JP2004170601A - 像振れ補正機能を有する光学装置およびカメラ用交換レンズ、並びに振れ検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】角度振れ情報から平行振れをも検出できるようにする。
【解決手段】像振れ補正光学系40を含む光学系と、光学装置に加わる角度振れを検知して角度振れに応じた像振れ量を得る角度振れ検出装置10,21〜23と、角度振れに応じた像振れ量のうちの所定周波数以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出する抽出装置24と、平行振れ成分として抽出した低周波成分を角度振れに応じた像振れ量から差し引くことで、角度振れと平行振れとを加味した最終的な像振れ量を求める減算装置28と、像振れを補正すべく、最終的な像振れ量に基づいて像振れ補正光学系40を駆動する駆動装置30とを具備する。
【選択図】 図9
【解決手段】像振れ補正光学系40を含む光学系と、光学装置に加わる角度振れを検知して角度振れに応じた像振れ量を得る角度振れ検出装置10,21〜23と、角度振れに応じた像振れ量のうちの所定周波数以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出する抽出装置24と、平行振れ成分として抽出した低周波成分を角度振れに応じた像振れ量から差し引くことで、角度振れと平行振れとを加味した最終的な像振れ量を求める減算装置28と、像振れを補正すべく、最終的な像振れ量に基づいて像振れ補正光学系40を駆動する駆動装置30とを具備する。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、像振れ補正機能を有する光学装置およびカメラ用交換レンズ、並びに振れ検出装置に関し、簡単な構成で振れ検出精度を向上させるものである。
【0002】
【従来の技術】
写真撮影における像の振れは、手振れ等に起因するカメラの振動によって露光中に結像面(フィルム面)の像が動いてしまうことにより発生する。このようなカメラの振動に起因する像振れを光学的に補正可能な像振れ補正装置を備えたカメラが実用に供されている。像振れ補正装置は、光軸と直交する方向に移動することで像の位置をシフト可能な振れ補正レンズと、カメラの振れを角速度として検出する角速度センサとを備え、角速度センサの出力を時間で積分して角度振れ量を得る。そして、その角度振れ量に基づいて像振れ量を演算し、演算された像振れ量に基づいてその像振れを打ち消す方向に振れ補正レンズを駆動制御する。これにより手振れ等に起因する像振れを抑えて良好な写真画像を得ることができる。
ここで、撮影時におけるカメラの振れは、角度振れと平行振れとが合成された振れである。角度振れとは、任意の軸を中心とする回転方向、つまりカメラが傾く方向の振れであり、平行振れとは、任意の軸と平行にカメラがシフトする振れである。平行振れは、撮影倍率が低いときにはさほど問題とならないが、マクロ撮影などの高倍率撮影時には像振れの大きな要因となる。
【0003】
しかしながら、従来の像振れ補正カメラの多くは、振れ検出器として角速度センサしか備えておらず、上記角度振れは検出できても平行振れは検出できない、換言すれば角度振れに起因する像振れは補正できても平行振れに起因する像振れは補正できない。このため像振れ補正装置を備えていても、マクロ撮影等の高倍率撮影時の像振れは補正しきれない。
【0004】
このような平行振れに起因する像振れをも補正するために、角速度センサに加えて平行振れを検出するセンサを追加し、この平行振れセンサの検出出力をも加味して振れ補正光学系を駆動制御することが考えられる(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−10143号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、平行振れセンサを追加すると、2種類のセンサが必要となるためコストアップおよびカメラの大型化を招来する。
【0007】
本発明は、角度振れ情報から平行振れを検出する振れ検出装置,像振れ補正機能を有する光学装置およびカメラ用交換レンズを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1〜3の発明に係る像振れ補正機能を有する光学装置は、像振れ補正光学系を含む光学系と、光学装置に加わる角度振れを検知して角度振れに応じた像振れ量を得る角度振れ検出装置と、角度振れに応じた像振れ量のうちの所定周波数以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出する抽出装置と、平行振れ成分として抽出した低周波成分を角度振れに応じた像振れ量から差し引くことで、角度振れと平行振れとを加味した最終的な像振れ量を求める減算装置と、像振れを補正すべく、最終的な像振れ量に基づいて像振れ補正光学系を駆動する駆動装置とを具備し、これにより上記問題点を解決する。
特に請求項2の発明は、検出装置の検出出力から、振れがないと仮定したときの検出装置の出力に相当する周波数成分を差し引き、更に平行振れ成分として抽出した低周波成分を差し引き、平行振れ成分として抽出した低周波成分は、振れがないと仮定したときの検出装置の出力に相当する周波数成分よりも高いものである。
請求項3の発明は、0.3〜0.7Hz以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出するようにしたものである。
請求項4〜6の発明は、カメラ用交換レンズに適用したものである。
請求項7〜10の発明に係る振れ検出装置は、装置に加わる角度振れを検知して角度振れ関連情報を得る角度振れ検出部と、角度振れ関連情報のうちの所定周波数以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出する抽出部とを備えるものである。
特に請求項8の発明に係る振れ検出装置は、平行振れ成分として抽出した低周波成分を角度振れ関連情報から差し引くことで最終的な振れ関連情報を求める減算部を更に備えるものである。
請求項9,10は、請求項2,3と同様の限定をそれぞれ加えたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1〜図11により本発明を像振れ補正カメラに適用した場合の一実施形態を説明する。
図1はカメラの像振れ補正装置を中心とする構成を示している。撮影光学系OPは、振れ補正レンズ40,フォーカスレンズ50およびズームレンズ70を備え、振れ補正レンズ40は光軸Iと直交する方向に、フォーカスレンズ50およびズームレンズ70は光軸I方向にそれぞれ移動可能に支持される。振れ補正レンズ40をカメラの振動に応じて駆動することで像振れ補正がなされる。
【0010】
カメラの振動は角速度センサ10により検出される。角速度センサ10は、手振れ等に起因するカメラの振動をコリオリ力を利用して角速度として検出し、その検出結果を電圧値として出力する。図では簡素化のために角速度センサ10を1個のみ示したが、実際は互いに直交する2軸回りの角速度を検出する必要があるため2個の角速度センサが用いられる。なお、角速度センサ10は電源供給部100から電源が供給されている間のみ角速度の検出が可能である。
【0011】
角速度センサ10の出力信号(以下、振れ検出信号と呼ぶ)は、不図示の増幅器で増幅された後に振れ補正駆動信号演算部20に入力される。振れ補正駆動信号演算部20には、角速度センサ10からの振れ検出信号の他に、被写体距離検出部60で得られる被写体距離情報と、焦点距離検出部80で得られる焦点距離情報とが入力される。被写体距離検出部60は例えば周知の距離エンコーダで構成され、フォーカスレンズ50の位置から被写体距離情報を得る。焦点距離検出部80は、例えば周知のズームエンコーダにて構成され、ズームレンズ70の位置から焦点距離情報を得る。振れ補正駆動信号演算部20は、上記の入力情報に基づいて振れ補正レンズ40を駆動するための駆動信号を演算する。その演算方法については後で詳述するが、演算された駆動信号は振れ補正駆動部30に入力される。
【0012】
振れ補正駆動部30は、図2に示すように、ヨーク31,マグネット32,コイル33から成る電磁アクチュエータと、赤外線発光ダイオード(以下、IRED)34,スリット板35,PSD(Position Sensitive Device)37から成る光学的位置検出装置とを備える。そして、上記振れ補正駆動信号演算部20からの駆動信号(駆動電流)がコイル33に流れることで振れ補正レンズ40が駆動される。すなわち、コイル33はヨーク31とマグネット32により形成される磁気回路内に置かれており、コイル33に電流が流れるとフレミングの左手の法則によりアクチュエータに駆動力が発生し、この力が鏡筒42、すなわち振れ補正レンズ40を光軸Iと直交する方向に動かす。
【0013】
振れ補正レンズ40の動きは光学的位置検出装置によりモニタされる。IRED34からの光はスリット板に35に形成されたスリット36を通過することで光線の幅を絞られ、PSD37に到達する。PSD37はその受光面上の光の位置に応じた信号を出力する。スリット板35は鏡筒42と一体のため、振れ補正レンズ40の動きがスリット36の動き、つまりPSD受光面上の光の動きとなり、したがってPSD出力が振れ補正レンズ40の位置を表す位置信号となる。この位置信号は上記振れ補正駆動信号演算部20にフィードバックされ、振れ補正レンズ40のフィードバック駆動制御が行われる。
【0014】
図1において、半押しタイマ90は、半押しスイッチSW1のオン、つまり不図示のレリーズボタンの半押し操作でオンとなり、半押しスイッチSW1がオンの間はオン状態を保持する。また半押しスイッチSW1がオフされても一定時間はオン状態を保持する。半押しタイマ90がオンの間は、角速度センサ10を始めカメラボディおよび撮影光学系内で電源を必要とする箇所に電源供給部から電源が供給され続け、半押しタイマ90がオフすると各部への電源供給が断たれる。したがって、振れ検出および像振れ補正動作は半押しスイッチSW1のオンに伴って開始され、半押しタイマ90がオンの間は繰り返し実行される。また全押しスイッチSW2は、レリーズボタンの全押し操作に連動してオンし、そのオンによりシャッタの開閉やその後のフィルム1駒巻上げが行われる。
【0015】
次に、本実施形態における像振れ補正について更に詳しく説明する。
上記角速度センサ10は、カメラが所定の軸を中心として回転する際の角速度を検出するものであり、その検出出力を積分することで角度振れ量が得られる。この角度振れ量をθ(rad)としたとき、その角度振れによって発生する像振れ量(像面における像の振れ量)Da(mm)は、
Da=f・(1+β)2・θ・・・(1)
ただし、f(mm)は撮影光学系の焦点距離、βは撮影倍率
となる。撮影倍率βは、被写体までの距離a(mm)と焦点距離fとから、
β=f/(a−f)・・・(2)
にて得られる値である。
【0016】
ところで、上記角速度センサ10はあくまでも角速度、つまり角度振れに応じた量を検出するものであり、カメラが平行にシフトする動き(平行振れ)は検出できない。例えばカメラが一切傾くことなく上下左右に大きく振れたとしても角速度センサの出力はゼロである。しかし、実際のカメラ振れには角度振れだけでなく平行振れも含まれており、この平行振れもまた像振れの原因となる。今、平行振れ量をd(mm)としたとき、その平行振れによる像振れ量Ds(mm)は、上記撮影倍率βを用いて
Ds=β・d・・・(3)
で表される。つまり平行振れによる像振れ量は、角度振れによる像振れほどではないにせよ撮影倍率βが高くなるに従って大きくなる。このため撮影倍率βが低いときには平行振れに起因する像振れはさほど問題にならないが、高倍率撮影時、特にマクロ撮影時には大きな問題となる。したがって、かかるマクロ撮影においても像振れを効果的に補正するには、平行振れをも加味して像振れ補正を行う必要がある。
【0017】
本実施形態では、角度振れから平行振れ量を推定し、これを加味して像振れ補正を行う。以下、その原理を説明する。
本発明者らは、カメラの平行振れを撮影者が角度振れによって抑えようとする傾向があることを見出した。すなわち、撮影者がカメラのファインダを覗いているとき、例えば身体が揺れるなどした場合はそれがカメラの平行振れにつながる。撮影者は、このような平行振れに起因する像の振れをファインダで確認すると、その像振れをカメラの傾きを調整することで抑えようとすることが多い。この場合、カメラの角度振れと平行振れと間に相関関係が生じ、角速振れから平行振れを推定することが可能となる。
【0018】
図3はマクロ撮影時における実際の像振れの様子を模式的に表した図であり、便宜上像振れを正弦波と仮定している。この像振れには上記角度振れ成分と平行振れ成分とが含まれている。図4は図3の像振れを角度振れ成分と平行振れ成分とに分解したものである。平行振れ成分(太線)は角度振れ成分と比べて周波数が低く、両成分の符号は逆となっている。符号が逆なのは撮影者が平行振れを角度振れで打ち消そうとした結果である。図5は図4,図3の像振れに対し、角度振れ成分のみを補正した場合の像振れ状態を示している。つまり、従来のように角速度センサの出力をそのまま用いて振れ補正を行った場合に図5のような結果となる。この場合は平行振れ成分が補正されずそのまま像振れとして残ってしまっている。
【0019】
一方、図6は角速度センサ10の出力から演算された像振れ、つまり角度振れに起因する像振れを低周波成分と高周波成分とに分割した波形を示している。低周波成分(太線)は、図4における平行振れ成分(太線)と符号は逆であるものの波形が極めて似ていることが分かる。この現象は複数回の試行でほぼ同様の結果となることが確認された。これから分かることは、撮影者が平行振れを角度振れで抑えようとしたとき、その角度振れに起因する像振れのうちの低周波成分が元々の平行振れに起因する像振れとほぼ同等の波形となるということであり、この低周波成分を平行振れ成分の代替として用いても差し支えないということである。
【0020】
図7は角速度センサ10の出力から得られた角度振れによる像振れと、図6で平行振れ成分として抽出した低周波成分とを合成した波形を示している。上述したように符号が逆となることから、実質的に角度振れによる像振れから低周波成分を差し引いた波形となる。このように平行振れをも加味した波形は、角度振れのみから求めた像振れと比べて図4の像振れ(実際の像振れ)により近くなる。そして図8は、図7で得られた波形に基づいて振れ補正レンズを駆動制御した場合の像振れを示している。図5に比べて像振れの振幅が小さい、つまり従来の像振れ補正方法と比較して振れ補正効果が高いことが分かる。
【0021】
次に、上述の原理を実際にカメラの像振れ補正に適用した場合の構成および動作について説明する。
図9は図1に示した振れ補正駆動信号演算部20の詳細構造を示している。補正駆動信号演算部20は、基準値演算部21,積分部22,ゲイン設定部23,25,26,ローパスフィルタ24および減算部27,28から構成される。基準値演算部21は、振れの基準となる基準値を角速度センサ10からの振れ検出信号により演算する。この基準値は、振れが全くないと仮定したときの角速度センサ出力に相当する。例えば振れ検出信号の低周波成分、例えば0.1Hz未満を基準値としたり、あるいは振れ検出信号の移動平均値を基準値とするのが一般的である。
【0022】
減算部27はセンサ10からの振れ検出信号から上記基準値を差し引き、積分部22に入力する。振れ積分部22は、入力された信号を積分し、角度振れ量θに変換する。この角度振れ量θはゲイン設定部23に入力される。ゲイン設定部23は、焦点距離検出部80から入力した焦点距離情報fおよび被写体距離検出部60から入力した被写体距離情報aに基づいて、上記(2)式により撮影倍率をβを算出する。そして、算出されたβと、焦点距離情報fとを用いて上記(1)式により、角度振れ量θを像振れ量Daに換算する。
【0023】
ローパスフィルタ24は、上記角度振れによる像振れ量Daから低周波成分(例えば、0.5Hz以下の成分)を平行振れ成分として抽出し、これをゲイン設定部25に送る。このように平行振れ成分として抽出した低周波成分は、上記振れがないと仮定したときの検出装置の出力に相当する周波数成分よりも高い。ゲイン設定部25は、入力された低周波成分(平行振れ成分)に基づいて平行振れ量dを求めるとともに、焦点距離情報fおよび被写体距離情報aに基づいて、上記(2)式により撮影倍率βを算出するとともに、このβと、ローパスフィルタ24で得た平行振れ量dとから(3)式により、平行振れによる像振れ量Dsを算出する。減算部28は、角度振れによる像振れ量Daから平行振れによる像振れ量Dsを差し引いて最終的な像振れ量Di、つまり角度振れと平行振れとを加味した像振れ量を求め、これをゲイン設定部26に入力する。上述したように、この像振れ量Diは角度振れのみを加味したものと比べて実際の像振れに近い。
【0024】
ゲイン設定部26は、最終的な像振れ量Diに補正係数を乗じて振れ補正レンズ40の駆動量を算出する。補正係数は、振れ補正レンズ40の駆動量と、振れ補正レンズ40を駆動したときの像の動き量との比に相当するものである。ゲイン設定部26は、算出された駆動量と、上述した光学的位置検出装置にて検出される振れ補正レンズ40の現在位置とに基づいて駆動信号を演算し、振れ補正駆動部30に入力する。
【0025】
図10は上記振れ補正駆動信号演算部20および振れ補正駆動部30を用いた像振れ補正処理の手順を示している。まず半押しスイッチSW1のオン・オフを確認し(ステップS10)、オンであれば半押しタイマ90のオン・オフを確認する(ステップS20)。半押しタイマ90がオンであればステップS50に進み、オフであればこれをオンとする(ステップS30)とともに、角速度センサ10をオンとする(ステップS40)。ステップS50では、振れ補正駆動信号演算部20および振れ補正駆動部30を作動させて振れ補正動作を行う。
【0026】
次いで全押しスイッチSW2のオン・オフを確認し(ステップS60)、オフであればステップS10に戻って上述の処理を繰り返す。全押しスイッチSW2がオンされると、シャッタレリーズ等の一連の撮影動作を行い(ステップS70)、その後ステップS10に戻る。
【0027】
一方、ステップS10で半押しスイッチSW1がオフと判定されると、半押しタイマ90のオン・オフを確認し(ステップS80)、オンであれば上記ステップS50に進む。半押しタイマ90がオフであれば振れ補正レンズ40の駆動を停止し(ステップS90)、振れ補正駆動信号演算部20による演算処理を停止し(ステップS100)、さらに角速度センサ10を停止し(ステップS110)、ステップS10に戻る。
【0028】
ここで、図11は本発明者らが行った実験の結果を示している。これは、上述のように角度振れと平行振れとを加味して像振れ補正を行った場合(A1)と、角度振れのみを加味して像振れ補正を行った場合(A2)と、像振れ補正を全く行わない場合(A3)の3つの条件でそれぞれ複数回の撮影を行い、像振れ軽減の度合いを比較したものである。図の横軸は露光時間、縦軸は良像率(像振れ軽減率)である。撮影倍率はいずれもマクロ域であり、またA1については、角速度センサ10の出力から得られた角度振れのうちの0.5Hz以下の低周波成分を平行振れ成分とみなした。図から分かるように、角度振れと平行振れの双方を加味した方が角度振れのみを加味した場合と比べて像振れ補正効果が高いことが分かる。
【0029】
以上のように本実施形態では、撮影時における撮影者の行動がカメラの角度振れと平行振れと間に相関関係を生ぜしめることに着目し、角速度センサ10の出力から得た像振れ量(角度振れによる像振れ量)の低周波成分を平行振れ成分として抽出するようにした。そして、抽出した平行振れ成分を角速振れ成分から差し引くことで、角度振れと平行振れとを加味した最終的な像振れ量を求め、この最終的な像振れ量に基づいて像振れ補正動作を行うようにした。これにより角度振れのみを加味した場合と比べて高い像振れ補正効果が得られる。また、平行振れを検出するセンサを必要としないので、コストアップおよびカメラの大型化を最小限に抑制できる。
【0030】
以上の実施形態において、振れ補正レンズ40が像振れ補正光学系を、角速度センサ10,基準値演算部21,積分部22およびゲイン設定部23が角度振れ検出装置を、ローパスフィルタ24が抽出装置を、減算部28が減算装置を、振れ補正駆動部30が駆動装置をそれぞれ構成する。
【0031】
なお以上では、0.5Hz以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出した例を示したが、これはたまたま実験で使用したカメラシステムで0.5Hzがベストであったものに過ぎない。抽出すべき低周波成分は、カメラあるいは交換レンズにおける種々の条件によって異なるので、予め実験によって求めるのがよい。
【0032】
また角度振れに関する物理量として角速度を用いたが、角速度以外の角度振れ情報でもよい。さらに、本発明はカメラボディと撮影レンズとが一体化されたカメラに適用できる他、カメラ用の交換レンズ単体にも適用できる。またカメラ以外の光学機器、例えば双眼鏡やその他の光学機器にも同様に本発明を適用できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、角度振れに応じた像振れ量のうちの所定周波数以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出し、これを角度振れに応じた像振れ量から差し引くことで、角度振れと平行振れとを加味した最終的な像振れ量を求め、最終的な像振れ量に基づいて像振れ補正動作を行うようにしたので、平行振れを検出するセンサを追加することなく平行振れをも加味した像振れ補正動作を行え、以てコストアップを招くことなく像振れ補正効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態における像振れ補正カメラの要部構成図。
【図2】振れ補正駆動部の構成を示す図。
【図3】マクロ撮影時における実際の像振れの様子を時間軸に沿って表した図。
【図4】図3の像振れを角度振れ成分と平行振れ成分とに分解した各波形を示す図。
【図5】図3および図4の像振れに対し、角度振れ成分のみを補正した場合の像振れ状態を示す図。
【図6】角速度センサの出力から演算された像振れ(角度振れに起因する像振れ)を低周波成分と高周波成分とに分割した波形を示す図。
【図7】角速度センサの出力から演算された像振れと、図6の低周波成分(平行振れ成分)とを合成した波形を示す図。
【図8】図7で得られた波形に基づいて像振れ補正動作を行った場合の像振れ状態を示す図。
【図9】振れ補正駆動信号演算部の詳細を示すブロック図。
【図10】像振れ補正動作の手順を示すフローチャート。
【図11】角度振れと平行振れの双方を加味して像振れ補正を行った場合と、角度振れのみを加味して像振れ補正を行った場合の像振れ補正結果を比較する図。
【符号の説明】
10 角速度センサ
20 振れ補正駆動信号演算部
21 基準値演算部
22 積分部
23,25,26 ゲイン設定部
24 ローパスフィルタ
27,28 減算部
30 振れ補正駆動部
【発明の属する技術分野】
本発明は、像振れ補正機能を有する光学装置およびカメラ用交換レンズ、並びに振れ検出装置に関し、簡単な構成で振れ検出精度を向上させるものである。
【0002】
【従来の技術】
写真撮影における像の振れは、手振れ等に起因するカメラの振動によって露光中に結像面(フィルム面)の像が動いてしまうことにより発生する。このようなカメラの振動に起因する像振れを光学的に補正可能な像振れ補正装置を備えたカメラが実用に供されている。像振れ補正装置は、光軸と直交する方向に移動することで像の位置をシフト可能な振れ補正レンズと、カメラの振れを角速度として検出する角速度センサとを備え、角速度センサの出力を時間で積分して角度振れ量を得る。そして、その角度振れ量に基づいて像振れ量を演算し、演算された像振れ量に基づいてその像振れを打ち消す方向に振れ補正レンズを駆動制御する。これにより手振れ等に起因する像振れを抑えて良好な写真画像を得ることができる。
ここで、撮影時におけるカメラの振れは、角度振れと平行振れとが合成された振れである。角度振れとは、任意の軸を中心とする回転方向、つまりカメラが傾く方向の振れであり、平行振れとは、任意の軸と平行にカメラがシフトする振れである。平行振れは、撮影倍率が低いときにはさほど問題とならないが、マクロ撮影などの高倍率撮影時には像振れの大きな要因となる。
【0003】
しかしながら、従来の像振れ補正カメラの多くは、振れ検出器として角速度センサしか備えておらず、上記角度振れは検出できても平行振れは検出できない、換言すれば角度振れに起因する像振れは補正できても平行振れに起因する像振れは補正できない。このため像振れ補正装置を備えていても、マクロ撮影等の高倍率撮影時の像振れは補正しきれない。
【0004】
このような平行振れに起因する像振れをも補正するために、角速度センサに加えて平行振れを検出するセンサを追加し、この平行振れセンサの検出出力をも加味して振れ補正光学系を駆動制御することが考えられる(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−10143号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、平行振れセンサを追加すると、2種類のセンサが必要となるためコストアップおよびカメラの大型化を招来する。
【0007】
本発明は、角度振れ情報から平行振れを検出する振れ検出装置,像振れ補正機能を有する光学装置およびカメラ用交換レンズを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1〜3の発明に係る像振れ補正機能を有する光学装置は、像振れ補正光学系を含む光学系と、光学装置に加わる角度振れを検知して角度振れに応じた像振れ量を得る角度振れ検出装置と、角度振れに応じた像振れ量のうちの所定周波数以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出する抽出装置と、平行振れ成分として抽出した低周波成分を角度振れに応じた像振れ量から差し引くことで、角度振れと平行振れとを加味した最終的な像振れ量を求める減算装置と、像振れを補正すべく、最終的な像振れ量に基づいて像振れ補正光学系を駆動する駆動装置とを具備し、これにより上記問題点を解決する。
特に請求項2の発明は、検出装置の検出出力から、振れがないと仮定したときの検出装置の出力に相当する周波数成分を差し引き、更に平行振れ成分として抽出した低周波成分を差し引き、平行振れ成分として抽出した低周波成分は、振れがないと仮定したときの検出装置の出力に相当する周波数成分よりも高いものである。
請求項3の発明は、0.3〜0.7Hz以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出するようにしたものである。
請求項4〜6の発明は、カメラ用交換レンズに適用したものである。
請求項7〜10の発明に係る振れ検出装置は、装置に加わる角度振れを検知して角度振れ関連情報を得る角度振れ検出部と、角度振れ関連情報のうちの所定周波数以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出する抽出部とを備えるものである。
特に請求項8の発明に係る振れ検出装置は、平行振れ成分として抽出した低周波成分を角度振れ関連情報から差し引くことで最終的な振れ関連情報を求める減算部を更に備えるものである。
請求項9,10は、請求項2,3と同様の限定をそれぞれ加えたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1〜図11により本発明を像振れ補正カメラに適用した場合の一実施形態を説明する。
図1はカメラの像振れ補正装置を中心とする構成を示している。撮影光学系OPは、振れ補正レンズ40,フォーカスレンズ50およびズームレンズ70を備え、振れ補正レンズ40は光軸Iと直交する方向に、フォーカスレンズ50およびズームレンズ70は光軸I方向にそれぞれ移動可能に支持される。振れ補正レンズ40をカメラの振動に応じて駆動することで像振れ補正がなされる。
【0010】
カメラの振動は角速度センサ10により検出される。角速度センサ10は、手振れ等に起因するカメラの振動をコリオリ力を利用して角速度として検出し、その検出結果を電圧値として出力する。図では簡素化のために角速度センサ10を1個のみ示したが、実際は互いに直交する2軸回りの角速度を検出する必要があるため2個の角速度センサが用いられる。なお、角速度センサ10は電源供給部100から電源が供給されている間のみ角速度の検出が可能である。
【0011】
角速度センサ10の出力信号(以下、振れ検出信号と呼ぶ)は、不図示の増幅器で増幅された後に振れ補正駆動信号演算部20に入力される。振れ補正駆動信号演算部20には、角速度センサ10からの振れ検出信号の他に、被写体距離検出部60で得られる被写体距離情報と、焦点距離検出部80で得られる焦点距離情報とが入力される。被写体距離検出部60は例えば周知の距離エンコーダで構成され、フォーカスレンズ50の位置から被写体距離情報を得る。焦点距離検出部80は、例えば周知のズームエンコーダにて構成され、ズームレンズ70の位置から焦点距離情報を得る。振れ補正駆動信号演算部20は、上記の入力情報に基づいて振れ補正レンズ40を駆動するための駆動信号を演算する。その演算方法については後で詳述するが、演算された駆動信号は振れ補正駆動部30に入力される。
【0012】
振れ補正駆動部30は、図2に示すように、ヨーク31,マグネット32,コイル33から成る電磁アクチュエータと、赤外線発光ダイオード(以下、IRED)34,スリット板35,PSD(Position Sensitive Device)37から成る光学的位置検出装置とを備える。そして、上記振れ補正駆動信号演算部20からの駆動信号(駆動電流)がコイル33に流れることで振れ補正レンズ40が駆動される。すなわち、コイル33はヨーク31とマグネット32により形成される磁気回路内に置かれており、コイル33に電流が流れるとフレミングの左手の法則によりアクチュエータに駆動力が発生し、この力が鏡筒42、すなわち振れ補正レンズ40を光軸Iと直交する方向に動かす。
【0013】
振れ補正レンズ40の動きは光学的位置検出装置によりモニタされる。IRED34からの光はスリット板に35に形成されたスリット36を通過することで光線の幅を絞られ、PSD37に到達する。PSD37はその受光面上の光の位置に応じた信号を出力する。スリット板35は鏡筒42と一体のため、振れ補正レンズ40の動きがスリット36の動き、つまりPSD受光面上の光の動きとなり、したがってPSD出力が振れ補正レンズ40の位置を表す位置信号となる。この位置信号は上記振れ補正駆動信号演算部20にフィードバックされ、振れ補正レンズ40のフィードバック駆動制御が行われる。
【0014】
図1において、半押しタイマ90は、半押しスイッチSW1のオン、つまり不図示のレリーズボタンの半押し操作でオンとなり、半押しスイッチSW1がオンの間はオン状態を保持する。また半押しスイッチSW1がオフされても一定時間はオン状態を保持する。半押しタイマ90がオンの間は、角速度センサ10を始めカメラボディおよび撮影光学系内で電源を必要とする箇所に電源供給部から電源が供給され続け、半押しタイマ90がオフすると各部への電源供給が断たれる。したがって、振れ検出および像振れ補正動作は半押しスイッチSW1のオンに伴って開始され、半押しタイマ90がオンの間は繰り返し実行される。また全押しスイッチSW2は、レリーズボタンの全押し操作に連動してオンし、そのオンによりシャッタの開閉やその後のフィルム1駒巻上げが行われる。
【0015】
次に、本実施形態における像振れ補正について更に詳しく説明する。
上記角速度センサ10は、カメラが所定の軸を中心として回転する際の角速度を検出するものであり、その検出出力を積分することで角度振れ量が得られる。この角度振れ量をθ(rad)としたとき、その角度振れによって発生する像振れ量(像面における像の振れ量)Da(mm)は、
Da=f・(1+β)2・θ・・・(1)
ただし、f(mm)は撮影光学系の焦点距離、βは撮影倍率
となる。撮影倍率βは、被写体までの距離a(mm)と焦点距離fとから、
β=f/(a−f)・・・(2)
にて得られる値である。
【0016】
ところで、上記角速度センサ10はあくまでも角速度、つまり角度振れに応じた量を検出するものであり、カメラが平行にシフトする動き(平行振れ)は検出できない。例えばカメラが一切傾くことなく上下左右に大きく振れたとしても角速度センサの出力はゼロである。しかし、実際のカメラ振れには角度振れだけでなく平行振れも含まれており、この平行振れもまた像振れの原因となる。今、平行振れ量をd(mm)としたとき、その平行振れによる像振れ量Ds(mm)は、上記撮影倍率βを用いて
Ds=β・d・・・(3)
で表される。つまり平行振れによる像振れ量は、角度振れによる像振れほどではないにせよ撮影倍率βが高くなるに従って大きくなる。このため撮影倍率βが低いときには平行振れに起因する像振れはさほど問題にならないが、高倍率撮影時、特にマクロ撮影時には大きな問題となる。したがって、かかるマクロ撮影においても像振れを効果的に補正するには、平行振れをも加味して像振れ補正を行う必要がある。
【0017】
本実施形態では、角度振れから平行振れ量を推定し、これを加味して像振れ補正を行う。以下、その原理を説明する。
本発明者らは、カメラの平行振れを撮影者が角度振れによって抑えようとする傾向があることを見出した。すなわち、撮影者がカメラのファインダを覗いているとき、例えば身体が揺れるなどした場合はそれがカメラの平行振れにつながる。撮影者は、このような平行振れに起因する像の振れをファインダで確認すると、その像振れをカメラの傾きを調整することで抑えようとすることが多い。この場合、カメラの角度振れと平行振れと間に相関関係が生じ、角速振れから平行振れを推定することが可能となる。
【0018】
図3はマクロ撮影時における実際の像振れの様子を模式的に表した図であり、便宜上像振れを正弦波と仮定している。この像振れには上記角度振れ成分と平行振れ成分とが含まれている。図4は図3の像振れを角度振れ成分と平行振れ成分とに分解したものである。平行振れ成分(太線)は角度振れ成分と比べて周波数が低く、両成分の符号は逆となっている。符号が逆なのは撮影者が平行振れを角度振れで打ち消そうとした結果である。図5は図4,図3の像振れに対し、角度振れ成分のみを補正した場合の像振れ状態を示している。つまり、従来のように角速度センサの出力をそのまま用いて振れ補正を行った場合に図5のような結果となる。この場合は平行振れ成分が補正されずそのまま像振れとして残ってしまっている。
【0019】
一方、図6は角速度センサ10の出力から演算された像振れ、つまり角度振れに起因する像振れを低周波成分と高周波成分とに分割した波形を示している。低周波成分(太線)は、図4における平行振れ成分(太線)と符号は逆であるものの波形が極めて似ていることが分かる。この現象は複数回の試行でほぼ同様の結果となることが確認された。これから分かることは、撮影者が平行振れを角度振れで抑えようとしたとき、その角度振れに起因する像振れのうちの低周波成分が元々の平行振れに起因する像振れとほぼ同等の波形となるということであり、この低周波成分を平行振れ成分の代替として用いても差し支えないということである。
【0020】
図7は角速度センサ10の出力から得られた角度振れによる像振れと、図6で平行振れ成分として抽出した低周波成分とを合成した波形を示している。上述したように符号が逆となることから、実質的に角度振れによる像振れから低周波成分を差し引いた波形となる。このように平行振れをも加味した波形は、角度振れのみから求めた像振れと比べて図4の像振れ(実際の像振れ)により近くなる。そして図8は、図7で得られた波形に基づいて振れ補正レンズを駆動制御した場合の像振れを示している。図5に比べて像振れの振幅が小さい、つまり従来の像振れ補正方法と比較して振れ補正効果が高いことが分かる。
【0021】
次に、上述の原理を実際にカメラの像振れ補正に適用した場合の構成および動作について説明する。
図9は図1に示した振れ補正駆動信号演算部20の詳細構造を示している。補正駆動信号演算部20は、基準値演算部21,積分部22,ゲイン設定部23,25,26,ローパスフィルタ24および減算部27,28から構成される。基準値演算部21は、振れの基準となる基準値を角速度センサ10からの振れ検出信号により演算する。この基準値は、振れが全くないと仮定したときの角速度センサ出力に相当する。例えば振れ検出信号の低周波成分、例えば0.1Hz未満を基準値としたり、あるいは振れ検出信号の移動平均値を基準値とするのが一般的である。
【0022】
減算部27はセンサ10からの振れ検出信号から上記基準値を差し引き、積分部22に入力する。振れ積分部22は、入力された信号を積分し、角度振れ量θに変換する。この角度振れ量θはゲイン設定部23に入力される。ゲイン設定部23は、焦点距離検出部80から入力した焦点距離情報fおよび被写体距離検出部60から入力した被写体距離情報aに基づいて、上記(2)式により撮影倍率をβを算出する。そして、算出されたβと、焦点距離情報fとを用いて上記(1)式により、角度振れ量θを像振れ量Daに換算する。
【0023】
ローパスフィルタ24は、上記角度振れによる像振れ量Daから低周波成分(例えば、0.5Hz以下の成分)を平行振れ成分として抽出し、これをゲイン設定部25に送る。このように平行振れ成分として抽出した低周波成分は、上記振れがないと仮定したときの検出装置の出力に相当する周波数成分よりも高い。ゲイン設定部25は、入力された低周波成分(平行振れ成分)に基づいて平行振れ量dを求めるとともに、焦点距離情報fおよび被写体距離情報aに基づいて、上記(2)式により撮影倍率βを算出するとともに、このβと、ローパスフィルタ24で得た平行振れ量dとから(3)式により、平行振れによる像振れ量Dsを算出する。減算部28は、角度振れによる像振れ量Daから平行振れによる像振れ量Dsを差し引いて最終的な像振れ量Di、つまり角度振れと平行振れとを加味した像振れ量を求め、これをゲイン設定部26に入力する。上述したように、この像振れ量Diは角度振れのみを加味したものと比べて実際の像振れに近い。
【0024】
ゲイン設定部26は、最終的な像振れ量Diに補正係数を乗じて振れ補正レンズ40の駆動量を算出する。補正係数は、振れ補正レンズ40の駆動量と、振れ補正レンズ40を駆動したときの像の動き量との比に相当するものである。ゲイン設定部26は、算出された駆動量と、上述した光学的位置検出装置にて検出される振れ補正レンズ40の現在位置とに基づいて駆動信号を演算し、振れ補正駆動部30に入力する。
【0025】
図10は上記振れ補正駆動信号演算部20および振れ補正駆動部30を用いた像振れ補正処理の手順を示している。まず半押しスイッチSW1のオン・オフを確認し(ステップS10)、オンであれば半押しタイマ90のオン・オフを確認する(ステップS20)。半押しタイマ90がオンであればステップS50に進み、オフであればこれをオンとする(ステップS30)とともに、角速度センサ10をオンとする(ステップS40)。ステップS50では、振れ補正駆動信号演算部20および振れ補正駆動部30を作動させて振れ補正動作を行う。
【0026】
次いで全押しスイッチSW2のオン・オフを確認し(ステップS60)、オフであればステップS10に戻って上述の処理を繰り返す。全押しスイッチSW2がオンされると、シャッタレリーズ等の一連の撮影動作を行い(ステップS70)、その後ステップS10に戻る。
【0027】
一方、ステップS10で半押しスイッチSW1がオフと判定されると、半押しタイマ90のオン・オフを確認し(ステップS80)、オンであれば上記ステップS50に進む。半押しタイマ90がオフであれば振れ補正レンズ40の駆動を停止し(ステップS90)、振れ補正駆動信号演算部20による演算処理を停止し(ステップS100)、さらに角速度センサ10を停止し(ステップS110)、ステップS10に戻る。
【0028】
ここで、図11は本発明者らが行った実験の結果を示している。これは、上述のように角度振れと平行振れとを加味して像振れ補正を行った場合(A1)と、角度振れのみを加味して像振れ補正を行った場合(A2)と、像振れ補正を全く行わない場合(A3)の3つの条件でそれぞれ複数回の撮影を行い、像振れ軽減の度合いを比較したものである。図の横軸は露光時間、縦軸は良像率(像振れ軽減率)である。撮影倍率はいずれもマクロ域であり、またA1については、角速度センサ10の出力から得られた角度振れのうちの0.5Hz以下の低周波成分を平行振れ成分とみなした。図から分かるように、角度振れと平行振れの双方を加味した方が角度振れのみを加味した場合と比べて像振れ補正効果が高いことが分かる。
【0029】
以上のように本実施形態では、撮影時における撮影者の行動がカメラの角度振れと平行振れと間に相関関係を生ぜしめることに着目し、角速度センサ10の出力から得た像振れ量(角度振れによる像振れ量)の低周波成分を平行振れ成分として抽出するようにした。そして、抽出した平行振れ成分を角速振れ成分から差し引くことで、角度振れと平行振れとを加味した最終的な像振れ量を求め、この最終的な像振れ量に基づいて像振れ補正動作を行うようにした。これにより角度振れのみを加味した場合と比べて高い像振れ補正効果が得られる。また、平行振れを検出するセンサを必要としないので、コストアップおよびカメラの大型化を最小限に抑制できる。
【0030】
以上の実施形態において、振れ補正レンズ40が像振れ補正光学系を、角速度センサ10,基準値演算部21,積分部22およびゲイン設定部23が角度振れ検出装置を、ローパスフィルタ24が抽出装置を、減算部28が減算装置を、振れ補正駆動部30が駆動装置をそれぞれ構成する。
【0031】
なお以上では、0.5Hz以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出した例を示したが、これはたまたま実験で使用したカメラシステムで0.5Hzがベストであったものに過ぎない。抽出すべき低周波成分は、カメラあるいは交換レンズにおける種々の条件によって異なるので、予め実験によって求めるのがよい。
【0032】
また角度振れに関する物理量として角速度を用いたが、角速度以外の角度振れ情報でもよい。さらに、本発明はカメラボディと撮影レンズとが一体化されたカメラに適用できる他、カメラ用の交換レンズ単体にも適用できる。またカメラ以外の光学機器、例えば双眼鏡やその他の光学機器にも同様に本発明を適用できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、角度振れに応じた像振れ量のうちの所定周波数以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出し、これを角度振れに応じた像振れ量から差し引くことで、角度振れと平行振れとを加味した最終的な像振れ量を求め、最終的な像振れ量に基づいて像振れ補正動作を行うようにしたので、平行振れを検出するセンサを追加することなく平行振れをも加味した像振れ補正動作を行え、以てコストアップを招くことなく像振れ補正効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態における像振れ補正カメラの要部構成図。
【図2】振れ補正駆動部の構成を示す図。
【図3】マクロ撮影時における実際の像振れの様子を時間軸に沿って表した図。
【図4】図3の像振れを角度振れ成分と平行振れ成分とに分解した各波形を示す図。
【図5】図3および図4の像振れに対し、角度振れ成分のみを補正した場合の像振れ状態を示す図。
【図6】角速度センサの出力から演算された像振れ(角度振れに起因する像振れ)を低周波成分と高周波成分とに分割した波形を示す図。
【図7】角速度センサの出力から演算された像振れと、図6の低周波成分(平行振れ成分)とを合成した波形を示す図。
【図8】図7で得られた波形に基づいて像振れ補正動作を行った場合の像振れ状態を示す図。
【図9】振れ補正駆動信号演算部の詳細を示すブロック図。
【図10】像振れ補正動作の手順を示すフローチャート。
【図11】角度振れと平行振れの双方を加味して像振れ補正を行った場合と、角度振れのみを加味して像振れ補正を行った場合の像振れ補正結果を比較する図。
【符号の説明】
10 角速度センサ
20 振れ補正駆動信号演算部
21 基準値演算部
22 積分部
23,25,26 ゲイン設定部
24 ローパスフィルタ
27,28 減算部
30 振れ補正駆動部
Claims (10)
- 像振れ補正光学系を含む光学系と、
光学装置に加わる角度振れを検知して角度振れに応じた像振れ量を得る角度振れ検出装置と、
前記角度振れに応じた像振れ量のうちの所定周波数以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出する抽出装置と、
前記平行振れ成分として抽出した低周波成分を前記角度振れに応じた像振れ量から差し引くことで、前記角度振れと平行振れとを加味した最終的な像振れ量を求める減算装置と、
像振れを補正すべく、前記最終的な像振れ量に基づいて前記像振れ補正光学系を駆動する駆動装置とを具備することを特徴とする像振れ補正機能を有する光学装置。 - 前記減算装置は、前記検出装置の検出出力から、振れがないと仮定したときの前記検出装置の出力に相当する周波数成分を差し引き、更に前記平行振れ成分として抽出した低周波成分を差し引き、該平行振れ成分として抽出した低周波成分は、前記振れがないと仮定したときの検出装置の出力に相当する周波数成分よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正機能を有する光学装置。
- 前記抽出装置は、0.3〜0.7Hz以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の像振れ補正機能を有する光学装置。
- 像振れ補正光学系を含む撮影光学系と、
交換レンズに加わる角度振れを検知して角度振れに応じた像振れ量を得る角度振れ検出装置と、
前記角度振れに応じた像振れ量のうちの所定周波数以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出する抽出装置と、
前記平行振れ成分として抽出した低周波成分を前記角度振れに応じた像振れ量から差し引くことで、前記角度振れと平行振れとを加味した最終的な像振れ量を求める減算装置と、
像振れを補正すべく、前記最終的な像振れ量に基づいて前記像振れ補正光学系を駆動する駆動装置とを具備することを特徴とする像振れ補正機能を有するカメラ用交換レンズ。 - 前記減算装置は、前記検出装置の検出出力から、振れがないと仮定したときの前記検出装置の出力に相当する周波数成分を差し引き、更に前記平行振れ成分として抽出した低周波成分を差し引き、該平行振れ成分として抽出した低周波成分は、前記振れがないと仮定したときの検出装置の出力に相当する周波数成分よりも高いことを特徴とする請求項4に記載の像振れ補正機能を有するカメラ用交換レンズ。
- 前記抽出装置は、0.3〜0.7Hz以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出することを特徴とする請求項4または5に記載の像振れ補正機能を有するカメラ用交換レンズ。
- 装置に加わる角度振れを検知して角度振れ関連情報を得る角度振れ検出部と、
前記角度振れ関連情報のうちの所定周波数以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出する抽出部とを備えることを特徴とする振れ検出装置。 - 前記平行振れ成分として抽出した低周波成分を前記角度振れ関連情報から差し引くことで最終的な振れ関連情報を求める減算部を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の振れ検出装置。
- 前記減算部は、前記検出装置の検出出力から、振れがないと仮定したときの前記検出装置の出力に相当する周波数成分を差し引き、更に前記平行振れ成分として抽出した低周波成分を差し引き、該平行振れ成分として抽出した低周波成分は、前記振れがないと仮定したときの検出装置の出力に相当する周波数成分よりも高いことを特徴とする請求項8に記載の振れ検出装置。
- 前記抽出部は、0.3〜0.7Hz以下の低周波成分を平行振れ成分として抽出することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の振れ検出装置。
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