JP2004176886A - 環状パッキン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】環状パッキンとしての第3シールリング28及び第4シールリング29は、円環状をなすゴム製のリングであり、その径方向に沿う平面で切った断面形状は、内側リップ部28a,29aと外側リップ部28b,29b及びパッキン本体としての連結部28c,29cからなる略U字形状をしている。そして、複数の動作位置に切換動作される切換弁25の筒状部周面に形成された弁孔25e,25fの周囲に設けられた環状溝25k内に装着される。その装着状態では可撓性を有する各リップ部28a,28b,29a,29bの先端側部位が弁収容室の内周面に屈曲した状態で接触することにより、シール機能を果たすようにしている。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、水道の蛇口等に取り付けられる切換コックの切換弁に装着される環状パッキンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水道水を原水、浄水、シャワー等に切り換えるために水道の蛇口に取り付けられる切換コックは、例えば、特許文献1に記載のように、切換コック本体中の流水路(弁収容室)に摺動可能に嵌合される切換弁を備えている。切換弁の筒状部周面には、当該筒状部内の中空部と連通する弁孔が形成されており、その弁孔の周囲には、切換コック本体の前記流水路(弁収容室)内周面と切換弁の前記弁孔の開口縁との間から水が浸出するのを防止するために、ゴム、シリコン等からなる環状のパッキンが装着されている。そして、切換弁の一端に取り付けられた操作レバーが回動操作され、弁孔の位置が流水路(弁収容室)中で複数の角度位置に切り換わることにより、水道水の流出モードが、原水、浄水、シャワー等の各モードに切り換えられる。なお、前記環状パッキンは、いわゆるOリングと呼ばれるもので、外観が円環状であり、その径方向に沿う平面で切った場合の断面形状は、円形状をしている。そして、かかる環状パッキン(Oリング)は、弁孔の周囲に形成された円環状の凹部に、切換弁の筒状部表面から一部が突出し、その突出した部分が前記流水路(弁収容室)の内周面に接触するように埋め込まれている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−44370号公報(図2の符号28)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、かかる環状パッキン(Oリング)は、当該パッキンが装着される円環状の凹部が筒状部の周面に沿って湾曲しているため、当該凹部内に埋め込まれたとき、部分的にパッキンの断面形状が湾曲により楕円につぶれてしまい、その部分では切換弁の筒状部周面からの突出量が他の部分よりも低くなる。また、切換弁の切換動作時には流水路(弁収容室)の内周面に接触している部分が摺動抵抗を受けるため、パッキン形状が撓んで突出部分が変形することもあった。そのため、切換コック本体の流水路(弁収容室)内周面と切換弁の弁孔の開口縁との間の密閉性が悪くなってしまい、特に操作レバーの回動時(切換動作時)には、その密閉性が悪くなった部分から水が漏洩することがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、切換弁の切換動作時に弁収容室の内周面と切換弁の弁孔の開口縁との間から水が漏洩するのを防止することができる環状パッキンを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、流体が導入される筒状の弁収容室内で複数ある動作位置のうち何れか一つの動作位置に切換動作される切換弁の筒状部周面に形成された弁孔の周囲に装着される環状パッキンであって、前記弁孔の周囲にパッキン本体が装着された状態において前記弁収容室の内周面に先端側部位が屈曲した状態で接触する環状のリップ部を備えたことを要旨とした。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記リップ部は前記弁孔を包囲するようにして装着される環状のパッキン本体に対して同心円状をなすように複数設けられていることを要旨とした。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記リップ部は、前記パッキン本体により基端部が連結された内側リップ部と外側リップ部からなり、パッキン本体の径方向に沿う平面で切った場合に前記内側リップ部と外側リップ部及びパッキン本体により形成される断面形状が略U字状をなすように構成されていることを要旨とした。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を切換コックにおける切換弁の筒状部周面に装着される環状パッキンに具体化した一実施形態を図1〜図15に従って説明する。
【0010】
図1に示すように、この実施形態の切換コック11はキッチンに配置され、開閉弁12を備えた蛇口13の先端部に装着されている。又、この切換コック11には、第1連通管14及び第2連通管15を介して浄水器16が接続されている。そして、切換コック11の側面に付設された操作レバー39を回動操作することにより、切換コック11から吐出される流体(原水又は浄水)の吐出モードを複数の吐出モードに切り換え可能に構成されている。
【0011】
即ち、浄水ストレートモード、浄水シャワーモード、原水シャワーモード、及び逆洗ストレートモードという四種類の吐出モードのうち何れか一つの吐出モードに選択的に切り換えられる。なお、「浄水ストレートモード」は原水を浄水器16に導いて浄水とした後、それをストレートに吐出する吐出モードであり、「浄水シャワーモード」は浄水をシャワー状態で吐出する吐出モードである。また、「原水シャワーモード」は原水をシャワー状態で吐出する吐出モードであり、「逆洗ストレートモード」は浄水器16に原水を逆流させて浄水器16の内部を洗浄した後ストレートに吐出する吐出モードである。
【0012】
次に、前記切換コック11の構成を図2及び図5に基づいて詳細に説明する。図2に示すように、弁本体ケース21は例えば合成樹脂により一体に形成され、その内部には有底横円筒状をなす弁収容室21aが図2において右端を開放するように形成されている。弁本体ケース21の上部中央には前記蛇口13から原水を導入するための原水導入口21bが形成され、該原水導入口21bを取り巻くようにねじ筒21cが一体に形成されている。該ねじ筒21cの内側にはゴム製のシール板22を介して蛇口13に接続するための接続金具23が接合され、該接続金具23はねじ筒21cに螺合された締付リング24によりシール板22に押圧されている。
【0013】
前記弁本体ケース21の弁収容室21aには切換弁機構K1を構成する切換弁25が複数の角度位置(動作位置)を含む所定角度(この実施形態では180度)範囲内で往復回動可能に収容されている。この切換弁25は、有底横筒状の第1区画体25a(筒状部)と、肉厚円板状の第2区画体25bと、第1区画体25aと第2区画体25bを連結する柱状の連結体25cと、前記弁収容室21aから右方に突出する操作ロッド25dとを備えている。そして、この実施形態では前記第1区画体25aと弁収容室21aの左側空間とによって形成される室を第1弁室R1とし、第1区画体25a、第2区画体25b及び弁収容室21aの右側の室によって形成される室を第2弁室R2としている。前記第1区画体25aの弁収容室21a内周面と接する筒状部の二箇所には第1弁孔25e,第2弁孔25fが図3に示すように円周方向に所定角度隔てて形成され、両弁孔25e,25fが前記原水導入口21bと連通することにより原水が第1弁室R1に導かれるようになっている。
【0014】
前記第1弁室R1に導かれた原水は、弁本体ケース21に形成した第1開口21dから前記第1連通管14を通して浄水器16に供給される。この浄水器16により浄化された浄水は、弁本体ケース21に形成した第2開口21eから前記第2弁室R2内に導かれる。又、前記第1区画体25aの筒部外周面には前記第1弁孔25e及び第2弁孔25fと原水導入口21bとの連通が遮断された角度位置において、原水導入口21bからの原水を第2弁室R2に導くための原水通路25gが切り欠き形成されている。
【0015】
前記弁本体ケース21の下部には前記第2弁室R2と連通するように第1吐出口21fと第2吐出口21gが切換弁25の軸線と平行する方向に所定間隔をおいて隣接するように形成されている。前記第1区画体25aの筒部外周面には前記第1弁孔25e及び第2弁孔25fと原水導入口21bとの連通が遮断された角度位置において、前記第1吐出口21fを閉鎖する第1弁部25hが形成されている。第1吐出口21fと対応するように本体ケース21の下部には収容筒21hが一体に形成され、該収容筒21hには整流筒30が挿入され、原水又は浄水が切換コック11の下方にストレートに吐出される。
【0016】
一方、前記第2吐出口21gにはゴム製の弁座31が嵌合され、該弁座31の上部には切換弁機構K1を構成する球状弁体32が接触離脱可能に支持されている。この球状弁体32は、切換弁25の第1区画体25aと第2区画体25bとの間に連結固定した弁作動体25iによって前記弁座31から球状弁体32を浮かせる開放位置と、球状弁体32が弁座31を閉鎖する閉鎖位置との間で位置切り換え可能である。なお、図4に示すように、前記弁作動体25iには、原水ストレートモードにおいて、第2開口21eを閉鎖し得る第2弁部25jが一体に形成されている。
【0017】
前記切換弁25の第1区画体25a及び第2区画体25bの外周面には第1シールリング26及び第2シールリング27が取着され、第1弁孔25e、第2弁孔25fの周囲には環状パッキンとしての第3シールリング28、第4シールリング29が装着されている。前記第3シールリング28及び第4シールリング29は、図6〜図8に示すように、円環状をなすゴム製のリングであり、その径方向に沿う平面で切った場合の断面形状は、内側リップ部28a,29aと外側リップ部28b,29bとが連結部(パッキン本体)28c,29cで連結された略U字形状をなしている。即ち、環状をなす連結部28c,29cに対して同じく環状をなす内側リップ部28a,29aと外側リップ部28b,29bとが同心円状をなすように形成されている。そして、前記第3シールリング28及び第4シールリング29は、その装着状態において、前記第1弁孔25e及び第2弁孔25fの周囲に形成した環状溝25k内に連結部28c,29cが嵌め込まれる。そして、内側リップ部28a,29aと外側リップ部28b,29bの各先端部が環状溝25kから少し突出するようにされる。従って、その装着状態では可撓性を有する各リップ部28a,28b,29a,29bの先端側部位が弁収容室21aの内周面に屈曲した状態で接触することにより、弁収容室21aの内周面と前記各弁孔25e,25fの開口縁との間のシール機能を果たすようにしている。
【0018】
前記弁本体ケース21の下部には前記収容筒21hと同心状にねじ筒21iが一体形成されている。前記両筒21h,21iの間にはドーナッツ板状の複数の小孔33aを有する整流板33が水平に嵌合され、前記ねじ筒21iに螺合したシャワーキャップ34によって整流板33の位置規制を行う。なお、前記整流板33には前記弁座31の下面に当接して該弁座31の位置規制を行うための支持部33bが一体に形成されている。また、図2及び図3において、符号35,36はシールリングである。
【0019】
次に、前記切換弁25の回動操作を行う操作機構K2について説明する。
図2に示すように、前記弁本体ケース21の右端開口部には切換弁25の操作ロッド25dを外部に突出する孔37aを有する位置規制体37が嵌合固定され、前記切換弁25の第2区画体25bの右側面に当接して切換弁25の右方向への抜けだしを防止している。また、前記位置規制体37の中心部から外部に突出した操作ロッド25dの外周面にはボールホルダ38が嵌合され、該ボールホルダ38の左端部に形成したボス部38aには、前記位置規制体37に形成した係止突起37bを係合する係止凹部38bが形成されている。そして、前記位置規制体37に対するボールホルダ38の組み付け状態において、前記係止突起37bと係止凹部38bとが係合することにより、ボールホルダ38の回動が阻止されている。
【0020】
前記切換弁25の操作ロッド25dの先端部(図2において右端部)には操作レバー39の基端部に一体形成した筒状部39aが嵌合され、ビス40により締め付け固定されている。また、前記操作レバー39には前記ボールホルダ38の外周面に嵌合される筒状部39bが一体に形成され、両筒状部39a,39bの間には、コイルバネ41及び押圧具42を収容する筒部39cが操作レバー39の回動軸線に沿う方向へ延びるように設けられている(図9参照)。前記押圧具42の先端面には半球面状の凹部が形成されており、その凹部にボール43が転動自在に保持されている。そして、前記筒部39cはボールホルダ38に形成した前記ボール43を係止するための第1〜第4の係止凹部38c〜38f(図9参照)のいずれかに向かって開口するように形成されている。従って、前記ボール43は、コイルバネ41で付勢された押圧具42により、所定の角度位置において前記第1〜第4の係止凹部38c〜38fのいずれかに押圧係止されるようになっている。
【0021】
また、図9〜図11に示すように、前記操作レバー39における筒状部39aと筒状部39bの間には、コイルバネ46と切換抑制解除手段としての抑制解除スイッチ47とを収容するスイッチ収容部39dが、操作レバー39の摘み部39eとは径方向において反対側となる位置に形成されている。そして、このスイッチ収容部39dと対応する位置で、前記操作レバー39の筒状部39aには前記抑制解除スイッチ47の頭部を挿通する孔39fが貫通形成されている。また、図2,図10及び図11に示すように、前記抑制解除スイッチ47の基端部には、第1係止部としての係止片47aが切換弁25の回動軸線に沿う方向へ突設されている。従って、前記抑制解除スイッチ47は、コイルバネ46により常には径方向外方に付勢され、前記係止片47aが前記筒状部39aの内周面(孔39fの周縁部)に当接係合することにより、その頭部を前記孔39fから外部に突出した状態とされる(図11(a)等参照)。
【0022】
また、図2及び図9に示すように、前記ボールホルダ38の右端側にはストッパ部38gが形成されており、操作レバー39が図9において時計回り方向へ回動された際には前記筒部39cが当接し、当該操作レバー39のそれ以上の回動を阻止するようにされている。また、前記ボールホルダ38の右端側において、前記ストッパ部38gよりも時計回り方向へ前記係止片47aの幅方向寸法と略同一距離だけ離れた位置には、第2係止部としての係合凸部38hが前記操作レバー39の回動操作に伴う前記係止片47aの移動軌跡上に位置するように形成されている。そして、操作レバー39が図9において反時計回り方向へ回動された際には、当該係合凸部38hに前記係止片47aが当接し、操作レバー39のそれ以上の回動を阻止するようにされている。なお、本実施形態では、前記係止片(第1係止部)47aと前記係合凸部(第2係止部)38hにより切換抑制手段が構成されている。また、図2に示す符号45は第1弁室R1の圧力が異常高圧となった場合に、外部に放圧するリリーフ弁である。
【0023】
次に、前記のように構成した本実施形態の切換コック11の作用を説明する。
最初に各吐出モードについて説明する。
(浄水ストレートモード)
図3及び図12(a),(b)は、操作機構K2の操作レバー39によって切換弁25が回動されて浄水ストレートモードに保持された状態を示す。図12(a)に示すように第1弁孔25eが原水導入口21bに連通され、第2弁孔25fが弁収容室21aの内周面によって閉鎖され、原水通路25gは、第2弁室R2と対応し、図12(b)に示すように球状弁体32が第2吐出口21gの弁座31を閉鎖し、第2開口21eが開放されている。
【0024】
従って、蛇口13からの原水は原水導入口21bから第1弁孔25eを経て第1弁室R1に流れ、第1開口21dから第1連通管14、浄水器16に導かれ、ここで浄水となる。この浄水は、第2連通管15、第2開口21eを通って、第2弁室R2に導かれ、第1吐出口21fから外部にストレートに吐出される。
(浄水シャワーモード)
次に、操作レバー39を90度回転して切換弁25を同角度回動すると、図13(a)に示すように第1弁孔25eと原水導入口21bとの連通が遮断されて、第2弁孔25fが原水導入口21bと連通され、原水通路25gは不作動状態に保持され、第1弁部25hにより第1吐出口21fが閉鎖される。さらに、切換弁25と同期回動する弁作動体25iにより球状弁体32が図13(b)に示すように持ち上げられて第2吐出口21gが開放され、第2開口21eが開放状態に保持される。
【0025】
従って、蛇口13からの原水は原水導入口21bから第2弁孔25fを経て第1弁室R1に流れ、第1開口21dから第1連通管14、浄水器16に導かれ、ここで浄水となる。この浄水は、第2連通管15、第2開口21eを通って、第2弁室R2に導かれる。この浄水は、第1吐出口21fから吐出されることなく、第2吐出口21gから整流板33の孔33aを経て、シャワーキャップ34の多数の小孔34aからシャワーとして吐出される。
(原水シャワーモード)
次に、操作レバー39をさらに45度回動すると、図14(a)に示すように、第1弁孔25e及び第2弁孔25fが弁収容室21aの内周面によって共に閉鎖される。そして、第1弁室R1から浄水器16への原水の供給が遮断されるとともに、原水通路25gが原水導入口21bと対応し、原水が第2弁室R2内へ導かれ、第1弁部25hにより第1吐出口21fが閉鎖状態に保持される。又、このモードでは図14(b)に示すように、球状弁体32が依然として第2吐出口21gの弁座31を開放した状態に保持され、かつ第2弁部25jにより第2開口21eが閉鎖されので、第2弁室R2内の原水は浄水器16側へ逆流することなく、第2吐出口21gからシャワーモードで吐出される。
(逆洗ストレートモード)
次に、操作レバー39をさらに45度回動すると、図15(a)に示すように、第2弁孔25fが閉鎖されたままの状態に保持され、かつ第1弁孔25eが第1吐出口21fと連通し、第1弁室R1から浄水器16への原水の供給が遮断されたままの状態に保持される。又、原水通路25gが原水導入口21bと対応したままに保持され、原水が第2弁室R2内へ導かれる。さらに、このモードでは図15(b)に示すように、弁作動体25iが球状弁体32から離れて該弁体32が第2吐出口21gの弁座31を閉鎖するとともに、第2弁部25jが第2開口21eを開放する。このため、第2弁室R2内の原水が第2開口21eから第2連通管15を通って浄水器16に逆流し、浄水器16内を洗浄する。その後、第1連通管14を逆流して第1弁室R1内に導かれ、第1弁孔25e及び第1吐出口21fを通して逆流洗浄水がストレートに外部に吐出される。
【0026】
次に、切換弁25を操作レバー39の回動操作に基づき切換操作した場合における第3シールリング28及び第4シールリング29の作用について説明する。例えば、浄水シャワーモードにおいては、図13(a)に示すように、原水導入口21bと第2弁孔25fは連通した状態にある。そのとき、第2弁孔25fの周囲に形成された環状溝25k内に装着された第4シールリング29は、弁収容室21aの内周面における原水導入口21bの周囲に内側リップ部29aと外側リップ部29bの各先端側部位が屈曲した状態で接触している。また、第1弁孔25eの周囲に形成された環状溝25k内に装着された第3シールリング28は、弁収容室21aの内周面に内側リップ部28aと外側リップ部28bの各先端側部位が屈曲した状態で接触している。つまり、各リップ部28a,28b,29a,29bの先端側部位は常に弁収容室21aの内周面に圧接した状態にある。従って、この状態においては、シール機能を良好に維持できるため、第1弁孔25e及び第2弁孔25fの開口縁と弁収容室21aの内周面との間から水が漏れることはない。
【0027】
また、前記浄水シャワーモードから他のモード(例えば逆洗ストレートモード)に切り換える場合には、切換弁25が弁収容室21a内で反時計回り方向へ回動される。まず、図13(a)に示す角度位置状態から反時計回り方向へ45度回動させると、前記切換弁25は図14(a)に示す原水シャワーモード時の角度位置に切換動作される。そして、その角度位置から更に反時計回り方向へ45度回動させると、前記切換弁25は図15(a)に示す逆洗ストレートモード時の角度位置に切換動作される。その際、前記第1弁孔25e及び第2弁孔25fの周囲に装着された第3シールリング28及び第4シールリング29は、各リップ部28a,28b,29a,29bの屈曲した先端側部位が常に弁収容室21a内周面と接触した状態を維持する。従って、切換弁25の切換動作(回動)時にも、シール機能を良好に維持でき、第1弁孔25e及び第2弁孔25fの開口縁と弁収容室21aの内周面との間から水が漏れることはない。
【0028】
上記実施形態の切換弁25に装着された第3シールリング28及び第4シールリング29によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1)上記実施形態では、複数の吐出モードに切り換えられる切換弁25の筒状部(第1区画体25a)周面に設けられた第1弁孔25e及び第2弁孔25fの周囲に形成された溝25k内にゴム製の第3シールリング28及び第4シールリング29が装着される。そして、その装着状態において、環状パッキンとしての第3シールリング28及び第4シールリング29は、弁収容室21aの内周面に対して環状の内側リップ部28a,29a及び外側リップ部28b,29bの各先端側部位が常に屈曲した状態で接触するよう設けられている。従って、切換弁25の切換動作時に、たとえパッキン本体としての連結部28c,29cが捩れたとしても可撓性を有する各リップ部28a,28b,29a,29bによりシール機能が維持され、流体としての水の漏れを防止することができる。
【0029】
(2)上記実施形態では、第3シールリング28及び第4シールリング29のパッキン本体としての連結部28c,29cに、内側リップ部28a,29aと外側リップ部28b,29bの2つのリップ部が同心円状をなすように設けられている。従って、内側及び外側の両リップ部28a,28b,29a,29bによる二重構えとなり、シール機能維持効果を更に確実に得ることができると共に、内側又は外側のいずれかのリップ部が欠損したような場合でも他方のリップ部によりシール機能を維持できる。
【0030】
(3)上記実施形態では、第3シールリング28及び第4シールリング29は、その径方向に沿う平面で切った断面形状が内側リップ部28a,29aと外側リップ部28b,29b及び連結部28c,29cからなる略U字形状をなしている。即ち、環状溝25k内に嵌入された状態において内側及び外側の両リップ部28a,28b,29a,29bが環状溝25kの内壁面に圧接して第3シールリング28及び第4シールリング29の環状溝25kからの抜け防止効果を良好に発揮する。
【0031】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。・上記実施形態では、第3シールリング28及び第4シールリング29の径方向に沿う平面で切った断面形状において、内側リップ部28a,29aと外側リップ部28b,29bとが同一形状であったが、内側リップ部28a,29aと外側リップ部28b,29bの長さ、厚み、大きさ等は互いに異なっていてもよい。
【0032】
・また、上記実施形態では、各リップ部28a,29a,28b,29bと連結部28c,29cにより形成される断面形状が略U字状であったが、略H字状などであってもよい。
【0033】
・また、上記実施形態では、内側リップ部28a,29aと外側リップ部28b,29bの内外2つのリップ部が設けられていたが、リップ部の数は、特に限定されずリップ部は一つであっても、3つ以上であってもよい。
【0034】
・また、上記実施形態では、内側及び外側の両リップ部28a,29a,28b,29bが、同心円状をなすように設けられているが、必ずしも同心円状でなくてもよい。
【0035】
・また、上記実施形態では、円環状の第3シールリング28及び第4シールリング29を用いたが、シールリングの形状は、円環状でなくてもよく、楕円環状や多角環状であってもよい。
【0036】
・また、上記実施形態では、有底横筒状の弁収容室21a内を同形状の第1区画体(筒状部)25aを備えた切換弁25が往復回動することにより各吐出モードに切り換えられる構成としたが、切換弁25を往復スライドさせ各吐出モードに切り換える構成としてもよい。
【0037】
・また、各リップ部28a,29a,28b,29bをひだ状片により構成し、従来のOリングをパッキン本体として、そのパッキン本体に前記ひだ状片を環状に一体形成してもよい。
【0038】
・また、上記実施形態では、パッキン本体としての連結部28c,29cが環状をなしていたが、環状をなす部分としては少なくともリップ部28a,29a,28b,29bが環状をなしていればよい。従って、環状をなすリップ部28a,29a,28b,29bの複数箇所から同一方向(例えば下方)へ、第1弁孔25e等の周囲に形成された装着用凹部に嵌合される凸部が突設されていてもよい。
【0039】
次に上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の環状パッキンにおいて、前記リップ部は、前記パッキン本体と一体的に形成されている環状パッキン。このような構成にすれば、安価に環状パッキンを製造することができる。
【0040】
(ロ)前記請求項1〜請求項3のうちいずれか一項又は前記技術的思想(イ)に記載の環状パッキンにおいて、前記リップ部は少なくとも先端側部位が可撓性を有している環状パッキン。このような構成にすれば、切換弁の切換動作時にもリップ部の先端側部位が常に弁収容室の内周面に接触した状態となるため、確実にシール機能を維持できる。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、切換弁の切換動作時に弁収容室の内周面と切換弁の弁孔の開口縁との間から水が漏洩することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】切換コックの使用状態を示す斜視図。
【図2】切換コックの中央部縦断面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】図2のB−B線断面図。
【図5】弁本体ケース及びそれに組み付けられる部品の分解斜視図。
【図6】切換弁の斜視図。
【図7】環状パッキンの平面図。
【図8】図7のE−E線断面図。
【図9】図2のC−C線断面図。
【図10】図9のF−F線断面図。
【図11】図9のG−G線断面図であり、(a)は係止片が切換抑制位置にある状態を示し、(b)は係止片が切換許容位置にある状態を示している。
【図12】(a),(b)は切換弁及び球状弁体が浄水ストレートモードに切り換え配置された状態を示す断面図。
【図13】(a),(b)は切換弁及び球状弁体が浄水シャワーモードに切り換え配置された状態を示す断面図。
【図14】(a),(b)は切換弁及び球状弁体が原水シャワーモードに切り換え配置された状態を示す断面図。
【図15】(a),(b)は回動弁及び球状弁体が逆洗ストレートモードに切り換え配置された状態を示す断面図。
【符号の説明】
11 切換コック
21a 弁収容室
25 切換弁
25e,25f 弁孔
25k 環状溝
28 環状パッキンとしての第3シールリング
29 環状パッキンとしての第4シールリング
28a,29a 内側リップ部
28b,29b 外側リップ部
28c,29c パッキン本体としての連結部
Claims (3)
- 流体が導入される筒状の弁収容室内で複数ある動作位置のうち何れか一つの動作位置に切換動作される切換弁の筒状部周面に形成された弁孔の周囲に装着される環状パッキンであって、前記弁孔の周囲にパッキン本体が装着された状態において前記弁収容室の内周面に先端側部位が屈曲した状態で接触する環状のリップ部を備えた環状パッキン。
- 前記リップ部は前記弁孔を包囲するようにして装着される環状のパッキン本体に対して同心円状をなすように複数設けられている請求項1に記載の環状パッキン。
- 前記リップ部は、前記パッキン本体により基端部が連結された内側リップ部と外側リップ部からなり、パッキン本体の径方向に沿う平面で切った場合に前記内側リップ部と外側リップ部及びパッキン本体により形成される断面形状が略U字状をなすように構成されている請求項2に記載の環状パッキン。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012002355A (ja) * | 2010-05-20 | 2012-01-05 | Kitz Corp | 回転弁 |
WO2024019086A1 (ja) * | 2022-07-21 | 2024-01-25 | Nok株式会社 | 密封装置、密封構造、密封構造の組み付け方法 |
-
2002
- 2002-11-29 JP JP2002347098A patent/JP2004176886A/ja active Pending
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