JP2004169655A - タービンノズル支持構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃焼器2とタービン動翼4との間に位置し燃焼器からの高温ガスを下流側のタービンに導入するタービンノズル10と、タービンノズルの内側に固定されたノズルサポート部材14と、タービンノズルの外側に固定されたストッパー部材16とを備える。タービンノズル10は、周方向に分割された複数のノズルセグメント12からなる。また各ノズルセグメント12の内方端は、軸方向取付ピン18によりノズルサポート部材に周方向に揺動可能に取付けられ、外方端は、熱膨張可能にストッパー部材に部分的に嵌合する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービンのタービンノズル支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
タービンノズルは、[非特許文献1]の図5に記載されているように、ノズルガイドベーン(静翼)を環状に並べたもので、ベーンとその支持構造物とからなる。
【0003】
【非特許文献1】
新航空工学講座8、ジェット・エンジン(構造編)、社団法人日本航空技術協会
【0004】
タービンノズルは、燃焼器からの高温ガスを加速して下流側のタービンに導入する機能を有する。そのため、タービンノズルは、出入口間の静圧降下により前後方向に大きな圧力荷重を受ける。また、タービンノズルは、エンジン流路の高温ガスとタービン構造体を流通する冷却空気にさらされるので、大きな熱勾配にさらされる。従って、熱勾配の影響を最小にし、かつ静翼に作用する圧力荷重に対処するように、タービンノズルをガス流路内に支持する支持構造が必要となる。
【0005】
この要望を満たすために、[特許文献1]の「タービンノズル支持体」が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−187259号公報
【0007】
[特許文献1]の「タービンノズル支持体」は、図5〜7に示すように、ガスタービンノズルが複数のノズルセグメント20を含み、各ノズルセグメントは、内側および外側シュラウドセグメント24、22により支持された1対のノズル静翼26を有する。各内側シュラウドセグメント24に周方向保持スロット44と半径方向スロット48が周方向に整合して配設される。また、係止タブ40と係止スロット42が各内側シュラウドセグメント24の一端と他端にそれぞれ配設され、隣り合うフランジセグメント34と相互に係合する。360度保持リング60に複数の周方向保持タブ62と半径方向保持タブ76が含まれ、対応するフランジセグメントと係合して全ノズルセグメントをガスタービン燃焼器の出口の周囲に沿う周方向リングとして固定するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した[特許文献1]の「タービンノズル支持体」では、ノズルセグメント20の取付フランジ34を360度保持リング60とノズル支持フランジ68との間に挟持することでノズルセグメント20の全体を位置決めしている。しかし、この構造では、取付フランジ34の厚さを大きくして内端の取付フランジ34を完全拘束すると、高温にさらされた使用時にフランジ部に高い熱応力が発生して寿命が低下するおそれがある。また、逆に取付フランジ34の厚さを小さくして熱応力の発生を防止すると、取付フランジ34の前後に生じる隙間により、タービンノズル本体がエンジン前方に傾くおそれがある。このノズル前倒れが生じると、ノズル効率が低下し、タービン性能ひいてはガスタービン全体性能が低下することとなる。
【0009】
また、ノズルの前倒れ防止支持構造として、燃焼器ライナーとのシール部に保持部を設ける手段も知られているが、この場合、前倒れは防止できるもののシール面からのリークがあり、エンジン全体の性能が低下する問題点がある。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、内側の高温ガスと外側の冷却空気にさらされた状態において、熱応力を低く抑え、ノズルの前倒れを防止し、これによりノズル効率低下を防止することができ、かつノズルの内側と外側間のシール性能を保持することができるタービンノズル支持構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、燃焼器(2)とタービン動翼(4)との間に位置し燃焼器からの高温ガスを下流側のタービンに導入するタービンノズル(10)と、該タービンノズルの内側に固定されたノズルサポート部材(14)と、タービンノズルの外側に固定されたストッパー部材(16)とを備え、前記タービンノズル(10)は、周方向に分割された複数のノズルセグメント(12)からなり、各ノズルセグメント(12)の内方端は、軸方向取付ピン(18)によりノズルサポート部材に周方向に揺動可能に取付けられ、外方端は、熱膨張可能にストッパー部材に部分的に嵌合し、これにより前倒れ防止と共に周方向の倒れも防止する、ことを特徴とするタービンノズル支持構造が提供される。
【0012】
上記本発明の構成によれば、タービンノズル(10)を構成する各ノズルセグメント(12)の内方端が、軸方向取付ピン(18)によりノズルサポート部材に周方向に揺動可能に取付けられるので、各ノズルセグメント(12)の周方向位置をピンにより位置決めし、かつこのピンを中心として半径方向及び周方向に自由に熱膨張することができ、これにより内側の高温ガスと外側の冷却空気にさらされた状態において、熱応力を低く抑えることができる。
【0013】
また、各ノズルセグメント(12)の外方端は、熱膨張可能にストッパー部材に部分的に嵌合するので、これにより前倒れ防止と共に周方向の倒れも防止することができる。
さらに、ノズルセグメント(12)の各部分が自由に熱膨張するが前倒れ防止と共に周方向の倒れも防止されるので、前後方向及び周方向の変位が少なく隙間が発生しないので、ノズルの内側と外側間のシール性能を保持することができる。
なお、後述するように、ノズルセグメント(12)の後方向は、Eシール(9)で弾性的に支持されている。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ノズルセグメント(12)は、その内方端から半径方向内方に張出した内側フランジ(12a)とその外方端から半径方向外方に張出した外側フランジ(12b)とを有し、内側フランジ(12a)には軸方向貫通孔(13)が設けられ、該軸方向貫通孔を貫通する取付ピン(18)によりノズルサポート部材(14)に周方向に揺動可能に取付けられ、外側フランジ(12b)は、さらにその外方端に半径方向外方に張出したタブ(12c)を有し、これにより外側フランジ(12b)の軸方向前面がストッパー部材に係止して前倒れを防止し、タブ(12c)が、ストッパー部材に設けられた凹部(16a)に嵌合し周方向の倒れを防止する。
【0015】
この構成により、軸方向貫通孔(13)を貫通する取付ピン(18)により、ノズルセグメント(12)の周方向位置を位置決めし、熱膨張及び周方向に揺動可能に取付けることができる。
また、外側フランジ(12b)の軸方向前面とストッパー部材との係合によりノズルセグメント(12)の前倒れを防止し、かつタブ(12c)が、ストッパー部材に設けられた凹部(16a)に嵌合することにより周方向の倒れを防止することができる。
【0016】
また、前記ストッパー部材(16)は、ケーシング(6)との周方向位置決めのための嵌合部(16b)を有する。
この構成により、嵌合部(16b)がケーシング(6)と嵌合することにより、ストッパー部材(16)を周方向に位置決めし、ストッパー部材(16)に設けられた凹部(16a)の周方向位置を正確に位置決めすることができる。
なお、ストッパー部材(16)は、その外周部をケーシング(6)に固定し或いはケーシングのフランジ部で挟持することにより、軸方向に位置決めされる。
【0017】
更に、ノズルセグメント(12)の前端部と燃焼器との間をシールするシールプレート(8)と、ノズルセグメント(12)の後端部とケーシングとの間をシールするEシール(9)とを備える、ことが好ましい。
上述した構成により、ノズルセグメント(12)の前後方向の変位が少ないので、シールプレート(8)とEシール(9)によりノズルセグメント(12)の前後をシールすることにより、ノズルの内側と外側間のシール性能を保持することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の支持構造によるタービンノズル部の全体断面図である。この図に示すように、本発明のタービンノズル支持構造は、タービンノズル10、ノズルサポート部材14、およびストッパー部材16を備える。
【0020】
タービンノズル10は、燃焼器2とタービン動翼4との間に位置し、燃焼器2からの高温ガスを下流側のタービンに導入する機能を有する。
【0021】
ノズルサポート部材14は、タービンノズル10の内側に固定されたエンジン中心を中心とする円筒形状であり、その周囲にタービンノズル10を嵌め込むための半径方向に延びる溝部14aを有する。また、この溝部14aを挟む前後のフランジ部には、周方向に一定の間隔を隔てて複数の軸方向貫通孔14bが設けられている。
【0022】
ストッパー部材16は、タービンノズル10の外側に位置し、外方端がエンジンのケーシング6に固定されている。
【0023】
図2は、本発明を構成するノズルセグメントの斜視図である。この図に示すように、タービンノズル10は、周方向に分割された複数のノズルセグメント12からなる。各ノズルセグメント12の周方向端面は、隣接する各ノズルセグメント12の端面に密接し、端面に設けられた溝11に嵌め込むシールプレート(図示せず)により、その間がシールされる。
【0024】
ノズルセグメント12は、その内方端から半径方向内方に張出した内側フランジ12aと、その外方端から半径方向外方に張出した外側フランジ12bとを有する。内側フランジ12aは、ノズルサポート部材14の溝部14aに嵌め込まれ、前後方向に移動しないようになっている。
また、内側フランジ12aには軸方向貫通孔13が設けられ、取付ピン18が軸方向貫通孔13をノズルサポート部材14の溝部14aと共に貫通することによりノズルセグメント12がノズルサポート部材14に取付けられる。
【0025】
この構成により、軸方向貫通孔13を貫通する取付ピン18により、ノズルセグメント12の周方向及び径方向の位置を位置決めし、熱膨張及び周方向に揺動可能に取付けることができる。
【0026】
図3は、本発明を構成するストッパー部材の詳細図である。この図において、(A)はストッパー部材16の一部正面図、(B)はそのB−B断面図、(C)はそのC−C矢視図、(D)はそのD部拡大図である。
【0027】
図3に示すように、ストッパー部材16は、エンジン中心を中心とするリング状部材である。またその外周縁の複数箇所にケーシング6との周方向位置決めのための嵌合部16bを有する。この嵌合部16bは軸方向に突出した矩形部材であり、ケーシング6に設けられた凹部と嵌合することにより、ストッパー部材16を周方向に位置決めしている。
また、ストッパー部材16は、内周縁に段差が設けられ、かつ内周縁に沿って周方向に設けられた複数の凹部16aを有する。この凹部16aは、分割された複数の各ノズルセグメント12毎に1つずつ対応する箇所に設けられている。
【0028】
図2において、ノズルセグメント12の外側フランジ12bは、ストッパー部材16の段差の後面に熱膨張可能に当接し、ノズルセグメント12の前倒れを防止するようになっている。
また、外側フランジ12bは、その外方端に半径方向外方に張出したタブ12cを有し、このタブ12cが、ストッパー部材16に設けられた凹部16aに嵌合し周方向の倒れを防止するようになっている。
【0029】
図1において、本発明のタービンノズル支持構造では、更に、ノズルセグメント12の前端部と燃焼器2との間をシールするシールプレート8と、ノズルセグメント12の後端部とシュラウドサポート7との間をシールするEシール9とを備え、ノズルセグメント12の前後をシールすることにより、ノズルの内側と外側間のシール性能を保持するようになっている。
【0030】
上述した本発明の構成によれば、タービンノズル10を構成する各ノズルセグメント12の内方端が、単一の軸方向取付ピン18によりノズルサポート部材14に周方向に揺動可能に取付けられるので、各ノズルセグメント12の周方向位置をピン18により位置決めし、かつこのピン18を中心として半径方向及び周方向に自由に熱膨張することができ、これにより内側の高温ガスと外側の冷却空気にさらされた状態において、熱応力を低く抑えることができる。
【0031】
また、各ノズルセグメント12の外方端は、熱膨張可能にストッパー部材16に部分的に嵌合するので、これにより前倒れ防止と共に周方向の倒れも防止することができる。
さらに、ノズルセグメント12の各部分が自由に熱膨張するが前倒れ防止と共に周方向の倒れも防止されるので、前後方向及び周方向の変位が少なく隙間が発生しないので、ノズルの内側と外側間のシール性能を保持することができる。
【0032】
上述したように、本発明の構造は、対象となるノズル外径側に張出し12bを設け、ノズル10が傾いた場合その張出しを抑えるようにリング状の前倒れ防止部材(ストッパー部材16)を設けたものである。ストッパー部材16はその外径側にあるケーシング6のフランジ部に挟み込むことにより支持されている。さらにストッパー部材16にはノズル張出し部を周方向に拘束する溝16aが設けてあり、前倒れ防止と共に周方向の倒れも防止している。ケーシング6とストッパー部材16との周方向位置は嵌合部16bにより拘束されている。
【0033】
本発明により、比較的容易な方法で、リークを抑えながらノズルの前倒れを防止することが可能となる。これにより、ノズル効率低下を防止することが可能となり、タービン効率ひいてはガスタービン性能低下を防止することが可能である。
【0034】
なお、本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない限りで自由に変更することができることは勿論である。例えば、本発明を航空用、舶用、陸上用のガスタービンに広く適用することができる。
【0035】
【発明の効果】
上述したように、本発明のタービンノズル支持構造は、内側の高温ガスと外側の冷却空気にさらされた状態において、熱応力を低く抑え、ノズルの前倒れを防止し、これによりノズル効率低下を防止することができ、かつノズルの内側と外側間のシール性能を保持することができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の支持構造によるタービンノズル部の全体断面図である。
【図2】本発明を構成するノズルセグメントの斜視図である。
【図3】本発明を構成するストッパー部材の詳細図である。
【図4】従来のタービンノズル構造の斜視図である。
【図5】従来のタービンノズルの支持構造の例を示す全体断面図である。
【図6】図5のノズルセグメントの斜視図である。
【図7】図5の保持リングの斜視図である。
【符号の説明】
2 燃焼器、4 タービン動翼、6 ケーシング、
7 シュラウドサポート、8 シールプレート、9 Eシール、
10 タービンノズル、11 溝、12 ノズルセグメント、
12a 内側フランジ、12b 外側フランジ、
12c タブ、13 貫通孔、14 ノズルサポート部材、
14a 溝部、14b 軸方向貫通孔、
16 ストッパー部材、16a 凹部、
16b 嵌合部、18 取付ピン
Claims (4)
- 燃焼器(2)とタービン動翼(4)との間に位置し燃焼器からの高温ガスを下流側のタービンに導入するタービンノズル(10)と、該タービンノズルの内側に固定されたノズルサポート部材(14)と、タービンノズルの外側に固定されたストッパー部材(16)とを備え、
前記タービンノズル(10)は、周方向に分割された複数のノズルセグメント(12)からなり、
各ノズルセグメント(12)の内方端は、軸方向取付ピン(18)によりノズルサポート部材に周方向に揺動可能に取付けられ、外方端は、熱膨張可能にストッパー部材に部分的に嵌合し、これにより前倒れ防止と共に周方向の倒れも防止する、ことを特徴とするタービンノズル支持構造。 - 前記ノズルセグメント(12)は、その内方端から半径方向内方に張出した内側フランジ(12a)とその外方端から半径方向外方に張出した外側フランジ(12b)とを有し、
内側フランジ(12a)には軸方向貫通孔(13)が設けられ、該軸方向貫通孔を隙間をもって貫通する取付ピン(18)により、内側フランジ(12a)はノズルサポート部材(14)に軸方向に隙間を有しかつ周方向に揺動可能に取付けられ、
外側フランジ(12b)は、さらにその外方端に半径方向外方に張出したタブ(12c)を有し、これにより外側フランジ(12b)の軸方向前面がストッパー部材(16)に係止して前倒れを防止し、タブ(12c)が、ストッパー部材(16)に設けられた凹部(16a)に嵌合し周方向の倒れを防止する、ことを特徴とする請求項1に記載のタービンノズル支持構造。 - 前記ストッパー部材(16)は、ケーシング(6)との周方向位置決めのための嵌合部(16b)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のタービンノズル支持構造。
- ノズルセグメント(12)の前端部と燃焼器との間をシールするシールプレート(8)と、ノズルセグメント(12)の後端部とケーシングとの間をシールするEシール(9)とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載のタービンノズル支持構造。
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