JP2004180044A - 動きベクトル処理方法及び動きベクトル処理回路 - Google Patents
動きベクトル処理方法及び動きベクトル処理回路 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、動きベクトル処理方法及び動きベクトル処理回路に関し、例えばビデオ信号のフォーマット変換に適用して、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができるようにする。
【解決手段】本発明は、動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタ21の特性を切り換えて動きベクトルV1を平滑化する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタ21の特性を切り換えて動きベクトルV1を平滑化する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動きベクトル処理方法及び動きベクトル処理回路に関し、例えばビデオ信号のフォーマット変換に適用することができる。本発明は、動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタの特性を切り換えて動きベクトルを平滑化することにより、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビデオ信号の高能率符号化処理においては、動きベクトルを用いてフレーム間符号化処理の効率を向上させるようになされており、またテレビジョン信号のフォーマット変換においては、動きベクトルを用いた動き補正により、フィールド数の変換によるギクシャクとした動きを滑らかな動きに補正するようになされている。
【0003】
このような動きベクトルの検出は、ビデオ信号をm画素×nライン(m,nは整数)による動きベクトルの検出単位にブロック化し、各ブロック毎に動きベクトルを検出するようになされており、例えば特開昭55−16263号公報、特開昭55−162684号公報に開示のパターンマッチング法、特開昭60−158786号公報に開示の勾配法、位相相関法等が用いられるようになされている。また勾配法においては、特開昭62−206980号公報に開示のように、初期偏位ベクトルを用いて動きベクトルの検出精度を向上するようになされている。
【0004】
これにより動きベクトルは、ブロック単位で検出することにより、動き量が一定の場合でも、連続するブロック間で、検出結果にバラツキが発生する。このため例えばテレビジョン信号のフォーマット変換においては、検出した動きベクトルを後置フィルタにより処理して使用するようになされている。
【0005】
すなわち図8は、このようなフォーマット変換装置に係る動きベクトル検出回路を示すブロック図である。この種のフォーマット変換装置においては、例えば静止画の領域と動画の領域とを判定して内挿処理を切り換えるようになされており、このような静止画の領域と動画の領域との判定基準として動きベクトルを用い、さらにはビデオ信号の生成に動きベクトルを使用するようになされている。
【0006】
すなわちこの動きベクトル検出回路1において、動きベクトル検出部2は、パターンマッチング法、勾配法、位相相関法等により順次動きベクトルVを検出して出力し、後置フィルタ3は、この動きベクトル検出部2で順次検出される動きベクトルVを平滑化して出力する。また続く動きベクトル評価部4は、この後置フィルタ3から出力される動きベクトルが正しいか否か評価し、この評価結果により順次入力される動きベクトル又は値0の動きベクトルを選択出力し、続く後置フィルタ5は、この動きベクトル評価部4から出力される動きベクトルを平滑化して出力する。動き補正部6は、この後置フィルタ5から出力される動きベクトルを用いて動きベクトルの検出に供したビデオ信号を動き補正する。フォーマットに変換装置では、この動き補正して得られるビデオ信号をフィールド間内挿処理し、この内挿処理によるビデオ信号を例えば動画の領域に適用するようになされている。
【0007】
このような後置フィルタ3、5においては、例えば図9に示すように、孤立点除去フィルタ(いわゆるメディアンフィルタである)7と、水平方向及び垂直方向にそれぞれ周波数特性を補正する水平フィルタ(Hフィルタ)8及び垂直フィルタ(Vフィルタ)9による2次元フィルタ10とにより構成され、これにより動きベクトルのばらつき、動きベクトル処理結果のばらつきを補正するようになされている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭55−16263号公報
【特許文献2】
特開昭55−162684号公報
【特許文献3】
特開昭60−158786号公報
【特許文献4】
特開昭62−206980号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこのような後置フィルタによる補正にあっては、ばらつきについては補正し得るものの、例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合には、却って本来の動きに係る情報が失われる問題がある。
【0010】
具体的には、例えばサッカー中継において、遠景によりサッカーボールを追いかけている場合である。この場合、大きく移動する背景に対して、動きベクトル検出ブロック程度の大きさにより静止に近い状態でサッカーボールが撮像されていると、動きベクトル検出部2ではサッカーボールの動きベクトルを検出し得るものの、後置フィルタ3、5からの出力においては、このサッカーボールの動きベクトルが背景の動きベクトルと平均化され、これにより結局、サッカーボールの部分については動きベクトルを検出できなくなる。
【0011】
このようにして本来の動きに係る情報が失われると、フォーマット変換等の動きベクトルを用いた内挿処理においては、画質が劣化することになる。また動きベクトルを用いたフレーム間符号化処理においては、予測フレームを正しく動き補償することが困難になり、その分、伝送に供するデータ量の増大により伝送効率が劣化し、さらには画質が劣化することになる。また動きベクトルを用いたノイズ軽減装置においては、効果的にノイズを軽減し得なくなる。
【0012】
これらによりこのような動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することが望まれる。
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる動きベクトル処理方法及び動きベクトル処理回路を提案しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、動きベクトル検出ブロック単位で順次検出される動きベクトルを処理する動きベクトル処理方法に適用して、前記動きベクトルの分布状態に基づいて、前記動きベクトルの特性を補正する第1の後置フィルタの特性を切り換える第1の後置フィルタ切り換え処理を有するようにする。
【0015】
また請求項2の発明においては、請求項1の構成において、前記後置フィルタの処理による動きベクトルを評価し、評価結果により前記動きベクトルを所定値の動きベクトルに置き換える動きベクトルの評価処理と、前記動きベクトルの評価処理より得られる動きベクトルの分布状態に基づいて、又は前記第1の後置フィルタ切り換え処理に供する動きベクトルの分布状態に基づいて、前記動きベクトルの評価処理より得られる動きベクトルの特性を補正する第2の後置フィルタの特性を切り換える第2の後置フィルタ切り換え処理を有するようにする。
【0016】
また請求項3の発明においては、動きベクトル検出ブロック単位で順次検出される動きベクトルを処理する動きベクトル処理回路に適用して、前記動きベクトルを平滑化する第1の後置フィルタと、前記動きベクトルの分布状態に基づいて前記第1の後置フィルタの特性を切り換える第1の後置フィルタ切り換え手段とを有するようにする。
【0017】
また請求項4の発明においては、請求項3の構成において、前記第1の後置フィルタから出力される動きベクトルを評価し、評価結果により該動きベクトルを所定値の動きベクトルに置き換える動きベクトル評価手段と、前記動きベクトル評価手段から出力される前記動きベクトルを平滑化する第2の後置フィルタと、前記動きベクトル評価手段から出力される動きベクトルの分布状態に基づいて、又は前記第1の後置フィルタ切り換え手段の処理に供する動きベクトルの分布状態に基づいて、前記第2の後置フィルタの特性を切り換える第2の後置フィルタ切り換え手段とを有するようにする。
【0018】
また請求項5の発明においては、請求項3又は請求項4の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとにより、前記動きベクトルの分布状態を検出する。
【0019】
また請求項6の発明においては、請求項5の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、最大値、最小値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出する。
【0020】
また請求項7の発明においては、請求項6の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出し、前記順次入力される動きベクトルの値と前記平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より大きい場合、前記第1及び又は第2の後置フィルタにおける平滑化の程度を低減し、又は平滑化の処理を中止する。
【0021】
また請求項8の発明においては、請求項6の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルの値と前記平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より小さく、かつ前記最大値と前記最小値の差分絶対値が、第2の評価基準値より小さい場合、前記第1及び又は第2の後置フィルタにおける前記平滑化の程度の低減し、又は平滑化の処理を中止する。
【0022】
また請求項9の発明においては、請求項5の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルによる平均値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出し、前記平均値が、前記周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックに対して垂直方向に位置する動きベクトル検出ブロックの間で検出される垂直方向の平均値と、前記周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックに対して水平方向に位置する動きベクトル検出ブロックの間で検出される水平方法の平均値とであり、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルの値と前記垂直方向の平均値との差分絶対値が、所定の評価基準値より大きい場合、垂直方向に係る前記平滑化の程度を低減し、又は垂直方向に係る前記平滑化の処理を中止し、前記順次入力される動きベクトルの値と前記水平方向の平均値との差分絶対値が、所定の評価基準値より大きい場合、水平方向に係る前記平滑化の程度を低減し、又は水平方向に係る前記平滑化の処理を中止する。
【0023】
請求項1の構成によれば、動きベクトル検出ブロック単位で順次検出される動きベクトルを処理する動きベクトル処理方法に適用して、前記動きベクトルの分布状態に基づいて、前記動きベクトルの特性を補正する第1の後置フィルタの特性を切り換える第1の後置フィルタ切り換え処理を有することにより、動きベクトルの分布状態により例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合については、平滑化処理の程度を低減することができ、これによりこのような動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0024】
また請求項2の構成によれば、請求項1の構成において、前記後置フィルタの処理による動きベクトルを評価し、評価結果により前記動きベクトルを所定値の動きベクトルに置き換える動きベクトルの評価処理と、前記動きベクトルの評価処理より得られる動きベクトルの分布状態に基づいて、又は前記第1の後置フィルタ切り換え処理に供する動きベクトルの分布状態に基づいて、前記動きベクトルの評価処理より得られる動きベクトルの特性を補正する第2の後置フィルタの特性を切り換える第2の後置フィルタ切り換え処理を有することにより、動きベクトルの評価処理の後に、動きベクトルの分布状態により例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合については、平滑化処理の程度を軽減することができ、これによりこのような動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0025】
また請求項3の構成によれば、動きベクトル検出ブロック単位で順次検出される動きベクトルを処理する動きベクトル処理回路に適用して、前記動きベクトルを平滑化する第1の後置フィルタと、前記動きベクトルの分布状態に基づいて前記第1の後置フィルタの特性を切り換える第1の後置フィルタ切り換え手段とを有することにより、動きベクトルの分布状態により例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合については、平滑化処理の程度を軽減することができ、これによりこのような動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0026】
また請求項4の構成によれば、請求項3の構成において、前記第1の後置フィルタから出力される動きベクトルを評価し、評価結果により該動きベクトルを所定値の動きベクトルに置き換える動きベクトル評価手段と、前記動きベクトル評価手段から出力される前記動きベクトルを平滑化する第2の後置フィルタと、前記動きベクトル評価手段から出力される動きベクトルの分布状態に基づいて、又は前記第1の後置フィルタ切り換え手段の処理に供する動きベクトルの分布状態に基づいて、前記第2の後置フィルタの特性を切り換える第2の後置フィルタ切り換え手段とを有することにより、動きベクトル評価手段による処理の後に、動きベクトルの分布状態により例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合については、平滑化処理の程度を軽減することができ、これによりこのような動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0027】
また請求項5の構成によれば、請求項3又は請求項4の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとにより、前記動きベクトルの分布状態を検出することにより、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの比較により、例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合等による動きベクトルの分布状態を検出することができる。
【0028】
また請求項6の構成によれば、請求項5の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、最大値、最小値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出することにより、これらのパラメータの処理により、簡易に、例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合等による動きベクトルの分布状態を検出することができる。
【0029】
また請求項7の構成によれば、請求項6の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出し、前記順次入力される動きベクトルの値と前記平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より大きい場合、前記第1及び又は第2の後置フィルタにおける平滑化の程度を低減し、又は平滑化の処理を中止することにより、具体的に、平滑化の処理を低減は中止して、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0030】
また請求項8の構成によれば、請求項6の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルの値と前記平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より小さく、かつ前記最大値と前記最小値の差分絶対値が、第2の評価基準値より小さい場合、前記第1及び又は第2の後置フィルタにおける前記平滑化の程度の低減し、又は平滑化の処理を中止することにより、確実に動きに係る情報を失うことが無い場合にだけ平滑化して、確実に動きに係る情報を失うことなく動きベクトルのばらつきを軽減することができる。
【0031】
また請求項9の構成によれば、請求項5の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルによる平均値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出し、前記平均値が、前記周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックに対して垂直方向に位置する動きベクトル検出ブロックの間で検出される垂直方向の平均値と、前記周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックに対して水平方向に位置する動きベクトル検出ブロックの間で検出される水平方法の平均値とであり、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルの値と前記垂直方向の平均値との差分絶対値が、所定の評価基準値より大きい場合、垂直方向に係る前記平滑化の程度を低減し、又は垂直方向に係る前記平滑化の処理を中止し、前記順次入力される動きベクトルの値と前記水平方向の平均値との差分絶対値が、所定の評価基準値より大きい場合、水平方向に係る前記平滑化の程度を低減し、又は水平方向に係る前記平滑化の処理を中止することにより、具体的に、平滑化の処理を低減又は中止して、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0033】
(1)第1の実施の形態
(1−1)第1の実施の形態の構成
図2は、本発明の実施の形態に係る動きベクトル検出回路を示すブロック図である。この動きベクトル検出回路11は、フォーマット変換装置、MPEG(Moving Picture Experts Group)等による符号化装置、ノイズ軽減装置等に適用されて、ビデオ信号を構成する輝度信号Yから動きベクトルVを検出して出力する。なお動きベクトルの検出においては、輝度信号Yを使用する場合に限らず、色差信号R−Y、B−Yを使用することも可能である。
【0034】
この動きベクトル検出回路11において、前置フィルタ12は、2次元又は3次元のローパスフィルタであり、輝度信号Yを帯域制限して出力する。これにより動きベクトル検出回路11は、動きベクトルの検出エラーを軽減するようになされている。なおこの前置フィルタ12においては、必要に応じて省略することも可能である。
【0035】
動きベクトル検出部13は、この前置フィルタ12から出力される輝度信号Yを受け、順次動きベクトルの検出ブロック毎に、勾配法により動きベクトルV1を検出して出力する。なおこの動きベクトルの検出においては、ブロックマッチング法、反復勾配法、位相相関法等、種々の動きベクトル検出手法を広く適用することができ、また画素単位で検出するようにしてもよい。動きベクトル検出回路11は、この動きベクトル検出部13で検出される動きベクトルVを続く後置フィルタ14、動きベクトル評価部15、後置フィルタ16で処理して出力する。
【0036】
後置フィルタ14は、この動きベクトル検出部13から出力される動きベクトルV1を平滑化して出力する。この処理において、後置フィルタ14は、動きベクトルの分布状態に基づいて、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化しても動きに係る情報が損なわれない場合には、動きベクトルV1を平滑化して動きベクトルV2を出力する。これに対して動きの係る情報が損なわれる場合には、動きに係る情報を損なわないように周波数特性を切り換え、この切り換えた周波数特性により動きベクトルV2を出力する。
【0037】
動きベクトル評価部15は、この後置フィルタ14から出力される動きベクトルV2が正しいか否か評価し、この評価結果により順次入力される動きベクトルV2又は所定値の動きベクトルを選択出力する。具体的に、動きベクトル評価部15は、順次入力される動きベクトルV2により輝度信号Yを動き補正し、この動き補正した輝度信号Yのフィールド間の対応する画素間で差分値を得、動きベクトルの検出ブロック毎に、この差分値を累積する。また何ら動き補正していないフィールド間で、同様にして差分値を累積し、この何ら動き補正していないフィールド間からの累積値に比して、動き補正したフィールド間より検出した累積値が小さい場合、この動きベクトル検出ブロックについては、後置フィルタ14から出力される動きベクトルV2が正しいと評価し、この動きベクトルV2を続く後置フィルタ16に出力する。これとは逆に、何ら動き補正していないフィールド間からの累積値に比して、動き補正したフィールド間より検出した累積値が大きい場合、この動きベクトル検出ブロックについては、後置フィルタ14から出力される動きベクトルV2が誤っていると評価し、値0の動きベクトルVを置き換えて後置フィルタ16に出力する。
【0038】
なお動きベクトル評価部15は、このような差分値の累積値を、差分値の絶対値和により検出するようになされている。また動きベクトルの検出ブロックに比して、水平方向及び垂直方向にサイズの小さな累積値検出ブロックを設定し、この累積値検出ブロックで差分値の累積値を計算するようになされている。
【0039】
後置フィルタ16は、このようにして動きベクトル評価部15から出力される動きベクトルV3を平滑化して出力する。この処理において、後置フィルタ16は、後置フィルタ14と同様に、動きベクトルの分布状態に基づいて、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化しても動きに係る情報が損なわれない場合には、動きベクトルV3を平滑化して動きベクトルVを出力する。これに対して動きに係る情報が損なわれる場合には、動きに係る情報を損なわないように周波数特性を切り換え、この切り換えた周波数特性により動きベクトルVを出力する。
【0040】
図1は、これら後置フィルタ14、16の構成を示すブロック図である。なお、この実施の形態において、後置フィルタ14、16は、処理対象が異なる点を除いて同一に構成されることにより、以下の説明については、後置フィルタ14についてのみ構成を説明し、後置フィルタ16については、構成の説明を省略する。
【0041】
この後置フィルタ14においては、動きベクトルV1を水平方向の成分Vxと垂直方向の成分Vyとに分解し、それぞれ水平方向処理回路14X及び垂直方向処理回路14Yにより処理する。ここで水平方向処理回路14X及び垂直方向処理回路14Yは、それぞれ処理対象が異なる点、この処理対象に対応するように各部が構成されている点を除いて、同一に構成されることにより、以下の説明については、水平方向処理回路14Xについてのみ構成を詳細に説明する。
【0042】
すなわち水平方向処理回路14Xにおいて、動きベクトル分布検出回路20は、動きベクトルV1の水平方向成分Vxについて、分布状態を検出し、この分布状態によりフィルタ部21の特性を切り換える。
【0043】
フィルタ部21は、動きベクトル検出部13から出力される動きベクトルV1の水平方向成分Vxをこの動きベクトル分布検出回路20で設定された特性により補正して出力する。すなわちフィルタ部21は、孤立点除去フィルタ(メディアンフィルタ)22に動きベクトルV1を入力し、この孤立点除去フィルタ22の入出力を選択回路23により選択して続く2次元フィルタ24に出力できるように構成され、これにより選択回路23の設定により孤立点除去フィルタ22をバイパスさせて特性を切り換えることができるようになされている。
【0044】
さらにフィルタ部21は、2次元フィルタ24の入出力を選択回路25により選択して続く動きベクトル評価部15に出力できるように構成され、これにより選択回路25の設定により2次元フィルタ24をバイパスさせて特性を切り換えることができるようになされている。フィルタ部21は、これら選択回路23、25が動きベクトル分布検出回路20により設定され、これにより動きベクトル分布検出回路20で検出した動きベクトルの分布状態に応じて特性が切り換えられるようになされている。
【0045】
これにより動きベクトル検出回路11では、動きベクトルの分布状態に基づいて、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化しても動きに係る情報が損なわれない場合には、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24による周波数特性により動きベクトルV1を平滑化するのに対し、動きに係る情報が損なわれる場合には、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスさせて周波数特性を切り換え、この切り換えた周波数特性により動きベクトルV1の水平方向成分Vxを出力するようになされている。かくするにつき、この後置フィルタ14では、動きに係る情報を損なわないように周波数特性が、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスさせる特性、すなわち何ら動きベクトルV1の周波数特性を補正しない特性に設定されて、平滑化の程度が軽減されるようになされている。
【0046】
これによりこの動きベクトル検出回路11では、動きが急変する領域、動き物体が小さい場合における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正するようになされ、その分、動きベクトルの検出精度を向上することができるようになされている。
【0047】
動きベクトル分布検出回路20において、平均化回路26は、処理対象である動きベクトルの検出ブロックを含む周囲9個の動きベクトル検出ブロックで、動きベクトルV1の水平方向成分Vxを平均値化し、平均値による動きベクトルVAを出力する。
【0048】
最大値検出回路27は、同様に、これら9個の動きベクトル検出ブロックで、動きベクトルV1の水平方向成分Vxについて、最大値VMAを検出して出力する。最小値検出回路28は、同様に、これら9個の動きベクトル検出ブロックで、動きベクトルV1の水平方向成分Vxについて、動きベクトルV1の最小値VMIを検出して出力する。
【0049】
ベクトル比較回路29は、処理対象である動きベクトルV1の水平方向成分V0(Vx)と、これら平均化回路26等で検出される平均値による動きベクトルVA、最大値VMA、最小値VMIに基づいて、フィルタ部21に設けられた選択回路23、25を設定し、これにより動きベクトルV1の分布状態に応じてフィルタ部21による平滑化の程度を切り換える。
【0050】
すなわちベクトル比較回路29は、処理対象である動きベクトルの水平方向成分V0(Vx)と平均値による動きベクトルVAとの間の差分値が、第1の評価基準値α以下の場合(すなわち|V0−VA|≦αの場合)であって、かつ最大値VMA、最小値VMIとの間の差分値が、第2の評価基準値β以下の場合(すなわち|VMA−VAI|≦βの場合である)、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24を介して動きベクトルV1を出力するように、選択回路23、25を設定する。なおここで第1の評価基準値α、βは、ほぼ0に近い値である。
【0051】
すなわち水平方向成分V0(Vx)と平均値による動きベクトルVAとの間の差分値が、第1の評価基準値α以下の場合、処理対象である動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルが、この検出ブロックを含めた近傍動きベクトル検出ブロックの動きベクトルの平均値とほぼ一致することにより、おおむねこの処理対象である動きベクトル検出ブロックにおいては、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化しても、動きの情報は損なわれないと判断することができる。
【0052】
また最大値VMA、最小値VMIとの間の差分値が、第2の評価基準値β以下の場合、処理対象である動きベクトル検出ブロックを含めた近傍動きベクトル検出ブロックにおいて、動きベクトルV1の最大値VMAと最小値VMIとの間で差が極めて小さいことにより、この処理対象である動きベクトル検出ブロックにおいては、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化しても、動きの情報は損なわれないと判断することができる。
【0053】
これによりこの2つの条件を満足する場合に、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24を介して動きベクトルV1を出力するように設定して、動きベクトルV1におけるばらつきを補正するようにすれば、不必要に動きベクトルを平滑化することなく、すなわち動きに係る情報を損なうことなく、動きベクトルのばらつきを補正できると考えられる。
【0054】
これによりベクトル比較回路29は、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24を介して動きベクトルV1を出力するように設定して、動きベクトルV1におけるばらつきを補正するようになされている。
【0055】
これに対してベクトル比較回路29は、処理対象である動きベクトルの水平方向成分V0(Vx)と平均値による動きベクトルVAとの間の差分値が、第1の評価基準値αより大きい場合(すなわち|V0−VA|>αの場合である)、又は最大値VMA、最小値VMIとの間の差分値が、第2の評価基準値βより大きい場合(すなわち|VMA−VAI|>βの場合である)、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスして動きベクトルV1を出力するように、選択回路23、25を設定する。
【0056】
すなわち動きベクトルの水平方向成分V0(Vx)と平均値による動きベクトルVAとの間の差分値が、第1の評価基準値αより大きい場合、処理対象である動きベクトル検出ブロックにおいては、この動きベクトル検出ブロックを含めた近傍動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルの平均値VAに対して、動きベクトルV0の値が大きく異なることにより、周囲の動きベクトルブロックとはそもそも動き量が異なり、これにより周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化すると、動きの情報が損なわれると判断される。
【0057】
また最大値VMA、最小値VMIとの間の差分値が、第2の評価基準値βより大きい場合、処理対象の動きベクトル検出ブロック自体にあっては、周囲の一部の動きベクトル検出ブロックとの間で動き量に差が無い場合であっても、周囲の動きベクトル検出ブロックの一部にあっては、動き量が大きく異なり、これにより平滑化の処理によっては、この周囲の動きベクトルの値により動きベクトルの値を誤って補正することになる。
【0058】
これによりベクトル比較回路29では、これらの場合、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスして動きベクトルV1を出力し、平滑化の程度を軽減して動きに係る情報を損なわないようにする。
【0059】
これらにより水平方向処理回路14Xにおいては、動きベクトルV1の水平方向成分Vxについて、動きベクトルV1の分布状態に応じて、平滑化の程度を可変して、この動きベクトルV1の水平方向成分Vxを平滑化するようになされている。これに対して垂直方向処理回路14Yは、同様にして、動きベクトルV1の垂直方向成分Vyについて、動きベクトルV1の分布状態に応じて、平滑化の程度を可変して、この動きベクトルV1の垂直方向成分Vyを平滑化するようになされている。後置フィルタ14は、これら水平方向成分Vx及び垂直方向成分Vyによる動きベクトルV(Vx、Vy)を続く動きベクトル評価部15に出力する。
【0060】
(1−2)第1の実施の形態の動作
以上の構成において、ビデオ信号は、この動きベクトル検出回路11の前置フィルタ12において、動きベクトルの検出エラーを防止するために、輝度信号Yの周波数特性が補正され、続く動きベクトル検出部13において、この輝度信号Yが順次動きベクトル検出ブロック単位で処理されて動きベクトルV1が検出される。
【0061】
この動きベクトルV1は、続く後置フィルタ14において、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの比較により、動きベクトルの分布状態が検出される。さらに動きベクトルV1は、この動きベクトルの分布状態より、動きベクトルV1を平滑化しても動きに係る情報が損なわれない場合には、平滑化されて出力されるのに対し、平滑化して動きに係る情報が失われる場合には、後置フィルタ14の周波数特性が動きに係る情報を損なわないように切り換えられ、この切り換えられた周波数特性により補正されて出力される。
【0062】
これにより動きベクトルV1においては、平滑化して動きに係る情報が失われる場合には、平滑化の程度が軽減されて処理され、これにより動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、ばらつきだけが補正されて続く動きベクトル評価部15に入力される。
【0063】
この動きベクトル評価部15において、この後置フィルタ14から出力されてなる動きベクトルV2は、正しいか否か評価され、誤っていると評価された場合には値0の動きベクトルと置き換えられて続く後置フィルタ16に入力される。
【0064】
この後置フィルタ16に入力されてなる動きベクトルV3においても、後置フィルタ14における場合と同様に、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの比較により、動きベクトルの分布状態が検出され、この分布状態より、動きベクトルV3を平滑化しても動きに係る情報が損なわれない場合には、平滑化されて出力されるのに対し、平滑化して動きに係る情報が失われる場合には、後置フィルタ16の周波数特性が動きに係る情報を損なわないように切り換えられ、この切り換えられた周波数特性により補正されて出力される。
【0065】
これにより動きベクトルV3においては、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、ばらつきだけが補正されて出力される。
【0066】
これらの一連の処理における後置フィルタ14において、動きベクトルVは、それぞれ水平方向成分Vx及び垂直方向成分Vyに分離されて、それぞれ水平方向処理回路14X及び垂直方向処理回路14Yに入力され、ここでそれぞれ水平方向成分Vx及び垂直方向成分Vyについて分布状態が検出され、この分布状態により水平方向及び垂直方向に係る周波数特性が設定されて平滑化される。
【0067】
このとき各成分においては、処理対象の動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックと、この動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックとの間で、動きベクトルの平均値、最大値、最小値が検出され、このうちの平均値と処理対象に係る動きベクトルの値との間の差分値が所定の判断基準値α以下の場合であって、かつ最大値と最小値との間の差分値が所定の判断基準値β以下の場合、何ら平滑化の程度が軽減されることなく、平滑化処理される。
【0068】
これに対して平均値と処理対象に係る動きベクトルの値との間の差分値が所定の判断基準値αより大きい場合、又は最大値及び最小値間の差分値が所定の判断基準値βより大きい場合、平滑化の程度が軽減される。この実施の形態では、この平滑化の軽減が、選択回路23、25の切り換えによるそれぞれ対応する孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスさせることにより実行され、これにより平滑化して動きに係る情報が損なわれる場合には、平滑化しないようにして動きベクトルの各成分が処理される。
【0069】
(1−3)第1の実施の形態の効果
以上の構成によれば、動きベクトル検出回路で検出された動きベクトルについて、動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタの特性を切り換えて動きベクトルを平滑化することにより、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0070】
また動きベクトル評価部で処理された動きベクトルについて、動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタの特性を切り換えて動きベクトルを平滑化することにより、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0071】
またこのとき順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとにより、動きベクトルの分布状態を検出することにより、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの比較により、例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合等による動きベクトルの分布状態を検出して、適切に周波数特性を切り換えることができる。
【0072】
またこのときこれらの動きベクトル検出ブロック間において、平均値、最大値、最小値を検出し、これら平均値、最大値、最小値と動きベクトルの値とをパラメータにして、動きベクトルの分布状態を検出することにより、簡易に、例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合等による動きベクトルの分布状態を検出することができる。
【0073】
具体的に、動きベクトルの値と平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より小さい場合であって、最大値と最小値の差分絶対値が、第2の評価基準値より小さい場合、平滑化の程度の低減を中止するようにして、確実に、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0074】
(2)第2の実施の形態
この実施の形態に係る動きベクトル検出回路は、動きベクトル分布検出回路20の構成が異なる点を除いて、第1の実施の形態と同一に構成されることにより、図1及び図2の構成を流用して説明する。
【0075】
すなわちこの実施の形態において、動きベクトル分布検出回路20は、第1の実施の形態に係る構成より最大値検出回路27、最小値検出回路28が省略されて構成され、これにより平均化回路26で検出される平均値VAと、順次入力される動きベクトルの値V0とによるパラメータにより動きベクトルV1の分布状態を検出する。
【0076】
すなわち動きベクトル分布検出回路20において、ベクトル比較回路29は、平均値VAとの順次入力される動きベクトルの値V0との間の差分値が、第1の評価基準値α以下の場合(すなわち|V0−VA|≦αの場合である)、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24を介して動きベクトルV1を出力するように、選択回路23、25を設定する。
【0077】
これとは逆に、平均値VAとの順次入力される動きベクトルの値V0との間の差分値が、第1の評価基準値αより大きい場合(すなわち|V0−VA|>αの場合である)、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスして出力するように選択回路23、25を設定する。
【0078】
これによりこの実施の形態では、第1の実施の形態に比して簡易な構成により、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正するようになされている。
【0079】
第2の実施の形態の構成によれば、順次入力される動きベクトルの値と平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値αより大きい場合、平滑化の程度を低減するようにして、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0080】
(3)第3の実施の形態
図3は、第3の実施の形態に係る動きベクトル検出回路に適用される後置フィルタを示すブロック図である。この動きベクトル検出回路においては、第1の実施の形態について上述した後置フィルタ14、16に代えて、この後置フィルタ34が適用される。
【0081】
この後置フィルタ34においては、順次入力される動きベクトルV1と、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、順次入力される動きベクトルV1の値V0をパラメータにして、動きベクトルの分布状態を検出し、この動きベクトルの分布状態に基づいて特性を切り換え、動きベクトルV1を平滑化して出力する。
【0082】
この実施の形態では、この平均値の算出に供する動きベクトル検出ブロックに、周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、処理対象の動きベクトル検出ブロックの水平方向及び垂直方向に位置する動きベクトル検出ブロックが適用され、これら水平方向及び垂直方向の動き検出ブロックによる平均値に基づいて、それぞれ水平方向及び垂直方向の平滑化処理に供する水平方向後置フィルタ35及び垂直方向後置フィルタ36の特性を切り換える。
【0083】
すなわちこの後置フィルタ36において、水平方向平均値化回路37は、図4に示すように、処理対象である動きベクトルV0の動きベクトル検出ブロックに対して、水平方向に隣接する動きベクトル検出ブロックの動きベクトルV1、V2について、それぞれ水平方向成分Vx1、Vx2及び垂直方向成分Vy1、Vy2で平均値(Vx1+Vx2)/2、(Vy1+Vy2)/2を計算して出力する。
【0084】
垂直方向平均値化回路38は、処理対象である動きベクトルV0の動きベクトル検出ブロックに対して、垂直方向に隣接する動きベクトル検出ブロックの動きベクトルV3、V4について、それぞれ水平方向成分Vx3、Vx4及び垂直方向成分Vy3、Vy4で平均値(Vx3+Vx4)/2、(Vy3+Vy4)/2を計算して出力する。
【0085】
ベクトル比較回路は、水平方向平均値化回路37から出力される平均値(Vx1+Vx2)/2、(Vy1+Vy2)/2からそれぞれ処理対象である動きベクトルV0の対応する成分値Vx0、Vy0を減算し、減算値((Vx1+Vx2)/2)−Vx0)及び((Vy1+Vy2)/2−Vy0)をそれぞれ各成分に対応する第1の判定基準値αx、βyと比較する。
【0086】
ベクトル比較回路は、この比較結果より、水平方向成分の減算値((Vx1+Vx2)/2)−Vx0)が判定基準値αx以下の場合、動きベクトルV1を平滑化するように、水平方向後置フィルタ35の特性を設定する。また垂直方向成分の減算値((Vy1+Vy2)/2−Vy0)が判定基準値βy以下の場合、動きベクトルV1を平滑化するように、水平方向後置フィルタ35の特性を設定する。これに対して、水平方向成分の減算値((Vx1+Vx2)/2)−Vx0)が判定基準値αxより大きい場合であって垂直方向成分の減算値((Vy1+Vy2)/2−Vy0)が判定基準値βyより大きい場合、何ら周波数特性を補正することなく動きベクトルV1を出力するように、水平方向後置フィルタ35の特性を設定する。
【0087】
また同様に、垂直方向平均値化回路38から出力される平均値(Vx3+Vx4)/2、(Vy3+Vy4)/2からそれぞれ処理対象である動きベクトルV0の対応する成分値Vx0、Vy0を減算し、減算値((Vx3+Vx4)/2)−Vx0)及び((Vy3+Vy4)/2−Vy0)をそれぞれ各成分に対応する第1の判定基準値αx、βyと比較する。
【0088】
ここで水平方向成分の減算値((Vx3+Vx4)/2)−Vx0)が判定基準値αx以下の場合、動きベクトルV1を平滑化するように、垂直方向後置フィルタ36の特性を設定する。また垂直方向成分の減算値((Vy3+Vy4)/2−Vy0)が判定基準値βy以下の場合、動きベクトルV1を平滑化するように、垂直方向後置フィルタ36の特性を設定する。これに対して、水平方向成分の減算値((Vx3+Vx4)/2)−Vx0)が判定基準値αxより大きい場合であって垂直方向成分の減算値((Vy3+Vy4)/2−Vy0)((Vy1+Vy2)/2−Vy0)が判定基準値βyより大きい場合、何ら周波数特性を補正することなく動きベクトルV1を出力するように、垂直方向後置フィルタ36の特性を設定する。
【0089】
これによりこの実施の形態においては、図5に示すように、それぞれ水平方向及び垂直方向に隣接する動きベクトル検出ブロックにおける動きベクトルとの比較により、動きベクトルがほぼ一様な場合等に、動きベクトルを平滑化して動きベクトルのばらつきを補正するようになされている。
【0090】
これに対して図6に示すように、処理対象の動きベクトルの値が大きく異なる場合には、そもそも動き量が異なると考えられることにより、この場合、平滑化の処理を中止して動きに係る情報を損なわないようになされている。
【0091】
かくするにつき、このようにして水平方向に隣接する動きベクトル検出ブロックによる動きベクトルと、垂直方向に隣接する動きベクトルとによる比較により、それぞれ水平方向及び垂直方向の平滑化処理を切り換えるようにすれば、例えば図7に示すように、細い縦線が横方向に移動しているような場合、この縦線の部分では、水平方向については何ら平滑化処理することなく、垂直方向については平滑化処理され、これにより動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0092】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、それぞれ隣接する動きベクトル検出ブロックとの間で分布状態を検出する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば隣々接の動きベクトル検出ブロックを分布状態の検出に加える場合等、分布状態の検出範囲については、適宜、必要に応じて設定することができる。またこのように隣々接の動きベクトル検出ブロックを分布状態の検出に加える場合等にあっては、平均値と動きベクトルの値との差分絶対値の判定に代えて、周囲の動きベクトルを用いた非線型補間により動きベクトルの予測値を算出し、この予測値と動きベクトルの値との差分絶対値を判定するようにしてもよい。
【0093】
また上述の実施の形態においては、検出した動きベクトルを後置フィルタで処理した後、動きベクトル評価部、後置フィルタで順次処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、動きベクトル評価部、続く後置フィルタについては、必要に応じて省略するようにしてもよい。
【0094】
また上述の実施の形態においては、平滑化の程度を軽減する場合として、何ら平滑化しない場合について述べたが、例えばタップの切り換え、タップ係数の切り換え、特性の異なるフィルタとの切り換え等により、フィルタの特性自体を切り換えて、平滑化の程度を軽減するようにしてもよい。
【0095】
また上述の実施の形態においては、それぞれ後置フィルタ14、16で動きベクトルの分布状態を検出し、フィルタによる処理を切り換える場合について述べたが、本発明はこれに限らず、後置フィルタ14又は16に入力される動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタ14、16の特性をまとめて切り換えるようにしてもよい。
【0096】
また上述の実施の形態においては、フォーマット変換装置、符号化装置、ノイズ軽減装置等に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、動きベクトルを使用する種々の画像処理装置に広く適用することができる。
【0097】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタの特性を切り換えて動きベクトルを平滑化することにより、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る動きベクトル処理回路に適用される後置フィルタを示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る動きベクトル検出回路を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る動きベクトル処理回路に適用される後置フィルタを示すブロック図である。
【図4】図3の後置フィルタの動作の説明に供する略線図である。
【図5】図3の後置フィルタにおいて平滑化する場合の例を示す略線図である。
【図6】図3の後置フィルタにおいて平滑化しない場合の例を示す略線図である。
【図7】図3の後置フィルタにおいて動作の説明に供する略線図である。
【図8】従来の動きベクトル検出回路を示すブロック図である。
【図9】後置フィルタを示すブロック図である。
【符号の説明】
1、11……動きベクトル検出回路、2、13……動きベクトル検出部、3、5、14、16、34……後置フィルタ、4、15……動きベクトル評価部、14A……水平方向処理回路、14Y……垂直方向処理回路、20……動きベクトル分布検出回路、21……後置フィルタ部、22……孤立点フィルタ、23、25……選択回路、24……2次元フィルタ、26……平均化回路、27……最大値検出回路、28……最小値検出回路、29、39……ベクトル比較回路、35……水平方向後置フィルタ、36……垂直方向後置フィルタ、37……水平方向平均値化回路、38……垂直方向平均値化回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、動きベクトル処理方法及び動きベクトル処理回路に関し、例えばビデオ信号のフォーマット変換に適用することができる。本発明は、動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタの特性を切り換えて動きベクトルを平滑化することにより、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビデオ信号の高能率符号化処理においては、動きベクトルを用いてフレーム間符号化処理の効率を向上させるようになされており、またテレビジョン信号のフォーマット変換においては、動きベクトルを用いた動き補正により、フィールド数の変換によるギクシャクとした動きを滑らかな動きに補正するようになされている。
【0003】
このような動きベクトルの検出は、ビデオ信号をm画素×nライン(m,nは整数)による動きベクトルの検出単位にブロック化し、各ブロック毎に動きベクトルを検出するようになされており、例えば特開昭55−16263号公報、特開昭55−162684号公報に開示のパターンマッチング法、特開昭60−158786号公報に開示の勾配法、位相相関法等が用いられるようになされている。また勾配法においては、特開昭62−206980号公報に開示のように、初期偏位ベクトルを用いて動きベクトルの検出精度を向上するようになされている。
【0004】
これにより動きベクトルは、ブロック単位で検出することにより、動き量が一定の場合でも、連続するブロック間で、検出結果にバラツキが発生する。このため例えばテレビジョン信号のフォーマット変換においては、検出した動きベクトルを後置フィルタにより処理して使用するようになされている。
【0005】
すなわち図8は、このようなフォーマット変換装置に係る動きベクトル検出回路を示すブロック図である。この種のフォーマット変換装置においては、例えば静止画の領域と動画の領域とを判定して内挿処理を切り換えるようになされており、このような静止画の領域と動画の領域との判定基準として動きベクトルを用い、さらにはビデオ信号の生成に動きベクトルを使用するようになされている。
【0006】
すなわちこの動きベクトル検出回路1において、動きベクトル検出部2は、パターンマッチング法、勾配法、位相相関法等により順次動きベクトルVを検出して出力し、後置フィルタ3は、この動きベクトル検出部2で順次検出される動きベクトルVを平滑化して出力する。また続く動きベクトル評価部4は、この後置フィルタ3から出力される動きベクトルが正しいか否か評価し、この評価結果により順次入力される動きベクトル又は値0の動きベクトルを選択出力し、続く後置フィルタ5は、この動きベクトル評価部4から出力される動きベクトルを平滑化して出力する。動き補正部6は、この後置フィルタ5から出力される動きベクトルを用いて動きベクトルの検出に供したビデオ信号を動き補正する。フォーマットに変換装置では、この動き補正して得られるビデオ信号をフィールド間内挿処理し、この内挿処理によるビデオ信号を例えば動画の領域に適用するようになされている。
【0007】
このような後置フィルタ3、5においては、例えば図9に示すように、孤立点除去フィルタ(いわゆるメディアンフィルタである)7と、水平方向及び垂直方向にそれぞれ周波数特性を補正する水平フィルタ(Hフィルタ)8及び垂直フィルタ(Vフィルタ)9による2次元フィルタ10とにより構成され、これにより動きベクトルのばらつき、動きベクトル処理結果のばらつきを補正するようになされている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭55−16263号公報
【特許文献2】
特開昭55−162684号公報
【特許文献3】
特開昭60−158786号公報
【特許文献4】
特開昭62−206980号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこのような後置フィルタによる補正にあっては、ばらつきについては補正し得るものの、例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合には、却って本来の動きに係る情報が失われる問題がある。
【0010】
具体的には、例えばサッカー中継において、遠景によりサッカーボールを追いかけている場合である。この場合、大きく移動する背景に対して、動きベクトル検出ブロック程度の大きさにより静止に近い状態でサッカーボールが撮像されていると、動きベクトル検出部2ではサッカーボールの動きベクトルを検出し得るものの、後置フィルタ3、5からの出力においては、このサッカーボールの動きベクトルが背景の動きベクトルと平均化され、これにより結局、サッカーボールの部分については動きベクトルを検出できなくなる。
【0011】
このようにして本来の動きに係る情報が失われると、フォーマット変換等の動きベクトルを用いた内挿処理においては、画質が劣化することになる。また動きベクトルを用いたフレーム間符号化処理においては、予測フレームを正しく動き補償することが困難になり、その分、伝送に供するデータ量の増大により伝送効率が劣化し、さらには画質が劣化することになる。また動きベクトルを用いたノイズ軽減装置においては、効果的にノイズを軽減し得なくなる。
【0012】
これらによりこのような動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することが望まれる。
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる動きベクトル処理方法及び動きベクトル処理回路を提案しようとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、動きベクトル検出ブロック単位で順次検出される動きベクトルを処理する動きベクトル処理方法に適用して、前記動きベクトルの分布状態に基づいて、前記動きベクトルの特性を補正する第1の後置フィルタの特性を切り換える第1の後置フィルタ切り換え処理を有するようにする。
【0015】
また請求項2の発明においては、請求項1の構成において、前記後置フィルタの処理による動きベクトルを評価し、評価結果により前記動きベクトルを所定値の動きベクトルに置き換える動きベクトルの評価処理と、前記動きベクトルの評価処理より得られる動きベクトルの分布状態に基づいて、又は前記第1の後置フィルタ切り換え処理に供する動きベクトルの分布状態に基づいて、前記動きベクトルの評価処理より得られる動きベクトルの特性を補正する第2の後置フィルタの特性を切り換える第2の後置フィルタ切り換え処理を有するようにする。
【0016】
また請求項3の発明においては、動きベクトル検出ブロック単位で順次検出される動きベクトルを処理する動きベクトル処理回路に適用して、前記動きベクトルを平滑化する第1の後置フィルタと、前記動きベクトルの分布状態に基づいて前記第1の後置フィルタの特性を切り換える第1の後置フィルタ切り換え手段とを有するようにする。
【0017】
また請求項4の発明においては、請求項3の構成において、前記第1の後置フィルタから出力される動きベクトルを評価し、評価結果により該動きベクトルを所定値の動きベクトルに置き換える動きベクトル評価手段と、前記動きベクトル評価手段から出力される前記動きベクトルを平滑化する第2の後置フィルタと、前記動きベクトル評価手段から出力される動きベクトルの分布状態に基づいて、又は前記第1の後置フィルタ切り換え手段の処理に供する動きベクトルの分布状態に基づいて、前記第2の後置フィルタの特性を切り換える第2の後置フィルタ切り換え手段とを有するようにする。
【0018】
また請求項5の発明においては、請求項3又は請求項4の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとにより、前記動きベクトルの分布状態を検出する。
【0019】
また請求項6の発明においては、請求項5の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、最大値、最小値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出する。
【0020】
また請求項7の発明においては、請求項6の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出し、前記順次入力される動きベクトルの値と前記平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より大きい場合、前記第1及び又は第2の後置フィルタにおける平滑化の程度を低減し、又は平滑化の処理を中止する。
【0021】
また請求項8の発明においては、請求項6の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルの値と前記平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より小さく、かつ前記最大値と前記最小値の差分絶対値が、第2の評価基準値より小さい場合、前記第1及び又は第2の後置フィルタにおける前記平滑化の程度の低減し、又は平滑化の処理を中止する。
【0022】
また請求項9の発明においては、請求項5の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルによる平均値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出し、前記平均値が、前記周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックに対して垂直方向に位置する動きベクトル検出ブロックの間で検出される垂直方向の平均値と、前記周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックに対して水平方向に位置する動きベクトル検出ブロックの間で検出される水平方法の平均値とであり、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルの値と前記垂直方向の平均値との差分絶対値が、所定の評価基準値より大きい場合、垂直方向に係る前記平滑化の程度を低減し、又は垂直方向に係る前記平滑化の処理を中止し、前記順次入力される動きベクトルの値と前記水平方向の平均値との差分絶対値が、所定の評価基準値より大きい場合、水平方向に係る前記平滑化の程度を低減し、又は水平方向に係る前記平滑化の処理を中止する。
【0023】
請求項1の構成によれば、動きベクトル検出ブロック単位で順次検出される動きベクトルを処理する動きベクトル処理方法に適用して、前記動きベクトルの分布状態に基づいて、前記動きベクトルの特性を補正する第1の後置フィルタの特性を切り換える第1の後置フィルタ切り換え処理を有することにより、動きベクトルの分布状態により例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合については、平滑化処理の程度を低減することができ、これによりこのような動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0024】
また請求項2の構成によれば、請求項1の構成において、前記後置フィルタの処理による動きベクトルを評価し、評価結果により前記動きベクトルを所定値の動きベクトルに置き換える動きベクトルの評価処理と、前記動きベクトルの評価処理より得られる動きベクトルの分布状態に基づいて、又は前記第1の後置フィルタ切り換え処理に供する動きベクトルの分布状態に基づいて、前記動きベクトルの評価処理より得られる動きベクトルの特性を補正する第2の後置フィルタの特性を切り換える第2の後置フィルタ切り換え処理を有することにより、動きベクトルの評価処理の後に、動きベクトルの分布状態により例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合については、平滑化処理の程度を軽減することができ、これによりこのような動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0025】
また請求項3の構成によれば、動きベクトル検出ブロック単位で順次検出される動きベクトルを処理する動きベクトル処理回路に適用して、前記動きベクトルを平滑化する第1の後置フィルタと、前記動きベクトルの分布状態に基づいて前記第1の後置フィルタの特性を切り換える第1の後置フィルタ切り換え手段とを有することにより、動きベクトルの分布状態により例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合については、平滑化処理の程度を軽減することができ、これによりこのような動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0026】
また請求項4の構成によれば、請求項3の構成において、前記第1の後置フィルタから出力される動きベクトルを評価し、評価結果により該動きベクトルを所定値の動きベクトルに置き換える動きベクトル評価手段と、前記動きベクトル評価手段から出力される前記動きベクトルを平滑化する第2の後置フィルタと、前記動きベクトル評価手段から出力される動きベクトルの分布状態に基づいて、又は前記第1の後置フィルタ切り換え手段の処理に供する動きベクトルの分布状態に基づいて、前記第2の後置フィルタの特性を切り換える第2の後置フィルタ切り換え手段とを有することにより、動きベクトル評価手段による処理の後に、動きベクトルの分布状態により例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合については、平滑化処理の程度を軽減することができ、これによりこのような動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0027】
また請求項5の構成によれば、請求項3又は請求項4の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとにより、前記動きベクトルの分布状態を検出することにより、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの比較により、例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合等による動きベクトルの分布状態を検出することができる。
【0028】
また請求項6の構成によれば、請求項5の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、最大値、最小値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出することにより、これらのパラメータの処理により、簡易に、例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合等による動きベクトルの分布状態を検出することができる。
【0029】
また請求項7の構成によれば、請求項6の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出し、前記順次入力される動きベクトルの値と前記平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より大きい場合、前記第1及び又は第2の後置フィルタにおける平滑化の程度を低減し、又は平滑化の処理を中止することにより、具体的に、平滑化の処理を低減は中止して、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0030】
また請求項8の構成によれば、請求項6の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルの値と前記平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より小さく、かつ前記最大値と前記最小値の差分絶対値が、第2の評価基準値より小さい場合、前記第1及び又は第2の後置フィルタにおける前記平滑化の程度の低減し、又は平滑化の処理を中止することにより、確実に動きに係る情報を失うことが無い場合にだけ平滑化して、確実に動きに係る情報を失うことなく動きベクトルのばらつきを軽減することができる。
【0031】
また請求項9の構成によれば、請求項5の構成において、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルによる平均値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出し、前記平均値が、前記周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックに対して垂直方向に位置する動きベクトル検出ブロックの間で検出される垂直方向の平均値と、前記周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックに対して水平方向に位置する動きベクトル検出ブロックの間で検出される水平方法の平均値とであり、前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、前記順次入力される動きベクトルの値と前記垂直方向の平均値との差分絶対値が、所定の評価基準値より大きい場合、垂直方向に係る前記平滑化の程度を低減し、又は垂直方向に係る前記平滑化の処理を中止し、前記順次入力される動きベクトルの値と前記水平方向の平均値との差分絶対値が、所定の評価基準値より大きい場合、水平方向に係る前記平滑化の程度を低減し、又は水平方向に係る前記平滑化の処理を中止することにより、具体的に、平滑化の処理を低減又は中止して、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0033】
(1)第1の実施の形態
(1−1)第1の実施の形態の構成
図2は、本発明の実施の形態に係る動きベクトル検出回路を示すブロック図である。この動きベクトル検出回路11は、フォーマット変換装置、MPEG(Moving Picture Experts Group)等による符号化装置、ノイズ軽減装置等に適用されて、ビデオ信号を構成する輝度信号Yから動きベクトルVを検出して出力する。なお動きベクトルの検出においては、輝度信号Yを使用する場合に限らず、色差信号R−Y、B−Yを使用することも可能である。
【0034】
この動きベクトル検出回路11において、前置フィルタ12は、2次元又は3次元のローパスフィルタであり、輝度信号Yを帯域制限して出力する。これにより動きベクトル検出回路11は、動きベクトルの検出エラーを軽減するようになされている。なおこの前置フィルタ12においては、必要に応じて省略することも可能である。
【0035】
動きベクトル検出部13は、この前置フィルタ12から出力される輝度信号Yを受け、順次動きベクトルの検出ブロック毎に、勾配法により動きベクトルV1を検出して出力する。なおこの動きベクトルの検出においては、ブロックマッチング法、反復勾配法、位相相関法等、種々の動きベクトル検出手法を広く適用することができ、また画素単位で検出するようにしてもよい。動きベクトル検出回路11は、この動きベクトル検出部13で検出される動きベクトルVを続く後置フィルタ14、動きベクトル評価部15、後置フィルタ16で処理して出力する。
【0036】
後置フィルタ14は、この動きベクトル検出部13から出力される動きベクトルV1を平滑化して出力する。この処理において、後置フィルタ14は、動きベクトルの分布状態に基づいて、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化しても動きに係る情報が損なわれない場合には、動きベクトルV1を平滑化して動きベクトルV2を出力する。これに対して動きの係る情報が損なわれる場合には、動きに係る情報を損なわないように周波数特性を切り換え、この切り換えた周波数特性により動きベクトルV2を出力する。
【0037】
動きベクトル評価部15は、この後置フィルタ14から出力される動きベクトルV2が正しいか否か評価し、この評価結果により順次入力される動きベクトルV2又は所定値の動きベクトルを選択出力する。具体的に、動きベクトル評価部15は、順次入力される動きベクトルV2により輝度信号Yを動き補正し、この動き補正した輝度信号Yのフィールド間の対応する画素間で差分値を得、動きベクトルの検出ブロック毎に、この差分値を累積する。また何ら動き補正していないフィールド間で、同様にして差分値を累積し、この何ら動き補正していないフィールド間からの累積値に比して、動き補正したフィールド間より検出した累積値が小さい場合、この動きベクトル検出ブロックについては、後置フィルタ14から出力される動きベクトルV2が正しいと評価し、この動きベクトルV2を続く後置フィルタ16に出力する。これとは逆に、何ら動き補正していないフィールド間からの累積値に比して、動き補正したフィールド間より検出した累積値が大きい場合、この動きベクトル検出ブロックについては、後置フィルタ14から出力される動きベクトルV2が誤っていると評価し、値0の動きベクトルVを置き換えて後置フィルタ16に出力する。
【0038】
なお動きベクトル評価部15は、このような差分値の累積値を、差分値の絶対値和により検出するようになされている。また動きベクトルの検出ブロックに比して、水平方向及び垂直方向にサイズの小さな累積値検出ブロックを設定し、この累積値検出ブロックで差分値の累積値を計算するようになされている。
【0039】
後置フィルタ16は、このようにして動きベクトル評価部15から出力される動きベクトルV3を平滑化して出力する。この処理において、後置フィルタ16は、後置フィルタ14と同様に、動きベクトルの分布状態に基づいて、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化しても動きに係る情報が損なわれない場合には、動きベクトルV3を平滑化して動きベクトルVを出力する。これに対して動きに係る情報が損なわれる場合には、動きに係る情報を損なわないように周波数特性を切り換え、この切り換えた周波数特性により動きベクトルVを出力する。
【0040】
図1は、これら後置フィルタ14、16の構成を示すブロック図である。なお、この実施の形態において、後置フィルタ14、16は、処理対象が異なる点を除いて同一に構成されることにより、以下の説明については、後置フィルタ14についてのみ構成を説明し、後置フィルタ16については、構成の説明を省略する。
【0041】
この後置フィルタ14においては、動きベクトルV1を水平方向の成分Vxと垂直方向の成分Vyとに分解し、それぞれ水平方向処理回路14X及び垂直方向処理回路14Yにより処理する。ここで水平方向処理回路14X及び垂直方向処理回路14Yは、それぞれ処理対象が異なる点、この処理対象に対応するように各部が構成されている点を除いて、同一に構成されることにより、以下の説明については、水平方向処理回路14Xについてのみ構成を詳細に説明する。
【0042】
すなわち水平方向処理回路14Xにおいて、動きベクトル分布検出回路20は、動きベクトルV1の水平方向成分Vxについて、分布状態を検出し、この分布状態によりフィルタ部21の特性を切り換える。
【0043】
フィルタ部21は、動きベクトル検出部13から出力される動きベクトルV1の水平方向成分Vxをこの動きベクトル分布検出回路20で設定された特性により補正して出力する。すなわちフィルタ部21は、孤立点除去フィルタ(メディアンフィルタ)22に動きベクトルV1を入力し、この孤立点除去フィルタ22の入出力を選択回路23により選択して続く2次元フィルタ24に出力できるように構成され、これにより選択回路23の設定により孤立点除去フィルタ22をバイパスさせて特性を切り換えることができるようになされている。
【0044】
さらにフィルタ部21は、2次元フィルタ24の入出力を選択回路25により選択して続く動きベクトル評価部15に出力できるように構成され、これにより選択回路25の設定により2次元フィルタ24をバイパスさせて特性を切り換えることができるようになされている。フィルタ部21は、これら選択回路23、25が動きベクトル分布検出回路20により設定され、これにより動きベクトル分布検出回路20で検出した動きベクトルの分布状態に応じて特性が切り換えられるようになされている。
【0045】
これにより動きベクトル検出回路11では、動きベクトルの分布状態に基づいて、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化しても動きに係る情報が損なわれない場合には、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24による周波数特性により動きベクトルV1を平滑化するのに対し、動きに係る情報が損なわれる場合には、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスさせて周波数特性を切り換え、この切り換えた周波数特性により動きベクトルV1の水平方向成分Vxを出力するようになされている。かくするにつき、この後置フィルタ14では、動きに係る情報を損なわないように周波数特性が、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスさせる特性、すなわち何ら動きベクトルV1の周波数特性を補正しない特性に設定されて、平滑化の程度が軽減されるようになされている。
【0046】
これによりこの動きベクトル検出回路11では、動きが急変する領域、動き物体が小さい場合における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正するようになされ、その分、動きベクトルの検出精度を向上することができるようになされている。
【0047】
動きベクトル分布検出回路20において、平均化回路26は、処理対象である動きベクトルの検出ブロックを含む周囲9個の動きベクトル検出ブロックで、動きベクトルV1の水平方向成分Vxを平均値化し、平均値による動きベクトルVAを出力する。
【0048】
最大値検出回路27は、同様に、これら9個の動きベクトル検出ブロックで、動きベクトルV1の水平方向成分Vxについて、最大値VMAを検出して出力する。最小値検出回路28は、同様に、これら9個の動きベクトル検出ブロックで、動きベクトルV1の水平方向成分Vxについて、動きベクトルV1の最小値VMIを検出して出力する。
【0049】
ベクトル比較回路29は、処理対象である動きベクトルV1の水平方向成分V0(Vx)と、これら平均化回路26等で検出される平均値による動きベクトルVA、最大値VMA、最小値VMIに基づいて、フィルタ部21に設けられた選択回路23、25を設定し、これにより動きベクトルV1の分布状態に応じてフィルタ部21による平滑化の程度を切り換える。
【0050】
すなわちベクトル比較回路29は、処理対象である動きベクトルの水平方向成分V0(Vx)と平均値による動きベクトルVAとの間の差分値が、第1の評価基準値α以下の場合(すなわち|V0−VA|≦αの場合)であって、かつ最大値VMA、最小値VMIとの間の差分値が、第2の評価基準値β以下の場合(すなわち|VMA−VAI|≦βの場合である)、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24を介して動きベクトルV1を出力するように、選択回路23、25を設定する。なおここで第1の評価基準値α、βは、ほぼ0に近い値である。
【0051】
すなわち水平方向成分V0(Vx)と平均値による動きベクトルVAとの間の差分値が、第1の評価基準値α以下の場合、処理対象である動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルが、この検出ブロックを含めた近傍動きベクトル検出ブロックの動きベクトルの平均値とほぼ一致することにより、おおむねこの処理対象である動きベクトル検出ブロックにおいては、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化しても、動きの情報は損なわれないと判断することができる。
【0052】
また最大値VMA、最小値VMIとの間の差分値が、第2の評価基準値β以下の場合、処理対象である動きベクトル検出ブロックを含めた近傍動きベクトル検出ブロックにおいて、動きベクトルV1の最大値VMAと最小値VMIとの間で差が極めて小さいことにより、この処理対象である動きベクトル検出ブロックにおいては、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化しても、動きの情報は損なわれないと判断することができる。
【0053】
これによりこの2つの条件を満足する場合に、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24を介して動きベクトルV1を出力するように設定して、動きベクトルV1におけるばらつきを補正するようにすれば、不必要に動きベクトルを平滑化することなく、すなわち動きに係る情報を損なうことなく、動きベクトルのばらつきを補正できると考えられる。
【0054】
これによりベクトル比較回路29は、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24を介して動きベクトルV1を出力するように設定して、動きベクトルV1におけるばらつきを補正するようになされている。
【0055】
これに対してベクトル比較回路29は、処理対象である動きベクトルの水平方向成分V0(Vx)と平均値による動きベクトルVAとの間の差分値が、第1の評価基準値αより大きい場合(すなわち|V0−VA|>αの場合である)、又は最大値VMA、最小値VMIとの間の差分値が、第2の評価基準値βより大きい場合(すなわち|VMA−VAI|>βの場合である)、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスして動きベクトルV1を出力するように、選択回路23、25を設定する。
【0056】
すなわち動きベクトルの水平方向成分V0(Vx)と平均値による動きベクトルVAとの間の差分値が、第1の評価基準値αより大きい場合、処理対象である動きベクトル検出ブロックにおいては、この動きベクトル検出ブロックを含めた近傍動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルの平均値VAに対して、動きベクトルV0の値が大きく異なることにより、周囲の動きベクトルブロックとはそもそも動き量が異なり、これにより周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの間で平滑化すると、動きの情報が損なわれると判断される。
【0057】
また最大値VMA、最小値VMIとの間の差分値が、第2の評価基準値βより大きい場合、処理対象の動きベクトル検出ブロック自体にあっては、周囲の一部の動きベクトル検出ブロックとの間で動き量に差が無い場合であっても、周囲の動きベクトル検出ブロックの一部にあっては、動き量が大きく異なり、これにより平滑化の処理によっては、この周囲の動きベクトルの値により動きベクトルの値を誤って補正することになる。
【0058】
これによりベクトル比較回路29では、これらの場合、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスして動きベクトルV1を出力し、平滑化の程度を軽減して動きに係る情報を損なわないようにする。
【0059】
これらにより水平方向処理回路14Xにおいては、動きベクトルV1の水平方向成分Vxについて、動きベクトルV1の分布状態に応じて、平滑化の程度を可変して、この動きベクトルV1の水平方向成分Vxを平滑化するようになされている。これに対して垂直方向処理回路14Yは、同様にして、動きベクトルV1の垂直方向成分Vyについて、動きベクトルV1の分布状態に応じて、平滑化の程度を可変して、この動きベクトルV1の垂直方向成分Vyを平滑化するようになされている。後置フィルタ14は、これら水平方向成分Vx及び垂直方向成分Vyによる動きベクトルV(Vx、Vy)を続く動きベクトル評価部15に出力する。
【0060】
(1−2)第1の実施の形態の動作
以上の構成において、ビデオ信号は、この動きベクトル検出回路11の前置フィルタ12において、動きベクトルの検出エラーを防止するために、輝度信号Yの周波数特性が補正され、続く動きベクトル検出部13において、この輝度信号Yが順次動きベクトル検出ブロック単位で処理されて動きベクトルV1が検出される。
【0061】
この動きベクトルV1は、続く後置フィルタ14において、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの比較により、動きベクトルの分布状態が検出される。さらに動きベクトルV1は、この動きベクトルの分布状態より、動きベクトルV1を平滑化しても動きに係る情報が損なわれない場合には、平滑化されて出力されるのに対し、平滑化して動きに係る情報が失われる場合には、後置フィルタ14の周波数特性が動きに係る情報を損なわないように切り換えられ、この切り換えられた周波数特性により補正されて出力される。
【0062】
これにより動きベクトルV1においては、平滑化して動きに係る情報が失われる場合には、平滑化の程度が軽減されて処理され、これにより動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、ばらつきだけが補正されて続く動きベクトル評価部15に入力される。
【0063】
この動きベクトル評価部15において、この後置フィルタ14から出力されてなる動きベクトルV2は、正しいか否か評価され、誤っていると評価された場合には値0の動きベクトルと置き換えられて続く後置フィルタ16に入力される。
【0064】
この後置フィルタ16に入力されてなる動きベクトルV3においても、後置フィルタ14における場合と同様に、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの比較により、動きベクトルの分布状態が検出され、この分布状態より、動きベクトルV3を平滑化しても動きに係る情報が損なわれない場合には、平滑化されて出力されるのに対し、平滑化して動きに係る情報が失われる場合には、後置フィルタ16の周波数特性が動きに係る情報を損なわないように切り換えられ、この切り換えられた周波数特性により補正されて出力される。
【0065】
これにより動きベクトルV3においては、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、ばらつきだけが補正されて出力される。
【0066】
これらの一連の処理における後置フィルタ14において、動きベクトルVは、それぞれ水平方向成分Vx及び垂直方向成分Vyに分離されて、それぞれ水平方向処理回路14X及び垂直方向処理回路14Yに入力され、ここでそれぞれ水平方向成分Vx及び垂直方向成分Vyについて分布状態が検出され、この分布状態により水平方向及び垂直方向に係る周波数特性が設定されて平滑化される。
【0067】
このとき各成分においては、処理対象の動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックと、この動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックとの間で、動きベクトルの平均値、最大値、最小値が検出され、このうちの平均値と処理対象に係る動きベクトルの値との間の差分値が所定の判断基準値α以下の場合であって、かつ最大値と最小値との間の差分値が所定の判断基準値β以下の場合、何ら平滑化の程度が軽減されることなく、平滑化処理される。
【0068】
これに対して平均値と処理対象に係る動きベクトルの値との間の差分値が所定の判断基準値αより大きい場合、又は最大値及び最小値間の差分値が所定の判断基準値βより大きい場合、平滑化の程度が軽減される。この実施の形態では、この平滑化の軽減が、選択回路23、25の切り換えによるそれぞれ対応する孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスさせることにより実行され、これにより平滑化して動きに係る情報が損なわれる場合には、平滑化しないようにして動きベクトルの各成分が処理される。
【0069】
(1−3)第1の実施の形態の効果
以上の構成によれば、動きベクトル検出回路で検出された動きベクトルについて、動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタの特性を切り換えて動きベクトルを平滑化することにより、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0070】
また動きベクトル評価部で処理された動きベクトルについて、動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタの特性を切り換えて動きベクトルを平滑化することにより、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0071】
またこのとき順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとにより、動きベクトルの分布状態を検出することにより、周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとの比較により、例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合等による動きベクトルの分布状態を検出して、適切に周波数特性を切り換えることができる。
【0072】
またこのときこれらの動きベクトル検出ブロック間において、平均値、最大値、最小値を検出し、これら平均値、最大値、最小値と動きベクトルの値とをパラメータにして、動きベクトルの分布状態を検出することにより、簡易に、例えば動きが急変する領域、動き物体が小さい場合等による動きベクトルの分布状態を検出することができる。
【0073】
具体的に、動きベクトルの値と平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より小さい場合であって、最大値と最小値の差分絶対値が、第2の評価基準値より小さい場合、平滑化の程度の低減を中止するようにして、確実に、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0074】
(2)第2の実施の形態
この実施の形態に係る動きベクトル検出回路は、動きベクトル分布検出回路20の構成が異なる点を除いて、第1の実施の形態と同一に構成されることにより、図1及び図2の構成を流用して説明する。
【0075】
すなわちこの実施の形態において、動きベクトル分布検出回路20は、第1の実施の形態に係る構成より最大値検出回路27、最小値検出回路28が省略されて構成され、これにより平均化回路26で検出される平均値VAと、順次入力される動きベクトルの値V0とによるパラメータにより動きベクトルV1の分布状態を検出する。
【0076】
すなわち動きベクトル分布検出回路20において、ベクトル比較回路29は、平均値VAとの順次入力される動きベクトルの値V0との間の差分値が、第1の評価基準値α以下の場合(すなわち|V0−VA|≦αの場合である)、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24を介して動きベクトルV1を出力するように、選択回路23、25を設定する。
【0077】
これとは逆に、平均値VAとの順次入力される動きベクトルの値V0との間の差分値が、第1の評価基準値αより大きい場合(すなわち|V0−VA|>αの場合である)、孤立点除去フィルタ22、2次元フィルタ24をバイパスして出力するように選択回路23、25を設定する。
【0078】
これによりこの実施の形態では、第1の実施の形態に比して簡易な構成により、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正するようになされている。
【0079】
第2の実施の形態の構成によれば、順次入力される動きベクトルの値と平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値αより大きい場合、平滑化の程度を低減するようにして、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0080】
(3)第3の実施の形態
図3は、第3の実施の形態に係る動きベクトル検出回路に適用される後置フィルタを示すブロック図である。この動きベクトル検出回路においては、第1の実施の形態について上述した後置フィルタ14、16に代えて、この後置フィルタ34が適用される。
【0081】
この後置フィルタ34においては、順次入力される動きベクトルV1と、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、順次入力される動きベクトルV1の値V0をパラメータにして、動きベクトルの分布状態を検出し、この動きベクトルの分布状態に基づいて特性を切り換え、動きベクトルV1を平滑化して出力する。
【0082】
この実施の形態では、この平均値の算出に供する動きベクトル検出ブロックに、周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、処理対象の動きベクトル検出ブロックの水平方向及び垂直方向に位置する動きベクトル検出ブロックが適用され、これら水平方向及び垂直方向の動き検出ブロックによる平均値に基づいて、それぞれ水平方向及び垂直方向の平滑化処理に供する水平方向後置フィルタ35及び垂直方向後置フィルタ36の特性を切り換える。
【0083】
すなわちこの後置フィルタ36において、水平方向平均値化回路37は、図4に示すように、処理対象である動きベクトルV0の動きベクトル検出ブロックに対して、水平方向に隣接する動きベクトル検出ブロックの動きベクトルV1、V2について、それぞれ水平方向成分Vx1、Vx2及び垂直方向成分Vy1、Vy2で平均値(Vx1+Vx2)/2、(Vy1+Vy2)/2を計算して出力する。
【0084】
垂直方向平均値化回路38は、処理対象である動きベクトルV0の動きベクトル検出ブロックに対して、垂直方向に隣接する動きベクトル検出ブロックの動きベクトルV3、V4について、それぞれ水平方向成分Vx3、Vx4及び垂直方向成分Vy3、Vy4で平均値(Vx3+Vx4)/2、(Vy3+Vy4)/2を計算して出力する。
【0085】
ベクトル比較回路は、水平方向平均値化回路37から出力される平均値(Vx1+Vx2)/2、(Vy1+Vy2)/2からそれぞれ処理対象である動きベクトルV0の対応する成分値Vx0、Vy0を減算し、減算値((Vx1+Vx2)/2)−Vx0)及び((Vy1+Vy2)/2−Vy0)をそれぞれ各成分に対応する第1の判定基準値αx、βyと比較する。
【0086】
ベクトル比較回路は、この比較結果より、水平方向成分の減算値((Vx1+Vx2)/2)−Vx0)が判定基準値αx以下の場合、動きベクトルV1を平滑化するように、水平方向後置フィルタ35の特性を設定する。また垂直方向成分の減算値((Vy1+Vy2)/2−Vy0)が判定基準値βy以下の場合、動きベクトルV1を平滑化するように、水平方向後置フィルタ35の特性を設定する。これに対して、水平方向成分の減算値((Vx1+Vx2)/2)−Vx0)が判定基準値αxより大きい場合であって垂直方向成分の減算値((Vy1+Vy2)/2−Vy0)が判定基準値βyより大きい場合、何ら周波数特性を補正することなく動きベクトルV1を出力するように、水平方向後置フィルタ35の特性を設定する。
【0087】
また同様に、垂直方向平均値化回路38から出力される平均値(Vx3+Vx4)/2、(Vy3+Vy4)/2からそれぞれ処理対象である動きベクトルV0の対応する成分値Vx0、Vy0を減算し、減算値((Vx3+Vx4)/2)−Vx0)及び((Vy3+Vy4)/2−Vy0)をそれぞれ各成分に対応する第1の判定基準値αx、βyと比較する。
【0088】
ここで水平方向成分の減算値((Vx3+Vx4)/2)−Vx0)が判定基準値αx以下の場合、動きベクトルV1を平滑化するように、垂直方向後置フィルタ36の特性を設定する。また垂直方向成分の減算値((Vy3+Vy4)/2−Vy0)が判定基準値βy以下の場合、動きベクトルV1を平滑化するように、垂直方向後置フィルタ36の特性を設定する。これに対して、水平方向成分の減算値((Vx3+Vx4)/2)−Vx0)が判定基準値αxより大きい場合であって垂直方向成分の減算値((Vy3+Vy4)/2−Vy0)((Vy1+Vy2)/2−Vy0)が判定基準値βyより大きい場合、何ら周波数特性を補正することなく動きベクトルV1を出力するように、垂直方向後置フィルタ36の特性を設定する。
【0089】
これによりこの実施の形態においては、図5に示すように、それぞれ水平方向及び垂直方向に隣接する動きベクトル検出ブロックにおける動きベクトルとの比較により、動きベクトルがほぼ一様な場合等に、動きベクトルを平滑化して動きベクトルのばらつきを補正するようになされている。
【0090】
これに対して図6に示すように、処理対象の動きベクトルの値が大きく異なる場合には、そもそも動き量が異なると考えられることにより、この場合、平滑化の処理を中止して動きに係る情報を損なわないようになされている。
【0091】
かくするにつき、このようにして水平方向に隣接する動きベクトル検出ブロックによる動きベクトルと、垂直方向に隣接する動きベクトルとによる比較により、それぞれ水平方向及び垂直方向の平滑化処理を切り換えるようにすれば、例えば図7に示すように、細い縦線が横方向に移動しているような場合、この縦線の部分では、水平方向については何ら平滑化処理することなく、垂直方向については平滑化処理され、これにより動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【0092】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、それぞれ隣接する動きベクトル検出ブロックとの間で分布状態を検出する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば隣々接の動きベクトル検出ブロックを分布状態の検出に加える場合等、分布状態の検出範囲については、適宜、必要に応じて設定することができる。またこのように隣々接の動きベクトル検出ブロックを分布状態の検出に加える場合等にあっては、平均値と動きベクトルの値との差分絶対値の判定に代えて、周囲の動きベクトルを用いた非線型補間により動きベクトルの予測値を算出し、この予測値と動きベクトルの値との差分絶対値を判定するようにしてもよい。
【0093】
また上述の実施の形態においては、検出した動きベクトルを後置フィルタで処理した後、動きベクトル評価部、後置フィルタで順次処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、動きベクトル評価部、続く後置フィルタについては、必要に応じて省略するようにしてもよい。
【0094】
また上述の実施の形態においては、平滑化の程度を軽減する場合として、何ら平滑化しない場合について述べたが、例えばタップの切り換え、タップ係数の切り換え、特性の異なるフィルタとの切り換え等により、フィルタの特性自体を切り換えて、平滑化の程度を軽減するようにしてもよい。
【0095】
また上述の実施の形態においては、それぞれ後置フィルタ14、16で動きベクトルの分布状態を検出し、フィルタによる処理を切り換える場合について述べたが、本発明はこれに限らず、後置フィルタ14又は16に入力される動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタ14、16の特性をまとめて切り換えるようにしてもよい。
【0096】
また上述の実施の形態においては、フォーマット変換装置、符号化装置、ノイズ軽減装置等に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、動きベクトルを使用する種々の画像処理装置に広く適用することができる。
【0097】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、動きベクトルの分布状態に基づいて、後置フィルタの特性を切り換えて動きベクトルを平滑化することにより、動きが急変する領域等における動きに係る情報を失うことなく、動きベクトルのばらつきを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る動きベクトル処理回路に適用される後置フィルタを示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る動きベクトル検出回路を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る動きベクトル処理回路に適用される後置フィルタを示すブロック図である。
【図4】図3の後置フィルタの動作の説明に供する略線図である。
【図5】図3の後置フィルタにおいて平滑化する場合の例を示す略線図である。
【図6】図3の後置フィルタにおいて平滑化しない場合の例を示す略線図である。
【図7】図3の後置フィルタにおいて動作の説明に供する略線図である。
【図8】従来の動きベクトル検出回路を示すブロック図である。
【図9】後置フィルタを示すブロック図である。
【符号の説明】
1、11……動きベクトル検出回路、2、13……動きベクトル検出部、3、5、14、16、34……後置フィルタ、4、15……動きベクトル評価部、14A……水平方向処理回路、14Y……垂直方向処理回路、20……動きベクトル分布検出回路、21……後置フィルタ部、22……孤立点フィルタ、23、25……選択回路、24……2次元フィルタ、26……平均化回路、27……最大値検出回路、28……最小値検出回路、29、39……ベクトル比較回路、35……水平方向後置フィルタ、36……垂直方向後置フィルタ、37……水平方向平均値化回路、38……垂直方向平均値化回路
Claims (9)
- 動きベクトル検出ブロック単位で順次検出される動きベクトルを処理する動きベクトル処理方法において、
前記動きベクトルの分布状態に基づいて、前記動きベクトルの特性を補正する第1の後置フィルタの特性を切り換える第1の後置フィルタ切り換え処理を有する
ことを特徴とする動きベクトル処理方法。 - 前記後置フィルタの処理による動きベクトルを評価し、評価結果により前記動きベクトルを所定値の動きベクトルに置き換える動きベクトルの評価処理と、
前記動きベクトルの評価処理より得られる動きベクトルの分布状態に基づいて、又は前記第1の後置フィルタ切り換え処理に供する動きベクトルの分布状態に基づいて、前記動きベクトルの評価処理より得られる動きベクトルの特性を補正する第2の後置フィルタの特性を切り換える第2の後置フィルタ切り換え処理を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の動きベクトル処理方法。 - 動きベクトル検出ブロック単位で順次検出される動きベクトルを処理する動きベクトル処理回路において、
前記動きベクトルを平滑化する第1の後置フィルタと、
前記動きベクトルの分布状態に基づいて前記第1の後置フィルタの特性を切り換える第1の後置フィルタ切り換え手段とを有する
ことを特徴とする動きベクトル処理回路。 - 前記第1の後置フィルタから出力される動きベクトルを評価し、評価結果により該動きベクトルを所定値の動きベクトルに置き換える動きベクトル評価手段と、
前記動きベクトル評価手段から出力される前記動きベクトルを平滑化する第2の後置フィルタと、
前記動きベクトル評価手段から出力される動きベクトルの分布状態に基づいて、又は前記第1の後置フィルタ切り換え手段の処理に供する動きベクトルの分布状態に基づいて、前記第2の後置フィルタの特性を切り換える第2の後置フィルタ切り換え手段とを有する
ことを特徴とする請求項3に記載の動きベクトル処理回路。 - 前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、
順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとにより、前記動きベクトルの分布状態を検出する
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の動きベクトル処理回路。 - 前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、
前記順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、最大値、最小値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の動きベクトル処理回路。 - 前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、
前記順次入力される動きベクトルと、該動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルとによる平均値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出し、
前記順次入力される動きベクトルの値と前記平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より大きい場合、
前記第1及び又は第2の後置フィルタにおける平滑化の程度を低減し、又は平滑化の処理を中止する
ことを特徴とする請求項5に記載の動きベクトル処理回路。 - 前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、
前記順次入力される動きベクトルの値と前記平均値との差分絶対値が、第1の評価基準値より小さく、かつ前記最大値と前記最小値の差分絶対値が、第2の評価基準値より小さい場合、
前記第1及び又は第2の後置フィルタにおける前記平滑化の程度の低減し、又は平滑化の処理を中止する
ことを特徴とする請求項6に記載の動きベクトル処理回路。 - 前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、
前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックの周囲の動きベクトル検出ブロックで検出される動きベクトルによる平均値、前記順次入力される動きベクトルの値をパラメータにして、前記動きベクトルの分布状態を検出し、
前記平均値が、
前記周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックに対して垂直方向に位置する動きベクトル検出ブロックの間で検出される垂直方向の平均値と、
前記周囲の動きベクトル検出ブロックのうちの、前記順次入力される動きベクトルに係る動きベクトル検出ブロックに対して水平方向に位置する動きベクトル検出ブロックの間で検出される水平方法の平均値とであり、
前記第1及び又は第2の後置フィルタ切り換え手段は、
前記順次入力される動きベクトルの値と前記垂直方向の平均値との差分絶対値が、所定の評価基準値より大きい場合、
垂直方向に係る前記平滑化の程度を低減し、又は垂直方向に係る前記平滑化の処理を中止し、
前記順次入力される動きベクトルの値と前記水平方向の平均値との差分絶対値が、所定の評価基準値より大きい場合、
水平方向に係る前記平滑化の程度を低減し、又は水平方向に係る前記平滑化の処理を中止する
ことを特徴とする請求項5に記載の動きベクトル処理回路。
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