JP2004174377A - 汚泥等からのリン回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生物処理工程から発生する余剰汚泥等を湿式反応装置を用いて処理し、また凝集処理工程から発生する凝集汚泥等を還元反応装置を用いて処理してこれら汚泥に含まれているリンをそれぞれ溶出させ、得られた溶出液からリン化合物を結晶化する。好ましくは、温度150〜180℃、圧力1Mpa未満、処理時間30〜60分、酸素不足の条件にて汚泥を処理し、汚泥中のリンを溶出させる。好ましくは、温度の保持に水蒸気を用いる。好ましい還元剤は硫化物である。還元剤の好ましい添加量は、凝集汚泥に含まれている金属量に対しモル比で1〜3である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リンを含有する各種汚泥からリンを効率的に回収するとともに、汚泥の減量化、改質および無機凝集剤の有効利用も行える方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リンの回収方法として、生物学的処理法(嫌気・好気法、フォストリップ法)、凝集剤添加法、晶析法(MAP法、アパタイト法等)、吸着法等が知られており、実施設の実績のある技術もある。しかしながら、これらの方法は排水中に溶解しているリンに対しては有効であるが、汚泥等の浮遊(懸濁)物質の中に含まれているリンはほとんど回収できない。水処理設備等にて排水から除去されたリンは少なからず汚泥中に移行するので、汚泥処理なしにはリン回収は完結しない。
【0003】
特許文献1には、嫌気工程と好気工程を有する嫌気好気法により有機性汚泥を生物学的に脱リンするに当たり、好気工程に続く活性汚泥の沈殿工程から嫌気工程に戻される汚泥の一部、または好気工程から引き抜いた汚泥をオゾン酸化により可溶化した後、リン酸イオンと沈殿生成反応を起こす金属イオンを添加してリンを回収し、リン除去後の可溶化汚泥を嫌気性工程へ送る、有機性汚泥のリン除去回収方法が提案されている。しかしながら、特許文献1のようなオゾン酸化では汚泥からのリン溶出量が少なく、また処理汚泥は再利用し難く生物処理系に戻しているため無機物が処理系内に徐々に蓄積していく問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−94596号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リンを含有する各種汚泥からリンを効率的に回収することができるとともに、汚泥の減量化と改質および無機凝集剤の有効利用も行える方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、生物処理工程から発生する余剰汚泥等に含まれるリンを湿式反応法で、また凝集処理工程から発生する凝集汚泥等に含まれているリンを還元反応法でそれぞれ溶出させた後、それらの分離液の混合物からリン化合物を結晶化することによって、汚泥中のリンを回収する方法に関する。
【0007】
すなわち、本発明による汚泥からのリン回収方法は、生物処理工程から発生する余剰汚泥等を湿式反応装置を用いて処理し、また凝集処理工程から発生する凝集汚泥等を還元反応装置を用いて処理してこれら汚泥に含まれているリンをそれぞれ溶出させ、得られた溶出液からリン化合物を結晶化することを特徴とする。
【0008】
湿式反応装置において、温度ほ好ましくは150〜180℃、圧力は好ましくは1Mpa未満、処理時間は好ましくは30〜60分であり、酸素不足の条件にて汚泥を処理して汚泥中のリンを溶出させることが好ましい。
【0009】
湿式反応装置において、温度の保持に水蒸気を用いることが好ましい。
【0010】
還元反応装置において、好ましい還元剤は、硫化水素、硫化ナトリウム等の硫化物である。
【0011】
還元反応装置において、還元剤の添加量は、凝集汚泥に含まれている金属量に対しモル比で好ましくは1〜3である。
【0012】
リン化合物製造装置において、結晶化でのpH域は好ましくは7.5〜10である。
【0013】
湿式反応装置から排出される脱水汚泥の量を原料汚泥の約半分程度にし、且つ脱水汚泥含水率を薬剤注入なしで65%以下にすることが好ましい。
【0014】
還元反応装置から排出される濃縮汚泥を強酸で処理し、生じた処理物を酸化して、汚泥から凝集剤を回収することもできる。
【0015】
本発明の実施例を図1に、湿式反応装置のフローを図2に、還元反応装置のフローを図3に、リン化合物製造装置のフローを図4にそれぞれ示す。
【0016】
本発明は、凝集系汚泥とその他汚泥とを分けてリンを溶出させることによって、回収率の向上(効率化)を図っている。従って、施設全体でのリン回収率から見ると、生物処理方式では、標準脱窒素法、高負荷脱窒素法および膜分離高負荷脱窒素法が良く、前凝集処理を行う浄化槽汚泥対応型脱窒素法は好ましくはない。このことは、本発明に限られたものではなく、他のリン回収方法でも同じである。
【0017】
(1)湿式反応装置について
湿式反応装置とは、湿式酸化処理と熱処理の両特性を利用したものであり、反応温度が150〜180℃で、圧力がゲージ圧で1Mpa未満、処理時間が30〜60分、酸素供給率が汚泥全酸化に必要な理論酸素量の1〜10%である条件で、余剰汚泥等の各種汚泥を処理するための装置である。すなわち、湿式反応装置は酸素供給量を制御して酸化を抑え可溶化を重視したものであり、これによってある程度の汚泥減量化が行えると同時に、汚泥中に含まれているリンの一部を溶出させることもできる。
【0018】
なお、酸化性ガス(空気、高濃度酸素ガス、酸素ガス等)の供給量を少なくすることで、反応系内でのS/A(kg−steam/kg−dry gas)を高い値に設定しても乾式反応とはならず、安全である。また、本技術の装置内圧力をゲージ圧力1Mpa未満にすることで、本技術には高圧ガス保安法の適用がない。
【0019】
湿式反応装置は、図2に示すように、基本的には湿式酸化装置とほぼ同様な構成であり、処理条件は異なるものの処理原理は同じである。本技術と湿式酸化技術の主な処理条件および処理効果の比較を表1に示す。同表から分かるように、本技術は汚泥の減量化、改質およびリン溶出率の点では比較技術(湿式酸化法)に比べ劣るものの、これらをある程度は行うことができる。従って、本技術は汚泥の減量化と改質を行えるとともに、余剰汚泥等の各種汚泥(ただし凝集剤混入汚泥は除く)等からのリン回収の前処理として有効な方法である。
【0020】
湿式反応装置において、温度の保持に水蒸気を用いることが好ましい。
【0021】
【表1】
【0022】
(2)還元反応装置について
還元反応装置は、凝集汚泥に硫化ナトリウムや硫化水素等の硫化物を還元剤として添加して、pH4〜6、酸化還元電位(以下ORPと略記する)−230mV以下の条件で汚泥を所定時間還元反応させ、凝集汚泥中のリンを液相に溶出させる装置である。
【0023】
還元反応装置において、還元剤の添加量は凝集汚泥に含まれている無機凝縮剤由来の金属量に対しモル比で好ましくは1〜3である。
【0024】
本装置による反応の原理は、下記の反応式の通りである。反応式は鉄系の凝集汚泥に硫化ナトリウムを添加した場合のものであるが、アルミニウム系の凝集汚泥に硫化水素を添加しても同様な反応が進行する。
【0025】
2FePO4 + 3Na2 S → 2FeS↓ + 2Na3 PO4 + S
【0026】
生成した硫化物は微細粒子であり沈降分離に長時間を要するので、遠心分離機等で機械的分離した方がより良い。分離濃縮した硫化物汚泥は、硫酸または塩酸を添加することによって、次に示す反応式に従って硫酸第一鉄や塩化第一鉄、および硫化水素を生成する。
【0027】
FeS + H2 SO4 → FeSO4 + H2 S↑
FeS + 2HCl → FeCl2 + H2 S↑
【0028】
生成された硫酸第一鉄や塩化第一鉄は、オゾンや過酸化水素水等の酸化剤で酸化処理して硫酸第二鉄や塩化第二鉄に変換し、凝集処理工程の凝集剤として再利用できる。
【0029】
(3)リン化合物製造装置について
本装置は、水中に溶解しているリン酸イオンをカルシウム系やマグネシウム系等の薬剤と反応させてリン化合物を生成させ、リンを回収するものである。回収リン含有物は肥料等の原料として利用したり、湿式反応装置から排出される脱水汚泥に混合して堆肥成分として利用される。
【0030】
本技術の原理は、次に示す反応式の通りである。
【0031】
3Ca(OH)2 + 2H3 PO4 → Ca3 (PO4 )2 + 6H2 O
Na3 PO4 + NH4 Cl + Mg(OH)2 + 6H2 0
→ MgNH4 PO4 ・6H2 O + NaCl + 2NaOH
【0032】
本技術ではpH域がリン回収率に大きく影響し、適正なpH域は7.5〜10であり、より好ましくは8.5〜9である。また、水中にアンモニア性窒素が共存している場合は生物処理の窒素負荷を低減できるマグネシウム系化合物の使用が好ましく、アンモニア性窒素濃度が高くなるに伴いリン回収率は高くなる。従って、汚泥等の湿式反応装置から得られた分離液にはアンモニア性窒素が高濃度で含まれているので、この分離液と還元反応装置から得られた分離液を混合し、この混合液にマグネシウム系薬剤を添加することによるリンを効率的に回収することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細な実施の形態を図2、図3および図4に基づいて説明する。
【0034】
(1)湿式反応装置によるリン溶出工程
湿式反応方法とは、反応温度が150〜180℃で、圧力がゲージ圧で1Mpa未満、処理時間が30〜60分、酸素供給率が汚泥全酸化に必要な理論酸素量の1〜10%である条件で、余剰汚泥等の各種汚泥を処理する方法である。
【0035】
図2において、生物処理系等から排出される余剰汚泥(但し、無機凝集剤が混入した汚泥は除く)等は汚泥貯留槽に蓄えられ、処理液のpH調整やスケール防止の為に槽内pHが設定値(8〜10の範囲)になるようにpH調整剤が自動的に添加される。pH調整剤としては一般に水酸化ナトリウムが用いられる。
【0036】
未処理の汚泥は、供給ポンプにより圧力1Mpa未満で熱交換器に送られる。熱交換器で未処理汚泥は湿式反応処理汚泥との熱交換により昇温された後、反応塔へ送られる。本工程は通常は連続的に行われる。
【0037】
反応塔では、汚泥は、底部からボイラーによる水蒸気の吹き込みによって所定の温度まで温められると同時に、底部からコンプレッサーによる空気または高濃度酸素ガスの吹き込みによって塔内で撹拌されながら所定時間湿式反応され、この結果、可溶化による減量化と脱水性向上等の改質が行われるだけでなく、汚泥中に含まれる窒素やリン等の一部が液側に移行(すなわち溶出)される。
【0038】
湿式反応法はCOD(Cr)除去率を極めて低くしているため、反応熱が少なく設定反応温度が維持できないので、汚泥を水蒸気で加熱する。水蒸気は熱交換効率を考慮すると、反応塔へ直接供給する方が好ましい。また、水蒸気の供給量は反応塔出口に設置された温度センサーによって温度が設定値になるよう自動的に調節される。
【0039】
酸素源は通常空気を用いるが、全体ガス量を少なくしたい場合や、反応温度180℃において酸素供給量を少し増したい場合もあり、このような場合には、PSA(Pressure Swing Adosorption)方式等の高濃度酸素ガス製造装置により製造した高濃度酸素ガスを用いてもよい。高濃度酸素ガスの酸素濃度は22〜75%であり、好ましくは50〜60%である。高濃度酸素ガスを用いる場合には、▲1▼空気に比べガス供給量が少なくなるので、反応圧力が低くても反応に適したガス液比の状態が得られる、▲2▼反応圧力が1Mpa未満と低いためガス量を少なくして配管内流速を低くする、▲3▼酸素分圧が高いので反応速度を向上させることができる。▲4▼湿式反応装置から排出されるガス量が少なくなる、等の利点が得られる。
【0040】
湿式反応後の処理汚泥は上記熱交換器を経た後圧力調節弁によって減圧され、処理汚泥貯留槽に送られ、ここで気液分離され、分離された反応排ガスは槽頂から脱臭設備へ送られる。他方、残った反応処理液は槽底から供給ポンプにより脱水機へ供給され、脱水により生じた分離液は図1に示す混合槽に送られる。他方、脱水された汚泥は堆肥化設備へ送られ、堆肥の成分として緑農地等に有効利用される。
【0041】
また、処理汚泥を脱水することにより、含水率を薬剤注入なしで65%以下にした脱水汚泥を得ることができ、これをごみ焼却施設の助燃材等として利用することもできる。
【0042】
(2)還元反応装置によるリン溶出工程
図3において、凝集処理系等から排出される凝集汚泥等は汚泥貯留槽に蓄えれられ、この槽から供給ポンプにより定量的に還元槽へ供給される。本工程は、連続式でも回分(バッチ)式でもよいが、通常は連続式で行われる。
【0043】
還元槽では、硫化ナトリウムまたは硫化水素等の還元剤が凝集汚泥の流入量に応じて定量添加されている。還元剤の添加量は、凝集汚泥中に含まれている鉄やアルミニウム等の金属[M]含有量に対し、還元剤が硫化物である場合、[S]/[M]モル比で1.0〜3.0倍量、より好ましくは1.2〜2.0倍量である。通常、この添加量で凝集汚泥のORP値は−230mV以下となるが、その値にならない場合には、還元剤を余分に添加してORP値−230mV以下の還元域条件下にて反応を行うことが好ましい。
【0044】
還元剤添加に伴い還元槽内のpHが変動し反応速度に影響がでてくることもあることから、pHが設定された所定値になるよう自動的に中和剤が還元槽内に直接注入されるようになっている。
【0045】
還元槽の滞留時間30〜60分で、凝集汚泥中のリンの約90%以上がリン酸態リンとして液側に溶出し、凝集汚泥中の金属は水溶性の硫化物となって還元槽内に懸濁している。なお、本還元反応は数分にて行われるが、還元槽の滞留時間は30〜60分と長くしている。これは、反応の安定化と次の固液分離操作への貯留を兼ねるためである。
【0046】
還元槽内に懸濁している硫化物は、微粒子であるため沈降速度が遅い。従って、高速処理を図るには、高分子凝集剤等を用いて重力沈降式の固液分離を行うか、遠心分離機等を用いて機械式の固液分離を行うことが望ましい。こうして分離された分離液は図1に示す混合槽へ送られ、湿式反応装置からの分離液と合流され撹拌混合される。
【0047】
一方、分離された濃縮汚泥は図1に示す溶解槽へポンプ等で送られる。溶解槽の濃縮汚泥には希硫酸や希塩酸等の酸が添加され、硫化物は硫酸塩や塩化物に変換される。この時、硫化水素が発生するので、溶解槽から出る排ガスは上記還元槽に吹き込んで循環利用できるようにしておく方が好ましい。
【0048】
硫酸塩や塩化物の溶液は、オゾンや過酸化水素水等によって酸化処理されて、上記凝集処理工程の無機凝集剤として循環利用される。あるいは、凝集処理工程をフェントン酸化方式とし、その酸化処理を凝集処理と同時に行うようにした方がより好ましい。得られた溶液を添加剤として用いることもできる。
【0049】
また、汚泥の資源化としてこれを固形燃料助剤として用いることを考えた場合、含水率を薬剤注入なしで65%以下にした脱水汚泥を得ることもできるが、酸化処理後の溶解液を上記湿式反応装置の処理汚泥貯留槽に移送し、撹拌混合して含水率50%以下の脱水汚泥を製造することが好ましい。この場合、湿式反応処理によって溶出させたリンのほとんどは反応して脱水汚泥側に移行するため、リンの回収率は低下する。
【0050】
(3)リン化合物製造装置によるリン回収工程
図4において、図1に示す混合槽から来る分離液は、供給ポンプにより晶析槽の反応部に供給される。本工程は通常は連続式に行われる。
【0051】
反応部では、マグネシウム系化合物やカルシウム系化合物などの晶析剤が所定量注入され、必要に応じて所定のpHになるよう水酸化ナトリウム等の中和剤の添加によりpH調整が行われる。
【0052】
晶析槽内の分離液をブロワーからの空気により撹拌混合することにより、生成した微細な結晶を槽内で循環流動させて適度な粒度まで成長させる。
【0053】
成長したリン含有結晶を含む液は、晶析槽の分離部で水と結晶に沈殿分離され、分離水は晶析槽上部から生物処理系へ送られる。一方、結晶は槽下部に堆積され定期的に引き抜かれ、ドラムスクリーン等の簡単な分離装置で固形物と含有水に分離される。晶析剤としてカルシウム系化合物を用いる場合は、分離装置に遠心分離機を用いる方が好ましい。
【0054】
分離された水は生物処理系へ送られ、結晶固形物はホッパへ送られ、水切りや乾燥が行われる。こうして製造された含水率10〜20%の乾燥結晶は極めて有効な肥料などとして緑農地等に利用される。
【0055】
【実施例】
水酸化ナトリウムを添加してpHを8.5に調整したし尿処理汚泥の余剰汚泥を対象に、外熱型オートクレーブ装置(内容量750ml)を用いて、図2のフローに従って各反応温度における湿式反応処理(圧力1MPa、時間60分)を行った。その結果を表2に示す。同表より、試料の有機物量があまり減少しないにも拘らず、減量化率(SS除去率)、可溶化率(VSS除去率)ともに反応温度の上昇に伴って高くなる傾向が認められる。また、汚泥中のリン成分溶出率(液側移行率)は27〜32%であった。さらに、脱水汚泥の含水率は薬剤注入なしでも61〜65%程度(未処理の汚泥では薬剤注入にても含水率75%程度)であり、剥離性も良い状態であったことから、良好な汚泥の改質が行われていることが認められる。
【0056】
【表2】
【0057】
一方、し尿処理汚泥の鉄系凝集汚泥を対象に、容量2リットルの還元槽を用いて、図3のフローに従って還元反応を行った。その結果を表3に示す。なお、還元剤は市販の硫化ナトリウムを溶解し約20%溶液を調製して用いた。同表より、還元剤添加量が[S]/[Fe]モル比で1.3倍以上であれば93%程度、1.75倍以上であれば95%程度の高いリン溶出率が得られることが判る。
【0058】
【表3】
【0059】
図4に従って、余剰汚泥等を温度170℃で湿式反応処理後の分離液4リットルと、鉄系凝集汚泥をモル比1.75以上(例えば1.8)で還元反応処理後の分離液1リットルを混合撹拌し、この混合液を供給ポンプによって定量的に容量0.2リットルの晶析槽に供給した。混合液中のリン酸形態のリンの濃度は146mg/リットルであった。同時に晶析槽へ晶析剤として30%水酸化マグネシウム溶液を[Mg]/[P]モル比が1.5以上(例えば1.6)になるよう添加した。晶析槽ではpHを9前後になるよう25%水酸化ナトリウム溶液を添加し、リン酸マグネシウムアンモニウムを製造した。その結果、処理水のリン濃度は6.3mg/リットルであり、分離液からのリン回収率は95%と極めて高い値であった。
【0060】
溶解槽で得られた硫化鉄は還元されてほとんどが硫化第一鉄となっていた。これに、希硫酸を添加すると、容易に硫酸第一鉄が製造できた。また、硫化水素も発生した。
【0061】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明方法により、リンを含有する各種汚泥からリンを効率的に回収することができるとともに、汚泥の減量化、改質および無機凝集剤の有効利用も達成することができる。より詳しくは、本発明によれば以下に示す効果が得られる。
【0062】
▲1▼汚泥中のリン成分を容易に、しかも効率良く回収することができる。
【0063】
▲2▼回収されたリン化合物は粒状で、含水率が20%程度のため、ハンドリングが容易である。
【0064】
▲3▼回収されたリン化合物は、衛生的で、重金属などを含まなく安全であり、高純度と付加価値の高いものであることから、肥料原料等として利用用途が大幅に広がる。
【0065】
▲4▼リン溶出後の凝集汚泥に強酸を添加することによって、無機凝集剤が容易に製造できることから、これを凝集処理工程へ戻し循環使用できる。したがって、凝集処理系から排出される汚泥量は、皆無に等しい。
【0066】
▲5▼生物処理系から排出される全汚泥量の50%程度を減量化できる。
【0067】
▲6▼生物処理系から排出される汚泥の改質が行えるため、脱水汚泥の含水率を薬剤注入なしでも約65%にでき、堆肥化等の水分調整に要する熱量を大きく低減できる。また、この脱水汚泥を助燃材として問題なく使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すフローシートである。
【図2】湿式反応工程を示すフローシートである。
【図3】還元リン溶出工程を示すフローシートである。
【図4】リン化合物製造工程を示すフローシートである。
Claims (8)
- 生物処理工程から発生する余剰汚泥等を湿式反応装置を用いて処理し、また凝集処理工程から発生する凝集汚泥等を還元反応装置を用いて処理してこれら汚泥に含まれているリンをそれぞれ溶出させ、得られた溶出液からリン化合物を結晶化することを特徴とする汚泥からのリン回収方法。
- 湿式反応装置において、温度150〜180℃、圧力1Mpa未満、処理時間30〜60分、酸素不足の条件にて汚泥を処理し、汚泥中のリンを溶出させることを特徴とする請求項1に記載の汚泥からのリン回収方法。
- 湿式反応装置において、温度の保持に水蒸気を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥からのリン回収方法。
- 還元反応装置において、還元剤が硫化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の汚泥からのリン回収方法。
- 還元反応装置において、還元剤の添加量が、凝集汚泥に含まれている金属量に対しモル比で1〜3であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の汚泥からのリン回収方法。
- リン化合物製造装置において、結晶化でのpH域が7.5〜10であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の汚泥からのリン回収方法。
- 湿式反応装置から排出される脱水汚泥の量を原料汚泥の約半分程度にし、且つ脱水汚泥含水率を薬剤注入なしで65%以下にすることを特徴とする請求範囲第1〜6のいずれかに記載の汚泥からのリン回収方法。
- 還元反応装置から排出される濃縮汚泥を強酸で処理し、生じた処理物を酸化して、汚泥から凝集剤を回収することを特徴とする請求範囲第1〜7のいずれかに記載の汚泥からのリン回収方法。
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JP4019212B2 (ja) | 2007-12-12 |
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