JP2004174517A - 低Si鋳造用Al合金の鋳造方法及び鋳造装置 - Google Patents

低Si鋳造用Al合金の鋳造方法及び鋳造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】一般に鋳造用アルミニウム合金として用いられる日本工業規格によるAC3A、AC4C、AC4B、AC4D等より珪素を少なく含有する鋳造用のアルミニウム合金を用いて、鋳造欠陥が生じ難く、機械的性質の優れた鋳物を作製し得る鋳造方法を提供すること。
【解決手段】珪素1.2〜3.0質量%を含有し、一般に多用される鋳造用アルミニウム合金より珪素含有量の少ない鋳造用アルミニウム合金を用いた鋳造方法の提供による。この珪素含有量の少ない鋳造用アルミニウム合金の鋳造方法は、キャビティに溶湯を充填する湯口を複数備える金型を用い、溶湯が貯留された保持炉から、加圧若しくは吸引により、湯口に通じる複数の湯道と、複数の湯道が合流するチャンバとを経由して、金型のキャビティに溶湯を充填し、湯口近傍の溶湯が凝固する前に、湯道に不活性ガスを供給するところに特徴がある。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルチゲート金型を用い、不活性ガスを湯切りに利用した低圧鋳造法により、原料たる、低Si含有鋳造用Al合金、即ち、珪素が過剰に含まれない鋳造工程向けのアルミニウム合金材料、の長所を生かし短所を抑えることを可能とした、鋳物の鋳造方法及び鋳造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鋳造は、製品形状のキャビティを有する金型に溶湯を充填し、溶湯を冷却・固化させて製品を得る成形手段であり、複雑形状の製品を一工程で製造することが可能であるため、様々な工業製品の製造手段として広範に利用されている。
【0003】例えば自動車等に使用される車両用部品においては、地球環境問題の1つである地球温暖化を防止するために自動車の燃料消費量低減が世界的に強く求められていることから、軽量化が急務であり、アルミニウム(Al)を主金属とする軽量合金を原料とし、鋳造成形による鋳物製品の需要が高まっている。その他の軽量化材料、例えば、マグネシウム(Mg)を主金属とする軽量合金、更には、より比重の軽いカーボン系材料や、より比強度の大きなチタン系材料等は、素材自体が極高コストの上に、加工性にも劣る結果、製造コストが非常に高くなり、適用に限界がある。又、鍛造による成形も、より高コストである。従って、当面、アルミニウムを主金属とする軽量合金を原料とした鋳物製品が、特に軽量化が求められる製品の市場においては、主役になり得る。
【0004】ところで、鋳造においては、限定された空間であるキャビティ内に原料たる金属材料を溶解した溶湯を注いで型をとるため、その溶湯には充分な流動性が求められる。流動性とは、鋳造性を表す一因子であり、ある鋳込み温度における溶湯のキャビティ内の流動性を示す。この流動性が不足していると、溶湯がキャビティ内に充分にいきわたらないために、湯まわり不良となったり、凝固する過程で不均一な収縮が起こり易く、鋳巣、等の鋳造欠陥発生率が上昇し、鋳造成形体が意図する形状にならなかったり、鋳造成形体の引張強さ等の機械的性質を低下させ、製品歩留まり(良品率)の低下を招くことがある。従って、流動性は、特に、薄肉部を有する鋳物や複雑な形状の鋳物を成形する際には、重要な因子となり得る。勿論、アルミニウムを主金属とする軽量合金を鋳造原料とする場合においても、溶湯に良好な流動性を付与することが肝要である。
【0005】溶湯に良好な流動性を付与する一方法として、溶湯の温度を上げたり、金型の温度を高く設定するという手段が考えられる。しかしながら、これらの方法では、昇温するための熱量が、より多く必要となり、冷却するための冷却源能力も、より大きくする必要が生じ、鋳物製品の製造コストを肥大化させる上に、冷却速度が低下することにより金属組織の粗大化が起こったり、溶湯のガス吸収が活発となり、引張強さ等の機械的性質の低下を招くおそれがあるため、好ましくない。
【0006】そこで、従来、鋳造用のアルミニウムを主金属とする合金には、珪素(Si)を含有させて、流動性を付与する方法がとられている。そのような合金として、Al−Si系、Al−Si−Mg系、Al−Si−Cu系、あるいは、Al−Si−Mg−Cu系、等のAl合金があり、これらのAl合金は、Siを含まないAl合金に比べて鋳造性に優れることが知られている。日本工業規格には、これらのAl合金として、例えば、AC3A、AC4C、AC4B、AC4D、等として規定されている。
【0007】Siは、含有させることによって、流動性を高め、又、マグネシウムとの混在でMgSiとして析出し、伸び、引張り強さ、耐力等の機械的性質の改善にも寄与する元素である。
【0008】しかしながら、Siは、含有されていることにより粗大粒子の共晶Siを晶出させた結果、かえって引張り強さ等の機械的性質が低下するといった問題を生じさせることがある。特に、例えば車両用部品のように、その鋳物製品の機械的性質の低下が、即、人身の危険につながるような場合には、より優れた機械的性質を有することが好ましいことから、必要な流動性を付与出来て鋳造欠陥による引張強さ等の機械的性質の低下をもたらさない程度にSiを含み、且つ、引張強さ等の機械的性質を低下させない程度にSiを少なく含有する、鋳造用のAl合金を用いて作製される鋳物の鋳造方法が求められていた。尚、従来、このような低Siの鋳造用Al合金を用い、低Siのメリットを生かしつつデメリットをカバーするアプローチの鋳造方法の提案はみられないようである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明においては、上記要望に応えることを課題としている。そして、鋳造方法、及び、鋳造装置について、鋭意検討が重ねられた結果、以下に示す手段により、この課題が解決出来ることが見出された。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、Siを1.2〜3.0質量%含有する鋳造用アルミニウム合金の鋳造方法であって、キャビティに溶湯を充填する湯口を複数備える金型を用い、溶湯が貯留された保持炉から加圧若しくは吸引により、湯口に通じる複数の湯道と、複数の湯道が合流するチャンバとを経由して、金型のキャビティに溶湯を充填し、湯口近傍の溶湯が凝固する前に、湯道に不活性ガスを供給することを特徴とする低Si鋳造用Al合金の鋳造方法が提供される。
【0011】又、本発明によれば、Siを1.2〜3.0質量%含有する鋳造用アルミニウム合金を成形する鋳造装置であって、キャビティに溶湯を充填する湯口を複数備える金型と、金型の下方に配設され溶湯が貯留される保持炉と、上端部が金型の湯口に通じてなり下端部の水平位置が種々異なる複数の湯道と、複数の湯道が合流するチャンバと、上端部がチャンバに通じ下端部が保持炉の溶湯に挿入されてなる1乃至複数のストークと、ストークに備わり湯道に不活性ガスを供給するガス供給手段と、保持炉の溶湯をストークを介して金型のキャビティに供給する溶湯充填手段と、を備えていることを特徴とする低Si鋳造用Al合金向けの鋳造装置が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の低Si鋳造用Al合金の鋳造方法及び鋳造装置について、詳細に説明する。
【0013】本発明は、Siを1.2〜3.0質量%含有する鋳造用Al合金の鋳造方法に関する発明である。従来の鋳造用Al合金よりSi含有量が少なく、より流動性が劣る鋳造用Al合金を用いて、例えば薄肉部を有する鋳物を成形する場合においても、換言すれば、溶湯を充填し難い薄く狭いキャビティを有する金型に注湯する場合においても、本発明によれば、湯まわり不良等の鋳造欠陥発生率を低減することが可能である。
【0014】本発明において、鋳造用Al合金とは、日本工業規格に規定されるAC3A、AC4C、AC4B、AC4D、等を指し、低Si鋳造用Al合金とは、これらの合金の組成のうちSiの含有量のみを低下させたものである。低Si鋳造用Al合金を得る手段は問われないが、例えば、これらの合金とSi以外の金属(純金属や合金等)とを配合した原料を用いればよい。
【0015】本発明は、低Si鋳造用Al合金の鋳造方法及び鋳造装置に関するものであって、鋳造する対象物は問われない。本明細書中において、代表的な鋳物として車両用部品を取り上げ記述することがあるが、車両用部品以外の各種機械製品や、電化製品や、家庭用品、等でもよく、アルミニウム合金材料を原料として用い、鋳造で成形することが可能な成形体であれば、限定されることはない。
【0016】本発明の低Si鋳造用Al合金の鋳造方法は、以下の特徴を有している。
【0017】(1)鋳造用Al合金であって、より流動性に劣るSi1.2〜3.0質量%を含有するAl合金材料を原料として使用する。
【0018】(2)キャビティに溶湯を充填する湯口を複数備える金型、即ち、マルチゲート金型を用いる。
【0019】(3)溶湯が貯留された保持炉から僅かな加圧若しくは吸引することにより、湯口に通じる複数の湯道を経由して金型のキャビティに溶湯を充填する、即ち、低圧鋳造法に基づき溶湯を充填する。
【0020】(4)鋳物成形空間であるキャビティに通じる湯口近傍の溶湯が凝固する前に、湯道に不活性ガスを供給し、湯切りを行う。
【0021】本発明において対象とする鋳造用Al合金を、Siを1.2〜3.0質量%含有するものとしたのは、よりSi含有率を下げ、化合物、例えばMgSiとして存在するSi以外の過剰Siを少なくし、引張強さ等の機械的性質の低下を防止するためである。
【0022】本発明において、Siが1.2質量%未満では、Siの不足によりMgSiによる機械的性質の向上効果が小さく、鋳造割れが起き易く、好ましくない。Siが3.0質量%を越えると、共晶Si相が晶出し、ざく巣が出易く、機械的性質が低下するので好ましくない。
【0023】複数の湯口を有するマルチゲート金型を利用した鋳造方法は、溶湯を複数の湯口から金型内に注湯するため、溶湯が金型内を流れる距離が短くなり、又、充填中の溶湯の温度低下が少なく、金型内での湯流れが改善されるため、過剰Siが少なく、より流動性に劣るAl合金を溶解して得られる溶湯を金型のキャビティに充填する方法として好適である。マルチゲート金型を利用した鋳造方法によれば、1つの湯口からなる金型に比べて、溶湯充填がより容易になり、溶湯が充填され難い薄く狭いキャビティで成形される薄肉部を有する鋳物を成形する場合でも、湯廻り不良等の鋳造欠陥発生率を、より低減出来る。
【0024】又、溶湯や金型の温度を、より低く設定出来るため、溶湯を凝固させるための冷却速度が、より速められる結果、成形された鋳物の金属ミクロ組織が、より緻密になり、引張強さ等の機械的性質を、より向上させることが可能である。更に、マルチゲート金型を利用した鋳造方法によれば、溶湯充填にかかるサイクルタイムが短縮されるとともに、凝固時間等、鋳造全工程に要する時間が短縮され、鋳物製品生産のスループット向上が図られるという利点を有する。
【0025】低圧鋳造方法は、金型と、金型の下方に備わり溶湯が入れられた保持炉を用いて、保持炉内に、例えば窒素ガスの注入等で、概ね0.1〜0.5kg/cm程度の極低い圧力を付加したり、若しくは、金型側から真空で吸引して、溶湯の温度をなるべく所定温度に保ったまま、溶湯案内路であるストークを介して金型内へ押し上げ、金型で凝固させて成形し、鋳物製品を得るという工程からなる製造方法である。溶湯の金型への充填が終われば、ストークの中に残った溶湯は保持炉に戻り、原料が無駄にならず、鋳造歩留まり(材料利用率)が向上する。
【0026】この低圧鋳造方法は、ダイカスト法のように圧入しないため、ガス欠陥等が少なく、熱処理を行うことによって、より優れた機械的性質を付与することが出来、又、両者に比べて金型を含む設備費が安価である、という利点を有する。
【0027】キャビティに溶湯を充填した後に、鋳物成形空間であるキャビティに通じる湯口近傍の溶湯が凝固する前に、湯道に不活性ガスを供給し、湯切りを行うことによる効果は、以下の通りである。
【0028】例えば、鋳物に厚肉部と薄肉部がある場合、即ち、肉厚が場所によって異なる鋳物を鋳造する場合において、厚肉部を成形するキャビティでは、その容積が相対的に大きいため溶湯の凝固速度が遅く、薄肉部を成形するキャビティでは、その容積が相対的に小さいため溶湯の凝固速度が速くなる。このため、マルチゲート金型を用いて鋳造する場合に、その複数の湯道における湯切りを同時に行うと、溶湯の凝固速度が遅い厚肉部を成形するキャビティに通じる湯口近傍において、溶湯が完全に凝固せずに、成形不良が生じたり、反対に、溶湯の凝固速度が速い薄肉部を成形するキャビティに通じる湯口近傍においては、湯口に至る湯道の溶湯までもが完全に凝固してしまい、連続して鋳造作業が実施出来なくなる問題が生じる。
【0029】キャビティにおける溶湯の凝固速度に合わせて、そのキャビティに通じる湯口近傍の溶湯が凝固する前に、その湯口に通じる湯道に不活性ガスを供給し、湯切りを行えば、上記問題を回避出来る。このような湯道毎の個別の湯切りは、上端部が湯口に通じ下端部の水平位置が種々異なる複数の湯道を設け、その複数の湯道が合流するチャンバ側(下方側)から、不活性ガスを供給することによって実現出来る。
【0030】上記説明したように、本発明は(1)〜(4)の特徴を有するので、本発明により作製される鋳物は、引張強さ、耐力、伸び等で示される機械的性質が、より優れたものとなり得て、Al合金製であるから勿論軽量であり、且つ、その形状に薄肉部を取り入れることにも難がないため意匠的にも優れたものとなり得て、更には、鋳造歩留まり(材料利用率)、製品歩留まり(良品率)とも向上する上に、効率よく生産出来ることから、より安価に作製することが可能である。従って、競合品に比べ、より高い競争力を備える鋳物製品となり得る。具体的に例示すれば、本発明により作製される鋳物として、優れた強度が要求される車両用部品であり薄いリムと厚いスポークを有する鋳物製品である車両用ホイールを挙げることが出来る。
【0031】以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0032】図1は、本発明に係る低Si鋳造用Al合金の鋳造装置の一実施形態を示す断面図である。鋳造装置100は、成形空間であるキャビティを有する金型25と、溶湯を貯留する保持炉1と、を主要構成機器としてなり、厚肉部と薄肉部を有する車両用ホイールを成形する鋳造装置である。金型25と保持炉1との間は、上端部が金型25内の湯口52に通じ下端部の水平位置が種々異なる複数の湯道30と、複数の湯道30が合流するチャンバ16と、上端部がチャンバ16に通じ下端部が保持炉1の溶湯2に挿入されてなるストーク15と、で通じている。又、鋳造装置100は、ストーク15に備わり湯道30に不活性ガスを供給するガス供給手段53と、保持炉1の溶湯2をストーク15、湯道30、湯口52を介して金型25のキャビティ29に供給可能とする溶湯充填手段35と、を有している。
【0033】保持炉1内には、滞留している溶湯2を保温するためのヒータ51が備わる。又、チャンバ16は、ストーク15に通じる底部中央に向かうに従い概ね深くなるテーパ形状をなしており、金型25側に押し上げられた溶湯2がチャンバ16を通じて下方の保持炉1側に押し下げられるときに、チャンバ16内に溶湯2が残ることがない。そして、このチャンバ16の底部中央は、例えばセラミック等からなる筒状のストーク15の上端部に通じている。そのストーク15は、下方に延び、保持炉1内の溶湯2の中へ挿入されている。
【0034】金型25は、成形体である車両用ホイールのスポークを成形するキャビティ29aに通じる湯道30aを有する下型26と、下型26上に配置されキャビティ29aを形成する上型27と、上型27とともに車両用ホイールのリムを成形するキャビティ29bを形成し、そのキャビティ29bに通じる湯道30bを下型26とともに形成する横型28と、により構成される。
【0035】全てを図示していないが、横型28と下型26とから形成される湯道30bは複数備わり、概ね円筒体であるリムを成形するための同じく概ね円筒体空間からなるキャビティ29bの円筒体の円周に沿って、概ね等間隔で設置される。その湯道30bと湯道30aの下端部は、チャンバ16内に突出しており、この湯道30bと湯道30aの下端部のチャンバ16内での突出位置は、チャンバ16中央に位置する湯道30aのチャンバ16への突出位置が、チャンバ16側面に近い所に位置する湯道30bのチャンバ16への突出位置よりも高くなっている。湯道30bと湯道30aとから構成される湯道30と金型25との間には、保護断熱槽が形成され、湯道表面が溶湯と化学反応するのを防止するとともに、チャンバ16内の熱が金型25に伝達し難くする機能を有している。この保護断熱槽は、例えば、アルミナ系断熱材やセラミックス等により構成される。
【0036】保持炉1には、溶湯充填手段35に通じる接続口11が設けられ、ストーク15には、ガス供給手段53に通じる接続口17が設けられている。接続口11には、不活性ガス又はコンプレッサーエアー等の気体供給用の配管が接続され、この配管には、例えば排気弁や圧力調節弁、圧力センサ等が備わり、保持炉1内へ供給する気体の排気や圧力調節等を行う。更に上流側(気体の流入側)には、不活性ガス又はコンプレッサーエアー等の気体供給源からなる溶湯充填手段35が接続されている。
【0037】又、接続口17には、不活性ガス供給用の配管が接続され、この配管には、例えば排気弁や圧力調節弁、圧力センサ等が備わり、ストーク15を介して湯道30へ供給する不活性ガスの排気や圧力調節等を行う。更に上流側(不活性ガスの流入側)には、不活性ガス供給源からなるガス供給手段53が接続されている。
【0038】次に、鋳造方法について、各工程を図2(a)〜図2(d)に基づいて説明する。
【0039】図2(a)は型締め工程を表す。前回の鋳造工程が終了したとき、ストーク15、チャンバ16、湯道30等には不活性ガスが充填されている。そして、図2(a)に示すように、上型27、横型28を、下型26に当接して型締めを行う。このとき、ガス供給手段53から不活性ガスが接続口17を介してチャンバ16内に供給されており、この不活性ガスが湯道30を介して金型25のキャビティ29内に供給され、金型25から洩れる。
【0040】図2(b)は、溶湯2を保持炉1から上昇させ金型25へ充填する充填工程を表す。金型25を型締めした後に、例えば接続口17につながる配管に備わる圧力調節弁を閉じて、ガス供給手段53からチャンバ16への不活性ガスの供給を停止させる。そして、図2(b)に示すように、例えば接続口11につながる配管に備わる圧力調節弁を動作させて、溶湯充填手段35から不活性ガス又はコンプレッサーエアー等の気体を保持炉1内へ供給し、保持炉1内の圧力を上昇させる。この保持炉1内の圧力上昇に伴い、溶湯2がストーク15を介してチャンバ16内に押し上げられ、更に、湯道30を経て、キャビティ29内へ充填される。
【0041】続いて、図2(c)により、凝固・湯切工程を説明する。凝固の過程でも溶湯の充填は、所定時間継続される。溶湯を充填すると、キャビティ29内では凝固が開始されて、キャビティ29内に充填された溶湯の収縮が行われるので、鋳物製品の品質低下を防止するために、キャビティ29へ溶湯を更に充填する(押湯を行う)。即ち、溶湯充填手段35から供給される不活性ガス又はコンプレッサーエアー等の気体を、保持炉1内へ、充填時より更に高い圧力で供給する。こうすることにより、キャビティ29内に充填された溶湯の凝固に伴う収縮に際して、この収縮分だけ溶湯がキャビティ29内に補充され、鋳物製品の品質が低下しない。
【0042】上記のような押湯を経て、このキャビティ29への溶湯2の充填が完了し、キャビティ29内の溶湯2の熱が金型25に吸収され放熱されて凝固する。キャビティ29内の溶湯2の凝固が終われば、湯道30において湯口52近傍から溶湯2の凝固が開始される。この際、キャビティ29の溶湯の凝固は、薄肉部を成形するキャビティ29bにおける凝固が、厚肉部を成形するキャビティ29aにおける凝固より速く行われるため、湯道30bにおける溶湯2の凝固は、湯道30aにおける溶湯2の凝固よりも、早く開始される。即ち、湯道30bの湯口52近傍での溶湯2の凝固が行われた時点では、湯道30aの湯口52近傍の溶湯2は凝固していない。又、湯道30aの湯口52近傍での溶湯2の凝固が行われた時点では、湯道30bの湯口52近傍の溶湯2は既に凝固してしまっている。
【0043】そこで、先ず、湯道30bの湯口52近傍での溶湯2の凝固が行われた時点で、保持炉1への加圧を継続したまま、例えば接続口17につながる配管に備わる圧力調節弁を動作させて、ガス供給手段53からチャンバ16への不活性ガスの供給を開始する。このとき、不活性ガスは、保持炉内圧力より、若干高い(+2kPa)圧力にて供給する。又、保持炉内圧力変化に常に追従して供給する。不活性ガスは、気泡状態でストーク15に入り、先ず、チャンバ16上部に溜まる(湯道とストークとの位置関係を、こうなるように設定する)。その後、湯道30bに入る。湯道30bが不活性ガスで充填され、製品凝固部と溶湯の湯切りが行われる。このとき、保持炉1への加圧は保持したまま、ガス供給手段53からの不活性ガス供給を停止する。
【0044】次に、湯道30aの湯口52近傍での溶湯2の凝固が行われた時点で、ガス供給手段53からの不活性ガスの供給を再開する。不活性ガスは、気泡状態でストーク15に入り、チャンバ16上部及び湯道30bを充填し、湯道30aの底部がガス空洞部より上に来たときに、不活性ガスが湯道30aに充填される。湯道30aにガスが充填されることで、製品と溶湯の湯切りがされる。このまま、不活性ガスを供給し続けると、湯面は保持炉湯面表面よりも加圧圧力と不活性圧力ガス供給差分低い位置で保持される。その後、保持炉加圧を停止し、圧力を開放する。このとき、ガス供給手段53からの不活性ガス供給は、常に保持炉内圧力より、若干高い圧力にて追従させる。即ち、保持炉圧力が大気圧となったとき、湯面は保持炉湯面表面よりも保持炉圧力と不活性圧力ガス供給差分低い位置で保持される。
【0045】その後、製品が凝固した時点で、金型を開放し製品を抜型する。このとき、保持炉圧力と不活性圧力ガス供給差分の圧力で常に不活性ガスを供給し続けているため、ストーク15、チャンバ16、及び、湯道30は、不活性ガスで常に充満されている。
【0046】上記のように、湯道30とキャビティ29との縁切りを、湯道毎に時間差をおいて行ない、早く凝固するキャビティ29b、遅く凝固するキャビティ29a、それぞれの凝固状況に応じて好ましいタイミングで湯道30a、30bの湯切りを行うことが出来る。
【0047】そして、図示しない油圧シリンダ等により、鋳物を保持させつつ上型27を上昇させ、横型28を水平移動させて、それぞれ、下型26から分離する。
【0048】この後、図示しない鋳物受等を上型27の下方に用意し、上型27による鋳物保持を解除することにより、上型27に保持された鋳物を鋳物受等に受けさせた後、水及び空気により冷却し、鋳物を得て、1サイクルの鋳造工程が終了する。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の低Si鋳造用Al合金の鋳造方法及び鋳造装置によれば、日本工業規格に規定されたSiを含有する鋳造用のAl合金に比べてSi含有量が少なく相対的に溶湯流動性に劣る低Si鋳造用Al合金材料を原料として用いても、その低流動性に起因する鋳造欠陥の発生という短所を抑え、Si含有量が少ないことによってもたらされる機械的性質の向上という長所のみを生かして、鋳物を作製することが可能である。
【0050】本発明は、従来、低流動性の低Si鋳造用Al合金では対応し難かった厚肉部と薄肉部とを有する鋳物の作製に好適であり、例えば、厚いスポークと薄いリムとからなる車両用ホイールに、より優れた機械的性質を付与することが出来る。換言すれば、同等の機械的性質であれば、より軽い車両用ホイールにすることが出来、このような車両用ホイールを履いた自動車等は、より燃費向上が図られ、地球規模の課題である排出二酸化炭素の削減に寄与し得、地球温暖化防止等の環境対策に貢献することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低Si鋳造用Al合金の鋳造装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る低Si鋳造用Al合金の鋳造方法を説明する図であり、図2(a)は型締め工程を表し、図2(b)は充填工程を表し、図2(c)は凝固・湯切工程を表し、図2(d)は冷却・脱型工程を表す。
【符号の説明】
1…保持炉、2…溶湯、11…接続口、15…ストーク、16…チャンバ、17…接続口、25…金型、26…下型、27…上型、28…横型、29,29a,29b…キャビティ、30,30a,30b…湯道、35…溶湯充填手段、51…ヒータ、52…湯口、53…ガス供給手段、100…鋳造装置。

Claims (2)

  1. 珪素1.2〜3.0質量%を含有する鋳造用アルミニウム合金の鋳造方法であって、
    キャビティに溶湯を充填する湯口を複数備える金型を用い、溶湯が貯留された保持炉から、加圧又は吸引により、前記湯口に通じる複数の湯道と、前記複数の湯道が合流するチャンバとを経由して、前記金型のキャビティに溶湯を充填し、前記湯口近傍の溶湯が凝固する前に、前記湯道に不活性ガスを供給することを特徴とする低Si鋳造用Al合金の鋳造方法。
  2. 珪素1.2〜3.0質量%を含有する鋳造用アルミニウム合金を成形する鋳造装置であって、
    キャビティに溶湯を充填する湯口を複数備える金型と、前記金型の下方に配設され溶湯が貯留される保持炉と、上端部が前記金型の湯口に通じてなり下端部の水平位置が種々異なる複数の湯道と、前記複数の湯道が合流するチャンバと、上端部が前記チャンバに通じ下端部が前記保持炉の溶湯に挿入されてなる1乃至複数のストークと、
    前記ストークに備わり前記湯道に不活性ガスを供給するガス供給手段と、前記保持炉の溶湯を前記ストークを介して前記金型のキャビティに供給する溶湯充填手段と、
    を備えていることを特徴とする低Si鋳造用Al合金向けの鋳造装置。
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