JP2004180409A - 電子回路システム - Google Patents
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Abstract
【課題】電流指令と出力トルクの関係を線形化して高精度に動作するAC又はDCサーボ・モータを提供する。
【解決手段】繰り返し制御部14は、制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、トルク出力は制御指令に対して線形化して制御されることになる。電流検出回路を用いずにオープン・ゲインをリアルタイムに変更することにより、高速な応答性を保ち非線形電流を線形に電流に制御することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】繰り返し制御部14は、制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、トルク出力は制御指令に対して線形化して制御されることになる。電流検出回路を用いずにオープン・ゲインをリアルタイムに変更することにより、高速な応答性を保ち非線形電流を線形に電流に制御することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットや汎用組立機器、ロボット・ハンド機器、その多の多軸制御装置などのような多軸駆動系の機械装置に対して適用されるサーボ・アクチュエータに係り、特に、高精度の電流制御を実現し、高精度で且つ高速に位置決め制御する安価で小型のAC又はDCサーボ・モータに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、電流指令と出力トルクの関係を線形化して高精度に動作するAC又はDCサーボ・モータに係り、特に、微小な指令領域においても線形性を維持して高精度に動作するAC又はDCサーボ・モータに関する。
【0003】
【従来の技術】
電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボット」という。ロボットの語源は、スラブ語の”ROBOTA(奴隷機械)”に由来すると言われている。わが国では、ロボットが普及し始めたのは1960年代末からであるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなどの産業用ロボット(industrial robot)であった。
【0004】
アーム式ロボットのように、ある特定の場所に植設して用いるような据置きタイプのロボットは、部品の組立・選別作業など固定的・局所的な作業空間でのみ活動する。これに対し、移動式のロボットは、作業空間は非限定的であり、所定の経路上または無経路上を自在に移動して、所定の若しくは任意の人的作業を代行したり、ヒトやイヌあるいはその他の生命体に置き換わる種々の幅広いサービスを提供したりすることができる。なかでも脚式の移動ロボットは、クローラ式やタイヤ式のロボットに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなるが、階段や梯子の昇降や障害物の乗り越えや、整地・不整地の区別を問わない柔軟な歩行・走行動作を実現できるという点で優れている。
【0005】
最近では、イヌやネコのように4足歩行の動物の身体メカニズムやその動作を模したペット型ロボット、あるいは、ヒトのような2足直立歩行を行う動物の身体メカニズムや動作をモデルにしてデザインされた「人間形」若しくは「人間型」と呼ばれるロボット(humanoid robot)など、脚式移動ロボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている。
【0006】
この種の脚式移動ロボットは、一般に、多数の関節自由度を備え、関節の動きをアクチュエータ・モータで実現するようになっている。また、各モータの回転位置、回転量などを取り出して、サーボ制御を行なうことにより、所望の動作パターンを再現するとともに、姿勢制御を行うようになっている。
【0007】
ロボットの関節自由度を実現するためにサーボ・モータを用いるのが一般的である。これは、取扱いが容易で、小型且つ高トルクで、しかも応答性に優れているという理由に依拠する。特に、ACサーボ・モータは、ブラシがなく、メンテナンス・フリーであることから、無人化された作業空間で稼動することが望まれるような自動機械、例えば自由歩行を行う脚式ロボットの関節アクチュエータなどに適用することができる。ACサーボ・モータは、回転子(ロータ)側に永久磁石を、固定子(ステータ)側に複数相(例えば3相)のコイルを配置して、正弦波磁束分布と正弦波電流により回転子に対して回転トルクを発生させるようになっている。
【0008】
脚式移動ロボットは一般に多数の関節で構成されている。したがって、関節自由度を構成するサーボ・モータを小型且つ高性能に設計・製作しなければならない。例えば、脚式移動ロボットの関節アクチュエータとして適用することができる、ギア直結型で且つサーボ制御系をワンチップ化してモータ・ユニットに内蔵したタイプの小型ACサーボ・モータなどが既に存在する(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0009】
脚式移動ロボットのような多軸駆動系の機械装置においては、各軸の回転位置を高精度に安定に検出して、位置指令により正確に動作させる必要がある。例えば、人間型ロボットのような2足直立型の脚式移動ロボットにおいては、機体に電源を投入した直後からロボットは自分の姿勢位置を自律的に確認して、安定な姿勢位置に各軸を移動させる必要がある。したがって、各関節の回転自由度を与えるACサーボ・アクチュエータにおいては、より高精度で高速の位置決め制御を行なわなければならない。
【0010】
従来のサーボ・モータの制御は、PID制御に代表される線形フィードバック制御によりコイル電流の制御を行なうことで、所望の駆動を実現している。
【0011】
ここで、サーボ・モータの駆動制御について簡単に考察してみる。
【0012】
サーボ・モータは、一般に、回転可能に支持され磁石からなる回転子と、複数相のコイルを所定の位相差を以って配置してなる固定子で構成される。そして、各コイルへの供給電流(以下、「コイル電流」とする)を制御して各相毎に所定の位相差を持つ正弦波磁束分布を形成することにより、回転子に対して回転トルクを発生させる。
【0013】
図16には、サーボ・モータに適用される、コイル電流供給用の電流制御回路の等価回路の構成例を図解している。このような電流制御回路は、例えば固定子の各相のコイル毎に配設される。
【0014】
図示の電流制御回路は、フルブリッジ構成であり、2個のトランジスタQ1及びQ2を順方向接続した回路と、同じく2個のトランジスタQ3及びQ4を順方向接続した回路を電源電圧VccとグランドGNDの間に並列接続し、さらにトランジスタQ1及びQ2の中間点とトランジスタQ3及びQ4の中間点を固定子の単相コイルで接続している。ここで言う単相コイルは、U相、V相、又はW相のうち1つを示す。それ以外の相も、図示と同様の回路により構成される。
【0015】
トランジスタQ1及びQ4をオンにするとともに、トランジスタQ2及びQ3をオフにすることによって、コイルZ1には、図示の矢印方向の電流Aが流れる。次に、トランジスタQ2及びQ3をオフにするとともに、トランジスタQ1及びQ4をオフにすることによって、コイルZ1には、電流Aとは逆方向の電流Bが流れる。
【0016】
トランジスタQ1及びQ4をオンにするとともにトランジスタQ2及びQ3をオフにして電流Aを流す期間をA領域とし、トランジスタQ2及びQ3をオフにするとともにトランジスタQ1及びQ4をオフにして電流Bを流す期間をB領域とする。
【0017】
コイルZ1を流れる電流I1は、各トランジスタのスイッチング制御によって決定されるスイッチング電流である。スイッチング電流I1の大きさは、PWM(Pulse Width Modulation)スイッチ、すなわちA領域及びB領域の時間幅によって決定される。
【0018】
図17及び図18には、図16に示した電流制御回路における各トランジスタのPWMスイッチングとスイッチング電流との関係を示している(図17にはコイル端子電圧波形を、図18にはコイル電流波形を、それぞれ示している)。但し、TonAはA領域の長さで定まるパルス幅であり、TPWMはPWMスイッチングの一定周期である。例えば、Tonは30μsecであり、TPWMは50μsecであるときに、コイルに流れる電流I1は図18に示す通りとなる。そして、コイルへの通電電流に相応するモータの出力トルクが得られる。
【0019】
一般には、PWMスイッチング信号によりコイル電流I1の大きさを制御するようになっている。その最大電流は、パルス幅の最大量により決定される。この最大パルス幅TonAは、電流制御回路を構成する各トランジスタのオン・オフに要する過渡期間の最大期間により決定される。すなわち、トランジスタのオン/オフの過渡期間を考慮して、一方のトランジスタの組Q1及びQ4と、他方のトランジスタの組Q2及びQ3とが同時にオンにならないように、パルス幅の上限TonAが設定されている。
【0020】
PWMスイッチング周期TPWMから最大パルス幅TonAを減じた残りはデッド・バンドとして確保される。図19には、電流制御回路のPWMスイッチング制御において、デッド・バンドが確保されている様子を図解している。同図に示す例では、PWMスイッチング周期TPWMは50μsecであり、デッド・バンドとして1μsecを確保する。したがって、最大パルス幅TonAは49μsecとなる。
【0021】
図示しない中央制御部からの電流軸電流指令(又はトルク指令)IOに基づいて相変換を行なうことで各相コイルU,V,Wへの電流指令Iu、Iv、Iwを生成し、これら電流指令に基づいて各トランジスタ(図16を参照のこと)をPWM方式にてスイッチング制御する。
【0022】
従来、モータ・コイルへの電流指令と出力トルクの関係を線形化するために、線形電流フィードバック制御を行なっていた。このような設計方式では、逆起電力による特性変化を補償するため、電流制御にPI又はPIDによるフィードバック制御が採用される。このような設計方式は、アナログの電流制御において有効であるが、トランジスタの発熱の問題がある。
【0023】
また、PWMスイッチングによる電流駆動方式が主流であるが、トランジスタ・スイッチング回路は、微小指令領域ではPWMのパルス幅が小さくなるため、不感帯が生じるという問題がある。こうした非線形な不感帯のため、従来の線形フィードバック制御では十分なモータ出力特性を得ることができない。つまり、定常偏差がゼロにならないという問題がある。
【0024】
ここで、図18に示すようなPWMのパルス幅を持つコイルにおける実行電流について考えてみる。但し、同図において、i0は時刻t0でのコイル電流値であり、i1は時刻t0+TonAでのコイル電流値であり、i2は時刻t1でのコイル電流値であるとする。また、領域Aでの電流AをIon0(t)とし、領域Bでの電流BをIoff0(t)とする。
【0025】
このときの電流方程式は、下式の通りとなる。但し、V1はコイルに印加される電圧であり、R及びLはそれぞれコイルの抵抗とインピーダンスである。
【0026】
【数1】
【0027】
よって、領域Aにおいてトランジスタ(Q1,Q4)がオンの期間、すなわち時刻t0からt0+TonAまでの電流ion0(t)は、下式の通りとなる。ここで、τ0(=L/R)は時定数である。
【0028】
【数2】
【0029】
同様に、領域Bにおいて、トランジスタ(Q1,Q4)がオフの期間、すなわち時刻t0+TonAからt1までの電流ioff0(t)は、下式の通りとなる。
【0030】
【数3】
【0031】
したがって、図18に示すコイル電流の実行値は、下式に示される通りとなる。
【0032】
【数4】
【0033】
上式によれば、オープンでスイッチング・トランジスタ(Q1,Q4)のオンのパルス幅TonAと実行電流Ieff値の関係は、図20に示す通りとなる。同図からも判るように、PWMによるトランジスタ・スイッチング回路は、微小電流指令領域においてPWMのパルス幅が小さくなると、不感帯となってしまう。
【0034】
この場合、コイル電流を検出して、その電流の大きさに応じてTonA時間をフィードバックすることができれば、図示の非線形な関係を直線にする、すなわち線形的に取り扱うことができる。
【0035】
図21及び図22には、従来の線形フィードバック制御として、P制御によりPWMスイッチング駆動回路を制御するモータ制御装置の構成並びに制御ブロック図をそれぞれ示している。また、図23には、図21中の電力変換回路の内部構成を示している。
【0036】
しかしながら、図示のP制御ではPWMスイッチング駆動回路の非線形特性(図20を参照のこと)を補償することができない(図24を参照のこと)。また、図22から分かるように、モータの高速回転時には、逆起電力電圧により出力トルクが減少するという問題が生じる。
【0037】
そこで、電流制御器に積分補償器として積分ゲインを付加してPI制御を設計するという方法も考えられる。
【0038】
図25及び図26には、従来の線形フィードバック制御として、PI制御によりPWMスイッチング駆動回路を制御するモータ制御装置の構成並びに制御ブロック図をそれぞれ示している。
【0039】
PI制御によれば、PWMスイッチング駆動回路の非線形特性を補正することはできるが、積分補償器によりシステムの位相遅れが生じるので、応答磁化が劣化するという問題が新たに発生する。このため、高い周波数特性に限界が生じる(図27を参照のこと)。
【0040】
言い換えれば、定常偏差はゼロとなるが、比例制御以上の応答を実現することはできない。また、不感帯領域は積分器Giにより補正されるものの、積分器の内部に蓄積された信号が存在するため、ゼロ近傍のトルク応答性が積分時定数τ(=Gi/2π・Gp)に支配され、応答時間が遅くなるという問題がある(図28を参照のこと)。
【0041】
また、上述したように、図21及び図22に示したモータの線形電流フィードバック制御によると、PWMスイッチング駆動回路が持つ非線形特性を補償することができないので(図24を参照のこと)、トルク指令を補正する指令補正器を配置して(図29を参照のこと)、PWMスイッチング駆動回路が微小指令領域において持つ非線形特性は逆の特性(図30を参照のこと)を与えることにより、モータ電流をより目標値に近くすることができる(図31を参照のこと)。
【0042】
しかしながら、この方式では、不連続点において変化が大きくなるため、システムには高調波が生じ易いという問題がある。
【0043】
また、図29に示すようなモータの電流制御方式の場合、モータの発熱などによる特性変化に対して、補正器も可変にする必要がある。このため、回路規模が大きくなり、また、特性の変化が検出されないシステムへの対応が困難である。
【0044】
【特許文献1】
特開2000−299970号公報
【0045】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高精度の電流制御を実現し、高精度で且つ高速に位置決め制御を行なうことができる、安価で小型の優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することにある。
【0046】
本発明のさらなる目的は、電流指令と出力トルクの関係を線形化して高精度に動作することができる、優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することにある。
【0047】
本発明のさらなる目的は、微小な指令領域においても線形性を維持して高精度に動作することができる、優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することにある。
【0048】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、永久磁石型の回転子と固定子側にコイルを備え、前記コイルへの供給電流を制御して所定の磁束分布を形成することにより前記回転子に対して回転トルクを発生させるタイプのサーボ・モータであって、
トルク指令に対して比例ゲインを与える電流制御手段と、
前記電流制御手段からの電流指令に基づいて前記コイルへの電流を供給するコイル電流供給手段と、
トルク指令とモータ速度からなるモータの状態変数に基づいて前記比例ゲインを決定する繰り返し制御手段と、
を具備することを特徴とするサーボ・モータである。
【0049】
ここで、前記コイル電流供給手段は、PWNによるトランジスタ・スイッチングにより所望のコイル電流を生成するようになっている。
【0050】
制御対象としてのサーボ・モータは、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を包含しているが、これらには繰り返し性がある。
【0051】
本発明によれば、繰り返し制御部は、このような繰り返し性のある制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、トルク出力は、制御指令に対して線形化して制御されることになる。
【0052】
したがって、本発明によれば、電流検出回路を用いずにオープン・ゲインをリアルタイムに変更することにより、高速な応答性を保ち非線形電流を線形に電流に制御することができる。また、サーボ・モータを高精度で高速に位置決め制御する特性を実現することができる。また、非線形なPWM電流制御を線形化し、線形なトルクの制御を実現することにより、モータの動作特性を改善することができる。
【0053】
また、本発明に係るサーボ・モータは、トルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数により定めたGp値を記述した参照テーブルをさらに備えていてもよい。このような場合、前記繰り返し制御手段は、前記参照テーブルをリアルタイム(又は所定の制御周期時間毎)で参照するようにすればよい。
【0054】
また、本発明に係るサーボ・モータは、位置指令をトルク指令に置き換える位置制御手段と、モータの現在位置を検出する位置検出手段とをさらに備えていてもよい。
【0055】
この場合のモータの制御対象は、線形近似された構造となる。この結果、位置制御器の設計を容易にすることができる。
【0056】
また、本発明に係るサーボ・モータは、前記コイル電流供給手段によるコイル電流を前記電流制御手段にフィードバックするコイル電流フィードバック手段をさらに備えていてもよい。
【0057】
このような場合、コイル電流をフィードバックして、制御指令に対する誤差eを少なくするように比例ゲインGpを可変制御することにより、誤差eはゼロ近傍に収束し、制御指令に従い制御される。
【0058】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0060】
図1及び図2には、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置10及びモータ制御装置10においてモータ電流を制御する制御ブロックをそれぞれ示している。
【0061】
図1に示すように、モータ制御装置10は、電流制御器11と、PWMスイッチング駆動回路12と、電力変換器13と、繰り返し制御部14とで構成される。
【0062】
電流制御器11は、中央制御部(図示しない)からのトルク指令Trefに対して、所定の比例ゲインGpを以って比例制御を行なう。
【0063】
電力変換器13は、図3に示すように、2個のトランジスタQ1及びQ2を順方向接続した回路と、同じく2個のトランジスタQ3及びQ4を順方向接続した回路を電源電圧VccとグランドGNDの間に並列接続したフルブリッジ構成であり、さらにトランジスタQ1及びQ2の中間点とトランジスタQ3及びQ4の中間点を固定子の単相コイルで接続している。ここで言う単相コイルは、U相、V相、又はW相のうち1つを示す。それ以外の相も、図示と同様の回路により構成される。
【0064】
トランジスタQ1及びQ4をオンにするとともにトランジスタQ2及びQ3をオフにして電流Aを流す期間をA領域とし、トランジスタQ2及びQ3をオフにするとともにトランジスタQ1及びQ4をオフにして電流Bを流す期間をB領域とする。
【0065】
モータのコイルを流れるコイル電流は、各トランジスタのスイッチング制御によって決定されるスイッチング電流である。そしてもスイッチング電流の大きさは、PWM(Pulse Width Modulation)スイッチ、すなわちA領域及びB領域の時間幅によって決定される。PWMスイッチング駆動回路12は、20KHzのPWM周期TPWMで動作し、トルク指令Trefに相応する周期でA領域のパルス幅TonAを電力変換器13に与える。
【0066】
また、図2に示すように、この制御系では、トルク指令Trefに対してまず比例ゲインGpが乗算される。そして、トルク指令が微小となる領域では、PWMのパルス幅が小さくなるため不感帯の特性が与えられる。
【0067】
コイルの電流方程式は上記の[数1]の通りとなることから、K0/(R+S・L)が乗算されて(但し、K0は回路定数、Sはラプラス演算子)コイル電流となり、さらにモータ・トルク定数Kmが乗算されて出力トルクが得られる。
【0068】
次いで、出力トルクに1/(S・Jm+Dm)が乗算されて(但し、Jmはモータ回転子の慣性モーメント、Dmは回転子の粘性摩擦係数)モータ速度Vmとなる。さらに、モータ速度Vmにモータの逆起電力係数Keが乗算され、これが比例ゲインGpが乗算された後のトルク指令Trefから減算される。
【0069】
繰り返し制御部14は、制御指令と出力が線形になるように、トルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数に基づいて比例ゲインGpを決定する。
【0070】
制御対象としてのサーボ・モータは、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を包含しているが、これらには繰り返し性がある。繰り返し制御部14は、このような繰り返し性のある制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、トルク出力は、図4に示すように、制御指令に対して線形化して制御されることになる。
【0071】
本実施形態では、繰り返し制御部14は、トルク指令Trefとモータ速度Vmに応じて、比例ゲインGpを非線形的に変更する。電流制御回路上に配置したメモリ(図示しない)には、トルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数により定めたGp値を記述した参照テーブルをあらかじめ記憶しておく。繰り返し制御部14は、この参照テーブルをリアルタイム(又は所定の制御周期時間毎)で参照し、電流制御器11における比例ゲインGpの値を動的に修正する。
【0072】
図5には、この参照テーブルの構成を示している。同図に示す例では、モータの回転速度Vmが大、中、及びゼロとなる各回転速度毎にGpテーブルが用意されている。そして、繰り返し制御部14は、ある回転速度でモータが回転中に、所定の制御周期内でトルク指令Trefに対応するGp値を読み取り、これを電流制御器11に与える。
【0073】
図6には、本実施形態に係るモータ制御回路により、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を解消し、電流制御の線形性が保たれているときのトルク−回転速度(TN)特性と電流制御の関係を、従来の電流フィードバック方式と比較して示している。図示の通り、従来の電流フィードバック方式の場合、高速回転時には逆起電力のための誤差が生じ、また、低速回転時にはPWMスイッチングの不感帯のための誤差が生じているが、本実施形態に係る電流制御方式によれば、すべての回転速度領域において高精度なトルク−回転数特性を得ることができる。また、図7には、モータ出力の実測値を繰り返し制御された比例ゲインGpとともに示している。
【0074】
図8には、本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置10−2の構成を示している。一般に、サーボ・モータは、位置又は速度制御により制御される。本実施形態に係るモータ制御装置は、位置制御に対して図1に示した繰り返し制御による非線形電流制御のメカニズムを導入した構成となっている。
【0075】
図8に示すモータ制御装置10−2は、電流制御器11と、PWMスイッチング駆動回路12と、電力変換器13と、繰り返し制御部14と、位置検出回路15と、位置制御器16とで構成される。
【0076】
電流制御器11は、中央制御部(図示しない)からのトルク指令Trefに対して、所定の比例ゲインGpを以って比例制御を行なう。
【0077】
PWMスイッチング駆動回路12は、20KHzのPWM周期TPWMで動作し、トルク指令に相応する周期でA領域のパルス幅TonAを電力変換器13に与える。
【0078】
電力変換器13は、2個のトランジスタQ1及びQ2を順方向接続した回路と、同じく2個のトランジスタQ3及びQ4を順方向接続した回路を電源電圧VccとグランドGNDの間に並列接続したフルブリッジ構成であり、PWMスイッチング駆動回路12からトルク指令Trefに相応する周期でA領域のパルス幅TonAが与えられ、コイル電流をモータ・コイルに供給する(同上)。
【0079】
位置検出回路15は、位置検出器が読み取ったモータの回転子の回転角θを入力して、モータの現在位置Θを検出する。
【0080】
位置制御器16は、中央制御部(図示しない)からの位置指令Θrefと検出されたモータの現在位置Θとの差分を入力して、電流制御器11に制御値を与える。
【0081】
繰り返し制御部14は、制御指令と出力が線形になるように、トルク指令Trefとモータ速度Vm、並びに位置指令Θrefと現在位置Θとの差分からなるモータの状態変数に基づいて比例ゲインGpを決定する。
【0082】
制御対象としてのサーボ・モータは、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を包含しているが、これらには繰り返し性がある。繰り返し制御部14は、このような繰り返し性のある制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vm、並びに位置指令Θrefと現在位置Θとの差分からなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、モータの位置出力は、制御指令に対して線形化して制御されることになる。
【0083】
本発明の第2の実施形態に係るモータの制御ブロック構成は図9に示す通りとなる。すなわち、中央制御部からの位置指令Θrefは、位置制御器によりトルク指令Trefに置き換えられ、これにモータのトルク定数が乗算されてトルクとなり、さらに、モータの回転子の特性(1/(S・Jm+Dm))が乗算されて、位置出力を得る。位置出力は、フィードバックされて、位置指令との差分が位置制御器に入力される。
【0084】
図9からも分かるように、この場合のモータの制御対象は、線形近似された構造となる。この結果、位置制御器の設計を容易にすることができる。
【0085】
本発明の第1及び第2の実施形態に係るモータの電流制御方式によれば、モータの電流制御をオープン・ループにより低価格で簡素な回路により構成し、周波数応答を高速にすることができる。また、PWM回路によるトルク指令−モータ・トルクの非線形な関係を線形化することができる。また、繰り返し性のある動的特性も補償することができる。また、この電流制御方式に応用として、サーボ・モータのように安定で高精度、且つ高速に位置決め制御する場合、繰り返し制御による本方式配送遅れが少ないため、安定性と高速応答性がよく、特性を簡単な制御装置で実現することができる。また、線形なトルクの制御を実現することができる。
【0086】
図10及び図11には、本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置10−3及びモータ制御装置10−3においてモータ電流を制御する制御ブロックをそれぞれ示している。
【0087】
図10に示すように、モータ制御装置10は、電流制御器11と、PWMスイッチング駆動回路12と、電力変換器13と、繰り返し制御部14とで構成される。
【0088】
電流制御器11は、中央制御部(図示しない)からのトルク指令Trefに対して、所定の比例ゲインGpを以って比例制御を行なう。
【0089】
PWMスイッチング駆動回路12は、20KHzのPWM周期TPWMで動作し、トルク指令に相応する周期でA領域のパルス幅TonAを電力変換器13に与える。
【0090】
電力変換器13は、2個のトランジスタQ1及びQ2を順方向接続した回路と、同じく2個のトランジスタQ3及びQ4を順方向接続した回路を電源電圧VccとグランドGNDの間に並列接続したフルブリッジ構成であり、PWMスイッチング駆動回路12からトルク指令Trefに相応する周期でA領域のパルス幅TonAが与えられ、コイル電流をモータ・コイルに供給する(同上)。
【0091】
制御対象としてのサーボ・モータは、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を包含しているが、これらには繰り返し性がある。繰り返し制御部14は、このような繰り返し性のある制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容(参照テーブル:図5を参照のこと)に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、トルク出力は、図4に示すように、制御指令に対して線形化して制御されることになる。
【0092】
さらに、本実施形態では、電力変換器13は、コイル電流をフィードバックして、制御指令(この場合、トルク指令)に対する誤差eを少なくするように比例ゲインGpを可変制御するように構成されている。メモリに記憶した繰り返し性の誤差に対して補正を加える。この結果、誤差eは、ゼロ近傍に収束し、制御指令に従い制御される。
【0093】
また、図11に示すように、この制御系では、トルク指令Trefに対してまず比例ゲインGpが乗算される。そして、トルク指令が微小となる領域では、PWMのパルス幅が小さくなるため不感帯の特性が与えられる。
【0094】
コイルの電流方程式は上記の[数1]の通りとなることから、K0/(R+S・L)が乗算されて(但し、K0は回路定数、Sはラプラス演算子)コイル電流となり、さらにモータ・トルク定数Kmが乗算されて出力トルクが得られる。
【0095】
次いで、出力トルクに1/(S・Jm+Dm)が乗算されて(但し、Jmはモータ回転子の慣性モーメント、Dmは回転子の粘性摩擦係数)モータ速度Vmとなる。さらに、モータ速度Vmにモータの逆起電力係数Keが乗算され、これが比例ゲインGpが乗算された後のトルク指令Trefから減算される。
【0096】
また、コイル電流をフィードバックして、制御指令(この場合、トルク指令)に対する誤差eを少なくするように比例ゲインGpを可変制御する。
【0097】
図10及び図11に示すようなモータの電流制御方式は、微小指令領域において不感帯を持つサーボ・アクチュエータなど、非線形な制御対象に対して適用することができる。また、ダイナミック特性の線形性が補償される。また、個体間のばらつきや温度変化にロバストであるなど品質が安定する。また、制御器の位相変化がないため、安定性と高速な応答性がよい。また、参照テーブル(図5を参照のこと)の読み取り動作により繰り返し制御を実現することができるので、計算機負荷が少なくて済む。
【0098】
図12には、本実施形態に係るモータの電流制御の線形性が保たれているときのトルク−回転速度(TN)特性と電流制御の関係を、従来の電流フィードバック方式と比較して示している。図示の通り、従来の電流フィードバック方式の場合、高速回転時には逆起電力のための誤差が生じ、また、低速回転時にはPWMスイッチングの不感帯のための誤差が生じているが、本実施形態に係る電流制御方式によれば、すべての回転速度領域において高精度なトルク−回転数特性を得ることができる。また、図13には、モータ出力の実測値を繰り返し制御された比例ゲインGpとともに示している。
【0099】
図14には、本発明の第4の実施形態に係るモータ制御装置10−4の構成を示している。一般に、サーボ・モータは、位置又は速度制御により制御される。本実施形態に係るモータ制御装置は、位置制御に対して図1に示した繰り返し制御による非線形電流制御のメカニズムを導入した構成となっている。
【0100】
図14に示すモータ制御装置10−2は、電流制御器11と、PWMスイッチング駆動回路12と、電力変換器13と、繰り返し制御部14と、位置検出回路15と、位置制御器16とで構成される。
【0101】
電流制御器11は、中央制御部(図示しない)からのトルク指令Trefに対して、所定の比例ゲインGpを以って比例制御を行なう。
【0102】
PWMスイッチング駆動回路12は、20KHzのPWM周期TPWMで動作し、トルク指令に相応する周期でA領域のパルス幅TonAを電力変換器13に与える。
【0103】
電力変換器13は、2個のトランジスタQ1及びQ2を順方向接続した回路と、同じく2個のトランジスタQ3及びQ4を順方向接続した回路を電源電圧VccとグランドGNDの間に並列接続したフルブリッジ構成であり、PWMスイッチング駆動回路12からトルク指令Trefに相応する周期でA領域のパルス幅TonAが与えられ、コイル電流をモータ・コイルに供給する(同上)。
【0104】
位置検出回路15は、位置検出器が読み取ったモータの回転子の回転角θを入力して、モータの現在位置Θを検出する。
【0105】
位置制御器16は、中央制御部(図示しない)からの位置指令Θrefと検出されたモータの現在位置Θとの差分を入力して、電流制御器11に制御値を与える。
【0106】
繰り返し制御部14は、制御指令と出力が線形になるように、トルク指令Trefとモータ速度Vm、並びに位置指令Θrefと現在位置Θとの差分からなるモータの状態変数に基づいて比例ゲインGpを決定する。
【0107】
制御対象としてのサーボ・モータは、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を包含しているが、これらには繰り返し性がある。繰り返し制御部14は、このような繰り返し性のある制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vm、並びに位置指令Θrefと現在位置Θとの差分からなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、モータの位置出力は、制御指令に対して線形化して制御されることになる。
【0108】
さらに、本実施形態では、電力変換器13は、コイル電流をフィードバックして、制御指令(この場合、トルク指令)に対する誤差eを少なくするように比例ゲインGpを可変制御するように構成されている。メモリに記憶した繰り返し性の誤差に対して補正を加える。この結果、誤差eは、ゼロ近傍に収束し、制御指令に従い制御される。
【0109】
本発明の第4の実施形態に係るモータの制御ブロック構成は図15に示す通りとなる。すなわち、中央制御部からの位置指令Θrefは、位置制御器によりトルク指令Trefに置き換えられ、これにモータのトルク定数が乗算されてトルクとなり、さらに、モータの回転子の特性(1/(S・Jm+Dm))が乗算されて、位置出力を得る。位置出力は、フィードバックされて、位置指令との差分が位置制御器に入力される。
【0110】
図9からも分かるように、この場合のモータの制御対象は、線形近似された構造となる。この結果、位置制御器の設計を容易にすることができる。
【0111】
本発明の第3及び第4の実施形態に係るモータの電流制御方式によれば、電流制御ループの周波数応答を高速にすることができる。また、繰り返し制御による電流−トルクの精密な線形化を実現することができる。また、繰り返し性のある動的特性を補償することができる。また、モータ特性の熱変化、製造上のばらつきの影響が小さいロバストな制御を実現することができる。また、この電流制御方式の応用として、サーボ・モータのように安定で高精度、且つ高速に位置決め制御する特性を簡単な制御器の設計により実現することができる。さらには、精密なトルクの制御を実現することができる。
【0112】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0113】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、高精度の電流制御を実現し、高精度で且つ高速に位置決め制御を行なうことができる、安価で小型の優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することができる。
【0114】
また、本発明によれば、電流指令と出力トルクの関係を線形化して高精度に動作することができる、優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することができる。
【0115】
また、本発明によれば、微小な指令領域においても線形性を維持して高精度に動作することができる、優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することができる。
【0116】
本発明によれば、AC又はDCサーボ・モータの逆起電力によるトルク低下やPWMスイッチング回路に存在する非線形な特性(不感帯問題)に対し、オープン回路で線形に制御する。すなわち、繰り返し制御により比例制御器の比例ゲインGpを可変とすることにより、高速な特性と線形な制御を実現することができる。
【0117】
本発明によれば、電流検出回路を用いずにオープン・ゲインをリアルタイムに変更することにより、高速な応答性を保ち非線形電流を線形に電流に制御することができる。したがって、サーボ・モータを高精度で高速に位置決め制御する特性を実現することができる。また、非線形なPWM電流制御を線形化し、線形なトルクの制御を実現すすることにより、モータの動作特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るモータ制御装置の構成を模式的に示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るモータ制御装置のモータ電流を制御する制御ブロックを示した図である。
【図3】電力変換器13の内部構成を示した図である。
【図4】本発明によりモータのトルク特性が制御指令に対して線形化して制御される様子を示した図である。
【図5】参照テーブルの構成を示した図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るモータ制御回路により、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を解消し、電流制御の線形性が保たれているときのトルク−回転速度(TN)特性と電流制御の関係を示した図である。
【図7】モータ出力の実測値を繰り返し制御された比例ゲインGpとともに示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置における制御ブロックの構成を示した図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示した図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置における制御ブロックの構成を示した図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るモータ制御回路により、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を解消し、電流制御の線形性が保たれているときのトルク−回転速度(TN)特性と電流制御の関係を示した図である。
【図13】モータ出力の実測値を繰り返し制御された比例ゲインGpとともに示した図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示した図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係るモータ制御装置における制御ブロックの構成を示した図である。
【図16】サーボ・モータに適用される、コイル電流供給用の電流制御回路の等価回路の構成例を示した図である。
【図17】図16に示した電流制御回路における各トランジスタのPWMスイッチングとスイッチング電流との関係を示した図である。
【図18】図16に示した電流制御回路における各トランジスタのPWMスイッチングとスイッチング電流との関係を示した図である。
【図19】電流制御回路のPWMスイッチング制御において、デッド・バンドが確保されている様子を示した図である。
【図20】オープンでスイッチング・トランジスタ(Q1,Q4)のオンのパルス幅TonAと実行電流Ieff値の関係を示した図である。
【図21】従来の線形フィードバック制御として、P制御によりPWMスイッチング駆動回路を制御するモータ制御装置を示した図である。
【図22】従来の線形フィードバック制御として、P制御によりモータ電流を制御する制御ブロックを示した図である。
【図23】図21中の電力変換回路の内部構成を示した図である。
【図24】図21及び図22に示したモータの制御特性を示した図である。
【図25】従来の線形フィードバック制御として、PI制御によりPWMスイッチング駆動回路を制御するモータ制御装置の構成を示した図である。
【図26】従来の線形フィードバック制御として、PI制御によりモータ電流を制御する制御ブロックを示した図である。
【図27】図25及び図26に示したモータの制御特性を示した図である。
【図28】図25及び図26に示したモータの電量制御の応答特性を示した図である。
【図29】図21に示したモータの制御装置に指令補正器を配置した構成を示した図である。
【図30】指令補正器の非線形特性を示した図である。
【図31】図29に示したモータの制御特性を示した図である。
【符号の説明】
10…モータ制御装置
11…電流制御器
12…PWMスイッチング駆動回路
13…電力変換器
14…繰り返し制御部
15…位置検出回路
16…位置制御器
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットや汎用組立機器、ロボット・ハンド機器、その多の多軸制御装置などのような多軸駆動系の機械装置に対して適用されるサーボ・アクチュエータに係り、特に、高精度の電流制御を実現し、高精度で且つ高速に位置決め制御する安価で小型のAC又はDCサーボ・モータに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、電流指令と出力トルクの関係を線形化して高精度に動作するAC又はDCサーボ・モータに係り、特に、微小な指令領域においても線形性を維持して高精度に動作するAC又はDCサーボ・モータに関する。
【0003】
【従来の技術】
電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボット」という。ロボットの語源は、スラブ語の”ROBOTA(奴隷機械)”に由来すると言われている。わが国では、ロボットが普及し始めたのは1960年代末からであるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなどの産業用ロボット(industrial robot)であった。
【0004】
アーム式ロボットのように、ある特定の場所に植設して用いるような据置きタイプのロボットは、部品の組立・選別作業など固定的・局所的な作業空間でのみ活動する。これに対し、移動式のロボットは、作業空間は非限定的であり、所定の経路上または無経路上を自在に移動して、所定の若しくは任意の人的作業を代行したり、ヒトやイヌあるいはその他の生命体に置き換わる種々の幅広いサービスを提供したりすることができる。なかでも脚式の移動ロボットは、クローラ式やタイヤ式のロボットに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなるが、階段や梯子の昇降や障害物の乗り越えや、整地・不整地の区別を問わない柔軟な歩行・走行動作を実現できるという点で優れている。
【0005】
最近では、イヌやネコのように4足歩行の動物の身体メカニズムやその動作を模したペット型ロボット、あるいは、ヒトのような2足直立歩行を行う動物の身体メカニズムや動作をモデルにしてデザインされた「人間形」若しくは「人間型」と呼ばれるロボット(humanoid robot)など、脚式移動ロボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている。
【0006】
この種の脚式移動ロボットは、一般に、多数の関節自由度を備え、関節の動きをアクチュエータ・モータで実現するようになっている。また、各モータの回転位置、回転量などを取り出して、サーボ制御を行なうことにより、所望の動作パターンを再現するとともに、姿勢制御を行うようになっている。
【0007】
ロボットの関節自由度を実現するためにサーボ・モータを用いるのが一般的である。これは、取扱いが容易で、小型且つ高トルクで、しかも応答性に優れているという理由に依拠する。特に、ACサーボ・モータは、ブラシがなく、メンテナンス・フリーであることから、無人化された作業空間で稼動することが望まれるような自動機械、例えば自由歩行を行う脚式ロボットの関節アクチュエータなどに適用することができる。ACサーボ・モータは、回転子(ロータ)側に永久磁石を、固定子(ステータ)側に複数相(例えば3相)のコイルを配置して、正弦波磁束分布と正弦波電流により回転子に対して回転トルクを発生させるようになっている。
【0008】
脚式移動ロボットは一般に多数の関節で構成されている。したがって、関節自由度を構成するサーボ・モータを小型且つ高性能に設計・製作しなければならない。例えば、脚式移動ロボットの関節アクチュエータとして適用することができる、ギア直結型で且つサーボ制御系をワンチップ化してモータ・ユニットに内蔵したタイプの小型ACサーボ・モータなどが既に存在する(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0009】
脚式移動ロボットのような多軸駆動系の機械装置においては、各軸の回転位置を高精度に安定に検出して、位置指令により正確に動作させる必要がある。例えば、人間型ロボットのような2足直立型の脚式移動ロボットにおいては、機体に電源を投入した直後からロボットは自分の姿勢位置を自律的に確認して、安定な姿勢位置に各軸を移動させる必要がある。したがって、各関節の回転自由度を与えるACサーボ・アクチュエータにおいては、より高精度で高速の位置決め制御を行なわなければならない。
【0010】
従来のサーボ・モータの制御は、PID制御に代表される線形フィードバック制御によりコイル電流の制御を行なうことで、所望の駆動を実現している。
【0011】
ここで、サーボ・モータの駆動制御について簡単に考察してみる。
【0012】
サーボ・モータは、一般に、回転可能に支持され磁石からなる回転子と、複数相のコイルを所定の位相差を以って配置してなる固定子で構成される。そして、各コイルへの供給電流(以下、「コイル電流」とする)を制御して各相毎に所定の位相差を持つ正弦波磁束分布を形成することにより、回転子に対して回転トルクを発生させる。
【0013】
図16には、サーボ・モータに適用される、コイル電流供給用の電流制御回路の等価回路の構成例を図解している。このような電流制御回路は、例えば固定子の各相のコイル毎に配設される。
【0014】
図示の電流制御回路は、フルブリッジ構成であり、2個のトランジスタQ1及びQ2を順方向接続した回路と、同じく2個のトランジスタQ3及びQ4を順方向接続した回路を電源電圧VccとグランドGNDの間に並列接続し、さらにトランジスタQ1及びQ2の中間点とトランジスタQ3及びQ4の中間点を固定子の単相コイルで接続している。ここで言う単相コイルは、U相、V相、又はW相のうち1つを示す。それ以外の相も、図示と同様の回路により構成される。
【0015】
トランジスタQ1及びQ4をオンにするとともに、トランジスタQ2及びQ3をオフにすることによって、コイルZ1には、図示の矢印方向の電流Aが流れる。次に、トランジスタQ2及びQ3をオフにするとともに、トランジスタQ1及びQ4をオフにすることによって、コイルZ1には、電流Aとは逆方向の電流Bが流れる。
【0016】
トランジスタQ1及びQ4をオンにするとともにトランジスタQ2及びQ3をオフにして電流Aを流す期間をA領域とし、トランジスタQ2及びQ3をオフにするとともにトランジスタQ1及びQ4をオフにして電流Bを流す期間をB領域とする。
【0017】
コイルZ1を流れる電流I1は、各トランジスタのスイッチング制御によって決定されるスイッチング電流である。スイッチング電流I1の大きさは、PWM(Pulse Width Modulation)スイッチ、すなわちA領域及びB領域の時間幅によって決定される。
【0018】
図17及び図18には、図16に示した電流制御回路における各トランジスタのPWMスイッチングとスイッチング電流との関係を示している(図17にはコイル端子電圧波形を、図18にはコイル電流波形を、それぞれ示している)。但し、TonAはA領域の長さで定まるパルス幅であり、TPWMはPWMスイッチングの一定周期である。例えば、Tonは30μsecであり、TPWMは50μsecであるときに、コイルに流れる電流I1は図18に示す通りとなる。そして、コイルへの通電電流に相応するモータの出力トルクが得られる。
【0019】
一般には、PWMスイッチング信号によりコイル電流I1の大きさを制御するようになっている。その最大電流は、パルス幅の最大量により決定される。この最大パルス幅TonAは、電流制御回路を構成する各トランジスタのオン・オフに要する過渡期間の最大期間により決定される。すなわち、トランジスタのオン/オフの過渡期間を考慮して、一方のトランジスタの組Q1及びQ4と、他方のトランジスタの組Q2及びQ3とが同時にオンにならないように、パルス幅の上限TonAが設定されている。
【0020】
PWMスイッチング周期TPWMから最大パルス幅TonAを減じた残りはデッド・バンドとして確保される。図19には、電流制御回路のPWMスイッチング制御において、デッド・バンドが確保されている様子を図解している。同図に示す例では、PWMスイッチング周期TPWMは50μsecであり、デッド・バンドとして1μsecを確保する。したがって、最大パルス幅TonAは49μsecとなる。
【0021】
図示しない中央制御部からの電流軸電流指令(又はトルク指令)IOに基づいて相変換を行なうことで各相コイルU,V,Wへの電流指令Iu、Iv、Iwを生成し、これら電流指令に基づいて各トランジスタ(図16を参照のこと)をPWM方式にてスイッチング制御する。
【0022】
従来、モータ・コイルへの電流指令と出力トルクの関係を線形化するために、線形電流フィードバック制御を行なっていた。このような設計方式では、逆起電力による特性変化を補償するため、電流制御にPI又はPIDによるフィードバック制御が採用される。このような設計方式は、アナログの電流制御において有効であるが、トランジスタの発熱の問題がある。
【0023】
また、PWMスイッチングによる電流駆動方式が主流であるが、トランジスタ・スイッチング回路は、微小指令領域ではPWMのパルス幅が小さくなるため、不感帯が生じるという問題がある。こうした非線形な不感帯のため、従来の線形フィードバック制御では十分なモータ出力特性を得ることができない。つまり、定常偏差がゼロにならないという問題がある。
【0024】
ここで、図18に示すようなPWMのパルス幅を持つコイルにおける実行電流について考えてみる。但し、同図において、i0は時刻t0でのコイル電流値であり、i1は時刻t0+TonAでのコイル電流値であり、i2は時刻t1でのコイル電流値であるとする。また、領域Aでの電流AをIon0(t)とし、領域Bでの電流BをIoff0(t)とする。
【0025】
このときの電流方程式は、下式の通りとなる。但し、V1はコイルに印加される電圧であり、R及びLはそれぞれコイルの抵抗とインピーダンスである。
【0026】
【数1】
【0027】
よって、領域Aにおいてトランジスタ(Q1,Q4)がオンの期間、すなわち時刻t0からt0+TonAまでの電流ion0(t)は、下式の通りとなる。ここで、τ0(=L/R)は時定数である。
【0028】
【数2】
【0029】
同様に、領域Bにおいて、トランジスタ(Q1,Q4)がオフの期間、すなわち時刻t0+TonAからt1までの電流ioff0(t)は、下式の通りとなる。
【0030】
【数3】
【0031】
したがって、図18に示すコイル電流の実行値は、下式に示される通りとなる。
【0032】
【数4】
【0033】
上式によれば、オープンでスイッチング・トランジスタ(Q1,Q4)のオンのパルス幅TonAと実行電流Ieff値の関係は、図20に示す通りとなる。同図からも判るように、PWMによるトランジスタ・スイッチング回路は、微小電流指令領域においてPWMのパルス幅が小さくなると、不感帯となってしまう。
【0034】
この場合、コイル電流を検出して、その電流の大きさに応じてTonA時間をフィードバックすることができれば、図示の非線形な関係を直線にする、すなわち線形的に取り扱うことができる。
【0035】
図21及び図22には、従来の線形フィードバック制御として、P制御によりPWMスイッチング駆動回路を制御するモータ制御装置の構成並びに制御ブロック図をそれぞれ示している。また、図23には、図21中の電力変換回路の内部構成を示している。
【0036】
しかしながら、図示のP制御ではPWMスイッチング駆動回路の非線形特性(図20を参照のこと)を補償することができない(図24を参照のこと)。また、図22から分かるように、モータの高速回転時には、逆起電力電圧により出力トルクが減少するという問題が生じる。
【0037】
そこで、電流制御器に積分補償器として積分ゲインを付加してPI制御を設計するという方法も考えられる。
【0038】
図25及び図26には、従来の線形フィードバック制御として、PI制御によりPWMスイッチング駆動回路を制御するモータ制御装置の構成並びに制御ブロック図をそれぞれ示している。
【0039】
PI制御によれば、PWMスイッチング駆動回路の非線形特性を補正することはできるが、積分補償器によりシステムの位相遅れが生じるので、応答磁化が劣化するという問題が新たに発生する。このため、高い周波数特性に限界が生じる(図27を参照のこと)。
【0040】
言い換えれば、定常偏差はゼロとなるが、比例制御以上の応答を実現することはできない。また、不感帯領域は積分器Giにより補正されるものの、積分器の内部に蓄積された信号が存在するため、ゼロ近傍のトルク応答性が積分時定数τ(=Gi/2π・Gp)に支配され、応答時間が遅くなるという問題がある(図28を参照のこと)。
【0041】
また、上述したように、図21及び図22に示したモータの線形電流フィードバック制御によると、PWMスイッチング駆動回路が持つ非線形特性を補償することができないので(図24を参照のこと)、トルク指令を補正する指令補正器を配置して(図29を参照のこと)、PWMスイッチング駆動回路が微小指令領域において持つ非線形特性は逆の特性(図30を参照のこと)を与えることにより、モータ電流をより目標値に近くすることができる(図31を参照のこと)。
【0042】
しかしながら、この方式では、不連続点において変化が大きくなるため、システムには高調波が生じ易いという問題がある。
【0043】
また、図29に示すようなモータの電流制御方式の場合、モータの発熱などによる特性変化に対して、補正器も可変にする必要がある。このため、回路規模が大きくなり、また、特性の変化が検出されないシステムへの対応が困難である。
【0044】
【特許文献1】
特開2000−299970号公報
【0045】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高精度の電流制御を実現し、高精度で且つ高速に位置決め制御を行なうことができる、安価で小型の優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することにある。
【0046】
本発明のさらなる目的は、電流指令と出力トルクの関係を線形化して高精度に動作することができる、優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することにある。
【0047】
本発明のさらなる目的は、微小な指令領域においても線形性を維持して高精度に動作することができる、優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することにある。
【0048】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、永久磁石型の回転子と固定子側にコイルを備え、前記コイルへの供給電流を制御して所定の磁束分布を形成することにより前記回転子に対して回転トルクを発生させるタイプのサーボ・モータであって、
トルク指令に対して比例ゲインを与える電流制御手段と、
前記電流制御手段からの電流指令に基づいて前記コイルへの電流を供給するコイル電流供給手段と、
トルク指令とモータ速度からなるモータの状態変数に基づいて前記比例ゲインを決定する繰り返し制御手段と、
を具備することを特徴とするサーボ・モータである。
【0049】
ここで、前記コイル電流供給手段は、PWNによるトランジスタ・スイッチングにより所望のコイル電流を生成するようになっている。
【0050】
制御対象としてのサーボ・モータは、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を包含しているが、これらには繰り返し性がある。
【0051】
本発明によれば、繰り返し制御部は、このような繰り返し性のある制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、トルク出力は、制御指令に対して線形化して制御されることになる。
【0052】
したがって、本発明によれば、電流検出回路を用いずにオープン・ゲインをリアルタイムに変更することにより、高速な応答性を保ち非線形電流を線形に電流に制御することができる。また、サーボ・モータを高精度で高速に位置決め制御する特性を実現することができる。また、非線形なPWM電流制御を線形化し、線形なトルクの制御を実現することにより、モータの動作特性を改善することができる。
【0053】
また、本発明に係るサーボ・モータは、トルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数により定めたGp値を記述した参照テーブルをさらに備えていてもよい。このような場合、前記繰り返し制御手段は、前記参照テーブルをリアルタイム(又は所定の制御周期時間毎)で参照するようにすればよい。
【0054】
また、本発明に係るサーボ・モータは、位置指令をトルク指令に置き換える位置制御手段と、モータの現在位置を検出する位置検出手段とをさらに備えていてもよい。
【0055】
この場合のモータの制御対象は、線形近似された構造となる。この結果、位置制御器の設計を容易にすることができる。
【0056】
また、本発明に係るサーボ・モータは、前記コイル電流供給手段によるコイル電流を前記電流制御手段にフィードバックするコイル電流フィードバック手段をさらに備えていてもよい。
【0057】
このような場合、コイル電流をフィードバックして、制御指令に対する誤差eを少なくするように比例ゲインGpを可変制御することにより、誤差eはゼロ近傍に収束し、制御指令に従い制御される。
【0058】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0060】
図1及び図2には、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置10及びモータ制御装置10においてモータ電流を制御する制御ブロックをそれぞれ示している。
【0061】
図1に示すように、モータ制御装置10は、電流制御器11と、PWMスイッチング駆動回路12と、電力変換器13と、繰り返し制御部14とで構成される。
【0062】
電流制御器11は、中央制御部(図示しない)からのトルク指令Trefに対して、所定の比例ゲインGpを以って比例制御を行なう。
【0063】
電力変換器13は、図3に示すように、2個のトランジスタQ1及びQ2を順方向接続した回路と、同じく2個のトランジスタQ3及びQ4を順方向接続した回路を電源電圧VccとグランドGNDの間に並列接続したフルブリッジ構成であり、さらにトランジスタQ1及びQ2の中間点とトランジスタQ3及びQ4の中間点を固定子の単相コイルで接続している。ここで言う単相コイルは、U相、V相、又はW相のうち1つを示す。それ以外の相も、図示と同様の回路により構成される。
【0064】
トランジスタQ1及びQ4をオンにするとともにトランジスタQ2及びQ3をオフにして電流Aを流す期間をA領域とし、トランジスタQ2及びQ3をオフにするとともにトランジスタQ1及びQ4をオフにして電流Bを流す期間をB領域とする。
【0065】
モータのコイルを流れるコイル電流は、各トランジスタのスイッチング制御によって決定されるスイッチング電流である。そしてもスイッチング電流の大きさは、PWM(Pulse Width Modulation)スイッチ、すなわちA領域及びB領域の時間幅によって決定される。PWMスイッチング駆動回路12は、20KHzのPWM周期TPWMで動作し、トルク指令Trefに相応する周期でA領域のパルス幅TonAを電力変換器13に与える。
【0066】
また、図2に示すように、この制御系では、トルク指令Trefに対してまず比例ゲインGpが乗算される。そして、トルク指令が微小となる領域では、PWMのパルス幅が小さくなるため不感帯の特性が与えられる。
【0067】
コイルの電流方程式は上記の[数1]の通りとなることから、K0/(R+S・L)が乗算されて(但し、K0は回路定数、Sはラプラス演算子)コイル電流となり、さらにモータ・トルク定数Kmが乗算されて出力トルクが得られる。
【0068】
次いで、出力トルクに1/(S・Jm+Dm)が乗算されて(但し、Jmはモータ回転子の慣性モーメント、Dmは回転子の粘性摩擦係数)モータ速度Vmとなる。さらに、モータ速度Vmにモータの逆起電力係数Keが乗算され、これが比例ゲインGpが乗算された後のトルク指令Trefから減算される。
【0069】
繰り返し制御部14は、制御指令と出力が線形になるように、トルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数に基づいて比例ゲインGpを決定する。
【0070】
制御対象としてのサーボ・モータは、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を包含しているが、これらには繰り返し性がある。繰り返し制御部14は、このような繰り返し性のある制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、トルク出力は、図4に示すように、制御指令に対して線形化して制御されることになる。
【0071】
本実施形態では、繰り返し制御部14は、トルク指令Trefとモータ速度Vmに応じて、比例ゲインGpを非線形的に変更する。電流制御回路上に配置したメモリ(図示しない)には、トルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数により定めたGp値を記述した参照テーブルをあらかじめ記憶しておく。繰り返し制御部14は、この参照テーブルをリアルタイム(又は所定の制御周期時間毎)で参照し、電流制御器11における比例ゲインGpの値を動的に修正する。
【0072】
図5には、この参照テーブルの構成を示している。同図に示す例では、モータの回転速度Vmが大、中、及びゼロとなる各回転速度毎にGpテーブルが用意されている。そして、繰り返し制御部14は、ある回転速度でモータが回転中に、所定の制御周期内でトルク指令Trefに対応するGp値を読み取り、これを電流制御器11に与える。
【0073】
図6には、本実施形態に係るモータ制御回路により、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を解消し、電流制御の線形性が保たれているときのトルク−回転速度(TN)特性と電流制御の関係を、従来の電流フィードバック方式と比較して示している。図示の通り、従来の電流フィードバック方式の場合、高速回転時には逆起電力のための誤差が生じ、また、低速回転時にはPWMスイッチングの不感帯のための誤差が生じているが、本実施形態に係る電流制御方式によれば、すべての回転速度領域において高精度なトルク−回転数特性を得ることができる。また、図7には、モータ出力の実測値を繰り返し制御された比例ゲインGpとともに示している。
【0074】
図8には、本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置10−2の構成を示している。一般に、サーボ・モータは、位置又は速度制御により制御される。本実施形態に係るモータ制御装置は、位置制御に対して図1に示した繰り返し制御による非線形電流制御のメカニズムを導入した構成となっている。
【0075】
図8に示すモータ制御装置10−2は、電流制御器11と、PWMスイッチング駆動回路12と、電力変換器13と、繰り返し制御部14と、位置検出回路15と、位置制御器16とで構成される。
【0076】
電流制御器11は、中央制御部(図示しない)からのトルク指令Trefに対して、所定の比例ゲインGpを以って比例制御を行なう。
【0077】
PWMスイッチング駆動回路12は、20KHzのPWM周期TPWMで動作し、トルク指令に相応する周期でA領域のパルス幅TonAを電力変換器13に与える。
【0078】
電力変換器13は、2個のトランジスタQ1及びQ2を順方向接続した回路と、同じく2個のトランジスタQ3及びQ4を順方向接続した回路を電源電圧VccとグランドGNDの間に並列接続したフルブリッジ構成であり、PWMスイッチング駆動回路12からトルク指令Trefに相応する周期でA領域のパルス幅TonAが与えられ、コイル電流をモータ・コイルに供給する(同上)。
【0079】
位置検出回路15は、位置検出器が読み取ったモータの回転子の回転角θを入力して、モータの現在位置Θを検出する。
【0080】
位置制御器16は、中央制御部(図示しない)からの位置指令Θrefと検出されたモータの現在位置Θとの差分を入力して、電流制御器11に制御値を与える。
【0081】
繰り返し制御部14は、制御指令と出力が線形になるように、トルク指令Trefとモータ速度Vm、並びに位置指令Θrefと現在位置Θとの差分からなるモータの状態変数に基づいて比例ゲインGpを決定する。
【0082】
制御対象としてのサーボ・モータは、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を包含しているが、これらには繰り返し性がある。繰り返し制御部14は、このような繰り返し性のある制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vm、並びに位置指令Θrefと現在位置Θとの差分からなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、モータの位置出力は、制御指令に対して線形化して制御されることになる。
【0083】
本発明の第2の実施形態に係るモータの制御ブロック構成は図9に示す通りとなる。すなわち、中央制御部からの位置指令Θrefは、位置制御器によりトルク指令Trefに置き換えられ、これにモータのトルク定数が乗算されてトルクとなり、さらに、モータの回転子の特性(1/(S・Jm+Dm))が乗算されて、位置出力を得る。位置出力は、フィードバックされて、位置指令との差分が位置制御器に入力される。
【0084】
図9からも分かるように、この場合のモータの制御対象は、線形近似された構造となる。この結果、位置制御器の設計を容易にすることができる。
【0085】
本発明の第1及び第2の実施形態に係るモータの電流制御方式によれば、モータの電流制御をオープン・ループにより低価格で簡素な回路により構成し、周波数応答を高速にすることができる。また、PWM回路によるトルク指令−モータ・トルクの非線形な関係を線形化することができる。また、繰り返し性のある動的特性も補償することができる。また、この電流制御方式に応用として、サーボ・モータのように安定で高精度、且つ高速に位置決め制御する場合、繰り返し制御による本方式配送遅れが少ないため、安定性と高速応答性がよく、特性を簡単な制御装置で実現することができる。また、線形なトルクの制御を実現することができる。
【0086】
図10及び図11には、本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置10−3及びモータ制御装置10−3においてモータ電流を制御する制御ブロックをそれぞれ示している。
【0087】
図10に示すように、モータ制御装置10は、電流制御器11と、PWMスイッチング駆動回路12と、電力変換器13と、繰り返し制御部14とで構成される。
【0088】
電流制御器11は、中央制御部(図示しない)からのトルク指令Trefに対して、所定の比例ゲインGpを以って比例制御を行なう。
【0089】
PWMスイッチング駆動回路12は、20KHzのPWM周期TPWMで動作し、トルク指令に相応する周期でA領域のパルス幅TonAを電力変換器13に与える。
【0090】
電力変換器13は、2個のトランジスタQ1及びQ2を順方向接続した回路と、同じく2個のトランジスタQ3及びQ4を順方向接続した回路を電源電圧VccとグランドGNDの間に並列接続したフルブリッジ構成であり、PWMスイッチング駆動回路12からトルク指令Trefに相応する周期でA領域のパルス幅TonAが与えられ、コイル電流をモータ・コイルに供給する(同上)。
【0091】
制御対象としてのサーボ・モータは、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を包含しているが、これらには繰り返し性がある。繰り返し制御部14は、このような繰り返し性のある制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容(参照テーブル:図5を参照のこと)に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、トルク出力は、図4に示すように、制御指令に対して線形化して制御されることになる。
【0092】
さらに、本実施形態では、電力変換器13は、コイル電流をフィードバックして、制御指令(この場合、トルク指令)に対する誤差eを少なくするように比例ゲインGpを可変制御するように構成されている。メモリに記憶した繰り返し性の誤差に対して補正を加える。この結果、誤差eは、ゼロ近傍に収束し、制御指令に従い制御される。
【0093】
また、図11に示すように、この制御系では、トルク指令Trefに対してまず比例ゲインGpが乗算される。そして、トルク指令が微小となる領域では、PWMのパルス幅が小さくなるため不感帯の特性が与えられる。
【0094】
コイルの電流方程式は上記の[数1]の通りとなることから、K0/(R+S・L)が乗算されて(但し、K0は回路定数、Sはラプラス演算子)コイル電流となり、さらにモータ・トルク定数Kmが乗算されて出力トルクが得られる。
【0095】
次いで、出力トルクに1/(S・Jm+Dm)が乗算されて(但し、Jmはモータ回転子の慣性モーメント、Dmは回転子の粘性摩擦係数)モータ速度Vmとなる。さらに、モータ速度Vmにモータの逆起電力係数Keが乗算され、これが比例ゲインGpが乗算された後のトルク指令Trefから減算される。
【0096】
また、コイル電流をフィードバックして、制御指令(この場合、トルク指令)に対する誤差eを少なくするように比例ゲインGpを可変制御する。
【0097】
図10及び図11に示すようなモータの電流制御方式は、微小指令領域において不感帯を持つサーボ・アクチュエータなど、非線形な制御対象に対して適用することができる。また、ダイナミック特性の線形性が補償される。また、個体間のばらつきや温度変化にロバストであるなど品質が安定する。また、制御器の位相変化がないため、安定性と高速な応答性がよい。また、参照テーブル(図5を参照のこと)の読み取り動作により繰り返し制御を実現することができるので、計算機負荷が少なくて済む。
【0098】
図12には、本実施形態に係るモータの電流制御の線形性が保たれているときのトルク−回転速度(TN)特性と電流制御の関係を、従来の電流フィードバック方式と比較して示している。図示の通り、従来の電流フィードバック方式の場合、高速回転時には逆起電力のための誤差が生じ、また、低速回転時にはPWMスイッチングの不感帯のための誤差が生じているが、本実施形態に係る電流制御方式によれば、すべての回転速度領域において高精度なトルク−回転数特性を得ることができる。また、図13には、モータ出力の実測値を繰り返し制御された比例ゲインGpとともに示している。
【0099】
図14には、本発明の第4の実施形態に係るモータ制御装置10−4の構成を示している。一般に、サーボ・モータは、位置又は速度制御により制御される。本実施形態に係るモータ制御装置は、位置制御に対して図1に示した繰り返し制御による非線形電流制御のメカニズムを導入した構成となっている。
【0100】
図14に示すモータ制御装置10−2は、電流制御器11と、PWMスイッチング駆動回路12と、電力変換器13と、繰り返し制御部14と、位置検出回路15と、位置制御器16とで構成される。
【0101】
電流制御器11は、中央制御部(図示しない)からのトルク指令Trefに対して、所定の比例ゲインGpを以って比例制御を行なう。
【0102】
PWMスイッチング駆動回路12は、20KHzのPWM周期TPWMで動作し、トルク指令に相応する周期でA領域のパルス幅TonAを電力変換器13に与える。
【0103】
電力変換器13は、2個のトランジスタQ1及びQ2を順方向接続した回路と、同じく2個のトランジスタQ3及びQ4を順方向接続した回路を電源電圧VccとグランドGNDの間に並列接続したフルブリッジ構成であり、PWMスイッチング駆動回路12からトルク指令Trefに相応する周期でA領域のパルス幅TonAが与えられ、コイル電流をモータ・コイルに供給する(同上)。
【0104】
位置検出回路15は、位置検出器が読み取ったモータの回転子の回転角θを入力して、モータの現在位置Θを検出する。
【0105】
位置制御器16は、中央制御部(図示しない)からの位置指令Θrefと検出されたモータの現在位置Θとの差分を入力して、電流制御器11に制御値を与える。
【0106】
繰り返し制御部14は、制御指令と出力が線形になるように、トルク指令Trefとモータ速度Vm、並びに位置指令Θrefと現在位置Θとの差分からなるモータの状態変数に基づいて比例ゲインGpを決定する。
【0107】
制御対象としてのサーボ・モータは、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を包含しているが、これらには繰り返し性がある。繰り返し制御部14は、このような繰り返し性のある制御対象の特性をあらかじめメモリに記憶しておき、この記憶内容に基づいて、比例ゲインGpに対してトルク指令Trefとモータ速度Vm、並びに位置指令Θrefと現在位置Θとの差分からなるモータの状態変数に対応する補正を加える。これによって、モータの位置出力は、制御指令に対して線形化して制御されることになる。
【0108】
さらに、本実施形態では、電力変換器13は、コイル電流をフィードバックして、制御指令(この場合、トルク指令)に対する誤差eを少なくするように比例ゲインGpを可変制御するように構成されている。メモリに記憶した繰り返し性の誤差に対して補正を加える。この結果、誤差eは、ゼロ近傍に収束し、制御指令に従い制御される。
【0109】
本発明の第4の実施形態に係るモータの制御ブロック構成は図15に示す通りとなる。すなわち、中央制御部からの位置指令Θrefは、位置制御器によりトルク指令Trefに置き換えられ、これにモータのトルク定数が乗算されてトルクとなり、さらに、モータの回転子の特性(1/(S・Jm+Dm))が乗算されて、位置出力を得る。位置出力は、フィードバックされて、位置指令との差分が位置制御器に入力される。
【0110】
図9からも分かるように、この場合のモータの制御対象は、線形近似された構造となる。この結果、位置制御器の設計を容易にすることができる。
【0111】
本発明の第3及び第4の実施形態に係るモータの電流制御方式によれば、電流制御ループの周波数応答を高速にすることができる。また、繰り返し制御による電流−トルクの精密な線形化を実現することができる。また、繰り返し性のある動的特性を補償することができる。また、モータ特性の熱変化、製造上のばらつきの影響が小さいロバストな制御を実現することができる。また、この電流制御方式の応用として、サーボ・モータのように安定で高精度、且つ高速に位置決め制御する特性を簡単な制御器の設計により実現することができる。さらには、精密なトルクの制御を実現することができる。
【0112】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0113】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、高精度の電流制御を実現し、高精度で且つ高速に位置決め制御を行なうことができる、安価で小型の優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することができる。
【0114】
また、本発明によれば、電流指令と出力トルクの関係を線形化して高精度に動作することができる、優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することができる。
【0115】
また、本発明によれば、微小な指令領域においても線形性を維持して高精度に動作することができる、優れたAC又はDCサーボ・モータを提供することができる。
【0116】
本発明によれば、AC又はDCサーボ・モータの逆起電力によるトルク低下やPWMスイッチング回路に存在する非線形な特性(不感帯問題)に対し、オープン回路で線形に制御する。すなわち、繰り返し制御により比例制御器の比例ゲインGpを可変とすることにより、高速な特性と線形な制御を実現することができる。
【0117】
本発明によれば、電流検出回路を用いずにオープン・ゲインをリアルタイムに変更することにより、高速な応答性を保ち非線形電流を線形に電流に制御することができる。したがって、サーボ・モータを高精度で高速に位置決め制御する特性を実現することができる。また、非線形なPWM電流制御を線形化し、線形なトルクの制御を実現すすることにより、モータの動作特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るモータ制御装置の構成を模式的に示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るモータ制御装置のモータ電流を制御する制御ブロックを示した図である。
【図3】電力変換器13の内部構成を示した図である。
【図4】本発明によりモータのトルク特性が制御指令に対して線形化して制御される様子を示した図である。
【図5】参照テーブルの構成を示した図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るモータ制御回路により、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を解消し、電流制御の線形性が保たれているときのトルク−回転速度(TN)特性と電流制御の関係を示した図である。
【図7】モータ出力の実測値を繰り返し制御された比例ゲインGpとともに示した図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置における制御ブロックの構成を示した図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示した図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置における制御ブロックの構成を示した図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るモータ制御回路により、サーボ・モータの逆起電力Veによるトルク低下や、PWMスイッチング回路に存在する非線形な特性を持つという不感帯の問題を解消し、電流制御の線形性が保たれているときのトルク−回転速度(TN)特性と電流制御の関係を示した図である。
【図13】モータ出力の実測値を繰り返し制御された比例ゲインGpとともに示した図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係るモータ制御装置の構成を示した図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係るモータ制御装置における制御ブロックの構成を示した図である。
【図16】サーボ・モータに適用される、コイル電流供給用の電流制御回路の等価回路の構成例を示した図である。
【図17】図16に示した電流制御回路における各トランジスタのPWMスイッチングとスイッチング電流との関係を示した図である。
【図18】図16に示した電流制御回路における各トランジスタのPWMスイッチングとスイッチング電流との関係を示した図である。
【図19】電流制御回路のPWMスイッチング制御において、デッド・バンドが確保されている様子を示した図である。
【図20】オープンでスイッチング・トランジスタ(Q1,Q4)のオンのパルス幅TonAと実行電流Ieff値の関係を示した図である。
【図21】従来の線形フィードバック制御として、P制御によりPWMスイッチング駆動回路を制御するモータ制御装置を示した図である。
【図22】従来の線形フィードバック制御として、P制御によりモータ電流を制御する制御ブロックを示した図である。
【図23】図21中の電力変換回路の内部構成を示した図である。
【図24】図21及び図22に示したモータの制御特性を示した図である。
【図25】従来の線形フィードバック制御として、PI制御によりPWMスイッチング駆動回路を制御するモータ制御装置の構成を示した図である。
【図26】従来の線形フィードバック制御として、PI制御によりモータ電流を制御する制御ブロックを示した図である。
【図27】図25及び図26に示したモータの制御特性を示した図である。
【図28】図25及び図26に示したモータの電量制御の応答特性を示した図である。
【図29】図21に示したモータの制御装置に指令補正器を配置した構成を示した図である。
【図30】指令補正器の非線形特性を示した図である。
【図31】図29に示したモータの制御特性を示した図である。
【符号の説明】
10…モータ制御装置
11…電流制御器
12…PWMスイッチング駆動回路
13…電力変換器
14…繰り返し制御部
15…位置検出回路
16…位置制御器
Claims (5)
- 永久磁石型の回転子と固定子側にコイルを備え、前記コイルへの供給電流を制御して所定の磁束分布を形成することにより前記回転子に対して回転トルクを発生させるタイプのサーボ・モータであって、
トルク指令に対して比例ゲインを与える電流制御手段と、
前記電流制御手段からの電流指令に基づいて前記コイルへの電流を供給するコイル電流供給手段と、
トルク指令とモータ速度からなるモータの状態変数に基づいて前記比例ゲインを決定する繰り返し制御手段と、
を具備することを特徴とするサーボ・モータ。 - 前記コイル電流供給手段は、PWNによるトランジスタ・スイッチングにより所望のコイル電流を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーボ・モータ。 - トルク指令Trefとモータ速度Vmからなるモータの状態変数により定めた非礼ゲインGp値を記述した参照テーブルをさらに備え、
前記繰り返し制御手段は、前記参照テーブルをリアルタイム(又は所定の制御周期時間毎)で参照する、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーボ・モータ。 - 位置指令をトルク指令に置き換える位置制御手段と、
モータの現在位置を検出する位置検出手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のサーボ・モータ。 - 前記コイル電流供給手段によるコイル電流を前記電流制御手段にフィードバックするコイル電流フィードバック手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のサーボ・モータ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013003403A (ja) * | 2011-06-17 | 2013-01-07 | Ricoh Co Ltd | 制御装置及び撮像装置及びその制御方法 |
JP2013074714A (ja) * | 2011-09-28 | 2013-04-22 | Thk Co Ltd | モータ制御装置、及びモータ制御方法 |
JP2017003821A (ja) * | 2015-06-11 | 2017-01-05 | オリンパス株式会社 | ぶれ補正装置 |
-
2002
- 2002-11-26 JP JP2002342923A patent/JP2004180409A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013003403A (ja) * | 2011-06-17 | 2013-01-07 | Ricoh Co Ltd | 制御装置及び撮像装置及びその制御方法 |
JP2013074714A (ja) * | 2011-09-28 | 2013-04-22 | Thk Co Ltd | モータ制御装置、及びモータ制御方法 |
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