JP2004177348A - 核酸又は蛋白質の超高感度検出方法および検出剤と検出装置 - Google Patents
核酸又は蛋白質の超高感度検出方法および検出剤と検出装置 Download PDFInfo
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Abstract
【目的】微量の核酸又は蛋白質を超高感度に検出する検出法および検出剤を提供する。
【構成】蛍光ラベルした核酸又は蛋白質で、アフィニティー法によりトラップされた微量の当該核酸又は蛋白質に、あらかじめ作製した金属のナノ粒子を作用させることにより、蛍光作用を増強することにより蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法およびこれに用いる金属ナノ粒子を含む検出剤。
【選択図】 なし
【構成】蛍光ラベルした核酸又は蛋白質で、アフィニティー法によりトラップされた微量の当該核酸又は蛋白質に、あらかじめ作製した金属のナノ粒子を作用させることにより、蛍光作用を増強することにより蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法およびこれに用いる金属ナノ粒子を含む検出剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分子生物学応用分野における核酸及び蛋白質の超高感度検出方法およびこれに用いる金属ナノ粒子を含む検出剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
分子生物学研究分野における核酸及び蛋白質の超高感度検出は、生化学作用解析の基礎となる技術である。特に、遺伝子の変異、特に一塩基(配列)の変異による多型の検出は、突然変異等に起因する疾患、例えば、ガンの診断等に有効なだけでなく、薬剤応答性や副作用の指標として必要であり、多因子疾患の病因関連遺伝子の解析や予測医療にも貢献する。
【0003】
この検出にいわゆるDNAチップの使用が有効であることが知られている。従来利用されてきた、短いDNA鎖を固定化したDNAチップ、Affymetrix社のいわゆるGene Chipは、通常約1cm角のシリコンもしくはガラス基板上にフォトリソグラフィー技術を用いて1万以上のオリゴDNA断片(DNAプローブ)を作り込んだものである。このDNAチップ上に、たとえば蛍光標識した、調べたいDNA試料を流すと、上記DNAチップ上のプローブと相補的な配列を有するDNA断片はプローブと結合し、その部分だけが蛍光により識別でき、DNA試料中のDNA断片の特定配列を認識し、定量することができる。この方法により、既に、ガン遺伝子の突然変異の検出や、遺伝子多型の検出が可能であることが示されている。また、同じくcDNAをスライドガラス上に配列したマイクロアレーも各種遺伝子検出に用いる事ができる。
【0004】
この2つの方式に共通するのは、プローブ分子と検出対象物とが特異的に結合する反応であるアフィニティー法により対象物を特定する方法と、高感度検出法である蛍光ラベル化による検出法とを組み合わせたところにある。
【0005】
この、蛍光ラベル検出法は、分析対象物に蛍光物質を結合させ、プローブ分子との反応後、蛍光剤の有無を検出することにより高感度に検出することを図るものである。それまで使われてきた高感度検出法である、放射性同位元素を用いる方法と比べ安全性において際だっており、広く応用されてきている(例えば、非特許文献1)。
【0006】
【非特許文献1】
高橋豊三著「DNAプローブの開発技術」株式会社シーエムシー発行2000年5月31日、第258〜260頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
DNA多型を含め、現行の蛍光検出法では、感度面で充分ではない場合にも対応できる、さらに高感度な反応検出システムの開発が望まれている。
【0008】
また、今後のプロテオーム分析、各種の生理機能診断に利用される酵素、抗原、DNA断片、抗体、エピトープまたはタンパク質分析において、得られるサンプル量が少ない場合などが考えられるため、尚一層の高感度化された反応検出システムの開発が望まれている。
【0009】
反応性物質をその表面に高度に集積したアフィニティー検出チップ、例えば、Gene Chipの作製には、半導体産業で使用されているフォトリソグラフィーの技術が必要である。また各種の生理機能診断に利用される酵素、抗原、DNA断片、抗体、エピトープまたはタンパク質は、それぞれ異なった性質のため同時に検出することはあまり考えてこられなかった。そのため、骨髄移植をはじめとする各種遺伝情報の検出には多数の手間と時間がかかるばかりではなく、多額の費用もかかっていた。これらを一挙に解決するためには、特性の異なるこれらの反応性物質を同じ形にして、なおかつ安定な形で固定することが望ましいが、特に異種物質の検出において同時に検出可能な、反応検出システムのが望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)上記の問題に鑑み、発明者らは鋭意研究を進めた結果、蛍光物質に対し金属ナノ粒子を近接させるとその相互作用により蛍光作用が増幅される現象を見いだした。この現象とDNAチップなどのアフィニティー検出法を組み合わせることにより、蛍光ラベルした微量の核酸又は蛋白質を超高感度に検出する手法を確立した。
(2)即ち、上記(1)において、あらかじめ作成された金属のナノ粒子を、アフィニティー法によりトラップした微量の蛍光ラベル核酸又は蛋白質に作用させて蛍光作用を増強することにより、蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法を提供するものである。
(3)上記金属ナノ粒子の材質が、金、銀もしくは銅であり、直径1〜50nmである上記(1)に記載の蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法を提供する。上記金属ナノ粒子が、金属からなる核とその核に結合する有機物の殻構造とからなる複合金属ナノ粒子であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法を提供するものである。
(4)この検出に用いられる上記アフィニティー法は、検出対象の核酸や蛋白質などと特異的結合を起こす反応プローブ分子を板状、ビーズ状、リボン状、紐もしくは糸状などの基材に直接固定したもの、あるいは担体粒子あるいは担体多孔質粒子表面に固定したものを間接的に基材に固定したものを利用し、これに蛍光ラベル化した検出対象サンプルを反応させて、特異的に吸着させることを利用する検出法であることを特徴とする、上記(1)〜(3)に記載の蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法である。
(5)アフィニティー法に用いられるプローブ分子がDNA,RNAあるいはPNA(peptide nucleic acid)およびその断片、任意の塩基配列をもったオリゴヌクレオチド、抗原、抗体あるいはエピトープ、酵素、タンパク質あるいはその機能部位ポリペプチド鎖である上記(1)〜(4)に記載の蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法を提供する。
(6)検出時の操作法を示し、上記(4)又は(5)に記載のアフィニティー検出基材に蛍光ラベル化した検出対象サンプルを反応させて特異的に結合又は吸着させた後、あらかじめ作製された金属のナノ粒子を溶剤に分散させた分散液を接触させ、必要に応じて洗浄することにより、トラップした微量の蛍光ラベルした核酸又は蛋白質に作用させて蛍光作用を増強することを特徴とした超高感度検出方法を提供する。
(7)上記検出法に用いられる材料が、金、銀もしくは銅からなる直径1〜10nmの核と高級アルコール、脂肪酸、アルカンチオールなどの有機物からなる殻構造とを持った複合型金属ナノ粒子を含み、蛍光ラベルした核酸又は蛋白質に作用させて蛍光作用を増強することを特徴とする蛍光検出用増強材料を提供する。
(8)トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンなどを含むアルカン、シクロアルカン、芳香族炭化水素などの非水系有機溶媒中に上記有機物からなる殻構造を持った複合型金属ナノ粒子を含む事を特徴とする(7)に記載の蛍光検出用増強材料を与える。
(9)上記有機物からなる殻構造を持った複合型金属ナノ粒子を、界面活性剤を用いて水もしくはアルコール、アセトンなど親水系有機溶媒に分散したことを特徴とする(7)に記載の蛍光検出用増強材料を提供する。
(10)これらをまとめた、上記(7)〜(9)の材料を用い、上記(1)〜(6)の方法で核酸及び蛋白質などを検出する高感度検出システムと装置を与える。
【0011】
【発明の実施の形態】
核酸及び蛋白質を高感度に検出する手法としては、電気泳動法、キャピラリー電気泳動法やHPLC(高機能液体クロマトグラフ)法などが知られている。その内、電気泳動法において、アクリルアミドゲル中で移動した核酸及び蛋白質を高感度で検出する方法として、銀染色法が知られている。
【0012】
ポリアクリルアミドゲル電気泳動後の蛋白質の銀染色法は、Switzer,R.C.,Merril,C.R.and Shifrin,S.(Analytical Biochemistry 98:231〜237,1979.)らによって開発され、その後、例えばMerril,C.R.,Goldmann,D.,Sedman,S.A.and Ebert,M.H.(Science 211:1437〜1438,1981.)らや、Oakley,B.R.,Kirsch,D.R.and Morris,R.(Analytical Biochemistry 105:361〜363,1980.)ら、及びWray,W.,Boulikas,T.,Wray,V.P.and Hancock,R.(Analytical Biochemistry 118:197〜203,1981.)ら等のさまざまな改良法が報告され、Somerville,L.L.and Wang,K.(Biochemical and Biophysical Reserch Communications 102:53〜58,1981.)ら、及びBiedler,J.L.,Hilliard,P.R.and Rill,R.L.(Analytical Biochemistry126:374〜380,1892.)らのように核酸の検出にも応用されるようになった。
【0013】
現在普及してきている種々の銀染色法の多くは、Oakley,B.R.,Kirsch,D.R.and Morris,R.(Analytical Biochemistry 105:361〜363,1980.)らの方法が基になっており、その検出感度は、クーマシーブリリアントブルー法(CBB法)やエチジウムブロマイド法(EB法)の50〜100倍である。この銀染色法の原理は、まだ完全に解明されてはいないが、ポリアクリルアミドゲルに固定された蛋白質のSH基や核酸のNH2 基に、アンモニア・銀水溶液(以下、銀染色液という)のAg+ または[Ag(NH3)2]+ が結合し、ホルムアルデヒド・クエン酸水溶液(以下、現像液という)によってこれを還元することにより、染色像が得られると考えられている。
【0014】
本発明は、一見この銀染色法と似ているが、大きく異なる点は、予め作製された金属ナノ粒子を作用させることと、銀染色法はあくまで銀の染色像の色により検出するのに対し、金属粒子と蛍光ラベル検体との相互作用によって検出すること、更に、対象物の分離法が、電気泳動ではなくアフィニティー法であることである。
【0015】
本発明に使う金属ナノ粒子は、蛍光ラベル検体との相互作用を行い蛍光を増幅する。この現象の詳細は未だ不明な点が多いが、金属ナノ粒子の持つプラズモン吸収の持つエネルギーが関与していると思われる。金属ナノ粒子の持つプラズモン吸収は、例えば銀の場合、1nm〜50nmの粒子で見られ、特に1〜10nmで顕著であるので、本発明においても、1〜50nm、好ましくは1〜10nmの粒子を利用することが好ましい。また、プラズモン吸収を持つ金属としては、金、銀および銅が好ましく、特に銀が好ましい。
【0016】
また、裸の金属ナノ粒子はその表面エネルギーのために速やかに相互に合体、結合してしまうため、何らかの保護層を持つことが好ましく、また、分析対象物である核酸・蛋白質と親和性を持つことが好ましく、この点において表面疎水性を持つ高級アルコール、脂肪酸、アルカンチオールに保護された金属ナノ粒子が好ましい。
【0017】
アフィニティー法としては、いわゆるDNAチップに利用される、DNAの相補作用を用いた、いわゆるハイブリタイズを用いる検出法の何れにも用いることが出来る。特に、多孔質ガラス、シリカゲル、イオン交換樹脂などの結合性表面を持つ多孔質担体の表面に反応性物質であるDNA断片、酵素、抗原、抗体、エピトープまたはタンパク質などをエポキシ化反応、酸アミド結合などを用い固定しこの反応性物質を多孔質担体ごと基板上の少なくとも1つの表面上の複数の微小区分の1つ以上の区分に固定化することによって作製された、チップを用いることにより、高感度に検出される。この際、固定は担体の外面で行われるため必要な反応性は多孔質体の内面で維持される。
【0018】
基材は、検出システムに対して変化しない安定な素材であれば良く、多孔質担体を固定するのに適した表面特性を持つものが必要であり、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、シリコンウエハーなどの無機基板が好ましいが、多孔質担体との結合方法を工夫することによりポリエステルフィルムやポリエチレンフィルムなどの有機基板を用いることもでき、場合によっては紙類を用いることもできる。
【0019】
また、基板表面には担体結合材との親和性等を調整する目的で適当な表面処理を施すこともできる。また多孔質担体は、反応性物質である任意の構成を持つタンパク質もしくは任意の塩基配列を持ったオリゴヌクレオチドなどを担持する材料であり、多孔質ガラス、シリカゲル、イオン交換樹脂のような結合能力のある多孔質材料が好ましい。多孔質担体表面は反応性物質との親和性等を調整する目的で適当な表面処理を施すことが好ましい。多孔質担体への反応性物質の担持方法は特に規定はないが、例えば、多孔質担体表面にアミノ基を固定した後、ポリペプチド鎖を合成する方法などが用いられる。
【0020】
多孔質担体の大きさは任意に選べるが、基板上に多数の異なる種類の反応性物質を担持した担体を固定することを考えると、1〜100ミクロンの粉末状の担体が好ましく、特に3ミクロン〜20ミクロンが好ましい。これは、反応性物質を担持させる過程の作業性からは粒子径が大きめの方が好ましいが、反応性物質を担持した後の多孔質担体を固定化する際には、粒子径が小さめの方が好ましいためである。
【0021】
多孔質担体の基板への固定は、担体をシリカゾルなどの何らかの固定化剤と共に水などの溶媒に分散し、ディスペンサー、スポッター等による配列、印刷などにより固定する。基材の形状には特に制限はなく、例えばフィルムまたはシートのような平板状のものであることができ、それ以外に立法体、棒状、紐状、球状のものであっても良い。板状の場合、基板の厚みや大きさにも特に制限はなく、基板の厚みは、基板に必要とされる形状安定性を考慮して適宜決定され、さらに基板の大きさは、基板表面上に設けられる微小区分の数等を考慮して適宜決定される。尚、本発明において基板表面上の微小区分とは、仮想の区分であって、各区分が物質的に分割されて存在するわけではなく、仮想的に設けた区画である。
【0022】
本発明における「反応性物質」における「反応性」とは、化学反応によりイオン結合や共有結合による化学構造等が変化する場合のみではなく、ファンデアワールス力、水素結合、配位結合、化学吸着、物理吸着等のその他の様式により、他の物質と結合した状況を作り得る性質を意味する。
【0023】
そのような反応性物質としては、任意の構成を持つタンパク質もしくは任意の塩基配列を持ったオリゴヌクレオチドなどを担持する材料であるが、当然のことながらこれらに限定されるものではない。本発明のアフィニティー検出チップにおいて、微小区分、即ち反応性物質の区分の集積度には特に制限はない。アフィニティー検出チップの用途に応じて必要とされ、かつ都合の良い集積度は異なるので、用途に応じて適宜、集積度は変化させることができる。例示的には、アフィニティー検出チップ表面1cm2当たりの微小区分は100個以上とすることができ、基板の材質や反応性物質を調整することにより、表面1cm2当たり10000個程度の微小区分を設けることはできる。
【0024】
本発明において多孔質担体を使用する場合、アフィニティー検出チップは、反応性物質が多孔質担体に固定化されているため、基板上で滲みや、遊離することが少なく、かつ、多孔質担体が微小であるために溶液として基板上に高密度に一定の区画内に固定化することができる。多孔質担体に固定する反応性物質は、アフィニティー検出チップの用途に応じて、同種または異種の物質であることができる。また、作業効率の観点からは、複数の反応性物質を一度に担持させることが好ましく、より好ましくは、全ての反応性物質を一度に担持させる。反応性物質担持多孔質担体は、それぞれ別途調製し保存することができ、必要に応じて、必要な組み合わせで、基板上に固定化することができる。特に、オリゴヌクレオチドを合成した多孔質担体の場合、通常の合成プロセスが利用できるので、きわめて実用性が高い。
【0025】
検出操作は、上記基材上のプローブ分子と相補性を持つ核酸、あるいは特異的結合をする蛋白質に例えばCy5又はCy3などの蛍光物質でラベルし、適切な条件で反応させる。その後、結合しなかったサンプルを例えば各種緩衝液を用い洗浄する。その後、アフィニティー検出チップを、通常は、スキャナーと呼ばれる検出器にかける。
【0026】
本発明は、この時点で検出対象物質が結合した基材にトルエン、ヘキサン、シクロヘキサンなどを含むアルカン、シクロアルカン、芳香族炭化水素などの非水系有機溶媒中に上記有機物からなる殻構造を持った複合型金属ナノ粒子を含有する蛍光検出用増強材料、もしくは当該複合型金属ナノ粒子を、水もしくはアルコール、アセトンなど親水系有機溶媒に、界面活性剤を用いて分散した蛍光検出用増強材料を接触させ、金属ナノ粒子と検出対象核酸又は蛋白質とを相互作用させることによって蛍光作用を増強した後、さらに必要に応じて洗浄し、次いで、スキャナーと呼ばれる、検出器にかけて蛍光を検出する。
【0027】
【実施例】
以下の実施例により本発明をより詳細に説明する。しかしながら、これら実施例は本発明を限定をするものではない。
[実施例1]
表面をγ−アミノプロピルシリル化した、細孔径50nm、直径5μmの多孔質ガラス粉末を用い、常法によりこの多孔質ガラス粉末に各種のオリゴヌクレオチドを合成、担持した。このオリゴヌクレオチド担持多孔質ガラス粉体を基材状に配列固定して得られた、アフィニティー検出チップに、Cy3ラベルした検体cDNAを接触させた。これに、ミリスチルアルコール保護型銀ナノ粒子をシクロヘキサンに分散した液を滴下し乾燥した。この結果、蛍光強度が初期値の100倍程度に増強された。
[実施例2]
表面アミノ化した平均粒径10ミクロンのイオン交換樹脂粉末上に数種の構成を持つタンパク質を合成した。このタンパク質担持イオン交換樹脂粉体を配列固定して750種類のタンパク反応によるアフィニティー検出チップが作成された。得られた、アフィニティー検出チップにCy3でラベルした検体を反応させた。反応済みの検出チップに、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウムにより純水中に分散された、ステアリン酸保護型銀ナノ粒子を滴下し吸着させた。蛍光強度が初期値の50倍程度に増強された。
[実施例3]
ICタグによってラベル化された多孔質ガラスビーズ上に抗体を結合した。このビーズにCy5ラベル蛋白質を反応させた。これに、ミリスチルアルコール保護型銀ナノ粒子をシクロヘキサンに分散した液を滴下し乾燥した。蛍光強度が初期値の100倍程度に増強された。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、アフィニティー法によりトラップした微量の蛍光ラベルした核酸・蛋白質の検出感度を数十倍から100倍程度増感する事ができる。これにより、従来法より少量のサンプルで充分な信号強度が得られることにより、アフィニティー法検出システムをより高感度にする事ができ、システム全体のコストを下げ、より使いやすい方法にする事ができる。
【産業上の利用分野】本発明は、分子生物学応用分野における核酸及び蛋白質の超高感度検出方法およびこれに用いる金属ナノ粒子を含む検出剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
分子生物学研究分野における核酸及び蛋白質の超高感度検出は、生化学作用解析の基礎となる技術である。特に、遺伝子の変異、特に一塩基(配列)の変異による多型の検出は、突然変異等に起因する疾患、例えば、ガンの診断等に有効なだけでなく、薬剤応答性や副作用の指標として必要であり、多因子疾患の病因関連遺伝子の解析や予測医療にも貢献する。
【0003】
この検出にいわゆるDNAチップの使用が有効であることが知られている。従来利用されてきた、短いDNA鎖を固定化したDNAチップ、Affymetrix社のいわゆるGene Chipは、通常約1cm角のシリコンもしくはガラス基板上にフォトリソグラフィー技術を用いて1万以上のオリゴDNA断片(DNAプローブ)を作り込んだものである。このDNAチップ上に、たとえば蛍光標識した、調べたいDNA試料を流すと、上記DNAチップ上のプローブと相補的な配列を有するDNA断片はプローブと結合し、その部分だけが蛍光により識別でき、DNA試料中のDNA断片の特定配列を認識し、定量することができる。この方法により、既に、ガン遺伝子の突然変異の検出や、遺伝子多型の検出が可能であることが示されている。また、同じくcDNAをスライドガラス上に配列したマイクロアレーも各種遺伝子検出に用いる事ができる。
【0004】
この2つの方式に共通するのは、プローブ分子と検出対象物とが特異的に結合する反応であるアフィニティー法により対象物を特定する方法と、高感度検出法である蛍光ラベル化による検出法とを組み合わせたところにある。
【0005】
この、蛍光ラベル検出法は、分析対象物に蛍光物質を結合させ、プローブ分子との反応後、蛍光剤の有無を検出することにより高感度に検出することを図るものである。それまで使われてきた高感度検出法である、放射性同位元素を用いる方法と比べ安全性において際だっており、広く応用されてきている(例えば、非特許文献1)。
【0006】
【非特許文献1】
高橋豊三著「DNAプローブの開発技術」株式会社シーエムシー発行2000年5月31日、第258〜260頁
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
DNA多型を含め、現行の蛍光検出法では、感度面で充分ではない場合にも対応できる、さらに高感度な反応検出システムの開発が望まれている。
【0008】
また、今後のプロテオーム分析、各種の生理機能診断に利用される酵素、抗原、DNA断片、抗体、エピトープまたはタンパク質分析において、得られるサンプル量が少ない場合などが考えられるため、尚一層の高感度化された反応検出システムの開発が望まれている。
【0009】
反応性物質をその表面に高度に集積したアフィニティー検出チップ、例えば、Gene Chipの作製には、半導体産業で使用されているフォトリソグラフィーの技術が必要である。また各種の生理機能診断に利用される酵素、抗原、DNA断片、抗体、エピトープまたはタンパク質は、それぞれ異なった性質のため同時に検出することはあまり考えてこられなかった。そのため、骨髄移植をはじめとする各種遺伝情報の検出には多数の手間と時間がかかるばかりではなく、多額の費用もかかっていた。これらを一挙に解決するためには、特性の異なるこれらの反応性物質を同じ形にして、なおかつ安定な形で固定することが望ましいが、特に異種物質の検出において同時に検出可能な、反応検出システムのが望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)上記の問題に鑑み、発明者らは鋭意研究を進めた結果、蛍光物質に対し金属ナノ粒子を近接させるとその相互作用により蛍光作用が増幅される現象を見いだした。この現象とDNAチップなどのアフィニティー検出法を組み合わせることにより、蛍光ラベルした微量の核酸又は蛋白質を超高感度に検出する手法を確立した。
(2)即ち、上記(1)において、あらかじめ作成された金属のナノ粒子を、アフィニティー法によりトラップした微量の蛍光ラベル核酸又は蛋白質に作用させて蛍光作用を増強することにより、蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法を提供するものである。
(3)上記金属ナノ粒子の材質が、金、銀もしくは銅であり、直径1〜50nmである上記(1)に記載の蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法を提供する。上記金属ナノ粒子が、金属からなる核とその核に結合する有機物の殻構造とからなる複合金属ナノ粒子であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法を提供するものである。
(4)この検出に用いられる上記アフィニティー法は、検出対象の核酸や蛋白質などと特異的結合を起こす反応プローブ分子を板状、ビーズ状、リボン状、紐もしくは糸状などの基材に直接固定したもの、あるいは担体粒子あるいは担体多孔質粒子表面に固定したものを間接的に基材に固定したものを利用し、これに蛍光ラベル化した検出対象サンプルを反応させて、特異的に吸着させることを利用する検出法であることを特徴とする、上記(1)〜(3)に記載の蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法である。
(5)アフィニティー法に用いられるプローブ分子がDNA,RNAあるいはPNA(peptide nucleic acid)およびその断片、任意の塩基配列をもったオリゴヌクレオチド、抗原、抗体あるいはエピトープ、酵素、タンパク質あるいはその機能部位ポリペプチド鎖である上記(1)〜(4)に記載の蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法を提供する。
(6)検出時の操作法を示し、上記(4)又は(5)に記載のアフィニティー検出基材に蛍光ラベル化した検出対象サンプルを反応させて特異的に結合又は吸着させた後、あらかじめ作製された金属のナノ粒子を溶剤に分散させた分散液を接触させ、必要に応じて洗浄することにより、トラップした微量の蛍光ラベルした核酸又は蛋白質に作用させて蛍光作用を増強することを特徴とした超高感度検出方法を提供する。
(7)上記検出法に用いられる材料が、金、銀もしくは銅からなる直径1〜10nmの核と高級アルコール、脂肪酸、アルカンチオールなどの有機物からなる殻構造とを持った複合型金属ナノ粒子を含み、蛍光ラベルした核酸又は蛋白質に作用させて蛍光作用を増強することを特徴とする蛍光検出用増強材料を提供する。
(8)トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンなどを含むアルカン、シクロアルカン、芳香族炭化水素などの非水系有機溶媒中に上記有機物からなる殻構造を持った複合型金属ナノ粒子を含む事を特徴とする(7)に記載の蛍光検出用増強材料を与える。
(9)上記有機物からなる殻構造を持った複合型金属ナノ粒子を、界面活性剤を用いて水もしくはアルコール、アセトンなど親水系有機溶媒に分散したことを特徴とする(7)に記載の蛍光検出用増強材料を提供する。
(10)これらをまとめた、上記(7)〜(9)の材料を用い、上記(1)〜(6)の方法で核酸及び蛋白質などを検出する高感度検出システムと装置を与える。
【0011】
【発明の実施の形態】
核酸及び蛋白質を高感度に検出する手法としては、電気泳動法、キャピラリー電気泳動法やHPLC(高機能液体クロマトグラフ)法などが知られている。その内、電気泳動法において、アクリルアミドゲル中で移動した核酸及び蛋白質を高感度で検出する方法として、銀染色法が知られている。
【0012】
ポリアクリルアミドゲル電気泳動後の蛋白質の銀染色法は、Switzer,R.C.,Merril,C.R.and Shifrin,S.(Analytical Biochemistry 98:231〜237,1979.)らによって開発され、その後、例えばMerril,C.R.,Goldmann,D.,Sedman,S.A.and Ebert,M.H.(Science 211:1437〜1438,1981.)らや、Oakley,B.R.,Kirsch,D.R.and Morris,R.(Analytical Biochemistry 105:361〜363,1980.)ら、及びWray,W.,Boulikas,T.,Wray,V.P.and Hancock,R.(Analytical Biochemistry 118:197〜203,1981.)ら等のさまざまな改良法が報告され、Somerville,L.L.and Wang,K.(Biochemical and Biophysical Reserch Communications 102:53〜58,1981.)ら、及びBiedler,J.L.,Hilliard,P.R.and Rill,R.L.(Analytical Biochemistry126:374〜380,1892.)らのように核酸の検出にも応用されるようになった。
【0013】
現在普及してきている種々の銀染色法の多くは、Oakley,B.R.,Kirsch,D.R.and Morris,R.(Analytical Biochemistry 105:361〜363,1980.)らの方法が基になっており、その検出感度は、クーマシーブリリアントブルー法(CBB法)やエチジウムブロマイド法(EB法)の50〜100倍である。この銀染色法の原理は、まだ完全に解明されてはいないが、ポリアクリルアミドゲルに固定された蛋白質のSH基や核酸のNH2 基に、アンモニア・銀水溶液(以下、銀染色液という)のAg+ または[Ag(NH3)2]+ が結合し、ホルムアルデヒド・クエン酸水溶液(以下、現像液という)によってこれを還元することにより、染色像が得られると考えられている。
【0014】
本発明は、一見この銀染色法と似ているが、大きく異なる点は、予め作製された金属ナノ粒子を作用させることと、銀染色法はあくまで銀の染色像の色により検出するのに対し、金属粒子と蛍光ラベル検体との相互作用によって検出すること、更に、対象物の分離法が、電気泳動ではなくアフィニティー法であることである。
【0015】
本発明に使う金属ナノ粒子は、蛍光ラベル検体との相互作用を行い蛍光を増幅する。この現象の詳細は未だ不明な点が多いが、金属ナノ粒子の持つプラズモン吸収の持つエネルギーが関与していると思われる。金属ナノ粒子の持つプラズモン吸収は、例えば銀の場合、1nm〜50nmの粒子で見られ、特に1〜10nmで顕著であるので、本発明においても、1〜50nm、好ましくは1〜10nmの粒子を利用することが好ましい。また、プラズモン吸収を持つ金属としては、金、銀および銅が好ましく、特に銀が好ましい。
【0016】
また、裸の金属ナノ粒子はその表面エネルギーのために速やかに相互に合体、結合してしまうため、何らかの保護層を持つことが好ましく、また、分析対象物である核酸・蛋白質と親和性を持つことが好ましく、この点において表面疎水性を持つ高級アルコール、脂肪酸、アルカンチオールに保護された金属ナノ粒子が好ましい。
【0017】
アフィニティー法としては、いわゆるDNAチップに利用される、DNAの相補作用を用いた、いわゆるハイブリタイズを用いる検出法の何れにも用いることが出来る。特に、多孔質ガラス、シリカゲル、イオン交換樹脂などの結合性表面を持つ多孔質担体の表面に反応性物質であるDNA断片、酵素、抗原、抗体、エピトープまたはタンパク質などをエポキシ化反応、酸アミド結合などを用い固定しこの反応性物質を多孔質担体ごと基板上の少なくとも1つの表面上の複数の微小区分の1つ以上の区分に固定化することによって作製された、チップを用いることにより、高感度に検出される。この際、固定は担体の外面で行われるため必要な反応性は多孔質体の内面で維持される。
【0018】
基材は、検出システムに対して変化しない安定な素材であれば良く、多孔質担体を固定するのに適した表面特性を持つものが必要であり、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、シリコンウエハーなどの無機基板が好ましいが、多孔質担体との結合方法を工夫することによりポリエステルフィルムやポリエチレンフィルムなどの有機基板を用いることもでき、場合によっては紙類を用いることもできる。
【0019】
また、基板表面には担体結合材との親和性等を調整する目的で適当な表面処理を施すこともできる。また多孔質担体は、反応性物質である任意の構成を持つタンパク質もしくは任意の塩基配列を持ったオリゴヌクレオチドなどを担持する材料であり、多孔質ガラス、シリカゲル、イオン交換樹脂のような結合能力のある多孔質材料が好ましい。多孔質担体表面は反応性物質との親和性等を調整する目的で適当な表面処理を施すことが好ましい。多孔質担体への反応性物質の担持方法は特に規定はないが、例えば、多孔質担体表面にアミノ基を固定した後、ポリペプチド鎖を合成する方法などが用いられる。
【0020】
多孔質担体の大きさは任意に選べるが、基板上に多数の異なる種類の反応性物質を担持した担体を固定することを考えると、1〜100ミクロンの粉末状の担体が好ましく、特に3ミクロン〜20ミクロンが好ましい。これは、反応性物質を担持させる過程の作業性からは粒子径が大きめの方が好ましいが、反応性物質を担持した後の多孔質担体を固定化する際には、粒子径が小さめの方が好ましいためである。
【0021】
多孔質担体の基板への固定は、担体をシリカゾルなどの何らかの固定化剤と共に水などの溶媒に分散し、ディスペンサー、スポッター等による配列、印刷などにより固定する。基材の形状には特に制限はなく、例えばフィルムまたはシートのような平板状のものであることができ、それ以外に立法体、棒状、紐状、球状のものであっても良い。板状の場合、基板の厚みや大きさにも特に制限はなく、基板の厚みは、基板に必要とされる形状安定性を考慮して適宜決定され、さらに基板の大きさは、基板表面上に設けられる微小区分の数等を考慮して適宜決定される。尚、本発明において基板表面上の微小区分とは、仮想の区分であって、各区分が物質的に分割されて存在するわけではなく、仮想的に設けた区画である。
【0022】
本発明における「反応性物質」における「反応性」とは、化学反応によりイオン結合や共有結合による化学構造等が変化する場合のみではなく、ファンデアワールス力、水素結合、配位結合、化学吸着、物理吸着等のその他の様式により、他の物質と結合した状況を作り得る性質を意味する。
【0023】
そのような反応性物質としては、任意の構成を持つタンパク質もしくは任意の塩基配列を持ったオリゴヌクレオチドなどを担持する材料であるが、当然のことながらこれらに限定されるものではない。本発明のアフィニティー検出チップにおいて、微小区分、即ち反応性物質の区分の集積度には特に制限はない。アフィニティー検出チップの用途に応じて必要とされ、かつ都合の良い集積度は異なるので、用途に応じて適宜、集積度は変化させることができる。例示的には、アフィニティー検出チップ表面1cm2当たりの微小区分は100個以上とすることができ、基板の材質や反応性物質を調整することにより、表面1cm2当たり10000個程度の微小区分を設けることはできる。
【0024】
本発明において多孔質担体を使用する場合、アフィニティー検出チップは、反応性物質が多孔質担体に固定化されているため、基板上で滲みや、遊離することが少なく、かつ、多孔質担体が微小であるために溶液として基板上に高密度に一定の区画内に固定化することができる。多孔質担体に固定する反応性物質は、アフィニティー検出チップの用途に応じて、同種または異種の物質であることができる。また、作業効率の観点からは、複数の反応性物質を一度に担持させることが好ましく、より好ましくは、全ての反応性物質を一度に担持させる。反応性物質担持多孔質担体は、それぞれ別途調製し保存することができ、必要に応じて、必要な組み合わせで、基板上に固定化することができる。特に、オリゴヌクレオチドを合成した多孔質担体の場合、通常の合成プロセスが利用できるので、きわめて実用性が高い。
【0025】
検出操作は、上記基材上のプローブ分子と相補性を持つ核酸、あるいは特異的結合をする蛋白質に例えばCy5又はCy3などの蛍光物質でラベルし、適切な条件で反応させる。その後、結合しなかったサンプルを例えば各種緩衝液を用い洗浄する。その後、アフィニティー検出チップを、通常は、スキャナーと呼ばれる検出器にかける。
【0026】
本発明は、この時点で検出対象物質が結合した基材にトルエン、ヘキサン、シクロヘキサンなどを含むアルカン、シクロアルカン、芳香族炭化水素などの非水系有機溶媒中に上記有機物からなる殻構造を持った複合型金属ナノ粒子を含有する蛍光検出用増強材料、もしくは当該複合型金属ナノ粒子を、水もしくはアルコール、アセトンなど親水系有機溶媒に、界面活性剤を用いて分散した蛍光検出用増強材料を接触させ、金属ナノ粒子と検出対象核酸又は蛋白質とを相互作用させることによって蛍光作用を増強した後、さらに必要に応じて洗浄し、次いで、スキャナーと呼ばれる、検出器にかけて蛍光を検出する。
【0027】
【実施例】
以下の実施例により本発明をより詳細に説明する。しかしながら、これら実施例は本発明を限定をするものではない。
[実施例1]
表面をγ−アミノプロピルシリル化した、細孔径50nm、直径5μmの多孔質ガラス粉末を用い、常法によりこの多孔質ガラス粉末に各種のオリゴヌクレオチドを合成、担持した。このオリゴヌクレオチド担持多孔質ガラス粉体を基材状に配列固定して得られた、アフィニティー検出チップに、Cy3ラベルした検体cDNAを接触させた。これに、ミリスチルアルコール保護型銀ナノ粒子をシクロヘキサンに分散した液を滴下し乾燥した。この結果、蛍光強度が初期値の100倍程度に増強された。
[実施例2]
表面アミノ化した平均粒径10ミクロンのイオン交換樹脂粉末上に数種の構成を持つタンパク質を合成した。このタンパク質担持イオン交換樹脂粉体を配列固定して750種類のタンパク反応によるアフィニティー検出チップが作成された。得られた、アフィニティー検出チップにCy3でラベルした検体を反応させた。反応済みの検出チップに、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウムにより純水中に分散された、ステアリン酸保護型銀ナノ粒子を滴下し吸着させた。蛍光強度が初期値の50倍程度に増強された。
[実施例3]
ICタグによってラベル化された多孔質ガラスビーズ上に抗体を結合した。このビーズにCy5ラベル蛋白質を反応させた。これに、ミリスチルアルコール保護型銀ナノ粒子をシクロヘキサンに分散した液を滴下し乾燥した。蛍光強度が初期値の100倍程度に増強された。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、アフィニティー法によりトラップした微量の蛍光ラベルした核酸・蛋白質の検出感度を数十倍から100倍程度増感する事ができる。これにより、従来法より少量のサンプルで充分な信号強度が得られることにより、アフィニティー法検出システムをより高感度にする事ができ、システム全体のコストを下げ、より使いやすい方法にする事ができる。
Claims (11)
- 金属のナノ粒子を、アフィニティー法によりトラップされた、蛍光ラベルした検出対象核酸又は蛋白質に作用させることにより、蛍光作用を増強して、蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法。
- 前記金属ナノ粒子が、金、銀もしくは銅から選択される金属であり、かつ1〜50nmの粒径をもつ請求項1記載の超高感度検出方法。
- 前記金属ナノ粒子が、金属からなる核とその核に結合する有機物の殻とからなる複合金属ナノ粒子であることを特徴とする請求項1又は2記載の超高感度検出方法。
- 前記の殻を構成する有機物が、高級アルコール、脂肪酸又はアルカンチオールから選択される、請求項1、2又は3に記載の超高感度検出方法。
- 検出対象核酸又は蛋白質と特異的結合を起こす一種以上の反応プローブ分子を直接固定した板状、ビーズ状、リボン状、紐もしくは糸状の基材の1以上の区分領域に直接固定した構造、もしくは、特定の反応プローブ分子を担体粒子あるいは担体多孔質粒子表面に固定した、一種以上の担体粒子又は担体多孔質粒子を板状、ビーズ状、リボン状、紐もしくは糸状の基材の1以上の区分領域に固定した構造を持つ検出材に、蛍光ラベル化した検出対象サンプルを反応させて、検出対象核酸又は蛋白質を特異的に吸着させることを包含する、請求項1〜4のいずれかの項に記載の超高感度検出方法。
- プローブ分子がDNA,RNAあるいはPNA(peptide nucleic acid)およびその断片、任意の塩基配列をもったオリゴヌクレオチド、抗原、抗体あるいはエピトープ、酵素、タンパク質あるいはその機能部位ポリペプチド鎖である請求項1〜4記載の蛍光アフィニティー法の感度を増加させる超高感度検出方法。
- 前記のアフィニティー検出基材に蛍光ラベルした検出対象サンプルを反応させて特異的に吸着させた後、溶剤に分散させた予め作製された金属のナノ粒子分散液を接触させ、トラップした微量の蛍光ラベルした核酸又は蛋白質に作用させ、さらに必要に応じて洗浄することから成る、蛍光作用を増強することを特徴とした超高感度検出方法。
- 金、銀もしくは銅からなる直径1〜10nmの核と高級アルコール、脂肪酸、アルカンチオールなどの有機物からなる殻構造とを持った複合型金属ナノ粒子を含有し、蛍光ラベルした核酸又は蛋白質に作用させて蛍光作用を増強するための蛍光検出用増強材料。
- アルカン、シクロアルカン、芳香族炭化水素などから選択される非水系有機溶媒中に、前記の複合型金属ナノ粒子を含有する請求項8記載の蛍光検出用増強材料。
- 前記複合型金属ナノ粒子を水もしくはアルコール、アセトンなど親水系有機溶媒に分散したことを特徴とする請求項8記載の蛍光検出用増強材料。
- 検出対象核酸又は蛋白質と特異的結合を起す反応プローブ分子を固定した基材、蛍光ラベルした検出対象核酸又は蛋白質を含有する検出対象サンプルを基材に供給する手段、蛍光ラベルした検出対象核酸又は蛋白質をトラップした基材に金属ナノ粒子を含有する蛍光増強剤を供給する手段、及び蛍光ラベルした核酸又は蛋白質などを検出する高感度検出システムとからなる装置。
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US7871573B2 (en) * | 2004-07-26 | 2011-01-18 | University Of Louisville Research Foundation, Inc. | Enhancement of sensitivity of fluorophore mediated biosensing and bioimaging |
WO2011105610A1 (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-01 | 国立大学法人名古屋大学 | インスレーター及びその利用 |
JP2015042958A (ja) * | 2013-08-26 | 2015-03-05 | 公立大学法人大阪府立大学 | 被検出微生物を検出する検出方法 |
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2002
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