JP2004175290A - 冷凍サイクルの制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容量可変型圧縮機の駆動トルクを正確に推定し、必要とするエンジン出力トルクに応じてエンジン負荷である容量可変型圧縮機の駆動トルクを制御することができるような、膨張装置にオリフィス部を用いた冷凍サイクルの制御方法を提供すること。
【解決手段】容量可変型圧縮機1の容量を制御する容量制御弁5を制御する電気信号を直接測定し、これから冷凍サイクル内の冷媒高圧側圧力と低圧側圧力との差圧と冷媒流量とを推定して冷凍サイクルのエネルギを、さらにエンジン回転数を利用して駆動トルクを推定する。これにより、自動車が加速時などに、駆動トルクを小さくして、エンジンの負担を軽減するようなエネルギ制御を可能にする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍サイクルの制御方法に関し、特に膨張装置として弁開度の調整機能を持たないオリフィスチューブを用いた冷凍サイクルからなる自動車用空調装置にて容量可変型圧縮機を駆動するエンジンに対してできるだけ負荷が少なくかつ高精度な制御が可能な冷凍サイクルの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用空調装置においては、圧縮機がエンジンによって駆動されるため、運転状態がエンジンの運転状態によって大きく影響される。逆に、エンジンは、自動車用空調装置が負荷になっており、自動車用空調装置を駆動するための余分なエネルギを必要とする。
【0003】
エンジンの出力は、その負荷である自動車用空調装置の運転状態に応じて制御する必要がある。たとえば自動車用空調装置が運転中は、圧縮機の駆動トルクを考慮し、その駆動トルクを余分に発生するようにエンジン出力トルクが制御されている。圧縮機の駆動トルクは、あらかじめ設定されていて、自動車用空調装置が運転されるときは、そのあらかじめ設定された固定値だけ余分に駆動トルクを発生するように制御している。
【0004】
あらかじめ設定された駆動トルクは、実際の駆動トルクと大きく相違することがあるため、エンジン出力トルクも必要なトルクからずれて制御されることになる。そのため、たとえば特許文献1に記載の技術では、容量可変型圧縮機の吐出容量を外部から電気制御するための圧縮機制御信号に基づいて、容量可変型圧縮機の駆動トルクを推定し、これを上乗せしてエンジン出力トルクを制御するようにしている。
【0005】
このような制御は、膨張装置が外部から与えられる信号によって弁開度が自由に設定できる圧力制御弁を使用した構成の冷凍サイクルについて述べているが、膨張装置として弁開度の調整機能を持たないオリフィスチューブを用いた冷凍サイクル(たとえば特許文献2。)においても同じことが言える。
【0006】
すなわち、自動車用空調装置の運転中に自動車が発進または加速走行しようとしたときには、容量可変型圧縮機の駆動トルクを制御することにより、燃料消費を大きく増やすことなく発進または加速に必要なエンジン出力トルクを確保することができるのである。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−180261号公報(段落番号〔0006〕,図2)
【特許文献2】
特開昭56−7959号公報(図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の冷凍サイクルの制御において、エンジン出力トルクの制御に必要な容量可変型圧縮機の駆動トルクについては、冷媒循環回路に設定された2つの圧力監視点間の差圧に容量可変型圧縮機の吐出容量が反映されていることから、2つの圧力監視点間の差圧を設定するための圧縮機制御信号から容量可変型圧縮機の吐出容量つまりはその駆動トルクを推定しているが、実際には、その圧縮機制御信号からだけでは、容量可変型圧縮機の駆動トルクを正確に推定することは難しいという問題点があった。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、容量可変型圧縮機の駆動トルクを正確に推定し、必要とするエンジン出力トルクに応じてエンジン負荷である容量可変型圧縮機の駆動トルクを制御することができるような、膨張装置にオリフィス部を用いた冷凍サイクルの制御方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記問題を解決するために、膨張装置にオリフィス部を用いた冷凍サイクルの制御方法において、容量可変型圧縮機の吐出容量を外部から制御するための圧縮機制御信号に基づいて冷凍サイクル内の高圧側圧力と低圧側圧力との差圧および冷媒流量を推定するとともに、推定した前記差圧および前記冷媒流量とエンジンの回転数とから前記容量可変型圧縮機の駆動トルクを推定し、自動車が発進または急加速時には、推定した前記容量可変型圧縮機の駆動トルクがゼロに、前記自動車の加速または登坂走行時には、前記容量可変型圧縮機の駆動トルクが小さくなるように前記圧縮機制御信号を制御することを特徴とする冷凍サイクルの制御方法が提供される。
【0011】
このような冷凍サイクルの制御方法によれば、圧縮機の駆動トルク、すなわち冷凍サイクルのエネルギ状態を、容量可変型圧縮機の吐出容量の制御に使われる圧縮機制御信号をもとに推定し、これをもとにして自動車の走行状態に応じた冷凍サイクルの制御を行うようにしている。これにより、冷凍サイクルのエネルギ状態は、実際に容量可変型圧縮機を制御している圧縮機制御信号の値から算出していることにより、正確に推定することができるため、冷凍サイクルをよりきめ細かく制御することが可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の原理から先に説明する。
冷凍サイクルの冷力Q、すなわちエネルギは、冷凍サイクル内の冷媒の高圧側圧力と低圧側圧力との差圧ΔPと冷媒流量Gfとの積に比例し、
【0013】
【数1】
Q∝Gf*△P ・・・(1)
で表すことができる。一方、冷凍サイクルを動かすのに必要なエンジンのエネルギは、Nをエンジンの回転数、Tを駆動トルクとすると、
【0014】
【数2】
Q∝N*T ・・・(2)
で表される。これらの式から、
【0015】
【数3】
Q∝N*T∝Gf*△P ・・・(3)
が得られる。この式から、冷凍サイクル内の冷媒高圧側圧力と低圧側圧力との差圧ΔPと冷媒流量Gfと回転数Nとが分かれば、容量可変型圧縮機の駆動トルクが分かることになる。ここで、差圧ΔPは、容量可変型圧縮機の吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差、あるいは、膨張装置の入口圧力と出口圧力との差であり、容量可変型圧縮機あるいは膨張装置の差圧を外部から一定の差圧に制御する容量可変型圧縮機用の容量制御弁の電気信号の関数になっている。一方、冷媒流量Gfは、容量可変型圧縮機あるいは膨張装置において冷媒が通過するオリフィスの面積およびその前後の差圧から求められる値で、容量可変型圧縮機を外部から一定の容量に制御する容量可変型圧縮機用の容量制御弁の電気信号の関数になっている。つまり、差圧ΔPまたは冷媒流量Gfは、外部からの電気信号によって容量制御弁のコイルへ供給される電流iによって決められるので、これらの電流値を直接検出することによって冷凍サイクルのエネルギを正確に求めることができる。
【0016】
また、冷凍サイクルを動かすのに必要なエンジンのエネルギの式(3)からは、エンジンの回転数Nが分かっているので、式(3)により駆動トルクTが分かる。しかも、冷凍サイクルのエネルギを求めるパラメータが正確に検出できることから駆動トルクTをより正確に求めることができる。
【0017】
これにより、差圧ΔPまたは冷媒流量Gfを電気信号によって制御することにより、冷凍サイクルのエネルギを自由に制御できるだけでなく、駆動トルクTも自由に制御できることになる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は冷凍システムの原理的な構成を示すシステム図である。
この冷凍システムは、冷媒を圧縮する容量可変型圧縮機1と、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器2と、凝縮された冷媒を段熱膨張させる膨張装置3と、膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器4とを備えている。
【0019】
容量可変型圧縮機1は、一定流量の冷媒を吐出する流量制御式、または冷媒入口と出口との差圧を一定に制御する差圧制御式のものが用いられる。膨張装置3は、固定オリフィスを有するオリフィスチューブからなる。
【0020】
容量可変型圧縮機1は、その吐出室から吐出される吐出圧力Pdの冷媒を直接凝縮器2に供給するとともに、その一部を容量制御弁5で圧力Pcにしてクランク室に供給するよう構成され、その容量制御弁5は、駆動回路6に接続されている。また、蒸発器4から戻ってきた吸入圧力Psの冷媒は、吸入室に供給するよう構成され、さらに、吸入室と吐出室との間には、オリフィス7が設けられている。
【0021】
容量制御弁5は、容量可変型圧縮機1から吐出される冷媒を駆動回路6によって与えられた制御信号により決まる一定の流量または一定の差圧で吐出するように制御する。
【0022】
次に、容量可変型圧縮機1が流量制御の場合または差圧制御の場合のおのおのについて説明する。
図2は流量制御の容量可変型圧縮機の場合の冷凍システムの差圧−流量特性を示す図である。
【0023】
この特性において、縦軸は容量可変型圧縮機1の吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧を示し、横軸は冷凍サイクルを流れる冷媒の流量を示している。ここで、曲線は、容量可変型圧縮機1がある回転数で回転しているときの圧縮機可変容量率を示しており、原点から最も遠い曲線は圧縮機可変容量率が100%、つまり、容量可変型圧縮機1が最大で運転しているときを示している。
【0024】
容量可変型圧縮機1は流量制御式なので、吐出される冷媒流量Gf(i)は駆動回路6によって与えられる制御信号の電流値iによって決められる。また、膨張装置3における差圧ΔPに関しては、オリフィスの大きさによって傾きが決められる。したがって、この冷凍システムでは、電流値iによって容量可変型圧縮機1の冷媒流量Gf(i)が分かるので、そのときの差圧ΔPおよび可変容量率を知ることができる。
【0025】
この可変容量率は、自動車が発進、加速または登坂走行するときには、エンジンは、その出力トルクを余分に必要としているが、そのときの容量可変型圧縮機1の駆動トルクは、冷凍サイクルの冷力であるエネルギとエンジンの回転数とから分かるため、エンジンが余分に必要としている出力トルク分だけ、冷凍サイクルのエネルギを減らすように容量可変型圧縮機1の冷媒流量Gf(i)を制御することができる。なお、冷凍サイクルが運転中のエネルギから、エンジンの回転数に対応する駆動トルクが分かるので、その駆動トルクを、たとえば自動車のアイドリング時のエンジン出力トルクの制御に利用することができる。すなわち、その駆動トルクの値を使い、その駆動トルク分を上乗せしてエンジン出力トルクを制御し、これによってエンジンの不安定動作、さらには停止といった不具合を防止することができる。
【0026】
次に、この冷凍システムを構成する容量可変型圧縮機1の具体例について説明する。
図3は流量制御式の容量可変型圧縮機の一構成例を示す断面図、図4は図3の容量可変型圧縮機に用いられる電磁差圧弁の詳細を示す断面図である。
【0027】
この容量可変型圧縮機は、気密に形成されたクランク室10を有し、中には回転自在に支持された回転軸11を有している。この回転軸11の一端は、図示しない軸封装置を介してクランク室10の外まで延びていてエンジンの出力軸から駆動力が伝達されるプーリ12が固定されている。回転軸11には、揺動板13が傾斜角可変に設けられている。回転軸11の軸線の回りには、複数(図示の例では1つ)のシリンダ14が配置されている。各シリンダ14には、揺動板13の回転運動を往復運動に変換するピストン15が配置されている。各シリンダ14は、それぞれ吸入用リリーフ弁16および吐出用リリーフ弁17を介して吸入室および吐出室に接続されている。各シリンダ14の吸入室は、相互に連通して1つの部屋になっており、蒸発器に接続される。また、各シリンダ14の吐出室も、相互に連通して1つの部屋になっており、吐出側冷媒流路18を介して凝縮器に接続される。
【0028】
吐出室の吐出側冷媒流路18には、流路面積が固定のオリフィス19が設けられている。吐出室からクランク室10へ通じる流路には、容量制御の電磁差圧弁20が設けられ、クランク室10から吸入室へ通じる流路には、固定オリフィス21が設けられている。電磁差圧弁20は、オリフィス19の上流側および下流側に発生する差圧(Pd−Pd’)を受けるよう構成されている。
【0029】
電磁差圧弁20は、本出願人による特願2001−170434号明細書にて提案したもので、図4に示したように、圧力感知部を兼ねた弁部22と、ソレノイド部23とから構成されている。
【0030】
弁部22は、吐出圧力Pdを導入するポート24と、導入された吐出圧力Pdをクランク室圧力Pcに制御して出力する弁体25と、クランク室圧力Pcを出力するポート26と、弁体25を開く方向へ付勢するスプリング27と、この電磁差圧弁20の中央軸線位置にて弁体25と一体となって進退可能に設けられ、ポート24とほぼ同じ径を有する感圧ピストン28と、この感圧ピストン28の弁体25と反対側にオリフィス19の下流側の圧力Pd’を導入するポート29とを有している。
【0031】
ソレノイド部23は、円筒状の中空部を有する電磁コイル30が設けられ、その円筒状の中空部にはスリーブ31が設けられている。そのスリーブ31の一端には、固定鉄芯をなすコア32が固定され、スリーブ31の中には、可動鉄芯をなすプランジャ33が軸線方向に移動可能に遊挿配置されている。コア32の軸線位置にはシャフト34が貫通配置され、その一端は感圧ピストン28に、他端はプランジャ33に当接されている。スリーブ31の他端には、アジャストねじ35が螺着されている。そして、コア32とプランジャ33との間には、スプリング36が配置され、プランジャ33とアジャストねじ35との間には、スプリング37が配置されている。
【0032】
以上の構成の容量可変型圧縮機において、エンジンがある一定の回転数で駆動されているとき、蒸発器からの冷媒が吸入室より流量Qsで吸引され、吐出室から流量Qdで吐出される。このとき、電磁差圧弁20は、吐出室の冷媒の吐出圧力Pdを弁部22を介してクランク室10へ導入する。これにより、容量可変型圧縮機の吐出容量は、クランク室10内の圧力Pcに応じた容量に制御される。
クランク室10の圧力Pcは、固定オリフィス21を介して引き抜かれ、吸入室に戻される。
【0033】
このとき、ソレノイド部23の電磁コイル30には、外部条件に応じた電磁差圧弁20の差圧に対応する電流信号が供給される。
したがって、電磁差圧弁20は、オリフィス19の前後に発生する差圧を弁部22の弁体25および感圧ピストン28で感知し、その差圧が設定された所定値になるよう弁部22の弁体25を制御して、吐出側冷媒流路18を流れる冷媒流量を一定の流量Qdに保持するように制御する。
【0034】
すなわち、エンジンの回転数が上昇すると、吐出圧力Pdが上昇し、それによって、吐出される冷媒の流量Qdが増加しようとする。すると、吐出圧力Pdが高くなるため、弁部22の弁体25および感圧ピストン28はソレノイド部23の側に移動し、弁体25はスプリング27の付勢力によって弁部22の開度を開く方向に移動して、クランク室10へ導入する冷媒流量を増加させる。クランク室10内の圧力Pcが上昇することにより、容量可変型圧縮機を最少運転側に制御し、吐出される冷媒の流量を減らすようにする。
【0035】
逆に、エンジンの回転数が低下した場合は、吐出される冷媒の流量Qdが減少しようとして吐出圧力Pdが低くなると、弁部22の弁体25および感圧ピストン28は図の上側に移動し、弁体25は閉弁方向に移動してクランク室10へ導入する冷媒流量を減らすように制御する。これにより、クランク室10内の圧力Pcが減少し、容量可変型圧縮機を最大運転側に制御し、吐出される冷媒の流量を増やすようにする。
【0036】
この結果、エンジンの回転数が変動しても、電磁差圧弁20はオリフィス19の前後差圧を一定にするようにクランク室10へ導入する冷媒流量を制御する。
したがって、オリフィス19が固定でその前後差圧が一定に制御されるため、容量可変型圧縮機から吐出される冷媒の流量Qdは一定の流量に制御されることになる。
【0037】
ここで、電磁差圧弁20に供給される制御信号は、オリフィス19の前後差圧を表しており、オリフィス19の流路面積は固定であるから、制御信号を直接測定することにより、そのときの流量Gfを正確に知ることができる。この流量Gfは膨張装置3を通過する流量でもあり、膨張装置3のオリフィスチューブの流路面積は固定であることから、冷凍サイクル内の高圧側圧力と低圧側圧力との差圧ΔPを知ることができる。したがって、流量Gfおよび差圧ΔPが分かり、そのときのエンジンの回転数Nは分かっているので、駆動トルクTを求めることができるのである。
【0038】
このようにして求められた容量可変型圧縮機の駆動トルクTは、自動車が発進または急加速時には、ゼロに、自動車の加速または登坂走行時には、小さくなるように制御信号を制御する。具体的には、オリフィス19の前後差圧を表す制御信号を、急加速時に差圧がゼロになるよう制御し、登坂走行時に差圧が小さくなるよう制御する。このように、自動車の走行状態に応じて容量可変型圧縮機の駆動トルクTを変えるようにしたことで、自動車用空調装置が運転中にもかかわらず、自動車の走行性能を改善することができる。
【0039】
図5は流量制御式の容量可変型圧縮機の別の構成例を示す断面図、図6は図5の容量可変型圧縮機に用いられる電磁比例式流量制御弁の詳細を示す断面図、図7は図5の容量可変型圧縮機に用いられる定差圧弁の詳細を示す断面図である。
なお、図5ないし図7において、図3および図4に示した構成要素と同じまたは同等の要素については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0040】
この流量制御式の容量可変型圧縮機は、本出願人による特願2001−170435号明細書にて提案したものであり、吐出室から凝縮器へ向かう吐出側冷媒流路18に電磁比例式流量制御弁40を設け、流路面積を外部信号によって比例的に変化させることができる可変オリフィスを構成している。また、吐出室は、定差圧弁41を介してクランク室10に接続され、クランク室10は固定の固定オリフィス21を介して吸入室に接続されている。定差圧弁41は、吐出室の吐出圧力Pdと電磁比例式流量制御弁40を通ってきた吐出側冷媒流路18の圧力Pd’とを導入し、電磁比例式流量制御弁40の前後に発生する差圧が一定になるように、吐出室からクランク室10、さらにはクランク室10から固定オリフィス21を介して吸入室へ流れる冷媒を制御する弁である。
【0041】
電磁比例式流量制御弁40は、図6に示したように、弁部42およびソレノイド部43から構成されている。弁部42は、吐出室の吐出圧力Pdを導入するポート44と、この弁部42にて減圧された圧力Pd’を吐出側冷媒流路18へ導出するポート45とを有し、これらを連通する流路には、弁座46が形成され、この弁座46の上流側にボール形状の弁体47が弁座46に対向して配置されている。ポート44の開口端にはアジャストねじ48が螺着されており、弁体47とアジャストねじ48との間には、弁体47を閉じる方向に付勢するスプリング49が配置されている。また、弁体47は弁孔を介して軸線方向に延びるシャフト50の一端に当接しており、このシャフト50の他端は、軸線方向に進退自在に配置されたピストン51に固定されている。このピストン51は弁孔とほぼ同じ径を有し、弁体47より下流側の圧力Pd’が軸線両方向に対して等しくかかるようにして弁体47の制御に圧力Pd’が影響しないようにしている。また、弁体47の上流側空間とピストン51のソレノイド部側空間との間には、連通路52が設けられており、ピストン51の背圧側に吐出圧力Pdを導入して、弁体47にかかる吐出圧力Pdをキャンセルするようにしている。
【0042】
ソレノイド部43は、電磁コイル53、コア54、プランジャ55、シャフト56を有している。シャフト56の両端は、ガイド57,58によって支持されている。シャフト56のほぼ中央部には、Eリング59が嵌着されており、プランジャ55がコア54に吸着するよう移動したとき、シャフト56も一緒に移動するようにしている。これにより、プランジャ55が図の上方へ移動すると、シャフト56が図の上端に当接されているピストン51を押し、弁体47を開く方向に作用する。その移動量は、電磁コイル53に供給する電流値に比例する。したがって、この電磁比例式流量制御弁40を通る冷媒の流路面積は、電磁コイル53に供給される制御電流の値によって決めることができる。
【0043】
定差圧弁41は、図7に示したように、吐出室の吐出圧力Pdを導入するポート60と、この定差圧弁41で制御された圧力Pcをクランク室10へ導入するポート61と、電磁比例式流量制御弁40によって減圧された圧力Pd’を導入するポート62とを有している。
【0044】
ポート60とポート61とを連通する流路には、弁座63が形成され、この弁座63の下流側に弁体64が弁座63に対向して配置されている。この弁体64には、フランジが設けられていて、弁座63との間に弁体64を開く方向へ付勢するスプリング65が配置されている。
【0045】
弁体64と同軸上には、軸線方向に進退自在に配置されて両面にポート61からの吐出圧力Pdとポート62からの圧力Pd’とを受ける感圧ピストン66が設けられており、一体に動くよう弁体64に固定されている。
【0046】
感圧ピストン66の図の下方には、スプリング荷重調整用のアジャストねじ67が設けられ、感圧ピストン66とアジャストねじ67との間には、弁体64を閉じる方向に感圧ピストン66を付勢するスプリング68が配置されている。
【0047】
以上の構成の容量可変型圧縮機においては、電磁比例式流量制御弁40が、所定の制御電流の供給を受けて、凝縮器に連通する吐出側冷媒流路18を絞り、所定の大きさのオリフィスを形成し、流量Qdにより所定の差圧(Pd−Pd’)を発生させるようにしている。また、定差圧弁41は、感圧ピストン66が所定の差圧(Pd>Pd’)を受け、それによって発生する図の下向きの力とスプリング65,68の荷重とが釣り合う位置に弁体64が静止し、弁開度が制御されている。したがって、制御電流によって決まる電磁比例式流量制御弁40の前後差圧を定差圧弁41が感知し、定差圧弁41は、その差圧があらかじめ設定された所定値(すなわち、一定の流量Qd)になるよう弁開度を調整して、クランク室10に導入される冷媒の流量を制御し、これによって定流量式の容量可変型圧縮機を構成している。
【0048】
ここで、電磁比例式流量制御弁40に供給される制御信号は、吐出側のオリフィスの流路面積を表しており、その前後の差圧は定差圧弁41によって一定に維持されているので、制御信号を直接測定することにより、そのときの流量Gfを正確に知ることができる。この流量Gfは膨張装置3を通過する流量でもあり、膨張装置3のオリフィスチューブの流路面積は固定であることから、冷凍サイクル内の高圧側圧力と低圧側圧力との差圧ΔPを知ることができる。したがって、流量Gfおよび差圧ΔPが分かり、そのときのエンジンの回転数Nは分かっているので、駆動トルクTを求めることができるのである。
【0049】
このようにして求められた容量可変型圧縮機の駆動トルクTは、自動車が発進または急加速時には、ゼロに、自動車の加速または登坂走行時には、小さくなるように制御信号を制御する。具体的には、可変オリフィスの流路面積を表す制御信号を、急加速時に可変オリフィスの流路面積がゼロ(全閉)になるよう制御し、登坂走行時に可変オリフィスの流路面積が小さくなるよう制御する。このように、自動車の走行状態に応じて容量可変型圧縮機の駆動トルクTを変えるようにしたことで、エンジンの駆動トルクを大きくしたいときに容量可変型圧縮機の駆動トルクTが小さくなって、自動車の走行性能を改善することができる。
【0050】
次に、差圧制御の容量可変型圧縮機1の場合について説明する。
図8は差圧制御の容量可変型圧縮機の場合の冷凍システムの差圧−流量特性を示す図である。
【0051】
この特性において、縦軸は容量可変型圧縮機1の吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧を示し、横軸は冷凍サイクルを流れる冷媒の流量を示している。
容量可変型圧縮機1は差圧制御式なので、その吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧ΔP(i)は駆動回路6によって与えられる制御信号の電流値iによって決められる。また、膨張装置3における差圧ΔPに関しては、オリフィスの大きさによって傾きが決められる。したがって、この冷凍システムでは、電流値iによって容量可変型圧縮機1の吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧ΔPが分かるので、そのときの冷媒流量Gf(i)および可変容量率を知ることができる。
【0052】
次に、この冷凍システムを構成する差圧制御の容量可変型圧縮機1の具体例について説明する。
図9は差圧制御式の容量可変型圧縮機の一構成例を示す断面図、図10は図9の容量可変型圧縮機に用いられる容量制御弁の詳細を示す断面図である。なお、この図9において、図3に示した構成要素と同じまたは同等の要素については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0053】
この容量可変型圧縮機は、本出願人による特願2002−86084号明細書にて提案したもので、吐出室からクランク室10へ向かう冷媒流路の途中にPd−Ps差圧制御の容量制御弁70が設けられ、吐出室とクランク室10との間、およびクランク室10と吸入室との間には、それぞれ固定オリフィス71,21が設けられている。
【0054】
この容量制御弁70は、図10に示したように、吐出室の吐出圧力Pdを受けてクランク室10に圧力Pcを導入する弁体72を有し、この弁体72には感圧ピストン73が一体に形成されている。感圧ピストン73の図の上端は、通路74を介してクランク室10の圧力Pcを受けるよう構成されている。弁体72は、その弁座75から離れる方向にスプリング76によって付勢されている。
【0055】
弁体72とソレノイド部との間には、径の異なる2つのピストンロッド77,78が軸線方向に進退自在に配置されている。その上側のピストンロッド77は、弁座75の直径と同じ直径を有し、下側のピストンロッド78は、弁体72と一体に形成された感圧ピストン73と同じ直径を有している。これらのピストンロッド77,78の連結部は、縮径されていて、吸入室に連通して吸入圧力Psを受ける空間を構成している。ピストンロッド78の図の下端は、通路79,80を介してクランク室10の圧力Pcを受けるよう構成されている。
【0056】
ソレノイド部は、電磁コイル81、コア82、プランジャ83、シャフト84を有している。シャフト84の両端は、ガイド85,86によって支持され、上端部は、ピストンロッド78に当接している。シャフト84には、Eリング87が嵌着されており、プランジャ83がコア82に吸着するよう移動したとき、シャフト84も一緒に移動するようにしている。そして、プランジャ83の軸線方向両端側には、スプリング88,89が配置されている。
【0057】
この容量制御弁70は、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧ΔPを感じて動作する差圧弁を構成し、その差圧ΔPが一定になるよう吐出室からクランク室10へ流れる冷媒の流量を制御する。その一定に制御しようとする差圧ΔP(i)は、ソレノイドの電磁コイル81へ供給する電流iによって決めることができる。
【0058】
ここで、容量制御弁70に供給される制御信号は、差圧ΔPに対応したソレノイド力を発生させる信号であるので、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧ΔPを表しており、この差圧ΔPは膨張装置3の前後の差圧でもある。膨張装置3のオリフィスチューブの流路面積は固定であることから、制御信号を直接測定することにより、そのときの流量Gfを正確に知ることができる。したがって、差圧ΔPおよび流量Gfが分かり、そのときのエンジンの回転数Nは分かっているので、駆動トルクTを求めることができるのである。
【0059】
このようにして求められた容量可変型圧縮機の駆動トルクTは、自動車が発進または急加速時には、ゼロに、自動車の加速または登坂走行時には、小さくなるように制御信号を制御する。具体的には、差圧ΔPを表す制御信号を、差圧がゼロになるよう制御し、登坂走行時に差圧が小さくなるよう制御する。このように、自動車の走行状態に応じて容量可変型圧縮機の駆動トルクTを変えるようにしたことで、エンジンの駆動トルクを大きくしたいときに容量可変型圧縮機の駆動トルクTが小さくなって、自動車の走行性能を改善することができる。
【0060】
なお、高圧圧力センサで吐出圧力Pdを検知しながら吸入圧力Psが一定になるように制御することにより、結果として差圧制御と同じような制御を行うことができるので、次に、容量可変型圧縮機1を吸入圧力Psで制御する方式について説明する。
【0061】
図11は吸入圧力制御式の容量可変型圧縮機の一構成例を示す断面図、図12は図11の容量可変型圧縮機に用いられる容量制御弁の詳細を示す断面図である。なお、この図11において、図3に示した構成要素と同じまたは同等の要素については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0062】
この容量可変型圧縮機は、吐出室からクランク室10へ向かう冷媒流路の途中にPs制御の容量制御弁90が設けられ、クランク室10と吸入室との間には、固定オリフィス21が設けられている。また、吐出室から凝縮器2へ向かう配管の途中に、吐出圧力Pdを検出する高圧圧力センサ91が設けられている。
【0063】
この容量制御弁90は、本出願人による特開2001−295759号公報にて提案したもので、図12に示したように、吐出室の吐出圧力Pdを受けてクランク室10に圧力Pcを導入する弁体92を有し、この弁体92は、閉じる方向にスプリング93によって付勢されている。この容量制御弁90の中心軸線上には、一端が弁体92に当接するようシャフト94が嵌挿配置されている。シャフト94の他端は、ディスク95を介してダイヤフラム96が当接するよう設けられている。ディスク95のある側のダイヤフラム室は、ダイヤフラム96が吸入圧力Psを受けるように吸入室に連通されている。
【0064】
ソレノイド部は、電磁コイル97、コア98、一端がダイヤフラム96に当接されたプランジャ99、このプランジャ99をシャフト100を介してダイヤフラム96の方向に付勢するスプリング101を有している。
【0065】
この構成により、容量制御弁90は、ダイヤフラム96が吸入圧力Psを受け、その吸入圧力Psが一定になるように吐出室から吐出された吐出圧力Pdの冷媒を弁体92がクランク室10へ供給する。
【0066】
ここで、容量制御弁90に供給される制御信号は、吸入圧力Psを表しており、吐出圧力Pdは高圧圧力センサ91によって検出されているので、制御信号を直接測定することにより、そのときの吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧ΔPを正確に知ることができる。差圧ΔPは膨張装置3の前後の差圧でもあり、膨張装置3のオリフィスチューブの流路面積は固定であることから、そのときの流量Gfを知ることができる。したがって、差圧ΔPおよび流量Gfが分かり、そのときのエンジンの回転数Nは分かっているので、駆動トルクTを求めることができるのである。
【0067】
このようにして求められた容量可変型圧縮機の駆動トルクTは、自動車が発進または急加速時には、ゼロに、自動車の加速または登坂走行時には、小さくなるように制御信号を制御する。具体的には、吸入圧力Psを表す制御信号を、吸入圧力Psが最大になるよう制御し、登坂走行時に吐出圧力Pdに近づくよう制御する。このように、自動車の走行状態に応じて容量可変型圧縮機の駆動トルクTを変えるようにしたことで、エンジンの駆動トルクを大きくしたいときに容量可変型圧縮機の駆動トルクTが小さくなって、自動車の走行性能を改善することができる。
【0068】
以上、本発明をその好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はその特定の実施の形態に限定されるものではない。たとえば、以上の実施の形態では、吐出室とクランク室10との間に容量制御弁を設け、クランク室と吸入室との間に固定オリフィス21を設けて、容量制御弁が吐出圧力Pdの冷媒をクランク室10に導入する量を制御する方式の冷凍システムについて説明したが、吐出室とクランク室10との間に固定オリフィスを設け、クランク室と吸入室との間に容量制御弁を設けて、クランク室から吸入室に逃す冷媒量を制御したり、吐出室とクランク室10との間およびクランク室と吸入室との間に容量制御弁を設けて、クランク室10に入れる冷媒量とクランク室10から抜き出す冷媒量とを同時に制御するいずれの方式でもよい。
【0069】
また、図3に示した容量制御の容量可変型圧縮機では、吐出側冷媒通路にオリフィス19を設け、その前後差圧を制御するようにしたが、吸入側冷媒通路にオリフィスを設け、その前後差圧を制御するようにしてもよい。同様に、図5に示した容量制御の容量可変型圧縮機では、吐出側冷媒通路に電磁比例式流量制御弁40を設けて可変オリフィスを制御するようにしたが、吸入側冷媒通路に電磁比例式流量制御弁40を設けて可変オリフィスを制御するようにしてもよい。
【0070】
さらに、上記の実施の形態では、膨張装置3としてオリフィスチューブを用いたが、冷凍サイクルの高圧圧力および低圧圧力から冷媒流量を正確に知り得ることができるものであればよく、たとえば特開2000−154952号公報に記載の差圧弁とオリフィスとを組み合わせたものや、実開平2−73569号公報に記載の圧力検知式オリフィスチューブ、さらには、チューブに比較して長さの短い固定オリフィスを用いてもよい。
【0071】
そして、上記の冷凍システムでは、冷媒に代替フロンHFC−134aを使用した場合の冷凍サイクルの構成例であるが、冷媒に炭酸ガスを使用した超臨界冷凍サイクルにおいても凝縮器がガスクーラに変更されるだけで同じように適用できることは言うまでもないことである。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、自動車用空調装置の冷凍サイクルにおいて、容量可変型圧縮機の容量を制御する容量制御弁を制御する電気信号から、容量可変型圧縮機および膨張弁の前後差圧と冷媒流量とを推定し、これから容量可変型圧縮機の駆動トルクを推定するようにした。容量制御弁を制御している電気信号を直接利用することで高い精度で容量可変型圧縮機の駆動トルクを推定することができるため、冷凍サイクルをよりきめ細かく制御することが可能になり、エンジンが大きな駆動トルクを必要とする場合に、圧縮機の駆動トルクを小さくするようなトルク制御が可能になり、急加速や登坂走行時の自動車の走行性能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷凍システムの原理的な構成を示すシステム図である。
【図2】流量制御の容量可変型圧縮機の場合の冷凍システムの差圧−流量特性を示す図である。
【図3】流量制御式の容量可変型圧縮機の一構成例を示す断面図である。
【図4】図3の容量可変型圧縮機に用いられる電磁差圧弁の詳細を示す断面図である。
【図5】流量制御式の容量可変型圧縮機の別の構成例を示す断面図である。
【図6】図5の容量可変型圧縮機に用いられる電磁比例式流量制御弁の詳細を示す断面図である。
【図7】図5の容量可変型圧縮機に用いられる定差圧弁の詳細を示す断面図である。
【図8】差圧制御の容量可変型圧縮機の場合の冷凍システムの差圧−流量特性を示す図である。
【図9】差圧制御式の容量可変型圧縮機の一構成例を示す断面図である。
【図10】図9の容量可変型圧縮機に用いられる容量制御弁の詳細を示す断面図である。
【図11】吸入圧力制御式の容量可変型圧縮機の一構成例を示す断面図である。
【図12】図11の容量可変型圧縮機に用いられる容量制御弁の詳細を示す断面図である。
【符号の説明】
1 容量可変型圧縮機
2 凝縮器
3 膨張装置
4 蒸発器
5 容量制御弁
6 駆動回路
7 オリフィス
10 クランク室
11 回転軸
12 プーリ
13 揺動板
14 シリンダ
15 ピストン
16 吸入用リリーフ弁
17 吐出用リリーフ弁
18 吐出側冷媒流路
19 オリフィス
20 電磁差圧弁
21 固定オリフィス
22 弁部
23 ソレノイド部
24 ポート
25 弁体
26 ポート
27 スプリング
28 感圧ピストン
29 ポート
30 電磁コイル
31 スリーブ
32 コア
33 プランジャ
34 シャフト
35 アジャストねじ
36,37 スプリング
40 電磁比例式流量制御弁
41 定差圧弁
42 弁部
43 ソレノイド部
44,45 ポート
46 弁座
47 弁体
48 アジャストねじ
49 スプリング
50 シャフト
51 ピストン
52 連通路
53 電磁コイル
54 コア
55 プランジャ
56 シャフト
57,58 ガイド
59 Eリング
60,61,62 ポート
63 弁座
64 弁体
65 スプリング
66 感圧ピストン
67 アジャストねじ
68 スプリング
70 容量制御弁
71 固定オリフィス
72 弁体
73 感圧ピストン
74 通路
75 弁座
76 スプリング
77,78 ピストンロッド
79,80 通路
81 電磁コイル
82 コア
83 プランジャ
84 シャフト
85,86 ガイド
87 リング
88,89 スプリング
90 容量制御弁
91 高圧圧力センサ
92 弁体
93 スプリング
94 シャフト
95 ディスク
96 ダイヤフラム
97 電磁コイル
98 コア
99 プランジャ
100 シャフト
101 スプリング

Claims (10)

  1. 膨張装置にオリフィス部を用いた冷凍サイクルの制御方法において、
    容量可変型圧縮機の吐出容量を外部から制御するための圧縮機制御信号に基づいて冷凍サイクル内の高圧側圧力と低圧側圧力との差圧および冷媒流量を推定するとともに、推定した前記差圧および前記冷媒流量とエンジンの回転数とから前記容量可変型圧縮機の駆動トルクを推定し、
    自動車が発進または急加速時には、推定した前記容量可変型圧縮機の駆動トルクがゼロに、前記自動車の加速または登坂走行時には、前記容量可変型圧縮機の駆動トルクが小さくなるように前記圧縮機制御信号を制御することを特徴とする冷凍サイクルの制御方法。
  2. 前記圧縮機制御信号は、冷媒が流れる通路に設けた固定オリフィスの前後差圧を感知して前記容量可変型圧縮機のクランク室内の圧力を制御することにより冷媒吐出流量を一定に制御する容量制御弁の制御信号であることを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクルの制御方法。
  3. 前記冷媒流量は、前記容量可変型圧縮機の吐出側または吸入側の冷媒通路に設けた固定オリフィスの前後の差圧を決める前記制御信号の測定値と前記固定オリフィスの通路面積とから推定することを特徴とする請求項2記載の冷凍サイクルの制御方法。
  4. 前記圧縮機制御信号は、冷媒が流れる通路に設けた可変オリフィスの前後差圧が一定になるよう前記容量可変型圧縮機のクランク室内の圧力を制御することにより冷媒吐出流量を一定に制御する容量制御弁の制御信号であることを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクルの制御方法。
  5. 前記冷媒流量は、前記容量可変型圧縮機の吐出側または吸入側の冷媒通路に設けた可変オリフィスの大きさを決める前記制御信号の測定値と前記可変オリフィスの一定の前後差圧とから推定することを特徴とする請求項4記載の冷凍サイクルの制御方法。
  6. 前記圧縮機制御信号は、吐出圧力と吸入圧力との差圧が一定になるよう前記容量可変型圧縮機のクランク室内の圧力を制御することにより吐出容量を一定に制御する容量制御弁の制御信号であることを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクルの制御方法。
  7. 前記冷媒流量は、前記吐出圧力と吸入圧力との差圧を決める前記制御信号の測定値と前記オリフィス部の通路面積とから推定することを特徴とする請求項6記載の冷凍サイクルの制御方法。
  8. 前記圧縮機制御信号は、吸入圧力が一定になるよう前記容量可変型圧縮機のクランク室内の圧力を制御することにより吐出容量を一定に制御する容量制御弁の制御信号であることを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクルの制御方法。
  9. 前記冷媒流量は、前記吸入圧力を決める前記制御信号の測定値および高圧側圧力を検知するセンサの測定値と前記オリフィス部の通路面積とから推定することを特徴とする請求項8記載の冷凍サイクルの制御方法。
  10. 前記差圧、前記冷媒流量およびエンジンの回転数とから推定した圧縮機の駆動トルクを、エンジン出力トルクの制御に使用するようにしたことを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクルの制御方法。
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