JP2004175758A - β−ケトエステルを用いてアルキル化物を立体選択的に製造するための方法 - Google Patents

β−ケトエステルを用いてアルキル化物を立体選択的に製造するための方法 Download PDF

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Keiji Maruoka
啓二 丸岡
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Nagase and Co Ltd
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Abstract

【課題】N−スピロC軸不斉四級アンモニウム塩を触媒として使用することにより、β−ケトエステルから、不斉炭素原子を有するアルキル化物を、より高い立体選択性で、より効率的に製造するための方法を提供すること。
【解決手段】β−ケトエステルを用いてアルキル化物を立体選択的に製造するための方法が開示されている。本発明の製造方法は、所定構造を有するβ−ケトエステルと、アルキル硫酸エステルまたは式Rで表される化合物とを、塩基および式(III)で表される触媒:
【化1】
Figure 2004175758

の存在下にて反応させる工程、を包含する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、β−ケトエステルを用いてアルキル化物を立体選択的に製造するための方法に関し、より詳細には、N−スピロC軸不斉四級アンモニウム塩を触媒として使用することにより、アルキル化物を効率的かつ立体選択的に製造するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自然界には、不斉炭素原子を有する多くの化合物がある。従来より、このような化合物を用いた生理活性の発現において、その存在が重要視されており、合成化学的にも当該化合物の効率的合成法が種々試みられている。
【0003】
上記不斉炭素原子を有する化合物のうち、特に当該不斉炭素原子を有するアルキル化物は、香料または誘引物質のような生理活性物質の用途に有用である。
【0004】
このようなアルキル化物の立体選択的な製造方法の一つとして、例えば、N−(4−トリフルオロメチルベンジル)シンコニジニウム臭化物を相間移動触媒として使用したインダノンのアルキル化反応が知られており(非特許文献1)、他方では、不斉中心を効果的に形成することができる触媒の探索が数多く行われている。
【0005】
しかし、このようなアルキル化物を立体選択的に製造するための方法は、上記のみでは未だ不充分であり、より高い立体選択性を提供しかつより効率的に当該アルキル化物を製造するためのさらなる技術開発が所望されている。
【0006】
【非特許文献】コーリー,イー.ジェイ.(Corey,E.J.)ら、アンゲバンテヒェミーインターナショナルエディション(Angewandte Chemie, International Edition),(ドイツ国),1998年,第37巻,p.389−401
【0007】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、N−スピロC軸不斉四級アンモニウム塩を触媒として使用することにより、β−ケトエステルから、不斉炭素原子を有するアルキル化物を、より高い立体選択性で、より効率的に製造するための方法を提供することにある。
【0008】
本発明は、以下の式(I):
【0009】
【化5】
Figure 2004175758
【0010】
(ここで、Aは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基;もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cのアルキル基;であり、Bは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基であり、もしくはAおよびBは一緒になって環構造を形成していてもよく、そしてRは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基である)で表される化合物と、アルキル硫酸エステルまたは以下の式(II):
【0011】
【化6】
Figure 2004175758
【0012】
(ここで、Rは、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、または芳香族炭化水素基で置換されていてもよい、C〜Cのアルキル基;もしくはC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、または芳香族炭化水素基で置換されていてもよい、C〜Cのアルケニル基;であり、そしてXは、脱離能を有する基である)で表される化合物とを、塩基および以下の式(III):
【0013】
【化7】
Figure 2004175758
【0014】
(ここで、ArおよびArは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、アリール基;もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、ヘテロアリール基;である)で表される触媒の存在下にて反応させる工程、を包含する、以下の式(IV):
【0015】
【化8】
Figure 2004175758
【0016】
(ここで、A、B、RおよびRは上記定義と同一であり、そして*は不斉中心を示す)で表されるアルキル化物を立体選択的に製造するための方法である。
【0017】
好ましい実施態様においては、上記式(III)で表される触媒中のArおよびArは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、フェニル基;およびハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、ナフチル基;からなる群より選択される基である。
【0018】
さらに好ましい実施態様においては、上記式(III)で表される触媒中のArおよびArがともに、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル基である。
【0019】
以下、本明細書中に用いられる用語を定義する。
【0020】
用語「C〜Cのアルキル基」は、任意の炭素数1個〜4個を有する、直鎖、分岐鎖および環状アルキル基を包含していい、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルおよびシクロブチルが挙げられる。さらに、用語「ハロゲン原子で置換されていてもよいCからCのアルキル基」は、未置換の上記C〜Cのアルキル基、および上記C〜Cのアルキル基を構成する少なくとも1個の水素原子が後述するハロゲン原子に置換された、アルキル基を包含していう。
【0021】
用語「C〜Cのアルコキシ基」は、任意の炭素数1個〜4個を有する、直鎖、分岐鎖および環状アルコキシ基を包含していい、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシを包含していう。さらに、用語「ハロゲン原子で置換されていてもよいCからCのアルコキシ基」は、未置換の上記C〜Cのアルコキシ基、および上記C〜Cのアルコキシ基を構成する少なくとも1個の水素原子が後述するハロゲン原子に置換された、アルコキシ基を包含していう。
【0022】
本発明における「ハロゲン原子」の例としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
【0023】
用語「C 〜C のアルケニル基」は、任意の炭素数2個〜6個を有する、直鎖、分岐鎖および環状アルケニル基を包含していい、例えば、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、シクロプロペニル、ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、シクロブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニルなどが挙げられる。さらに、用語「ハロゲン原子で置換されていてもよいCからCのアルケニル基」は、未置換の上記C〜Cのアルケニル基、および上記C〜Cのアルコキシ基を構成する少なくとも1個の水素原子が上記ハロゲン原子に置換された、アルケニル基を包含していう。
【0024】
本発明に用いられる「芳香族炭化水素基」の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、およびアントラセニルが挙げられる。さらに、用語「ハロゲン原子で置換されていてもよいCからCのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいCからCのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基」は、未置換の上記芳香族炭化水素基、および上記芳香族炭化水素基を構成する少なくとも1個の水素原子が上記ハロゲン原子で置換されていてもよいCからCのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいCからCのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換された、芳香族炭化水素基を包含していう。
【0025】
本発明における「アリール基」の例としては、フェニル、およびナフチルが挙げられる。また、本発明における「ヘテロアリール基」の例としては、ピリジル、ピロリル、イミダゾリル、フリル、インドリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、およびテトラゾリルが挙げられる。
【0026】
本発明者は、立体選択性に優れた効果を示す新規な相間移動触媒の創製を行い、N−スピロC軸不斉四級アンモニウム塩の提供と共に、これを使用した立体選択的なアミノ酸の合成方法の提供を行ってきたが、これら相間移動触媒が、β−ケトエステルのアルキル化において、極めて高い立体選択性を発揮するものであることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造方法について詳述する。
【0028】
本発明の方法により製造され得るアルキル化物は、以下の式(IV)で表される化合物である:
【0029】
【化9】
Figure 2004175758
【0030】
ここで、Aは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基;もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cのアルキル基;であり、
Bは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基であり、Rは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基であり、Rは、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、または芳香族炭化水素基で置換されていてもよい、C〜Cのアルキル基;もしくはC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、または芳香族炭化水素基で置換されていてもよい、C〜Cのアルケニル基;であり、そして*は不斉中心を示す。
【0031】
上記式(IV)で表される化合物は、後述する各式で表される化合物、すなわち、式(I)で表される化合物(β−ケトエステル)と、アルキル硫酸エステルまたは以下の式(II)で表される化合物とを、塩基および以下の式(III)で表される触媒の存在下にて反応させることにより製造され得る。
【0032】
本発明に用いられる式(I)で表される化合物は、以下の構造を有するβ−ケトエステルである:
【0033】
【化10】
Figure 2004175758
【0034】
ここで、Aは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよいアルキル基であり、好ましくは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基;もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cのアルキル基;である。Bは、アルキル基であり、好ましくは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基である。あるいは、AおよびBは一緒になって環構造を形成していてもよい。当該AおよびBが形成し得る環構造の例としては、インダノン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサンが挙げられ、そしてより具体的な例としては、それぞれ、C〜Cのアルキル基および/またはC〜Cのアルコキシ基で置換されていてもよい、インダノン、シクロペンタノン、およびシクロヘキサンが挙げられる。また、当該AおよびBが形成し得る環構造は、芳香族炭化水素環とともに、以下の式(V):
【0035】
【化11】
Figure 2004175758
【0036】
で表されるような、縮合環を形成していてもよい。
【0037】
本発明に用いられる式(I)で表される化合物の具体的な例としては、2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノン、2−(t−ブトキシカルボニル)シクロペンタノン、2−(t−ブトキシカルボニル)シクロヘキサノン、2−ベンゾイルプロピオン酸t−ブチルエステル、および2−(メトキシカルボニル)−1−インダノンが挙げられる。
【0038】
本発明において、上記式(I)で表される化合物は単独種類で使用されてもよく、複数が組み合わされて使用されてもよい。
【0039】
本発明に用いられ得るアルキル硫酸エステルは、好ましくは、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル硫酸エステルであり、具体的な例としては、ジメチル硫酸およびジエチル硫酸が挙げられる。これらアルキル硫酸エステルもまた、単独種類が使用されてもよく、複数が組み合わされて使用されてもよい。
【0040】
本発明に用いられ得る式(II)で表される化合物は、以下の構造式で表される化合物である:
【0041】
【化12】
Figure 2004175758
【0042】
ここで、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよいアルケニル基であり、好ましくは、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、または芳香族炭化水素基で置換されていてもよい、C〜Cのアルキル基;もしくはC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、または芳香族炭化水素基で置換されていてもよい、C〜Cのアルケニル基;である。Xは、脱離能を有する基であり、好ましくはハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、C〜Cを有するアルキルスルホニルオキシ基、またはC〜C12を有するアリールスルホニルオキシ基である。Xのより具体的な例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、およびトリフルオロメタンスルホニルオキシが挙げられる。
【0043】
本発明に用いられる式(II)で表される化合物の具体的な例としては、ベンジルブロミド、アリルブロミドおよびシンナミルブロミドが挙げられる。これら式(II)で表される化合物もまた、単独種類が使用されてもよく、複数が組み合わされて使用されてもよい。
【0044】
本発明においては、上記式(I)で表される化合物1モルに対し、未反応化合物が残留することを防止するために、好ましくは、少なくとも等モル以上、より好ましくは1モル〜2モルの式(II)の化合物が使用される。
【0045】
本発明に用いられる塩基は、例えば、粉末状または水溶液の形態に調製された水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、および水酸化カルシウムが挙げられる。本発明においては、上記式(IV)で表される化合物の収率と立体選択性との両方が向上するという理由から、塩基には、粉末状の形態に調製されたものを使用することが好ましい。本発明においては、上記式(I)で表される化合物1モルに対し、好ましくは1モル〜5モルが使用される。
【0046】
本発明に用いられる式(III)で表される触媒(相間移動触媒)は、以下の構造式を有するN−スピロC軸不斉4級アンモニウム塩である:
【0047】
【化13】
Figure 2004175758
【0048】
ここで、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であり、好ましくは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、アリール基;もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、ヘテロアリール基;である。ArおよびArのより具体的な例としては、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、フェニル基;およびハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、ナフチル基;が挙げられる。
【0049】
本発明においては、上記式(IV)で表される化合物の収率と立体選択性との両方が向上するという理由から、上記式(III)で表される化合物を構成するArおよびArがともに、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル基であることがさらに好ましい。
【0050】
本発明に用いられる式(III)の触媒は、例えば、J.Am.Chem.Soc.,1999,121,p.6519−6520またはJ.Am.Chem.Soc.,2000,122,p.5228−5229に記載されており、当業者が適宜製造することができる。また、本発明に用いられる式(III)の触媒は、例えば、アルドリッチケミカル社より市販されている。
【0051】
本発明においては、上記式(I)で表される化合物1モルに対し、反応性を高める目的で、好ましくは、0.1モル%〜10モル%の式(III)の触媒が使用される。
【0052】
上記式(I)の化合物と、アルキル硫酸エステルまたは式(II)の化合物とは、上記塩基および式(III)の触媒と一緒に適切な溶媒に添加することにより反応が行われる。
【0053】
本発明において使用され得る溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジクロロメタンのような有機溶媒が挙げられる。使用する溶媒の量は、当業者により適切に選択され得る。
【0054】
本発明において設定され得る反応温度は、好ましくは−70℃〜常温であり、より好ましくは−60℃〜−30℃である。反応時間は、使用する上記各化合物の種類によって変化するため、必ずしも限定されないが、好ましくは数時間〜20時間である。
【0055】
上記反応の完了後、粗生成物は当業者に周知の手段を用いて分離され、精製される。
【0056】
このようにして、上記式(IV)で表されるアルキル化物を立体選択的に製造することができる。本発明により得られた式(IV)の化合物は優れた光学純度を有し、例えば、香料または誘因物質として有用である。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。しかし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0058】
なお、各実施例において、合成された各化合物の光学純度を、キラルカラム(DAICEL Chiralcel OD−H、DAICEL Chiralpak ASあるいはDAICEL Chiralpak ADを用いて測定し、ヘキサン−イソプロピルアルコールまたはヘキサン−エタノールを溶離液としたシリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行った。
【0059】
<実施例1:2−ベンジル−2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの合成>
アルゴン気流中、−40℃の冷却下にて、2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノン50.4mg(0.30mmol)と、ArおよびArがともに3,4,5−ジトリフルオロメチルフェニルである、式(III)で表され、かつ立体化学が(S,S)であるN−スピロC軸不斉四級アンモニウム臭化物3mg(0.003mmol)とをトルエン2mLに添加した。次いで、この混合物に、ベンジルブロミド61.56mg(0.36mmol)と水酸化セシウム一水和物255mg(1.5mmol)とを添加した。引き続き−40℃の温度下にて3時間撹拌した。
【0060】
反応混合物をジエチルエーテルで3回抽出し、抽出液を合わせ、水および食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を濃縮した後、得られた粗生成物をヘキサン:ジエチルエーテル混合溶媒を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに掛け、標題化合物を収率90%で得た。
【0061】
得られた化合物の光学純度を、HLPC DAISEL Chiralcel−OD−H(ヘキサンーイソプロピルアルコール=100:1 流量=0.5mL/分)を用いて測定した。保持時間14.2分(マイナー)および17.1分(メジャー)にピークが認められ、光学純度は95%eeであった。
【0062】
得られた化合物について、他の測定結果を以下に示す。
【0063】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.72(1H,d,J=7.2Hz,Ar−H),7.51(1H,t,J=7.2Hz,Ar−H),7.33(1H,d,J=7.2Hz,Ar−H),7.31(1H,t,J=7.2Hz,Ar−H),7.20−7.06(5H,m,Ph),3.56(1H,d,J=17.2Hz,CH),3.43(1H,d,J=17.6Hz,CH),3.26(1H,d,J=17.6Hz,CH),3.12(1H,d,J=17.2Hz,CH),1.38(9H,s,t−Bu)。
【0064】
IR(ニート)2978,2930,1740,1709,1607,1456,1369,1254,1215,1151,1026,932,847,762,739,702cm−1
【0065】
HRMS(ESI−TOF)C2122Na([M+Na])としたとき、計算値345.1461、実測値345.1470。
【0066】
<実施例2:2−メチル−2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの合成>
【0067】
アルキル化剤として使用したベンジルブロミドの代わりにジメチル硫酸を用い、反応温度を−30℃とし、反応時間を7時間としたこと以外は実施例1と同様にして、標題化合物を収率99%で得た。
【0068】
得られた化合物の光学純度を、HLPC DAISEL Chiralpak−AS(ヘキサンーイソプロピルアルコール=400:1 流量=0.5mL/分)を用いて測定した。保持時間16.7分(マイナー)および19.8分(メジャー)にピークが認められ、光学純度は87%eeであった。
【0069】
得られた化合物について、他の測定結果を以下に示す。
【0070】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.78(1H,d,J=8.0Hz,Ar−H),7.61(1H,t,J=8.0Hz,Ar−H),7.46(1H,d,J=8.0Hz,Ar−H),7.40(1H,t,J=8.0Hz,Ar−H),3.64(1H,d,J=17.2Hz,Ar−H),2.97(1H,d,J=17.2Hz,CH),1.46(3H,s、CH),1.38(9H,s,t−Bu)。
【0071】
IR(ニート)2978,2932,1740,1717,1609,1456,1394,1369,1285,1211,1151,1097,972,847,739,cm−1
【0072】
HRMS(ESI−TOF)C1519([M+H])としたとき計算値247.1329、実測値247.1322。
【0073】
<実施例3:2−アリル−2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの合成>
アルキル化剤として使用したベンジルブロミドの代わりに、アリルブロミドを用い、反応温度を−50℃とし、反応時間を12時間としたこと以外は実施例1と同様にして、標題化合物を収率94%で得た。
【0074】
得られた化合物の光学純度を、HLPC DAISEL Chiralpak−AD(ヘキサンーイソプロピルアルコール=100:1 流量=0.5mL/分)を用いて測定した。保持時間12.1分(マイナー)および14.3分(メジャー)にピークが認められ、光学純度は91%eeであった。
【0075】
得られた化合物について、他の測定結果を以下に示す。
【0076】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.77(1H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.60(1H,t,J=7.6Hz,Ar−H),7.46(1H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.38(1H,t,J=7.6Hz,Ar−H),5.65(1H,ddt,J=17.2,10.0,7.2,C=CH),5.12(1H,dd,J=17.2,1.2Hz,C=CH),5.03(1H,dd,J=10.0,1.2Hz,C=CH),3.10(1H,d,J=17.6Hz,CH),2.84(1H,dd,J=14.0,7.2Hz,C=CCH),2.56(1H,dd,J=14.0,7.2Hz,C=CCH),1.39(9H,s,t−Bu)。
【0077】
IR(ニート)2980,1740,1713,1609,1474,1369,1256,1211,1151,920,847,741cm−1
【0078】
HRMS(ESI−TOF)C1720Na([M+Na])としたとき計算値295.1305、実測値295.1317。
【0079】
<実施例4:2−シンナミル−2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの合成>
アルキル化剤として使用したベンジルブロミドの代わりに、シンナミルブロミドを用い、反応時間を5時間としたこと以外は実施例1と同様にして、標題化合物を収率93%で得た。
【0080】
得られた化合物の光学純度を、HLPC DAISEL Chiralpak−AD(ヘキサンーイソプロピルアルコール=100:1 流量=0.5mL/分)を用いて測定した。保持時間22.2分(マイナー)および24.6分(メジャー)にピークが認められ、光学純度は96%eeであった。
【0081】
得られた化合物について、他の測定結果を以下に示す。
【0082】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.77(1H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.59(1H,dt,J=1.2、7.6Hz,Ar−H),7.44(1H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.37(1H,t,J=7.6Hz,PhC=CH),7.27−7.15(5H,m,Ph),6.47(1H,d,J=16.0Hz,PhCH=C),6.06(1H,dt,J=16.0,7.6Hz,CH),3.61(1H,d,J=17.6Hz,CH),3.15(1H,d,J=17.6Hz,CH),3.01(1H,ddd,J=14.0,7.6,1.2Hz,C=CCH),2.68(1H,ddd,J=14.0,7.6,1.2Hz,C=CCH),1.41(9H,s,t−Bu)。
【0083】
IR(ニート)2978,2932,1736,1713,1609,1464,1369,1254,1213,1151,968,928,845,741,694cm−1
【0084】
HRMS(ESI−TOF)C2420Na([M+Na])としたとき、計算値371.1618、実測値371.1617。
【0085】
<実施例5:2−(4−ベンゾイルフェニル)メチル−2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの合成>
アルキル化剤として使用したベンジルブロミドの代わりに、4−ベンゾイルベンジルブロミドを用い、反応時間を7時間としたこと以外は実施例1と同様にして、標題化合物を収率86%で得た。
【0086】
得られた化合物の光学純度を、HLPC DAISEL Chiralpak−AD(ヘキサンーエタノール=4:1 流量=0.5mL/min)を用いて測定した。保持時間15.3分(メジャー)および18.2分(マイナー)にピークが認められ、光学純度は97%eeであった。
【0087】
得られた化合物について、他の測定結果を以下に示す。
【0088】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.73(1H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.70(2H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.62(2H,d,J=8.4Hz,Ar−H),7.57(1H,t,J=7.6Hz,Ar−H),7.54(1H,t,J=7.6Hz,Ar−H),7.45(2H,t,J=7.6Hz,Ar−H),7.36(1H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.34(1H,t,J=7.6Hz,Ar−H),7.27(2H,d,J=8.4Hz,Ar−H),3.60(1H,d,J=17.6Hz,CH2),3.51(1H,d,J=14.4Hz,CH2),3.36(1H,d,J=14.4Hz,CH2),3.11(1H,d,J=17.6Hz,CH2),1.38(9H,s,t−Bu)。
【0089】
IR(ニート)3057,2978,2932,1730,1705,1653,1607,1447,1369,1317,1250,1150,1026,924,847,781,741,704cm−1
【0090】
HRMS(ESI−TOF)C2826Na([M+Na])としたとき計算値449.1723、実測値449.1741。
【0091】
<実施例6:2−ベンジル−2−(t−ブトキシカルボニル)シクロペンタノンの合成>
2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの代わりに、2−(t−ブトキシカルボニル)シクロペンタノンを用い、反応時間を2.5時間としたこと以外は実施例1と同様にして、標題化合物を収率94%で得た。
【0092】
得られた化合物の光学純度を、DAICEL Chiralcel−OD−H(ヘキサンーイソプロピルアルコール=400:1 流量=0.5mL/分)を用いて測定した。保持時間21.9分(R)および26.3分(S)にピークが認められ、文献(Tetrahedron Lett.1998,39,p.5807)記載の、相当するメチルエステルの保持時間との比較から、光学純度は93%ee(S)であることを見出した。
【0093】
<実施例7:2−シンナミル−2−(t−ブトキシカルボニル)シクロペンタノンの合成>
2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの代わりに、2−(t−ブトキシカルボニル)シクロペンタノンを用い、アルキル化剤として使用したベンジルブロミドの代わりにシンナミルブロミドを用い、反応温度を−60℃とし、反応時間を9時間としたこと以外は実施例1と同様にして、標題化合物を収率80%で得た。
【0094】
得られた化合物の光学純度を、DAICEL Chiralcel−OD−H(ヘキサンーイソプロピルアルコール=100:1 流量=0.5mL/分)を用いて測定した。保持時間15.9分(マイナー)および18.8分(メジャー)にピークが認められ、光学純度は92%eeであった。
【0095】
得られた化合物について、他の測定結果を以下に示す。
【0096】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.35(−7.17(5H,m,Ph),6.43(1H,d,J=15.6Hz,PhCH=C),6.10(1H,dt,J=15.5,7.6Hz,PhC=CH),2.75(1H,dd,J=14.0,7.6Hz,C=CH),2.51(1H,dd,J=14.0,7.6Hz,C=CH)、2.47−2.36(2H,m,CH),2.26−2.15(1H,m,CH),2.05−1.86(3H,m,CH),1.44(9H,s,t−Bu)。
【0097】
IR(KBr)2974,2934,1744,1720,1493,1369,1321,1296,1250,1177,1150,1101,986,851,754,698cm−1
【0098】
HRMS(ESI−TOF)C1924Na([M+Na])としたとき計算値323.1618、実測値323.1618。
【0099】
<実施例8:2−ベンジル−2−(t−ブトキシカルボニル)シクロヘキサノンの合成>
2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの代わりに、2−(t−ブトキシカルボニル)シクロヘキサノンを用い、反応温度を−40℃とし、反応時間を4時間としたこと以外は実施例1と同様にして、標題化合物を収率88%で得た。
【0100】
得られた化合物の光学純度を、DAICEL Chiralcel−OD−H(ヘキサンーイソプロピルアルコール=150:1 流量=0.5mL/分)を用いて測定した。保持時間12.5分および13.7分(メジャー)にピークが認められ、文献(Tetrahedron 1998,54,14465)に記載の、相当するメチルエステルの保持時間との比較から、光学純度は92%ee(S)であることを見出した。
【0101】
得られた化合物について、他の測定結果を以下に示す。
【0102】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.25−7.14(5H,m,Ph),3.26(1H,d,J=14.0Hz,PhCH)、2.87(1H,d,J=14.0Hz,PhCH)、2.55−2.43(2H,m,CH),2.36(1H,ddd,J=14.0,6.0,3.2Hz,CH),2.06−1.96(1H,m,CH),1.76−1.50(3H,m,CH),1.45−1.38(1H,m,CH),1.37(9H,s,t−Bu)。
【0103】
IR(KBr)2974,2866,1719,1440,1367,1344,1283,1250,1231,1164,1140,845,746,704cm−1
【0104】
HRMS(ESI−TOF)C1824Na([M+Na])としたとき、計算値311.1618、実測値311.1629。
【0105】
<実施例9:2−シンナミル−2−(t−ブトキシカルボニル)シクロヘキサノンの合成>
2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの代わりに、2−(t−ブトキシカルボニル)シクロヘキサノンを用い、アルキル化剤として使用したベンジルブロミドの代わりにシンナミルブロミドを用い、反応温度を−60℃とし、反応時間を15時間としたこと以外は実施例1と同様にして、標題化合物を収率95%で得た。
【0106】
得られた化合物の光学純度を、HPLC DAICEL ChiralpakAD(ヘキサンーイソプロピルアルコール=100:1 流量=0.5mL/分)を用いて測定した。保持時間12.74分(マイナー)および15.48分(メジャー)にピークが認められ、光学純度は80%eeであった。
【0107】
得られた化合物について、他の測定結果を以下に示す。
【0108】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.33−7.15(5H,m,Ph),6.37(1H,d,J=16.0Hz,PhCH=C)、6.20(1H,ddd,J=16.0,8.0,6.8Hz,PhC=CH)、2.72(1H,ddd,J=14.0,6.8,1.2Hz,CH),2.56−2.40(4H,m,CH),2.07−1.99(1H,m,CH),1.80−1.55(3H,m,CH),1.50−1.42(1H,m,CH),1.41(9H,s,t−Bu)
【0109】
IR(ニート)2976,2937,2866,1709,1450,1369,1310,1250,1157,1096,968,843,743,692cm−1
【0110】
HRMS(ESI−TOF)C2026Na([M+Na])としたとき、計算値337.1774、実測値337.1780。
【0111】
<実施例10:2−ベンゾイル−2−メチル−3−フェニルプロピオン酸t−ブチルエステルの合成>
2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの代わりに、2−ベンゾイルプロピオン酸t−ブチルエステルを用い、反応温度を−30℃とし、反応時間を9時間としたこと以外は実施例1と同様にして、標題化合物を収率96%で得た。
【0112】
得られた化合物の光学純度を、HPLC DAICEL Chiralcel−OD−H(ヘキサンーイソプロピルアルコール=1000:1 流量=0.8mL/分)を用いて測定した。保持時間25.8分(メジャー)および29.5分(マイナー)にピークが認められ、光学純度は85%eeであった。
【0113】
得られた化合物について、他の測定結果を以下に示す。
【0114】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.91(2H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.54(1H,t,J=7.6Hz,Ar−H),7.44(2H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.24−7.19(3H,m,Ph),7.06−7.00(2H,m,Ph),3.40(1H,d,J=14.4Hz,PhCH),3.35(1H,d,J=14.4Hz,PhCH)1.45(3H,s,CH),1.29(9H,s,t−Bu)。
【0115】
IR(ニート)2980,2936,1732,1684,1497,1456,1369,1275,1250,1150,1117,974,845,700cm−1
【0116】
HRMS(ESI−TOF)C2124Na([M+Na])としたとき、計算値347.1618、実測値347.1606。
【0117】
<実施例11:2−ベンジル−2−(メトキシカルボニル)−1−インダノンの合成>
2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの代わりに2−(メトキシカルボニル)−1−インダノンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、標題化合物を得た。
【0118】
得られた化合物の光学純度を、DAICEL Chiralcel−OD−H(ヘキサンーイソプロピルアルコール=100:1 流量=0.5mL/分)を用いて測定した。保持時間32.3分(マイナー)および48.9分(メジャー)にピークが認められ、文献(Tetrahedron Lett. 1974,15,217)に記載の、相当する化合物の保持時間との比較から、光学純度が82%ee(R)であることを見出した。
【0119】
得られた化合物について、他の測定結果を以下に示す。
【0120】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.74(1H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.53(1H,t,J=7.6Hz,Ar−H),7.34(1H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.33(1H,t,J=7.6Hz,Ar−H),7.20−7.10(5H,m,Ph),3.72(3H,s,CH),3.63(1H,d,J=17.6Hz,CH),3.49(1H,d,J=14.0Hz,CH),3.29(1H,d,J=14.0Hz,CH),3.17(1H,d,J=17.6Hz,CH)。
【0121】
[α] 28+113.4(c0.6,EtOH)。
【0122】
<実施例12:2−メチル−2−(メトキシカルボニル)−1−インダノンの合成>
2−(t−ブトキシカルボニル)−1−インダノンの代わりに2−(メトキシカルボニル)−1−インダノンを用いたこと以外は実施例2と同様にして、標題化合物を得た。
【0123】
得られた化合物の光学純度を、DAICEL Chiralcel−AS(ヘキサン−イソプロピルアルコール=200:1 流量=0.5mL/分)を用いて測定した。保持時間31.7分(マイナー)および32.2分(メジャー)にピークが認められ、文献(Bull.Chem.Soc.Jpn. 1989,62,p.3026)に記載の、相当する化合物の保持時間との比較から、光学純度が57%ee(R)であることを見出した。
【0124】
得られた化合物について、他の測定結果を以下に示す。
【0125】
H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.80(1H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.64(1H,t,J=7.6Hz,Ar−H),7.48(1H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.42(1H,t,J=7.6Hz,Ar−H),3.72(1H,d,J=17.2Hz,CH)3.69(3H,s,CH),2.91(1H,d,J=17.6Hz,CH),1.53(3H,s,CH)。
【0126】
[α] 4.6+24.6(c0.25,CHCl)。
【0127】
【発明の効果】
本発明によれば、β−ケトエステルを用いて、式(IV)で表されるアルキル化物をより高い立体選択性で製造することができる。本発明により得られた式(IV)のアルキル化物は優れた光学純度を有し、例えば、香料または誘因物質として有用である。

Claims (3)

  1. 以下の式(I):
    Figure 2004175758
    (ここで、Aは、
    ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基;もしくは
    ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよい、C〜Cのアルキル基;であり、
    Bは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基であり、もしくはAおよびBは一緒になって環構造を形成していてもよく、そして
    Rは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基である)で表される化合物と、
    アルキル硫酸エステルまたは以下の式(II):
    Figure 2004175758
    (ここで、Rは、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、または芳香族炭化水素基で置換されていてもよい、C〜Cのアルキル基;もしくはC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、または芳香族炭化水素基で置換されていてもよい、C〜Cのアルケニル基;であり、そしてXは脱離能を有する基である)で表される化合物とを、塩基および以下の式(III):
    Figure 2004175758
    (ここで、ArおよびArは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、アリール基;もしくはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、ヘテロアリール基;である)で表される触媒の存在下にて反応させる工程、
    を包含する、以下の式(IV):
    Figure 2004175758
    (ここで、A、B、RおよびRは上記定義と同一であり、そして*は不斉中心を示す)で表されるアルキル化物を立体選択的に製造するための方法。
  2. 前記式(III)で表される触媒中のArおよびArが、それぞれ独立して、
    ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、フェニル基;および
    ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基か、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基か、ハロゲン原子か、あるいはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cのアルコキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素基か、で置換されていてもよい、ナフチル基;
    からなる群より選択される基である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記式(III)で表される触媒中のArおよびArがともに、3,5−ジトリフルオロメチルフェニル基である、請求項2に記載の方法。
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