JP2004170508A - マイクロ構造体 - Google Patents

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貴久 加藤
Takayuki Yagi
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Abstract

【課題】光学MEMSに対して,反射防止,偏光,選択波長フィルタなどの光学特性を付与するには、材料の制約、マイクロメートルの加工精度などの困難があった。
【解決手段】基板上に配置された光学機能を有するマイクロ構造体であって、光が入射する面に、前記光の波長より小さい周期の周期構造を有していることを特徴とするマイクロ構造体を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に微小な機械要素、センサ、アクチュエータ、電気回路を集積するMEMS(Micro−Electoro−Mechanical−System)技術、より詳しくは光を利用した光学MEMS技術に関する。
【0002】
【背景技術】
近年、ディスプレイ、プリンタなど多くの分野で光を利用する光学MEMS技術を応用したデバイスの実用化が進んでいる。光学MEMS技術を応用したデバイス(例えば、空間光変調器、光スイッチ、赤外線センサ等)は、エレクトロニクス機器の高機能化、小型化、低コスト化の要求に答えうる一つの有望なキーデバイスである。
【0003】
MEMS技術は、従来、基板上に、電気回路と共にセンサ、アクチュエータなどのマイクロ構造体を半導体デバイス製造プロセスによって集積化する技術として発展している。半導体デバイス製造プロセスで形成可能な様々な材料を基板上に形成し、それらを高精度に加工可能である。MEMS技術により製造され,光を透過したり,反射,吸収するなどの光学機能を持つマイクロ構造体を含むデバイスは光学MEMSと呼ばれる。構造体を微細に作ることによって,集積度を向上させたり,駆動電圧を小さくできるというメリットがあり,今後,光学MEMS技術はさらに発展すると期待される。
【0004】
光を利用する光学MEMSでアクチュエータとして利用され広く知られているデバイスに、空間光変調器がある。例えば、特許文献1等により開示されているマイクロマイクロミラー素子(Digital Micro Mirror:DMD)がある。DMD素子は、対応するアドレス指定メモリセルのアレイ上に製造された、双安定可動マイクロミラーアレイである。メモリ出力に応じてミラーは光を2方向(+または−10°)の内の1方向に反射することができる。
【0005】
また、別の例として、特許文献2等により開示されているディスプレイ用途に開発されたグレイティングライトバルブ素子(Grating Light Valve:GLV)がある。更に、多重光束干渉を利用して、透過率を変化させることで光を変調する干渉性変調素子も、特許文献3、4などで提案されている。一方、センサとしては、例えば、非特許文献1に示されるような、基板と空隙を有して中空に構成されたボロメータアレイで形成された赤外線エリアセンサ等がある。
【0006】
ところで,光学MEMSを構成しているアクチュエータまたはセンサは、それらが持つ光学機能に加えて,反射防止、偏光、波長選択特性等の別の光学特性を付加することにより、光学MEMSを一層高性能とすることができる。
【0007】
反射防止膜は、レンズやミラーなど多くの光学素子に用いられるが、光MEMSのマイクロ構造体は、光の入射面が可動であることが多く、しかも、通常複数のマイクロ構造体を含んでいる。したがって、個々のマイクロ構造体それぞれに反射防止機能があることが望まれる。
【0008】
偏光機能も、通常は、外付けの1枚ないし2枚の偏光板によって作られる。しかし、空間光変調器を構成する個々の変調要素ごとに独立に偏光特性をもたせることができれば、偏光方向を隣り合わせに交互に配置して、2つの偏光方向の画像を交互に出力する空間光変調器が可能になり、立体表示などへの応用が期待できる。
【0009】
また、色選択機能もマイクロ構造体にとっては重要な付加機能である。例えば、上記DMDをカラーディスプレイに用いる場合、隣り合う3つのマイクロミラーが、それぞれR、G、Bの異なる色の光を反射するならば、これを直ちにカラーディスプレイにすることができる。
【0010】
【特許文献1】
USP5083857
【特許文献2】
USP5311360
【特許文献3】
特表2000−500245号公報
【特許文献4】
特表平10−500224号公報
【非特許文献1】
Sensors And Actuators A73 pp222−231
1999
【非特許文献2】
電子情報通信学会論文誌 C Vol.J83−C No.3 pp。173−181 2000
【非特許文献3】
Journal of Optical Society of America,A,Vol.12,no.2 pp.333−339,1995
【非特許文献4】
Journal of Optical Society of America,A,Vol.14,no.7 pp.1627−1636,1997
【非特許文献5】
Journal of Optical Society of America,A,Vol.14,no.7 pp.1617−1626,1997
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来、これら光学MEMSに対して、とくに多数のマイクロ構造体が集積された光学MEMSの個々の要素に対して個別に上記の光学特性を付与することが非常に困難であった。それは、第1に、光学MEMSが半導体デバイス製造プロセスで作製されるので、この方法で加工するためには、使用できる材料に制限があったためである。第2に、反射防止膜、偏光板、カラーフィルタなどの従来の光学素子を作製する作製方法では、マイクロ構造体自体が非常に微小に作られるため、マイクロメートルの寸法オーダを加工することが困難であるためである。
【0012】
このように、基板上に一体に形成されるマイクロ構造体、またはそれらのアレイの個々の要素に、反射防止、偏光、波長選択特性等の光学特性を付与することにより、マイクロ構造体の光学機能を高性能化したもの及びその方法が望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
1.基板上に配置された光学機能を有するマイクロ構造体であって、光が入射する面に、前記光の波長より小さい周期の周期構造を有していることを特徴とするマイクロ構造体を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【0014】
なお、上記の本発明は以下の形態であってもよい。
2.(反射防止構造)
前記周期構造は、錘形誘電体が周期的に配列した凹凸構造であって,入射光の反射防止機能を有する上記1のマイクロ構造体。
3.(偏光素子)
前記周期構造は、屈折率の異なる層が積層された多層誘電体の1次元格子構造であって,入射光の偏光機能を有する上記1のマイクロ構造体。
4.(波長フィルター)
前記周期構造は、屈折率の異なる複数の誘電体が交互に周期配列した1次元格子構造であって,入射光に対して波長選択フィルター機能を有する上記1のマイクロ構造体アレイ。
5.(干渉性光学変調素子)
前記マイクロ構造体が、入射光の干渉面を移動させることにより透過光を変化させる干渉性光学変調素子である上記1のマイクロ構造体。
6.(DMD)
前記マイクロ構造体が、入射光の反射面を回転させることにより反射光の角度を変化させる可動ミラー素子である上記1のマイクロ構造体。
7.(DMD+波長選択膜)
前記周期構造が入射光の反射面に形成され、屈折率の異なる複数の誘電体が交互に周期配列した1次元格子構造であって,入射光に対して波長選択フィルター機能を有する上記6のマイクロ構造体。
8.(カラーDMD)
上記7のマイクロ構造体が、複数個規則配列してなるマイクロ構造体アレイであって、隣接するマイクロ構造体の前記周期構造が、互いに異なる波長選択機能を有するマイクロ構造体アレイ。
9.(交互に配列される偏光フィルター;スペックル低減)
上記3のマイクロ構造体が、複数個規則配列してなるマイクロ構造体アレイであって、前記周期構造が、隣接するマイクロ構造体から射出される光の偏光方向が互いに直交するように形成されるマイクロ構造体アレイ。
10.(透明基板、透過)
前記基板は、前記入射光に関して透明である上記1‐9のマイクロ構造体またはマイクロ構造体アレイ。
11.(撮像素子に用いてシャッター)
被写体像を撮像する撮像素子と、該撮像素子の結像面付近に設けられた前記被写体像からの映像光の光量を変化可能な上記1ないし10のいずれかのマイクロ構造体またはマイクロ構造体アレイと、前記撮像素子に照射された前記映像光の光量及び照射タイミングに応じて検出信号を発生する信号発生手段と、該検出信号に基づいて前記映像光の光量を制御する制御手段とを有する撮像装置。
12.(ピクセルシャッター)
マイクロ構造体またはマイクロ構造体アレイは、前記撮像素子の画素又は予め組分けした画素群と1対1で対応し、それぞれ独立に前記映像光の光量を制御する上記11の撮像装置。
13.(CMOSエリアセンサ)
前記撮像素子は、MOS型固体撮像素子である上記11または12の撮像装置。
14.(画像形成装置)
光源と、該光源から射出された光を変調する上記1ないし10のいずれかのマイクロ構造体またはマイクロ構造体アレイと、該マイクロ構造体またはマイクロ構造体アレイから変調された光が入射する投影光学系と、該投影光学系からの光が入射する受光部からなる画像形成装置であって、
前記投影光学系は、前記マイクロ構造体またはマイクロ構造体体アレイの像を前記受光部に拡大して投影することを特徴とする画像形成装置。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のマイクロ構造体は、基板上に配置された光学機能を有するマイクロ構造体であって、光が入射する面を有し、該面に、前記光の波長より小さい周期の周期構造を有している。このような本発明は、具体的に、図1ないし図17に示す構成において、以下の第1と第2の実施例に対応して実現できる。
【0016】
本発明の実施形態を具体的に説明するため、以下、波長以下の大きさをもつ表面構造とその光学特性について述べる。
【0017】
近年、加工技術の発達によりサブミクロンの構造を作製可能となり、複雑な微細表面構造をもつ回折光学素子の作製が可能となってきている。そして、光学素子において、光の波長より細かい構造をもつ光学素子が、非特許文献2等により紹介され、注目されている。
【0018】
利用する光の波長より短い周期の構造(以下サブ波長構造)をもつ周期格子は回折波を発生しないが、その構造によって光波の透過・反射特性に強く影響する。これらサブ波長構造の周期格子は、光波に対して平均的な屈折率を持った媒質とほぼ等価になり(以下このような効果によって生じる平均的な屈折率のことを有効屈折率と称す)、構造に方向性がある場合は、光学異方性が発生し、複屈折についての操作も可能となる(以下、このように構造の方向性のために発生する複屈折を構造複屈折と称す)。そのため、構造をうまく設計することにより、反射防止構造、偏光制御素子、高効率回折格子、波長選択フィルターなどが作製可能となる。
【0019】
サブ波長の周期構造によって、以下に示すように反射防止、偏光制御、波長選択機能をもった構造を形成できる。
【0020】
(反射防止)
非特許文献3等によって、2次元的に配列された凹凸が、反射防止構造となることが開示されている。
【0021】
図11に示すように表面に四角錘様の凹凸2003を配列したサブ波長の周期構造2002を形成すると、凹凸2003が形成される部材と、周囲の媒質との中間の有効屈折率をもつ薄膜層が存在することと等価となり、この表面での反射が減少する。
【0022】
このように,一般に,錘形誘電体が入射光の波長以下の周期で周期的に配列した凹凸構造を表面に形成することにより,入射光の反射防止ができる。
【0023】
(偏光制御)
非特許文献4等によって、シリコンと酸化シリコンの多層膜構造をサブ波長の周期の格子形状に加工することにより、反射型の偏光制御素子を作製できることが開示されている。
【0024】
図10に示すように、シリコンと酸化シリコンの多層膜をピッチ0.6μmで格子状にエッチングすることにより、格子の溝に沿った偏光成分(TE波)は反射し、格子の溝と垂直な偏光成分(TM波)は透過する。Journal ofOptical Society of America,A,Vol.14,no.7 pp.1627−1636,1997では、赤外光に対して開示しているが、多層膜の構成材料と周期構造を適切に設定することにより、広い波長範囲にわたって同様の偏光特性を得ることが可能である。
【0025】
このように,屈折率の異なる層が積層された多層誘電体の1次元格子構造を,格子周期を入射光の波長以下として表面に形成することにより,入射光の偏光機能を付与することができる。
【0026】
(波長選択フィルタ)
また、非特許文献5等によって、基板上に異なる屈折率の材料の格子構造を形成することで、特定波長だけが反射される波長選択フィルターを作製できることが開示されている。
【0027】
格子のピッチが波長程度の場合、特定波長だけが強く反射され、その他は透過する。非特許文献5では、波長550nmの光に対しての構成が開示されているが、構成材料と周期構造を適切に設定することにより、他波長の光に対して選択性を持つフィルターを形成可能である。
【0028】
このようにして,屈折率の異なる複数の誘電体が交互に周期配列した1次元格子構造を表面に形成することにより,入射光の中から特定波長だけを強く反射する波長選択フィルター膜を作ることができる。
【0029】
以上のサブ波長周期構造は,いずれも,従来の反射防止膜,偏光板,カラーフィルタに用いられる有機ポリマー樹脂などの材料を用いなくても,表面の誘電体周期構造だけで機能が発現するという特徴がある。誘電体としては,金属酸化物,金属フッ化物,金属チッ化物などの無機材料を用いることができ,これらは従来の半導体微細加工プロセスに用いられてきた成膜方法,パタンニング方法,エッチング方法を適用できる。
【0030】
以下,これらの周期構造をマイクロ構造体に形成した本発明の実施形態を説明する。
【0031】
本発明のマイクロ構造体アレイは、基板上に配置された光学機能を有するマイクロ構造体であって、光が入射する面に、上で述べた光の波長より小さい周期の周期構造を有している。すなわち、この周期構造は、
(1)錘形誘電体が周期的に配列した凹凸構造であって,入射光の反射防止機能を有する、
(2)屈折率の異なる層が積層された多層誘電体の1次元格子構造であって,入射光の偏光機能を有する、もしくは
(3)屈折率の異なる複数の誘電体が交互に周期配列した1次元格子構造であって,入射光に対して波長選択フィルター機能を有する。
【0032】
本発明のマイクロ構造体またはマイクロ構造体アレイは、マイクロ構造体の光の入射面にこのようなサブ波長の周期構造を形成するので、基板上に空隙を有して形成されるマイクロ構造体に前述の反射防止、偏光制御、波長選択等の光学特性を付与することができる。これらサブ波長構造の周期格子は、材料物性ではなく、周期構造によって屈折率、複屈折を制御する方法であるため、半導体デバイス製造プロセスで通常作製することができる材料を用いて上記光学特性を達成することができる。そのため、基板上にマイクロ構造体とモノリシックに周期構造を形成可能となる。また、個々のマイクロ構造体に、それぞれ異なった光学特性を付与することができる。
【0033】
特に上記(2)の偏光制御素子を、隣接するマイクロ構造体から射出される光の偏光方向が互いに直交するような向きに配置することで、干渉性の高い光をマイクロ構造体アレイへ入射した場合の射出光に現れるスペックルを低減することができる。偏光方向が直交している光では、干渉性がないため、隣接するマイクロ構造体から射出される光の干渉によるスペックルを抑えることができる。
【0034】
更に、使用する光に対して透明な基板上にマイクロ構造体を形成することによって、簡単な構成で光を透過するマイクロ構造体を実現可能となる。加えて、パッケージングのコストを安価とすることができる。本発明のマイクロ構造体は、スケールが小さいため、外部の塵、湿気、雰囲気圧などの影響を受けやすく、密閉したケースに封入する必要がある。透明基板を用いることにより、マイクロ構造体が形成される基板とパッケージング時のケースに必要な光の入射窓を兼ねることができるため、ケースの構成部材、構造、接着工程などが大幅に簡素化され製造コストを安価とすることができる。さらに、光が基板、可動部分を透過して入射側とは反対側へ射出されるため、他の光学素子と光軸を1直線とできるため、光学要素のアライメントが簡単となる。加えて、レンズを多用する光学系に組み込みやすい。また、透明基板上に作製されているので、マイクロ構造体の変位のような内部の状態を光を用いて調べることができる構成が可能となる。
【0035】
周期構造が形成される箇所は、光が入射される面であれば、必ずしも外部光源からの光がはじめに入射する面でなくてもよい。例えば透過型の光学変調素子において、上記(3)の波長選択フィルタを形成する面は、光源からの光がその光学変調素子にはじめに入射する面であってもよいが、その素子から出射される面であっても、変調機能には影響がない。
【0036】
以下、本発明の適用されるマイクロ構造体の実施形態について説明する。
【0037】
本発明のマイクロ構造体は、外部光源からの光を反射、屈折、透過、吸収、その他の光学的作用を及ぼすことによって機能を発現するデバイスである。これらの機能を持つと同時に、外部信号によって駆動される場合には、電極などの駆動手段を持つ。また、光センサとして機能する場合は、センシング結果を出力するための電気回路を含んでいる。
【0038】
本発明のマイクロ構造体は、可動部とそれを駆動する駆動手段を有する構成としアクチュエータを形成することができる。したがって、本発明では、可動部上にサブ波長の周期構造が一体的に形成されているため、これを個別に駆動することができる。マイクロ構造体を光変調素子、光偏向素子として利用した場合、サブ波長の周期構造により得られる光学特性を更に付加してこれらの素子を高性能化することができることを示している。
【0039】
(干渉性変調素子)
更に、多重光束干渉を利用して透過率を変化させることで、光を変調する干渉性変調素子をマイクロ構造体で構成し、そのマイクロ構造体をアレイ状に配列させて空間変調器とすることができる。この場合のマイクロ構造体は、入射光の干渉面を平行移動させることにより透過光を変化させる干渉性光学変調素子である。干渉性変調素子は、特許文献3,4に開示された素子のように反射型のものが多く知られている。
【0040】
図16は、この反射型の干渉性変調素子の概要を示したものであり、反射器100は、スペーサ102を介して膜104、106、108を含む誘導吸収体105と対抗して配置されており、入射媒体110は誘導吸収体105と片方の境界で接している。光は、入射媒体110より入射し、反射器100により反射され、入射媒体110より射出する。反射器100と誘導吸収体105の間隔Tが可変となっておりこの間隔を変更することで光学特性を変化させることができる。膜104、106、108はたとえば、二酸化ジルコニウム、タングステン、ニ酸化シリコンである。間隔Tを変化させるための構造としては、図17のようなMEMSの構造が採用されている。この構造により静電気により高速に光の変調を行うことができる。図12−図15までは、スペーサとの間隔が異なる場合の光学特性の変化である。各図とも縦軸が反射率、横軸が波長である。
【0041】
図12は、スペーサの間隔がある値の時に示す光学特性であり、図に示したように反射率が可視光域全般にわたって低い状態である。この場合、“黒”を表示している。
【0042】
図13から図15は、それぞれ間隔Tがある値のときの特性であり、それぞれ青、緑、赤を表示していることになる。こうした構造を2次元的に配置し、制御することでカラーの画像を表示することができる。本実施の形態の干渉性変調素子は、特表2000−500245号公報、特表平10−500224号公報等に開示された素子とは異なり、入射面にサブ波長の周期構造を有している。このため、反射防止機能、偏光制御機能を付与して光の利用効率を高めたり、スペックルの低減などを行う事ができる。
【0043】
より具体的には、この干渉性変調素子は、透明基板上に、誘電体層と金属層の組み合わせからなる複数の層を積層した光共振層を有する光入射部と、同様の構成をした光共振層を有する光射出部とが対峙した構造とし、光入射部と光射出部との間隔を変化することができる駆動手段とで構成することができる。光共振層を形成する膜としては、誘電体層として、主に二酸化ジルコニウム、二酸化シリコン等、金属層として主にタングステン等を用いる。
【0044】
(可動マイクロミラー素子)
本発明はまた、マイクロ構造体が、入射光の反射面を回転させることにより反射光の角度を変化させる可動ミラー素子である上記特許文献1で提案された素子(DMD)についても適用できる。
【0045】
DMDのミラー面上に、上記(1)‐(3)の周期構造を形成することにより、反射防止、偏光、波長選択フィルタの機能を付加することができる。
【0046】
マイクロミラー面に反射防止膜を設ける場合は、マイクロミラー自体を透明部材で形成して、マイクロミラー裏面で光を反射させるようにしてもよい。
【0047】
偏光機能を付加する場合は、隣接画素ごとに異なる偏光方向とすることによって、先に述べた干渉によるスペックルを防ぐことができる。あるいは、1画素を2つの直交偏光のマイクロミラーで構成し、相互に駆動することによって、反射光の作る画像全体の偏光方向を交互に切り替えることができる。これを両眼で直交する偏光めがねで見ることにより左右の目で異なる画像を見ることができ、立体表示が可能になる。
【0048】
また、入射光の反射面に、上記(3)の周期構造、すなわち屈折率の異なる複数の誘電体が交互に周期配列した1次元格子構造を形成し,入射光に対して波長選択フィルター機能を持たせることもできる。さらに、隣接するマイクロ構造体が、互いに異なる波長選択機能を有しており、3画素ごとに,それぞれR、G、B付近に選択波長を持つ波長選択フィルタにすることにより,カラー表示ができる。
【0049】
(撮像素子)
本発明のマイクロ構造体アレイを、被写体像を撮像する固体撮像素子の結像面付近に設けて、撮像素子への映像光の透過光量を調節することができる。この場合、撮像素子に照射された映像光の光量と照射された時刻を検出信号として、マイクロ構造体へフィードバックすることにより、光量に応じてマイクロ構造体を制御し、撮像領域に極端に明るい部分と暗い部分が存在した場合でも、撮像領域全体を撮像素子のダイナミックレンジに収め、情報量の多い画像を記録可能となる。
【0050】
更に、固体撮像素子の予め組分けした複数の画素群、より好ましくは単一の画素と、マイクロ構造体を1対1で対応するように配置することで、高精細に透過光量の調節が可能となる。加えて、マイクロ構造体は、撮像素子の画素とスケールがほぼ同一となり、非常に小型であるため重量が軽く、高速に駆動可能となる。そのため、撮像素子のシャッターとしてマイクロ構造体を用いる場合でも、高速なシャッタースピードを得ることができる。また、瞬時に透過光量が調節可能であるため、動画像を撮像する場合にも応用可能となる。また、固体撮像素子は、MOS型固体撮像素子とすることができる。MOS型固体撮像素子は、2次元の画面をXY直角座標系で表し1つ1つの画素を直交するXおよびY選択線で結んでおきn番目のX選択線とm番目のY選択線をスイッチングすることで(n,m)番目の画素の感光部の指定をおこない、そこから信号を取り出す、いわゆるXYアドレス方式の固体撮像素子で、特にスイッチングにMOSトランジスタが用いられているものである。広く用いられているCCD撮像素子と比べ、消費電力が少なく撮像装置を低消費電力とすることができる。
【0051】
(光プリンタ)
また、本発明のマイクロ構造体アレイを光プリンタに応用する画像形成装置の光変調器として利用することができる。光源からの光は、マイクロ構造体アレイ全体を均一に照射するための照明光学系を経て、マイクロ構造体アレイに入射する。マイクロ構造体アレイで変調された光は、投影光学系を経て受光部に静電潜像を形成する。投影光学系は、1枚以上のレンズを有する拡大光学系を有する。拡大光学系では、マイクロ構造体アレイの像を受光部へ拡大して結像するため、全長の小さなマイクロ構造体アレイを用いて、それより大きな画像形成を可能とする。このため、マイクロ構造体アレイのコストを安価とすることができる。加えて、製造における歩留まりも向上し、欠陥の少ないマイクロ構造体アレイを効率良く作製できるため益々安価とできる。
【0052】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
(第1の実施例)
(透過、交互に直交する偏光制御素子付き)
図1、図2(a)(b)を用いて、本発明の第1の実施例であるマイクロ構造体アレイを説明する。本発明のマイクロ構造体は,基板上に配置された光学機能を有するマイクロ構造体であって、光が入射する面に、前記光の波長より小さい周期の周期構造を有しているが、本実施例においては、マイクロ構造体は、偏光機能を有する周期構造が入射面に形成された透過型の干渉性光学変調素子である。
【0054】
図1、図2(a)(b)は、干渉性変調素子アレイ15の4つの干渉性変調素子21の近傍の主要構造を示す図である。実際の素子は、この構造を多数有している。図1は、斜視図、図2(a)は、図1中D−D線での断面図、図2(b)は射出光側から見た上面図を示している。図1の1はガラス基板をあらわしており、入射光はこのガラス基板1を透過する。本実施例では、入射光は、波長780nmのレーザ光である。5a、5bはそれぞれ光の第1の共振層、第2の共振層である。これら第1、第2の共振層は、図2(a)2、3、4に示すように誘電体層あるいは金属層の薄膜から形成されている。2、3,4はそれぞれ二酸化ジルコニウム、タングステン、ニ酸化シリコンで形成される。これらの厚みを適切に選ぶことにより第1、第2の共振層5a、5bが前述の原理で説明した干渉性光変調を可能とする光の共振層として機能する。第2の共振層5bは、アンカー部32によって固定された支柱23により間隔Tを有して図のように形成されている。また一方のアンカー部32は電極30と電気的に接続しており、第2の共振層5bを電気的に接地している。第2の共振層5bは、透明電極31に電圧印加手段33から電圧を印加することにより、静電引力により、第1の共振層5aと第2の共振層5bの間隔T が変化する。Tを変化させることにより、光の吸収と反射・透過の特性が変化することとなり射出光を変調することが可能である。
【0055】
出射光は、図2(b)に示すように、入射光と反対側より射出していく。前述の動作原理の説明どおり、光源ユニット22からの光に対して適切に厚みが設計された共振層5a5bの間隔Tを小さくし、光が吸収するようにすると、透過率が低くなり画像としては“暗”を表示する。また、逆に間隔Tが大きく、第2の共振層5bがガラス基板1側に吸引されていない状態では、光を透過し、画像は“明”を表示する。
【0056】
(SWSの説明、偏光制御素子)
干渉性変調素子21の入射面には入射光の波長より短い周期で、図1、図2(a)(b)に示すような格子構造2001が形成されている。この格子構造2001は、実施の形態で述べたJournal of Optical Society of America,A,Vol.14,no.7 pp.1627−1636,1997等に開示されている偏光制御機能を持った格子構造を、本実施例の波長について適切な設定としたものである。格子構造2001は、図2(b)に示すように、配列される干渉性変調素子21毎に溝の方向が90°シフトするように形成されている。したがって、図2(b)のように、格子構造2001はX方向、Y方向の格子が干渉性変調素子21にそれぞれ形成されている。入射光は、図1に示すように、X方向とY方向に直線偏光された光(以下それぞれp偏光、s偏光とする)を合成した光が入射されている。格子構造2001は、溝に沿った方向に偏光された光を反射し、溝と垂直な方向に偏光された光は透過する偏光制御機能を有している。したがって、射出光は、図1に示すように、隣接する干渉性変調素子21から射出される光が、その偏光方向がお互いに直交する関係となる。偏光が互いに直交する光では、干渉が生じない。そのため、本実施例の干渉性変調素子アレイ15の隣接する素子からの射出光の干渉により生じているスペックルを低減することができる。
【0057】
(駆動方法の説明)
次に本実施例の干渉性変調素子21の駆動方法を説明する。
【0058】
第2の共振層5bは、図2(a)に示すようにそれぞれ、電気的に接地されている。それぞれの第2の共振層5bの下部には、ガラス基板1側に駆動用の透明電極31が1対1で対応して形成される。透明電極31は、図示しない制御用コントローラに接続された電圧印加手段により、形成画像信号に対応した電圧を印加され、間隔Tを制御する。制御用コントローラはシフトレジスタ、バッファー等から形成される制御回路を含み、形成画像信号をそれぞれの干渉性変調素子21へ並列に送るデータに変換し、透明電極31に印加する電圧とそのタイミングを決定する。また、透明電極31には、図示しない絶縁層を表面に有している。この絶縁層は、透明電極の保護と絶縁を行っている。
【0059】
図3には、このときの透明電極31への印加電圧と、間隔Tとの関係を示している。図に示すように間隔Tと印加電圧はヒステリシスを示す。印加電圧が増加するにしたがって、第2の共振層5bは少しずつ引付けられ、間隔Tが僅かに小さくなっていく。閾値Vpでは、第2の共振層5bは透明電極31に瞬間的に引付けられて、透明電極31と接触する。この状態を、ダウン位置と呼ぶ。この状態から、印加電圧をVp以下にしていっても、第2の共振層5bはしばらく透明電極31と接触したダウン位置を保っている。そして、閾値Vrとなると、第2の共振層5bはバネ剛性による復元力が打ち勝って、第2の共振層5bが透明電極31と接触していない状態(この位置をアップ位置と呼ぶ)に復帰する。
【0060】
そして、本実施例では、第2の共振層5bの駆動にこのヒステリシス現象を利用する。全ての干渉性変調素子21の第2の共振層5bは、印加電圧の2つの閾値Vp、Vrの中間であるバイアス電圧Vbが印加される。このバイアス電圧Vbにより第2の共振層5bは、間隔Tの状態(つまり、ダウン位置かアップ位置)を保持できる。形成画像信号に対応して、“明”状態と“暗”状態を切り替える必要がある場合は、図3に示したΔV分の駆動電圧を増減することによって、アップ・ダウン位置の切り替えを行うことができる。
【0061】
このように、静電駆動される干渉性変調素子21は、可動部材である第2の共振層5bの面積が小さく、軽量であり、加えて、干渉性光変調に必要な高々数百nm程度のストロークでよいため、高速に光変調の動作を行うことができる。
【0062】
(干渉性素子の画素サイズ)
図2(b)に示した格子構造2001の領域は、干渉性変調素子21が光変調器として機能する。
【0063】
図2(b)に示すように、干渉性変調素子アレイ15は、解像度(例えば1インチあたりの画素数:DPI)から決定される必要画素数N個の干渉性変調素子21が、図中X方向に一列に配列した構造となっている。図には特に、感光ドラム表面に形成される静電潜像の画素と一対一対応する干渉性変調素子21の1つを破線で囲んで示した。例えば、A4幅サイズ(210mm)を最大記録幅とし、1200DPI相当の解像度を想定すると、必要画素数Nは、10000個程度となる。
【0064】
それぞれの干渉性変調素子21が配列されるX方向のピッチPは約5μm、光変調素子として有効利用域の幅Wは、約4μmである。したがって、干渉性変調素子アレイ15のX方向への全長は、50mm程度となる。X方向と垂直な図中Y方向の有効利用領域長さLも、約4μmとなっておりほぼ正方形の構成となっている。
【0065】
(画像形成装置の説明)
図4は、上記第1の実施例の干渉性変調素子アレイ15を組み込んだ画像形成装置の斜視図である。本発明の画像形成装置は、波長780nmの光を発光する半導体レーザを内蔵した光源ユニット22、上記干渉性変調素子アレイ15、この干渉性素子アレイ15を効果的に照明できるレンズ又はレンズ群で構成される照明光学系14、干渉性変調素子アレイ15で変調した光を拡大する投影光学系11、入射光により表面にライン方向Cに静電潜像(投影像)が形成されるS方向へ回転する感光ドラム20とを備えている。
【0066】
光源ユニット22から出射した光は、1次元配列の干渉性変調素子アレイ15の有効利用部分のみを効果的に照明できるレンズ又はレンズ群で構成された照明光学系14を通過し、干渉性変調素子アレイ15に入射する。
【0067】
干渉性変調素子アレイ15では、照明光学系14からの光を変調、透過し、光は、レンズによって構成されている投射光学系11へ入射される。干渉性変調素子アレイ15には、感光体ドラム20上にライン方向に配列される各画素9に1対1で対応する複数の干渉性変調素子21が1次元に配列されている。
【0068】
投影光学系11は事前に帯電しておいた感光ドラム20表面を干渉性変調素子アレイ15の変調にしたがったパターンに露光し、感光ドラム20表面に静電潜像を形成する。この静電潜像は現像装置101(不図示)から供給されるトナーが感光体ドラム20に付着することで現像されて、トナー像となり、このトナー像を記録紙に転写することで記録紙に印刷を行う事ができる。
【0069】
(投影光学系の説明)
次に図5(a)、(b)を用いて、干渉性変調素子アレイ15からの光が、投影光学系11によって感光ドラム20に静電潜像を形成する関係について説明する。図5(a)(b)は、干渉性変調素子アレイ15、感光ドラム20上でのそれぞれの画素を模式的に示している。図5(a)は、干渉性変調素子アレイ15の個々の干渉性変調素子21における射出光のスポットを示しており、図4(b)は、感光ドラム上の画素9(9a、9b)を示している。投影光学系11の1枚のレンズにより、図4(a)に示す約4μm角のスポットが、図4(b)に示すように約20μm角のスポットに拡大されて感光ドラム20表面に投影される。また、図中の矢印は、偏光方向を示しており、格子構造2001により図4(b)のように互いに直交する方向に直線偏光しており、隣接する画素9の間で干渉が生じない。
【0070】
本実施例の画像形成装置は、投影光学系11により、干渉性変調素子21の幅を小型化し全長を短くした干渉性変調素子アレイ15を用いて、感光ドラム20上に、その全長のほぼ5倍の幅をもつ静電潜像を形成することができる。干渉性素子アレイ10の干渉性変調素子21は、投影光学系11と組み合わせることによって、1対1対応している静電潜像より小さくてよいため、駆動速度が非常に速く、前述の従来の画像形成装置と比べ、本実施形態の画像形成装置の印刷速度を高速化することができる。
【0071】
干渉性変調素子アレイ15は、入射する波長より短い周期の格子構造2001を有しており、格子構造2001の偏光制御機能により、隣接する画素9の干渉に起因して生じているスペックルの発生を低減することができる。
【0072】
また、干渉性変調素子アレイ15は、解像度に応じた必要画素数Nを有しながら、実際の記録幅と比べて全長は、ほぼ5分の1の長さである。干渉性変調素子アレイ15の全長がこのように短いことにより、本実施形態の光変調器を小型に形成できる。更に、素子のコストを安価とすることができる。加えて、歩留まりよく作製することが容易であるため、益々コストを抑えることができる。
【0073】
更に、素子列の全長が短いことにより、均一に光を入射することが、比較的簡単で、解像度が高く、ムラの少ない高画質の画像形成装置を得ることができる。加えて、光源ユニット21、照明光学系14の開口径が小さくてよく、構成も簡単にできるため、小型、安価とすることができる。
【0074】
(第2の実施例)
(透過、干渉、TFT、反射防止構造付き、ピクセルシャッター)
第1の実施例においては、マイクロ構造体は、偏光機能を有する周期構造が入射面に形成された透過型の干渉性光学変調素子であったが、本発明の第2の実施例においては,反射防止機能を有する周期構造が入射面に形成された透過型の干渉性光学変調素子である。
【0075】
図6、図7、図8を用いて本発明の第2の実施例を説明する。尚、説明の便宜のため第1の実施例にて示した部材と同一機能を有する部材には、同一の符号を付記した。
【0076】
図6は、本発明の第2の実施例のマイクロ構造体アレイの構造を示す斜視図である。図6は6個のマイクロ構造体と、その下の透明電極形成層付近の構成を示している。また、図7は、図6のA−A線での断面図、図8は、本実施例のマイクロ構造体の等価回路図である。図6において、1はガラス基板、5a、5bはそれぞれ光の第1、第2の共振層、31は透明電極、1009は薄膜トランジスタ(TFT)、1010は信号線、1011は走査線、1012は支持部である。
【0077】
図6、図7に示すように、ガラス基板1側から入射した、入射光は、間隔Tを有して対峙している光の共振層5a、5bを透過して、入射側とは反対側に射出していく。本実施例のマイクロ構造体アレイは、多重光束干渉を利用して、透過率を変化させることで光を変調する透過型の干渉性変調素子アレイである。これら第1、第2の共振層は、図7の2、3、4に示すように誘電体層あるいは金属層の薄膜から形成されている。2、3,4はそれぞれ二酸化ジルコニウム、タングステン、ニ酸化シリコンで形成される。これらの厚みを適切に選ぶことにより第1、第2の共振層5a、5bが干渉性光変調を可能とする光の共振層として機能する。多重干渉の原理は前述の特許文献3,4等に開示された素子と同等のもので、間隔Tの変化により、光の吸収と反射・透過の特性が変化することとなり射出光を変調することが可能である。前述の特許文献3,4等に開示された素子との光学的な構成上の違いは、本実施の形態のマイクロ構造体アレイが透過型であり、反射鏡がなく、2つの共振層が間隔Tを有して対峙していることである。
【0078】
一方、ガラス基板1には、図示のように信号線1010、走査線1011が格子状に配置されている。その交点には、薄膜トランジスタ1009が配置され、更に、透明電極31が電気的に接続されている。
【0079】
更に、信号線1010、走査線1011、薄膜トランジスタ1009、透明電極31とは電気的に絶縁する透明絶縁膜1013を介して、図6に示すように支持部1012が形成されている。透明絶縁膜1013は、図2に示すように透明電極31上に形成されている。支持部1012は、入射光に対して不透明な材料で形成されており、例えば反射率の高い金属膜を用いることもできる。本実施例では、アルミニウムを用いた。
【0080】
第2の共振層5bは、アンカー部32によって固定された支柱23により第1の共振層5aと間隔Tを有して図のように形成されている。またアンカー部32は支持部1012と接触しており、第2の共振層5bを電気的に接地している。第2の共振層5bは、透明電極31に電圧印加手段33から電圧を印加することにより、静電引力により、第1の共振層5aと第2の共振層5bの間隔Tが変化する。T を変化させることにより、光の吸収と反射・透過の特性が変化することとなり射出光を変調することが可能である。
【0081】
(画素のサイズ)
図6に示したマイクロ構造体1014の入射光が入射する部分には、図11に示すような四角錘状の凹凸2003が2次元的に配置された周期構造2002が形成されている。この周期構造2002は、前述のJournal of Optical Society of America,A,Vol.12,no.2 pp.333−339,1995等によって開示された反射防止構造と同様の原理で、入射光に対して反射防止を行う事ができる。周期構造2002は、二酸化シリコン層4と同じ二酸化シリコンによって形成されている。したがって、本実施例のマイクロ構造体1014は、入射面に反射防止構造を有しており、入射面での反射損失を低減し、光を有効に透過することができる。
【0082】
図6に示すように、必要画素数N個のマイクロ構造体1014が、2次元配列した構造となっている。それぞれのマイクロ構造体1014が配列されるX方向のピッチPは約10μm、有効利用域の幅Wは、約8μmである。
【0083】
(駆動の説明、静電駆動)
図7に示すようにそれぞれの第2の共振層5bの下部には、ガラス基板1側に駆動用の透明電極31が1対1で対応して形成される。透明電極31には、透明絶縁膜1013を表面に有している。この絶縁層は、透明電極の保護と絶縁を行っている。
【0084】
図3には、このときの透明電極31への印加電圧と、間隔Tとの関係を示している。図に示すように間隔Tと印加電圧はヒステリシスを示す。印加電圧が増加するにしたがって、第2の共振層5bは少しずつ引付けられ、間隔Tが僅かに小さくなっていく。閾値Vpでは、第2の共振層5bは透明電極31に瞬間的に引付けられて、透明電極31と接触する。この状態を、ダウン位置と呼ぶ。この状態から、印加電圧をVp以下にしていっても、第2の共振層5bはしばらく透明電極31と接触したダウン位置を保っている。そして、閾値Vrとなると、第2の共振層5bはバネ剛性による復元力が打ち勝って、第2の共振層5bが透明電極31と接触していない状態(この位置をアップ位置と呼ぶ)に復帰する。
【0085】
本実施例では、可動部である第2の共振層5bの駆動ストロークが、干渉性光変調に必要な高々数百nm程度でよいため、高速に光変調の動作を行うことができる。
【0086】
(TFT駆動)
本実施例の薄膜トランジスタ1009は、通常のポリシリコンTFTである。図8は本実施例の等価回路図である。図には特に、マイクロ構造体1014をキャパシタとして示している。図に示すように、走査線1011、信号線1010は薄膜トランジスタ1009のゲート、ドレインと接続され、それぞれゲートバス、ドレインバスを形成している。また、走査線1011、信号線1010には、それぞれ走査回路、ホールド回路が接続されている。線順次方式で、ゲートバスの走査電極を順順に走査回路によって走査し、1つのゲートバス上の全ての薄膜トランジスタ1009を一時導通状態にする。そこで、ホールド回路からドレインバスを介し、信号をマイクロ構造体1014へ供給する。マイクロ構造体1014は容量性であるため、供給された信号は、次のフレームの走査時までマイクロ構造体1014のアップ、ダウン状態を保持できる。また、このとき共通電極線1017の電位Vcomは一定としている。
【0087】
したがって、アクティブ素子をスイッチ要素とするアクティブマトリックス駆動をマイクロ構造体アレイに対して行うことにより、走査線数に原理的な制限がなく、マイクロ構造体の多数化が可能で、クロストークもなくすことができる。
【0088】
また、薄膜トランジスタは、透明基板上に形成可能で、マイクロ構造体と同一基板に一体形成することができる。さらに、走査回路、ホールド回路のような周辺駆動回路をマイクロ構造体と集積化できるため、マイクロ構造体アレイについて、端子接続の簡易化、デバイスの小型化、高信頼化とできる。
【0089】
(撮像装置)
図9は、本発明の第2の実施例のマイクロ構造体を用いた撮像装置を示す。図示しない被写体からの光は、結像レンズ1002を通過し、MOS型固体撮像素子1001の結像面に結像する。このMOS型固体撮像素子1001の結像面には、第1の実施例で示したマイクロ構造体1014の配列である、干渉性変調素子アレイ15が配置されている。マイクロ構造体1014は、MOS型固体撮像素子1001の各画素と1対1に対応して配置されている。結像レンズ1002より入射する光を、それぞれ個々のマイクロ構造体1014により、対応するMOS型固体撮像素子1001の画素毎に、光量が制御可能となる。
【0090】
(固体撮像素子から制御回路など)
MOS型固体撮像素子1001からの信号が、A/D変換回路1003に供給される。そして、デジタル化された画像データがフレームメモリ1004に書きこまれる。フレームメモリ1004に書きこまれた画像データが制御回路1005に供給され、画像データの光量レベルが判別される。この判別結果のデータがメモリ1006に書きこまれる。このメモリ1006に書きこまれたデータがドライバ1007に供給されて、干渉性変調素子アレイ15が駆動される。
【0091】
更に、フレームメモリ1004に書きこまれた画像データが制御回路1005で、マイクロ構造体1014のそれぞれの透過率に応じた補正を受けて、外部記憶装置1008に供給される。前回の画像データのレベル判別データに基づいて、露出オーバーの画素に対応する干渉性変調素子の透過率がドライバ1007により低下され、露出レベルの低い画素に対応する干渉性変調素子の透過率は高いままとなる。したがって、画像の明るさのダイナミックレンジはMOS型固体撮像素子1001に入射する前に圧縮される。ここで、MOS型固体撮像素子1001からの画像データが、固体撮像素子のダイナミックレンジに収まるまで、再び前述の手順を繰り返すことで、画像の明るさのダイナミックレンジが固体撮像素子のダイナミックレンジ内に圧縮されて、画像データ全体が良好に撮像される。
【0092】
更に、こうして撮像された画像データを、制御回路1005にて、撮像した時のマイクロ構造体1014の各々の透過率に応じた定数をかけることによって、圧縮した明るさのダイナミックレンジを元に戻す変換をおこない、情報量の多い画像データを得ることができる。
【0093】
一般に固体撮像素子は、撮像する光量に対する一定のダイナミックレンジを有しており、光量が多いと飽和が生じ、光量が少ないと出力がノイズに埋もれてしまう。したがって、撮像領域の一部分に極端に明るい領域や暗い領域が存在した場合は、従来の露出の調整では、撮像領域全体に対して、絞りまたはシャッタースピードを変化させることで行われるため、明るい領域または暗い領域のどちらかを切り捨てなければならなかった。
【0094】
本実施例では、MOS型固体撮像素子1001の画素毎に、光量が制御可能となるため、MOS型固体撮像素子1001に照射された映像光の光量と照射された時刻を検出信号として、マイクロ構造体へフィードバックすることにより、撮像領域に極端に明るい部分と暗い部分が存在した場合でも、撮像領域全体を撮像素子のダイナミックレンジに収め、情報量の多い画像を記録可能となる。
【0095】
更に、本実施例では、光量調整としたが、マイクロ構造体1014の状態を透過率の最も高い“明”状態と最も低い“暗”状態の2値的な駆動として、MOS型固体撮像素子1001のシャッターとして用いることができる。この場合、従来のシャッターと比べ、薄型なため、シャッター機構を持った撮像装置を非常に小型にできる。また、干渉性変調素子は小型であるため、駆動スピードが速く、非常に速いシャッタースピードを実現できる。
【0096】
特に、本実施例のマイクロ構造体1014は、可動部に反射防止機能を有する周期構造2002が形成されており、入射面での反射損失を低減し、“明”状態における光量を増加することができる。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、基板上に一体に形成されるマイクロ構造体またはマイクロ構造体アレイの個々の要素に、波長以下の周期構造を与えることにより、反射防止,偏光,波長選択フィルタなどの光学特性を付与することができ、その結果マイクロ構造体の光学機能を高性能化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のマイクロ構造体アレイを示す斜視図である。
【図2】(a)図1D−D線での断面図である。
(b)本発明の第1の実施例のマイクロ構造体アレイを示す上面図である。
【図3】印加電圧と間隔Tとの関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施例の画像形成装置を示す斜視図である。
【図5】(a)干渉性変調素子の干渉性変調素子の有効利用域を示す概略図である。
(b)感光ドラム表面の静電潜像の画素を示す概略図である。
【図6】本発明の第2の実施例のマイクロ構造体アレイを示す斜視図である。
【図7】図6A−A線での断面図である。
【図8】第2の実施例のマイクロ構造体アレイの等価回路図である。
【図9】本発明の第3の実施例の撮像装置を示す構成図である。
【図10】サブ波長の格子構造を示す断面図である。
【図11】サブ波長の周期構造を示す斜視図である。
【図12】干渉性変調素子の特性(黒)
【図13】干渉性変調素子の特性(青)
【図14】干渉性変調素子の特性(緑)
【図15】干渉性変調素子の特性(赤)
【図16】干渉性変調素子の構成図
【図17】干渉性変調素子の反射器の構成を示す概略斜視
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 薄膜
3 薄膜
4 薄膜
5、5a、5b 光共振部
6 反射器
9、9a、9b 画素
10 光変調器
11 投射光学系
14 照明光学系
15 干渉性変調素子アレイ
20 感光体ドラム
22 光源ユニット
23 支柱
24、24a、24b 有効利用域
26 レンズ
30 電極
31 透明電極
32 アンカー
33 電圧印加手段
100 反射器
102 スペーサ
104、106、108 膜
105 誘導吸収体
110 入射媒体
1001 MOS型固体撮像素子
1002 結像レンズ
1003 A/D変換回路
1004 フレームメモリ
1005 制御回路
1006 メモリ
1007 ドライバ
1008 外部記憶装置
1009 薄膜トランジスタ
1010 信号線
1011 走査線
1012 支持部
1013 透明絶縁膜
1014 マイクロ構造体
1015 走査回路
1016 ホールド回路
1017 共通電極線
2001 格子構造
2002 周期構造
2003 凹凸
2004 シリコン層
2005 二酸化シリコン層

Claims (1)

  1. 基板上に配置された光学機能を有するマイクロ構造体であって、光が入射する面に、前記光の波長より小さい周期の周期構造を有していることを特徴とするマイクロ構造体。
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