JP2004175586A - 酸化チタンナノチューブの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板上に垂直に配向した酸化チタンナノチューブを特別の製造設備を要することなく、しかも容易な操作で得ることができるようにする。
【解決手段】粒子径5〜1000nmの酸化チタン微粒子を含むペーストをアルミナ、金属チタン、ステンレス鋼、ポリテトラフルオロエチレンなどからなる基板上に塗布し、乾燥したのち、この基板を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ水溶液中で加熱する。アルカリ水溶液のアルカリ濃度は1〜20モルが好ましく、反応条件は、温度50〜200℃、時間1〜100時間とすることが好ましい。基板1の表面に対して垂直に配向した多数の酸化チタンナノチューブ2・・・が形成される。
【選択図】図1
【解決手段】粒子径5〜1000nmの酸化チタン微粒子を含むペーストをアルミナ、金属チタン、ステンレス鋼、ポリテトラフルオロエチレンなどからなる基板上に塗布し、乾燥したのち、この基板を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ水溶液中で加熱する。アルカリ水溶液のアルカリ濃度は1〜20モルが好ましく、反応条件は、温度50〜200℃、時間1〜100時間とすることが好ましい。基板1の表面に対して垂直に配向した多数の酸化チタンナノチューブ2・・・が形成される。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、酸化チタンナノチューブの製造方法に関し、特に基板に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブを製造することができる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の酸化チタンナノチューブの製造方法としては、アルカリ水溶液を使用したアルカリ水熱合成法(非特許文献1参照)がある。この製造方法は、酸化チタン微粒子を高濃度の水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液中に分散し、これを温度50〜200℃、時間1〜100時間の条件で加熱するもので、この操作によりアルカリ水溶液中に酸化チタンナノチューブが生成される。この時の酸化チタンナノチューブの生成機構は不明である。
【0003】
また、別の製造方法として、ナノオーダの微少鋳型を用いる鋳型法(非特許文献2参照)がある。この製造方法は、アルミニウムの陽極酸化膜の微細孔にアクリル樹脂を流し込み、多数の微細柱を有する鋳型を作製し、この鋳型の微細柱に酸化チタンを電着したのち、鋳型を溶解、除去するもので、酸化チタンナノチューブが多数集合したアレイが製造できる。
【0004】
さらに、チタン金属の陽極酸化法(非特許文献3参照)が知られている。この製法は、チタン金属を陽極酸化して微細孔を形成し、この微細孔をナノチューブの孔とみなすもので、やはり酸化チタンナノチューブが多数集合したアレイが得られることになる。
【0005】
ところで、酸化チタンナノチューブの用途として、色素増感太陽電池の色素担持酸化チタン多孔質膜が考えられている。この色素担持酸化チタン多孔質膜は、透明導電性基板上に酸化チタン微粒子を含むペーストを塗布、焼結して得られる酸化チタン多孔質膜に増感用色素を担持してなるものである。
【0006】
この色素担持酸化チタン多孔質膜を酸化チタンナノチューブで代替するには、透明導電性基板上に酸化チタンナノチューブを形成し、この酸化チタンナノチューブの個々のチューブの内部および外部に増感色素を担持する必要があり、その手始めとして、基板上に酸化チタンナノチューブを形成する必要がある。基板上に酸化チタンナノチューブを設ける際に、基板の単位面積当たりの酸化チタンナノチューブをできるだけ多くすることが好ましく、これには基板表面に対して酸化チタンナノチューブを垂直に配向させて形成することが考えられる。
【0007】
しかしながら、上述の酸化チタンナノチューブの製造方法では、酸化チタンナノチューブを基板表面に対して垂直に配向して形成することが困難であった。すなわち、アルカリ水熱法では基板上に酸化チタンナノチューブを形成すること自体が困難であり、鋳型法では酸化チタンナノチューブを基板表面に対して垂直に配向して形成することはできるものの製造工程が複雑であり、陽極酸化法では高電圧が必要であり、長い酸化チタンナノチューブや径の小さい酸化チタンナノチューブを得ることが困難であった。
【0008】
【非特許文献1】
T.Kasuga,Langmuir,1998,14,3160
【非特許文献2】
P.Hoyer,Langmuir,1996,12,1411
【非特許文献3】
J.Mater.Res.,2001,vol.16,No.12,3331
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、基板上に垂直に配向した酸化チタンナノチューブを容易に得ることができるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、酸化チタン微粒子を含むペーストを基板上に塗布し、乾燥したのち、この基板をアルカリ水溶液中で加熱することを特徴とする酸化チタンナノチューブの製造方法である。
【0011】
請求項2にかかる発明は、濃度1〜20モルのアルカリ水溶液中で、温度50〜200℃、時間1〜100時間加熱することを特徴とする請求項1記載の酸化チタンナノチューブの製造方法である。
請求項3にかかる発明は、請求項1または2記載の製造方法で得られ、基板に対して垂直に配向したことを特徴とする酸化チタンナノチューブである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、酸化チタン微粒子を含むペーストを用意する。
ここで使用される酸化チタン微粒子は、粒子径5〜1000nmのナノ粒子であり、気相法、液相法などの方法により製造されたルチル型、アナターゼ型、非定形型のいずれの結晶形のものを使用することができる。
【0013】
このような酸化チタン微粒子を用いて、ペーストを作成する。具体的には、酸化チタン微粒子5〜50wt%に、ポリエチレングリコール、水溶性セルロースなどを0〜50wt%と、水を配合し、この混合物をロールミルなどにより、よく混練りすることによってペーストとすることができる。
このようにして得られたペーストの粘度は、10〜500ポイズ程度とすることが好ましい。
【0014】
ついで、このペーストを基板表面に塗布し、乾燥する。ここで使用できる基板としては、強アルカリ、高温に耐えることができるアルミナ、シリカ、金属チタン、ステンレス鋼、ポリテトラフルオロエチレンなどからなり、その厚さが1〜50mm程度のものが用いられる。
【0015】
塗布方法は、スクリーン印刷、グラビア印刷などの印刷法以外に、スプレー塗布法、ロールコータ法、ディップ法などの各種塗布方法が用いられる。また、乾燥条件は、温度150〜600℃、時間5〜60分程度とされる。基板表面に形成された乾燥後の塗布層の厚さは、1〜30μmとされ、これよりも薄いと光の吸収率が悪くなり、これよりも厚いと内部抵抗が大となる。
【0016】
ついで、この表面に塗布層が形成された基板をアルカリ水溶液中に浸し、加熱してアルカリ水熱処理を施す。
このアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)などの強アルカリの濃度1〜20モルの水溶液が用いられる。
【0017】
このアルカリ水溶液のアルカリ濃度が1モル未満では酸化チタンナノチューブが製造できず、20モルを越えると凝集体となる。また、加熱温度は、50〜200℃とされ、50℃未満の温度では酸化チタンナノチューブが得られず、200℃を越えるとチューブが分解して不都合となる。
【0018】
さらに、加熱時間(反応時間)は、1〜100時間とされ、1時間未満の反応では酸化チタンナノチューブが合成できず、100時間を超えると生産性が低下する。
反応圧力は、特に限定されず、通常はオートクレーブなどの耐圧容器内で行う。
【0019】
具体的な反応操作は、極めて簡単で、例えばステンレス鋼製容器などの耐食性容器に上記アルカリ水溶液を満たし、これに上記ペーストを塗布、乾燥した基板を浸して、静置させ、ヒータなどによりアルカリ水溶液を所定の温度に加熱する方法などが採用される。
【0020】
所定時間の反応が終了したのち、基板をアルカリ水溶液から取り出し、酸水溶液で中和し、水洗、乾燥することで、基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが得られる。
これによって合成された酸化チタンナノチューブは、長さ10nm〜10μm、内径0.5〜10nm、外径5〜50nmであり、基板表面1mm2当たり108〜104本の密度で基板表面に対して垂直に配向して基板表面から成長したものである。
【0021】
図1は、このようにして得られた酸化チタンナノチューブの一例を示す模式図である。図1中、符号1は基板を示す。この基板1表面には、多数の酸化チタンナノチューブ2・・・が基板1表面に対して垂直に配向して形成されている。
【0022】
このような酸化チタンナノチューブの製造方法では、基板表面の塗布層の酸化チタン微粒子がアルカリ水溶液一旦溶解し、この溶解した酸化チタンが基板表面の成長点に析出して基板上方に成長してゆくことで基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが形成するものと考えられる。
【0023】
また、この酸化チタンナノチューブの製造方法によれば、特別の製造設備を必要とすることがなく、製造工程も簡便であるので、基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブを安価に製造することができる。さらに、ペーストの塗布方法として、スクリーン印刷などの塗布位置を特定の場所に限定できる方法を採用すれば、基板の所望の位置に酸化チタンナノチューブを垂直には配向して形成することができる。
【0024】
以下、具体例を示す。
粒径25nmのアナターゼ型酸化チタン微粒子15wt%を含む混合物をロールミルにより混練りし、粘度100ポイズのペーストとした。
【0025】
このペーストを厚さ10mmのアルミナ製の基板の表面にロールコータ法により塗布し、150℃で30分間乾燥し、厚さ10μmの塗布層を設けた。ついで、この基板を濃度10モルの水酸化ナトリウム水溶液に浸し、この水溶液を温度100℃で、時間50時間の条件で加熱した。
【0026】
こののち、基板を水溶液から取り出し、塩酸水溶液に浸して中和し、水洗、乾燥した。この基板には、基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが形成されていた。
【0027】
また、得られた酸化チタンナノチューブは、その長さが50〜500nmで、内径0.5〜10nmで、外径10〜50nmであり、基板表面1mm2当たりの本数は105〜106本であることが判明した。
【0028】
さらに、水酸化ナトリウム水溶液のアルカリ濃度を1〜20モルに変化させて同様の反応操作を行ったところ、同様の基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが形成されたことが確認された。また、加熱温度を50〜200℃に変化させ、加熱時間を1〜100時間に変化させて、同様の操作を行ったところ、同様の基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが形成されたことが確認された。
【0029】
さらに、アルカリの種類を水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムに変化させ、基板を金属チタン、ステンレス鋼、ポリテトラフルオロエチレンに変化させて、同様の操作を実施したところ、同様の基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが形成されたことが確認された。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の酸化チタンナノチューブの製造方法によれば、基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブを簡単な設備と簡便な操作により、製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化チタンナノチューブの製造方法で得られた酸化チタンナノチューブの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1・・・基板、2・・・酸化チタンナノチューブ
【発明の属する技術分野】
この発明は、酸化チタンナノチューブの製造方法に関し、特に基板に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブを製造することができる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の酸化チタンナノチューブの製造方法としては、アルカリ水溶液を使用したアルカリ水熱合成法(非特許文献1参照)がある。この製造方法は、酸化チタン微粒子を高濃度の水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液中に分散し、これを温度50〜200℃、時間1〜100時間の条件で加熱するもので、この操作によりアルカリ水溶液中に酸化チタンナノチューブが生成される。この時の酸化チタンナノチューブの生成機構は不明である。
【0003】
また、別の製造方法として、ナノオーダの微少鋳型を用いる鋳型法(非特許文献2参照)がある。この製造方法は、アルミニウムの陽極酸化膜の微細孔にアクリル樹脂を流し込み、多数の微細柱を有する鋳型を作製し、この鋳型の微細柱に酸化チタンを電着したのち、鋳型を溶解、除去するもので、酸化チタンナノチューブが多数集合したアレイが製造できる。
【0004】
さらに、チタン金属の陽極酸化法(非特許文献3参照)が知られている。この製法は、チタン金属を陽極酸化して微細孔を形成し、この微細孔をナノチューブの孔とみなすもので、やはり酸化チタンナノチューブが多数集合したアレイが得られることになる。
【0005】
ところで、酸化チタンナノチューブの用途として、色素増感太陽電池の色素担持酸化チタン多孔質膜が考えられている。この色素担持酸化チタン多孔質膜は、透明導電性基板上に酸化チタン微粒子を含むペーストを塗布、焼結して得られる酸化チタン多孔質膜に増感用色素を担持してなるものである。
【0006】
この色素担持酸化チタン多孔質膜を酸化チタンナノチューブで代替するには、透明導電性基板上に酸化チタンナノチューブを形成し、この酸化チタンナノチューブの個々のチューブの内部および外部に増感色素を担持する必要があり、その手始めとして、基板上に酸化チタンナノチューブを形成する必要がある。基板上に酸化チタンナノチューブを設ける際に、基板の単位面積当たりの酸化チタンナノチューブをできるだけ多くすることが好ましく、これには基板表面に対して酸化チタンナノチューブを垂直に配向させて形成することが考えられる。
【0007】
しかしながら、上述の酸化チタンナノチューブの製造方法では、酸化チタンナノチューブを基板表面に対して垂直に配向して形成することが困難であった。すなわち、アルカリ水熱法では基板上に酸化チタンナノチューブを形成すること自体が困難であり、鋳型法では酸化チタンナノチューブを基板表面に対して垂直に配向して形成することはできるものの製造工程が複雑であり、陽極酸化法では高電圧が必要であり、長い酸化チタンナノチューブや径の小さい酸化チタンナノチューブを得ることが困難であった。
【0008】
【非特許文献1】
T.Kasuga,Langmuir,1998,14,3160
【非特許文献2】
P.Hoyer,Langmuir,1996,12,1411
【非特許文献3】
J.Mater.Res.,2001,vol.16,No.12,3331
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、基板上に垂直に配向した酸化チタンナノチューブを容易に得ることができるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、酸化チタン微粒子を含むペーストを基板上に塗布し、乾燥したのち、この基板をアルカリ水溶液中で加熱することを特徴とする酸化チタンナノチューブの製造方法である。
【0011】
請求項2にかかる発明は、濃度1〜20モルのアルカリ水溶液中で、温度50〜200℃、時間1〜100時間加熱することを特徴とする請求項1記載の酸化チタンナノチューブの製造方法である。
請求項3にかかる発明は、請求項1または2記載の製造方法で得られ、基板に対して垂直に配向したことを特徴とする酸化チタンナノチューブである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、酸化チタン微粒子を含むペーストを用意する。
ここで使用される酸化チタン微粒子は、粒子径5〜1000nmのナノ粒子であり、気相法、液相法などの方法により製造されたルチル型、アナターゼ型、非定形型のいずれの結晶形のものを使用することができる。
【0013】
このような酸化チタン微粒子を用いて、ペーストを作成する。具体的には、酸化チタン微粒子5〜50wt%に、ポリエチレングリコール、水溶性セルロースなどを0〜50wt%と、水を配合し、この混合物をロールミルなどにより、よく混練りすることによってペーストとすることができる。
このようにして得られたペーストの粘度は、10〜500ポイズ程度とすることが好ましい。
【0014】
ついで、このペーストを基板表面に塗布し、乾燥する。ここで使用できる基板としては、強アルカリ、高温に耐えることができるアルミナ、シリカ、金属チタン、ステンレス鋼、ポリテトラフルオロエチレンなどからなり、その厚さが1〜50mm程度のものが用いられる。
【0015】
塗布方法は、スクリーン印刷、グラビア印刷などの印刷法以外に、スプレー塗布法、ロールコータ法、ディップ法などの各種塗布方法が用いられる。また、乾燥条件は、温度150〜600℃、時間5〜60分程度とされる。基板表面に形成された乾燥後の塗布層の厚さは、1〜30μmとされ、これよりも薄いと光の吸収率が悪くなり、これよりも厚いと内部抵抗が大となる。
【0016】
ついで、この表面に塗布層が形成された基板をアルカリ水溶液中に浸し、加熱してアルカリ水熱処理を施す。
このアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)などの強アルカリの濃度1〜20モルの水溶液が用いられる。
【0017】
このアルカリ水溶液のアルカリ濃度が1モル未満では酸化チタンナノチューブが製造できず、20モルを越えると凝集体となる。また、加熱温度は、50〜200℃とされ、50℃未満の温度では酸化チタンナノチューブが得られず、200℃を越えるとチューブが分解して不都合となる。
【0018】
さらに、加熱時間(反応時間)は、1〜100時間とされ、1時間未満の反応では酸化チタンナノチューブが合成できず、100時間を超えると生産性が低下する。
反応圧力は、特に限定されず、通常はオートクレーブなどの耐圧容器内で行う。
【0019】
具体的な反応操作は、極めて簡単で、例えばステンレス鋼製容器などの耐食性容器に上記アルカリ水溶液を満たし、これに上記ペーストを塗布、乾燥した基板を浸して、静置させ、ヒータなどによりアルカリ水溶液を所定の温度に加熱する方法などが採用される。
【0020】
所定時間の反応が終了したのち、基板をアルカリ水溶液から取り出し、酸水溶液で中和し、水洗、乾燥することで、基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが得られる。
これによって合成された酸化チタンナノチューブは、長さ10nm〜10μm、内径0.5〜10nm、外径5〜50nmであり、基板表面1mm2当たり108〜104本の密度で基板表面に対して垂直に配向して基板表面から成長したものである。
【0021】
図1は、このようにして得られた酸化チタンナノチューブの一例を示す模式図である。図1中、符号1は基板を示す。この基板1表面には、多数の酸化チタンナノチューブ2・・・が基板1表面に対して垂直に配向して形成されている。
【0022】
このような酸化チタンナノチューブの製造方法では、基板表面の塗布層の酸化チタン微粒子がアルカリ水溶液一旦溶解し、この溶解した酸化チタンが基板表面の成長点に析出して基板上方に成長してゆくことで基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが形成するものと考えられる。
【0023】
また、この酸化チタンナノチューブの製造方法によれば、特別の製造設備を必要とすることがなく、製造工程も簡便であるので、基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブを安価に製造することができる。さらに、ペーストの塗布方法として、スクリーン印刷などの塗布位置を特定の場所に限定できる方法を採用すれば、基板の所望の位置に酸化チタンナノチューブを垂直には配向して形成することができる。
【0024】
以下、具体例を示す。
粒径25nmのアナターゼ型酸化チタン微粒子15wt%を含む混合物をロールミルにより混練りし、粘度100ポイズのペーストとした。
【0025】
このペーストを厚さ10mmのアルミナ製の基板の表面にロールコータ法により塗布し、150℃で30分間乾燥し、厚さ10μmの塗布層を設けた。ついで、この基板を濃度10モルの水酸化ナトリウム水溶液に浸し、この水溶液を温度100℃で、時間50時間の条件で加熱した。
【0026】
こののち、基板を水溶液から取り出し、塩酸水溶液に浸して中和し、水洗、乾燥した。この基板には、基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが形成されていた。
【0027】
また、得られた酸化チタンナノチューブは、その長さが50〜500nmで、内径0.5〜10nmで、外径10〜50nmであり、基板表面1mm2当たりの本数は105〜106本であることが判明した。
【0028】
さらに、水酸化ナトリウム水溶液のアルカリ濃度を1〜20モルに変化させて同様の反応操作を行ったところ、同様の基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが形成されたことが確認された。また、加熱温度を50〜200℃に変化させ、加熱時間を1〜100時間に変化させて、同様の操作を行ったところ、同様の基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが形成されたことが確認された。
【0029】
さらに、アルカリの種類を水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムに変化させ、基板を金属チタン、ステンレス鋼、ポリテトラフルオロエチレンに変化させて、同様の操作を実施したところ、同様の基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブが形成されたことが確認された。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の酸化チタンナノチューブの製造方法によれば、基板表面に対して垂直に配向した酸化チタンナノチューブを簡単な設備と簡便な操作により、製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化チタンナノチューブの製造方法で得られた酸化チタンナノチューブの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1・・・基板、2・・・酸化チタンナノチューブ
Claims (3)
- 酸化チタン微粒子を含むペーストを基板上に塗布し、乾燥したのち、この基板をアルカリ水溶液中で加熱することを特徴とする酸化チタンナノチューブの製造方法。
- 濃度1〜20モルのアルカリ水溶液中で、温度50〜200℃、時間1〜100時間加熱することを特徴とする請求項1記載の酸化チタンナノチューブの製造方法。
- 請求項1または2記載の製造方法で得られ、基板に対して垂直に配向したことを特徴とする酸化チタンナノチューブ。
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JP2002340777A JP2004175586A (ja) | 2002-11-25 | 2002-11-25 | 酸化チタンナノチューブの製造方法 |
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---|---|---|---|---|
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WO2010050575A1 (ja) | 2008-10-29 | 2010-05-06 | 富士フイルム株式会社 | 色素、これを用いた光電変換素子、光電気化学電池、および色素の製造方法 |
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EP2306479A2 (en) | 2009-09-28 | 2011-04-06 | Fujifilm Corporation | Method of producing photoelectric conversion element, photoelectric conversion element, and photoelectrochemical cell |
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