JP2004179526A - 配線基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】貫通導体およびビルドアップ配線層に断線が発生することがない配線が可能な配線基板およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体1Aの上下面にこの芯体1Aよりもレーザ光により分解されやすい樹脂層1Bを積層して成る絶縁樹脂板1の上下両面に銅箔2A’・2B’およびこの銅箔2A’・2B’を被覆しためっき導体層13から成る配線導体層2A・2Bが被着されているとともに、絶縁樹脂板1を上下に貫通し、かつ樹脂層1Bにおいて外側に向けて拡径する複数の貫通孔3がレーザ加工により形成され、この貫通孔3の内部に、上下両面の配線導体層2A・2B同士を接続する、めっき導体を充填して成る貫通導体4が形成されていることを特徴とする配線基板。
【選択図】 図1
【解決手段】ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体1Aの上下面にこの芯体1Aよりもレーザ光により分解されやすい樹脂層1Bを積層して成る絶縁樹脂板1の上下両面に銅箔2A’・2B’およびこの銅箔2A’・2B’を被覆しためっき導体層13から成る配線導体層2A・2Bが被着されているとともに、絶縁樹脂板1を上下に貫通し、かつ樹脂層1Bにおいて外側に向けて拡径する複数の貫通孔3がレーザ加工により形成され、この貫通孔3の内部に、上下両面の配線導体層2A・2B同士を接続する、めっき導体を充填して成る貫通導体4が形成されていることを特徴とする配線基板。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機材料系の配線基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子等の電子部品を搭載するための有機材料系の配線基板として、例えばガラス−エポキシ板から成り、その上面から下面にかけて貫通する貫通孔を有する絶縁樹脂板の上下両面に銅箔およびその上に施しためっき導体層から成る配線導体層を被着させるとともに、前記貫通孔の内面に前記上下両面の配線導体層同士を接続するめっき導体から成る貫通導体を被着させて成る配線基板が使用されている。
【0003】
このような有機材料系の配線基板は、ガラス−エポキシ板から成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔が被着された両面銅張板を準備するとともに、この両面銅張板を上下に貫通する貫通孔をドリル加工により穿孔し、次に前記上下両面の銅箔上および貫通孔内面に銅から成るめっき導体を無電解めっき法および電解めっき法により析出させて前記上下両面の銅箔の上にめっき導体層を被着するとともに貫通孔の内面にめっき導体から成る貫通導体を形成し、次に前記絶縁樹脂板の上下両面に被着された銅箔およびその銅箔に被着しためっき導体層をフォトリソグラフィー技術を採用して部分的にエッチングして配線導体層を形成することによって製作されている。
【0004】
また、この配線基板の両面にビルドアップ樹脂層およびビルドアップ配線層を形成することによりビルドアップ配線基板が製作される。なお、このような配線基板においては、貫通導体が被着された貫通孔は通常、エポキシ樹脂等の穴埋め樹脂により充填されている。
【0005】
ところで、このような有機材料系の多層配線基板においては、電子装置の小型・薄型化の要求に対応してその配線密度を高めるために、例えば絶縁樹脂板の厚みを0.2〜1mm程度、貫通孔の直径を75〜130μm程度の小さなものとする試みがなされている。また、このような直径が75〜130μm程度の小さな貫通孔を形成するためには、例えばレーザによる穿孔方法が採用される。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−91750号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の有機材料系の配線基板においては、絶縁樹脂板に形成された貫通孔の直径が絶縁樹脂板の上面から下面にかけて略同一で、絶縁樹脂板の上下両面と貫通孔の内面とのなす角度が略直角となっていることから、貫通孔の内面にめっき導体から成る貫通導体を形成する際に、めっき液が貫通孔内に良好に入り込みにくく、そのため貫通導体が貫通孔内に良好に被着されずに、貫通導体を形成するのに長時間を要してしまうあるいは貫通導体を良好に形成できずに電気的接続信頼性に劣ってしまうという問題点を有していた。
【0008】
また、例えば絶縁樹脂板の厚みを0.2〜1mm程度、絶縁樹脂板を貫通する貫通孔の直径を75〜130μm程度の小さなものとすると、この貫通孔の内面にめっき導体から成る貫通導体を被着させる際、貫通導体を被着させるためのめっき液が貫通孔内に極端に入り込みにくくなり、そのため貫通導体が良好に被着されずに貫通導体に断線が発生してしまう危険性がるという問題点を有していた。
【0009】
また、貫通導体と穴埋め樹脂との間で剥離が生じ、この剥離により貫通導体が断線したり、あるいはこの配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合、この剥離が起点となりビルドアップ樹脂層にクラックが生じビルドアップ配線層が断線してしまうという問題点も有していた。
【0010】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、貫通孔内に貫通導体を良好に被着形成できるとともに電気的接続信頼性に優れる配線基板およびその製造方法、さらには絶縁樹脂板の厚みを0.2〜1mm程度、絶縁樹脂板を貫通する貫通孔の直径を75〜130μm程度の小さいものとしても貫通導体に断線が発生することがなく、また貫通導体と穴埋め樹脂間での剥離により生じるクラックでのビルドアップ配線層での断線を発生させない、極めて高密度な配線が可能な配線基板およびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の配線基板は、ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体の上下面にこの芯体よりもレーザ光により分解されやすい樹脂層を積層して成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔およびこの銅箔を被覆しためっき導体層から成る配線導体層が被着されているとともに、前記絶縁樹脂板を上下に貫通し、かつ前記樹脂層において外側に向けて拡径する複数の貫通孔がレーザ加工により形成され、この貫通孔の内部に、前記上下両面の配線導体層同士を接続する、めっき導体を充填して成る貫通導体が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の配線基板によれば、配線基板を上述の構成としたことから、貫通孔をレーザ加工により形成する際に芯体の上下面に積層された樹脂層が芯体より多く分解されるので、外側に向けて拡径する複数の貫通孔を容易に形成することができるとともに、そのような形状の貫通孔の内部にめっきを充填して貫通導体を形成する際、貫通導体を形成するためのめっき液が貫通孔内に良好に入り込み、その結果、貫通孔の内部に貫通導体が良好に充填・形成され、貫通導体に断線が発生することはない。また、この配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、ビルドアップ樹脂層にクラックが生じたりビルドアップ配線層が断線してしまうこともない。
【0013】
また、本発明の配線基板の製造方法は、ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体の上下面にこの芯体よりもレーザ光により分解されやすい樹脂層を積層して成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔が被着された両面銅張板を準備する工程と、次にこの両面銅張板を上下に貫通し、かつ前記樹脂層において外側に向けて拡径する複数の貫通孔をレーザ加工により形成する工程と、次に前記銅箔の表面にめっき導体を析出させて成るめっき導体層を被着させるとともに、前記貫通孔の内部に前記めっき導体を充填して成る貫通導体を形成して前記上下両面の銅箔同士を接続し、次に前記上下両面の銅箔およびこの銅箔に被着した前記めっき導体層を部分的にエッチングして配線導体層を形成する工程とを行なうことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の配線基板の製造方法によれば、上述の構成としたことから、貫通孔をレーザ加工により形成する際に芯体の上下面に積層された樹脂層が芯体より多く分解されるので外側に向けて拡径する複数の貫通孔を容易に形成することができるとともに、そのような形状の貫通孔内に貫通導体を被着させる際、貫通導体を被着させるためのめっき液が貫通孔内に良好に入り込み、その結果、貫通孔内に貫通導体が良好に充填・形成され、貫通孔に断線のない配線基板を得ることができる。さらに、この配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、ビルドアップ樹脂層にクラックが生じたりビルドアップ配線層が断線してしまうことのない、接続信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の配線基板について添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の配線基板の実施の形態の一例を示す部分断面図である。図1において、1は絶縁樹脂板、2A・2Bは配線導体層、3は貫通孔、4は貫通導体であり、主として絶縁樹脂板1の上下両面に配線導体層2A・2Bが被着されるとともに貫通孔3の内部に貫通導体4が充填・形成されることにより本発明の配線基板が構成されている。なお、本実施例においては、貫通導体4および配線導体層2A・2B上にソルダーレジスト5を設けた例を示している。また、本実施例においては、配線基板が直径が75〜130μmと微細な貫通孔3を有するとともに、厚みが0.2〜0.8mmと薄型のものである場合の例を示している。
【0016】
絶縁樹脂板1は、本発明の配線基板のコア部材として機能し、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の樹脂を含浸させた芯体1Aの上下面に、芯体1Aよりもレーザにより分解されやすいエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等から成る樹脂層1Bを積層して成る厚みが0.2〜0.8mmの平板であり、その上下両面に厚みが3〜12μmの銅箔およびその銅箔を被覆した銅めっきから成る配線導体層2A・2Bが被着された、いわゆるめっき付両面銅張板を構成している。
【0017】
そして、この絶縁樹脂板1は、ガラスクロスに樹脂を含浸させて成る芯体1Aの上下面に芯体1Aよりもレーザにより分解されやすい樹脂層1Bを積層して成ることから、後述するように、絶縁樹脂板1および配線導体層2A・2B用の銅箔を貫通して複数のレーザ加工により貫通孔3を形成する際に、芯体1Aの部分よりも樹脂層1Bの部分が多く分解されるので、直径が75〜130μmで上下両面側に向けて拡径する貫通孔3を極めて容易に形成することができる。
【0018】
なお、ここで樹脂層1Bが芯体1Aよりもレーザにより分解されやすいとは、同じ厚みの、例えば厚みが0.01〜0.1mmの範囲の芯体1Aと樹脂層1Bとに、同じレーザ条件、例えばエネルギが0.3〜1J/cm2、パルス幅が30〜100μsec、照射回数が2〜10回の条件で貫通孔を形成した際に、樹脂層1Bの貫通孔の直径が芯体1Aの貫通孔の1.1倍以上になることをいう。
【0019】
また、この絶縁樹脂板1は、その厚みが0.2mm未満では、絶縁樹脂板1および配線導体層2A・2B用の銅箔を貫通して複数の貫通孔3を形成したり、あるいは絶縁樹脂板1の上下両面に配線導体層2A・2Bを形成したり、さらにはソルダーレジスト5を形成する際等に印加される熱や外力等の影響で配線基板に反りや変形が発生して配線基板に要求される平坦度を確保できなくなってしまう危険性が大きなものとなり、他方、0.8mmを超えると、後述するように、貫通孔3の内部にめっき導体を被着させて貫通導体4を充填・形成するときに、貫通孔3内にめっき液が浸入しにくくなり、貫通導体4を良好に形成することが困難となる。したがって、絶縁樹脂板1の厚みは0.2〜0.8mmの範囲が好ましい。
【0020】
さらに、樹脂層1Bはその厚みが0.01mm未満では貫通孔3において外側に拡径する領域が短くなりやすく、そのため貫通孔3の内部にめっき導体を被着させて貫通導体4を充填・形成する際に、貫通孔3内にめっき液が浸入しにくく貫通導体4を良好に形成することが困難となり、また0.1mmを超えるとレーザ加工により貫通孔3を形成する際に樹脂層1Bにおいて貫通孔3の孔径が大きくなりすぎ、孔径が75〜130μmの貫通孔3を形成することが困難となる。したがって、樹脂層1Bの厚みは0.01〜0.1mmの範囲であることが好ましい。
【0021】
なお、芯体1Aは、ガラスクロスに含浸させるエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の樹脂中にシリカやアルミナあるいはアラミド樹脂等から成るフィラーをガラスクロス部分と樹脂部分とでレーザ光の透過度が略同等となる程度に含有させておけば、後述するように絶縁樹脂板1にレーザ光で貫通孔3を穿孔する際に、貫通孔3を芯体1Aに略均一な大きさで良好に形成することが可能となる。したがって、芯体1Aのガラスクロス含浸させるエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の樹脂中にはシリカやアルミナあるいはアラミド樹脂等から成るフィラーをガラスクロス部分と樹脂部分とでレーザ光の透過度が略同等となるように含有させておくことが好ましい。
【0022】
また、絶縁樹脂板1の上下両面に被着された配線導体層2A・2Bは、厚みが3〜12μmの銅箔に銅めっき等のめっき導体を被着させて成り、配線基板に搭載される電子部品(図示せず)の電極を外部電気回路基板の配線導体(図示せず)に電気的に接続するための導電路の一部として機能し、上面側の配線導体層2Aには、電子部品の電極が半田等の導電性接合部材を介して接続される電子部品接続パッドおよびこの電子部品接続パッドから引き回される配線パターン等が形成されており、下面側の配線導体層2Bには、外部電気回路基板の配線導体に半田等の導電性接合部材を介して接続される外部接続パッド等が形成されている。
【0023】
なお、配線導体層2A・2Bを構成する銅箔は、その厚みが3μm未満の場合、後述するように、配線導体層2A・2Bに貫通孔3を形成した後に無電解銅めっきの前処理として行なわれるマイクロエッチング時に銅箔がエッチングされて銅箔のピンホールまたは銅箔の欠損を生じ、銅箔への銅めっきの付き周り性や密着力が弱くなる傾向がある。他方、12μmを超える場合、後述するように絶縁樹脂板1と配線導体層2A・2B用の銅箔とを貫通する貫通孔3をレーザ加工により穿孔する場合に、直径が75〜130μmの貫通孔3を安定して形成することが困難となる。したがって配線導体層2A・2Bを構成する銅箔の厚みは3〜12μmの範囲が好ましい。
【0024】
また、配線導体層2A・2Bは、これらを構成する銅箔とそれに被着しためっき導体との合計の厚みが8μm未満であると、配線導体層2A・2Bの電気抵抗が高いものとなり、他方、30μmを超えると、配線導体層2A・2Bを高密度のパターンに形成することが困難となる。したがって、配線導体層2A・2Bを構成する銅箔とこの銅箔に被着しためっき導体との合計の厚みは、8〜30μmの範囲が好ましい。
【0025】
さらに、配線導体層2A・2Bは、その表面の算術平均粗さRaが0.2μm未満の場合、配線導体層2A・2Bとソルダーレジスト5とが強固に密着せずに配線導体層2A・2Bとソルダーレジスト5との間で剥離が発生しやすくなる傾向にあり、他方2μmを超えると、そのような粗い面を安定かつ効率良く形成することが困難となる傾向にある。したがって、配線導体層2A・2B表面の算術平均粗さRaは0.2〜2μmの範囲が好ましい。
【0026】
また、本発明の配線基板においては、絶縁樹脂板1を貫通して直径が75〜130μmの貫通孔3が形成されており、この貫通孔3の内部にめっきを充填することにより貫通導体4が形成されている。貫通孔3は、貫通導体4を絶縁樹脂板1の上面から下面にかけて導出させるための導出路を提供するためのものであり、レーザ加工により穿孔されている。この貫通孔3は、その直径が絶縁樹脂板1断面の略中央部においては75〜115μmで略同じ大きさであり、絶縁樹脂板1の開口部で90〜130μmとなるように、樹脂層1Bにおいて外側に向かって拡径している。
【0027】
なお、本発明の配線基板によれば、上述したように絶縁樹脂板1は、ガラスクロスに樹脂を含浸させて成る芯体1Aの上下面に芯体1Aよりもレーザにより分解されやすい樹脂層1Bを積層して成ることから、絶縁樹脂板1を貫通して複数のレーザ加工により貫通孔3を形成する際に芯体1Aの部分よりも樹脂層1Bの部分が多く分解されるので、直径が75〜130μmで樹脂層1Bにおいて外側に向けて拡径する貫通孔3を極めて容易に形成することができる。
【0028】
そして、このように本発明の配線基板によれば、貫通孔3の孔径を75〜130μmと微細にした場合には、貫通導体4を高密度で配置することができ、それにより極めて高密度な配線を有する配線基板を得ることができる。
【0029】
また、貫通孔3は、その直径が樹脂層1Bにおいて外側に向かって広がっていることから、後述するように貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔4の内部に良好に入り込み、その結果、貫通孔3内に貫通導体4を良好に充填・形成することができる。なお、貫通孔3の直径が75μm未満の場合、貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔3の内部に良好に入り込まずに貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を良好に形成することが困難となり、他方、130μmを超えると、貫通導体4および配線導体層2A・2Bを高密度で配置することが困難となる。したがって、貫通孔3の直径は、75〜130μmの範囲が好ましい。
【0030】
さらに、貫通孔3の開口部における直径が絶縁樹脂板1の厚み方向の略中央部における直径よりも10μm未満大きい場合には、貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔3の内部に良好に入り込まずに貫通孔3内に貫通導体4を良好に充填・形成することが困難となり、他方、50μmを超えて大きな場合には、そのような形状を有する貫通孔4を安定して形成することが困難となる。したがって、貫通孔4の開口部における直径は、絶縁樹脂板1の厚み方向の略中央部における直径よりも10〜50μm大きいことが好ましい。
【0031】
また、貫通孔3内に充填・形成された貫通導体4は銅めっき等のめっき導体から成り、絶縁樹脂板1を挟んで上下に位置する配線導体層2A・2B同士を互いに電気的に接続する接続導体として機能する。そして、貫通孔3が上述したように樹脂層1Bにおいて外側に向けて拡径する形状となっていることから、貫通孔3内にめっき導体を被着させることにより良好に充填・形成されている。したがって、本発明の配線基板によれば、貫通導体4に断線が発生することはない。また、本発明の配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、貫通孔3が貫通導体4により良好に充填されていることから、ビルドアップ絶縁層に貫通孔3内からクラックが発生したり、それによりビルドアップ配線層に断線が発生したりすることはない。
【0032】
さらに、配線導体層2A・2Bが被着された絶縁樹脂板1の表面には、必要に応じてエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂から成るソルダーレジスト5が被着される。ソルダーレジスト5は、配線導体層2A・2Bを保護するとともに配線導体層2A・2Bにおける各配線パターン同士を電気的に良好に絶縁するための保護層として機能し、配線導体層2A・2Bの一部を露出させる所定のパターンに被着形成されている。
【0033】
なお、ソルダーレジスト5は、その配線導体層2A・2B上における厚みが10μm未満であると、配線導体層2A・2Bを良好に保護することができなくなるとともに配線導体層2A・2Bにおける各配線パターン同士を電気的に良好に絶縁することができなくなる傾向にあり、他方、40μmを超えると、ソルダーレジスト5を所定のパターンに形成することが困難となる傾向にある。したがって、ソルダーレジスト5の配線導体層2A・2B上における厚みは、10〜40μmの範囲が好ましい。
【0034】
かくして、本発明の配線基板によれば、外側に向けて拡径する貫通孔3を容易に形成することができるとともに、その貫通孔3内に貫通導体4を良好に充填・形成することができ、それにより貫通導体4に断線が発生することのないとともに、本発明の配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、ビルドアップ絶縁層にクラックの発生しない極めて信頼性の高い高密度な配線の配線基板とすることができる。
【0035】
次に、図1に示した配線基板を本発明の製造方法により製造する方法について図2(a)〜(e)を参照して詳細に説明する。なお、本実施例においても、直径が75〜130μmと微細な貫通孔3を有するとともに、厚みが0.2〜0.8mmと薄型の配線基板を製造する場合の例を示している。
【0036】
まず、図2(a)に部分断面図で示すように、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の樹脂を含浸させた芯体1Aの上下面に芯体1Aよりもレーザ光により分解されやすいエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の樹脂から成る厚みが0.01〜0.1mmの樹脂層1Bを積層して成る厚みが0.2〜0.8mmの絶縁樹脂板1の上下両面に厚みが3〜12μmの銅箔2A’・2B’が被着形成された両面銅張板を準備する。
【0037】
なお、絶縁樹脂板1は、その厚みが0.2mm未満では後述するように絶縁樹脂板1および銅箔2A’・2B’を貫通して複数の貫通孔3を形成したり、絶縁樹脂板1上にソルダーレジスト5を形成したりする際等に熱や外力等の影響で配線基板に反りや変形が発生して配線基板に要求される平坦度を確保できなくなってしまう危険性が大きなものとなり、他方、0.8mmを超えると、後述するように貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成するとき、貫通孔3内にめっき液が浸入しにくくなり、貫通導体4に断線が発生しやすくなる。したがって、絶縁樹脂板1の厚みは0.2〜0.8mmの範囲が好ましい。
【0038】
さらに、樹脂層1Bはその厚みが0.01mm未満では、後述するように絶縁樹脂板1および銅箔2A’・2B’を貫通して複数の貫通孔3を形成する際に貫通孔3において外側に拡径する領域が短くなりやすく、そのため貫通孔3の内部にめっき導体を被着させて貫通導体4を充填・形成する際に、貫通孔3内にめっき液が浸入しにくく貫通導体4を良好に形成することが困難となり、また0.1mmを超えるとレーザ加工により貫通孔3を形成する際に樹脂層1Bにおいて貫通孔3の孔径が大きくなりすぎ、孔径が75〜130μmの貫通孔3を形成することが困難となる。したがって、樹脂層1Bの厚みは0.01〜0.1mmの範囲であることが好ましい。
【0039】
また、銅箔2A’・2B’は、その厚みが3μm未満の場合、後述するように貫通孔3形成後のめっきの前処理として行なわれるマイクロエッチング時に銅箔2A’・2B’がエッチングされて銅箔2A’・2B’にピンホールまたは欠損を生じ、銅箔2A’・2B’へのめっきの付き周り性や密着力が弱くなる傾向があり、他方、12μmを超える場合、貫通孔3をレーザ加工により穿孔する場合に、直径が75〜130μmの貫通孔3を安定して形成することが困難となる。したがって、銅箔2A’・2B’の厚みは、3〜12μmの範囲が好ましい。
【0040】
このような銅箔2A’・2B’は、絶縁樹脂板1の上下全面に厚みが8〜18μm程度の銅箔を貼着するとともにこの銅箔を硫酸−過酸化水素水などの銅エッチング液で膜厚が均一となるようにエッチングし、厚みが3〜12μmとなるように加工して形成される。
【0041】
次に、図2(b)に部分断面図で示すように、レーザ加工により銅箔2A’・2B’および絶縁樹脂板1を貫通する直径が75〜130μmで、樹脂層1Bにおいて外側に向けて拡径する複数の貫通孔3を穿孔する。
【0042】
このように、貫通孔3の直径を75〜130μmと微細とした場合には、後述するように、貫通導体3および配線導体層2A・2Bを形成する際に貫通導体4および配線導体層2A・2Bを高密度で配置することができ、それにより高密度な配線基板を得ることができる。また、貫通孔3の孔径が樹脂層1Bにおいて外側に向かって広がっていることから、後述するように貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔3の内部に良好に入り込み、その結果、貫通孔3内に貫通導体4を良好に形成することができる。
【0043】
なお、貫通孔3の孔径が75μm未満の場合、貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔3の内部に良好に入り込まず、貫通孔3の内部に貫通導体4を良好に形成することができなくなり、他方、130μmを超えると、貫通導体4および配線導体層2A・2Bを高密度で配置することが困難となる。したがって、貫通孔3の直径は、75〜130μmの範囲が好ましい。
【0044】
また、貫通孔3の開口部における直径が絶縁樹脂板1の厚み方向の略中央部における直径よりも10μm未満大きい場合には、貫通孔3の内部にめっき導体を充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔3の内部に良好に入り込まずに貫通孔3の内部に貫通導体4を良好に形成することが困難となり、他方、50μmを超えて大きな場合には、そのような形状を有する貫通孔3を安定して形成することが困難となる。したがって、貫通孔3の開口部における直径は、絶縁樹脂板1の略中央部における直径よりも10〜50μm大きくしておくことが好ましい。
【0045】
なお、銅箔2A’・2B’および絶縁樹脂板1に貫通孔3を形成するには、銅箔2A’・2B’上に例えばレーザ光のエネルギーを良好に吸収する黒色もしくは黒色に近い色を有する樹脂から成るレーザ加工用シートを貼着し、このレーザ加工用シートの上から炭酸ガスレーザ光を照射する方法、もしくは銅箔2A’・2B’の表面を算術平均粗さRaで0.2〜2μmの範囲で表面を粗化した後、その銅箔を酸化雰囲気150℃下で30分程度の熱処理を行ないその表面をレーザ光のエネルギーを良好に吸収する黒色もしくは黒色に近い色を有する色として炭酸ガスレーザ光を照射する方法のどちらかの方法を使用し、20〜30mJの出力の炭酸ガスレーザ光を50〜500μ秒のパルス幅で所定の位置に照射して貫通孔3を穿孔する方法が採用される。このとき、炭酸ガスレーザ光の出力が20mJ未満だと貫通孔3を十分な大きさに穿孔することが困難となる傾向にあり、他方、30mJを超えると樹脂層1Bにおける貫通孔3の孔径が大きくなりすぎてしまう傾向にある。したがって、照射する炭酸ガスレーザ光は、その出力が20〜30mJでパルス幅が50〜500μ秒の範囲であることが好ましい。
【0046】
なおまた、レーザ加工用シートを使用した場合は、貫通孔3を穿孔した後にレーザ加工用シートを剥離する。このとき、絶縁樹脂板1は、ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体1Aの上下面に芯体1Aよりもレーザ光により分解されやすい樹脂層1Bが積層されていることから、この絶縁樹脂板1および配線導体層2A・2B用の銅箔を貫通して複数のレーザ加工により貫通孔3を形成する際に芯体1Aの部分よりも樹脂層1Bの部分が多く分解されるので、直径が75〜130μmで、樹脂層1Bにおいて外側に向けて拡径する形状の貫通孔3を極めて容易に形成することができる。またこのとき、銅箔2A’・2B’は絶縁樹脂板1よりも穿孔されにくいので、貫通孔3はその直径が銅箔2A’・2B’の部位において絶縁樹脂板1の部位よりも小さく、銅箔2A’・2B’が内側に突き出た形状となるが、銅箔2A’・2B’をマイクロエッチングしてその内側に突き出た部位を除去することにより、樹脂層1Bにおいて直径が75〜130μmの範囲で外側に向けて拡径する形状の貫通孔3を形成することができる。
【0047】
次に、図2(c)に部分断面図で示すように、貫通孔3の内部に厚みが1から3μmの無電解めっき銅めっきおよび電解銅めっきを順次析出させて貫通孔3を充填して貫通導体4を形成するとともに、銅箔2A’・2B’の表面に厚みが1〜3μmの無電解銅めっきおよび厚みが50〜60μmの電解銅めっきを順次析出させてめっき導体層13を被着させる。なお、無電解銅めっき析出させるには、例えば塩化アンモニウム系酢酸パラジウムを含有するパラジウム活性液を使用して貫通孔3内面および銅箔2A’・2B’の表面にパラジウム触媒を付着させるとともに、その上に硫酸銅系の無電解銅めっき液を用いて無電解銅めっきを被着させればよい。このとき、貫通孔3は、絶縁樹脂板1の開口部において外側に向けて拡径していることから、貫通孔3内に無電解銅めっき液が良好に浸入し、その結果、貫通孔3内面および銅箔2A’・2B’の表面に無電解銅めっきを略均一な厚みに良好に被着させることができる。なお、無電解銅めっき析出させる前に貫通孔3内面を例えば過マンガン酸カリウム溶液や過マンガン酸ナトリウム溶液から成る粗化液を用いてその算術平均粗さRaが0.2〜2μm程度になるように粗化しておくと無電解銅めっきを強固に被着させることができる。したがって、無電解銅めっきを被着させる前に貫通孔3内面を例えば過マンガン酸カリウム溶液や過マンガン酸ナトリウム溶液から成る粗化液を用いてその算術平均粗さRaが0.2〜2μm程度になるように粗化しておくことが好ましい。
【0048】
また、電解銅めっきを被着させるための電解銅めっき液としては例えば硫酸銅系からなる電解銅めっき液を用いればよい。このとき、貫通孔3は、絶縁樹脂板1の開口部において外側に向けて拡径していることから、貫通孔3内に電解銅めっき液が良好に浸入し、その結果、貫通孔3内を電解銅めっきで良好に充填することができる。したがって、本発明の配線基板の製造方法によれば、貫通孔3内に貫通導体4が良好に充填・形成され、貫通導体4に断線が発生することのない配線基板を提供することができる。また、本発明の製造方法により製造された配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、ビルドアップ絶縁層に貫通孔3内からクラックが発生したり、それによりビルドアップ配線層に断線が発生したりすることのないビルドアップ配線基板を提供することができる。
【0049】
次に、図2(d)に部分断面図で示すように、銅箔2A’・2B’上のめっき導体層13を機械的に研磨して平坦化した後、銅箔2A’・2B’およびその上のめっき導体層13を従来周知のフォトリソグラフィー技術により所定のパターンにエッチングすることにより配線導体層2A・2Bを形成する。なお、エッチング液としては塩化第2銅水溶液や塩化第2鉄水溶液から成るエッチング液を用いればよい。
【0050】
最後に、図2(e)の部分断面図で示すように、配線導体層2A・2Bが形成された絶縁樹脂板1の表面にエポキシ樹脂やビスマレイドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル等の熱硬化性樹脂から成るソルダーレジスト5を被着させることにより図1に示す本発明の基板が完成する。なおソルダーレジスト5は、ソルダーレジスト5用の感光性の樹脂ペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用して絶縁樹脂板1上に印刷塗布するか、もしくはソルダーレジスト5用のドライフィルムレジストを真空ラミネーターにより絶縁樹脂板1上に貼着した後、その樹脂ペーストもしくはドライフィルムレジストを従来周知のフォトリソグラフィー技術を採用して所定のパターンに露光・現像することにより形成される。
【0051】
かくして、本発明の配線基板の製造方法によれば、貫通導体4に断線が発生することなく、極めて高密度な配線が可能な配線基板を得ることができる。またその上にビルドアップ樹脂層およびビルドアップ配線層を積層してビルドアップ配線基板を製作したとしてもビルドアップ樹脂層に貫通孔3内からのクラックが発生することのない配線基板を得ることができる。
【0052】
なお、上述の実施例では貫通孔の直径が75〜130μm、厚みが0.2〜0.8mmの配線基板を例にとって示したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0053】
【実施例】
本発明の配線基板で、貫通孔の直径が75〜130μm、厚みが0.2〜0.8mmの配線基板の特性を評価するために、サンプルを作製し次の評価を行なった。
(実施例1)
まず、厚みが0.05〜0.85mmのガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて成る芯体の上下面に厚みが0.05mmのエポキシ樹脂から成る樹脂層をそれぞれ積層し、その合計の厚みを0.1〜0.9mmの範囲とした絶縁樹脂板の上下両面に7.5μmの厚みの銅箔が貼着された両面銅張板を準備するとともにその両面銅張板に、絶縁樹脂板の厚みの略中央部における直径が75μmで開口部における直径100μmの貫通孔をレーザにより形成した後、貫通孔の内面を過マンガン酸カリウム溶液からなる粗化液で算術平均粗さRaが0.2〜2μm程度になるように粗化し、次に銅箔の表面および貫通孔内面に無電界銅めっきおよび電解銅めっきを順次被着させることにより貫通孔内をめっき導体から成る貫通導体で充填し、その後に銅箔およびその上の銅めっきを従来周知のフォトリソグラフィーを採用して導体パターンを形成することでテスト基板を作成した。
【0054】
このテスト基板の上下両面に硬化後の厚みが25μmとなるようにソルダーレジストを塗布し、80℃の温度で30分間の乾燥した後150℃の温度で1時間の加熱処理を施した後、それぞれの厚みの基板の反りを測定した。反りの定義は1辺が40mmの正方形の基板の対角線で50mm長を測定した反り値である。また、反り測定後に貫通導体の導通チェックを行なった。なお、各厚みの試験結果は、各厚みの絶縁樹脂板を20枚ずつ測定し、その平均値を示した。また導通チェックは各厚みの絶縁樹脂板を200枚ずつチェックする。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
実験結果から、絶縁樹脂板の厚みが0.2mm未満では、反りが配線基板に要求される平坦度(反りの値で100μm/50mm以下)を満足せず、0.8mmを超えると、貫通導体での導通不良(断線)が3/200基板発生し、実用に供することができないことがわかった。
【0057】
(実施例2)
厚みが0.35mmのガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて成る芯体の上下面に厚みが0.05mmのエポキシ樹脂から成る樹脂層をそれぞれ積層し、その合計の厚みを0.4mmとした絶縁樹脂板の上下両面に厚みを2〜13μmの範囲とした銅箔をそれぞれ被着させた両面銅張板を準備するとともにその両面銅張板に、直径が100μmとなるように貫通孔をレーザにより形成した。このときのレーザ条件は事前テストで100μmに近づくように検討した各絶縁基板の最適条件で形成した。その後、貫通孔の直径を測定し75〜130μmの範囲に入っているか各絶縁基板より100穴の貫通孔を測定しその最大値で判定した。
【0058】
次に貫通孔の内面を過マンガン酸カリウム溶液からなる粗化液で算術平均粗さRaが0.2〜2μm程度になるように粗化した後、銅箔の表面および貫通孔内面に無電界銅めっきおよび電解銅めっきを順次被着させることにより貫通孔内をめっき導体から成る貫通導体で充填し、その後に銅箔およびその上の銅めっきを従来周知のフォトリソグラフィーを採用して配線幅が100μmおよび100μmのテストパターンを形成することでテスト基板を作成し、各テスト基板のテストパターンの導通チェックを行なった。導通チェックはテスト基板を200枚ずつチェックした。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
実験結果から銅箔の厚みが3μm未満ではテストパターンに導通不良が発生し、また12μmを超えると、直径が75〜130μmの範囲で上下両面側に拡径する形状の貫通孔を安定して形成することができず、実用に適しない範囲となり実用に供することができないことがわかった。
【0061】
(実施例3)
厚み0.35mmのガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて成る芯体の上下面に厚みが0.05mmのエポキシ樹脂から成る樹脂層をそれぞれ積層し、その合計の厚みを0.4mmとした絶縁樹脂板の上下両面に厚みが7.5μmの銅箔が被着された両面銅張板を準備するとともにその両面銅張板に直径が72〜135μmの範囲で上下両面側に拡径する貫通孔をあらかじめ事前テストにより検討した条件によりレーザで形成した。その後過マンガン酸カリウム溶液からなる粗化液で貫通孔の内面を算術平均粗さRaが0.2〜2μm程度になるように粗化し、次に銅箔の表面および貫通孔の内面に無電界銅めっきおよび電解銅めっきを順次被着させることにより貫通孔内をめっき導体から成る貫通導体で充填し、その後に銅箔およびその上の銅めっきを従来周知のフォトリソグラフィーを採用して貫通導体に接続された直径が150μmの円形の受けランドパターンおよびその受けランドパターンを30μmの間隔で取り囲む円環状パターンを形成することでテスト基板を作成した。そして、貫通導体の導通チェックおよび貫通導体に接続された受けランドパターンとそれを取り囲む円環状パターンとの間での絶縁不良を確認するテストを200枚ずつチェックした。結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
実験結果から貫通孔径が75μm未満では貫通導体で導通不良が発生し、130μmを超えると基板の収縮変動の影響も受け貫通導体に接続された受けランドパターンとそれを取り囲む円環状パターンとの間で絶縁不良をひきおこし、実用に供することができないことがわかった。
以上の実験結果から、貫通孔の内部に貫通導体が良好に充填・形成され貫通導体に断線が発生することのない、貫通孔の直径が75〜130μmで、厚みが0.2〜0.8mmの配線基板を得ることができることがわかった。
【0064】
【発明の効果】
本発明の配線基板によれば、ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体の上下面にこの芯体よりもレーザ光により分解されやすい樹脂層を積層して成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔およびこの銅箔を被覆しためっき導体層から成る配線導体層が被着されているとともに、絶縁樹脂板を上下に貫通し、かつ樹脂層において外側に向けて拡径する複数の貫通孔がレーザ加工により形成され、この貫通孔の内部に、上下両面の配線導体層同士を接続する、めっき導体を充填して成る貫通導体が形成されていることから、貫通孔をレーザ加工により形成する際に芯体の上下面に積層された樹脂層が芯体より多く分解されるので外側に向けて拡径する複数の貫通孔を容易に形成することができるとともに、そのような形状の貫通孔の内部にめっきを充填して貫通導体を形成する際、貫通導体を形成するためのめっき液が貫通孔内に良好に入り込み、その結果、貫通孔の内部に貫通導体が良好に充填・形成され貫通導体に断線が発生することはない。またこの配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においてもビルドアップ樹脂層にクラックが生じたりビルドアップ配線層が断線してしまうこともない。
【0065】
また、本発明の配線基板の製造方法によれば、ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体の上下面にこの芯体よりもレーザ光により分解されやすい樹脂層を積層して成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔が被着された両面銅張板を準備し、次にこの両面銅張板を上下に貫通し、かつ樹脂層において外側に向けて拡径する複数の貫通孔をレーザ加工により形成し、次に銅箔の表面にめっき導体を析出させて成るめっき導体層を被着させるとともに、貫通孔の内部にめっき導体を充填して成る貫通導体を形成して上下両面の銅箔同士を接続し、次に上下両面の銅箔およびこの銅箔に被着しためっき導体層を部分的にエッチングして配線導体層を形成することから、貫通孔をレーザ加工により形成する際に芯体の上下面に積層された樹脂層が芯体より多く分解されるので外側に向けて拡径する複数の貫通孔を容易に形成することができるとともに、そのような形状の貫通孔内に貫通導体を被着させる際、貫通導体を被着させるためのめっき液が貫通孔内に良好に入り込み、その結果、貫通孔内に貫通導体が良好に充填・形成され、貫通導体に断線のない配線基板を得ることができる。さらにこの配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、ビルドアップ樹脂層にクラックが生じたりビルドアップ配線層が断線してしまうことのない、接続信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の実施の形態の一例を示す部分断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための工程毎の部分断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・・絶縁樹脂板
1A・・・・・・・・・・・・芯体
1B・・・・・・・・・・・・樹脂層
2A’・2B’・・・・・・・・銅箔
2A・2B・・・・・・・・・配線導体層
3・・・・・・・・・・・・・貫通孔
4・・・・・・・・・・・・・貫通導体
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機材料系の配線基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子等の電子部品を搭載するための有機材料系の配線基板として、例えばガラス−エポキシ板から成り、その上面から下面にかけて貫通する貫通孔を有する絶縁樹脂板の上下両面に銅箔およびその上に施しためっき導体層から成る配線導体層を被着させるとともに、前記貫通孔の内面に前記上下両面の配線導体層同士を接続するめっき導体から成る貫通導体を被着させて成る配線基板が使用されている。
【0003】
このような有機材料系の配線基板は、ガラス−エポキシ板から成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔が被着された両面銅張板を準備するとともに、この両面銅張板を上下に貫通する貫通孔をドリル加工により穿孔し、次に前記上下両面の銅箔上および貫通孔内面に銅から成るめっき導体を無電解めっき法および電解めっき法により析出させて前記上下両面の銅箔の上にめっき導体層を被着するとともに貫通孔の内面にめっき導体から成る貫通導体を形成し、次に前記絶縁樹脂板の上下両面に被着された銅箔およびその銅箔に被着しためっき導体層をフォトリソグラフィー技術を採用して部分的にエッチングして配線導体層を形成することによって製作されている。
【0004】
また、この配線基板の両面にビルドアップ樹脂層およびビルドアップ配線層を形成することによりビルドアップ配線基板が製作される。なお、このような配線基板においては、貫通導体が被着された貫通孔は通常、エポキシ樹脂等の穴埋め樹脂により充填されている。
【0005】
ところで、このような有機材料系の多層配線基板においては、電子装置の小型・薄型化の要求に対応してその配線密度を高めるために、例えば絶縁樹脂板の厚みを0.2〜1mm程度、貫通孔の直径を75〜130μm程度の小さなものとする試みがなされている。また、このような直径が75〜130μm程度の小さな貫通孔を形成するためには、例えばレーザによる穿孔方法が採用される。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−91750号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の有機材料系の配線基板においては、絶縁樹脂板に形成された貫通孔の直径が絶縁樹脂板の上面から下面にかけて略同一で、絶縁樹脂板の上下両面と貫通孔の内面とのなす角度が略直角となっていることから、貫通孔の内面にめっき導体から成る貫通導体を形成する際に、めっき液が貫通孔内に良好に入り込みにくく、そのため貫通導体が貫通孔内に良好に被着されずに、貫通導体を形成するのに長時間を要してしまうあるいは貫通導体を良好に形成できずに電気的接続信頼性に劣ってしまうという問題点を有していた。
【0008】
また、例えば絶縁樹脂板の厚みを0.2〜1mm程度、絶縁樹脂板を貫通する貫通孔の直径を75〜130μm程度の小さなものとすると、この貫通孔の内面にめっき導体から成る貫通導体を被着させる際、貫通導体を被着させるためのめっき液が貫通孔内に極端に入り込みにくくなり、そのため貫通導体が良好に被着されずに貫通導体に断線が発生してしまう危険性がるという問題点を有していた。
【0009】
また、貫通導体と穴埋め樹脂との間で剥離が生じ、この剥離により貫通導体が断線したり、あるいはこの配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合、この剥離が起点となりビルドアップ樹脂層にクラックが生じビルドアップ配線層が断線してしまうという問題点も有していた。
【0010】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、貫通孔内に貫通導体を良好に被着形成できるとともに電気的接続信頼性に優れる配線基板およびその製造方法、さらには絶縁樹脂板の厚みを0.2〜1mm程度、絶縁樹脂板を貫通する貫通孔の直径を75〜130μm程度の小さいものとしても貫通導体に断線が発生することがなく、また貫通導体と穴埋め樹脂間での剥離により生じるクラックでのビルドアップ配線層での断線を発生させない、極めて高密度な配線が可能な配線基板およびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の配線基板は、ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体の上下面にこの芯体よりもレーザ光により分解されやすい樹脂層を積層して成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔およびこの銅箔を被覆しためっき導体層から成る配線導体層が被着されているとともに、前記絶縁樹脂板を上下に貫通し、かつ前記樹脂層において外側に向けて拡径する複数の貫通孔がレーザ加工により形成され、この貫通孔の内部に、前記上下両面の配線導体層同士を接続する、めっき導体を充填して成る貫通導体が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の配線基板によれば、配線基板を上述の構成としたことから、貫通孔をレーザ加工により形成する際に芯体の上下面に積層された樹脂層が芯体より多く分解されるので、外側に向けて拡径する複数の貫通孔を容易に形成することができるとともに、そのような形状の貫通孔の内部にめっきを充填して貫通導体を形成する際、貫通導体を形成するためのめっき液が貫通孔内に良好に入り込み、その結果、貫通孔の内部に貫通導体が良好に充填・形成され、貫通導体に断線が発生することはない。また、この配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、ビルドアップ樹脂層にクラックが生じたりビルドアップ配線層が断線してしまうこともない。
【0013】
また、本発明の配線基板の製造方法は、ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体の上下面にこの芯体よりもレーザ光により分解されやすい樹脂層を積層して成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔が被着された両面銅張板を準備する工程と、次にこの両面銅張板を上下に貫通し、かつ前記樹脂層において外側に向けて拡径する複数の貫通孔をレーザ加工により形成する工程と、次に前記銅箔の表面にめっき導体を析出させて成るめっき導体層を被着させるとともに、前記貫通孔の内部に前記めっき導体を充填して成る貫通導体を形成して前記上下両面の銅箔同士を接続し、次に前記上下両面の銅箔およびこの銅箔に被着した前記めっき導体層を部分的にエッチングして配線導体層を形成する工程とを行なうことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の配線基板の製造方法によれば、上述の構成としたことから、貫通孔をレーザ加工により形成する際に芯体の上下面に積層された樹脂層が芯体より多く分解されるので外側に向けて拡径する複数の貫通孔を容易に形成することができるとともに、そのような形状の貫通孔内に貫通導体を被着させる際、貫通導体を被着させるためのめっき液が貫通孔内に良好に入り込み、その結果、貫通孔内に貫通導体が良好に充填・形成され、貫通孔に断線のない配線基板を得ることができる。さらに、この配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、ビルドアップ樹脂層にクラックが生じたりビルドアップ配線層が断線してしまうことのない、接続信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の配線基板について添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の配線基板の実施の形態の一例を示す部分断面図である。図1において、1は絶縁樹脂板、2A・2Bは配線導体層、3は貫通孔、4は貫通導体であり、主として絶縁樹脂板1の上下両面に配線導体層2A・2Bが被着されるとともに貫通孔3の内部に貫通導体4が充填・形成されることにより本発明の配線基板が構成されている。なお、本実施例においては、貫通導体4および配線導体層2A・2B上にソルダーレジスト5を設けた例を示している。また、本実施例においては、配線基板が直径が75〜130μmと微細な貫通孔3を有するとともに、厚みが0.2〜0.8mmと薄型のものである場合の例を示している。
【0016】
絶縁樹脂板1は、本発明の配線基板のコア部材として機能し、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の樹脂を含浸させた芯体1Aの上下面に、芯体1Aよりもレーザにより分解されやすいエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等から成る樹脂層1Bを積層して成る厚みが0.2〜0.8mmの平板であり、その上下両面に厚みが3〜12μmの銅箔およびその銅箔を被覆した銅めっきから成る配線導体層2A・2Bが被着された、いわゆるめっき付両面銅張板を構成している。
【0017】
そして、この絶縁樹脂板1は、ガラスクロスに樹脂を含浸させて成る芯体1Aの上下面に芯体1Aよりもレーザにより分解されやすい樹脂層1Bを積層して成ることから、後述するように、絶縁樹脂板1および配線導体層2A・2B用の銅箔を貫通して複数のレーザ加工により貫通孔3を形成する際に、芯体1Aの部分よりも樹脂層1Bの部分が多く分解されるので、直径が75〜130μmで上下両面側に向けて拡径する貫通孔3を極めて容易に形成することができる。
【0018】
なお、ここで樹脂層1Bが芯体1Aよりもレーザにより分解されやすいとは、同じ厚みの、例えば厚みが0.01〜0.1mmの範囲の芯体1Aと樹脂層1Bとに、同じレーザ条件、例えばエネルギが0.3〜1J/cm2、パルス幅が30〜100μsec、照射回数が2〜10回の条件で貫通孔を形成した際に、樹脂層1Bの貫通孔の直径が芯体1Aの貫通孔の1.1倍以上になることをいう。
【0019】
また、この絶縁樹脂板1は、その厚みが0.2mm未満では、絶縁樹脂板1および配線導体層2A・2B用の銅箔を貫通して複数の貫通孔3を形成したり、あるいは絶縁樹脂板1の上下両面に配線導体層2A・2Bを形成したり、さらにはソルダーレジスト5を形成する際等に印加される熱や外力等の影響で配線基板に反りや変形が発生して配線基板に要求される平坦度を確保できなくなってしまう危険性が大きなものとなり、他方、0.8mmを超えると、後述するように、貫通孔3の内部にめっき導体を被着させて貫通導体4を充填・形成するときに、貫通孔3内にめっき液が浸入しにくくなり、貫通導体4を良好に形成することが困難となる。したがって、絶縁樹脂板1の厚みは0.2〜0.8mmの範囲が好ましい。
【0020】
さらに、樹脂層1Bはその厚みが0.01mm未満では貫通孔3において外側に拡径する領域が短くなりやすく、そのため貫通孔3の内部にめっき導体を被着させて貫通導体4を充填・形成する際に、貫通孔3内にめっき液が浸入しにくく貫通導体4を良好に形成することが困難となり、また0.1mmを超えるとレーザ加工により貫通孔3を形成する際に樹脂層1Bにおいて貫通孔3の孔径が大きくなりすぎ、孔径が75〜130μmの貫通孔3を形成することが困難となる。したがって、樹脂層1Bの厚みは0.01〜0.1mmの範囲であることが好ましい。
【0021】
なお、芯体1Aは、ガラスクロスに含浸させるエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の樹脂中にシリカやアルミナあるいはアラミド樹脂等から成るフィラーをガラスクロス部分と樹脂部分とでレーザ光の透過度が略同等となる程度に含有させておけば、後述するように絶縁樹脂板1にレーザ光で貫通孔3を穿孔する際に、貫通孔3を芯体1Aに略均一な大きさで良好に形成することが可能となる。したがって、芯体1Aのガラスクロス含浸させるエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の樹脂中にはシリカやアルミナあるいはアラミド樹脂等から成るフィラーをガラスクロス部分と樹脂部分とでレーザ光の透過度が略同等となるように含有させておくことが好ましい。
【0022】
また、絶縁樹脂板1の上下両面に被着された配線導体層2A・2Bは、厚みが3〜12μmの銅箔に銅めっき等のめっき導体を被着させて成り、配線基板に搭載される電子部品(図示せず)の電極を外部電気回路基板の配線導体(図示せず)に電気的に接続するための導電路の一部として機能し、上面側の配線導体層2Aには、電子部品の電極が半田等の導電性接合部材を介して接続される電子部品接続パッドおよびこの電子部品接続パッドから引き回される配線パターン等が形成されており、下面側の配線導体層2Bには、外部電気回路基板の配線導体に半田等の導電性接合部材を介して接続される外部接続パッド等が形成されている。
【0023】
なお、配線導体層2A・2Bを構成する銅箔は、その厚みが3μm未満の場合、後述するように、配線導体層2A・2Bに貫通孔3を形成した後に無電解銅めっきの前処理として行なわれるマイクロエッチング時に銅箔がエッチングされて銅箔のピンホールまたは銅箔の欠損を生じ、銅箔への銅めっきの付き周り性や密着力が弱くなる傾向がある。他方、12μmを超える場合、後述するように絶縁樹脂板1と配線導体層2A・2B用の銅箔とを貫通する貫通孔3をレーザ加工により穿孔する場合に、直径が75〜130μmの貫通孔3を安定して形成することが困難となる。したがって配線導体層2A・2Bを構成する銅箔の厚みは3〜12μmの範囲が好ましい。
【0024】
また、配線導体層2A・2Bは、これらを構成する銅箔とそれに被着しためっき導体との合計の厚みが8μm未満であると、配線導体層2A・2Bの電気抵抗が高いものとなり、他方、30μmを超えると、配線導体層2A・2Bを高密度のパターンに形成することが困難となる。したがって、配線導体層2A・2Bを構成する銅箔とこの銅箔に被着しためっき導体との合計の厚みは、8〜30μmの範囲が好ましい。
【0025】
さらに、配線導体層2A・2Bは、その表面の算術平均粗さRaが0.2μm未満の場合、配線導体層2A・2Bとソルダーレジスト5とが強固に密着せずに配線導体層2A・2Bとソルダーレジスト5との間で剥離が発生しやすくなる傾向にあり、他方2μmを超えると、そのような粗い面を安定かつ効率良く形成することが困難となる傾向にある。したがって、配線導体層2A・2B表面の算術平均粗さRaは0.2〜2μmの範囲が好ましい。
【0026】
また、本発明の配線基板においては、絶縁樹脂板1を貫通して直径が75〜130μmの貫通孔3が形成されており、この貫通孔3の内部にめっきを充填することにより貫通導体4が形成されている。貫通孔3は、貫通導体4を絶縁樹脂板1の上面から下面にかけて導出させるための導出路を提供するためのものであり、レーザ加工により穿孔されている。この貫通孔3は、その直径が絶縁樹脂板1断面の略中央部においては75〜115μmで略同じ大きさであり、絶縁樹脂板1の開口部で90〜130μmとなるように、樹脂層1Bにおいて外側に向かって拡径している。
【0027】
なお、本発明の配線基板によれば、上述したように絶縁樹脂板1は、ガラスクロスに樹脂を含浸させて成る芯体1Aの上下面に芯体1Aよりもレーザにより分解されやすい樹脂層1Bを積層して成ることから、絶縁樹脂板1を貫通して複数のレーザ加工により貫通孔3を形成する際に芯体1Aの部分よりも樹脂層1Bの部分が多く分解されるので、直径が75〜130μmで樹脂層1Bにおいて外側に向けて拡径する貫通孔3を極めて容易に形成することができる。
【0028】
そして、このように本発明の配線基板によれば、貫通孔3の孔径を75〜130μmと微細にした場合には、貫通導体4を高密度で配置することができ、それにより極めて高密度な配線を有する配線基板を得ることができる。
【0029】
また、貫通孔3は、その直径が樹脂層1Bにおいて外側に向かって広がっていることから、後述するように貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔4の内部に良好に入り込み、その結果、貫通孔3内に貫通導体4を良好に充填・形成することができる。なお、貫通孔3の直径が75μm未満の場合、貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔3の内部に良好に入り込まずに貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を良好に形成することが困難となり、他方、130μmを超えると、貫通導体4および配線導体層2A・2Bを高密度で配置することが困難となる。したがって、貫通孔3の直径は、75〜130μmの範囲が好ましい。
【0030】
さらに、貫通孔3の開口部における直径が絶縁樹脂板1の厚み方向の略中央部における直径よりも10μm未満大きい場合には、貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔3の内部に良好に入り込まずに貫通孔3内に貫通導体4を良好に充填・形成することが困難となり、他方、50μmを超えて大きな場合には、そのような形状を有する貫通孔4を安定して形成することが困難となる。したがって、貫通孔4の開口部における直径は、絶縁樹脂板1の厚み方向の略中央部における直径よりも10〜50μm大きいことが好ましい。
【0031】
また、貫通孔3内に充填・形成された貫通導体4は銅めっき等のめっき導体から成り、絶縁樹脂板1を挟んで上下に位置する配線導体層2A・2B同士を互いに電気的に接続する接続導体として機能する。そして、貫通孔3が上述したように樹脂層1Bにおいて外側に向けて拡径する形状となっていることから、貫通孔3内にめっき導体を被着させることにより良好に充填・形成されている。したがって、本発明の配線基板によれば、貫通導体4に断線が発生することはない。また、本発明の配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、貫通孔3が貫通導体4により良好に充填されていることから、ビルドアップ絶縁層に貫通孔3内からクラックが発生したり、それによりビルドアップ配線層に断線が発生したりすることはない。
【0032】
さらに、配線導体層2A・2Bが被着された絶縁樹脂板1の表面には、必要に応じてエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂から成るソルダーレジスト5が被着される。ソルダーレジスト5は、配線導体層2A・2Bを保護するとともに配線導体層2A・2Bにおける各配線パターン同士を電気的に良好に絶縁するための保護層として機能し、配線導体層2A・2Bの一部を露出させる所定のパターンに被着形成されている。
【0033】
なお、ソルダーレジスト5は、その配線導体層2A・2B上における厚みが10μm未満であると、配線導体層2A・2Bを良好に保護することができなくなるとともに配線導体層2A・2Bにおける各配線パターン同士を電気的に良好に絶縁することができなくなる傾向にあり、他方、40μmを超えると、ソルダーレジスト5を所定のパターンに形成することが困難となる傾向にある。したがって、ソルダーレジスト5の配線導体層2A・2B上における厚みは、10〜40μmの範囲が好ましい。
【0034】
かくして、本発明の配線基板によれば、外側に向けて拡径する貫通孔3を容易に形成することができるとともに、その貫通孔3内に貫通導体4を良好に充填・形成することができ、それにより貫通導体4に断線が発生することのないとともに、本発明の配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、ビルドアップ絶縁層にクラックの発生しない極めて信頼性の高い高密度な配線の配線基板とすることができる。
【0035】
次に、図1に示した配線基板を本発明の製造方法により製造する方法について図2(a)〜(e)を参照して詳細に説明する。なお、本実施例においても、直径が75〜130μmと微細な貫通孔3を有するとともに、厚みが0.2〜0.8mmと薄型の配線基板を製造する場合の例を示している。
【0036】
まず、図2(a)に部分断面図で示すように、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の樹脂を含浸させた芯体1Aの上下面に芯体1Aよりもレーザ光により分解されやすいエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル樹脂等の樹脂から成る厚みが0.01〜0.1mmの樹脂層1Bを積層して成る厚みが0.2〜0.8mmの絶縁樹脂板1の上下両面に厚みが3〜12μmの銅箔2A’・2B’が被着形成された両面銅張板を準備する。
【0037】
なお、絶縁樹脂板1は、その厚みが0.2mm未満では後述するように絶縁樹脂板1および銅箔2A’・2B’を貫通して複数の貫通孔3を形成したり、絶縁樹脂板1上にソルダーレジスト5を形成したりする際等に熱や外力等の影響で配線基板に反りや変形が発生して配線基板に要求される平坦度を確保できなくなってしまう危険性が大きなものとなり、他方、0.8mmを超えると、後述するように貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成するとき、貫通孔3内にめっき液が浸入しにくくなり、貫通導体4に断線が発生しやすくなる。したがって、絶縁樹脂板1の厚みは0.2〜0.8mmの範囲が好ましい。
【0038】
さらに、樹脂層1Bはその厚みが0.01mm未満では、後述するように絶縁樹脂板1および銅箔2A’・2B’を貫通して複数の貫通孔3を形成する際に貫通孔3において外側に拡径する領域が短くなりやすく、そのため貫通孔3の内部にめっき導体を被着させて貫通導体4を充填・形成する際に、貫通孔3内にめっき液が浸入しにくく貫通導体4を良好に形成することが困難となり、また0.1mmを超えるとレーザ加工により貫通孔3を形成する際に樹脂層1Bにおいて貫通孔3の孔径が大きくなりすぎ、孔径が75〜130μmの貫通孔3を形成することが困難となる。したがって、樹脂層1Bの厚みは0.01〜0.1mmの範囲であることが好ましい。
【0039】
また、銅箔2A’・2B’は、その厚みが3μm未満の場合、後述するように貫通孔3形成後のめっきの前処理として行なわれるマイクロエッチング時に銅箔2A’・2B’がエッチングされて銅箔2A’・2B’にピンホールまたは欠損を生じ、銅箔2A’・2B’へのめっきの付き周り性や密着力が弱くなる傾向があり、他方、12μmを超える場合、貫通孔3をレーザ加工により穿孔する場合に、直径が75〜130μmの貫通孔3を安定して形成することが困難となる。したがって、銅箔2A’・2B’の厚みは、3〜12μmの範囲が好ましい。
【0040】
このような銅箔2A’・2B’は、絶縁樹脂板1の上下全面に厚みが8〜18μm程度の銅箔を貼着するとともにこの銅箔を硫酸−過酸化水素水などの銅エッチング液で膜厚が均一となるようにエッチングし、厚みが3〜12μmとなるように加工して形成される。
【0041】
次に、図2(b)に部分断面図で示すように、レーザ加工により銅箔2A’・2B’および絶縁樹脂板1を貫通する直径が75〜130μmで、樹脂層1Bにおいて外側に向けて拡径する複数の貫通孔3を穿孔する。
【0042】
このように、貫通孔3の直径を75〜130μmと微細とした場合には、後述するように、貫通導体3および配線導体層2A・2Bを形成する際に貫通導体4および配線導体層2A・2Bを高密度で配置することができ、それにより高密度な配線基板を得ることができる。また、貫通孔3の孔径が樹脂層1Bにおいて外側に向かって広がっていることから、後述するように貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔3の内部に良好に入り込み、その結果、貫通孔3内に貫通導体4を良好に形成することができる。
【0043】
なお、貫通孔3の孔径が75μm未満の場合、貫通孔3の内部にめっきを充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔3の内部に良好に入り込まず、貫通孔3の内部に貫通導体4を良好に形成することができなくなり、他方、130μmを超えると、貫通導体4および配線導体層2A・2Bを高密度で配置することが困難となる。したがって、貫通孔3の直径は、75〜130μmの範囲が好ましい。
【0044】
また、貫通孔3の開口部における直径が絶縁樹脂板1の厚み方向の略中央部における直径よりも10μm未満大きい場合には、貫通孔3の内部にめっき導体を充填して貫通導体4を形成する際に、貫通導体4を形成するためのめっき液が貫通孔3の内部に良好に入り込まずに貫通孔3の内部に貫通導体4を良好に形成することが困難となり、他方、50μmを超えて大きな場合には、そのような形状を有する貫通孔3を安定して形成することが困難となる。したがって、貫通孔3の開口部における直径は、絶縁樹脂板1の略中央部における直径よりも10〜50μm大きくしておくことが好ましい。
【0045】
なお、銅箔2A’・2B’および絶縁樹脂板1に貫通孔3を形成するには、銅箔2A’・2B’上に例えばレーザ光のエネルギーを良好に吸収する黒色もしくは黒色に近い色を有する樹脂から成るレーザ加工用シートを貼着し、このレーザ加工用シートの上から炭酸ガスレーザ光を照射する方法、もしくは銅箔2A’・2B’の表面を算術平均粗さRaで0.2〜2μmの範囲で表面を粗化した後、その銅箔を酸化雰囲気150℃下で30分程度の熱処理を行ないその表面をレーザ光のエネルギーを良好に吸収する黒色もしくは黒色に近い色を有する色として炭酸ガスレーザ光を照射する方法のどちらかの方法を使用し、20〜30mJの出力の炭酸ガスレーザ光を50〜500μ秒のパルス幅で所定の位置に照射して貫通孔3を穿孔する方法が採用される。このとき、炭酸ガスレーザ光の出力が20mJ未満だと貫通孔3を十分な大きさに穿孔することが困難となる傾向にあり、他方、30mJを超えると樹脂層1Bにおける貫通孔3の孔径が大きくなりすぎてしまう傾向にある。したがって、照射する炭酸ガスレーザ光は、その出力が20〜30mJでパルス幅が50〜500μ秒の範囲であることが好ましい。
【0046】
なおまた、レーザ加工用シートを使用した場合は、貫通孔3を穿孔した後にレーザ加工用シートを剥離する。このとき、絶縁樹脂板1は、ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体1Aの上下面に芯体1Aよりもレーザ光により分解されやすい樹脂層1Bが積層されていることから、この絶縁樹脂板1および配線導体層2A・2B用の銅箔を貫通して複数のレーザ加工により貫通孔3を形成する際に芯体1Aの部分よりも樹脂層1Bの部分が多く分解されるので、直径が75〜130μmで、樹脂層1Bにおいて外側に向けて拡径する形状の貫通孔3を極めて容易に形成することができる。またこのとき、銅箔2A’・2B’は絶縁樹脂板1よりも穿孔されにくいので、貫通孔3はその直径が銅箔2A’・2B’の部位において絶縁樹脂板1の部位よりも小さく、銅箔2A’・2B’が内側に突き出た形状となるが、銅箔2A’・2B’をマイクロエッチングしてその内側に突き出た部位を除去することにより、樹脂層1Bにおいて直径が75〜130μmの範囲で外側に向けて拡径する形状の貫通孔3を形成することができる。
【0047】
次に、図2(c)に部分断面図で示すように、貫通孔3の内部に厚みが1から3μmの無電解めっき銅めっきおよび電解銅めっきを順次析出させて貫通孔3を充填して貫通導体4を形成するとともに、銅箔2A’・2B’の表面に厚みが1〜3μmの無電解銅めっきおよび厚みが50〜60μmの電解銅めっきを順次析出させてめっき導体層13を被着させる。なお、無電解銅めっき析出させるには、例えば塩化アンモニウム系酢酸パラジウムを含有するパラジウム活性液を使用して貫通孔3内面および銅箔2A’・2B’の表面にパラジウム触媒を付着させるとともに、その上に硫酸銅系の無電解銅めっき液を用いて無電解銅めっきを被着させればよい。このとき、貫通孔3は、絶縁樹脂板1の開口部において外側に向けて拡径していることから、貫通孔3内に無電解銅めっき液が良好に浸入し、その結果、貫通孔3内面および銅箔2A’・2B’の表面に無電解銅めっきを略均一な厚みに良好に被着させることができる。なお、無電解銅めっき析出させる前に貫通孔3内面を例えば過マンガン酸カリウム溶液や過マンガン酸ナトリウム溶液から成る粗化液を用いてその算術平均粗さRaが0.2〜2μm程度になるように粗化しておくと無電解銅めっきを強固に被着させることができる。したがって、無電解銅めっきを被着させる前に貫通孔3内面を例えば過マンガン酸カリウム溶液や過マンガン酸ナトリウム溶液から成る粗化液を用いてその算術平均粗さRaが0.2〜2μm程度になるように粗化しておくことが好ましい。
【0048】
また、電解銅めっきを被着させるための電解銅めっき液としては例えば硫酸銅系からなる電解銅めっき液を用いればよい。このとき、貫通孔3は、絶縁樹脂板1の開口部において外側に向けて拡径していることから、貫通孔3内に電解銅めっき液が良好に浸入し、その結果、貫通孔3内を電解銅めっきで良好に充填することができる。したがって、本発明の配線基板の製造方法によれば、貫通孔3内に貫通導体4が良好に充填・形成され、貫通導体4に断線が発生することのない配線基板を提供することができる。また、本発明の製造方法により製造された配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、ビルドアップ絶縁層に貫通孔3内からクラックが発生したり、それによりビルドアップ配線層に断線が発生したりすることのないビルドアップ配線基板を提供することができる。
【0049】
次に、図2(d)に部分断面図で示すように、銅箔2A’・2B’上のめっき導体層13を機械的に研磨して平坦化した後、銅箔2A’・2B’およびその上のめっき導体層13を従来周知のフォトリソグラフィー技術により所定のパターンにエッチングすることにより配線導体層2A・2Bを形成する。なお、エッチング液としては塩化第2銅水溶液や塩化第2鉄水溶液から成るエッチング液を用いればよい。
【0050】
最後に、図2(e)の部分断面図で示すように、配線導体層2A・2Bが形成された絶縁樹脂板1の表面にエポキシ樹脂やビスマレイドトリアジン樹脂・ポリフェニレンエーテル等の熱硬化性樹脂から成るソルダーレジスト5を被着させることにより図1に示す本発明の基板が完成する。なおソルダーレジスト5は、ソルダーレジスト5用の感光性の樹脂ペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用して絶縁樹脂板1上に印刷塗布するか、もしくはソルダーレジスト5用のドライフィルムレジストを真空ラミネーターにより絶縁樹脂板1上に貼着した後、その樹脂ペーストもしくはドライフィルムレジストを従来周知のフォトリソグラフィー技術を採用して所定のパターンに露光・現像することにより形成される。
【0051】
かくして、本発明の配線基板の製造方法によれば、貫通導体4に断線が発生することなく、極めて高密度な配線が可能な配線基板を得ることができる。またその上にビルドアップ樹脂層およびビルドアップ配線層を積層してビルドアップ配線基板を製作したとしてもビルドアップ樹脂層に貫通孔3内からのクラックが発生することのない配線基板を得ることができる。
【0052】
なお、上述の実施例では貫通孔の直径が75〜130μm、厚みが0.2〜0.8mmの配線基板を例にとって示したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0053】
【実施例】
本発明の配線基板で、貫通孔の直径が75〜130μm、厚みが0.2〜0.8mmの配線基板の特性を評価するために、サンプルを作製し次の評価を行なった。
(実施例1)
まず、厚みが0.05〜0.85mmのガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて成る芯体の上下面に厚みが0.05mmのエポキシ樹脂から成る樹脂層をそれぞれ積層し、その合計の厚みを0.1〜0.9mmの範囲とした絶縁樹脂板の上下両面に7.5μmの厚みの銅箔が貼着された両面銅張板を準備するとともにその両面銅張板に、絶縁樹脂板の厚みの略中央部における直径が75μmで開口部における直径100μmの貫通孔をレーザにより形成した後、貫通孔の内面を過マンガン酸カリウム溶液からなる粗化液で算術平均粗さRaが0.2〜2μm程度になるように粗化し、次に銅箔の表面および貫通孔内面に無電界銅めっきおよび電解銅めっきを順次被着させることにより貫通孔内をめっき導体から成る貫通導体で充填し、その後に銅箔およびその上の銅めっきを従来周知のフォトリソグラフィーを採用して導体パターンを形成することでテスト基板を作成した。
【0054】
このテスト基板の上下両面に硬化後の厚みが25μmとなるようにソルダーレジストを塗布し、80℃の温度で30分間の乾燥した後150℃の温度で1時間の加熱処理を施した後、それぞれの厚みの基板の反りを測定した。反りの定義は1辺が40mmの正方形の基板の対角線で50mm長を測定した反り値である。また、反り測定後に貫通導体の導通チェックを行なった。なお、各厚みの試験結果は、各厚みの絶縁樹脂板を20枚ずつ測定し、その平均値を示した。また導通チェックは各厚みの絶縁樹脂板を200枚ずつチェックする。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
実験結果から、絶縁樹脂板の厚みが0.2mm未満では、反りが配線基板に要求される平坦度(反りの値で100μm/50mm以下)を満足せず、0.8mmを超えると、貫通導体での導通不良(断線)が3/200基板発生し、実用に供することができないことがわかった。
【0057】
(実施例2)
厚みが0.35mmのガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて成る芯体の上下面に厚みが0.05mmのエポキシ樹脂から成る樹脂層をそれぞれ積層し、その合計の厚みを0.4mmとした絶縁樹脂板の上下両面に厚みを2〜13μmの範囲とした銅箔をそれぞれ被着させた両面銅張板を準備するとともにその両面銅張板に、直径が100μmとなるように貫通孔をレーザにより形成した。このときのレーザ条件は事前テストで100μmに近づくように検討した各絶縁基板の最適条件で形成した。その後、貫通孔の直径を測定し75〜130μmの範囲に入っているか各絶縁基板より100穴の貫通孔を測定しその最大値で判定した。
【0058】
次に貫通孔の内面を過マンガン酸カリウム溶液からなる粗化液で算術平均粗さRaが0.2〜2μm程度になるように粗化した後、銅箔の表面および貫通孔内面に無電界銅めっきおよび電解銅めっきを順次被着させることにより貫通孔内をめっき導体から成る貫通導体で充填し、その後に銅箔およびその上の銅めっきを従来周知のフォトリソグラフィーを採用して配線幅が100μmおよび100μmのテストパターンを形成することでテスト基板を作成し、各テスト基板のテストパターンの導通チェックを行なった。導通チェックはテスト基板を200枚ずつチェックした。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
実験結果から銅箔の厚みが3μm未満ではテストパターンに導通不良が発生し、また12μmを超えると、直径が75〜130μmの範囲で上下両面側に拡径する形状の貫通孔を安定して形成することができず、実用に適しない範囲となり実用に供することができないことがわかった。
【0061】
(実施例3)
厚み0.35mmのガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させて成る芯体の上下面に厚みが0.05mmのエポキシ樹脂から成る樹脂層をそれぞれ積層し、その合計の厚みを0.4mmとした絶縁樹脂板の上下両面に厚みが7.5μmの銅箔が被着された両面銅張板を準備するとともにその両面銅張板に直径が72〜135μmの範囲で上下両面側に拡径する貫通孔をあらかじめ事前テストにより検討した条件によりレーザで形成した。その後過マンガン酸カリウム溶液からなる粗化液で貫通孔の内面を算術平均粗さRaが0.2〜2μm程度になるように粗化し、次に銅箔の表面および貫通孔の内面に無電界銅めっきおよび電解銅めっきを順次被着させることにより貫通孔内をめっき導体から成る貫通導体で充填し、その後に銅箔およびその上の銅めっきを従来周知のフォトリソグラフィーを採用して貫通導体に接続された直径が150μmの円形の受けランドパターンおよびその受けランドパターンを30μmの間隔で取り囲む円環状パターンを形成することでテスト基板を作成した。そして、貫通導体の導通チェックおよび貫通導体に接続された受けランドパターンとそれを取り囲む円環状パターンとの間での絶縁不良を確認するテストを200枚ずつチェックした。結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
実験結果から貫通孔径が75μm未満では貫通導体で導通不良が発生し、130μmを超えると基板の収縮変動の影響も受け貫通導体に接続された受けランドパターンとそれを取り囲む円環状パターンとの間で絶縁不良をひきおこし、実用に供することができないことがわかった。
以上の実験結果から、貫通孔の内部に貫通導体が良好に充填・形成され貫通導体に断線が発生することのない、貫通孔の直径が75〜130μmで、厚みが0.2〜0.8mmの配線基板を得ることができることがわかった。
【0064】
【発明の効果】
本発明の配線基板によれば、ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体の上下面にこの芯体よりもレーザ光により分解されやすい樹脂層を積層して成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔およびこの銅箔を被覆しためっき導体層から成る配線導体層が被着されているとともに、絶縁樹脂板を上下に貫通し、かつ樹脂層において外側に向けて拡径する複数の貫通孔がレーザ加工により形成され、この貫通孔の内部に、上下両面の配線導体層同士を接続する、めっき導体を充填して成る貫通導体が形成されていることから、貫通孔をレーザ加工により形成する際に芯体の上下面に積層された樹脂層が芯体より多く分解されるので外側に向けて拡径する複数の貫通孔を容易に形成することができるとともに、そのような形状の貫通孔の内部にめっきを充填して貫通導体を形成する際、貫通導体を形成するためのめっき液が貫通孔内に良好に入り込み、その結果、貫通孔の内部に貫通導体が良好に充填・形成され貫通導体に断線が発生することはない。またこの配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においてもビルドアップ樹脂層にクラックが生じたりビルドアップ配線層が断線してしまうこともない。
【0065】
また、本発明の配線基板の製造方法によれば、ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体の上下面にこの芯体よりもレーザ光により分解されやすい樹脂層を積層して成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔が被着された両面銅張板を準備し、次にこの両面銅張板を上下に貫通し、かつ樹脂層において外側に向けて拡径する複数の貫通孔をレーザ加工により形成し、次に銅箔の表面にめっき導体を析出させて成るめっき導体層を被着させるとともに、貫通孔の内部にめっき導体を充填して成る貫通導体を形成して上下両面の銅箔同士を接続し、次に上下両面の銅箔およびこの銅箔に被着しためっき導体層を部分的にエッチングして配線導体層を形成することから、貫通孔をレーザ加工により形成する際に芯体の上下面に積層された樹脂層が芯体より多く分解されるので外側に向けて拡径する複数の貫通孔を容易に形成することができるとともに、そのような形状の貫通孔内に貫通導体を被着させる際、貫通導体を被着させるためのめっき液が貫通孔内に良好に入り込み、その結果、貫通孔内に貫通導体が良好に充填・形成され、貫通導体に断線のない配線基板を得ることができる。さらにこの配線基板を用いてビルドアップ配線基板を製作した場合においても、ビルドアップ樹脂層にクラックが生じたりビルドアップ配線層が断線してしまうことのない、接続信頼性に優れた配線基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の実施の形態の一例を示す部分断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための工程毎の部分断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・・絶縁樹脂板
1A・・・・・・・・・・・・芯体
1B・・・・・・・・・・・・樹脂層
2A’・2B’・・・・・・・・銅箔
2A・2B・・・・・・・・・配線導体層
3・・・・・・・・・・・・・貫通孔
4・・・・・・・・・・・・・貫通導体
Claims (2)
- ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体の上下面に該芯体よりもレーザ光により分解されやすい樹脂層を積層して成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔および該銅箔を被覆しためっき導体層から成る配線導体層が被着されているとともに、前記絶縁樹脂板を上下に貫通し、かつ前記樹脂層において外側に向けて拡径する複数の貫通孔がレーザ加工により形成され、該貫通孔の内部に、前記上下両面の配線導体層同士を接続する、めっき導体を充填して成る貫通導体が形成されていることを特徴とする配線基板。
- ガラスクロスに樹脂を含浸させた芯体の上下面に該芯体よりもレーザ光により分解されやすい樹脂層を積層して成る絶縁樹脂板の上下両面に銅箔が被着された両面銅張板を準備する工程と、次に該両面銅張板を上下に貫通し、かつ前記樹脂層において外側に向けて拡径する複数の貫通孔をレーザ加工により形成する工程と、次に前記銅箔の表面にめっき導体を析出させて成るめっき導体層を被着させるとともに、前記貫通孔の内部に前記めっき導体を充填して成る貫通導体を形成して前記上下両面の銅箔同士を接続し、次に前記上下両面の銅箔および該銅箔に被着した前記めっき導体層を部分的にエッチングして配線導体層を形成する工程とを行なうことを特徴とする配線基板の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002346090A JP2004179526A (ja) | 2002-11-28 | 2002-11-28 | 配線基板およびその製造方法 |
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KR100726249B1 (ko) | 2005-09-20 | 2007-06-08 | 삼성전기주식회사 | 허니컴 구조를 가지는 무기 보강재를 포함하는 프리프레그및 동박적층판 |
JP2014072324A (ja) * | 2012-09-28 | 2014-04-21 | Ibiden Co Ltd | プリント配線板及びその製造方法 |
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2002
- 2002-11-28 JP JP2002346090A patent/JP2004179526A/ja active Pending
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