JP2004179414A - 研磨装置、研磨パッド、研磨液、膨潤処理液および研磨方法 - Google Patents
研磨装置、研磨パッド、研磨液、膨潤処理液および研磨方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】生産性を向上した研磨装置、研磨パッド、研磨液、膨潤処理液および研磨方法を提供する。
【解決手段】スラリと所定の割合でNMPまたはNVPなどの膨潤処理液が予め混合されて、スラリタンク13に貯溜される。ポンプなどによりスラリタンク13に貯溜されているスラリと膨潤処理液とを混合した研磨液を、スラリ供給管12内に流し、回転定盤部21の上部かつ略中央部に設置したノズル11から研磨パッド1表面に対して所定の流量で供給する。研磨パッド1の表層は、供給された研磨液に含まれる膨潤処理液により膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。研磨時には、シリコンウエハ9との摩擦により、目詰まりが生じる膨潤層が除去され、あらたな研磨面が再生する。
【選択図】 図1
【解決手段】スラリと所定の割合でNMPまたはNVPなどの膨潤処理液が予め混合されて、スラリタンク13に貯溜される。ポンプなどによりスラリタンク13に貯溜されているスラリと膨潤処理液とを混合した研磨液を、スラリ供給管12内に流し、回転定盤部21の上部かつ略中央部に設置したノズル11から研磨パッド1表面に対して所定の流量で供給する。研磨パッド1の表層は、供給された研磨液に含まれる膨潤処理液により膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。研磨時には、シリコンウエハ9との摩擦により、目詰まりが生じる膨潤層が除去され、あらたな研磨面が再生する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子などの製造工程において、化学的機械的研磨(ChemicalMechanical Planarization;CMP)により、シリコンウエハなどの被研磨物の平坦化を行う研磨装置、研磨パッド、研磨液、膨潤処理液および研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造の分野では、半導体素子の微細化および多層化による高集積化に伴い、半導体層や金属層の平坦化技術が重要な要素技術となっている。ウエハに集積回路を形成する際、電極配線などによる凹凸を平坦化せずに層を重ねると、段差が大きくなり、絶縁膜などの被覆性が悪くなる。また段差が大きくなった場合、フォトリソグラフィにおいて凹部と凸部の両方に焦点を合わせることが困難になり微細化を実現することができなくなる。したがって、積層中の然るべき段階でウエハ表面の凹凸を除去するための平坦化処理を行う必要がある。平坦化処理には、エッチングにより凹凸部を除去するエッチバック法、プラズマCVD(
Chemical Vapor Deposition)などにより平坦な膜を形成する成膜法、熱処理によって平坦化する流動化法、選択CVDなどにより凹部の埋め込みを行う選択成長法などがある。
【0003】
以上の方法は、絶縁膜、金属膜など膜の種類によって適否があることや平坦化できる領域がきわめて狭いという問題がある。このような問題を克服することができる平坦化処理技術としてCMPによる平坦化がある。
【0004】
CMPによる平坦化処理では、微細な粒子(砥粒)を懸濁したスラリを研磨パッド表面に供給しながら、圧接した研磨パッドとシリコンウエハとを相対移動させて表面を研磨することにより、広範囲にわたるウエハ表面を高精度に平坦化することができる。
【0005】
CMPによる平坦化を行うCMP装置は、主に回転定盤部、キャリア部、スラリ供給部およびドレッシング部から構成される。回転定盤部は、その上面に粘着テープなどで研磨パッドが貼り付けられ、下面側は、回転駆動機構と、回転軸を介して接続される。キャリア部は、その下面にバッキング材およびリテーナリングによって被研磨物であるシリコンウエハを保持し、シリコンウエハの加工面を研磨パッドに圧接させる。上面側は、回転駆動機構と、回転軸を介して接続される。スラリ供給部は、シリカ、セリアおよびアルミナなどの粒子を媒体に懸濁させたスラリを研磨パッドの表面に供給する。供給されたスラリは、研磨パッド表層の微細孔に保持され、シリコンウエハと研磨パッドとの間で化学的および機械的に作用する。
【0006】
ドレッシング部は、研磨パッドが高い研磨特性を発揮する上で、特に重要な構成である。研磨処理が進むにつれて、被研磨物および研磨パッドの削り屑が研磨パッド表層の微細孔に詰まり(グレージング)、研磨レートの低下が生じる。また、研磨処理が進むにつれて研磨パッドの表面プロファイルが変化し、被研磨物に加わる圧力が変化して、平面均一性の低下が生じる。ドレッシング部の役割は、研磨パッド表面を再生して、研磨レートの低下および平面均一性の低下を防止することである。ドレッシング部の具体的な構成としては、図16に示すように、プレート上に産業用ダイヤモンド粒子を電着したダイヤモンドコンディショナを備えているものが主流となっている。ダイヤモンドコンディショナは機械的に研磨パッドの表面を削り取って、研磨パッド表面を再生している(特許文献1、非特許文献1参照)。
【0007】
図17は、研磨パッド表面のSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。ドレッシングを行う前の研磨パッド表面(図17(1))は、目詰まりを起こしており、これを削り取ることで新たな研磨パッドの表面(図17(2))が露出する。
【0008】
CMP装置は、回転駆動機構によって回転定盤部およびキャリア部を回転させるとともに、研磨パッドの略中央部にスラリを供給し、シリコンウエハと研磨パッドとを相対移動させることでシリコンウエハ加工面の研磨を行う。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第6,419,553号明細書
【非特許文献1】
土肥俊郎編著、「詳説 半導体CMP技術」、初版、工業調査会、2001年1月10日、p.54−56
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ダイヤモンドコンディショナは、研磨パッドの表面を削り取るため、再生効果は非常に大きいが、ドレッシング中にダイヤモンド粒子が脱落する場合があり、脱落したダイヤモンド粒子が研磨中の研磨パッドとシリコンウエハとの間に入ると、図18に示すように、シリコンウエハの加工面にスクラッチが生じて歩留まりが低下してしまう。また、機械的な手法であるため、条件の制御が困難である。
【0011】
所定枚数のシリコンウエハを研磨した後、研磨処理を中断してドレッシングのみを行うことで、脱落したダイヤモンド粒子を除去するなどして、スクラッチの発生を防止することはできる。しかし、研磨処理を中断することにより装置のスループットが低下してしまう。
【0012】
本発明の目的は、生産性を向上した研磨装置、研磨パッド、研磨液、膨潤処理液および研磨方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、合成樹脂を含む研磨パッドと、
前記研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転する支持手段と、被研磨物を保持し、前記研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する保持手段と、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリに、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を混合した研磨液を、前記研磨パッドの研磨面に供給する研磨液供給手段とを有することを特徴とする研磨装置である。
【0014】
また本発明は、前記研磨液に含まれる膨潤処理液の割合が、1〜30重量%であることを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、支持手段が合成樹脂を含む研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転し、シリコンウエハなどの被研磨物を保持した保持手段が、研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する。このとき、研磨液供給手段は、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリに、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を混合した研磨液を、前記研磨パッドの研磨面に供給する。研磨液に含まれる膨潤処理液の割合は、1〜30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは、4〜24重量%である。
【0016】
研磨パッドの表層は、研磨液に含まれる膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。ここで膨潤とは、高分子物質である合成樹脂が溶媒である膨潤処理液を吸収し、体積が膨張することに加え、合成樹脂内の架橋部分の結合力を低下させることを含む。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去される。
【0017】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0018】
また本発明は、合成樹脂を含む研磨パッドと、
前記研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転する支持手段と、被研磨物を保持し、前記研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する保持手段と、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを前記研磨パッドの研磨面に供給するスラリ供給手段と、
前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を前記研磨パッドの研磨面に供給する膨潤処理液供給手段とを有することを特徴とする研磨装置である。
【0019】
また本発明は、前記スラリの供給流量と前記膨潤処理液の供給流量との比が、96:4〜76:24であることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、支持手段が合成樹脂を含む研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転し、シリコンウエハなどの被研磨物を保持した保持手段が、研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する。このとき、スラリ供給手段は、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを前記研磨パッドの研磨面に供給する。膨潤処理液供給手段は、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を前記研磨パッドの研磨面に供給する。スラリの供給流量と膨潤処理液の供給流量との比は、96:4〜76:24であることが好ましい。
【0021】
研磨パッドの表層は、供給される膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去される。
【0022】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0023】
また本発明は、合成樹脂からなり、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を内包するマイクロカプセルを内在する研磨パッドと、
前記研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転する支持手段と、被研磨物を保持し、前記研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する保持手段と、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを前記研磨パッドの研磨面に供給するスラリ供給手段とを有することを特徴とする研磨装置である。
【0024】
また本発明は、前記マイクロカプセルは、研磨パッド全体に均等に分布していることを特徴とする。
【0025】
また本発明は、前記スラリを構成する媒体は水を含み、
前記マイクロカプセルのカプセル壁は、水溶性ポリマからなることを特徴とする。
【0026】
また本発明は、前記マイクロカプセルの形状は球体であり、直径が10〜100μmであることを特徴とする。
【0027】
また本発明は、研磨パッドに対する前記マイクロカプセルの割合は、5〜20重量%であることを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、支持手段が合成樹脂を含む研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転し、シリコンウエハなどの被研磨物を保持した保持手段が、研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する。このとき、スラリ供給手段は、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを前記研磨パッドの研磨面に供給する。研磨パッドは、合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を、水溶性ポリマで内包するマイクロカプセルを内在しており、アルカリ性水溶液などの媒体とマイクロカプセルとが接触することで膨潤処理液がスラリに放出される。放出された膨潤処理液は、スラリと混合し研磨パッド表層に浸透する。
【0029】
研磨パッドの表層は、膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去される。
【0030】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0031】
また、マイクロカプセルが、研磨パッド全体に均等に分布していることにより、膨潤層が研磨パッドの表層に均一に形成され、優れた被研磨物加工面の平面均一性を実現することができる。
【0032】
なお、マイクロカプセルの形状は球体であり、直径が10〜100μmであることが好ましい。研磨パッドに対するマイクロカプセルの割合は、5〜20重量%であることが好ましい。
【0033】
上記の膨潤処理液としては、少なくともN−メチル−2−ピロリドンおよびN−ビニルピロリドンのいずれかを用いる。
【0034】
また本発明は、膨潤処理液を使用しない状態で行う研磨時の研磨パッドと被研磨物とを圧接させる圧力に比べて、膨潤処理液を使用する状態で行う研磨時の研磨パッドと被研磨物とを圧接させる圧力を高く選択することを特徴とする。
【0035】
本発明に従えば、膨潤処理液を使用すると、機械的強度が低下した膨潤層によって被研磨物の研磨を行うため、膨潤処理液を使用しない状態で行う研磨時の圧力で動作すると、研磨レートが低下する場合がある。したがって、膨潤処理液を使用する状態で行う研磨時の圧力を高く選択することによって、効率良く膨潤層を除去し、研磨レートの低下を防ぐことができる。
【0036】
また本発明は、合成樹脂を含み、被研磨物を研磨する研磨パッドであって、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を内包するマイクロカプセルを内在することを特徴とする研磨パッドである。
【0037】
本発明に従えば、合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を内包するマイクロカプセルを内在しており、研磨時にマイクロカプセルから膨潤処理液が放出される。放出された膨潤処理液は、研磨パッド表層に浸透する。研磨パッドの表層は、膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去される。
【0038】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0039】
また本発明は、被研磨物と、合成樹脂を含む研磨パッドとを相互に圧接し、相対的に移動させることによって被研磨物を研磨するために用いられる研磨液であって、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリと、
前記研磨パッドを構成する合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液とが混合されて構成されることを特徴とする研磨液である。
【0040】
本発明に従えば、被研磨物と、合成樹脂を含む研磨パッドとを相互に圧接し、相対的に移動させることによって被研磨物を研磨するために用いられる。
【0041】
研磨パッドの表層は、研磨液に含まれる膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去される。
【0042】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0043】
また本発明は、被研磨物と、合成樹脂を含む研磨パッドとを相互に圧接し、相対的に移動させることによって被研磨物を研磨する際に、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリとともに用いられる研磨パッド用の膨潤処理液であって、
前記研磨パッドを構成する合成樹脂を膨潤させ、研磨パッド表面の機械的強度を低下させることを特徴とする研磨パッド用の膨潤処理液である。
【0044】
本発明に従えば、被研磨物と、合成樹脂を含む研磨パッドとを相互に圧接し、相対的に移動させることによって被研磨物を研磨する際に、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリとともに用いられる。
【0045】
研磨パッド用の膨潤処理液は、研磨パッドを構成する合成樹脂を膨潤させ、研磨パッド表面の機械的強度を低下させる。
【0046】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0047】
また本発明は、合成樹脂を含む研磨パッドの被研磨物に対向する表面を、膨潤処理液によって膨潤させ、被研磨物と膨潤した研磨パッドとを相対的に移動させることによって研磨を行うことを特徴とする研磨方法である。
【0048】
本発明に従えば、膨潤処理液によって合成樹脂を含む研磨パッドの被研磨物に対向する表層を膨潤させ、被研磨物と膨潤した研磨パッドとを相対的に移動させることによって研磨を行う。
【0049】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0050】
また本発明は、被研磨物は、半導体ウエハであり、この半導体ウエハに形成された金属層を研磨することを特徴とする。
【0051】
本発明に従えば、被研磨物が半導体ウエハの場合、この半導体ウエハに形成された金属層を研磨する。
【0052】
研磨パッドの被研磨物に対向する表層が膨潤していることから、研磨パッドの表層部分の剛性が低下し、金属層にスクラッチを発生させることなく研磨を行うことができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態であるCMP装置100の概略を示す外観図である。CMP装置100は、研磨パッド1と、回転定盤部21、キャリア部22およびスラリ供給部23から構成される。研磨パッド1は、CMP装置100のキャリア部22に保持されたシリコンウエハなどの被研磨物と圧接され、シリコンウエハとの相対移動によって、シリコンウエハ表面を研磨する。図2は、研磨パッド1の断面図である。研磨パッド1は、キャリア部22に保持されたシリコンウエハと接触し、研磨を行う層(上層)2と、粘着テープなどで回転定盤に固定される層(下層)3とからなる2層構造を有している。上層2は、ポリウレタンなどの発泡性の合成樹脂を発泡硬化させて形成される硬質層である。下層3は、ウレタンを含浸させて得られる不織布タイプもしくはフォームタイプの軟質層である。これらの硬質層および軟質層の組み合わせにより、高精度の平坦化と均一性とを同時に実現することができる。また上層1の厚みは0.6mm〜2.5mmで形成され、下層の厚みは0.6mm〜1.5mmで形成される。
【0054】
回転定盤部21は、研磨パッド1を上面の略前面にわたって粘着テープなどで貼り付けて支持する定盤4と、その定盤4の下面側に設けられる回転軸を介して接続される回転駆動機構5とからなる支持手段である。回転駆動機構5による回転駆動力は回転軸を通じて定盤4に伝達され、定盤4は研磨パッド1とともに所定の回転数で鉛直方向軸線まわりに回転する。回転数は自由に設定することが可能で、研磨の対象となるウエハの種類や膜の種類、研磨パッド1の種類などによって適切な回転数が選択される。
【0055】
キャリア部22は、図3の断面図に示すとおり、キャリア本体6と、バッキング材7と、リテーナリング8と、回転駆動機構10とからなり、被研磨物であるシリコンウエハ9を保持し、研磨パッド1とシリコンウエハ9と圧接させた状態で回転する保持手段である。シリコンウエハ9のキャリア本体6への固定は、バッキング材7を湿潤させ、水の表面張力によって吸着させて行う。さらに研磨処理中にシリコンウエハ9が外れないように、リテーナリング8によってシリコンウエハ9の外周部を保持している。回転駆動機構10は、回転軸を介してキャリア本体6の上面側に接続される。回転駆動機構10による回転駆動力は回転軸を通じてキャリア本体6に伝達され、キャリア本体6はシリコンウエハ9とともに所定の回転数で鉛直方向軸線まわりに回転する。回転数は自由に設定することが可能で、回転定盤部21と同様に、研磨の対象となるウエハの種類や膜の種類、研磨パッド1の種類などによって適切な回転数が選択される。またキャリア部22は、回転定盤部21に近接する方向、鉛直下向きに加圧され、研磨パッド1とシリコンウエハ9とが圧接される。キャリア部21の加圧は、回転駆動機構10が行ってもよいし、別途加圧機構を用いてもよい。
【0056】
研磨の進行に伴い、研磨パッド1の研磨面2a近傍の微細孔には研磨屑や砥粒などが詰まり、研磨レートなどの研磨特性が低下する。従来の研磨装置では、ダイヤモンドコンディショナによって目詰まりの生じた部分を機械的に削り取り、新たな研磨面を露出させて研磨特性を再生している。これに対して、本発明では、NMP(N−Methyl−2−Pyrrolidone)およびNVP(N−Vinyl−Pyrrolidone)などの膨潤処理液を、スラリと混合して研磨時に供給する。NMPおよびNVPは化学的安定性に優れ、毒性も小さく環境に与える影響も少ない。
【0057】
スラリ供給部23は、ノズル11、供給管12およびスラリタンク13からなる研磨液供給手段である。スラリの種類には、シリカ(SiO2)系、セリア(CeO2)系、アルミナ(Al2O3)系、ジルコニア(ZrO2)系および酸化マンガン(MnO2,Mn2O3)系などがあり、主に各酸化物の粒子を砥粒としてpH調整されたKOH,NH4OH溶液などのアルカリ性媒体に懸濁させて得られる。用いられるスラリの種類や特性についても、研磨の対象となるウエハの種類や膜の種類、研磨パッド1の種類などによって適切に選択される。スラリタンク13には、上記のようなスラリと所定の割合でNMPまたはNVPなどの膨潤処理液が予め混合されて、貯溜される。ポンプなどによりスラリタンク13に貯溜されているスラリと膨潤処理液とを混合した研磨液を、供給管12内に流し、回転定盤部21の上部かつ略中央部に設置したノズル11から研磨パッド1表面に対して所定の流量で供給する。
【0058】
研磨処理時の各部位の動作については、キャリア部22が鉛直下向きに加圧され、研磨パッド1とシリコンウエハ9とが圧接された状態で、スラリ供給部23が研磨液を供給する。供給されたスラリが、研磨パッド1とシリコンウエハ9との間に浸透し、回転定盤部21とキャリア部22とを回転かつ相対移動させることで、媒体による化学的作用と砥粒による機械的作用によりシリコンウエハ9の表面を高精度で研磨する。
【0059】
回転定盤部21とキャリア部12との相対移動については以下のような複数のパターンがある。
【0060】
(1)図に示すように、キャリア部22の中心が、回転定盤部21の回転中心から半径方向に略1/2の位置となるようにキャリア部22を配置し、回転定盤部21とキャリア部22の自転のみで研磨処理を行う。
【0061】
(2)研磨パッド1の半径とシリコンウエハ9の直径との差があまり大きくない場合は(1)でもよいが、研磨パッド1の半径がシリコンウエハ9の直径より大きい場合は、研磨パッド1の表面のうちシリコンウエハ9と接触しない部分が存在するので、研磨パッド1の全面を使用できるように、(1)の回転定盤部21とキャリア部22の自転に加えて、キャリア部22を回転定盤部21の半径方向に往復移動させる。
【0062】
(3)(1)の回転定盤部21とキャリア部22の自転に加えて、キャリア部22を、回転定盤部21の中心回りに回転移動させる。
【0063】
(4)(2)と同じく研磨パッド1の半径がシリコンウエハ21の直径より大きい場合は、半径方向の往復移動と回転定盤部11の中心回りの回転移動と組み合わせる。たとえば、キャリア部22が回転定盤部11の中心回りに螺旋軌道を描くように移動させればよい。
【0064】
なお、回転定盤部21およびキャリア部22の自転回転方向は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、回転定盤部21およびキャリア部22の自転回転速度も同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0065】
図5は、研磨時の研磨パッド1およびシリコンウエハ9の断面図である。図5(1)に示すように、NMPおよびNVPなどの膨潤処理液が、スラリとともにノズル11から研磨パッド1の表面に供給されると、研磨パッド1の表層部分が膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層34が形成される。これにより、上記のようなシリコンウエハ9と研磨パッド1との相対移動に伴い、シリコンウエハ9の研磨と同時に、膨潤層34が機械的な摩擦力により除去され、新たな研磨面2aが露出する。
【0066】
図4は、研磨パッド1の主成分であるポリウレタンのモデル図である。図に示すように、複数のポリウレタン主鎖31が、他の主鎖31との架橋32により充分な強度を保って研磨パッド1を構成している。NMPおよびNVPなどの溶媒分子33は主鎖の間に浸透し、架橋32の結合力を低下させることにより、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。
【0067】
スラリと膨潤処理液との混合物を供給し続けることで、膨潤層34が除去され、新たな研磨面2aが露出すると同時に、膨潤処理液が表層部分に浸透して新たに膨潤層34を形成し、図5(2)に示すように、絶えず形成される膨潤層34によってシリコンウエハ9が研磨されることになる。
【0068】
これにより、目詰まりが生じて研磨特性が低下した表層が膨潤層として研磨時に除去される。したがって、ダイヤモンドコンディショナなどのドレッシング部が不要となり、ダイヤモンド粒子によるスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、シリコンウエハの研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0069】
さらに、膨潤処理液によって研磨パッド表層の剛性が低下するため、従来ではスクラッチが発生しやすいタングステンや銅などの金属層や、無機系または有機系材料を含むlow−k(低誘電率)層を研磨する場合にも適用することができる。
【0070】
以下では、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例として、スラリにNMPもしくはNVPを混合した研磨液を用いてシリコンウエハの研磨を行った。
【0071】
研磨パッドは、上層がポリウレタン樹脂からなり、下層が不織布からなり、それぞれ既存の製法にて作製した。
【0072】
スラリは、ILD1300(商品名、ロデール・ニッタ社製)を用いた。ILD1300(以下、ILD)の特性を以下に示す。
【0073】
媒体:NH4OH水溶液
砥粒:SiO2
砥粒平均粒子径:140nm
pH:10.7
砥粒重量比:13%
比重(25℃):1.07g/cm3
粘度:<20cps
【0074】
研磨特性は、研磨レートおよび非均一性(Non−Uniformity;NU)で評価を行った。
評価した実施例および比較例の条件を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
研磨液の混合割合は、研磨時に研磨装置100のノズル11から研磨パッド1に供給するILDとNMPもしくはNVPの混合重量比である。ウエハ圧力は、キャリア部22が保持するシリコンウエハ9を研磨パッド1に圧接させるためにキャリア部22に加わる圧力である。研磨パッド回転速度は、研磨パッド1を載置した定盤4の回転速度である。なお、実施例においてはキャリア部22は回転駆動機構10を備えず、研磨パッド1およびシリコンウエハ9間に生じる摩擦力によって回転する。
【0077】
また、全ての実施例および比較例において、研磨液の供給流速は、5ml/minであり、シリコンウエハの研磨対象はTEOS(Tetraethylorthosilicate)である。
【0078】
まず、最適な研磨液の混合割合を検討した。実施例1および比較例1〜3において、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングは行わなかった。
【0079】
(実施例1)
研磨液の混合割合:ILD88重量%、NMP12重量%
ウエハ圧力:5psi
研磨パッド回転速度:200rpm
(比較例1)
研磨液の混合割合:ILD100重量%、NMP0重量%
ウエハ圧力:5psi
研磨パッド回転速度:200rpm
(比較例2)
研磨液の混合割合:ILD96重量%、NMP4重量%
ウエハ圧力:5psi
研磨パッド回転速度:200rpm
(比較例3)
研磨液の混合割合:ILD76重量%、NMP24重量%
ウエハ圧力:5psi
研磨パッド回転速度:200rpm
【0080】
図6は、研磨液の混合割合を変化させたときの研磨レートの経時変化を示すグラフである。縦軸は研磨レートを示し、横軸は研磨時間を示す。なお、研磨レートは、単位時間(min)当たりに研磨された層厚み(Å)である。
【0081】
実施例1は、折れ線41で示され、研磨時間の経過にかかわらず研磨レートはほとんど低下しなかった。これは、NMPにより研磨パッドの表層に膨潤層が形成され、研磨中に機械的強度が低下した膨潤層が除去され研磨特性が再生したからである。図7は、NMPに浸漬させたときの研磨パッドの硬度の変化を示すグラフである。研磨パッドの一部である小片をNMPに浸漬させ、硬度(ショアD)を測定した。実際にNMPによって研磨パッドの硬度が低下していることが分かる。また、ダイヤモンドコンディショナによってドレッシングされた研磨パッド表面(図8(1))と、NMPを混合した研磨液を用いたときの研磨パッド表面(図8(2))とは、ほぼ同様であり、新たな表面が露出していることがわかる。
【0082】
比較例1は、折れ線43で示され、研磨時間が経過するにつれて研磨レートが低下した。比較例2は、折れ線44で示され、比較例1と同じく研磨時間が経過するにつれて研磨レートが低下した。比較例3は、折れ線45で示され、研磨レートの低下は見られなかったが、研磨レート自体が低かった。
【0083】
比較例1は、膨潤処理液であるNMPを含まないため、時間の経過に伴い研磨パッドが目詰まりを起こし、研磨レートが低下したと考えられる。比較例2は、NMPの量が不足していたため、比較例1と同じく研磨レートが低下したと考えられる。比較例3は、NMPの量が過剰すぎたため、図8(3)に示すように、研磨パッド表面が溶解し、膨潤層の強度が大幅に低下することで研磨レートが低下したと考えられる。
【0084】
研磨パッドの膨潤層を効率よく除去するために、ウエハ圧力を高くし、研磨パッドの回転速度を低下させて研磨レートの評価を行った。
【0085】
(実施例2)
研磨液の混合割合:ILD96重量%、NMP4重量%
ウエハ圧力:7psi
研磨パッド回転速度:120rpm
【0086】
実施例2は、折れ線42で示され、実施例1と同じく研磨時間の経過にかかわらず研磨レートはほとんど低下しなかった。これは、ウエハ圧力を高圧にしたことで、NMPの割合が4重量%であっても研磨パッドの膨潤層が効果的に除去されたと考えられる。
【0087】
以上の結果より、研磨液に混合するNMPの割合は、1〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは、4〜24重量%である。
【0088】
次に、実施例2について、さらに非均一性(NU)の評価を行った。研磨レートの評価と同じくダイヤモンドコンディショナによるドレッシングは行わなかった。研磨液の影響のみを評価するために、ウエハ圧力および研磨パッド回転速度を実施例2と同じ条件とする比較例4について評価を行った。さらに、実施例2の条件にリムーバを加えた実施例3について評価を行った。
【0089】
(実施例3)
研磨液の混合割合:ILD96重量%、NMP4重量%
ウエハ圧力:7psi
研磨パッド回転速度:120rpm
リムーバ:アクリル樹脂
(比較例3)
研磨液の混合割合:ILD100重量%、NMP0重量%
ウエハ圧力:7psi
研磨パッド回転速度:120rpm
【0090】
図9は、研磨液の混合割合を変化させたときの非均一性の経時変化を示すグラフである。縦軸は非均一性を示し、横軸は研磨時間を示している。非均一性は、STDV/Average×100によって算出され、値が小さいほどシリコンウエハ加工面の均一性が優れている。NUを算出するには、まず研磨されたシリコンウエハ複数箇所、たとえば49箇所で研磨量を測定する。これらの測定値から標準偏差(STDV)および平均値(Average)を算出し、上記の式にそれぞれの値を代入してNUを算出する。
【0091】
実施例2は、折れ線46で示され、研磨時間の経過にかかわらずNUはほとんど低下しなかった。これは、研磨レートの場合と同様に、NMPにより研磨パッドの表層に膨潤層が形成され、研磨中に機械的強度が低下した膨潤層が除去され研磨特性が再生したからである。
【0092】
実施例3は、折れ線47で示され、実施例2と同じく研磨時間の経過にかかわらずNUはほとんど低下しなかった。さらに、実施例2よりNUが低く非均一性は良好であった。
【0093】
比較例4は、折れ線48で示され、研磨時間が経過するにつれてNUが上昇した。これは、膨潤処理液であるNMPを含まないため、時間の経過に伴い研磨パッドが目詰まりを起こし、研磨レートと同じく非均一性が低下したと考えられる。
【0094】
以上の結果より、研磨レートに加えて非均一性の低下も見られなかった。
さらに、膨潤処理液としてNVPを用いた場合について研磨レートの評価を行った。上記の評価と同じくダイヤモンドコンディショナによるドレッシングは行わなかった。実施例3は、膨潤処理液の種類による影響を評価するために、ウエハ圧力および研磨パッド回転速度を実施例2と同じ条件とした。また、研磨液の影響を評価するために、前述の比較例4について評価を行った。
【0095】
(実施例4)
研磨液の混合割合:ILD96重量%、NVP4重量%
ウエハ圧力:7psi
研磨パッド回転速度:120rpm
【0096】
図10は、研磨液の混合割合および膨潤処理液の種類を変化させたときの研磨レートの経時変化を示すグラフである。
【0097】
実施例4は、折れ線50で示され、研磨時間の経過にかかわらず研磨レートはほとんど低下しなかった。これは、NMPと同じくNVPにより研磨パッドの表層に膨潤層が形成され、研磨中に機械的強度が低下した膨潤層が除去され研磨特性が再生したからである。
【0098】
実施例2は、折れ線49で示され、実施例4と同じく研磨時間の経過にかかわらず研磨レートはほとんど低下しなかった。
【0099】
比較例4は、折れ線51で示され、研磨時間が経過するにつれて研磨レートが低下した。これは、膨潤処理液であるNMPもしくはNVPを含まないため、時間の経過に伴い研磨パッドが目詰まりを起こし、研磨レートが低下したと考えられる。
【0100】
以上の結果より、膨潤処理液としては、NMPと同様にNVPを用いても効果が得られることがわかった。
【0101】
本発明の他の実施形態について説明する。
図11は、本発明の他の実施形態である研磨装置101の概略を示す外観図である。本実施形態の研磨装置101と図1に示した研磨装置100とが異なる構成は、スラリ供給手段であるスラリ供給部23のスラリタンク13には、膨潤処理液を含まないスラリのみを貯溜しており、別途に膨潤処理液を供給するための膨潤処理液供給部24を備えていることである。なお、図1に示した研磨装置100の各部位と同様の動作を行う部位については同じ参照符号を付し、説明は省略する。
【0102】
膨潤処理液供給部24は、ノズル14、供給管15および膨潤処理液タンク16からなる膨潤処理液供給手段である。ポンプなどにより膨潤処理液タンク16に貯溜されているNMPもしくはNVPを、供給管15内に流し、回転定盤部21の上部かつ略中央部に設置したノズル11から研磨パッド1表面に対して所定の流量で供給する。このとき、前述の研磨液の混合割合に基づくと、スラリ供給部23が供給するスラリの供給流量と、膨潤処理液供給部24が供給する膨潤処理液の供給流量との比は、96:4〜76:24であることが好ましい。
【0103】
本実施形態の研磨装置101における効果は、前述の研磨装置100における効果と同様である。
【0104】
図12は、本実施形態の他の実施例である研磨パッド61の断面図である。研磨パッド61は、研磨パッド1と同様にポリウレタン樹脂などからなる上層62と不織布などからなる下層63とを有する2層構成である。さらに、上層62には、マイクロカプセル64が均等に分布して内在する。マイクロカプセル64は、図13に示すように、マイクロカプセル64内部の空間に収納される芯物質65とこの芯物質65を囲むカプセル壁66とから構成される。本実施形態では、芯物質65として膨潤処理液であるNMPもしくはNVPを用い、カプセル壁66として水溶性ポリマであるPVP(Polyvinyl pyrrolidone)およびPSA(Polystyrene acrylate)を用いる。
【0105】
図14は、マイクロカプセル64を含む研磨パッド61の表層付近の模式図である。シリコンウエハ9と研磨パッド61との間に浸透したスラリ70とマイクロカプセル64のカプセル壁66が接触すると、カプセル壁66がスラリ70に溶解し、内包する膨潤処理液をスラリ70に放出する(図14(1)参照)。スラリ70の媒体は、主に水を含むアルカリ性水溶液であるので、水溶性ポリマからなるカプセル壁66はスラリ70に容易に溶解する。膨潤処理液はスラリ70中に拡散し、シリコンウエハ9と研磨パッド61との相対的な移動により、スラリ70と混合される(図14(2)参照)。このようなマイクロカプセル64の溶解が複数箇所にわたって起こり、研磨パッド64に膨潤層が形成され、前述の研磨液と同様の効果が得られる。
【0106】
図15は、マイクロカプセル作製装置80の概略図である。原料槽81に膨潤処理液とPVPおよびPSAなどの水溶性ポリマとの混合物を貯溜しておき、ポンプ82によって混合物をコーティング層83上部から噴霧し、同じくコーティング層83上部から熱風を吹きつける。混合物がコーティング層83上部から下部に移動する間に、膨潤処理液の液滴を水溶性ポリマがコーティングして球形のマイクロカプセルが形成される。形成されたマイクロカプセルを回収するために、コーティング層83に隣接する回収層84に熱風とともに送られる。熱風は、回収層84上部の排気口から排気され、マイクロカプセルは、回収層84底部で回収される。マイクロカプセルの直径は10〜100μmが好ましい。10μmより小さいと、マイクロカプセル化が困難であり、100μmより大きいと、研磨パッドに内在したときに大きく強度を低下させてしまう。
【0107】
研磨パッド61は、上記のようにして予め作製したマイクロカプセル64をポリウレタン原料と混合して硬化させることによって得られる。このときマイクロカプセル64を研磨パッド上層62内に均等に分布させることで、研磨パッド61に均一に膨潤層を形成し、優れた加工面の均一性を実現できる。
【0108】
なお、研磨パッド上層62に対するマイクロカプセル64の割合は、5〜20重量%が望ましい。5重量%より小さいと、研磨時に充分な量の膨潤処理液が得られず、20重量%より大きいと、充分な研磨パッド1の強度が得られない。
【0109】
このように、予め膨潤処理液を内包するマイクロカプセルを研磨パッドに内在させることで、スラリと膨潤処理液とを混合する必要がなく、また研磨装置に膨潤処理液供給部を設ける必要がない。
【0110】
なお、上記では2層構造の研磨パッドについて説明したがこれに限らず、上層のみからなる1層構造の研磨パッドであってもよい。また、膨潤処理液のNMPおよびNVPを単独で用いているがこれらを混合して用いてもよい。また、研磨装置は、膨潤処理液を用いる動作モードと、膨潤処理液を用いずに別途ドレッシングを行う動作モードを有し、対象となる被研磨物に応じて動作モードを切り替えるように構成されていてもよい。
【0111】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、研磨パッドの表層は、膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去されることにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0112】
また本発明によれば、スラリとマイクロカプセルとが接触することで膨潤処理液がスラリに放出され、放出された膨潤処理液が、スラリと混合し研磨パッド表層に浸透する。研磨パッドの表層は、膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去されることにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0113】
また本発明によれば、マイクロカプセルが、研磨パッド全体に均等に分布していることにより、膨潤層が研磨パッドの表層に均一に形成され、優れた被研磨物加工面の平面均一性を実現することができる。
【0114】
また本発明によれば、膨潤処理液を使用すると、機械的強度が低下した膨潤層によって被研磨物の研磨を行うため、膨潤処理液を使用しない状態で行う研磨時の圧力で動作すると、研磨レートが低下する場合がある。したがって、膨潤処理液を使用する状態で行う研磨時の圧力を高く選択することによって、効率良く膨潤層を除去し、研磨レートの低下を防ぐことができる。
【0115】
また本発明によれば、研磨パッドの被研磨物に対向する表層が膨潤していることから、研磨パッドの表層部分の剛性が低下し、金属層にスクラッチを発生させることなく研磨を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるCMP装置100の概略を示す外観図である。
【図2】研磨パッド1の断面図である。
【図3】キャリア部22の断面図である。
【図4】研磨パッド1の主成分であるポリウレタンのモデル図である。
【図5】研磨時の研磨パッド1およびシリコンウエハ9の断面図である。
【図6】研磨液の混合割合を変化させたときの研磨レートの経時変化を示すグラフである。
【図7】NMPに浸漬させたときの研磨パッドの硬度の変化を示すグラフである。
【図8】研磨パッド1の表面のSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【図9】研磨液の混合割合を変化させたときの非均一性の経時変化を示すグラフである。
【図10】研磨液の混合割合および膨潤処理液の種類を変化させたときの研磨レートの経時変化を示すグラフである。
【図11】本発明の他の実施形態である研磨装置101の概略を示す外観図である。
【図12】本実施形態の他の実施例である研磨パッド61の断面図である。
【図13】マイクロカプセル64の構造を示す図である。
【図14】マイクロカプセル64を含む研磨パッド61の表層付近の模式図である。
【図15】マイクロカプセル作製装置80の概略図である。
【図16】ダイヤモンドコンディショナに電着したダイヤモンド粒子のSEM写真である。
【図17】研磨パッド表面のSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【図18】シリコンウエハの加工面に発生したスクラッチの写真である。
【符号の説明】
1 研磨パッド
2 上層
3 下層
4 定盤
5,10 回転駆動機構
6 キャリア本体
7 バッキング材
8 リテーナリング
9 シリコンウエハ
11,14 ノズル
12,15 供給管
13 スラリタンク
16 膨潤処理液タンク
22 キャリア部
23 スラリ供給部
24 膨潤処理液供給部
64 マイクロカプセル
100,101 CMP装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子などの製造工程において、化学的機械的研磨(ChemicalMechanical Planarization;CMP)により、シリコンウエハなどの被研磨物の平坦化を行う研磨装置、研磨パッド、研磨液、膨潤処理液および研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造の分野では、半導体素子の微細化および多層化による高集積化に伴い、半導体層や金属層の平坦化技術が重要な要素技術となっている。ウエハに集積回路を形成する際、電極配線などによる凹凸を平坦化せずに層を重ねると、段差が大きくなり、絶縁膜などの被覆性が悪くなる。また段差が大きくなった場合、フォトリソグラフィにおいて凹部と凸部の両方に焦点を合わせることが困難になり微細化を実現することができなくなる。したがって、積層中の然るべき段階でウエハ表面の凹凸を除去するための平坦化処理を行う必要がある。平坦化処理には、エッチングにより凹凸部を除去するエッチバック法、プラズマCVD(
Chemical Vapor Deposition)などにより平坦な膜を形成する成膜法、熱処理によって平坦化する流動化法、選択CVDなどにより凹部の埋め込みを行う選択成長法などがある。
【0003】
以上の方法は、絶縁膜、金属膜など膜の種類によって適否があることや平坦化できる領域がきわめて狭いという問題がある。このような問題を克服することができる平坦化処理技術としてCMPによる平坦化がある。
【0004】
CMPによる平坦化処理では、微細な粒子(砥粒)を懸濁したスラリを研磨パッド表面に供給しながら、圧接した研磨パッドとシリコンウエハとを相対移動させて表面を研磨することにより、広範囲にわたるウエハ表面を高精度に平坦化することができる。
【0005】
CMPによる平坦化を行うCMP装置は、主に回転定盤部、キャリア部、スラリ供給部およびドレッシング部から構成される。回転定盤部は、その上面に粘着テープなどで研磨パッドが貼り付けられ、下面側は、回転駆動機構と、回転軸を介して接続される。キャリア部は、その下面にバッキング材およびリテーナリングによって被研磨物であるシリコンウエハを保持し、シリコンウエハの加工面を研磨パッドに圧接させる。上面側は、回転駆動機構と、回転軸を介して接続される。スラリ供給部は、シリカ、セリアおよびアルミナなどの粒子を媒体に懸濁させたスラリを研磨パッドの表面に供給する。供給されたスラリは、研磨パッド表層の微細孔に保持され、シリコンウエハと研磨パッドとの間で化学的および機械的に作用する。
【0006】
ドレッシング部は、研磨パッドが高い研磨特性を発揮する上で、特に重要な構成である。研磨処理が進むにつれて、被研磨物および研磨パッドの削り屑が研磨パッド表層の微細孔に詰まり(グレージング)、研磨レートの低下が生じる。また、研磨処理が進むにつれて研磨パッドの表面プロファイルが変化し、被研磨物に加わる圧力が変化して、平面均一性の低下が生じる。ドレッシング部の役割は、研磨パッド表面を再生して、研磨レートの低下および平面均一性の低下を防止することである。ドレッシング部の具体的な構成としては、図16に示すように、プレート上に産業用ダイヤモンド粒子を電着したダイヤモンドコンディショナを備えているものが主流となっている。ダイヤモンドコンディショナは機械的に研磨パッドの表面を削り取って、研磨パッド表面を再生している(特許文献1、非特許文献1参照)。
【0007】
図17は、研磨パッド表面のSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。ドレッシングを行う前の研磨パッド表面(図17(1))は、目詰まりを起こしており、これを削り取ることで新たな研磨パッドの表面(図17(2))が露出する。
【0008】
CMP装置は、回転駆動機構によって回転定盤部およびキャリア部を回転させるとともに、研磨パッドの略中央部にスラリを供給し、シリコンウエハと研磨パッドとを相対移動させることでシリコンウエハ加工面の研磨を行う。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第6,419,553号明細書
【非特許文献1】
土肥俊郎編著、「詳説 半導体CMP技術」、初版、工業調査会、2001年1月10日、p.54−56
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ダイヤモンドコンディショナは、研磨パッドの表面を削り取るため、再生効果は非常に大きいが、ドレッシング中にダイヤモンド粒子が脱落する場合があり、脱落したダイヤモンド粒子が研磨中の研磨パッドとシリコンウエハとの間に入ると、図18に示すように、シリコンウエハの加工面にスクラッチが生じて歩留まりが低下してしまう。また、機械的な手法であるため、条件の制御が困難である。
【0011】
所定枚数のシリコンウエハを研磨した後、研磨処理を中断してドレッシングのみを行うことで、脱落したダイヤモンド粒子を除去するなどして、スクラッチの発生を防止することはできる。しかし、研磨処理を中断することにより装置のスループットが低下してしまう。
【0012】
本発明の目的は、生産性を向上した研磨装置、研磨パッド、研磨液、膨潤処理液および研磨方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、合成樹脂を含む研磨パッドと、
前記研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転する支持手段と、被研磨物を保持し、前記研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する保持手段と、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリに、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を混合した研磨液を、前記研磨パッドの研磨面に供給する研磨液供給手段とを有することを特徴とする研磨装置である。
【0014】
また本発明は、前記研磨液に含まれる膨潤処理液の割合が、1〜30重量%であることを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、支持手段が合成樹脂を含む研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転し、シリコンウエハなどの被研磨物を保持した保持手段が、研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する。このとき、研磨液供給手段は、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリに、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を混合した研磨液を、前記研磨パッドの研磨面に供給する。研磨液に含まれる膨潤処理液の割合は、1〜30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは、4〜24重量%である。
【0016】
研磨パッドの表層は、研磨液に含まれる膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。ここで膨潤とは、高分子物質である合成樹脂が溶媒である膨潤処理液を吸収し、体積が膨張することに加え、合成樹脂内の架橋部分の結合力を低下させることを含む。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去される。
【0017】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0018】
また本発明は、合成樹脂を含む研磨パッドと、
前記研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転する支持手段と、被研磨物を保持し、前記研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する保持手段と、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを前記研磨パッドの研磨面に供給するスラリ供給手段と、
前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を前記研磨パッドの研磨面に供給する膨潤処理液供給手段とを有することを特徴とする研磨装置である。
【0019】
また本発明は、前記スラリの供給流量と前記膨潤処理液の供給流量との比が、96:4〜76:24であることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、支持手段が合成樹脂を含む研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転し、シリコンウエハなどの被研磨物を保持した保持手段が、研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する。このとき、スラリ供給手段は、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを前記研磨パッドの研磨面に供給する。膨潤処理液供給手段は、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を前記研磨パッドの研磨面に供給する。スラリの供給流量と膨潤処理液の供給流量との比は、96:4〜76:24であることが好ましい。
【0021】
研磨パッドの表層は、供給される膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去される。
【0022】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0023】
また本発明は、合成樹脂からなり、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を内包するマイクロカプセルを内在する研磨パッドと、
前記研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転する支持手段と、被研磨物を保持し、前記研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する保持手段と、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを前記研磨パッドの研磨面に供給するスラリ供給手段とを有することを特徴とする研磨装置である。
【0024】
また本発明は、前記マイクロカプセルは、研磨パッド全体に均等に分布していることを特徴とする。
【0025】
また本発明は、前記スラリを構成する媒体は水を含み、
前記マイクロカプセルのカプセル壁は、水溶性ポリマからなることを特徴とする。
【0026】
また本発明は、前記マイクロカプセルの形状は球体であり、直径が10〜100μmであることを特徴とする。
【0027】
また本発明は、研磨パッドに対する前記マイクロカプセルの割合は、5〜20重量%であることを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、支持手段が合成樹脂を含む研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転し、シリコンウエハなどの被研磨物を保持した保持手段が、研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する。このとき、スラリ供給手段は、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを前記研磨パッドの研磨面に供給する。研磨パッドは、合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を、水溶性ポリマで内包するマイクロカプセルを内在しており、アルカリ性水溶液などの媒体とマイクロカプセルとが接触することで膨潤処理液がスラリに放出される。放出された膨潤処理液は、スラリと混合し研磨パッド表層に浸透する。
【0029】
研磨パッドの表層は、膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去される。
【0030】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0031】
また、マイクロカプセルが、研磨パッド全体に均等に分布していることにより、膨潤層が研磨パッドの表層に均一に形成され、優れた被研磨物加工面の平面均一性を実現することができる。
【0032】
なお、マイクロカプセルの形状は球体であり、直径が10〜100μmであることが好ましい。研磨パッドに対するマイクロカプセルの割合は、5〜20重量%であることが好ましい。
【0033】
上記の膨潤処理液としては、少なくともN−メチル−2−ピロリドンおよびN−ビニルピロリドンのいずれかを用いる。
【0034】
また本発明は、膨潤処理液を使用しない状態で行う研磨時の研磨パッドと被研磨物とを圧接させる圧力に比べて、膨潤処理液を使用する状態で行う研磨時の研磨パッドと被研磨物とを圧接させる圧力を高く選択することを特徴とする。
【0035】
本発明に従えば、膨潤処理液を使用すると、機械的強度が低下した膨潤層によって被研磨物の研磨を行うため、膨潤処理液を使用しない状態で行う研磨時の圧力で動作すると、研磨レートが低下する場合がある。したがって、膨潤処理液を使用する状態で行う研磨時の圧力を高く選択することによって、効率良く膨潤層を除去し、研磨レートの低下を防ぐことができる。
【0036】
また本発明は、合成樹脂を含み、被研磨物を研磨する研磨パッドであって、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を内包するマイクロカプセルを内在することを特徴とする研磨パッドである。
【0037】
本発明に従えば、合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を内包するマイクロカプセルを内在しており、研磨時にマイクロカプセルから膨潤処理液が放出される。放出された膨潤処理液は、研磨パッド表層に浸透する。研磨パッドの表層は、膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去される。
【0038】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0039】
また本発明は、被研磨物と、合成樹脂を含む研磨パッドとを相互に圧接し、相対的に移動させることによって被研磨物を研磨するために用いられる研磨液であって、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリと、
前記研磨パッドを構成する合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液とが混合されて構成されることを特徴とする研磨液である。
【0040】
本発明に従えば、被研磨物と、合成樹脂を含む研磨パッドとを相互に圧接し、相対的に移動させることによって被研磨物を研磨するために用いられる。
【0041】
研磨パッドの表層は、研磨液に含まれる膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去される。
【0042】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0043】
また本発明は、被研磨物と、合成樹脂を含む研磨パッドとを相互に圧接し、相対的に移動させることによって被研磨物を研磨する際に、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリとともに用いられる研磨パッド用の膨潤処理液であって、
前記研磨パッドを構成する合成樹脂を膨潤させ、研磨パッド表面の機械的強度を低下させることを特徴とする研磨パッド用の膨潤処理液である。
【0044】
本発明に従えば、被研磨物と、合成樹脂を含む研磨パッドとを相互に圧接し、相対的に移動させることによって被研磨物を研磨する際に、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリとともに用いられる。
【0045】
研磨パッド用の膨潤処理液は、研磨パッドを構成する合成樹脂を膨潤させ、研磨パッド表面の機械的強度を低下させる。
【0046】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0047】
また本発明は、合成樹脂を含む研磨パッドの被研磨物に対向する表面を、膨潤処理液によって膨潤させ、被研磨物と膨潤した研磨パッドとを相対的に移動させることによって研磨を行うことを特徴とする研磨方法である。
【0048】
本発明に従えば、膨潤処理液によって合成樹脂を含む研磨パッドの被研磨物に対向する表層を膨潤させ、被研磨物と膨潤した研磨パッドとを相対的に移動させることによって研磨を行う。
【0049】
これにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0050】
また本発明は、被研磨物は、半導体ウエハであり、この半導体ウエハに形成された金属層を研磨することを特徴とする。
【0051】
本発明に従えば、被研磨物が半導体ウエハの場合、この半導体ウエハに形成された金属層を研磨する。
【0052】
研磨パッドの被研磨物に対向する表層が膨潤していることから、研磨パッドの表層部分の剛性が低下し、金属層にスクラッチを発生させることなく研磨を行うことができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態であるCMP装置100の概略を示す外観図である。CMP装置100は、研磨パッド1と、回転定盤部21、キャリア部22およびスラリ供給部23から構成される。研磨パッド1は、CMP装置100のキャリア部22に保持されたシリコンウエハなどの被研磨物と圧接され、シリコンウエハとの相対移動によって、シリコンウエハ表面を研磨する。図2は、研磨パッド1の断面図である。研磨パッド1は、キャリア部22に保持されたシリコンウエハと接触し、研磨を行う層(上層)2と、粘着テープなどで回転定盤に固定される層(下層)3とからなる2層構造を有している。上層2は、ポリウレタンなどの発泡性の合成樹脂を発泡硬化させて形成される硬質層である。下層3は、ウレタンを含浸させて得られる不織布タイプもしくはフォームタイプの軟質層である。これらの硬質層および軟質層の組み合わせにより、高精度の平坦化と均一性とを同時に実現することができる。また上層1の厚みは0.6mm〜2.5mmで形成され、下層の厚みは0.6mm〜1.5mmで形成される。
【0054】
回転定盤部21は、研磨パッド1を上面の略前面にわたって粘着テープなどで貼り付けて支持する定盤4と、その定盤4の下面側に設けられる回転軸を介して接続される回転駆動機構5とからなる支持手段である。回転駆動機構5による回転駆動力は回転軸を通じて定盤4に伝達され、定盤4は研磨パッド1とともに所定の回転数で鉛直方向軸線まわりに回転する。回転数は自由に設定することが可能で、研磨の対象となるウエハの種類や膜の種類、研磨パッド1の種類などによって適切な回転数が選択される。
【0055】
キャリア部22は、図3の断面図に示すとおり、キャリア本体6と、バッキング材7と、リテーナリング8と、回転駆動機構10とからなり、被研磨物であるシリコンウエハ9を保持し、研磨パッド1とシリコンウエハ9と圧接させた状態で回転する保持手段である。シリコンウエハ9のキャリア本体6への固定は、バッキング材7を湿潤させ、水の表面張力によって吸着させて行う。さらに研磨処理中にシリコンウエハ9が外れないように、リテーナリング8によってシリコンウエハ9の外周部を保持している。回転駆動機構10は、回転軸を介してキャリア本体6の上面側に接続される。回転駆動機構10による回転駆動力は回転軸を通じてキャリア本体6に伝達され、キャリア本体6はシリコンウエハ9とともに所定の回転数で鉛直方向軸線まわりに回転する。回転数は自由に設定することが可能で、回転定盤部21と同様に、研磨の対象となるウエハの種類や膜の種類、研磨パッド1の種類などによって適切な回転数が選択される。またキャリア部22は、回転定盤部21に近接する方向、鉛直下向きに加圧され、研磨パッド1とシリコンウエハ9とが圧接される。キャリア部21の加圧は、回転駆動機構10が行ってもよいし、別途加圧機構を用いてもよい。
【0056】
研磨の進行に伴い、研磨パッド1の研磨面2a近傍の微細孔には研磨屑や砥粒などが詰まり、研磨レートなどの研磨特性が低下する。従来の研磨装置では、ダイヤモンドコンディショナによって目詰まりの生じた部分を機械的に削り取り、新たな研磨面を露出させて研磨特性を再生している。これに対して、本発明では、NMP(N−Methyl−2−Pyrrolidone)およびNVP(N−Vinyl−Pyrrolidone)などの膨潤処理液を、スラリと混合して研磨時に供給する。NMPおよびNVPは化学的安定性に優れ、毒性も小さく環境に与える影響も少ない。
【0057】
スラリ供給部23は、ノズル11、供給管12およびスラリタンク13からなる研磨液供給手段である。スラリの種類には、シリカ(SiO2)系、セリア(CeO2)系、アルミナ(Al2O3)系、ジルコニア(ZrO2)系および酸化マンガン(MnO2,Mn2O3)系などがあり、主に各酸化物の粒子を砥粒としてpH調整されたKOH,NH4OH溶液などのアルカリ性媒体に懸濁させて得られる。用いられるスラリの種類や特性についても、研磨の対象となるウエハの種類や膜の種類、研磨パッド1の種類などによって適切に選択される。スラリタンク13には、上記のようなスラリと所定の割合でNMPまたはNVPなどの膨潤処理液が予め混合されて、貯溜される。ポンプなどによりスラリタンク13に貯溜されているスラリと膨潤処理液とを混合した研磨液を、供給管12内に流し、回転定盤部21の上部かつ略中央部に設置したノズル11から研磨パッド1表面に対して所定の流量で供給する。
【0058】
研磨処理時の各部位の動作については、キャリア部22が鉛直下向きに加圧され、研磨パッド1とシリコンウエハ9とが圧接された状態で、スラリ供給部23が研磨液を供給する。供給されたスラリが、研磨パッド1とシリコンウエハ9との間に浸透し、回転定盤部21とキャリア部22とを回転かつ相対移動させることで、媒体による化学的作用と砥粒による機械的作用によりシリコンウエハ9の表面を高精度で研磨する。
【0059】
回転定盤部21とキャリア部12との相対移動については以下のような複数のパターンがある。
【0060】
(1)図に示すように、キャリア部22の中心が、回転定盤部21の回転中心から半径方向に略1/2の位置となるようにキャリア部22を配置し、回転定盤部21とキャリア部22の自転のみで研磨処理を行う。
【0061】
(2)研磨パッド1の半径とシリコンウエハ9の直径との差があまり大きくない場合は(1)でもよいが、研磨パッド1の半径がシリコンウエハ9の直径より大きい場合は、研磨パッド1の表面のうちシリコンウエハ9と接触しない部分が存在するので、研磨パッド1の全面を使用できるように、(1)の回転定盤部21とキャリア部22の自転に加えて、キャリア部22を回転定盤部21の半径方向に往復移動させる。
【0062】
(3)(1)の回転定盤部21とキャリア部22の自転に加えて、キャリア部22を、回転定盤部21の中心回りに回転移動させる。
【0063】
(4)(2)と同じく研磨パッド1の半径がシリコンウエハ21の直径より大きい場合は、半径方向の往復移動と回転定盤部11の中心回りの回転移動と組み合わせる。たとえば、キャリア部22が回転定盤部11の中心回りに螺旋軌道を描くように移動させればよい。
【0064】
なお、回転定盤部21およびキャリア部22の自転回転方向は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、回転定盤部21およびキャリア部22の自転回転速度も同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0065】
図5は、研磨時の研磨パッド1およびシリコンウエハ9の断面図である。図5(1)に示すように、NMPおよびNVPなどの膨潤処理液が、スラリとともにノズル11から研磨パッド1の表面に供給されると、研磨パッド1の表層部分が膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層34が形成される。これにより、上記のようなシリコンウエハ9と研磨パッド1との相対移動に伴い、シリコンウエハ9の研磨と同時に、膨潤層34が機械的な摩擦力により除去され、新たな研磨面2aが露出する。
【0066】
図4は、研磨パッド1の主成分であるポリウレタンのモデル図である。図に示すように、複数のポリウレタン主鎖31が、他の主鎖31との架橋32により充分な強度を保って研磨パッド1を構成している。NMPおよびNVPなどの溶媒分子33は主鎖の間に浸透し、架橋32の結合力を低下させることにより、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。
【0067】
スラリと膨潤処理液との混合物を供給し続けることで、膨潤層34が除去され、新たな研磨面2aが露出すると同時に、膨潤処理液が表層部分に浸透して新たに膨潤層34を形成し、図5(2)に示すように、絶えず形成される膨潤層34によってシリコンウエハ9が研磨されることになる。
【0068】
これにより、目詰まりが生じて研磨特性が低下した表層が膨潤層として研磨時に除去される。したがって、ダイヤモンドコンディショナなどのドレッシング部が不要となり、ダイヤモンド粒子によるスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、シリコンウエハの研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0069】
さらに、膨潤処理液によって研磨パッド表層の剛性が低下するため、従来ではスクラッチが発生しやすいタングステンや銅などの金属層や、無機系または有機系材料を含むlow−k(低誘電率)層を研磨する場合にも適用することができる。
【0070】
以下では、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例として、スラリにNMPもしくはNVPを混合した研磨液を用いてシリコンウエハの研磨を行った。
【0071】
研磨パッドは、上層がポリウレタン樹脂からなり、下層が不織布からなり、それぞれ既存の製法にて作製した。
【0072】
スラリは、ILD1300(商品名、ロデール・ニッタ社製)を用いた。ILD1300(以下、ILD)の特性を以下に示す。
【0073】
媒体:NH4OH水溶液
砥粒:SiO2
砥粒平均粒子径:140nm
pH:10.7
砥粒重量比:13%
比重(25℃):1.07g/cm3
粘度:<20cps
【0074】
研磨特性は、研磨レートおよび非均一性(Non−Uniformity;NU)で評価を行った。
評価した実施例および比較例の条件を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
研磨液の混合割合は、研磨時に研磨装置100のノズル11から研磨パッド1に供給するILDとNMPもしくはNVPの混合重量比である。ウエハ圧力は、キャリア部22が保持するシリコンウエハ9を研磨パッド1に圧接させるためにキャリア部22に加わる圧力である。研磨パッド回転速度は、研磨パッド1を載置した定盤4の回転速度である。なお、実施例においてはキャリア部22は回転駆動機構10を備えず、研磨パッド1およびシリコンウエハ9間に生じる摩擦力によって回転する。
【0077】
また、全ての実施例および比較例において、研磨液の供給流速は、5ml/minであり、シリコンウエハの研磨対象はTEOS(Tetraethylorthosilicate)である。
【0078】
まず、最適な研磨液の混合割合を検討した。実施例1および比較例1〜3において、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングは行わなかった。
【0079】
(実施例1)
研磨液の混合割合:ILD88重量%、NMP12重量%
ウエハ圧力:5psi
研磨パッド回転速度:200rpm
(比較例1)
研磨液の混合割合:ILD100重量%、NMP0重量%
ウエハ圧力:5psi
研磨パッド回転速度:200rpm
(比較例2)
研磨液の混合割合:ILD96重量%、NMP4重量%
ウエハ圧力:5psi
研磨パッド回転速度:200rpm
(比較例3)
研磨液の混合割合:ILD76重量%、NMP24重量%
ウエハ圧力:5psi
研磨パッド回転速度:200rpm
【0080】
図6は、研磨液の混合割合を変化させたときの研磨レートの経時変化を示すグラフである。縦軸は研磨レートを示し、横軸は研磨時間を示す。なお、研磨レートは、単位時間(min)当たりに研磨された層厚み(Å)である。
【0081】
実施例1は、折れ線41で示され、研磨時間の経過にかかわらず研磨レートはほとんど低下しなかった。これは、NMPにより研磨パッドの表層に膨潤層が形成され、研磨中に機械的強度が低下した膨潤層が除去され研磨特性が再生したからである。図7は、NMPに浸漬させたときの研磨パッドの硬度の変化を示すグラフである。研磨パッドの一部である小片をNMPに浸漬させ、硬度(ショアD)を測定した。実際にNMPによって研磨パッドの硬度が低下していることが分かる。また、ダイヤモンドコンディショナによってドレッシングされた研磨パッド表面(図8(1))と、NMPを混合した研磨液を用いたときの研磨パッド表面(図8(2))とは、ほぼ同様であり、新たな表面が露出していることがわかる。
【0082】
比較例1は、折れ線43で示され、研磨時間が経過するにつれて研磨レートが低下した。比較例2は、折れ線44で示され、比較例1と同じく研磨時間が経過するにつれて研磨レートが低下した。比較例3は、折れ線45で示され、研磨レートの低下は見られなかったが、研磨レート自体が低かった。
【0083】
比較例1は、膨潤処理液であるNMPを含まないため、時間の経過に伴い研磨パッドが目詰まりを起こし、研磨レートが低下したと考えられる。比較例2は、NMPの量が不足していたため、比較例1と同じく研磨レートが低下したと考えられる。比較例3は、NMPの量が過剰すぎたため、図8(3)に示すように、研磨パッド表面が溶解し、膨潤層の強度が大幅に低下することで研磨レートが低下したと考えられる。
【0084】
研磨パッドの膨潤層を効率よく除去するために、ウエハ圧力を高くし、研磨パッドの回転速度を低下させて研磨レートの評価を行った。
【0085】
(実施例2)
研磨液の混合割合:ILD96重量%、NMP4重量%
ウエハ圧力:7psi
研磨パッド回転速度:120rpm
【0086】
実施例2は、折れ線42で示され、実施例1と同じく研磨時間の経過にかかわらず研磨レートはほとんど低下しなかった。これは、ウエハ圧力を高圧にしたことで、NMPの割合が4重量%であっても研磨パッドの膨潤層が効果的に除去されたと考えられる。
【0087】
以上の結果より、研磨液に混合するNMPの割合は、1〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは、4〜24重量%である。
【0088】
次に、実施例2について、さらに非均一性(NU)の評価を行った。研磨レートの評価と同じくダイヤモンドコンディショナによるドレッシングは行わなかった。研磨液の影響のみを評価するために、ウエハ圧力および研磨パッド回転速度を実施例2と同じ条件とする比較例4について評価を行った。さらに、実施例2の条件にリムーバを加えた実施例3について評価を行った。
【0089】
(実施例3)
研磨液の混合割合:ILD96重量%、NMP4重量%
ウエハ圧力:7psi
研磨パッド回転速度:120rpm
リムーバ:アクリル樹脂
(比較例3)
研磨液の混合割合:ILD100重量%、NMP0重量%
ウエハ圧力:7psi
研磨パッド回転速度:120rpm
【0090】
図9は、研磨液の混合割合を変化させたときの非均一性の経時変化を示すグラフである。縦軸は非均一性を示し、横軸は研磨時間を示している。非均一性は、STDV/Average×100によって算出され、値が小さいほどシリコンウエハ加工面の均一性が優れている。NUを算出するには、まず研磨されたシリコンウエハ複数箇所、たとえば49箇所で研磨量を測定する。これらの測定値から標準偏差(STDV)および平均値(Average)を算出し、上記の式にそれぞれの値を代入してNUを算出する。
【0091】
実施例2は、折れ線46で示され、研磨時間の経過にかかわらずNUはほとんど低下しなかった。これは、研磨レートの場合と同様に、NMPにより研磨パッドの表層に膨潤層が形成され、研磨中に機械的強度が低下した膨潤層が除去され研磨特性が再生したからである。
【0092】
実施例3は、折れ線47で示され、実施例2と同じく研磨時間の経過にかかわらずNUはほとんど低下しなかった。さらに、実施例2よりNUが低く非均一性は良好であった。
【0093】
比較例4は、折れ線48で示され、研磨時間が経過するにつれてNUが上昇した。これは、膨潤処理液であるNMPを含まないため、時間の経過に伴い研磨パッドが目詰まりを起こし、研磨レートと同じく非均一性が低下したと考えられる。
【0094】
以上の結果より、研磨レートに加えて非均一性の低下も見られなかった。
さらに、膨潤処理液としてNVPを用いた場合について研磨レートの評価を行った。上記の評価と同じくダイヤモンドコンディショナによるドレッシングは行わなかった。実施例3は、膨潤処理液の種類による影響を評価するために、ウエハ圧力および研磨パッド回転速度を実施例2と同じ条件とした。また、研磨液の影響を評価するために、前述の比較例4について評価を行った。
【0095】
(実施例4)
研磨液の混合割合:ILD96重量%、NVP4重量%
ウエハ圧力:7psi
研磨パッド回転速度:120rpm
【0096】
図10は、研磨液の混合割合および膨潤処理液の種類を変化させたときの研磨レートの経時変化を示すグラフである。
【0097】
実施例4は、折れ線50で示され、研磨時間の経過にかかわらず研磨レートはほとんど低下しなかった。これは、NMPと同じくNVPにより研磨パッドの表層に膨潤層が形成され、研磨中に機械的強度が低下した膨潤層が除去され研磨特性が再生したからである。
【0098】
実施例2は、折れ線49で示され、実施例4と同じく研磨時間の経過にかかわらず研磨レートはほとんど低下しなかった。
【0099】
比較例4は、折れ線51で示され、研磨時間が経過するにつれて研磨レートが低下した。これは、膨潤処理液であるNMPもしくはNVPを含まないため、時間の経過に伴い研磨パッドが目詰まりを起こし、研磨レートが低下したと考えられる。
【0100】
以上の結果より、膨潤処理液としては、NMPと同様にNVPを用いても効果が得られることがわかった。
【0101】
本発明の他の実施形態について説明する。
図11は、本発明の他の実施形態である研磨装置101の概略を示す外観図である。本実施形態の研磨装置101と図1に示した研磨装置100とが異なる構成は、スラリ供給手段であるスラリ供給部23のスラリタンク13には、膨潤処理液を含まないスラリのみを貯溜しており、別途に膨潤処理液を供給するための膨潤処理液供給部24を備えていることである。なお、図1に示した研磨装置100の各部位と同様の動作を行う部位については同じ参照符号を付し、説明は省略する。
【0102】
膨潤処理液供給部24は、ノズル14、供給管15および膨潤処理液タンク16からなる膨潤処理液供給手段である。ポンプなどにより膨潤処理液タンク16に貯溜されているNMPもしくはNVPを、供給管15内に流し、回転定盤部21の上部かつ略中央部に設置したノズル11から研磨パッド1表面に対して所定の流量で供給する。このとき、前述の研磨液の混合割合に基づくと、スラリ供給部23が供給するスラリの供給流量と、膨潤処理液供給部24が供給する膨潤処理液の供給流量との比は、96:4〜76:24であることが好ましい。
【0103】
本実施形態の研磨装置101における効果は、前述の研磨装置100における効果と同様である。
【0104】
図12は、本実施形態の他の実施例である研磨パッド61の断面図である。研磨パッド61は、研磨パッド1と同様にポリウレタン樹脂などからなる上層62と不織布などからなる下層63とを有する2層構成である。さらに、上層62には、マイクロカプセル64が均等に分布して内在する。マイクロカプセル64は、図13に示すように、マイクロカプセル64内部の空間に収納される芯物質65とこの芯物質65を囲むカプセル壁66とから構成される。本実施形態では、芯物質65として膨潤処理液であるNMPもしくはNVPを用い、カプセル壁66として水溶性ポリマであるPVP(Polyvinyl pyrrolidone)およびPSA(Polystyrene acrylate)を用いる。
【0105】
図14は、マイクロカプセル64を含む研磨パッド61の表層付近の模式図である。シリコンウエハ9と研磨パッド61との間に浸透したスラリ70とマイクロカプセル64のカプセル壁66が接触すると、カプセル壁66がスラリ70に溶解し、内包する膨潤処理液をスラリ70に放出する(図14(1)参照)。スラリ70の媒体は、主に水を含むアルカリ性水溶液であるので、水溶性ポリマからなるカプセル壁66はスラリ70に容易に溶解する。膨潤処理液はスラリ70中に拡散し、シリコンウエハ9と研磨パッド61との相対的な移動により、スラリ70と混合される(図14(2)参照)。このようなマイクロカプセル64の溶解が複数箇所にわたって起こり、研磨パッド64に膨潤層が形成され、前述の研磨液と同様の効果が得られる。
【0106】
図15は、マイクロカプセル作製装置80の概略図である。原料槽81に膨潤処理液とPVPおよびPSAなどの水溶性ポリマとの混合物を貯溜しておき、ポンプ82によって混合物をコーティング層83上部から噴霧し、同じくコーティング層83上部から熱風を吹きつける。混合物がコーティング層83上部から下部に移動する間に、膨潤処理液の液滴を水溶性ポリマがコーティングして球形のマイクロカプセルが形成される。形成されたマイクロカプセルを回収するために、コーティング層83に隣接する回収層84に熱風とともに送られる。熱風は、回収層84上部の排気口から排気され、マイクロカプセルは、回収層84底部で回収される。マイクロカプセルの直径は10〜100μmが好ましい。10μmより小さいと、マイクロカプセル化が困難であり、100μmより大きいと、研磨パッドに内在したときに大きく強度を低下させてしまう。
【0107】
研磨パッド61は、上記のようにして予め作製したマイクロカプセル64をポリウレタン原料と混合して硬化させることによって得られる。このときマイクロカプセル64を研磨パッド上層62内に均等に分布させることで、研磨パッド61に均一に膨潤層を形成し、優れた加工面の均一性を実現できる。
【0108】
なお、研磨パッド上層62に対するマイクロカプセル64の割合は、5〜20重量%が望ましい。5重量%より小さいと、研磨時に充分な量の膨潤処理液が得られず、20重量%より大きいと、充分な研磨パッド1の強度が得られない。
【0109】
このように、予め膨潤処理液を内包するマイクロカプセルを研磨パッドに内在させることで、スラリと膨潤処理液とを混合する必要がなく、また研磨装置に膨潤処理液供給部を設ける必要がない。
【0110】
なお、上記では2層構造の研磨パッドについて説明したがこれに限らず、上層のみからなる1層構造の研磨パッドであってもよい。また、膨潤処理液のNMPおよびNVPを単独で用いているがこれらを混合して用いてもよい。また、研磨装置は、膨潤処理液を用いる動作モードと、膨潤処理液を用いずに別途ドレッシングを行う動作モードを有し、対象となる被研磨物に応じて動作モードを切り替えるように構成されていてもよい。
【0111】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、研磨パッドの表層は、膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去されることにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0112】
また本発明によれば、スラリとマイクロカプセルとが接触することで膨潤処理液がスラリに放出され、放出された膨潤処理液が、スラリと混合し研磨パッド表層に浸透する。研磨パッドの表層は、膨潤処理液によって膨潤し、機械的強度が低下した膨潤層を形成する。膨潤層は、被研磨物を研磨する際に、被研磨物との摩擦力によって除去されることにより、目詰まりの生じる研磨パッドの表層が研磨中に除去され、新たな研磨面が露出する。したがって、ダイヤモンドコンディショナによるドレッシングが不要となり、ダイヤモンド粒子に起因するスクラッチの発生を防止することができる。また、膨潤層の除去は、被研磨物の研磨と同時に行われるので、別途ドレッシング工程を設ける必要がない。スクラッチの発生防止、ドレッシング工程の排除により研磨装置のスループットを向上することができる。
【0113】
また本発明によれば、マイクロカプセルが、研磨パッド全体に均等に分布していることにより、膨潤層が研磨パッドの表層に均一に形成され、優れた被研磨物加工面の平面均一性を実現することができる。
【0114】
また本発明によれば、膨潤処理液を使用すると、機械的強度が低下した膨潤層によって被研磨物の研磨を行うため、膨潤処理液を使用しない状態で行う研磨時の圧力で動作すると、研磨レートが低下する場合がある。したがって、膨潤処理液を使用する状態で行う研磨時の圧力を高く選択することによって、効率良く膨潤層を除去し、研磨レートの低下を防ぐことができる。
【0115】
また本発明によれば、研磨パッドの被研磨物に対向する表層が膨潤していることから、研磨パッドの表層部分の剛性が低下し、金属層にスクラッチを発生させることなく研磨を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるCMP装置100の概略を示す外観図である。
【図2】研磨パッド1の断面図である。
【図3】キャリア部22の断面図である。
【図4】研磨パッド1の主成分であるポリウレタンのモデル図である。
【図5】研磨時の研磨パッド1およびシリコンウエハ9の断面図である。
【図6】研磨液の混合割合を変化させたときの研磨レートの経時変化を示すグラフである。
【図7】NMPに浸漬させたときの研磨パッドの硬度の変化を示すグラフである。
【図8】研磨パッド1の表面のSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【図9】研磨液の混合割合を変化させたときの非均一性の経時変化を示すグラフである。
【図10】研磨液の混合割合および膨潤処理液の種類を変化させたときの研磨レートの経時変化を示すグラフである。
【図11】本発明の他の実施形態である研磨装置101の概略を示す外観図である。
【図12】本実施形態の他の実施例である研磨パッド61の断面図である。
【図13】マイクロカプセル64の構造を示す図である。
【図14】マイクロカプセル64を含む研磨パッド61の表層付近の模式図である。
【図15】マイクロカプセル作製装置80の概略図である。
【図16】ダイヤモンドコンディショナに電着したダイヤモンド粒子のSEM写真である。
【図17】研磨パッド表面のSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【図18】シリコンウエハの加工面に発生したスクラッチの写真である。
【符号の説明】
1 研磨パッド
2 上層
3 下層
4 定盤
5,10 回転駆動機構
6 キャリア本体
7 バッキング材
8 リテーナリング
9 シリコンウエハ
11,14 ノズル
12,15 供給管
13 スラリタンク
16 膨潤処理液タンク
22 キャリア部
23 スラリ供給部
24 膨潤処理液供給部
64 マイクロカプセル
100,101 CMP装置
Claims (16)
- 合成樹脂を含む研磨パッドと、
前記研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転する支持手段と、被研磨物を保持し、前記研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する保持手段と、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリに、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を混合した研磨液を、前記研磨パッドの研磨面に供給する研磨液供給手段とを有することを特徴とする研磨装置。 - 前記研磨液に含まれる膨潤処理液の割合が、1〜30重量%であることを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
- 合成樹脂を含む研磨パッドと、
前記研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転する支持手段と、被研磨物を保持し、前記研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する保持手段と、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを前記研磨パッドの研磨面に供給するスラリ供給手段と、
前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を前記研磨パッドの研磨面に供給する膨潤処理液供給手段とを有することを特徴とする研磨装置。 - 前記スラリの供給流量と前記膨潤処理液の供給流量との比が、96:4〜76:24であることを特徴とする請求項3記載の研磨装置。
- 合成樹脂からなり、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を内包するマイクロカプセルを内在する研磨パッドと、
前記研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転する支持手段と、被研磨物を保持し、前記研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する保持手段と、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを前記研磨パッドの研磨面に供給するスラリ供給手段とを有することを特徴とする研磨装置。 - 前記マイクロカプセルは、研磨パッド全体に均等に分布していることを特徴とする請求項5記載の研磨装置。
- 前記スラリを構成する媒体は水を含み、
前記マイクロカプセルのカプセル壁は、水溶性ポリマからなることを特徴とする請求項5または6記載の研磨装置。 - 前記マイクロカプセルの形状は球体であり、直径が10〜100μmであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の研磨装置。
- 研磨パッドに対する前記マイクロカプセルの割合は、5〜20重量%であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1つに記載の研磨装置。
- 前記膨潤処理液は、少なくともN−メチル−2−ピロリドンおよびN−ビニルピロリドンのいずれかであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の研磨装置。
- 膨潤処理液を使用しない状態で行う研磨時の研磨パッドと被研磨物とを圧接させる圧力に比べて、膨潤処理液を使用する状態で行う研磨時の研磨パッドと被研磨物とを圧接させる圧力を高く選択することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の研磨装置。
- 合成樹脂を含み、被研磨物を研磨する研磨パッドであって、前記合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液を内包するマイクロカプセルを内在することを特徴とする研磨パッド。
- 被研磨物と、合成樹脂を含む研磨パッドとを相互に圧接し、相対的に移動させることによって被研磨物を研磨するために用いられる研磨液であって、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリと、
前記研磨パッドを構成する合成樹脂を膨潤させる膨潤処理液とが混合されて構成されることを特徴とする研磨液。 - 被研磨物と、合成樹脂を含む研磨パッドとを相互に圧接し、相対的に移動させることによって被研磨物を研磨する際に、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリとともに用いられる研磨パッド用の膨潤処理液であって、
前記研磨パッドを構成する合成樹脂を膨潤させ、研磨パッド表面の機械的強度を低下させることを特徴とする研磨パッド用の膨潤処理液。 - 合成樹脂を含む研磨パッドの被研磨物に対向する表層を、膨潤処理液によって膨潤させ、被研磨物と膨潤した研磨パッドとを相対的に移動させることによって研磨を行うことを特徴とする研磨方法。
- 前記被研磨物は、半導体ウエハであり、この半導体ウエハに形成された金属層を研磨することを特徴とする請求項15記載の研磨方法。
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JP2007053384A (ja) * | 2005-08-18 | 2007-03-01 | Rohm & Haas Electronic Materials Cmp Holdings Inc | 研磨パッド及び製造方法 |
JP2009544480A (ja) * | 2006-07-24 | 2009-12-17 | エスケーシー カンパニー リミテッド | 高分子シェルに封入された液状有機物コアを含む化学的機械的研磨パッド及びその製造方法 |
CN115401849A (zh) * | 2021-05-26 | 2022-11-29 | Skc索密思株式会社 | 用于制备抛光垫的树脂组合物混合装置及抛光垫制备方法 |
-
2002
- 2002-11-27 JP JP2002344167A patent/JP2004179414A/ja active Pending
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