JP2004176820A - ゴムブッシュ - Google Patents
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Abstract
【課題】ストッパ部材が不要である簡易な構造で安価なゴムブッシュを提供する。
【解決手段】ゴムブッシュ10は、内筒金具11と、内筒金具の外周面に接着された筒状のゴム弾性体部21とを有している。ゴム弾性体部は、軸方向両端側にて外周面から軸心方向に同軸状に凹んだ環状凹部22を有し、環状凹部の軸方向内側にて径方向に突出した本体筒部24と、環状凹部の軸方向外側にて径方向に突出したフランジ部25とを有する。本体筒部は、アーム部材の筒状の外筒金具部13の内周面に圧入により挿嵌固定されると共にフランジ部の軸方向内側にて略径方向に延びた内側面26が外筒部材の軸端面14に圧接される。フランジ部の内側面には、環状突出部27が、内側面から所定幅の線状に突出すると共に、周方向全周に沿って延びる略正弦波形状の多数の波形の繰り返しによる1本の波形線として形成されている。
【選択図】 図4
【解決手段】ゴムブッシュ10は、内筒金具11と、内筒金具の外周面に接着された筒状のゴム弾性体部21とを有している。ゴム弾性体部は、軸方向両端側にて外周面から軸心方向に同軸状に凹んだ環状凹部22を有し、環状凹部の軸方向内側にて径方向に突出した本体筒部24と、環状凹部の軸方向外側にて径方向に突出したフランジ部25とを有する。本体筒部は、アーム部材の筒状の外筒金具部13の内周面に圧入により挿嵌固定されると共にフランジ部の軸方向内側にて略径方向に延びた内側面26が外筒部材の軸端面14に圧接される。フランジ部の内側面には、環状突出部27が、内側面から所定幅の線状に突出すると共に、周方向全周に沿って延びる略正弦波形状の多数の波形の繰り返しによる1本の波形線として形成されている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムブッシュに係り、特に車両のサスペンション装置のリンク部等において使用されるのに適したゴムブッシュに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のゴムブッシュは、例えば内筒金具と、内筒金具の外周面に円筒形に接着形成されて、軸方向両端側にて外周面から軸心方向に同軸状に凹んだ環状凹部を有し、この環状凹部を挟んだ軸方向外側のフランジ部と軸方向内側の本体筒部とを有するゴム弾性体部とを備えている。このゴムブッシュは、その本体筒部にてサスペンションアームの端部に一体で設けられた筒状の外筒部材の軸穴内に圧入により挿嵌固定され、フランジ部の軸方向内側にて略径方向に延びた内側面が外筒部材の軸端面に圧接される。このゴムブッシュの場合、フランジ部内側面と外筒部材の軸端面とが広い接触面積で密着することにより、内筒金具と外筒部材との間に捩り方向あるいは軸直角方向の外力が作用したとき、接触面において大きな摩擦抵抗が生じており、接触面における外筒部材のすべりが抑えられる。しかし、外力がこの摩擦抵抗を超えて非常に大きくなると、接触面における外筒部材の急激なすべりであるいわゆるスティックスリップが発生し、これがサスペンションアームや取付ブラケットを介して車体に伝播して増幅され、車両として異音が発生するという問題がある。
【0003】
これに対して、例えば特許文献1に示すように、外筒部材の軸端面に圧接されるフランジ部の内側面に周方向に連続した環状の小突起部を設けたフランジ付ゴムブッシュが知られている。このゴムブッシュは、小突起部を外筒部材に圧接させることにより、フランジ部内側面全体として外筒部材の軸端面との接触面積を減少させ、ステックスリップを抑えようとするものである。しかし、このゴムブッシュは、小突起部が周方向に延びる線状であるため、フランジ部内側面と外筒部材の軸端面との間に広い範囲の隙間を形成することができず、両者間の接触面積をほとんど減少させることができなかった。その結果、このゴムブッシュも、ステックスリップを抑える効果が小さかった。
【0004】
【特許文献1】
実用新案登録第2576375号公報(第2頁、図1,図2)
【0005】
さらに、他のゴムブッシュとして、図8に示すように、フランジ部1の内側面2に、その外周側から軸心方向に延びる棒状の突起部3を周方向に沿って多数配置したものがある。このゴムブッシュによれば、多数の突起部3の間にそれぞれ隙間を確保できることにより、フランジ部内側面2と外筒部材軸端面(図示しない)との間に広い隙間を形成することができ、その結果、両者間の接触面積を減少させることができる。そのため、このゴムブッシュは、内筒金具4と外筒部材との間に大きな外力が作用したとき、フランジ部1の内側面2と外筒部材の軸端面と間のステックスリップの発生を抑え、それに伴う異音の発生を抑制することができる。しかし、このゴムブッシュの場合、棒状の突起部3間に径方向に延びた隙間が生じるため、その隙間を通して軸方向内方に泥水や砂、埃等が侵入し易く、これら異物によりゴム弾性体部が摩耗し易くなるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した問題を解決しようとするもので、ゴム弾性体部のフランジ部内側面と外筒部材の軸端面との接触部分においてステックスリップの発生を抑え、それに伴う異音の発生を抑えると共に、両者の接触部分からの泥水等の侵入によるゴム弾性体部の摩耗を防止できるゴムブッシュを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、上記請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、内筒金具と、内筒金具の外周面に接着されたゴム弾性体製の筒状体であって、少なくとも軸方向一端側にて筒状体の外周面から軸心方向に同軸状に凹んだ環状凹部を有し、環状凹部を挟んだ軸方向一端側にて径方向に突出した環状のフランジ部と環状凹部を挟んだ軸方向他端側にて径方向に突出した本体筒部とを有するゴム弾性体部とを備え、本体筒部が筒状の相手外筒部材の軸穴内に圧入により挿嵌固定されると共にフランジ部の軸方向内側にて略径方向に延びた環状凹部に面した内側面が相手外筒部材の径方向に延びた軸端面に圧接されるゴムブッシュにおいて、フランジ部の内側面にて、内側面から所定幅の線状で突出すると共に、周方向全周に沿って延びる連続した多数の波形により形成された1本の波形線をなす環状突出部を設けており、環状突出部が相手外筒部材の軸端面に圧接されることにある。
【0008】
上記のように構成した請求項1の発明においては、ゴムブッシュの本体筒部が外筒部材の内周面に圧入により挿嵌固定されると共に、フランジ部の内側面が外筒部材の軸端面に圧接される。フランジ部の内側面には、内側面から所定幅の線状で突出すると共に、周方向全周に沿って延びる連続した多数の波形により形成された1本の波形線をなす環状突出部が設けられている。そのため、環状突出部の周囲においては、フランジ部内側面と外筒部材の軸端面との接触面において広い範囲の隙間が設けられる。これにより、両者の接触面積が少なくされ、そのため両者間の接触抵抗が低下する。その結果、請求項1の発明においては、内筒金具と外筒部材との間に捩り方向あるいは軸直角方向の外力が作用したとき、ステックスリップの発生が抑えられ、それに伴う異音の発生が抑制される。また、このゴムブッシュは、周方向全周に沿って連続した一本の環状突出部を有しているので、フランジ部内側面と外筒部材の軸端面間の隙間を通しての泥水や砂、埃等の軸方向内方への侵入を確実に防止することができる。
【0009】
また、上記請求項2の発明の構成上の特徴は、前記請求項1に記載のゴムブッシュにおいて、環状突出部は、径方向外側を頂点とした各波形における周方向両側間の間隔が、径方向内端から径方向外端に向けて小さくなるようにされていることにある。これにより、環状突出部の各部分が径方向に対して傾斜した状態となり、環状突出部がゴムブッシュの回動に対して斜めに交差することにより、滑りトルクが分散される。そのため、滑りトルクのエネルギが分散され、その結果、スティックスリップの発生が抑えられる。また、環状突出部の波形の凹んだ部分に溜まった水分等の異物の外部への排出が、環状突出部の傾斜した線に沿って行われ易くなる。
【0010】
また、上記請求項3の発明の構成上の特徴は、前記請求項1又は2に記載のゴムブッシュにおいて、フランジ部の内側面が、径方向の所定範囲内にて平坦な平面部を有しており、環状突出部が平面部に設けられていることにある。このように、フランジ部の内側面の平坦な平面部に環状突出部が設けられていることにより、環状突出部が外筒部材の軸端面に確実に圧接される。そのため、環状突出部によるフランジ部と外筒部材との接触面積を低減する効果がより有効に得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1〜図3は、第1実施形態に係る自動車のサスペンション装置のリンク部であるアーム部材の外筒金具部が挿嵌されるゴムブッシュ10を、断面図、拡大断面図及び部分断面図により示したものである。図4は、ゴムブッシュ10の本体筒部24が外筒金具部に圧入により挿嵌に装着した状態を断面図により概略的に示したものである。
【0012】
ゴムブッシュ10は、円筒形のパイプである内筒金具11と、内筒金具11の外周面に接着された円筒状のゴム弾性体部21とを備えている。ゴム弾性体部21は、軸方向両端側にて外周面から軸心方向に同軸状に凹んだ一対の環状凹部22を有し、両環状凹部22の間に配設された本体筒部24と両環状凹部22の軸方向外側の一対のフランジ部25とを有している。ゴムブッシュ10は、本体筒部24にてアーム部材(図示しない)の一端に形成された相手外筒部材である外筒金具部13に圧入により挿嵌固定され、また内筒金具11が相手ブラケットに固定されることにより自動車に装着される。
【0013】
ゴム弾性体部21は、内筒金具11の軸方向両端近傍部分を除く外周面全面に円筒状に加硫成形されており、両端から軸方向の所定距離離れた位置にて円筒形の外周側から軸心方向に同軸状に凹んだ一対の環状凹部22を設けている。ゴム弾性体部21は、環状凹部22位置にて薄肉で環状の一対の連結部23になっている。本体筒部24は、両連結部23の間に挟まれて径方向に突出しており、軸方向両端側が互いに軸方向中央に向けて略45°程度に大きく傾斜した環状凹部22に面した円錐面状の傾斜部24aになっている。フランジ部25は、両連結部23の軸方向外側に隣接して径方向に突出しており、軸方向内端が軸直角面に対してわずかに軸方向中央側に傾斜して径方向に延びた環状凹部22に面した内側面26になっている。内側面26は、連結部23との付根側の断面凹曲線状の凹面部26aと、それに続く平坦な平面部26bとになっている。平面部26bには、幅の狭い線状で周方向全周にわたって連続した突起である一本の環状突出部27が設けられている。
【0014】
環状突出部27は、図2,図3に示すように、平面部26bからわずかに突出しており、平面部26bの径方向の外端と内端間にて周方向に連続して延びる多数の略正弦波形状の波形からなる1本の波形線であり、各波形の頂部のなす角度は略直角である。なお、頂部の角度については、直角より小さく略45°程度までの大きさの鋭角であることが望ましいが、直角より大きく略135°程度までの鈍角であってもよい。ゴム弾性体部21は、所定の成形金型に接着剤が塗布された内筒金具11をセットした状態で、ゴム材料を注入して加硫成形を行うことにより、内筒金具11外周面に一体で接着形成され、これによりゴムブッシュ10が一体で製造される。
【0015】
上記外筒金具部13は、金属製の円筒形で厚肉の金具であり、軸方向両端が軸方向に対して直角である軸端面14になっており、軸穴15の内径が上記ゴム弾性体部21のフランジ部25の凹面部26aと平面部26bの境界位置における直径と略同一になっている。また、外筒金具部13は、軸方向長さが一対のフランジ部内側面26における平板部26bの径方向内端間の長さよりわずかに長くされている。
【0016】
図4に示すように、ゴムブッシュ10のゴム弾性体部21が、本体筒部24にて外筒金具部13の軸穴15に圧入により挿嵌されることにより、本体筒部24が圧縮されると共に、フランジ部25が軸方向外方に押圧され、その内側面26が外筒金具部13の両軸端面14に圧接される。これにより、フランジ部25の平板部26bに形成された環状突出部27が圧縮された状態で両軸端面14に密着する。また、本体筒部24の圧縮された部分が軸方向にはみ出して、外筒金具部13下側の環状凹部22内に埋め込まれて連結部23と一体にされる。これにより、ゴムブッシュ10が、外筒金具部13に取り付けられ、さらに、内筒金具11が相手側部材に固定されることにより自動車に装着される。
【0017】
上記のように構成された実施形態においては、外筒金具部13の軸端面14に圧接されるフランジ部25の内側面26には、内側面26から突出し、周方向全周に沿って延びる略正弦波形状の多数の波形からなる一本の波形線である環状突出部27が設けられている。そのため、環状突出部27の周囲においては、フランジ部内側面26と外筒金具部13の軸端面14との接触面に広い範囲の隙間が形成される。これにより、内側面26と軸端面14の接触面積が少なくされ、そのため両者間の接触抵抗が低下する。その結果、本実施形態においては、内筒金具11と外筒金具部13との間に捩り方向あるいは軸直角方向の外力が作用したとき、ステックスリップの発生が抑えられ、それに伴う車体側での異音の発生が抑制される。その結果、異音による車両の乗員の不快感が抑えられる。
【0018】
また、環状突出部27は、フランジ部25の内側面26の平坦な平面部26bに設けられていることにより、外筒金具部13の軸端面14に確実に当接することができる。そのため、環状突出部27による外筒金具部軸端面14との接触面積を低減する効果が確実に得られる。さらに、環状突出部27は、略正弦波形状であり、各波形の周方向両側間の間隔が、径方向内端から径方向外端に向けて小さくなるようにされている。これにより、環状突出部27の各波形部分が径方向に対して傾斜した状態となるため、環状突出部27がゴムブッシュ10の回動に対して斜めに交差することにより、回動による滑りトルクが分散される。そのため、滑りトルクのエネルギが分散され、その結果、スティックスリップの発生がさらに抑えられる。
【0019】
また、ゴムブッシュ10は、周方向全周に沿って連続した一本の環状突出部27を有しているため、フランジ部内側面26と外筒金具部13の軸端面14間の隙間を通して径方向内方への泥水や砂、埃等の侵入を確実に防止することができる。その結果、ゴム弾性体部21の摩耗が抑えられ、その耐久性が高められる。さらに、環状突出部27は、略正弦波形状になっているため、環状突出部27の波形の凹んだ部分に溜まった泥水等の外部への排出が、正弦波形状に滑らかに傾斜した線に沿って行われ易くなる。その結果、ゴム弾性体部21の損傷がさらに生じ難くされ、その耐久性がさらに高められる。
【0020】
つぎに、上記実施形態の変形例について説明する。変形例においては、図5に示すように、環状突出部29の各波形が、径方向外方に立ち上がった等脚台形にされている。これによっても上記実施形態に示した略正弦波形状の環状突出部27を設けた効果と同様の効果が得られる。さらに、環状突出部29を台形形状としたことにより、正弦波形状の場合に比べて線の長さが長くなるため、内側面26と外筒金具部の軸端面14との間に形成される隙間が増やされる。そのため、変形例によれば、正弦波状の環状突出部27に比べて、ステリックスリップを抑える効果がさらに高められる。
【0021】
つぎに、他の実施形態について説明する。
本実施形態においては、図6に示すように、ゴムブッシュ30について、上記ゴムブッシュ10と異なり、ゴム弾性体部31の軸方向一端側(図示左端側)にのみ環状凹部32を設けたものである。ゴム弾性体部31は、環状凹部32位置にて薄肉で環状の連結部33になっており、連結部33の軸方向他端側にて径方向に突出する本体筒部34と、連結部33の軸方向一端側にて径方向に突出する環状のフランジ部35とを一体で有している。フランジ部35の軸方向内側が、略径方向に延びた環状凹部32に面した内側面36になっており、内側面36の軸心側の凹面部36aに続く平坦な平板部36bには、上記環状突出部27と同様の波形の環状突出部37が設けられている。ゴム弾性体部31の構造については、環状凹部32が1つであることを除いて上記ゴム弾性体部21と同様である。
【0022】
ゴムブッシュ30は、図7に示すように、ゴム弾性体部31が本体筒部34にて筒状の薄肉金具である外筒スリーブ41の筒部42の軸穴44に圧入により挿嵌される。外筒スリーブ41は、筒部42の軸方向一端にて径方向外方に延びた円環状の鍔部43を有する。これにより、本体筒部34がわずかに圧縮されると共に、フランジ部35が軸方向外方にわずかに押圧され、その内側面36が鍔部43の圧接される。つづいて、外筒スリーブ41の筒部42外周面に、円筒形の外筒金具部45が圧入により挿嵌され、その軸端面46が鍔部43に押圧される。これにより、本体筒部34さらに圧縮され、軸方向にはみ出した部分が、外筒スリーブ41下側の環状凹部32内に埋め込まれ連結部33と一体にされる。さらに、フランジ部35の平板部36bに形成された環状突出部37が、軸端面46に押圧された鍔部43に圧縮された状態で密着する。
【0023】
これにより、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、環状突出部27の形成された周囲には、フランジ部内側面36と外筒スリーブ41の鍔部43との接触面において広い範囲の隙間が設けられる。これにより、内側面26と軸端面14の接触面積が少なくされ、そのため両者間の接触抵抗が低下する。その結果、第2実施形態においても、内筒金具11と外筒金具部45との間に捩り方向あるいは軸直角方向の外力が作用したとき、ステックスリップの発生が抑えられ、それに伴う異音の発生が抑制される。また、フランジ部35の内側面36に一本の環状突出部37を有しているので、フランジ部内側面36と外筒スリーブ41の鍔部43間の隙間を通しての泥水や砂、埃等の侵入を確実に防止することができ、その結果、ゴム弾性体部31の摩耗が抑えられ、その耐久性が高められる。
【0024】
なお、上記各実施形態においては、ゴム弾性体部21,31は、環状凹部22,32位置に連結部23,33を設けているが、この部分にゴム弾性体をなくすことも可能である。また、フランジ部25,35の内側面26,36に設けた環状突出部27,37の形状については、正弦波形状,台形形状あるいは二等辺三角形のような規則的な形状でなく、任意の形状でもよい。ただし、各波形の周方向両側間の間隔が、径方向内端から径方向外端に向けて小さくなるようにされていることが望ましい。また、個々の波形の配列についても、周期的に配列されていなくてもよい。また、外筒金具部については、金属製に限らず、樹脂製の部材も使用可能である。その他、上記実施形態に示したゴムブッシュについては、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変更して実施することができる。
【0025】
【発明の効果】
上記請求項1の発明によれば、フランジ部内側面に設けた1本の波形線である環状突出部により、フランジ部内側面と外筒部材の軸端面との間の接触抵抗が低下し、その結果、内筒金具と外筒部材との間に捩り方向等の外力が作用したとき、ステックスリップの発生が抑えられ、それに伴う異音の発生が抑制される。また、一本の環状突出部によりフランジ部内側面と外筒部材の軸端面間の隙間を通しての泥水や砂、埃等の侵入が確実に防止されるため、ゴム弾性体部の摩耗が抑えられその耐久性が高められる。
【0026】
また、環状突出部の各波形における周方向両側間の間隔を、径方向内端から径方向外端に向けて小さくなるようにしたことにより、滑りトルクのエネルギが分散され、その結果、スティックスリップの発生が抑えられる。さらに、環状突出部の波形の凹んだ部分に溜まった泥水等の異物の外部への排出が容易に行われることにより、ゴム弾性体部の耐久性が高められる(請求項2の発明の効果)。また、フランジ部の内側面の平坦な平面部に環状突出部が設けられていることにより、環状突出部が外筒部材の軸端面に確実に圧接され、両者間の接触面積が有効に低減される(請求項3の発明の効果)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるゴムブッシュを示す図3のI−I線方向の断面図である。
【図2】ゴムブッシュを示す図1の左側部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図3】ゴムブッシュを示す図2のIII−III線方向の部分断面図である。
【図4】ゴムブッシュを外筒金具に圧入により挿嵌した状態を示す軸線位置での断面図である。
【図5】変形例であるゴムブッシュの図3に相当する部分の部分断面図である。
【図6】第2実施形態であるゴムブッシュを示す軸線位置での断面図である。
【図7】同ゴムブッシュを外筒スリーブ及び外筒金具部に圧入により挿嵌した状態を示す軸線位置での断面図である。
【図8】従来例であるゴムブッシュを示す断面図である。
【符号の説明】
10…ゴムブッシュ、11…内筒金具、13…外筒金具部、14…軸端面、21…ゴム弾性体部、22…環状凹部、24…本体筒部、25…フランジ部、26…内側面、26b…平面部、27,29…環状突出部、30…ゴムブッシュ、31…ゴム弾性体部、32…環状凹部、34…本体筒部、35…フランジ部、36…内側面、37…環状突出部、38…小径軸穴、41…外筒スリーブ、43…鍔部、45…外筒金具部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムブッシュに係り、特に車両のサスペンション装置のリンク部等において使用されるのに適したゴムブッシュに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のゴムブッシュは、例えば内筒金具と、内筒金具の外周面に円筒形に接着形成されて、軸方向両端側にて外周面から軸心方向に同軸状に凹んだ環状凹部を有し、この環状凹部を挟んだ軸方向外側のフランジ部と軸方向内側の本体筒部とを有するゴム弾性体部とを備えている。このゴムブッシュは、その本体筒部にてサスペンションアームの端部に一体で設けられた筒状の外筒部材の軸穴内に圧入により挿嵌固定され、フランジ部の軸方向内側にて略径方向に延びた内側面が外筒部材の軸端面に圧接される。このゴムブッシュの場合、フランジ部内側面と外筒部材の軸端面とが広い接触面積で密着することにより、内筒金具と外筒部材との間に捩り方向あるいは軸直角方向の外力が作用したとき、接触面において大きな摩擦抵抗が生じており、接触面における外筒部材のすべりが抑えられる。しかし、外力がこの摩擦抵抗を超えて非常に大きくなると、接触面における外筒部材の急激なすべりであるいわゆるスティックスリップが発生し、これがサスペンションアームや取付ブラケットを介して車体に伝播して増幅され、車両として異音が発生するという問題がある。
【0003】
これに対して、例えば特許文献1に示すように、外筒部材の軸端面に圧接されるフランジ部の内側面に周方向に連続した環状の小突起部を設けたフランジ付ゴムブッシュが知られている。このゴムブッシュは、小突起部を外筒部材に圧接させることにより、フランジ部内側面全体として外筒部材の軸端面との接触面積を減少させ、ステックスリップを抑えようとするものである。しかし、このゴムブッシュは、小突起部が周方向に延びる線状であるため、フランジ部内側面と外筒部材の軸端面との間に広い範囲の隙間を形成することができず、両者間の接触面積をほとんど減少させることができなかった。その結果、このゴムブッシュも、ステックスリップを抑える効果が小さかった。
【0004】
【特許文献1】
実用新案登録第2576375号公報(第2頁、図1,図2)
【0005】
さらに、他のゴムブッシュとして、図8に示すように、フランジ部1の内側面2に、その外周側から軸心方向に延びる棒状の突起部3を周方向に沿って多数配置したものがある。このゴムブッシュによれば、多数の突起部3の間にそれぞれ隙間を確保できることにより、フランジ部内側面2と外筒部材軸端面(図示しない)との間に広い隙間を形成することができ、その結果、両者間の接触面積を減少させることができる。そのため、このゴムブッシュは、内筒金具4と外筒部材との間に大きな外力が作用したとき、フランジ部1の内側面2と外筒部材の軸端面と間のステックスリップの発生を抑え、それに伴う異音の発生を抑制することができる。しかし、このゴムブッシュの場合、棒状の突起部3間に径方向に延びた隙間が生じるため、その隙間を通して軸方向内方に泥水や砂、埃等が侵入し易く、これら異物によりゴム弾性体部が摩耗し易くなるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した問題を解決しようとするもので、ゴム弾性体部のフランジ部内側面と外筒部材の軸端面との接触部分においてステックスリップの発生を抑え、それに伴う異音の発生を抑えると共に、両者の接触部分からの泥水等の侵入によるゴム弾性体部の摩耗を防止できるゴムブッシュを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、上記請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、内筒金具と、内筒金具の外周面に接着されたゴム弾性体製の筒状体であって、少なくとも軸方向一端側にて筒状体の外周面から軸心方向に同軸状に凹んだ環状凹部を有し、環状凹部を挟んだ軸方向一端側にて径方向に突出した環状のフランジ部と環状凹部を挟んだ軸方向他端側にて径方向に突出した本体筒部とを有するゴム弾性体部とを備え、本体筒部が筒状の相手外筒部材の軸穴内に圧入により挿嵌固定されると共にフランジ部の軸方向内側にて略径方向に延びた環状凹部に面した内側面が相手外筒部材の径方向に延びた軸端面に圧接されるゴムブッシュにおいて、フランジ部の内側面にて、内側面から所定幅の線状で突出すると共に、周方向全周に沿って延びる連続した多数の波形により形成された1本の波形線をなす環状突出部を設けており、環状突出部が相手外筒部材の軸端面に圧接されることにある。
【0008】
上記のように構成した請求項1の発明においては、ゴムブッシュの本体筒部が外筒部材の内周面に圧入により挿嵌固定されると共に、フランジ部の内側面が外筒部材の軸端面に圧接される。フランジ部の内側面には、内側面から所定幅の線状で突出すると共に、周方向全周に沿って延びる連続した多数の波形により形成された1本の波形線をなす環状突出部が設けられている。そのため、環状突出部の周囲においては、フランジ部内側面と外筒部材の軸端面との接触面において広い範囲の隙間が設けられる。これにより、両者の接触面積が少なくされ、そのため両者間の接触抵抗が低下する。その結果、請求項1の発明においては、内筒金具と外筒部材との間に捩り方向あるいは軸直角方向の外力が作用したとき、ステックスリップの発生が抑えられ、それに伴う異音の発生が抑制される。また、このゴムブッシュは、周方向全周に沿って連続した一本の環状突出部を有しているので、フランジ部内側面と外筒部材の軸端面間の隙間を通しての泥水や砂、埃等の軸方向内方への侵入を確実に防止することができる。
【0009】
また、上記請求項2の発明の構成上の特徴は、前記請求項1に記載のゴムブッシュにおいて、環状突出部は、径方向外側を頂点とした各波形における周方向両側間の間隔が、径方向内端から径方向外端に向けて小さくなるようにされていることにある。これにより、環状突出部の各部分が径方向に対して傾斜した状態となり、環状突出部がゴムブッシュの回動に対して斜めに交差することにより、滑りトルクが分散される。そのため、滑りトルクのエネルギが分散され、その結果、スティックスリップの発生が抑えられる。また、環状突出部の波形の凹んだ部分に溜まった水分等の異物の外部への排出が、環状突出部の傾斜した線に沿って行われ易くなる。
【0010】
また、上記請求項3の発明の構成上の特徴は、前記請求項1又は2に記載のゴムブッシュにおいて、フランジ部の内側面が、径方向の所定範囲内にて平坦な平面部を有しており、環状突出部が平面部に設けられていることにある。このように、フランジ部の内側面の平坦な平面部に環状突出部が設けられていることにより、環状突出部が外筒部材の軸端面に確実に圧接される。そのため、環状突出部によるフランジ部と外筒部材との接触面積を低減する効果がより有効に得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1〜図3は、第1実施形態に係る自動車のサスペンション装置のリンク部であるアーム部材の外筒金具部が挿嵌されるゴムブッシュ10を、断面図、拡大断面図及び部分断面図により示したものである。図4は、ゴムブッシュ10の本体筒部24が外筒金具部に圧入により挿嵌に装着した状態を断面図により概略的に示したものである。
【0012】
ゴムブッシュ10は、円筒形のパイプである内筒金具11と、内筒金具11の外周面に接着された円筒状のゴム弾性体部21とを備えている。ゴム弾性体部21は、軸方向両端側にて外周面から軸心方向に同軸状に凹んだ一対の環状凹部22を有し、両環状凹部22の間に配設された本体筒部24と両環状凹部22の軸方向外側の一対のフランジ部25とを有している。ゴムブッシュ10は、本体筒部24にてアーム部材(図示しない)の一端に形成された相手外筒部材である外筒金具部13に圧入により挿嵌固定され、また内筒金具11が相手ブラケットに固定されることにより自動車に装着される。
【0013】
ゴム弾性体部21は、内筒金具11の軸方向両端近傍部分を除く外周面全面に円筒状に加硫成形されており、両端から軸方向の所定距離離れた位置にて円筒形の外周側から軸心方向に同軸状に凹んだ一対の環状凹部22を設けている。ゴム弾性体部21は、環状凹部22位置にて薄肉で環状の一対の連結部23になっている。本体筒部24は、両連結部23の間に挟まれて径方向に突出しており、軸方向両端側が互いに軸方向中央に向けて略45°程度に大きく傾斜した環状凹部22に面した円錐面状の傾斜部24aになっている。フランジ部25は、両連結部23の軸方向外側に隣接して径方向に突出しており、軸方向内端が軸直角面に対してわずかに軸方向中央側に傾斜して径方向に延びた環状凹部22に面した内側面26になっている。内側面26は、連結部23との付根側の断面凹曲線状の凹面部26aと、それに続く平坦な平面部26bとになっている。平面部26bには、幅の狭い線状で周方向全周にわたって連続した突起である一本の環状突出部27が設けられている。
【0014】
環状突出部27は、図2,図3に示すように、平面部26bからわずかに突出しており、平面部26bの径方向の外端と内端間にて周方向に連続して延びる多数の略正弦波形状の波形からなる1本の波形線であり、各波形の頂部のなす角度は略直角である。なお、頂部の角度については、直角より小さく略45°程度までの大きさの鋭角であることが望ましいが、直角より大きく略135°程度までの鈍角であってもよい。ゴム弾性体部21は、所定の成形金型に接着剤が塗布された内筒金具11をセットした状態で、ゴム材料を注入して加硫成形を行うことにより、内筒金具11外周面に一体で接着形成され、これによりゴムブッシュ10が一体で製造される。
【0015】
上記外筒金具部13は、金属製の円筒形で厚肉の金具であり、軸方向両端が軸方向に対して直角である軸端面14になっており、軸穴15の内径が上記ゴム弾性体部21のフランジ部25の凹面部26aと平面部26bの境界位置における直径と略同一になっている。また、外筒金具部13は、軸方向長さが一対のフランジ部内側面26における平板部26bの径方向内端間の長さよりわずかに長くされている。
【0016】
図4に示すように、ゴムブッシュ10のゴム弾性体部21が、本体筒部24にて外筒金具部13の軸穴15に圧入により挿嵌されることにより、本体筒部24が圧縮されると共に、フランジ部25が軸方向外方に押圧され、その内側面26が外筒金具部13の両軸端面14に圧接される。これにより、フランジ部25の平板部26bに形成された環状突出部27が圧縮された状態で両軸端面14に密着する。また、本体筒部24の圧縮された部分が軸方向にはみ出して、外筒金具部13下側の環状凹部22内に埋め込まれて連結部23と一体にされる。これにより、ゴムブッシュ10が、外筒金具部13に取り付けられ、さらに、内筒金具11が相手側部材に固定されることにより自動車に装着される。
【0017】
上記のように構成された実施形態においては、外筒金具部13の軸端面14に圧接されるフランジ部25の内側面26には、内側面26から突出し、周方向全周に沿って延びる略正弦波形状の多数の波形からなる一本の波形線である環状突出部27が設けられている。そのため、環状突出部27の周囲においては、フランジ部内側面26と外筒金具部13の軸端面14との接触面に広い範囲の隙間が形成される。これにより、内側面26と軸端面14の接触面積が少なくされ、そのため両者間の接触抵抗が低下する。その結果、本実施形態においては、内筒金具11と外筒金具部13との間に捩り方向あるいは軸直角方向の外力が作用したとき、ステックスリップの発生が抑えられ、それに伴う車体側での異音の発生が抑制される。その結果、異音による車両の乗員の不快感が抑えられる。
【0018】
また、環状突出部27は、フランジ部25の内側面26の平坦な平面部26bに設けられていることにより、外筒金具部13の軸端面14に確実に当接することができる。そのため、環状突出部27による外筒金具部軸端面14との接触面積を低減する効果が確実に得られる。さらに、環状突出部27は、略正弦波形状であり、各波形の周方向両側間の間隔が、径方向内端から径方向外端に向けて小さくなるようにされている。これにより、環状突出部27の各波形部分が径方向に対して傾斜した状態となるため、環状突出部27がゴムブッシュ10の回動に対して斜めに交差することにより、回動による滑りトルクが分散される。そのため、滑りトルクのエネルギが分散され、その結果、スティックスリップの発生がさらに抑えられる。
【0019】
また、ゴムブッシュ10は、周方向全周に沿って連続した一本の環状突出部27を有しているため、フランジ部内側面26と外筒金具部13の軸端面14間の隙間を通して径方向内方への泥水や砂、埃等の侵入を確実に防止することができる。その結果、ゴム弾性体部21の摩耗が抑えられ、その耐久性が高められる。さらに、環状突出部27は、略正弦波形状になっているため、環状突出部27の波形の凹んだ部分に溜まった泥水等の外部への排出が、正弦波形状に滑らかに傾斜した線に沿って行われ易くなる。その結果、ゴム弾性体部21の損傷がさらに生じ難くされ、その耐久性がさらに高められる。
【0020】
つぎに、上記実施形態の変形例について説明する。変形例においては、図5に示すように、環状突出部29の各波形が、径方向外方に立ち上がった等脚台形にされている。これによっても上記実施形態に示した略正弦波形状の環状突出部27を設けた効果と同様の効果が得られる。さらに、環状突出部29を台形形状としたことにより、正弦波形状の場合に比べて線の長さが長くなるため、内側面26と外筒金具部の軸端面14との間に形成される隙間が増やされる。そのため、変形例によれば、正弦波状の環状突出部27に比べて、ステリックスリップを抑える効果がさらに高められる。
【0021】
つぎに、他の実施形態について説明する。
本実施形態においては、図6に示すように、ゴムブッシュ30について、上記ゴムブッシュ10と異なり、ゴム弾性体部31の軸方向一端側(図示左端側)にのみ環状凹部32を設けたものである。ゴム弾性体部31は、環状凹部32位置にて薄肉で環状の連結部33になっており、連結部33の軸方向他端側にて径方向に突出する本体筒部34と、連結部33の軸方向一端側にて径方向に突出する環状のフランジ部35とを一体で有している。フランジ部35の軸方向内側が、略径方向に延びた環状凹部32に面した内側面36になっており、内側面36の軸心側の凹面部36aに続く平坦な平板部36bには、上記環状突出部27と同様の波形の環状突出部37が設けられている。ゴム弾性体部31の構造については、環状凹部32が1つであることを除いて上記ゴム弾性体部21と同様である。
【0022】
ゴムブッシュ30は、図7に示すように、ゴム弾性体部31が本体筒部34にて筒状の薄肉金具である外筒スリーブ41の筒部42の軸穴44に圧入により挿嵌される。外筒スリーブ41は、筒部42の軸方向一端にて径方向外方に延びた円環状の鍔部43を有する。これにより、本体筒部34がわずかに圧縮されると共に、フランジ部35が軸方向外方にわずかに押圧され、その内側面36が鍔部43の圧接される。つづいて、外筒スリーブ41の筒部42外周面に、円筒形の外筒金具部45が圧入により挿嵌され、その軸端面46が鍔部43に押圧される。これにより、本体筒部34さらに圧縮され、軸方向にはみ出した部分が、外筒スリーブ41下側の環状凹部32内に埋め込まれ連結部33と一体にされる。さらに、フランジ部35の平板部36bに形成された環状突出部37が、軸端面46に押圧された鍔部43に圧縮された状態で密着する。
【0023】
これにより、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、環状突出部27の形成された周囲には、フランジ部内側面36と外筒スリーブ41の鍔部43との接触面において広い範囲の隙間が設けられる。これにより、内側面26と軸端面14の接触面積が少なくされ、そのため両者間の接触抵抗が低下する。その結果、第2実施形態においても、内筒金具11と外筒金具部45との間に捩り方向あるいは軸直角方向の外力が作用したとき、ステックスリップの発生が抑えられ、それに伴う異音の発生が抑制される。また、フランジ部35の内側面36に一本の環状突出部37を有しているので、フランジ部内側面36と外筒スリーブ41の鍔部43間の隙間を通しての泥水や砂、埃等の侵入を確実に防止することができ、その結果、ゴム弾性体部31の摩耗が抑えられ、その耐久性が高められる。
【0024】
なお、上記各実施形態においては、ゴム弾性体部21,31は、環状凹部22,32位置に連結部23,33を設けているが、この部分にゴム弾性体をなくすことも可能である。また、フランジ部25,35の内側面26,36に設けた環状突出部27,37の形状については、正弦波形状,台形形状あるいは二等辺三角形のような規則的な形状でなく、任意の形状でもよい。ただし、各波形の周方向両側間の間隔が、径方向内端から径方向外端に向けて小さくなるようにされていることが望ましい。また、個々の波形の配列についても、周期的に配列されていなくてもよい。また、外筒金具部については、金属製に限らず、樹脂製の部材も使用可能である。その他、上記実施形態に示したゴムブッシュについては、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変更して実施することができる。
【0025】
【発明の効果】
上記請求項1の発明によれば、フランジ部内側面に設けた1本の波形線である環状突出部により、フランジ部内側面と外筒部材の軸端面との間の接触抵抗が低下し、その結果、内筒金具と外筒部材との間に捩り方向等の外力が作用したとき、ステックスリップの発生が抑えられ、それに伴う異音の発生が抑制される。また、一本の環状突出部によりフランジ部内側面と外筒部材の軸端面間の隙間を通しての泥水や砂、埃等の侵入が確実に防止されるため、ゴム弾性体部の摩耗が抑えられその耐久性が高められる。
【0026】
また、環状突出部の各波形における周方向両側間の間隔を、径方向内端から径方向外端に向けて小さくなるようにしたことにより、滑りトルクのエネルギが分散され、その結果、スティックスリップの発生が抑えられる。さらに、環状突出部の波形の凹んだ部分に溜まった泥水等の異物の外部への排出が容易に行われることにより、ゴム弾性体部の耐久性が高められる(請求項2の発明の効果)。また、フランジ部の内側面の平坦な平面部に環状突出部が設けられていることにより、環状突出部が外筒部材の軸端面に確実に圧接され、両者間の接触面積が有効に低減される(請求項3の発明の効果)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるゴムブッシュを示す図3のI−I線方向の断面図である。
【図2】ゴムブッシュを示す図1の左側部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図3】ゴムブッシュを示す図2のIII−III線方向の部分断面図である。
【図4】ゴムブッシュを外筒金具に圧入により挿嵌した状態を示す軸線位置での断面図である。
【図5】変形例であるゴムブッシュの図3に相当する部分の部分断面図である。
【図6】第2実施形態であるゴムブッシュを示す軸線位置での断面図である。
【図7】同ゴムブッシュを外筒スリーブ及び外筒金具部に圧入により挿嵌した状態を示す軸線位置での断面図である。
【図8】従来例であるゴムブッシュを示す断面図である。
【符号の説明】
10…ゴムブッシュ、11…内筒金具、13…外筒金具部、14…軸端面、21…ゴム弾性体部、22…環状凹部、24…本体筒部、25…フランジ部、26…内側面、26b…平面部、27,29…環状突出部、30…ゴムブッシュ、31…ゴム弾性体部、32…環状凹部、34…本体筒部、35…フランジ部、36…内側面、37…環状突出部、38…小径軸穴、41…外筒スリーブ、43…鍔部、45…外筒金具部。
Claims (3)
- 内筒金具と、
該内筒金具の外周面に接着されたゴム弾性体製の筒状体であって、少なくとも軸方向一端側にて該筒状体の外周面から軸心方向に同軸状に凹んだ環状凹部を有し、該環状凹部を挟んだ軸方向一端側にて径方向に突出した環状のフランジ部と該環状凹部を挟んだ軸方向他端側にて径方向に突出した本体筒部とを有するゴム弾性体部とを備え、
前記本体筒部が筒状の相手外筒部材の軸穴内に圧入により挿嵌固定されると共に前記フランジ部の軸方向内側にて略径方向に延びた前記環状凹部に面した内側面が前記相手外筒部材の径方向に延びた軸端面に圧接されるゴムブッシュにおいて、
前記フランジ部の内側面にて、該内側面から所定幅の線状で突出すると共に、周方向全周に沿って延びる連続した多数の波形により形成された1本の波形線をなす環状突出部を設けており、該環状突出部が前記相手外筒部材の軸端面に圧接されることを特徴とするゴムブッシュ。 - 前記環状突出部は、径方向外側を頂点とした前記各波形における周方向両側間の間隔が、径方向内端から径方向外端に向けて小さくなるようにされていることを特徴とする前記請求項1に記載のゴムブッシュ。
- 前記フランジ部の内側面が、径方向の所定範囲内にて平坦な平面部を有しており、前記環状突出部が該平面部に設けられていることを特徴とする前記請求項1又は2に記載のゴムブッシュ。
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