JP2004170333A - 漏水位置検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】漏水位置の検出時間を短縮させ、漏水位置検出結果をリアルタイムでモニター等に出力することができる漏水位置検出装置を提供する。
【解決手段】遮水膜10の上側及び下側に並べられた複数の上側線状電極及び下側線状電極と、上側及び下側の線状電極との間に電圧を印加する電源11,12 と、複数の線状電極の1本を選択する選択接続手段13と、遮水膜10を挟んで異なる側の線状電極に設けられ、線状電極との間に遮水膜10を介して流れる電流を常時測定する電流測定手段M1〜M8と、選択接続手段13が選択した1本の線状電極に対し複数の電流測定手段M1〜M8が同時にそれぞれの線状電極との間で電流を測定させ、遮水膜10の破損による漏水発生位置L1L3に近い線状電極の組合せになった際に漏水発生位置を検出する処理手段17,18と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】遮水膜10の上側及び下側に並べられた複数の上側線状電極及び下側線状電極と、上側及び下側の線状電極との間に電圧を印加する電源11,12 と、複数の線状電極の1本を選択する選択接続手段13と、遮水膜10を挟んで異なる側の線状電極に設けられ、線状電極との間に遮水膜10を介して流れる電流を常時測定する電流測定手段M1〜M8と、選択接続手段13が選択した1本の線状電極に対し複数の電流測定手段M1〜M8が同時にそれぞれの線状電極との間で電流を測定させ、遮水膜10の破損による漏水発生位置L1L3に近い線状電極の組合せになった際に漏水発生位置を検出する処理手段17,18と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂や合成ゴムなどの電気的絶縁性を有する材料からなる遮水膜を敷設して人工的に造られた貯水池、水路、或いは管理型一般廃棄物最終処分場及び管理型産業廃棄物最終処分場などの遮水工構造物に関し、遮水工構造物の遮水膜に生じる漏水の発生位置を検出する漏水位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
貯水池、水路、或いは管理型一般廃棄物最終処分場及び管理型産業廃棄物最終処分場などの遮水工構造物は、合成樹脂や合成ゴムなどの電気的絶縁性を有する材料からなる遮水膜(遮水シートともいう)を地盤の窪みに敷設して人工的に造られている。
【0003】
かかる遮水膜を用いた人工的な管理型終末処理場においては、遮水膜に亀裂などの破損が生じて処分場内の汚染液が漏水することがある。漏水が発生すると地下水汚染や公害問題が発生するため、定期的に遮水膜の点検を行い、遮水膜に破損が生じていれば漏水箇所を検出して適当な補修を行う必要がある。
【0004】
従来このような遮水膜の漏水部の検出方法として、廃棄物処分場に複数のワイヤー状の線状電極を所定の間隔で設置し、遮水膜の上で電極方向を90°変え、遮水膜の任意の面に設定された1本の線状電極を電源の一方に接続し、他の全ての線状電極を電源の他方に接続する電極選択手段を設けて、先の1本の線状電極が設置された面と遮水膜を介して反対側に設置された電極の1本を選択して電流測定手段により電流を測定し、測定値が他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水発生位置を検出する機能を有する漏水発生位置検出システムが実用化されている。
【0005】
すなわち、この検出装置では、遮水膜の下側に所定の間隔で複数の線状電極を平行に敷設し、遮水膜の上側には下側電極と交差する方向で所定の間隔で複数の線状電極を平行に敷設した電極配置構成を用いる。
【0006】
このような電極配置構成において、遮水膜上下の線状電極を各々1本選択して上下の線状電極間に交流電源による通電を行い、上下の線状電極間に流れる電流を検出して、印加電圧の位相に同期した信号で位相検波を行う。そして、上下の線状電極の各々の交点に於ける位相検波回路の出力電圧の比較から漏水発生位置を検出する。
【0007】
以下に、従来の漏水位置検出装置の一例を、図4を参照して説明する。
この例においては、遮水膜10の上側には線状電極A1〜A8が、遮水膜10の下側には線状電極A1〜A8と交差する方向に線状電極B1〜B8がそれぞれ配置されている。電源に発振回路12で作成された所定の波長の信号が電力増幅回路11で電力増幅された電圧を用いる。電力増幅された出力は第1の選択接続手段(例えば、電極切替器)13Bを介して遮水膜10の下側に設置された線状電極B1〜B8の内の1本と遮水膜10の上側に設置された線状電極A1〜A8と線状電極B1〜B8の内選択されなかった線状電極間に印加される。また、第2の選択接続手段(例えば、電極切替器)13Aは、遮水膜10の上側に設置された線状電極A1〜A8の内の1本を選択して電流検出回路14に接続する。この接続により、遮水膜10の上側に設置された各線状電極A1〜A8に流れる電流が電流検出回路14を介して位相検波回路など電流測定手段に接続される。
【0008】
このような構成によれば、選択された遮水膜10下側の線状電極の1本(例えば、線状電極B3)と選択された遮水膜10上側の線状電極の1本(例えば、線状電極A3)の間に流れる電流が電流検出回路14によって測定される。また、遮水膜10下側の選択された1本の線状電極(例えば、線状電極B3)以外、遮水膜10上下の電位場は、選択されなかった全ての線状電極によって同電位に制御される。位相検波回路15は、電源の印加電圧に同期した位相で電流検出回路14の出力電圧に対して位相検波を行う。この位相検波出力はA/Dコンバータ16でディジタル信号に変換され、パソコン(personal computer )のようなコンピュータ17に与えられる。そして、上下の線状電極の各々の交点(図4では64箇所)における位相検波回路15の出力電圧の比較から漏水発生位置を検出する。
【0009】
このような構成において、遮水膜10に破損が無い場合、遮水膜10の上下において選択された線状電極(例えば、線状電極A3とB3)間に流れる電流は、遮水膜10の静電容量成分を流れる電流だけとなるため90°進み位相となり、交流電源の印加電圧位相によって位相検波すると、非常に小さな測定結果となる。一方、遮水膜10に破損が生ずると、遮水膜10の上下の選択された各1本の線状電極交点が破損箇所の近傍にある場合、大きな電流が測定されるが、前記線状電極交点が漏水から離れている場合、遮水膜10の上下が同電位に制御されているため、破損を通じて流れる電流が抑制され、僅かな電流しか測定されない。このことから、遮水膜10の上下の線状電極の組合せ交点が破損箇所に近い場合には電流の絶対値は大きくなり、且つ印加電圧の位相に近づく傾向を示す。従って、上下の線状電極のそれぞれの交点について電流を測定することにより遮水膜10の破損箇所を検出することが可能となる。
【0010】
【特許文献1】
特開平09−280992号公報
【特許文献2】
特開平10−332522号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述の漏水発生位置検出システムは、遮水膜10の上下の線状電極をそれぞれの選択接続手段(例えば、電極切替器)により順次選択していき得られた組合せ交点(図4では上側8本×下側8本=64箇所)において電流値を測定する構成となっている。従って、廃棄物処分場が小規模であり設置する線状電極が少数であれば、その機能に問題は生じないと思われる。しかし、廃棄物処分場が大規模になったり、狭い間隔で線状電極が多数設置された条件では、順次選択する交点が多数となるので処分場全体の測定に要する時間が長くなり、測定値に基づく漏水位置検出結果をリアルタイムでモニターすることが実用上困難となる。
【0012】
以上から本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、漏水位置の測定時間を短縮させ、漏水位置検出結果をリアルタイムでモニター等に出力することができる漏水位置検出装置を提供することを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために、本発明の漏水位置検出装置は、以下に示す手段を採用した。
すなわち、本発明の漏水位置検出装置は、遮水膜を敷設して造成された遮水工構造物に設けられた漏水位置検出装置において、前記遮水膜の上側にほぼ平行に所定の間隔で並べられた複数の上側線状電極と、該遮水膜の下側にほぼ平行に前記上側の線状電極と交差するように所定の間隔で並べられた複数の下側線状電極と、前記上側線状電極と前記下側線状電極との間に電圧を印加する電源と、前記上側あるいは前記下側の何れかの側の線状電極に設けられ、前記複数の線状電極の1本を選択し、選択した線状電極を前記電源の一方に接続し、前記電源の一方に接続された電極と同じ側の線状電極はすべて前記電源の他方に接続する選択接続手段(例えば、電極切替器)と、前記選択接続手段が設けられた線状電極側と前記遮水膜を挟んで異なる側の線状電極に設けられ、前記異なる側の線状電極それぞれに前記電源の一方に接続された1本の線状電極との間に前記遮水膜を介して流れる電流を常時測定する電流測定手段(例えば、計測器)と、前記選択接続手段が選択し前記電源の一方に接続された1本の線状電極に対し前記複数の電流測定手段が同時にそれぞれ線状電極との間で電流を測定させ、前記遮水膜の破損による漏水発生位置に近い線状電極の組合せになった際に前記電流測定手段の測定値が他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水発生位置を検出する処理手段と、を備えたことを特徴とする(請求項1に相当)。
【0014】
なお、本発明の漏水位置検出装置において、前記電流測定手段(例えば、計測器)が設けられた側の線状電極を複数の電極群に分け、前記電極群毎に前記線状電極を1本選択し、選択した線状電極を前記電極群に対応して設けられた前記電流測定手段に接続する電流測定手段側選択接続手段(例えば、電極切替器)を有することを特徴とする構成が例示できる(請求項2に相当)。
【0015】
この構成によれば、電流測定に用いる電流測定手段(例えば、計測器)を多数設けて、前記選択接続手段(例えば、電極切替器)が選択した1本の線状電極に対してそれぞれの電流測定手段が接続する線状電極との間で同時に測定することが可能となるので測定時間を短縮することができる。
【0016】
本発明の漏水位置検出装置は、前述した必須の構成要素からなるが、その構成要素が具体的に以下のような場合であっても成立する。
すなわち、本発明の漏水位置検出装置において、前記電流測定手段(例えば、計測器)は、前記線状電極との間に前記遮水膜を介して流れる電流を検出する電流検出回路と、この電流検出回路の出力を受けて前記電源の電圧と同相成分ならびに離相成分の検波を行う検波回路とを有し、測定結果を一時的に格納することができる記憶装置を有することを特徴とする構成が例示できる(請求項3に相当)。この例示によれば、計測対象への印加電圧の周波数・波長の情報を基に漏水に流れる電流成分のみ抽出して測定する検波回路のフィルター機能により高周波ノイズや自然電位等の外乱を除去することで、漏水位置を検出する精度を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の漏水位置検出装置において、前記処理手段は、前記選択接続手段により前記電源の一方に接続する線状電極を1本ずつ順次選択させる手段と、前記電流測定手段が電源の一方に接続された電極が配置された遮水膜の反対側の各線状電極と前記電源の一方に接続する線状電極との間で電流を前記電流測定手段により測定させる手段と、前記電源の一方に接続する電極の選択に応じて前記電流測定手段によって測定された測定結果を前記電流測定手段の一時的に格納する記憶装置に記録する手段と、前記電源の一方に接続する電極の選択を全て終了後前記電流測定手段に一時的に記録された測定結果を回収する手段と、前記遮水膜の破損による漏水発生位置に近い線状電極の組合せになった際に前記電流測定手段の測定値が他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水発生位置を検出する手段として機能させる漏水位置検出プログラムを有することを特徴とする構成が例示できる(請求項4に相当)。この例示によれば、測定された測定結果を前記電流測定手段内の記憶装置に一時的に格納し、前記電源の一方に接続する線状電極の選択を全て終了後に前記記憶装置に一時的に記録された測定結果を処理手段側に回収する。即ち、この例示では測定結果を回収する際に、測定毎に行うのではなく、線状電極選択が全て終了した後に回収するので、処理手段がデータを処理する際、トラブル発生が防止でき、計測時間の短縮も図れる。
【0018】
また、本発明の漏水位置検出装置において、前記処理手段は、前記漏水位置検出プログラムに基づき前記選択接続手段を制御すると共に、前記複数の電流測定手段を制御し、前記測定結果および前記漏水発生位置を記憶する制御手段を有することを特徴とする構成が例示できる(請求項5に相当)。
【0019】
更に、本発明の漏水位置検出装置において、前記処理手段は、前記制御手段との間で双方向で通信できる通信手段を有することを特徴とする構成が例示できる(請求項6に相当)。この例示によれば、コンピュータなどの処理手段からモデムなど遠距離・近距離の通信手段によって発信された前記漏水位置検出プログラムに従って前記選択接続手段を制御すると共に、前記複数の電流測定手段を制御することが可能となる。
以上の構成は、可能な限り互いに組み合わせることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態に係る漏水位置検出装置を図面に基づいて詳細に説明する。この実施の形態では遮水工構造物は管理型廃棄物最終処分場の場合として説明する。また、前記遮水工構造物は、合成樹脂や合成ゴムなどの電気的絶縁性を有する材料からなる遮水膜(遮水シートともいう)を地盤の窪みに敷設して造られている。
【0021】
漏水位置検出装置は、図1のブロック図に示すように、遮水膜10の上下に所定の間隔で設置されたワイヤー状の線状電極A1〜A8,B1〜B8と漏水位置を検出する手段11〜13,M1〜M8,17,18を備えている。
【0022】
すなわち、遮水膜10の上側には線状電極A1〜A8が所定の間隔(例えば、等間隔)でそれぞれ配置されている。そして、上側線状電極A1〜A8はそれぞれ計測器M1〜M8と接続し、更に電源に接続している。
一方、遮水膜10の下側には上側線状電極A1〜A8と交差する方向に下側線状電極B1〜B8が所定の間隔(例えば、等間隔)でそれぞれ配置されている。そして、下側線状電極B1〜B8は第1の選択接続手段(例えば、電極切替器)13を介して電源に接続している。
【0023】
電源は、例えば交流電源であり、電力増幅回路11と発振回路12などにより構成される。そして、電力増幅回路11は発振回路12の信号電圧を増幅して出力する回路であり、2端子11b,11cから電圧が印加される。電力増幅回路11の端子11aは、計測器M1〜M8に接続し、電力増幅回路11の出力電圧の位相および波長信号を送る。図1では、出力電圧の位相と波長信号を送る概念を1本の線として示している。電源の端子11cは、選択接続手段である電極切替器13によって選択された線状電極の1本に接続され、電源の端子11bは、電極切替器13によって選択されなかった線状電極と接続されるとともに、線状電極A1〜A8に測定器M1〜M8を構成している電流検出回路14を介して接続される。
【0024】
計測器M1〜M8は、図2に示すように、それぞれが電流検出回路14と位相検波回路15とA/D変換器16と測定データの一時記憶装置20とから構成される。そして、電流検出回路14は、上側線状電極A1〜A8に流れる電流を検出して電圧として出力する。位相検波回路15は、電流検出回路14の出力電圧を電源の印加電圧の同相成分と離相成分を電源からの位相と波長の信号を参照して抽出する。また、計測器M1〜M8は、A/D変換器16を介して電流検出値(アナログ値)をデジタル値に変換し、変換した測定結果を一時記憶装置20に順次記憶し、所定のタイミング(例えば、全ての測定動作が終了した時点)ですみやかに処理手段であるコントローラ18に通知する。
【0025】
コントローラ18は、双方向で通信可能な通信手段であるモデム18aと漏水検出値を一時記憶するメモリー18bを有している。また、コントローラ18は計測器M1〜M8とそれぞれ接続し、計測器M1〜M8が行う計測処理を後述する漏水位置検出プログラムに基づき制御する。
【0026】
コントローラ18側のモデム18aは電話線等の通信回線を介して管理型廃棄物最終処分場(遮水工構造物)とは離れた位置にあるパソコン(personal computer )のようなコンピュータ17及びコンピュータ17側のモデム17aと接続している。コンピュータ17は漏水位置検出プログラムを所定の記録媒体(例えば,RAM)に記録しており、この漏水位置検出プログラムに基づく指令を前記通信回線を介してコントローラ18へ出力する。
【0027】
下側線状電極B1〜B8側に設けられた電極切替器13は、図1に示すように、下側線状電極B1〜B8それぞれに対応した切替スイッチを内蔵している。そして、この切替スイッチは、電力増幅回路11の一方の端子11cに下側線状電極B1〜B8のうちの1本だけ選択して接続し、下側線状電極B1〜B8のうち選択されなかった全線状電極を電力増幅回路11の他方の端子11bに接続する。
【0028】
また、電極切替器13はコントローラ18と接続している。なお、電極切替器13とコントローラ18を結ぶ回路は、漏水位置検出プログラムに基づきコントローラ18が電極切替器13を制御していること示している。すなわち、それぞれの切替スイッチにおいて、電力増幅回路11の一方の端子11cに接続するか他方の端子11bに接続するかの切替動作は、コントローラ18が制御している。
【0029】
次に、漏水位置検出プログラムについて説明する。
漏水位置検出プログラムは、漏水位置検出処理手順に関するプログラムであり、コンピュータ17のRAMやHDD等の記憶媒体に登録されている。漏水位置検出プログラムは、コンピュータ17の実行指示により読み出され、コントローラ18を介してそれぞれの機器に対し漏水位置検出処理を行わせる。
【0030】
すなわち、漏水位置検出プログラムは、切替スイッチ(電極切替器13)が下側線状電極B1〜B8の何れか1本を電力増幅回路11の一方の端子11cに接続し、その他の線状電極を他方の端子11bに接続する切替動作制御と、前述のスイッチ切替動作に合わせて上側線状電極A1〜A8に接続されている計測器M1〜M8の測定開始および測定終了の測定制御と、計測器M1〜M8中に設けられている一時記憶装置20に測定結果を格納し、全ての測定動作が終了した時点で、計測器M1〜M8中の一時記憶装置20に格納されている測定結果をコントローラ18に順次回収する手順と、計測された計測値をモデム17a,18a、電話回線を介してコンピュータ17に送信する制御手順と、前記測定値を演算し、漏水位置を検出する制御手順とを、コンピュータ17に実行させるためのプログラムである。
【0031】
[漏水位置検出処理]
次に、この実施の形態の漏水位置検出装置が行う漏水位置検出処理を説明する。
すなわち、漏水位置検出プログラムに基づきコントローラ18は、切替スイッチ(電極切替器13)に対し下側線状電極B1〜B8の何れか1本を電力増幅回路11の一方の端子11cに接続し、その他の線状電極を他方の端子11bに接続する切替動作制御を行う。また、コントローラ18は、上側線状電極A1〜A8に流れる電流を計測器M1〜M8でそれぞれ同時に計測するよう制御する。そして、計測された各測定値は、切替スイッチ(電極切替器13)が次の測定に移る前に、各計測器M1〜M8中に設けられた一時記憶装置20に測定順に格納するようコントローラ18によって制御される。電極切替器13による一連の測定手順が終了した後、各計測器M1〜M8内に設けられている一時記憶装置20に格納された測定値は、コントローラ18に順次送信されるよう制御される。更に、コントローラ18は、計測された計測値をモデム17a,18a、電話回線を介してコンピュータ17に送信する制御を行う。そして、コンピュータ17は漏水位置検出プログラムに基づき前記測定値を演算し、他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水位置を検出する。
【0032】
そして、遮水膜10に破損が無い場合、遮水膜10の上側線状電極A1〜A8と下側線状電極(図1:B3)間に流れる電流は遮水膜10の容量成分を流れる電流となり、印加電圧の位相に対して進み位相となる。従って、位相検波回路15によって、位相の違いから容量成分に流れる電流は除去されるため、測定電流の絶対値は小さくなり、漏水は検出されない。
【0033】
次に、遮水膜10に破損が生じると、破損箇所(例えば、図1:L1〜L3)の上下において線状電極間には電流が流れ易い。このことから、遮水膜10の上下側の線状電極の組合せ交点(図1では64箇所)が破損箇所L1〜L3に近い場合(B3とA3,A7あるいはB8とA7との組み合わせ)には電流の絶対値は大きくなり、且つ印加電圧の位相に近づく傾向を示す。この測定値の差値を演算することで遮水膜10の破損箇所L1〜L3を検出する。
【0034】
次に、この実施の形態の漏水位置検出装置の作用を説明する。
この実施の形態の漏水位置検出装置は、上側線状電極A1〜A8に接続した計測器M1〜M8を複数(8個)設けたことにより、電極切替器13で選択された1本の下側線状電極に対し交差する8箇所で同時に電流を測定することが可能となった。また、各計測装置M1〜M8に一時記憶装置20を設けたことにより、同時に計測された測定結果をコントローラ18に同時に送信する際のトラブル防止と、計測中の測定結果送信に要する時間を節減することが可能となり、全体としての計測所定時間を短縮することが可能となった、従って、遮水膜10の漏水位置検知を行う際に上下の線状電極の交点が図1に示すように64箇所の場合、従来、電極の交点毎に64回順次電流を測定していたものを、8個(複数)の測定器を設けたことで8回の順次測定に短縮(従来の8分の1)することが可能になり、測定時間が短縮できる。
【0035】
また、この実施の形態によれば、電力増幅回路11から上側線状電極A1〜A8の計測器M1〜M8に接続されている回路は、印加電圧の位相と波長を送るためのもので、図2に示すように、位相検波回路15など漏水に流れる電流の同波長、同位相の電流成分と遮水膜10を流れる静電容量成分に流れる離相成分を抽出するためのものである。これにより、高調波ノイズや自然電流ノイズを除去することができる。
【0036】
更に、コンピュータ17などの処理手段からモデム17a,18aなど遠距離・近距離の通信手段によって発信された漏水位置検出プログラムに従って電極切替器(選択接続手段)13を制御すると共に、複数の計測器(電流測定手段)を制御することが可能となる。また、測定結果は、2台のモデム17a,18aを介してコンピュータ17に回収される。
【0037】
[別の実施の形態]
前述の実施の形態では、上側線状電極A1〜A8に対応して8個の電流測定手段(計測器M1〜M8)を設けた場合を説明したが、電流測定手段が設けられた側の線状電極を複数の電極群に分け、この電極群毎に前記線状電極を1本選択し、選択した線状電極を前記電極群に対応して設けられた前記電流測定手段に接続する電流測定手段側選択接続手段を有する構成のものも別の実施の形態として本発明に含まれる。
【0038】
この別の実施の形態を図3のブロック図に基づき説明する。なお、前述の実施の形態の説明に用いた図1のブロック図と図3のブロック図との相違点は、前述の実施の形態の計測器が8個であるのに対し、別の実施の形態の計測器は2個である点、及び別の実施の形態では、上側線状電極A1〜A8を複数(2つ)の電極群に分け、この電極群に対応して電流測定手段側選択接続手段(電極切替器19A,19B)を設けた点だけである。従って、図3のブロック図において、図1のブロック図の符号と同一符号のものは、図1のものと同一機能を有するものであり、その説明を省略する。
【0039】
この別の実施の形態に係る漏水位置検知装置は、図3に示すように、遮水膜10の上側に設置した上側線状電極A1〜A8を2つの電極群に分け、それぞれの電極群(上側線状電極A1〜A4,上側線状電極A5〜A8)を2個の計測器M11,M12で電流測定する。
【0040】
この場合、計測器は2個に減少しているが、計測器M11,M12に上側線状電極A1〜A8を選択して接続する電流測定手段側選択接続手段(電極切替器)19a,19bが必要となる。
【0041】
一方の電極群(上側線状電極A1〜A4)側に設けられた電極切替器19aは、上側線状電極A1〜A4それぞれに対応した切替スイッチを内蔵している。そして、この切替スイッチは、上側線状電極A1〜A4のうちの1本だけ選択して計測器M11に接続し、上側線状電極A1〜A4のうち選択されなかった全線状電極を電力増幅回路11の他方の端子11bに接続する。
【0042】
他方の電極群(上側線状電極A5〜A8)側に設けられた電極切替器19bは、上側線状電極A5〜A8それぞれに対応した切替スイッチを内蔵している。そして、この切替スイッチは、電極切替器19aと同様に、上側線状電極A5〜A8のうちの1本だけ選択して計測器M12に接続し、上側線状電極A5〜A8のうち選択されなかった全線状電極を電力増幅回路11の他方の端子11bに接続する。
【0043】
また、電極切替器19a,19bはコントローラ18と接続している。なお、電極切替器19a,19bとコントローラ18を結ぶ回路は、漏水位置検出プログラムに基づきコントローラ18が電極切替器19a,19bを制御していることを示している。そして、それぞれの切替スイッチにおいて、計測器M11(あるいは計測器M12)に接続するか電力増幅回路11の他方の端子11bに接続するかの切替動作はコントローラ18が漏水位置検出プログラムに基づき制御する。
【0044】
次に、この別の実施の形態の漏水位置検出装置が行う漏水位置検出処理を説明する。
すなわち、漏水位置検出プログラムに基づきコントローラ18は、切替スイッチ(電極切替器13)に対し下側線状電極B1〜B8の何れか1本を電力増幅回路11の一方の端子11cに接続し、その他の線状電極を他方の端子11bに接続する切替動作制御を行う。また、コントローラ18は、それぞれの電極群(上側線状電極A1〜A4,上側線状電極A5〜A8)の何れか1本を計測器M11(あるいは計測器M12)に接続し、その他の線状電極を電力増幅回路11の他方の端子11bに接続する切替動作制御を行う。次に、コントローラ18は、それぞれの電極群で計測器M11(あるいは計測器M12)と接続する上側線状電極を流れる電流をそれぞれ同時に計測するよう制御する。そして、計測された各測定値は、切替スイッチ(電極切替器13,19a,19b)が次の測定に移る前に、各計測器M11,12中に設けられた一時記憶装置20に測定順に格納するようコントローラ18によって制御される。電極切替器13,19a,19bによる一連の測定手順が終了した後、各計測器M11,12内に設けられている一時記憶装置20に格納された測定値は、コントローラ18に順次送信されるよう制御される。更に、コントローラ18は、計測された計測値をモデム17a,18a、電話回線を介してコンピュータ17に送信する制御を行う。そして、コンピュータ17は漏水位置検出プログラムに基づき前記測定値を演算し、他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水位置を検出する。
【0045】
そして、遮水膜10に破損が生じると、破損箇所(例えば、図3:L1〜L3)の上下において線状電極間には電流が流れ易いことから、遮水膜10の上下側の線状電極の組合せ交点(図3では64箇所)が破損箇所L1〜L3に近い場合(B3とA3,A7あるいはB8とA7との組み合わせ)には電流の絶対値は大きくなり、且つ印加電圧の位相に近づく傾向を示す。この測定値の差値を演算することで遮水膜10の破損箇所L1〜L3を検出する。
【0046】
次に、この別の実施の形態の漏水位置検出装置の作用を説明する。
この別の実施の形態の漏水位置検出装置は、遮水膜10の上側に設置した上側線状電極A1〜A8を2つの電極群に分け、それぞれの電極群(上側線状電極A1〜A4,上側線状電極A5〜A8)を2個の計測器M11,M12で電流測定することにより、電極切替器13で選択された1本の下側線状電極に対し交差する2箇所で同時に電流を測定することが可能となった。また、各計測装置M11,12に一時記憶装置20を設けたことにより、同時に計測された測定結果をコントローラ18に同時に送信する際のトラブル防止と、計測中の測定結果送信に要する時間を節減することが可能となり、全体としての計測所定時間を短縮することが可能となった。従って、従来、電極の交点毎に64回順次電流を測定していたものを、2個(複数)の測定器を設けたことで32回の順次測定に短縮(2分の1)することが可能になり、測定時間が短縮できる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、電流測定に用いる電流測定手段を多数設けて、前記選択接続手段が選択した1本の線状電極に対してそれぞれの電流測定手段が接続する線状電極との間で同時に測定することが可能となるので測定時間を短縮することができる。
【0048】
従って、本発明は漏水位置の検出時間を短縮させ、漏水位置検出結果をリアルタイムでモニター等に出力することができる漏水位置検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】電流測定手段及び処理手段の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の別のの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図4】従来の漏水位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 遮水膜
11 電力増幅回路
12 発振回路
13 第1の電極切替器(選択接続手段)
14 電流検出回路
15 位相検波回路
16 A/D変換器
17 コンピュータ(処理手段)
17a モデム(通信手段)
18 コントローラ(処理手段)
18a モデム(通信手段)
20 一時記憶装置
A1〜A8 上側線状電極
B1〜B8 下側線状電極
M1〜M8,M11,M12 計測器(電流測定手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂や合成ゴムなどの電気的絶縁性を有する材料からなる遮水膜を敷設して人工的に造られた貯水池、水路、或いは管理型一般廃棄物最終処分場及び管理型産業廃棄物最終処分場などの遮水工構造物に関し、遮水工構造物の遮水膜に生じる漏水の発生位置を検出する漏水位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
貯水池、水路、或いは管理型一般廃棄物最終処分場及び管理型産業廃棄物最終処分場などの遮水工構造物は、合成樹脂や合成ゴムなどの電気的絶縁性を有する材料からなる遮水膜(遮水シートともいう)を地盤の窪みに敷設して人工的に造られている。
【0003】
かかる遮水膜を用いた人工的な管理型終末処理場においては、遮水膜に亀裂などの破損が生じて処分場内の汚染液が漏水することがある。漏水が発生すると地下水汚染や公害問題が発生するため、定期的に遮水膜の点検を行い、遮水膜に破損が生じていれば漏水箇所を検出して適当な補修を行う必要がある。
【0004】
従来このような遮水膜の漏水部の検出方法として、廃棄物処分場に複数のワイヤー状の線状電極を所定の間隔で設置し、遮水膜の上で電極方向を90°変え、遮水膜の任意の面に設定された1本の線状電極を電源の一方に接続し、他の全ての線状電極を電源の他方に接続する電極選択手段を設けて、先の1本の線状電極が設置された面と遮水膜を介して反対側に設置された電極の1本を選択して電流測定手段により電流を測定し、測定値が他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水発生位置を検出する機能を有する漏水発生位置検出システムが実用化されている。
【0005】
すなわち、この検出装置では、遮水膜の下側に所定の間隔で複数の線状電極を平行に敷設し、遮水膜の上側には下側電極と交差する方向で所定の間隔で複数の線状電極を平行に敷設した電極配置構成を用いる。
【0006】
このような電極配置構成において、遮水膜上下の線状電極を各々1本選択して上下の線状電極間に交流電源による通電を行い、上下の線状電極間に流れる電流を検出して、印加電圧の位相に同期した信号で位相検波を行う。そして、上下の線状電極の各々の交点に於ける位相検波回路の出力電圧の比較から漏水発生位置を検出する。
【0007】
以下に、従来の漏水位置検出装置の一例を、図4を参照して説明する。
この例においては、遮水膜10の上側には線状電極A1〜A8が、遮水膜10の下側には線状電極A1〜A8と交差する方向に線状電極B1〜B8がそれぞれ配置されている。電源に発振回路12で作成された所定の波長の信号が電力増幅回路11で電力増幅された電圧を用いる。電力増幅された出力は第1の選択接続手段(例えば、電極切替器)13Bを介して遮水膜10の下側に設置された線状電極B1〜B8の内の1本と遮水膜10の上側に設置された線状電極A1〜A8と線状電極B1〜B8の内選択されなかった線状電極間に印加される。また、第2の選択接続手段(例えば、電極切替器)13Aは、遮水膜10の上側に設置された線状電極A1〜A8の内の1本を選択して電流検出回路14に接続する。この接続により、遮水膜10の上側に設置された各線状電極A1〜A8に流れる電流が電流検出回路14を介して位相検波回路など電流測定手段に接続される。
【0008】
このような構成によれば、選択された遮水膜10下側の線状電極の1本(例えば、線状電極B3)と選択された遮水膜10上側の線状電極の1本(例えば、線状電極A3)の間に流れる電流が電流検出回路14によって測定される。また、遮水膜10下側の選択された1本の線状電極(例えば、線状電極B3)以外、遮水膜10上下の電位場は、選択されなかった全ての線状電極によって同電位に制御される。位相検波回路15は、電源の印加電圧に同期した位相で電流検出回路14の出力電圧に対して位相検波を行う。この位相検波出力はA/Dコンバータ16でディジタル信号に変換され、パソコン(personal computer )のようなコンピュータ17に与えられる。そして、上下の線状電極の各々の交点(図4では64箇所)における位相検波回路15の出力電圧の比較から漏水発生位置を検出する。
【0009】
このような構成において、遮水膜10に破損が無い場合、遮水膜10の上下において選択された線状電極(例えば、線状電極A3とB3)間に流れる電流は、遮水膜10の静電容量成分を流れる電流だけとなるため90°進み位相となり、交流電源の印加電圧位相によって位相検波すると、非常に小さな測定結果となる。一方、遮水膜10に破損が生ずると、遮水膜10の上下の選択された各1本の線状電極交点が破損箇所の近傍にある場合、大きな電流が測定されるが、前記線状電極交点が漏水から離れている場合、遮水膜10の上下が同電位に制御されているため、破損を通じて流れる電流が抑制され、僅かな電流しか測定されない。このことから、遮水膜10の上下の線状電極の組合せ交点が破損箇所に近い場合には電流の絶対値は大きくなり、且つ印加電圧の位相に近づく傾向を示す。従って、上下の線状電極のそれぞれの交点について電流を測定することにより遮水膜10の破損箇所を検出することが可能となる。
【0010】
【特許文献1】
特開平09−280992号公報
【特許文献2】
特開平10−332522号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述の漏水発生位置検出システムは、遮水膜10の上下の線状電極をそれぞれの選択接続手段(例えば、電極切替器)により順次選択していき得られた組合せ交点(図4では上側8本×下側8本=64箇所)において電流値を測定する構成となっている。従って、廃棄物処分場が小規模であり設置する線状電極が少数であれば、その機能に問題は生じないと思われる。しかし、廃棄物処分場が大規模になったり、狭い間隔で線状電極が多数設置された条件では、順次選択する交点が多数となるので処分場全体の測定に要する時間が長くなり、測定値に基づく漏水位置検出結果をリアルタイムでモニターすることが実用上困難となる。
【0012】
以上から本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、漏水位置の測定時間を短縮させ、漏水位置検出結果をリアルタイムでモニター等に出力することができる漏水位置検出装置を提供することを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために、本発明の漏水位置検出装置は、以下に示す手段を採用した。
すなわち、本発明の漏水位置検出装置は、遮水膜を敷設して造成された遮水工構造物に設けられた漏水位置検出装置において、前記遮水膜の上側にほぼ平行に所定の間隔で並べられた複数の上側線状電極と、該遮水膜の下側にほぼ平行に前記上側の線状電極と交差するように所定の間隔で並べられた複数の下側線状電極と、前記上側線状電極と前記下側線状電極との間に電圧を印加する電源と、前記上側あるいは前記下側の何れかの側の線状電極に設けられ、前記複数の線状電極の1本を選択し、選択した線状電極を前記電源の一方に接続し、前記電源の一方に接続された電極と同じ側の線状電極はすべて前記電源の他方に接続する選択接続手段(例えば、電極切替器)と、前記選択接続手段が設けられた線状電極側と前記遮水膜を挟んで異なる側の線状電極に設けられ、前記異なる側の線状電極それぞれに前記電源の一方に接続された1本の線状電極との間に前記遮水膜を介して流れる電流を常時測定する電流測定手段(例えば、計測器)と、前記選択接続手段が選択し前記電源の一方に接続された1本の線状電極に対し前記複数の電流測定手段が同時にそれぞれ線状電極との間で電流を測定させ、前記遮水膜の破損による漏水発生位置に近い線状電極の組合せになった際に前記電流測定手段の測定値が他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水発生位置を検出する処理手段と、を備えたことを特徴とする(請求項1に相当)。
【0014】
なお、本発明の漏水位置検出装置において、前記電流測定手段(例えば、計測器)が設けられた側の線状電極を複数の電極群に分け、前記電極群毎に前記線状電極を1本選択し、選択した線状電極を前記電極群に対応して設けられた前記電流測定手段に接続する電流測定手段側選択接続手段(例えば、電極切替器)を有することを特徴とする構成が例示できる(請求項2に相当)。
【0015】
この構成によれば、電流測定に用いる電流測定手段(例えば、計測器)を多数設けて、前記選択接続手段(例えば、電極切替器)が選択した1本の線状電極に対してそれぞれの電流測定手段が接続する線状電極との間で同時に測定することが可能となるので測定時間を短縮することができる。
【0016】
本発明の漏水位置検出装置は、前述した必須の構成要素からなるが、その構成要素が具体的に以下のような場合であっても成立する。
すなわち、本発明の漏水位置検出装置において、前記電流測定手段(例えば、計測器)は、前記線状電極との間に前記遮水膜を介して流れる電流を検出する電流検出回路と、この電流検出回路の出力を受けて前記電源の電圧と同相成分ならびに離相成分の検波を行う検波回路とを有し、測定結果を一時的に格納することができる記憶装置を有することを特徴とする構成が例示できる(請求項3に相当)。この例示によれば、計測対象への印加電圧の周波数・波長の情報を基に漏水に流れる電流成分のみ抽出して測定する検波回路のフィルター機能により高周波ノイズや自然電位等の外乱を除去することで、漏水位置を検出する精度を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の漏水位置検出装置において、前記処理手段は、前記選択接続手段により前記電源の一方に接続する線状電極を1本ずつ順次選択させる手段と、前記電流測定手段が電源の一方に接続された電極が配置された遮水膜の反対側の各線状電極と前記電源の一方に接続する線状電極との間で電流を前記電流測定手段により測定させる手段と、前記電源の一方に接続する電極の選択に応じて前記電流測定手段によって測定された測定結果を前記電流測定手段の一時的に格納する記憶装置に記録する手段と、前記電源の一方に接続する電極の選択を全て終了後前記電流測定手段に一時的に記録された測定結果を回収する手段と、前記遮水膜の破損による漏水発生位置に近い線状電極の組合せになった際に前記電流測定手段の測定値が他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水発生位置を検出する手段として機能させる漏水位置検出プログラムを有することを特徴とする構成が例示できる(請求項4に相当)。この例示によれば、測定された測定結果を前記電流測定手段内の記憶装置に一時的に格納し、前記電源の一方に接続する線状電極の選択を全て終了後に前記記憶装置に一時的に記録された測定結果を処理手段側に回収する。即ち、この例示では測定結果を回収する際に、測定毎に行うのではなく、線状電極選択が全て終了した後に回収するので、処理手段がデータを処理する際、トラブル発生が防止でき、計測時間の短縮も図れる。
【0018】
また、本発明の漏水位置検出装置において、前記処理手段は、前記漏水位置検出プログラムに基づき前記選択接続手段を制御すると共に、前記複数の電流測定手段を制御し、前記測定結果および前記漏水発生位置を記憶する制御手段を有することを特徴とする構成が例示できる(請求項5に相当)。
【0019】
更に、本発明の漏水位置検出装置において、前記処理手段は、前記制御手段との間で双方向で通信できる通信手段を有することを特徴とする構成が例示できる(請求項6に相当)。この例示によれば、コンピュータなどの処理手段からモデムなど遠距離・近距離の通信手段によって発信された前記漏水位置検出プログラムに従って前記選択接続手段を制御すると共に、前記複数の電流測定手段を制御することが可能となる。
以上の構成は、可能な限り互いに組み合わせることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態に係る漏水位置検出装置を図面に基づいて詳細に説明する。この実施の形態では遮水工構造物は管理型廃棄物最終処分場の場合として説明する。また、前記遮水工構造物は、合成樹脂や合成ゴムなどの電気的絶縁性を有する材料からなる遮水膜(遮水シートともいう)を地盤の窪みに敷設して造られている。
【0021】
漏水位置検出装置は、図1のブロック図に示すように、遮水膜10の上下に所定の間隔で設置されたワイヤー状の線状電極A1〜A8,B1〜B8と漏水位置を検出する手段11〜13,M1〜M8,17,18を備えている。
【0022】
すなわち、遮水膜10の上側には線状電極A1〜A8が所定の間隔(例えば、等間隔)でそれぞれ配置されている。そして、上側線状電極A1〜A8はそれぞれ計測器M1〜M8と接続し、更に電源に接続している。
一方、遮水膜10の下側には上側線状電極A1〜A8と交差する方向に下側線状電極B1〜B8が所定の間隔(例えば、等間隔)でそれぞれ配置されている。そして、下側線状電極B1〜B8は第1の選択接続手段(例えば、電極切替器)13を介して電源に接続している。
【0023】
電源は、例えば交流電源であり、電力増幅回路11と発振回路12などにより構成される。そして、電力増幅回路11は発振回路12の信号電圧を増幅して出力する回路であり、2端子11b,11cから電圧が印加される。電力増幅回路11の端子11aは、計測器M1〜M8に接続し、電力増幅回路11の出力電圧の位相および波長信号を送る。図1では、出力電圧の位相と波長信号を送る概念を1本の線として示している。電源の端子11cは、選択接続手段である電極切替器13によって選択された線状電極の1本に接続され、電源の端子11bは、電極切替器13によって選択されなかった線状電極と接続されるとともに、線状電極A1〜A8に測定器M1〜M8を構成している電流検出回路14を介して接続される。
【0024】
計測器M1〜M8は、図2に示すように、それぞれが電流検出回路14と位相検波回路15とA/D変換器16と測定データの一時記憶装置20とから構成される。そして、電流検出回路14は、上側線状電極A1〜A8に流れる電流を検出して電圧として出力する。位相検波回路15は、電流検出回路14の出力電圧を電源の印加電圧の同相成分と離相成分を電源からの位相と波長の信号を参照して抽出する。また、計測器M1〜M8は、A/D変換器16を介して電流検出値(アナログ値)をデジタル値に変換し、変換した測定結果を一時記憶装置20に順次記憶し、所定のタイミング(例えば、全ての測定動作が終了した時点)ですみやかに処理手段であるコントローラ18に通知する。
【0025】
コントローラ18は、双方向で通信可能な通信手段であるモデム18aと漏水検出値を一時記憶するメモリー18bを有している。また、コントローラ18は計測器M1〜M8とそれぞれ接続し、計測器M1〜M8が行う計測処理を後述する漏水位置検出プログラムに基づき制御する。
【0026】
コントローラ18側のモデム18aは電話線等の通信回線を介して管理型廃棄物最終処分場(遮水工構造物)とは離れた位置にあるパソコン(personal computer )のようなコンピュータ17及びコンピュータ17側のモデム17aと接続している。コンピュータ17は漏水位置検出プログラムを所定の記録媒体(例えば,RAM)に記録しており、この漏水位置検出プログラムに基づく指令を前記通信回線を介してコントローラ18へ出力する。
【0027】
下側線状電極B1〜B8側に設けられた電極切替器13は、図1に示すように、下側線状電極B1〜B8それぞれに対応した切替スイッチを内蔵している。そして、この切替スイッチは、電力増幅回路11の一方の端子11cに下側線状電極B1〜B8のうちの1本だけ選択して接続し、下側線状電極B1〜B8のうち選択されなかった全線状電極を電力増幅回路11の他方の端子11bに接続する。
【0028】
また、電極切替器13はコントローラ18と接続している。なお、電極切替器13とコントローラ18を結ぶ回路は、漏水位置検出プログラムに基づきコントローラ18が電極切替器13を制御していること示している。すなわち、それぞれの切替スイッチにおいて、電力増幅回路11の一方の端子11cに接続するか他方の端子11bに接続するかの切替動作は、コントローラ18が制御している。
【0029】
次に、漏水位置検出プログラムについて説明する。
漏水位置検出プログラムは、漏水位置検出処理手順に関するプログラムであり、コンピュータ17のRAMやHDD等の記憶媒体に登録されている。漏水位置検出プログラムは、コンピュータ17の実行指示により読み出され、コントローラ18を介してそれぞれの機器に対し漏水位置検出処理を行わせる。
【0030】
すなわち、漏水位置検出プログラムは、切替スイッチ(電極切替器13)が下側線状電極B1〜B8の何れか1本を電力増幅回路11の一方の端子11cに接続し、その他の線状電極を他方の端子11bに接続する切替動作制御と、前述のスイッチ切替動作に合わせて上側線状電極A1〜A8に接続されている計測器M1〜M8の測定開始および測定終了の測定制御と、計測器M1〜M8中に設けられている一時記憶装置20に測定結果を格納し、全ての測定動作が終了した時点で、計測器M1〜M8中の一時記憶装置20に格納されている測定結果をコントローラ18に順次回収する手順と、計測された計測値をモデム17a,18a、電話回線を介してコンピュータ17に送信する制御手順と、前記測定値を演算し、漏水位置を検出する制御手順とを、コンピュータ17に実行させるためのプログラムである。
【0031】
[漏水位置検出処理]
次に、この実施の形態の漏水位置検出装置が行う漏水位置検出処理を説明する。
すなわち、漏水位置検出プログラムに基づきコントローラ18は、切替スイッチ(電極切替器13)に対し下側線状電極B1〜B8の何れか1本を電力増幅回路11の一方の端子11cに接続し、その他の線状電極を他方の端子11bに接続する切替動作制御を行う。また、コントローラ18は、上側線状電極A1〜A8に流れる電流を計測器M1〜M8でそれぞれ同時に計測するよう制御する。そして、計測された各測定値は、切替スイッチ(電極切替器13)が次の測定に移る前に、各計測器M1〜M8中に設けられた一時記憶装置20に測定順に格納するようコントローラ18によって制御される。電極切替器13による一連の測定手順が終了した後、各計測器M1〜M8内に設けられている一時記憶装置20に格納された測定値は、コントローラ18に順次送信されるよう制御される。更に、コントローラ18は、計測された計測値をモデム17a,18a、電話回線を介してコンピュータ17に送信する制御を行う。そして、コンピュータ17は漏水位置検出プログラムに基づき前記測定値を演算し、他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水位置を検出する。
【0032】
そして、遮水膜10に破損が無い場合、遮水膜10の上側線状電極A1〜A8と下側線状電極(図1:B3)間に流れる電流は遮水膜10の容量成分を流れる電流となり、印加電圧の位相に対して進み位相となる。従って、位相検波回路15によって、位相の違いから容量成分に流れる電流は除去されるため、測定電流の絶対値は小さくなり、漏水は検出されない。
【0033】
次に、遮水膜10に破損が生じると、破損箇所(例えば、図1:L1〜L3)の上下において線状電極間には電流が流れ易い。このことから、遮水膜10の上下側の線状電極の組合せ交点(図1では64箇所)が破損箇所L1〜L3に近い場合(B3とA3,A7あるいはB8とA7との組み合わせ)には電流の絶対値は大きくなり、且つ印加電圧の位相に近づく傾向を示す。この測定値の差値を演算することで遮水膜10の破損箇所L1〜L3を検出する。
【0034】
次に、この実施の形態の漏水位置検出装置の作用を説明する。
この実施の形態の漏水位置検出装置は、上側線状電極A1〜A8に接続した計測器M1〜M8を複数(8個)設けたことにより、電極切替器13で選択された1本の下側線状電極に対し交差する8箇所で同時に電流を測定することが可能となった。また、各計測装置M1〜M8に一時記憶装置20を設けたことにより、同時に計測された測定結果をコントローラ18に同時に送信する際のトラブル防止と、計測中の測定結果送信に要する時間を節減することが可能となり、全体としての計測所定時間を短縮することが可能となった、従って、遮水膜10の漏水位置検知を行う際に上下の線状電極の交点が図1に示すように64箇所の場合、従来、電極の交点毎に64回順次電流を測定していたものを、8個(複数)の測定器を設けたことで8回の順次測定に短縮(従来の8分の1)することが可能になり、測定時間が短縮できる。
【0035】
また、この実施の形態によれば、電力増幅回路11から上側線状電極A1〜A8の計測器M1〜M8に接続されている回路は、印加電圧の位相と波長を送るためのもので、図2に示すように、位相検波回路15など漏水に流れる電流の同波長、同位相の電流成分と遮水膜10を流れる静電容量成分に流れる離相成分を抽出するためのものである。これにより、高調波ノイズや自然電流ノイズを除去することができる。
【0036】
更に、コンピュータ17などの処理手段からモデム17a,18aなど遠距離・近距離の通信手段によって発信された漏水位置検出プログラムに従って電極切替器(選択接続手段)13を制御すると共に、複数の計測器(電流測定手段)を制御することが可能となる。また、測定結果は、2台のモデム17a,18aを介してコンピュータ17に回収される。
【0037】
[別の実施の形態]
前述の実施の形態では、上側線状電極A1〜A8に対応して8個の電流測定手段(計測器M1〜M8)を設けた場合を説明したが、電流測定手段が設けられた側の線状電極を複数の電極群に分け、この電極群毎に前記線状電極を1本選択し、選択した線状電極を前記電極群に対応して設けられた前記電流測定手段に接続する電流測定手段側選択接続手段を有する構成のものも別の実施の形態として本発明に含まれる。
【0038】
この別の実施の形態を図3のブロック図に基づき説明する。なお、前述の実施の形態の説明に用いた図1のブロック図と図3のブロック図との相違点は、前述の実施の形態の計測器が8個であるのに対し、別の実施の形態の計測器は2個である点、及び別の実施の形態では、上側線状電極A1〜A8を複数(2つ)の電極群に分け、この電極群に対応して電流測定手段側選択接続手段(電極切替器19A,19B)を設けた点だけである。従って、図3のブロック図において、図1のブロック図の符号と同一符号のものは、図1のものと同一機能を有するものであり、その説明を省略する。
【0039】
この別の実施の形態に係る漏水位置検知装置は、図3に示すように、遮水膜10の上側に設置した上側線状電極A1〜A8を2つの電極群に分け、それぞれの電極群(上側線状電極A1〜A4,上側線状電極A5〜A8)を2個の計測器M11,M12で電流測定する。
【0040】
この場合、計測器は2個に減少しているが、計測器M11,M12に上側線状電極A1〜A8を選択して接続する電流測定手段側選択接続手段(電極切替器)19a,19bが必要となる。
【0041】
一方の電極群(上側線状電極A1〜A4)側に設けられた電極切替器19aは、上側線状電極A1〜A4それぞれに対応した切替スイッチを内蔵している。そして、この切替スイッチは、上側線状電極A1〜A4のうちの1本だけ選択して計測器M11に接続し、上側線状電極A1〜A4のうち選択されなかった全線状電極を電力増幅回路11の他方の端子11bに接続する。
【0042】
他方の電極群(上側線状電極A5〜A8)側に設けられた電極切替器19bは、上側線状電極A5〜A8それぞれに対応した切替スイッチを内蔵している。そして、この切替スイッチは、電極切替器19aと同様に、上側線状電極A5〜A8のうちの1本だけ選択して計測器M12に接続し、上側線状電極A5〜A8のうち選択されなかった全線状電極を電力増幅回路11の他方の端子11bに接続する。
【0043】
また、電極切替器19a,19bはコントローラ18と接続している。なお、電極切替器19a,19bとコントローラ18を結ぶ回路は、漏水位置検出プログラムに基づきコントローラ18が電極切替器19a,19bを制御していることを示している。そして、それぞれの切替スイッチにおいて、計測器M11(あるいは計測器M12)に接続するか電力増幅回路11の他方の端子11bに接続するかの切替動作はコントローラ18が漏水位置検出プログラムに基づき制御する。
【0044】
次に、この別の実施の形態の漏水位置検出装置が行う漏水位置検出処理を説明する。
すなわち、漏水位置検出プログラムに基づきコントローラ18は、切替スイッチ(電極切替器13)に対し下側線状電極B1〜B8の何れか1本を電力増幅回路11の一方の端子11cに接続し、その他の線状電極を他方の端子11bに接続する切替動作制御を行う。また、コントローラ18は、それぞれの電極群(上側線状電極A1〜A4,上側線状電極A5〜A8)の何れか1本を計測器M11(あるいは計測器M12)に接続し、その他の線状電極を電力増幅回路11の他方の端子11bに接続する切替動作制御を行う。次に、コントローラ18は、それぞれの電極群で計測器M11(あるいは計測器M12)と接続する上側線状電極を流れる電流をそれぞれ同時に計測するよう制御する。そして、計測された各測定値は、切替スイッチ(電極切替器13,19a,19b)が次の測定に移る前に、各計測器M11,12中に設けられた一時記憶装置20に測定順に格納するようコントローラ18によって制御される。電極切替器13,19a,19bによる一連の測定手順が終了した後、各計測器M11,12内に設けられている一時記憶装置20に格納された測定値は、コントローラ18に順次送信されるよう制御される。更に、コントローラ18は、計測された計測値をモデム17a,18a、電話回線を介してコンピュータ17に送信する制御を行う。そして、コンピュータ17は漏水位置検出プログラムに基づき前記測定値を演算し、他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水位置を検出する。
【0045】
そして、遮水膜10に破損が生じると、破損箇所(例えば、図3:L1〜L3)の上下において線状電極間には電流が流れ易いことから、遮水膜10の上下側の線状電極の組合せ交点(図3では64箇所)が破損箇所L1〜L3に近い場合(B3とA3,A7あるいはB8とA7との組み合わせ)には電流の絶対値は大きくなり、且つ印加電圧の位相に近づく傾向を示す。この測定値の差値を演算することで遮水膜10の破損箇所L1〜L3を検出する。
【0046】
次に、この別の実施の形態の漏水位置検出装置の作用を説明する。
この別の実施の形態の漏水位置検出装置は、遮水膜10の上側に設置した上側線状電極A1〜A8を2つの電極群に分け、それぞれの電極群(上側線状電極A1〜A4,上側線状電極A5〜A8)を2個の計測器M11,M12で電流測定することにより、電極切替器13で選択された1本の下側線状電極に対し交差する2箇所で同時に電流を測定することが可能となった。また、各計測装置M11,12に一時記憶装置20を設けたことにより、同時に計測された測定結果をコントローラ18に同時に送信する際のトラブル防止と、計測中の測定結果送信に要する時間を節減することが可能となり、全体としての計測所定時間を短縮することが可能となった。従って、従来、電極の交点毎に64回順次電流を測定していたものを、2個(複数)の測定器を設けたことで32回の順次測定に短縮(2分の1)することが可能になり、測定時間が短縮できる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、電流測定に用いる電流測定手段を多数設けて、前記選択接続手段が選択した1本の線状電極に対してそれぞれの電流測定手段が接続する線状電極との間で同時に測定することが可能となるので測定時間を短縮することができる。
【0048】
従って、本発明は漏水位置の検出時間を短縮させ、漏水位置検出結果をリアルタイムでモニター等に出力することができる漏水位置検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】電流測定手段及び処理手段の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の別のの実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図4】従来の漏水位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 遮水膜
11 電力増幅回路
12 発振回路
13 第1の電極切替器(選択接続手段)
14 電流検出回路
15 位相検波回路
16 A/D変換器
17 コンピュータ(処理手段)
17a モデム(通信手段)
18 コントローラ(処理手段)
18a モデム(通信手段)
20 一時記憶装置
A1〜A8 上側線状電極
B1〜B8 下側線状電極
M1〜M8,M11,M12 計測器(電流測定手段)
Claims (6)
- 遮水膜を敷設して造成された遮水工構造物に設けられた漏水位置検出装置において、
前記遮水膜の上側にほぼ平行に所定の間隔で並べられた複数の上側線状電極と、
該遮水膜の下側にほぼ平行に前記上側の線状電極と交差するように所定の間隔で並べられた複数の下側線状電極と、
前記上側線状電極と前記下側線状電極との間に電圧を印加する電源と、
前記上側あるいは前記下側の何れかの側の線状電極に設けられ、前記複数の線状電極の1本を選択し、選択した線状電極を前記電源の一方に接続し、前記電源の一方に接続された電極と同じ側の線状電極はすべて前記電源の他方に接続する選択接続手段と、
前記選択接続手段が設けられた線状電極側と前記遮水膜を挟んで異なる側の線状電極に設けられ、前記異なる側の線状電極それぞれに前記電源の一方に接続された1本の線状電極との間に前記遮水膜を介して流れる電流を常時測定する電流測定手段と、
前記選択接続手段が選択し前記電源の一方に接続された1本の線状電極に対し前記複数の電流測定手段が同時にそれぞれ線状電極との間で電流を測定させ、前記遮水膜の破損による漏水発生位置に近い線状電極の組合せになった際に前記電流測定手段の測定値が他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水発生位置を検出する処理手段と、
を備えたことを特徴とする漏水位置検出装置。 - 前記電流測定手段が設けられた側の線状電極を複数の電極群に分け、前記電極群毎に前記線状電極を1本選択し、選択した線状電極を前記電極群に対応して設けられた前記電流測定手段に接続する電流測定手段側選択接続手段を有することを特徴とする請求項1に記載の漏水位置検出装置。
- 前記電流測定手段は、前記線状電極との間に前記遮水膜を介して流れる電流を検出する電流検出回路と、この電流検出回路の出力を受けて前記電源の電圧と同相成分ならびに離相成分の検波を行う検波回路とを有し、測定結果を一時的に格納することができる記憶装置を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の漏水位置検出装置。
- 前記処理手段は、
前記選択接続手段により前記電源の一方に接続する線状電極を1本ずつ順次選択させる手段と、
前記電流測定手段が電源の一方に接続された電極が配置された遮水膜の反対側の各線状電極と前記電源の一方に接続する線状電極との間で電流を前記電流測定手段により測定させる手段と、
前記電源の一方に接続する電極の選択に応じて前記電流測定手段によって測定された測定結果を前記電流測定手段の一時的に格納する記憶装置に記録する手段と、
前記電源の一方に接続する電極の選択を全て終了後、前記電流測定手段に一時的に記録された測定結果を回収する手段と、
前記遮水膜の破損による漏水発生位置に近い線状電極の組合せになった際に前記電流測定手段の測定値が他の電極組合せの値よりも上昇または下降することから漏水発生位置を検出する手段として機能させる漏水位置検出プログラムを有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の漏水位置検出装置。 - 前記処理手段は、
前記漏水位置検出プログラムに基づき前記選択接続手段を制御すると共に、前記複数の電流測定手段を制御し、
前記測定結果および前記漏水発生位置を記憶する制御手段を有することを特徴とする請求項4に記載の漏水位置検出装置。 - 前記処理手段は、
前記制御手段との間で双方向で通信できる通信手段を有することを特徴とする請求項5に記載の漏水位置検出装置。
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