JP2004178947A - 蛍光ランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】封入水銀量を低減し、かつそのバラツキを小さくすることができる蛍光ランプを提供することにより環境保護に寄与する。
【解決手段】発光管ネック部に、水銀合金粒を包含したコイル状線材を保持する構成とすることにより、合金粒の離脱によって蛍光体膜を損傷させたり、その合金粒の黒い影が映ることによりランプの外観を損なったり異音を発生させたりすることが無く、さらに封入水銀量ならびにそのばらつきを小さくすることができる。
【選択図】図1
【解決手段】発光管ネック部に、水銀合金粒を包含したコイル状線材を保持する構成とすることにより、合金粒の離脱によって蛍光体膜を損傷させたり、その合金粒の黒い影が映ることによりランプの外観を損なったり異音を発生させたりすることが無く、さらに封入水銀量ならびにそのばらつきを小さくすることができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水銀の定量封入を目的とした水銀合金粒を有する蛍光ランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の地球環境問題に対する関心の高まりと共に、廃棄された蛍光ランプからの水銀流出による環境汚染や、製造現場の汚染等が問題となっており、蛍光ランプに封入される水銀量を低減することが課題となっている。
【0003】
ガラス管内に水銀を封入する方法には従来から3つの方法がある。第1は液体水銀を排気管から蛍光ランプ内にドロッパで滴下する方法である。第2は予め液体水銀を封入した水銀封入カプセル(ガラスカプセルまたは金属カプセル)を、蛍光ランプ内の電極近傍に取付け、排気管をチップオフした後に前記カプセルを開封して蛍光ランプ内に水銀を放出させる方法である。第3は水銀ゲッタを電極近傍に取付け、チップオフ後に加熱により水銀を放出させる方法である。
【0004】
上記従来技術において、第1の方法では液体水銀がドロッパの通路や排気管等に留まったりし、蛍光ランプ内の水銀封入量がばらつくため、寿命時間を確保する最小水銀封入量に対して平均水銀封入量を多くしなければならないという問題があった。
【0005】
また、第2の方法では、予め水銀封入カプセルを直管状の蛍光ランプ内の電極近傍に取り付けておくために、環形蛍光ランプなどのように上記直管状蛍光ランプを湾曲形状に成形する際の高温雰囲気によって、上記水銀封入カプセルが開封してしまうことがあり、ランプ内に放出された水銀がその後の排気工程で排出されてしまうという問題があった。また、第3の方法によれば確実に水銀を定量封入できるが、部品が比較的高価であるというコスト面での不利益がある。
【0006】
近年、このような問題を解決するために、第4の方法として、亜鉛と水銀との合金粒を封入し、かつ、蛍光ランプ内の蛍光体を塗布していない部分に溶融固着することが提案されている(特開平6−338286号公報、特開平10−92321号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の第4の方法では、亜鉛と水銀との合金粒を蛍光ランプ内に投入して排気管をチップオフした後、ガラス管内壁面の蛍光体を塗布していない部分に合金粒を移動させ、加熱溶融して合金粒をガラス管内壁面に固着している。しかしながら、合金粒の固着の際、固着面が形成される温度は水銀の沸騰温度以下で、かつ主として水銀の液相がガラス管内壁面と合金粒の間を埋める温度以上にしなければならず、その加熱温度の管理範囲が狭く温度制御が困難であった。
【0008】
これに加えて、上記従来方法では合金粒をガラス管内壁面に確実に固着できない場合が起こりうるという欠点もあった。合金粒がガラス管内壁面に固着されなかったり、振動などで合金粒がガラス管内壁面から離脱してしまった蛍光ランプでは、合金粒がガラス管内を移動してその際に蛍光体膜に損傷を与えたり、蛍光体膜上に移動している場合にはその黒い影が見えるために異物と誤認されたり、ランプを振ると異音を生じたりし、使用者等が不良品と間違うといった問題点もあった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、比較的安価な手段で合金粒を発光管の管端に確実に保持することができる蛍光ランプを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の蛍光ランプにおいては、ガラス管内に水銀を含有する合金を封入し、発光管端部にネック部を形成させた蛍光ランプにおいて、前記ネック部にコイル状の線材が保持されており、かつ前記コイル状線材が前記合金を包含していることを特徴とする。
【0011】
発光管の端部となるネック部に、コイル状線材を保持する。保持方法としては、コイルがネック部の円状に沿って緩やかに曲げられる状態となった際、元の形状に戻ろうとする力を利用する。ネック部と線材の接触部に働く作用・反作用の力により前記線材はネック部に固定される。さらに、合金粒の線材への包含は、加熱膨張により線材のコイルピッチが拡大することを利用して合金をコイル内に包含させ、冷却による縮小により合金の包含を確実にする。
【0012】
本発明の構成にすることにより、水銀合金粒の発光管内での自由な移動がなくなり、そのために、蛍光体膜の損傷の恐れや異物誤認、異音発生を無くすことができる。
【0013】
本発明を用いる蛍光ランプとしては、管曲げ工程を助けるためのネック部をもつ環形蛍光ランプが適しているが、本発明の利用を目的として形成させたネック部を有する蛍光ランプであれば発光管の形状に拘らない。高周波点灯専用の細径管のランプを含む直管形・環形でもよいし、点灯安定器を構成の一部に持つ電球形蛍光ランプなどであってもよい。
【0014】
また、本発明の蛍光ランプは、ガラス管内に水銀を含有する合金を封入した蛍光ランプにおいて、コイル状線材を具備し、前記コイル状線材の一部がリード線の一部に固定されており、かつ前記コイル状線材が前記合金を包含していることを特徴とする。このように、コイル状線材の一部がリード線の一部に固定されることにより、発光管の管端部の形状に拘らず、前述した本発明に基づく効果が得られるようになる。本発明を用いる蛍光ランプとしては、上記と同様にいずれの形状・タイプでも構わない。
【0015】
また、上記の蛍光ランプにおいて、前記コイル状線材の素材はイオン化傾向が水銀より大きい素材であることが好ましい。イオン化傾向は、金属が水または水溶液中で電子を放出して陽イオンになろうとする強さの度合いである。イオン化傾向が大きいとは、陽イオンになろうとする性質が強いことである。イオン化傾向が小さい金属イオンを含む水溶液に、イオン化傾向の大きな金属単体を浸漬すると、イオン化傾向の大きな金属が溶解し、イオン化傾向の小さな金属が還元されて析出する。
【0016】
すなわち、蛍光ランプの廃棄時に水銀がイオン化して溶け出しても、イオン化傾向の大きな金属が共存することで、イオン化した水銀は還元される。この置換反応により、土壌深くまで水銀イオンが浸漬することを防止できる。具体的には、上記線材の素材の一部または全部をマグネシウム金属、アルミニウム金属、亜鉛金属、鉄金属、ニッケル金属、スズ金属、銅金属のいずれかを用いて形成することが好ましい。これらの金属のイオン化傾向は水銀より大きいため、上記の効果を期待できる。
【0017】
イオン化傾向の大きい金属は、リード線やゲッタ部品などに適用される例もあるが、既存の部品への適用は蛍光ランプの特性への影響を考慮しなければならない。こうした例からも、本発明の方法の簡便性が優っているといえる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の蛍光ランプの管端部の縦断面図を示す。図1に示す環形蛍光ランプは、内壁面に蛍光体層を有するガラス管1と、このガラス管1の両端を封止したリード線2および電極フィラメント4を有するガラスステム3とを備えている。封止されたガラス管1内には、希ガスが封入され、かつ水銀を含有する合金粒6が設けられている。水銀を含有する合金粒6は亜鉛と水銀との合金粒であり、ガラス管1のネック部7の内壁面に固着されている。ネック部7にはコイル状線材5が保持されており、コイル状線材5には水銀合金粒6が包含されている。
【0019】
次に、本発明の蛍光ランプのうち、環形蛍光ランプの製造方法について説明する。内壁面に蛍光体層を有する直管状ガラス管の両端を、リード線2および電極4を有するガラスステム3で封止した後、直管状ガラス管を加熱しながら環形状に曲げ加工を施す。そして、一方のガラスステム3の排気管8から排気処理を行った後、排気管8から合金粒6および所定の圧力のアルゴンガスを封止し、この排気管8のチップオフを行う。コイル状線材5はガラスステム封止工程または排気工程にて発光管内に導入する。
【0020】
例えば、上記ランプに使用する合金粒の平均粒径を1.5mm、コイル状線材の線径を1mmとするとき、コイル状線材のピッチは、室温で2.5mm未満、100℃以上で2.5mm以上となる素材を選択する。
【0021】
この排気工程の終了後、円周方向での回転により、直ちに環形状のガラス管のネック部7にコイル状線材5および合金粒6を落とし込むようにして位置させる。
【0022】
このとき、排気工程の加熱によりコイル状線材5のピッチが広くなっており、次の口金装着工程に至るまでに蛍光ランプが冷却されるのに伴い、コイル状線材5も冷却されそのピッチが狭くなる。このピッチの変化時に、図2のように合金6がコイル状線材5に包含される。
【0023】
図3に発光管内で電極4側からネック部7側方向を見た場合のコイル状線材5の保持の概観を示す。すなわち、合金6を包含したコイル状線材5は発光管1の管端ネック部7に、ネック部7およびガラスステム3とコイル状線材5の接触部分に働く作用・反作用の力によって保持される。
【0024】
以下、本発明の作用効果を確認するための実験例について説明する。環形蛍光ランプ(定格電力30Wクラス)において、本発明の形態を実施した。口金が回転することを防止する目的で形成されたネック部に、銅金属製コイル状線材を保持した。金属製の線材は、初めは2.2mmのピッチをもってコイル形状をなしているが、蛍光ランプ排気工程時の加熱により膨張し、ピッチが2.6mmに広がる。チップオフ後のランプを直ちに抜取り、ランプを手作業にて回転させ、コイル状線材および水銀合金がネック部に位置するようにした。このとき発光管内に自由な状態で封入された水銀合金粒は、ランプの自然冷却後にコイル状線材の中に包含された。
【0025】
振動試験を施したところ、合金粒が発光管内に自由に移動する状態にまではならず、もちろん、蛍光体膜面への接触も生じなかったため、蛍光体膜面が損傷されることもなかった。
【0026】
また、このランプについて、米国の環境保護局(EPA:Environmental Protection Agency)の毒性テスト(TCLP:Toxicity Characteristic Leaching Procedure)を実施した。この結果、水銀浸出量は相当する従来ランプの372ppbに対し、本発明ランプでは296ppbであり、水銀浸出を相当程度抑制できることが分かった。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の蛍光ランプの製造方法は、合金粒とガラス管とをばらつき無く固定することができ、ガラス管から合金粒が離脱するのを十分に防止することができるので、合金粒の離脱によってガラス管内でその合金粒が移動し、蛍光体膜を損傷したり、その合金粒の黒い影が映ることによりランプの外観を損なったり異音を発生したりすることがなく、さらに封入水銀量ならびにそのばらつきを小さくすることができる。
【0028】
本発明の蛍光ランプの製造方法によれば、封入水銀量のばらつきを減らすことで平均封入量を低減し、環境保護に寄与することができ、かつ、商品価値を損なうことのない蛍光ランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の蛍光ランプの管端部断面図。
【図2】水銀合金粒を包含するコイル状線材の外観図。
【図3】
【符号の説明】
1…ガラス管、2…リード線、3…ガラスステム、4…電極、5…コイル状線材、6…合金粒、7…ネック部、8…排気管。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水銀の定量封入を目的とした水銀合金粒を有する蛍光ランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の地球環境問題に対する関心の高まりと共に、廃棄された蛍光ランプからの水銀流出による環境汚染や、製造現場の汚染等が問題となっており、蛍光ランプに封入される水銀量を低減することが課題となっている。
【0003】
ガラス管内に水銀を封入する方法には従来から3つの方法がある。第1は液体水銀を排気管から蛍光ランプ内にドロッパで滴下する方法である。第2は予め液体水銀を封入した水銀封入カプセル(ガラスカプセルまたは金属カプセル)を、蛍光ランプ内の電極近傍に取付け、排気管をチップオフした後に前記カプセルを開封して蛍光ランプ内に水銀を放出させる方法である。第3は水銀ゲッタを電極近傍に取付け、チップオフ後に加熱により水銀を放出させる方法である。
【0004】
上記従来技術において、第1の方法では液体水銀がドロッパの通路や排気管等に留まったりし、蛍光ランプ内の水銀封入量がばらつくため、寿命時間を確保する最小水銀封入量に対して平均水銀封入量を多くしなければならないという問題があった。
【0005】
また、第2の方法では、予め水銀封入カプセルを直管状の蛍光ランプ内の電極近傍に取り付けておくために、環形蛍光ランプなどのように上記直管状蛍光ランプを湾曲形状に成形する際の高温雰囲気によって、上記水銀封入カプセルが開封してしまうことがあり、ランプ内に放出された水銀がその後の排気工程で排出されてしまうという問題があった。また、第3の方法によれば確実に水銀を定量封入できるが、部品が比較的高価であるというコスト面での不利益がある。
【0006】
近年、このような問題を解決するために、第4の方法として、亜鉛と水銀との合金粒を封入し、かつ、蛍光ランプ内の蛍光体を塗布していない部分に溶融固着することが提案されている(特開平6−338286号公報、特開平10−92321号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の第4の方法では、亜鉛と水銀との合金粒を蛍光ランプ内に投入して排気管をチップオフした後、ガラス管内壁面の蛍光体を塗布していない部分に合金粒を移動させ、加熱溶融して合金粒をガラス管内壁面に固着している。しかしながら、合金粒の固着の際、固着面が形成される温度は水銀の沸騰温度以下で、かつ主として水銀の液相がガラス管内壁面と合金粒の間を埋める温度以上にしなければならず、その加熱温度の管理範囲が狭く温度制御が困難であった。
【0008】
これに加えて、上記従来方法では合金粒をガラス管内壁面に確実に固着できない場合が起こりうるという欠点もあった。合金粒がガラス管内壁面に固着されなかったり、振動などで合金粒がガラス管内壁面から離脱してしまった蛍光ランプでは、合金粒がガラス管内を移動してその際に蛍光体膜に損傷を与えたり、蛍光体膜上に移動している場合にはその黒い影が見えるために異物と誤認されたり、ランプを振ると異音を生じたりし、使用者等が不良品と間違うといった問題点もあった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、比較的安価な手段で合金粒を発光管の管端に確実に保持することができる蛍光ランプを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の蛍光ランプにおいては、ガラス管内に水銀を含有する合金を封入し、発光管端部にネック部を形成させた蛍光ランプにおいて、前記ネック部にコイル状の線材が保持されており、かつ前記コイル状線材が前記合金を包含していることを特徴とする。
【0011】
発光管の端部となるネック部に、コイル状線材を保持する。保持方法としては、コイルがネック部の円状に沿って緩やかに曲げられる状態となった際、元の形状に戻ろうとする力を利用する。ネック部と線材の接触部に働く作用・反作用の力により前記線材はネック部に固定される。さらに、合金粒の線材への包含は、加熱膨張により線材のコイルピッチが拡大することを利用して合金をコイル内に包含させ、冷却による縮小により合金の包含を確実にする。
【0012】
本発明の構成にすることにより、水銀合金粒の発光管内での自由な移動がなくなり、そのために、蛍光体膜の損傷の恐れや異物誤認、異音発生を無くすことができる。
【0013】
本発明を用いる蛍光ランプとしては、管曲げ工程を助けるためのネック部をもつ環形蛍光ランプが適しているが、本発明の利用を目的として形成させたネック部を有する蛍光ランプであれば発光管の形状に拘らない。高周波点灯専用の細径管のランプを含む直管形・環形でもよいし、点灯安定器を構成の一部に持つ電球形蛍光ランプなどであってもよい。
【0014】
また、本発明の蛍光ランプは、ガラス管内に水銀を含有する合金を封入した蛍光ランプにおいて、コイル状線材を具備し、前記コイル状線材の一部がリード線の一部に固定されており、かつ前記コイル状線材が前記合金を包含していることを特徴とする。このように、コイル状線材の一部がリード線の一部に固定されることにより、発光管の管端部の形状に拘らず、前述した本発明に基づく効果が得られるようになる。本発明を用いる蛍光ランプとしては、上記と同様にいずれの形状・タイプでも構わない。
【0015】
また、上記の蛍光ランプにおいて、前記コイル状線材の素材はイオン化傾向が水銀より大きい素材であることが好ましい。イオン化傾向は、金属が水または水溶液中で電子を放出して陽イオンになろうとする強さの度合いである。イオン化傾向が大きいとは、陽イオンになろうとする性質が強いことである。イオン化傾向が小さい金属イオンを含む水溶液に、イオン化傾向の大きな金属単体を浸漬すると、イオン化傾向の大きな金属が溶解し、イオン化傾向の小さな金属が還元されて析出する。
【0016】
すなわち、蛍光ランプの廃棄時に水銀がイオン化して溶け出しても、イオン化傾向の大きな金属が共存することで、イオン化した水銀は還元される。この置換反応により、土壌深くまで水銀イオンが浸漬することを防止できる。具体的には、上記線材の素材の一部または全部をマグネシウム金属、アルミニウム金属、亜鉛金属、鉄金属、ニッケル金属、スズ金属、銅金属のいずれかを用いて形成することが好ましい。これらの金属のイオン化傾向は水銀より大きいため、上記の効果を期待できる。
【0017】
イオン化傾向の大きい金属は、リード線やゲッタ部品などに適用される例もあるが、既存の部品への適用は蛍光ランプの特性への影響を考慮しなければならない。こうした例からも、本発明の方法の簡便性が優っているといえる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の蛍光ランプの管端部の縦断面図を示す。図1に示す環形蛍光ランプは、内壁面に蛍光体層を有するガラス管1と、このガラス管1の両端を封止したリード線2および電極フィラメント4を有するガラスステム3とを備えている。封止されたガラス管1内には、希ガスが封入され、かつ水銀を含有する合金粒6が設けられている。水銀を含有する合金粒6は亜鉛と水銀との合金粒であり、ガラス管1のネック部7の内壁面に固着されている。ネック部7にはコイル状線材5が保持されており、コイル状線材5には水銀合金粒6が包含されている。
【0019】
次に、本発明の蛍光ランプのうち、環形蛍光ランプの製造方法について説明する。内壁面に蛍光体層を有する直管状ガラス管の両端を、リード線2および電極4を有するガラスステム3で封止した後、直管状ガラス管を加熱しながら環形状に曲げ加工を施す。そして、一方のガラスステム3の排気管8から排気処理を行った後、排気管8から合金粒6および所定の圧力のアルゴンガスを封止し、この排気管8のチップオフを行う。コイル状線材5はガラスステム封止工程または排気工程にて発光管内に導入する。
【0020】
例えば、上記ランプに使用する合金粒の平均粒径を1.5mm、コイル状線材の線径を1mmとするとき、コイル状線材のピッチは、室温で2.5mm未満、100℃以上で2.5mm以上となる素材を選択する。
【0021】
この排気工程の終了後、円周方向での回転により、直ちに環形状のガラス管のネック部7にコイル状線材5および合金粒6を落とし込むようにして位置させる。
【0022】
このとき、排気工程の加熱によりコイル状線材5のピッチが広くなっており、次の口金装着工程に至るまでに蛍光ランプが冷却されるのに伴い、コイル状線材5も冷却されそのピッチが狭くなる。このピッチの変化時に、図2のように合金6がコイル状線材5に包含される。
【0023】
図3に発光管内で電極4側からネック部7側方向を見た場合のコイル状線材5の保持の概観を示す。すなわち、合金6を包含したコイル状線材5は発光管1の管端ネック部7に、ネック部7およびガラスステム3とコイル状線材5の接触部分に働く作用・反作用の力によって保持される。
【0024】
以下、本発明の作用効果を確認するための実験例について説明する。環形蛍光ランプ(定格電力30Wクラス)において、本発明の形態を実施した。口金が回転することを防止する目的で形成されたネック部に、銅金属製コイル状線材を保持した。金属製の線材は、初めは2.2mmのピッチをもってコイル形状をなしているが、蛍光ランプ排気工程時の加熱により膨張し、ピッチが2.6mmに広がる。チップオフ後のランプを直ちに抜取り、ランプを手作業にて回転させ、コイル状線材および水銀合金がネック部に位置するようにした。このとき発光管内に自由な状態で封入された水銀合金粒は、ランプの自然冷却後にコイル状線材の中に包含された。
【0025】
振動試験を施したところ、合金粒が発光管内に自由に移動する状態にまではならず、もちろん、蛍光体膜面への接触も生じなかったため、蛍光体膜面が損傷されることもなかった。
【0026】
また、このランプについて、米国の環境保護局(EPA:Environmental Protection Agency)の毒性テスト(TCLP:Toxicity Characteristic Leaching Procedure)を実施した。この結果、水銀浸出量は相当する従来ランプの372ppbに対し、本発明ランプでは296ppbであり、水銀浸出を相当程度抑制できることが分かった。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の蛍光ランプの製造方法は、合金粒とガラス管とをばらつき無く固定することができ、ガラス管から合金粒が離脱するのを十分に防止することができるので、合金粒の離脱によってガラス管内でその合金粒が移動し、蛍光体膜を損傷したり、その合金粒の黒い影が映ることによりランプの外観を損なったり異音を発生したりすることがなく、さらに封入水銀量ならびにそのばらつきを小さくすることができる。
【0028】
本発明の蛍光ランプの製造方法によれば、封入水銀量のばらつきを減らすことで平均封入量を低減し、環境保護に寄与することができ、かつ、商品価値を損なうことのない蛍光ランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の蛍光ランプの管端部断面図。
【図2】水銀合金粒を包含するコイル状線材の外観図。
【図3】
【符号の説明】
1…ガラス管、2…リード線、3…ガラスステム、4…電極、5…コイル状線材、6…合金粒、7…ネック部、8…排気管。
Claims (4)
- ガラス管内に水銀を含有する合金を封入し、発光管端部にネック部を形成させた蛍光ランプにおいて、前記ネック部にコイル状線材が保持されており、かつ前記コイル状線材が前記合金を包含していることを特徴とする蛍光ランプ。
- ガラス管内に水銀を含有する合金を封入した蛍光ランプにおいて、コイル状線材を具備し、前記コイル状線材の一部がリード線の一部に固定されており、かつ前記コイル状線材が前記合金を包含していることを特徴とする蛍光ランプ。
- 前記合金を包含しているコイル状線材の素材は、イオン化傾向が水銀より大きい素材であることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光ランプ。
- 前記合金を包含しているコイル状線材の素材の一部または全部が、マグネシウム金属、アルミニウム金属、亜鉛金属、鉄金属、ニッケル金属、スズ金属、銅金属のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の蛍光ランプ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002343179A JP2004178947A (ja) | 2002-11-27 | 2002-11-27 | 蛍光ランプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002343179A JP2004178947A (ja) | 2002-11-27 | 2002-11-27 | 蛍光ランプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004178947A true JP2004178947A (ja) | 2004-06-24 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002343179A Pending JP2004178947A (ja) | 2002-11-27 | 2002-11-27 | 蛍光ランプ |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2004178947A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3267466A1 (en) * | 2016-07-08 | 2018-01-10 | Xylem IP Management S.à.r.l. | Uv mercury low-pressure lamp with amalgam deposit |
-
2002
- 2002-11-27 JP JP2002343179A patent/JP2004178947A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3267466A1 (en) * | 2016-07-08 | 2018-01-10 | Xylem IP Management S.à.r.l. | Uv mercury low-pressure lamp with amalgam deposit |
WO2018007578A1 (en) | 2016-07-08 | 2018-01-11 | Xylem Ip Management S.À R.L. | Uv mercury low-pressure lamp with amalgam deposit |
CN109314038A (zh) * | 2016-07-08 | 2019-02-05 | 木质部知识产权管理有限责任公司 | 具有汞齐沉积物的uv低压汞灯 |
US10593536B2 (en) | 2016-07-08 | 2020-03-17 | Xylem Ip Management S.À R.L. | UV mercury low-pressure lamp with amalgam deposit |
CN109314038B (zh) * | 2016-07-08 | 2020-10-27 | 木质部知识产权管理有限责任公司 | 具有汞齐沉积物的uv低压汞灯 |
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