素IRD-800(標識物質)が結合された第1プライマー(オリゴヌクレオチド1)と、第2アダプタ配列145に相補的な配列を有する第2プライマー(オリゴヌクレオチド2)を使用した。なお、第1,第2プライマーは、それぞれ公知の手法により合成すればよい。
5'-catagaatcaaatcagttgcgc gg-3'
第2プライマー(オリゴヌクレオチド2):
5'-gcactagtgcaatcgcacttgaacgatgatc-3'
本参考例では、増幅したcDNA断片162の群を、蛍光色素の読み取れるDNAシークエンサー(LI-COR社製LIC-4200L(S)-1)に供試し、サイズ分画のためにアクリルアミドゲル電気泳動を行った。アクリルアミドゲル163の組成は、上記DNAシークエンサーに付属のマニュアルに従った。アクリルアミドゲル電気泳動を行った結果、図7のレーン2に示すように、117bpの位置にシグナルが現れた。なお、図7はシークエンサのデータより取得した画像である。
なお、図7のレーン1は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)を培養する際にイノシトールを添加しなかった場合のものである。それ以外は、本参考例と同様に試験を行った。イノシトールを添加しない場合には、イノシトール分解遺伝子が発現しないため、イノシトール分解遺伝子由来のcDNA断片は検出されない。
また、レーン3及び4については、実施例で後述する。
本参考例では、電気泳動を行ったゲルについて、濾紙を使用してゲルをゲル板から剥がした。続いて、濾紙にくっ付いたゲルを蛍光色素の検出できるスキャナー上に載置し、ゲル全体をイメージ化した。そして、目的のcDNA断片164がゲル中のどの位置にあるかを把握し、この目的のcDNA断片164を含むゲルを切り出した。なお、本参考例では、LI-COR社のゲルイメージングシステムオデッセイを使用した。
その後、切り出したアクリルアミドゲルから目的のcDNA断片164を回収した。このDNAの抽出は、Omega Bio-tek社の E.Z.N.A. Poly-Gel DNA Extraction kit を使用した。
本参考例では、フォワード側には、第1アダプタ配列143に相補的な配列を有すると共に制限酵素NotI部位の配列を有する第3プライマー(オリゴヌクレオチド3)を、リバース側には、第2アダプタ配列145に相補的な配列を有すると共に制限酵素SpeI部位の配列を有する第4プライマー(オリゴヌクレオチド4)を用いて、PCR反応を行った。
5'-cagcggccgct catagaatcaaatcagttgcgc gg-3'
第4プライマー(オリゴヌクレオチド4):
5'-gcactagtgcaatcgcacttgaacgatgatccg-3'
本参考例では、増幅したcDNA断片164の産物を制限酵素NotIとSpeIで処理した上で、プラスミドベクター(pBluescriptII)165に連結し、組換え体プラスミド166を形成した。この連結は、宝酒造社製のライゲーションキットver.2 を使用し、その添付マニュアルに従って行った。
本参考例では、コンピテントセルとして E.coli DH5αを使用し、公知の手法により、組換え体プラスミド166を大腸菌に導入した。
一方、図9を用いて説明した旧法を利用した場合、得られたcDNA断片を制限酵素NotIとSpeIで処理し、プラスミドベクターに連結すると、57個のコロニーが得られ、cDNA断片を制限酵素SpeIのみで処理し、プラスミドベクターに連結すると、36個のコロニーが得られた。従って、同一アダプタが両端に結合したcDNA断片の存在割合は約39%もあり、一端に第1アダプタ配列、他端に第2アダプタ配列が結合したcDNAの割合は約61%しかない。
このことから、前述の方法により、一端に第1アダプタ配列143、他端に第2アダプタ配列145が結合したアダプタ付きcDNA断片161の群を高純度に作成でき、効率よく所望の遺伝子断片を取得できることが判る。
次に、回収したcDNA断片135,137の群に対して、第2タグ物質144を有する第1アダプタ配列143と第2アダプタ配列145のライゲーションを行い、少なくとも第2アダプタ配列145が結合したcDNA断片(アダプタ付き第2cDNA断片)141の群を作成する。その後、第2高親和性物質153を用いて、このcDNA断片141の群の中から、第1アダプタ配列143をも結合したcDNA断片(第1,第2アダプタ付き第2cDNA断片)149の群を回収する。その後は、このcDNA断片149から第2タグ物質144を除去し、一端に第1アダプタ配列143を有し他端に第2アダプタ配列145を有するアダプタ付きcDNA断片161の群を回収する(図2参照)。
また、本参考例では、mRNA取得工程において、まず、原核生物の細胞から全RNAを抽出する。そして、抽出した全RNAに対し、16S rRNAの一部に相補的な配列を有する第1ヌクレオチドを16S rRNAにハイブリダイズさせると共に、23S rRNAの一部に相補的な配列を有する第2ヌクレオチドを23S rRNAにハイブリダイズさせる。その後、第1ヌクレオチドのうち、16S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有し、第3タグ物質が付加された第3ヌクレオチドを、16S rRNAと第1ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。また、第2ヌクレオチドのうち、23S rRNAに相補的な部位とは別の部位に対し相補的な配列を有し、第4タグ物質が付加された第4ヌクレオチドが付加された第2タグ物質を、23S rRNAと第2ヌクレオチドの結合物にハイブリダイズさせる。その後、全RNAから、16S rRNAと第1ヌクレオチドと第3ヌクレオチドとの結合物を除去すると共に、23S rRNAと第2ヌクレオチドと第4ヌクレオチドとの結合物を除去する。
このような方法によれば、全RNAから、全RNAの中に多量に存在する16S rRNAと23S rRNAの大部分を除去できる。従って、mRNAを容易により高純度に濃縮できる。
このような方法では、PCR工程で効率よくcDNA断片162を増幅できるので、所望のcDNA断片(遺伝子断片)164を効率よく取得できる。
このような工程を行えば、cDNA断片回収工程で回収したcDNA断片164が少量しかなくても、それを大幅に増幅できる。
このように、回収したcDNA断片164をプラスミドベクター165に連結し、大腸菌に導入しておけば、cDNA断片164の構造解析をする場合などに有効である。即ち、形質転換したその大腸菌を培養し、それからcDNA断片165を有するプラスミドDNA166を抽出すれば、これを例えば塩基配列の決定等の構造解析などに利用できる。
次いで、実施例について説明する。なお、上記参考例と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。
まず、「2段階連結法」によって、一端に既知の第1アダプタ配列143を有し他端に既知の第2アダプタ配列145を有するアダプタ付きcDNA断片271の群を作成する方法について説明する。
アダプタ付きcDNA断片群271の作成にあたって、まず、上記参考例と同様にして、第1タグ付きcDNA群作成工程から第2切断・タグなし第2cDNA断片群回収工程までを行う(図1参照)。
本実施例では、第2タグ物質144を有する第1アダプタ配列143は、上記参考例と同様に、ビオチン(第2タグ物質)144を有し、図4(a)に示す配列からなる第1アダプタ配列143(タグ付きHhaIアダプタ)である。そして、0.4μlのHhaIアダプタ溶液(5pmol/μl)を溶出液に加え、それに ligation kit ver.2(タカラバイオ)のI液を10μl添加し、穏やかに混合した。その後、16℃で一晩反応させた。かくして、第1アダプタ付き第2cDNA断片241の群を得た。
本実施例では、上記参考例と同様に、ストレプトアビジンが固定されたマグネットビーズ(第2高親和性物質)153を用いた。マグネットビーズ153の洗浄及び結合操作等は、基本的に、参考例で前述した第1タグ付き第1cDNA断片群回収工程と同様にして行う。
また、下記の混合物を作成した。なお、第2制限酵素として、4塩基認識制限酵素の1つであるSau3AIを用いた。
反応終了後、ビーズの洗浄操作を行い、続いて、ビーズを50μlの nuclease free water に懸濁した。かくして、自身の内部に第2制限酵素切断部位を有しない第1アダプタ付き第2cDNA断片253の群を得た。
本実施例では、下記の混合物を作成した。なお、第3制限酵素として、6塩基認識制限酵素の1つであるNotIを用いた。
本実施例では、第2アダプタ配列145は、上記参考例と同様に、図4(b)に示す配列からなる第2アダプタ配列145(Sau3AIアダプタ)である。そして、0.4μlのSau3AIアダプタ溶液(5pmol/μl)を溶出液に加え、それに ligation kit ver.2(タカラバイオ)のI液を10μl添加し、穏やかに混合した。その後、16℃で30分間反応させた。
その後、MinElute Reaction kit を使用して、サンプルを精製濃縮した。このとき、溶出操作は3回とした(最終溶出量は27μl)。そして、この溶出液を数倍〜数十倍に希釈した。かくして、一端に第1アダプタ配列143を有し他端に第2アダプタ配列145を有するアダプタ付きcDNA断片271の群を得た。
本実施例においても、アクリルアミドゲル電気泳動を行った結果、図7のレーン4に示すように、117bpの位置にシグナルが現れた。
なお、図7のレーン3は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)を培養する際にイノシトールを添加しなかった場合のものである。それ以外は、本実施例と同様に試験を行った。参考例の場合と同様に、イノシトールを添加しない場合には、イノシトール分解遺伝子が発現しないため、イノシトール分解遺伝子由来のcDNA断片は検出されない。
一方、前述したように、図9を用いて説明した旧法を利用した場合、同一アダプタが両端に結合したcDNA断片の存在割合は約39%もあり、一端に第1アダプタ配列、他端に第2アダプタ配列が結合したcDNAの割合は約61%しかない。
このことから、本発明を適用することにより、一端に第1アダプタ配列143、他端に第2アダプタ配列145が結合したアダプタ付きcDNA271の群を高純度に作成でき、効率よく所望の遺伝子断片を取得できることが判る。
その他、上記参考例と同様な部分は、上記参考例と同様な効果を奏する。
Claims (6)
- cDNA断片の一端に既知の第1アダプタ配列を有し他端に既知の第2アダプタ配列を有するアダプタ付きcDNA断片の群を作成するアダプタ付きcDNA断片群の作成方法であって、
cDNAの一方の端部に第1タグ物質が付加された第1タグ付きcDNAの群を作成する第1タグ付きcDNA群作成工程と、
前記第1タグ付きcDNAの群を第1制限酵素により切断して、第1cDNA断片の群を得る第1切断工程と、
前記第1タグ物質に高親和性を有する第1高親和性物質を用いて、前記第1cDNA断片の群の中から、前記第1タグ物質を有する第1タグ付き第1cDNA断片の群を回収する第1タグ付き第1cDNA断片群回収工程と、
前記第1タグ付き第1cDNA断片の群を第2制限酵素により切断し、第2cDNA断片の群を得て、更に、この第2cDNA断片の群の中から、前記第1タグ物質を有しないタグなし第2cDNA断片の群を回収する第2切断・タグなし第2cDNA断片群回収工程と、
前記タグなし第2cDNA断片の群に対して、第2タグ物質が付加され前記第1制限酵素の酵素切断部位に相補的な配列を有する前記第1アダプタ配列のライゲーションを行い、前記第1アダプタ配列が結合した第1アダプタ付き第2cDNA断片の群を作成する第1アダプタライゲーション工程と、
前記第2タグ物質に高親和性を有する第2高親和性物質を用いると共に、前記第2制限酵素により前記第1アダプタ付き第2cDNA断片を切断して、自身の内部に前記第2制限酵素切断部位を有しない第1アダプタ付き第2cDNA断片の群を回収する第2切断・第1アダプタ付き第2cDNA断片群回収工程と、
前記第2制限酵素切断部位を有しない第1アダプタ付き第2cDNA断片から前記第2タグ物質を除去すると共に、前記第2制限酵素の酵素切断部位に相補的な配列を有する前記第2アダプタ配列のライゲーションを行い、一端に前記第1アダプタ配列を有し他端に前記第2アダプタ配列を有する前記アダプタ付きcDNA断片の群を作成するアダプタ付きcDNA断片群作成工程と、
を備えるアダプタ付きcDNA断片群の作成方法。 - 請求項1に記載のアダプタ付きcDNA断片群の作成方法であって、
前記第1タグ付きcDNA群作成工程は、
原核生物の細胞からmRNAを得るmRNA取得工程と、
前記mRNAの3'末端にポリAを付加し、ポリA付加mRNAを得るポリA付加工程と、
前記ポリA付加mRNAに前記第1タグ物質が付加されたポリTをハイブリダイズさせるポリTハイブリダイズ工程と、
前記ポリTがハイブリダイズしたmRNAから前記第1タグ付きcDNAを合成するcDNA合成工程と、
を含む
アダプタ付きcDNA断片群の作成方法。 - cDNA断片の一端に既知の第1アダプタ配列を有し他端に既知の第2アダプタ配列を有するアダプタ付きcDNA断片の群を作成し、その中から所望のcDNA断片を取得する遺伝子断片の取得方法であって、
cDNAの一方の端部に第1タグ物質が付加された第1タグ付きcDNAの群を作成する第1タグ付きcDNA群作成工程と、
前記第1タグ付きcDNAの群を第1制限酵素により切断して、第1cDNA断片の群を得る第1切断工程と、
前記第1タグ物質に高親和性を有する第1高親和性物質を用いて、前記第1cDNA断片の群の中から、前記第1タグ物質を有する第1タグ付き第1cDNA断片の群を回収する第1タグ付き第1cDNA断片群回収工程と、
前記第1タグ付き第1cDNA断片の群を第2制限酵素により切断し、第2cDNA断片の群を得て、更に、この第2cDNA断片の群の中から、前記第1タグ物質を有しないタグなし第2cDNA断片の群を回収する第2切断・タグなし第2cDNA断片群回収工程と、
前記タグなし第2cDNA断片の群に対して、第2タグ物質が付加され前記第1制限酵素の酵素切断部位に相補的な配列を有する前記第1アダプタ配列のライゲーションを行い、前記第1アダプタ配列が結合した第1アダプタ付き第2cDNA断片の群を作成する第1アダプタライゲーション工程と、
前記第2タグ物質に高親和性を有する第2高親和性物質を用いると共に、前記第2制限酵素により前記第1アダプタ付き第2cDNA断片を切断して、自身の内部に前記第2制限酵素切断部位を有しない第1アダプタ付き第2cDNA断片の群を回収する第2切断・第1アダプタ付き第2cDNA断片群回収工程と、
前記第2制限酵素切断部位を有しない第1アダプタ付き第2cDNA断片から前記第2タグ物質を除去すると共に、前記第2制限酵素の酵素切断部位に相補的な配列を有する前記第2アダプタ配列のライゲーションを行い、一端に前記第1アダプタ配列を有し他端に前記第2アダプタ配列を有する前記アダプタ付きcDNA断片の群を作成するアダプタ付きcDNA断片群作成工程と、
前記アダプタ付きcDNA断片の群に対し、前記第1アダプタ配列に相補的な配列を有する第1プライマーと、前記第2アダプタ配列に相補的な配列を有する第2プライマーとを用いて、PCRを行う第1PCR工程と、
前記第1PCR工程で増幅されたcDNA断片の群についてゲル電気泳動を行う電気泳動工程と、
前記電気泳動工程の結果に基づいて、ゲルから所望のcDNA断片を含むゲルを切り出し、このcDNA断片を回収するcDNA断片回収工程と、
を備える遺伝子断片の取得方法。 - 請求項3に記載の遺伝子断片の取得方法であって、
前記第1タグ付きcDNA群作成工程は、
原核生物の細胞からmRNAを得るmRNA取得工程と、
前記mRNAの3'末端にポリAを付加し、ポリA付加mRNAを得るポリA付加工程と、
前記ポリA付加mRNAに前記第1タグ物質が付加されたポリTをハイブリダイズさせるポリTハイブリダイズ工程と、
前記ポリTがハイブリダイズしたmRNAから前記第1タグ付きcDNAを合成するcDNA合成工程と、
を含む
遺伝子断片の取得方法。 - 請求項3または請求項4に記載の遺伝子断片の取得方法であって、
前記cDNA断片回収工程で回収した前記cDNA断片について、前記第1アダプタ配列に相補的な配列を有する第3プライマーと、前記第2アダプタ配列に相補的な配列を有する第4プライマーとを用いて、再度PCRを行う第2PCR工程を備える
遺伝子断片の取得方法。 - 請求項5に記載の遺伝子断片の取得方法であって、
前記cDNA断片回収工程後、または、前記第2PCR工程を有する場合には第2PCR工程後、前記cDNA断片をプラスミドベクターに連結し、組換え体プラスミドを形成する連結工程と、
上記組換え体プラスミドを大腸菌に導入する導入工程と、
を備える遺伝子断片の取得方法。
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