JP2004174147A - 脈波測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定対象である生体の動きもしくは光学的、磁気的、電気的な外乱によるDCもしくはDC近傍のオフセットが、増幅後の脈波信号に重畳し、A/D変換器の変換レンジを越え、脈波が測定不能となることを防止する。
【解決手段】脈波信号からオフセットを除去する直前(b)30および直後(b)31に、A/D変換器の出力データ(b)30および27を記憶、保持し、前記オフセット除去した後のA/D変換器出力データ27と前記の記憶、保持されている直前データを加算、前記直後データを減算し、脈波データの連続性を維持するように信号処理し(b)、脈波計測中のいずれのタイミングでもオフセット除去を行うことを可能とする。
【選択図】 図3
【解決手段】脈波信号からオフセットを除去する直前(b)30および直後(b)31に、A/D変換器の出力データ(b)30および27を記憶、保持し、前記オフセット除去した後のA/D変換器出力データ27と前記の記憶、保持されている直前データを加算、前記直後データを減算し、脈波データの連続性を維持するように信号処理し(b)、脈波計測中のいずれのタイミングでもオフセット除去を行うことを可能とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脈波測定装置に関するものであり、脈波を測定する際に測定対象である生体の動きもしくは光学的、磁気的、電気的な外乱によるDCもしくはDC近傍のオフセットが、増幅後の脈波信号に重畳することにより、A/D変換器の変換レンジを越え、脈波の測定不能となる現象をオフセット除去することにより防止すると共に、前記オフセット除去時に脈波のA/D変換データに発生する不連続点の発生を防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の脈波測定装置におけるDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットを除去する方法として、アナログフィルタもしくはディジタルフィルタによる線形性を有する方法で取り除く方法が公知である。
【0003】
また、生体に投光する素子の非作動時増幅器の出力電圧がゼロになるように増幅器を予め調節することによって、装置毎あるいは測定毎にDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットを除去する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、脈波を増幅する増幅器に、実際の脈波信号を入力する代わりに、決まった入力、例えば脈波を導出する脈波センサの駆動電圧の1/2を増幅器に入力し、 この時にA/D変換器が出力するデータを基準値として記憶しておき、この基準値を脈波に対する信号処理演算の際の中点として扱う方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、脈波上昇始点の値をオフセットとして、脈波信号に重畳しているDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットの影響を除去した、脈波の面積、ピーク値等を演算により正確に検出、算出する方法もある(例えば特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−24028号公報(第1−2頁、第3図)
【特許文献2】
特開平9−113311号公報(第2頁、第8頁、第11頁、第6図)
【特許文献3】
特許第1740210号公報(目的、代表図面)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公知のアナログフィルタ、ディジタルフィルタによるDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットを除去する方法では、除去する対象であるオフセットの周波数が非常に低く、そのための回路を、例えばコンデンサと抵抗でパッシブフィルタで構成すると、抵抗に1メガオーム、コンデンサに1マイクロファラッドを選択すればオフセットの遮断周波数を0.16Hz程度に設定することが可能である。また、1マイクロファラッドのコンデンサで、しかもコンデンサ自体の容量変化に対する温度係数が原因となる、脈波のオフセットドリフトを避けるためには、フィルムコンデンサあるいはメタライズドフィルムコンデンサを使用することができる。
【0008】
しかしながら、1マイクロファラッドのコンデンサは、その物理的大きさが非常に大きく(例えば10ミリ×20ミリ×5ミリ)、回路構造物を小さく出来ず、そのため、装置の小型化が不可能であり、多チャンネルのフィルタ回路を構成することも困難である。また、前記種類のフィルムコンデンサを使用したとしても、容量の大きなコンデンサには充電電荷が温度、熱雑音等によるドリフト現象がわずかながらであるが発生し、フィルタ構成に必要となる大きな抵抗を通して前記ドリフト現象が増幅され、フィルタ出力も前記ドリフトの影響を大きく受け、結果として脈波信号がドリフトを起こす。
【0009】
また、公知のアナログフィルタ、ディジタルフィルタによるDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットを除去する方法では、大きな時定数(例えば1秒以上)を持つことになり、前記オフセットを除去した際に発生する基線変動が落ち着くまでに数秒を要する。
【0010】
また、脈波の計測前に、投光する素子の非作動状態時のオフセットを記憶しておき、脈波計測時に、記憶されているオフセットで、従来の脈波を増幅する回路系を補正する方法や、生体からの実際の脈波信号の代わりに、値の判明している入力、例えば脈波センサの駆動電圧×1/2を脈波の増幅回路系に入力し、その際のA/D変換器出力値を駆動電圧×1/2入力時の仮想中間値として記憶し、この値をもとに、実際の脈波入力に対してA/D変換されたデータを補正する方法では、脈波の計測開始から数十秒程度でオフセットの再計測および再記憶する必要があるか、または、脈波信号への生体の体動、環境温度、環境照度等の変化による外乱重畳により、オフセットの再計測、再記憶する必要があり、その度に脈波の計測が中断される。
【0011】
また、脈波上昇始点の値をオフセットとして扱う方法では、生体から導出した脈波をA/D変換可能な変換レンジ内で振れるように、増幅器で増幅する必要があるが、現在導出可能な方法によって導出された脈波自体にはDCもしくはDC近傍の周波数を含むオフセットがかならず重畳しており、A/D変換レンジから脈波信号が飛び出してしまった場合、本方法では対応ができない。
【0012】
前記いずれの場合でも、脈波を計測しつづけながらのオフセット除去は不可能であり、従って脈波の連続的計測、分析も不可能である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の脈波測定装置は、ハイパスフィルタを使用せず、脈波の信号に重畳するオフセットを除去すると共に、オフセット除去する直前および直後のA/D変換器の出力データを記憶、保持し、オフセット除去した後のA/D変換器出力データと前記の記憶、保持されているデータを滑らかに接続し連続性を維持するように信号処理し、脈波計測中のいずれのタイミングでもオフセット除去を行うことが出来るようにすることで、脈波を連続的に計測することが可能であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、DCとDC近傍の周波数を持つオフセットを含む脈波信号からオフセット分を減ずる増幅器もしくは変換レンジを前記オフセット分だけシフトするA/D変換器と、前記オフセットを除去する際に、前記オフセット除去直前および直後のA/D変換データを保持し、オフセット除去後のA/D変換データに前記保持されているオフセット除去直前のA/D変換データを加え、前記保持されているオフセット除去直後のA/D変換データを引くことによって、オフセット除去前後で滑らかにA/D変換データを連続させるオフセット補正手段を備えることを特徴とする脈波測定装置であり、
ハイパスフィルタを構成する物理的に大きなサイズの部品を不要とし、装置の小型化、物理的サイズの制約内で多チャンネル化を可能とし、またハイパスフィルタに内在する大きな時定数による基線ドリフトの発生を無くし、オフセット除去時に脈波計測を中断することなく、脈波を連続で計測、分析することを可能とする作用を有する。
【0015】
請求項2に記載の発明は、光源とフォトディテクタの対、もしくは磁極と磁界検出器の対、もしくは圧力検出器、もしくは超音波発信器と超音波検出器の対により生体から脈波を導出する脈波センサと、
前記センサから導出された脈波をA/D変換器の入力信号とするために増幅された信号電圧もしくは電流を出力する増幅器と、
前記増幅器からの出力信号のオフセットを増減するためのオフセット信号発生器と、
前記オフセット信号発生器の出力を前記増幅器に加え、オフセット除去するためのオフセット演算器と、
前記オフセット除去直前および直後の前記A/D変換器の出力データを保持する保持メモリと、
前記オフセット除去後の前記A/D変換器の出力データに、ディジタルオフセットを加算するディジタルオフセット加算器とにより、
前記オフセット除去直前および直後のA/D変換データを保持し、オフセット除去後のA/D変換データに前記保持されているオフセット除去直前のA/D変換データを加え、前記保持されているオフセット除去直後のA/D変換データを引くことにより、オフセット除去前後で滑らかにA/D変換データを連続させるオフセット補正手段を備えることを特徴とする脈波測定装置としたものであり、
ハイパスフィルタを構成する物理的に大きなサイズの部品を不要とし、装置の小型化、物理的サイズの制約内で多チャンネル化を可能とし、またハイパスフィルタに内在する大きな時定数による基線ドリフトの発生を無くし、オフセット除去時に脈波計測を中断することなく、脈波を連続で計測、分析することを可能とする作用を有する。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2のオフセット信号発生器の出力を前記オフセット演算器に加算する仕組みの代わりに、請求項2のA/D変換器の変換レンジを変更するレンジ切り替え器と、前記レンジ切り替え器のレンジを決定するレンジ信号発生器とにより、請求項2のA/D変換器の変換レンジ全体を上下させることにより、請求項2のオフセット信号発生器、オフセット演算器の機能の代わりにオフセット除去し、前記オフセット除去直前および直後のA/D変換データを保持し、オフセット除去後のA/D変換データに前記保持されているオフセット除去直前のA/D変換データを加え、前記保持されているオフセット除去直後のA/D変換データを引くことにより、オフセット除去前後で滑らかにA/D変換データを連続させるオフセット補正手段を備えることを特徴とする脈波測定装置としたものであり、
ハイパスフィルタを構成する物理的に大きなサイズの部品を不要とし、装置の小型化、物理的サイズの制約内で多チャンネル化を可能とし、またハイパスフィルタに内在する大きな時定数による基線ドリフトの発生を無くし、オフセット除去時に脈波計測を中断することなく、脈波を連続で計測、分析することを可能とする作用を有する。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2および3の脈波測定装置の外部からのトリガ入力もしくは脈波のポジティブあるいはネガティブピークから一定時間遅らせたタイミングでオフセット調整することを特徴とする請求項1、2、3の脈波測定装置としたものであり、
脈波の計測、分析に影響のない脈波信号の周波数の低い部分、すなわち、信号の変化があまりない部分でオフセット除去することを可能とする作用を有する。
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1について、図1、図2、図3を参照しながら説明する。
【0020】
図1は請求項1および請求項2の脈波測定装置の光電式指尖容積脈波測定装置への適用例を示し、図1において脈波を導出する脈波センサ2は、光源3と受光器4で構成されている。生体の指先1に対して、光源3は指先1のつめの部分に「生体の光に対する生体窓」と呼ばれる透過率の高い波長である赤外光(波長900nm付近の波長)を照射する作用を行うもので、本例では赤外LEDで構成されている。受光器4は、前記光源3から照射された赤外光が指先1を透過した光5を光電変換により電圧の変化10に変換する作用を行うもので、本例ではフォトトランジスタのエミッタ接地形式で構成されている。前記赤外LEDおよび前記フォトトランジスタは定電源6により駆動される。
【0021】
増幅器7は前記電圧の変化10を一定電圧まで増幅した脈波信号11を生成する作用を有する。前記増幅器7には、オフセット信号発生器8で生成されるオフセット電圧9が加えられ、前記脈波信号11のDCオフセットを除去することが可能となっている。オフセット信号発生器8で生成するオフセット電圧9は、後述するCPUからのオフセットデータ12とオフセット信号調整信号13によって、例えば定電源6の8ビット256分解能で調整することが可能となっている。
【0022】
また、請求項1のオフセットを減ずる機能は、図1の例では増幅器7に、公知であるオペレーショナルアンプを用いることにより、その機能を持たせてある。
【0023】
前記指先1から、前記脈波センサ2で導出され、DCオフセット電圧9が加算され、前記増幅器7で増幅された脈波信号11は、A/D変換器15で量子化される。本例では8ビット256分解能を持つA/D変換器を適用している。A/D変換器15で量子化された脈波データは、保持メモリ16(A)に記憶されていた、前回のオフセット電圧9を調整する直前の脈波データとディジタルオフセット加算器17で加算され、さらに、オフセット電圧9を調整した直後の脈波データとして保持メモリ16(B)に記憶されている脈波データがディジタルオフセット加算器17で減算され、前記オフセット電圧の調整によるオフセット除去後の、A/D変換後の脈波データ上の不連続点を補正した脈波データとしてバッファメモリ18に保持される。
【0024】
図8を用いて、前記不連続点を補正する様子を説明する。図8(a)はオフセットの増加によるドリフトを伴って右肩上がりでA/D変換されていく脈波データを実線波形で示している。オフセット除去直前のA/D変換データ49が、図1の保持メモリ16(A)に記憶される。続いて、オフセット除去がなされ、A/D変換レンジ0〜255の範囲のほぼ中央にA/D変換された脈波データが表れる様子を図8(b)に実線波形で示している。オフセット除去後の脈波データは図8(b)の50で示した値から脈波データが表れる。この50で示した値は図1の保持メモリ16(B)に記憶される。図8(c)に示すように、オフセット除去の影響なく連続した脈波データとするには、図8(c)の51で示した値からオフセット除去後の脈波データが続けばよい。前記51で示した値は、前記図1の保持メモリ16(A)に記憶されており、前記51の値とオフセット除去後の脈波データの開始値は前記図1の保持メモリ16(B)に記憶されている値である。従って、オフセット除去後の脈波データが図1の保持メモリ16(A)+A/D変換値−保持メモリ16(B)なる計算を施せば、例えば、オフセット除去直後のA/D変換値=図1の保持メモリ16(B)の値に前記計算を施せば、図1の保持メモリ16(A)+(A/D変換値=保持メモリ16(B))−保持メモリ16(B)=保持メモリ16(A)となり、図8(c)の51の値そのものになる。続いてA/D変換された脈波データにも同様に前記計算を施せば、図8(c)の51の値を開始点として、脈波データが描かれていくことになる。
【0025】
以下再び図1を用いて説明を続ける。バッファメモリ18に保持されたオフセット除去後の連続化された脈波データは、必要に応じてCPUコア19に読み込まれ、脈波データから脈波の面積、ピークの位置、大きさの計測および分析、脈波データを微分して速度脈波化、さらに微分して加速度脈波化の演算等が行われる。前記オフセット信号発生器8に設定するオフセット電圧設定値12の書き込みと、前記オフセット電圧設定値12のオフセット電圧9への反映タイミング、前記オフセット電圧9への反映タイミング直前および直後の前記脈波データを保持メモリ16(A)、16(B)へ保持させるタイミングは、CPUコア19により任意にコントロールすることができる。
【0026】
図2は図1の脈波測定装置で実際に測定した際の、図1増幅器7の出力である脈波信号(図1の11)の挙動を示している。脈波信号21、生体の体動等によるドリフト22、図1のオフセット信号発生器のオフセット除去タイミング位置23をプロットしたもので、図1のオフセット電圧9の調整タイミングで、脈波信号21に、オフセットを除去するために図1の7で示した増幅器のDCオフセットを前記オフセット電圧9を調整することにより変更したため、大きな不連続点23が発生していることを示したものである。この脈波信号21が図1における脈波信号11に対応し、本発明による前記不連続点23の発生を抑える処理を適用しなければ、前記不連続点23で脈波の測定、分析を連続して行うことは不可能である。
【0027】
図3は、図2の脈波信号21(図1では脈波信号11)が図1のバッファメモリ18に保持され、図1のオフセット電圧9の調整により不連続点を有しても、図1のCPUコア19で計測、分析に使用される脈波データとして前記不連続点のないデータを使用できる様子を示したものである。
【0028】
図3に示した例では、図1のA/D変換器15で変換された脈波データが、図1のA/D変換レンジの20%以下もしくは80%以上(本例では8ビット256分解能の51以下もしくは204以上と同意)の状態が、例えば平均の脈波の間隔=平均脈拍間隔期間の50%であるT35以上続いた場合に(図3(b))、オフセット除去のタイミングを決定する図1のオフセット電圧調整信号13を図3(a)の24で示すようにONし、図1のオフセット電圧9を図3(b)、(c)の28で示す状態から図3(b)、(c)の29の状態に調整し、脈波信号27(図3(b))が図1のA/D変換器15の変換レンジ25(図3(b))を超えて変換不能とならないように補正する様子を示している。
【0029】
また、オフセット電圧9を調整すると、前期オフセット電圧9調整前後で、脈波信号26と27で示すように、A/D変換器入力である脈波信号には不連続点が発生し、前記不連続点がA/D変換データ30と31に示すように不連続点として発生する。前記不連続点をA/D変換後の脈波データ32と33で示したように、オフセット除去前後の点34、35で滑らかに接続させるために、オフセット除去直前の図1A/D変換器15の出力である脈波データ30を、保持させるタイミング24の立ち上がりエッジで、図1の保持メモリ16(A)に保持させ、オフセット除去が完了した時点の脈波データ31もタイミング24の立下りにより図1の保持メモリ16(B)に記憶させる。
【0030】
次に、前記オフセット調整後のA/D変換器出力である脈波データ27と、前記保持メモリ16(A)の脈波データを加算し、前記保持メモリ16(B)の脈波データを減算すれば、図3(b)34と35の不連続点は滑らかに接続され、図3(d)32と33の脈波データに示すように、オフセット除去前後で、脈波データは滑らかに接続され、あたかもオフセット除去とオフセット除去に伴う不連続点が存在しないのかのように、脈波計測、分析をオフセット除去に関係なく連続して続けることが可能となるように構成されている。この際、図3(d)で示した前記不連続点を除去した波形32と33が、前記A/D変換レンジ0〜255を超えているが、例えばCPU(図1の14)が前記脈波データとして0〜255以上の値、例えば−32767〜+32768のように16ビット長以上のデータを扱えるようにする、一般に公知の技術を使用することで脈波データを0〜255を超える範囲で扱うことができる。
【0031】
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2について、図4、図5を参照しながら説明する。
【0032】
図4は請求項3の脈波測定装置を示し、実施の形態1を説明した図1と対比するために、図番号を同一の機能には同一の番号を使用している。請求項1と2の実施の形態1を説明した図1では、増幅器7のオフセット電圧9を調整することによって、前記増幅器7の出力である増幅された脈波信号11のオフセット除去を行っていたが、本実施の形態2では、図4に示したA/D変換器15の変換レンジをリファレンス電圧9(A)および9(B)間の電圧を分割する方式とし、前記リファレンス電圧9(A)および9(B)を本実施の形態2の特徴であるレンジ切り替え器8(A)によって調整することにより、増幅器7のオフセットを調整することと同様の効果を得る。A/D変換器15以降の処理は実施の形態1と同様である。
【0033】
図5は図4の脈波測定装置で図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)の調整によっても、図4のバッファメモリ18に保持される脈波データに不連続点が現れない様子を示したものである。
【0034】
図5(c)の28と29のラインは、図4で示したレンジ切り替え器8(A)で生成したリファレンス電圧9(A)、9(B)を示している。前記実施の形態1と同様に、図4の増幅器7の出力である脈波信号11の波形を示している脈波信号26が、A/D変換レンジの20%以下もしくは80%以上(本例では8ビット256分解能の51以下もしくは204以上と同意)の状態が例えば平均の脈波の間隔=平均脈拍間隔期間の50%であるT35以上続いた場合に、A/D変換レンジの変更タイミングを決定する信号13を図5の24で示すようにONし、図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)を図5(c)の28で示す状態から図5の29に示すように、A/D変換レンジ全体の電圧を上げ、脈波信号のA/D変換レンジである電圧範囲を高い領域側を含むように設定することによって、脈波信号27が図4のA/D変換器15の変換レンジ25(図5(c))を超えて変換不能とならないように補正する様子を示している。
【0035】
また、図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)を調整すると、前期リファレンス電圧の調整前後で、図5(b)の脈波信号26と27で示すように、A/D変換器入力である脈波信号には、不連続点図5(b)30と31が発生する。
【0036】
図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)の調整直前のA/D変換器15の出力である脈波データ30(図5(b))を、保持させるタイミング24の立ち上がりエッジで、図4の保持メモリ16(A)に保持させ、図5のリファレンス電圧9(A)、9(B)の調整が完了した時点の脈波データ31(図5(b))もタイミング24の立下りエッジで図4の保持メモリ16(B)に記憶させる。
【0037】
次に、前記リファレンス電圧調整後のA/D変換器出力である脈波データ27(図5(b))と、前記保持メモリ16(A)の脈波データを加算し、前記保持メモリ16(B)の脈波データを減算すれば、図5(d)34と35の不連続点は滑らかに接続され、図5(d)32と33の脈波データに示すように、図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)の調整前後で、脈波データは滑らかに接続される。図5(d)で示した前記不連続点を除去した波形32と33が、前記A/D変換レンジ0〜255を超えているが、例えばCPU(図1の14)が前記脈波データとして0〜255以上の値、例えば−32767〜+32768のように16ビット長以上のデータを扱えるようにする、一般に公知の技術を使用すれば問題は発生せず、あたかも図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)を変更しA/D変換レンジの変更による、前記オフセット除去がなされず、A/D変換データである脈波データに不連続点が発生していないかのように、脈波計測および分析をオフセット除去に関係なく連続して続けることが可能となるように構成されている。
【0038】
(実施の形態3)
以下に、本発明の実施の形態3について、図6、図7を参照しながら説明する。図6は請求項4の脈波測定装置を示し、脈波の任意の位置で前記オフセット調整を行う作用を行うもので、本例では脈波測定装置外部からのトリガ入力である心電図信号36と脈波のポジティブピークから一定遅れ時間(レイテンシー)をおいて、オフセット調整タイミング信号13を生成する脈波ピーク検出器オフセット調整タイミング生成器19(A)で構成されている。
【0039】
図7は請求項4の脈波測定装置によるオフセット調整タイミングの取り方を示し、図6の脈波測定装置で生成するオフセット調整タイミング13を示している。
【0040】
心電図信号(ECG)37(図7(a))は本発明外の公知の心電図モニタ、ポリグラフ等から供給され、図6の脈波ピーク検出器オフセット調整タイミング生成器19(A)に供給される。前記脈波ピーク検出器オフセット調整タイミング生成器19は、前記心電図信号37から、例えば心電図波形のピークの呼称として一般的なR波を検出し、R−Rインターバル時間TR−R44(図7(e))を求めると共に、例えば本発明で計測する対象である脈波38(図7(b))のポジティブピーク位置、脈波38を一階微分した速度脈波39(図7c))のポジティブピーク位置、速度脈波39をさらに一階微分した加速度脈波40(図7(d))の最大のポジティブピーク位置を検出し、例えば脈波38のポジティブピークから前記TR−R44の70%の時間45(図7(e))経過した時点を脈波38のオフセット調整タイミング41(図7(b))、速度脈波39のポジティブピークから前記TR−R44の70%の時間47(図7(e))経過した時点を速度脈波39のオフセット調整タイミング42(図7(c))、加速度脈波40の最大のポジティブピークから前記TR−R44(図7(e))の60%の時間46(図7(e))経過した時点を加速度脈波40(図7(d))のオフセット調整タイミング43(図7(d))とすることにより、それぞれの脈波信号に対する計測、分析処理を阻害することなくオフセットを調整することができるようになる。
【0041】
なお、以上の説明では、脈波センサを赤外光の光源、受光器のフォトトランジスタで構成した例で説明したが、多の脈波センサ、例えば圧電素子による皮膚下の血管圧変化を捉える方法、血圧測定用のカフからの圧変化、血圧等により距離の変化する部分に装着した磁極と磁気検出器間の距離の変化を捕らえる方法等の多の脈波導出器についても、DCもしくはDC近傍の周波数を持つオフセットが存在するため、本発明を同様に適用し、前記オフセットを除去するよう実施可能である。
【0042】
また、以上の説明では、増幅器、オフセット電圧発生器、レンジ切り替え器をディスクリートの機器で説明したが、本発明の脈波測定装置の他の機器に含めても同様に実施可能である。
【0043】
また、以上の説明では、CPUによりオフセット除去演算を行うことを想定して説明したが、専用のASICあるいはDSP等によっても同様に実施可能である。
【0044】
また、オフセット除去を開始する条件として脈拍間隔の50%をT35として説明したが、T35には定数を時間として適用しても同様に実施可能である。
【0045】
また、図3では、A/D変換レンジの20%以下もしくは80%以上に脈波データが位置した場合の時間を対象として説明したが、他の数値を適用しても同様に実施可能である。
【0046】
また、以上の説明では、本発明の脈波測定装置に供給する外部トリガ信号に心電図信号(ECG)で説明したが、その他の血圧信号、本発明の脈波測定装置が測定している部位とは異なる部位からの脈波信号、本発名の脈波測定装置自身で扱う脈波信号等の、脈波に時間的に同期する信号源であれば、同様に外部トリガ信号として実施可能である。
【0047】
また、図7でTR−Rに対する0.7TR−R、0.6TR−Rとして説明したが、それぞれ0.7、0.6の値に、0から1.0までの任意の値もしくはその整数倍の値を使用しても同様に実施可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明の脈波測定装置によれば、生体からさまざまな脈波センサによって導出される脈波信号に重畳するDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットを、構成部品として物理的に大きなサイズの部品を必要とするハイパスフィルタを使用せず、そのため装置の小型化、物理的サイズの制約内で多チャンネル化を可能とし、またハイパスフィルタを使用しないことにより、配パスフィルタに内在する大きな時定数による基線ドリフトの発生を無くすと共に、オフセット除去時に発生する脈波信号の不連続点を取り除き、脈波計測をオフセット除去時に中断する必要のない、脈波を連続で計測、分析することができる脈波測定装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による脈波測定装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1によって実測された脈波信号の増幅器出力で、オフセット調整時に脈波信号に不連続点が発生することを示すチャート
【図3】本発明の実施の形態1によるよる脈波測定装置により、増幅器の出力をA/D変換器以降の処理で、オフセット調整時に脈波信号に発生している不連続点を滑らかに接続していることを説明するチャート
【図4】本発明の実施の形態2による脈波測定装置の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態2による脈波測定装置により、増幅器の出力をA/D変換器以降の処理で、オフセット調整時に脈波信号に発生している不連続点を滑らかに接続していることを説明するチャート
【図6】本発明の実施の形態3による脈波測定装置の構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態3による脈波測定装置により、増幅器の出力をA/D変換器以降の処理で、外部トリガ信号と本発明の脈波測定装置で測定された脈波からオフセット調整のタイミングを決定していることを説明するチャート
【図8】本発明によってオフセット除去時のA/D変換データ上に発生する不連続点を除去する方法を説明したチャート
【符号の説明】
1 生体の指
2 脈波センサ
3 赤外LED
4 フォトトランジスタ
5 投光された赤外光
6 定電源
7 増幅器(差動増幅器)
8 オフセット信号発生器
8A レンジ切り替え器
9 オフセット電圧
9A リファレンス電圧(+)
9B リファレンス電圧(−)
10 脈波センサからの信号を光電変換した電圧の変化
11 脈波信号
12 オフセットデータ
13 オフセット信号調整信号
14 CPU
15 A/D変換器
16(A)オフセット除去直前A/D変換データ保持メモリ
16(B)オフセット除去直後A/D変換データ保持メモリ
17 ディジタルオフセット加算器
18 バッファメモリ
19 CPUコア
20 メモリ書きこみ信号
21 実測脈波信号
22 実測オフセット変動
23 オフセット除去タイミング
24 オフセット電圧調整信号
25 A/D変換レンジ
26 オフセット除去前の脈波信号
27 オフセット除去後の脈波信号
28 オフセット除去前のオフセット
29 オフセット除去後のオフセット
30 オフセット除去直前のA/D変換値
31 オフセット除去直後のA/D変換値
32 オフセット除去前の脈波信号
【滑らかに接続される脈波】
33 オフセット除去後の脈波信号(滑らかに接続された脈波)
34 オフセット除去直前に保持されたA/D変換データ
35 オフセット除去直後に保持されたA/D変換データ
36 ECG(心電図)信号
37 ECG(心電図)信号波形
38 PG(脈波波形)
39 VPG(速度脈波波形)
40 APG(加速度脈波波形)
41 脈波オフセット除去タイミング
42 速度脈波オフセット除去タイミング
43 加速度脈波オフセット除去タイミング
44 R−Rインターバル(心電図のR波からR波までの時間)
45 R−Rインターバルの70%の時間
46 R−Rインターバルの60%の時間
47 R−Rインターバルの70%の時間
48 オフセット除去タイミング
49 オフセット除去直前のA/D変換データ
50 オフセット除去直後のA/D変換データ
51 オフセット除去前後の脈波データの接続レベル値
【発明の属する技術分野】
本発明は、脈波測定装置に関するものであり、脈波を測定する際に測定対象である生体の動きもしくは光学的、磁気的、電気的な外乱によるDCもしくはDC近傍のオフセットが、増幅後の脈波信号に重畳することにより、A/D変換器の変換レンジを越え、脈波の測定不能となる現象をオフセット除去することにより防止すると共に、前記オフセット除去時に脈波のA/D変換データに発生する不連続点の発生を防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の脈波測定装置におけるDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットを除去する方法として、アナログフィルタもしくはディジタルフィルタによる線形性を有する方法で取り除く方法が公知である。
【0003】
また、生体に投光する素子の非作動時増幅器の出力電圧がゼロになるように増幅器を予め調節することによって、装置毎あるいは測定毎にDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットを除去する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、脈波を増幅する増幅器に、実際の脈波信号を入力する代わりに、決まった入力、例えば脈波を導出する脈波センサの駆動電圧の1/2を増幅器に入力し、 この時にA/D変換器が出力するデータを基準値として記憶しておき、この基準値を脈波に対する信号処理演算の際の中点として扱う方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、脈波上昇始点の値をオフセットとして、脈波信号に重畳しているDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットの影響を除去した、脈波の面積、ピーク値等を演算により正確に検出、算出する方法もある(例えば特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−24028号公報(第1−2頁、第3図)
【特許文献2】
特開平9−113311号公報(第2頁、第8頁、第11頁、第6図)
【特許文献3】
特許第1740210号公報(目的、代表図面)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公知のアナログフィルタ、ディジタルフィルタによるDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットを除去する方法では、除去する対象であるオフセットの周波数が非常に低く、そのための回路を、例えばコンデンサと抵抗でパッシブフィルタで構成すると、抵抗に1メガオーム、コンデンサに1マイクロファラッドを選択すればオフセットの遮断周波数を0.16Hz程度に設定することが可能である。また、1マイクロファラッドのコンデンサで、しかもコンデンサ自体の容量変化に対する温度係数が原因となる、脈波のオフセットドリフトを避けるためには、フィルムコンデンサあるいはメタライズドフィルムコンデンサを使用することができる。
【0008】
しかしながら、1マイクロファラッドのコンデンサは、その物理的大きさが非常に大きく(例えば10ミリ×20ミリ×5ミリ)、回路構造物を小さく出来ず、そのため、装置の小型化が不可能であり、多チャンネルのフィルタ回路を構成することも困難である。また、前記種類のフィルムコンデンサを使用したとしても、容量の大きなコンデンサには充電電荷が温度、熱雑音等によるドリフト現象がわずかながらであるが発生し、フィルタ構成に必要となる大きな抵抗を通して前記ドリフト現象が増幅され、フィルタ出力も前記ドリフトの影響を大きく受け、結果として脈波信号がドリフトを起こす。
【0009】
また、公知のアナログフィルタ、ディジタルフィルタによるDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットを除去する方法では、大きな時定数(例えば1秒以上)を持つことになり、前記オフセットを除去した際に発生する基線変動が落ち着くまでに数秒を要する。
【0010】
また、脈波の計測前に、投光する素子の非作動状態時のオフセットを記憶しておき、脈波計測時に、記憶されているオフセットで、従来の脈波を増幅する回路系を補正する方法や、生体からの実際の脈波信号の代わりに、値の判明している入力、例えば脈波センサの駆動電圧×1/2を脈波の増幅回路系に入力し、その際のA/D変換器出力値を駆動電圧×1/2入力時の仮想中間値として記憶し、この値をもとに、実際の脈波入力に対してA/D変換されたデータを補正する方法では、脈波の計測開始から数十秒程度でオフセットの再計測および再記憶する必要があるか、または、脈波信号への生体の体動、環境温度、環境照度等の変化による外乱重畳により、オフセットの再計測、再記憶する必要があり、その度に脈波の計測が中断される。
【0011】
また、脈波上昇始点の値をオフセットとして扱う方法では、生体から導出した脈波をA/D変換可能な変換レンジ内で振れるように、増幅器で増幅する必要があるが、現在導出可能な方法によって導出された脈波自体にはDCもしくはDC近傍の周波数を含むオフセットがかならず重畳しており、A/D変換レンジから脈波信号が飛び出してしまった場合、本方法では対応ができない。
【0012】
前記いずれの場合でも、脈波を計測しつづけながらのオフセット除去は不可能であり、従って脈波の連続的計測、分析も不可能である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の脈波測定装置は、ハイパスフィルタを使用せず、脈波の信号に重畳するオフセットを除去すると共に、オフセット除去する直前および直後のA/D変換器の出力データを記憶、保持し、オフセット除去した後のA/D変換器出力データと前記の記憶、保持されているデータを滑らかに接続し連続性を維持するように信号処理し、脈波計測中のいずれのタイミングでもオフセット除去を行うことが出来るようにすることで、脈波を連続的に計測することが可能であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、DCとDC近傍の周波数を持つオフセットを含む脈波信号からオフセット分を減ずる増幅器もしくは変換レンジを前記オフセット分だけシフトするA/D変換器と、前記オフセットを除去する際に、前記オフセット除去直前および直後のA/D変換データを保持し、オフセット除去後のA/D変換データに前記保持されているオフセット除去直前のA/D変換データを加え、前記保持されているオフセット除去直後のA/D変換データを引くことによって、オフセット除去前後で滑らかにA/D変換データを連続させるオフセット補正手段を備えることを特徴とする脈波測定装置であり、
ハイパスフィルタを構成する物理的に大きなサイズの部品を不要とし、装置の小型化、物理的サイズの制約内で多チャンネル化を可能とし、またハイパスフィルタに内在する大きな時定数による基線ドリフトの発生を無くし、オフセット除去時に脈波計測を中断することなく、脈波を連続で計測、分析することを可能とする作用を有する。
【0015】
請求項2に記載の発明は、光源とフォトディテクタの対、もしくは磁極と磁界検出器の対、もしくは圧力検出器、もしくは超音波発信器と超音波検出器の対により生体から脈波を導出する脈波センサと、
前記センサから導出された脈波をA/D変換器の入力信号とするために増幅された信号電圧もしくは電流を出力する増幅器と、
前記増幅器からの出力信号のオフセットを増減するためのオフセット信号発生器と、
前記オフセット信号発生器の出力を前記増幅器に加え、オフセット除去するためのオフセット演算器と、
前記オフセット除去直前および直後の前記A/D変換器の出力データを保持する保持メモリと、
前記オフセット除去後の前記A/D変換器の出力データに、ディジタルオフセットを加算するディジタルオフセット加算器とにより、
前記オフセット除去直前および直後のA/D変換データを保持し、オフセット除去後のA/D変換データに前記保持されているオフセット除去直前のA/D変換データを加え、前記保持されているオフセット除去直後のA/D変換データを引くことにより、オフセット除去前後で滑らかにA/D変換データを連続させるオフセット補正手段を備えることを特徴とする脈波測定装置としたものであり、
ハイパスフィルタを構成する物理的に大きなサイズの部品を不要とし、装置の小型化、物理的サイズの制約内で多チャンネル化を可能とし、またハイパスフィルタに内在する大きな時定数による基線ドリフトの発生を無くし、オフセット除去時に脈波計測を中断することなく、脈波を連続で計測、分析することを可能とする作用を有する。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2のオフセット信号発生器の出力を前記オフセット演算器に加算する仕組みの代わりに、請求項2のA/D変換器の変換レンジを変更するレンジ切り替え器と、前記レンジ切り替え器のレンジを決定するレンジ信号発生器とにより、請求項2のA/D変換器の変換レンジ全体を上下させることにより、請求項2のオフセット信号発生器、オフセット演算器の機能の代わりにオフセット除去し、前記オフセット除去直前および直後のA/D変換データを保持し、オフセット除去後のA/D変換データに前記保持されているオフセット除去直前のA/D変換データを加え、前記保持されているオフセット除去直後のA/D変換データを引くことにより、オフセット除去前後で滑らかにA/D変換データを連続させるオフセット補正手段を備えることを特徴とする脈波測定装置としたものであり、
ハイパスフィルタを構成する物理的に大きなサイズの部品を不要とし、装置の小型化、物理的サイズの制約内で多チャンネル化を可能とし、またハイパスフィルタに内在する大きな時定数による基線ドリフトの発生を無くし、オフセット除去時に脈波計測を中断することなく、脈波を連続で計測、分析することを可能とする作用を有する。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2および3の脈波測定装置の外部からのトリガ入力もしくは脈波のポジティブあるいはネガティブピークから一定時間遅らせたタイミングでオフセット調整することを特徴とする請求項1、2、3の脈波測定装置としたものであり、
脈波の計測、分析に影響のない脈波信号の周波数の低い部分、すなわち、信号の変化があまりない部分でオフセット除去することを可能とする作用を有する。
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
以下に、本発明の実施の形態1について、図1、図2、図3を参照しながら説明する。
【0020】
図1は請求項1および請求項2の脈波測定装置の光電式指尖容積脈波測定装置への適用例を示し、図1において脈波を導出する脈波センサ2は、光源3と受光器4で構成されている。生体の指先1に対して、光源3は指先1のつめの部分に「生体の光に対する生体窓」と呼ばれる透過率の高い波長である赤外光(波長900nm付近の波長)を照射する作用を行うもので、本例では赤外LEDで構成されている。受光器4は、前記光源3から照射された赤外光が指先1を透過した光5を光電変換により電圧の変化10に変換する作用を行うもので、本例ではフォトトランジスタのエミッタ接地形式で構成されている。前記赤外LEDおよび前記フォトトランジスタは定電源6により駆動される。
【0021】
増幅器7は前記電圧の変化10を一定電圧まで増幅した脈波信号11を生成する作用を有する。前記増幅器7には、オフセット信号発生器8で生成されるオフセット電圧9が加えられ、前記脈波信号11のDCオフセットを除去することが可能となっている。オフセット信号発生器8で生成するオフセット電圧9は、後述するCPUからのオフセットデータ12とオフセット信号調整信号13によって、例えば定電源6の8ビット256分解能で調整することが可能となっている。
【0022】
また、請求項1のオフセットを減ずる機能は、図1の例では増幅器7に、公知であるオペレーショナルアンプを用いることにより、その機能を持たせてある。
【0023】
前記指先1から、前記脈波センサ2で導出され、DCオフセット電圧9が加算され、前記増幅器7で増幅された脈波信号11は、A/D変換器15で量子化される。本例では8ビット256分解能を持つA/D変換器を適用している。A/D変換器15で量子化された脈波データは、保持メモリ16(A)に記憶されていた、前回のオフセット電圧9を調整する直前の脈波データとディジタルオフセット加算器17で加算され、さらに、オフセット電圧9を調整した直後の脈波データとして保持メモリ16(B)に記憶されている脈波データがディジタルオフセット加算器17で減算され、前記オフセット電圧の調整によるオフセット除去後の、A/D変換後の脈波データ上の不連続点を補正した脈波データとしてバッファメモリ18に保持される。
【0024】
図8を用いて、前記不連続点を補正する様子を説明する。図8(a)はオフセットの増加によるドリフトを伴って右肩上がりでA/D変換されていく脈波データを実線波形で示している。オフセット除去直前のA/D変換データ49が、図1の保持メモリ16(A)に記憶される。続いて、オフセット除去がなされ、A/D変換レンジ0〜255の範囲のほぼ中央にA/D変換された脈波データが表れる様子を図8(b)に実線波形で示している。オフセット除去後の脈波データは図8(b)の50で示した値から脈波データが表れる。この50で示した値は図1の保持メモリ16(B)に記憶される。図8(c)に示すように、オフセット除去の影響なく連続した脈波データとするには、図8(c)の51で示した値からオフセット除去後の脈波データが続けばよい。前記51で示した値は、前記図1の保持メモリ16(A)に記憶されており、前記51の値とオフセット除去後の脈波データの開始値は前記図1の保持メモリ16(B)に記憶されている値である。従って、オフセット除去後の脈波データが図1の保持メモリ16(A)+A/D変換値−保持メモリ16(B)なる計算を施せば、例えば、オフセット除去直後のA/D変換値=図1の保持メモリ16(B)の値に前記計算を施せば、図1の保持メモリ16(A)+(A/D変換値=保持メモリ16(B))−保持メモリ16(B)=保持メモリ16(A)となり、図8(c)の51の値そのものになる。続いてA/D変換された脈波データにも同様に前記計算を施せば、図8(c)の51の値を開始点として、脈波データが描かれていくことになる。
【0025】
以下再び図1を用いて説明を続ける。バッファメモリ18に保持されたオフセット除去後の連続化された脈波データは、必要に応じてCPUコア19に読み込まれ、脈波データから脈波の面積、ピークの位置、大きさの計測および分析、脈波データを微分して速度脈波化、さらに微分して加速度脈波化の演算等が行われる。前記オフセット信号発生器8に設定するオフセット電圧設定値12の書き込みと、前記オフセット電圧設定値12のオフセット電圧9への反映タイミング、前記オフセット電圧9への反映タイミング直前および直後の前記脈波データを保持メモリ16(A)、16(B)へ保持させるタイミングは、CPUコア19により任意にコントロールすることができる。
【0026】
図2は図1の脈波測定装置で実際に測定した際の、図1増幅器7の出力である脈波信号(図1の11)の挙動を示している。脈波信号21、生体の体動等によるドリフト22、図1のオフセット信号発生器のオフセット除去タイミング位置23をプロットしたもので、図1のオフセット電圧9の調整タイミングで、脈波信号21に、オフセットを除去するために図1の7で示した増幅器のDCオフセットを前記オフセット電圧9を調整することにより変更したため、大きな不連続点23が発生していることを示したものである。この脈波信号21が図1における脈波信号11に対応し、本発明による前記不連続点23の発生を抑える処理を適用しなければ、前記不連続点23で脈波の測定、分析を連続して行うことは不可能である。
【0027】
図3は、図2の脈波信号21(図1では脈波信号11)が図1のバッファメモリ18に保持され、図1のオフセット電圧9の調整により不連続点を有しても、図1のCPUコア19で計測、分析に使用される脈波データとして前記不連続点のないデータを使用できる様子を示したものである。
【0028】
図3に示した例では、図1のA/D変換器15で変換された脈波データが、図1のA/D変換レンジの20%以下もしくは80%以上(本例では8ビット256分解能の51以下もしくは204以上と同意)の状態が、例えば平均の脈波の間隔=平均脈拍間隔期間の50%であるT35以上続いた場合に(図3(b))、オフセット除去のタイミングを決定する図1のオフセット電圧調整信号13を図3(a)の24で示すようにONし、図1のオフセット電圧9を図3(b)、(c)の28で示す状態から図3(b)、(c)の29の状態に調整し、脈波信号27(図3(b))が図1のA/D変換器15の変換レンジ25(図3(b))を超えて変換不能とならないように補正する様子を示している。
【0029】
また、オフセット電圧9を調整すると、前期オフセット電圧9調整前後で、脈波信号26と27で示すように、A/D変換器入力である脈波信号には不連続点が発生し、前記不連続点がA/D変換データ30と31に示すように不連続点として発生する。前記不連続点をA/D変換後の脈波データ32と33で示したように、オフセット除去前後の点34、35で滑らかに接続させるために、オフセット除去直前の図1A/D変換器15の出力である脈波データ30を、保持させるタイミング24の立ち上がりエッジで、図1の保持メモリ16(A)に保持させ、オフセット除去が完了した時点の脈波データ31もタイミング24の立下りにより図1の保持メモリ16(B)に記憶させる。
【0030】
次に、前記オフセット調整後のA/D変換器出力である脈波データ27と、前記保持メモリ16(A)の脈波データを加算し、前記保持メモリ16(B)の脈波データを減算すれば、図3(b)34と35の不連続点は滑らかに接続され、図3(d)32と33の脈波データに示すように、オフセット除去前後で、脈波データは滑らかに接続され、あたかもオフセット除去とオフセット除去に伴う不連続点が存在しないのかのように、脈波計測、分析をオフセット除去に関係なく連続して続けることが可能となるように構成されている。この際、図3(d)で示した前記不連続点を除去した波形32と33が、前記A/D変換レンジ0〜255を超えているが、例えばCPU(図1の14)が前記脈波データとして0〜255以上の値、例えば−32767〜+32768のように16ビット長以上のデータを扱えるようにする、一般に公知の技術を使用することで脈波データを0〜255を超える範囲で扱うことができる。
【0031】
(実施の形態2)
以下に、本発明の実施の形態2について、図4、図5を参照しながら説明する。
【0032】
図4は請求項3の脈波測定装置を示し、実施の形態1を説明した図1と対比するために、図番号を同一の機能には同一の番号を使用している。請求項1と2の実施の形態1を説明した図1では、増幅器7のオフセット電圧9を調整することによって、前記増幅器7の出力である増幅された脈波信号11のオフセット除去を行っていたが、本実施の形態2では、図4に示したA/D変換器15の変換レンジをリファレンス電圧9(A)および9(B)間の電圧を分割する方式とし、前記リファレンス電圧9(A)および9(B)を本実施の形態2の特徴であるレンジ切り替え器8(A)によって調整することにより、増幅器7のオフセットを調整することと同様の効果を得る。A/D変換器15以降の処理は実施の形態1と同様である。
【0033】
図5は図4の脈波測定装置で図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)の調整によっても、図4のバッファメモリ18に保持される脈波データに不連続点が現れない様子を示したものである。
【0034】
図5(c)の28と29のラインは、図4で示したレンジ切り替え器8(A)で生成したリファレンス電圧9(A)、9(B)を示している。前記実施の形態1と同様に、図4の増幅器7の出力である脈波信号11の波形を示している脈波信号26が、A/D変換レンジの20%以下もしくは80%以上(本例では8ビット256分解能の51以下もしくは204以上と同意)の状態が例えば平均の脈波の間隔=平均脈拍間隔期間の50%であるT35以上続いた場合に、A/D変換レンジの変更タイミングを決定する信号13を図5の24で示すようにONし、図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)を図5(c)の28で示す状態から図5の29に示すように、A/D変換レンジ全体の電圧を上げ、脈波信号のA/D変換レンジである電圧範囲を高い領域側を含むように設定することによって、脈波信号27が図4のA/D変換器15の変換レンジ25(図5(c))を超えて変換不能とならないように補正する様子を示している。
【0035】
また、図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)を調整すると、前期リファレンス電圧の調整前後で、図5(b)の脈波信号26と27で示すように、A/D変換器入力である脈波信号には、不連続点図5(b)30と31が発生する。
【0036】
図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)の調整直前のA/D変換器15の出力である脈波データ30(図5(b))を、保持させるタイミング24の立ち上がりエッジで、図4の保持メモリ16(A)に保持させ、図5のリファレンス電圧9(A)、9(B)の調整が完了した時点の脈波データ31(図5(b))もタイミング24の立下りエッジで図4の保持メモリ16(B)に記憶させる。
【0037】
次に、前記リファレンス電圧調整後のA/D変換器出力である脈波データ27(図5(b))と、前記保持メモリ16(A)の脈波データを加算し、前記保持メモリ16(B)の脈波データを減算すれば、図5(d)34と35の不連続点は滑らかに接続され、図5(d)32と33の脈波データに示すように、図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)の調整前後で、脈波データは滑らかに接続される。図5(d)で示した前記不連続点を除去した波形32と33が、前記A/D変換レンジ0〜255を超えているが、例えばCPU(図1の14)が前記脈波データとして0〜255以上の値、例えば−32767〜+32768のように16ビット長以上のデータを扱えるようにする、一般に公知の技術を使用すれば問題は発生せず、あたかも図4のリファレンス電圧9(A)、9(B)を変更しA/D変換レンジの変更による、前記オフセット除去がなされず、A/D変換データである脈波データに不連続点が発生していないかのように、脈波計測および分析をオフセット除去に関係なく連続して続けることが可能となるように構成されている。
【0038】
(実施の形態3)
以下に、本発明の実施の形態3について、図6、図7を参照しながら説明する。図6は請求項4の脈波測定装置を示し、脈波の任意の位置で前記オフセット調整を行う作用を行うもので、本例では脈波測定装置外部からのトリガ入力である心電図信号36と脈波のポジティブピークから一定遅れ時間(レイテンシー)をおいて、オフセット調整タイミング信号13を生成する脈波ピーク検出器オフセット調整タイミング生成器19(A)で構成されている。
【0039】
図7は請求項4の脈波測定装置によるオフセット調整タイミングの取り方を示し、図6の脈波測定装置で生成するオフセット調整タイミング13を示している。
【0040】
心電図信号(ECG)37(図7(a))は本発明外の公知の心電図モニタ、ポリグラフ等から供給され、図6の脈波ピーク検出器オフセット調整タイミング生成器19(A)に供給される。前記脈波ピーク検出器オフセット調整タイミング生成器19は、前記心電図信号37から、例えば心電図波形のピークの呼称として一般的なR波を検出し、R−Rインターバル時間TR−R44(図7(e))を求めると共に、例えば本発明で計測する対象である脈波38(図7(b))のポジティブピーク位置、脈波38を一階微分した速度脈波39(図7c))のポジティブピーク位置、速度脈波39をさらに一階微分した加速度脈波40(図7(d))の最大のポジティブピーク位置を検出し、例えば脈波38のポジティブピークから前記TR−R44の70%の時間45(図7(e))経過した時点を脈波38のオフセット調整タイミング41(図7(b))、速度脈波39のポジティブピークから前記TR−R44の70%の時間47(図7(e))経過した時点を速度脈波39のオフセット調整タイミング42(図7(c))、加速度脈波40の最大のポジティブピークから前記TR−R44(図7(e))の60%の時間46(図7(e))経過した時点を加速度脈波40(図7(d))のオフセット調整タイミング43(図7(d))とすることにより、それぞれの脈波信号に対する計測、分析処理を阻害することなくオフセットを調整することができるようになる。
【0041】
なお、以上の説明では、脈波センサを赤外光の光源、受光器のフォトトランジスタで構成した例で説明したが、多の脈波センサ、例えば圧電素子による皮膚下の血管圧変化を捉える方法、血圧測定用のカフからの圧変化、血圧等により距離の変化する部分に装着した磁極と磁気検出器間の距離の変化を捕らえる方法等の多の脈波導出器についても、DCもしくはDC近傍の周波数を持つオフセットが存在するため、本発明を同様に適用し、前記オフセットを除去するよう実施可能である。
【0042】
また、以上の説明では、増幅器、オフセット電圧発生器、レンジ切り替え器をディスクリートの機器で説明したが、本発明の脈波測定装置の他の機器に含めても同様に実施可能である。
【0043】
また、以上の説明では、CPUによりオフセット除去演算を行うことを想定して説明したが、専用のASICあるいはDSP等によっても同様に実施可能である。
【0044】
また、オフセット除去を開始する条件として脈拍間隔の50%をT35として説明したが、T35には定数を時間として適用しても同様に実施可能である。
【0045】
また、図3では、A/D変換レンジの20%以下もしくは80%以上に脈波データが位置した場合の時間を対象として説明したが、他の数値を適用しても同様に実施可能である。
【0046】
また、以上の説明では、本発明の脈波測定装置に供給する外部トリガ信号に心電図信号(ECG)で説明したが、その他の血圧信号、本発明の脈波測定装置が測定している部位とは異なる部位からの脈波信号、本発名の脈波測定装置自身で扱う脈波信号等の、脈波に時間的に同期する信号源であれば、同様に外部トリガ信号として実施可能である。
【0047】
また、図7でTR−Rに対する0.7TR−R、0.6TR−Rとして説明したが、それぞれ0.7、0.6の値に、0から1.0までの任意の値もしくはその整数倍の値を使用しても同様に実施可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明の脈波測定装置によれば、生体からさまざまな脈波センサによって導出される脈波信号に重畳するDCもしくはDC近傍の周波数のオフセットを、構成部品として物理的に大きなサイズの部品を必要とするハイパスフィルタを使用せず、そのため装置の小型化、物理的サイズの制約内で多チャンネル化を可能とし、またハイパスフィルタを使用しないことにより、配パスフィルタに内在する大きな時定数による基線ドリフトの発生を無くすと共に、オフセット除去時に発生する脈波信号の不連続点を取り除き、脈波計測をオフセット除去時に中断する必要のない、脈波を連続で計測、分析することができる脈波測定装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による脈波測定装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1によって実測された脈波信号の増幅器出力で、オフセット調整時に脈波信号に不連続点が発生することを示すチャート
【図3】本発明の実施の形態1によるよる脈波測定装置により、増幅器の出力をA/D変換器以降の処理で、オフセット調整時に脈波信号に発生している不連続点を滑らかに接続していることを説明するチャート
【図4】本発明の実施の形態2による脈波測定装置の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態2による脈波測定装置により、増幅器の出力をA/D変換器以降の処理で、オフセット調整時に脈波信号に発生している不連続点を滑らかに接続していることを説明するチャート
【図6】本発明の実施の形態3による脈波測定装置の構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態3による脈波測定装置により、増幅器の出力をA/D変換器以降の処理で、外部トリガ信号と本発明の脈波測定装置で測定された脈波からオフセット調整のタイミングを決定していることを説明するチャート
【図8】本発明によってオフセット除去時のA/D変換データ上に発生する不連続点を除去する方法を説明したチャート
【符号の説明】
1 生体の指
2 脈波センサ
3 赤外LED
4 フォトトランジスタ
5 投光された赤外光
6 定電源
7 増幅器(差動増幅器)
8 オフセット信号発生器
8A レンジ切り替え器
9 オフセット電圧
9A リファレンス電圧(+)
9B リファレンス電圧(−)
10 脈波センサからの信号を光電変換した電圧の変化
11 脈波信号
12 オフセットデータ
13 オフセット信号調整信号
14 CPU
15 A/D変換器
16(A)オフセット除去直前A/D変換データ保持メモリ
16(B)オフセット除去直後A/D変換データ保持メモリ
17 ディジタルオフセット加算器
18 バッファメモリ
19 CPUコア
20 メモリ書きこみ信号
21 実測脈波信号
22 実測オフセット変動
23 オフセット除去タイミング
24 オフセット電圧調整信号
25 A/D変換レンジ
26 オフセット除去前の脈波信号
27 オフセット除去後の脈波信号
28 オフセット除去前のオフセット
29 オフセット除去後のオフセット
30 オフセット除去直前のA/D変換値
31 オフセット除去直後のA/D変換値
32 オフセット除去前の脈波信号
【滑らかに接続される脈波】
33 オフセット除去後の脈波信号(滑らかに接続された脈波)
34 オフセット除去直前に保持されたA/D変換データ
35 オフセット除去直後に保持されたA/D変換データ
36 ECG(心電図)信号
37 ECG(心電図)信号波形
38 PG(脈波波形)
39 VPG(速度脈波波形)
40 APG(加速度脈波波形)
41 脈波オフセット除去タイミング
42 速度脈波オフセット除去タイミング
43 加速度脈波オフセット除去タイミング
44 R−Rインターバル(心電図のR波からR波までの時間)
45 R−Rインターバルの70%の時間
46 R−Rインターバルの60%の時間
47 R−Rインターバルの70%の時間
48 オフセット除去タイミング
49 オフセット除去直前のA/D変換データ
50 オフセット除去直後のA/D変換データ
51 オフセット除去前後の脈波データの接続レベル値
Claims (4)
- DCとDC近傍の周波数を持つオフセットを含む脈波信号からオフセット分を減ずる増幅器もしくは変換レンジを前記オフセット分だけシフトするA/D変換器と、前記オフセットを除去する際に、前記オフセット除去直前および直後のA/D変換データを保持し、オフセット除去後のA/D変換データに前記保持されているオフセット除去直前のA/D変換データを加え、前記保持されているオフセット除去直後のA/D変換データを引くことによって、オフセット除去前後で滑らかにA/D変換データを連続させるオフセット補正手段を備えることを特徴とする脈波測定装置。
- 光源とフォトディテクタの対、もしくは磁極と磁界検出器の対、もしくは圧力検出器、もしくは超音波発信器と超音波検出器の対により生体から脈波を導出する脈波センサと、
前記センサから導出された脈波をA/D変換器の入力信号とするために増幅された信号電圧もしくは電流を出力する増幅器と、
前記増幅器からの出力信号のオフセットを増減するためのオフセット信号発生器と、
前記オフセット信号発生器の出力を前記増幅器に加え、オフセット除去するためのオフセット演算器と、
前記オフセット除去直前および直後の前記A/D変換器の出力データを保持する保持メモリと、
前記オフセット除去後の前記A/D変換器の出力データに、ディジタルオフセットを加算するディジタルオフセット加算器とにより、
前記オフセット除去直前および直後のA/D変換データを保持し、オフセット除去後のA/D変換データに前記保持されているオフセット除去直前のA/D変換データを加え、前記保持されているオフセット除去直後のA/D変換データを引くことにより、オフセット除去前後で滑らかにA/D変換データを連続させるオフセット補正手段を備えることを特徴とする脈波測定装置。 - 請求項2に記載の脈派測定装置において、
オフセット信号発生器の出力を前記オフセット演算器に加算する仕組みの代わりに、A/D変換器の変換レンジを変更するレンジ切り替え器と、前記レンジ切り替え器のレンジを決定するレンジ信号発生器とにより、A/D変換器の変換レンジ全体を上下させることにより、オフセット除去するとともに、前記オフセット除去直前および直後のA/D変換データを保持し、オフセット除去後のA/D変換データに前記保持されているオフセット除去直前のA/D変換データを加え、前記保持されているオフセット除去直後のA/D変換データを引くことにより、オフセット除去前後で滑らかにA/D変換データを連続させるオフセット補正手段を備えることを特徴とする脈波測定装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の脈波測定装置において、外部からのトリガ入力もしくは脈波のポジティブあるいはネガティブピークから一定時間遅らせたタイミングでオフセット調整することを特徴とする脈波測定装置。
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WO2010020914A1 (en) * | 2008-08-19 | 2010-02-25 | Koninklijke Philips Electronics N.V. | Monitoring the blood pressure of a patient |
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