JP2004179390A - 無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法 - Google Patents
無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】樹脂材料部分の内部に高アスペクト比のセラミック部分が位置している、セラミック−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】セラミック部分に相関する形状を有する、光造形法によって形成される主キャビティ12と、樹脂材料部分の外表面を成形するための堤状無機材料体に相関する形状を有する副キャビティ14と、これらを互いに連通させる連通通路15とが形成された、樹脂製成形型11を用意し、連通通路15を通して空気を抜きながら、副キャビティ14からセラミックペースト12を導入することによって、主キャビティ12および副キャビティ14をセラミックペースト21によって充填した後、焼成し、樹脂製成形型11を焼失させるとともに、無機材料焼結体を得、無機材料焼結体の、堤状無機材料体に囲まれた部分を、樹脂によって充填し、次いで、少なくとも堤状無機材料体の部分を除去する。
【選択図】 図3
【解決手段】セラミック部分に相関する形状を有する、光造形法によって形成される主キャビティ12と、樹脂材料部分の外表面を成形するための堤状無機材料体に相関する形状を有する副キャビティ14と、これらを互いに連通させる連通通路15とが形成された、樹脂製成形型11を用意し、連通通路15を通して空気を抜きながら、副キャビティ14からセラミックペースト12を導入することによって、主キャビティ12および副キャビティ14をセラミックペースト21によって充填した後、焼成し、樹脂製成形型11を焼失させるとともに、無機材料焼結体を得、無機材料焼結体の、堤状無機材料体に囲まれた部分を、樹脂によって充填し、次いで、少なくとも堤状無機材料体の部分を除去する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法に関するもので、特に、無機材料部分と無機材料部分を内部に位置させる樹脂材料部分とを有する、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を成形によって製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この発明にとって興味ある無機材料−樹脂材料複合3次元構造体として、たとえば、図6に示すような医療用超音波探触子1がある。
【0003】
超音波探触子1は、無機材料部分としての複数個の柱状の圧電セラミックからなる微細なロッド2が樹脂材料部分3の内部に位置した構造を有している。複数個のロッド2は、互いに平行に並んだ状態で、樹脂材料部分3の内部に分布している。
【0004】
なお、図示されないが、超音波探触子1の図6による上下の端面上には、電極がそれぞれ形成される。これら電極には、ロッド2を構成する圧電セラミックの抗電界以上の直流電界が印加され、それによって、圧電セラミックの自発分極を配向させる処理(分極処理)が施される。また、図示したロッド2は、円柱状であるが、角柱状とされることもある。
【0005】
このような超音波探触子1が医療分野に用いられる場合、上述の電極を介してロッド2にパルス電圧が印加され、それによって、超音波パルスが励起される。この超音波パルスは体内の組織に反射されて、ロッド2に再入射し、ロッド2を振動させ、それによって得られた電気信号が電極から取り出される。この場合、圧電セラミックからなるロッド2と皮膚組織とでは音響インピーダンスが大きく異なっているため、そのマッチング特性を改善するため、ロッド2を樹脂材料部分3の内部に位置させる複合構造が採用されている。
【0006】
超音波探触子1において得られる超音波特性は、ロッド2がより微細でありかつアスペクト比がより大きいほど向上することが知られている。
【0007】
従来、超音波探触子1を製造する方法として、次のようなものが実用化または提案されている。
【0008】
A.ロッド2を得るため、押し出し成形法を用いる方法である(たとえば、特許文献1の「発明が解決しようとする課題」参照)。すなわち、押し出し成形により成形した柱状の圧電セラミック成形体を焼成してロッド2を得、得られた複数個のロッド2を、一定間隔を空けて並立させた状態とし、この状態を樹脂材料で固定することによって、樹脂材料部分3を形成し、その後、必要に応じて切断して、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0009】
B.ロッド2として、角柱状のものが作製され、この角柱状のロッド2を成形するために、金型を用いる方法である(たとえば、特許文献2参照)。すなわち、角柱状のロッド2の側面となる面で開口したキャビティを有する金型に、圧電セラミック粉末を充填することによって、圧電セラミック粉末をロッド2の形状となるように成形し、次いで、この成形体を焼成し、得られた複数個のロッド2を、一定間隔を空けて並立させた状態とし、この状態を樹脂材料で固定することによって、樹脂材料部分3を形成し、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0010】
C.ダイシングによってロッド2を得る方法である(たとえば、特許文献1の「発明が解決しようとする課題」参照)。すなわち、シリコンなどのウエハー製作用のマルチブレードのウエハーリングソーを使って圧電セラミック焼結体に網目状に切り込みを入れ(ダイシング)、この切り込みの形成によって得られた切断溝に樹脂材料を充填し、この樹脂材料を硬化させることによって樹脂材料部分3を形成した後、切断溝の深さ方向に垂直な方向に切断し、それによって、切断溝に囲まれた部分をロッド2として、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0011】
D.ロッド2をLIGA法により作製する方法である(たとえば、特許文献1の「発明が解決しようとする課題」参照)。すなわち、シンクロトロン放射光によるLIGA法によって、ロッド2を作製し、その後、樹脂材料を充填することによって樹脂材料部分3を形成し、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0012】
E.柱状の圧電セラミック焼結体の側面をエッチングすることによって、その直径を減少させて、ロッド2を得る方法である(たとえば、特許文献1の「要約」等参照)。すなわち、複数個の柱状圧電セラミック焼結体の側面を酸処理することによりエッチングして、その直径を減少させることによって、ロッド2を得、得られた複数個のロッド2を、一定間隔を空けて並立させた状態とし、この状態を樹脂材料によって固定することにより、樹脂材料部分3を形成し、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0013】
F.ロッド2を得るため、樹脂製成形型を用いる方法である(たとえば、特許文献3の請求項7等参照)。すなわち、シンクロトロン放射光の深いリソグラフ特性を利用して作製した樹脂製成形型を用意し、この樹脂製成形型に、圧電セラミックスラリーを充填し固化した後、樹脂製成形型を昇華または溶剤に溶解させ、次いで、焼成することによって圧電セラミックを焼結させてロッド2を得、その後、これらロッド2を樹脂材料で固めて樹脂材料部分3を形成し、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0014】
G.ロッド2を得るため、シリコンからなる型を用いる方法である(たとえば、非特許文献1参照)。すなわち、RIEにより微細加工したシリコンからなる型を作製し、この型に圧電セラミックスラリーを充填して、焼成した後、シリコンを酸エッチングにより除去することによって、ロッド2を得、次いで、ロッド2を樹脂材料で固めることにより、樹脂材料部分3を形成し、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0015】
【特許文献1】
特開2001−15822号公報
【特許文献2】
特開2000−324599号公報
【特許文献3】
特開平10−51041号公報
【非特許文献1】
李、外3名,「シリコンモールディング法による3次元マイクロ構造体の作製と微小電気機械システムへの応用」,マテリアルインテグレーション,第14巻,第8号,2001年,p.45−49
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術AないしGには、それぞれ、解決されるべき課題がある。
【0017】
従来技術Aによれば、多数個のロッド2を同時に形成できるので、製造コストの低減を図ることができるが、直径の小さい、特に直径0.15mm以下のロッド2を作製することが困難である。
【0018】
従来技術Bによっても、直径の小さいロッド2を作製することが困難である。
【0019】
従来技術Cによれば、製造コストが高く、ロッド2の製造に時間がかかり、また、微細なロッド2を作製することが困難である。
【0020】
従来技術Dによれば、製造コストが高く、ロッド2の製造に時間がかかる。
【0021】
従来技術Eによれば、微細なロッド2を得るために、エッチングによって直径を減少させることを行なっているので、直径を均一にかつ所望の値にすることが困難である。また、ロッド2のような形状以外の3次元構造を有する構造体を作製することが困難である。
【0022】
従来技術Fによれば、製造コストが高く、また、樹脂製成形型にセラミックスラリーを充填する際、気泡が取り込まれやすく、したがって、この気泡の防止のため、減圧下でセラミックスラリーを充填したり、セラミックスラリーを圧入することが必要である。また、高アスペクト比のロッド2を作製することが困難である。
【0023】
従来技術Gでは、圧電セラミックとシリコンとの反応が生じやすく、そのため、圧電セラミックの特性に影響を与え、また、シリコンからなる型を酸エッチングによって除去する工程など、工程が複雑化される。
【0024】
なお、上述したような課題は、圧電セラミックからなるロッド2を樹脂材料部分3の内部に位置させた医療用超音波探触子1を製造する場合に限らず、一般に、無機材料部分と無機材料部分を内部に位置させる樹脂材料部分とを有する無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を製造する場合にも遭遇する。
【0025】
そこで、この発明の目的は、上述したような課題を解決し得る、無機材料−複合3次元構造体の製造方法を提供しようとすることである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
この発明は、無機材料部分と無機材料部分を内部に位置させる樹脂材料部分とを有する、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を成形によって製造する方法に向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0027】
この発明では、まず、無機材料部分に相関する形状を有する主キャビティが形成され、かつ、焼成によって焼失可能な樹脂材料からなる、樹脂製成形型を用意する工程が実施される。この樹脂製成形型は、上述した主キャビティだけでなく、樹脂材料部分の外表面を成形するための型となる堤状無機材料体に相関する形状を有する副キャビティと、主キャビティと副キャビティとを互いに連通させる連通通路とをさらに備えていて、また、少なくとも主キャビティは、光造形法によって形成される。
【0028】
次に、上述連通通路を通して空気を抜きながら、主キャビティまたは副キャビティから無機材料を導入することによって、主キャビティおよび副キャビティを無機材料によって充填し、それによって、連通通路を通して連結された状態で無機材料部分および堤状無機材料体の形状を与えるように無機材料を成形する工程が実施される。
【0029】
次に、無機材料を、樹脂製成形型とともに焼成し、それによって、樹脂製成形型を焼失させるとともに、互いに連結された無機材料部分および堤状無機材料体を備える無機材料焼結体を得る工程が実施される。
【0030】
次に、無機材料焼結体の、堤状無機材料体に囲まれた部分を、樹脂によって充填しかつこの樹脂を硬化させることによって、前述した樹脂材料部分を成形する工程が実施される。
【0031】
次に、少なくとも無機材料焼結体における堤状無機材料体の部分を除去する工程が実施され、それによって、目的とする無機材料−樹脂材料複合3次元構造体が得られる。
【0032】
この発明は、樹脂材料部分の内部に複数個の無機材料部分が分布する構造を有している、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を製造する場合に有利に適用される。この場合、樹脂製成形型は、複数個の主キャビティを有している。
【0033】
この発明が前述した医療用超音波探触子の製造に向けられる場合、上述の無機材料−樹脂材料複合3次元構造体は、樹脂材料部分の内部に複数個の柱状の無機材料部分が互いに平行に並んだ状態で分布する構造を有している。
【0034】
樹脂製成形型の主キャビティおよび副キャビティに充填される無機材料は、無機材料粉体を含む無機材料ペーストであることが好ましく、典型的には、無機材料はセラミックである。
【0035】
上述のように、無機材料ペーストが用いられる場合、副キャビティは、主キャビティに比べて、無機材料ペーストをより通しやすい形態を有していることが好ましい。なお、無機材料ペーストをより通しやすい形態とは、たとえば、副キャビティが、主キャビティに比べて、より大きな断面積を有していたり、より簡単な形状を有していたりすることを意味している。
【0036】
また、主キャビティおよび副キャビティは、上方に向く開口を有し、連通通路は、主キャビティと副キャビティとを各々の下端部において連通させ、樹脂製成形型の主キャビティおよび副キャビティを、無機材料によって充填する工程は、連通通路および主キャビティを通して空気を抜きながら、無機材料ペーストを副キャビティの上方に向く開口から注入するように実施されることが好ましい。
【0037】
また、この発明において、樹脂製成形型が、主キャビティを規定するとともに副キャビティの内側の壁面を規定する主成形型と、この主成形型の周囲に配置されかつ副キャビティの外側の壁面を規定する副成形型とを備える場合、少なくとも主成形型が光造形法によって作製されることが好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態の説明を、図1ないし図5を順次参照しながら、図6に示した電極形成前の医療用超音波探触子1の製造方法に関連して行なう。
【0039】
まず、図1および図2に示すような樹脂製成形型11が用意される。図1は、樹脂製成形型11を斜視図で示し、図2は、樹脂製成形型11を断面図で示している。
【0040】
樹脂製成形型11には、図6に示したロッド2に相関する形状を有する主キャビティ12が形成されている。図6に示すように、超音波探触子1は複数個のロッド12を備えているので、複数個のロッド12に対応して、複数個の主キャビティ12が設けられる。
【0041】
また、樹脂製成形型11には、図6に示した樹脂材料部分3の外表面を成形するための型となる堤状無機材料体13(図4参照)に相関する形状を有する副キャビティ14が形成されている。
【0042】
また、樹脂製成形型11には、主キャビティ12と副キャビティ14とを互いに連通させる連通通路15が形成されている。この実施形態では、主キャビティ12および副キャビティ14は、それぞれ、上方に向く開口16および17を有していて、連通通路15は、主キャビティ12と副キャビティ14とを各々の下端部において連通させるように位置している。連通通路15の形状および数は、特に図示したものには限定されない。
【0043】
樹脂製成形型11は、後で実施される焼成によって焼失可能な樹脂材料から構成される。また、少なくとも主キャビティ12は、光造形法によって形成される。
【0044】
この実施形態では、樹脂製成形型11は、たとえばアルミナからなる基台18上に載置される主成形型19と副成形型20との組み合わせから構成される。図1では、主成形型19の外側面を見せるため、副成形型20は1点鎖線で図示されている。主成形型19は、主キャビティ12を規定するとともに副キャビティ14の内側の壁面を規定している。また、副成形型20は、主成形型19の周囲に配置され、副キャビティ14の外側の壁面を規定している。
【0045】
このような構成の樹脂製成形型11は、そのすべてが光造形法によって作製されてもよいが、副成形型20については単純な形状であるので、通常の成形法によって容易に作製することができるため、光造形法は、主成形型19の作製においてのみ適用されてもよい。
【0046】
光造形法は、たとえば、生田,「マイクロ光造形法(IHプロセス)」,OPTRONICS,1996年,第4号,p.103−108、および特開2000−329920号公報などに記載されるもので、最近では、100μm以下といった微細な造形物を作製することが可能となってきている。
【0047】
光造形法は、光を照射することによって光硬化性樹脂が硬化する現象を利用しながら、得ようとする3次元構造体を薄く輪切りにした形状を有するものを、光硬化性樹脂の硬化によって得られた硬化層によって造形し、この造形を3次元構造体の端から順に実施して、目的とする3次元構造体を造形しようとする方法である。
【0048】
このような光造形法によれば、アスペクト比についての制限がなく、したがって、高アスペクト比、たとえばアスペクト比が10以上の3次元構造体を容易に作製することができる。たとえばアスペクト比が10以上の穴として形成される主キャビティ12を有する主成形型19は、このような光造形法によって問題なく製造することができる。
【0049】
なお、前述したように、主成形型19だけでなく、副成形型20も、光造形法によって作製してもよい。この場合、基台18上で、光造形法が適用され、主成形型19と副成形型20とが同時に作製される。
【0050】
光造形法において用いられる光硬化性樹脂としては、たとえば600℃程度の温度で焼失するものが好ましい。たとえば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂またはオキセタン系樹脂が有利に用いられる。一具体例を示すと、株式会社ディーメック製の「デソライトSCR730」を用いることができる。
【0051】
次に、図3に示した工程が実施される。図3は、図2に対応する断面図である。
【0052】
まず、ロッド2の材料となるべき無機材料、より特定的には、無機材料粉体を含む無機材料ペースト、さらに具体的には、圧電セラミック原料粉末を含む圧電セラミックペーストが用意される。一例として、Pb(Zr,Ti)O3 −Pb(Zn,Nb)O3 系圧電性結晶粉末を14.65重量%、PbO−GeO系結晶化ガラスを0.15重量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを3.0重量%、90重量%のエタノールと10重量%のイソプロピルアルコールとを混合した低沸点有機溶剤を81.2重量%、非水系マレイン酸からなる分散剤を1.0重量%それぞれ含む1次スラリーに、10重量%のエチルセルロースと90重量%のジエチレングリコールモノブチルエーテルとからなる有機ビヒクルを加え、約20〜30Pa・sの粘度となるように調整することによって、圧電セラミックペーストを得ることができる。
【0053】
図3(1)および(2)に示すように、圧電セラミックペースト21は、連通通路15を通して空気を抜きながら、主キャビティ12または副キャビティ14から導入され、それによって、主キャビティ12および副キャビティ14が圧電セラミックペースト21によって充填される。その結果、連通通路15を通して連結された状態でロッド2および堤状無機材料体13の形状を与えるように、圧電セラミックペースト21が成形される。
【0054】
より詳細には、この実施形態では、図3(1)に示すように、圧電セラミックペースト21は、副キャビティ14の上方に向く開口17から矢印22で示すように注入される。この圧電セラミックペースト21の注入に応じて、連通通路15および主キャビティ12を通して空気が抜け、矢印23で示すように、圧電セラミックペースト21は、主キャビティ12内に導入され、最終的に、図3(2)に示すように、主キャビティ12を満たす状態となる。
【0055】
上述のような圧電セラミックペースト21の導入方法を採用する場合には、副キャビティ14は、主キャビティ12に比べて、圧電セラミックペースト21をより通しやすい形態を有していることが好ましい。この実施形態では、副キャビティ14の断面積が、主キャビティ12の各々の断面積より大きくされ、それによって、圧電セラミックペースト21をより通しやすくしている。
【0056】
これに関して、副キャビティ14は、後で除去されるものであって最終製品には残らない堤状無機材料体13を成形するためのものであるので、その断面積や形状に関する設計は比較的自由に行なうことができ、上述したように、副キャビティ14の断面積を主キャビティ12の各々の断面積より大きくすることは、最終製品の形状にとらわれることなく、容易に行なうことができる。
【0057】
なお、主キャビティ12および副キャビティ14への圧電セラミックペースト21の導入にあたって、この導入をより円滑に進めるため、圧電セラミックペースト21を加圧することを妨げるものではない。また、主キャビティ12部分を減圧することを妨げるものではない。
【0058】
また、圧電セラミックペースト21は、主キャビティ12の上方に向く開口16から注入するようにしてもよい。
【0059】
次に、成形された圧電セラミックペースト21は、樹脂製成形型11とともに、たとえば750℃の温度で焼成される。それによって、図4(1)に示すように、樹脂製成形型11が焼失するとともに、圧電セラミックペースト21の焼結によって得られた、互いに連結されたロッド2および堤状無機材料体13を備える無機材料焼結体24が得られる。
【0060】
次に、図4(2)に示すように、無機材料焼結体24の、堤状無機材料体13によって囲まれた部分が、たとえばエポキシ樹脂のような樹脂25によって充填され、真空脱泡処理が施された後、硬化される。これによって、図6に示した樹脂材料部分13が成形される。
【0061】
なお、硬化前の樹脂25は、圧電セラミックペースト21に比べて、粘度を低く調整することが容易であるので、図4(1)に示すようなロッド2間の隙間やロッド2と堤状無機材料体13との隙間に、この樹脂25を容易に導入することができる。
【0062】
次に、図4(2)に示した構造物から基台18が除去された後、硬化後の樹脂25と一体化された無機材料焼結体24の上下の端部がたとえば研磨等によって除去され、それによって、図5(1)に示すような構造物が得られる。この構造物は、図6に示したロッド2および樹脂材料部分3を備えるとともに、堤状無機材料体13を備えるものである。
【0063】
次に、上述の堤状無機材料体13が研磨等によって除去され、それによって、図5(2)に示すような複数個のロッド2が互いに平行に並んだ状態で樹脂材料部分3の内部に分布している、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体としての電極形成前の超音波探触子1が得られる。
【0064】
次に、図5(2)に示した構造物の上下の端面上に電極を形成し、この電極を通して直流電界を印加して圧電セラミックからなるロッド2を分極処理することにより、超音波探触子1が完成される。
【0065】
以上、この発明を、図示した医療用超音波探触子1の製造方法に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形例が可能である。
【0066】
たとえば、ロッド2の形状として、円柱状のものが図示されたが、角柱状のものであってもよい。また、ロッドは、途中に膨らみのあるエンタシス状のものであっても、中間部に段差等がある、より複雑な形状のものであってもよい。
【0067】
また、前述した実施形態では、無機材料部分を圧電セラミックによって構成したが、たとえば、誘電体セラミックを用いることにより、誘電体レンズアレイや誘電体アンテナアレイ等を、この発明に係る製造方法によって製造することができる。また、磁性体セラミックを用いてもよい。
【0068】
また、前述した実施形態において用いた圧電セラミックペースト21は、ガラス成分を含むものであったが、ガラスをコートした粉体を含むセラミックペーストを用いても、ガラス成分を含まないセラミックペーストを用いても、さらには、セラミック以外の無機材料、たとえば金属粉体を含むペーストを用いても、ペーストではなく、金属粉体のみを無機材料として用いてもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、無機材料部分と無機材料部分を内部に位置させる樹脂材料部分とを有する、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を成形によって製造するにあたって、焼成によって焼失可能な樹脂材料からなる樹脂製成形型が用いられ、この樹脂製成形型において無機材料部分を成形するための主キャビティが光造形法によって形成されるので、主キャビティに対して高アスペクト比でありかつ任意の複雑な形状を与えることができる。したがって、この主キャビティによって成形される無機材料部分は、これが高アスペクト比であっても、複雑な形状であっても、これを容易に成形することができる。
【0070】
また、この発明において用いられる樹脂製成形型は、樹脂材料部分の外表面を成形するための型となる堤状無機材料体に相関する形状を有する副キャビティと、主キャビティと副キャビティとを互いに連通させる連通通路とを有しているので、連通通路を通して空気を抜きながら、主キャビティまたは副キャビティから無機材料を円滑に導入することができる。
【0071】
また、上述した無機材料の導入によって、連通通路を通して連結された状態で無機材料部分および堤状無機材料体の形状を与えるように無機材料が成形されるので、無機材料を、樹脂製成形型とともに焼成することによって、樹脂製成形型を焼失させるとともに、互いに連結された無機材料部分および堤状無機材料体を備える無機材料焼結体を得ることができる。したがって、無機材料部分および堤状無機材料体を一体として取り扱うことができ、次いで、堤状無機材料体に囲まれた部分を、樹脂によって充填しかつこの樹脂を硬化させることによって、樹脂材料部分を容易に成形することができる。
【0072】
そして、少なくとも無機材料焼結体における堤状無機材料体の部分を除去すれば、目的とする無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を得ることができる。
【0073】
このように、この発明によれば、無機材料部分に対して任意の形状を与えることが容易であるので、たとえば、樹脂材料部分の内部に複数個の無機材料部分が分布する構造を有する、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体や、さらには、樹脂材料部分の内部に複数個の柱状の無機材料部分が互いに平行に並んだ状態で分布する構造を有する、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を容易に製造することができる。したがって、この発明を医療用超音波探触子の製造に適用すると、そこに備える圧電セラミックからなるロッドを微細かつ高アスペクト比にすることができるので、この医療用超音波探触子の超音波特性を向上させることができる。
【0074】
この発明において、樹脂製成形型の主キャビティおよび副キャビティに充填される無機材料として、無機材料粉体を含む無機材料ペーストを用いると、これら主キャビティおよび副キャビティへの無機材料の導入をより円滑に進めることができる。
【0075】
また、この発明によれば、副キャビティによって成形される堤状無機材料体は、後の工程で除去され最終製品には残らないものであるので、副キャビティは、その断面積や形状に関して自由に設計することができる。したがって、副キャビティを、主キャビティに比べて、無機材料ペーストをより通しやすい形態とすることができ、このようにすれば、樹脂製成形型内での無機材料ペーストの流動をより円滑なものとすることができる。
【0076】
また、樹脂製成形型において、主キャビティおよび副キャビティが、上方に向く開口を有し、連通通路が、主キャビティと副キャビティとを各々の下端部において連通させ、主キャビティおよび副キャビティを、無機材料によって充填するにあたって、連通通路および主キャビティを通して空気を抜きながら、無機材料ペーストを副キャビティの上方に向く開口から注入するようにすれば、キャビティ内での空気の残留がなく、より円滑に無機材料ペーストの充填を行なうことができる。このような効果は、前述したように、副キャビティが、主キャビティに比べて、無機材料ペーストをより通しやすい形態にされていると、より顕著に発揮される。
【0077】
また、樹脂製成形型が、主キャビティを規定するとともに副キャビティの内側の壁面を規定する主成形型と、この主成形型の周囲に配置されかつ副キャビティの外側の壁面を規定する副成形型とを備える場合、少なくとも主キャビティについて、光造形法によって作製すればよく、副成形型については、一般的な成形法を適用することができるので、樹脂製成形型をより能率的にかつより安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の一例としての医療用超音波探触子1を製造する方法において用いられる樹脂製成形型11を示す斜視図である。
【図2】図1に示した樹脂製成形型11の断面図である。
【図3】樹脂製成形型11の主キャビティ12および副キャビティ14に圧電セラミックペースト21を充填する工程を説明するための断面図であり、(1)は、圧電セラミックペースト21の充填の途中の状態を示し、(2)は、充填を終えた後の状態を示す。
【図4】図3(2)に示した工程の後に実施される工程を説明するためのもので、(1)は、図3(2)に示した構造物を焼成して得られた無機材料焼結体24を示す断面図であり、(2)は、無機材料焼結体24の、堤状無機材料体13に囲まれた部分を、樹脂25によって充填しかつ樹脂25を硬化させた状態を示す断面図である。
【図5】図4(2)に示した工程の後に実施される工程を説明するためのもので、(1)は、図4(2)に示した構造物から基台18を除去しかつ樹脂25が充填された無機材料焼結体24の上下の端部を除去した状態を示す断面図であり、(2)は、(1)に示した構造物から堤状無機材料体13を除去することによって得られた電極形成前の超音波探触子1を示す断面図である。
【図6】この発明にとって興味ある医療用超音波探触子1の電極形成前の状態を一部破断して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 医療用超音波探触子
2 ロッド(無機材料部分)
3 樹脂材料部分
11 樹脂製成形型
12 主キャビティ
13 堤状無機材料体
14 副キャビティ
15 連通通路
16,17 開口
19 主成形型
20 副成形型
21 圧電セラミックペースト(無機材料ペースト)
24 無機材料焼結体
25 樹脂
【発明の属する技術分野】
この発明は、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法に関するもので、特に、無機材料部分と無機材料部分を内部に位置させる樹脂材料部分とを有する、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を成形によって製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この発明にとって興味ある無機材料−樹脂材料複合3次元構造体として、たとえば、図6に示すような医療用超音波探触子1がある。
【0003】
超音波探触子1は、無機材料部分としての複数個の柱状の圧電セラミックからなる微細なロッド2が樹脂材料部分3の内部に位置した構造を有している。複数個のロッド2は、互いに平行に並んだ状態で、樹脂材料部分3の内部に分布している。
【0004】
なお、図示されないが、超音波探触子1の図6による上下の端面上には、電極がそれぞれ形成される。これら電極には、ロッド2を構成する圧電セラミックの抗電界以上の直流電界が印加され、それによって、圧電セラミックの自発分極を配向させる処理(分極処理)が施される。また、図示したロッド2は、円柱状であるが、角柱状とされることもある。
【0005】
このような超音波探触子1が医療分野に用いられる場合、上述の電極を介してロッド2にパルス電圧が印加され、それによって、超音波パルスが励起される。この超音波パルスは体内の組織に反射されて、ロッド2に再入射し、ロッド2を振動させ、それによって得られた電気信号が電極から取り出される。この場合、圧電セラミックからなるロッド2と皮膚組織とでは音響インピーダンスが大きく異なっているため、そのマッチング特性を改善するため、ロッド2を樹脂材料部分3の内部に位置させる複合構造が採用されている。
【0006】
超音波探触子1において得られる超音波特性は、ロッド2がより微細でありかつアスペクト比がより大きいほど向上することが知られている。
【0007】
従来、超音波探触子1を製造する方法として、次のようなものが実用化または提案されている。
【0008】
A.ロッド2を得るため、押し出し成形法を用いる方法である(たとえば、特許文献1の「発明が解決しようとする課題」参照)。すなわち、押し出し成形により成形した柱状の圧電セラミック成形体を焼成してロッド2を得、得られた複数個のロッド2を、一定間隔を空けて並立させた状態とし、この状態を樹脂材料で固定することによって、樹脂材料部分3を形成し、その後、必要に応じて切断して、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0009】
B.ロッド2として、角柱状のものが作製され、この角柱状のロッド2を成形するために、金型を用いる方法である(たとえば、特許文献2参照)。すなわち、角柱状のロッド2の側面となる面で開口したキャビティを有する金型に、圧電セラミック粉末を充填することによって、圧電セラミック粉末をロッド2の形状となるように成形し、次いで、この成形体を焼成し、得られた複数個のロッド2を、一定間隔を空けて並立させた状態とし、この状態を樹脂材料で固定することによって、樹脂材料部分3を形成し、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0010】
C.ダイシングによってロッド2を得る方法である(たとえば、特許文献1の「発明が解決しようとする課題」参照)。すなわち、シリコンなどのウエハー製作用のマルチブレードのウエハーリングソーを使って圧電セラミック焼結体に網目状に切り込みを入れ(ダイシング)、この切り込みの形成によって得られた切断溝に樹脂材料を充填し、この樹脂材料を硬化させることによって樹脂材料部分3を形成した後、切断溝の深さ方向に垂直な方向に切断し、それによって、切断溝に囲まれた部分をロッド2として、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0011】
D.ロッド2をLIGA法により作製する方法である(たとえば、特許文献1の「発明が解決しようとする課題」参照)。すなわち、シンクロトロン放射光によるLIGA法によって、ロッド2を作製し、その後、樹脂材料を充填することによって樹脂材料部分3を形成し、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0012】
E.柱状の圧電セラミック焼結体の側面をエッチングすることによって、その直径を減少させて、ロッド2を得る方法である(たとえば、特許文献1の「要約」等参照)。すなわち、複数個の柱状圧電セラミック焼結体の側面を酸処理することによりエッチングして、その直径を減少させることによって、ロッド2を得、得られた複数個のロッド2を、一定間隔を空けて並立させた状態とし、この状態を樹脂材料によって固定することにより、樹脂材料部分3を形成し、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0013】
F.ロッド2を得るため、樹脂製成形型を用いる方法である(たとえば、特許文献3の請求項7等参照)。すなわち、シンクロトロン放射光の深いリソグラフ特性を利用して作製した樹脂製成形型を用意し、この樹脂製成形型に、圧電セラミックスラリーを充填し固化した後、樹脂製成形型を昇華または溶剤に溶解させ、次いで、焼成することによって圧電セラミックを焼結させてロッド2を得、その後、これらロッド2を樹脂材料で固めて樹脂材料部分3を形成し、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0014】
G.ロッド2を得るため、シリコンからなる型を用いる方法である(たとえば、非特許文献1参照)。すなわち、RIEにより微細加工したシリコンからなる型を作製し、この型に圧電セラミックスラリーを充填して、焼成した後、シリコンを酸エッチングにより除去することによって、ロッド2を得、次いで、ロッド2を樹脂材料で固めることにより、樹脂材料部分3を形成し、電極形成前の超音波探触子1を得る方法である。
【0015】
【特許文献1】
特開2001−15822号公報
【特許文献2】
特開2000−324599号公報
【特許文献3】
特開平10−51041号公報
【非特許文献1】
李、外3名,「シリコンモールディング法による3次元マイクロ構造体の作製と微小電気機械システムへの応用」,マテリアルインテグレーション,第14巻,第8号,2001年,p.45−49
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術AないしGには、それぞれ、解決されるべき課題がある。
【0017】
従来技術Aによれば、多数個のロッド2を同時に形成できるので、製造コストの低減を図ることができるが、直径の小さい、特に直径0.15mm以下のロッド2を作製することが困難である。
【0018】
従来技術Bによっても、直径の小さいロッド2を作製することが困難である。
【0019】
従来技術Cによれば、製造コストが高く、ロッド2の製造に時間がかかり、また、微細なロッド2を作製することが困難である。
【0020】
従来技術Dによれば、製造コストが高く、ロッド2の製造に時間がかかる。
【0021】
従来技術Eによれば、微細なロッド2を得るために、エッチングによって直径を減少させることを行なっているので、直径を均一にかつ所望の値にすることが困難である。また、ロッド2のような形状以外の3次元構造を有する構造体を作製することが困難である。
【0022】
従来技術Fによれば、製造コストが高く、また、樹脂製成形型にセラミックスラリーを充填する際、気泡が取り込まれやすく、したがって、この気泡の防止のため、減圧下でセラミックスラリーを充填したり、セラミックスラリーを圧入することが必要である。また、高アスペクト比のロッド2を作製することが困難である。
【0023】
従来技術Gでは、圧電セラミックとシリコンとの反応が生じやすく、そのため、圧電セラミックの特性に影響を与え、また、シリコンからなる型を酸エッチングによって除去する工程など、工程が複雑化される。
【0024】
なお、上述したような課題は、圧電セラミックからなるロッド2を樹脂材料部分3の内部に位置させた医療用超音波探触子1を製造する場合に限らず、一般に、無機材料部分と無機材料部分を内部に位置させる樹脂材料部分とを有する無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を製造する場合にも遭遇する。
【0025】
そこで、この発明の目的は、上述したような課題を解決し得る、無機材料−複合3次元構造体の製造方法を提供しようとすることである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
この発明は、無機材料部分と無機材料部分を内部に位置させる樹脂材料部分とを有する、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を成形によって製造する方法に向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0027】
この発明では、まず、無機材料部分に相関する形状を有する主キャビティが形成され、かつ、焼成によって焼失可能な樹脂材料からなる、樹脂製成形型を用意する工程が実施される。この樹脂製成形型は、上述した主キャビティだけでなく、樹脂材料部分の外表面を成形するための型となる堤状無機材料体に相関する形状を有する副キャビティと、主キャビティと副キャビティとを互いに連通させる連通通路とをさらに備えていて、また、少なくとも主キャビティは、光造形法によって形成される。
【0028】
次に、上述連通通路を通して空気を抜きながら、主キャビティまたは副キャビティから無機材料を導入することによって、主キャビティおよび副キャビティを無機材料によって充填し、それによって、連通通路を通して連結された状態で無機材料部分および堤状無機材料体の形状を与えるように無機材料を成形する工程が実施される。
【0029】
次に、無機材料を、樹脂製成形型とともに焼成し、それによって、樹脂製成形型を焼失させるとともに、互いに連結された無機材料部分および堤状無機材料体を備える無機材料焼結体を得る工程が実施される。
【0030】
次に、無機材料焼結体の、堤状無機材料体に囲まれた部分を、樹脂によって充填しかつこの樹脂を硬化させることによって、前述した樹脂材料部分を成形する工程が実施される。
【0031】
次に、少なくとも無機材料焼結体における堤状無機材料体の部分を除去する工程が実施され、それによって、目的とする無機材料−樹脂材料複合3次元構造体が得られる。
【0032】
この発明は、樹脂材料部分の内部に複数個の無機材料部分が分布する構造を有している、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を製造する場合に有利に適用される。この場合、樹脂製成形型は、複数個の主キャビティを有している。
【0033】
この発明が前述した医療用超音波探触子の製造に向けられる場合、上述の無機材料−樹脂材料複合3次元構造体は、樹脂材料部分の内部に複数個の柱状の無機材料部分が互いに平行に並んだ状態で分布する構造を有している。
【0034】
樹脂製成形型の主キャビティおよび副キャビティに充填される無機材料は、無機材料粉体を含む無機材料ペーストであることが好ましく、典型的には、無機材料はセラミックである。
【0035】
上述のように、無機材料ペーストが用いられる場合、副キャビティは、主キャビティに比べて、無機材料ペーストをより通しやすい形態を有していることが好ましい。なお、無機材料ペーストをより通しやすい形態とは、たとえば、副キャビティが、主キャビティに比べて、より大きな断面積を有していたり、より簡単な形状を有していたりすることを意味している。
【0036】
また、主キャビティおよび副キャビティは、上方に向く開口を有し、連通通路は、主キャビティと副キャビティとを各々の下端部において連通させ、樹脂製成形型の主キャビティおよび副キャビティを、無機材料によって充填する工程は、連通通路および主キャビティを通して空気を抜きながら、無機材料ペーストを副キャビティの上方に向く開口から注入するように実施されることが好ましい。
【0037】
また、この発明において、樹脂製成形型が、主キャビティを規定するとともに副キャビティの内側の壁面を規定する主成形型と、この主成形型の周囲に配置されかつ副キャビティの外側の壁面を規定する副成形型とを備える場合、少なくとも主成形型が光造形法によって作製されることが好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態の説明を、図1ないし図5を順次参照しながら、図6に示した電極形成前の医療用超音波探触子1の製造方法に関連して行なう。
【0039】
まず、図1および図2に示すような樹脂製成形型11が用意される。図1は、樹脂製成形型11を斜視図で示し、図2は、樹脂製成形型11を断面図で示している。
【0040】
樹脂製成形型11には、図6に示したロッド2に相関する形状を有する主キャビティ12が形成されている。図6に示すように、超音波探触子1は複数個のロッド12を備えているので、複数個のロッド12に対応して、複数個の主キャビティ12が設けられる。
【0041】
また、樹脂製成形型11には、図6に示した樹脂材料部分3の外表面を成形するための型となる堤状無機材料体13(図4参照)に相関する形状を有する副キャビティ14が形成されている。
【0042】
また、樹脂製成形型11には、主キャビティ12と副キャビティ14とを互いに連通させる連通通路15が形成されている。この実施形態では、主キャビティ12および副キャビティ14は、それぞれ、上方に向く開口16および17を有していて、連通通路15は、主キャビティ12と副キャビティ14とを各々の下端部において連通させるように位置している。連通通路15の形状および数は、特に図示したものには限定されない。
【0043】
樹脂製成形型11は、後で実施される焼成によって焼失可能な樹脂材料から構成される。また、少なくとも主キャビティ12は、光造形法によって形成される。
【0044】
この実施形態では、樹脂製成形型11は、たとえばアルミナからなる基台18上に載置される主成形型19と副成形型20との組み合わせから構成される。図1では、主成形型19の外側面を見せるため、副成形型20は1点鎖線で図示されている。主成形型19は、主キャビティ12を規定するとともに副キャビティ14の内側の壁面を規定している。また、副成形型20は、主成形型19の周囲に配置され、副キャビティ14の外側の壁面を規定している。
【0045】
このような構成の樹脂製成形型11は、そのすべてが光造形法によって作製されてもよいが、副成形型20については単純な形状であるので、通常の成形法によって容易に作製することができるため、光造形法は、主成形型19の作製においてのみ適用されてもよい。
【0046】
光造形法は、たとえば、生田,「マイクロ光造形法(IHプロセス)」,OPTRONICS,1996年,第4号,p.103−108、および特開2000−329920号公報などに記載されるもので、最近では、100μm以下といった微細な造形物を作製することが可能となってきている。
【0047】
光造形法は、光を照射することによって光硬化性樹脂が硬化する現象を利用しながら、得ようとする3次元構造体を薄く輪切りにした形状を有するものを、光硬化性樹脂の硬化によって得られた硬化層によって造形し、この造形を3次元構造体の端から順に実施して、目的とする3次元構造体を造形しようとする方法である。
【0048】
このような光造形法によれば、アスペクト比についての制限がなく、したがって、高アスペクト比、たとえばアスペクト比が10以上の3次元構造体を容易に作製することができる。たとえばアスペクト比が10以上の穴として形成される主キャビティ12を有する主成形型19は、このような光造形法によって問題なく製造することができる。
【0049】
なお、前述したように、主成形型19だけでなく、副成形型20も、光造形法によって作製してもよい。この場合、基台18上で、光造形法が適用され、主成形型19と副成形型20とが同時に作製される。
【0050】
光造形法において用いられる光硬化性樹脂としては、たとえば600℃程度の温度で焼失するものが好ましい。たとえば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂またはオキセタン系樹脂が有利に用いられる。一具体例を示すと、株式会社ディーメック製の「デソライトSCR730」を用いることができる。
【0051】
次に、図3に示した工程が実施される。図3は、図2に対応する断面図である。
【0052】
まず、ロッド2の材料となるべき無機材料、より特定的には、無機材料粉体を含む無機材料ペースト、さらに具体的には、圧電セラミック原料粉末を含む圧電セラミックペーストが用意される。一例として、Pb(Zr,Ti)O3 −Pb(Zn,Nb)O3 系圧電性結晶粉末を14.65重量%、PbO−GeO系結晶化ガラスを0.15重量%、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを3.0重量%、90重量%のエタノールと10重量%のイソプロピルアルコールとを混合した低沸点有機溶剤を81.2重量%、非水系マレイン酸からなる分散剤を1.0重量%それぞれ含む1次スラリーに、10重量%のエチルセルロースと90重量%のジエチレングリコールモノブチルエーテルとからなる有機ビヒクルを加え、約20〜30Pa・sの粘度となるように調整することによって、圧電セラミックペーストを得ることができる。
【0053】
図3(1)および(2)に示すように、圧電セラミックペースト21は、連通通路15を通して空気を抜きながら、主キャビティ12または副キャビティ14から導入され、それによって、主キャビティ12および副キャビティ14が圧電セラミックペースト21によって充填される。その結果、連通通路15を通して連結された状態でロッド2および堤状無機材料体13の形状を与えるように、圧電セラミックペースト21が成形される。
【0054】
より詳細には、この実施形態では、図3(1)に示すように、圧電セラミックペースト21は、副キャビティ14の上方に向く開口17から矢印22で示すように注入される。この圧電セラミックペースト21の注入に応じて、連通通路15および主キャビティ12を通して空気が抜け、矢印23で示すように、圧電セラミックペースト21は、主キャビティ12内に導入され、最終的に、図3(2)に示すように、主キャビティ12を満たす状態となる。
【0055】
上述のような圧電セラミックペースト21の導入方法を採用する場合には、副キャビティ14は、主キャビティ12に比べて、圧電セラミックペースト21をより通しやすい形態を有していることが好ましい。この実施形態では、副キャビティ14の断面積が、主キャビティ12の各々の断面積より大きくされ、それによって、圧電セラミックペースト21をより通しやすくしている。
【0056】
これに関して、副キャビティ14は、後で除去されるものであって最終製品には残らない堤状無機材料体13を成形するためのものであるので、その断面積や形状に関する設計は比較的自由に行なうことができ、上述したように、副キャビティ14の断面積を主キャビティ12の各々の断面積より大きくすることは、最終製品の形状にとらわれることなく、容易に行なうことができる。
【0057】
なお、主キャビティ12および副キャビティ14への圧電セラミックペースト21の導入にあたって、この導入をより円滑に進めるため、圧電セラミックペースト21を加圧することを妨げるものではない。また、主キャビティ12部分を減圧することを妨げるものではない。
【0058】
また、圧電セラミックペースト21は、主キャビティ12の上方に向く開口16から注入するようにしてもよい。
【0059】
次に、成形された圧電セラミックペースト21は、樹脂製成形型11とともに、たとえば750℃の温度で焼成される。それによって、図4(1)に示すように、樹脂製成形型11が焼失するとともに、圧電セラミックペースト21の焼結によって得られた、互いに連結されたロッド2および堤状無機材料体13を備える無機材料焼結体24が得られる。
【0060】
次に、図4(2)に示すように、無機材料焼結体24の、堤状無機材料体13によって囲まれた部分が、たとえばエポキシ樹脂のような樹脂25によって充填され、真空脱泡処理が施された後、硬化される。これによって、図6に示した樹脂材料部分13が成形される。
【0061】
なお、硬化前の樹脂25は、圧電セラミックペースト21に比べて、粘度を低く調整することが容易であるので、図4(1)に示すようなロッド2間の隙間やロッド2と堤状無機材料体13との隙間に、この樹脂25を容易に導入することができる。
【0062】
次に、図4(2)に示した構造物から基台18が除去された後、硬化後の樹脂25と一体化された無機材料焼結体24の上下の端部がたとえば研磨等によって除去され、それによって、図5(1)に示すような構造物が得られる。この構造物は、図6に示したロッド2および樹脂材料部分3を備えるとともに、堤状無機材料体13を備えるものである。
【0063】
次に、上述の堤状無機材料体13が研磨等によって除去され、それによって、図5(2)に示すような複数個のロッド2が互いに平行に並んだ状態で樹脂材料部分3の内部に分布している、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体としての電極形成前の超音波探触子1が得られる。
【0064】
次に、図5(2)に示した構造物の上下の端面上に電極を形成し、この電極を通して直流電界を印加して圧電セラミックからなるロッド2を分極処理することにより、超音波探触子1が完成される。
【0065】
以上、この発明を、図示した医療用超音波探触子1の製造方法に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形例が可能である。
【0066】
たとえば、ロッド2の形状として、円柱状のものが図示されたが、角柱状のものであってもよい。また、ロッドは、途中に膨らみのあるエンタシス状のものであっても、中間部に段差等がある、より複雑な形状のものであってもよい。
【0067】
また、前述した実施形態では、無機材料部分を圧電セラミックによって構成したが、たとえば、誘電体セラミックを用いることにより、誘電体レンズアレイや誘電体アンテナアレイ等を、この発明に係る製造方法によって製造することができる。また、磁性体セラミックを用いてもよい。
【0068】
また、前述した実施形態において用いた圧電セラミックペースト21は、ガラス成分を含むものであったが、ガラスをコートした粉体を含むセラミックペーストを用いても、ガラス成分を含まないセラミックペーストを用いても、さらには、セラミック以外の無機材料、たとえば金属粉体を含むペーストを用いても、ペーストではなく、金属粉体のみを無機材料として用いてもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、無機材料部分と無機材料部分を内部に位置させる樹脂材料部分とを有する、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を成形によって製造するにあたって、焼成によって焼失可能な樹脂材料からなる樹脂製成形型が用いられ、この樹脂製成形型において無機材料部分を成形するための主キャビティが光造形法によって形成されるので、主キャビティに対して高アスペクト比でありかつ任意の複雑な形状を与えることができる。したがって、この主キャビティによって成形される無機材料部分は、これが高アスペクト比であっても、複雑な形状であっても、これを容易に成形することができる。
【0070】
また、この発明において用いられる樹脂製成形型は、樹脂材料部分の外表面を成形するための型となる堤状無機材料体に相関する形状を有する副キャビティと、主キャビティと副キャビティとを互いに連通させる連通通路とを有しているので、連通通路を通して空気を抜きながら、主キャビティまたは副キャビティから無機材料を円滑に導入することができる。
【0071】
また、上述した無機材料の導入によって、連通通路を通して連結された状態で無機材料部分および堤状無機材料体の形状を与えるように無機材料が成形されるので、無機材料を、樹脂製成形型とともに焼成することによって、樹脂製成形型を焼失させるとともに、互いに連結された無機材料部分および堤状無機材料体を備える無機材料焼結体を得ることができる。したがって、無機材料部分および堤状無機材料体を一体として取り扱うことができ、次いで、堤状無機材料体に囲まれた部分を、樹脂によって充填しかつこの樹脂を硬化させることによって、樹脂材料部分を容易に成形することができる。
【0072】
そして、少なくとも無機材料焼結体における堤状無機材料体の部分を除去すれば、目的とする無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を得ることができる。
【0073】
このように、この発明によれば、無機材料部分に対して任意の形状を与えることが容易であるので、たとえば、樹脂材料部分の内部に複数個の無機材料部分が分布する構造を有する、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体や、さらには、樹脂材料部分の内部に複数個の柱状の無機材料部分が互いに平行に並んだ状態で分布する構造を有する、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を容易に製造することができる。したがって、この発明を医療用超音波探触子の製造に適用すると、そこに備える圧電セラミックからなるロッドを微細かつ高アスペクト比にすることができるので、この医療用超音波探触子の超音波特性を向上させることができる。
【0074】
この発明において、樹脂製成形型の主キャビティおよび副キャビティに充填される無機材料として、無機材料粉体を含む無機材料ペーストを用いると、これら主キャビティおよび副キャビティへの無機材料の導入をより円滑に進めることができる。
【0075】
また、この発明によれば、副キャビティによって成形される堤状無機材料体は、後の工程で除去され最終製品には残らないものであるので、副キャビティは、その断面積や形状に関して自由に設計することができる。したがって、副キャビティを、主キャビティに比べて、無機材料ペーストをより通しやすい形態とすることができ、このようにすれば、樹脂製成形型内での無機材料ペーストの流動をより円滑なものとすることができる。
【0076】
また、樹脂製成形型において、主キャビティおよび副キャビティが、上方に向く開口を有し、連通通路が、主キャビティと副キャビティとを各々の下端部において連通させ、主キャビティおよび副キャビティを、無機材料によって充填するにあたって、連通通路および主キャビティを通して空気を抜きながら、無機材料ペーストを副キャビティの上方に向く開口から注入するようにすれば、キャビティ内での空気の残留がなく、より円滑に無機材料ペーストの充填を行なうことができる。このような効果は、前述したように、副キャビティが、主キャビティに比べて、無機材料ペーストをより通しやすい形態にされていると、より顕著に発揮される。
【0077】
また、樹脂製成形型が、主キャビティを規定するとともに副キャビティの内側の壁面を規定する主成形型と、この主成形型の周囲に配置されかつ副キャビティの外側の壁面を規定する副成形型とを備える場合、少なくとも主キャビティについて、光造形法によって作製すればよく、副成形型については、一般的な成形法を適用することができるので、樹脂製成形型をより能率的にかつより安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の一例としての医療用超音波探触子1を製造する方法において用いられる樹脂製成形型11を示す斜視図である。
【図2】図1に示した樹脂製成形型11の断面図である。
【図3】樹脂製成形型11の主キャビティ12および副キャビティ14に圧電セラミックペースト21を充填する工程を説明するための断面図であり、(1)は、圧電セラミックペースト21の充填の途中の状態を示し、(2)は、充填を終えた後の状態を示す。
【図4】図3(2)に示した工程の後に実施される工程を説明するためのもので、(1)は、図3(2)に示した構造物を焼成して得られた無機材料焼結体24を示す断面図であり、(2)は、無機材料焼結体24の、堤状無機材料体13に囲まれた部分を、樹脂25によって充填しかつ樹脂25を硬化させた状態を示す断面図である。
【図5】図4(2)に示した工程の後に実施される工程を説明するためのもので、(1)は、図4(2)に示した構造物から基台18を除去しかつ樹脂25が充填された無機材料焼結体24の上下の端部を除去した状態を示す断面図であり、(2)は、(1)に示した構造物から堤状無機材料体13を除去することによって得られた電極形成前の超音波探触子1を示す断面図である。
【図6】この発明にとって興味ある医療用超音波探触子1の電極形成前の状態を一部破断して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 医療用超音波探触子
2 ロッド(無機材料部分)
3 樹脂材料部分
11 樹脂製成形型
12 主キャビティ
13 堤状無機材料体
14 副キャビティ
15 連通通路
16,17 開口
19 主成形型
20 副成形型
21 圧電セラミックペースト(無機材料ペースト)
24 無機材料焼結体
25 樹脂
Claims (8)
- 無機材料部分と前記無機材料部分を内部に位置させる樹脂材料部分とを有する、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体を成形によって製造する方法であって、
前記無機材料部分に相関する形状を有する、光造形法によって形成される主キャビティと、前記樹脂材料部分の外表面を成形するための型となる堤状無機材料体に相関する形状を有する副キャビティと、前記主キャビティと前記副キャビティとを互いに連通させる連通通路とが形成され、かつ、焼成によって焼失可能な樹脂材料からなる、樹脂製成形型を用意する工程と、
前記連通通路を通して空気を抜きながら、前記主キャビティまたは前記副キャビティから無機材料を導入することによって、前記主キャビティおよび前記副キャビティを前記無機材料によって充填し、それによって、前記連通通路を通して連結された状態で前記無機材料部分および前記堤状無機材料体の形状を与えるように前記無機材料を成形する工程と、
前記無機材料を、前記樹脂製成形型とともに焼成し、それによって、前記樹脂製成形型を焼失させるとともに、互いに連結された前記無機材料部分および前記堤状無機材料体を備える無機材料焼結体を得る工程と、
前記無機材料焼結体の、前記堤状無機材料体に囲まれた部分を、樹脂によって充填しかつ前記樹脂を硬化させることによって、前記樹脂材料部分を成形する工程と、次いで、
少なくとも前記無機材料焼結体における前記堤状無機材料体の部分を除去する工程と
を備える、無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法。 - 前記無機材料−樹脂材料複合3次元構造体は、前記樹脂材料部分の内部に複数個の前記無機材料部分が分布する構造を有し、前記樹脂製成形型は、複数個の前記主キャビティを有する、請求項1に記載の無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法。
- 前記無機材料−樹脂材料複合3次元構造体は、前記樹脂材料部分の内部に複数個の柱状の前記無機材料部分が互いに平行に並んだ状態で分布する構造を有する、請求項2に記載の無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法。
- 前記樹脂製成形型の前記主キャビティおよび前記副キャビティに充填される前記無機材料は、無機材料粉体を含む無機材料ペーストである、請求項1ないし3のいずれかに記載の無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法。
- 前記無機材料はセラミックである、請求項4に記載の無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法。
- 前記副キャビティは、前記主キャビティに比べて、前記無機材料ペーストをより通しやすい形態を有している、請求項4または5に記載の無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法。
- 前記主キャビティおよび前記副キャビティは、上方に向く開口を有し、前記連通通路は、前記主キャビティと前記副キャビティとを各々の下端部において連通させ、前記樹脂製成形型の前記主キャビティおよび前記副キャビティを、無機材料によって充填する工程は、前記連通通路および前記主キャビティを通して空気を抜きながら、前記無機材料ペーストを前記副キャビティの上方に向く前記開口から注入するように実施される、請求項4ないし6のいずれかに記載の無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法。
- 前記樹脂製成形型は、前記主キャビティを規定するとともに前記副キャビティの内側の壁面を規定する主成形型と、前記主成形型の周囲に配置されかつ前記副キャビティの外側の壁面を規定する副成形型とを備え、少なくとも前記主成形型が光造形法によって作製される、請求項1ないし7のいずれかに記載の無機材料−樹脂材料複合3次元構造体の製造方法。
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JP2012100043A (ja) * | 2010-11-01 | 2012-05-24 | Nec Corp | 発振装置及び圧電素子の製造方法 |
JP2015530741A (ja) * | 2012-08-08 | 2015-10-15 | アルピニオン メディカル システムズ カンパニー リミテッドAlpinion Medical Systems Co.,Ltd. | 複合材料のアライメント方法及びその装置 |
-
2002
- 2002-11-27 JP JP2002343857A patent/JP2004179390A/ja active Pending
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