JP2004174116A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のリーチ部分演出を連続的に行うことでリーチ演出を実行するリーチ演出実行手段101aを備える。リーチ演出実行手段101aは、データ伸張手段89aにより伸張された動画像データに基づいて生成される画像を画像表示装置6Aに順次表示させることによって動画再生を行い、リーチ演出における複数のリーチ区間演出のうちの一部のリーチ区間演出を動画再生によって行うデータ再生手段101bと、フェードイン処理によって動画再生を含まない第1のリーチ区間演出から動画再生を含む第2のリーチ区間演出への切替表示を実行させるフェードイン切替表示手段101cとを含む。よって、データ圧縮された動画像データを用いた表示演出のための制御負担を軽減することができる。
【選択図】 図24
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い、識別情報の表示結果が特定表示結果となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態とするパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ遊技機等の遊技機においては、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)等の表示装置上に所定の識別情報(以下、表示図柄)を更新表示させることで変動表示を行い、その表示結果により所定の遊技価値を付与するか否かを決定する、いわゆる可変表示ゲームによって遊技興趣を高めたものが数多く提供されている。
【0003】
可変表示ゲームには、主に、前述した表示装置を画像表示装置として用いることにより行うもの(以下、特図ゲーム)がある。特図ゲームは、所定領域を通過する遊技球の検出に伴って表示図柄の更新表示を行い、表示図柄の更新表示が完全に停止した際の停止図柄態様が特定表示態様となっている場合を「大当り」とするゲームである。特図ゲームにおいて「大当り」となると、大入賞口と呼ばれる特別電動役物を作動させ、大入賞口扉を開放状態とする。これによって、遊技者に対して遊技球の入賞が極めて容易となる状態を一定時間継続的に提供する。
【0004】
以下、特図ゲームにおいて大当りとなり、大入賞口扉が開放状態となることで、遊技者に対して遊技球の入賞が極めて容易となる状態となることを特定遊技状態という。特定遊技状態となるためには、通常、特別図柄表示装置に表示される表示図柄の停止図柄態様が予め定められた特定表示態様となること(一般的には表示図柄が同一図柄で揃うこと)が条件となる。
【0005】
このように、遊技者にとって特図ゲームでは、停止図柄態様が特定表示態様となって「大当り」となるか否かに最大の関心が払われることになる。このため、「大当り」となるか否かを判別することのできる停止図柄態様の確定までの間に、表示図柄の変動態様を異ならせる等の遊技興趣を高めるための様々な演出表示が行われる。
【0006】
このような遊技機では、一般に、遊技状態に応じて、可変表示装置に所定のキャラクタを登場させたり、そのキャラクタを変化させたり、ランプ・LED等の発光体を明滅させたりすることによって各種の遊技演出が行われている。また、可変表示装置に実写画像などの多色画像を表示させることによって遊技演出を行うものもある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0007】
通常、可変表示装置に多色画像による動画像を表示することによって演出表示を行う場合には、動画像データのデータ量が膨大なものとなるため、遊技演出に用いる動画像データは、例えばMPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)などの符号化技術によりデータ圧縮された状態で遊技機が備えるROMなどの記憶媒体に格納される。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−185088号公報
【特許文献2】
特開平9−149376号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、多色画像による動画像を用いた演出の出現頻度が多いと、データ圧縮された動画像データの伸張処理や再生処理などのための制御負担が大きくなってしまうという問題がある。
【0010】
また、動画像による演出を行う場合、静止画像による演出から動画像による演出に移行するときや、動画像による演出から静止画像による演出に移行するときに、表示されている画像が段々薄れてきてやがて消失するようなフェードアウト表示や、画面上に画像が段々現れてきてやがてはっきりと表示されるようなフェードイン表示を行うことによって表示画像を切り替えることがある。例えば、リーチ演出において、特別図柄の可変表示内容がリーチ表示に発展した後に、背景画面を静止画像から動画像に切り替える際、フェードアウト表示やフェードイン表示によって表示内容を切り替えるものがある。
【0011】
しかし、フェードアウト表示を行うために、フェードアウト表示用の動画像データが用いられ、同様に、フェードイン表示を行うために、フェードイン表示用の動画像データが用いられている。すなわち、フェードアウト表示用の動画像データとフェードイン表示用の動画像データを予め用意し、遊技演出を行うための動画像データの前後にフェードアウト表示用の動画像データやフェードイン表示用の動画像データをつなぎ、その動画像データを再生することで、フェードアウト表示やフェードイン表示を実現するようにしている。このため、フェードアウト表示やフェードイン表示を行うためには、膨大なデータ量の動画像データを必要としていた。従って、フェードアウト表示やフェードイン表示を行うためには、データ圧縮されてはいるが、多大なデータ量の動画像データを必要とするので、動画像データの総データ量が増大することになってしまい、動画像データを格納する記憶領域の必要容量が増大してしまうという課題があった。また、多大なデータ量の動画像データを必要とするので、データ圧縮された動画像データの伸張処理や再生処理などのための制御負担が増大するという問題もある。
【0012】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、データ圧縮された動画像データを用いた表示演出のための制御負担を軽減することができる遊技機を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による遊技機は、各々を識別可能な複数種類の識別情報(例えば、左中右の特別図柄、可変表示装置502に表示される図柄)の可変表示を行い、識別情報の表示結果が特定表示結果(例えば、有効ライン上に確定表示されている各図柄が同一図柄となっている表示結果)となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば、大当り遊技状態)とする遊技機であって、識別情報の可変表示を行うとともに遊技演出に用いられる画像を表示する画像表示装置(例えば可変表示装置6、画像表示装置540)と、動き補償予測符号化による圧縮データを含む動画像データを格納する圧縮データ格納手段(例えばCGROM83)と、圧縮データ格納手段に格納されている動画像データを伸張するデータ伸張手段(例えば動画圧縮・伸張部89)と、識別情報の表示態様がリーチ態様となったときに実行されるリーチ演出として、複数のリーチ区間演出(例えばリーチ部分演出A〜リーチ部分演出C)を連続的に順次切り替えて実行することで演出内容が段階的に発展するリーチ演出(例えばリーチ演出3)を実行するリーチ演出実行手段(例えば演出制御用CPU101における図柄変動中処理を実行する部分や、GCL81における図柄変動中処理でコールされたことにもとづいて図14に示す動画再生処理などを実行する部分)とを備え、リーチ演出実行手段は、データ伸張手段により伸張された動画像データに基づいて生成される画像を画像表示装置に順次表示させることによって動画再生を行い、リーチ演出における複数のリーチ区間演出のうちの一部のリーチ区間演出(例えばリーチ部分演出C)を動画再生によって行うデータ再生手段(例えば演出制御用CPU101におけるリーチ部分演出Cを実行する部分)と、段階的に画像を出現させるフェードイン処理を行うことで画像表示装置上の表示画像の切替表示としてデータ再生手段による動画再生を含まない第1のリーチ区間演出からデータ再生手段による動画再生を含む第2のリーチ区間演出への切替表示を実行させるフェードイン切替表示手段(例えばGCL81におけるステップS222のフェードイン処理を実行する部分)とを含み、フェードイン切替表示手段が、データ再生手段による動画再生の再生開始時に使用されるフレームデータから透過度を段階的に高めていった複数のフェードイン画像(例えば図17(B)〜図17(D)に示す各画像)を生成するフェードイン画像生成手段(例えばGCL81におけるステップS232を実行する部分)と、フェードイン画像生成手段により生成された各フェードイン画像を、透過度が最も高められているフェードイン画像(例えば図16にてN=99とした数式を用いて生成したフェードイン画像。具体的には図17(A)に示す画像)から、透過度がより低いフェードイン画像に順次移行させ(例えば図17(B)、図17(C)に順次移行させる)、最終的にフレームデータの画像を表示させる(例えば図16にてN=0とした数式を用いて生成したフェードイン画像を表示させる。具体的には、例えば図17(D)に示す画像を表示させる)ことによってフェードイン処理を実行するフェードイン処理手段(例えば演出制御用CPU101におけるステップS233を実行する部分)と、フェードイン処理手段によるフェードイン処理が完了したあと、フェードイン処理の完了時に表示されているフレームデータの画像からデータ再生手段に動画再生を開始させる動画再生開始手段(例えば演出制御用CPU101におけるステップS237を実行する部分)とを含む構成とされていてもよい。
【0014】
フェードイン切替表示手段が、フェードイン処理にて、所定の中間画像(例えば、白や青などの単一色の画像を表示するための画像データ)を介して段階的に画像を出現させるように構成されていてもよい。
【0015】
本発明による遊技機は、各々を識別可能な複数種類の識別情報(例えば、左中右の特別図柄、可変表示装置502に表示される図柄)の可変表示を行い、識別情報の表示結果が特定表示結果(例えば、有効ライン上に確定表示されている各図柄が同一図柄となっている表示結果)となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば、大当り遊技状態)とする遊技機であって、識別情報の可変表示を行うとともに遊技演出に用いられる画像を表示する画像表示装置(例えば可変表示装置6、画像表示装置540)と、動き補償予測符号化による圧縮データを含む動画像データを格納する圧縮データ格納手段(例えばCGROM83)と、圧縮データ格納手段に格納されている動画像データを伸張するデータ伸張手段(例えば動画圧縮・伸張部89)と、識別情報の表示態様がリーチ態様となったときに実行されるリーチ演出として、複数のリーチ区間演出(例えばリーチ部分演出A〜リーチ部分演出C)を連続的に順次切り替えて実行することで演出内容が段階的に発展するリーチ演出(例えばリーチ演出3)を実行するリーチ演出実行手段(例えば演出制御用CPU101における図柄変動中処理を実行する部分)とを備え、リーチ演出実行手段は、データ伸張手段により伸張された動画像データに基づいて生成される画像を画像表示装置に順次表示させることによって動画再生を行い、リーチ演出における複数のリーチ区間演出のうちの一部のリーチ区間演出(例えばリーチ部分演出C)を動画再生によって行うデータ再生手段(例えば演出制御用CPU101におけるリーチ部分演出Cを実行する部分)と、データ再生手段による動画再生を含むリーチ区間演出における最終画像を段階的に消滅させるフェードアウト処理を行うことで画像表示装置上の表示画像の切替表示を実行させるフェードアウト切替表示手段(例えば演出制御用CPU101におけるステップS224のフェードアウト処理を実行する部分)とを含み、フェードアウト切替表示手段が、データ再生手段による動画再生を終了するときに、再生終了時に使用されるフレームデータの画像を表示する動画再生終了手段(例えば演出制御用CPU101におけるステップS208にてフェードアウトフラグがオン状態とされたあとのステップS243を実行する部分)と、フレームデータから透過度を段階的に高めていった複数のフェードアウト画像(例えば図20(B)〜図20(D)に示す各画像)を生成するフェードアウト画像生成手段(例えば演出制御用CPU101におけるステップS242を実行する部分)と、フェードアウト画像生成手段により生成された各フェードアウト画像を、フレームデータの画像(例えば図19にてM=0とした数式を用いて生成したフェードアウト画像)から、透過度がより高められているフェードアウト画像に順次移行させ、最終的に透過度が最も高められているフェードアウト画像(例えば図19にてM=99とした数式を用いて生成したフェードアウト画像)を表示させることによってフェードアウト処理を実行するフェードアウト処理手段(例えば演出制御用CPU101におけるステップS243を実行する部分)とを含む構成とされていてもよい。
【0016】
フェードアウト切替表示手段が、フェードアウト処理にて、段階的に画像を消滅させて所定の中間画像を表示させる構成とされていてもよい。
【0017】
動画像データは、フレーム内符号化により圧縮されたキーフレームデータ(例えばIピクチャデータ)と、再生時に先に使用されるフレームデータを用いて符号化する前方向予測符号化により圧縮された前方向予測符号化フレームデータ(例えばPピクチャデータ)と、再生時に先に使用されるフレームデータと後に使用されるフレームデータとを用いて符号化する双方向予測符号化により圧縮された双方向予測符号化フレームデータ(例えばBピクチャデータ)とを含み、キーフレームデータは、動画像データにおいて、動画像中に現れる表示物体が遅く動作する動画像を再生するためのデータ部分よりも、当該表示物体が速く動作する動画像を再生するためのデータ部分に多く用いられる構成とされていてもよい。
【0018】
動画像データが、実写画像及びコンピュータグラフィクスの少なくともいずれか一方を含む多色画像を動画再生するためのデータである構成とされていてもよい。
【0019】
データ再生手段の動画再生による動画像の動作に同期した識別情報の可変表示演出(例えばリーチ部分演出C)を実行する可変表示演出実行手段(例えば演出制御用CPU101におけるステップS803を実行する部分、GCL81におけるステップS803にてコールされたことにもとづいて実行される図14に示す動画再生処理を実行する部分)を備えていてもよい。
【0020】
データ再生手段が、リーチ演出における複数のリーチ区間演出のうちの最後に実行されるリーチ区間演出(例えばリーチ部分演出A〜Cのうち最後に実行されるリーチ部分演出C)にて動画再生を実行するように構成されていてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態における遊技機としては、LCD等からなる画像表示装置(可変表示装置)により特図ゲームを行う遊技機であり、プリペイドカードによって球貸しを行うカードリーダ(CR:Card Reader )式の第1種パチンコ遊技機を例にとって説明する。しかし、適用対象となる遊技機は、これに限るものではなく、例えば、LCDを搭載したスロットマシン等の遊技機にも適用可能である。また、パチンコ遊技機等の弾球遊技機であっても、画像表示装置を有するものであれば、例えば、第2種あるいは第3種に分類される遊技機や、一般電役機、又はパチコンと呼ばれる確率設定機能付き弾球遊技機等であっても構わない。さらには、プリペイドカード(将来的にはICコイン等も含む価値媒体)によって球貸しを行うCR式パチンコ遊技機だけでなく、現金によって球貸しを行うパチンコ遊技機にも適用可能である。すなわち、LCD等からなる画像表示装置を有し、特図ゲームに相当する演出表示を行うことが可能な遊技機であれば、どのような形態のものであっても構わない。
【0022】
まず、CR式第1種パチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面から見た正面図である。
パチンコ遊技機1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2と、遊技盤2が着脱可能に取り付けられる遊技機用枠3とで構成される。遊技盤2の前面には遊技領域4が形成されている。なお、遊技機1の前面側の下部右側には、打球を発射するハンドル5が設けられている。
【0023】
遊技領域4の中央付近には、それぞれが識別情報としての図柄を可変表示する複数の可変表示部を含む可変表示装置6が設けられている。可変表示装置6は、LCDによって構成され、「左」、「中」、「右」の3つ特別図柄が表示される図柄表示エリア(可変表示部)が設けられている。図柄表示エリアには、変動表示の表示結果が大当り表示態様であるか否かを特定するための有効ラインが予め設定されている。有効ライン上で最終的に停止した各特別図柄の組合せによって大当り表示態様であるか否かが特定され、有効ライン上に各特別図柄が同一図柄で揃っている場合に大当り表示態様であることが特定される。したがって、遊技者は可変表示装置6における有効ライン上の表示態様を確認することで、大当りとなったか否かを容易に認識することができる。
【0024】
また、可変表示装置6には、始動入賞口7に入った有効入賞球数すなわち始動入賞記憶数を表示する4つの特別図柄始動記憶表示エリア(以下、始動記憶表示エリア)8が設けられている。始動記憶表示エリアには、始動入賞記憶数が4未満のときの有効始動入賞に対応して、入賞表示が行われる。具体的には、通常青色表示であった表示を赤色表示に変化させる。この例では、図柄表示エリアと始動記憶表示エリア8とが区分けされて設けられているので、可変表示中も始動入賞記憶数が表示された状態とすることができる。なお、始動記憶表示エリア8を図柄表示エリアの一部に設けるようにしてもよく、この場合には、可変表示中は始動入賞記憶数の表示を中断するようにすればよい。また、この例では、始動記憶表示エリア8を可変表示装置6に設けるようにしているが、始動入賞記憶数を表示する表示器(特別図柄始動記憶表示器)を可変表示装置6とは別個に設けるようにしてもよい。
【0025】
可変表示装置6の下方には、開閉動作を行う普通電動役物9を兼用する始動入賞口7と、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド等を駆動することで開状態とされる大入賞口10とが上下に並んで配設されており、始動入賞口7の左側には、ゲート13が配設されている。大入賞口10は、大入賞口扉11を開閉することによって開状態あるいは閉状態とされる。ゲート13に遊技球が入賞すると、普通図柄表示装置14において表示状態が変化する可変表示が開始される。普通図柄表示装置14の近傍には、普通図柄始動入賞記憶数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器15が設けられている。また、遊技盤2には、複数の入賞口16,17,18,19が設けられている。
【0026】
遊技機用枠3の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ20L,20Rが設けられている。また、遊技領域4の外周には、天枠ランプ21a、左枠ランプ21b及び右枠ランプ21cが設けられている。さらに、図示はしないが、遊技領域4における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾用LEDが設置されている。天枠ランプ21a、左枠ランプ21b及び右枠ランプ21c及び装飾用LEDは、遊技機に設けられている発光体の一例である。
【0027】
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を裏面から見た背面図である。図2に示すように、遊技機裏面側では、可変表示装置6等を制御する演出制御基板100、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)30が設置されている。また、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板40が設置されている。また、所定の電源電圧を供給するための電源回路が搭載された電源基板150や発射制御基板91が設けられている。さらに、主基板30からの各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えた盤用外部端子基板50と、賞球個数や球貸し個数等の各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えた枠用外部端子基板51とが設置されている。
【0028】
図3は、遊技制御部を中心としたシステム構成例を示すブロック図である。本実施形態におけるパチンコ遊技機1は、主として、電源部(電源基板)150と、遊技制御部(主基板)30と、入力部52と、出力部53と、演出制御部(演出制御基板)100と、払出制御部(払出制御基板)40と、盤用外部端子基板50と、枠用外部端子基板51とを備えている。
【0029】
遊技制御部30は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM31、ワークメモリとして使用されるRAM32、プログラムに従って制御動作を行うCPU33及びI/Oポート部34を含む。なお、CPU33はROM31に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、CPU33が実行する(又は、処理を行う)ということは、CPU33がプログラムに従って制御を実行することをいう。このことは、主基板30以外の他の基板に搭載されているCPUについても同様である。また、図示はしないが、遊技制御部30は、入力部52からの信号入力を受け付けるスイッチ回路と、出力部53に向けて駆動信号の出力を行うソレノイド回路とを備えている。なお、遊技制御部30は、遊技に用いられる各種の乱数を生成する機能、演出制御部100や払出制御部40に制御コマンドを出力する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能等の各種の機能を有している。
【0030】
入力部52は、始動入賞口7への入賞球を検出する始動口スイッチ7a、ゲート13への入賞球を検出するゲートスイッチ13a、大入賞口10から遊技盤2の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域)に入った入賞球を検出する特定領域スイッチ22、大入賞口10からの入賞球を検出するカウントスイッチ23、各入賞口16,17,18,19への入賞球を検出する入賞口スイッチ16a,17a,18a,19a等の各種の検出手段によって構成される。上記の各スイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、遊技球の検出等の、各種の検出を行うことができる検出手段であれば、その名称を問わない。
【0031】
出力部53は、可変入賞球装置9を開閉するための普通電動役物ソレノイド9a、開閉板11の開閉に用いられる大入賞口扉ソレノイド11a及び大入賞口10内の経路の切り換えに用いられる大入賞口内誘導板ソレノイド12a等の各種の駆動手段によって構成される。
【0032】
図3に示すように、演出制御部100は、可変表示装置6や普通図柄表示装置14等の表示に関する制御を行う表示制御部80と、スピーカ20L,20R等の音に関する制御を行う音制御部70と、天枠ランプ21a等の発光体に関する制御を行うランプ制御部60とを備えている。演出制御部100は、遊技制御部30からの制御コマンドに基づいて、特別図柄を可変表示する可変表示装置6及び普通図柄を可変表示する普通図柄表示装置14の表示制御、音声出力制御、ランプ表示制御をそれぞれ実行する。
【0033】
払出制御部40は、遊技球の貸出や賞球等の払出制御を実行する機能を有している。また、盤用外部端子基板50及び枠用外部端子基板51は、各種遊技関連情報を外部に出力する役割を果たす。さらに、電源部150は、パチンコ遊技機1内の各回路に、所定の電源電圧を供給するために設けられている。
【0034】
ここで、本例のパチンコ遊技機1における遊技の様子について説明する。打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域4に入り、その後、遊技領域4を下りてくる。打球が始動入賞口7に入り始動口スイッチ7aで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置6において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動入賞記憶数を1増やす。
【0035】
可変表示装置6における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時における有効ライン上の特別図柄の組合せが大当り表示態様であると、大当り遊技状態に移行する。具体的には、大入賞口10が、一定時間経過するまで、又は、所定個数(例えば、10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、大入賞口10の開放中に打球がV入賞領域に入賞し特定領域スイッチ22で検出されると、継続権が発生し大入賞口10が再度開放される。継続権の発生は、所定回数(例えば、15ラウンド)許容される。
【0036】
停止時の可変表示装置6における特別図柄の組合せが確率変動を伴う大当り図柄(確変図柄)の組合せである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、確変状態という遊技者にとってさらに有利な状態(特別遊技状態)となる。
【0037】
なお、可変表示装置6上に表示される特別図柄の仮停止タイミングや変動時間等は、後述する変動パターン指定コマンドに従って一意に定まっている。すなわち、演出制御部100は、変動パターンコマンドを受け取ったタイミングから、可変表示装置6上における特別図柄の変動、スピーカ20L,20Rからの音声出力及びランプ・LED21a等の明滅表示が連動して行われるように制御を実行する。
【0038】
図4は、演出制御基板100の回路構成を示すブロック図である。演出制御基板100は、表示制御部80と、音制御部70と、ランプ制御部60と、各制御部60,70,80の制御を行う演出制御用CPU101と、演出制御用のプログラムや図柄表示・発光・音声出力等の各種の演出パターン等を記憶するROM102と、ワークメモリとして使用されるRAM103とを備えている。なお、図示はしないが、演出制御基板100には、演出制御コマンドの受信に用いられるコマンド受信回路が設けられている。の演出制御基板内のを備えている。
【0039】
演出制御用CPU101は、ROM102に格納されたプログラムに従って動作し、主基板30からの演出制御コマンドを受信する。そして、演出制御用CPU101は、受信した演出制御コマンドに従って、可変表示装置6の表示制御や、発光体の点灯/消灯制御、音出力制御、可動演出装置の駆動制御等の各種制御を行う。
【0040】
可変表示装置6の表示制御は、具体的には、演出制御コマンドに応じた指令をGCL(Graphics Controller LSI)81に与える。GCL81は、CGROM83等から必要なデータを読み出す。なお、CGROM83には、使用頻度の高いキャラクタを示すデータが格納されている。CGROM83に格納されている使用頻度の高いキャラクタとは、例えば、可変表示装置6に表示される人物、動物、又は、文字、図形もしくは記号等からなる画像である。なお、キャラクタには、実写による動画像や静止画像も含まれる。GCL81は、入力したデータに従って可変表示装置6に表示するための画像データを生成し、R(赤),G(緑),B(青)信号及び同期信号を可変表示装置6に出力する。可変表示装置6は、例えば、多数の画素(ピクセル)を用いたドットマトリクス方式による画面表示を行う。本例では、R,G,B信号がそれぞれ8ビットで表される。したがって、可変表示装置6は、GCL81からの指示に従って、R,G,Bそれぞれが256階調であり、約1670万色の多色表示を行うことができる。なお、R,G,B信号のビット数は8ビット以外のビット数であってもよく、また、R,G,B信号の各ビット数が互いに異なる数であってもよい。
【0041】
表示制御部80には、CGROM83やSDRAM(VRAM)84等の各種の記憶媒体が備えられている。SDRAM84には、フレームバッファ、キャラクタのソースデータ、表示色の特定や変更等のために用いられるパレットデータ等の表示画像に関するデータが格納される。また、表示制御部80は、GCL81と、普通図柄表示装置14に信号を出力するための普通図柄駆動回路82とを備えている。
【0042】
GCL81は、所定のパレットデータを一時的に保存するためなどに用いられるパレットデータバッファ85や、所定のCGデータを一時的に保存するためなどに用いられるCGデータバッファ86等の各種の記憶媒体の他、描画制御部と、可変表示装置6に信号を出力するための可変表示装置制御部87及びDAC(ディジタルアナログコンバータ)88と、動画圧縮処理や伸張処理を行う動画圧縮伸張部89とを含む。描画制御部は、アトリビュート解析部81aと、VRAMアドレス生成部81bと、クリッピング部81cと、半透明輝度変調部81dとを含む。アトリビュート解析部81aは、キャラクタを描画する際に使用されるパラメータの解析を行う。このパラメータには、画像の描画順序、色数、拡大縮小率、パレット番号、座標等を指定するための情報が設定されている。なお、動画圧縮伸張部89は、GCL81によって制御される構成としても、演出制御用CPU101によって制御される構成としてもよい。
【0043】
音制御部70は、遊技制御部30からの制御コマンドに従って音声や効果音を発生する音声IC71と、音声データ等を記憶する音声ROM72と、音声信号を増幅してスピーカ20L,20Rに出力するための低周波増幅回路73と、低周波増幅回路73から出力される音声信号の出力レベルを設定されている音量に応じたレベルにするディジタルボリューム74とを備えている。
【0044】
ランプ制御部60は、ランプ・LED24に含まれている遊技状態飾りランプ24aに信号を出力するためのランプ駆動回路61と、ランプ・LED24に含まれている遊技状態飾りLED24bに信号を出力するためのLED駆動回路62とを備えている。
【0045】
次に遊技機の動作について説明する。図5は、主基板30における遊技制御手段(CPU33及びROM,RAM等の周辺回路)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され、リセット端子の入力レベルがハイレベルになると、CPU33は、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU33は、まず、必要な初期設定を行う。
【0046】
初期設定処理において、CPU33は、まず、割込み禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込みモードを割込みモード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスレジスタの初期化を行う(ステップS4)。また、内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)及びPIO(パラレル入出力ポート)の初期化(ステップS5)を行った後、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS6)。
【0047】
この実施の形態で用いられるCPU33は、I/Oポート(PIO)及びタイマ/カウンタ回路(CTC)も内蔵している。また、CTCは、2本の外部クロック/タイマトリガ入力CLK/TRG2,3と2本のタイマ出力ZC/TO0,1を備えている。
【0048】
この実施の形態で用いられているCPU33には、マスク可能な割込のモードとして以下の3種類のモードが用意されている。なお、マスク可能な割込が発生すると、CPU33は、自動的に割込み禁止状態に設定するとともに、プログラムカウンタの内容をスタックにセーブする。
【0049】
割込みモード0:割込み要求を行った内蔵デバイスがRST命令(1バイト)又はCALL命令(3バイト)をCPUの内部データバス上に送出する。よって、CPU33は、RST命令に対応したアドレス又はCALL命令で指定されるアドレスの命令を実行する。リセット時に、CPU33は自動的に割込みモード0になる。よって、割込みモード1又は割込みモード2に設定したい場合には、初期設定処理において、割込みモード1又は割込みモード2に設定するための処理を行う必要がある。
【0050】
割込みモード1:割込が受け付けられると、常に0038(h)番地に飛ぶモードである。
【0051】
割込みモード2:CPU33の特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込みベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込み番地を示すモードである。すなわち、割込み番地は、上位アドレスが特定レジスタの値とされ下位アドレスが割込みベクタとされた2バイトで示されるアドレスである。したがって、任意の(飛び飛びではあるが)偶数番地に割込み処理を設置することができる。各内蔵デバイスは割込み要求を行うときに割込みベクタを送出する機能を有している。
【0052】
よって、割込みモード2に設定されると、各内蔵デバイスからの割込み要求を容易に処理することが可能になり、また、プログラムにおける任意の位置に割込み処理を設置することが可能になる。さらに、割込みモード1とは異なり、割込み発生要因毎のそれぞれの割込み処理を用意しておくことも容易である。上述したように、この実施の形態では、初期設定処理のステップS2において、CPU33は割込みモード2に設定される。
【0053】
次いで、CPU33は、遊技機に設けられているクリアスイッチがオン状態であるか否かを確認する(ステップS7)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU33は、通常の初期化処理を実行する(ステップS10〜ステップS12)。クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えば、パリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS8)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU33は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
【0054】
バックアップありを確認したら、CPU33は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う(ステップS9)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の退避値がPCに設定され、そのアドレスに復帰する。
【0055】
初期化処理では、CPU33は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。また、所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、払出コマンド格納ポインタ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグ等制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグ)に初期値を設定する作業領域設定処理を行う。さらに、サブ基板(演出制御基板100、払出制御基板40)を初期化するための初期化コマンドをサブ基板に送信する処理を実行する(ステップS11)。初期化コマンドとして、可変表示装置6に表示される初期図柄を示すコマンドや、払出可能状態であることを示す払出可能状態指定コマンド等がある。
【0056】
そして、2ms毎に定期的にタイマ割込みがかかるようにCPU33に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる(ステップS12)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
【0057】
初期化処理の実行(ステップS10〜S12)が完了すると、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS14)及び初期値用乱数更新処理(ステップS15)が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理及び初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込み禁止状態とされ(ステップS13)、表示用乱数更新処理及び初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込み許可状態とされる(ステップS16)。表示用乱数とは、可変表示装置6に表示される図柄を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのカウンタ(大当り決定用乱数発生カウンタ)等の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技制御処理において、大当り決定用乱数発生カウンタのカウント値が1周すると、そのカウンタに初期値が設定される。
【0058】
なお、表示用乱数更新処理が実行されるときには割込み禁止状態とされるのは、表示用乱数更新処理が後述するタイマ割込み処理でも実行されることから、タイマ割込み処理における処理と競合してしまうのを避けるためである。すなわち、ステップS14の処理中にタイマ割込みが発生してタイマ割込み処理中で表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新してしまったのでは、カウント値の連続性が損なわれる場合がある。しかし、ステップS14の処理中では割込み禁止状態にしておけば、そのような不都合が生ずることはない。
【0059】
タイマ割込みが発生すると、CPU33は、レジスタの退避処理(ステップS20)を行った後、図6に示すステップS21〜S31の遊技制御処理を実行する。遊技制御処理において、CPU33は、まず、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ12a、始動口スイッチ7a、カウントスイッチ23及び入賞口スイッチ16a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
【0060】
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS23)。CPU33は、さらに、表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS24)。
【0061】
この例では、大当りを発生させるか否かの決定に用いられる大当り判定用乱数、特別図柄の左中右のはずれ図柄の決定に用いられるはずれ図柄決定用乱数、大当りを発生させる際の特別図柄の組合せを決定する際に用いられる大当り図柄決定用乱数、特別図柄の変動パターンの決定に用いられる変動パターン決定用乱数、普通図柄に基づく当りを発生させるか否かの決定に用いられる普通図柄当り判定用乱数、各乱数の初期値の決定に用いられる初期値決定用乱数等の各種の乱数が用意されている。
【0062】
ステップS23では、CPU33は、大当り判定用乱数、大当り図柄決定用乱数、及び普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウントアップ(1加算)を行う。すなわち、それらが判定用乱数であり、それら以外の乱数が表示用乱数又は初期値用乱数である。
【0063】
さらに、CPU33は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS25)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示装置14の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
【0064】
次いで、CPU33は、特別図柄に関する演出制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行う(特別図柄コマンド制御処理:ステップS27)。また、普通図柄に関する演出制御コマンドをRAM32の所定の領域に設定して演出制御コマンドを送出する処理を行う(普通図柄コマンド制御処理:ステップS28)。
【0065】
さらに、CPU33は、例えば、ホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報等のデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
【0066】
また、CPU33は、所定の条件が成立したときにソレノイド回路に駆動指令を行う(ステップS30)。可変入賞球装置9又は開閉板11を開状態又は閉状態としたり、大入賞口10内の遊技球通路を切り替えたりするために、主基板30が備えるソレノイド回路は、駆動指令に応じてソレノイド9a,11a,12aを駆動する。
【0067】
そして、CPU33は、入賞口スイッチ16a,17a,18a,19aの検出信号に基づく賞球個数の設定等を行う賞球処理を実行する(ステップS32)。具体的には、入賞口スイッチ16a,17a,18a,19aのいずれかがオンしたことに基づく入賞検出に応じて、払出制御基板40に賞球個数を示す払出制御コマンドを出力する。払出制御基板40に搭載されている払出制御用CPUは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置を駆動する。その後、レジスタの内容を復帰させ(ステップS32)、割込み許可状態に設定する(ステップS33)。
【0068】
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込み処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込み処理では例えば、割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
【0069】
この実施の形態では、左図柄、中図柄及び右図柄として、それぞれ「1」〜「12」の図柄が、可変表示装置6において可変表示(変動)される。「1」〜「12」の図柄には、図柄番号0〜11の図柄番号が付されている。また、可変表示装置6における最終停止図柄(確定図柄)がそろった場合に大当りが発生する。そして、奇数の図柄でそろった場合に、大当りが発生する確率が向上した状態である高確率状態(確変状態)に変化する。
【0070】
図7は、CPU33が実行する特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図7に示す特別図柄プロセス処理は、図6のフローチャートにおけるステップS25の具体的な処理である。CPU33は、特別図柄プロセス処理を行う際に、変動短縮タイマ減算処理(ステップS310)及び入賞確認処理(ステップS311)を行った後に、内部状態に応じて、ステップS301〜S309のうちのいずれかの処理を行う。変動短縮タイマは、特別図柄の変動時間が短縮される場合に、変動時間を設定するためのタイマである。
【0071】
入賞確認処理(ステップS311):始動入賞口7に打球入賞して始動口スイッチ7aがオンするのを待つ。始動口スイッチ7aがオンすると、始動入賞記憶数が満タン(この実施の形態での最大値である4に達している状態)でなければ、始動入賞記憶数を1加算するとともに、大当り決定用乱数等の各乱数を抽出する。そして、それらを始動入賞記憶数の値に対応した乱数値格納エリアに格納する。また、加算した後の始動入賞記憶数を指定する始動入賞記憶指定のコマンドを送信するための処理を行う。
【0072】
特別図柄通常処理(ステップS301):特別図柄の可変表示を開始できる状態(特別図柄プロセスフラグの値がステップS301を示す値となっている場合)になるのを待つ。なお、特別図柄プロセスフラグの値がステップS301を示す値となっている場合とは、可変表示装置6において図柄の変動がなされておらず、かつ、大当り遊技中でもない場合である。特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、始動入賞記憶数を確認する。始動入賞記憶数が0でなければ、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS302に移行するように更新する。
【0073】
停止図柄設定処理(ステップS302):始動入賞記憶数=1に対応する乱数値格納エリアに格納されている値を読み出すとともに、始動入賞記憶数の値を1減らし、かつ、各乱数値格納エリアの値をシフトする。すなわち、始動入賞記憶数=n(n=2,3,4)に対応する乱数値格納エリアに格納されている各値を、始動入賞記憶数=n−1に対応する乱数値格納エリアに格納する。次いで、始動入賞記憶数=1に対応する乱数値格納エリアに格納されている値(大当り判定用乱数の値等)に基づいて、大当り、ハズレ、リーチとするか等を判定し、その判定結果や可変表示開始時の制御状態等に基づいて、左中右図柄の停止図柄を決定する。処理を終えると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に移行するように更新する。
【0074】
変動パターン設定処理(ステップS303):停止図柄設定処理にて決定された停止図柄や変動パターン決定用乱数の値に基づいて、図柄の変動パターンを決定する。処理を終えると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS304に移行するように更新する。
【0075】
全図柄変動処理(ステップS304):可変表示装置6において全図柄が変動開始されるように制御する。このとき、演出制御基板100に対して、左中右最終停止図柄と変動態様(変動パターン)を指令する情報(演出制御コマンド)とが送信される。具体的には、遊技制御手段は、可変表示を開始させるときに、変動パターン指定の演出制御コマンドを送信し、続いて、左図柄指定、中図柄指定、右図柄指定の演出制御コマンドを送信する。処理を終えると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に移行するように更新する。
【0076】
全図柄停止処理(ステップS305):所定時間(ステップS304でタイマにセットされる値に応じた時間)が経過すると、左右中図柄を最終停止(確定)させるために全図柄の停止を指示する演出制御コマンドを送信する。この演出制御コマンドの受信に基づいて、可変表示装置6において表示される全図柄が停止される。そして、遊技制御手段は、停止図柄が大当り図柄の組合せである場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS306に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS301に移行するように更新する。
【0077】
大入賞口開放前処理(ステップS306):大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、大入賞口扉ソレノイド11aを駆動して大入賞口を開放する。また、プロセスタイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、大当りフラグ(大当り中であることを示すフラグ)のセットを行う。処理を終えると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS307に移行するように更新する。
【0078】
大入賞口開放中処理(ステップS307):大入賞口ラウンド表示の演出制御コマンドデータを演出制御基板100に送出する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。最終的な大入賞口の閉成条件が成立したら、内部状態をステップS308に移行するように更新する。
【0079】
特定領域有効時間処理(ステップS308):特定領域スイッチ22の通過の有無を監視して、大当り遊技状態継続条件の成立を確認する処理を行う。大当り遊技状態継続の条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態をステップS306に移行するように更新する。また、所定の有効時間内に大当り遊技状態継続条件が成立しなかった場合、又は、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態をステップS309に移行するように更新する。
【0080】
大当り終了処理(ステップS309):大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知するための表示を指示する演出制御コマンドの送信を行う。その表示期間が終了したら、内部状態をステップS301に移行するように更新する。
【0081】
本例では、遊技制御手段から各電気部品制御手段に対する指示等の情報伝達は、制御コマンドによって行われる。制御コマンドは、例えば、2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を表し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。演出制御基板100に搭載されている演出制御手段は、INT信号(取込信号)が立ち上がったことを検知して、割込み処理によって1バイトのデータ(MODEデータ)の取り込み処理を開始し、その後の割込み処理によって1バイトのデータ(EXTデータ)の取り込み処理を開始する。
【0082】
次に、演出制御手段の動作を説明する。図8は、演出制御用CPU101が実行するメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔を決めるための2msタイマの初期設定等を行うための初期化処理が行われる(ステップS701)。その後、演出制御用CPU101は、タイマ割込みフラグの監視(ステップS702)の確認を行うループ処理に移行する。タイマ割込みが発生すると、演出制御用CPU101は、割込み処理処理内でタイマ割込みフラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込みフラグがセットされていたら、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(ステップS703)、以下の演出制御処理を実行する。
【0083】
この実施の形態では、タイマ割込みは2ms毎にかかる。すなわち、演出制御処理は、2ms毎に起動される。また、この実施の形態では、タイマ割込み処理ではフラグセットのみがなされ、具体的な演出制御処理はメイン処理において実行されるが、タイマ割込み処理で演出制御処理を実行してもよい。
【0084】
演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析する(コマンド解析実行処理:ステップS704)。次いで演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行う(ステップS705)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態に対応したプロセスを選択して実行する。そして、演出制御基板100で用いられる各種の乱数カウンタを更新する処理を実行する(ステップS706)。さらに、演出制御用CPU101は、遊技演出装置25A,25B,25Cによる演出を行う場合に、可動役物制御部100が備える図示しないソレノイド回路に駆動指令を行う(ステップS707)。遊技演出装置25A,25B,25Cを動作させるために、可動役物制御部100が備える図示しないソレノイド回路は、駆動指令に応じてソレノイド25a,25b,25cを駆動する。その後、ステップS702のタイマ割込みフラグの確認を行う処理に戻る。
【0085】
ここで、主基板30からの演出制御コマンドの受信について説明する。演出制御基板100は、図示はしないが、主基板30から受信した演出制御コマンドを格納するためのコマンド受信バッファを備えている。例えば、2バイト構成の演出制御コマンドを6個格納可能なリングバッファ形式のコマンド受信バッファが用いられる。演出制御手段は、変動パターン等の格納領域に格納される最新のコマンドに基づき制御される。これにより、主基板30からの指示に迅速に対応することができる。演出制御用CPU101は、主基板30からのINT信号がオン状態になると割込みがかかり、演出制御コマンドを受信するための処理を実行し、受信した演出制御コマンドをコマンド受信バッファに格納する。
【0086】
そして、受信コマンドバッファに格納されているコマンドの内容がコマンド解析処理(ステップS704)で確認され、受信コマンドに対応するフラグのセット等の処理がなされる。例えば、コマンド受信バッファに受信コマンドが左中右の図柄を指定する図柄指定コマンドであれば、そのコマンドに含まれている指定図柄を特定可能なデータを停止図柄格納エリアに格納し、対応する有効フラグをセットする。また、例えば、コマンド受信バッファに受信コマンドが演出パターンを指定する変動パターンコマンドであれば、そのコマンドに含まれている変動パターンを特定可能なデータを変動パターン格納エリアに格納し、変動パターン受信フラグをセットする。
【0087】
図9は、図8に示されたメイン処理における演出制御プロセス処理(ステップS705)を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、表示制御プロセスフラグの値に応じてステップS800〜S806のうちのいずれかの処理が行われる。各処理において、以下のような処理が実行される。
【0088】
変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800):変動時間を特定可能な演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を受信したか否か確認する。具体的には、変動パターンコマンドが受信されたことを示すフラグ(変動パターン受信フラグ)がセットされたか否か確認する。変動パターン受信フラグは、コマンド解析処理にて、変動パターン指定の演出制御コマンドが受信されたことが確認された場合にセットされる。変動パターン受信フラグがセットされていれば、表示制御プロセスフラグの値をリーチ予告処理に対応した値にする。
【0089】
リーチ予告処理(ステップS801):リーチ予告演出を行うか否か、及び、リーチ予告を行うことに決定した場合におけるリーチ予告演出の内容を決定する。決定したら、表示制御プロセスフラグの値を全図柄変動開始処理に対応した値にする。
【0090】
全図柄変動開始処理(ステップS802):左中右図柄の変動が開始されるように制御する。そして、表示制御プロセスフラグの値を図柄変動中処理に対応した値にする。
【0091】
図柄変動中処理(ステップS803):変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替えタイミングを制御するとともに、変動時間の終了を監視する。また、左右図柄の停止制御を行う。処理を終えると、表示制御プロセスフラグの値を全図柄停止待ち処理に対応した値にする。
【0092】
全図柄停止待ち設定処理(ステップS804):変動時間の終了時に、全図柄停止を指示する演出制御コマンドを受信していたら、図柄の変動を停止し停止図柄(確定図柄)を表示する制御を行う。そして、大当り表示態様とする場合には表示制御プロセスフラグの値を大当り表示処理に対応した値にし、はずれとする場合には表示制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理に対応した値にする。
【0093】
大当り表示処理(ステップS805):変動時間の終了後、確変大当り表示又は通常大当り表示の制御を行う。表示期間が終了すると、表示制御プロセスフラグの値を大当り遊技中処理に対応した値にする。
【0094】
大当り遊技中処理(ステップS806):大当り遊技中の制御を行う。例えば、大入賞口開放前表示や大入賞口開放時表示の演出制御コマンドを受信したら、ラウンド数の表示制御等を行う。大当り遊技中の制御を終えると、表示制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理に対応した値にする。
【0095】
図10は、変動パターンテーブル毎に設定されているプロセスデータの一構成例を示す説明図である。プロセスデータは、プロセスタイマ設定値と演出制御実行テーブルの組合せが複数集まったデータで構成されている。各演出制御実行テーブルには、それぞれ、可変表示演出9等の表示制御の変動パターンを構成する各変動態様が記載されている表示制御実行データと、ランプ・LED等の表示制御の変動パターンを構成する各変動態様が記載されているランプ制御実行データと、スピーカ27等の音声出力制御の変動パターンを構成する各変動態様が記載されている音制御実行データとが含まれている。また、プロセスタイマ設定値には、その変動態様での変動時間が設定されている。演出制御用CPU101は、プロセスデータを参照し、プロセスタイマ設定値に設定されている時間だけ演出制御実行テーブルに設定されている変動態様で図柄を変動表示させたり、発光体を点灯/消灯させたり、スピーカ27から音声出力させたりする制御を行う。
【0096】
図10に示すプロセスデータは、演出制御基板100におけるROMに格納されており、全図柄変動開始処理(ステップS802)にて、使用テーブルとして選択された変動パターンテーブルに設定されているプロセスデータに基づく可変表示装置6、ランプ・LED24及びスピーカ20L,20Rの制御が開始され、図柄変動中処理(ステップS803)にて、制御実行データに応じた制御が順次実行される。なお、プロセスデータは、各変動パターンのそれぞれに応じて用意されている。
【0097】
図11は、演出制御プロセス処理における図柄変動中処理(ステップS803)を示すフローチャートである。図柄変動中処理において、演出制御用CPU101は、プロセスタイマがタイムアウトしたら(ステップS861)、プロセスデータにおける演出制御実行データの切り替えを行う(ステップS862)。すなわち、プロセスデータにおいて、次に設定されているプロセスタイマをスタートさせるとともに(ステップS863)、次に設定されている表示制御実行データにもとづいてLCD制御を行う(ステップS864)。また、プロセスデータ中の次に設定されているランプ制御実行データにもとづいてランプ・LED制御を行う(ステップS865)。さらに、プロセスデータ中の次に設定されている音制御実行データにもとづいて音声出力制御を行う(ステップS866)。
【0098】
この実施の形態では、ステップS864にて、必要に応じて後述する復号化処理や動画再生処理を含む表示制御が実行される。すなわち、表示制御実行データの内容に従って、復号化処理や動画再生処理などが実行される。
【0099】
そして、変動時間タイマがタイムアウトしていたら(ステップS867)、特別図柄停止の表示制御コマンドの受信を監視するための監視タイマをスタートさせ(ステップS868)、演出制御プロセスフラグの値を全図柄停止待ち処理に対応した値にする(ステップS869)。
【0100】
図12は、遊技演出で使用される動画像データのデータ構造の一例を示す説明図である。この動画像データは、本例では、演出制御基板100が備えるROMに格納されている。遊技演出で使用される動画像データは、本例では、MPEG2と呼ばれる符号化技術によりデータ圧縮された状態で演出制御基板100が備えるCGROM83に格納されている。
【0101】
本例では、動画像データに基づく動画像演出が複数種類予め用意されている。すなわち、複数種類の動画像データが予め用意されてCGROM83に格納されている。なお、この例では、大当り遊技演出時に使用される動画像データ、リーチ演出時に使用される動画像データなど、使用される演出毎に区別されてCGROM83に格納されている。そして、例えば動画像演出を実行するときに、例えば乱数などを利用して使用する動画像データが選択され、選択された動画像データに基づく動画像演出が実行される。
【0102】
図12に示すように、動画像データは、シーケンスと呼ばれるストリームデータによって構成される。シーケンスは、画像の大きさを示す情報などのシーケンス全体に関連する情報が含まれているシーケンスヘッダで始まり、シーケンスエンドで終了する。このシーケンスは、例えば、動画像による1単位の遊技演出を実現するためのビデオプログラム全体の符号化データによって構成されている。すなわち、本例では、動画像による遊技演出の種類毎に予めシーケンスが用意され、動画像による遊技演出を実行するための動画像データは、1つのシーケンスによって構成されている。シーケンスは、MPEG2機能拡張情報と、少なくとも1つのGOP(Group Of Picture)とを含む。シーケンスに含まれているMPEG2機能拡張情報は、MPEG2に準拠した符号化データであることを示す情報などの各種の情報を含む。
【0103】
各GOPは、GOPヘッダと、Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャのうち少なくとも1つのピクチャとを含む。ここで、Iピクチャは、フレーム内符号化によって符号化されているピクチャである。Pピクチャは、過去のフレームのみを用いて前方向の動き補償予測を行うピクチャである。Bピクチャは、過去及び未来の両方のフレームを用いて双方向の動き補償予測を行うピクチャである。
【0104】
各ピクチャは、ピクチャヘッダと、MPEG2機能拡張情報と、少なくとも1つのスライスとを含む。ピクチャヘッダには、Iピクチャ、Pピクチャ、Bピクチャのいずれかを識別するための情報や、各ピクチャの表示順序を指定する情報などが含まれている。ピクチャに含まれているMPEG2機能拡張情報には、例えば、フレーム構造やフィールド構造を設定するための情報などが含まれる。スライスは、分割フレーム内符号化を実現するためにピクチャが細分化された1つの単位を意味する。
【0105】
各スライスは、スライス情報と、少なくとも1つのマクロブロックとを含む。スライス情報は、スライス内で使用される符号化情報が含まれている。符号化情報には、例えば、量子化特性を示す情報が該当する。
【0106】
各マクロブロックは、マクロブロック情報と、複数のブロックとを含む。1つのマクロブロックには、例えば、4個の輝度信号ブロックと、2個(Cr信号、Cb信号各1個)の色差信号ブロックとが含まれる。マクロブロック情報には、マクロブロック単位で符号化制御を行うための情報などが含まれる。各ブロックは、輝度信号、Cr信号、Cb信号のいずれかのDCT(離散コサイン変換)係数データ(離散コサイン変換によって得られる係数群)から構成される。なお、各ブロックは、EOB(End Of Block)コードで終了する。
【0107】
なお、本例では、各シーケンスは、再生時に表示されるキャラクタなどの表示物体が速い動きをする部分には、キーフレームとして用いられるIピクチャを多く用いるようにしている。また、各シーケンスは、再生時に表示されるキャラクタなどの表示物体の動きが少ない部分には、PピクチャやBピクチャを多く用いた構成とされている。特に表示物体の動きがない部分や、動きが特に少ない部分には、最もデータ量の少ないBピクチャを多く用いた構成とされている。
【0108】
上記のように、表示物体の動きが速い部分にはキーフレームデータ(例えばIピクチャデータ)を多く用いて動画像データを構成しているので、動きの速い物体が表示される動画像によって演出を行う場合であっても、情報の欠落がほとんどない良好な画像品質の画像を復号化によって得ることができ、そのような良質の画像によって動画像演出を行うことができる。よって、表示物体の動きが速い部分の画像品質を向上させることができる。
【0109】
また、上記のように、表示物体の動きが遅い部分には前方向予測符号化フレームデータ(例えばPピクチャデータ)や双方向予測符号化フレームデータ(例えばBピクチャデータ)を多く用いて動画像データを構成しているので、画像品質を劣化させることなく、動画像データのデータ量を削減することができる。このような効果は、データ圧縮率が向上するので、動画像データによって再生される動画像における表示物体の動きが速い部分が少ないほど著しい。
【0110】
つまり、上記のように、表示物体の動きが速い部分にはキーフレームデータを多く用い、表示物体の動きが遅い部分には前方向予測符号化フレームデータや双方向予測符号化フレームデータを多く用いるようにして動画像データを作成しているので、全体としての画像品質を向上させることができるとともに、動画像データのデータ総量を低減させることができるようになる。
【0111】
次に、演出制御基板100に搭載されているGCL81の機能について説明する。GCL81は、演出制御用CPU101からの指示に従って、動画像データを用いた動画像による各種の演出を実行する機能を有している。
【0112】
図13は、GCL81が実行する復号化処理の例を示すフローチャートである。復号化処理において、GCL81は、まず、後述するフェードインフラグとフェードアウトフラグがともにオンでなければ(ステップS201のN)、CGROM86に格納されている演出に使用する動画像データ(シーケンス)からピクチャを示すピクチャデータを読み出す(ステップS202)。ピクチャデータは、動画像データにて配列されている順番に従って再生することができるような順番で読み出される。なお、再生される順番と復号化される順番は必ずしも一致しない。例えば、Bピクチャは、その後に配されているIピクチャ又はPピクチャを復号化したあとに復号化される。
【0113】
読み出したピクチャデータがフェードイン対象ピクチャであれば(ステップS203のY)、GCL81は、フェードインフラグをオン状態とし(ステップS204)、動画圧縮・伸張部89を制御して読み出したピクチャデータを復号化して(ステップS205)、復号化したピクチャデータをフレーム単位で所定のフェードイン対象静止画像格納エリアに格納する(ステップS206)。なお、復号化を行うときには、動画圧縮・伸張部89は、対象となるピクチャデータがIピクチャデータであるか、Pピクチャデータであるか、Bピクチャデータであるかに応じた復号化処理を実行する。
【0114】
フェードイン対象ピクチャとは、フェードイン処理に用いるピクチャとして予め定められているピクチャを意味する。フェードイン対象ピクチャであるか否かを示す情報は、各ピクチャのMPEG2機能拡張情報に格納されている。従って、GCL81は、各ピクチャのMPEG2機能拡張情報を確認することで、読み出したピクチャがフェードイン対象ピクチャであるか否かを判定することができる。
【0115】
フェードインフラグは、例えば、演出制御基板100が備えるRAM103の所定の領域に設けられており、フェードイン処理を実行するか否かの判定に用いられるフラグである。
【0116】
フェードイン対象静止画像格納エリアは、フェードイン対象静止画像であるフェードイン対象ピクチャをフレーム単位で格納するために、例えばSDRAM84の所定の領域に設けられている。
【0117】
ステップS202にて読み出したピクチャデータがフェードアウト対象ピクチャであれば(ステップS207のY)、GCL81は、フェードアウトフラグをオン状態とし(ステップS208)、動画圧縮・伸張部89を制御して読み出したピクチャデータを復号化して(ステップS209)、復号化したピクチャデータをフレーム単位で所定のフェードアウト対象静止画像格納エリアに格納する(ステップS210)。
【0118】
フェードアウト対象ピクチャとは、フェードアウト処理に用いるピクチャとして予め定められているピクチャを意味する。フェードアウト対象ピクチャであるか否かを示す情報は、各ピクチャのMPEG2機能拡張情報に格納されている。従って、GCL81は、各ピクチャのMPEG2機能拡張情報を確認することで、読み出したピクチャがフェードアウト対象ピクチャであるか否かを判定することができる。
【0119】
フェードアウトフラグは、例えば、演出制御基板100が備えるRAM103の所定の領域に設けられており、フェードアウト処理を実行するか否かの判定に用いられるフラグである。
【0120】
フェードアウト対象静止画像格納エリアは、フェードアウト対象静止画像であるフェードアウト対象ピクチャをフレーム単位で格納するために、例えばSDRAM84の所定の領域に設けられている。
【0121】
ステップS202にて読み出したピクチャデータがフェードイン対象ピクチャでもフェードアウト対象ピクチャでもなければ(ステップS207のN)、GCL81は、動画圧縮・伸張部89を制御して読み出したピクチャデータを復号化し(ステップS211)、展開領域指定ポインタが指す画像メモリの展開領域に、復号化したピクチャデータをフレーム単位で展開する(ステップS212)。そして、GCL81は、展開領域指定ポインタが次に使用される展開領域を指すようにしておくために、展開領域指定ポインタの値を更新する(ステップS213)。
【0122】
なお、画像メモリは、再生に用いる画像データをフレーム単位で展開するために、例えばSDRAM84の所定の領域に設けられている。画像メモリには、フレーム単位で画像データを展開するための展開領域が複数設けられている。展開領域指定ポインタは、例えばSDRAM84の所定の領域に設けられ、復号化した画像データを展開する展開領域を指すポインタである。例えば、画像メモリに展開領域0から展開領域11までの12個の展開領域が設けられている場合には、展開領域指定ポインタは、0〜11までの範囲の値をとる。そして、ステップS213にて、展開領域指定ポインタの値が、復号化された画像データが再生される順番で画像メモリに展開されるような値に更新される。そして、GCL81によって、次回の復号化処理のステップS212にて、展開領域指定ポインタの値と同一の値が設定されている展開領域が画像データを展開する領域として選択される。
【0123】
具体的には、例えばIピクチャ、B1ピクチャ、B2ピクチャ、Pピクチャの順番で再生される場合には、Iピクチャ、Pピクチャ、B1ピクチャ、B2ピクチャの順番で復号化されることになる。この場合、Iピクチャの画像データを画像メモリに展開したあと展開領域指定ポインタの値を3加算し、加算後の展開領域指定ポインタが指す展開領域にPピクチャの画像データを展開したあと展開領域指定ポインタの値を2減算し、減算後の展開領域指定ポインタが指す展開領域にB1ピクチャの画像データを展開したあと展開領域指定ポインタの値を1加算し、加算後の展開領域指定ポインタが指す展開領域にB2ピクチャの画像データを展開したあと展開領域指定ポインタの値を次に復号化されるピクチャに応じて更新するようにすればよい。なお、展開領域指定ポインタの値が12となった場合には0に戻される。
【0124】
図14は、GCL81が実行する動画再生処理の例を示すフローチャートである。動画再生処理において、GCL81は、フェードインフラグがオン状態であれば(ステップS221のY)、後述するフェードイン処理を実行する(ステップS222)。また、フェードアウトフラグがオン状態であれば(ステップS223のY)、後述するフェードアウト処理を実行する(ステップS224)。
【0125】
フェードインフラグ及びフェードアウトフラグがともにオン状態でなければ(ステップS223のN)、GCL81は、再生領域指定ポインタが指す画像メモリの展開領域に展開されているフレームデータを用いてLCD6に画像を表示する(ステップS225)。そして、GCL81は、再生領域指定ポインタが次に使用される展開領域を指すようにしておくために、再生領域指定ポインタの値を更新する(ステップS226)。
【0126】
再生領域指定ポインタは、例えばSDRAM84の所定の領域に設けられ、動画再生を行うために次に用いられる画像データが展開されている展開領域を指すポインタである。例えば、画像メモリに展開領域0から展開領域11までの12個の展開領域が設けられている場合には、再生領域指定ポインタは、0〜11までの範囲の値をとり、ステップS226にて再生領域指定ポインタの値が1加算されるように構成される。なお、再生領域指定ポインタの値が12となった場合には0に戻される。そして、GCL81によって、ステップS225にて、再生領域指定ポインタの値と同一の値が設定されている展開領域が、動画再生のために次に使用する画像データが格納されている領域として選択される。
【0127】
なお、上述した動画再生処理は、例えば、上述した復号化処理のあとに続けて実行される。ただし、画像データが復号化される順番と再生される順番が異なるので、動画再生処理よりも復号化処理が少なくとも数回分先行して実行される必要がある。この復号化処理及び動画再生処理は、動画像による遊技演出が行われるときに呼び出されて繰り返し実行される。具体的には、上述した図柄変動中処理のステップS864にて繰り返し(例えば2ms毎に)呼び出されて実行される。復号化処理及び動画再生処理が繰り返し実行されることで、LCD6の画面上に、圧縮されている動画像データに基づく動画像が表示され、遊技演出が実行される。
【0128】
次に、演出制御手段によるフェードイン処理について説明する。図15は、GCL81が実行するフェードイン処理の例を示すフローチャートである。フェードイン処理は、例えば、静止画像による演出と動画像による演出とが切り替わるときに実行される。ここでは、フェードイン処理として、静止画像による演出が終了して動画像による演出に切り替わる際に、フェードイン対象静止画像の透明度(透過度)を徐々に低下させていくようにして、フェードイン対象静止画像が徐々にはっきりと表れるようにするための処理が実行される。なお、フェードイン対象静止画像には、例えば、演出に用いられる動画像のうち最初に表示される画像とされる。この場合、シーケンスにおいて最初に再生されるピクチャがフェードイン対象静止画像とされる。
【0129】
フェードイン処理において、GCL81は、フェードイン対象静止画像格納エリアに格納されているフェードイン対象静止画像の画像データを読み出すとともに、中間画像として予め定められている画像データを読み出す(ステップS231)。中間画像には、例えば、青や白などの単一色の背景画像が用いられる。
【0130】
次いで、GCL81は、透明化演算処理を実行することによってフェードイン画像を作成する(ステップS232)。透明化演算処理として、本例では、図16に示すような演算を行う。透明化演算処理では、フェードイン対象静止画像における各ピクセルデータ(各ピクセルの表示色を特定するためのR,G,Bデータ)のそれぞれについて、表示位置が同一となる中間画像における各ピクセルデータを用いた演算処理が行われる。具体的には、透明化演算処理は、図16に示すように、該当する中間画像のピクセルデータが示す値とフェードイン対象静止画像のピクセルデータが示す値との差を99で割り、その値とNとを乗算した値にフェードイン対象静止画像のピクセルデータが示す値を加算する。透明化演算処理によって得られた各ピクセルデータは、フェードイン画像のピクセルデータとして用いられる。例えば、ある表示位置における中間画像のピクセルデータが(R,G,B=240,160,160)で、同じ位置のフェードイン対象静止画像のピクセルデータが(R,G,B=180,130,130)であり、N=33であった場合には、その位置のフェードイン画像のピクセルデータは(R,G,B=200,140,140)となる。なお、演算結果が整数にならない場合には、小数点以下を切り捨てるなどの処理を行うことによって整数になるようにすればよい。
【0131】
なお、図16に示す「N」は、フェードイン画像の透明度を特定するための値であり、本例では100段階に透明度を異ならせることができるように、0から99までの整数をとるようにしている。この例では、「N」が「0」であるときにフェードイン画像がフェードイン対象静止画像と同一となり(すなわち、透明度が0%となる)、「N」が「99」であるときにフェードイン画像が中間画像と同一となる(すなわち、透明度が100%となる)。さらに具体的には、この例では、透明化演算処理に用いる図16に示す数式の「N」を「99」から「0」にかけて順次減算していくと、演算結果により得られるフェードイン画像は、中間画像がフェードイン対象静止画像に徐々に近づいていくようになる。なお、この例では、透明度を100段階にしているが、他の複数段階とするようにしてもよい。その場合、「N」の取り得る値を変更(200段階であれは0から199を取るようにすればよい)するとともに、その値に合わせて図16に示す分母の「99」を変更(200段階であれば「199」に変更すればよい)するようにすればよい。
【0132】
また、図16に示す透明化演算処理に用いられる数式は、フェードイン対象静止画像のピクセルデータが示す値が中間画像のピクセルデータが示す値よりも小さい場合に用いられる式であり、フェードイン対象静止画像のピクセルデータが示す値が中間画像のピクセルデータが示す値よりも大きい場合には、図16に示す数式の「+」を「−」にするとともに、分数で表されている部分の分子の各項を入れ替えた数式を用いるようにすればよい。すなわち、該当するフェードイン対象静止画像のピクセルデータが示す値と中間画像のピクセルデータが示す値との差を99で割り、その値とNとを乗算した値をフェードイン対象静止画像のピクセルデータが示す値から減算するようにすればよい。
【0133】
この例では、フェードイン処理での透明化演算処理を、図16に示した数式等を用いることで行うようにしているが、他の演算処理を行うようにしてもよい。図16に示す数式を用いると、Nの値を小さくしていくに連れて、中間画像から直線的にフェードイン対象静止画像に近づいていくようなフェードイン画像が得られるようになるが、例えば、中間画像から曲線的にフェードイン対象静止画像に近づいていくようなフェードイン画像が得られるような数式を用いるようにしてもよい。
【0134】
透明化演算処理によってフェードイン画像を作成すると、GCL81は、作成したフェードイン画像をLCD6に表示させる処理を実行する(ステップS233)。
【0135】
そして、GCL81は、図16に示す数式のNの値を確認し(ステップS234)、Nの値が0でなければ、次のタイミングで実行されるフェードイン処理によってフェードイン対象静止画像の透明度をさらに低下させるためにNの値を1減算した値に更新する(ステップS235)。一方、Nの値が0となっていれば、全く透明化されていない完全な状態でフェードイン対象静止画像がはっきりと表示された状態となっており、そのフェードイン対象静止画像を徐々に出現させていく一連のフェードイン処理が終了しているので、次回の一連のフェードイン処理を実行するときのために、Nの値を初期値である「99」に更新しておく(ステップS236)。さらに、一連のフェードイン処理が終了したので、フェードインフラグをオフ状態とする(ステップS237)。
なお、ステップS237にてフェードインフラグがオフ状態とされると、動画再生処理におけるステップS221にてNと判定され、ステップS225での表示処理が実行されるようになる。すなわち、フェードイン表示が終了したあとに、フェードイン表示によって出現した画像から、動画再生による表示演出が開始されることとなる。
【0136】
なお、上述したフェードイン処理は、例えば、演出制御プロセス処理内における図柄変動中処理にてコールされる。具体的には、図柄変動中処理にてコールされた動画再生処理内でコールされる。フェードイン処理が開始される所定のタイミングで最初にコールされ、その後は、所定期間毎(例えば、2ms毎)に所定回数(例えば、初回を入れて100回)繰り返しコールされる。繰り返しコールされる度に減算されたNの値を用いた透明化演算処理が実行されるので、フェードイン処理が繰り返し実行されることで、フェードイン対象静止画像の透明度が徐々に低下していくフェードイン表示がなされることになる。例えば、可変表示演出中に動画像による演出を開始するときに、フェードイン処理によって、フェードイン対象静止画像とされている動画像における最初の画像が徐々に出現してくるような表示がなされる。そして、最終的に、フェードイン対象静止画像が、透明度の低下していない完全な状態で表示される。その後、フェードイン対象静止画像を最初の画像とする動画像の再生が実行される。なお、繰り返し実行される一連のフェードイン処理を「フェードイン処理」という場合がある。
【0137】
図17は、フェードイン処理が実行されているときにおけるLCD6の表示状態の例を示す説明図である。ここでは、大当り遊技状態中の遊技演出において、フェードイン処理が実行された場合を例に説明する。また、この例では、フェードイン対象静止画像として、動画像演出に用いられる動画像における最初の画像である人物の画像が用いられ、中間画像として、例えば白の単一色の画像が用いられる。
【0138】
フェードイン画像による演出を実行する場合には、静止画像による表示演出が終了したあと、図17(A)に示すようにLCD6に中間画像が表示し、フェードイン処理が開始される。フェードイン処理が開始されると、中間画像から図17(B)に示すようにフェードイン対象静止画像が現れてきて、図17(C)に示すように徐々にはっきりと表示されていくフェードイン画像が表示される。そして、最終的には、図17(D)に示すように、フェードイン画像として、全く透明化されていない完全に不透明化された状態で人物の画像が表示される。なお、図17(A)に示すフェードイン画像は上述した透明化演算処理がN=99で実行されたことにより得られた画像であり、図17(B)は透明化演算処理が例えばN=66で実行されたことにより得られた画像であり、図17(C)は透明化演算処理が例えばN=33で実行されたことにより得られた画像であり、図17(D)は透明化演算処理が例えばN=0で実行されたことにより得られた画像である。
【0139】
図17(D)に示す不透明化された状態で人物の画像が表示されてフェードイン処理が終了すると、本例では、最終的に表示されているフェードイン画像を初期画像とする動画像による演出が開始される。すなわち、例えば、不透明化された状態で表示されている人物が動き出して各種の動作を行うような動画像がLCD6に表示される。
【0140】
上記のように、動画像データに含まれている1フレーム分の画像データを用いてフェードイン表示を行う構成としたことで、動画像データのデータ量を増大させることなく、フェードイン表示を行うことができる。よって、動画像データの格納領域の必要容量を抑えることができる。また、動画像データのデータ量が増大してしまうようなことがないため、フェードイン表示の実行期間を短くする必要がなくなり、演出期間が十分に確保されているフェードイン表示を行うことができる。よって、フェードイン表示を円滑に行うことができる。
【0141】
また、上述したように、フェードイン処理にて、所定の中間画像を介して段階的に画像を出現させるように構成されているので、徐々に画像が現れてくる様子を容易に視認することができるようなフェードイン表示を行うことができる。
【0142】
次に、演出制御手段によるフェードアウト処理について説明する。図18は、GCL81が実行するフェードアウト処理の例を示すフローチャートである。フェードアウト処理は、例えば、静止画像による演出と動画像による演出とが切り替わるときに実行される。ここでは、フェードアウト処理として、動画像による演出が終了して静止画像による演出に切り替わる際に、フェードアウト対象静止画像の透明度を徐々に高めていくようにして、フェードアウト対象静止画像が徐々に消失していくようにするための処理が実行される。なお、フェードアウト対象静止画像には、例えば、演出に用いられる動画像のうち最後に表示される画像とされる。この場合、シーケンスにおいて最後に再生されるピクチャがフェードアウト対象静止画像とされる。
【0143】
フェードアウト処理において、GCL81は、フェードアウト対象静止画像格納エリアに格納されているフェードアウト対象静止画像の画像データを読み出すとともに、中間画像として予め定められている画像データを読み出す(ステップS241)。中間画像には、例えば、青や白などの単一色の背景画像が用いられる。
【0144】
次いで、GCL81は、透明化演算処理を実行することによってフェードアウト画像を作成する(ステップS242)。透明化演算処理として、本例では、図19に示すような演算を行う。透明化演算処理では、フェードアウト対象静止画像における各ピクセルデータ(各ピクセルの表示色を特定するためのR,G,Bデータ)のそれぞれについて、表示位置が同一となる中間画像における各ピクセルデータを用いた演算処理が行われる。具体的には、透明化演算処理は、図19に示すように、該当する中間画像のピクセルデータが示す値とフェードアウト対象静止画像のピクセルデータが示す値との差を99で割り、その値とMとを乗算した値にフェードアウト対象静止画像のピクセルデータが示す値を加算する。透明化演算処理によって得られた各ピクセルデータは、フェードアウト画像のピクセルデータとして用いられる。例えば、ある表示位置における中間画像のピクセルデータが(R,G,B=240,160,160)で、同じ位置のフェードアウト対象静止画像のピクセルデータが(R,G,B=180,130,130)であり、M=66であった場合には、その位置のフェードアウト画像のピクセルデータは(R,G,B=220,150,150)となる。なお、演算結果が整数にならない場合には、小数点以下を切り捨てるなどの処理を行うことによって整数になるようにすればよい。
【0145】
なお、図19に示す「M」は、フェードアウト画像の透明度を特定するための値であり、本例では100段階に透明度を異ならせることができるように、0から99までの整数をとるようにしている。この例では、「M」が「0」であるときにフェードアウト画像がフェードアウト対象静止画像と同一となり(すなわち、透明度が0%となる)、「M」が「99」であるときにフェードアウト画像が中間画像と同一となる(すなわち、透明度が100%となる)。さらに具体的には、この例では、透明化演算処理に用いる図19に示す数式の「M」を「0」から「99」にかけて順次加算していくと、演算結果により得られるフェードアウト画像は、フェードアウト対象静止画像が中間画像に徐々に近づいていくようになる。なお、この例では、透明度を100段階にしているが、他の複数段階とするようにしてもよい。その場合、「M」の取り得る値を変更(200段階であれは0から199を取るようにすればよい)するとともに、その値に合わせて図19に示す分母の「99」を変更(200段階であれば「199」に変更すればよい)するようにすればよい。
【0146】
また、図19に示す透明化演算処理に用いられる数式は、フェードアウト対象静止画像のピクセルデータが示す値が中間画像のピクセルデータが示す値よりも小さい場合に用いられる式であり、フェードアウト対象静止画像のピクセルデータが示す値が中間画像のピクセルデータが示す値よりも大きい場合には、図19に示す数式の「+」を「−」にするとともに、分数で表されている部分の分子の各項を入れ替えた数式を用いるようにすればよい。すなわち、該当するフェードアウト対象静止画像のピクセルデータが示す値と中間画像のピクセルデータが示す値との差を99で割り、その値とMとを乗算した値をフェードアウト対象静止画像のピクセルデータが示す値から減算するようにすればよい。
【0147】
この例では、フェードアウト処理での透明化演算処理を、図19に示した数式等を用いることで行うようにしているが、他の演算処理を行うようにしてもよい。図19に示す数式を用いると、Mの値を大きくしていくに連れて、フェードアウト対象静止画像から直線的に中間画像に近づいていくようなフェードアウト画像が得られるようになるが、例えば、フェードアウト対象静止画像から曲線的に中間画像に近づいていくようなフェードアウト画像が得られるような数式を用いるようにしてもよい。
【0148】
透明化演算処理によってフェードアウト画像を作成すると、GCL81は、作成したフェードアウト画像をLCD6に表示させる処理を実行する(ステップS243)。
なお、この例では、フェードアウト対象静止画像として例えば演出に用いられる動画像のうち最後に表示される画像が用いられる。この場合、動画再生による表示演出が終了するときに、その表示演出において最後に表示される画像が、ステップS243にて段階的に透明度が高められながら繰り返し表示され、消失していくような表示がなされることになる。
【0149】
そして、GCL81は、図19に示す数式のMの値を確認し(ステップS244)、Mの値が99でなければ、次のタイミングで実行されるフェードアウト処理によってフェードアウト対象静止画像の透明度をさらに高めるためにMの値を1加算した値に更新する(ステップS245)。一方、Mの値が99となっていれば、完全に透明化されてフェードアウト対象静止画像による画像が消失した状態となっており、そのフェードアウト対象静止画像を徐々に消失させていく一連のフェードアウト処理が終了しているので、次回の一連のフェードアウト処理を実行するときのために、Mの値を初期値である「0」に更新しておく(ステップS246)。さらに、一連のフェードアウト処理が終了したので、フェードアウトフラグをオフ状態とする(ステップS247)。
【0150】
なお、上述したフェードアウト処理は、例えば、演出制御プロセス処理内における図柄変動中処理にてコールされる。具体的には、図柄変動中処理にてコールされた動画再生処理内でコールされる。フェードアウト処理が開始される所定のタイミングで最初にコールされ、その後は、所定期間毎(例えば、2ms毎)に所定回数(例えば、初回を入れて100回)繰り返しコールされる。繰り返しコールされる度に加算されたMの値を用いた透明化演算処理が実行されるので、フェードアウト処理が繰り返し実行されることで、フェードアウト対象静止画像の透明度が徐々に高められていくフェードアウト表示がなされることになる。例えば、可変表示演出中に動画像による演出が実行され、その動画像による演出が終了するときに、フェードアウト処理によって、フェードアウト対象静止画像とされている動画像における最後の画像が徐々に消失しているような表示がなされる。そして、最終的に、フェードアウト対象静止画像が完全に透明化され、中間画像が表示された状態となる。すると、動画像による遊技演出が終了し、例えば、静止画像による演出が開始される。なお、繰り返し実行される一連のフェードアウト処理を「フェードアウト処理」という場合がある。
【0151】
図20は、フェードアウト処理が実行されているときにおけるLCD6の表示状態の例を示す説明図である。ここでは、大当り遊技状態中の遊技演出において、フェードアウト処理が実行された場合を例に説明する。また、この例では、フェードアウト対象静止画像として、動画像演出に用いられる動画像における最後の画像である人物の画像が用いられ、中間画像として、例えば白の単一色の画像が用いられる。
【0152】
フェードアウト画像による演出を実行する場合には、図20(A)に示すように、再生されていた動画像の最後の画像が表示されたときに、フェードアウト処理が開始される。フェードアウト処理が開始すると、図20(B)に示すようにフェードアウト対象静止画像が徐々にぼやけてきて、図20(C)に示すように徐々に視認しにくい状態となっていく表示状態とされていくようなフェードアウト画像が表示される。そして、最終的には、図20(D)に示すように、フェードアウト画像として、完全に透明化されて人物の画像が消失した状態の画像であって、中間画像と同一の画像が表示される。なお、図20(A)に示すフェードアウト画像は上述した透明化演算処理がM=0で実行されたことにより得られた画像であり、図20(B)は透明化演算処理が例えばM=33で実行されたことにより得られた画像であり、図20(C)は透明化演算処理が例えばM=66で実行されたことにより得られた画像であり、図20(D)は透明化演算処理が例えばM=99で実行されたことにより得られた画像である。
【0153】
図20(D)に示す中間画像と同一のフェードアウト画像が表示されてフェードアウト処理が終了すると、例えば静止画像による演出など、ごの後の演出が開始される。なお、フェードアウト処理が終了したことによって演出が終了するようにしてもよい。
【0154】
上記のように、動画像データに含まれている1フレーム分の画像データを用いてフェードアウト表示を行う構成としたことで、動画像データのデータ量を増大させることなく、フェードアウト表示を行うことができる。よって、動画像データの格納領域の必要容量を抑えることができる。また、動画像データのデータ量が増大してしまうようなことがないため、フェードアウト表示の実行期間を短くする必要がなくなり、演出期間が十分に確保されているフェードアウト表示を行うことができる。よって、フェードアウト表示を円滑に行うことができる。
【0155】
また、上述したように、フェードアウト処理にて、段階的に画像を消滅させて所定の中間画像を表示させるように構成されているので、徐々に画像が消失していく様子を容易に視認することができるようなフェードアウト表示を行うことができる。
【0156】
なお、上述した実施の形態では、静止画像による演出から動画像による演出に切り替えるときにフェードイン表示を行う構成としていたが、逆に、動画像による演出から静止画像による演出に切り替えるときに、静止画像を徐々に出現させるフェードイン表示を行う構成としてもよい。
【0157】
また、上述した実施の形態では、動画像による演出から静止画像による演出に切り替えるときにフェードアウト表示を行う構成としていたが、逆に、静止画像による演出から動画像による演出に切り替えるときに静止画像を徐々に消失させるフェードアウト表示を行う構成としてもよい。
【0158】
図21は、この実施の形態で使用されるリーチ演出の演出態様の例を示す説明図である。図21に示すように、この例では、リーチ演出としてリーチ演出1〜リーチ演出3の3種類のリーチ演出が予め用意されている。リーチ演出1は、リーチ部分演出Aを実行することによって行われる。リーチ演出2は、リーチ演出1の発展形であり、リーチ部分演出Aのあとにリーチ部分演出Bを実行することによって行われる。リーチ演出3は、リーチ演出2の発展形であり、リーチ部分演出Aおよびリーチ部分演出Bを実行したあとに、リーチ部分演出Cを実行することによって行われる。例えば、リーチ演出1、リーチ演出2、リーチ演出3の順番で、リーチ演出の出現に対する大当り発生確率が高くなるように構成される。具体的には、例えば、リーチ演出3が出現したときには、大当りとなる確率が他のリーチ演出の出現時と比較して高くなるように構成されている。
【0159】
リーチ部分演出Aは、特別図柄の表示状態がリーチ態様(左右図柄が同じ図柄で揃った状態)となったあとに、リーチ態様を維持したまま最後に停止する特別図柄(中図柄)を通常の速さで回転させる演出である。すなわち、リーチ部分演出Aは、遊技者の期待を高めるような特殊な演出ではなく、いわゆるノーマルリーチと呼ばれる通常のリーチ演出である。
【0160】
リーチ部分演出Bは、リーチ部分演出Aにてリーチ態様を維持したまま最後に停止する特別図柄(中図柄)が通常の速さで回転しているときに、その特別図柄を高速回転させる演出である。すなわち、リーチ部分演出Bは、遊技者の期待を高めるために、最終停止図柄である中図柄を高速回転させる演出である。なお、リーチ部分演出Bは、遊技者の期待を高めるために特別図柄の回転態様を変化させたものであれば、どのような演出であってもよく、例えば中図柄を低速回転させるものであっても、いわゆるすべり演出(通常速度での回転時に数図柄分高速回転を行うことによって実行される演出)や戻り演出(図柄の停止位置を過ぎたあとに逆回転して図柄が停止位置に戻ってくるような表示による演出)、あるいは特別図柄の形状や寸法が変化するような演出であってもよい。
【0161】
リーチ部分演出Cは、動画像データにもとづく動画像を用いた演出である。具体的には、リーチ部分演出Cにて、例えば、人物や動物などのキャラクタが出現して動作を行う動画像がLCD6上に再生表示される。この例では、リーチ部分演出Cにて出現するキャラクタは、特別図柄の変動状態と同期した動作を行う。例えば、リーチ表示態様にて、所定の停止位置に到達した中図柄をキャラクタが蹴り飛ばすことによって、次の中図柄が表示されるような演出表示がなされる。すなわち、リーチ部分演出Cでの動画像を再生表示するための動画像データは、登場キャラクタが特別図柄の変動状態と同期して動作するようにあらかじめ作成されている。
【0162】
図22、図23は、リーチ演出3によるリーチ演出が実行されたときの可変表示装置6の表示状態の例を示す説明図である。可変表示の開始タイミングになると、図22(A)に示すような前回の可変表示結果を示す左中右図柄a,b,cが回転を開始し、図22(B)に示すように左中右図柄a,b,cが高速回転された状態となる。所定期間高速回転が行われ、左図柄aが数図柄分低速回転されたあと、左図柄aの仮停止タイミングになると、図22(C)に示すように左図柄aが仮停止状態となる。なお、仮停止状態とは、停止図柄が確定する前の段階で仮停止している状態をいい、例えば図柄の回転はしていないが上下あるいは左右に揺れた変動を行っている揺れ変動状態を意味する。
【0163】
次いで、右図柄cが数図柄分低速回転されたあと、右図柄cの仮停止タイミングになると、図22(D)に示すように右図柄cが仮停止状態となる。この例では、図22(D)に示すように、左右図柄a,cがともに「7」で仮停止したリーチ表示となっている。図22(D)に示すようなリーチ表示状態となったあと、この例ではリーチ演出3が実行される。
【0164】
先ず、リーチ演出3におけるリーチ部分演出Aが実行される。リーチ部分演出Aにおいて、図22(E)に示すようなリーチ状態となったことを報知するための「リーチ」という表示Xがなされ、中図柄が数図柄分低速回転されたあと、中図柄の仮停止タイミングになると、図22(F)に示すように中図柄が仮停止状態となる。図22(F)に示すような中図柄bの仮停止状態となったときに、リーチ部分演出Aが終了する。
【0165】
リーチ部分演出Aが終了すると、リーチ演出3におけるリーチ部分演出Bが実行される。リーチ部分演出Bにおいて、図22(G)に示すような高速回転によるリーチ演出を実行することを報知するための「高速リーチ」という表示Yがなされ、中図柄bの高速回転を所定期間行ったあと、中図柄bの仮停止タイミングになると、図22(H)に示すように中図柄bが仮停止状態となる。図22(H)に示すような中図柄bの仮停止状態となったときに、リーチ部分演出Bが終了する。
【0166】
リーチ部分演出Bが終了すると、リーチ演出3におけるリーチ部分演出Cが実行される。リーチ部分演出Cにおいて、図23(I)に示すように、リーチ部分演出Bよりもさらに発展したリーチ部分演出を実行することを報知するための「スペシャルリーチ」という表示Zがなされるとともに、仮停止中の左右図柄a,cが縮小されて画面下方に移動され、さらに中図柄bが高速回転を開始する。次いで、動画像データにもとづく動画像表示が開始され、フェードイン処理が実行されることによって、図23(J)に示すように、キャラクタMCが徐々に表れてくるフェードイン表示がなされる。フェードイン表示が終了して図23(K)に示すようにキャラクタMCが完全に表示されたあと、中図柄bの仮停止タイミングになると、中図柄bが仮停止状態となる。すると、中図柄bの仮停止状態において、図23(L)に示すように、キャラクタMCがハンマーを振り下ろす動画像表示が実行される。この例では、仮停止中の中図柄bが位置する場所とハンマーを振り下ろす場所とが一致するように、キャラクタMCを動画表示するための動画像データが作成されているので、可変表示装置6の表示画面において、キャラクタMCがハンマーを振り下ろして仮停止中の中図柄bを叩いたような演出表示が実現される。
【0167】
次いで、仮停止中の中図柄bが画面外に消失し、図23(M)に示すように、消失した図柄の次に表示される中図柄(この例では「7」)bが画面上方から降りてくる表示がなされる。図23(N)に示すように、画面上方から降りてきた中図柄bが仮停止状態となったときに、動画像データにもとづいてキャラクタMCが右手を挙げたポーズをとるような動作を行う動画像が表示される。そして、フェードアウト処理が実行されることによって、図23(O)に示すように、キャラクタMCが徐々に消失していくフェードアウト表示がなされる。フェードアウト表示が終了してキャラクタMCが完全に消失すると、動画像データにもとづく動画像演出が終了するとともに、図23(P)に示すように左中右図柄a,b,cが確定表示される。左中右図柄a,b,cが確定表示されたときにリーチ部分演出Cが終了し、リーチ演出3が完了したことになる。
【0168】
上記のように、リーチ部分演出Cにおける動画像データにもとづく動画像表示と、特別図柄とが、可変表示装置6上に同期して表示されるように構成されている。従って、各特別図柄を含んだ動画像を再生させるための動画像データを作成しておく必要なく、動画像表示によるキャラクタを特別図柄の変動に対応させて動作させることができ、動画像データの容量を削減することができる。従って、動画像データを格納する記憶媒体の必要容量を削減することができる。
【0169】
また、上記のように、リーチ部分演出A、リーチ部分演出B、リーチ部分演出Cと、徐々に演出内容を発展させるように構成されているので、動画像表示の出現によって遊技者に大当りへの大きな期待を持たせることができるようになり、遊技の興趣を向上させることができる。
【0170】
図24は、本発明の概要を示す概念図である。遊技機は、識別情報の可変表示を行うとともに遊技演出に用いられる画像を表示する画像表示装置6Aと、動き補償予測符号化による圧縮データを含む動画像データを格納する圧縮データ格納手段83aと、圧縮データ格納手段83aに格納されている動画像データを伸張するデータ伸張手段89aと、識別情報の表示態様がリーチ態様となったときに実行されるリーチ演出として、複数のリーチ区間演出を連続的に順次切り替えて実行することで演出内容が段階的に発展するリーチ演出を実行するリーチ演出実行手段101aとを備える。また、リーチ演出実行手段101aは、データ伸張手段89aにより伸張された動画像データに基づいて生成される画像を画像表示装置6Aに順次表示させることによって動画再生を行い、リーチ演出における複数のリーチ区間演出のうちの一部のリーチ区間演出を動画再生によって行うデータ再生手段101bと、段階的に画像を出現させるフェードイン処理を行うことで画像表示装置6A上の表示画像の切替表示としてデータ再生手段101bによる動画再生を含まない第1のリーチ区間演出からデータ再生手段101bによる動画再生を含む第2のリーチ区間演出への切替表示を実行させるフェードイン切替表示手段とを含む。さらに、フェードイン切替表示手段101cは、データ再生手段101bによる動画再生の再生開始時に使用されるフレームデータから透過度を段階的に高めていった複数のフェードイン画像を生成するフェードイン画像生成手段101dと、フェードイン画像生成手段により生成された各フェードイン画像を、透過度が最も高められているフェードイン画像から、透過度がより低いフェードイン画像に順次移行させ、最終的にフレームデータの画像を表示させることによってフェードイン処理を実行するフェードイン処理手段101eと、フェードイン処理手段によるフェードイン処理が完了したあと、フェードイン処理の完了時に表示されているフレームデータの画像からデータ再生手段101bに動画再生を開始させる動画再生開始手段101fとを含む。
【0171】
以上説明したように、動画像データを用いてリーチ演出を行うときには、リーチ演出の一部を動画像データを用いて行うようにしたので、リーチ演出の全部を動画像データにもとづいて行う場合と比較して、リーチ演出における動画像データにもとづく演出の演出期間を減らすことができ、圧縮データを含む動画像データを用いた動画再生のための制御負担を軽減することができる。また、動画像データの必要容量を削減することができる。
【0172】
また、上述したように、動画像データを用いてリーチ演出における一部の演出を行うときには、そのリーチ演出の最後の所定期間を動画像データを用いて行うようにしたので、リーチ演出の内容を徐々に発展させたものとすることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0173】
なお、動画像データを用いてリーチ演出における一部の演出を行う場合に、そのリーチ演出の最初の所定期間、あるいは途中の所定期間を動画像データを用いて行う構成としてもよい。すなわち、上述したリーチ部分演出A、またはリーチ部分演出Bを動画像データにもとづく動画像による演出としてもよい。このように構成した場合であっても、リーチ演出の全部を動画像データにもとづいて行う場合と比較して、リーチ演出における動画像データにもとづく演出の演出期間を減らすことができ、圧縮データを含む動画像データを用いた動画再生のための制御負担を軽減することができる。また、動画像データの必要容量を削減することができる。
【0174】
また、上述したように、リーチ演出における動画像データにもとづくキャラクタが、特別図柄の変動態様と同期して動作する構成としたので、各特別図柄別毎の動画像をそれぞれ生成して保存しておく必要がなくなる。つまり、動画像データにもとづいて特別図柄(あるいは大当りとするか否かとは無関係にLCD6に表示される飾り図柄。飾り図柄をLCD6に表示する場合には、例えばLCD6の隅などに別途特別図柄を表示するようにすればよい。)を模したキャラクタを再生表示する構成とすると、各特別図柄を模した複数のキャラクタを表示するための動画像データを生成しておく必要があるが、特別図柄と同期して動作する特別図柄とは異なるキャラクタを再生表示する構成としているので、特別図柄毎に対応したキャラクタの画像を生成しておく必要がない。従って、動画像データの必要容量を削減することができる。
【0175】
なお、上述した実施の形態では、例えば図柄変動中処理におけるリーチ演出の一部で動画像による演出が実行され、その際にフェードイン処理やフェードアウト処理が実行されるものとして説明していたが、例えば、リーチや大当りとなることを予告報知するための予告演出、大当り遊技状態における大当りラウンド中や大当りラウンド間に実行される大当り演出等の様々な演出の一部において動画像演出を実行し、その際に上述したフェードイン処理やフェードアウト処理によるフェードイン表示やフェードアウト表示を用いた演出を行うようにしてもよい。
【0176】
例えば、スーパーリーチと呼ばれる大当り信頼度の高いリーチへの発展時にフェードイン表示を実行し、フェードイン表示の後に動画像による演出を実行し、その動画像による演出の終了時にフェードアウト表示を行うようにしてもよい。なお、スーパーリーチを示すリーチ演出の一部で動画像による演出を実行するようにしてもよい。また、例えば、デモンストレーション画像を表示するときにフェードイン表示を実行し、フェードイン表示の後に動画像によるデモンストレーション演出を実行し、その動画像による演出の終了時にフェードアウト表示を行うようにしてもよい。なお、デモンストレーション画像の一部で動画像による演出を行うようにしてもよい。
【0177】
また、上述した実施の形態では特に言及していないが、動画像データは、動画撮影装置によって撮影された実写画像を動画再生するためのデータであっても、アニメーションによる動画を再生するためのデータであってもよく、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置によって描画されたコンピュータグラフィクス(CG)を用いたCG画像を動画再生するためのデータであってもよい。実写画像による動画像データを用いる構成とした場合には、人物や動物などの動きをリアルに表現することができるようになる。また、CG画像による動画像データを用いる構成とした場合には、コンピュータグラフィクスによって自由に画像を作成することができるので、実写によっては得ることが困難な画像であっても簡単に作成することができ、必要とする動画像を含めた動画像データを容易に作成することができるようになる。なお、実写画像とCG画像とを組み合わせて動画像データを作成するようにしてもよい。
【0178】
また、上述した実施の形態では、動画像による遊技演出が特別図柄の可変表示が実行される可変表示装置9で行われるものとして説明していたが、特別図柄の可変表示が実行される表示装置とは別個の画像表示装置にて動画像による遊技演出が実行される構成としてもよい。
【0179】
また、上述した実施の形態では、遊技機の例として、識別情報を可変表示する可変表示装置としての機能と演出画像を表示する画像表示装置としての機能とを併せ持つ可変表示装置6を備えたパチンコ遊技機を用いて説明したが、パチンコ遊技機に限られず、可変表示装置と画像表示装置とを別個に備えたスロット機等の他の遊技機においても、本発明を適用することができる。以下、本発明を、他の遊技機の一例であるスロット機に適用した場合の例について説明する。
【0180】
図25はスロット機(スロットマシン)500を正面から見た正面図である。図25に示すように、スロット機500は、中央付近に遊技パネル501が着脱可能に取り付けられている。また、遊技パネル501の前面の中央付近には、複数種類の図柄が可変表示される可変表示装置502が設けられている。この実施の形態では、可変表示装置502には、「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリアがあり、各図柄表示エリアに対応してそれぞれ図柄表示リール502a,502b,502cが設けられている。
【0181】
遊技パネル501の下部には、遊技者が各種の操作を行うための各種入力スイッチ等が配される操作テーブル520が設けられている。操作テーブル520の奥側には、コインを1枚ずつBETする(かける)ためのBETスイッチ521、1ゲームでかけることのできる最高枚数(本例では3枚)ずつコインをBETするためのMAXBETスイッチ522、精算スイッチ523、及びコイン投入口524が設けられている。コイン投入口524に投入されたコインは、図示しない投入コインセンサによって検知される。
【0182】
操作テーブル520の手前側には、スタートスイッチ525、左リールストップスイッチ526a、中リールストップスイッチ526b、右リールストップスイッチ526c及びコイン詰まり解消スイッチ527が設けられている。操作テーブル520の手前左右には、それぞれランプ528a,528bが設けられている。操作テーブル520の下部には、効果音等を出力するスピーカ530が設けられている。
【0183】
遊技パネル501の上部には、遊技者に遊技方法や遊技状態等を報知する画像表示装置(LCD:液晶表示装置)540が設けられている。例えば、入賞発生時に、キャラクタが所定動作を行う画像を画像表示装置540に表示することで、後述する当選フラグが設定されていることを遊技者に報知する。本例では、この画像表示装置540に動画像データにもとづく動画像が再生表示される。すなわち、スロット機500にて、上述したパチンコ遊技機と同様に復号化処理や動画再生処理が実行されるとともにフェードイン処理やフェードアウト処理による遊技演出が実行されて、画像表示装置540の表示領域にフェードイン表示やフェードアウト表示を含む動画像による各種の表示がなされる。また、画像表示装置540の左右には、効果音を発する2つのスピーカ541L,541Rが設けられている。
【0184】
なお、スロット機500で発生する入賞役には、小役入賞と、リプレイ入賞と、ビッグボーナス入賞と、レギュラーボーナス入賞とがある。スロット機500では、スタートスイッチ525を操作したタイミングで乱数が抽出され、上記いずれかの入賞役による入賞の発生を許容するか否かを決定する。入賞の発生が許容されていることを、「内部当選している」という。内部当選した場合、その旨を示す当選フラグがスロット機500の内部で設定される。当選フラグが設定された状態でのゲームでは、その当選フラグに対応する入賞役を引き込むことが可能なようにリール502a〜502cが制御される。一方、当選フラグが設定されていない状態でのゲームでは、入賞が発生しないようにリール502a〜502cが制御される。
【0185】
次に、スロット機により提供されるゲームの概要について説明する。
例えば、コイン投入口524からコインが投入されBETスイッチ521又はMAXBETスイッチ522が押下される等してかけ数が設定されると、スタートスイッチ525の操作が有効となる。そして、遊技者によってスタートスイッチ525が操作されると、可変表示装置502に設けられている各図柄表示リール502a〜502cが回転を始める。また、スタートスイッチ525を操作したタイミングで、レギュラーボーナス入賞又はビッグボーナス入賞が内部当選した場合には、例えば、画像表示装置540に所定のキャラクタが所定の動作を行っている画面を表示する等して、内部当選した旨が遊技者等に報知される。
【0186】
各図柄表示リール502a〜502cが回転を始めてから所定時間が経過すると、各リールストップスイッチ526a〜526cの操作が有効となる。この状態で、遊技者が各リールストップスイッチ526a〜526cのいずれかを押下すれば、操作されたストップスイッチに対応するリールの回転が停止する。なお、各図柄表示リール502a〜502cを停止させずに、所定期間以上放置した場合には、各図柄表示リール502a〜502cが自動的に停止する。
【0187】
すべての図柄表示リール502a〜502cが停止した時点で、可変表示装置502に表示されている各図柄表示リール502a〜502cの上段、中段、下段の3段の図柄中、かけ数に応じて定められる有効な入賞ライン上に位置する図柄の組合せによって入賞したか否かが定められる。かけ数が1の場合には、可変表示装置502における中段の横1列の入賞ラインのみが有効となる。かけ数が2の場合には、可変表示装置502における上段、中段、下段の横3列の入賞ラインが有効となる。かけ数が3の場合には、可変表示装置502における横3列と斜め対角線上2列の合計5本の入賞ラインが有効ラインとなる。
【0188】
有効ライン上の図柄の組合せが、予め定められた特定の表示態様となって入賞が発生した場合には、音、光、画像表示装置540の表示等によって所定の遊技演出がなされ、入賞の発生に応じたゲームが開始される。
【0189】
図26は、スロット機500に備えられる主基板(遊技制御基板)600の回路構成の一例を示すブロック図である。図26には、演出制御基板630及びリールユニット650も示されている。なお、主基板600には電源基板や中継基板等の他の基板も接続されるが、図26には示されていない。主基板600は、プログラムに従って制御動作を行うCPU602、ワークメモリとして使用される記憶手段の一例であるRAM603、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM604及びI/Oポート部605を含む構成とされている。
【0190】
リールユニット650には、リールモータ651と、リールランプ652と、リールセンサ653とが格納されている。リールモータ651は、各リール502a〜502cを回転させるためのモータである。リールランプ652は、各リール502a〜502cの内部に設けられ、各リール502a〜502cに描かれた図柄のうち、可変表示装置502にて視認される図柄をリールの内側から照らすためのランプである。リールセンサ653は、各リール502a〜502cの回転状態や回転数等を感知するためのセンサである。
【0191】
この実施の形態では、演出制御基板630に搭載されている演出制御手段が、スロット機500に設けられている画像表示装置540の表示制御や、リールランプ652の点灯制御を行う。画像表示装置540には、演出制御手段の制御によって、飾り図柄の変動表示や、遊技状態や遊技方法を報知するための表示等の様々な情報が表示される。この例では、演出制御基板630に搭載されている演出制御手段には、演出制御用のCPUやGCL等が含まれる。したがって、演出制御基板630に搭載されている演出制御手段は、上述したパチンコ遊技機と同様に、動画像データにもとづく動画像による遊技演出を実行することができる構成とされている。なお、演出制御基板630に搭載されている演出制御手段は、スロット機500に設けられている各種の遊技効果ランプ550,551,552,553の点灯制御、及びスロット機500に設けられているスピーカ501,541L,541Rの音出力制御を行う。
【0192】
この例では、演出制御基板630は、主基板600から受信した制御コマンドに基づく演出パターンに従って、画像表示装置540や、遊技効果ランプ550等や、スピーカ530等を制御する。画像表示装置540では、所定の画像表示パターン(演出パターンの一例)に従って、飾り図柄の変動表示がなされる。飾り図柄の変動表示演出では、例えば、パチンコ機における特別図柄の変動表示のような図柄組合せ演出表示や、リール502a〜502cの変動表示のような図柄組合せ演出等の演出が実行される。また、図柄組合せ演出表示が実行されているときに、飾り図柄の表示態様がリーチ表示態様となった場合、パチンコ機におけるリーチ演出のような演出表示がなされる。予め複数設けられている演出パターンから何れの演出パターンを用いるかについては、例えば、スタートスイッチ525が操作されたタイミングで、CPU602によって決定される。
【0193】
なお、上述したスロット機500では、動画像データにもとづく動画像による演出等がなされるが、それらの演出は、例えば、入賞していない通常の遊技期間中、レギュラーボーナス入賞によってレギュラーボーナスゲームが行われている期間中、ビッグボーナス入賞によるビッグボーナスゲームが行われている期間中等に実行されるようにすればよい。
【0194】
この例では、例えば、パチンコ機と同様に、リーチ演出のような演出表示の一部が画像表示装置540にて動画像演出により実行される。また、その動画像演出の際にフェードイン処理やフェードアウト処理等が実行され、その動画像演出の最初や最後において、動画像データに含まれている画像データを用いたフェードイン表示やフェードアウト表示が実行される。
【0195】
以上説明したように、本発明をスロット機に適用することができ、スロット機に適用した場合であっても上述した各実施の形態における効果を得ることができる。
【0196】
上述した各遊技機は、可変表示装置における変動表示の表示結果が予め定められた特定の表示態様となったときに所定の遊技価値を遊技者に与える構成とされている。遊技価値とは、例えば、遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態となるための権利を発生させたりすることや、景品遊技媒体払出の条件が成立しやすくなる状態になることである。
【0197】
また、上述した実施の形態では、図柄表示エリアにおける複数の表示領域に識別情報などの画像を表示する構成としているが、動画像データにもとづく動画再生によって画像表示を行う場合以外であれば、例えば、表示制御部80にVDP(ビデオディスプレイプロセッサ)を搭載する構成とし、VDPが、背景画像にスプライト画像を重ね合わせて表示制御するようにしてもよい。スプライトは背景画像上に重畳される画像を生成するためのものであるから、一般に画面サイズは小さく、図柄などの表示のための使用に適する。よって、VDPは、一般に、可変表示される特別図柄としての識別情報をスプライト画像として生成し、スプライト画像を背景画像上に重ねた画像を生成する。
【0198】
この場合、例えば、リーチ演出などに用いられるキャラクタや識別情報を示すスプライト画像が、他のキャラクタや識別情報を示すスプライト画像の上側に重ね合わされる。そして、背景画像に、上記2つのスプライト画像を重ね合わせた画像をVRAM等に展開したのち、映像信号を生成してLCD6に出力する。すると、背景の前面に重畳された2つのスプライト画像が表示されるようになる。このように、VDPが有するスプライト画像重ね合わせ機能を用いて、動画像データにもとづく動画再生による演出表示以外の演出表示を行うようにしてもよい。
【0199】
なお、上述した実施の形態において、「リーチ」あるいは「リーチ態様」とは、停止した図柄(リーチ図柄という)が大当り図柄の一部を構成しているときに未だ停止していない図柄(リーチ変動図柄という)については変動表示が行われていること、全てまたは一部の図柄が大当り図柄の全てまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態である。
具体的には、あらかじめ定められた複数の図柄表示エリア中の表示領域に、あらかじめ定められた図柄が停止することで大当りとなる有効ラインが定められ、その有効ライン上の一部の表示領域にあらかじめ定められた図柄が停止しているときに未だ停止していない有効ライン上の表示領域において変動表示が行われている状態(例えば、左、中、右の表示領域のうち左、中の表示領域には大当り図柄の一部となる図柄(例えば「7」)が停止表示されている状態で右の表示領域は未だ変動表示が行われている状態)、有効ライン上の表示領域の全てまたは一部の図柄が大当り図柄の全てまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態(例えば左、中、右の表示領域の全てに変動表示が行われてどの状態が表示されても同一の図柄が揃っている状態で変動表示が行われている状態)である。
また、リーチの際に、通常と異なる演出がランプや音で行われることがある。この演出をリーチ演出という。
また、リーチの際に、キャラクタ(人物等を模した演出表示であり、図柄とは異なるもの)を表示させたり、背景の表示態様を変化させたりすることがある。このキャラクタの表示や背景の表示態様の変化をリーチ演出表示あるいはリーチ演出という。
【0200】
なお、上述した実施の形態において、「リーチ部分演出」とは、一連のリーチ演出のうちの一部(一区間)の演出を意味する。すなわち、複数のリーチ部分演出が順次実行されることによって、リーチ演出が実行されることになる。なお、「リーチ部分演出」と、「リーチ区間演出」と呼ぶこともある。
【0201】
また、「特定遊技状態」とは、所定の遊技価値が付与された遊技者にとって有利な状態を意味する。具体的には、「特定遊技状態」は、例えば、可変入賞球装置の状態が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態(大当り遊技状態)、遊技者にとって有利な状態となるための権利が発生した状態、景品遊技媒体払出の条件が成立しやすくなる状態等の、所定の遊技価値が付与された状態である。
【0202】
さらに、「特別遊技状態」とは、大当りとなりやすい遊技者にとって有利な状態を意味する。具体的には、「特別遊技状態」は、例えば、特別図柄が大当り図柄でそろう確率が高確率状態とされる確変状態、単位時間あたりの普通図柄の変動回数が高められる時短状態、可変入賞球装置9の開成期間や開成回数が高められる開放延長状態等の大当りとなる確率が高められている高確率状態である。なお、時短状態は、可変入賞球装置9の開放回数が高められていることから単位時間あたりの入賞回数が増加し、単位時間あたりの特別図柄の可変表示回数が高められるので、大当りとなる確率が高められている状態といえる。また、同様に、開放延長状態は、可変入賞球装置9の開成期間や開成回数が高められていることから単位時間あたりの入賞回数が増加し、単位時間あたりの特別図柄の可変表示回数が高められるので、大当りとなる確率が高められている状態といえる。
【0203】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明では、リーチ演出実行手段は、データ伸張手段により伸張された動画像データに基づいて生成される画像を画像表示装置に順次表示させることによって動画再生を行い、リーチ演出における複数のリーチ区間演出のうちの一部のリーチ区間演出を動画再生によって行うデータ再生手段と、段階的に画像を出現させるフェードイン処理を行うことで画像表示装置上の表示画像の切替表示としてデータ再生手段による動画再生を含まない第1のリーチ区間演出からデータ再生手段による動画再生を含む第2のリーチ区間演出への切替表示を実行させるフェードイン切替表示手段とを含み、フェードイン切替表示手段が、データ再生手段による動画再生の再生開始時に使用されるフレームデータから透過度を段階的に高めていった複数のフェードイン画像を生成するフェードイン画像生成手段と、フェードイン画像生成手段により生成された各フェードイン画像を、透過度が最も高められているフェードイン画像から、透過度がより低いフェードイン画像に順次移行させ、最終的にフレームデータの画像を表示させることによってフェードイン処理を実行するフェードイン処理手段と、フェードイン処理手段によるフェードイン処理が完了したあと、フェードイン処理の完了時に表示されているフレームデータの画像からデータ再生手段に動画再生を開始させる動画再生開始手段とを含むので、圧縮データを含む動画像データを用いた動画再生のための制御負担を軽減することができるとともに、動画像データのデータ量を増大させることなく、リーチ区間演出の切替にてフェードイン表示を行うことができる。よって、動画像データの格納領域の必要容量を抑えることができる。
【0204】
請求項2記載の発明では、フェードイン切替表示手段が、フェードイン処理にて、所定の中間画像を介して段階的に画像を出現させるように構成されているので、容易に視認される状態でフェードイン表示を実行することができる。
【0205】
また、請求項3記載の発明では、リーチ演出実行手段が、データ伸張手段により伸張された動画像データに基づいて生成される画像を画像表示装置に順次表示させることによって動画再生を行い、リーチ演出における複数のリーチ区間演出のうちの一部のリーチ区間演出を動画再生によって行うデータ再生手段と、データ再生手段による動画再生を含むリーチ区間演出における最終画像を段階的に消滅させるフェードアウト処理を行うことで画像表示装置上の表示画像の切替表示を実行させるフェードアウト切替表示手段とを含み、フェードアウト切替表示手段は、データ再生手段による動画再生を終了するときに、再生終了時に使用されるフレームデータの画像を表示する動画再生終了手段と、フレームデータから透過度を段階的に高めていった複数のフェードアウト画像を生成するフェードアウト画像生成手段と、フェードアウト画像生成手段により生成された各フェードアウト画像を、フレームデータの画像から、透過度がより高められているフェードアウト画像に順次移行させ、最終的に透過度が最も高められているフェードアウト画像を表示させることによってフェードアウト処理を実行するフェードアウト処理手段とを含むので、圧縮データを含む動画像データを用いた動画再生のための制御負担を軽減することができるとともに、動画像データのデータ量を増大させることなく、リーチ区間演出の最終段階にてフェードアウト表示を行うことができる。よって、動画像データの格納領域の必要容量を抑えることができる。
【0206】
請求項4記載の発明では、フェードアウト切替表示手段が、フェードアウト処理にて、段階的に画像を消滅させて所定の中間画像を表示させるように構成されているので、容易に視認される状態でフェードアウト表示を実行することができる。
【0207】
請求項5記載の発明では、動画像データは、キーフレームデータと、前方向予測符号化フレームデータと、双方向予測符号化フレームデータとを含み、キーフレームデータは、動画像データにおいて、動画像中に現れる表示物体が遅く動作する動画像を再生するためのデータ部分よりも、当該表示物体が速く動作する動画像を再生するためのデータ部分に多く用いられる構成とされているので、再生される動画像の画像品質を向上させることができるとともに、動画像データのデータ量を削減することができる。
【0208】
請求項6記載の発明では、動画像データは、実写画像及びコンピュータグラフィクスの少なくともいずれか一方を含む多色画像を動画再生するためのデータであるとされているので、コンピュータグラフィクスによって構成される動画像データを使用することができ、必要とする動画像を含めた動画像データを容易に作成することができるようになる。
【0209】
請求項7記載の発明では、データ再生手段の動画再生による動画像の動作に同期した識別情報の可変表示演出を実行する可変表示演出実行手段を備えた構成とされているので、各識別情報毎の動画像をそれぞれ生成して保存しておく必要がなくなるので、動画像データの必要容量を削減することができる。
【0210】
請求項8記載の発明では、データ再生手段が、リーチ演出における複数のリーチ区間演出のうちの最後に実行されるリーチ区間演出にて動画再生を実行するように構成されているので、リーチ演出による遊技の興趣を低下させることなく、圧縮データを含む動画像データを用いた動画再生のための制御負担を大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パチンコ遊技機を正面から見た正面図である。
【図2】遊技機を裏面から見た背面図である。
【図3】遊技制御部を中心としたシステム構成例を示すブロック図である。
【図4】演出制御基板の回路構成例を示すブロック図である。
【図5】主基板におけるCPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図6】2msタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【図7】特別図柄プロセス処理を示すフローチャートである
【図8】演出制御用CPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図9】演出制御プロセス処理を示すフローチャートである。
【図10】プロセスデータの一構成例を示す説明図である。
【図11】図柄変動中処理の例を示すフローチャートである。
【図12】動画像データのデータ構造の例を示す説明図である。
【図13】復号化処理の例を示すフローチャートである。
【図14】動画再生処理の例を示すフローチャートである。
【図15】フェードイン処理の例を示すフローチャートである。
【図16】フェードイン処理に用いられる数式の例を示す説明図である。
【図17】フェードイン処理により作成されるフェードイン画像の表示状態を示す説明図である。
【図18】フェードアウト処理の例を示すフローチャートである。
【図19】フェードアウト処理に用いられる数式の例を示す説明図である。
【図20】フェードアウト処理により作成されるフェードイン画像の表示状態を示す説明図である。
【図21】リーチ演出態様の例を示す説明図である。
【図22】リーチ演出3によるリーチ演出が実行されたときの可変表示装置の表示状態の例を示す説明図である。
【図23】リーチ演出3によるリーチ演出が実行されたときの可変表示装置の表示状態の例を示す説明図である。
【図24】本発明の概要を示す概念図である。
【図25】スロット機を正面から見た正面図である。
【図26】スロット機に搭載されている主基板の回路構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 パチンコ遊技機
6 可変表示装置(画像表示装置)
30 主基板
33 CPU
60 ランプ制御部
70 音制御部
80 表示制御部
81 GCL
100 演出制御基板
101 演出制御用CPU
500 スロット機
540 画像表示装置
600 主基板
630 演出制御基板
Claims (8)
- 各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い、前記識別情報の表示結果が特定表示結果となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態とする遊技機であって、
前記識別情報の可変表示を行うとともに遊技演出に用いられる画像を表示する画像表示装置と、
動き補償予測符号化による圧縮データを含む動画像データを格納する圧縮データ格納手段と、
前記圧縮データ格納手段に格納されている動画像データを伸張するデータ伸張手段と、
前記識別情報の表示態様がリーチ態様となったときに実行されるリーチ演出として、複数のリーチ区間演出を連続的に順次切り替えて実行することで演出内容が段階的に発展するリーチ演出を実行するリーチ演出実行手段とを備え、
前記リーチ演出実行手段は、
前記データ伸張手段により伸張された動画像データに基づいて生成される画像を前記画像表示装置に順次表示させることによって動画再生を行い、前記リーチ演出における複数のリーチ区間演出のうちの一部のリーチ区間演出を前記動画再生によって行うデータ再生手段と、
段階的に画像を出現させるフェードイン処理を行うことで前記画像表示装置上の表示画像の切替表示として前記データ再生手段による動画再生を含まない第1のリーチ区間演出から前記データ再生手段による動画再生を含む第2のリーチ区間演出への切替表示を実行させるフェードイン切替表示手段とを含み、
前記フェードイン切替表示手段は、
前記データ再生手段による動画再生の再生開始時に使用されるフレームデータから透過度を段階的に高めていった複数のフェードイン画像を生成するフェードイン画像生成手段と、
前記フェードイン画像生成手段により生成された各フェードイン画像を、透過度が最も高められているフェードイン画像から、透過度がより低いフェードイン画像に順次移行させ、最終的に前記フレームデータの画像を表示させることによって前記フェードイン処理を実行するフェードイン処理手段と、
前記フェードイン処理手段によるフェードイン処理が完了したあと、フェードイン処理の完了時に表示されている前記フレームデータの画像から前記データ再生手段に動画再生を開始させる動画再生開始手段とを含む
ことを特徴とする遊技機。 - フェードイン切替表示手段は、フェードイン処理にて、所定の中間画像を介して段階的に画像を出現させる
請求項1記載の遊技機。 - 各々を識別可能な複数種類の識別情報の可変表示を行い、前記識別情報の表示結果が特定表示結果となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態とする遊技機であって、
前記識別情報の可変表示を行うとともに遊技演出に用いられる画像を表示する画像表示装置と、
動き補償予測符号化による圧縮データを含む動画像データを格納する圧縮データ格納手段と、
前記圧縮データ格納手段に格納されている動画像データを伸張するデータ伸張手段と、
前記識別情報の表示態様がリーチ態様となったときに実行されるリーチ演出として、複数のリーチ区間演出を連続的に順次切り替えて実行することで演出内容が段階的に発展するリーチ演出を実行するリーチ演出実行手段とを備え、
前記リーチ演出実行手段は、
前記データ伸張手段により伸張された動画像データに基づいて生成される画像を前記画像表示装置に順次表示させることによって動画再生を行い、前記リーチ演出における複数のリーチ区間演出のうちの一部のリーチ区間演出を前記動画再生によって行うデータ再生手段と、
前記データ再生手段による動画再生を含むリーチ区間演出における最終画像を段階的に消滅させるフェードアウト処理を行うことで前記画像表示装置上の表示画像の切替表示を実行させるフェードアウト切替表示手段とを含み、
前記フェードアウト切替表示手段は、
前記データ再生手段による動画再生を終了するときに、再生終了時に使用されるフレームデータの画像を表示する動画再生終了手段と、
前記フレームデータから透過度を段階的に高めていった複数のフェードアウト画像を生成するフェードアウト画像生成手段と、
前記フェードアウト画像生成手段により生成された各フェードアウト画像を、前記フレームデータの画像から、透過度がより高められているフェードアウト画像に順次移行させ、最終的に透過度が最も高められているフェードアウト画像を表示させることによって前記フェードアウト処理を実行するフェードアウト処理手段とを含む
ことを特徴とする遊技機。 - フェードアウト切替表示手段は、フェードアウト処理にて、段階的に画像を消滅させて所定の中間画像を表示させる
請求項3記載の遊技機。 - 動画像データは、フレーム内符号化により圧縮されたキーフレームデータと、再生時に先に使用されるフレームデータを用いて符号化する前方向予測符号化により圧縮された前方向予測符号化フレームデータと、再生時に先に使用されるフレームデータと後に使用されるフレームデータとを用いて符号化する双方向予測符号化により圧縮された双方向予測符号化フレームデータとを含み、
前記キーフレームデータは、前記動画像データにおいて、動画像中に現れる表示物体が遅く動作する動画像を再生するためのデータ部分よりも、当該表示物体が速く動作する動画像を再生するためのデータ部分に多く用いられる
請求項1から請求項4のうちのいずれかに記載の遊技機。 - 動画像データは、実写画像及びコンピュータグラフィクスの少なくともいずれか一方を含む多色画像を動画再生するためのデータである
請求項1から請求項5のうちのいずれかに記載の遊技機。 - データ再生手段の動画再生による動画像の動作に同期した識別情報の可変表示演出を実行する可変表示演出実行手段を備えた
請求項1から請求項6のうちのいずれかに記載の遊技機。 - データ再生手段は、リーチ演出における複数のリーチ区間演出のうちの最後に実行されるリーチ区間演出にて動画再生を実行する
請求項1から請求項7のうちのいずれかに記載の遊技機。
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-
2002
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