JP2004177733A - 光源の自動出力制御回路を備えた光学測定機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】光源の自動出力制御回路を備えた光学測定機器において、光源の寿命のばらつきや変動に応じて光源の適切な交換時期をユーザに報知すると共に、光源をできるだけ長く使用することができるようにする。
【解決手段】光源11の駆動電流を制限する電流制限抵抗31を自動出力制御回路21と直列になるように光源11の駆動電流路に挿入し、光源11の劣化が進み、電流制限抵抗31のために自動出力制御回路21による制御が十分に働かなくなり光源11の光出力が低下し始めたときに、光源11からの光を電気信号に変換する寿命監視用受光素子16の出力信号から得られた電圧を基準電圧と比較することにより光源11が寿命に達したことを判定し、ユーザに報知する寿命監視手段22を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】光源11の駆動電流を制限する電流制限抵抗31を自動出力制御回路21と直列になるように光源11の駆動電流路に挿入し、光源11の劣化が進み、電流制限抵抗31のために自動出力制御回路21による制御が十分に働かなくなり光源11の光出力が低下し始めたときに、光源11からの光を電気信号に変換する寿命監視用受光素子16の出力信号から得られた電圧を基準電圧と比較することにより光源11が寿命に達したことを判定し、ユーザに報知する寿命監視手段22を設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの光を試料に照射し、試料からの光を受光素子で電気信号に変換して画像等の情報を得る光学測定機器に関し、詳しくは光源の出力を一定に保つための自動出力制御回路を備えた光学測定機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の光学測定機器として例えば共焦点顕微鏡がある。共焦点顕微鏡は、レーザ等の光源から発せられる単色光で試料を走査し、試料からの光を共焦点光学系を介して受光素子で受光し、その受光量の情報に基づいて試料の超深度画像や高さ分布画像を生成し画面に表示する。
【0003】
このような光学測定機器において、光源(レーザ)の出力が一定になるように制御する自動出力制御回路(以下、APC回路という)が使用されることが多い。APC回路を用いた制御は、光源の駆動電流や駆動電圧を一定にする制御と異なり、光出力そのものをモニターしてそれが一定になるように駆動電流を制御するので、非常に安定した光出力を維持することができる。
【0004】
レーザ等の光源は、長時間の使用によって徐々に劣化し、その光出力が低下する。APC回路によって光源の光出力が制御される場合は、劣化による光源の光出力低下を補うように駆動電流が増加する。つまり、一定の光出力を得るのに必要な駆動電流が光源の劣化にしたがって増加し、その結果発熱量が増え、光源の劣化が加速される。このように、APC回路によって光源の光出力が制御される場合は、光源が劣化し始めると急激に劣化が進み使用できない状態に至る。
【0005】
共焦点顕微鏡のような光学測定機器では、光源から発せられた光(例えばレーザ光)で測定対象を走査する。その走査の振幅を監視するために、PSD(ポジションセンシングデバイス)と呼ばれる別の受光素子を用いて走査光を直接監視することもある。この場合、光源の劣化による光出力の低下は、得られる画像のS/N比を低下させるだけでなく、走査振幅を安定させる制御に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
光源の急激な劣化によって画像の明るさが暗くなったり、走査振幅が不安定になったりする不具合が発生したときに、それに気付いたユーザからの問い合わせに応じて光学測定機器の製造者又は販売者が光学測定機器の修理や部品交換を行うことになる。あるいは、光学測定機器の制御部が光学測定機器の使用時間を積算し、累積使用時間があらかじめ定めた寿命設定時間に達した時点で表示やブザー鳴動等の手段によって光源の交換をユーザに促すことが行われている。この寿命設定時間は、上記のような不具合が発生するまでの時間より短い時間に設定される。
【発明が解決しようとする課題】
しかし、光源の急激な劣化に起因する上記のような不具合にユーザが気付いてから修理や部品交換を行う場合は、再び光学測定機器を使用できるようになるまでに時間ロスが発生する。また、それまでに測定したデータの信頼性が損なわれる場合がある。つまり、いつの時点から光源の劣化に起因する不具合が生じていたかが不明確な場合は、不具合が発見された時点からある程度遡ってデータの信憑性を疑う必要があり、場合によってはそれらのデータを廃棄する必要がある。
【0007】
光学測定機器の使用時間を積算し、累積使用時間があらかじめ定めた寿命設定時間に達した時点で光源の交換をユーザに促す報知を行う場合は、上記のような問題の発生を回避することができる。ところが、レーザ等の光源の実際の寿命にはばらつきがあり、使用条件によっても寿命が変動するので、寿命設定時間を適切に決めることは困難である。上記のような不具合に至る確率を小さくするには、寿命のばらつきや使用条件に伴う変動を考慮して、寿命設定時間を実際の寿命よりかなり短めに決める必要がある。
【0008】
しかしながら、光源が寿命設定時間に達したときに、その光源が実力的にはまだ使用できる状態であるにもかかわらず新しい光源と交換することは資源の有効活用の観点からは好ましくない。また、ユーザに無用のコスト負担を強いる場合がある。試料の画像(共焦点顕微鏡の場合は超深度画像等)を得たい場合のように、光学測定機器の使用目的によっては測定データの精度がさほど問題にならない場合もある。そのような場合は、測定精度が多少悪くなっても光源を新しいものに交換しないで測定を続けたいことがあるであろう。
【0009】
本発明は上記のような課題に鑑み、APC回路を備えた光学測定機器において、光源の寿命のばらつきや変動に応じて光源の適切な交換時期をユーザに報知すると共に、光源をできるだけ長く使用することができるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、試料に照射するための光を出力する光源と、試料からの光を受光して電気信号に変換し、画像等の情報を得るための測定用受光素子と、光源の光出力を監視するための監視用受光素子と、監視用受光素子の出力信号に基づいて光源の光出力が略一定になるように光源の駆動電流を制御する自動出力制御回路とを備えた光学測定機器において、光源の駆動電流を制限する電流制限抵抗を自動出力制御回路と直列になるように光源の駆動電流路に挿入し、光源の劣化が進み、電流制限抵抗のために自動出力制御回路による制御が十分に働かなくなり光源の光出力が低下し始めたときに、光源からの光を電気信号に変換する寿命監視用受光素子の出力信号から得られた電圧を基準電圧と比較することにより光源が寿命に達したことを判定し、ユーザに報知する寿命監視手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、自動出力制御回路(APC回路)と直列に接続され電流制限抵抗によって光源に供給される電流が制限されるので、光源の劣化がある程度進むと、APC回路によって光源への電流供給を増加してその光出力を一定に維持する制御が完全には機能しなくなり、光出力が低下し始める。このとき、寿命監視用受光素子の出力信号から得られた電圧を基準電圧と比較することにより(例えば比較結果出力が反転したときに)、寿命監視手段は光源が寿命に達したことを判定し、表示、ブザー鳴動、音声出力等の手段によってユーザに報知する。したがって、光源の個々の寿命のばらつきや変動に応じて光源の適切な交換時期がユーザに報知される。
【0012】
また、光源が寿命に達したことが判定されユーザに報知された時点でも、電流制限抵抗によって光源に供給される電流が制限されるので、APC回路が正常に働かなくなる代わりに、光源の劣化が加速度的に進むことはない。したがって、画像の取得のように高い精度を要求しない測定を目的とする場合は、すぐに光源を交換しなくてもしばらくの間はその光学測定機器を使用することができる。
【0013】
好ましい実施形態において、監視用受光素子は寿命監視用受光素子を兼ねている。つまり、専用の寿命監視用受光素子を新たに追加することなく、APC回路による制御のために備えられている監視用受光素子を寿命監視用受光素子として兼用することができる。これにより、本発明の構成を実現するためのコスト上昇を抑えることができる。
【0014】
別の好ましい実施形態では、光源からの光で試料を走査するための光走査手段と、その走査振幅を監視するための受光位置検出素子とを更に備え、この受光位置検出素子が寿命監視用受光素子を兼ねている。この場合も、専用の寿命監視用受光素子を新たに追加する必要がなく、本発明の構成を実現するためのコスト上昇を抑えることができる。また、上記の監視用受光素子が寿命監視用受光素子を兼ねる構成と組み合わせた場合は、受光位置検出素子が監視用受光素子及び寿命監視用受光素子を兼ね、3通りの受光素子として働くことになる。
【0015】
また、本発明の光学測定機器は、好ましくは光源からの光で試料を走査し、共焦点光学系を介して試料からの光を測定用受光素子で受光し、その受光量の情報に基づいて試料の表面の高さ分布画像又は超深度画像を生成して画面に表示する機能を有する共焦点顕微鏡である。特に、レーザを光源に用いて、そのレーザ出力を略一定に制御するAPC回路を備えた共焦点顕微鏡に本発明の構成を適用することにより、レーザの個々の寿命のばらつきや変動に応じてレーザの適切な交換時期をユーザに報知することができる。また、画像の取得のように高い精度を要求しない測定を目的とする場合は、すぐにレーザを交換しなくてもしばらくの間はその共焦点顕微鏡を使用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る光学測定機器の光学系を主として示す構成図である。この光学測定機器は、光源として半導体レーザ11を使用している。半導体レーザ11から発したレーザ光は、コリメータレンズ12を通って偏光ビームスプリッタ13で光路を曲げられ、1/4波長板14を通過する。この後、ハーフミラー15によって試料wkに向かうレーザ光と光出力監視用の受光素子(監視用受光素子)16に向かうレーザ光とに分けられる。ハーフミラー15を通過した主光路のレーザ光は試料wkに向かい、ハーフミラー15で反射した一部のレーザ光は監視用受光素子16に向かう。
【0018】
ハーフミラー15を通過した主光路のレーザ光は、水平・垂直偏向装置(光走査手段)17で水平方向及び垂直方向に偏向され、対物レンズ18を通って試料wkに集光される。したがって、試料wkはレーザ光によって水平方向及び垂直方向に(二次元平面で)走査される。
【0019】
試料wkで反射されたレーザ光は、上記の光路を逆にたどるように、対物レンズ18及び水平・垂直偏向装置17を通り、ハーフミラー15及び1/4波長板14を再び通過する。その結果、レーザ光は偏光ビームスプリッタ13を透過してPHレンズ19によって測定用受光素子20に集光される。測定用受光素子20は受光量を電気信号に変換して出力する。この電気信号を処理して所望の測定データを得ることができる。
【0020】
図1において、監視用受光素子16の出力信号は、APC回路(自動出力制御回路)21と寿命監視手段22に与えられている。一方のAPC回路は、監視用受光素子16の出力信号に基づいて半導体レーザ(光源)11の光出力が略一定になるように半導体レーザ11の駆動電流を制御する働きを有する。
【0021】
他方の寿命監視手段22は、監視用受光素子16の出力信号から得られた電圧を基準電圧と比較することにより半導体レーザ11が寿命に達したことを判定し、表示やブザー鳴動又は音声出力等の手段でユーザに報知する。寿命監視手段22の上記の働きを可能にするために、図2に示すように、半導体レーザ11の駆動電流を制限する電流制限抵抗31をAPC回路21と直列になるように半導体レーザ11の駆動電流路に挿入している。
【0022】
図2に示す半導体レーザ11の駆動電流路において、例えば電源電圧Vccが10Vであり、半導体レーザ11に100mAの駆動電流が流れ、その両端の電圧が5Vであると仮定する。また、電流制限抵抗31が20オームで2Vを分担し、APC回路21が残りの3Vを分担していると仮定する。この場合、APC回路21の内部抵抗(出力回路の抵抗)は30オームということになる。
【0023】
なお、従来の駆動電流路の場合は、電流制限抵抗31が無い(抵抗値ゼロに相当する)ので、APC回路21が残りの5Vを分担し、その内部抵抗は50オームということになる。APC回路21は、内部抵抗を調整することによって半導体レーザ11の駆動電流を調整し、一定の光出力が得られるように制御する。半導体レーザ11が劣化すると一定の駆動電流では光出力が低下する。そこで、APC回路21は光出力の低下分を補うように、内部抵抗を下げて半導体レーザ11の駆動電流を増加する。
【0024】
本発明に係る図2の半導体レーザ11の駆動電流路では、抵抗値が固定である電流制限抵抗31のために、半導体レーザ11の劣化が進むとAPC回路21による光出力を一定にする制御が十分に働かなくなる。上記の例では、半導体レーザ11の駆動電流が250mAまで増加すると、電流制限抵抗31の両端の電圧が5Vになる。したがって、半導体レーザ11の両端の電圧が5Vのままであると仮定すれば、APC回路21の分担電圧がゼロになるので、APC回路21の働きによって半導体レーザ11の駆動電流を更に増加することができなくなる。その結果、半導体レーザ11の光出力が低下し始める。
【0025】
図3は、上記のようにして半導体レーザ11の光出力が低下し始めたことを検出して半導体レーザ11が寿命に達したことを判定し、ユーザに報知する寿命監視手段22の構成例を示すブロック図である。この構成例では、監視用受光素子16の出力信号が増幅器32で増幅され、得られた電圧が比較器33で基準電圧と比較される。その比較結果である出力信号がマイクロプロセッサ(MPU)34に入力されている。
【0026】
図4は、監視用受光素子16の出力信号を増幅器32で増幅して得られた電圧である監視電圧の変化例を示すグラフである。時間の経過に伴って半導体レーザ11の劣化が進み、光出力が低下し始めると、図4に示す例では監視電圧が上昇し始める。そして、時刻T1で監視電圧があらかじめ定めた基準電圧より高くなる。この時点で比較器33の出力信号が反転するので、マイクロプロセッサ34は半導体レーザ11が寿命に達したことを判定し、報知手段35によってユーザに報知する。報知手段35としては、メッセージの表示や音声出力、又はブザー鳴動等の手段を用いることができる。
【0027】
また、電流制限抵抗31の働きにより半導体レーザ11の駆動電流が制限されるので、APC回路21が正常に働かなくなる代わりに、半導体レーザ11の劣化が加速度的に進むことはない。したがって、画像の取得のように高い精度を要求しない測定を目的とする場合は、すぐに半導体レーザ11を交換しなくてもしばらくの間は光学測定機器を使用することができる。
【0028】
なお、図1の構成では監視用受光素子16の出力信号をAPC回路21と寿命監視手段22の両方に入力して使用しているが、個別の受光素子を設けてもよい。つまり、APC回路21のための監視用受光素子16とは別に、寿命監視手段22のための専用の寿命監視用受光素子を設けてもよい。その場合は、例えばハーフミラー15と同様のハーフミラーを光路に追加して、レーザ光の一部を寿命監視用受光素子に入射させればよい。
【0029】
また、次に述べる共焦点顕微鏡のような光学測定機器において、光走査手段による走査振幅を監視するための受光位置検出素子(PSD)を備えている場合に、そのPSDを寿命監視用受光素子として兼用してもよい。
【0030】
図5は、本発明の実施形態に係る共焦点顕微鏡の構成図である。図1に示した光学測定機器と同じ構成部材については同じ参照番号を付している。半導体レーザ11から発したレーザ光は、コリメータレンズ12を通って偏光ビームスプリッタ13で光路を曲げられ、1/4波長板14を通過した後に水平・垂直偏向装置(光走査手段)17によって水平方向及び垂直方向に偏向される。偏向されたレーザ光の一部は、ハーフミラー15で反射して受光位置検出素子(PSD)23に向かう。ハーフミラー15を通過した主光路のレーザ光は、対物レンズ18を通って試料wkに集光される。
【0031】
水平垂直偏向装置17は水平偏向用のレゾナント(共振型)スキャナーと垂直偏向用のガルバノ(電磁型)スキャナーで構成されている。両者でレーザ光を水平及び垂直方向に偏向させることにより、試料wkの表面をレーザ光で走査する。説明の便宜上、水平方向をX方向、垂直方向をY方向ということにする。対物レンズ18は、対物レンズ移動機構26によりZ方向(光軸方向)に駆動される。これにより、対物レンズ18の焦点と試料wkとの光軸方向(すなわち試料wkの高さ方向)での距離を変化させることができる。
【0032】
ただし、対物レンズ18の焦点と試料wkとの光軸方向での距離は、他の方法で変化させることもできる。例えば、対物レンズ18をZ方向に駆動する代わりに試料wkを載置するステージ28をZ方向に駆動してもよい。あるいは、対物レンズ18と試料wkとの間に屈折率が変化するレンズを挿入することにより、対物レンズ18の焦点をZ方向に移動させる構成も可能である。本実施形態の共焦点顕微鏡では、対物レンズ移動機構26によって対物レンズ18がZ軸方向に電動で移動可能であると共に、ステージ28は、ステージ操作機構27によって手動操作でX方向、Y方向及びZ方向に変位可能である。
【0033】
試料wkで反射されたレーザ光は、上記の光路を逆にたどるように、対物レンズ18及びハーフミラー15を通り、水平垂直偏向装置17を経て1/4波長板14を再び通る。この結果、レーザ光は偏光ビームスプリッタ13を透過し、PHレンズ19によって集光される。集光されたレーザ光は、PHレンズ19の焦点位置に配置されたピンホール板24のピンホールを通過して測定用受光素子20に入射する。測定用受光素子20は、例えばフォトマルチプライヤチューブ(光電子増倍管)で構成され、受光量を電気信号に変換する。受光量に相当する電気信号は、出力アンプ等の信号処理回路を経てAD変換器でディジタル値に変換され、マイクロプロセッサ(図示せず)に入力される。
【0034】
上記のようなピンホール板24を含む共焦点光学系により、試料wkの高さ(表面のZ方向位置)情報を取得することができる。以下に、その原理を簡単に説明する。
【0035】
上述のように、対物レンズ18が対物レンズ移動機構26によってZ方向(光軸方向)に駆動されると、対物レンズ18の焦点と試料wkとの光軸方向での距離が変化する。そして、対物レンズ18の焦点が試料wkの表面に結ばれたときに、試料wkの表面で反射されたレーザ光は上記の光路を経てPHレンズ19で集光され、ほとんどすべてのレーザ光がピンホール板24のピンホールを通過する。したがって、このときに、測定用受光素子20の受光量が最大になる。逆に、対物レンズ18の焦点が試料wkの表面からずれている状態では、PHレンズ19によって集光されたレーザ光はピンホール板24からずれた位置に焦点を結ぶので、一部のレーザ光しかピンホールを通過することができない。その結果、測定用受光素子20の受光量は著しく低下する。
【0036】
したがって、試料wkの表面の任意の点について、対物レンズ18をZ方向(光軸方向)に駆動しながら測定用受光素子20の受光量を検出すれば、その受光量が最大になるときの対物レンズ18のZ方向位置(対物レンズ18の焦点と試料wkとの光軸方向での距離)を高さ情報として一義的に求めることができる。
【0037】
実際には、対物レンズ18を1ステップ(1ピッチ)移動するたびに水平垂直偏向装置17によって試料wkの表面を走査して測定用受光素子20の受光量を得る。対物レンズ18をZ方向での測定範囲の下端から上端まで移動させたときに、XY平面の走査範囲内の各点(画素)について、Z方向位置に応じて変化する受光量データが得られる。図6は、対物レンズ18のZ方向位置に応じて変化する受光量の例を示すグラフである。このような受光量データに基づいて、最大受光量とそのときのZ方向位置が各点(画素)ごとに得られる。このようにして、試料wkの表面高さのXY平面での分布が得られる。
【0038】
得られた表面高さの分布情報は、いくつかの方法でモニター画面に表示される。例えば3次元表示によって試料の高さ分布(表面形状)を立体的に表示することができる。あるいは、高さデータを輝度データに変換することにより、明るさの二次元分布として表示できる。高さデータを色差データに変換することにより、高さの分布を色の分布として表示することも可能である。
【0039】
また、XY走査範囲内の各点(画素)について得られた受光量を輝度データとする輝度信号から、試料wkの表面画像(白黒画像)が得られる。各画素における最大受光量を輝度データとして輝度信号を生成すれば、表面高さの異なる各点でピントの合った焦点深度の非常に深い画像(超深度画像)が得られる。また、任意の注目画素で最大受光量が得られた高さ(Z方向位置)に固定した場合は、注目画素の部分と高低差が大きい部分の画素の受光量は著しく小さくなり、注目画素と同じ高さの部分のみが明るい画像(スライス画像)が得られる。
【0040】
上記のような共焦点顕微鏡において、PSD23の出力信号が走査駆動回路25に入力されている。走査駆動回路25は、PSD23の検出した走査振幅に相当する信号に基づいて水平垂直偏向装置17の駆動制御を行い、その走査振幅が所定の値になるようにフィードバック制御を行っている。
【0041】
図5に示すように、PSD23の出力信号は、走査駆動回路25だけでなく、APC回路21及び寿命監視手段22にも入力されている。つまり、図1に示した構成における監視用受光素子16の働きをPSD23が兼ねている。これにより、監視用受光素子16を追加することなしに、既存の受光素子(PSD)を用いて本発明の構成を共焦点顕微鏡で実現することができる。その結果、寿命監視手段22の働きによって半導体レーザ11が寿命に達したことが適切に判定されユーザに報知される。
【0042】
また、電流制限抵抗31(図2参照)の働きにより半導体レーザ11の駆動電流が制限されるので、APC回路21が正常に働かなくなる代わりに、半導体レーザ11の劣化が加速度的に進むことはない。したがって、画像の取得のように高い精度を要求しない測定を目的とする場合は、すぐに半導体レーザ11を交換しなくてもしばらくの間は共焦点顕微鏡を使用することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を適宜変形例を含めながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の形態で実施することが可能である。本発明は、共焦点顕微鏡に限らず、光源の出力を一定に保つための自動出力制御回路(APC回路)を備えた種々の光学測定機器に適用することができる。また、光源として半導体レーザを用いた光学測定機器に限らず、各種レーザ、LED、水銀ランプ等、種々の発光素子を光源に用いた光学測定機器に適用することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、光源の自動出力制御回路を備えた光学測定機器において、光源の寿命のばらつきや変動に応じて光源の適切な交換時期をユーザに報知すると共に、光源をできるだけ長く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光学測定機器の光学系を主として示す構成図である。
【図2】光源である半導体レーザの駆動電流路を示す回路図である。
【図3】半導体レーザの光出力が低下し始めたことを検出して半導体レーザが寿命に達したことを判定し、ユーザに報知する寿命監視手段の構成例を示すブロック図である。
【図4】監視用受光素子の出力信号を増幅器で増幅して得られた電圧である監視電圧の変化例を示すグラフである。
【図5】本発明の実施形態に係る共焦点顕微鏡の構成図である。
【図6】対物レンズのZ方向位置に応じて変化する受光量の例を示すグラフである。
【符号の説明】
11 半導体レーザ(光源)
16 監視用受光素子(寿命監視用受光素子)
17 水平・垂直偏向装置(光走査手段)
20 測定用受光素子
21 自動出力制御回路(APC回路)
22 寿命監視手段
31 電流制限抵抗
wk 試料
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの光を試料に照射し、試料からの光を受光素子で電気信号に変換して画像等の情報を得る光学測定機器に関し、詳しくは光源の出力を一定に保つための自動出力制御回路を備えた光学測定機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の光学測定機器として例えば共焦点顕微鏡がある。共焦点顕微鏡は、レーザ等の光源から発せられる単色光で試料を走査し、試料からの光を共焦点光学系を介して受光素子で受光し、その受光量の情報に基づいて試料の超深度画像や高さ分布画像を生成し画面に表示する。
【0003】
このような光学測定機器において、光源(レーザ)の出力が一定になるように制御する自動出力制御回路(以下、APC回路という)が使用されることが多い。APC回路を用いた制御は、光源の駆動電流や駆動電圧を一定にする制御と異なり、光出力そのものをモニターしてそれが一定になるように駆動電流を制御するので、非常に安定した光出力を維持することができる。
【0004】
レーザ等の光源は、長時間の使用によって徐々に劣化し、その光出力が低下する。APC回路によって光源の光出力が制御される場合は、劣化による光源の光出力低下を補うように駆動電流が増加する。つまり、一定の光出力を得るのに必要な駆動電流が光源の劣化にしたがって増加し、その結果発熱量が増え、光源の劣化が加速される。このように、APC回路によって光源の光出力が制御される場合は、光源が劣化し始めると急激に劣化が進み使用できない状態に至る。
【0005】
共焦点顕微鏡のような光学測定機器では、光源から発せられた光(例えばレーザ光)で測定対象を走査する。その走査の振幅を監視するために、PSD(ポジションセンシングデバイス)と呼ばれる別の受光素子を用いて走査光を直接監視することもある。この場合、光源の劣化による光出力の低下は、得られる画像のS/N比を低下させるだけでなく、走査振幅を安定させる制御に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
光源の急激な劣化によって画像の明るさが暗くなったり、走査振幅が不安定になったりする不具合が発生したときに、それに気付いたユーザからの問い合わせに応じて光学測定機器の製造者又は販売者が光学測定機器の修理や部品交換を行うことになる。あるいは、光学測定機器の制御部が光学測定機器の使用時間を積算し、累積使用時間があらかじめ定めた寿命設定時間に達した時点で表示やブザー鳴動等の手段によって光源の交換をユーザに促すことが行われている。この寿命設定時間は、上記のような不具合が発生するまでの時間より短い時間に設定される。
【発明が解決しようとする課題】
しかし、光源の急激な劣化に起因する上記のような不具合にユーザが気付いてから修理や部品交換を行う場合は、再び光学測定機器を使用できるようになるまでに時間ロスが発生する。また、それまでに測定したデータの信頼性が損なわれる場合がある。つまり、いつの時点から光源の劣化に起因する不具合が生じていたかが不明確な場合は、不具合が発見された時点からある程度遡ってデータの信憑性を疑う必要があり、場合によってはそれらのデータを廃棄する必要がある。
【0007】
光学測定機器の使用時間を積算し、累積使用時間があらかじめ定めた寿命設定時間に達した時点で光源の交換をユーザに促す報知を行う場合は、上記のような問題の発生を回避することができる。ところが、レーザ等の光源の実際の寿命にはばらつきがあり、使用条件によっても寿命が変動するので、寿命設定時間を適切に決めることは困難である。上記のような不具合に至る確率を小さくするには、寿命のばらつきや使用条件に伴う変動を考慮して、寿命設定時間を実際の寿命よりかなり短めに決める必要がある。
【0008】
しかしながら、光源が寿命設定時間に達したときに、その光源が実力的にはまだ使用できる状態であるにもかかわらず新しい光源と交換することは資源の有効活用の観点からは好ましくない。また、ユーザに無用のコスト負担を強いる場合がある。試料の画像(共焦点顕微鏡の場合は超深度画像等)を得たい場合のように、光学測定機器の使用目的によっては測定データの精度がさほど問題にならない場合もある。そのような場合は、測定精度が多少悪くなっても光源を新しいものに交換しないで測定を続けたいことがあるであろう。
【0009】
本発明は上記のような課題に鑑み、APC回路を備えた光学測定機器において、光源の寿命のばらつきや変動に応じて光源の適切な交換時期をユーザに報知すると共に、光源をできるだけ長く使用することができるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、試料に照射するための光を出力する光源と、試料からの光を受光して電気信号に変換し、画像等の情報を得るための測定用受光素子と、光源の光出力を監視するための監視用受光素子と、監視用受光素子の出力信号に基づいて光源の光出力が略一定になるように光源の駆動電流を制御する自動出力制御回路とを備えた光学測定機器において、光源の駆動電流を制限する電流制限抵抗を自動出力制御回路と直列になるように光源の駆動電流路に挿入し、光源の劣化が進み、電流制限抵抗のために自動出力制御回路による制御が十分に働かなくなり光源の光出力が低下し始めたときに、光源からの光を電気信号に変換する寿命監視用受光素子の出力信号から得られた電圧を基準電圧と比較することにより光源が寿命に達したことを判定し、ユーザに報知する寿命監視手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、自動出力制御回路(APC回路)と直列に接続され電流制限抵抗によって光源に供給される電流が制限されるので、光源の劣化がある程度進むと、APC回路によって光源への電流供給を増加してその光出力を一定に維持する制御が完全には機能しなくなり、光出力が低下し始める。このとき、寿命監視用受光素子の出力信号から得られた電圧を基準電圧と比較することにより(例えば比較結果出力が反転したときに)、寿命監視手段は光源が寿命に達したことを判定し、表示、ブザー鳴動、音声出力等の手段によってユーザに報知する。したがって、光源の個々の寿命のばらつきや変動に応じて光源の適切な交換時期がユーザに報知される。
【0012】
また、光源が寿命に達したことが判定されユーザに報知された時点でも、電流制限抵抗によって光源に供給される電流が制限されるので、APC回路が正常に働かなくなる代わりに、光源の劣化が加速度的に進むことはない。したがって、画像の取得のように高い精度を要求しない測定を目的とする場合は、すぐに光源を交換しなくてもしばらくの間はその光学測定機器を使用することができる。
【0013】
好ましい実施形態において、監視用受光素子は寿命監視用受光素子を兼ねている。つまり、専用の寿命監視用受光素子を新たに追加することなく、APC回路による制御のために備えられている監視用受光素子を寿命監視用受光素子として兼用することができる。これにより、本発明の構成を実現するためのコスト上昇を抑えることができる。
【0014】
別の好ましい実施形態では、光源からの光で試料を走査するための光走査手段と、その走査振幅を監視するための受光位置検出素子とを更に備え、この受光位置検出素子が寿命監視用受光素子を兼ねている。この場合も、専用の寿命監視用受光素子を新たに追加する必要がなく、本発明の構成を実現するためのコスト上昇を抑えることができる。また、上記の監視用受光素子が寿命監視用受光素子を兼ねる構成と組み合わせた場合は、受光位置検出素子が監視用受光素子及び寿命監視用受光素子を兼ね、3通りの受光素子として働くことになる。
【0015】
また、本発明の光学測定機器は、好ましくは光源からの光で試料を走査し、共焦点光学系を介して試料からの光を測定用受光素子で受光し、その受光量の情報に基づいて試料の表面の高さ分布画像又は超深度画像を生成して画面に表示する機能を有する共焦点顕微鏡である。特に、レーザを光源に用いて、そのレーザ出力を略一定に制御するAPC回路を備えた共焦点顕微鏡に本発明の構成を適用することにより、レーザの個々の寿命のばらつきや変動に応じてレーザの適切な交換時期をユーザに報知することができる。また、画像の取得のように高い精度を要求しない測定を目的とする場合は、すぐにレーザを交換しなくてもしばらくの間はその共焦点顕微鏡を使用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る光学測定機器の光学系を主として示す構成図である。この光学測定機器は、光源として半導体レーザ11を使用している。半導体レーザ11から発したレーザ光は、コリメータレンズ12を通って偏光ビームスプリッタ13で光路を曲げられ、1/4波長板14を通過する。この後、ハーフミラー15によって試料wkに向かうレーザ光と光出力監視用の受光素子(監視用受光素子)16に向かうレーザ光とに分けられる。ハーフミラー15を通過した主光路のレーザ光は試料wkに向かい、ハーフミラー15で反射した一部のレーザ光は監視用受光素子16に向かう。
【0018】
ハーフミラー15を通過した主光路のレーザ光は、水平・垂直偏向装置(光走査手段)17で水平方向及び垂直方向に偏向され、対物レンズ18を通って試料wkに集光される。したがって、試料wkはレーザ光によって水平方向及び垂直方向に(二次元平面で)走査される。
【0019】
試料wkで反射されたレーザ光は、上記の光路を逆にたどるように、対物レンズ18及び水平・垂直偏向装置17を通り、ハーフミラー15及び1/4波長板14を再び通過する。その結果、レーザ光は偏光ビームスプリッタ13を透過してPHレンズ19によって測定用受光素子20に集光される。測定用受光素子20は受光量を電気信号に変換して出力する。この電気信号を処理して所望の測定データを得ることができる。
【0020】
図1において、監視用受光素子16の出力信号は、APC回路(自動出力制御回路)21と寿命監視手段22に与えられている。一方のAPC回路は、監視用受光素子16の出力信号に基づいて半導体レーザ(光源)11の光出力が略一定になるように半導体レーザ11の駆動電流を制御する働きを有する。
【0021】
他方の寿命監視手段22は、監視用受光素子16の出力信号から得られた電圧を基準電圧と比較することにより半導体レーザ11が寿命に達したことを判定し、表示やブザー鳴動又は音声出力等の手段でユーザに報知する。寿命監視手段22の上記の働きを可能にするために、図2に示すように、半導体レーザ11の駆動電流を制限する電流制限抵抗31をAPC回路21と直列になるように半導体レーザ11の駆動電流路に挿入している。
【0022】
図2に示す半導体レーザ11の駆動電流路において、例えば電源電圧Vccが10Vであり、半導体レーザ11に100mAの駆動電流が流れ、その両端の電圧が5Vであると仮定する。また、電流制限抵抗31が20オームで2Vを分担し、APC回路21が残りの3Vを分担していると仮定する。この場合、APC回路21の内部抵抗(出力回路の抵抗)は30オームということになる。
【0023】
なお、従来の駆動電流路の場合は、電流制限抵抗31が無い(抵抗値ゼロに相当する)ので、APC回路21が残りの5Vを分担し、その内部抵抗は50オームということになる。APC回路21は、内部抵抗を調整することによって半導体レーザ11の駆動電流を調整し、一定の光出力が得られるように制御する。半導体レーザ11が劣化すると一定の駆動電流では光出力が低下する。そこで、APC回路21は光出力の低下分を補うように、内部抵抗を下げて半導体レーザ11の駆動電流を増加する。
【0024】
本発明に係る図2の半導体レーザ11の駆動電流路では、抵抗値が固定である電流制限抵抗31のために、半導体レーザ11の劣化が進むとAPC回路21による光出力を一定にする制御が十分に働かなくなる。上記の例では、半導体レーザ11の駆動電流が250mAまで増加すると、電流制限抵抗31の両端の電圧が5Vになる。したがって、半導体レーザ11の両端の電圧が5Vのままであると仮定すれば、APC回路21の分担電圧がゼロになるので、APC回路21の働きによって半導体レーザ11の駆動電流を更に増加することができなくなる。その結果、半導体レーザ11の光出力が低下し始める。
【0025】
図3は、上記のようにして半導体レーザ11の光出力が低下し始めたことを検出して半導体レーザ11が寿命に達したことを判定し、ユーザに報知する寿命監視手段22の構成例を示すブロック図である。この構成例では、監視用受光素子16の出力信号が増幅器32で増幅され、得られた電圧が比較器33で基準電圧と比較される。その比較結果である出力信号がマイクロプロセッサ(MPU)34に入力されている。
【0026】
図4は、監視用受光素子16の出力信号を増幅器32で増幅して得られた電圧である監視電圧の変化例を示すグラフである。時間の経過に伴って半導体レーザ11の劣化が進み、光出力が低下し始めると、図4に示す例では監視電圧が上昇し始める。そして、時刻T1で監視電圧があらかじめ定めた基準電圧より高くなる。この時点で比較器33の出力信号が反転するので、マイクロプロセッサ34は半導体レーザ11が寿命に達したことを判定し、報知手段35によってユーザに報知する。報知手段35としては、メッセージの表示や音声出力、又はブザー鳴動等の手段を用いることができる。
【0027】
また、電流制限抵抗31の働きにより半導体レーザ11の駆動電流が制限されるので、APC回路21が正常に働かなくなる代わりに、半導体レーザ11の劣化が加速度的に進むことはない。したがって、画像の取得のように高い精度を要求しない測定を目的とする場合は、すぐに半導体レーザ11を交換しなくてもしばらくの間は光学測定機器を使用することができる。
【0028】
なお、図1の構成では監視用受光素子16の出力信号をAPC回路21と寿命監視手段22の両方に入力して使用しているが、個別の受光素子を設けてもよい。つまり、APC回路21のための監視用受光素子16とは別に、寿命監視手段22のための専用の寿命監視用受光素子を設けてもよい。その場合は、例えばハーフミラー15と同様のハーフミラーを光路に追加して、レーザ光の一部を寿命監視用受光素子に入射させればよい。
【0029】
また、次に述べる共焦点顕微鏡のような光学測定機器において、光走査手段による走査振幅を監視するための受光位置検出素子(PSD)を備えている場合に、そのPSDを寿命監視用受光素子として兼用してもよい。
【0030】
図5は、本発明の実施形態に係る共焦点顕微鏡の構成図である。図1に示した光学測定機器と同じ構成部材については同じ参照番号を付している。半導体レーザ11から発したレーザ光は、コリメータレンズ12を通って偏光ビームスプリッタ13で光路を曲げられ、1/4波長板14を通過した後に水平・垂直偏向装置(光走査手段)17によって水平方向及び垂直方向に偏向される。偏向されたレーザ光の一部は、ハーフミラー15で反射して受光位置検出素子(PSD)23に向かう。ハーフミラー15を通過した主光路のレーザ光は、対物レンズ18を通って試料wkに集光される。
【0031】
水平垂直偏向装置17は水平偏向用のレゾナント(共振型)スキャナーと垂直偏向用のガルバノ(電磁型)スキャナーで構成されている。両者でレーザ光を水平及び垂直方向に偏向させることにより、試料wkの表面をレーザ光で走査する。説明の便宜上、水平方向をX方向、垂直方向をY方向ということにする。対物レンズ18は、対物レンズ移動機構26によりZ方向(光軸方向)に駆動される。これにより、対物レンズ18の焦点と試料wkとの光軸方向(すなわち試料wkの高さ方向)での距離を変化させることができる。
【0032】
ただし、対物レンズ18の焦点と試料wkとの光軸方向での距離は、他の方法で変化させることもできる。例えば、対物レンズ18をZ方向に駆動する代わりに試料wkを載置するステージ28をZ方向に駆動してもよい。あるいは、対物レンズ18と試料wkとの間に屈折率が変化するレンズを挿入することにより、対物レンズ18の焦点をZ方向に移動させる構成も可能である。本実施形態の共焦点顕微鏡では、対物レンズ移動機構26によって対物レンズ18がZ軸方向に電動で移動可能であると共に、ステージ28は、ステージ操作機構27によって手動操作でX方向、Y方向及びZ方向に変位可能である。
【0033】
試料wkで反射されたレーザ光は、上記の光路を逆にたどるように、対物レンズ18及びハーフミラー15を通り、水平垂直偏向装置17を経て1/4波長板14を再び通る。この結果、レーザ光は偏光ビームスプリッタ13を透過し、PHレンズ19によって集光される。集光されたレーザ光は、PHレンズ19の焦点位置に配置されたピンホール板24のピンホールを通過して測定用受光素子20に入射する。測定用受光素子20は、例えばフォトマルチプライヤチューブ(光電子増倍管)で構成され、受光量を電気信号に変換する。受光量に相当する電気信号は、出力アンプ等の信号処理回路を経てAD変換器でディジタル値に変換され、マイクロプロセッサ(図示せず)に入力される。
【0034】
上記のようなピンホール板24を含む共焦点光学系により、試料wkの高さ(表面のZ方向位置)情報を取得することができる。以下に、その原理を簡単に説明する。
【0035】
上述のように、対物レンズ18が対物レンズ移動機構26によってZ方向(光軸方向)に駆動されると、対物レンズ18の焦点と試料wkとの光軸方向での距離が変化する。そして、対物レンズ18の焦点が試料wkの表面に結ばれたときに、試料wkの表面で反射されたレーザ光は上記の光路を経てPHレンズ19で集光され、ほとんどすべてのレーザ光がピンホール板24のピンホールを通過する。したがって、このときに、測定用受光素子20の受光量が最大になる。逆に、対物レンズ18の焦点が試料wkの表面からずれている状態では、PHレンズ19によって集光されたレーザ光はピンホール板24からずれた位置に焦点を結ぶので、一部のレーザ光しかピンホールを通過することができない。その結果、測定用受光素子20の受光量は著しく低下する。
【0036】
したがって、試料wkの表面の任意の点について、対物レンズ18をZ方向(光軸方向)に駆動しながら測定用受光素子20の受光量を検出すれば、その受光量が最大になるときの対物レンズ18のZ方向位置(対物レンズ18の焦点と試料wkとの光軸方向での距離)を高さ情報として一義的に求めることができる。
【0037】
実際には、対物レンズ18を1ステップ(1ピッチ)移動するたびに水平垂直偏向装置17によって試料wkの表面を走査して測定用受光素子20の受光量を得る。対物レンズ18をZ方向での測定範囲の下端から上端まで移動させたときに、XY平面の走査範囲内の各点(画素)について、Z方向位置に応じて変化する受光量データが得られる。図6は、対物レンズ18のZ方向位置に応じて変化する受光量の例を示すグラフである。このような受光量データに基づいて、最大受光量とそのときのZ方向位置が各点(画素)ごとに得られる。このようにして、試料wkの表面高さのXY平面での分布が得られる。
【0038】
得られた表面高さの分布情報は、いくつかの方法でモニター画面に表示される。例えば3次元表示によって試料の高さ分布(表面形状)を立体的に表示することができる。あるいは、高さデータを輝度データに変換することにより、明るさの二次元分布として表示できる。高さデータを色差データに変換することにより、高さの分布を色の分布として表示することも可能である。
【0039】
また、XY走査範囲内の各点(画素)について得られた受光量を輝度データとする輝度信号から、試料wkの表面画像(白黒画像)が得られる。各画素における最大受光量を輝度データとして輝度信号を生成すれば、表面高さの異なる各点でピントの合った焦点深度の非常に深い画像(超深度画像)が得られる。また、任意の注目画素で最大受光量が得られた高さ(Z方向位置)に固定した場合は、注目画素の部分と高低差が大きい部分の画素の受光量は著しく小さくなり、注目画素と同じ高さの部分のみが明るい画像(スライス画像)が得られる。
【0040】
上記のような共焦点顕微鏡において、PSD23の出力信号が走査駆動回路25に入力されている。走査駆動回路25は、PSD23の検出した走査振幅に相当する信号に基づいて水平垂直偏向装置17の駆動制御を行い、その走査振幅が所定の値になるようにフィードバック制御を行っている。
【0041】
図5に示すように、PSD23の出力信号は、走査駆動回路25だけでなく、APC回路21及び寿命監視手段22にも入力されている。つまり、図1に示した構成における監視用受光素子16の働きをPSD23が兼ねている。これにより、監視用受光素子16を追加することなしに、既存の受光素子(PSD)を用いて本発明の構成を共焦点顕微鏡で実現することができる。その結果、寿命監視手段22の働きによって半導体レーザ11が寿命に達したことが適切に判定されユーザに報知される。
【0042】
また、電流制限抵抗31(図2参照)の働きにより半導体レーザ11の駆動電流が制限されるので、APC回路21が正常に働かなくなる代わりに、半導体レーザ11の劣化が加速度的に進むことはない。したがって、画像の取得のように高い精度を要求しない測定を目的とする場合は、すぐに半導体レーザ11を交換しなくてもしばらくの間は共焦点顕微鏡を使用することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を適宜変形例を含めながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の形態で実施することが可能である。本発明は、共焦点顕微鏡に限らず、光源の出力を一定に保つための自動出力制御回路(APC回路)を備えた種々の光学測定機器に適用することができる。また、光源として半導体レーザを用いた光学測定機器に限らず、各種レーザ、LED、水銀ランプ等、種々の発光素子を光源に用いた光学測定機器に適用することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、光源の自動出力制御回路を備えた光学測定機器において、光源の寿命のばらつきや変動に応じて光源の適切な交換時期をユーザに報知すると共に、光源をできるだけ長く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光学測定機器の光学系を主として示す構成図である。
【図2】光源である半導体レーザの駆動電流路を示す回路図である。
【図3】半導体レーザの光出力が低下し始めたことを検出して半導体レーザが寿命に達したことを判定し、ユーザに報知する寿命監視手段の構成例を示すブロック図である。
【図4】監視用受光素子の出力信号を増幅器で増幅して得られた電圧である監視電圧の変化例を示すグラフである。
【図5】本発明の実施形態に係る共焦点顕微鏡の構成図である。
【図6】対物レンズのZ方向位置に応じて変化する受光量の例を示すグラフである。
【符号の説明】
11 半導体レーザ(光源)
16 監視用受光素子(寿命監視用受光素子)
17 水平・垂直偏向装置(光走査手段)
20 測定用受光素子
21 自動出力制御回路(APC回路)
22 寿命監視手段
31 電流制限抵抗
wk 試料
Claims (4)
- 試料に照射するための光を出力する光源と、試料からの光を受光して電気信号に変換し、画像等の情報を得るための測定用受光素子と、前記光源の光出力を監視するための監視用受光素子と、前記監視用受光素子の出力信号に基づいて前記光源の光出力が略一定になるように前記光源の駆動電流を制御する自動出力制御回路とを備えた光学測定機器において、
前記光源の駆動電流を制限する電流制限抵抗を前記自動出力制御回路と直列になるように前記光源の駆動電流路に挿入し、
前記光源の劣化が進み、前記電流制限抵抗のために前記自動出力制御回路による制御が十分に働かなくなり前記光源の光出力が低下し始めたときに、前記光源からの光を電気信号に変換する寿命監視用受光素子の出力信号から得られた電圧を基準電圧と比較することにより前記光源が寿命に達したことを判定し、ユーザに報知する寿命監視手段を設けたことを特徴とする光学測定機器。 - 前記監視用受光素子が前記寿命監視用受光素子を兼ねていることを特徴とする
請求項1記載の光学測定機器。 - 前記光源からの光で前記試料を走査するための光走査手段と、その走査振幅を監視するための受光位置検出素子とを更に備え、この受光位置検出素子が前記寿命監視用受光素子を兼ねていることを特徴とする
請求項1又は2記載の光学測定機器。 - 光源からの光で試料を走査し、共焦点光学系を介して試料からの光を測定用受光素子で受光し、その受光量の情報に基づいて前記試料の表面の高さ分布画像又は超深度画像を生成して画面に表示する機能を有する共焦点顕微鏡であることを特徴とする
請求項1、2又は3記載の光学測定機器。
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